スタートアップのための知的財産戦略

us2177793-0

【編集部注】著者のBenjamin Lehbergerは登録特許弁護士で、St. Onge Steward Johnston & Reensのパートナーである。

知的財産保護は、ほとんどのスタートアップにとって重要な考慮事項である。特許などの知的財産権保護手段を取得することによって、競争を最小限にし、他者からの侵害請求に対する防衛手段として利用することができる。知的財産権はまた、資金とパートナーシップを引き寄せ、強固なものにすることができる。スタートアップのための知的財産戦略を策定する際には、以下のことを考慮して欲しい。

申請は迅速に、それまでは秘密に

特許申請のためのあなたの時間は限られている。開発の初期段階で特許は想定されているべきである。米国の場合、発明者は、最初に発明を公開してから特許申請を行うまでに1年間の「猶予期間」が与えられている。その後では手遅れだ。とはいえ、そんなに長く待つべきではない。2013年に、米国の特許制度は、先発明主義から先願主義に切り替わった。この用語上では僅かに違うだけの変更が、特許保護を遅らせた者への悲劇へと繋がる可能性がある。

従前の先発明制度の下では、たとえ先に申請をした者がいたとしても、あなたが最初に考案したという証拠を示し、発明に対する地道な努力を続けていれば、その発明に対する最初の考案者と認められ特許を得ることが可能だった。しかし今日では、特許庁に駆け込む早さを競うレースになっている。誰がその発明を最初に考案したものかに関わらず、最初にその特許を申請したものが「勝つ」のだ。

特許はスタートアップにとっての貴重な資産だが、それらはパズルの1片に過ぎない。

また、特許出願をするために1年間の「猶予期間」は、米国以外のほとんどの国には存在しないことに注意することが重要だ。海外でも特許保護を求めることを計画している場合には、特許出願を提出する前に発明を公表すると、海外における知的財産権を危険な状態に晒すことになる。したがって、申請は迅速に、それまでは秘密に。

発明が進化するにつれ、追加申請を

あなたのスタートアップが自社の製品を開発し続けていく過程では、それぞれの新しい機能に対して特許保護の可能性を検討して欲しい。初期に特許を申請しただけで、その後申請を行わなかったスタートアップは、実際に特許が発行されたときに、作っている製品が最初の特許の適用範囲を遥かに逸脱していることに気がつくかもしれない。そのとき製品は、保護が範囲が不足しているか、あるいは特許で全く保護されなくなっている可能性もある。

定期的に特許保護を再評価し、発明の新機能に対する申請を考慮することが重要である。製品が急速に進化している場合は、特許出願をするまでの1年以内に、仮特許出願あるいは連続した仮特許出願を行うことを考慮して欲しい。

特許の発行を待つことはない

特許には時間がかかる。審査を早める方法も存在しているが、平均的には、米国特許庁によって付与される特許のためには2年以上が必要である。特許出願の約30パーセントは全く受け入れられずに終わる。

発行された特許を持つことは、あなたのスタートアップのための資金を集め、マーケットにおける地位を確保することに役立つ。しかし、発明の商品化を、特許の発行まで待っていてはならない。常にスタートアップを前進させ、開発を続けよう。その過程で更なる問題を解決し、それがさらに重要な発明に導く可能性もあるのだ。また一方で、あなたのブランド、評判、収益を構築することになる。

意匠特許を検討しよう

特許の議論をする際に、焦点はしばしば通常特許(utility patent)に向かいがちだが、意匠特許(design patent)も包括的な知的財産戦略の一環として考慮されるべきである。一般に、通常特許は製品の使われ方や動き方を保護するものであるのに対して、意匠特許は製品の見た目を保護するものである。2015年の終わりまでに、米国特許庁は920万件以上の通常特許を発行したが、意匠特許の件数はわずか74万6000件ほどに留まっている。

意匠特許は通常特許を補足したり、通常特許が適用できないときの代替として利用したりする際に、重要な価値を提供することができる。ソフトウェア特許は、米国ではまだ適用可能である。しかし、AliceとCLS Bankが争った訴訟に対する最高裁の判断により、ソフトウェアに関連した発明の通常特許の取得は、より難しく予測できないものになっている。意匠特許は、ソフトウェア関連発明に関する特定の特徴、特にグラフィカル・ユーザ・インターフェースを保護するためには有効な選択肢である。

意匠特許の有効期間は15年で、通常特許の20年と比べるとやや短いが、これもコストのうちである。また、意匠特許は多くの場合、通常特許よりもはるかに迅速に得ることができる。

特許のみに依存してはならない

特許はスタートアップにとっての貴重な資産だが、それらはパズルの1片に過ぎない。スタートアップが成功するには、まず第1に良い製品やサービスを必要とする。特許庁は新規性があり自明ではない発明に対して特許を与える。しかしながら、特許を受けたからと言って、必ずしも良い発明であるとか、誰かが購入したいと思うものであるというわけではない。あなたが保護しているものが、保護に値するものであるかを確認して欲しい。

そして第2に、ユニークなブランドを構築して、登録商標でそれを保護すべきだ。商標とは、ある者の商品の由来を識別子、他のものと区別するための、単語、フレーズ、シンボル、あるいはデザインだ。強く分かりやすい商標を持つことは、競争相手からあなたを区別するためにとても重要な価値がある。そして特許とは異なり、登録商標は使用し続ける限り、期限切れになることはない。商標は、特許のような厳格な申請期限を持っていないが、早期に行動を始めて商標のクリアランスを検索し、あなたがその商標を使う際の競合がないことを確認することがベストだ。

最後に、スタートアップ事業の種類に応じて、著作権及び企業秘密保護もまた、知的財産戦略の中で考慮されるべきである。スタートアップを始める際には、知的財産の専門家と、どのようなタイプの知的財産戦略があなたの企業に相応しいかについて、相談して欲しい。

(訳注:本文中の特許関連の話題はすべて米国の話である。文中にもあるように長らく続けられてきた先発明主義は先願主義へと切り替わったため、比較的日米でも似たようなコンセプトで考えられるようになった。参考:米国の特許制度

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

RNA配列決定に革新をもたらすバイオテックのAmaryllis

amaryllis-nucleics4

遺伝情報を読み取り記録することは、世界中のどのバイオテック企業においてもその根幹をなす技術だ。よって、その技術が改善すれば、その産業そのものがアップグレードするといってもいいだろう。Amaryllis NucleicsはRNAから遺伝子を転写する技術を飛躍的に向上させることでバイオテック産業の技術革新を目指している。

ところで、今回の話を始める前に断っておかなければならないことは、この話は普通Disruptのステージで披露されるような、所謂テクノロジーとして定義されるものの範疇には入らないということだ。同社の商売道具は試薬とピペットであり、プログラミングと製品を扱っているわけではない。しかし誰かがバイオそのものをバイオテックに注入する必要があり、馴染みのある半導体チップとソフトウェアの場合と同様に、バイオテックを支える分子機構そのものをアップデートすることは大変重要なことなのだ。

Amaryllisを創設したのは二人のPhDを持つ科学者Brad TownsleyとMike Covingtonで、この分野で何年も研究をする間、RNAから遺伝情報を得るのにかかる時間と費用に常に不満を持っていた。もし、高校の生物で習ったことがうろ覚えになっているのなら、RNAというのは細胞のデータ格納所(DNA)と生産施設(リボソーム)を媒介するものだ。

「我々がUCデービスにいた時、RNAシーケンスを大量にこなしていました。あまりに多かったので全部やり切るだけのお金がなかったし、しかも時間がかかりすぎました」と、Covingtonは言った。「だから、我々は結局RNAを機械で読めるようにする新しいプロトコールを作ってしまったのです。そうしたら、そのプロトコールはこれまでのキットより安くて速くなっただけでなく、ずっと正確に読めるようになったのです」

もし、研究者が不満を溜めることで科学が進歩するなら、科学はとっくの昔に進歩しているだろう。しかし現実はそんなに甘くない。幸い、多くの興味深い発見があったおかげでこの新しいテクニックが見つかったが、それは多かれ少なかれかれ偶然の賜物だ。

彼らは既存のRNAシーケンスのプロトコールを整備しているうちに、奇妙なデータに気づいた。「Mikeは情報科学のバックグランドを持っていたので、その現象の背後にあるメカニズムに探りを入れることが出来たのです。その現象の最適化を繰り返すうちに大変うまく動くものを見つけることができました」と、Townsleyは言った。

ここで言っているのは、ちょっとした効率アップといったものではなく、他のテクニックと比べて半分から10分の1のレベルでの時間の短縮と、同規模のコストの削減だ。

こんないいテクニックを自分たちだけのものにしておくのは勿体ない、と彼らは考えた。

disrupt_sf16_amaryllis-2771

「始めたきっかけは、単に作業を簡単にしたかっただけなんです」と、Covingtonは言った。「会社を興そうとは考えもしませんでした」

「実際のところ、最初は全く自己の利益は眼中になかったのですが、そのうち、これは良い機会かもしれないと思いついたのです」と、Townsleyは付け加えた。「しかし、実際に自分で商品化することは、発見を世に出す上で最良の方法でもあるのです。新しいテクノロジーは、たとえ良いものでもその多くは大学の技術移転部門で朽ち果てています。その技術を活用してもらうには、誰かがあなたの持つまさにその技術を探しており、その人がたまたまその技術がリストされたカタログを眺めていることを願うしかないからです」

  1. amaryllis-nucleics5.jpg

  2. amaryllis-nucleics4.jpg

  3. amaryllis-nucleics3.jpg

  4. amaryllis-nucleics2.jpg

  5. amaryllis-nucleics1.jpg

  6. amaryllis-nucleics.jpg

  7. disrupt_sf16_amaryllis-2771.jpg

  8. disrupt_sf16_amaryllis-2774.jpg

彼らはIndieBioアクセラレーターに参加し少しばかりの資金を得た。その資金と新規の「物質の組成」のカテゴリーの特許により、彼らは発明をキット化し、研究者や大学、民間企業に発送することができた。キットの説明書通りにするだけでRNAの転写は粛々と進み、他のキットよりも速く正確に結果が得られる。

Amaryllisでは仕事の受託も行っているが、得られるデータ量は膨大で、何百ギガにも及ぶため、データファイルをホストするよりデータドライブを直接発送する方が便利なことがしばしばだ。このサービス自体がスケーラブルでないのは彼らも認めるところだが、顧客との関係を築く役には立ちそうだ。もし常連の顧客が何人かできれば、評判も加速的に広まるだろう。

disrupt_sf16_amaryllis-2768

キットの販売と自ら行う受託サービスにより、Amaryllisは現在の生産レベルのみでも月10万ドル余りのビジネスを行っている。しかし、ほとんどアカデミアのバックグラウンドしかないたった2人だけの従業員が仕事に当たっており、同社は会社としては極めて初期の段階にある。実際、Covingtonがウェブ・アプリのセットアップをしたものの、サービス全体をカバーするには程遠い状況である。

最終的には、彼らはこのキット販売をそれ自体で持続的なビジネスにしたいと考えており、その製造を完全に外部に委託するつもりだ。現在、セールス、マーケティング、サポートやその他作業をしてくれる人がいないので、彼らにはまずスタッフが必要だ。

「ロボットはあるのですが」と、Townsleyは言った。「そして、ここはUCバークレーに近いので、インターンの配属を数人分申請してきました」

究極的には資金が必要になるということを彼らは認めた。

「資金調達を考えています、もし一緒に働いてくれるスタッフを直ちに雇わなければ成長はとても遅いものとなるでしょう。10人分の仕事をたった2人でこなしているのが現状です。我々に関しては、キットのことはすべて忘れて新しい製品の開発に集中する方が理にかなっているでしょう」と、Covingtonは言った。「何人かテクニシャンを雇い入れてセールス専門の人員を雇用することでビジネスの規模を大きくしたいですね」

Amaryllisは会社としては最初期の段階にあるが、その製品は既存の物を超越している。バイオテック企業で何10億もの資金と収益を集めるとすれば、それは人気商品であり、その開発に偶然の発見が絡むとなれば、これは極めて稀なケースだ。今から1年後に彼ら自らが、ピペット片手に実験していることはないだろう。

 

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

ドイツの裁判所がAppleはOpenTVのビデオストリーミング特許を侵犯と裁定

gavel

【抄訳】
ドイツの裁判所が、2014年にスイスの企業KudelskiのOpenTV部門が起こしたビデオのストリーミングに関する特許訴訟で、Appleの敗訴を裁定した。

Reutersの報道によるとその裁定は、ドイツで売られるApple製品は、OpenTVの特許に抵触するストリーミングソフトウェアを使ってはならない、と述べている。“その主張は概ね有効であり根拠も明白である”、と裁判所は裁定した。

このドイツの訴訟は2014年5月にデュッセルドルフの地裁に提起され、OpenTVとその姉妹企業Nagraが保有する3つの特許に関連していた。大量のApple製品とサービスが、そのビデオストリーミングの特許に抵触する、とされた。それらには、iOSのモバイルデバイスやApple TV、App Store、OS-Xを使用するパーソナルコンピュータが含まれる。

この裁定にAppleが従うか、あるいは控訴するかは、現時点で不明である。今本誌は同社のコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

Appleに対するKudelskiの訴訟はこれだけはなく、同じく2014年に提起された、スマートフォンやコンピュータ上の対話的コンテンツへのアクセスをめぐる特許侵犯の裁判も、今進行中だ。さらにKudelskiの訴訟対象はAppleだけでなく、Netflix、Verizon、Cisco、Google、Disneyと華々しく、その一部(Netflixの一部事案)は被告の勝訴、他は多くが、ライセンス合意あるいはクロスライセンス合意に達している。同社によると、今同社が権利を保有している特許とその応用技術は4500件あまりに達する。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoftがファイルストレージ技術の特許をGoProにライセンス提供…株価は敏感に反応

6192265280_77ce225796_o

Microsoftが今日(米国時間2/5)、同社のMicrosoft Licensing LLCGoProが、“特定のファイルストレージとそのほかのシステム技術”に関して協働的な特許ライセンス契約を結んだ、と発表した

Microsoft Technology Licensingの社長Nick Psyhogeosが、今日の極端に短い発表声明の中でこう述べている: “GoProとのこの合意は、特許契約によって非常に幅広い技術共有が可能になることを示している。パーソナルなウェアラブルの技術をMicrosoftがライセンスするのは、目の前に大きな需要があるからであり、そのために弊社はあらゆる業界の企業とパートナーして、彼らの世界中の顧客のためのソリューションの、最適化を図っていきたい”。

契約の条件は公表されず、MicrosoftからもGoProからも、この基本的な声明文以上の詳細は共有されていない。たとえば、具体的にどのパテントのことかも、明らかでない。

ただしMicrosoft Licensingはかねてから、exFATファイルシステムを、ライセンス可の技術として明示的に挙げているので、今回の合意の中身はこれかもしれない。このファイルシステムを使うと、32GBから256TBまでのストレージメディア上により大きなファイルを保存できる。GoProの最新機種では、最大128GBまでのSDカードを使える。それより大きなカードのためには、GoProはすでにexFATフォーマットを使っているが、64GB以下の小さなものでは古くからのFATフォーマットを使用している。ただしFAT32のディスクでは最大ファイルサイズが4GBなので、ファイルを分割して保存する。

Microsoftに今回の契約に関する詳細情報を求めたが、同社は礼儀正しく断った。“プレスリリースあるもの以上に共有できるものはございません”、と言って。

詳細情報がないにもかかわらず、株式市場は今日の発表にきわめてポジティブに反応した。GoProは時間外取引で5%以上上げたが、今週発表された決算報告がアナリストの期待を裏切るものだったために下がった10%を、回復するほどではなかった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

FaceTimeの特許訴訟でAppleは、パテント・トロールに$625Mを払えと判決(Appleは上訴)

iphone-6s-phone-rear-2

合衆国の裁判所が、iPhoneのメーカーはiMessageとFaceTimeサービスで特許を侵犯していると裁定し、Appleは悪名高いパテント・トロール(patent troll)VirnetXに6億2500万ドルを払うよう命じられた。

VirnetXが一般的にトロールと呼ばれるのは、同社は売上のほとんどを特許料と訴訟から得ているからで、過去10年間に数多くのテク企業を訴えてきた。2014年にはSkypeに使われている特許でMicrosoftを示談に持ち込み、2400万ドルをポケットに収めた。2010年の裁判ではレドモンドの同じ企業から、2億ドルをせしめた。

VirnetX側の法律事務所は声明の中で、“陪審はわれわれの主張を理解した。AppleはVirnetXに特許権がある技術を長年侵害してきた”、と述べている。。

Appleは、この決定を上訴する、と言った。同社の主張では、問題の特許は正当でない。

Appleは声明でこう言ってる: “評決は意外であり失望している。われわれは上訴する。この技術は弊社の社員が長年かけて独自に設計したものであり、この知財を保護するために特許を取得している。VirnetXの4つの特許はすべて、特許局が無効と判断している。このような訴訟は、特許制度の改革の絶対的な必要性をさらに強調するのみである”。

ネヴァダ州のVirnetX社は2013年に、FaceTimeとiOS内のVPNサービスに使われている特許を侵犯しているとして、合衆国裁判所の裁定により、Appleから3億6800万ドルを勝ち取った。その後Appleはこれらのサービスに手を加えたが、しかしVirnetXはその変更を不十分と主張した。AppleやMicrosoftのほかにVirnetX社は、Cisco, Avaya, Siemensなどなどとも特許侵害で対決している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

特許紛争で合意―AppleはiPhoneを1台売るごとにEricssonにライセンス料を支払う

2015-12-22-ericsson

さきほど、テレコムのプラットフォームを提供するスウェーデンの巨大企業、Ericssonは、Appleとの間で係争中だった特許紛争が解決に至ったと発表した。今後7年間、AppleはiPhoneとiPadを1台売るごとにEricssonに特許のライセンス料を支払うことになる。

今年の2月、Ericssonは世界各国でAppleが特許権を侵害しているという訴訟を起こしていた。アメリカでは国際貿易委員会(ITC)、テキサス州東部地区連邦地裁、カリフォルニア州北部地区連邦地裁、イギリス、ドイツ、オランダの地方裁判所での訴訟が確認されていた。Ericssonによれば、Appleは数年前からiPhoneとiPadの製造に当たって、GSM,、UMTS、LTE関連で41件に上るEricssonの特許を侵害していたという。

大方の予想どおり、両社はこの件で和解し、Ericssonは訴訟を取り下げた。Ericssonが3万5000件の特許を保有していることを考えれば、今日(米国時間12/21)のニュースに特に新味があるとはいえない。特許の多くは携帯無線テクノロジーに関連しており、多くの携帯電話メーカーがEricssonに特許料を支払っている。どうやらAppleはEricssonの特許料金に納得できなかったらしい。

Appleは合意の代償としてかなりの額の2015年までのライセンス料金を支払い、さらに将来も毎年料金を支払うことになる。この契約で正確にいってどれほどの金額が動くことになるのかは明らかでない。しかしAppleの市場での地位を考えれば、相当の大金になることは間違いない。

Ericssonの2015年の特許料収入は15億ドルから16億ドルと見積もられている。Reutersの記事によれば、2014年には12億ドル程度であり、今年はかなり大きくアップしたことになる。.

念のため付け加えておけば、両社の関係は全般的にきわめて密接だ。EricssonとAppleは 5G、ビデオ、ネットワークのトラフィック最適化などの各分野のテクノロジー開発で良好な協力関係にある。「友は近くに置け。しかし敵はさらに近くに置け」とことわざにも言うとおりだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

特許訴訟でウィスコンシン大学に敗れたAppleは$862Mの損害賠償に直面

apple_headquarters_in_cupertino

Appleは特許訴訟と無縁な企業ではないが、最近ウィスコンシン大学マディソン校の許認可部局が興した訴訟は、同社にとって大きな損失になるかもしれない。

合衆国陪審は、iPhone 5SとiPhone 6 、iPhone 6S、およびiPadの一部の機種に存在するAppleのA7、A8およびA8Xのチップに、Wisconsin Alumni Research Foundation(WARF, ウィスコンシン学友会研究財団)が1998年に申請した特許に該当する技術が含まれている、と評決した。

裁判長の合衆国地裁判事William Conleyは、Appleは最大で8億6200万ドルの損害を償う義務がある、と述べた。

Reutersの記事によると、この裁判は負担義務、損害、および意図的侵害の三つの部分に分かれ、後日下される後者への判決によってAppleの賠償額はさらに増える可能性がある。

問題の特許、U.S. Patent No. 5,781,752は、“並列処理計算機のための表を用いるデータ推測回路”と題され、それは分岐予測を使ってコンピュータの電力効率を上げる、とされている。

そしてこの訴訟は、とうてい、Appleが抱える特許問題の最後のものではない。Reutersによると、WARFは先月再び訴訟を興し、Appleの最新チップA9とA9Xがやはり特許を侵害している、と主張している。

2009年にWARFは同じ特許侵犯でIntelを訴訟し、示談を獲得した

2015年1月に提出された訴状の原文を、ご覧いただこう:

WARF v. Apple

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。