約2.8億円の新規投資でSoraはバーチャルハイスクールの普通校化を目指す

新型コロナウイルスが流行するずっと以前から、アトランタの起業家団体が運営するSora(ソラ)は、ライブ配信によるバーチャルハイスクールの構想を練っていた。生徒の自主性を重視し、例えば世界の気候変動による被害を減らす方法など、生徒が取り組みたい研究テーマを中心にカリキュラムを組むというプログラムだ。生徒と教師はZoom(ズーム)とSlack(スラック)を使用して互いにコミュニケートし、毎日実際に教師が教壇に立ち、生徒との細かいやり取り(スタンドアップ)から習熟度を把握する。

パンデミックによってSoraの目標はくじかれたかたちになっているが、同時にその目標を明確にした。数百万人もの生徒が自宅に篭ることになり、バーチャル環境で効果的に親密に授業を行うことの難しさが露呈した一方で、パンデミックは当分収まりそうになく、保護者も生徒たちも、より良い選択肢を熱望している。

Soraの共同創設者であるGarrett Smiley(ギャレット・スマイリー)氏は、両親にバーチャルハイスクールへの参加を説得できると、そしてこれには子どもたちも家計も納得すると楽観的に考えている。すべては緑藻類農場から始まった。

スマイリー氏は、彼らの教育方式なら「歩くよりも先に走れるようになる」ため、生徒たちはSoraに集まると話す。このプログラムの最初の生徒たちが、SpaceX(スペースエックス)のエンジニアと一緒に自宅の庭に藻類農園を作り、入学早々に大学レベルの数学の授業を受けたという事例を彼は挙げている。

Indra Sofian(インドラ・ソフィアン)氏、Wesley Samples(ウェスリー・サンプルズ)氏とともにこの企業を共同創設したスマイリー氏は、Soraは伝統的な教育機関に息苦しさを感じていたり、「物足りない」と感じている生徒にとても人気があると語る。そのためSoraが提供する教育は、特別な支援を必要とする生徒ではなくむしろ、教育上の才能に恵まれた生徒にとって最適な場所となっている。

Soraの中心的な考え方は、私立学校に置き換わるプロジェクト型学習を中核とした代替教育だ。実際に参加するとなると、少々話が難しくなる。まず、入学希望者は2週間にわたり、例えば「外来種をどう再現するか」といった幅広い質問の答えを探し回らなければならない。時間が経過すると、1日2回の確認コールで自身の研究課題を考えるよう指示される。下の動画は、実際の「スタンドアップ」の様子だ。

自主的な研究の他に、Soraではソクラテス式セミナーとワークショップも開講する。

科学の授業にはソクラテス式セミナーはないが、「サメの物理学」のようなワークショップがある。下の図はSoraの時間割の例だ。

月曜日:スタンドアップ、ワークショップ「米合衆国憲法修正第13条」、ハンナとの惑星形成に関する1対1のディスカッション、アートクラブ、チェックポイント
火曜日:スタンドアップ、ソクラテス式ディスカッション「アイアンマンスーツは作れるか」、ワークショップ「サメの物理学」、映画クラブ、チェックポイント
水曜日:スタンドアップ、大学進学に関する1対1のカウンセリング、メンターの談話「プロテニス選手ジェームズ・ブレイク」、チェックポイント(画像クレジット:Sora)

構成も型破りだ。生徒たちは重要な課題を修了し、数学、科学、英語、歴史を含む標準的な高校教育の成績表と卒業資格を取得できる事実をスマイリー氏は強調する。また生徒たちはSAT(大学進学適正試験)とACT(大学進学用学力試験)を必ず受けることになっているが、受験準備のための学習教材は学校が提供する。

Soraにはオプションとして対面活動もある。クラスは地域ごとに編成され、生徒たちは学校以外で会ったり、スポーツチームを結成したり、Soraが主催する会合に参加することが奨励される。

学習の他にも、Soraには専門家50人からなるメンターのネットワークがあり、SATの受験準備や大学推薦手続きに関する相談など、さまざまなサービスが受けられる。

スマイリー氏によれば、まだ卒業生を出していないので最も多い卒業後の進路に関するデータはないものの、同社としては大学進学を唯一の進路として生徒に勧めることはしないという。

Soraは「次世代のカレッジや大学の代替施設」と共同の取り組みを行っていると彼は話す。ブートキャンプやインターンシップなどがそれにあたる。

Soraの目標は、自主的な学習意欲のある生徒たちのコミュニティを作ることだ。

「学校はもはやコンテンツを作り出す事業ではないと、私たちは考えています。Google(グーグル)の検索エンジンに言葉を入力するだけで、世界最大級の資料から目当ての情報を引き出せます」とスマイリー氏。「そのため、大成功を目指す学校として私たちは、超ハイクオリティーのコミュニティを作ることが自分たちの役割だと自覚しています」。

同社は、2019年に第一期生として7人の生徒を迎え入れた。現在、Sora Schoolでは39人以上の生徒とフルタイムの職員3人が在籍している。学費は生徒1人が月300〜800ドル(約3万1300〜8万3400円)だ。

学費は保護者の収入に応じたスライド制となっており、それはSoraがインクルーシブで多様性を重んじる学校であろうとする戦略に基づくものだとスマイリー氏はいう。

Soraの多様性の内訳は、白人67%、ヒスパニック15%、アフリカ系13%、アジアおよび中東系5%となっている。男子と女子のジェンダーの割合は、それぞれ54%と44%。ノンバイナリーに分類される生徒が2%だ。

メンタルの多様性に関して、Soraは特別な支援を要する生徒に応えるリソースが不足している。製品としてのバーチャルハイスクールは、誰もが入れる形には作られておらず、むしろ、自主的に独立して学習ができる生徒に最大の支援を行う場になっている。パンデミックポッド(パンデミックで増えている小規模学校)と同じく、これには裕福な生徒と低所得者層の生徒との格差を広げる懸念もある。

門戸の広さについては「もちろん考慮」していて、現在取り組んでいるところだとスマイリー氏はいう。それでもSoraは「登校型の学校のような特別な構造を必要としない生徒」のために作られた学校だとスマイリー氏は話す。そうした生徒は、世界の学習者の95%に上ると彼は見ている。

Soraが規模を拡大するにつれ、実践学習と座学とのバランスをうまくとれるかが成功の鍵を握ることになる。同スタートアップは、今週、Union Square Ventures主導による270万ドル(約2億8000万円)の投資ラウンド調達に成功したことを発表した。この資金で職員、バックエンドサポートのためのソフトウェアエンジニア、カリキュラム開発を行うマネージャーの数を増やす計画だ。このラウンドには、Village Global、ReThink Education、Firebolt Ventures、Peak State Ventures、Contrary Capital、そしてエンジェル投資家のTaylor Greene(テイラー・グリーン)氏も参加している。

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(翻訳:金井哲夫)

小・中学向け教育×エンタメ事業「SOZOW」のGo Visionsが総額1.1億円を調達

小・中学向け教育×エンタメ事業「SOZOW」のGo Visionsが総額1.1億円を調達
Go Visionsは10月30日、総額1.1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はSTRIVE、HIRAC FUND(マネ―フォワードベンチャーパートナーズ)、epiST Ventures、個人投資家および金融機関。また2021年1月(予定)のサービス開始予定の中の小・中学生対象オンラインサービス「SOZOW」(ソーゾウ)について、11月7日~29日に実施する無料体験(8000家族限定)の登録受付を開始した。

調達した資金は、SOZOWのプロダクト開発や人材採用などにあて、多くの子供たちの好奇心と未来の可能性を広げるため、さらに事業開発を加速するとしている。

小・中学向け教育×エンタメ事業「SOZOW」のGo Visionsが総額1.1億円を調達

Go Visionsは、2021年1月(予定)のサービス開始に向け、子どもの創造性や自己肯定感などの非認知能力を育むアクティビティを自宅で体験できるSOZOWを開発中。「好奇心が未来をつくるオンラインテーマパーク」をコンセプトに、子どもの「異才」(ひとりひとり異なる興味・好奇心、能力、性格)に応じた多様でインタラクティブな、子どもがワクワクする体験を自宅に届けるとしている。

    • 対象: 小学生~中学生
    • サービス開始: 2021年1月(予定)
    • 利用可能家族数: 2000家族(正式サービス開始時)
    • 料金: チケット月謝制。4回分チケット税別1万円/月(1チケット2500円)。チケットの範囲内で自由にアクティビティを選択でき、兄弟・姉妹でチケットをシェア可能。入会料税別1万円/回、月額システム利用料税別1000円/月
    • 登録方法: 無料体験の申し込みには、公式サイトで会員登録(無料)が必要
    • 参加方法: インターネットに接続したPC・タブレットから、ウェブ会議システムにて参加

SOZOWでは、兄弟・姉妹で自由にシェアできるチケットを利用し、好奇心の赴くままに、好きなアクティビティに参加可能。

アクティビティはインタラクティブなライブ配信が中心で、対話やクイズなど、身近な事例から子どもの興味を引き出し、子ども自ら考え、制作や発表をする機会を多く提供。また、参加者それぞれの多様な考えを尊重する場であることを大事にし、ひとりでは考えつかないような新しい視点や考えに触れることを通して、子どもの世界を広げていく。

サービス開始時のアクティビティには、子どもたちに人気の「ゲームプログラミング」(Scratch)、「マインクラフト」や「Youtuber」、「ITリテラシー」といった、これからの時代に欠かせないデジタルなモノ作りや発信方法などを体験できるシリーズや、「ビジネス・起業」「お金」といった、学校ではあまり扱わない、大人になったときに必要なことを体験できるシリーズなどを用意。

このほか、プロのゲームクリエイターやYouTuber、起業家など、その道のプロフェッショナルによるライブ配信や、VR・ARなどのモノ作り体験などに参加できるアクティビティもあるという。

小・中学向け教育×エンタメ事業「SOZOW」のGo Visionsが総額1.1億円を調達

また、ライブ配信のアクティビティで体験したことを活かして、自宅でひとりひとり異なるアウトプットの場となる「ホームミッション」を用意。自宅で「創る」「探求する」を楽しめる。さらに、スタッフに質問できるQ&Aの仕組みを用意し、アクティビティ外でも「自分だけのアウトプットづくり」に伴走する。

オンラインのコミュニケーションツールを利用した参加者同士のコミュニティ「SOZOWキャンパス」にも参加可能。子ども達が自宅で作った作品などを共有し、他者からのフィードバックを受けられるほか、参加者同士でテーマに応じたクラブ活動を行えるため、距離を超えて、興味で繋がる友達を日本中に作れるとしている。

小・中学向け教育×エンタメ事業「SOZOW」のGo Visionsが総額1.1億円を調達

Go Visionsは、「一人ひとりがビジョンに向けて進める世界をつくる」べく2019年6月に創業。このビジョンとは、「未来に向けた意志や理想」のことで、目指す姿やなりたい自分、夢、やりたいこと、興味・関心・好奇心を指す。現代社会はこれまでの常識・慣習に人を当てはめ、その人の可能性にふたをしてしまう社会を変え、ひとりひとりがビジョンに向けて進める社会作りへ貢献したいと考え、事業を行っている。

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カテゴリー: EdTech
タグ: Go VisionsSOZOWVR / AR / MRプログラミング資金調達日本

EdTechのCourse Heroが数学専門の解答エンジンSymbolabを買収、他科目の買収も目指す

8000万ドル(約84億円)を調達したシリーズBラウンドから数カ月、Course Hero(コース・ヒーロー)はSymbolab(シンボラボ)を買収した。Symbolabは、学生が難しい数学の問題の答えを出したり理解したりするのを手伝うAI(人工知能)で動く計算機だ。

買収の価格は明らかにされなかった。テルアビブ拠点の9人のチームであるSymbolabはCourse Heroに加わる。Course HeroのCEOであるAndrew Grauer(アンドリュー・グロウアー)氏によると、Symbolabのプラットフォームは当面、独立したブランドとして継続する。

2011年創業のSymbolabは、高度な計算機かつ問題解決プログラムであり、2020年は10億もの問題を解くことになりそうな勢いだ、とグロウアー氏は話す。Symbolabのサービスは大学レベルの数学にフォーカスしており、難しい幾何学の問題を説明し、証明する。

Course Heroは問題と解答のプラットフォームだ。計算機、そして最も質問が多い数学の問題についてのデータセットを持つ企業を取り込むことで、Course Heroは数学のサービスをさらに充実させることができる。同社によると、現在同社のサービスを利用する学生の間で最も人気の科目の1つが数学だ。SymbolabはCourse Heroのユーザーに魅力的なサービスとして提供される見込みだ。

行き詰まった生徒へソリューションを与えるために計算エンジンを使うモデルは、かなり一般的だ。リモート教育の世界では、授業についていけなくなりそうな学生にとって柔軟性が重要となる。教師やチューターは限られた時間しか対応できないかもしれないが、AIで動くテクノロジーサービスは365日24時間いつでもお金を払って頼ることができる。

Symbolabは人気の計算エンジンWolfram Alphaに似ている。Wolfram Alphaは「パワフルなツール」だとグロウアー氏は話す一方で、Symbolabは掘り下げていること、そして説明において一日の長があると考えているという。Google(グーグル)のような大企業もまた似たようなサービスを取り込んでいる。同社は2019年に宿題手伝いアプリのSocratic(ソクラティック)を買収した。そしてMicrosoft(マイクロソフト)は同じ年にMicrosoft Solverを構築した。

グロウアー氏は自社で構築するか、あるいは買収かを決断しなければならなかった。同氏は結局テクノロジーを買収することを決めた。なぜなら、プラットフォームがデータを繰り返し混ぜ合わせることができる場合にのみ、AIの真の成功はもたらされるからだ。Symbolabは10年ほど前に創業された。バックエンドの情報は価値あるものだ。グロウアー氏は、グーグルやマイクロソフトと違うアプローチを取っていることに興奮していると話す。

「短い時間では無理です」と同氏は述べた。「学生は、正確な答えをどのようにして得るかを求めています。しかし、どのようにしてそこにたどり着くかが問題で、単に正確であるだけでなく、真に役立つステップバイステップのソリューションが大事です」。

これまで資金不足だったこの分野において、統合はまだ稀なものだ。EdTech(エドテック)の買収は着実に増えているものの歩みは遅い。2018年のEdTech業界の買収は40件に満たなかった。Crunchbaseによると、同年フィンテックでは193件の買収があった。

それでも、EdTechは大きなブームを迎えており、今回の買収は理に適っている。Course Heroはつい最近、これまでで最多の資金を調達し、年換算売上高は1億ドル(約104億円)を超え、黒字化を達成した。かくして同社は、十分な買収資金を手元に持っていたと思われる。2012年にCourse HeroはInstaEduの創業者からCardinal Scholarsを買収した。

Course Heroは今後、さまざまな科目でより多くの買収を行うだろうとグロウアー氏は話す。概してEdTechにおいては、今後5〜10年に多くの買収があると同氏は考えている。

「15年前を振り返ると、教育テクノロジー事業はそんなに多くはありませんでした。しかし現在では、潜在的にこの規模になる企業は十分にあると思います。ディストリビューションのテクノロジーに関するメトリクスを持っており、拡大期にプロダクトマーケットを構築したEdTech企業はたくさん存在します」とグロウアー氏は語る。

関連記事:Googleがモバイル学習アプリSocraticを買収してiOS版を再提供

カテゴリー:EdTech
タグ:Course HeroSymbolab買収

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(翻訳:Mizoguchi

中国の宿題指導アプリYuanfudaoのバリュエーションが1.6兆円超え、最も価値の大きいEdTech企業に

2012年に創業された宿題指導アプリYuanfudao(猿輔導)の累計資金調達額が22億ドル(約2300億円)に達し、世界で最も価値の大きいEdTech企業Byju’s(ビジュース)を超えた。北京拠点のYuanfudaoの企業価値はいまや155億ドル(約1兆6000億円)で、これは3月時点の倍だ。

新たな調達は2020年3月に10億ドル(約1050億円)を調達したシリーズGの延長ではあるが、同社は2件の調達を別のラウンドとして捉えている。G1ラウンドはTencentがリードし、Hillhouse Capital、Boyu Capital、IDG Capitalが参加した。G2はDST Globalがリードし、CITICPE、GIC、Temasek、TBP、DCP、Ocean Link、Greenwoods、Danhe Capitalが加わった。

調達した資金はカリキュラムの開発や、大きなリモート学習ブームの真っただ中とあってYuanfudaoのオンライン教育サービス拡大に使われる。2018年(未訳記事)に同社はTechCrunchに売上高の大部分はライブコースの販売によるものだと語った。当時の最終目標は資金を調達して、プロダクトにAIをより活用し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることだった。

それから2年が経ったが、Yuanfudaoは中国内でユーザー(生徒)数を4億人へと倍増させた。今回の資金調達は、同社がライブ、オンラインコースワーク、学習のクローズドループシステムをさらに推進するのに使われる。

同社は現在、ライブ指導、オンラインQ&A、数学問題チェックなどさまざまなプロダクトを提供している。

Yuanfudaoは中国各地にある教育センターに従業員3万人を抱え、こうした教育センターがオンラインサービスのベースとなるかもしれない。同社は2014年に清華大学、北京大学、中国科学院といったトップ校やMicrosoft(マイクロソフト)と、AI研究所ならびにテックラボを設立。そうした研究機関の洞察をアプリに取り込むことが目的だ。Yuanfudaoは、生徒の弱点がどこにあるのかを判断するのにAIを活用できると考えている。そうすることで教師のカリキュラムやプロダクトデザインを改善できる。

概してアジアは教育支出が多く、学習成果に熱心な文化と相まって教育熱心なマーケットだ。そのため、デジタル学習へのシフトはすでにブームとなっていた教育マーケットに拍車をかけた。あるレポートによると、中国の教育経済規模は2年間で810億ドル(約8兆5000億円)になるという。

筆者の同僚、 Rita Liaoが指摘した(未訳記事)ように教育指導マーケットを狙っているのはYuanfudaoだけではない。他にも資金潤沢な競合企業があり、ここにはオンライン学習を専門とし、6月に7億5000万ドル(約785億円)を調達した北京拠点のスタートアップであるZuoyebang、シンガポールの政府系ファンドであるTemasekが投資するYiqizuoyeなどが含まれる。

カテゴリー:EdTech
タグ:Yuanfudao中国資金調達

画像クレジット:doyata / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Netflixがノーフォーク州立大学とのバーチャルHBCUブートキャンプを開始、テック業界への露出を増やす

Netflix(ネットフリックス)が学校に戻ろうとしている(Netflixリリース)。

Netflixは同社のシニアソフトウェアエンジニアの母校であるノーフォーク州立大学とオンライン教育プラットフォームの2Uと協力して、学生がテクノロジー業界に触れるためのバーチャルブートキャンプを行おうとしている。

米国時間10月22日より、Netflixは2021年1月から始まる16週間のトレーニングプログラムに参加する130人の学生の登録を開始する。

このプログラムはJavaエンジニアリング、UX / UIデザイン、データサイエンスの3つのコースに分けられる。Netflixによると、同社の専門家が2Uと協力して各コースを設計し、すべてのコースはノーフォーク州立大学の教員が主導し、テクノロジー業界からのゲスト講師を起用するという。

同社のデータサイエンス、エンジニアリング、デザインチームのメンバーは、ノーフォーク州立大学の卒業生であるMichael Chase(マイケル・チェイス)氏を含め、メンターとして働くことになる。

Netflixはプログラムに参加する学生の費用を負担し、ブートキャンプを修了した学生にはコースの単位が与えられると述べた。

NetflixのInclusion Recruiting Programs担当ディレクターのKabi Gishuru(カビ・ギシュル)氏は声明で、「参加者が業界に関連するスキルを身につけ、現在の従業員と価値ある長期的な関係を築くことが目標です」と述べている。「メンバーのために最高のサービスを構築するために投資を続ける中で、それをサポートする最高のチームにも投資したいと考えています。すべての需要を受け入れるスペースを業界に作ることは、それをより強固なものにします」。

カテゴリー:EdTech
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

数学学習プラットフォームのKnowledgehookがグローバル展開に向けシリーズAで約18.4億円調達

新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により、何百万人もの学生がオンライン学習に切り替えている。以前、EdTechはベンチャー企業の中でやや遅れをとっていたが、現在では地球上で最もホットな分野の1つとなっている。

Knowledgehookは独自の数学学習プラットフォームで、MesoamericaのAlexandria Corp、Nelson Education、Ideal Ventures、Nicoya Ventures、英国に拠点を置くEdTechの匿名ファンドからシリーズAで1350万ポンド(約18億4000万円)を調達した。Knowledgehookは2006年にシードラウンドを行い、John Abele(ジョン・エベール)氏のNorth Point Venturesが参加している。

Knowledgehookのプラットフォームは世界中の10万校以上の学校を対象に、各生徒の数学の学習状況を追跡している。2021年には、全世界で5000万人の生徒にリーチを拡大する計画だ。同プラットフォームでは教育機関向けのライセンスの他、Netflixのような家庭用サブスクリプションも提供している。

Knowledgehookのプログラムは子供の家庭学習と学校教育を結びつけ、学習のギャップについての洞察を提供する。教師はこれを利用して、課題に関連する数学の概念を子供が理解できるようにしたり、指導を調整したり、進捗状況をモニターしたりすることができる。

Knowledgehookの共同設立者兼CEOであるTravis Ratnam(トラビス・ラトナム)氏は声明の中で、「私たちのプラットフォームはゲームではなく、子どもの学習過程に関するあらゆる視点を集め、経験と成果を周囲の人々が改善できるようにするものです」と述べている。

カナダで誕生したKnowledgehookは現在、米国とメキシコ、英国の学校をサポートしている。

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(翻訳:塚本直樹)

生徒同士が「つながり」を感じられるVR英語教育のImmerseが約1.6億円を調達

生徒同士が「つながり」を感じられるVR英語教育のImmerseが約1.6億円を調達

教育機関を対象にリアルタイムのVR英語学習プラットフォームを提供するImmerse Inc.(イマース)は、第三者割当増資により150万ドル(約1.6億円)の資金調達を発表した。引受先は、Eagle Venture Fund II(Eagle Venture Fund)。

Immerseによると、VRは、教育者の学習ツールの選択肢として現在認知が進んでいないものの、「生徒同士がつながっているように感じ、触発され、これ以上ない面白い学習体験を与えられる唯一のもの」としている。Immerseチームは、このシンプルで効果的なプラットフォームが学習機関に行き届くようサポートするとしている。

今回の資金調達により、Immerseのアメリカ人講師による英語レッスンの提供に止まることなく、高校・大学・英会話スクールなど英語教育機関に所属する英語講師がimmerseをライセンス利用できる「VR英語教育・学習プラットフォーム」を提供。より多くの教育機関で導入・活用してもらうことで、コーポレートミッションの「バーチャル・リアリティで、英語の教え方と学び方を変える。」を実践していく。

また、2020年10月発売の「Oculus Quest 2」にも2020年内をめどに対応。よりリッチなVR英語学習体験を学習者に与えることで、VR空間内で留学のようなタスクベースの英語教育を一般化させることを目標に、事業のサービス開発・販売拡大を目指す。

生徒同士が「つながり」を感じられるVR英語教育のImmerseが約1.6億円を調達

Immerseは、VR技術で実際に英語を使うシーンを再現したVR英語教育・学習ツールの「immerse」を開発している米カリフォルニア州アーバインシティのスタートアップ企業。これまで日本の高校・大学機関をはじめ世界中の教育機関・法人に、アメリカ人ネイティブ講師によるシームレスなVR英語学習体験を提供してきた。

VR技術により数十種類の現実に近い英語利用シーン(空港、オフィス、会議室、レストランなど)の中で現実に近い英会話を学習することで、英語学習への集中力と教育効果を高めるという。

またネイティブのアメリカ人講師とVR世界で実際に話すことで、より相互的でリアルな学習体験でき、留学に近い英語力上達の効果が期待できるとしている。

カテゴリー: VR / AR / MR
タグ: EdTechImmerse資金調達

オーディオ学習のKnowableが教育コンテンツへの無制限アクセスを月額制で提供

Andreessen Horowitzらが投資している音声による学習サービスKnowableが、ビジネスモデルを変えようとしている。

同社が昨年ローンチしたときは、ユーザーにクラス単位で課金した。しかし今日からは完全な会員制に移行して、リスナーは年額50ドルまたは月額9ドル99セントでKnowableのライブラリに無制限のアクセスができる。

共同創業者でCEOのWarren Shaeffer氏はこれについて、「これによってユーザーは毎日、学習というアクションをするという、私たちのミッションにより近くなる」と語る。というのも、会員制(サブスクリプション)によって、Knowableでの勉強が、一度だけの体験ではなく、継続的な習慣になるからだ。

彼によると、今すでに24%のリスナーが、後から新しいコースに登録することによって、複数のコースを受講している。そして、このことによって同社は、短時間のレッスンなど、そのほかの形を実験できる。それは、MasterClassのようなビデオによるクラスを提供しているところの会員制と同じ形だ。

関連記事: Knowable launches its ‘not a podcast’ $100 audio classes(未訳)

しかしそもそも、なぜ音声なのか? Shaeffer氏によると、彼と共同創業者のAlex Benzer氏はどちらも、「偉大な教師は人生の軌道を変える」ということを、自分の体験として知っている。それと同時に、今、何時間もビデオを見続けることのできる人は少ない。

「今のオンライン学習サービスはどこも、構造的に勉強するためには画面を見つめる必要がある、という考えにとらわれている」、とShaeffer氏は主張する。

Knowable team

Knowableのチーム

しかも、今では多くの人びとが、新しいことを知りたいと思ったらポッドキャストを聴いている。そこで二人は、散歩に行くときにはその時間を「栄養豊富な」コンテンツで気楽に過ごせる、をコンセプトにKnowableを創業した。「栄養豊富な」に対して、今の、犯罪ニュースなどの多いポッドキャストを「カロリーがない」と評しているのだ。

彼はこう述べる: 「SNSで暗いニュースを追っかけるよりも、自分で目標を決めて勉強していく方が楽観的で自信に満ちた人生を送れる。そうやって人びとを助けるコンセプトは、すばらしいと思った」。

Knowableの今のコースには、起業に関するRedditのAlexis Ohanianの講義や、フードジャーナリストMark Bittmの正しい食生活講座、人前で話すときの話術に関するさまざまなエキスパートからのアドバイスなどがある。

Shaeffer氏によると、今Knowableのライブラリには、教育的コンテンツが100時間ぶんある。その約半分は、同社のオリジナルだ。オリジナルコンテンツのチームを指導しているのは、人気ラジオ番組「This American Life」のプロデューサー、Amy O’Leary氏だ。ライブラリのコンテンツの残り半分は、新たにできたキュレーターのいるマーケットプレースからで、そこでは誰もが自分のコースを売ることができる。

ただしKnowableのコンテンツは、音声オンリーではなく音声ファーストだ。つまり、クラスを聴くだけでなく、小テストや練習問題などもある。

Shaeffer氏は曰く、「音声は人に人生のヒントやひらめきを与える、すばらしいメディアだ。そのためにKnowableは、プロ級の能力の自己開発や、自己改善、健康などの『ソフトなスキル』にフォーカスしている」。

ただし、と彼は念を押す: 「具体的で高度なスキルは、音声だけで教えることはできない。今Knowableはプログラミングのコースを準備しているが、それはプログラミングの学び方のいろんな選択肢を教える概論だ。それを発射台にして、本格的な勉強に取り組んでほしい」。

関連記事: Why hasn’t digital learning lived up to its promise?(未訳)

画像クレジット: Knowable

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

プログラミング教育向けマイコンボード「micro:bit」がバージョンアップ

プログラミング教育向けマイコンボード「micro:bit」がバージョンアップ

Micro:bit教育財団は10月13日、プログラミング教育向けマイコンボード「micro:bit」(マイクロビット)のバージョンアップ版(micro:bit v2.0)を発表した。スイッチエデュケーションはこれを受け、2020年11月下旬から12月上旬にmicro:bit v2.0を販売開始予定と明らかにした。

販売価格は10月13日時点では未定で、スイッチエデュケーションの「micro:bit のバージョンアップについて」で情報を更新予定。

micro:bitは、イギリスのBBCが主体となって作ったプログラミング教育向けのマイコンボード。動くものをプログラミングして作ることを通して、児童が論理的思考能力を身に着けられるようにデザインされている。日本では2017年8月5日に販売を開始し、2020年9月末までに約9万台を販売しているという。

新バージョンのmicro:bit v2.0は、マイク(入力を示すLED付き)やスピーカーを搭載するなど、プログラミングや電子工作に初めて挑戦する児童により楽しんでもらえる機能を追加。また、より強力なプロセッサー「Nordic Semiconductor nRF52833」はじめ、メモリー128kB RAM、ストレージとして512kB Flashを採用するなど、中級・上級者のプロトタイピングにおいても満足できるマイコンボードに生まれ変わるとしている。また、接続した外部モジュールに供給できる電流が90mAから200mAに増加している。

プログラミング教育向けマイコンボード「micro:bit」がバージョンアップ

なお、現行バージョン(micro:bit v1.5)は販売終了予定(製造終了予定)となっているものの、C++、MakeCodePython(MicroPython)、Scratch各種開発環境とも対応を続けるため従来通りプログラミング可能としている。詳細は「現行バージョン(v1.5)に関するQ&A」を参照。

プログラミング教育向けマイコンボード「micro:bit」がバージョンアップ

カテゴリー: EdTech
タグ: スイッチエデュケーションハードウェアmicro:bitMicro:bit教育財団

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学習支援SaaS「Monoxer」提供のモノグサが総額4.4億円を調達、アライアンスを推進

学習支援SaaS「Monoxer」提供のモノグサが総額4.4億円を調達、アライアンスを推進

学校・塾・語学教室などの教育機関向けを中心に、学習支援SaaS「Monoxer」を提供するモノグサは10月5日、第三者割当増資として総額4.4億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はWiL Fund II, L.P.および既存株主のUB VENTURES。

調達した資金は、主に人材の採用強化、出版社・教材会社などの教育コンテンツプロバイダーとのアライアンス推進、学習プラットフォーム構想への投資に活用。コロナ禍で急務となった、教育業界のデジタルトランスフォーメーションを推進する。

学習プラットフォーム構想については、その第1弾として、複数の教材会社・出版社とアライアンスを締結し、すでに実績のある紙教材のデジタル版をMonoxer上で購入・利用できるマーケットプレイス機能をリリース済み。引き続き参画企業と教材ラインナップの拡張を進めているという。

マーケットプレイスの拡充によって、Monoxer内で学校や塾のオリジナル教材とマーケットプレイスの教材を組み合わせ可能となるため、より効率的かつ効果的な学習を進められるとしている。

学習支援SaaS「Monoxer」提供のモノグサが総額4.4億円を調達、アライアンスを推進

Monoxerは、生徒に覚えてほしい内容を登録するだけで、その内容を定着させるために必要な問題をAIが⾃動で作成。そのため、先生はこれまで紙で運用してきた宿題や確認テストをインポートするだけで、カリキュラムの変更などの特別な準備なく、手軽に始められる。

⽣徒はAIが作成した問題をスマートフォンやタブレットのアプリで学習可能な上、定着度に応じ問題の出題頻度や難易度が調整されるため、ひとりひとりのレベルにあった学習を実現できる。

また、学習計画機能を利用すると、忘却速度も加味した上で、1日単位で取り組むべき課題の内容と量を自動で計画するため、何をどれだけやるべきか悩む必要もない。

加えて、リアルタイムで学習履歴を解析し、各生徒の定着度を可視化するため、やったかどうかだけではなく、「再現性のある形でできるようになっているのか」が分かるようになる。そのため、ひとりひとりの習熟度に合わせた、きめ細やかな指導を行えるとしている。

2016年8月設立のモノグサは、創業以来「記憶を日常に。」というビジョンの実現に向け、学習者と先生の双方がストレスなく利用でき、確実に学習成果が出るサービスの開発を推進。Monoxerを導入している教育機関は、2020年4月以降前年同月比で10倍以上に拡大しているという。

カテゴリー: EdTech
タグ: モノグサ、・Monoxer人工知能・AI資金調達日本

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オンラインコースプラットフォームのThinkificが23.2億円を調達

オンライン学習企業にとって2020年は大きな年となった。それはThinkific(シンキフィック)も例外ではない。バンクーバーを拠点とするこのスタートアップが、2200万ドル(約23億2000万円)の新規資金を調達したことを発表した。

Thinkificは今年、1億ドル(約105億6000万円)を調達したMasterClass(マスタークラス)や6600万ドルを調達(約69億7000万円)したSkillshare(スキルシェア)のようなビジネスとは異なっている。なぜならThinkificは、自分自身ではオンラインクラスの作成、配信、収益化を行っていないからだ。その代わりに同社が提供しているのは、誰でも独自のコースを作成し、自分自身のウェブサイトで販売できるようにするプラットフォームだ。

共同創業者でCEOのGreg Smith(グレッグ・スミス)氏は、人がThinkificでコースを作成するのは、普通「ブランドを自分で管理したいとき、顧客関係を本当に自分のものとして握りたいとき、人びとに自分のウェブサイトに戻ってきてほしいとき……持続可能な自身のビジネスを構築したいときです」と語った。

このモデルだと自身のコースを宣伝するために、コース作成者たちにより負担がかかるのではないかと質問したところ、スミス氏は同社は作成者の成功を支援することを目指しており、プラットフォーム自体を使用して作成者たちのための教育コンテンツを用意していると語った。しかし、彼はまた同時に、Thinkific自身がコースそのものを配信および販売するモデルは避けたいとも語った。

「私たちは収益の一部をいただくことは本当に致しません」と彼はいう。「私たちはコース作成者ご自身に、ビジネスを所有してもらい運営していただきます」。

同社のアイデアは、スミス氏自身がロースクールの学生でかつLSAT(ロースクール入学試験)のインストラクターだった経験から生まれたものだ。彼がLSATのクラスをオンラインで提供しようとしたときに、彼の兄弟であるMatt Smith(マット・スミス)氏がそのシステムの開発を申し出たのだ。最終的に、彼らと他の共同創業者であるMiranda Lievers(ミランダ・リーバース)氏とMatt Payne(マット・ペイン)氏とともにThinkificを開発し、他の人たちが、自分自身のコースを作成できるようにした。

Thinkificの創業者たち。

Thinkificは、今回の資金調達以前には300万ドル(約3億2000万円)を調達しただけであり、2018年には利益を出すようになったと述べている。だが、スミス氏は、今回チームを拡大したくなったため、より多額の資金調達を決心したのだという(計画ではこれから18カ月で350人の雇用を行い、従業員数を3倍にする予定だ)、そして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが加速したオンライン学習への移行の流れを追うことにしたのだ。

スタートアップによれば、5万以上の起業家や企業がThinkificプラットフォームを使用してコースを作成しており、3月以降に作成されたコース数は200%増加しているという。Thinkificはまた、これらのコースが、2020年これまでにコース作成者たちに合計で6億5000万ドル(約686億6000万円)の収益をもたらしたと述べている。

スミス氏はこの先、対面学習が現在よりも実施できるようになった後も、オンライン学習へのシフトが続くことを期待していると付け加えた。

「あなたが武道の道場を持っていて、そこにオンラインコースを追加したとしましょう」と彼はいう。「その段階でコミュニティで100人に対して教えることから、世界中の数1000人に教えることへ移行したのです。たとえその道場が物理的に再開したとしても、この追加の収入源を維持したいと思うでしょう」。

今回の調達ラウンドは、すでに投資家だったRhino Venturesが主導した。

「過去4年間、Thinkificとの協力は、特別なものという他はありませんでした」とRhinoのマネージングパートナーのFraser Hall(フレイザー・ホール)氏は声明の中で述べている。「そのビジネスモデル、ユーザー数、そして前年比で約150%の収益成長が、現在カナダで最も価値のある公開企業のShopifyに、非常に近いものであることは周知の事実です。これは間違いなく知識起業家精神の新しい世界を形作っているモデルです。そして、教育を新しい収益チャネルとして追加したい個人や組織が使うことのできるモデルなのです」。

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カテゴリー:EdTech

タグ:Thinkific オンライン学習 資金調達

画像クレジット:Thinkific

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(翻訳:sako)

学校向けのZoomアドオンに数億円を賭けるZoom創生期の投資家たち

Zoomは消費者向けに開発された製品ではない。それにもかかわらず、このビデオ会議システムの使い勝手の良さは、飲み会から会議まで、パンデミックによって脅かされるあらゆる社会的状況への解を示した。

数か月が経ち、ソーシャルエクスペリエンスを1つの企業向けソフトウェア会社に委ねることは完全なソリューションではないことがわかってきた。Zoom School(ズーム・スクール)は、何が上手くいっていないかを示す良い例だ。リモート教育は、学生、教師、保護者にとって非常に厄介な問題となっている。かつては、板書、グループ発表、1対1の対話を通じて授業を行っていた教師が、今は1つの画面しか使うことができない。

グローバルパンデミックに突入してから6か月以上経ち、Blackboard(ブラックボード)の元CEOでありPrecisionHawk(プレシジョンホーク)の元CEOでもあるMichael Chasen(マイケル・チェイスン)氏は、大胆にも次のような構想を描いている。Zoomは学校教育にとって一時しのぎの対策ではない、と考えるとどうなるだろうか。単に販売されたものを使うのではなく、教育用に開発されたZoomエクスペリエンスを創り出せたらどうなるだろうか。

「今行われているオンライン授業では、教師が、出欠を取ったり、宿題を配ったり、テストやクイズをしたり、採点したり、生徒と1対1で話したりすることができていない場合がほとんどです。そんな状態では教えたり学んだりできないですよね」とチェイスン氏はTechCrunchに語る。

そこでチェイスン氏は現在、ClassEDUという新会社の起業に取り組んでいる。同社の最初の製品は、率直に大望を示す、その名も「Class for Zoom」だ。この名称からもわかるように、Zoomへのサードパーティーのアドオンだが、完全に独立した会社だ。さらに、このアドオンは、生徒たちが参加しやすくリアルタイムで同期される授業を行いたい教師のために開発されている。

教師がZoomミーティングにログインすると、次のような画面が表示される。

Image Credits: ClassEDU

ご覧のとおり、教室、課題、テストやクイズ、またはホワイトボードを切り替えることができる。教師は、整理されていないタブで時間を浪費する代わりに、CMS(コース・マネジメント・システム)内の資料との同期や、生徒に意見を求めること、リアルタイムのクイズの答え合わせまで、授業全体のワンストップショップとしてこのビデオミーティングを利用できる。これはフルスイートのソリューションであり、非常に意欲的な取り組みだ。

Class for Zoomの機能は、指導ツールと管理ツールの2つに分けて考えるとわかりやすい。

指導ツールは、Class for Zoomは教師がライブの課題、クイズ、およびテストを行うことを支援するものだ。生徒は、これらにリアルタイムで答えることができる。生徒の積極的な参加を促すのに役立つフィードバックの機能もある。教師には適宜、クラスのミュートやミュートの解除を行う権限を付与できる。

Image Credits: ClassEDU

指導ツールの重要な特徴は、質問したいときに生徒が教師と個別に話せることだ。このとき、Zoomミーティングから抜ける必要はない。これは、クラスの皆の前で話すことが苦手だったチェイスン氏の娘からインスピレーションを得たものだが、人前で発言するのが不得手で内気な生徒にとっては、ありがたい機能だ。

Image Credits: ClassEDU

管理ツールには、出欠のトラッキングから生徒のアクティビティ参加時間を確認する機能まで、教師用のさまざまなツールが含まれている。大学時代にブラックボードを設立したチェイスン氏は、同社が開発したCMSを教師がZoomクラスルームに直接統合できるようにし、以前に創業した企業の実績を評価した。

一方、チェイスン氏が「Class for Zoomの不人気な機能」と冗談交じりに語るのは、生徒が画面上でZoomをメインアプリとして使用しているかどうかを教師に情報を提供する機能だ。注意トラッキング機能は目新しいものではないが、一部の人はこのような監視を受け入れられないと感じるかもしれない。注意トラッキング機能を生徒が無効に設定することも可能だが、管理者はこの機能の使用を生徒に義務付けることができる。また、このプラットフォームを使用すれば、教師は試験中に生徒のデスクトップを監視して、不正行為を制限することも可能だ。

Class for Zoomが生徒のパソコンにアクセスできると聞いて、一部のユーザーは不快に思うかもしれない。Zoomは一部の学区でオンライン授業での使用を禁止されている。セキュリティ上の懸念があり、悪質な侵入者がミーティングをハッキングし不適切または不快なコンテンツをストリーミングする、いわゆるZoom爆撃が相次いだためだ。これを受けてZoomでは検証ツールや待合室などのセキュリティ対策を講じている。

チェイスン氏によると、Class for Zoomでは、生徒にトラッキング機能の使用を強制するのではなく、選択できるようにすることによって、情報へのアクセスのバランスを取っているという。

Zoomをより良いエクスペリエンスにしようとしているスタートアップは、Class for Zoomだけではない。ZoomのSDKが無料であることも手伝って、ここ数か月の間に、Zoom上で動くように開発された多くのツールがリリースされた。Macroは、430万ドル(約4億5300万円)を調達し、参加者の発言時間などのメトリックスをトラッキングするインターフェイスやメモ機能を追加し、Zoomでの通話に深みや分析機能を加えた。そのユーザーは、2万5000人を超える。Mmhmmは7月に、ユーザーの好きなビデオ会議プラットフォーム上で放送スタイルのビデオ会議エクスペリエンスを作成できるクリエイティブなデモを発表して話題になった。

ある程度予想されたことだが、ZoomはMmhmmと競合する機能を発表した。このことは、既存の企業の上で成り立つスタートアップ企業は本格的なプラットフォームではなく、付加機能のように見えるのではないかという疑問を感じさせる。

当然、これらの製品に対する脅威の1つは、Zoomの気分次第で状況が一変するということだ。Zoomは、SDKとAPIのポリシーを少しいじるだけで、Class for Zoomを消し去ることもできる。しかし、チェイスン氏には、そうはならないだろうと楽観的になれる理由がある。

Class for Zoomは本日、GSV Ventures(GSVベンチャーズ)のDeborah Quazzo(デボラ・クアッツォ)氏とEmergence CapitalのSanti Subotovsky(サンティ・スボトフスキー)氏、およびZoomの現役員が共同でリードするシードラウンドで、プレローンチ段階(サービス開始前)に1600万ドル(約17億円)を調達したことを発表した。他の投資家には、Zoomの初期投資家であるMaven Partners(メイヴェン・パートナーズ)のJim Scheinman(ジム・シャインマン)氏、Zoomの名付け親として有名なBill Tai(ビル・タイ)氏、Zoomへの支援を最初に表明したAOLの共同創設者であり、Revolution(レボリューション)のCEOであるSteve Case(スティーブ・ケース)氏が含まれる。

Zoom投資家の関与がスタートアップを保護するための「保険」として機能するかと尋ねると、チェイスン氏はそのようには考えていない、と答えた。むしろ、Zoomは専門的に掘り下げていくよりもスケールの拡大に重点を置いている、と同氏は考えている。言い換えれば、ZoomはTwitterのような機能を組み込むつもりはなく、プラットフォームが開発者に親しみやすいという点で、多数のツールがその上で構築されているSalesforceに似ているということだ。第2に、Class for Zoomは、Zoomの認定再販業者であり、行政区にZoomを販売すると、手数料から収益を得られる。非公式および公式のパートナーシップは、チェイスン氏が安定性に賭けるのに十分な接着剤として機能しているようだ。

Class for Zoomのテクノロジーが今後もZoom専用のままであるかどうかについてチェイスン氏は、Zoomは「教育における事実上の業界標準」であるため、今後もZoomを主な焦点にしていくと語る。また、他のプラットフォームが追いついてきた場合は、さまざまなソフトウェアを試す用意はある、と同氏は言う。

チェイスン氏は、価格に関する正確な数値の共有は避けたが、行政区が許容できる価格設定に落ち着かせる作業は進行中であると述べた。同社がユーザー単位で請求するかどうかは不明だが、ある種のサブスクリプションサービス料金を請求するだろう、と同氏は言う。

EdTechソリューションのアクセシビリティは、多くの場合、テクノロジーと教育を提供するための媒体手段に依存している。例えば、無料で使用できる製品であっても、動作させるために高速インターネットとMacが必要であれば、アメリカの平均的な家庭では使えない可能性がある。低所得世帯の生徒、教師、学区が使用している低コストのコンピューターChromebookで製品の使いやすさをテストすることが多いのは、このデジタル格差を意識してのことだ。

Class for Zoomのケースでは、Macintoshコンピューターを使用する教師向けに第1イテレーションの製品がロールアウトされているが、費用が原因で一部の主要な所得層が漏れた可能性がある。生徒はソフトウェアなしでClass for Zoomで行われる授業を視聴することはできるが、ビュー、トラッキング、およびアクティビティ参加のための機能は使えないため、注意が必要だ。

ありがたいことに、今回新たに調達された資金は、ClassEDUがWindows、Android、iPhoneだけでなく、Chromebookなどの低コストのコンピューターで使用できるソフトウェアを構築するのに使用される。そうなると、教師と生徒の両方が、より機能的なビューを利用できるようになる。

チェイスン氏は、自分の3人の子どもたちが在宅学習を始めた隔離期間に入ってほんの数週間のころから、このスタートアップのアイデアを練り始めたという。数か月が経ってついにClass for Zoomがベータ版をリリースする準備が整い、本日、ウェイティングリストへの受付が始まる。チェイスン氏は1月までに、希望するすべての学校がアクセスできるようにしたいと考えている。

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カテゴリー:EdTech

タグ:ビデオチャット Zoom 教育

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(翻訳:Dragonfly)

リモート授業を強いられている教師はモニターを2台持つべき、Two Screens for Teachersが提案

もともと混乱状態が多かったK-12(幼稚園〜高校)の教室は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、今度はZoomによる混沌に退化した。しかも、この新しいおかしなシステムと付き合わなければならない何千人もの教師が、たった1台のモニターでそれをやっているから、生徒と授業を同時に見ることが困難になる。そこでTwo Screens for Teachersは、初歩的だが極めて重要な、ホームオフィスのアップグレードテクニックで教育者たちを助けようとしている。

これはチャリティなので、このアイデアが気に入ったらこのプロジェクトに寄付してもいい。その平均額約150ドルで、教師が必要とするものがすべてそろう。

これは大規模な事業ではなく、このニーズがあることに気づいた数人が、なんとかしようと始めたものだ。いま考えると自明なことだが、実は教師はいま、自宅という何もかも足りない環境で、教育という何よりも重要な仕事をしている。もちろん、そのほかの仕事だって重要だが。

しかも現在のような緊急事態においては、本格的なホームオフィスをセットアップする贅沢は許されない。ほかの人たちと同じく、教師も手持ちのもので間に合わせようとする。たとえばそれは、以下のような環境だ。

私自身は10年前ぐらいから大きなモニターを2台使っているから、元に戻る気はしない。しかも私は、単なるライターだ。同時にしかも何時間も、画面上で30人の子供の相手をすることに比べると単純な仕事だ。しかも先生は、子供たちの発表を見たり、宿題を出したり、メールを見たり、やることがたくさんある。たった1台のラップトップやモニターで、それができるだろうか?教師はそんな毎日に慣れているかもしれないが、その状態がオプションであること、ほかのやり方があることに気がつかない。

創業者のMatt Lerner(マット・レーナー)氏は「私が話を聴いた先生の多くは、セカンドモニターのことなどこれまで考えたこともなかったそうでした。しかし、1つの画面で生徒たちを見て、もう1つでレッスンプランを見ることの価値はすぐに理解してくれました。彼らが新しいモニターを使い始めてからは、感謝の言葉をたくさんもらいました」と語る。

いまのところ、9000人あまりの教師がこのサイトにモニターを頼んでいる。しかし実際に送ったのは1000台あまりだ。ただ単にリクエストするだけでなく、現在の環境との互換性を最大にするために、フォームに記入する必要がある。それによって、どんなモニターを買って送ればいいかわわかる。在庫はいっさいない。倉庫もない。単純な人助けのグループだ。

もちろん、完全に我流でやってる仕事でもない。Two Screens for TeachersはDonorsChooseをパートナーにして寄付を確実に非課税にし、またデルのようなモニターメーカーと話し合って、安い価格で大量購入してきる。同社の目標は、年内に25万台のモニターを教師に配布することだ。しかも、3000万ドル(31億5000万円)程度の予算で。

目標の達成、もしくはそれを超えることを祈ろう。TechCrunch読者もモニターを1台寄付してもいいが、会社に要らないモニターがたくさんあったり、またチャリティーの予算があるなら、大量のギフトができるかもしれない。

そしてもちろん、あなたが先生なら、同社に登録しよう。米国のフルタイムの教師なら誰でも応募資格がある。

画像クレジット:Two Screens for Teachers

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナ禍で急成長、小グループのバーチャル教育クラスを展開するOutschoolが47億円調達

ホームスクールの生徒が課外活動を充実させるプラットフォームとして2015年に始まったOutschool(アウトスクール)は、新型コロナウイルスの感染拡大以来、顧客基盤を急激に拡げた。米疾病対策センター(CDC)が定めた新型コロナ規制を順守するために学生がキャンパスを離れたため、プラットフォームが対象とする市場規模が劇的に拡大したのだ。

学生にとっては、小グループで行うライブのオンライン学習クラスが突然必要になった。エンジニアリングの勉強からレゴの課題、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)の歌によるスペイン語の指導に至るまで、Outschoolのサービスに対する需要が高まっている。

「CDCが学校閉鎖の必要性について警告した際、『インターネットベースのテレスクーリング』について言及した」と共同創業者のAmir Nathoo(アミール・ナトゥー)氏は言う。「ビデオチャットによる授業を意味していることに気づいた。これはまさに当社が提供するものだ」。

2019年8月から2020年8月にかけて、オンライン教育クラスの予約が2000%以上増加した。しかし、急増したのはプラットフォームに積み上がった無料ユーザーだけではない。今年のOutschoolの売上高は前年の650万ドル(約6億8000万円)から約5400万ドル(約56億7000万円)に増えた。新型コロナ危機の結果初めて利益に転じ、年換算売上高は1億ドル(約105億円)を超えた。

収益性と成長が実現したのは新型コロナ時代だからこそかもしれないが、現在のOutschoolはパンデミック時代のブームにとどまらないという信頼の票を得ている。Reach Capital(リーチキャピタル)のJennifer Carolan(ジェニファー・キャロラン)氏はTechCrunch Disruptで、OutschoolがシリーズBラウンドで4500万ドル(約47億円)を調達し、これまでの調達総額が5500万ドル(約58億円)になったと発表した(最後のExtra Crunchのパネルディスカッションの動画を参照)。

ラウンドは、Reach Capital, Union Square Ventures, SV Angel, FundersClub, Y Combinatorなどの参加を得て、Lightspeed Venture Partnersがリードした。

獲得したキャッシュによりOutschoolは、今年25人で始まったスタッフの数を60人に増やす。

創業者のナトゥー氏は5歳からコンピュータゲームをプログラミングしていた。同氏自身が会社を始める際、他の子供たちが同氏と同じことをするのを助けるプラットフォームを作ることは正しいことだと感じた。

ナトゥー氏は2015年、Amazon Mechanical Turk(アマゾンメカニカルターク)とGoogle Consumer Surveys(グーグルコンシューマーサーベイズ)の構築を支援したMikhail Seregine(ミハイル・セレギネ)氏と、別のエドテック企業でYCの卒業生でClever(クレバー)の製品マネージャーであるNick Grandy(ニック・グランディ)氏を引き入れた。3人は、生徒が学校では得られない体験にアクセスする手段を考え出した。

関心の程度を見極めるために、同社はサンフランシスコベイエリアでの対面授業やオンラインコンテンツを試し、数百の家庭とテストを行った。最後に、アーリーアダプターとしてホームスクーラーとの協業を始め、人々が非伝統的な教育体験にお金を払うか検討した。

「ホームスクーリングは当社にとって興味深いものだった。新しいアプローチにより教育システムが根本的に改善するとすれば、既存のシステムの外で始まる可能性が高いと考えたからだ」とナトゥー氏は語った。

また同氏は、ホームスクーリングコミュニティは、自主的な課外活動に柔軟に対応できると述べた。さらに、ホームスクーリングを採用している家庭は、数日間小グループで行うライブの課外活動に大きな関心を持っていた。 このアイデアが彼らを2016年にY Combinatorに向かわせることになり、卒業と同時にCollab+Sesameがリードする140万ドル(約1億5000万円)のシードラウンド(未訳記事)につながった。

「我々は皆、仕事でグループビデオ通話をしたことはあったが、K12(日本の高校3年生に相当)でこれを学習に利用するのを見たことはなかった」と同氏は述べた。Outschoolは小グループでライブのインタラクティブクラスを展開し始め、すぐに軌道に乗った。売上高は2017年の50万ドル(約5250万円)から2019年には600万ドル(約6億3000万円)以上に増加した。

Outschoolは2019年5月、エドテックに力を入れるベンチャーキャピタルファンドであるReach CapitalからシリーズAの資金調達の機会を得た。同社はホームスクーリングの家庭にとどまらず、もっと広い対象に向けて考え始めた。もし学校に行く子供がいる家庭で、週末や休日に課外活動を行いたいというニーズがあったとしたらどうだろうか。

同社にとって今は全然違うと感じられる。さらにEdTech(エドテック)については広い範囲で著しく異なる(未訳記事)と感じている。ナトゥー氏によると、Outschoolでクラスを購入する親の87%は、子供が学校に通っている。Outschoolの対象となる市場全体の成長には新たな課題と目標が伴う(未訳記事)。

パンデミックが始まったときOutschoolのプラットフォームには1000人の教師がいた。 現在は1万人で、全員がスクリーニングを受けている。

「それは大きな挑戦だった」とナトゥー氏は述べた。「当社はオープンなマーケットプレースではないため、社内で供給と品質のチームを迅速に拡充する必要があった」。裏方の作業は難しく時間もかかるが、学生のNPSスコア(顧客ロイヤルティの指標)は高いままだと同氏は語る。

Outschoolはライブ学習の分野で多数のライバルがいる。例えばJuni Learning(ジュニラーニング)は、コーディングと科学に関するライブの小グループクラスを販売している。同社はForerunner Venturesがリードしたラウンドで750万ドル(約7億8000万円)を調達し、ARR(年間経常収益)は約1000万ドル(約10億5000万円)だ。OutschoolのARR(年間経常収益)は1億ドル(約105億円)に上る。

「当社はJuniよりもはるかに広い範囲の学習オプションを提供する。Juniはコーディングクラスに特化している」とナトゥー氏は言う。Outschoolは現在、ウェブサイトに5万以上のクラスを掲載している。

Varsity TutorsはOutschoolに似た別のライバルだ。Varsity Tutorsは数学や英語などの主要科目でオンラインチューターと大規模グループクラスを販売している。ナトゥー氏は、Outschoolの差別化のポイントは小グループでの教育とトピックの多様性だと語る。

Outschoolの今後についてナトゥー氏は、ある矛盾するアイデアを持っている。プラットフォームが学校に導入されたらどうなるか。

「当社の今後の戦略について、私は新しいタイプのクラス、国際的な展開、学校への展開について考えている」と述べた。

Outschoolは成長する消費者向けビジネスをエンジンとして、各学区(の教育委員会)に食い込んでいく可能性がある。各学区は予算が少ないため取引を行うのが難しいことで有名だ。しかし、ナトゥー氏にとって学習へのアクセスを増やすために学校に入り込んで行くことは重要だ。

「当社のビジョンは地域の学校を補完するグローバルな教育コミュニティを構築することだ」とナトゥー氏は語った。

画像クレジット:valentinrussanov / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

スマホやタブレットの画面を使わないスマート玩具Kiriは子供の言語学習などにも効果的

自宅待機が始まって6カ月、そして今はカリフォルニアの山火事の煙から逃れる数週間を経て、エネルギーのはけ口を奪われたチビちゃんたちと過ごす私だが、子供のスクリーンタイムを増やすよう推奨して人々に嫌な思いをさせるようなことだけはしたくない。

しかし、画面を使わずに子供たちに教育と娯楽を提供してくれる玩具を作ろうという企業があれば、少なくとも私は注目する。

それがKiriの根底にあるコンセプトだ。同社今週、初めて完全バーチャルでの開催となるTechCrunch Disrupt Startup Battlefield(スタートアップバトルフィールド)コンテストへの出場を予定している。同社は昔ながらの木製の積み木に捻りを加え、スマートな機能を内蔵することで、子供たちが物の形、動物、数などを複数の言語で学べるようにした。しかも画面は使わない。

Kiriは、拡張可能なRFID対応タイルを使って遊ぶように作られている。それぞれのタイルには、動物や食べ物が描かれている。積み木(ブロック)でタイルに触れると、内蔵スピーカーから触れた相手に関する説明が流れる。

画像クレジット:Often Studio

「モード」カードを使うとクイズゲームに切り替えることができ、子供が所有しているタイルの中からひとつを探すようKiriに促される。または、英語、標準中国語、スペイン語の切り替えも瞬時だ。

Kiriのブロックは、あえてシンプルに作られている。1辺が2インチ(約2.54cm)の、滑らかに仕上げられた木の立方体だ。外から見えるのは、内蔵スピーカーの音を出すための小さな穴、充電用のポート、半透明で色が変わるKiriのロゴのみ。青いタイルに触れるとロゴは青くなり、クイズに正解すると緑色になる。

子供が覚えた言葉を確認したいときは、コンパニオンアプリで学習効果を見ることができる。ここではもちろん、新しいカードも注文できる。

Kiriは、2019年末にKickstarterキャンペーンに成功し、世界に向けて最初の一歩を踏み出した。最初の製品を今年の4月に出荷する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で物事がすっかり止まってしまった。KiriのNick Porifilio(ニック・ポーフィリオ)氏は、クリスマスシーズンには出荷を間に合わせる予定で再始動したと私に話してくれた。

99ドル(約1万400円)のスターターキットには、ブロック、トートバッグ、タイル数枚が入っていて、すぐに遊べるようになっている。同社は、今後時間をかけてタイルの種類や学習カテゴリーを増やしていくつもりだ。月額8ドル(約840円)でサブスクリプションに加入すれば、子供たちが興味を持っている限り、常に最新の状態に保つことができる。

ポーフィリオ氏は、ゆくゆくはタイルを超えた展開も視野に入れていると話していた。Kiriを内蔵した本や楽器などだ。しかし今のところ彼らは、予約注文してくれた人たちの手にブロックを届けることに専念している。

画像クレジット:Often Studio
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(翻訳:金井哲夫)

インドの教育系スタートアップByju’sのCEOが将来の買収、新型コロナ影響、海外展開について語る

インドが3月下旬に全土でロックダウンを実施して学校や他の公共スペースを閉鎖して以来、バンガロール拠点のスタートアップByju’s(バイジュース)は世界で2番目に大きなインターネットマーケットであるインドの生徒にとってなくてはならないプラットフォームの1つになった。

Byju’sが生徒4000万人を集めるまでに4年半かかり、ロックダウン以降、Byju’sのユーザーベースは6500万人に膨らんだ。共同創業者でCEOのByju Raveendran(バイジュー・レヴィーンドラン)氏が9月15日、Disrupt 2020カンファレンスで語った。

生徒はByju’sの教え方にひかれる、と話す。自身も教師だったレヴィーンドラン氏は、複雑な数学の問題を教えるのにピザといった現実世界にあるものを使う直感的な方法を考え出した。

同氏のスタートアップの評価額は先週時点で110億ドル(約1兆1600億円)近くで(これによりByju’sはインドで2番目に価値の大きなスタートアップになった)、いくつかの海外マーケットでもサービスを展開している。2019年後半にByju’sは黒字化を達成したことを発表した(未訳記事)。この3つの特徴のうち1つでも持っているインドのスタートアップはそう多くなく、ましてや3つすべてとなるとなおさらだ。

内容が多岐に渡るDisrupt 2020でのインタビューの中で、レヴィーンドラン氏はByju’sのこれまでの道のり(Byju’sは教室や講堂、スタジアムで生徒に教えるオフラインのプラットフォームとして始まった)、海外マーケットでの事業拡大計画、M&Aの機会についての考え、新型コロナウイルスパンデミックがいかに事業やインドの教育分野に影響を及ぼしているかなどについて語った。

「残念ながら、多くの人にとってパンデミックがデジタル学習を試すきっかけになった。保護者は今、オンラインセグメントをこれまでにも増して受け入れている。この部門は明らかに分岐点にある」とレヴィーンドラン氏は話した。

生徒がオンライン学習をより利用しやすいようにするために、Byju’sはパンデミック中、提供するサービスをすべて無料にした。しかし同プラットフォームの有料購読者は今や400万人超となり、着実に成長していると同氏は述べた。

同社は2020年、インドマーケットでの売上高が10億ドル(約1055億円)を超え、純利益は1億5000万〜1億8000万ドル(約158億〜190億円)を予想している。

「相対的に成功といえる。ターゲットオーディエンスとして念頭に置いているのは浸透率で、この分野での我々の浸透率は4%以下だ。学校に通う子供の3分の1以上がスマートフォンを持っていない。この事実に対応するために、やらなければいけないことはたくさんある」と話した。

パンデミックによってインドで引き起こされた別の現象は、エドテックスタートアップ業界における統合だ。Byju’sは生徒にコーディング技術を教える創業18カ月のスタートアップWhiteHat Jr.を3億ドル(約316億円)で買収した(未訳記事)。

Byju’sが他にもいくつかの企業と話し合いを進めていることについては、TechCrunchはすでにレポートした。ここにはインド企業のDoubtnutが含まれる(未訳記事)。同社のアプリでは生徒が数学の問題の写真を撮り、その解き方をステップバイステップで提供する。

M&Aに関してByju’sが語ったことは次の通りだ。「この部門の長期的なポテンシャルはかつてなく高まっている。当社は既存のユーザーベースあるいは新しいマーケットで獲得し得る新規の顧客に強固なプロダクトの構成要素を加えることができる企業を探している。または、新たなマーケット、特に英語が使用されているマーケットにおいてすぐさま事業を展開できるようディストリビューションで貢献してくれる企業が欲しい」。

「今後数社の買収を発表する。数社について真剣に検討している」とも付け加えた。レヴィーンドラン氏は「最も株に価値を置いている」ため、今後の買収はまたも全額現金払いとなる見込みだ。

IPO、資金調達、そして海外展開

Byju’sは少なくとも今後2年は上場を考えていない、とレヴィーンドラン氏は話した。「当社は強固なビジネス基盤を持っている。高成長と持続可能な成長の正しいバランスを見つけることができ、かなりの短期間で非常に収益性の高いモデルを構築した。しかし上場について真剣に考えていない」と述べた。

Byju’sに出資している投資家もまた急いでいないようだ。「一部の初期投資家にエグジットを与えるために上場する必要はない。というのも、事業そのものが十分な現金を生み出すからだ。投資家の大半が過去のラウンドで投資した額の金をすでに手にした」と同氏は語った。

Byju’sは今年、7億ドル(約740億円)超を調達した。レヴィーンドラン氏になぜ資金を調達するのか尋ねた。「調達した主な資本の使い方という点において、当社はかなり資本効率がいい。最初の5年間で主要資本のうち3億5000万ドル(約370億円)に満たない額を使った。これは当社がいかに効率的にモデルを展開してきたかを示している」と述べた。

「最近の資金調達の大半は、完全現金払いの買収のような無機的成長の費用を賄っている。当社はこれを強固なビジネスモデルの追加に使っている。当社は必要だからと資金を調達したことはない。常に適切なパートナーを加えるためだ。直近では、長期的で忍耐強い投資家を追加した」と同氏は話した。Byju’sは現在少なくとも投資会社2社と話し合いを進めていて一連の資金調達の動きはまだ終わっていないようだ。

海外事業の拡大については、レヴィーンドラン氏はいくつかの英語圏マーケットの子供を対象にしたデジタル学習アプリを立ち上げる計画だと述べた。オーストラリアやニュージーランドを含む複数のマーケットの顧客向けにWhiteHat Jr.が数学を提供するとのことだ。

またTechCrunchは、インドにおけるまだ黒字化を達成していない他のスタートアップ大企業についてどのように考えているか、インドのエドテック分野に新規参入の余地はあるか、などについても話を聞いた。完全インタビューは以下のビデオで閲覧できる。

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(翻訳:Mizoguchi

インドのオンライン学習大手Byjuが約530億円を調達、アプリ登録者6400万人超、有料購読者420万人超

インドのオンライン学習プラットフォームを運営するByju’s(ビジュス)は、企業評価額108億ドル(約1兆1400億円)とする資金調達ラウンドで5億ドル(約530億円)を調達した。情報筋がTechCrunchに語った。

このラウンドは、米国カリフォルニア州メンロパークに本社を置くベンチャーキャピタル(プライベートエクイティ)企業であるSilver Lakeが主導し、既存投資家であるTiger Global、General Atlantic、Owl Venturesも参加した。インドで2番目に価値のあるスタートアップであるByju’sは、ラウンドの規模や評価額は明らかにしなかった。

同社の共同創業者兼CEOであるByju Raveendran(ビジュ・ラヴェンドラン)氏は声明で「我々は、Silver Lakeのような強力なパートナーをByju’sファミリーに迎えることに興奮しています」と述べている。ちなみに、ラヴェンドラン氏は来週TechCrunchが開催するDisrupt 2020に出演する予定だ。

「私たちは、この危機の中でポジティブな関連性を持つ分野にいられることを幸運に思っています。オンライン学習を前面に押し出し、親や教師、生徒がその価値を体験し、理解するのに役立っています。私たちの教室は100年ぶりに変化しつつあり、学習の未来を再定義する機会にとても興奮しています」とラヴェンドラン氏は付け加えた。

Byju’sは、学部・大学院レベルのコースを目指す学生を対象としているが、近年では、すべての学校に通う学生にサービスを提供するためのカタログも拡充している。Byju’sアプリ上の講師は、ピザやケーキなどの現実世界の物を使って、複雑なテーマに取り組んでいる。

Byjuのウェブサイト画像句レット:Byju’s)

Byju’sの評価額が上昇しているのは、教育系スタートアップがその使用量が大幅に増加していることを報告しているからだ。Facebook(フェイスブック)が支援する教育技術スタートアップのUnacademyは、先週新たに1億5000万ドル(約160億円)の資金調達を実施(未訳記事)したことで、この数カ月の間にで評価額が3倍近くになった。Byju’sは6月にMary Meeker’s Bondから資金調達した際に105億ドル(約1兆1100億円)の評価を受けていたが、昨年7月には約57億5000万ドル(約6085億円)の評価だった。

今年初めにインドで新型コロナウイルスの流行が広がり始めると、インド政府は全国的な封鎖を施行し、全国の学校も閉鎖された。これにより、多くの親が子供のためにデジタル学習サービスの選択肢を模索するようになったのだ。

インドで4億人以上のユーザーを集めているものの、インド国内ではほとんど稼げていないFacebookの状況からよくわかるように、多くのインド人はオンラインサービスにお金を払わない傾向がある。しかし、教育については例外だ。インドの家族は、より良い未来への道を切り開くために、子供の教育に多額の費用をかけ続けている。

ロックダウン以来、Byju’sはプラットフォーム上で2000万人の新しい生徒を獲得した。現在、アプリには6400万人以上の学生が登録しており、年間420万人の有料購読者がいる。もちろん収益も倍増したという。

Silver Lakeの共同最高経営責任者(Co-CEO)であるGreg Mondre(グレッグ・モンドル)氏は「我々はこの投資をリードし、インドと世界中の子供たちが真の可能性を発揮できるように支援するというミッションの中で、教育技術のパイオニアであるビジュ氏と彼の優れたチームとパートナーになれることをうれしく思います」と述べている。Silver Lakeは今年初め、インドのJio Platformsにも約13億5000万ドル(約1430億円)を投資(未訳記事)している。

「Byju’sが新たなパートナーシップを構築し、革新的な教育サービスを提供する包括的なエコシステムを継続的に育成することで、魅力的な成長軌道を構築し、加速させていく中で、我々は彼らと協力していくことを楽しみにしています」。

なお、いくつかの統合も行われている。Byju’sは、子供にコーディングを教えるWhiteHat Jr.を18カ月前に3億ドル(約320億円)で買収(未訳記事)した。ラヴェンドラン氏はTechCrunchとのインタビューで、Byju’sは買収資金の一部を調達していると語った。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

The Skillsはマイケル・フェルプスやマリア・シャラポワなどトップアスリートのアドバイスをサブスクで提供

ロサンゼルスの新しいスタートアップは、Maria Sharapova(マリア・シャラポワ)やShaun White(ショーン・ホワイト)のような有名アスリートから人生やスポーツのレッスンを受けるためなら年間69~149ドル(約7300〜1万5800円)を払ってもよい、という消費者が十分存在することに賭けている。

それがMaveron、Global Founders Capitalと8VCというベンチャーキャピタル3社が、米国時間9月1日に開業するThe Skills(ザ・スキルズ)に賭けたギャンブルだ。

ファウンダーのE. Omer Atesmen(E・オメル・アテスメン)氏は、元再生可能エネルギーの起業家で、最後に立ち上げたClean Energy ExpertsはSunRunに非公開の金額で買収された。The Skillsは、人生とスポーツのコーチングレッスンをMasterClass(マスタークラス)方式でサブスクリプション会員に届けようとしている。

テニスのシャラポア、スノーボードのホワイトの他、バレーボールのスターであるKerri Walsh Jennigs(ケリー・ウォルシュ・ジェニングス)、アメリカンフットボールプレイヤーのLarry Fitzgerald(ラリー・フィッツジェラルド)、オリンピックで28個のメダルを獲得した元水泳選手のMichael Phelps(マイケル・フェルプス)らが名を連ね、The Skillsは、スポーツの各分野でトップを争ったアスリートを揃えることに成功した。

消費者は、特定分野の最高権威の話す格言や長ったらしい説教や専門的アドバイスを聞くために金を払うものだ、というアイデアが今年、MasterClassの評価額を8億ドル(約848億円)へと押し上げたのを見ても、The Skillsの売り口上に根拠がないわけではないことがわかる。

「個人のスポーツ参加の価値についてはさまざまな研究がなされている。スポーツは心の健康を改善し、社交性を高め、身体的健康を促し、人生のさまざまな場面の成功と結びついている」とThe SkillsのファウンダーでCEOのアテスメン氏が声明で述べた。「我々がThe Skillsを設立したのは、世界で何百何千万という人たちがスーパースターアスリートに学びたいと思いながら、その機会はごく稀なオフラインの場しかなかったからだ。当社のアスリートおよび彼らが現場や日常の生活体験から学んだ知識とスキルを会員と共有できることを願っている」。

コースには約2分間から5分間の20種類以上のセッションがあり、生活スキルの観察と技能レッスンが組み合わせられている。自信の獲得、リーダーシップ、心の準備、セルフケアなどの一般的なアドバイスを扱うセッションも用意されていると声明には書かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

人種差別、がん、離婚などのトピックを扱う子ども向け書籍のスタートアップ、創業から現在に至るまでの歩み

企業家であり父親でもあるJelani Memory(ジェラニ・メモリー)氏は、長い間、子ども向けの本を書きたいと思っていた。同氏は、自分が経営するスタートアップであるCircle MediaのシリーズB投資ラウンド中に、燃え尽きたように感じ、もっとクリエイティブで充実した何かを始めたいと思い始めた。これが、A Kids Book Aboutを創業するきっかけとなった。A Kids Book Aboutは、親が子どもといっしょに難しいトピックや会話に挑むのを支援する書籍出版プラットフォームだ。最初に出版された本のタイトルは『A Kids Book About Racism』だった。

メモリー氏は次のように述べている。「私自身、父親として子どもたちと人種差別に関する会話をしようとしていた。子どもたちもこの本を気に入っていた。この本を読んだ後、子どもたちは新しい質問をいろいろとしてきた。人種差別という話題についてそんな質問を子どもたちから受けたことはそれまでなかった」。

メモリー氏がこの本を友人や同僚にも読んでもらったところ、他のトピックについても本を書いたらどうかと勧められた。

同氏は次のように語っている。「それがすべての始まりだった。朝起きたときも、夜寝る前も、日中仕事をしなければならない時間もそのことで頭がいっぱいだった。このような本が必要だ、少なくとも自分の子どもたちには絶対に必要だと直感的に感じていた。一部のトピックは、子どもたちとの会話で取り上げることがあまりに難しいと感じていたからだ。私は自分がオープンな父親で、子どもたちとさまざまなことを話していると思うが、中には取り上げにくいトピックもある。取り上げるつもりでいても、何と言ってよいかわからないこともある」。

これには多くの人たちが共感するのではないか。George Floyd(ジョージ・フロイド)氏が警官に殺された翌日、『A Kids Book About』シリーズは、その前の月全体と同じ冊数が1日で売れた。そして、その勢いは止まることがなかったそうだ。その翌日の売り上げは2倍、さらにその翌日も2倍になり、その後も安定した売り上げを記録した。10日という短い期間で、A Kids Book Aboutは100万ドル(約1億600万円)を超える収益を達成した。

メモリー氏はこう述べている。「正直なところ、あの時点の在庫で年末まで十分に持つだろうと思っていた。だが、2つのタイトルを除き、すべて売り切れてしまったのだ」。

6月のある時点で、入荷待ちは5万冊ほどになっていた。

メモリー氏は次のように語っている。「大人たちもやり方がわかってきて、子どもたちとこうした有意義な会話ができるようになっていった。人種差別に関する本が本当によく売れたが、読者の意欲は素晴らしく、がん、フェミニズム、共感、マインドフルネスといったテーマの本が瞬く間に売れていった。見ていて快感だったよ」。

A Kids Book Aboutは2019年に正式に創業し、同年10月には12タイトルが発売された。現在は25タイトルが販売されており、今後さらに増えていく予定だ。A Kids Book Aboutは直販ビジネスを主体とした「かなりユニークで新しい出版モデル」だとメモリー氏は説明する。

同社では、少人数の集中的なワークショップによって本をあっという間に書き上げてしまう。まず作家に声をかけ、会社のビジョンとミッションについて説明し、その作家と本を共同で執筆する。本を出した経験がない人を意図的に探しているが、以前に本を出した経験がある作家もいる。

メモリー氏は次のように説明している。「本を出した経験がある人となると、大抵は、同性愛者ではない白人の男性になってしまう。我々としては、個人的にさまざまな経験をしており、実体験を通してそのトピックの裏も表も知り尽くしている人を求めている」。

Image Credits: A Kids Book About

出版業務に話を移すと、A Kids Book Aboutでは、本の収益の10%以上を印税として作家に渡すという。従来の出版社の印税は6%程度だ。また、書店に並ぶまでの平均日数は45日と大変短い。従来の出版業界では18か月もかかるところだ。

新型コロナウィルス感染症のパンデミックが発生したとき、A Kids Book Aboutでは、このトピックを取り上げる必要があると考えた。そこですぐにゴーサインを出し、ある社会疫学者と協力して4日間で無償の電子ブックを作成した。書籍版は来月、先行予約を開始する。

フロイド氏の死によって火がついた大きな社会運動の最中、同社では、人種をテーマにした本を追加する必要があると考えた。

メモリー氏は次のように述べている。「私の書いた『A Kids Book About Racism』は人種差別についての会話を始める良いきっかけにはなると思うが、このテーマであと数冊は出す必要があると考えた。今、白人の特権に関する本を急いで執筆しており、今年の秋に出版する予定だ。また、人種差別シリーズの最後の分野として使えるよう、組織的人種差別についての本も執筆中だ」。

A Kids Book Aboutのビジネスのやり方で従来と異なる点がもう一つある。資金調達の方法だ。資金調達プロセスでは、投資家が自分を選ぶだけでなく、自分も投資家を選ぶ、とメモリー氏は言う。

メモリー氏はこう説明している。「これによって、多くの無益なやり取りを回避できる。もちろん、投資の申し出の一部を断る必要もあった。しかし、何よりも、視野を広げて、非白人の投資家を増やすことができるのだ」。

メモリー氏は、スタートアップに今まで投資したことがない投資家も探した。

「適格投資家からだけでなく、適格投資家以外の人からも資金を調達する余地を残しておくことがとても重要だった。富の連鎖がこのまま続くと、富める者だけがますます富むという結果になることがわかっていたからだ」と同氏は述べている。

A Kids Book Aboutは、Cascade Seed Fund、Color Capital、Black Founders Matterなどの一握りのシードファンドから100万ドル(約1億600万円)を調達した。

メモリー氏は次のように述べている。「がんや人種差別などのトピックを扱う子ども向け書籍の直販スタートアップなど、ベンチャーキャピタルにはあまり受けない。私が非白人の創業者であること、またこれが2度目の創業であることもあり、投資家に感銘を与える話をすべきだと何度も勧められた。そのたびに私は、『わかっていない。これは慈善事業じゃないんだ』と答えた。そうした人の投資はすぐに断った」。

メモリー氏によると、eコマースや消費者向けファンドを除けば、全体として、投資家たちの反応はとても良かったという。だが、出版業界について、また同氏のビジネスが今までにないものだということについて、よく分かっていない投資家だけになってしまうこともあったという。

メモリー氏は次のように語っている。「大半の投資家は自分のことを、恐れずにリスクを負う人間だと思っているようだが、私に言わせれば、彼らは地球上で最もリスクを嫌う人たちだ。資金調達とはつまり、自分のしていることを本当に理解してくれる真の支援者を見つけることだ。このビジネスのために100万ドル(約1億600万円)を調達できたことに今でも少し驚いている。しかも、その半分はパンデミックによるロックダウンの真っ只中に調達できたのだ。でも、素晴らしい結果を出していることを書いても、もう問題ないだろう。あの当時、すでに多くの人たちと話をしていたことも。数日で50万ドル(約5300万円)を売り上げるようになった頃には、自分たちとは考えが合わないか、単純に資金の割り当て先を確保できなかったという理由で、かなりの数の投資家たちの申し出を断るようになっていたことも」。

関連記事:Microsoft Azureの「読む能力」をアップするImmersive Readerが一般公開へ

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タグ:A Kids Book About アントレプレナーシップ 差別

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(翻訳:Dragonfly)

Microsoft Azureの「読む能力」をアップするImmersive Readerが一般公開へ

米国時間8月25日にMicrosoft(マイクロソフト)は、アプリケーションに音声合成や読解ツールを追加したい開発者のためのサービス「Immersive Reader」を一般公開したと発表した。

Immersive Readerは、AzureのAIプロダクトであるCognitive Servicesスイートの一部で、開発者はテキストのテキスト音声合成エンジンにアクセスできるが、同じく重要なのは、一般的に使用される単語の上に画像を表示したり、与えられた文の音節や品詞を分離したりすることで、読者の読解力を向上させるツールを提供していることだ。

また、最新のブラウザで見られるのと同じように、気が散らず集中できる読書ビューを提供する。実査、マイクロソフトのEdgeを利用している場合、Immersive Readerは他のアクセシビリティ機能とともに気が散らない記事表示の一部として、すでに含まれている。また、マイクロソフトはImmersive Readerに翻訳サービスもバンドルしている。

画像クレジット:Microsoft

本日のローンチでマイクロソフトは15のニューラルテキスト合成音声に加え、翻訳サービスから新たに5つの言語、オディア語、北部クルド語、中央クルド語、パシュトー語、ダリー語を追加する。Immersive Readerがサポートする言語は、これで計70になった。

本日の発表にもあったように、マイクロソフトはCode.orgおよびSAFARI Montageと提携して、学習ソリューションにImmersive Readerを導入している。

「マイクロソフトと提携してImmersive ReaderをCode.orgのコミュニティに提供できることを嬉しく思っている。Immersive Readerの包括的な機能により、さまざまなバックグラウンドや能力、学習スタイルを持つ者のル独か威力と理解力を向上させることは、すべての学校の、すべての生徒にコンピューターサイエンスを学ぶ機会を確保するという私たちの使命と直接的に一致している」とCode.orgの創業者でCEOのHadi Partovi(ハディ・パルトビ)氏はいう。

マイクロソフトによると、2月から5月にかけてImmersive Readerの利用は560%増えたという。これは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで、オンライン教育のツールを求める人びとが多くなったためだろう。毎月、2300万人以上がImmersive Readerを使用しており、同社は新学期が始まる秋にはさらに増えると予想している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa