EdTechが勢いを拡大したY Combinatorの最新バッチ

Y Combinatorが教育関連企業への出資を徐々に増加させている。リモートで学習する人々からの新たな需要によって教育分野が拡大しているためだ。同アクセラレーターの最新バッチでは、EdTechのスタートアップ企業数が14社とこれまでで最も多く、教師の収益化アプリや宿題アプリ、ソフトウェアエンジニアを安く養成する方法など、あらゆる分野に取り組む企業が世界中から参加している。

Y Combinatorはアーリーステージのスタートアップの成功例をひも解くための情報源としては使えないが(実際にデモデイの後には敗退を祝うディナーが開催されている)、ある瞬間に起業家たちが特定の分野についてどう考えているかを示すのには十分な役割を果たしている。マネージングディレクターのMichael Seibel(マイケル・セイベル)氏によると、各セクターのスタートアップの数はY Combinatorが決めるわけではなく、各セクターの応募者の数に合わせたものだという。つまり、より多くのEdTech企業が応募したため、YCもより多くのEdTech企業を支援したということだ。

注目すべき点は、このバッチに含まれる14社のEdTechスタートアップのうち、女性の創業者によるものはUPchieveとDegrees of Freedom(の2社のみであるということだ。Y Combinatorによると、W21に参加している企業の19%が女性の創業者を擁しており、バッチ全体の創業者の10%が女性である。前回のバッチからわずかに上昇しているものの、大きな上昇とは言えない。

この記事では今回参加したEdTech企業を取り上げ、初期段階の創業者の目に映る教育の未来を紐解いていきたいと思う。

進む国際化

現在のYCバッチでは、スタートアップの50%が米国外に拠点を置いており、これは同アクセラレーターとしては初めてのことである。Y Combinatorの国際化がEdTech企業の増加の一因になっているのかもしれない。世界で最も価値のあるEdTech企業の1つである、インドのByju’sのような企業の成長が示しているとおり、教育企業への消費者支出は目覚ましいものであり、世界中の初期段階のEdTechスタートアップがこれに注目しているのは明らかである。

Y CombinatorのEdTech投資のうちわずか2社のみが米国の企業となっており、残りの企業は南米とインドに集中している。

  • Manara:中東の人材を技術系の仕事に結びつけるためのマーケットプレイス。
  • Prendea:スペイン語を話す子供たちにライブでオンラインの放課後クラスを提供するペルー発のスタートアップ。
  • Avion School:フィリピンの学生を対象に、世界各地でリモートソフトウェアエンジニアとして活躍してもらうための教育を行うスタートアップ。
  • Poliglota:ラテンアメリカ向けの語学学校。

B2Bよりも消費者を重視

現在のEdTechバッチでは、ほとんどのスタートアップが機関や企業ではなく、消費者を対象にサービスを提供している。形式的な手続きの多い公立学校よりも、子供の親を説得する方がはるかに簡単なため、機関ではなく個人の消費者をターゲットにするというのは昔から珍しいことではない。ベンチャーが要求する規模に到達するためには消費者を扱うほうが簡単であり、それが常にEdTechの真理でもある。

  • Kidato:アフリカの中間層をターゲットにした、幼稚園児から高校生までを対象としたオンラインスクール。質の高さと手頃な価格に重点を置いている。
  • Codingal:インドの子供たちがコーディングを学ぶためのアフタースクールプログラム。

しかし、パンデミックによって教育機関がEdTechサービスへの投資を強化し始めているにもかかわらず、あまり実験的なビジネスモデルが試されていないというのも事実である。

こういった企業が直面するハードルの1つはやはりコスト面である。サービスを利用するのに費用がかかる場合、特定の所得層の人々にしか教育を提供することができない。その結果誕生したのがISA(所得分配契約)である。今回のバッチでは特に存在感を放っていたISAだが、これは学生が就職するまで教育費の支払いを保留でき、就職後は借金の返済を完了するまで収入の一定割合を企業に提供するというものだ。このモデルには賛否両論あるものの、YCの卒業生であるLambda School(ラムダ・スクール)が普及させたこのシステムは、学費の前払いを普及させるための方法として確立されている。

  • Pragmatic Leaders:より費用対効果の高いMBAを構築。学生が大学院卒業後に採用されるまでコースを無料で提供している。
  • Awari:サンパウロを拠点とする同スタートアップは、ISAを利用してブラジルの学生が技術教育を受けられるよう支援している。コースはデータ分析から製品UX、グロースマーケティングまで多岐にわたる。

後述するAcadpalは、インドの学校を対象としている異例の企業である。次のセクションに移る前に、ビジネスモデルにおける最も野心的な賭けを体現している2つのスタートアップを紹介したい。

  • UPchieve:低所得家庭の高校生が24時間365日無料で利用できるバーチャルチューターを提供する非営利団体。
  • Degrees of Freedom:柔軟性があり、コミュニティを重視した低コストの高等教育を提供したいと考えているスタートアップ。受講料は約9000ドル(約100万円)

Zoom大学の継続

「Zoom大学」の苦戦は続いているものの、それでもEdTech創業者らは教育の未来がオンラインコースにあると確信している。この事実こそが、この分野のすべての企業を結びつける1本の糸だったと言えるだろう。こういった企業に賭けるということは、リモート教育が一般化することに賭けるということなのだ。

前述のとおり、多くのスタートアップが特定の層向けにオンラインコーディングプラットフォームを提供している。著者の受信トレイには「XX向けのラムダスクール」と標題されたスタートアップからのメールが常に届くため、似たようなスタートアップが次々と現れても必ずしもエキサイティングとは思えない。しかし、今回のパンデミックによって、コミュニティやネットワークがいかに学校生活を豊かにするかということが明らかになったため、こういったオンラインスクールが、雇用者や卒業生との強力なパートナーシップを築くことができれば、そこには大きなチャンスがあるのかもしれない。

  • Turing College:リトアニアを拠点とするオンラインデータサイエンススクールで、 ISAを利用して教育を手軽に提供できるよう試みている。
  • Coderhouse:アルゼンチンを拠点とするスタートアップで、世界中のスペイン語圏の人々のためにライブのオンライン技術教育を構築することを目指している。

とはいえ、大きなチャンスがあるところには多くの競争相手が存在する。スタートアップはどうにかして差別化する方法を見つけなければならない。下記はその良い例だ。

  • Unschool:高等教育と雇用結果を結びつけるため、インターンシップを保証することでインドでの修了率を高めるプラットフォームを構築している。

コースの作成から終了まで、オンラインコースがどのように行われるかというインフラに注目する企業もある。

  • Pensil:インド国内のYouTube講師による講座の収益化を支援するプラットフォーム。
  • Acadpal:インドの教師が宿題を作成、共有し、学生が課題をこなして議論するための学習アプリ。
  • CreatorOS – Questbook(クリエーターOS – クエストブック):教師がオンラインコースでより簡単に教えられるようにするため、コースをすぐに開始できるようにするための簡単なツールの提供を目指す。

結論

現在YCバッチに参加しているEdTechスタートアップは、競争相手というよりもお互いに補完し合う関係にあるのではないだろうか。Acadpalのような宿題プラットフォームが成功するには、アフタースクールでの学習をオンライン化するCodingalのような企業が資金を得ることができれば都合が良い。また高等教育と雇用を結びつけるUnschoolにとって、Degrees of Freedomのような企業は、低所得者層の学生のための重要なパートナーとなり得る可能性がある。

EdTechは急速に成長しているため、さまざまな動きの細分化はある程度予想範囲内である。このバッチの本番はまだこれからだが、初期段階の起業家たちが今どこに将来性を見出しているのか、これを知るのは非常に興味深いことである。

カテゴリー:EdTech
タグ:Y Combinatorオンライン学習

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

家庭教師マーケットプレイスGoStudentがシリーズBで約91億円調達、米の新規投資家Cootueがリード

ウィーンを拠点とするGoStudentは、バーチャルな学習プラットフォーム上で学生と家庭教師を結ぶサービスを提供しているが、新たに米国の投資家CootueがリードするシリーズBのラウンドで7000万ユーロ(約91億円)を調達した。Coatueはここ1年ほど、ヨーロッパのスタートアップシーンを攻略してきた。このラウンドには既存の投資家であるLeft Lane CapitalとDN Capitalが参加している。これにより、GoStudentの調達額は8330万ユーロ(約110億円)となった。

GoStudentはドイツのSchülerhilfeやフランスのAcadomiaのような、学習センターでの少人数制授業に焦点を当てたオフラインプレイヤーと競合している。また授業をオンラインで行うことで、GoStudentはコスト削減をユーザーにもたらすことができる。なお、家庭教師がクラシファイド広告のような従来型の市場で広告を出す場合にも競合する。またこのサービスはZhangmen、VIPKid、TAL Educationなどの中国のプレイヤーに似ている。

今回の投資は、トルコやギリシャなどの国際市場への成長と拡大に充てられる。GoStudentはヨーロッパ15カ国を目標とし、従業員数を800人以上、家庭教師を1万人以上に増やすことを目標としている。同社のプラットフォームでは毎月25万以上の個別指導セッションが予約されているという。

GoStudentの共同創設者兼CEOのFelix Ohswald(フェリックス・オズワルド)氏は声明で「シリーズBの投資により、私たちはヨーロッパで最高の資金を得た消費者向けK12教育スタートアップとなりました。私たちは世界中の教育に革命を起こそうとしている既存および新規の投資家から、このような高い信頼を得られることに興奮しています。また、2021年の成長目標は非常に大きなものです。7000万ユーロ(約91億円)の投資により、GoStudentを高品質な教育を広く普及させるヨーロッパのトッププレイヤーとして位置づけることができます」と述べた。

