OpenAIの約109億円スタートアップファンドはマイクロソフトがパートナー

OpenAIが、スタートアップを対象とする1億ドル(約109億円)のファンドを立ち上げる。OpenAI Startup Fundと呼ばれ、これによりファンドとそのパートナーたちは、重要な問題および生産性の問題に挑戦している初期段階のAI企業に投資する。パートナーとファンドの投資家たちにはMicrosoftがおり、BuildカンファレンスではOpenAIの創立者である元Y CombinatorのSam Altman(サム・アルトマン)氏がこのニュースを発表した。

め録画されたビデオの中でアルトマン氏は「これは、よくあるような企業のベンチャーファンドではありません。私たちは、10社を超えない少数の企業に大きな投資をしていきたいと計画しています」と説明している。

1億ドルがどのように分割・分配されるのか、どのようなスケジュールで行われるのか、また、これがより長期的なプログラムの一部なのかなど、明らかになっていない。しかし、2021年のラウンドに限らず、限定的な資金であることは間違いなさそうだ。

アルトマン氏は、OpenAIのミッションステートメントに沿って、AIを活用したアプリケーションやアプローチが「人類全体に利益をもたらす」ようなヘルスケア、気候変動、教育といった深刻な問題に取り組んでいる企業を探していくと述べた。また、Microsoftが先に発表したGPT-3を利用した自然言語処理のように、生産性の向上も考慮するとしている。

MicrosoftのCTOであるKevin Scott(ケビン・スコット)氏は、Buildカンファレンスのキーノートで次のように述べている。「GPT-3のような強力なツールを使って、世界に貢献するような意欲的なアプリケーションを作ることができるのは、デベロッパーであるみなさんだ。Microsoftがこのファンドをサポートできることには、とても感激している」。

投資対象に選ばれた企業は新しいOpenAIのシステムへのアーリーアクセスとMicrosoftのAzureのリソースを使えるようになり、より本格的な研究開発ができる。OpenAIは、投資対象企業の所有権や、スタートアップに求める要件、その他の出資パートナーの参加など、詳細を明らかにしていない。現在、決まっているのは1億ドルという数字だけということもありうる。

申請はとても簡単であり、非常に多くの申請件数を期待しているのかもしれないが、自身の企業をこの渦中に投じたい人は、まずエレベーターピッチの準備から始めよう。申請には1分間の動画も必要だが、デモや音楽やエフェクトは不要だ。OpenAIがまだその詳細を明らかにしていない審査員たちにとって、それを見ることが審査の最初のふるいになるだろう。Zoomの背景は、まだ外さない方が良さそうだ。

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カテゴリー:人工知能・AI
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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Microsoft AzureがPyson向け機械学習プラットフォーム「PyTorch」のエンタープライズサポートを提供

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月26日、PyTorch Enterprise(パイトーチ・エンタープライズ)を発表した。Azure(アジュール)上でPyTorchを使うための新たなサポートをデベロッパーに提供する新サービスだ。

PyTorchはPython(パイソン)向けのオープンソース機械学習プラットフォームで、コンピュータビジョンと自然言語処理に焦点を当てている。当初開発したのはFacebookで、Google(グーグル)の人気フレームワークであるTensorFlow(テンサーフロー)と似ている部分もある。

Microsoftのコミュニケーション担当コーポレートVPであるFrank X. Shaw(フランク・X・ショー)氏は、新サービスPyTorch Enterpriseについて「データサイエンス業務にPyTorchを使っている組織のデベロッパーに、より信頼性の高い生産体験を提供する」ものであると説明した。

PyTorch Enterpriseは、MicrosoftのPremier(プレミア)およびUnified(ユニファイド)のサポートプログラム・メンバーに、ホットフィックス、バグ、セキュリティ・パッチなどの優先リクエスト、直接サポート、ソリューションなどを提供する、とショー氏は説明した。Microsoftは毎年、長期的なサポートを行うPyTorchのバージョンを1つ選んでいる。

AzureはすでにPyTorchを比較的容易に使用できるように作られていて、Microsoftは2020年、PyTorch for Windowsの開発を引き継ぐなど、長年このライブラリに投資してきた。この日の発表でMicrosoftは、最新リリースのPyTorchはAzure Machine Learningに統合され、デベロッパーから入手したPyTorchコードを公開PyTorchディストリビューションにフィードバックすることを約束した。

PyTorch Enterprizeは、Windows 10およびいくつかのLinuxディストリビューションで動作しているPyTorch バージョン1.8.1以上で利用できる。

「Microsoftが提供するこの新しいエンタープライズレベル製品は、重要なギャップを埋めるものです。PyTorchは私たちの研究者がモデルをデザインしたり実験を行う上で、これまでにない柔軟性を与えてくれます」とNuance(ニュアンス)の上級主任研究員Jeremy Jancsary(ジェレミー・ジャンクサリー)氏はいう。「しかしこれらのモデルを製品化するのはチャレンジです。Microsoftが直接関わることで、私たちはAzure上に新しいバージョンのPyTorchを安心して展開できます」。

この新サービスの提供でMicrosoftは、オープンソースプロジェクトの上に追加サービスを提供することによって、スタートアップにオープンソース収益化戦略の見本を示している。PyTorchはスタートアップが開発したものではないため、メジャーなクラウドサービスがオープンソースコードの上に自社の商品バージョンを載せることも、問題なく受け入れられるだろう。

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画像クレジット:Gingagi / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトのナデラCEOがBuild 2021で「自らテストしてきた」次世代Windowsに言及

マイクロソフトのナデラCEOがBuild 2021で「自らテストしてきた」次世代Windowsに言及

Igor Bonifacic / Engadget

マイクロソフトが開催中のイベントBuild 2021では、PC向けデスクトップOSに関する大きな発表はありません。それは近い将来に発表する予定の次世代Windowsに取り組んでいるからのようです。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOはBuild 2021の基調講演で「過去10年で最も重要なWindowsのアップデートのひとつをまもなく公開する」と述べました。

ナデラ氏はここ数か月、最新のOSを自身でテストしていたとし「次世代Windowsに非常に期待している」そして「すべてのWindows開発者にさらに多くの機会を提供、アプリケーションを構築し配布、収益化するための革新的で新しい”オープンプラットフォーム”を求めるすべてのクリエイターを歓迎します。近いうちにさらに多くをお伝えすることを楽しみにしています」と述べました。

現状でも、WindowsはアイコンやUIのアップデートに加え、新しいWindowsアプリストアに取り組んでいます。The Vergeが伝えるには、次世代Windowsのアプリストアではアプリケーションの中にサードパーティが独自の課金システムを含めることを認めるかもしれないとのこと。もしそうなれば、開発者はマイクロソフトがアプリ15%、ゲーム12%のストア税を徴収するのを回避できます。

先週にはWindows 10Xの開発を取りやめることを明らかにしたマイクロソフトですが、そこに含まれていたいくつかの重要な機能は今年後半のSun ValleyアップデートでWindows 10に導入される予定です。

ナデラ氏は、将来のWindowsに関し「近いうちに」としました。発言が守られるなら数週間ほどのうちに何か発表やイベントが行われるかもしれません。

(Source:The VergeEngadget日本版より転載)

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マイクロソフトが今や1日に1億4500万人が利用するTeamsの開発者向け新機能やツールを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間5月25日に(バーチャルで)開催された開発者・エンジニア向けイベント「Microsoft Build(マイクロソフト・ビルド)」で、自分たちのサービスをSlack(スラック)の競合製品であるMicrosoft Teams(マイクロソフト・チームズ)に統合したいと考えている開発者のために、さまざまな新機能やツール、サービスを発表した。マイクロソフトが、今や1日のアクティブユーザー数が約1億4500万人となったTeamsを、企業の社員が仕事を進めるための新たな拠点であると見做していることは明らかであり、サードパーティの開発者に彼らのサービスをTeamsに導入してもらいたいと望むのも当然と言える。

そこでマイクロソフトは、開発者がTeamsで新しいユーザー体験を容易に構築できるように、新しいツール群を提供することになった。

その内容は多岐にわたるが、最も重要なニュースはVisual Studio(ビジュアル・スタジオ)および Visual Studio Code(ビジュアル・スタジオ・コード)向けに強化されたMicrosoft Teams Toolkit (マイクロソフト・チームズ・ツールキット)の発表だろう。

「これによって開発者は、基本的にアプリケーションをより簡単かつ迅速に作成することができ、さらに豊富なマイクロソフトのスタックを活用した非常に強力なアプリケーションを作成することができます」と、マイクロソフトのグループプログラムマネージャーを務めるArchana Saseetharan(アーチャナ・サシーサラン)氏は説明する。「このアップデートしたツールキットで【略】、私たちは開発者が柔軟に対応できるようにしました。私たちは開発者の置かれている状況に対応したいと思っています」。

画像クレジット:Microsoft

このツールキットは、React(リアクト)、SharePoint(シェアポイント)、.NET(ドットネット)などのツールやフレームワークに対するサポートを提供する。今回のアップデートでは、Azure Functions(アジュール・ファンクションズ)との統合、SharePoint Framework(シェアポイント・フレームワーク)との統合、Microsoft Graph(マイクロソフト・グラフ)とのシングルライン統合などが実現した。

またマイクロソフトは、開発者が作成したTeamsアプリに認証ワークフローを簡単に統合できるようにもした。「ログインは、すべてのユーザーがアプリを使用する際に最初に体験することです。そして、ほとんどの落伍はここで発生します」と、サシーサラン氏はいう。「ですから、(シングルサインオンは)私たちが非常に力を入れて取り組んでいることです」。

また、Microsoft Teamsのための新しい開発者ポータルも開設され、開発者は1つのツールでアプリの登録や設定が簡単にできるようになった。ISV(独立系ソフトウェア事業者)は、この新しいポータルを使って、自社のアプリをTeamsアプリ内購入向けに提供できるようになる。

その他のTeamsの開発者向け新機能には、例えばホワイトボードやプロジェクトボードのようなリアルタイムのマルチユーザーエクスペリエンスを構築する方法や、会議の開始から終了までのワークフローを構築できる新しい会議イベントAPI、さらに開発者がTeamsの「Together(トゥギャザー)」モード用にシーンを簡単に作成・カスタマイズできる新機能などがある。

関連記事:マイクロソフトが「Together」モードでビデオ会議の疲れを軽減

他にもいくつかの新機能が追加されているが、要するにマイクロソフトは開発者の人々に、Teamsを自社サービスの実行可能なプラットフォームとして考えてもらいたいと思っているようだ。そしてそれは、1億4500万人のデイリーアクティブユーザーを抱えており、ソフトウェア企業にとって自社のサービスを新たなユーザーに提供するための有益な手段となる可能性がある。

「Teamsは、コラボレーションアプリと呼ばれるアプリの新たなクラスを実現します」と、マイクロソフトのTeams担当製品マーケティングディレクターであるKaran Nigam(カラン・ニガム)氏は述べている。「私たちはその協業スペースをさらに豊かにすることができる独自の立場にあります。拡張性の面で多くの革新を行うことで、アプリはより豊かになり、ツールキットのアップデートによって、それがより簡単に行えるようになりました。そして開発者ポータルは、ライフサイクル全体を管理できるワンストップショップとなります。最終的に、開発者は複数の場所に行く必要がなく、企業の観点からも1つの流れとして、開発を行えるようになります」。

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マイクロソフトはGPT-3を使い自然言語でコードを書けるようにする

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画像クレジット:Rick Lawrence / 500px / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトはGPT-3を使い自然言語でコードを書けるようにする

2021年のMicrosoft Build開発者会議には例年ほどの大きな驚きはなかったが、開発者がおそらく注目するであろう発表が1つある。Microsoftは同社のノーコード / ローコードサービスであるPower AppsでOpenAIの強力なGPT-3自然言語モデルを使って、話し言葉を最近発表されたPower Fx言語のコードに翻訳する。

しかし我を忘れてはいけない。自然言語だけを使って次のTikTokを開発しようということではないのだ。MicrosoftがやっているのはPower Appsのようなツールでローコードになっている部分の一部をなくすことであり、AIを使って基本的にノーコードのエクスペリエンスにしようともしている。現時点で主眼となっているのはPower Appsの数式で、これはもともとローコードのサービスではあるが、高度なアプリを開発しようと思ったら遅かれ早かれ何らかの数式を書かなくてはならない。

Microsoftのローコードアプリケーションプラットフォーム担当CVPであるCharles Lamanna(チャールズ・ラマンナ)氏は「このような高度なAIモデルを使うことで、まさに私たちがノーコードと呼んでいるものになり、Microsoftのローコードツールはさらに多くの人たちに使われるようになります」と述べた。

実際には、シチズンプログラマーが「find products where the name starts with ‘kids’」(「kids」で始まる名前の製品を見つける)のように書くと、Power Appsが「Filter(‘BC Orders’ Left(‘Product Name’,4)=”Kids”)」とレンダリングする。

MicrosoftはOpenAIに投資しているので、MicrosoftがこのエクスペリエンスにOpenAIのモデルを利用することに決めたのは当然だ。

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画像クレジット:Microsoft

これによってプログラミングが簡単になるが、そうはいってもユーザーは自分が開発しているアプリケーションのロジックを理解する必要があるとMicrosoft自身が強調していることは重要なポイントだ。同社は今回の発表の中で「この機能によって自分が実装しているコードを理解する必要性がなくなるわけではありませんが、プログラミング言語のPower Fxを学んでいる人を支援し、必要な結果を得るための正しい数式を選ぶ助けとなります。高度なアプリ開発へのアクセスが劇的に広がり、ローコードツールの使い方をこれまで以上に短期間でトレーニングできます」と説明している。

ExcelやPowerBI、Googleスプレッドシートなどで利用できる自然言語クエリ機能を使うのと、まったく違うというわけではない。これらも結局のところ、自然言語を数式に翻訳している。おそらくGPT-3はもう少し高度でもっと複雑なクエリを理解できるだろうが、自然言語を数式に翻訳するという点ではそれほど新しくはない。

長期的にはこのようなツールがもっと賢くなって複雑なプログラミングタスクを処理できるようになると見られる。しかし複雑なプログラミングができるようになることは、翻訳の問題よりもずっと高いステップアップだ。概して、クエリが複雑になるほどプログラムをしっかり理解することが必要だ。数式はたいてい自己完結型のステートメントだが「本物の」コードを生成できるようなモデルではもっと多くのコンテクストを処理しなくてはならない。

この新機能は、2021年6月末までに北米のユーザーに対して英語版のパブリックプレビューが公開される。


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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがRPAプラットフォームのSoftomotiveを買収

Microsoft(マイクロソフト)のCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏はBuildの基調講演で5月19日、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)のプラットフォームのSoftomotive(ソフトモーティブ)を買収したことを明らかにした。Bloomberg(ブルームバーグ)が今月初め、買収の動きを最初に報じたが、両社は現時点でコメントを出していない。

ナデラ氏はSoftomotiveがマイクロソフトのPower Automateプラットフォームの一部になると述べた。「Softomotiveの買収により、レガシーアプリやサービスにRPAをもたらす」と同氏は語った。

Softomotiveは現在、世界中に約9000人の顧客を数える。同社のWinAutomationプラットフォームは、マイクロソフトのPower AutomateのRPAアタッチッドライセンス(人を介さず実行されるロボットのライセンス)があれば自由に利用できるようになる。

マイクロソフトはPower AutomateにSoftomotiveのツールを利用して多くの新機能を実現する予定だ。新機能にはSoftomotivesのローコードデスクトップオートメーションソリューションのWinAutomationも含まれる。これまで、Power Automateはデスクトップオートンメーションツールを備えていなかった。

また、SAPアプリケーション用のSoftomotiveのコネクタ、レガシー端末画面、Javaをデスクトップオートメーションエクスペリエンスに組み込み、UIオートメーション向けの並列実行とマルチタスクを可能にする。

Softomotivesのもう1つの主力アプリケーションであるサーバーベースのエンタープライズRPA開発用のProcessRobotも、Power Automateの中に新しい居場所を見つけるはずだ。だが筆者は、マイクロソフトが主にデスクトップオートメーションスキルのために会社を買収したと推測する。

「当社の最も際立った特徴の1つであり、DNAの根幹は、使いやすさを追求するぶれない姿勢だ」。SoftomotiveのCEOで共同創業者のMarios Stavropoulos(マリオス・スタブロプロス)氏は述べた。「当社は常に市民開発者の概念を信じてきた。コードを書けるのは世界の人口の2%未満にすぎないため、プロセスの改善と全体的なイノベーションの両方の最大の可能性はビジネスエンドユーザーから得られると思う。これが、エンドユーザーを複雑さから開放するために熱心に投資し、業界で最も直感的なユーザーインターフェイスを作成した理由だ。これにより、技術者ではないビジネスエンドユーザーが、専門的な問題の解決者やイノベーターになれるだけでなく、より多くのことを実行できるようになる。このビジョンをマイクロソフトの一員として追求できることを非常にうれしく思う」。

両社は取引の金銭面の条件を明らかにしていない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトがより公平な機械学習モデルを作るためのツールを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間5月19日のデベロッパーカンファレンスBuildで機械学習に力を入れていた。そして同社は多くの新しいツールや機能を発表しただけでなく、AzureクラウドとMicrosoftのオープンソースツールキットの両方で、より信頼性が高く公平なAIシステムの構築に取り組んでいることも強調していた。

そのシステムには、差分プライバシー(differential privacy)のための新しいツールや、モデルが異なるグループでも動くためのシステム、厳しい規制要件を満たしながら企業がデータの最大限に利用できるようにするツールなどが含まれている。

このところデベロッパーは、AIのモデルの構築方法を勉強しなければならない機会がますます増えており、そのシステムは「説明しやすいか」や「差別やプライバシーの規制を満たしているか」などと定期的に自問することになる。そのためには、モデルの結果をより良く解釈することを助けるツールが必要だ。そんなツールの1つが、Microsoftがしばらく前にローンチしたinterpretMLだが、MLのモデルの公平性を評価するツールキットであるFairlearnもある。このFairlearnは現在、オープンソースのツールとして利用できるが、2020年6月にはAzure Machine Learningに組み込まれるという。

差分プライバシーは、プライバシー情報を保護しつつ個人データからインサイトを得られる技術だが、マイクロソフトは新しいオープンソースのツールキットであるWhiteNoiseを発表した。GitHubとAzure Machine Learningの両方で使うことができる。WhiteNoiseは、マイクロソフトとハーバード大学のInstitute for Quantitative Social Science(定量化社会科学研究所)とのパートナーシップの結果だ。

画像クレジット:Akos Stiller/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがAirtable風ToDoアプリListsをMicrosoft 365向けに発表

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月19日、Microsoft 365ユーザー向けの新しい「スマートトラッキングアプリ」であるListsを発表した。これは新たなToDoリスト管理アプリのようにも見えるが、マイクロソフトには既にMicrosoft To Doがある。その上、なぜListsが必要なのか疑問に思われるだろう。しかしListsは、基本的なToDoアプリをはるかに超えるもののようだ。実際のところListsは、むしろAirtableと競合するものであり、そこに当然ながらマイクロソフトの他のアプリとの統合機能が追加されたものとなる。

マイクロソフトの説明によると、Listsは「課題、アセット、ルーティーン、連絡先、目録などを追跡するもので、カスタマイズ可能なビュー、スマートルール、アラートを使ってメンバー全員と同期する」ためのツールだという。Microsoft TeamsやSharePoint、その他のマイクロソフト製品とも密接に統合される。2020年夏にまずウェブ上でリリースされ、モバイルアプリも2020年後半にリリース予定となっている。

マイクロソフトがこれまでに明らかにした範囲では、Listsには何種類ものテンプレートが用意されている。例えばチームの連絡先、イベントのための旅程、出張の承認、新人研修のチェックリストといったものだ。

このようなテンプレートのリストからわかるように、マイクロソフトはこのサービスを柔軟なものに保つことに注力しているように見える。それによって多くのユースケースに対応できる。その点では、Trelloのようなサービスを思い起こさせる。実際のところ、Listsのモバイルアプリは、Trelloのものにかなり似ている。

こうしたすべてのユースケースを有効にするために、Listsはリストを視覚化するためのさまざまな方法を用意している。現時点ではグリッド、ギャラリー、カレンダーという3種類のビューがある。標準のビューは「グリッド」で、ちょっとAirtableに似ていると感じる人もいるだろう。「カレンダー」ビューは、名前でだいたいわかるだろう。「ギャラリー」ビューは、視覚的な内容に適したもの。またListsは、柔軟性を何よりも重視しており、カスタムビューを自分で作成することもできる。

Airtableと違いListsにはKanbanビューや、カスタムフォームを利用してデータを入力するような機能は備わっていないようだ。

Listsのもう1つの重要な機能は、ルールを作成するためのシステムにある。「アウトプットが決まったら、if/thenの手順をクリックしていってルールを展開します」と発表資料にも書かれている。「人、ステータス、値の変化を選択して通知を送信したり、リストの中の別の場所にある値を、プログラムによって更新したりできます。最後にルールを指定してリマインダーを設定し、チームのメンバー全員に常に情報を提供します」。

現在のマイクロソフトのツールは、結局のところはMicrosoft Teamsにつながるものとなっている。当然ながらこのListsも、Temasに統合されるものになると同社は強調している。この点では、同社のコミュニケーションプラットフォームに属する他のアプリと同様だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Microsoft EdgeにPinterest統合、サイドバー検索、仕事利用時自動切り替えなど新機能が多数搭載

Microsoft(マイクロソフト)はオンラインで開幕したBuldカンファレンスで新しいEdgeブラウザに多数の機能を追加することを発表した。アップデートの一部は一般ユーザー向けだがビジネスユーザー、IT管理者、デベロッパー向け機能も含まれる。Edgeの安定バージョンがリリースされたのは最近だが、開発チームはこのブラウザをライバルと差別化するための新機能を組み込み始めたようだ。

一般ユーザー向けのアップデートの1つは、Edgeのコレクション機能をPinterest に利用するというものだ。Pinterestとコレクション機能はどちらも、ページ、画像その他なんでもユーザーがオンラインで見つけたアイテムのリンクを保存できるようにするものだ。そこでマイクロソフトはEdgeにPinterestを利用したツールを追加し、コレクションの下部にPinterestからの「おすすめ」を表示できるようにした。クリックするとユーザーは「類似したピンを集めたPinterestボードに移動する。ユーザーは興味あるアイテムを見つけて自分のコレクションに追加できる」という。逆にEdgeのコレクションをPinterestにエクスポートすることもできる。一部のユーザーには歓迎される機能だろうが、(特に個人的には)無効にするオプションが欲しいところだ。

コレクションは既にWord、Excelと統合されているが、さらにアイテムをOneNoteのメモ作成ツールにエクスポートする機能も追加される。

これらのEdgeの新機能は、今後数日以内にまずプレリリースチャンネルで公開される。

サイドバー検索はまったく新しい機能で、名前のとおりブラウザのメイン画面で新しくタブを開かなくてもサイドバーから検索が実行できるようになる。ユーザーがタブを移動してもサイドバーは維持されるので、これはかなり役立ちそうだ。このアイデアは他のブラウザも真似することになるだろう。

我々の多くは、同一のコンピュータの同一のブラウザにビジネスアカウントと個人アカウントを混在させている。Edgeが導入するプロフィールの自動切り替え機能も便利そうだ。これはページ内に業務用認証情報を必要とするリンクを検出すると、Edgeは自動的にプロフィールを「仕事用」の設定に切り替える。

これに関連するが、EdgeはWindows 10のWIP(Windows情報保護)をサポートすることになる。WIPは企業向け管理システムで、個人データと企業データを判別する。私用のメールアカウントから企業が開発中の極秘のプロダクトの画像を送信するなどの誤用を防止できる。WIPのサポートは企業からの要望事項のトップだった。

デベロッパー向けの新機能やツールも発表された。その1つはOrigin Trialsだ。これを利用するとデベロッパーは実験的なウェブ機能を一定期間サイトにアップし、Edgeユーザー向けにテストできる。マイクロソフトによれば「Edgeを通じてサイトを訪れるユーザーの一部に一般的公開前のプロトタイプをテストしてもらうことができる」という。

Windowsのデベロッパーは新しいWebView2プレビューをテストすることができるようになる。このデベロッパー向けプレビューは従来Win32プログラムに制限されていたが、アップデート後は.NETおよびUWPアプリもサポートされる。

またWindowsのPWSA(プログレッシブWebアプリ)が強化された。

【略】

利用できるのは当面一部のビルドのユーザー(Windows Insider buildsとEdge Canary preview builds)に限られる。

個々のアップデートも十分興味あるものだったが、最もポイントとなるのはEdge開発チームが単なる「もうひとつのブラウザ」を超え、ライバルとはっきり差別化されるブラウザを目指して機能のリリースを開始したことだろう。Edgeはもともと非常に優秀なChromiumベースのブラウザなので、この新しい方向は大いに期待できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトはOpenAIと協力してAzure上に世界第5位となるスーパーコンピューターを構築

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月19日に、デベロッパー会議であるBuild 2020で汎用AIを開発するスタートアップのOpenAIと提携したことを発表した。提携の中身にはいろいろあるが、その1つはマイクロソフトが10億ドル(約1078億円)を投資して、Azureのインフラストラクチャ上に、世界的にも最速レベルのスーパーコンピューターを構築することだ。マイクロソフトによると、28万5000コアを持つマシンで上位500位のスーパーコンピューターのランキングでも、トップ5に位置するものだという。

マイクロソフトはまだ多くを明らかにしていないが、1万基のGPUを備え、サーバー1台あたり毎秒400ギガビットのネットワーク通信速度を実現するという。これについては、マイクロソフトとOpenAIの言葉を信じるしかない。

現状でスーパーコンピューターランキングのトップ5に入るには、2万3000テラフロップスを超える必要がある。参考までに述べれば、現在第1位のマシンはIBMのPower SystemベースのSummitで、速度は14万8000テラフロップス以上に達している。それとの差はかなり大きい。マイクロソフトは同社のAIイニシアチブについて、4ページに渡るプレスリリースを出したにも関わらず、これまで実際のパフォーマンスの数値は公表していなかった。

「このコンピューターは、Azureに接続されてはいますが、OpenAIの専用リソースとなります。OpenAIはシステムの利用代金を、マイクロソフトと他のサプライヤーに対して支払います。その費用の総額は明らかにできません」と、マイクロソフトの広報担当は私の質問に答えて語った。また、システムは現在稼働中だという。

マイクロソフトによる大規模な投資を受けて以降、OpenAIはクラウドサービスとしてAzureを選択している。このスーパーコンピューターは「OpenAIと協力してOpenAI専用に」開発されたものだ。

OpenAIは、非常に大きなモデルをトレーニングすることで有名になった。それももちろん、これと同じように、1つのプロジェクトの目的なのだろう。

「私たちが、私たちのニーズを理解し、スーパーコンピューターを構成するすべてのコンポーネントのさまざまな限界についてよく知るにつれて、ようやくわかりました。私たちの夢をかなえるようなシステムを設計できるとすれば、それをどのようなものにすべきか、ということを表現できるようになったのです」と、OpenAIのCEOであるSam Altman(サム・アルトマン)氏は語った。「そして、マイクロソフトがそれを実現してくれました」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトがデベロッパーに宛てた恐ろしく難解なメッセージ「RGV2cw」とは

まだMicrosoft(マイクロソフト)のリーダーだった頃、Steve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏は「デベロッパー! デベロッパー! デベロッパー!」と叫び続けてテック業界に物議を醸した。しかし彼が引退して自らがオーナーを務めるバスケットボールチームに割く時間が増えた今、テック巨人の現CEOは明らかにもっと・・・繊細なアプローチをとっている。

初のバーチャル開催となったBuildカンファレンスの基調講演で、Satya Nadella(サティア・ナデラ)氏は家族写真や小間物で埋められた大きな棚の前でスピーチを披露した。そしてそこに “RGV2cw” はあった。この一見意味のなさそうな文字列はCEOの顔の右側に映し出されていた。しかし、こうした背景がランダムに選ばれることはない。まちがいなく、そこにはなんらかの意味がある。

文字列は直ちにtwitterユーザーたちを解読に駆り立てた。ある人は開発者向け掲示板にその名前を見つけたと報告した。別の一人はこの文字列のハンドルをすばやく取得してBuild関係のツイートを発信した。そしてそのユーザーは、暗号を解いた最初の人物だったようだ。

MicrosoftのScott Hanselman(スコット・ヘンゼルマン)がメッセージの正体を明かした。それは文字通り、デベロッパーに向けられた暗号化メッセージだった。具体的には “devs” という単語をBase64形式でコード化したものだ。このデコーダーに通せば自分で確かめられる。

そこにはBallmer氏の叫びも汗まみれの切迫感も入っていないが、すてきな感謝のあいさつであることは間違いない。

アップデート:Hanlseman氏はわれわれ宛てのツイートで、「あれは私とプリントした@Proto_pastaとモデリング担当の@jongallantとの合作だった」と語った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook