垂直農業ネットワークの構築継続に向けInfarmが株式と負債で170億円超を調達、日本の紀ノ国屋でも買える

生鮮食品をより消費者に近づけるため、都市部の農場のネットワークを構築している垂直農業企業のInfarm(インファーム)は、シリーズCのファーストクローズで新たに1億7000万ドル(約177億円)の資金調達した。

このラウンドは株式と負債を合わせて2億ドル(約210億円)に達する見込みで、LGT Lightstoneがリードし、Hanaco、Bonnier、Haniel、Latitudeが参加した。Infarmの既存投資家であるAtomico、TriplePoint Capital、Mons Capital、Astanor Venturesもこれに続いた。これにより、同社のこれまでの資金調達総額は3億ドル(約315億円)以上になった。

これは、過去12カ月間の小売店との提携のスピードの速さを物語っていると考えられる。オランダのAlbert Heijn、ドイツのAldi Süd、デンマークのCOOP/Irma、カナダのEmpire CompanyのSobeysやThrifty Foods、日本の紀ノ国屋、米国のSafeway、Kroger、英国のMarks & SpencerやSelfridgesなどが含まれる。

世界10カ国30都市で事業を展開するInfarmは、現在、毎月50万本以上の作物を収穫しており、従来の農業やサプライチェーンよりもはるかに持続可能な方法で収穫しているという。

モジュール式でIoTを搭載した垂直農法ユニットは、土壌ベースの農業よりも使用するスペースが99.5%少なく、水の使用量も95%少なく、輸送量も90%少なく、化学農薬もゼロであると主張している。また、Infarmのネットワーク全体で使用する電力の90%は再生可能エネルギーを使用しており、同社は来年にはゼロエミッションの食品生産を達成する目標を掲げている。

2013年にOsnat Michaeli(オスナット・ミカエリ)氏と兄弟のErez(エレツ)とGuy(ガイ)の Galonska(ガロンスカ)兄弟によって設立されたInfarmの「屋内垂直農業」システムは、ハーブやレタスなどの野菜を栽培することができる。このモジュラー農園を、食料品店、レストラン、ショッピングモール、学校など、顧客に面したさまざまな場所に設置することで、最終顧客が実際に自分で野菜を収穫できるようにしている。さらに規模を拡大するために、地元の流通センターにもInfarmsを設置している。

この分散型システムは拡張性が高く、スペースが許す限りモジュールを追加できる。全体がクラウドベースになっているため、農場をInfarmの中央制御センターから監視・制御することができる。また、IoT、ビッグデータ、クラウド分析を組み合わせた「Farming-as-a-Service」のような信じられないほどのデータ駆動型でもある。

創業チームは、2017年にこのスタートアップを取材した際に「より新鮮でおいしい農産物を生産し、忘れ去られた品種や希少品種を再導入するだけではなく、効率が悪く、多くの無駄を生み出しているサプライチェーン全体を破壊することだ」と語った。

当時ミカエリ氏は「私たちの農場の背後には、精密農業のための堅牢なハードウェアとソフトウェアのプラットフォームがあります」と説明する。「各農園のユニットはそれぞれ個別の生態系であり、植物が繁栄するために必要な環境を正確に作り出しています。私たちは、光のスペクトル、温度、pH、栄養素を調整した栽培方法を開発することができ、味、色、栄養の質の面で、それぞれの植物が最大限に自然に表現されるようにしています」とのことだった。

今回はドイツ・ベルリンに本社を置くInfarmの創業者の2人に話を聞き、最新情報を入手して今後の規模拡大の方法について少し掘り下げてみた。

TechCrunch:興味深いことに、初期の段階ではどのような想定をしていたのでしょうか?

オスナット・ミカエリ氏:4年ほど前に初めて話をしたときは、ベルリンに40人ほどいたのですが、会話の中心は都市型垂直農業へのアプローチが小売業者にもたらす可能性についてでした。多くの人にとってはコンセプトとして興味をそそられるものでしたが、数年後には、世界最大級の小売業者との提携により、10カ国(日本は現在進行中)、30の都市にまで拡大しているとは想像もできませんでした。当時の私たちの想定では、小売業者とその顧客は、目の前の農産物コーナーや農場で育った農産物の味と新鮮さに魅了されるだろうと考えていました。

私たちが予想していなかったのは、気候変動とサプライチェーンの脆弱性が私たちの生活、選択、そして食に与える影響を社会が感じ始める中で、持続可能で透明性のあるモジュール式の農業へのアプローチに対する需要がどれだけ、そしてどれだけ早く高まるかということでした。

もちろん私たちは、新型コロナウイルスの世界的な感染蔓延を予想していたわけではありませんでしたが、このことは、私たちの地球の再生と回復を支援しながら、高品質で驚くほどおいしい食べ物へのアクセスを民主化できる新しいフードシステムを構築することの緊急性を加速させました。この数カ月で、私たちの農業モデルの柔軟性と回復力が確認され、私たちの使命がこれまで以上に関連性の高いものであることがわかりました。

TechCrunch:新規の小売店との契約に関しては、この12カ月間の進捗状況を見る限り、簡単になってきていると思いますが、リードタイムがまだ長いのは間違いありません。あなたが始めた頃と比べて、これらの会話はどのように変わりましたか?

エレツ・ガロンスカ氏:リードタイムや会話のスピードは地域や小売業者によって異なります。コンセプトがよく知られていて、我々がすでに関与している成熟した市場では、ディールの会話は3カ月という短い期間で契約することができます。前回お話をさせていただいた時から、ヨーロッパ、英国、北米の大手小売業者のほとんどとはすでにお付き合いをしています。

それぞれの市場で、消費者を中心としたイノベーションの需要を満たすために急速に進化している小売業界の先駆者であるブランドは、Infarmによって持続可能で高品質、新鮮で生き生きとした農産物へのアクセスが可能であるだけでなく、本日、そして1年を通して毎日のように農産物の通路で入手可能であることを証明しています。

TechCrunch:私が興味を持っているのは、Infarmがどこに設置されているのかという点です。大部分が店頭や消費者に近い場所に設置されているのか。それとも、Infarmの最もスケーラブルで大部分のユースケースである、都市に近いものの人口や店舗密度の高い場所から離れていないが、実際には店頭には設置されていないより大規模な流通ハブなのかという点です。現在の比率はどのようになっているのか、また垂直農業が成長していく中でどのように発展していくと考えているのか、教えてください。

エレツ・ガロンスカ氏:現在、私たちの市場では、店舗にある農場と流通センターにある農場の比率はほぼ半々です。しかし、皆さんが予想しているように、私たちは今年、より多くの流通拠点でネットワークを拡大していきます。この拡大により、早ければ来年には80:20の割合になる可能性が高く、大部分の地域では、中心部に位置するハブから1週間を通して新鮮な生鮮食品が配達されるようになります。これにより、小売店やレストランには生産量の柔軟性がもたらされ、さまざまな規模のフロアエリアに合わせて提供できるだけでなく、現在開発中の次世代農園から地域全体への提供を開始することも可能になります。

これらの農場は当社のハブを拠点とし、25平方mのフットプリントで1エーカー(約4000平方m)以上の生鮮食品を生産し、エネルギー、水、労働力、土地利用を大幅に節約することができます。この技術は、持続可能な垂直農法で何が可能なのかというアイデアに真に挑戦するものだと信じています。

TechCrunch:最後に棚に並んでいる食品について、主な製品ラインを教えてください。

オスナット・ミカエリ氏:65種類以上のハーブ、マイクログリーン、葉菜類のカタログがあり、常に増え続けています。コリアンダー、バジル、ミントなどの一般的に知られている品種から、ペルーのミント、レッド・ヴァインズ・ソレル、ワサビ・ルッコラなどの特殊な製品まで、私たちが提供するものは多岐にわたります。

当社の農場では、植物の成長過程のすべての部分を管理し、さまざまな生態系の複雑さを模倣することができるため、近い将来Infarmが消費者に提供する農産物の多様性を、根菜類、キノコ類、花卉(かき)類、さらには世界中のスーパーフードにまで拡大することができるようになるでしょう。現在のInfarmは、まだ始まりに過ぎません。

画像クレジット:Infarm

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(翻訳:TechCrunch Japan)

代替肉のBeyond Meatがパック入りミートボールを全米で発売

米国の食品会社は誰も必要とはしていないが、誰もが欲しがるかもしれないマーケティングイノベーションがお気に入りだ。代替肉のBeyond Meatもそれを楽しんでいるようで、その同社が今週、全米の食料品店で「Beyondミートボール」を発売する。

同社の発表によると、この製品はブレンドしたイタリアンスパイスで風味付けされていて、チーズをかけたスパゲティにトッピングできるという。

このミートボールは、本物の肉に比べると飽和脂肪酸とナトリウムが30%少ない。Whole Foods、Stop & Shop、Sprouts, Harris Teeter、Kroger、Albertsonsで購入でき、10月前半にはさらに多くの店舗で販売すると発表されている。

えんどう豆由来タンパク質などで作られたこの代替肉ミートボールの希望小売価格は、12個入りで6.99ドル(約740円)だ。

Beyond Meatには「クックアウト・クラシック」ブランドとして朝食用ソーセージとバーガーのラインナップがすでにある。新製品のミートボールは、同社の製品を置いている全米2万6000の店舗でさらに売場を獲得するためのものだ。

Beyond Meatの最高マーケティング責任者であるStuart Kronauge(スチュアート・クロナージ)氏は「遺伝子組み換え生物や合成成分を含まない、おいしくて栄養豊富な植物性の肉に対する消費者の需要が高まる中で、Beyondミートボールを発売することを楽しみにしている。我々の最新のイノベーションを全米の小売店で販売でき、たいへん嬉しい。我が社のファンは、Beyondミートボールの素晴らしい味と便利さに喜ぶだろう」と語る。

マーケティングキャンペーンの一環として、9月16日にニューヨークとロサンゼルスのBeyondミートボールポップアップショップで、ミートボールスパゲティまたはミートボールヒーローサンドイッチを無料で提供する。

Beyondミートボールを食べたい人は、在庫があるうちにレストラン予約サイト「Resy」のThe Beyond Meatball ShopのLAまたはNYCのページで受け取り時刻を予約する必要がある。

関連記事:Beyond Meatの代替肉バーガーが中国アリババのスーパーに登場

カテゴリー:フードテック

タグ:Beyond Meat

画像クレジット:Beyond Meat

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(翻訳:Kaori Koyama)

パスタ調理ロボを開発するドイツ拠点のDaVinci Kitchen、モジュール式でサラダやアジア料理の調理も可能に

ロボット産業は、新型コロナウイルスの感染蔓延の不確実性の中で大きな瞬間を迎えている。確かにこのカテゴリーは数年前から投資の注目ターゲットになっているが、労働問題と伝染に関する懸念により、多くの業種が業務の自動化をじっくりと検討するようになっている。

中でも食事の準備は主要なターゲットになる。これは人間にとって必要不可欠なサービスである一方で、人間の手が食品に直接触れるサービスでもある。ドイツのライプツィヒに拠点を置くDaVinci Kitchen(ダヴィンチ・キッチン)は、イタリアをテーマにしたパスタ料理を調理するモジュール式ロボットキオスクの発売で、この食事の準備をめぐる問題に取り組もうとしている。

2018年、ドイツ拠点のインキュベーターである2b AHEAD Venturesは、食品調理業界の労働力不足をめぐる懸念に対処するため、後のDaVinciになるチームを集めた。

DaVinci KitchenでCTOを務めるIbrahim Elfaramawy(イブラヒム・エルファラマウィ)氏はDisrupt Battlefieldに参加する前の電話で「ケータリング業界は巨大だ」とTechCrunchに語った。「誰もが食事をしなければなりません。私たちのクライアントは、有能な人材を見つけるのに苦労しているのを目の当たりにしています。仕事の環境は厳しくなっているが、残念ながら給料は上がっていません。多くのレストランオーナーは、能力と品質を高めるためのソリューションを探しています。ロボットは24時間365日働くことができます。これは私たちが見ているチャンスであり、多くのクライアントはそれに興奮しています」と続けた。

ロボットの最初の処理内容はパスタに焦点を当てる。エルファラマウィ氏によると、この機械はパスタを作成・調理・提供するまでのすべてを約6分で行うという。2つの料理を同時に調理することもでき、約20~30秒で食器を洗うことも可能だ。

このシステムはモジュール式なので、サラダを含むほかの食材を準備したり、パスタのテーマに合わせてイタリアンをアジア料理に置き換えることもできる。

これまでのところ、DaVinci Kitchenはシードラウンドで約78万ドル(約8200万円)を調達している。出資元は、2b AHEADとライネ(ノルトライン=ヴェストファーレン州ミュンスター行政管区に属するシュタインフルト郡の市)を拠点とする冷凍食品会社のApetito(アペティオ)。同社はまた、170万ドル(約1億8000万円)を目標としたシリーズAラウンドの資金調達中だ。同社の最初のキオスクは、新型コロナウイルスの感染蔓延が同社のサプライチェーンに与える影響に応じて、2020年後半または2021年前半に納入される予定となっている。初期納入には10台が含まれる見込みだ。

同社は、レストランやフードコートをターゲットにしており、ロボットは購入またはリースすることができる。

画像クレジット:DaVinci Kitchen

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(翻訳:TechCrunch Japan)

インドでフードデリバリー事業を展開するZomatoが100億円超を調達しIPOに向けて準備

インドのフードデリバリースタートアップであるZomato(ゾマト)は、米国のVCであるTiger Globalから1億ドル(約106億円))を調達し、次の段階であるIPOに向けて準備を進めている。

規制当局のファイリングによると同社は、Tiger Globalが設立した「Internet Fund VI」を通じて資金を調達したという。Zomatoの主要投資家であるInfo Edgeは、米国時間9月10日の夜にこの資金調達を認め、新たなラウンドではZomatoの調達後の評価額が33億ドル(約3500億円)になったと付け加えた。

Zomatoの共同創業者で最高経営責任者のDeepinder Goyal(ディープンダー・ゴヤル)氏は、本日従業員に宛てたメールの中で「Zomatoは銀行に約2億5000万ドル(約265億円)の現金を保有しており、さらに数人の『大物』投資家が今回のラウンドに参加し、現金準備金を「すぐに」約6億ドル(約637億円)に増やす予定」と言及した。

「重要なことですが、これらの資金をどのように使うかについては、すぐには計画していません。我々はこの現金を将来のM&Aのための『軍資金』、そして我々のビジネスのさまざまな分野での競争相手からの挑戦や価格競争を立ち向かうために使う予定です」とTechCrunchへのメールの中で付け加えた。

今年初めにインドでのUberのフードデリバリー事業を買収したZomatoは、同国ではProsus Venturesの支援を受けたSwiggy(スウィギー)と競合している。第3のプレイヤーであるAmazon(アマゾン)も市場に参入しているが、現在はバンガロールの厳選された郊外のみでフードデリバリーを提供している。

ゴヤル氏は従業員に「創業12年になるスタートアップであるZomatoは『来年前半のどこか』でのIPOに向けて動いている」と語った。Zomatoがどのようにしてこの目標を達成するかは不明だが、おそらく米国や他の市場での上場を視野に入れているだろう。現在のインドの法律では、スタートアップはインドで上場する前に少なくとも3年間は利益を上げていなければならない。なお現在、この要件を緩和するという動きもある。

Zomatoの新たな公約は、ここ数四半期の事業が大幅に経済的に改善した結果だ。Zomatoは昨年半ばまで、激しい割引を提供することで顧客を獲得し、それを維持するために月5000万ドル(約53億円)以上の損失(未訳記事)を出していた。

首都デリーの南西部のグルグラム(グルガオン)に本社を置くこの会社は、新型コロナウイルスがオンラインでフードを注文するインド人の食欲を台無しにしたため、Swiggyと同様にここ数カ月で何百人ものスタッフを解雇したが「7月にはその月の損失は100万ドル(1億600万円)以下になるだろう」と語っていた。

Zomatoはまた、新しい資本を調達するうえでの障害に直面した。1年前に資金調達ラウンドを開始したが、1カ月前の時点では5000万ドル(約53億円)しか確保できていなかった。同社は当初、今年1月に約6億ドル(約637億円)でこのラウンドを終えると予想していた。

ゴヤル氏は4月にTechCrunchの問い合わせに電子メールで回答した際、「遅れの原因は新型コロナウイルスの蔓延にあるとし、5月中旬までにはラウンドを終了すると予想していた」と述べていた。同氏は本日、Tiger Global、シンガポールの国家投資部門であるTemasek、Baillie Gifford、Ant Financialが現在のラウンドに参加していることを業員に明らかにした。

画像クレジット:Nasir Kachroo/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

お寿司で食べれる細胞培養サーモンの予約受付を限られたシェフに対してWildtypeが開始

培養サーモンのスタートアップであるWildtype(ワイルドタイプ)は、選ばれたシェフに対して予約注文の受付を始めた。

同社創設者の話では、商品化されるのはまだ5年も先の話だが、生食可能な寿司グレードのサーモンをメニューに加えたいと考える世界の選りすぐりのシェフをパートナーにしたいと考えている。

「今すぐ発売するわけではありません。次なる試行段階に入ったというニュースを発信しているのです」と、共同創設者のJustin Kolbeck(ジャスティン・コルベック)氏はいう。彼は米国の元外交官で、アフガニスタン駐在中にまず目にした食料安全保障の問題に対処したい(未訳記事)と、この会社を立ち上げた。

「寿司屋でみなさんが注文するのは巻物、握り、刺身です」と彼は話す。そのため、Wildtypeの製品は、寿司用に寿司職人が準備する柵の形でサーモンを提供することになる。「寿司職人は280グラムから400グラムほどのサクを魚から切り出します」とコルベック氏。「そこから少しずつ握り用に切り出し、残りは巻物に使います。私たちは最初の製品を、この3つすべてのフォームファクターに対応できる形にデザインしました」。

その工程は、単に細胞を培養するよりも難しい。コルベック氏ともう1人の共同創設者Arye Elfenbein(アリー・エルフェンベイン)氏によれば、同社は、天然サーモンの味と食感を再現するための、筋肉組織と脂肪の両方が成長できる足場材料構築技術を独自に開発したという。

「私たちは、細胞株を自社で開発しようとしています。足場材料を開発し、培養に必要な栄養素を開発し、細胞を成長させるための培養装置も開発しています」とコルベック氏は話す。

Wildtypeの寿司グレードの培養サーモン。画像クレジット:Arye Elfenbein/Wildtype

培養肉産業が、その可能性を最大限に引き出せるようになるには、各企業はサプライチェーンの中の1つの要素に特化したビジネスを進める必要があると、彼らは話す。

すでに、Future Fields(フューチャー・フィールズ)などは、培養食品サプライチェーンの特定の用例に集中するための資金を調達している。Wildtypeもその路線でいくと、エルフェンベイン氏はいう。

「私たちが作り上げたものには、組織化と成熟のための適正な信号を細胞に与える能力に特殊性があります」とエルフェンベイン氏。「これは、今私たちが取り組んでいるサーモンだけでなく、他の種にも適用できます。基本的に私たちは、場所ごとに細胞が脂肪を蓄えられるよう、つまり、線状になるように、場所ごとに適正な誘導が行える足場材料を作っているのです」。

すでにWildtypeは、栄養素の面で、そして利用者がより健康であるとの理由でサーモンを選ぶ根拠となるオメガ3脂肪酸の面で引けを取らない寿司グレードのサーモンの培養に成功している。

現在Wildtypeはサンフランシスコ、ポートランド、シアトルのレストランと協力関係にあるが、米国の他の地域でもシェフを探している。

コルベック氏は、今が同社の培養肉には最良の時期だと考えている。現在の消費者は、海産物のサプライチェーンが崩壊し、店ではより多くの人たちが食肉コーナーから海産物コーナーへ引き寄せられるようになっている現状に気づき始めているからだ。

魚の不正表示から陸上養魚、海洋養殖、環境劣化に関連する問題、さらには魚に含まれる化学物質の危険性などが影響し、魚を買い求める客たちは、自分が口にする魚の出所の情報に気を遣うようになってきた。

「このニュースは、私たちは産業としての寿司に賭けている、そしてそこで大きな波紋を起こす(洒落ですが)ということを伝えるものです」とコルベック氏は話していた。

関連記事:植物ベースの牛乳と肉の代替品を製造するチリのNotCoが約90億円を調達して米国に進出

カテゴリー:フードテック

タグ:Wildtype 細胞培養 食品

画像クレジット:Arye Elfenbein / Wildtype

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(翻訳:金井哲夫)

植物ベースの牛乳と肉の代替品を製造するチリのNotCoが約90億円を調達して米国に進出

植物ベースの牛乳と肉の代替品を製造するチリの食品技術企業であるNotCoは、同社の製品を米国市場に投入するために新たに8500万ドル(約90億円)の資金調達ラウンドが終了したことを明らかにした。

今回の発表は、同社が新たな資金を調達したというTechCrunchの以前の報道を裏付けるものだが、投資に詳しい情報筋によると、同社の評価額は約3億ドル(約318億円)で、TechCrunchが以前報じた2億5000万ドル(約265億円)ではないという。

今回の資金調達は、消費者向けのプライベートエクイティ会社であるL Catterton Partners、Twitterの共同創業者であるBiz StoneのFuture Positive投資会社、巨大ベンチャーキャピタルのGeneral Catalystなど、新規投資家からのものだという。既存投資家である、Kaszek Ventures、The Craftory、アマゾン創業者Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)の個人投資会社であるBezos Expeditions、Endeavor Catalyst、IndieBio、Humbolt Capital、Maya Capitalも今回のラウンドに参加した。

NotCoは、ハンバーガーの代替品であるNotBurgerとNotMeatのブランドで、チリのBurger King(バーガーキング)とPapa John’sのレストランで販売されているほか、植物性のNotIceCream、NotMayo、NotMilkなどの乳製品も提供している。

NotCoの最高経営責任者であるMatias Muchnick(マティアス・ムックニック)氏は、牛乳だけでも数十億ドル規模の市場であり、中南米と米国の両方で同社が優位に立てると考えている。事業を軌道に乗せることで、Perfect Dayのような資金豊富な競合企業と競合することになるだろう。Perfect Dayは今年初めに3億ドル(318億円)の資金を調達し、同社の牛乳代替品を使った製品を扱う消費者ブランド子会社としてUrgent Companyを立ち上げている。

Kaszek Venturesのマネージングパートナーを務めるNicolas Szekasy(ニコラ・セカシ)氏の長年の投資家にとって、NotCoのための新しい資金調達は、チリのサンティアゴの会社が世界最大の消費者市場のいくつかで競争するという同社の初期の信念に沿ったものだ。

「我々は初期の頃から積極的に、NotCoが食品技術の空間で世界をリードするプレーヤーになる可能性の強い信念を持ってサポートし続けています。この不確実な時代に、消費者は植物ベースの食品への興味を増幅させている」とセカシ氏は声明で述べている。「それと並行して、新型コロナウイルスの感染蔓延は、食肉生産が環境に有害で非効率的なだけでなく、そのサプライチェーンが脆弱であることを我々に気づかせてくれました。植物由来の製品が新しい標準の中でますます大きな割合を占めるようになってきている転換点を目の当たりにするのは喜ばしいことです」と続けた。

NotCoの国際的な拡大計画を支援するには、大規模な多国籍食品ブランドからの経験豊富な幹部のクラッチです。フラビアBuchmannは、コカコーラの元幹部は、同社のスプライトブランドを監督し、同社の新しい最高マーケティング責任者として選出されています。ダノンの元幹部であるルイス・シルバ氏とカトリエル・ジュリアーノ氏は、それぞれグローバル事業開発と研究開発の責任者に就任します。そしてホセMenendezはJeffriesの元銀行家およびTapadのエグゼクティブ、今NotCoの全体的な最高経営責任者である。

NotCoの国際展開計画を支援するために同社に加わるのは、大手多国籍食品ブランドの経験豊富な幹部たちだ。コカ・コーラの元幹部でSpriteブランドを監督していたFlavia Buchmann(フラビア・バックマン)氏が、同社の新しい最高マーケティング責任者に指名された。Danone(ダノン)の元幹部であるLuis Silva(ルイス・シルバ)氏とCatriel Giuliano(カトリエル・ジュリアーノ)氏は、それぞれグローバル事業開発と研究開発の責任者を務めている。また、Jose Menendez(ホセ・メネンデス)氏はニューヨークに本社を置く投資銀行であるJeffriesの元銀行員でクロスデバイスマッチング技術のTapadの幹部だったが、現在はNotCoのグローバル最高執行責任者(COO)だ。

NotCoが登場して以来、大量のベンチャーキャピタル資金が食品分野に流れ込んでおり、これらの取引の多くは新しいバイオ製造技術と食品科学が交差する分野で行われている。しかし、NotCoのフードテクノロジーに対する考え方はImpossible FoodsやPerfect Dayよりも、Beyond Meatに近い。NotCoは生物学的に加工された食品を作っているのではなく、既存の食品を分類し、どの植物成分の組み合わせが動物性食品の特性に近く、取って代わることができるかに焦点を当てている。

つまり、より近い例としては、Justや新たに資金提供を受けたクライマックスフーズ社のような会社が挙げられるだろう。Muchnick氏は、これらの企業が時間を費やしているところに違いがあると言います。代わりに、カゼインや炭水化物の乳糖のための1つの代替として機能することができますタンパク質に焦点を当て、NotCoは、製品全体を複製しようとしている – 特定の食品の全体の感覚パネル。

つまり、Justや最近設立されたClimax Foodsのような企業に近い。ムックニック氏によるとこれらの企業との違いは「時間を費やしている場所にある」という。NotCoは、カゼインや炭水化物の乳糖の代わりになるタンパク質に注目するのではなく、特定の食品の全体を複製しようとしている。具体的には「味、味、匂い、色、そしてそれらすべてと食品中の分子成分との相互作用」と同氏は説明する。「食品を複製することにどれだけ制限があるか、食品業界のほかの課題に対処するためにAIを使用することにどれだけ制限があるかという概念だけではありません」と続ける。

ムックニック氏にとって、NotCoにとって最大のチャンスは乳製品だ。同社は、NotBurgerとNotMeat製品のラインを補完するために、チキンの代替品を含む多くの新製品を導入する計画を持っており、同社が獲得し拡大したいと考えているのは、まさに乳製品ビジネスだ。同社は、大手のファストフードチェーンやオンラインチャネルと消費者への直接販売を視野に入れている。

同氏が他のベンダーに製品を供給することに注力することで、消費者が同社のブランドを意識しなくなることを期待している。

「我々は川上と川下のパートナーとなった」と同氏。同社は、でん粉製品を取り扱うIngredion、食品・飲料メーカーのADM、穀物メジャーのCargillなどのサプライヤーと協力しており、川下には同社の代用乳を他の製品に組み込む製品パートナーがいる。「私たちが望んでいるのは、他の多くの企業と一緒に変化の触媒になることです。なぜ私たちは実現者を目指さないのか。私たちはインテルのように他の製品の中で活躍する存在です」と続けた。

この規模では、ムックニック氏は株式投資家の最有力候補であり、もし同氏がが自分のやり方を貫けば目標に到達できるだろう。「2024年までに、事業の70%を米国で3億ドル(約318億円)規模の企業にすることを目指しています」と同氏は締めくくった。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

完全キャッシュレスカフェ運営のカンカクが資金調達、新店舗出店に加えサブスク・EC拡充

完全キャッシュレスカフェ運営のカンカクが資金調達、新店舗出店に加えサブスク・EC拡充

ジェネシア・ベンチャーズは9月7日、同社運営のGenesia Venture Fund 2号(GV-2)が、「カンカク」のシリーズAラウンドにおいて出資したと発表した。同ラウンドの出資者は、コーラル・キャピタル、Heart Driven Fund(アカツキ)。またカンカクは、資金調達ととともに、コーヒー豆のオンラインショップ運営のCotteaをM&Aにより事業買収した。

カンカクによる調達資金の主な用途は、以下の通り。

  • 2021年春頃までをめどに、渋谷と六本木にて新店舗を出店予定。サブスクおよびECの拡充
  • エンジニア・デザイナー・PMなどの職種を中心に採用本格化
  • 店舗運営とアプリ開発のノウハウを生かし、様々な領域の企業との提携を視野に入れながら、飲食業界のDX推進

またカンカクは、資金調達ととともにCotteaをM&Aにより事業買収。Cotteaは、アンケートに回答するだけで16種類のコーヒー豆から自分の好みに合った味が見つかる、コーヒー豆のカスタマイズオンラインショップ。今回のCottea買収により、カンカクとしてEC事業を強化することに加え、店舗運営との連携および店頭商品の拡充に取り組む予定。

カンカクは、「Building the next city.」(新しい都市をつくる)をビジョンに掲げ、インターネットと非インターネットの垣根がなくなることを目指し「リアル業態」での事業を展開。完全キャッシュレスのパーソナライズドカフェ「TAILORED CAFE」では、専用のモバイルオーダーアプリ「COFFEE App」で事前注文を行うと、待ち時間なくスムーズに商品を受取れる。2020年2月、月額定額プラン「メンバーシップ」を開始した。

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フェイクミート開発のネクストミーツが代替肉によるレトルト牛丼を9月28日発売

フェイクミート開発のネクストミーツが代替肉によるレトルト牛丼を9月28日発売

フェイクミート(代替肉)開発のネクストミーツは9月4日、世界で初めて代替肉によるレトルト牛丼「ネクスト牛丼1.2」の開発および商品化に成功したと発表した。発売は9月28日予定で、価格など詳細は同日発表するという。9月29日に公式サイトを中心に販売を開始する。

ネクスト牛丼1.2は、動物性の食材は一切使用せず、さらには無添加で作られているので、地球環境にも身体にも優しい牛丼という。タンパク質を豊富に摂取できるうえ、脂質は抑えられるとしている。

同社は、動物性の肉に替わる「おいしい植物性の肉」を開発し普及させることで、新しいライフスタイルを提供しながら、地球環境を良い方向に変えていく流れを作っていきたいと考えているという。

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おやつのサブスク「snaq.me」が2.6億円を調達、設備・生産者網整備に投資

おやつのサブスクサービス「snaq.me(スナックミー)」を運営するスナックミーは9月3日、W ventures、デライト・ベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタル、オイシックス・ラ・大地が運営するCVCファンドのFuture Food Fundを引受先とする第三者割当増資と、日本政策金融公庫からの融資により、総額約2.6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の調達は2019年5月の調達に続くもので、同社の資金調達額は累計で約6億円となる。

コロナ禍のフードロス対策やおつまみ商品開発にも取り組む

スナックミーは2015年9月の設立で、2016年3月におやつのサブスクリプションサービスsnaq.meをスタートした。100種類を超えるおやつの中から、「おやつ診断」でパーソナライズされたぴったりのおやつが、8種類選ばれて届くsnaq.me。それぞれが20〜30グラムの食べきりサイズのおやつは、人工添加物、白砂糖、ショートニングなどが使われておらず、自然素材でできている。1箱当たりの価格は1980円(税込)で、受け取り頻度は2週に1回、または4週に1回から選ぶことができる。

snaq.meの「おやつ診断」画面

サービス提供開始から、売り上げは月次で5〜10%ずつ伸びており、直近の1年では倍ぐらいに成長しているという。また取引先生産者は100社を超えた。今年3月にはサービス開始4周年を機にブランドの見直しも行っている。

スナックミー代表取締役の服部慎太郎氏によれば、新型コロナウイルスによる外出自粛などの影響で「在宅ワークになったことをきっかけにサブスクリプションを始めた顧客や、会社から自宅に送り先を変えた顧客など、自宅での需要は少し伸びている」とのこと。一方で「全国100社の取引先生産者の中には、コロナの影響でお土産屋さんや百貨店での売り上げが落ちたというところも多く、一緒に何かできないかといった問い合わせが来るようになっている」という。

「老舗の和菓子屋さんと商品開発をしてECで販売するなど、生産者との向き合い方が変わった。よりプラットフォーム的な動きが活発になった」(服部氏)

コロナ禍以前からスナックミーではフードロス解決への取り組みとして「アップサイクル」商品の開発・販売を行っているが、これらの商品は感染症拡大を受けて売り上げが減少した生産者の支援にもなっている。

「サブスクサービスなのでもともと破棄はほとんどないのだが、フードロスが気になるという顧客の声もあり、もう一歩進んだ取り組みを行うようになった。顧客には環境や食糧問題に関心の高い人が多い。今後も力を入れてやっていきたい」(服部氏)

新型コロナの影響では、宅飲み、オンライン飲みのニーズの高まりも見逃せないようだ。スナックミーでは4月15日、ビールに合う人気のおつまみ7種を詰め合わせたBOX「オツマミー」を販売。これが好評だったことから、第2弾としてワインに合うおつまみセットの「オツマミー for ワイン」、第3弾ではIPAとのペアリングを考えた「オツマミー for IPA」を相次いで販売してきた。

「この夏は、顧客にsnaq.meからオツマミーBOXに変更できるプランを用意してみたが、利用は多い。複数のブランドをポートフォリオとして持っておくことは、デジタル発の食品ブランド、食品メーカーを目指す当社の戦略としては正しいこと。オツマミーもブランドとしてしっかり育てていこうと考えている」(服部氏)

スナックミーでは資金調達と同じ9月3日、オリオンビールとのコラボレーションで開発した「オツマミー for オリオンビール」の販売も発表している。黒糖醤油味のジャーキーやゴーヤチャンプルー風のナッツ、ペッパーチーズ味のちんすこうなど、沖縄気分を満喫できる7種のおつまみは3日の15時から発売される予定だ。

「オツマミー for オリオンビール」イメージ

設備・倉庫へ投資、生産者のプラットフォーム構築にも力入れる

スナックミーでは商品の配送は業者が担当しているが、設備や倉庫は自社で運用を行っている。100種類以上ある商品を毎月入れ替えながら、顧客ごとにパーソナライズして組み合わせていくオペレーションも、ここで実施されている。

その倉庫の規模が顧客の増加に合わせて大きくなっていると服部氏はいう。「今後、資金調達を踏まえて、設備や機械、倉庫の自動化などへの投資は増えるだろう。ロジスティック周りの仕組みを作り込んでいくフェーズになっている」(服部氏)

また服部氏が今後もうひとつ力を入れたい、と語るのが、生産者側のプラットフォーム化だ。新型コロナで困っているという生産者との話もあり、意を強くしたということのようだ。

「自社でのマーケティングや販売はそれほど得意ではないが、いいものを作ろうというところや、地元の素材を使っているところなど、地方の道の駅に商品を卸されているような生産者さんと、スナックミーは相性がいい。全国にそうした生産者はたくさんある中で、まだまだ発掘し切れていない。そこをプラットフォーム化したい。印刷業界でラクスルなどの企業が地方の印刷会社をネットワーク化しているように、生産者のネットワークも広げていき、OEMモデルでプラットフォーム的な動きを志向していこうと考えている」(服部氏)

服部氏は顧客ユーザーのニーズと、路面店の売り上げが上がりにくいところをつなぎ合わせる役割になれれば、と話す。

「我々は『お菓子』と『おやつ』という言葉を使い分けていて、『お菓子を食べている時間も含めて、おやつ体験』と捉えている。新しいおやつ体験をつくることで、おやつの時間の価値を上げることをミッションとした、デジタル発のおやつブランドを目指している。今後もユーザー、生産者の皆さんとそこへ近づければいいなと思っている」(服部氏)

写真中央:スナックミー代表取締役 服部慎太郎氏

Impossible Foodsの元データサイエンティストが機械学習を活用してチーズ業界に参入、8億円を調達

Oliver Zahn(オリバー・ザーン)氏の最初の職業は星の研究だった。データサイエンスを利用して動物性タンパク質を植物性の代替製品に置き換えるスタートアップClimax Foodsの創業者である彼は、カリフォルニア大学バークリー校で空を凝視しながら数年を過ごし、その後、Pat Brown(パット・ブラウン)氏とImpossible Foodsを知り、同社の主席データサイエンティストになった。

この経験のため、ザーン氏は空よりも地上の物に関心を持つようになり、Climax Foodsを立ち上げるに至った。

そして今や、Google Xの共同創業者であるTom Chi(トム・チー)氏が興したAt One VenturesをはじめManta Ray VenturesやS2G Ventures、Valor Siren Ventures、Prelude Ventures、ARTIS Ventures、Index Ventures、Luminous Ventures、Canaccord Genuity Group、Carrot CapitalそしてGlobal Founders Capitalなどから750万ドル(約8億円)を調達して、ザーン氏は食べ物の未来に挑戦することになった。

投資家への売込みはJust Food(元Hampton Creek)のJosh Tetrick(ジョシュ・テトリック)氏と似ており、シンプルでエレガントだ。自然界には今、動物から作られて製品化されているものと同等、もしくはそれよりも優れた性質のタンパク質がある。話の骨子はそれだけだ。

では、動物製品の何がそれをおいしいと感じさせるのだろう。同社は植物の中にそれと同等な物を見つけて、生産を開始するつもりだ。

データサイエンスの応用がどれもそうであるように、ここでも分類学が鍵となる。Climax Foodsは、分子の構造を処理して相互参照して、最適なものを見つけ出す機械学習のアルゴリズムを構築している。同社はそれを、チーズで始めた。

チーズのような平凡な物に天体物理学に匹敵するほどの挑戦価値があるとは思えないが、現在ではさまざまな企業が、数億ドル(数百億円)を調達して大規模な乳業業界に挑戦しているのだ。

「工業化によって爆発的な人口の増加と動物製品の消費が可能になったが、そんな時代は終わろうとしている。今日では哺乳類動物の90%以上、そして地球上のすべての鳥類の70%以上が、植物の代謝というたった1つの目的のために存在し、食糧に換えられている。この産業は複雑で無駄が多い。そして気候変動の原因としては、地球上のすべての自動車を合わせたよりも大きい。しかも、地球上の水と利用可能な土地の1/3以上を使っている。Climax Foodsは、食品科学のイノベーションを加速することで、環境への悪影響なく植物を美味な食品に換えることができる」とザーン氏は声明で述べている。

チーズの巨大産業複合体とそのミルク製の怪物を倒すクエストでザーン氏の仲間になったのは、業界の経験豊富なベテランたちだ。まず共同創業者のCaroline Love(キャロライン・ラブ)氏は同社のCOOで、以前はJust Foodの営業と業務担当役員だった。そしてPavel Aronov(パベル・アロノフ)氏は、スタンフォード出身の化学者で、これまで巨大化学企業であるThermo Fisherにいた。

植物タンパクの分野に大きな投資をしているS2G VenturesのSanjeev Krishnan(サンジーブ・クリシュナン)氏は、次のように語っている「Climax Foodsは市場と食品の体系を変えるという類似他社と同じ機会に取り組んでいるが、しかし彼らの技術的アプローチはまったく新しい。彼らはデータサイエンスを利用して、新しいカテゴリーの食品を作ろうとしており、それらは既存の動物製品と競合するだけでなく、味や栄養密度そして価格の面でそれらに打ち勝つ素質がある。Climax Foodsが開拓中のマシンインテリジェンスによるアプローチは、究極のデジタルレシピを作るために用いられるおびただしい数の原料や自然な加工技術を正しく有効に活用していくために欠かせない技術である」。

クリシュナン氏は、植物タンパクの企業として最も成功している上場企業であるBeyond Meatにも投資している。

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カテゴリー:フードテック

タグ:Climax Foods 資金調達

画像クレジット:Steven Lilley/Flickr CC BY-SA 2.0のライセンスによる

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水揚げ直後の鮮魚を遠隔地のバイヤーが直発注できる「UUUO」が登場、伊藤忠系ファンドからの資金調達も実施

ウーオは8月31日、産地市場のセリに並ぶ鮮魚を発注できるプラットフォーム「UUUO」をリリースした。UUUOを利用することで、同社が買付の権利(買参権)を保有する鳥取港、網代港および全国の提携産地で水揚げされた鮮魚約60種以上がアプリ経由で発注可能になる。

UUUOでは、産地の漁港に水揚げされた魚の写真・水揚げ量・サイズ毎の相場をリアルタイムで確認できるシステムを導入。消費地市場の水産業者や鮮魚バイヤーがリクエスト機能を使って希望条件を入力すると、産地の仲卸業者に対して直接買い付け要望を出すことが可能になる。

UUUO Baseメンバー

ウーオが鳥取市に擁する自社出荷拠点のUUUO Base以外にも、現在100以上の漁港と提携しており、各産地から鮮魚・活魚の出荷も可能となっている。今後、100港以上の提携産地から直接アプリで買付けられるように開発を進めて行く計画だ。現在、買い付け可能なエリアは以下のとおり。

■山陰エリア
鳥取港、網代港、香住港、浜坂港、諸寄、浜田、宇部
■近畿・北陸エリア
舞鶴、大島、佐渡島
■四国エリア
阿南、椿泊、伊座利、阿部、志和岐、東由岐、木岐、日和佐、牟岐東、牟岐、浅川、鞆浦、宍喰、甲ノ浦、野根、愛南町、宇和島、八幡浜
■九州エリア
唐津、九十九島

また今回のリリースに併せて、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、インキュベイトファンドなど各社が運営するファンド、複数の事業会社などを引受先としたシリーズAラウンドの第三者割当増資を実施したことも明らかにした。今回調達した資金は、UUUOの開発人材と国内水産市場開拓の営業人材を強化することでサービスの拡充を図っていくという。第三者割当増資の引受先は以下のとおり(順不同)。

  • 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
  • インキュベイトファンド
  • ツネイシキャピタルパートナーズ
  • 広島ベンチャーキャピタル
  • Full Commit Partners
  • とっとりキャピタル

広島オフィスメンバー

ウーオで代表取締役を務める板倉一智氏は、幼いころから漁業従事者に囲まれた環境で育ち、水産業と密着した環境の中で大学時代までを過した経験を持つ人物。大学卒業後に2006年4月日本通運に入社し航空貨物を専門とする航空事業部へ配属されるが、地元での漁船の減少やセリの衰退を目の当たりにして起業を決意したという。

KitchenMateを使えば新鮮な食事を職場や病院で簡単に素早く用意できる

カナダ・トロント拠点のスタートアップであるKitchenMateは、従業員に食事を提供するための斬新なアプローチを企業に提供している。

同社は、Eniac VenturesとGolden Venturesがリードし、FJ LabsとTechstarsが参加したシードラウンドで350万ドル(約3億7400万円)を調達し、米国進出も果たした。

創業者兼CEOのYang Yu(ヤン・ユー)氏は「『ヘルシーな食事を手ごろな価格で提供する』ことを目標にKitchenMateを設立した」と語る。同氏とKitchenMateのチームが開発したソリューションは、調理済みの新鮮な食事が入った密閉された冷蔵スマートミールポッドをスマート調理器で加熱するというもの。

とはいえ、新型コロナウイルスの感染蔓延の影響で多くの企業が在宅勤務を続けている現在、このアイデアはタイミングが悪いかもしれない。ユー氏は、KitchenMateを導入する確率の高いテック企業などの顧客の一部も、今はこの製品を必要としていないことを認めた。その一方で、製造業や流通業、必要不可欠なサービス業など、そもそも在宅勤務ができない企業も多い。そしていま、これらの分野ではビジネスが 「急成長している」と同氏は説明する。

「新型コロナウイルスの感染蔓延前は、従業員を大切にし、健康的な食事を提供したいと考えている多くの企業にとってこういったサービスは必要不可欠なものでした。しかし、今ではすべてが閉鎖されているため、多くの企業にとって健康的な食事はより必需品となっています」と続ける。

「見方を変えると、新型コロナウイルスの感染蔓延によって多くのレストランやその他のビジネスがシャッターを閉めたことで、KitchenMateは一部の雇用者にとって『唯一の選択肢』として浮上してきた」とユー氏は説明する。同氏はまた「患者のために健康的な食事を準備するための効率的な方法として病院でも使用されている」と述べた。

自宅にKitchenMateのスマートクッカーがなければ料理の品質を保証することはできないが、ユー氏はKitchenMateのオフィスでどのように食事を準備したかを見せてくれた。彼は冷蔵庫を開け、スマートミールポッドを取り出してスマホでスキャンし、ミールポッドを調理器にセットした。数分後には、ライス、カレー、野菜、豆腐の美味しそうなランチが出来上がっていた。

KitchenMateはこの機器を、企業に販売またはレンタルで提供している。そして、従業員はスマートフォンのアプリを介して平均9ドルで食事を購入する。通常は従業員が7ドルを支払い、雇用主が残り2ドルを補助するシステムだ。

KitchenMateは週に1~2回、新しいミールポッドを配達するが、従業員は自分の欲しい料理に投票することで配達される料理を変更することもできる。同社はまた、全員が冷蔵庫をあさって自分たちで食事を作るのではなく、スタッフが従業員のために食事を用意するオプションも提供している。

ユー氏は「オフィスが再開されると人々は混雑したカフェテリアを避けたいと思うようになるだろうし、ビルやエレベーターを出入りする個別の配達が増えるよりも、KitchenMateの一括配達を選ぶようになるだろう」と主張した。

同氏は、全員が同時にランチを食べたい場合、キッチンに「バックログ」が発生するリスクがあることを認めているが、彼はKitchenMateのアプリで食事を事前に注文できるようにすることで、この問題を軽減することを考えているとのこと。

「ケータリングする余裕がない企業や、新型コロナウイルスの終息後も食事を共有することができなくなった企業のために、より柔軟に食事を提供できるようにしていきたい」と同氏は締めくくった。

画像クレジット:KitchenMate

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(翻訳:TechCrunch Japan)

農家や漁師などの生産者と消費者を直接つなぐポケットマルシェが8.5億円を調達

農家や漁師などの生産者と消費者を直接つなぐポケットマルシェが8.5億円を調達

全国の農家や漁師などの生産者と消費者を直接つなぐアプリ「ポケットマルシェ」(iOS版Android版)運営のポケットマルシェは8月24日、第三者割当増資として総額8.5億円の資金調達を調達したと発表した。引受先は丸井グループ、オレンジページなど計6社。

資金調達により、「ポケットマルシェの機能追加や機能改善」、「生産者サポートの強化」、「オンラインとオフラインの融合による物流の課題解決」、「特定の地域に継続的に関わる人々を増やすため地方自治体との連携を強化」などの取り組みを推進するとしている。

ポケットマルシェは、全国の農家・漁師と直接やり取りしながら、旬の食べ物を買えるプラットフォーム。2020年8月現在で、3200名以上の農家・漁師が登録しており、約7000品の食べ物の出品があるという。

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Impossible Foodsが220億円超を追加調達、世界展開とポークやステーキ、ミルクなどの開発を推進

植物性代用肉のメーカーであるImpossible Foodsが、さらに2億ドル(約213億円)の資金を調達した。調査会社のPrimeUnicorn Indexのデータによると、このラウンドにより同社の評価額は40億ドル(約4274億円)に跳ね上がった。

このラウンドをリードしたCoatueは、テクノロジーにフォーカスしたヘッジファンドだ。ニューヨークのヘッジファンドであるXNに、このラウンドに参加した。

Impossible Foodsはこれまで、Mirae Asset Global InvestmentsやTemasekなどから合計15億ドル(約1600億円)を調達している。同社のキャップテーブル(Cap Table、株主とその保有株式数・保有割合、株価などをまとめた資料)には公開・非公開さまざまな新しい投資家が並んでいてIPOも近いかと思われるが、現状ではまだ憶測の域だ。

同社は以前に、Horizon VenturesやKhosla Venturesのような投資企業から資金を調達していたが、投資家の顔ぶれの中には米国の大物セレブも少なくない。名前の一部を挙げると、Jay Brown氏、Common氏、Kirk Cousins氏、Paul George氏、Peter Jackson氏、Jay-Z氏、Mindy Kaling氏、Trevor Noah氏、Alexis Ohanian氏、Kal Penn氏、Katy Perry氏、Questlove氏、Ruby Rose氏、Phil Rosenthal氏、Jaden Smith氏、Serena Williams氏、will.i.am氏、Zedd氏などだ。

PrimeUnicornによると、Impossible Foodsの最近の株価16.15ドルはシリーズFのときの15.4139ドルを上回っている。

Impossible Foodsによると、新たな資金は研究開発の強化に向けられ、とくにポークやステーキ、ミルクなどの新製品開発に力を入れる。また国際市場を広げ、製造能力の向上も目指す。

同社の創業者で一般博士号のほかに医学博士号を持ち、さらにはCEOでもあるPatrick O. Brown(パトリック・O・ブラウン)博士は声明で「動物を使って食べ物を作ることは、地球上で最も破壊的な技術であり、気候変動の主な原因であるとともに、全地球規模で起きている野生動植物と生物多様性の破滅的崩壊の主因でもある。Impossible Foodsのミッションは、その古めかしいシステムを、世界でも最も美味で栄養豊富で持続可能な植物由来の食肉の生産で置き換えることである。そのためにはImpossible Foodsはその生産と売上の指数関数的な成長を持続し、研究開発に大きな投資をしていく必要がある。投資家たちは、グローバルな食糧システムを変えていく私たちのミッションを信じ、またそこに莫大な経済的機会があることも理解している」。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドッグフードのスタートアップSundaysは乾燥粒形に代わる新しいフードを発売

ドッグフードのスタートアップであるSundays(サンディーズ)の共同創設者でCEOのMichael Waxman(マイケル・ワックスマン)氏は、犬の飼い主たちが愛するペットに与えるフードには十分な選択肢があると承知していたものの、それでも何か新しいフードを提供する余地はあると考えていた。

「言うなれば『水はいたるところにあるが、水飲み場がない』みたいな現象です」とワックスマン氏。「3000を超える種類のドッグフードがありますが、実際に、頭を使わなくてもわかる、際立った正解が存在しないと感じていました」。

Sundaysは、その最初の製品を2月にソフトローンチ(限定的試験販売)した。現在はおよそ1000人の優良顧客がいる。今では販売地域を広げ、Red Sea Ventures、Box Group、Great Oaks Ventures、Matt Salzberg、Zach Klein、その他の投資家から227万ドル(約2億4000万円)を調達したことも発表した。

ワックスマン氏は、以前にデートアプリGrouper(グルーパー)(未訳記事)などを立ち上げている。彼の妻で共同創設者のTory Waxman(トリー・ワックスマン)氏は獣医師だ(Sundaysでは最高獣医学責任者を務めている)。数年前、夫婦が買っていた犬の1頭がお腹の具合を悪くしたのをきっかけに「最高のドッグフードを探し出そうと、この道に飛び込みました」と彼は話している。

この市場は大きく2つのカテゴリーに別れているとワックスマン氏は言う。ひとつは、比較的安価で手に入りやすいが、あまり健康的でないキブル(粒)タイプ。もうひとつは冷蔵フードだ。Farmer’s Dog(ファーマーズ・ドッグ)のように直販されるもの(未訳記事)もあり、健康的だが価格は高く、準備に手間がかかる。

「あり得ないほど不便なのです」とワックスマン氏は訴える。「私たちなんかよりも、ずっと犬に入れ込んでいる人は、敢えて探すまでもなく大勢います。犬のためなら何でもできる。ただし、毎日1時間かけてフードを用意することを除いてね」。

画像クレジット:Sundays

そこで彼は、Sundaysを「キブルと冷蔵の中間の、新しい第3のカテゴリーのドッグフード」と銘打っている。人間が食べてもよいとされる、新鮮な肉、内臓、骨を90%使用し、特殊な空気乾燥工程で加工している。

キブルに頼っている飼い主にとって、同社が提供するフードは「非常に高品質で味もよく、それでいてこれまでの手軽さは変わりません」という。現在、冷蔵フードに大金を費やしている飼い主には、「品質と味を犠牲にすることなく、あらゆる点で信じられないほど楽になります」と彼は確約している。

早くからの利用客の数人は、このフードはビーフジャーキーとよく似ていると同社のレビュー欄に書いている。味のテストを実施したところ、Sundaysのフードを選んだ犬と高キブルを選んだ犬の比率は40対0だったとワックスマン氏は言う。

このフードは、単品購入とサブスクリプションの両方が選べる。40オンス(約1kg)入りのボックスは、現在1箱75ドル(約8000円)。サブスクリプションでは、同じボックスが59ドル(約6300円)で買える。

ここまで来るのは楽ではなかったと、ワックスマン氏は語る。フードの新しい加工方法については「そのためのサプライチェーンが確立されていなかった」。結局、Sandaysは「米国農務省が監督するアメリカ国内のジャーキー調理施設でこの新しいフォームファクターを作ることにした」とのことだ。

「思っていたよりずっと長い時間がかかりました」と彼は振り返る。「しかし、一時的な頭痛は、最高に喜ばしい長期的な強みを生みます。いずれそれが、同程度に高品質で特徴的な製品を提供しようと目論む競合相手を寄せ付けない、深い深い濠になるのです」

関連記事:マットレスの直販で成功したCasperのスタッフが今度は高級ドッグフードの直販に挑戦
画像クレジット:Sundays

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(翻訳:金井哲夫)

HiJoJo Partnersがフードテックファンドの募集を開始、Impossible Foodsなどユニコーン企業を組入予定

HiJoJo Partnersがフードテックファンドの募集を開始、Impossible Foodsなどユニコーン企業を組入予定

ユニコーン投資のHiJoJo Partnersは8月12日、米フードテック領域ユニコーン企業3社を組入予定のフードテックファンドの募集を開始した。同ファンドの最低投資金額は1000万円。申し込み締切日は2020年9月30日。同ファンドはHiJoJo Partnersが募集を行うファンドとしては通算10本目のファンドとなる。

ファンドに組入予定の米企業は、SDGsへの関心の高まりなどにより注目されているImpossible Foods, Inc.、JUST Inc.、Indigo Agriculture, Inc.の3社。Impossible Foodsは、米ハンバーガーチェーン「バーガーキング」のハンバーガー商品への採用、米ウォルマートでの販売開始などで話題となった、植物由来の人工代替肉製品を開発・販売。JUSTは、卵料理と似た食感・味覚を実現した植物由来の代替卵製品を開発・展開。Indigo Agricultureは、農産物の種子にAIで選別した最適な有益微生物を処理することで生産性を高める技術とともに、生産から販売・決済・流通まで農業ビジネス全体をデジタル化するサービスを展開している。

HiJoJo Partnersがフードテックファンドの募集を開始、Impossible Foodsなどユニコーン企業を組入予定

同ファンドの最低投資金額は1000万円。申し込み締切日は2020年9月30日。同ファンドの募集要項、組入予定企業に関するリサーチ情報などの開示や、ファンドへの申し込み受付は、会員登録手続を終えたの同社会員限定となる。会員登録は同社運営サイト「HiJoJo.com」で無料で行える。

HiJoJo Partnersは、同ファンドの様な非上場企業を組入れたファンドの募集・販売を通じ、日本経済における継続的なリスクマネー供給に寄与する多様な投資家層を創出するべく、我が国では未発達のミドル、レイトステージ投資の活性化を目指すとしている。

HiJoJo Partnersは、日本の投資家に向けてユニコーン企業をはじめとした非上場企業への投資機会をファンドを通じて提供する金融スタートアップ。2020年5月には、みずほ証券、岡三証券グループ、マネックスグループ、ほかエンジェル投資家1名を引受先とする第三者割当増資によるシリーズAの資金調達を実施した。

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「食べチョク」運営のビビッドガーデンが6億円を調達、ヤマト運輸との連携などサービス強化

「食べチョク」運営のビビッドガーデンが6億円を調達、ヤマト運輸との連携などサービス強化

こだわり生産者が集うオンライン直売所「食べチョク」運営のビビッドガーデンは8月5日、第三者割当増資として総額6億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家のジャフコ、既存株主のマネックスベンチャーズ、VOYAGE VENTURES、デライト・ベンチャーズ、NOW。

調達した資金は、食べチョク強化のためのマーケティング・人材採用・物流構築にあてる予定。食べチョク物流構想の第1弾として9月頃からヤマト運輸と連携を開始し、生産者や購入者に対し新たな価値の創出を目指す。

食べチョク物流構想では、食べチョクサイトとヤマト運輸のシステム連携により、生産者は出荷指示の取得から伝票発行、配達状況確認までをワンストップで行えるようになる。煩雑な受注・出荷業務の効率化し、今後さらなる事業拡大を支援していく。

また、各種出荷効率化に取り組むことにより、食べチョク特別送料の提供が可能となったという。通常配送料金から最大47%OFFとなる料金で購入・発送が可能としている。

2016年11月創業のビビッドガーデンが運営する食べチョクは、こだわり生産者から直接食材や花きを購入できるオンラインマルシェ。2020年7月に登録生産者数2200軒を突破し、8000品を超えるこだわりの逸品が出品されている。

扱っている食材は、野菜・果物をはじめ、米・肉・魚・飲料と、花き類。また好みに合う生産者を選んでくれる野菜定期便「食べチョクコンシェルジュ」、旬の果物が届く定期便「食べチョクフルーツセレクト」を用意しており、定期的なお取り寄せが行える。

また、友達と分けあえる「共同購入」の機能や販売前に商品を取り置きできる予約機能なども展開し、ライフスタイルに合わせた様々な買い方を楽しめる。

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動物性ではない生マグロ代用品を開発中のKuleana、寿司職人に焦点

Impossible FoodsやBeyond Meatのように、植物性の肉の代替品を製造している企業は、消費者の想像力と財布を掴んでいるが、これまでのところシーフード業界にはそれに続く企業は見当たらなかった。

画像クレジット:Getty Images under a https://www.gettyimages.com license.

現在、Y Combinatorの夏のコーホート(プログラム)参加中のスタートアップであるKuleana(クレアナ)は、シーフード業界で泳ぐことを目指している。

Wild Type、Finless Foods、Shiok Meatsなどが手掛ける新規事業は、生きたマグロやサーモン、エビを使用した細胞ベースの代替品を開発しており、Good CatchやOcean Huggerは独自のマグロの代替品を提案しているが、Kuleanaは寿司用の生マグロを再現することで差別化を図りたいと考えている。

Kuleanaの共同創業者であり最高経営責任者のJacek Prus(ヤチェク・プルス)氏によると、それはほんの始まりに過ぎないという。同社は最終的に、マグロ、サーモン、その他の魚介類に代わるベジタリアン向けの製品を作りたいと考えている。

「生のマグロはまだ誰もうまく事業化したことがありません」とプルス氏。「私たちは動物性ではない生のマグロ、そしておそらくサーモンを作ろうと思っています」と続ける。

プルス氏は、テキサス大学オースティン校で動物倫理の授業を受け、食品業界に興味を持った。オースティンで5年過ごしたあとにヨーロッパに移り住み、ProVeg Internationalと呼ばれるインキュベーター施設の設立を手伝っていた。

そこで同氏は、Ron Shigeta(ロン・シゲタ)氏と出会う。シゲタ氏は、食品科学分野で長年研究者、技術者、起業家として活躍し、以前はIndieBioで最高科学責任者を務めていた人物だ。さらにシゲタ氏は、バルセロナを拠点とする食品科学研究者のSonia Hurtado(ソニア・フルタド)氏に連絡を取り、3人でKuleanaを立ち上げた(のちにシゲタ氏は退職)。

フードアクセラレーターでの経験は、大学時代まで肉食一辺倒だったプルス氏に代替タンパク質の基礎知識を与え、より風味豊かな魚の代替品を開発する方法を考えるきっかけを作った。

Kuleana

Kuleanaのサンプル製品(画像クレジット:Kuleana

「Kuleanaのマグロは、鉄分や藻類の油、さまざまなタンパク質をミックスし、独自の方法で成形している」とプルス氏は述べている。Good Seed Ventures(グッド・シード・ベンチャーズ)から最初に5万ユーロ(約624万円)のシード資金を調達したKuleanaは、3Dプリント技術を使わずに生の魚の味や食感を再現できるような足場材料(培養肉を生成する土台)を開発している。同氏によると、通常の製造技術では見た目も味も「調理済み」になってしまう可能性があるという。同社は市場に参入するために、米国の寿司職人に焦点を当てている。

「私たちが発見したのは、魚介類の60%は家庭外で食べられていて、生の魚介類の場合はそれよりもさらに割合が高いということです。私たちは外食産業のルート開拓に重点を置いています」と語る。

年内には、Kuleanaが寿司の巻き寿司やポケ丼のマグロの代替品として、高級なマグロのロース肉と競合する価格で一部の店舗で販売されるかもしれない。

Kuleanaはすでにバルセロナとサンフランシスコで2回の味覚テストに成功しており、同社は最近の投資家向けのメモで、同社のベジタリアン用マグロの代替品である5万ポンド(22.6トン)以上の注文の意思表示があったと主張している。

「ツナの味が一番難しいのではなく、食感が重要なのです。競合他社は押し出し成形でプロセスをフォーマット化していますが、それではうまくいきません。私たちがこのバイオ技術で実践しいることは、世界で最も優れたアプローチの1つであると確信しています」とプルス氏。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

培養肉の最大の問題点に立ち向かうカナダ拠点のFuture Fields、培養を促す安価で人道的な材料を発見

細胞農業が抱える最大の問題の解決策、つまり培養肉の培養を促す、安価で人道的な材料の開発に有望な方法が生まれたのは、カナダはアルバータ州にあるドーナッツチェーンのTim Hortons(ティムホートンズ)の店内での会話からだった。

Matt(マット)とJalene(ジャリーン)のAnderson-Baron(アンダーソン=バロン)夫妻は、ティムホートンズでドーナッツとコーヒーを待っている間、2人が設立したスタートアップ企業のFuture Fields(フューチャー・フィールズ)の柱となるテクノロジーについて話し合っていた。そのとき、ジャリーンは新しい増殖用材料を提案した。

マット・アンダーソン=バロン氏は、この研究で壁にぶち当たっていた。そこで、3人で共同創設したFuture Fieldsの3分の2の責任を負う夫婦は、お茶をしに出かけたのだった。友人のLejjy Gafour(レジー・ガフォー)氏を加えた3人は、世界中が動物にタンパク源を依存している現状をなんとかしたいと、このスタートアップをカナダで立ち上げた。

彼らは、世界の食肉の需要に応えようとする畜産業には、膨大な持続不可能な問題があることを承知していた。そこで、細胞ベースの代替品で市場の需要に応えることを目標に定めた。

「これは、私たちが仕事とは別に興味があって進めていたクレイジーなプロジェクトでした。これがビジネスになるなんて、夢にも思っていませんでした」とジャリーン・アンダーソン=バロン氏。「それが去年になって、有望なビジネスアイデアに転じたのです」。

Future Fieldsの共同創設者。マシュー(マット)・アンダーソン=バロン博士、レジー・ガフォー氏、ジャリーン・アンダーソン=バロン氏(画像クレジット:Future Fields

当初3人は、研究室で培養した鶏肉を世界に販売する独自の食肉ブランドを立ち上げたいと考えていたのだが、実験に4カ月を費やしたころ、マット・アンダーソン=バロン氏とその仲間は方向転換し、新しい形の成長血清の開発に取り組むようになった。すべてはティムホートンズでの会話のお陰だ。

「私たちのMVPはチキンナゲットでしたが、1ポンド(約450g)あたり3000ドル(約32万円)かかることが判明しました。どう考えても利益率の高いビジネスとは思えません。そもそもの狙いは、食肉と張り合える価格の製品を作ることでしたから」とアンダーソン=バロン氏。「私たちは、経済的に有効と思われる新しい材料に焦点を移したのです。それはもともと、社内で使うためのものでした。私たちが開発したその材料が斬新なもので、業界に大きな恩恵をもたらすものになるとは、当初は思ってもみませんでした。約8カ月前、私たちは方向転換を果たし、その成長材料を製品化しようと決めたのです」

Y Combinator(ワイ・コンビネーター)のアクセラレーター・プログラムを間もなく修了する同社は、すでに数件の有償契約を結び、細胞増殖材料の最初の試験製品ラインを来月中に出荷する予定になっている。

同社の製品への潜在的需要は非常に大きい。Alpha Meats(アルファ・ミーツ)、Shiok Meat(シオク・ミート)、Finless Foods(フィンレス・フーズ)、Memphis Meats(メンフィス・ミーツ)、Meatable(ミータブル)、Mosa Meat(モサ・ミート)、Aleph Farms(アレフ・ファームズ)、Future Meat Technologies(フューチャー・ミート・テクノロジーズ)、Lab Farm Foods(ラブ・ファーム・フーズ)、Eaat(イート)はどれも、研究室で畜肉や魚肉に代わるものを培養している企業だ。これらはみな、2億ドル(約210億円)を優に超える資金を調達したと言われている。昔ながらの食肉製品大手Tyson Foods(タイソン・フーズ)も、代替肉に投資している。

培養肉の製造工程。1.動物の組織を採取、2.幹細胞を抽出.3.成長血清を投与して増殖、4.足場材料の中で細胞が筋肉に成長、5.筋肉を動かしてタンパク質を増やす、6.筋肉を挽く、7.ビタミン・脂肪・調味料・鉄分を添加、8.調理して食べる(画像クレジット:Getty Images/VectorMine

「規模を大きくして価格を下げるという考え方です。少量生産の企業も、価格を10分の1から100分の1に引げることは可能です。それはあり得ます。しかし、私たちのスーパーパワーは、成長材料を大規模に生産することで、価格を1000分の1にまで下げられることです」とマット・アンダーソン=バロン氏。「大量生産すれば、1Lあたり2ドルから3ドルというレベルにできるという話です」。

Future Fieldsの創設者は、彼らの技術について詳しくは話さなかったが、特定の組織の遺伝子を書き換えているとだけ教えてくれた。未確認の細胞株に特定のタンパク質を生成させる遺伝暗号を挿入し、異なる成長因子を作らせるというのだ。

アルバータ大学は、医療アクセラレーター・プログラムを独自に実施している(訳注:Future Fieldは現在そのコホート)。それは珍しいことではないが、エクイティーを要求しないアプローチは、スタートアップや生物工学を志す起業家に、希薄化を恐れず事業を発展させる機会を与えている。

Future Fieldsは、すでに少額のプレシード投資48万ドル(約5000万円)を、未公表のエンジェル投資家のグループと、シンガポールの農業食品技術アクセラレーターGROW(グロウ)から得ている。

ガフォー氏によれば、現在同社は数百Lの成長因子を生産できる能力があるが、来年にかけて、月間数万Lにまで生産規模を拡大できる工場の建設計画に取り組んでいるとのことだ。

ガフォー氏とその同僚たちの細胞農業は、すでに変曲点に達した。次なるステップは、科学的発見や大胆なイノベーションよりも、技術の地道な洗練作業と商品化に重点を置いたものになる。

「成長材料溶液が手に入り、中核的な部分は整いました。今後は、規模拡大のための効率性の把握が重要になります」とガフォー氏。

それでも、本当の意味で価格を引き下げ、現在の食肉と張り合えるようになるまでには、開発しなければならない要素がまだいくつも残されている。同社は今後、筋肉へと成長する細胞を支える足場材料や、肉に風味を与える脂肪組織の開発も行わなければならない。マット・アンダーソン=バロン氏によれば、バイオリアクターの改良も必要だという。「ここは未開の地です。やるべきことは、まだたくさんあります」。

この技術開発に取り組んでいる企業は、他にも数多く存在する。Glycosan(グリコサン)、Lyopor(リオポー)、Prellis(プレリス)は、みな動物の組織を発達させるための足場材料の開発に取り組んでいる。

「私たちの会社の展望は、この産業を加速させ、前進させることです」とジャリーン・アンダーソン=バロン氏。「最初、私たちは自分たちの技術の可能性に気づいていませんでした。しかし、みんなが同時に、この障害物を迂回できるようになると、私たちは考えたのです。そして他社と話し合い、他社とつながりのある投資家と話し合うちに、細胞農業を前に進める上で、これが重要なピースになるとわかったのです」。
画像クレジット:Getty Images under a Getty Images license.

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(翻訳:金井哲夫)

ケータリングのノンピが約2.1億円調達、法人オンライン飲み会専用の食事配送「オン飲みBOX」開始

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ケータリングサービスのノンピは8月3日、第三者割当増資として約2.1億円の資金調達を発表した。今回の資金調達により、さらなる経営基盤の強化を図るとともに、オンライン飲み会専用の食事配送サービス「オン飲みBOX」を開始した。

オン飲みBOXは、法人のオンラインコミュニケーションを促進するための新サービスとして、オンライン飲み会に最適化された食事の開発や、幹事向け受付サービス、配送オペレーションの仕組化を進めるとしている。

同社はこれまで、社員食堂の遊休資産を活用し調理した食事を提供する法人向けケータリングサービスを展開。官公庁、スタートアップ、外資系企業のキックオフや歓送迎会、新人歓迎会など年間約8000件のサービス提供実績があるという。

新型コロナウイルス感染拡大の影響などによりテレワーク・リモートワークが急速に普及した一方、同社顧客から、「オンラインキックオフ向けの食事を提供してほしい」「オンライン送別会を実施するから参加者の自宅にケータリングを届けてほしい」という要望があった。それらニーズに応える形で開発したのが「オン飲みBOX」としている。

オン飲みBOXは、調理・梱包した食事を1人分1箱としてパッケージングし、クール便で参加者の自宅に送付(全国配送可)。オンライン飲み会開催当日または前日に到着するように送り、参加者全員で同じ食事をとれるという。最大400名まで対応でき、全社員のオンラインキックオフやオンライン送別会などで利用できる。

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またオン飲みBOX利用の際は、オンライン飲み会の開催日1週間前までに、申し込む必要がある。幹事から参加者のメールアドレスをノンピに送付すると、同社にて配送先住所や配送時間を収集する。幹事のオペレーションを最小限に抑えると同時に、参加者のプライバシーを守れるとしている。また、費用清算は一括での対応となる。

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なおノンピは、100社限定で1社10名分までの半額トライアルを開始した。締め切りは8月31日まで。詳細は、「オン飲みBOX」ページを参照。

ノンピは、Google japan food teamの元総料理長や、外資系ホテルの元シェフなどを中心に構成された、食のプロフェッショナルチーム。ケータリングサービスにおいては、官公庁や外資系企業を中心に、年間約1万0000件の提供実績があるという。また、川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム内「ミュージアムカフェ」や、埼玉スタジアム2OO2「VIEW BOX」、三菱地所本社内カフェテリア「SPARKLE」、食事と空間にこだわる8ヵ所のフードプロデュースも実施した。

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