グローバル学生特化型プラットフォーム「JPort」のSPeakが8000万円調達、就活のボーダーレス化実現目指す

グローバル学生の就活オンラインメディア「JPort Journal」やグローバル人材とのマッチングサイト「JPort Match」など、グローバル学生特化型プラットフォームを運営するSPeakは5月20日、第三者割当増資による約8000万円の資金調達を発表した。

新規引受先として迎えたのは、ANRI、East Ventures、LAUNCHPAD FUND、河合聡⼀郎⽒などの個⼈投資家。また、既存投資家のライフタイムベンチャーズを追加引受先とした。累積調達額は1億円超となった。調達した資金は、コア人材の獲得、コミュニティの強化、HRTech事業の拡大に用いる。

SPeakは国内において人種・国籍のダイバーシティを推進し、グローバル新卒特化型プラットフォーム「JPort」を運営している。その背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少、日本の国際化に加え、国が「留学生30万人計画」「スーパーグローバル大学」といった施策を行い留学生が急増しているにもかかわらず、日本の「就活」が独特なため、グローバル学生やミレニアル世代にとってハードルが高いといった課題がある。

さらに近年のコロナ禍により、グローバル学生の就職活動・企業人事の新卒採用活動ともにオンラインに場を移していることから、サービス拡充が急務となった形だ。資金調達完了後、SPeakではコアメンバーとCxO候補の採用を開始する。

第三者割当増資に際し、代表取締役CEOの唐橋宗三氏は、「ボーダーレスな社会を実現するためにSPeakを創業した。今回の資金調達で、当社のビジョン・ミッションに共感いただいた素晴らしい投資家の方々とともに、人種・国籍のダイバーシティ&インクルージョンを推進していきたい」と抱負を述べた。

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Arcがソフトウェア開発者向けにリモートキャリアプラットフォームを公開

COVID-19の大流行により、リモートワークが注目されるようになったが、ハイテク企業は人材不足に対応するために、すでに何年も前から遠隔地での採用を行ってきた。Arc(アーク)は台湾時間4月28日、そのリモート採用プラットフォームをすべてのソフトウェア開発者に開放することを発表した。これまでのArcは、認定プロセスを通過した開発者のみに公開されていた。開発者は、他の応募者に対して差をつけるために、引き続き認定を受けることができるが、Arcの求人データベースと検索エンジンは誰でも利用できるようになった。

Arcは、ソフトウェア開発者向けのオンライン教育プラットフォームであるCodementor(コードメンター)のチームが2年前に立ち上げた企業だ。その創業以来Arcは、Spotify(スポティファイ)、Hims(ヒムズ)、Hubspot(ハブスポット)、FiveStars(ファイブスター)といった企業の採用に使われてきた。その投資家には、Techstars、500 Startups、WI Harper、Y Combinatorなどがいる。

創業者で最高経営責任者のWeiting Liu(ワイティン・リュー)氏は、TechCrunchの取材に対し、「私たちは開発者の皆さまにに与えたインパクトを誇りに思うと同時に、そのインパクトをさらに大きなものにしていきたいと考えています」と語った。

新バージョンのArcは、2つの機能を中心にしている。スマートなリモートジョブ検索エンジンと開発者コミュニティだ。Arcは、求人情報サイトなどをクロールしてそのデータベースを構築しており、これまでに1万3000社から、5万4000件の開発者募集情報を集約している。そして、その検索エンジンは、リモートワークの検索に伴う課題を取り除いている。

リュー氏は「たとえば、よく聞かれる不満は、多くの仕事がリモートでありながら、応募が米国内に限定されているということです。あるいは、パンデミックが終わるまでの限定リモート勤務だったりすることです」という。「これに対して、私たちのアルゴリズムが、応募者の状況に応じて最善を尽くします。例えば、アジアや東欧を拠点とする開発者の場合、タイムゾーンによっては残念ながら応募できない求人もあります。ということで、これらの制約を考慮し、応募者の経験や技術的な強みを考慮して、最も関連性の高い仕事を推薦いたします」。

Arcコミュニティは、リモートワークに慣れていないソフトウェア開発者や、海外での仕事のやり方を知りたい人のためのリソースだ。リュー氏は「たとえば米国を拠点とする雇用主のためには私の履歴書はこのフォーマットでなければならないのかとか、使用するツールの種類や文化的規範はどうなっているのか、といった質問があるかもしれません」と語る。「アメリカの会社でポジションを探していらっしゃる方ならなら、一般的な面接のやり方や、どれくらいの会社がSlack(スラック)を使っているのかといった基本的な仕事の慣行についてもお話ししたいでしょう。そこでコミュニティの出番となるわけですが、すでにリモートで仕事をしている開発者が、ご自身の経験を共有できるようにしたいと考えています」。

そして現在はオプションとなっているものの、Arcでは引き続き認定プロセスを推奨している。認定には通常1週間程度かかり、コーディングチャレンジや、Arcのチームメンバーを相手にした行動/技術面接などが行われる。仮に合格しなくても、改善を要する点をフィードバックしてもらい、半年後に再応募することができる。認定と求人検索は無料で、Arcはプラットフォームを通じて採用を行う企業に課金することで収益を得ている。

Arcの開発者認定プロセスのステップ

コミュニティに加えて、Arcは先日Elevate(エレベート)というプログラムを開始した。リュー氏自身がY CombinatorやTechstarsで受けた経験から着想を得たElevateは、リモートワークに移行したい開発者のための「短期人材アクセラレータ」という位置付けだ。プログラムの第1回目には、ラテンアメリカから13名の開発者が参加したが、今後は10名から20名の規模で開催される予定だ。このプログラムには、キャリア準備のためのワークショップ、面接練習、そしてGitLab(ギットラブ)、Zapier(ザピアー)、Dialpad(ダイアルパッド)で働く開発者によるライブメンターシップセッションが含まれている。

現在Arcは、SECの新しい株式クラウドファンディングの規制施行後に、クラウドファンディングキャンペーンを始めていて、これまでに約95万ドル(約1億円)を調達している。

「これは、アクセスを民主化したいという私たちのビジョンと一致しています。もしArcをコミュニティが一部所有するリモートジョブプラットフォームにすることができたなら、非常に興味深いものになりでしょう。私たちは世界最大のリモートジョブサイトになることを目指していますので、もしコミュニティのメンバーの皆さんをプラットフォームの投資家/オーナーにすることができれば、私たちのミッションをより早く実現することができるからです」とリュー氏はいう。

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

新型コロナ後のリモート採用をサポートするDeelが約168億円調達、2020年に20倍成長しユニコーンへ

世界の組織の多くが新型コロナウイルスパンデミックのためにリモートワークにシフトした。しかし人々がワクチンを接種し、オフィスが再開を計画していても、一部の組織ではリモートワークがしばらく続くのは明らかだ。

事業者がリモート雇用するのをサポートしようと、給料支払いやコンプライアンスのツール、その他のサービスを提供しているスタートアップDeel(ディール)はこのシフトの結果、需要増に直面した。

そして米国時間4月21日、サンフランシスコ拠点の同社はYC Continuity Fundと既存投資家のAndreessen Horowitz、Spark CapitalがリードしたシリーズCラウンドで1億5600万ドル(約168億円)を調達したと発表した。UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏、Stripeの元決済リーダーLachy Groom(レイシー・グルーム)氏、Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏、Jeff Wilke(ジェフ・ウィルケ)氏、Anthony Schiller(アンソニー・シラー)氏も参加した。

この資金調達はいくつかの理由で注目に値する。まず、DeelがシリーズBで3000万ドル(約32億円)を調達してまだ7カ月しか経っていないことだ。シリーズCはシリーズBの5倍超だ。また、創業3年のDeelを12億5000万ドル(約1349億円)という評価額でユニコーン企業に押し上げた点でも大きなディールだ。同社が7カ月前にはポストマネーで2億2500万ドル(約243億円)という評価額だったことを考えるとなおさら意義がある。また今回の資金調達は、Deelが前年に大きく成長したことに続くものだ。現在1800超の顧客企業を抱え、2020年の売上高は20倍超となった、と同社は話す。前回資金調達した2020年9月時点の顧客企業は500社だった。

MIT(マサチューセッツ工科大学)の卒業生であるAlex Bouaziz(アレックス・ブアジズ)氏とShuo Wan(シュオ・ワン)氏が共同で創業したDeelは事業者が「規則などに沿った方法で誰でも、どこでも採用」できるようにすることを目指している。同社のサービスを使うと事業者は国外の社員あるいは契約社員を5分もせずに採用できる、という。現地企業を要することなく、そしてクリックするだけで120超の通貨で社員に給与を支払うこともできるという。

Deelは新たに調達した資金を海外展開の継続と、新規のDeel所有する事業体80社を世界中に設置するのに使う。同社はまた、自社の採用とプロダクトの拡大も計画している。Deelのチームは完全にリモートで、2020年1月以来、従業員は7人から26カ国にまたがる120人に増えた。CB Insightsは、Deelのようなテクノロジープラットフォームが事業者のリモート第一の働き方へのトランジッションをサポートするなかで、バーチャルHRソフトウェア産業は2026年までに430億ドル(約4兆6443億円)に成長すると予想している。

資金調達の一環としてDeelの役員メンバーに加わったYC ContinuityのAli Rowghani(アリ・ロウガニ)氏は、Deelがすでにパンデミック前にリモートワークの先頭に立っていたと考えている。

「人々の働き方は根本的に変わりつつあります。Deelのチームは企業が最も近いロケーションにいる人ではなく世界で最も優秀な人材を採用できるよう、リモートワークの障害を独自のやり方でなくします」と同氏は声明で述べた。

TechCrunchが以前報じたように、Deelはすでに給与支払いサービスや税務コンプライアンス情報、契約アシスト、インボイス発行サービス、健康や就業に関連する他のエリアをカバーする各種保険など、さまざまなツールを雇用主や組織に提供している。

そして今、労働者と雇用主向けにさらにサービスを拡大する計画だ。ここには、給料に基づく労働者のためのローン、保険や福利厚生のオプションなどが含まれる。

カテゴリー:HRテック
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画像クレジット:Cattallina / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

ビジョナル南壮一郎氏上場インタビュー、創業から12年の道のりとこれから目指す場所

転職サイトの「ビズリーチ」や人材活用プラットフォームの「ハーモス」などを展開するビジョナルが4月22日、東証マザーズに上場した。公開価格をもとに算出した時価総額は1779億円。スタートアップ業界の内外から注目を集める「ユニコーン上場」となった。ビジョナル代表取締役社長の南壮一郎氏に上場までの道のりと、同社がこれから目指す場所を聞いた。

自身の転職活動から生まれた創業アイデア

南氏がビズリーチを創業したのは2009年のことだ。南氏は米タフツ大学卒業後にモルガン・スタンレー証券に入社。その後、2004年に楽天イーグルスの創業メンバーとなった。楽天イーグルスを離れた後、自身の転職活動で感じた経験と、米国で開催されたビジネスセミナーで出会った「LinkedIn(リンクトイン)」に影響を受けた南氏は、企業と求職者を直接つなげるというアイデアでビズリーチを創業した。

2016年、TechCrunch Japanが主催するスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo」に登壇した南氏は、ビズリーチのアイデアが生まれた背景についてこう振り返る。

「プロ野球のドラフトでは、『僕、プロに行きたいです!』と誰かが宣言したら、全球団が手を挙げる権利がある。そのように(当時転職活動をしていた)私も、真っ白の状態からせっかく仕事を探すんだったら、『今、仕事を探しています!』と手を挙げたときに、なるべく多くの選択肢と可能性の中から選びたいなと思った。なぜそういう仕組みが転職活動にはないのかな、という自身の転職活動中の発想がビズリーチを創業するきっかけになった」とTechCrunch Tokyo 2016で南氏は話している。

しかし、2009年当時はリーマン・ショックの真っ最中だ。VCによるスタートアップへの出資も冷え込み、本記事執筆時である2021年のような活気はこの業界にはなかった。外部資金による資本の積み上げが期待できないなか、ビズリーチはある意味必要に迫られて「稼ぐ力」を身に着けてきた。それによりビズリーチは、創業から7年目で700名の従業員を抱えるまでに成長。創業から12年目の2021年第2四半期現在では117億円の現金を保有し、これまでの利益の積み上げを表す利益剰余金も61億円まで膨らんだ。直近会計年度(2020年度)の当期純利益は46億円だ。

南氏は2016年のTechCrunch Tokyoにも登壇した

上場を決めたのは2016年

自ら稼ぐ力を持つビズリーチがこのタイミングで新規上場に踏み切った理由はなんだろうか。

新規上場はスタートアップ業界では「エグジット」と呼ばれ、その言葉にはある意味で「目指すべきゴール」のような響きもある。しかし、もちろん上場企業ならではのデメリットもある。広く一般の投資家から資金を調達できる代わりに、投資家の意向によっては、非公開企業と比べ、腰を据えてビジネスの芽を育てにくくなるのも確かだ。南氏もこの点を認識していて、上場までに12年の歳月をかけた理由もそこにあると話す。

「上場を決めたのは、2016年に行ったシリーズAでの資金調達(11億5000万円)の時だ。当時、上場企業としてどうありたいのかを考えたとき、僕たちは『息を吸うように事業を作り、成長させ、社会の課題を解決するようなインパクトを与える』企業になりたいと思った。しかし、上場をすれば株主が増え、事業運営にあたり考慮しなければならない変数が増える。中長期的な視野をもって事業を成長させたいと思っていても、トラックレコードがなければ投資家は納得してくれない。だから、僕たちは2016年のシリーズAを行った際、2021年春に上場をすると決め、そこから逆算して組織や事業のトラックレコードを作りこんできた」と南氏は語る。

この「中長期」という言葉は、南氏へのインタビューのなかで何度も出てきた言葉だ。その姿勢は、今回の新規上場にともなう新株売出しの方法にも表れている。ビジョナルは新規上場にともない約1124万株を売り出すが、その約88.7%にあたる株式は海外投資家に向けて売り出す。これまでにこの「グローバル・オファリング(国内と海外への株式などの募集・売り出し)」で新規上場を果たしたスタートアップには2018年上場のメルカリ、2019年上場のフリー、2020年上場のプレイドなどがあるが、絶対数としてはまだ少ないのが現状だ。

その意図について南氏は「これまでビジョナルは中長期的な視野を持って事業の運営を行ってきたし、これからもその目線をもって経営することがとても大事になる。新規上場を決めたときから投資家についてのリサーチを行ってきたが、海外には中長期的な目線をもつ投資家が多いことがわかった。シンプルに、理由はそれだけだ」と話した。

ビズリーチとハーモス両方を持つからこそできること

では、ビジョナルが中長期的に達成したい事業成長とは何だろうか。同社は有価証券報告書の中で「HR Techセグメント」の中核として人材のマーケットプレイスであるビズリーチと人材管理クラウドのハーモスを挙げている。ビズリーチの導入企業者数は2016年の約5200社から、現在では1万5500社と約3倍に伸び、外部顧客に対する売上高は209億円で、2018年の121億円から70%以上伸びた。同じくハーモスでも、ARR(年間経常収益率)ベースでは2018年第1四半期比で約5倍、利用企業数ベースでは約4倍と急速に成長中だ。

「ハーモスは採用や人材管理などに関わる機能をモジュールとして提供し、人事が欲している機能を一気通貫で提供してきた。今後は人材管理に加え、労務や給与の分野にも広げていく」と南氏はいう。

ハーモスで提供中の機能例

人材管理のハーモスと、人材のマーケットプレイスのビズリーチの両方を企業に提供するビジョナルだからこそできることがある。例えば、人材管理のハーモス上でパフォーマンスがあまりよくない社員がいたとする。その理由はさまざまであるはずだが、採用後の人事政策(つまりハーモスのカバー範囲)にあるのではなく、そもそも採用のミスマッチが原因だということもあるだろう。その場合、導入企業がハーモスとビズリーチの両方を導入していれば、ハーモスのデータをもとに採用プロセスの見直しができるようになる。それだけでなく、ハーモスで、ある社員の「退職の可能性が高い」というデータが出れば、企業は先回りしてそのポジションにふさわしい人材の採用を行うこともできる。人材にまつわるさまざまなデータを、人材採用の川上と川下の間で相互に活用することで、よりデータドリブンな人材戦略を実行することができる。

ビジョナルは今後、今回の新規上場で新たに調達する約106億円と現在保有する117億円を合わせた220億円以上の資金を、主にこの2つの事業のさらなる成長や、領域拡大のためのM&Aに投下していくという。

変わり続ける組織へ

上場の先を見据える南氏の表情は明るい。南氏は、上場した後も「変わり続ける組織」でありたいと話す。

「上場がスタートラインです。ダーウィンの言葉に『生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである』という言葉がある。社会の変化のスピードが上がり、ビジネスモデルの賞味期限は短くなった。100年続く企業はすごいと思うが、ビジョナルは100年で100回変わる会社にする。その象徴が(2019年に行ったグループ経営体制への移行にともなう)社名の変更だった。どう考えても、知名度のあるビズリーチという社名のままにした方が良いに決まっている。でも、社員に対して、『社名ですら変えられるのだ』ということを示したかった。何かを捨ててでも、学び続けられる組織にするためだ。変わらないものは、企業ページにも載せている『ビジョナルウェイ』(企業理念)だけ。それ以外は、変わり続けていくだろう」と南氏は語った。

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冒頭画像提供:ビジョナル

HRテックのEDGEが約1.5億円を調達してMBO完了、社員の価値観を可視化する新サービスも提供開始

左から3人目がEDGEの佐原資寛代表

HRテックのスタートアップEDGEは4月20日、第三者割当増資で9600万円とりそな銀行から融資6000万円を合わせ総額1億5600万円の資金調達を行い、人事課題解決に特化した「エアリーシリーズ」を提供する旧EDGEの株式65%超を取得したと発表した。同日付でEDGEは旧EDGEを合併し、経営陣が自らの会社を買収するMBO(マネジメント・バイアウト)の手続きをすべて完了した。

今後、EDGEは既存事業はもちろん、社員の価値観などを見える化する「エアリーマネジメントクラウド」と、1on1ミーテイングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」の新事業に力を入れていく。なお、引受先はエアトリ取締役会長の大石崇徳氏、PCIソリューションズ、インサイト、Legaseedとなる。

昨今のコロナ禍によって、企業における働き方は大きく変わり、マネジメントや組織開発の難しさが顕著になっている。旧EDGEは2017年4月にHRテクノロジー「エアリー」を主力事業として創業して以来、社内SNSを活用した組織内コミュニケーション支援事業を展開してきた。

コロナ禍の状況を踏まえ、これまでよりスピード感を持ち、課題解決策を提供していくため、MBOに踏み切ったという。旧EDGEの筆頭株主だったガイアックスは引き続き株主として一部の株式を保有する。

「エアリーマネジメントクラウド」でより適正なマネジメントを

社員1人ひとりに重点を置く診断

エアリーマネジメントクラウドは、発達心理学などをベースにした診断から、社員の価値観や幸福度を可視化して組織課題を改善するサービスとなる。今回の発表に合わせ、4月20日からサービス提供を始めた。

働き方改革などが進む中、社員のキャリアや働き方に対する価値観や考えを把握する重要性が増している。ただ、EDGEが取引先に行ったヒアリングによると、上司と部下間で信頼関係の構築が上手くいっていないケースが多かったという。コロナ禍により対面でコミュニケーションを取る機会が減ったことで、上司は以前にも増して社員の思いを汲むことが難しくなった。

エアリーマネジメントクラウドでは、これまでの組織診断ツールとは異なり、平均値ではなく社員1人ひとりの状態を把握することに重点を置いた。社員には自身の価値観に関する50個程度の質問をウェブ上で受けてもらい、意識構造のどの階層にいるかを診断する。

客観的な診断結果からマネジメントができる

同社は「価値観は意識構造に関連しているので、その意識構造では何に価値を感じ、どのような思考をするかを診断結果から提示できます。また幸福度については、目の前の仕事に没頭しているかなどの短期的な満足度と、未来の理想像に近づいている実感があるかという中長期的な満足度も計測し、総合的にスコア化しています」と説明した。

上司はこれらの情報を、社員の個別フォローや目標設定、適正配属などの決定に活用していく。客観的な診断結果から判断できることで、より適正なマネジメントを行えるようになるのだ。EDGEは2021年中に、100社へのサービス導入を目指す。

1on1ミーティングの質を高める「エアリーフィードバッククラウド」

音声分析により感情を可視化

エアリーフィードバッククラウドは音声分析から上司と部下の感情の推移を可視化して把握し、理想的な1on1の実施を支援するサービスだ。

近年、社員の生産性向上や人財育成の観点から、上司と社員が定期的に1対1でミーティングを行う1on1が注目されている。ただ「部下とどのように個別に話をすればいいのかわからない」「価値観や考えを引き出すことができない」といったノウハウ不足などの理由から、1on1導入に踏み切れない企業も多い。

このため、EDGEは2020年からエアリーフィードバッククラウドのベータ版を提供して質の高い1on1の特徴を分析してきたが、2021年5月初旬を目途に製品版をリリースする。製品版ではベータ版の分析を元に、上司が1on1を振り返って改善し「互いに本音をぶつけあうことができる」といった心理的安全性の高い状態を実現できるようになるという。

製品版リリース時には、上司と部下間における発話割合の測定機能を実装する予定だ。これにより、上司が1on1中に一方的に話すことなどを防ぎ、部下の意見もしっかりと引き出せるようにしていく。

また、音声分析から感情の推移を把握した後、相手にどのような印象を与えているかを客観的に評価してフィードバックする機能も追加する予定だ。この他、1on1開始時と終了時で、部下の活気スコアが増えているかなどを分析し、ポジティブな方向に導けているかをフィードバックする機能なども加えていくという。なお、この2つの機能の実装時期は現時点で未定となっている。

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マニュアル作成プラットフォームのスタディストが総額18億円超を調達

チームメンバーに意図がうまく伝わらない、という経験をしたことはないだろうか。「伝えることを、もっと簡単に」というミッションの下、ビジュアルマニュアル作成ツール「Teachme Biz」と、小売業者向け販売PDCAマネジメントツール「Hansoku Cloud」を提供するスタディストは、三井不動産とグローバル・ブレインが運営する31VENTURES、シンガポール政府が所有する投資会社テマセク・ホールディングス傘下のプライベートエクイティファンドであるPavilion Capital、博報堂DYベンチャーズを新たな引受先として、総額18億5000万円の資金調達を実施した。

同社は12期目となり、従業員数は現在116名、顧客アカウント数は32万。Forbes JAPANの「Japan’s Cloud Top10」や、週刊東洋経済の「すごいベンチャー100」などにも採り上げられている。

マルチデバイスでマニュアルの作成や閲覧が可能なTeachme Biz

Teachme Bizは、PowerpointやWordなどを使わずに、マルチデバイスで簡単に手順書が作成できるツールだ。画像を追加してテキストを付与、項目を並び替えて手順書が完成すれば、あとは共有するだけだ。

従来の属人的なOJTでは、教える側の意図がうまく伝わらない、教えられる側が同じことをもう一度聞きにくい、管理者が各自の習得度を把握しにくいといった課題があった。同社はこの問題を改善しようとサービス開発を行なっていたが、新型コロナウイルスの影響で遠隔研修のニーズが拡大し、導入社数が増加。特に小売業、飲食、宿泊、医療、金融といった、同じことを多拠点で多くの人に習得してもらう必要がある労働集約型事業での需要が高いという。

またスタディストは、Teachme Bizなどが動画や画像メインのサービスであることから、言語の壁がある海外での展開を目指して、アジア諸国に進出している日系企業へもアプローチを開始。2018年にはタイに現地法人を設立、現地の従業員教育をすばやく簡単に行えることが評価された。飲食事業を営む顧客の中には、新メニューを思いついたらすぐにTeachme Bizでそのレシピや調理手順を他店舗へ共有し、12時間で全店舗での新メニュー提供まで行えているところもあるという。

タイでも2020年にロックダウンがあったが、現地法人の2020年度売上は、前年度比70%で成長。スタディストはタイを中心にマレーシア、ベトナム、シンガポール、ミャンマー、香港のASEAN6カ国で事業を拡大し、その実績が今回の調達にもつながった。現在、Teachme Bizは日本語、英語、タイ語に対応しており、今後も東南アジアを中心とした展開を検討している。

Teachme Bizの顧客の課題から誕生したHansoku Cloud

「Hansoku Cloud」は、Teachme Bizの導入率が高い小売業者向けに、クロスセルで売れる商品を作ろうと考案したサービスだ。小売業のラストワンマイルと呼ばれる「店頭実現率(店頭在庫率)」を商品別にわかりやすく表示し、販売機会の損失を防ぐ。店頭在庫の確認や補充は、通常、店頭スタッフが対応するが、本部から受け取った文字だらけの店舗指示書は、理解するまで時間がかかることが多い。Hansoku CloudはTeachme Bizの機能が含まれており、本部からの店舗指示がビジュアルで確認できる他、各店舗の実行率が本部ですぐ確認できるため、直接指導をすべき先に対して早期に対応できる。ドラッグストアにおける胃腸薬店頭実現率を改善できるかPoCを実施したところ、1.5〜2倍の売上向上効果が出た。

Teachme Bizの顧客のペインから、それを解決するソリューションを増やしていく

今回の調達では、投資元のクライアントや投資先との提携を前提とした事業シナジー期待を主眼に置いた。Pavilion Capitalとの連携を活用して海外事業の拡大を図り、2025年2月期の全社売上において3億円を目指す。

同社は、労働生産性の向上により新しいものが次々登場する社会の創造を目指しており、必要な効率化手段を増強していく方針だ。代表取締役CEOの鈴木悟史氏はコンサルティングファーム出身で、過去の経験を活かしてPoCスキームのコンサルティング事業も育成検討をしており、今回の調達はコンサルタントの採用にも活かす考えだという。鈴木氏は今回グローバル調達に成功したことも踏まえ「これからはグローバルの時代。日本の起業家は語学の壁に怯まず、ぜひ果敢に海外に飛び出して欲しい」と語った。

カテゴリー:HRテック
タグ:スタディスト資金調達日本マニュアル

複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充

複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充

複業マッチングプラットフォーム「Another works」(Android版iOS版)を展開するAnother worksは4月16日、第三者割当増資による総額1億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、ベクトル、個人投資家の梅田裕真氏(メディカルノート代表取締役CEO)、複数の個人投資家など。シードラウンドを含めた累計調達額は約2億円となった。

調達した資金は、主にAI技術を活用したプロダクトの機能拡充、プロモーション、新規事業開発、および質の高いサービス提供のための人材採用に充てる予定。

同社はすでに単月黒字化を実現しており、ビジネスモデルが成立していることから、さらなる事業成長と技術投資を企図して資金調達に至ったという。無料トライアル期間の利用も含めると累計500社以上がAnother worksを導入しており、地方自治体との連携も推進するとしている。

複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充

Another worksは、複業したい人と企業をつなぐSaaS型の複業マッチングプラットフォーム。企業は毎月定額料金で、登録している全タレントから求める人材を探し、無制限にアプローチできる。採用が実現しても成約手数料は一切かからないため、採用コストが削減できる今までにないサービスとしている。

またタレントは登録・利用が一切無料で、求人へ直接エントリーが可能。企業からのスカウトが届くこともあるので、複業の機会を最大化させられるという。

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キャリアSNS「YOUTRUST」が登録ユーザー数累計5万人突破と発表、iOSアプリ正式リリースで急増

キャリアSNS「YOUTRUST」が登録ユーザー数累計5万人突破と発表、iOSアプリ正式リリースで急増

キャリアSNS「YOUTRUST」を運営するYOUTRUSTは4月14日、登録ユーザー数が累計5万人を突破したことを発表した。2020年12月末に3万人を突破しており、約3カ月で2万人超の新規登録があったことになる。

同社によると前年同月比で5倍超のユーザー数となっており、4月12日発表のiOSアプリ「YOUTRUST -日本のキャリアSN‪S」正式リリースを機に新規登録ユーザーが増加したことも要因としている。

2017年12月設立のYOUTRUSTは、信頼でつながる「日本のキャリアSNS」として「YOUTRUST」を展開。友人のつながりから副業や転職のオファーが届いたり、経歴書にはないプロフィールが作成・発見できたり、最新情報を気軽に眺めたりできる。活躍し続けるキャリアを歩みたいすべての人にとって、キャリアのチャンスを増やし出会いを生み出すSNSとしている。

キャリアSNS「YOUTRUST」が登録ユーザー数累計5万人突破と発表、iOSアプリ正式リリースで急増

「YOUTRUST」は、2018年4月にサービスを開始しており、これ以来副業・転職などの機会創出の場として成長しているそうだ。マクロ環境において、ジョブ型雇用の推進や脱・終身雇用の流れなど「個の時代」における新しい働き方に向け急速な変化が進み、自分らしく活躍し続けるためには、今すぐのキャリアチェンジを考えていない方でも「キャリア」について継続的に考え、チャンスやつながりを増やし広げておくことが欠かせなくなったとしている。

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登録者数累計3万人突破のキャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリをリリース

登録者数累計3万人突破のキャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリをリリース

キャリアSNS「YOUTRUST」を運営するYOUTRUSTは4月12日、iOSアプリ「YOUTRUST -日本のキャリアSN‪S」のリリースを発表した。また同リリースを機に、サービスメッセージを「信頼でつながる 日本のキャリアSNS」にアップデートすると明らかにした。

同アプリでは、即時的な通知機能によりスカウトや投稿・意欲変更の情報を見逃すことがなくなるという。YOUTRUSTユーザー間での交流やYOUTRUSTを通じたキャリアチャンスの広がりが一層加速することを期待しているという。

登録者数累計3万人突破のキャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリをリリース

2017年12月設立のYOUTRUSTは、信頼でつながる「日本のキャリアSNS」を展開。友人のつながりから副業や転職のオファーが届いたり、経歴書にはないプロフィールが作成・発見できたり、最新情報を気軽に眺めたりできる。活躍し続けるキャリアを歩みたいすべての人にとって、キャリアのチャンスを増やし出会いを生み出すSNSという。

2018年4月のサービス開始以来、YOUTRUSTは累計3万人を超えるユーザーが登録。副業・転職などの機会創出の場として成長しているという。マクロ環境において、ジョブ型雇用の推進や脱・終身雇用の流れなど「個の時代」における新しい働き方に向け急速な変化が進み、自分らしく活躍し続けるためには、今すぐのキャリアチェンジを考えていない方でも「キャリア」について継続的に考え、チャンスやつながりを増やし広げておくことが欠かせなくなったとしている。

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職場や業務プロセスの3Dシミュレーションを活用する企業研修スタートアップAttensiが約28億円調達

ノルウェーのオスロで生まれた企業研修のスタートアップのAttensiは、ニューヨークのLugard Road Capital、DX Ventures(Delivery Heroが支援するVCファンド)、そして既存の株主であるViking Ventureから2600万ドル(約28億円)を調達した。今回調達した資金は、北米および欧州での事業拡大に充てられる。

Attensiは企業研修に「ゲーム化されたアプローチ」を採用しており、従業員を職場や業務プロセスの3Dシミュレーションに参加させる。競合他社にはGoSkills、Mindflash SAP Litmos Skilljarなどがある。

パンデミックですべてのオフィスワークがリモートに移行する中、このようなデジタルトレーニングプラットフォームにはメリットがある。

今回の資金調達は、米国のベンチャーキャピタルが欧州の新興企業を「狩り」にいき、現地のベンチャーキャピタルに圧力をかけていることを示す最近の例でもある。

Attensiの共同創業者であり、共同CEOでもあるTrond Aas(トロンド・エース)氏は「ゲーム化されたシミュレーショントレーニングにより、私たちは職場心理学の長所と、シミュレーションとゲーム化の専門知識を組み合わせて、新しいカテゴリーのトレーニングソリューションを生み出しました」と述べている。

Attensiは年間経常収益で63%の年平均成長率(CAGR)を達成したとしている。同社のクライアントにはDaimler Mercedes Benz、Circle K、Equinor、BCG、ASDAなどがある。

Lugard Road CapitalのパートナーであるDoug Friedman(ダグ・フリードマン)氏は次のように述べている。「Attensiのソリューションを通じて、企業の学習と開発を永遠に変え、改善させようとしているAttensiのチームに投資できることを、これ以上ないほどうれしく思います」。

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画像クレジット:attensi

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(文:Mike Butcher、翻訳:塚本直樹 / Twitter

シンガポール拠点のキャリアプラットフォームGlintsがシリーズCで約24億円を調達

シンガポールを拠点とするキャリアプラットフォームのGlintsは米国時間4月6日、日本の人事管理会社であるPERSOL HoldingsがリードするシリーズCラウンドで2250万ドル(約24億円)を調達したと発表した。今回調達した資金はGlintsのシンガポール、インドネシア、ベトナム、台湾における事業拡大と、同社の製品およびエンジニアリングチームの雇用に充てられる。

Glintの共同創業者でCEOのOswald Yeo(オズワルド・ヨウ)氏によると、今回の資金調達は東南アジアの人材プラットフォームとしてはこれまでで最大規模のものであり、同社の調達総額は3300万ドル(約36億円)に達したと述べている。その他の参加者には以前から投資しているMonk’s Hill Ventures、Fresco Capital、Mindworks Ventures、Wavemaker Partners、Flipkartの共同創業者であるBinny Bansal(ビニー・バンサル)氏、元Goldman Sachs TMT Chinaのトップでパートナーを務めるXiaoyin Zhang(シャウエン・ジャン)氏などがいる。

2013年に設立されたGlintsは150万人以上のプロフェッショナルとGojek、Tokopedia、Starbucks、Mediacorpを含む3万の組織で利用されている。ヨウ氏によると、現在のユーザーの大部分はテクノロジーと金融サービスの分野からのものだが、Glintsは 「若手から中堅までの専門家を幅広く対象としており、長期的な目標は分野にとらわれないことだ」 と述べている。

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LinkedIn、JobStreet、CakeResumeといった他の求人プラットフォームとGlintsとの違いは、キャリアアップを望む人たちのために 「フルスタック」 のサービスを構築していることだ。同社によると毎月7000件以上のリスティングがあり、400万人の訪問者があるジョブマーケットプレイスに加えて、Glintはコミュニティ機能やオンラインクラスなどのスキル教育も提供している。

Glintのバリュープロポジションの1つは企業、特にテクノロジー企業が地域の人材不足に対処するのを支援することだ。このテーマは最近、Monk’s Hill Venturesの総合レポートでも取り上げられた。

このレポートでは、シンガポールなど特定の市場での人材不足に対応するため、東南アジアの異なる国に拠点を置くチームを採用するというソリューションを紹介している。Glintsによると、同社の国境を越えたリモートワークハブであるTalentHubはパンデミックの影響もあり、雇用主がリモートでの雇用に前向きになったため、2020年には事業を倍増させたという。

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画像クレジット:Glints

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(文:Catherine Shu、翻訳:塚本直樹 / Twitter

エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」が3600万円を調達、β版提供も開始

エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」が3600万円を調達、β版提供も開始

エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」(ハイヤールー)を提供するハイヤールーは3月25日、第三者割当増資による総額3600万円の資金調達を発表した。引受先は、プライマルキャピタル3号投資事業有限責任組合と富島寛氏(メルカリ共同創業者)。また、HireRooのβ版提供を開始した。

HireRooは、リモート採用下での候補者の技術評価に必要なツールをすべて兼ね備え、課題の自動採点やスクリーニングなどにより、優秀なエンジニア採用を促進するサービス。

調達した資金は、開発体制の強化とCS組織の立ち上げに活用する。今後はコーディング試験サービスであるハイヤールーを基軸に、優秀なエンジニアが集まるプラットフォームの形成や、エンジニア採用の課題に対するソリューションを展開する。

ハイヤールーによると、エンジニアの技術力の定量化は非常に難しく、採用プロセスにおいて大きな課題となっているという。また、技術力の評価だけでなく、指向性やコミュニケーション能力の評価や他の候補者との比較もエンジニア組織づくりには欠かせないとしている。

これら課題に応えるべく、HireRooではGAFAの実践しているエンジニア採用プロセスを低コストで導入できるようにしており、候補者の定量評価・比較・スクリーニングが行えるという。またリモート特化のUI・UXで高いCX(Candidate Experience。応募者体験)を実現しているとした。

またすでに複数社にてβ版の試験導入を実施しており、エンジニア採用に不可欠なサービスとなるべく機能開発・改善に取り組んでいるという。

候補者の技術力を定量化

企業は、用意されている問題を候補者に出題でき、候補者の提出コードについては自動採点のもとパフォーマンスを算出する。定性評価と組み合わせ候補者の技術力をより詳細に評価できるという。IDEと実行環境をすべて用意したオンライン完結型となっており、実施後は技術レポートとして使用可能。GAFAも実践している技術試験を既存選考フローに追加できるという。

エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」が3600万円を調達、β版提供も開始

採用コストを下げるスクリーニング

HireRooでは、複数の候補者に同じ問題を出題することによって、自動でレポートを作成し候補者の技術力をランキング化する。これにより従来エンジニアが行っていた、書類選考や時間がかかっていた技術チェックなどが不要となり、クリエイティブワーカーがよりクリエイティブな仕事に専念できる。

エンジニア採用時のコーディング試験サービス「HireRoo」が3600万円を調達、β版提供も開始

リモート採用特化UI/UXによる高いCX

HireRooは、リモート採用特化型のUI/UXを提供しており、面接官・候補者の両者にとって高いUXを実現する。ドロップインで始まる技術選考や、共同編集が可能なIDE、サーバーを用意する手間いらずのクラウド実行環境など、様々な機能によりCX向上に注力しているという。

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HRテックのブルーブレイズが3000万円調達、都築代表が語る社会人同士のOB・OG訪問サービス「CREEDO」の狙い

OB・OG訪問は、学生の就職活動時に行うものだと思われている。しかし、「育児と仕事を両立するコツ」「自身のスキルが企業のチームに合うのか」など、これまでタッチポイントがなかった現場の社員などに直接キャリア相談をし、自身の転職活動やキャリア形成に活かせることもあり、現在、社会人同士のOB・OG訪問にも注目が集まっている。さらに気軽なOB・OG訪問から、社員が知人などを自社に紹介して採用する「リファラル採用」に至るという流れも生まれているという。

社会人同士のOB・OG訪問サービスCREEDO(クリード)を展開するブルーブレイズは3月24日、J-KISS型新株式予約権方式で3000万円の資金調達を行ったと発表した。引受先はディープコアと個人投資家の本間達也氏(ラブグラフCOO)となる。ブルーブレイズは資金調達によって、CREEDOを活用した法人向け採用支援サービスに取り組む。2021年夏から同サービスを提供する見通しで、リファラル採用事業に本腰を入れる。

ブルーブレイズは同サービスに、AI技術によるユーザーと現場社員のマッチング最適化を図るシステムを組み込んでいく。さらにリファラル採用におけるコンサルティングサービスも始める予定だ。

新たな展開を迎えるブルーブレイズ。同社の都築辰弥代表に、サービス内容や起業の経緯、コロナ禍における人材業界の変化、法人向け採用支援サービスなどについて話を聞いた。

「人生の先輩」から聞くキャリア経験談

2019年8月に設立したブルーブレイズは、2020年3月にCtoCオンラインサービスとなるCREEDOをローンチした。CREEDOは、転職や起業、独立といったキャリア選択の岐路に立つ人が、すでにその経験を積んだ、いわゆる「人生の先輩」から話を聞くことができるサービスだ。また「人生の先輩」も自身のキャリア経験談を話すことで、報酬を得る。

キャリア経験談のイメージ

CREEDOでは、ユーザーがキャリア体験談を選ぶとサイト内のチャットルームから相手に連絡できる。ビデオ通話で話ができるなどオンラインで完結するため、連絡先の交換は不要だ。また、CREEDOではなりすましや二重登録などを防ぐため、ユーザー登録はFacebookによるログインのみとなっており、安心して利用できるようになっている。

サービス開始から1年で約3000人のユーザーが登録し、キャリア経験談は1200件を超えるなど急成長しており、リファラル採用を目的にCREEDOを使う企業はすでに100社を超えているとこと。社会人同士のOB・OG訪問領域では国内最大級の規模になるという。

都築氏は「企業は、より専門性が高い即戦力の人材を求めるジョブ型雇用に企業はシフトしています。新型コロナウイルスの流行による社会情勢の変化で、自身のキャリアを見つめ直す人が増え、キャリア形成の多様化が一気に進みました。ジョブ型雇用が注目され、その採用手段としてリファラル採用の重要性は高まっています」と語った。

ソニーへの入社を遅らせて世界を巡り見た景色

中央がブルーブレイズの都築辰弥代表

中央がブルーブレイズの都築辰弥代表

新卒学生の時、都築氏は中学生の頃から憧れていたソニーへの内定が決まっていた。しかし、大学を休学して入社を1年遅らせ、世界一周の旅に出たという。

「イスラエルからパレスチナ自治区に入った時、前日にまさにここで銃撃戦があったと聞きました。そんな場所に自分の足で立ったとき、この問題はソニーで働き、いくら貢献しても解決できないなと、そんなモヤっとした感覚が残ったのです」と都築氏は振り返る。

世界を見て回った後にソニーに入社するが、世界の人々もスコープに入るような仕事がしたいと思い始めたという。モヤっとした違和感から生まれたその想いが、キャリアチェンジのきっかけだった。ソニーに2年半務めたタイミングで都築氏は起業を決断した。

「世界には今もたくさんの課題がありますが、歴史を振り返ると、世界を良くしてきた人は何かしらの課題意識や志を持った人達でした。そんな志を持った人を増やすことができれば、間接的にいろいろな課題にアプローチできるのではないか」と都築氏はいう。

ブルーブレイズは「世界に百億の志を」というミッションを掲げている。多くの人が志を持てるような社会にしていきたいという想いが込められている。

都築氏は「そこでなぜCREEDOなのかといえば、自分のキャリアに納得して楽しいと思える感覚は、志が宿るための必要条件となります。日本では自分のキャリアに対して自信を持つことがまだ根づいていないため、CREEDOを通じて変えていきたいと考えています」と語った。

CREEDOにおけるユーザー増加の戦略

SNSシェア画面

スタートアップがゼロベースでCtoCサービスを始める際、初めのトラクションをいかに出していくかということが課題になる。CREEDOはサービス開始からほとんど広告を打たずに、SNSの口コミでユーザーを獲得していった。

CREEDOでは、ユーザーがキャリア経験談を登録・更新した時に「シェアしませんか」といったウインドウを表示し、ワンタップでSNSにシェアできるようにした。話し手起点で、聞き手を集めてくるようにCREEDOを設計しているのだ。

また、CREEDOでは、1人のユーザーが話し手と聞き手の両方で登録するケースが全体の4割以上を占めているとのこと。この転換率が高ければ1人が2人分のアクティブユーザーとなり、サービスはより活性化していく。

都築氏は「メルカリのようなサービスでも同じですが、1人のユーザーが買い手と売り手になる転換率は、CtoCサービスにおけるグロースの上で非常に重要なKPIになっています。我々も初めからそのKPIをトラッキングしていました」と説明した。

戦略としては、話し手から聞き手への転換は、ユーザーの興味や関心に応じてパーソナライズしたおすすめのキャリア経験談を、CREEDOのトップ画面に表示するようにした。一方、聞き手から話し手への転換は、聞き手としてユーザー登録をした後、キャリア経験談の登録画面を全ユーザーに提示するようにしている。

コロナ禍で見直されたキャリア形成の道

厚生労働省によると、2020年平均の有効求人倍率は2019年と比べて0.42ポイント減の1.18倍だった。有効求職者数は2019年から約12万人増の183万人となったが、有効求人数は約216万人で2019年から約58万人減少している。

コロナ禍で人材業界は大きく変わった。さらに中長期的には、日本の総人口は減少していくこともあり、今後も採用難の状況は変わらない。また、終身雇用制度が崩壊しつつあることや副業解禁といった要因も絡み、ジョブ型雇用は企業に定着しつつある。

ジョブ型雇用が主流になれば、個人はキャリア形成の道を自身で選んで仕事を変えていくため、終身雇用時代に比べて転職回数が増える。企業は1人当たりの採用コスト削減が必要になり、コストがかかる求人広告や転職エージェントサービスから抜け出す動きが出てくる。

ジョブ型雇用が進み、採用の流れが変わっていく中で、リファラル採用への対応は企業にとって大きな課題となっている。

法人向け採用支援サービスで中途採用に本腰

ブルーブレイズは2021年夏を目途にCREEDOを活用した新たな法人向け採用支援サービスを展開し、企業がリファラル採用をスムーズに行えるようにする。気軽なOB・OG訪問をフックにリファラル採用を推進できることで、企業の社員はCREEDO上で人材を待つだけでなく、自ら人材を獲得できるようになる。

また、ブルーブレイズはこれまで、CREEDOにおける個人同士のマッチングをメインのキャッシュポイントとして捉えていなかったが、今後は本格的な収益を法人向け採用支援サービスから獲得していきたいと考えていく。

法人向け採用支援サービスでは、リファラル採用をしたい企業がCREEDOにどういったユーザーがいるかを検索し、職種や経験を見てオファーできるスカウト機能を設ける予定だ。さらに企業がユーザーを探す手間を軽減させるために、AI技術を活用したレコメンド機能も提供していく。

今後、特に力を入れるのがこのAI技術を使ったマッチング精度の向上だ。CREEDOではユーザーがどの職種・キャリアに興味があるか、またOB訪問の実績やキャリア経験談の閲覧履歴など、さまざまなデータを蓄積することができる。データから、キャリア選択を控えるユーザーと、採用企業の現場社員とのマッチング最適化を図るシステムの開発に注力していく。

都築氏は「現場の社員は採用がメインの仕事ではないため、この負荷は最小化されるべきです。少ない時間と労力で、求める人材とマッチングし、継続的にリファラル採用ができる仕組みを作り上げていきます」と意気込む。

さらに同社は、リファラル採用のコンサルティングサービスも2021年夏から始める予定だ。リファラル採用はまだ、企業側の支援体制やインセンティブの仕組みなど、一定のスタンダードが確立されていない。企業も手探りな部分が多い中で、CREEDOにおける知見を活用してリファラル採用の定着を後押ししていく。

カテゴリー:HRテック
タグ:ブルーブレイズCREEDOリファラル採用日本資金調達

採用プロセスの自動化を支援するFetcherが約7億円を調達

採用候補者のプールを多様化しつつ、採用プロセスを容易にすると約束するスタートアップのFetcher(フェッチャー)が、シリーズAの資金調達で650万ドル(約7億円)を調達したと発表した。

もともとはScout(スカウト)として知られていたニューヨーク拠点の同社は、CEOのAndres Blank(アンドレス・ブランク)氏、CPOのChris Calmeyn(クリス・カルメイン)氏、エンジニアリングディレクターのJavier Castiarena(ジャビエル・カスティアレナ)氏とSanti Aimetta(サンティ・アイメッタ)氏が創業した。

ブランク氏は、Fetcherが採用担当者の仕事の一部、つまり求職者の探索と、最初に接触する際のメール送信を自動化すると筆者に述べた。筆者はスパムの求人メッセージを増やすだけではないかと思ったが、同氏は、Fetcherのメールは適切な候補者をターゲットにしているため、実際には「非常に良い回答率」になると語った。

「仕事を探している人々は実の所それほどすばらしいメールを必要としているわけではありません。採用担当者としては、それぞれの候補者に何を書くかについて10分も考えたくないでしょう」と同氏は述べた。

同氏はまた、Fetcherのアプローチは「ヒューマン・イン・ザ・ループ」アプローチだと説明した。最初の接触は自動化されるが、その後、返信してきた候補者とは採用担当者がやりとりする。

画像クレジット:Fetcher

「Fetcherは、採用における探索と接触の両方を自動化することにより、採用担当者が候補者を探すためにコンピューターの前で費やす時間を削減し、採用担当者の仕事をよりバランスの取れた、戦略的で影響力のあるものにします。その間に、会社のために多様なパイプラインを築くことができます」とブランク氏はフォローアップのメールで書いだ。

同氏はまた、探索を自動化することにより、採用担当者が従来の方法よりもはるかに多様な候補者のプールにアクセスできるようになると語った。たとえば同氏は、ビデオコラボレーションのスタートアップであるFrame.ioが、12カ月以内に11人の新しい従業員を採用する支援をしたというケーススタディを送ってくれた。そのうち、9人は女性やマイノリティだ。

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「Fetcherは時間を解放し、パイプラインをより有機的に多様化する能力を与えてくれました」と、Frame.ioの人材・多様性・公平性・インクルージョン担当のシニアディレクターであるAnna Chalon(アンナ・シャロン)氏は声明で述べた。「これにより2020年、信じられないほどの採用を行うことができました。ほとんどが過小評価されているグループからです」。

ブランク氏は、Fetcherが2020年の7月から売上高を毎月増やしていると付け加えた。採用チームが縮小され、より少ないリソースで多くのことをやらなければならない中で、前述の多様性、公平性、インクルージョンに企業がより重点を置くようになったためだという。

同社はこれまで合計1200万ドル(約13億円)を調達した。シリーズAはG20 Venturesがリードし、KFund、Slow Ventures、Accompliceが参加した。ブランク氏は、年末までに従業員数を2倍にし(現在は80人)、追加の分析ツール(多様性分析を含む)とCRMツールの開発を計画していると述べた。

カテゴリー:HRテック
タグ:Fetcher資金調達

画像クレジット:aa_amie/iStock / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

マネジメントツールとトレーニングを組み合わせたプラットフォームRising Teamが約3.3億円のシード資金調達

Jennifer Dulski(ジェニファー・ダルスキー)氏はChange.orgの社長兼COOからGoogleのショッピングと製品広告の責任者、Facebookグループ担当チーム責任者と、リーダーシップのポジションを経験してきた。

ほとんどのマネージャーが痛いほど知ることになる問題に、同氏も気づいた。優れたマネージャーになるためのトレーニングとツールが不足しているという問題だ。

そこで同氏はRising Teamを設立した。米国時間3月16日、同社はシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはFemale Founders Fundで、Peterson Ventures、Burst Capital、Xoogler Ventures、500 Startups、Roble Ventures、Supernode Venturesとエンジェル数名が参加した。

ダルスキー氏は、GallupやGlintのアンケートのようなマネージャー向けのツールは存在し、エグゼクティブコーチなどトレーニングの選択肢も存在すると説明する。しかしこの2つを組み合わせたものは少ない。

同氏はこう語る。「私はラッキーなことにエグゼクティブコーチをつけたりトレーニングに参加したりする機会を得ることができ、釣りの仕方を教えてもらったと思いました。しかしその後、釣りざおも餌も持たずに湖畔に放り出されたかのように感じました。良いリーダーになる方法はすべて学びましたが、学んだことを実践するツールを持っていなかったからです」。

Rising Teamはマネージャーがチームを刺激し、編成し、最終的には効果的に率いるためのツールとトレーニングを組み合わせたプラットフォームだ。

このプラットフォームの1つ目のレイヤーはツールスイートで、独自の評価や1対1のテンプレートが含まれる。従業員アンケートはたいてい実際の業務に相当重きを置いていて、従業員が最適な仕事ができるのはどこかについての質問が並んでいる。Rising Teamでは、評価はチームメンバーが自分をどのように見られたいと思っているか、自分の能力やスキルをどのように考えているかなど、個人に注目するように調整されている。

これによりマネージャーはどのようにチームメンバーを組み合わせるか、どのタスクを割り当てるかを考え、一人ひとりの仕事のモチベーションをしっかり理解することができる。このような評価ツールの他に、Rising Teamでは動画、記事、オーディオ形式のトレーニングも提供している。将来的には評価から得たデータをもとにAIでカスタマイズしたトレーニングのヒントも追加する予定だ。

Rising Teamはマネージャー同士が交流するコミュニティも作っている。

同社が収益に関してボトムアップのアプローチをとろうとしていることは興味深い。マネージャーが個人的にソフトウェアを購入できるような価格にして、そこから他のメンバーに広がっていくことを狙っている。ただし組織が全従業員分を購入することもできる。

今のところRising Teamは無料のベータ版で、価格はまだ発表されていない。

Rising Teamのスタッフは現在8人で、60%が女性、50%がBIPOC(black, indigenous and people of color、黒人、先住民、有色人種)だ。

ダルスキー氏は「我々が最初から多様性のあるチームとなったことは、私にとってもチームにとっても本当に重要なことです。私は強くそう信じていますし、多様性のあるチームほど成功することはあらゆるデータから明らかです」と語った。

カテゴリー:HRテック
タグ:Rising Team資金調達人材マネジメント

画像クレジット:Rising Team

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(文:Jordan Crook、翻訳:Kaori Koyama)

給与計算と人事のプラットフォームの仏PayFitが約120億円調達

フランスのスタートアップPayFitがシリーズDで1億700万ドル(約120億円)を調達した。現地時間3月17日の今回のラウンドは、Eurazeo GrowthとBpifranceのLarge Venture fundがリードしている。また、既存投資家のAccel、Frst、Xavier Niel(グザビエ・ニール)氏も再び参加した。

PayFitは給与計算および人事管理のSoftware-as-a-Service(SaaS)プラットフォームを構築している。ウェブブラウザーから給与計算を管理し、可能な限り多くのステップを自動化できる。例えば給与明細書の作成を自動化したり、給与データを会計ソフトにエクスポートしたり、年金や健康保険などの支払いリストを取得したりできる。

SssSのプラットフォームであり、すべてが常に最新の状態に保たれる。例えば何らかの規制変更により調整が必要になった場合、PayFitはプラットフォームを更新することで、ユーザーが何も考えなくてもその日からコンプライアンスを維持できる。

時間の経過とともに、PayFitは給与計算以外の分野にも事業を拡大し、人事管理の大きな分野に取り組むようになった。従業員は各自がPayFitにログインして給与明細にアクセスできる。それに止まらず、休暇を申請したり、時間単位で給与を受け取っていれば今週働いた時間を入力できる。PayFitは自動的にマネージャーに通知し、承認を得ることができる。

またPayFitは、経費や領収書の中央保管場所にもなる。会社は全従業員の口座情報を持っているため、従業員に現金を送金することが容易となる。

従業員はPayFitから会社の名簿やマネージメントチェーンを見ることができる。また、人事部はPayFitにオンボーディングフローを設定し、従業員が入社したらすぐにコンピュータやバッジを申請し、個人情報を入力できるようにすることができる。

Workdayのようなサービスを利用している大企業に勤めている人なら、これらの内容はおそらく馴染みがあるだろう。しかしPayFitは、企業と高額な契約を結びたくない中小企業をターゲットにしている。PayFitの顧客は5000社に上り、全体で10万人の従業員を保有している(1社あたり平均20人)。最大の顧客にはRevolut、Starling Bank、Treatwellなどがある。

同社は現在、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、英国で事業を展開しており、550名の従業員を擁しているが、2021年にはさらに250名の従業員を雇用して成長を促す予定だ。

カテゴリー:HRテック
タグ:PayFit資金調達

画像クレジット:Cytonn Photography / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:塚本直樹 / Twitter

デジタル人材派遣のJobandtalentが米国進出に向けソフトバンクから129億円調達

スペインのデジタル人材派遣スタートアップJobandtalent(ジョブアンドタレント)がシリーズDの資金調達でソフトバンクのビジョンファンド2から1億ユーロ(約129億円)を獲得した。Jobandtalentはeコマースや倉庫業、ロジスティック、製造などの分野で臨時労働者を必要とする雇用者と人材をマッチングするツーサイドプラットフォームを運営している。

同社の既存投資家にはAtomico、Seek、DN Capital、InfraVia、Quadrille、Kibo、FJ Labsなどがいる。

今回の資金調達は、TechCrunchが1月に報じた1億800万ドル(約117億円)のシリーズCラウンドにすぐさま続くものだ。2009年の創業以来、同社がこれまでに調達した額は3億1000万ユーロ(約400億円)になった。

Jobandtalentはまた、BlackRockからの最大1億ドル(約108億円)のデットによる調達も発表した。

現時点ではデットとエクイティの組み合わせの方が、資本が少ない場合よりも速くマーケットプレイスの成長を加速させることができ、より多くのリソースをプロダクトやテック開発に注ぐことができるとJobandtalentは話す。

テック面についていうと、同社のプラットフォームは人材と仕事をマッチングするのに学習アルゴリズムを使って雇用プロセスをスピードアップしている。また雇用者向けに、労働者のパフォーマンスをリアルタイム追跡して分析するのに使えるCRM(顧客関係管理)も提供している。このCRMは労働者の満足度をモニターし、労働者の自然減を抑制し、欠勤や遅刻のようなメトリックスを追跡するのを手伝うとJobandtalentは話す。

人材向けには、着実にそして簡単にシフトワークを獲得できると約束している。Jobandtalentは求職申し込み管理と給与支払いを1カ所に統合しているために、マーケットプレイス / ワークフォース・アズ・ア・サービスのモデルが人材に継続雇用(例えば連続した一時的な業務を通じて)を提供することができると示唆する。

マーケティングでも、こうした労働者に通常フルタイムの雇用にともなう雇用保障と、年金や有給傷病休暇、健康保険(一部のマーケットでのみ)、訓練コースといった福利厚生を提供するとしている。

共同CEOで共同創業者のJuan Urdiales(ホアン・ウルディアレス)氏によると、新たに調達した資金でJobandtalentは「来年」米国マーケットに参入し、現在展開している8つのマーケット(スペイン、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、メキシコ、コロンビア、ポルトガル)の外に事業を拡大する。

ウルディアレス氏は欧州でさらに2つのマーケット、イタリアとオランダに目を付けていることも認めた。

「米国ではまだ、当社が専門とする分野(eコマース、ロジスティックなど)で大規模に複数の州で事業展開する競合相手を目にしていません。これが、当社が米国で大きなチャンスを手にしていると確信している理由の1つです」と同氏はTechCrunchに語った。

「米国は開拓するのにかなり難しいマーケットになるかもしれません。しかし、多くの欧州企業が米国に事業を拡大し、成功する例が増えています(SpotifyやKlarna、Adyenなど)」と付け加えた。

「当社にもそれが当てはまると信じています。かなりの労働者の権利と複雑な規制環境をともなう欧州で当社のモデルを展開し、当社は米国でプラットフォームを立ち上げて労働者や雇用者に価値の大きな提案を提供する絶好の位置にいます」。

ウルディアレス氏によると、Jobandtalentのプラットフォームは米国でも他国と同様の特典や福利厚生を労働者に提供する。

「当社のマーケットプレイスで提供されている特典や福利厚生はどこの国の原則も満たし、それらはすべて労働者に正規従業員と同じ種の福利厚生や特典を提供することを目的としています。これを実行するにはどの国でもいくらか調整が必要で、米国でも同様でしょう」と述べた。

2020年は労働者8万人超が臨時の仕事を探すのにJobandtalentを活用した、と同社は話す。そしてXPO、Ceva Logistics、eBay、Ocado、Sainsbury’s、Bayer、Santanderなどを含む企業850社超が臨時労働者を確保するのにJobandtalentを使った。

Jobandtalentの売上高ランレートは2016年の500万ユーロ(約6億5000万円)から2020年には5億ユーロ(約646億5000万円)に成長した。これはEBITDAでの黒字につながった、と同社は話す。同社はまた、前年比で100%を超える成長率もうたっている。

声明でのコメントで、ソフトバンクのマネージングパートナーYanni Pipilis(ヤニー・ピピリス)氏は次のように述べた。「Jobandtalentは、フレキシビリティと高品質、信頼できる就業機会のバランスをどうとるかという、現代の労働力に関する重要な問題を解決しています。同社は、労働者のために安定収入と福利厚生を確保しつつ、補充すべき臨時労働職を抱える事業者への高達成と低欠損の人材派遣を提供する追跡記録を持つ、データに基づくプラットフォームを開発しました。同社の成長の次段階でホアンとフェリッペ、そしてチームと提携することにかなり興奮しています」。

シリーズDでソフトバンクからの投資を受けるという決断について、それはソフトバンクが提供できる規模によるものなのか、それともJobandtalentがソフトバンクの他のポートフォリオ企業との潜在的な相乗効果を期待しているのか尋ねると、ウルディアレス氏は次のように語った。「ビジョンファンドは当社と同じような規模の企業と多くの経験を持っており、ビジョンファンドのチームが今回の新たな投資ラウンドで当社に多くの価値を追加してくれると確信しています。当社はビジョンファンドが過去数年に出資した企業やマネジメントチームから多くのことを学ぶことができます。ビジョンファンドは起業家的なマインドセットとテクノロジーやAIがどのように多くの産業をディスラプとするのかについて明らかなビジョンを持っていて、当社のカテゴリーに関して同じビジョンを共有しています」。

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タグ:Jobandtalent資金調達ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Jobandtalent

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Apple卒業生によるインドの雇用支援アプリが13.4億円を調達

インドの未熟練労働者の拠り所となっている元Apple(アップル)従業員が立ち上げたスタートアップが、現地時間3月2日、1250万ドル(約13億4000万円)の追加投資の調達を発表した。これは、複数の有名投資企業から800万ドル(約8億5500万円)を調達してからわずか5カ月後のことだ。

関連記事:AppleのOBが運営するインドの雇用支援スタートアップが約8.5億円を調達

創設1年目のApna(アプナ)は、Sequoia Capital IndiaとGreenoaks Capitalが主導する約13億4000万円のシリーズB投資を獲得したと話した。今回のラウンドには、以前からの投資者であるLightspeed IndiaとRocketship VCも参加している。ヒンディー語で「私たちの」を意味する社名のこのスタートアップは、現在までに2000万ドル(約21億4000万円)を調達したことになる。

これまでに運転手、配達員、電気工、美容師など、600万人を超える未熟練労働者がApnaに登録し、求職活動や職業訓練に利用している。しかし、それだけではない。

このプラットフォームの分析結果から、労働者たちが問題の解決に協力し合っていることがわかった。例えば美容師が別の美容師に、客が喜んでチップを弾んでくれる特別な整髪技術を披露したり、雇用主に給与の引き上げを認めさせた交渉術を公開する人もいる。

「そうした労働者のためのネットワークを創造することが、唯一の目的です」と、Apnaの創設者であり最高責任者のNirmit Parikh(ニルミット・パリーク)氏はTechCrunchのインタビューで述べる。「ネットワークの隔たりが最重要の難題でした。これを解決することで、人々のチャンスがどんどん開放されます」と彼はいう。Sequoia India代表のHarshjit Sethi(ハルシジット・セティ)氏は、Apnaは「インドのための職業ソーシャルネットワークの構築」で食い込んできたと話している。

同スタートアップは、いくつもの大手企業にとっても魅力的な存在になっている。Amazon(アマゾン)、Flipkart(フリップカート)、Unacademy(アナカミー)、Byju’s(バイジューズ)、Swiggy(スウィギー)、BigBasket(ビッグバスケット)、Dunzo(ダンゾ)、BlueStar(ブルースター)、Grofers(グロファーズ)などがこれに登録し、求人を行っている。さまざまな現地語に対応しているおかげで、Apnaへの参加方法は実に簡単だ。利用者はバーチャル名刺を作り、就職希望先に見せることができる。

Apnaにとってこの6カ月間は、とにかく成長の期間だったとパリーク氏はいう。Androidで利用できるこのアプリには、たとえば2020年8月の段階で120万人の利用者があった。それから今日までに、就職希望者と求人企業との間で6000万件のやりとりがあったという。8万件以上の雇用主を擁する同プラットフォームの定着率は95パーセントを超えるとパリーク氏は述べている。

「Apnaは、スキルアップのための職業中心のアプローチを採用しています。そこが私たちが最も自慢すべき点です。グレーカラーおよびブルーカラーのための技能または職業訓練教室で、一番問題になるのが結果に責任を負わないことです。Apnaは、このプラットフォームを使うすべての人が、差し引きでプラスになる仕事の結果を出せるようにすることで、この問題を根本から変えました」とLightspeed IndiaのパートナーVaibhav Agrawal(バイバブ・アグラウォル)氏は声明の中で述べている。

画像クレジット:Nirmit Parikh

パリーク氏は、インドで人を雇うことの難しさを家族や友人から聞かされ続けた挙げ句に、このアイデアを思いついた。インドでは何億人もの労働者が懸命に職探しをしているのに、どうしてその職場で人手不足が発生するのか。それがパリーク氏を混乱させた。問題は、労働者と雇用主とを結びつけるスケーラブルなネットワーク基盤がないことだと、パリーク氏は気がついた。

スタートアップを立ち上げる前に、パリーク氏は労働者たちに会い、彼らの協力を得て、彼らが本当に困っている根本の問題点を探り出した。その努力は今もまだ続いている。同社では毎日1万5000人の利用者と語り合い、他にApnaが力になれることは何かを学んでいる。

「私たちが聞いた中に、面接で苦労するという話がありました。そこで、面接の練習ができるグループを立ち上げました。また利用者の技能訓練も開始し、そのために私たちはEdTech企業ともなりました。今後数カ月で、この取り組みを強化する予定です」と彼は話していた。

パリーク氏は、顧客や産業界から膨大な量の反応があると話す。利用者は毎日、どうやって仕事に就いたか、どうやって収入を増やしたかなどをシェア合っているとのこと。この数カ月内に、Uber(ウーバー)やBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)などの著名な企業幹部がApnaに参加したことで、彼らのビジョンはスケールアップしたという。Apnaがインドで取り組んでいる問題はいたる所に存在するものであるため、いずれは世界中の人々に奉仕したいとも彼は考えている。

このアプリには広告は入らない。パリーク氏は、今後も入れる予定はないと話す。「一度、広告ビジネスに足を踏み入れたら、やってはいけないことをやり始めることになります」と彼はいう。広告を入れる代わりに、求人側から料金を徴収し、技能訓練コースを提供することでプラットフォームを収益化することにしている。だが、Apnaでは常に無料のコースも提供しているとパリーク氏は主張する。プレミアム版は、さらに高度な支援を求める人が対象になると彼は話す。

他の地域と同様、インドでも2020年は新型コロナの影響で数多くの事業が閉鎖され、労働者は家に閉じ込められることとなった。インドには、ブルーワーカーとグレーワーカーが2億5000万人以上いる。彼らに確かな就職機会を与えることが、かの国の最大の課題だとセティ氏はいう。

これが開発物語だ。今後も追い続けたい。

カテゴリー:HRテック
タグ:Apna資金調達インド

画像クレジット:Debajyoti Chakraborty / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:金井哲夫)

リファラル転職プラットフォームのMyReferがシリーズBで5億円調達、目指すは令和を代表するビジョナリーカンパニー

MyRefer(本社:東京都中央区、代表取締役社⻑・CEO:鈴⽊貴史)が、グローバルブレイン、博報堂DYベンチャーズ、STRIVEを引受先とした第三者割当増資により、シリーズBラウンドにて総額5億円の資⾦調達を発表した。今回の資⾦調達により、MyReferはリファラル採⽤を軸とした「HRTechプラットフォーム構想」の実現に向けて、自社社員に人材を紹介してもらうリファラル採⽤サービス「MyRefer」の事業成⻑を加速するための⼈材採⽤の強化、プロダクト開発、マーケティング投資を行なっていくという。累計調達額は8億6000万円となる。

ユーザ画面も管理画面もシンプルかつイマドキでとても使いやすい

元々パーソルグループの社員であった代表の鈴木氏は、コーポレートベンチャーとして同社を立ち上げている。従来の履歴書のみでの採用制度において、本当はマッチしているかもしれない人が落とされることに疑問を感じていた鈴木氏は、社内ベンチャー制度を使ってリファラル事業をピッチし、調達。2018年にMBO(マネジメント・バイアウト)し独立に至っている。

現在、従業員は45名。さらに倍近くの人員を採用予定で、一気に拡大を目指す。当初は現在のようなB2B SaaSではなく、LinkedInのような、エンドユーザにアプローチする事業を検討していた。しかし当時まだリファラル採用という文化が浸透しておらず、拡大の難しさを感じ、現在の形に行き着いたという。「当時はまだ、リファラルと縁故の違いからして理解が不足していました。加えて、人事部の人間が社員を巻き込んで採用していく文化がなく、データ化もされていなかった。それが導入のハードルとなってきたのです」と鈴木氏は語る。

MyReferは、それを地道に可視化していった。「各部署がどういう募集を出しているのか」「どんな社員が活発にリファラルに参加しているのか」「彼らはどの学校の卒業生なのか」「中途採用であればどの会社出身なのか」ということをMyReferはわかりやすく表現している。まるで社内版Wantedlyだ。

リファラル制度の浸透を牽引し、ともに成長してきたことがわかる

現在、同サービスを700社超の企業、約40万名の従業員が利用している。2017年から利用実績がある富士通では、制度設計から一緒に携わりコストカットを実施。リファラル採用を積極的に導入している。

採用活動が永続的に発生するエンタープライズ層がコアカスタマーだ。今後は業界ごとのプランも検討している。また、さまざまな層に使ってもらおうと、スタートアッププランもリリースされた。

ソーシャルギフト制度という形で気軽に採用促進キャンペーンを打つこともでき、募集に興味を持ったら自身が応募することも可能だ。「このサービスをよく活用する人は自社のファン層でもあります。会社としてもエンゲージメントの高い人が可視化できるのです」と鈴木氏は語る。MyReferは、社員自らがファンもコミュニティも醸成していく仕組みにもなっている。

和歌山県出身の鈴木氏は、地方活性化にも貢献すべく、UIターン人材獲得におけるリファラル採用促進も進め、将来的には多言語対応も見据える。リファラルという採用制度からの切り口だが、ユーザのアクティビティデータベースでもあるMyReferは、同社の構想が示すとおり、まさにビジネスにおける人間関係のデータプラットフォームにもなっている。

「私たちは早期に事業に着手し、リファラル採用を長く科学してきました。日本には独特な採用文化がありますが、この国の転職市場に新たなインフラを生み出したい。この国の転職市場に新たなインフラを生み出したい。そして令和を代表する会社として、インフラを作り続けるビジョナリーカンパニーとなっていきたいと思っています」。MyReferの快進撃は採用制度だけに止まらない。

関連記事:サイバー以来のインテリジェンス発スピンアウトベンチャーMyRefer、3.6億円の調達

カテゴリー:HRテック
タグ:MyRefer資金調達リファラル採用

元Uber社員がブルーカラー向け物流職マーケットプレイスで5.5億円調達

ネバダ州のUber(ウーバー)でゼネラルマネージャーを務めていたJason Radisson(ジェイソン・ラディソン)氏は、いわゆるブルーカラー労働者を、彼らを求めている雇用主と結びつける手段が必要だと気づいた。

そこで2018年にShift One(シフトワン)のアイデアが生まれた。労働者と雇用主を繋ぐマーケットプレイスだ。対象とする職種は、物流・配達のラストマイル、eコマースの発送業務、大規模イベント管理などとなる。

2019年に正式スタートして以来、Shift Oneのプラットフォームに登録された労働者の数は2万5000人に増えた。その多くが雇用される時点で失業していたという。そして現在、米国とコロンビアにAmazon(アマゾン)、NASCAR、Weee!、Mensajeros Urbanos、Consumer Electronics Show(CES)など約50社のクライアント企業がいる。

このサービスは雇用主と労働者を結ぶだけでなく、勤務時間、税金、出退勤、生産性、作業命令の管理なども支援する。

事業の成長とリーチ拡大を目指して、Shift Oneは最近シードラウンドで520万ドル(約5億5000万円)の資金を調達した。ラウンドをリードしたのはCity Light Capitalおよび、Tinder(ティンダー)共同ファウンダーのJustin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏率いるJAM Fundで、ほかにK50 Ventures、Ventura Investments、Human Ventures、エンジェル投資家のFelipe Villamarin(フェリペ・ビジャマリン)氏が参加した。

人員を見ると、Shift Oneの創業チームは全員がUberまたはLyftで働いた経験を持つとCEOのラディソン氏は言う。初期の技術チームはすべて元Uber社員だった。

会社を始めた主な動機は「Gig 1.0に内在する問題のいくつかを解決」するためだった、とラディソン氏は語った。

「もっと労働者にとって公正な環境にして、人々がと多くの物流職を転々として賃金が低いという負の連鎖を断ち切りたかったのです」と同氏はTechCrunchに語った。「彼らに安定を与えたいのです」。

それと同時に、物流業社が良い労働者の確保に苦労していることも彼は知っていた。Shift Oneは、入社間もない社員から管理者、倉庫マネジャーまでさまざまなスキルレベルの人たちの協力を得て作業した。

物流労働者の多くが、かつて福祉手当のない契約社員として働いていたことを知っているShift Oneは、同プラットフォーム上の全労働者に対して雇用された初日から「低い積立金」で福祉手当を完全支給する。さらに当座預金口座とデビットカードも支給する。

「登録されている労働者の多くは銀行口座を持たず、給与小切手を受け取ることさえできませんでした」とラディソン氏は言った。

同社はさらに、労働者ができる限り「密なスケジュール」でチームの一員として働けることを目標にしている。

「私たちのチームに団結力があり、高い機能を発揮することは私たちの価値提案の一部です」と彼はつけ加えた。

これまでサンフランシスコ拠点のShift Oneは自己資金のみで賄われていた。収益は「わずか」に黒字で、その利益を事業拡大のために再投資してきた。2020年の売上は「元が少ない」と言いながらも10倍に伸びた。同社のオフィスは、ネバダ州ラスベガス市、ミネソタ州ミネアポリス市、コロンビアのボゴタ市およびルーマニアのブカレスト市にある。

将来に向けて、新たな資金は新市場への拡大(現在米国の12州で運営している)、20名の従業員の増員、テクノロジーロードマップの加速に使用する計画だ。

新型コロナウイルス感染症が続く「過去4~5カ月、当社はラストマイルに大きく注力しました」とラディソン氏は言った。「大学に行かず、長年低い給与に甘んじている何百万という人たちにチャンスを与えたい。彼らに成功のチャンスをもたらしたいのです」。

JAM Fundの責任者でTinderの共同ファウンダーでもあるマティーン氏は、Shift Oneが労働の「逆淘汰」問題を一新すると信じている。

「ギグワークは季節性と供給力で決められている。どちらも労働者にとってあまり良いことではありません」と彼は言った。

フロリダ州マイアミ市長のFrancis Suarez(フランシス・スアレズ)氏も、ブルーカラー労働者は新型コロナの影響を最も強く受けていると指摘する。

Shift Oneによって「労働者は公正な報酬を受けられる職と、成長し進歩する機会を与えられます」と同市長が書面の声明で語った。「企業は、質の高い労働者の安定した予測可能な供給源を利用できるようになります。そしてマイアミ市は、高い雇用率と強い地元企業による好循環の恩恵を受けます」。

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タグ:Shift One資金調達物流ギグワーカー

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook