米国の大多数のゲーム開発者はリモートに移行中

Game Developers Conference(GDC)が、これから開催する大規模な年次会議(今回はオンライン開催のみ)に先立ち、2500人のゲーム開発者に対して、業界がCOVID-19パンデミックの影響に、どのように対処しているかの調査を行った。多くの人びとが、在宅命令に従うために、ゲームに目を向けたことから、ゲームの売上高は伸びてはいるものの、今回のウィルスは、無数の他の産業で与えているものと同様の影響を(程度はある程度低いものの)、開発者たちに与えているようだ。

まず、32%の開発者が、労働時間が長くなっているにもかかわらず、生産性が落ちていると回答している。これは、パンデミックになってホームオフィスへの移行を試みた人には、お馴染みの現象だろう。そして開発者の約70%が在宅勤務に移行したと答えている。もしこの数字が少し低いのではないかと思えるとしたら、それは単に調査対象の27%の開発者がすでに在宅勤務だったからだ。ということで、オフィスに残されているのは3%程度なのだろう。

回答者の4分の1は、世帯収入が減少していると答え、3分の1は過去数か月間でビジネスが減っていると答えている。3分の1はまた、プロジェクトが遅れていると回答している。このことによって、年末に最新版のリリースが予定されているXboxとPlayStationは、今後の予定が複雑になる可能性が高い。

オンラインへの移行により、異なるクラウドサービスへの移行を含め、多くの企業がワークフローの見直しに取り組もうとした。とはいえ、業界の性質上、多くの開発者はパンデミック以前に労働力を分散させることにすでに慣れていた。3分の2が、自身の勤務する会社はオフィスへ従業員を戻す計画を持っていると答えているが。現在オフィスに戻って安全だと感じている開発者は12%だけだ。

回答者の大多数は、パンデミックが今後、職場のいくつかの側面を永久に変えると信じていると付け加えている。ある開発者は「オフィスで物理的に一緒に仕事をする代わりに、日々の仕事のやりかたに手を加える必要がありましたが、結局そのことによって効率性と生産性が向上したことが明らかになりました」という。「最近、パンデミックの後も、ホームオフィスの取り込みを続けるための話し合いも行いました」。

画像クレジット: AMY OSBORNE/AFP (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

今週の記事ランキング(2020.7.12〜7.16)

今週もTechCrunch Japanで最もよく読まれた5つの記事を紹介しよう。今週の1位は、「MacにApple Siliconを搭載するアップルの本当の狙い」というニュースだ。他のランキングについても振り返ってみよう。

なぜNetflixの株価が10%も下がったのか

今日(米国時間7/16)の取引終了後にNetflixは、第二四半期の決算報告を発表した。その数字が出たあと、このビデオストリーミングサービスの人気企業は企業価値が急落し、本稿を書いている時点の時間外取引では株価が10%下がった。

このところ絶好調のNetflixに、何が起きたのか。同社の一般家庭市場の消費者たちの多くが家に閉じ込められている今は、成長を期待するのが当然ではないか。しかし同社は、投資家たちがこぞって歓喜するようなQ2の結果を出せなかったし、今後のパフォーマンスに関する予測も、期待はずれだった。

下落の原因は両方ではなく、どちらか一つだと思うが、Netflix自身はこう言っている:

  • Netflixの業績: Q2は61億5000万ドルの売上が13億6000万ドルの営業利益と7億2000万ドルの純利益を生んだ。一株あたりでは、会社はこの3か月で1.59ドルを稼いだ。

Yahoo Financeのアナリスト平均によると、投資家たちは60億8000万ドルの売上と、1.81ドルの一株あたり利益を予想した。対してNetflixは売上ではわずかに上回り、利益では明確に差がついた。

同社はまた、顧客数の増加でも予想を上回り、CNBCによるとNetflixの新規のサブスクライバーは1009万人で、予想の826万人を超えた。

関連記事: Ted Sarandos named co-CEO at Netflix…Ted Sarandos氏がNetflixの共同CEOに指名(未訳)

確かに、悪い結果ではない。同社の株価の修正をもっと正しく理解するためには、同社がQ3について言っていることを見る必要がある:

  • Netflixの予測: 売上は63億3000万ドルで営業利益12億5000万ドルと純利益9億5400万ドル。一株あたりでは2.09ドルを予想する。

Q3の新規サブスクライバーの予想は250万人だ。マーケットは第三四半期に対し63億9000万ドルの売上と2.00ドルの一株あたり利益を予想していたから、ここでもまた好悪両様だ。でも新規サブスクライバーの控えめな数字と売上の低成長が、ウォール街の気を削いだようだ。

そしてNetflixの成長が予想を下回るという空気が漂い、株価を押し下げた。同社の新規サブスクライバーの予想は確かに控えめかもしれないが、投資家たちは疑わしきは罰せずではなく、本当に罰してしまった。

決算報告のシーズンが本番になったら、さらに検討しよう。

画像クレジット: Krisztian Bocsi/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

神戸市が国内eスポーツ普及を推進、シニアの健康管理にも活用へ

神戸市は7月17日、西日本電信電話兵庫支店、PACkageと共同で「withコロナ時代におけるeスポーツによる地域課題解決に向けた連携協定」を提携したことを発表した。eスポーツが新たなコミュニケーションやビジネスの手法としてなり得るのかどうかの可能性を探り、地域課題解決・産業振興につなげるのが狙いだ。PACkageは、2018年2月設立の学生ベンチャー企業で、国内外のコミュニティや教育機関と連携した教育、イベント、eスポーツに関する理解促進活動を進めている。

具体的な活動としては、eスポーツに関するウェブセミナーの開催、eスポーツを利用した高齢者や子供向けの実証実験、コミュニティの醸成、動画配信などの事業を展開していく。

ウェブセミナーは2020年秋に第1回を開催し、計3回を予定している。実証実験については、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスや睡眠中にも使えるマット型センサーなどを活用してシニアのバイタルデータを取得し、健康管理に利用する。シニア向けのeスポーツコンテンツとしては、将棋や囲碁、ぷよぷよなどのパズルゲームを想定している。

コミュニティの醸成については、PACKageが企画するものを含めた関連イベントと連携する。第1弾としてPACkageが参加する実行委員会が開催予定の「レインボーシックスシージ大学対抗戦 powered by AORUS」に神戸市が後援することが決まっている。動画配信については、開催予定のウェブセミナーや実証事業などの取り組みの様子、市内で活躍するeスポーツ関わる学生や市民などへのインタビューをまとめたものをコンテンツとして提供する予定だ。

また今回のプロジェクトには、上新電機や兵庫県eスポーツ連合、ISRパーソネルが協賛企業として参画。上新電機は2020年2月にジョーシン三宮1ばん館9階に「eSportsアリーナ三宮」を開設。同アリーナは、プロeスポーツチーム「SIRIUS GAMING」がホームとして使っている場所だ。

兵庫県eスポーツ連合は、日本eスポーツ連合兵庫県支部で、県下のeスポーツ振興・促進をサポート。これまでに、国体兵庫県代表戦やプレ大会などを開催してきた実績を持つ。ISRパーソネルは、2020年7月に高齢者向けeスポーツ施設「ISR e-Sports」をオープン。会員資格を60歳以上に設定し、ゲームの始め方やプレイ補助を通して安心してeスポーツを体験でき、健康的なゲームライフを送ることができる環境づくりを進めている。

eスポーツと聞くと、FortniteやLeague of Legends、Overwatch、ストリートファイターVなど激しいコンテンツを思い浮かべてしまうが、今回神戸市がやろうとしているのはプロゲーマーの育成ではなく、シニアのITリテラシーの強化、PCを利用したQOLの向上などの課題を解決するのが主な目的。将来的には、eスポーツの振興による競技人口の増加やゲームクリエイターなどの関連事業への人材輩出、スタートアップ支援などにつなげたい考えだ。

ソフトバンクグループが出資するP2P保険のLemonadeがペット保険を開始

Lemonade(レモネード)は7月15日、ペット保険を開始した。2016年に住宅所有者と賃貸人向けの保険を始めて以来、初めて新保険に参入する。

LemonadeのCEOであるDaniel Schreiber(ダニエル・シュライバー)氏が2月にTechCrunchに語った(未訳記事)ところによると、同社の住宅・賃貸人保険を保有する顧客の約70%はペットの所有者でもある。米国のペット所有者の1〜2%はペット保険に加入している。これは比較的単純なベン図(複数の集合の関係や、集合の範囲を視覚的に図式化したもの)だ。

Lemonadeのペット保険ではユーザーは月額12ドル(約1280円)の費用を負担する。既存の保険契約者が新しいペット保険を住宅・賃貸人保険と一緒に契約すると10%の割引が受けられる。保険は犬と猫の飼い主のみが利用できる。ほかのペットは対象外だ。

Lemonadeのウェブサイトによるとこの保険は、血液検査、尿検査、X線、MRI、検査、CTスキャン、超音波検査、外来、専門医、救急医療、さらに入院と手術も対象とする。注射や処方薬を含む薬物治療もカバーする。ペットの飼い主は、偶発的な交通事故や中毒などさまざまな病気の初期適用範囲を超えたより広い範囲を対象とする「事故・病気パッケージ」に加入することもできる。

Lemonadeのペット保険にはオプションでウェルネスパッケージも付属しており、毎年の健康診断、糸状虫検査、便検査、毎年の寄生虫検査、血液検査、最大3つのワクチンなどの日常的な項目に適用できる。またウェルネスパッケージには医療アドバイスチャットへのアクセスも用意されており、飼い主はペットを健康に保つための留意事項やヒントが得られる。

「ペットの健康保険は100年以上前までさかのぼる」とシュライバー氏は2月にTechCrunchに語った。「それはオランダの馬から始まった。そのペット保険の現代の姿は自動車保険だ。馬は輸送手段だった。保険の目的は輸送手段に何かが起こった場合に持ち主を保護することだった。しかし、ペットは今や家族の一員だ」

Fortune(フォーチューン)によると、米国人は2019年にペットに750億ドル(約8兆円)以上を使った。一般的な保険契約もかなり時代遅れになりつつあるが、法律上、数十年前に書かれた表現や条項を使用する義務がある。Lemonadeは、Policy 2.0(オープンソースであり、誰でも変更や提案ができる保険証券)を米国で始めようとしている。現在、Policy 2.0は欧州でのみ利用可能だが、これは保険の取り扱い方法の大きな変化を象徴している。業界の最大の問題の1つは、何が保険契約の対象で何が対象外か、保険契約者が単に知らないか、場合によってはわからないということだ。

Lemonadeは上場したばかりで、取引初日に株価は大きく上昇した。同社は株式公開に加え、Sequoia(セコイア)やAllianz(アリアンツ)などの機関投資家からも4億8000万ドル(約510億円)を調達し、世界中に382人の従業員を擁している。

米国では、同社のフルタイムの従業員の35%が有色人種、61%は女性だ。世界でも49%が女性だ。R&Dチームの4分の1、経営陣の33%が女性だ。8人で構成される取締役会では有色人種と女性が1人ずつを占める。

画像クレジット:Kimberly White / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

顔認識のプライバシー侵犯でマイクロソフトやグーグル、アマゾンがイリノイ州住民に告発される

イリノイ州の2人の住民が一連の訴訟で、テクノロジー大手3社が州法に違反して個人の生体認証データを許可なく使用したと主張している。イリノイ州住民のSteven Vance(スティーブン・ヴァンス)氏とTim Janecyk(ティム・ジェーンサイク)氏は「IBMの「Diversity in Faces」データベースに二人の顔が両人の同意なく登場しており、それらがAmazonとMicrosoftと、Googleの親会社Alphabetの顔認識システムの訓練に使われた」と申し立てている(CNET記事)。

3社とも米国西海岸の企業だが、訴訟はこれらのテクノロジー大手がイリノイ州のBiometric Information Privacy Act(BIPA、生体認証情報私権法)に抵触していると告発している。訴訟の原告は両氏だが、イリノイ州の「同じ状況にあるすべての個人」を代表する集団訴訟の資格も求めている。この訴訟で2人の原告は、違法行為1件につき5000ドル(約53万円)の賠償金と、これらの企業がイリノイ州住民の「生体認証識別子」(顔の画像など本人が分かる情報)を使用することを禁じ、保存されている関連の顔データを破壊する裁判所命令を求めている。

ちなみに訴状のマイクロソフト宛ての告発文では、次のように述べている。

その顔認識技術を改良する取り組みにおいて被告であるマイクロソフトは、イリノイ州の生体認証情報私権法に違反し、中でも特に、原告ヴァンスとジェーンサイクおよびそのほかすべての、同じ状況にあるイリノイ州居住者及び市民(以下「集団訴訟の原告」と呼ぶ)の生体認証識別子と情報を、不法に収集し、取得し、保存し、使用し、処理し、利益を得た。

訴訟が依拠している法律は10年以上前に制定され、イリノイ州住民を彼らの生体認証データが明示的な許可なく収集および保存されることから保護することが目的だ。顔認識が一般化し議論の的ともなっている今日では、BIPA関連の訴訟が一定の頻度で発生している。米国にはプライバシーを保護する国の法律はないが、イリノイ州の法が米国人から無断でデータを取り出していた企業に有意な障害を課している。

今年の1月にはFacebookが、BIPA関連の訴訟で5億5000万ドルを払った(未訳記事)。その訴訟はイリノイ州住民を原告として2015年に提訴され「Facebookがユーザーの画像からユーザーへの開示なく顔認識データを収集した」と申し立てられた。そのときは、SnapchatとGoogleとShutterflyも同様の訴訟に直面した。

2019年には連邦控訴裁が、顔認識データは生体認証データに含まれないとするFacebookの主張を退け、「ここで申し立てられているように、同意なくして顔認識技術を利用し顔のテンプレートを開発することは、個人の私事と具体的な関心を犯すものである」と声明した。

これらの企業が顔認識システムの訓練に利用したIBMのデータセットも、それ自身が議論を招いている。昨年NBC Newsが報じたようにIBMは「Diversity in Facesデータセットは『純粋に学術的研究が目的』であり、同社の商業的関心には奉仕しない」と主張した。そしてそのIBMのデータセットは、クリエイティブ・コモンズのライセンスを伴う1億あまりのFlickrの画像から集めたもののようだ。その決定も、企業がオープンライセンスの画像を、フォトグラファーとその被写体である人びとの同意なく利用することが許されるのか、という顔の画像の利用をめぐる独自の倫理的疑問を惹起した。

関連記事: Facebook will pay $550 million to settle class action lawsuit over privacy violations(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SAPなどの巨人たちに挑戦するRecurrencyのERPは現代的なひねりを加えて機械学習で推奨や予測も行う

Y Combinatorの2020年夏のバッチのメンバーであるRecurrencyは、大学を卒業したばかりの21歳の人物によって創業された企業だ。彼はSAP、Infor(インフォア)、Oracle(オラクル)、Microsoft(マイクロソフト)などの巨人たちが率いる、しっかりと確立された市場に参入することを決心したが、エンタープライズソフトウェアの非常に複雑な領域を一気に攻めるのではなく、卸売ビジネスを支援することから始めている。

単独の創業者でありCEOであるSam Oshay(サム・オシェイ)氏は、今回の夏バッチに参加する前に、ペンシルベニア大学でエンジニアリングとビジネスにまたがる2つの学位を取得して卒業した。オシェイ氏は、データ主導の意思決定を推進するために、機械学習を使用することで、ERPに現代的なひねりを加えようとしている。

「SAP、Infor、Epicor(エピコ)といった他のERPとの違いは、ユーザーに対して彼らがまだ知らないことを伝えることができるということです」。従来のERPは、基本的にデータ入力システムに過ぎないと彼はいう。例えば価格表を入力することはできるものの、それに対する予測については何もできない。

「私たちのシステムなら、過去のデータをスキャンして、価格の推奨と予測を行うことが可能です。つまり、私たちのシステムはデータ分析を行うだけでなく、外部データをインポートして内部データと照合し、推奨と予測を行うERPなのです」とオシェイ氏は説明する。

彼は卸売ビジネス方面だけに閉じこもっているつもりはないが、彼の家族がこれまでその方面のビジネスを経営してきたという状況を考えると、そこを出発点としたことは理に適っている。実際、彼の祖父は第二次世界大戦後に米国に移住し、彼の伯父が現在も経営している金物の卸売業を始めた人物だ。そして彼の父親は、卸売業務に使う発送用品を販売するビジネスを始めた人物である。オシェイ氏はそうしたファミリービジネスの中で育った。そうした経験がほとんどの新卒者がおそらく持つことのない洞察を、彼に与えることになったのだろう。

「私は卸売業について、非常に深いレベルまで学びました。そして私が観察できたことは、私の父のビジネスに関わる問題の多くが、彼の使うERPシステムの問題に帰結するということでした。なので、もし誰かが、ERPの拡張機能やより優れたERPを構築できたなら、これらのレガシーシステムの中に現在閉じ込められている価値の多くを、解放できる可能性があると私は考えたのです」と彼はいう。

そこで、彼は良い起業家ならそうするようにシステムの構築を始めたのだ。手始めとして彼のシステムはSAPやNetSuite(ネットスイート)などのレガシーシステムにプラグインされるが、将来的な計画はより良いERPを一度に1ステップずつ構築して行くことだ。今のところ、それは卸売を対象にしているが、彼は自身の会社ではるかに大きいビジョンを持っている。

彼は元々、大学3年だった2019年秋学期にYCに応募し、その冬のバッチへの参加を許可されていたが、実際の参加は学業が完了する2020年夏まで延期していた。彼は早期卒業を行うために、ペンシルベニア大学の残りの時間を全力で過ごし、修了するために10のクラスを履修した(現在は卒業論文が1本残されているだけだ)。

今回のYCバッチはリモートで行われており、YCチームはそれを考慮に入れていて、それでも夏のクラスに対して有意義な体験を提供していると彼はいう。「YCが通常行うイベントのすべてが、現在でもそのままリモートで行われています。そして、私の知る限り、私たちが参加しているイベントのいくつかは、この奇妙な状況に対応するために特別にデザインされています。YCチームは今回のバッチを意味のあるものにするためにかなりの検討を重ねおり、それらは成功したと思います」と彼はいった。

パンデミックは、アーリーステージのビジネスに新たな課題を突きつけたが、彼はそのおかげでより良い集中を行う役に立った点もあるという。友人たちと出かける代わりに、彼は在宅でほとんど気を散らすことなく会社に取り組んでいる。

ご想像のとおり、この製品はまだ始まったばかりだが、既に3つの顧客で稼働しており、さらに2つが実装段階にある。また、これまでに2人とエンジニアを雇用して、それぞれフロントエンドとバックエンドを担当させている。

今のところ、彼は製品とビジネスの開発を続けていく予定だが、今回のパンデミックが、企業たちがレガシーERPのようなシステムを変更することに対して、よりオープンになるきっかけになるとみなしている。「誰かが何か新しいことを試したいと思っているときに、それをより簡単に試すことができるようにしてあげられるなら、そここそが売り込める場所なのです」と彼はいった。

画像クレジット: NicoElNino / Getty Images

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(翻訳:sako)

SnapchatがTikTokスタイルの垂直スワイプで移動する操作をテスト中

Snapchatが、TikTokに対するより直接的な挑戦の準備をしているようだ。同社は、Snapchatの公開コンテンツを垂直方向のスワイプで移動できる新しい操作方法をテストしていることを認めた。この操作はTikTokによって普及したビデオ切り替え方式だ。Snapchatによると、この機能はコミュニティコンテンツのための、さまざまな没入型ビジュアルフォーマットを探究する実験の1つだ。

このテストは友達のプライベートストーリーではなく、Snapchatディスカバーに公開されているコンテンツに焦点を当てている。ただし、ストーリーは様々な要素で構成されているので、ユーザーはこれまでと同様にタップしてストーリーを進めることもできる。しかし今回の新しい実験では、左右を問わず水平方向にスワイプすると、これまでのようにストーリーの切り替えを行うのではなく新機能は終了してしまう。

TikTokに多くの時間を費やすようになった人にとっては、いまや垂直スワイプが、ビデオを移動するためのより自然な方法のように感じられるようになっている。そうしたユーザーは、水平スワイプが使用されているSnapchatやその他のアプリに戻ると、方向感覚を失ったような気分になるのだ。

このテストの存在は、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏によって、Twitterユーザーの@artb2668からの投稿を引用する形で最初に報告された(Twitter投稿)。そこでシェアされた写真の上には、新しい機能をどのように操作すれば良いかを示すアプリのポップアップが示されており、そしてその操作感覚を示すビデオも添付されている。

Snapchatはこのテストが初期段階にあることと、ごく少数のユーザーにしか提供されていないこと以外の、テストに関する具体的な詳細を提供することを拒否した。

「私たちはいつでも没入的で魅力的なコンテンツを、モバイルファーストのSnapchatコミュニティに投入する方法を試しています」と広報担当者はTechCrunchに語った。

もちろん、Snapchatによるテストのタイミングは興味深いものだ。

トランプ政権は現在、TikTokが中国と緊密な関係を持っていること、そしてアメリカ人の個人ユーザーデータが最終的に中国共産党の手に渡るのではないかという恐れから、TikTokを米国で禁止するぞという圧力をかけている(The Wall Street Journal記事)。このアプリは、同様の理由ですでにインドでは禁止されている。米国時間7月10日には、Amazonは従業員に対して、会社が発行したスマートフォンからTikTokアプリを削除するように指示した(The NewYork Times記事)が、5時間後にはその要請を撤回した。2020年初めにはペンタゴンの警告を受けて、米軍の各部門も同アプリへのアクセスをブロックしている(The NewYork Times記事)。一方、Musical.ly(このアプリがTikTokとなった)は、中国のByteDance(バイトダンス)による買収により、米国の国家安全保障レビューを受けている(The NewYork Times記事)。

TikTokが削除の脅威に晒される中で、競合するソーシャルアプリであるByte、Like、Triller、Dubsmashなどが、アプリストアチャートで上昇している。一方Instagramは、TikTokに似たReelsをインド(未訳記事)を含む新しい市場に拡大している。最近はYouTubeでさえ、TikTokのようなエクスペリエンスのテストを開始した(未訳記事)。

TikTokの米国ユーザーをすぐに手に入れられる可能性を考えると、Snapchatが自社のユーザーベースでも同じことをやりたがるのは当然のことだ。

このテストは、ソーシャルアプリのユーザーエクスペリエンスの支配力に対して、TikTokがどれだけ影響力を持つようになったのかも示している。Snapchatはかつて、Instagramを含むほとんどすべての他のソーシャルアプリによってそのショート形式のストーリーのコンセプトを盗まれたが、いまやTikTokのスワイプ可能な垂直フィードがみんながコピーする対象となったのだ。

画像クレジット:Denis Charlet / AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

マイクロソフトが中国製チャットボットXiaoiceをスピンアウト

Microsoft(マイクロソフト)は、共感的チャットボットのXiaoice(シャオアイス)を独立した組織にしようとしている。同社は中国時間7月13日にこの発表を行い、6月に中国のニュースサイトChuhaipost(チューハイポスト)が行っていたレポートを追認した。

この発表に先立ち、数ヶ月前の昨年末には、Microsoftは音声アシスタントのCortana(コルタナ)を中国で閉鎖することを発表していた

Xiaoiceは長年にわたり、人工知能の最優秀な人材を採用し、中国内に留まらず、日本やインドネシアなどの国々へも進出していた。Microsoftはこのことを、Xiaoiceの「ローカライズされたイノベーション」とチャットボットの「商用エコシステム」の開発を加速するための宣言だと述べている。

スピンオフ会社は、Xiaoiceにおける今後の研究と開発のために、Microsoftからの新しい包括的技術ライセンスを使い、Xiaoiceブランド(日本では「りんな」)を引き続き使用する。一方Microsoftは、新会社の株式の持分を保持し続ける。

2014年、MicrosoftのBing研究者たちの小さなチームがXiaoiceを発表した。これは中国語で「Little Bing」(小冰=Xiǎobīng)を意味する。このボットは、すぐに中国でセンセーションを巻き起こし、多くの人たちからバーチャルガールフレンドと見られるようになった。このチャットボットが登場したのは、Microsoftが中国内でCortanaを展開してから、わずか数週間後のことだった。Xiaoiceは、10代の少女をパーソナリティのモデルとしており、同社はチャットボットに対して、人間的で社会的な要素をさらに追加することを目指している。Microsoft自身の言葉によれば、彼女はユーザーの友達になりたいと思っているということだ。

すべての外国企業と同様に、Microsoftは中国の検閲にしっかりと取り組む必要がある。2017年にXiaoiceは、政治的に問題を含む発言の疑いで、Tencent(テンセント)のインスタントメッセンジャーQQから削除された。

このプロジェクトには、AIの世界で最も権威のある科学者たちが参加していた。例えばLu Qi(ルー・チー)氏はその後Baidu(バイドゥ)に最高執行責任者として移籍して、Y Combinatorを中国に連れて来たし、Jing Kun(ジン・クン)氏は検索大手Baiduのスマートデバイス部門の責任者となり、またMicrosoftの名高い人工知能および研究部門の元幹部であるHarry Shum(ハリー・シャム)氏は、現在新進のニュースアプリNews Break(ニュースブレイク)のボードメンバーとなっている。

シャム氏は、今回Xiaoiceから生まれる新しい独立企業の会長を務める。 またXiaoiceのゼネラルマネージャーであるLi Di(リー・ティー)氏が最高経営責任者(CEO)を務める。 日本版のチャットボット「りんな」の開発者であるChen Zhan(チェン・サン)氏は、日本オフィスのゼネラルマネージャーになる。

新会社は、「Xiaoice」および「りんな」ブランドを使用する権利を保持し、中国語圏、日本、インドネシアの顧客基盤をさらに発展させることを使命とする。

Microsoftは、Xiaoiceは世界中で、6億6千万人のユーザーと4億5000万台のサードパーティスマートデバイスに使われていると述べている。またそのチャットボットは、金融、小売、自動車、不動産、ファッションなどの分野に応用を見出し、そこでは「テキストからコンテキスト、雰囲気、感情を抽出して、数秒でユニークなパターンを作成できる」と 主張している。

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(翻訳:sako)

HBO Maxが映画「ザ・バットマン」とのタイアップで「ゴッサム市警察」シリーズを制作

本日(米国時間7月13日)WarnerMedia(ワーナーメディア)傘下のストリーミングサービスで5月にスタート(未訳記事)したHBO Maxは、映画 “The Batman”(ザ・バットマン/2021年公開予定)とタイアップしたテレビ番組シリーズの制作を発表した。

舞台はゴッサム市警察。制作チームには劇場版の共同脚本家・監督であるMatt Reeves(マット・リーヴス)氏に、”Boardwalk Empire”(ボードウォーク・エンパイア 欲望の街)を企画したTelence Winter(テレンス・ウィンター)氏らが加わる。

これはお馴染みの領域だ。ある町の警察署がさまざまな犯罪者に蹂躙される、といえばコミックの“Gotham Central”(ゴッサムセントラル/作:Ed Brubaker氏、Greg Rucka氏、絵:Michael Lark氏)にいちばんよく出てくる設定だが、最近の(不評の)Fox TV番組 “Gotham” (ゴッサム)の焦点でもある。

しかしHBO Maxの発表では、この作品は劇場映画の延長であり、「最終的にマルチプラットフォームで新しいバットマンの世界を展開する」ことを強調した。同社は、近日上映の映画 “Dune”(デューン)とタイアップした“Dune: The Sisterhood”(未訳記事)でも同じアプローチをとっている。

これはすばらしいチャンスであり、私が映画で作っている世界のビジョンを広げるだけでなく、TVシリーズの長編フォーマットでのみ可能な深淵さと詳細さも追求できる。そして、驚くべき才能をもつテレンス・ウィンター氏による犯罪と腐敗の世界を洞察力をもって描いた脚本を得られたことを夢のように感じている」とReeves氏が声明で語った。

作品が現在進行中の人種不平等への抗議の影響を何からのかたちで受けているかどうかも注目される。現実世界の政治問題をコミック原作のテレビ番組と結びつけるのはばかげている、と思えるかもしれないが、この抗議運動によって、映画やテレビがいかに警察を美化してきたかをハリウッドが見直す(未訳記事)ことにつながっている。たとえば、”Brookly Nine-Nine”(ブルックリンナインナイン)の脚本家や出演者は、「誰もが倫理的に問題ないと思える」番組にするよう考え直そうとしている、とAndy Samberg(アンディー・サムバーグ)氏が最近語った(未訳記事)。

画像クレジット:FOX Image Collection / Getty Images

関連記事:
HBO Max launches today; here’s what you need to know(未訳記事)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

皮膚に貼り付け可能な極薄スキンディスプレイをフルカラー化、東京大学と大日本印刷が共同研究

東京大学 染谷隆夫博士 大日本印刷 スキンディスプレイ

東京大学染谷隆夫博士(大学院工学系研究科長・教授)の研究チームと大日本印刷(DNP)は、独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術を進化させた、薄型で伸縮自在なフルカラーのスキンディスプレイの製造に成功したと発表した

同研究成果は、東京大学大学院工学系研究科とDNP研究開発センターの共同研究によるもの。フルカラースキンディスプレイは、皮膚上に貼り付けた状態で外部から送られた画像メッセージを表示可能。曲面形状に追従できる独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術で、12×12個(画素数144)のカラーLEDと伸縮性配線をゴムシートに実装し、フルカラー化に成功。9000色以上の色表現が可能となった。

また、表示部・駆動回路・BLE(Bluetooth Low Energy)通信回路・電源を一体化。表示部の駆動電圧は3.7Vで、表示スピードは60Hz、最大消費電力は平均100mW(ミリワット)となっている。

制御回路とバッテリーは表示エリアの外周近傍に実装しており、配線ケーブルが不要。手の甲に貼り付けたスキンディスプレイに外部からBLE通信で表示内容を制御できる。

東京大学 染谷隆夫博士 大日本印刷 スキンディスプレイ

染谷隆夫博士の研究チームとDNPは、伸縮性を備え、曲面に自由に追従できる電子回路基板を目指して研究開発を進めている。

同チーム独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術は、柔軟な基材を曲げ伸ばししても抵抗値が変わらない電極配線が可能。さらに、剛直な部品を実装しても伸縮時に断線しにくい工夫を盛り込んでいるという。信頼性を向上させた結果、比較的大きな部品を使っても壊れにくい回路が作れるようになった。

この実装技術の有効性の実証を兼ねて開発したスキンディスプレイには、12×12個(画素数144)の1.5mm角サイズのフルカラーLEDを薄いゴムシートに2.5mmの等間隔で埋め込んでる。全体の厚みは約2mmで、130%までの伸縮を繰り返しても電気的・機械的特性が損なわれない。薄型・軽量で伸縮自在なため、皮膚に直接貼り付けても人の動きを妨げることがなく、装着時の負担が大幅に低減されるとしている。

曲がるだけのディスプレイはすでに商品化されているが、伸び縮みするディスプレイや皮膚に貼り付ける可能なレベルの極薄ディスプレイは、研究開発段階の試作品が数件報告されているだけという。同チームは、2009年5月に世界初となる伸び縮みする16×16個の有機ELディスプレイ、2016年8月に厚さが1μm(マイクロメートル)の極薄の有機EL素子で7セグメントのディスプレイ、2018年2月には、同研究の先駆けとなる単色スキンディスプレイを発表した。

同研究では、発光素子として無機半導体を発光材料としたLEDと独自の伸縮性ハイブリット電子実装技術を駆使することで、従来の伸縮性ディスプレイよりも圧倒的な大気安定性と機械的耐久性を同時に達成。伸縮自在なディスプレイを皮膚にフィットさせ、かつ人の動きに追従させた状態で、数百個のLEDが1画素の故障もなくフルカラー動画を表示できたのは世界初としている。

DNPは、間もなくスキンエレクトロニクスの実用化検証を開始するという。

MacにApple Siliconを搭載するアップルの本当の狙い

2020年6月に開催されたアップルのWWDCでは、MacのメインCPUをIntel(インテル)からアップル製のいわゆるApple Siliconにスイッチすることが発表された。それ以来、その方針があたかも金科玉条のように語られ、ずっと以前から運命付けられていたかのような雰囲気さえ漂っている。それこそが実際の製品の発売にかなり先立って、こうした方針転換を発表したアップルの狙いだったことは間違いない。

いみじくもAPIを公開し、サードパーティにアプリケーションの開発を可能にしているパソコンが、CPUのメーカー、系統を大きく変更するというのには大きく2種類の理由が考えられる。1つは技術的なもの。もう1つは政治的なものだ。WWDCのキーノートなどでは、当然ながら政治的な狙いについては何も語られていない。もちろん技術的なメリットがなければ、政治的な理由だけでCPUを変更するとも考えにくいが、すでに成熟した製品となって久しいMacが、この段階に来て変更に踏み切るからには、政治的なメリットもそれなりに大きいはずだ。

この記事ではそこには深入りしないが、アップルにしてみれば今後はCPUの選択、設計、コスト、納期など、あらゆる面に関して、自らコントロールできるようになる。すべてが自分の責任になるものの、そこから生まれるメリットは絶大だろう。とはいえ、それはあくまでもアップルにとってのメリットだ。デベロッパーやユーザーは、性能や機能、価格など、背に腹は代えられない部分で明らかなメリットがなければ、MacのCPUの変更は面倒の種が1つ増えるだけで、できればやめてもらいたいと思うだろう。

もちろん、MacのCPUがiPhoneやiPadなどのモバイルデバイスと共通になるのは、それだけで大きなメリットだ。「iPhone/iPadアプリは本当にそのままApple Silicon Mac上で動くのか?」でも述べたように、すべてのアップル製品のアプリケーションの基盤が共通化され、膨大な数のiPhone/iPadアプリがそのままMacで動作する夢のような環境への扉を開くからだ。しかし、Apple Silicon採用のメリットは、それだけではない。キーノートでは詳しく述べられていなかった数多くのメリットがある。それらを具体的に見ていこう。

高性能と低消費電力の両立は真のメリットではない

今回のキーノートでは、CEOのティム・クック氏自らが、Apple Siliconへの転換を明らかにした。その際に述べられていた動機は、大義名分としてまことにもっともなものだった。かいつまんで言えば、アップルではハードウェアとソフトウェアのインテグレーションが、すべての基本となっている。「自ら開発するApple Siliconの採用によって、それがさらに高いレベルで実現し、より優れた製品を提供できるようになる」というのだ。

キーノートでクック氏を引き継いだハードウェア技術担当の上級副社長であるJohny Srouji(ジョニー・スルージ)氏も、技術的にはそれほど詳しい具体的な話はしなかった。ただ、「Apple Siliconはパフォーマンスと消費電力のバランスに優れ、1つのアーキテクチャでApple WatchからMac Proまでカバーできるほどのスケーラビリティを備えている」ということを強調していた。

これも確かにそのとおりだろうし、納得しやすい話だが、Apple Siliconでなければならない理由には踏み込んでおらず今ひとつ説得力には欠ける。というのも、現在のコンシューマー機器向けCPUであれば、力点を置く部分に多少の違いこそあれ、どんなメーカーの製品でも高性能と低消費電力の両立を目指していると考えられるからだ。

同じWWDCの「Platforms State of the Union」でも、今年は当然ながらApple Siliconがメインのトピックに据えられた。アップルのプラットフォームに関して、キーノートよりも技術的に突っ込んだ話をすることになっているセッションだ。しかしそこでも、どうしてApple Siliconが優れているかについては漠然とした話しか語られなかった。

そのセッションで挙げられたApple Siliconの技術的なメリットは、次の4点に集約される。

  • Huge Improvements to Speed(速度の飛躍的な向上)
  • Graphic Performance(グラフィック性能)
  • Power Consumption(消費電力)
  • Security(セキュリティ)

これらのメリットについて、いくつかのアプリケーションのデモが示され、すでに実際にApple Silicon上でMacのソフトウェアが動作し、高性能を発揮していることが強調された。それでも、なぜApple Siliconでなければならないのか、簡単なアーキテクチャの図が示されただけで技術的な説明はここでもまだ具体性に欠けている。

Apple Siliconのパフォーマンス面でのメリット

Apple Siliconについて技術的に一歩踏み込んだ詳しい話は、ようやく「Explore the new system architecture of Apple Silicon Mac」というセッションで登場した。実際にmacOSをApple Siliconに移行させる仕事をしているCore OSグループの担当者であるGavin Barraclough(ギャビン・バラクロー)氏による説明だ。

そこではまず、現状のインテルベースのMacの基本的なアーキテクチャの確認から入った。独立したGPUを持つマシンでは、インテル製のCPUとAMD製のGPU、そして主にセキュリティに関するコントローラーとして動作するアップル製のT2チップを備えている。この場合、CPUとGPUは、それそれ独立したメモリを使って動作する。それがメリットになる場合もあるだろうが、両メモリ間でのデータ転送はPCIバス経由となり、大量のデータを扱うには効率が悪い。

それに対してApple Siliconでは、1つのSoC(System on a Chip)として、CPU、GPU、セキュリティ関連の機能はもちろん、ビデオのエンコーダー/デコーダー、機械学習関連の処理をハードウェアで実行するニューラルエンジン、機械学習アクセラレーターなどが詰め込まれている。このように多様な機能をワンチップに統合できるのは、iPhoneやiPad用のSoCとして培ってきた設計技術の成果だろう。

この構成では、CPUとGPUが1つのメモリを共有することになり、画像やテクスチャ、ジオメトリなどのデータ転送は効率化される。アップルではこれをUnified memory architecture(統合メモリアーキテクチャ)と呼んでいる。

またApple SiliconのCPUには、これまで採用していたインテル製のCPUにはない大きな特徴がある。それは内蔵する複数のコアの処理能力が、すべて同一ではないということだ。アップルではこれをAsymmetric multiprocessing(非対称マルチプロセッシング)、略してAMPと呼ぶ。例えば、ユーザーによる操作の追従のような軽い処理は低能力のコアで実行し、負荷の重い高度な演算処理は高能力のコアで実行することで、全体的なコアの利用効率を高めることができる。アプリのデベロッパーとしては、プロセスの優先順位を適切に見積もって設定し、効率的な処理が実行されるよう追求する必要がある。とはいえ、一般的なマルチタスク処理は、これまでどおりGCD(Grand Central Dispatch)を利用して、個々のタスクが適切にスレッドに割り振られるようにすることが推奨される。

アプリとして、こうしたApple Siliconの能力を利用するために、特に新たなAPIを導入する必要ない。例えばGPU処理に関しては、これまでどおりMetalを利用すれば、自動的に最大限のパフォーマンスが発揮される。また、ビデオ関連はAVFoundationやVideoToolbox、機械学習関連はCoreMLのように、それぞれ使い慣れたフレームワークを利用すれば最適な処理が実行される。機械学習関連については、Accelerateフレームワークを利用して、ハードウェアをより効率的に利用することも可能だ。

Apple Siliconが可能にするMacならではの機能

Macに搭載されるApple Siliconは、これまでiPhoneやiPadといったモバイルデバイスに使われてきたアップル製のSoCとは異なる部分もある。それはMacがデスクトップコンピューターであることに関連する機能だ。つまり、Macに搭載されるApple Siliconは、単にiPhoneやiPadにすでに搭載されているものをそのまま、あるいは性能を強化して持ってくるのではなく、Macならではの機能も盛り込んだものとなる。

まず異なるのが起動プロセスだ。Apple Siliconを搭載するMacでは、iPhoneやiPadと同様の起動セキュリティを確保しつつ、外付けのディスクを含めて複数のボリュームから選択的に起動する機能を実現する。それらの複数のボリュームには、異なるバージョンのmacOSがインストールされている可能性がある。そのため、新しいブートローダーは、その時点での過去のバージョンも含め、アップルによってサインされたすべてのバージョンのmacOSから起動できる。

さらに新しいリカバリー機能も含まれている。これは、新世代のMacの大きなメリットの1つに数えられるだろう。「Startup Options UI」という専用のインターフェースが用意され、すべてのMacから共通の操作によってアクセスできる。MacBookシリーズではTouch IDボタン、デスクトップでは電源ボタンを長押しするだけで、このUIを起動できる。

ここからは、起動ディスクの選択だけでなく、新たに搭載される「Startup Manager」(起動マネージャ)、「Mac Sharing Mode」(Mac共有モード)を起動することも可能となる。後者のMac Sharing Modeは、これまでのターゲットディスクモードに代わるものとなる。これはSMBを利用したファイル共有機能によって、外部からユーザーデータにアクセスすることを可能する。当然ながらMac内部のディスクにアクセスするには、正当なユーザー認証が必要となる。

起動ディスクの選択についても、これまでにはなかった細かな設定が可能となる。具体的には、起動ボリュームごと独立にセキュリティポリシーを選べるようになる。Macを何らかの業務に使うだけであれば、iPhoneなどと同様、常に最高のセキュリティポリシーを適用して起動すればいい。しかし、研究者や趣味でいろいろいじりたいユーザーは、それでは自由度が制限されて目的が達成できないことある。そこで、あえてセキュリティを低減させるモードも用意している。

セキュリティポリシーは、これまで同様csrutilコマンドによって設定できる。しかしインテルベースのMacでは、設定したセキュリティーポリシーはシステム全体で有効となるものだった。そのため1つのボリュームのセキュリティを低減させたい場合、他のボリュームのセキュリティも低減させざるを得なかった。Apple Siliconを搭載するMacでは、起動ボリュームごと独立にセキュリティポリシーが設定できるので、他の部分のセキュリティを強固に保ったまま、目的のボリュームだけ低減させるという使い方が可能となる。

リカバリー機能も強化される。macOSには、通常のボリュームから起動できなくなった場合に備えて、リカバリーボリュームが用意されている。そこから起動すれば、通常のボリュームを修復したり、再インストールしたりすることが可能となる。ここまでは、インテルベースのMacでもApple SiliconのMacでも同じだ。リカバリーボリューム自体も起動できない場合、インテルベースのMacでは、インターネットリカバリー機能によって、サーバーにある最小限のOSを起動できるようになっている。Apple Silicon Macでは、さらに最小限のOSを保持した「System Recovery」と呼ばれる隠しコンテナを内蔵している。万一の場合は、そこから起動することでリカバリボリュームや通常のmacOSボリュームを修復、再インストールすることが可能だ。

現時点で明らかにされている内容は、Apple Siliconの全容からすれば、まだほんの一部だと考えられる。しかし、Apple Siliconが単に高性能と低消費電力の両立だけを狙ったものでないことは、すでに明らかだろう。とはいえ仮にそれが本当にメインの理由だったとしても、最近発表されたスーパーコンピュータの世界ランキングで、複数の部門にまたがってトップの座を獲得した理化学研究所の富岳が、ARMベースのアーキテクチャを採用しているという事実は、Macの将来にとっても極めて明るいニュースであることに疑いの余地はない。

画像クレジット:Apple

Coinbaseが2020年後半か2021年初頭の上場を検討中との報道

Coinbase(コインベース)は、株式公開市場にアプローチする可能性のあるメガスタートアップの中でも最右翼にいる。デジタル通貨取引所の同社は、秘密のデータに特化するユニコーンのPalantir(パランティア)に続くかもしれない。Palantirは申請書類を非公開で提出したと発表後、同じくIPOに向かっている。

ロイター通信は米国時間7月9日、米国を拠点とする人気の高い仮想通貨取引プラットフォームであるCoinbaseが、2020年後半か2021年初めに上場デビューを果たす可能性があると報じた。それによると計画は依然流動的だが、仮想通貨に特化するフィンテック企業である同社は「複数の投資銀行や法律事務所と、起用に向け交渉を行っている」という。

Coinbaseはコメントを拒否し、TechCrunchにメールで「噂や憶測についてコメントすることはできない」と述べた。

さらにロイターは、Coinbaseが従来の株式公開ではなく株式の直接上場を目指す可能性があると報じた。企業は直接上場により、IPOで行われるブロックトレードを通じた株価の正式決定を経ずに、公開市場で取引を開始できる。直接上場はコンセプトとして近年人気が高まっている。未公開企業が資金調達手段の際にIPOに頼るケースが少なくなったこと、一部のシリコンバレーのエリートがIPOで通常起こるディスカウントに幻滅していることが理由だ。ディスカウントにより企業は数千万ドル(数十億円)、場合によっては数億ドル(数百億円)を取り損なう。

Coinbaseは直接上場を考える会社の典型的な例だと思われる。未公開企業としてこれまで5億ドル(約530億円)以上を調達し、資金が豊富でバリュエーションも非常に高い。Crunchbaseのデータによると、Coinbaseが直近で3億ドル(約320億円)を調達した際のバリュエーションは80億ドル(約8550億円)だった。高いバリュエーションと潤沢な手元資金は、以前直接上場したSlack(未訳記事)とSpotifyにも共通する。

ほとんどの企業はいまだにIPOで公開市場を目指す。この数週間のAccolade(未訳記事)やVroom(未訳記事)などで見られた伝統的なデビューだ。TechCrunchは米国時間7月8日、さらに2つのIPO(未訳記事)、GoHealth(ゴーヘルス)とnCino(エヌシーノ)の株価の初期的レンジ(仮条件)について採り上げた(未訳記事)。両社はいずれも直接上場モデルを避け、未公開市場からのイグジットで資金調達を選好した。

結果

現在のCoinbaseの規模ははっきりしない。同社の過去の財務数値はベールに包まれており(未公開企業では通常のこと)、(漏れてくる情報による規模は)少し不揃いだ。メディアの報道によると、2017年の売上高は仮想通貨ブームに乗り約10億ドル(約1070億円)に達した(Vox記事)。2018年の正確な実績は明らかではないが、メディアの報道によるともう少し小さい規模であることがうかがえる(THE BLOCK記事)。

Coinbaseが直接上場か従来のIPOのいずれを選択するかに関係なく、S-1(上場前に米証券取引委員会に提出する書類)を見ることはできる。S-1は同社の過去の財務実績に関して詳細な情報を提供する。同社が数々の仮想通貨のブームとその崩壊をどう乗り切ってきたのかもわかる。

史上最高水準の株式市場と、過去の常識的な水準をはるかに上回るハイテク株の株価をみて、非常に評価の高い一部のユニコーンが株式市場でのデビューに向け準備していることは驚くにあたらない。果たして何社がやってのけるのか見物だ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

今週の記事ランキング(2020.7.5〜7.8)

カラーコスメティクスOEMのトキワが「ビューティーアクセラレータープログラム」参加スタートアップを募集

トキワ ビューティーアクセラレータープログラム

カラーコスメティクス受託製造のトキワは7月8日、ビューティ分野に関わるスタートアップ企業を対象に、業界初の試みとして「ビューティーアクセラレータープログラム」の7⽉15日開始を発表した。最⼤⽀援規模3000万円としている。

同プログラムは、イノベーションを重点においた「ビューティーケア」アクセラレータープログラム。プレシード、シード、アーリーステージを問わず、さらにD2Cを含むビューティケアメーカー・サービス事業者や流通業まで幅広いスタートアップ企業が対象となっている。また一般的なプログラムとは異なり、VC的な要素は持たずに創出したい製品を世の中に生み出す支援を行うことで、継続的な相互の事業発展が可能なパートナーを募集している。

  • テーマ: ∞ infinity
  • 応募テーマ:
    ・よりヒトを輝かせることができる機能と、人体/環境への配慮を両立できる製品開発のコンビネーション
    ・ダイバーシティ&インクルージョン(多様性への理解とサポート)を推進できる製品・サービス
    ・より人々を笑顔にできる幸せを提供できる製品・サービス
    ・次世代に誇れる社会貢献と持続的な商業活動を両立できる製品・サービスの提供
  • 募集期間: 7月15日~9月14日
  • 応募条件: 事業開始準備期から事業開始直後のビューティーケア関連事業のアイデアを有する者
  • 対象: D2Cを含むビューティケアメーカー、サービス事業者や流通業などのスタートアップ企業(プレシード、シード、アーリーステージ)

トキワ ビューティーアクセラレータープログラム

トキワによると、同プロジェクト対象のスタートアップ企業にとって、カラーコスメティクスの商品販売は非常に難易度が高く、世界各国の多様な顧客のニーズに合わせた商品の提供には多色化対応力を確保する必要があるという。またそのため、開発から製造、物流にかかる費用負担も多くなる。

デジタルマーケティングに強みを持ち、D2Cで販路を確保できるとしても、スキンケアのようなリピート性が低いために売り上げ予測は立ちにくく、研究開発、在庫管理のノウハウが強く求められるという。

そこで、カラーコスメに強みを持つトキワがパートナーとして協業。⻑年培ってきたノウハウを元に研究開発から製造・販路開拓までを⼀気通貫でサポートすることで、課題解決のスピードが早まり、ブランドの成⻑を維持できるとしている。

市場潜在価値が高く、実現可能だと判断されるプランに対して、以下のリソースを提供する。

トキワ ビューティーアクセラレータープログラム

  • 数多くのメジャーブランドの商品化に携わってきた50年以上の経験・信頼をベースに、処⽅・容器開発・製造のノウハウはじめ、安全性や品質確認や薬事関連法への対処についてサポート
  • 最⼤3組まで、原材料・容器・実⽣産コストすべてを無償でサポート(上限1万個)することで、1000万円以上のキャッシュフローを創出。事業開始時のリスク軽減、資⾦調達時の信⽤改善に貢献
  • ⼤⼿EC通販サイトなどとのコラボレーションにより、認知拡⼤、流通販路をサポート

トキワは1948年の創業以来、「世界中に美と感動と喜びをお届けする」ことを使命とし、日本のみならず海外の大手ビューティブランドのカラーコスメ受託製造を中核として事業を展開。カラーコスメティクス受託製造では国内シェア25%以上を占め業界1位を誇る。世界9ヵ所に工場を所有し、プレステージからマスブランドまで幅広く世界中のメジャーメイクアップブランドに商品供給を行っている。

2019年、カーライルとの戦略的業務資本提携により第2創業を迎え、さらなる成長基盤を育成するため、TOKIWA Labを設立。

また、中核事業の既存受託製造により持続的な成長を達成しつつ、5~10年後の成長基盤の強化を図るため新規事業へのアプローチとして同プログラムを開始。最終的には、従来通りの⽣産を請け負うだけでなく、⾃社に蓄積されたノウハウを共有し、新興ブランドやスタートアップ企業と共に成長しながら新たな価値を創出し、⽶国やアジアにおいても展開を広げていく予定としている。

「ITアーキテクチャ向けGoogleマップ」開発のSaaS企業LeanIXが86億円を調達

ドイツのボンを拠点とするエンタープライズアーキテクチャソフトウェア企業のLeanIXが、シリーズDで8000万ドル(約86億円)の資金を調達した。このラウンドは、新しい投資家としてGoldman Sachs Growthが主導した。以前の投資家であるInsight PartnersとDTCPも参加している。

シリーズDによって、LeanIXの調達資金総額は1億2000万ドル(約129億円)を超える。同社は、今回の資金を利用して、国際的な成長を継続し、クラウドガバナンスのための補完的なソリューションをさらに開発すると述べている。過去12か月間に、LeanIXは、ハイデラバード(インド)、ミュンヘン(ドイツ)、ユトレヒト(オランダ)に新しいオフィスを開設し、現在世界中に230人の従業員を抱えている(私たちが最後に同社を取り上げたときは80人だった)。

2012年創業のLeanIXは、エンタープライズアーキテクチャスペースで活動しており、そのSaaSは「ITアーキテクチャ向けGoogleマップ」と呼ぶのがふさわしいかもしれない。企業はこのソフトウェアを使用することで、組織で運営されているレガシーソフトウェアから最新のSaaSに至るまでのすべてを網羅することができる。その中には、異なるアーキテクチャがどのように組み合わされているかといった情報はもちろん、ソフトウェアがどの業務プロセスに利用されているのか、どの業務プロセスに適用可能なのか、どんな技術が使われているのか、どのチームが利用している、あるいはアクセス権をもっているのかといったメタデータの作成も含まれている。

つまり、企業が異なるベンダーから買い入れたすべてのソフトウェアを、分散したチーム間でどのように異なっているか、またはどうすればより適切に利用できるかなども含めて、より良く扱えるようにするだけでなく、新しいソリューションを採用したり、これまでのシステムを破棄する際に、より機敏に行動できるようにするということだ。

「多くの有名企業が、LeanIX使うことで、エンタープライズアーキテクチャ(EA)活動の再開に成功しています」と語るのはLeanIXのCEOで共同創業者であるAndré Christ(アンドレ・クライスト)氏だ。「LeanIXの高いユーザビリティと他のデータソースとのシームレスな統合によって、Atlassian(アトラシアン)、Dropbox(ドロップボックス)、Mimecast(マインキャスト)などの急成長しているビジネスも、EAの実践を開始しました」。

画像クレジット:LeanIX

この結果、「LeanIXは現在、300の海外顧客と協力しており、2019年の売上は100%増となった」という。具体的には、総売上の39%は米国市場で、57%はホームグラウンドであるヨーロッパ市場で発生している。

Goldman Sachs GrowthのマネージングディレクターであるChristian Resch(クリスチャン・レッシュ)氏は、次のようにコメントしている。「LeanIXはエンタープライズアーキテクチャー界のソートリーダーです。その力強い売上の増加や、顧客からの高い評価、そして「LeanIXは、ITアプリケーション環境の複雑さを軽減するためのソフトウェアソリューションを開発する」という、ビジョナリーとしてのコンセプトに、私たちは感心しています。大事なことですが、LeanIXのソフトウェアは、クラウドと最新のマイクロサービスアーキテクチャの両方に対する、移行とメンテナンスを企業に対して提供するのです」。

Goldman Sachs GrowthのバイスプレジデントであるAlexander Lippert(アレクサンダー・リッペルト)氏がLeanIXの取締役会に参加する予定だ。

画像クレジット: LeanIX

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(翻訳:sako)

社会人アマチュアeスポーツリーグ「AFTER 6 LEAGUE」設立、参加企業を8月募集

凸版印刷 サイバー・コミュニケーションズ AFTER 6 LEAGUE

凸版印刷とサイバー・コミュニケーションズ(CCI)は、社会人アマチュアeスポーツプレイヤー対象のリーグ「AFTER 6 LEAGUE」設立を発表した。2020年8月から参画企業を募集し、10月から運営を開始する。またAFTER 6 LEAGUEは一般社団法人日本eスポーツ連合と一般社団法人東京ヴェルディクラブ後援の元、運営される。

AFTER 6 LEAGUEは、企業によるeスポーツ活動の活性化、eスポーツをきっかけとした企業間交流の機会創出の実現を目的とするリーグ。「たたかう、つながる」をコンセプトに、eスポーツを通じ従来接点がなかった企業同士がぶつかり合い・闘うことで生まれる絆や、つながりの創出を支援するという。

凸版印刷 サイバー・コミュニケーションズ AFTER 6 LEAGUE

リーグ戦を実施するゲームタイトルは個人戦ではなく、チーム戦・団体戦のタイトルを採用することで、企業チーム内外の交流を促進。ライアットゲームズの人気オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」からリーグを順次開催する。

また2020年度内に登録企業数50社、年間約200試合、登録ゲームタイトル数6本を目指して活動を実施。国内におけるeスポーツ振興を目的とした普及・浸透活動を推進し、社会人スポーツのひとつの選択肢として、eスポーツが根付くことを目指す。

さらに、企業がeスポーツ活動を行う上で課題となっている練習環境の整備を同リーグが支援。練習場所として、ディスクシティエンタテインメントが展開するマンガ喫茶・インターネットカフェ「DiCE」を登録企業に提供。企業のeスポーツ活動の活性化をサポートする。

凸版印刷とCCIは、2019年から企業向けeスポーツイベント「eSPORTS TRINITY」を共同開催。ビジネスセミナーや企業交流会を実施し、130社を超える企業が集まったという。同イベント内では企業対抗戦も開催し、eスポーツを通じた参加企業同士のコミュニティ形成を図ってきた。

凸版印刷とCCIはこれら運営で得た知見を活かし、社会人アマチュアeスポーツリーグAFTER 6 LEAGUEを設立。eスポーツの活性化のみならず、企業間交流の機会創出を実現するという。さらに、オンラインでも実施可能なeスポーツの特性を活かし、アフターコロナ時代の「新しい生活様式」における、社会人アマチュアeスポーツプレイヤー同士の「競争」と「絆」の創出を支援する。

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骨伝導技術のBoCoが世界初の完全ワイヤレス骨伝導イヤホン「PEACE TW-1」を発売

BoCo 骨伝導イヤホン earsopen PEACE TW-1

骨伝導技術活用のデバイスメーカーBoCoが7月8日、骨伝導イヤホン「earsopen」シリーズ最新機種として、世界初の完全ワイヤレスモデル「PEACE TW-1」を発表した。Bluetooth 5.0対応で、連続使用時間は約5時間。公式ストアでの直販価格は税別1万9800円で、発売日は7月30日予定。

BoCo 骨伝導イヤホン earsopen PEACE TW-1

骨伝導イヤホンは、鼓膜ではなく骨を振動させて音を伝えるイヤホン。PEACE TW-1は、同社「earsopen」最新モデルにあたる、左右が独立した完全ワイヤレスタイプ。従来難しいとされていた骨伝導イヤホンでのバッテリーと制御回路基板の小型化を実現した。

また骨伝導デバイスの最適な装着角度により、同社従来製品と比較して約50%音漏れを低減。改良を重ねた世界最小クラスの骨伝導デバイスにより、4Hz~40KHzの振動帯域はそのままに、低域と高域のパワーを強化し、骨伝導では類を見ないワイドレンジ化に成功したという。

本体素材には、特殊素材エラストマーを使用し、優れた装着性と高い耐久性を実現。耳を挟み込むイヤカフ構造によりフィット感を高め落下しにくい形状を採用したほか、サイズ36×27×15mm、重量約18g(片耳約9g)のため長時間装着していても疲れにくいという。

テレワークやオンライン会議中でも、インターホンや家族の呼びかけなど周囲の音や声を聞くことが可能。またボリューム調整、曲送り曲戻しなどの操作がイヤホン上で行え、急な電話でもボタンひとつで対応できる。

BoCo 骨伝導イヤホン earsopen PEACE TW-1

IPX7等級の防水性能で汗や雨にも強く、ランニングにも利用しやすい。音楽を楽しみながら接近する車などに気付きやすいという。

BoCo 骨伝導イヤホン earsopen PEACE TW-1

  • 製品名: PEACE TW-1
  • サイズ(本体): 36×27×15mm
  • サイズ(クレードル): 70×42×36mm
  • 重量(本体): 約18g(片耳約9g)
  • 重量(クレードル): 約43g
  • 連続再生時間: 約5時間(クレードル併用で最大約12時間)
  • 充電時間(本体/クレードル): 約1.5時間/約2.0時間
  • 給電規格: USB Type-C
  • 骨伝導デバイス周波数特性: 4Hz〜40,000Hz
  • Bluetoothバージョン: Bluetooth 5.1
  • プロファイル/Codec: A2DP、AVRCP、HSP、HFP、SPP/SBC

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経済の不確実性にも関わらず7月6日にハイテク株が新記録更新

新型コロナウイルス(COVID-19)の記録的な感染拡大にも関わらず、米国時間7月6日の米国株は上昇した。すべての主要な指数が取引時間中に上昇し、その中でもハイテク株はさらに良かった。

ナスダック総合株価指数は6日に過去最高値を記録し、10462.0に達した後10433.65で取引を終了し同日2.21%上昇した。同様にテクノロジーの比重が大きいSaaS・クラウド企業バスケットは乱高下し、一時は1952.39に達したものの、午後は1908.30で終了した。こちらも過去最高値だった。

これがハイテク企業の健康状態に関するウォール街の雰囲気だ。強気心理がハイテク株を押し上げていることは容易に想像できる。本日垣間見えた熱狂をいくつか例に取って描いてみよう。

  • Yahooファイナンスによると、最近IPOしたLemonade(未訳記事)の時価総額は現在47億ドル(約5100億円)だ。この株価と年換算した第1四半期の売上高に基づくマルチプルは約45倍となる。SaaS企業としてはぎょっとする数字だ。ただし、以前書いたようにLemonadeの粗利益はSaaS企業らしくないところがあり(未訳記事)、解約率も高い。同社の株価は明確な理由もなく今日約17%上昇した。
  • テスラの株価は今日13%以上上昇し1371.58ドルとなった。同社の時価総額は2500億ドル(約26兆9000億円)を超え、(株価と時価総額という)2つの面で大きく躍進した日となった。Yahooファイナンスによればアナリストによる直近四半期の売上高予想は48億3000万ドル(約5200億円)だ。これは2019年4-6月四半期に計上した売上高63億5000万ドル(約6800億円)を下回った(Teslaリリース)。2019年7月1日以降、テスラの株価は450%を超える上昇をみせたが、市場は同社の売上高は減少すると予測している。
  • Amazon(アマゾン)とNetflix(ネットフリックス)もまた、今日新記録を樹立した会社として名を連ねた。

SaaS株が記録的なバリュエーションマルチプルで取引されていることや、一方でさまざまな会社が実際に十分長い期間にわたって合理的に評価されていることの理由がわからなければ、すっきりとした気持ちにはなれない。

これが合理的な投資家の考えることだと思われている。だが断っておきたいのは、そういう思考は筆者が株式市場で見せつけられてきたものとまったく整合しない。つまりそれは、ひどく短期思考で、長期的な価値創造などはたわ言だ。上場はゴミだと筆者はいわれたことがある。求められるのは3カ月ごとの報告で、数年先など誰も見ていないと。

さて、筆者はおおむね同じ人達から、足下の市場の振る舞いがこれまでとは異なるといわれている。つまり現在、市場を動かしているのは直近の実績ではなく将来の業績予想だというのだ。正直どちらでも構わないが、どちらの話が正しいのかが知りたい。

幸いなことに我々は、こうしたすべてのハイファイブと熱狂が本物がどうかをもうすぐ目の当たりにする。

決算報告のシーズンが到来し、多少は明らかになることがあるはずだ。デジタルトランスフォーメーションが十分に進み(未訳記事)、ハイテク企業のほとんどが短期的に価値を大幅に高めることができた場合、彼らに対しては脱帽であり、同様の売上高増加から恩恵を受けるはずのスタートアップにとっては意地悪な結果になる。

だがそうなるとは限らない。1カ月前にSlack(スラック)が学んだように、決算の内容によっては投資家がハイテク株の投げ売りに走る可能性もある。

これらすべての背景にあるのは、現在の米国経済の健全性について疑問を抱くのに十分な理由があるということだ。確かにほとんどの人は株式市場と国内の景気が完全に連動しているわけではない(少なくとも部分的には真実だ)と進んで認めるはずだ。しかし、毎日株式市場は上昇する一方で、新型コロナウイルスの感染が再び拡大して再び全国で活動が閉鎖されれば、これがすべて真実なのか疑問に思うはずだ。

決算シーズンはもうすぐだ。確認してみよう。

画像クレジット:Andrew Brookes / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Magic Leapの新CEOに前マイクロソフト副社長のペギー・ジョンソン氏

Magic Leap(マジック・リープ)は、Microsoft(マイクロソフト)の前事業開発担当上級副社長であるPeggy Johnson(ペギー・ジョンソン)氏が新CEOに指名されたと声明で明らかにした。

2020年8月1日付でMagic LeapのCEOに就任するジョンソン氏はテック業界で30年のキャリアを持つ。

Magic Leapにとって2020年は何かと騒がしい年となっている。資金難で倒産に直面し、4月に従業員の大半を解雇した。そして社を何とか存続させるために救済投資家を探し回った。The New York Timesによるとフロリダ拠点のParadiseがMagic Leapが必要とする3億7500万ドル(約400億円)の資金を確保したが、Rony Abovitz(ロニー・アボビッツ)氏のCEO退任が条件だった。

資金調達で10億ドル(約1080億円)超をかき集めた空間コンピューティングの未来に対するビジョンを有していたアボビッツ氏は、約束した通りにプロダクトをリリースすることができなかった誇大宣伝の人物だった。

Magic Leapが今回得たジョンソン氏は、2014年にマイクロソフトのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏がQualcomm(クアルコム)から幹部として引き抜いた人物だ。マイクロソフトで同氏は事業開発を担当し、同社の数多くの買収や提携を手がけた。ここには262億ドル(約2兆8000億円)のLinkedIn買収も含まれる。58才の同氏はまた、マイクロソフトのベンチャーキャピタルファンド(M12として知られる)も立ち上げた。

ジョンソン氏は、フォーカスを消費者から法人へと移したMagic Leapを引き継ぐ。この戦略は、マイクロソフトの拡張現実プロダクトであるHoloLensと、ウェアラブルテックの先駆者Google Glassが取ったアプローチと同じだ。

「2011年の創業以来、Magic Leapは空間コンピューティング分野のパイニアであり続けた。この優れたチームの絶え間ない努力と成し遂げたものに私は感心し続けてきた。Magic Leapのテック面の基礎は申し分のないものであり、XRとコンピューティングの未来を形作る可能性を持つことは明らかだ」とジョンソン氏は述べた。

マイクロソフトに移る前、ジョンソン氏はQualcommに24年間在籍した。そこではさまざまな重役を担い、執行役員会のメンバーでもあった。

「コンピューティングの次代への変遷におけるリーダー企業として、我々は幸いにもCEO職に関心を示した極めて優秀な候補者を数多く持てた。しかし、ペギーが挙手するやいなや、彼女がMagic Leapを未来へと率いるのに最適の人物であることに私そして役員会も疑問はまったくなかった」とアボビッツ氏は声明で述べた。「Magic Leapが空間コンピューティングを企業向けに商業化するとき、このミッションを前に進めるのにペギー・ジョンソン氏以外に最適の人物は思い浮かばない」。

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(翻訳:Mizoguchi