Left Lane CapitalのHarley Miller(ハーレー・ミラー)マネージングパートナーは「GoStudentがヨーロッパでエレガントに展開し、手頃な価格で高品質な教育を多くの人に提供するのを見るのは、投資家としてエキサイティングな経験でした」と述べている。

DN Capitalのマネージングパートナー兼CEOのNenad Marovac(ネナド・マロバック)氏は「GoStudentはテクノロジーを活用することで質の高い教育を民主化し、ヨーロッパにおけるオンライン学習指導におけるの圧倒的な勝者になれると信じています」と述べている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:GoStudent資金調達ウィーン

画像クレジット:GoStudent

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

リーダーシップ能力を高める学習アプリ「Bunch」が1.1億円を追加してシード資金4.8億円を調達

Bunchは米国3月29日朝、今週新たに調達した100万ドル(約1億1000万円)を含め、合計440万ドル(約4億8000万円)のシードキャピタルをクローズしたと発表した。Bunchの製品であるモバイルアプリは、外出先でも小まめに学習することに慣れている若い世代に、リーダーシップスキルを教えることに重点を置いている。

ビジネススクールに通っていたみなさん、ここですぐに見限ってはいけない。このコンセプトには牽引力がある。

2021年3月初めにTechCrunchは、テキストを使ってエンドユーザーに企業研修を提供するスタートアップ、Aristを取り上げた。そちらの会社は前回の調達額に200万ドル(約2億2000万円)を追加して、合計390万ドル(約4億3000万円)を調達した。ゆえにBunchが追加資金を獲得したことは、それほど驚くことではない。

TechCrunchは、Bunchの共同創業者兼CEOであるDarja Gutnick(ダーヤ・グットニック)氏と、M13のパートナーでBunchの出資者であるKarl Alomar(カール・アロマー)氏にインタビューし、今回のラウンドとスタートアップの近況について話を聞いた。

Bunchは、よりよいリーダーになるためのヒントやコツを毎日、短い文章でユーザーに提供する「AIコーチ」だという。私たちの誰もが、もっとトレーニングが必要なマネージャーの下で働いたことがあるか、もしくは自分自身がそのようなマネージャーだったことを考えると、このアイデアは悪いものではない。

ご想像のとおり、Bunchは個々のユーザーに合わせてカスタマイズされる。グットニック氏はTechCrunchの取材に対し、同社がその基盤の一部として、さまざまなリーダーシップスタイルの「アーキタイプ」を詳述するために、研究者らと提携したと語った。Bunchのシステムはまた、ユーザーのスタイルやリーダーシップ目標に合わせてアウトプットをカスタマイズすることができる。

注目すべきは、TechCrunchが前回Bunchを取り上げたとき、同社は少し異なることに取り組んでいた点だ。2017年当時、同社は我々が「企業文化のためのGoogle Analytics」と表現したものを構築していた。それ以来このスタートアップは、企業ではなく個人に焦点を移した。

Bunchのサービスは2020年11月に開始され、年明けまでに約1万3000人のサインアップにつながった。同社によれば、現在では2万人近くが登録しているという。また、Bunchは今後数カ月の間に大きな製品計画を立てている。そのためにより多くの資金を調達し、アロマー氏と彼の会社もこのスタートアップにさらなる資本を投入することになったのである。

M13が十分に興奮してBunchに資本を投入した先にあるものとは?アロマー氏は、コミュニティやピアレビューの機能が搭載される予定だと語った。グットニック氏の会社がビジネスを構築し、もう少し仕事をしてからまた資金を調達するために、同社に資金投入するには良いタイミングだったと彼は説明する。

同社はフリーミアムによって収益を上げることを計画している。グットニック氏はTechCrunchに、同じカテゴリーの関連アプリはリテンションに苦労する傾向があり、前もって課金しておいて、後で使用量が落ちても気にしないようにしていると語った。同氏はそれを覆したいと考えている。

さらにBunchは、他のカテゴリーのコンテンツへの拡大も検討している。しかしこのスタートアップは、集中して最初のニッチを成功させたいと考えている。そして初期の牽引力が単にそれだけではなかったと証明するために、今はさらに100万ドル(約1億1000万円)の軍資金を持っている。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

プログラミング教育のHolbertonが波乱の年を経て「教育のOS」になるべくEdTCH SaaSに転身、約22億円調達

サンフランシスコでスタートしたHolbertonはパートナーと協力して米国、ヨーロッパ、中南米、ヨーロッパでコンピュータのコーディング教育を提供している。同社は米国時間3月28日、Redpoint evnturesがリードしたシリーズBラウンドで2000万ドル(約22億円)の資金調達を調達したと発表した。現在の投資家であるDaphniImaginable FuturesPearson VenturesReach CapitalTrinity Venturesも参加しており、Holbertonの資金調達総額は3300万ドル(約36億1000万円)となった。

Holbertonの発表は2020年が同社にとって相当な苦難の年だったことが影響している。原因はパンデミックによって対面式のスクールの運営ができなくなったことだけではない。

Holbertonの当初のシステムは個人情報を隠したプロセスによって選別された学生に、大学レベルの充実したソフトウェア開発教育を当初の支払いなしで提供するというものだった。Holbertonは「所得シェアリング」を採用しており、学生はコース終了後数年間の給与のうちから最高8万5000ドル(約930万円)を後払いの授業料として支払うことになっていた

しかし2020年初めにカリフォルニア州私立高等教育局(BPPE)は、Holbertonが認可されていない新しいプログラムを提供し始めたとして直ちに運営停止を命じた。問題のプログラムは9カ月間のトレーニングプログラムで6カ月間の雇用をともなった。この場合、学生は当初認可されたプログラムの授業料8万5000ドルを全額支払う必要があった。BPPEはヒアリングの結果、Holbertonがこれ以外のプログラムの運営を継続することを認めるた。しかし多くの学生が当初約束されたような教育を受けられなかったとして同校を訴えた

しかしこの波乱の時期にもHolbertonは成長を続けて、メキシコやペルーにキャンパスを開設していた。2020年にはキャンパスの数が9校から18校に倍増した。

しかし2020年12月17日にHolbertonはカリフォルニア州で受けていた学校教育の運営許可を自主的に返上した。その前日、Holbertonは、パンデミックのために2020年3月から閉鎖していたサンフランシスコのキャンパスを再開しないことを発表している。Holbertonの共同ファウンダーであるSylvain Kalache (シルヴァン・カラシュ)氏は「我々が描くミッションを達成するためには、市場の独自のニーズを深く理解しているすばらしい現地のパートナーと協力することが最も適している」と述べ、自社でキャンパスを運営することはしないとした。

現在、Holbertonは自らを「フランチャイズキャンパスや教育ツールを提供する教育のOS」と考えている。

2021年1月には、カリフォルニア州の司法長官は同校に不正行為があるという主張を取り下げた。カラシュ氏は同社として訴訟について始めて公にした文書で「カリフォルニア州はHolbertonが規制上の問題に直面した唯一のマーケットだった。この問題が解決したことで、我々は世界中のソフトウェアエンジニア志望者に手頃な料金でアクセスできる教育を提供するという本来の使命に立ち返ることができる」と書いてる。

新たな投資ラウンドの成功をみれば、投資家も同感だったに違いない。Redpoint eventuresのマネージングパートナーであるManoel Lemos(マノエル・レモス)氏はこう述べている。

Holbertonは世界レベルのカリキュラムを提供しながら高いコストやアクセスの困難といった高等教育のハードルを取り払うことに成功しています。Holbertonは「教育のOSをサービスとして提供する」というコンセプトのもとにユーザーがキャリヤで成功を収めるするために必要なすべてのツールを提供しています。投資家には地域経済の発展を目指す非営利投資家、新型コロナ後の学習環境における教え方のギャップを埋めたい教育機関に加えて、自らが教育機関となりまたは社員の研修育成プログラムとして高度なトレーニングを提供したい企業などさまざまです。

HolbertonのファウンダーであるCEOのJulien Barbier(ジュリアン・バルビエ)氏は私のインタビューに「スタートして以来、初めて我々は大学との協力を始めています。従来の手法に加えてさらに優れた学習体験と実践的な教育を提供し始めました。教育機関も学生、教員も教育方法の開発、修正に多大な時間を費やすことなく教育に専念できるので満足しています」と述べた。

バルビエ氏は、2019年に500人だった生徒が2021年は5000人に増え、米国、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカに新しいキャンパスができてネットワークが拡大すものと期待している。また各種の教育プロジェクトを自動で評価する「教育のOS」ツールや、オンライン教育プログラムにをすでに採用している顧客がいる点も指摘した。今週、タルサ市のHolbertyonは同市の物理的なキャンパスを2倍以上に増やす計画を発表したばかりだ。バルビエ氏は次のように述べた。

新たな資金調達は「教育のOS」を作るというビジョンを支え、加速させるのに役立っています。多くの教育機関が生徒やスタッフを支援するためのより良いツールを必要としています。今こそ私たちの助けが役立つときだと考えています。繰り返しますが、新型コロナはデジタル化による社会の変容を加速させており、埋めねばならないギャップが多数あります。今、我々は企業や大学、非営利団体に私たちのツールやコンテンツを提供して使用料を得るSaaS企業となっています。これによりユーザーは教育の質を向上させ、優れた学習体験を得られる大規模な教育/トレーニングプログラムを運営することができるのです。

関連記事:学費不要で完全な技術者を育てるHolbertonが$8Mを調達して学生数を増やす

カテゴリー:EdTech
タグ:Holberton資金調達プログラミング

画像クレジット:Holberton

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:滑川海彦@Facebook

「量子ネイティブ」育成に向けた「Q-LEAP 量子技術教育プログラム」公式サイトが公開

「量子ネイティブ」育成に向けた「Q-LEAP 量子技術教育プログラム」公式サイトが公開

「Q-LEAP 量子技術教育(QEd)プログラム」は3月25日、公式サイトを公開した。同サイトは、経済・社会的な重要課題に対し、量子科学技術(光・量子技術)を駆使して、非連続的な解決(Quantum leap)を目指す文部科学省・研究開発プログラム「光・量子飛躍フラッグシッププログラム」(Q-LEAP)において採択された人材育成プログラムのひとつとして運営されている。研究開発課題名は「量子技術教育のためのオンラインコース・サマースクール開発プログラム」で、研究開発代表者は野口篤史准教授(東京大学総合文化研究科)。

同サイトでは、量子技術や各種の量子実験に関する定期的なオンラインコースと、各機関でのインターンシップ、また集中的なサマースクールを組み合わせたハイブリッド型式による教育プログラムを作成予定。これらコースは開催とともに動画としても公開。内容に合わせた教科書に類する教材も作成・公開予定としている。

またメンバー・講師として、日本を代表する様々な物理系の若手研究者が参画し、最先端の量子技術の講義を行う。

  • 東京大学 飯山悠太郎氏。専門:量子ソフトウェア
  • 大阪大学 生田力三氏。専門:量子通信
  • 東京大学 長田有登氏。専門:冷却原子・強磁性スピン・イオントラップ・超伝導量子回路
  • 理化学研究所 川上恵里加氏。専門:電子スピン
  • 沖縄科学技術大学院大学 久保結丸氏。専門:常磁性スピン・ハイブリッド量子系
  • 東京工業大学 小寺哲夫氏。専門:量子ドット・スピン
  • 沖縄科学技術大学院大学 高橋優樹氏。専門:イオントラップ
  • 東京大学 武田俊太郎氏。専門:光量子計算
  • 東京大学 玉手修平氏。専門:超伝導量子回路
  • 東京大学 寺師弘二氏。専門:量子ソフトウェア
  • 分子科学研究所 富田隆文氏。専門:冷却原子
  • 大阪大学/量研機構 根来誠氏。専門:NMR・量子計測・電子スピン・超伝導量子回路
  • 東京大学 野口篤史氏。専門:量子制御
  • NTT物性科学基礎研究所 橋坂昌幸氏。専門:量子ホール効果
  • 量子科学技術研究開発機構 増山雄太氏。専門:量子計測・超伝導量子回路と冷却原子
  • 理化学研究所 松尾貞茂氏。専門:超伝導・ナノ細線・半導体物性
  • 理化学研究所 山口敦史氏。専門:原子時計
  • 国際基督教大学 山崎歴舟氏。専門:ハイブリッド量子系
  • 東京工業大学 米田淳氏。専門:量子ドット・電子スピン

近年量子技術は新たな展開を迎えており、これまで見ることさえ難しかった量子が測定技術や周辺テクノロジーにより「操作の対象」となってきた。

同サイトは、量子コンピューター・量子シミュレーション・量子インターネット・量子センサーなどの応用が量子技術の成熟によって可能となってきていること、また今後10~30年という間に社会進出してくるものと指摘。

ただし、量子技術また量子を取り巻くテクノロジーを扱う技術者の育成は明らかに遅れを取っているという。同サイトのプログラムを通し、これまでの量子技術を習得するとともに、今後の未来を開拓する新たな知見の探求を呼びかけている。

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加速するオンライン学習サービス、インドのEdTech大手Byju’sが評価額1.6兆円で近く654億円調達か

新型コロナウイルスパンデミックによってインドでオンライン学習サービスの浸透が加速したことを受け、2020年約10億ドル(約1091億円)を調達したインドのEdTech大手Byju’s(バイジュース)が新たな資金調達を開始させようとしている。

この件に詳しい2人がTechCrunchに語ったところによると、Byju’sは評価額150億ドル(約1兆6367億円)で新たに6億ドル(約654億円)超を調達することで交渉している。評価額は2020年後半に110億ドル(約1兆2002億円)、2019年7月は57億5000万ドル(約6274億円)だった。

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共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏は2021年2月、一部の既存投資家にかなりのサイズの新規調達を3月に行うことを告げた、と情報筋は話した。新規ラウンドの交渉はかなり進んでおり、いくつかの新規投資家がラウンドをリードすることが予想されているとのことだ。

Byju’sの広報担当は2021年2月と今週初め、コメントを控えた。

近年、インドの教育スタートアップが受け取った資金(Blume Venturesがまとめた画像とデータ)

同社は調達する資金をスタートアップのさらなる買収に使う計画だ。現在、米国拠点のスタートアップ(TechCrunchは社名を確認できなかった)と買収の話し合いをしており、インドの対面式コーチング機関Aakashを買収するためにデューディリジェンスを行っていると匿名希望の情報筋は語った。Byju’sは1年前に、インドと米国で学生にオンラインコーディングクラスを提供しているWhiteHat Jrを3億ドル(約327億円)で買収した

Byju’sは大学の学部や修士レベルのコースを学生が履修うできるように準備しており、近年は学校に通うすべての生徒にサービスを提供するためにコースを拡大してきた。Byju’sアプリでの個人指導はピザやケーキといった実社会のものを使って複雑な科目に取り組んでいる。

インド政府が数カ月にわたる全国規模のロックダウンと学校閉鎖を命令することになったパンデミックは、Byju’sそしてUnacademyやVedantuなどを含む他のオンライン学習スタートアップの成長を加速させた。

Byju’sはユーザー8000万人を抱え、うち550万人が有料のサブスクを利用している。GSV Venturesのマネージングパートナー、Deborah Quazzo(デボラ・クアゾ)氏は今週初めにインドのベンチャーファンドBlume Venturesが開催したセッションで、利益を上げているByju’sの2020年の米国での売上高は1億ドル(約109億円)超だったと話した。

スタートアップの幹部たちは最近開催されたUBSイベントで、Byjuの現在の収益ランレートは8億ドル(約874億円)で、今後12〜15カ月で10億ドルに達すると予想している。

Byju’sは現在、前回の資金調達で160億ドル(約1兆7473億円)と評価された金融サービスのPaytmに続くインドで2番目に価値のあるスタートアップになっている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Byju’s資金調達インド

画像クレジット:Paul Yeung / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルがApple Teacher Portfolioの認定、アプリ「スクールワーク」と「クラスルーム」のアップデートを発表

米国時間3月23日、Apple(アップル)は授業用アプリやApple Teacher Portfolioという教員向けの新たな認定など、教育関連のアップデートを発表した。教員はiPadとMacの基本的なスキルを習得する9つのレッスンを完了するとApple Teacherとして認定され、認定された教員は授業事例のポートフォリオを提出してApple Teacher Portfolioの認定を受けることができる。ポートフォリオを同僚と共有したり自分の成果を紹介するために使ったりすることもできる。

教員は、アップルが開設している教員向け自習プラットフォームのApple Teacher Learning CenterでApple Teacher Portfolioバッジの獲得を目指す。iPadやMacのアプリを使ってアートやビデオ、アニメーション、録音、ページレイアウト、ポッドキャスト、データトラッカー、音楽などを作るというように、教員はアップルのテクノロジーを授業にどう取り入れるかを学ぶ。アップルはサンプルのテンプレートを提供しており、教員はこれをカスタマイズしたり組み合わせたりして、iPadやMac、そしてKeynoteやGarageBand、iMovieなどのアップル製ソフトウェアを使うオリジナルのプロジェクトを作成できる。

画像クレジット:Apple

アップルはスクールワークアプリ、クラスルームアプリ、Everyone Can Createカリキュラムのアップデートも発表した。Everyone Can CreateはiMovieやClips、GarageBandなどアップルのクリエイティブツールを活用できるように以前から公開されていたカリキュラムだ。

スクールワークアプリでは、課題を書き出し、その後スクールワークやその他のプラットフォームに書き戻せるようになったため、スクールワークのプロジェクトを同僚と共有できる。またサイドバーのナビゲーションが改良され、クラスや課題、生徒のアカウントにすばやくアクセスできるようになる。

クラスルームアプリのアップデートは、リモート学習に対応するものだ。2020年、米国でロックダウンが大規模に実施されている時期に対応していれば、より有用だっただろう。このアップデートで教員はリモートの生徒をクラスルームのセッションに招待し、アプリの使い方を教え、生徒の許可を得た上で生徒の画面を見て、学習状況を把握することができるようになる。クラスルームアプリはMac Catalystを使って再構築されたため、iPadとMacで動作し、アップルのM1チップを搭載したMacでも動作する。

Everyone Can Createのカリキュラムには小規模なアップデートが多数ある。スケッチのガイドにはKeynoteのモーショングラフィックスとアニメーション、写真のガイドにはKeynoteを使ったアニメーションGIFの作成が追加された。ビデオのガイドではグリーンスクリーンなどの特殊効果を使ったショートフィルムの作成を取り上げ、音楽のガイドにはGarageBandを使ったポッドキャスティングの機能が追加されている。現在、世界で5000以上のK-12教育機関(日本では幼稚園〜高校に相当)がこのカリキュラムを利用している。

アップルは2020年にスクールワークアプリとクラスルームアプリをアップデートし、スクールワークにはクラウドを利用した課題の管理や生徒とのFaceTime通話などリモート学習に対応するアップデートもあった。しかしコロナ禍で学校がリモート学習を余儀なくされる中、Google(グーグル)は積極的にソフトウェアを提供し教員にアピールしてEdTechのライバルたちをリードした。多くの学区で低価格のChromebookが配布され、2020年に需要が急増したBloomberg Quintによれば、Google Classroomも2020年4月までにアクティブユーザーが1億人以上へと急増したという。2021年2月にグーグルは、同社のサービスを利用する生徒、教員、管理者が2020年の4000万人から1億5000万人以上に増えたと述べている

関連記事:GoogleがClassroomなどのオンライン教育ツールに50以上のアップデートを予定、「Google Workspace for Education」に再ブランド

アップルは今回の発表で同社の教育ソフトウェアプログラムの利用者数には言及していない。とはいえ、教員にポートフォリオの作成と共有を奨励すると、アップルのツールを採用するプロセスに教員がこれまで以上に直接関与することになり、このようにしてアップルは採用を推進している。

Apple Teacher Portfolioは米国時間3月23日に発表され、Apple Teacher Learning Centerで提供されている(訳者注:この日本語記事掲載時点で、日本のApple Teacher Learning Centerではまだ提供されていない)。Everyone Can CreateのガイドはApple Booksで無料でダウンロードできる。スクールワークアプリとクラスルームアプリの新バージョンは、AppleSeed for ITでベータ版が提供されている。

カテゴリー:EdTech
タグ:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

コンピューター技術者を目指す若者にまずは学位を取らせるEdTech「Edge Pathways」

4年前、起業家Dan Sommer(ダン・ソマー)氏はTrilogy Education(トリロジー・エデュケーション)を創設し、大学と協力して最新技術の職業訓練をオンラインで個人指導する、大人向けの教育の場を作るという大きな賭けに出た。

2019年、ソマー氏はその企業を2U(トゥーユー)に7億5000万ドル(約820億円)で売却し、今日に至るまで最大のEdTech系エグジットを果たした。そして米国時間3月18日、ソマー氏はベンチャー投資に支援された新たな教育系スタートアップをローンチした。今回は、もう少し早い教育段階からスタートする。つまり高校だ。

Edge Pathways(エッジ・パスウェイズ)というこのスタートアップは、大学と協力して、エンジニアを目指す若者に、難解で、ときに怖じ気づきそうになる科学、技術、教育分野への入口へ導き、大学の1年間修了時の単位を授与する。本日のサービス開始にともないEdge Pathwaysは800万ドル(約8億7000万円)のシード投資を調達したことも発表した。このラウンドは、First Round Capital、Emerge Education、Rethink Education、2Uが主導した。First Round CapitalのBill Trenchard(ビル・トレンチャード)氏は、Edge Pathwayの取締役会に参加することになっている。

ソマー氏の新スタートアップは、すでに企業に雇用され技術を磨いているコンピューター技術者ではなく、コンピューター技術者を目指す若者に、まずは学位を取らせることを目的としている。同氏の2つのスタートアップの違いを尋ねると、突き詰めるなら、学生のサポートを後押しし、最終的に成功に結び付けることが支援者の役割であるの、1つの知見だと彼は答えた。

「この2年間、数多くの企業が才能ある学生を旧式の工学教室に集めようとしてきました」とソマー氏。「もっと早い段階からスタートすることでスキルギャップを解消し、まだ多感で、学習意欲と新しい進路への関心が高い若者たちを多く集められるようになります」。

Edge Pathwaysは、大学の最初の1年間に相当するプログラムと単位を提供してもらえるよう、大学に協力する。Drexel(ドレクセル)やNortheastern(ノースイースタン)の協同プログラムを参考にしたEdge Pathwaysは、旧来の講義中心の教育に代えて、プロジェクトベースの学習とインターンシップの機会に学生を結びつける。つまり同スタートアップは、工学を学びたい若者に扉を開きたい大学のためのサービスプロバイダーということになる。

Edge Pathwaysは、実際に単位が取得できるため、大学の体験入学とは違う。極めて重要な利害関係者である大学に満足感を持ち続けてもらうために、同スタートアップは、プログラムに参加できる学生の選考を大学側に任せることにしている。また、プログラムのカリキュラムも、大学職員を交えて組み立てる。Edge Pathwaysの役割は、プログラムの実施と日々のサポートに限られる。

最初の1年を修了した後も、同社は学生の寄り添い、在学中を通して、指導や就職活動の支援を行う。

このプログラム受講料は1万5000ドル(約160万円)。州内在出身者が減免される学費よりも、わずかに安い。数々の調査が示しているように、STEM(理数工系)学生は、専攻を変えたり、退学してしまったりで脱落者の比率が多い。これでは、エンジニアを求める350万件ほどもある雇用口が満たされないと、ソマー氏はTechCrunchに話した。

Edge Pathwaysの最大の課題は、顧客とのプロダクトマーケットフィットだ。大学と手を組んでカリキュラムを作っているが、それが学生の要望や必要性に適合することが必須だ。そこでの重要な判断は、エンドユーザー抜きに決めるわけにはいかない。当然ながら、ソマー氏は自身の取り組みに自信を見せている。

「非常に多くの学生たちが、特に今の時代、教室で習ったことが外の世界でどう役に立つか、その関連性を見いだせずにいます」と彼は話す。「そのつながりを作るのは大変な作業であるため、大学でそのギャップを埋めてもらうための支援をするモデルを、私たちは開発しました」。

もう1つ、Edge Pathwaysの前に立ちはだかっている大きな課題は、協力者となる大学探しだ。ソマー氏は、最初のパートナーがどの大学になるかの明言は避けたが「じきに」発表するとのこと。特にソマー氏は、当初の提携大学は編入可能な大学になると考えている。理数工系学部で学ぶ学生の4割が編入生だからだ。

「今では大変に多くの大学が、学生の編入に力を入れています」と彼はいう。「こうした猛勉強を要する難しい専攻科目を修了できるよう学生たちを支え、やる気を出すことの意味を与えたい」とEdge Pathwaysは願っている。

野心的な大事業だが、時代遅れの教育方法を自ら淘汰することで、Edge Pathwaysが学生たちに提供する理数工の世界での活躍の機会が、大きく際立つことになるだろう。

カテゴリー:EdTech
タグ:Edge Pathways資金調達STEM教育

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:金井哲夫)

語学学習の需要増を受け個人指導マーケットプレイスのPreplyが38億円調達

語学学習のための個人指導マーケットプレイスPreply(プレプリー)は、Byju’sとNewselaが出資するEdTechファンドであるOwl VenturesとFull In Partnersが共同でリードしたシリーズBラウンドで3500万ドル(約38億円)を調達した。このラウンドの1年ほど前に、Preplyは1000万ドル(約10億8800万円)のシリーズAをクローズした。Preplyの投資家にはPoint Nine Capital、Hoxton Ventures、EduCapital、All Iron、Diligent Capital、Evli Growth Partnersが含まれる。

Preplyの最近の成長、そして語学学習におけるグローバルブームが現在の投資家の関心を物語っている。

シリーズAをクローズしたとき、Preplyで予約されたレッスンは200万で、十分に吟味された個人指導教師1万人を抱えていた。その1年後、Preplyのプラットフォーム上で予約されたレッスンは1000万超となり、個人指導教師のネットワークは190カ国4万人に成長した。Preplyは2020年に米国での事業拡大を狙っていた。そして今では売上高の3分の1は米国で上げていて、顧客数で最大のマーケットとなっている。

2021年IPOする計画のDuolingoや、2019年の売上高が1億5000万ドル(約163億2000万円)を超えたBabbelのような超重量級の競合相手がいるにもかかわらず、Preplyが牽引力を手にしていることを成長は示している。CEOのKirill Bigai(キリル・ビガイ)氏は生徒と個人指導教師を結びつけるのに人工知能を活用したテクノロジーによって他社と差異化を図ることができたと話す。

Preplyのセールスポイントは、生徒の学習ニーズに最も合う教師を結びつけられることだ。マーケットプレイス内で生徒と教師を結びつける前に400超のパラーメーターを比較検討する。例えば夜に学習したいサンフランシスコにいる生徒を、その要望に答えられるタイムゾーンにいる教師と結びつけることができるとビガイ氏は話す。また、学習のために2言語を使えるバイリンガルであるなど、生徒が自身と同じようなバックグラウンドを持っている教師を探すのもサポートできる。

Preplyが競合他社と最も異なる点は、学習がどのようになされるべきかという哲学にある。学習はライブで、そしてネイティブスピーカーと行われるべきであるとPreplyは信じているが、Duolingoのような企業はゲーム化して自己主導でできると考えている。

「当社の顧客は、当社の語学学習のやり方が他の学習アプリよりもずっと効果的だと考えています」とビガイ氏は述べた。Preplyはスペイン語、英語、フランス語などに加えてアイスランド語、チベット語、カタルーニャ語といったニッチな言語も含め、計50言語をサポートしている。

これまでにないEdTechのサブセクターへの無関心と既存プレイヤーの存在にもかかわらず、パンデミック中に他の語学学習アプリも同様に成長できた。Fluent Foreverは展開する語学学習システムのために490万ドル(約5億3000万円)を調達し、別の会社Fluent Cityはサブスクサービスを立ち上げた。

関連記事:オンライン言語学習システムFluent Foreverが5.1億円調達、フラッシュカード方式で日本語など9カ国語の学習を支援

法人向けでPreplyには大きなチャンスがあるとビガイ氏は考えている。同社は2019年に、同僚やクライアントが話す言語を従業員が学習するのをサポートするためのソリューションとして世界中の事業者への販売を開始した。2021年、Preplyはものすごい数の法人顧客を持つだろうとビガイ氏は話した。

同社は個人指導教師との収益分配契約によって利益を得ている。1時間あたり15〜20ドル(約1600〜2200円)の各レッスン代の20%、最初のレッスンの全費用がリードジェネレーションの代わりにかかる。法人向けのサービスでも同じビジネスモデルだが、雇用者がコストを負担しているため従業員の利用時間には上限がある。

Preplyは教師が同プラットフォームにどれくらい利用し続けるかを示す教師の保持についての数字は明かさない(この要素は、生徒の理解や学習の継続にとって鍵となる)。トップの教師の30%が複数年同プラットフォームで教えているとビガイ氏は述べた。

同社は売上高を明らかにするのは却下したが、望めば黒字化できたかもしれないと話した。差し当たってPreplyはB2Bサービスでの成長と事業開発を優先している。

カテゴリー:EdTech
タグ:Preply資金調達語学学習

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Courseraは3月5日に上場を申請する計画

オンライン教育のプラットフォームであるCourseraは、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの間も成長が途絶えることなかった。情報筋によると、米国時間3月5日に株式上場のための申請書類を提出することになったという。引受人や引受企業との話し合いは2020年から行われてきたが、3月5日は同社のIPO過程の、最初の法的手続きとなる。

マウンテンビューに本社を置く同社は2012年に創業され、プライベートマーケットにおける最後の評価額、2020年7月のシリーズFにおけるそれは、24億ドル(約2600億円)だった。ブルームバーグはCourseraの最新の企業価値を50億ドル(約5420億円)としている。

最新の資金調達で同社のキャッシュバランスは3億ドル(約330億円)となり、それは同じくオンライン学習プラットフォームCheggの上場前とほぼ同額だ。CourseraのCEOであるJeff Maggioncalda(ジェフ・マッジョンカルダ)氏は、IPOへ向かう意思を最終的に表明した。

Courseraは、パンデミックの間に多忙だった。同社は同じく上場を計画している大規模オープンオンラインコースのUdemyと並んで、そのビジネスにエンタープライズ部門を加えた。それはCoursera for Campusと名づけられ、大学などが自分でオンラインコースを開設することを助ける。この、入学試験やクレジット制もあるソフトウェアは、世界の3700を超えるカレッジなどが利用している。この事業の収益は不明だが、UdemyのUdemy for Businessの場合は年商2億ドル(約220億円)弱で安定している。2021年2月に同社は、企業の公共性を表すB Corp証明を取得した。それは、企業の社会的および環境的パフォーマンスが高いことを表している。また同社は、単なる民間企業から公益企業(public benefit corporation)に転換した。

EdTech企業を主に支援しているVC企業GSVが、Courseraのファンドの最大の部分を受け持っている。GSVの先の発表では、そのFund Ⅱの総額は1億8000万ドル(約200億円)となっている。

EdTech企業が、マーケットの熱気が衰えず、リモート教育が授業の主流であり続ける間に上場を志向するのは、理に適っている。最近上場した同業他社のうち、NerdyとSkillsoftはSPACを利用して公開市場にデビューした。そして、上場した場合のCourseraはこれらの新進企業だけでなく、ベテランのEdTech公開企業である2UやChegg、K12 Inc、Zovio Solutionsなどとも肩を並べることになる。

関連記事:個別指導サービスのEdTechスタートアップNerdyがSPACを介して上場へ

Courseraは、コメントの求めに応じなかった。

カテゴリー:EdTech
タグ:Coursera新規上場

画像クレジット:MirageC/Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

子ども向けSTEM教材開発のワンダーラボが資金調達、累計調達額3.1億円に到達

子ども向けSTEM教材開発のワンダーラボが資金調達、累計調達額3.1億円に到達

子ども向けアプリ・タブレット教材開発・運営などを行うワンダーラボは3月3日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は旺文社ベンチャーズ、EduLabのグループファンドEduLab Capital Partnersがそれぞれ運営するファンド。2020年7月実施の小学館からの資金調達を経て、3社からの合計調達額は3億1000万円となった。

調達した資金は、主にプロダクトの開発体制の整備や人材採用、プロモーションに投資し、成長を加速させる。また、海外展開に向けた調査・体制整備も積極的に行う。

2014年創業のワンダーラボは、STEM教育領域の子ども向けデジタル教材の開発・運営を手がけるEdTech(教育テック)分野のスタートアップ。

2017年にリリースした思考力育成アプリ「シンクシンク」(Android版iOS版)は、抽象思考の基礎となる思考センスを育てる問題を多数収録し、150カ国のべ150万人に利用されているという。また学力・非認知能力の両面に効果があることが実証実験で明らかになっている(慶應義塾大学 伊藤寛武氏、慶應義塾大学SFC研究所 葛西慧子氏、慶應義塾大学 中室牧子氏による「CAI(Computer-aided instruction)は生徒の認知能力を上昇させるのか?」)。

またSTEM教育領域の通信教育「ワンダーボックス」も、これまでにないデジタルとリアルを組み合わせた教材として2020年4月にリリースした。

EdTech分野では、マシンラーニングなどを用いた学習の効率化・最適化にスポットライトがあてられがちだが、同社は、「子どもの『知的なわくわく』を引き出す」ことにこそ、その時代の最高の技術や知見を活用していくとしている。

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タグ:資金調達(用語)STEM教育(用語)ワンダーラボ(企業)日本(国・地域)

短い動画で数学や科学を学ぶインドのエドテックスタートアップDoubtnutが約33億円調達

Doubtnut(ダウトナット)は、生徒が短いビデオを使って数学や科学の概念を学び、習得するのを支援するインドのスタートアップ企業だ。同社はインド最大のEdTech(教育テクノロジー)企業であるByju’s(バイジュース)からの買収オファーを断った数カ月後、新たな資金調達ラウンドで3100万ドル(約33億円)を調達した。

インドのグルグラムに本社を置くDoubtnutは、3年前に設立された。同社の発表によると、今回の3100万ドルを調達したシリーズBラウンドは、SIGとJames Murdoch(ジェームズ・マードック)が設立した投資会社のLupa Systems(ルパ・システムズ)が主導したとのこと。既存の投資家であるSequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)、Omidyar Network India(オミダイア・ネットワーク・インディア)、Waterbridge Ventures(ウォーター・ブリッジ・ネットワーク)もこのラウンドに参加しており、同社のこれまでの資金調達額は約5000万ドル(約53億3000万円)となった。

Doubtnutのアプリでは生徒が問題となる写真を撮り、機械学習と画像認識を使用して、短い動画で答えを得ることができる。この動画は、生徒に問題の解くための指示を、ステップ・バイ・ステップで提供する。

このアプリは複数の言語に対応しており、Doubtnutによると、これまで獲得した250万人以上のデイリーアクティブユーザーが、合計で月に6億分をアプリに費やしているという。ユーザーの半数以上は、過去12カ月間に初めてインターネットに接続するようになったと、同社では述べている。

Doubtnutは、第6学年(中学1年生)から高校生までの生徒を対象に、9つの言語で6500万問以上の問題を収録したバンクを開発したという。他のいくつかの人気のあるEdTech企業とは異なり、Doubtnutはそのアプリが、小さな町や都市の学生にも使用されていると述べている。「現在の顧客ベースは、85%がインドの上位15都市以外から来ています。また、60%のユーザーはステートボード学校の生徒であり、そこでは一般的に地元の言語で授業を受けています」と、同社は述べている。

TechCrunchは2020年、Byju’sが1億5000万ドル(約160億円)でDoubtnutを買収しようと交渉中であると報じたがその後、Byju’sは買収額を引き下げ、両社の交渉は終了した。

ジェームズ・マードック氏は先月、Uday Shankar(ウデイ・シャンカール)氏と再び組むことを発表した。シャンカール氏はインドでマードック家が、後にDisney(ディズニー)に買収されたStar(スター)の事業を起ち上げる際に、マードック氏を手伝った人物だ。シャンカール氏はマードック氏と協力して、インドにおけるLupaの取り組みを「加速させる」と、2021年1月にマードック氏は語っていた。Lupaはこれまで、インドでニュースアグリゲータやソーシャルアプリを展開しているDailyHunt(デイリーハント)をはじめ、十社前後のスタートアップを支援してきた。

「Doubtnutは、すべての生徒、特にインドの主要都市以外に住む生徒の学習成果を向上させるというビジョンを持って設立されました。私たちは地元言語によるコンテンツ開発を専門としており、テクノロジーを利用して、この大規模なターゲット層の人々のために、手頃な価格のソリューションを開発しています」と、Doubtnutの共同設立者で最高経営責任者(CEO)を務めるTanushree Nagori(タヌシュリー・ナゴリ)氏は述べている。

「SIGは世界的な教育技術企業に投資してきた経験が豊富で、Lupa Systemsは世界クラスのビジネスを構築し、インパクトの高い技術を活用してきた無類の経験を持っています」と、彼女は続けた。

このスタートアップ企業は、今回の資金を投入することで、より多くの言語サポートを追加し、現在カバーしている科目の範囲を拡大する予定だという。Doubtnutはまた有料コースの導入も計画している。

カテゴリー:EdTech
タグ:インド資金調達Doubtnut

画像クレジット:Sattish Bate / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

競技プログラミングコンテスト「AtCoder」アルゴリズム実技検定初の公式テキストが登場

競技プログラミングコンテスト「AtCoder」アルゴリズム実技検定初の公式テキストが登場

競技プログラミング(競技プロ)コンテストを運営するAtCoderは2月25日、同社が定期開催している「アルゴリズム実技検定」初の公式テキスト「アルゴリズム実技検定公式テキスト[エントリー〜中級編]」が、マイナビ出版より発売されると発表した。発売日は2月27日で、価格が税込3828円。著者は岩下真也氏と中村謙弘氏。AtCoder代表取締役社長の高橋直大氏が監修を行っている。

  • 書名:アルゴリズム実技検定 公式テキスト[エントリー~中級編]
  • 監修者:高橋直大氏
  • 著者:岩下真也氏、中村謙弘氏
  • 価格:税込3828円
  • 判型:B5変形判384ページ
  • ISBN:978-4-8399-7277-6

AtCoderのアルゴリズム実技検定(Practical Algorithm Skill Test, PAST)は、「アルゴリズムをデザインし、コーディングする能力」(一からプログラムを作成する能力)を問う、実践を想定した日本初の検定。「知識型ではない」「受験者が得意なプログラミング言語を選べる」「アルゴリズム設計力・実装力を図る」という3点の特徴により、従来定量的な把握が難しかったプログラミング能力を評価することが可能となったという。

アルゴリズム実技検定公式テキスト[エントリー〜中級編]は、アルゴリズム実技検定初の公式テキストにあたり、同検定で設けられている5ランクのうち「エントリー」「初級」「中級」の出題範囲を網羅的に解説している。プログラミングの基礎知識から、各種アルゴリズムの解説、数学的な問題解決方法まで、アルゴリズム実技検定に限らずソフトウェアエンジニアに要求される知識を盛り込んだとしている。

書籍内容

  • 1章:アルゴリズム実技検定の挑戦にあたって
  • 2章:問題の解き方
  • 3章:アルゴリズムとコーディング
  • 4章:Pythonを使ったプログラミング[エントリー編](標準入出力、if、for、簡単な数学的問題)
  • 5章:基礎的なアルゴリズム[初級編](二次元配列、各種探索、再帰、数学的な問題)
  • 6章:応用的なアルゴリズム[中級編](各種探索、各種順列、動的計画法、メモ化再帰、計算量改善テクニック、累積和、グラフアルゴリズム)
  • 7章:さらなる得点を狙うために

第6回アルゴリズム実技試験を4月10日に実施

またAtCoderは、4月10日に第6回アルゴリズム実技試験を実施する。リアルタイム受験の場合は4月10日13:00〜18:00(5時間)で試験を終える必要がある。通常受験の場合は、4月10日18:00〜4月24日12:59の間に試験を開始可能。ただしこちらも、受験開始時刻から5時間以内という条件がある。

問題数は15問で、点数は100点満点。点数配分は、1問目=9点、2~3問目=8点、4~6問目=7点、7~15問目=6点。また点数に応じて獲得できるランクは、エントリー(25~39点)、初級(40~59点)、中級(60~79点)、上級(80~89点)、エキスパート(90~100点)の5段階。

問題を解くために利用できるプログラミング言語はC、C++、C#、Elixir、F#、Go、Java、JavaScript、Python、Ruby、Rust、Swift、TypeScriptなど。開発環境、エディター類は自由。コンテスト中の自作ライブラリーの使用、インターネットでの検索も認められている。詳細は「ルール」ページを参照してほしい。

  • 試験名称:第6回アルゴリズム実技検定(Practical Algorithm Skill Test。PAST)
  • 開催日時:リアルタイム受験の場合は4月10日13:00〜18:00。通常受験は4月10日18:00〜4月24日12:59(受験開始時刻から5時間)。
  • 受験方法:オンライン受験。AtCoderIDを使用し、自宅・職場など場所を選ばず受験可能
  • 試験結果:点数・ランクとして試験終了後に即時発表
  • 受験費用(一般):税込8800円/人
  • 受験費用(団体):30名以上は税込7040円/人。100名以上の場合は税込6160円/人
  • 主催・運営:AtCoder

AtCoderは、日本最大級の競技プログラミングコンテストサイト「AtCoder」を運営。20万名超(うち日本人は11万名以上)が参加登録し、毎週開催される定期コンテストには約1万名以上が挑戦するという。

その他にも、高度IT人材採用・育成事業として、コンテスト参加者の成績を8段階にランク付けした「AtCoderランク」を利用する転職・求職支援サービス「AtCoderJobs」や、IT人材のプログラミングスキルを可視化できる検定「アルゴリズム実技検定(PAST)」といったサービスを展開している。

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カテゴリー:EdTech
タグ:AtCoderオンライン学習 / eラーニング / オンラインレッスン(用語)エンジニア(用語)教育 / EdTech / エドテック(用語)競技プログラミング / 競プロプログラミング(用語)日本(国・地域)

教科書に代わる教材を提供するNewselaが全米2/3の公立校で採用、ユニコーンステータスに達す

K-12(幼稚園から高3まで)の教材を作っているSaaSのNewselaにはこれまで、TCVやKleiner Perkins、Reach Capital、Owl Venturesなどが投資している。同社は今日、シリーズDのラウンドで1億ドルを調達したことを発表した。このラウンドをリードしたのは新たな投資家であるFranklin Templetonで、Newselaの評価額を10億ドルの大台に乗せた。今回の調達額は、Newselaのこれまでの調達額の合計よりも多い。

NewselaのCEO、Matthew Gross氏は、「評価額が10億ドルになっても何も変わらない」、と言っている。それでも同社は、QuizletやApplyBoard、CourseHeroなどと並んで、この分野でユニコーンに到達した企業の一つになる。それには、リモート教育の人気の持続と増大が貢献しているだろう。

Newselaが作ったのは、いろんなサードパーティコンテンツをつなぎ合わせるプラットホームだ。それらはドキュメントの原典だけでなく、雑誌National Geographicの記事なども入る。Gross氏によると、それらは「教育を目的としていない素材であり、しかし面白くて勉強になることは目的としている」コンテンツだ。そしてNewselaの仕事は、教室で教科書をコンテンツで置き換え、同時に教師には新鮮で個人化された素材を提供して彼らを助けることだ。

Gross氏の説明によると、「教科書は教室で死んでいるが、校区の予算の中ではまだ立派に生きている」。そこで同社のミッションは、同社のプロダクトの普及を促進して、できるだけ多くの予算を生きた教室のために使ってもらうことだ。普及活動には、「教科書のほかにこんないいもの、面白いものがあるよ」、と先生たちを説得することも含まれる。リモート学習で児童生徒の参加性が弱くなってるだけに、コンテンツの分析と評価が同社のますます重要な仕事になっている。

同社が提供する有料プロダクトは、児童生徒一人あたり6ドルから14ドルぐらいだが、教科書は全部合わせると一人あたり20ドルから40ドルの年額になる。

ほかのエドテック企業と同じくNewselaも、パンデミック以降はプロダクトを無料で提供しており、それにより新たなユーザーが増えた。

その登録ユーザー数は、パンデミックの前と比べて115%増、売上は81%増えた。売上の額は明かさないが、利益は出ているという。Gross氏の推計では、2021年の終わりには、Newselaの利用ライセンスを持つ児童生徒数は1100万人になる。

Newselaの推計では、米国の公立学校の2/3がこのプラットホームを使っている。パンデミックで、教材の選択に関わる校区教育委員会の柔軟性が増したことも、利用者増加に貢献している。

関連記事: 13 investors say lifelong learning is taking edtech mainstream(未訳、有料記事)

(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

画像クレジット: doyata/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

美容師向け動画教育サービス「HAIRCAMP」がプロ向け美容商材EC大手ビューティガレージから資金調達

美容師向け動画教育サービス「HAIRCAMP」がプロ向け美容商材EC大手ビューティガレージから資金調達

美容師向けに動画教育サービス・オンラインサロン「HAIRCAMP」を提供するHAIRCAMPは2月24日、資金調達を発表した。調達額は非公開。引受先は、プロ向け美容商材EC大手ビューティガレージの100%子会社BGベンチャーズが運営するCVC。

資金調達および資本業務提携を通じて、ビューティガレージが持つ理美容・ビューティ関連事業やIT事業などとシナジーを生み出し、美容師たちがより楽しくやりがいを感じながら働ける環境を目指す。

美容師向け動画教育サービス「HAIRCAMP」がプロ向け美容商材EC大手ビューティガレージから資金調達

2013年6月設立のHAIRCAMPは、「人生を加速させる 学びとの出会い」をビジョンに掲げ、「稼げる美容師が増えていくことで美容業界が活性化し、それが最終的に一般消費者の皆さまや、美容業界に関わる人たちを豊かにしていくことに繋がる。」という考えのもと、美容業界×ITの可能性を模索。2017年に美容師向けのオンライン学習サービス「HAIRCAMP」を公開した。

セミナーをオンライン化することで学習に対する時間・場所に対する制限、そして1セミナーあたりの参加者数という会場キャパシティの制限がなくなったことで、美容師が講師を務めるメリットが高まったという。

受講者側にもメリットがあり、ライブ配信では、まるで1対1で目の前に講師がいるような感覚を味わいながら学べるという。また巻き戻し再生も行えるため、気になるポイントを何回でも学習できる。

またライブ配信を中心とした参加学習コンテンツに加え、交流型学習コンテンツのオンラインサロンもスタートし、情報のインプットだけではなくアウトプットする機会を設けたそうだ。現在では、美容師の10人に1人が利用しているサービスに成長したとしている。

さらに、利用ユーザーの増加に伴い、美容商材メーカーなどとのコラボレーション配信も増え始め、美容の最先端技術や最新商品の知識を発信する機会も増しているという。

HAIRCAMPは、ビューティガレージの資本参加により同社自身の成長スピードを加速させ、美容師の学ぶ機会に加えて、技術の定着やキャリアアップまでサポートし、関わる人たちの笑顔が増えていくよう邁進していくとしている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:HAIRCAMP(企業・サービス)資金調達(用語)美容(用語)日本(国・地域)

英会話教室のイーオンが対話形式の無料英単語トレーニングが可能な「Amazon Alexa」スキル配信

英会話教室運営のイーオンが対話形式の無料英単語トレーニングが可能な「Amazon Alexa」スキル配信

英会話教室を運営するイーオンは、Amazon Alexa を活用して英単語のトレーニングが行えるAlexaスキル「イングリッシュタイム」の提供を開始しました。

イングリッシュタイムは、Alexaのマルチリンガルモードを活用することで、自宅でも対話形式で英単語を覚えることができる英会話初級者向けのコンテンツです。

具体的には、1日5分程度で繰り返し楽しめる6日分の英単語(6分野全58語)と、1日分のまとめ学習を用意し、1週間毎日学習できるとしています。

学習方法は、Alexaが挿絵の英単語を発話した後に反復する「勉強する」と、Alexaの挿絵に関する質問「What do you see?」に回答する「クイズする」の2種類を用意します。

イングリッシュタイムの監修は、子ども向け英会話教室「イーオンキッズ」の責任者である柘植睦子先生が行い、Alexaスキルストアを通じて無料で提供しています。

(Source:Source:イーオンEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:EdTech
タグ:Amazon Alexa(製品・サービス)イーオン(企業)語学学習(用語)日本(国・地域)

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト思考力育成アプリ「シンクシンク」(Android版iOS版)を手がける教育テック(EdTech)領域のスタートアップ「ワンダーラボ」(旧花まるラボ)は2月22日、トイアイデアコンテスト「STEAM Toy Contest 2021」の開催を発表した。募集締切は5月13日で、結果発表は6月下旬予定。大賞には賞金30万円が授与される。スペシャルスポンサーはハナヤマ、Google、小学館。

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト

STEAM Toy Contest 2021は、子どもから大人まで、知的好奇心を刺激し、心が踊るような「トイのアイデア」を募集するというコンテスト。STEAMの5分野に当てはまりそうなトイのアイデアの提出を求めている。STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったもの。

「トイ」とは、主に小学校低学年の子どもから大人までが「遊び」として楽しめるものを指す。形式(デジタル/アナログ、パズル・ボードゲーム・カードゲーム・謎解き、など)は問わない。子どもも理解でき、楽しめる内容であることを重視する。複数応募可能。

「新しい」という点については、ゲームのルールが新しい、技術の使い方が新しい、形式が新しい、体験が新しい、頭の使い方が新しいなど、なにか凡庸でない部分が見受けられるほど評価は高くなるとしている。

またすでに完成しているものでも、アイデアベースでもかまわないものの、応募時点で商品化されておらず、その予定がないものに限るとしている。

  • 募集内容:STEAMの5分野に当てはまりそうなトイのアイデア。STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を指す。応募時点で商品化されておらず、その予定がないものに限定。複数応募可能
  • 一般部門応募資格:年齢・国籍不問。個人応募限定
  • キッズクリエイター部門応募資格:小学生まで。国籍不問。個人応募限定
  • 募集締切:5月13日
  • 結果発表:6月下旬予定。イベントサイトで結果発表
  • 賞金・賞品:STEAM Toy大賞(賞金30万円)、各部門優秀賞(賞金5万円)。キッズクリエイター賞(スポンサー企業・主催よりオリジナルグッズやトイ贈呈)
  • 審査基準:ワクワクする気持ちを引き出すようなアイデアか、子どもから大人まで楽しめるアイデアか、新しさのあるアイデアか、実現可能なアイデアかなどを中心に様々な観点で吟味し、総合的に判断

同コンテストにおいて発表・制作された作品などに関し、主催者から応募者へ、共同開発、製品化または事業化などの申し出をする可能性があるという。その場合条件などについて協議を行いたいとしている。

また主催者のワンダーラボは、日頃より数多くの研究開発を行なっているため、主催者が独自で考案したアイデアと応募者のアイデアが偶然にも同一または類似する可能性を挙げている。そのような場合でも、応募者が主催者の故意を立証できない限り、主催者は一切の責任を負わないものとしている。

2014年創業のワンダーラボは、子どもたちが本来持っている「知的なワクワク」を引き出すためのコンテンツを開発・運営しており、国際的な算数大会の問題などを多数製作・監修している、STEAM/STEM教材・思考力教材製作のパイオニア。

2017年にリリースした思考力育成アプリ「シンクシンク」は、日本e-Learning大賞 Edtech特別賞受賞、海外でGoogle Play Awards 2017/2019 TOP5などを獲得。同アプリは抽象思考の基礎となる思考センスを育てる問題を多数収録し、世界中に配信しており、JICA・慶應義塾大学との実証実験では、学力・非認知能力の両面に高い効果が確認されているという。

また、三重県と「教育振興のための包括協定」を締結し、2018年度より同県全土への教材提供やアドバイスを実施。カンボジアではJICA・政府との協働案件として同国への思考力教育の導入を推進するなど、国内外で官学と連携した取り組みを行っている。

2018年11月には、世界最大の教育ベンチャーのコンペ「Global EdTech Startup Awards」(GESA)の日本予選にて最優秀賞を受賞した。

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カテゴリー:EdTech
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)コンテスト情報STEM教育(用語)シンクシンク(製品・サービス)ワンダーラボ(企業)日本(国・地域)

全米で100万人の教師が使うマイアミのデジタル学習プラットフォームNearpodをRenaissanceが買収

マイアミに本拠地を置くEdTechスタートアップのNearpodが、教育技術を開発するグループ、Renaissance Holding Corp.に買収されることになった。取引はまだ成立していないが、Renaissance社の最高製品責任者であるTodd Brekhus(トッド・ブレクサス)氏は、米国時間2月19日午後のインタビューで、「両当事者によって署名された最終的な契約に合意しました」と述べている。買収のニュースは2月18日にYahoo!ファイナンス(米国)に最初にリークされ、TechCrunchに対して同社内部の情報源が2月19日朝に確認した。ブレクサス氏によると、Renaissanceは取引が終了した後も買収価格を公表する予定はないという。

Nearpodは、幼稚園から高校3年生まで(K-12)の教師が教室でビデオ、クイズ、質問、その他の活動で満たされたインタラクティブなスライドを作成するために使用するEdTechプラットフォームを提供している。生徒たちはどのようなデバイスを使ってもリアルタイムで授業に参加することができ、生徒が自分のペースで進める学習モードもある。パンデミックに対応して、Nearpodは現在、リモート学習も提供している。

この1年は、Nearpodにとって忙しいものだった。2012年に3人のアルゼンチン人起業家によって設立された同社は現在、パンデミックが本格化してきた2020年初頭にCEOとして就任したPep Carrera(ペップ・カレラ)氏が率いる。Crunchbaseによると、同社はこれまで3000万ドル(約31億6000万円)以上のベンチャーキャピタルを調達しており、直近では2017年に同社がシリーズBを調達した際にTechCrunchが報じた

Renaissanceはしばらくの間Nearpodに注目していたと、以前EdTech企業の創業者でもあったブレクサス氏は語った。「我々(Renaissance)は、教育現場における教師エンゲージメントやレッスン配信とつながりを深めたいと考えていました。Nearpodは非常に優れた方法でそれを実現しています」。

カレラ氏がRenaissanceのCEOであるChris Bauleke(クリス・バウレケ)氏に直属することになる点を除いては、カレラ氏とチーム全体はこれまで通り業務を続けるという。「我々のミッションを継続するとともに、Renaissanceのミッションとの融合を目指していきます」と同氏は語った。

マイアミで育ち、2020年にミシガン州からNearpodを率いるために戻ってきたカレラ氏は、激動の1年を過ごした。以前のインタビューで同氏は、「仕事に就いた最初の日に、(ダニアビーチ近くの)オフィスに車で向かう途中、運転しながら電話で経営陣と話して、パンデミックのためにオフィスを閉鎖する必要があると判断しました。それが3月のことでした」と語っていた。Nearpodは現在、約290人の従業員を雇用しており、そのほとんどがダニアビーチの本社で勤務している。

カレラ氏は、同社をイグジットに導くために彼が起用されたのかどうかについてははっきりと確認しなかったが、創業者たちは、教師・生徒たちのようなユーザー層に向けてより良いサービスを提供するために、いくつかの成長オプションを検討していると述べた。

パンデミックはリモートワークをめぐり同社に多くの疑問を投げかけてきたが、カレラ氏のリーダーシップのも下、Nearpodは2020年に爆発的な成長を遂げた。当初Nearpodは主に教室での使用を想定して設計されていたが、同社のチームはそれをリモート学習プラットフォームに変換することができ、K-12遠隔教育の先駆けとなった。

Nearpodは50州すべてで使用されており、1800以上の学区で使用されている。2020年だけでも100万人以上の教師が利用し、1日に200万~300万人の生徒がオンラインで学習するなど、同社は約50%の成長を遂げている。2020年12月のインタビューで、カレラ氏は、現在発生している資金はすべて会社の成長を促進するために投入されており、それはこれまで有機的だったと語った。Nearpodはマーケティングに広告費をほとんど使っていない。本当のマーケティングは口コミによるものだと同氏はいう。

教師はNearpodを使って、授業中に生徒の携帯端末にデジタルカリキュラムを配信する(画像クレジット:Nearpod)

カレラ氏はNearpodに参加する前は、ProQuest Booksの社長として、大学院生、研究者、図書館員のために書籍の取得、管理、配信を効率的かつインパクトあるものにする革新的なソフトウェアを提供するチームを率いていた。また、ProQuest以前にも、社長兼COOとしてIngram Conte Groupのデジタル学習部門であるVitalSource Technologiesを6年間で10倍に成長させ、世界で年間2000万人以上の学習者にサービスを提供した。

VCがこの分野に多額の資金を投じたことで、EdTechのM&A活動は加速している。筆者の同僚であるNatasha Mascarenhasが最近言及したように、EdTechのM&Aはこの分野の大量統合につながっている。今回の買収でNearpodは、ここ数カ月で撤退したSymbolabやWoot Mathのような他の多くのEdTech企業の仲間入りをすることになる。

【更新(米国時間2月19日)】Renaissanceの最高製品責任者であるトッド・ブレクサス氏へのインタビューと、同社についての追加情報を更新した。

カテゴリー:EdTech
タグ:Nearpod買収マイアミ

画像クレジット:Danny Lehman / Getty Images

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:TechCrunch Japan)

数学学習アプリのPhotomathが24.3億円調達、2億2000万ダウンロード突破

方程式を解くのを助けてくれる人気のモバイルアプリPhotomathが、Menlo VenturesがリードするシリーズBの投資ラウンドで2300万ドル(約24億3000万円)を調達した。アプリは大成功した消費者向けアプリであり、自分の家にティーンエイジャーがいる人なら、すでにご存知だろう。

このアプリはまず最初に、スマートフォンのカメラに数学の問題を読ませる。するとアプリは、解き方を1つひとつの説明してくれる。何でも楽をしたい学生にとっては、理想のアプリかもしれない。

Photomathの使い方は実に多様だ。たとえばノートに書いた方程式からPhotomathはグラフを描くこともできる。

キーボードで方程式をタイプするのは、かなり難しい。そこで、紙やペンという物理的世界とスマートフォンとの間にあるギャップの橋渡しをしたことが、Photomathの成功の鍵となっている。ユーザーはペンを握って紙の上に何かを書くだけでい。つまりPhotomathれは、電卓のAR(拡張現実)バージョンともいえる。紙とペンという物理的な現実を、計算能力で拡張する。

今日の投資ラウンドには、GSV VenturesやLearn Capital、Cherubic VenturesそしてGoodwater Capitalが参加した。

このアプリの成功裏話はおもしろい。Photomathは当初、MicroBlinkという企業のためのデモアプリとして設計された。当時チームは、テキスト認識技術に取り組んでおり、自分たちのコア技術が役に立つさまざまな企業に、技術を売る売ることを考えた。

2014年には、ロンドンのTechCrunch Disruptで彼らは、MicroBlinkを売り込んだ。そうするとひと晩で、PhotomathはiOSアプリストアのトップに躍り出た

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Photomathはこれまでに、2億2000万回以上ダウンロードされている。本稿を書いている時点で米国のアプリストアでは59位で、Tinderの1つ上だ。真似をしようとした企業は多かったが、どこもこのヨーロッパの小さなスタートアップを負かすことはできなかった。

アプリは、子どもたちが家で勉強するようになってから、さらに利用されている。手を上げて助けを求める先生がいなくても、十分に勉強できる。

Photomathは無料だが、有料版のPhotomath Plusもある。こちらはアニメを使って解き方を説明するなど、さまざまな機能がある。

カテゴリー:EdTech
タグ:Photomathアプリ数学

画像クレジット:Photomath

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

GoogleがClassroomなどのオンライン教育ツールに50以上のアップデートを予定、「Google Workspace for Education」に再ブランド

米国時間2月17日、Google(グーグル)はパンデミック下で利用とさらなる開発が加速するオンライン教育ツールGoogle ClassroomGoogle Meet、および次世代のG Suite for Educationを、Google Workspace for Educationとして再ブランドすることを発表した。同社の教育関連製品全体で50以上の新機能が追加され、生徒だけでなく、教育者と管理者のニーズを満たすことに焦点が当てられている。

Googleが最初にGoogle Classroomを公開した時、Learning Management System(LMS)を作る計画はなかった、という。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの中でGoogleは、多くの教育者がClassroomをオンライン学習の「ハブ」として使い始めたことを知った。現在このサービスは1億5000万人以上の学生、教員、学校管理者が使用しており、2020年の4000万人から急増している。

パンデミックに起因する利用拡大とユーザーフィードバックの結果、Googleは2021年に数多くの新機能をClassroomに導入する予定だ(公開時期はさまざま)。

Classroomをオンライン学習のハブとして使っている人たちのニーズに応えるべく、Classroom「アドオン」のための新しいマーケットプレイスは、教員が気に入った教育ツールやコンテンツを選び、生徒に直接割り当てることが可能でログインし直す必要はない。管理者はこれらのアドオンをドメイン内の他の教員のためにインストールすることもできる。

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また2021年中に管理者は、Student Information Systems(SIS、生徒情報システム)名簿の同期を使って事前にクラスの割当が可能になり、一部のSISユーザーでは、Classroomの成績を直接SISにエクスポートできるようになる。Classroom監視ログ(生徒の退室や到達などの状態を見る)やClassroomアクティビティーログ(生徒のクラスとのやり取りの確認)など新たなログ機能も追加される。

生徒たちが実際に学校に来ていれば、教員は遅刻している生徒を容易に見つけることができる。新たなClassroomツールは同じことをバーチャル学習でもできることを目指している。新しいStudent Engagement Tracking機能により、教員はその日にどの生徒が課題を提出したか、投稿にコメントしたかなど生徒がどのようにクラスとやりとりしているかを把握することができる。

画像クレジット:Google

インターネット環境が整っていない、あるいはまったく使えない生徒が在宅学習するためのツールもある。新しいClassroom Androidアプリを使えば、生徒は課題に取り組んだり、添付ファイルを開いたり、Goolgeドキュメントに書き込んだりすることがオフラインでも可能になる。作業内容は接続が復活すれば同期される。また生徒が写真を撮って課題をアップロードするときには、複数の写真を1つの文書にまとめたり、画像のトリミングや回転、ライティングの調整などができる。

Classroomはリッチテキスト形式もサポートする。太字、斜体、下線、箇条書きなどがウェブ、iOS、Androidすべてで利用できるようになる。

画像クレジット:Google

盗用を検出する独自性レポートが15言語で近く使えるようになる。英語、スペイン語、ポルトガル語、ノルウェー語、スウェーデン語、フランス語、イタリア語、インドネシア語、日本語、フィンランド語、ドイツ語、韓国語、デンマーク語、マレーシア語、ヒンディー語の各言語だ。

そしてGoogle自身の無料入門コンピュータサイエンスカリキュラム「CS First」が今すぐClassroomで利用可能だ。

Classroomだけでなく、Google Meetも教育者のニーズを念頭にアップデートされている。

数週間のうちに提供される必須機能の1つ、「mute all(全員ミュート)」ボタンは教室の支配を教員の手に取り戻す。4月からは生徒がいつ自分をミュート解除できるかも制御できるようになる。

画像クレジット:Google

他にも、誰が会議に参加できるか、チャットやスマホからの画面共有ができるかなどを確認、コントロールできる会議制御機能は2021年中に公開される。

4月から誰がビデオ通話に参加できるかのポリシーも管理者が設定できるようになり、離れた生徒同士の通信、教員のための専門能力開発、クラスへの外部講演者の招待などに関するルールを決められる。生徒はClassroomで作られたミーティングには教員が来るまで参加できない。一方、教員は教員間でクラス管理の負荷を分散できるように複数のホストを設定できる。

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Google Meetには生徒のエンゲージメントとインクルージョンに関する機能も追加される。生徒はエモジのスキントーンを選んで自分を表現したりクラス内でエモジで反応することができるようになる。使えるエモジは教員が制御できる。

画像クレジット:Google

そして、GoogleのClassroom、Meet、Gmail、カレンダー、ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどからなるこの「G Suite for Education」は、「Google Workspace for Education」に再ブランドされる。現在世界で1億7000万人の生徒と教員が使っている各ツールそのものは変わらない。ただし、プランはさまざまなニーズに応えるべく2種類から4種類に増える。

無料バージョンは、Google Workspace for Education Fundamentalsと名前を変え、内容はほぼ変わらない。有料バージョンはGoogle Workspace for Education Standard、Google Workspace for Education Plus、およびTeaching and Learning Upgradeの3種類になり、最後のプランはFundamentalsまたはStandardに、Google Meetのビデオ通話や独自性レポートなどのClassroomツールを追加できる。

Standardは、FundamentalsにSecurity Centerによるセキュリティ強化、監視ログ、高度なモバイル管理などが加わる。Plusは他の3バージョンの全機能に加えて、高度なセキュリティと分析、教育・学習機能などが入る。

FundamentalsとPlusは本日より提供され、他の2つは2021年4月14日に公開予定。すでにG Suite for Enterprise for Educationを利用しているユーザーはEducation Plusにアップグレードされる。

一連の変更にともない、ストレージモデルも新しいプールドストレージオプションへになり、複数の教育機関にわたるストレージ資源の分配がやりやすくなる。新たなモデルは学校や大学にベースラインとして100TBのプールドストレージを提供し、全ユーザーで共有される。新たなストレージポリシーは2022年から新規ユーザーに適用され、既存ユーザーのGoogle Workspace for Educationでは2022年7月から有効になる。Googleは改訂されたモデルの影響を受ける教育機関は1%以下だろうと述べている。ベースライン(100TB)は1億文書分、あるいはプレゼンテーション800万件分、あるいは動画40万時間分に相当するサイズだという。

Googleは今後数週間のうちにGoogle Workspace for Education製品ラインのアップデートをいくつか計画している。Google Formsのドラフト保存(Fundamentals)、Google Meetのミーティング文字起こし(Teaching and Learning Upgrade)などだ。

ソフトウェア製品のアップデート以外にもGoogleは、40以上の新しいChromebooks(クロムブック)を発売する。LTE通信機能内蔵の常時接続モデルもある。Chromeのスクリーンリーダー、ChromeVoxもアップデートされ、新しいチュートリアル、ChromeVoxの検索、テキストの原語に基づいてスクリーンリーダーの声を自動的に変えるボイススイッチングなどだ。

子供のオンライン学習にさまざまな方法で参加している親は、子供のGoogle Workspace for Eductaionアカウントを、GoogleのペアレンタルコントロールソフトウェアであるFamily Linkに子供の個人アカウントとして追加できる。そうすることで、子供は学校のアプリやアカウントにログインできるが、親は子供が学習に専念するように他のアプリやデバイスの使用時間を制限できる。

【Japan編集部】SHARPもChromebookのパートナーになった。NECに続き同社からも今後、Chromebookが発売される。

カテゴリー:EdTech
タグ:GoogleChromebookGoogle Workspace for Education

画像クレジット:Thomas Park/Unsplash

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook