NASAが国際宇宙ステーションでスターウォーズ・最後のジェダイを上映へ

国際宇宙ステーションで暮らす宇宙飛行士だからといって人気映画の封切りは見逃したくないはずだ。それが『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』のような映画ともなればくやしさもひとしおだろう。そういうわけで、NASAはDisneyの協力を得てISSのクルー向け上映会を企画した(この映画はアメリカでは今週公開予定)。

残念ながらISSのクルーは大画面での体験はできない。NASAがMashableに答えたところでは、ISSで映画を見るにはノートパソコンか小型のプロジェクターが使われるということだ。しかし地球周回軌道上のISSの宇宙飛行士は無神経な友達からネタバレを聞かされる心配だけはなさそうだ。

ところで現実の宇宙飛行士はポーグというクリーチャーにどんな感想を抱くだろうか?

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LEGO、いよいよ「NASAの女性たち」発売 ――宇宙開発のパイオニア女性を讃えて11月 1日出荷

LEGOはファインサイト、 LEGO Ideasから提案されたプロジェクトをいよいよ公式な製品として発売する。Women of NASA〔NASAの女性たち〕というパッケージにはNASAの宇宙開発におけるパイオニアとなった女性たち4人と貢献したプロジェクトのミニチュアがフィーチャーされる。

このLEGOセットはまず最初にMIT Newsの副編集長、Maia WeinstockがLEGO Ideasで昨年提案したものだ。プロジェクトはたちまち1万の支持者を集め、LEGOが正式に製品化するためのハードルを超えた。

今回のフィギュアとなった4人は以下のとおり。60年代にアポロ計画の船上搭載ソフトウェアを開発したコンピューター科学者のマーガレット・ハミルトン、ハッブル宇宙望遠鏡の開発に貢献したナンシー・グレース・ローマン、アメリカ初の女性宇宙飛行士、サリー・ライドとアメリカ初のアフリカ系女性宇宙飛行士、メイ・ジェイミソンだ。Weinstockが当初提案したリストには映画Hidden Figures〔邦題は『ドリーム』〕でも描かれているキャサリン・ジョンソン(マーキュリー計画、アポロ計画で軌道を計算した)も含まれていた。

  1. 4848503-21312_box1_v39-wmyrkyruovzhnw.jpg

  2. 4848573-21312_front_c-udmf0by2ehdlag-thumbnail-full.jpg

  3. 4848565-21312_front_a-skmro-dxlghi4a-thumbnail-full.jpg

  4. 4848569-21312_front_b-9bl6idcsgh9eyg-thumbnail-full.jpg

  5. 4848577-21312_top-pevebwm-r3h_ww-thumbnail-full.jpg

製品版ではキャサリン・ジョンソンが含まれていないが、LEGOによれば、関係者全員の承諾が得られなかったためという。ジョンソンと家族の承認を得る際になんらかの問題があったようだ。

キットはLEGOのGemma AndersonとMarie Sertillangesによってデザインされ、Weinstockのオリジナルのアイディアに非常に忠実だ。AndersonとSertillangesは再現にあたって細部にわたって膨大な調査を行った。たとえばフィギュアのサリー・ライドの名札には「Sally」とファーストネームしか書かれていないが、これはサリー・ライド自身の要望によって現実にもそうなっていたものという。

Women of NASA〔NASAの女性たち〕パッケージは11月1日から出荷され、価格は24.99ドルだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASAとロシア、月宇宙ステーションの共同開発で合意

今年の国際宇宙会議で、NASAとロシアの宇宙機関、ロスコスモスが共同声明に署名し、地球を遠く離れ月軌道を周回する宇宙ステーションを共同開発する意志を表明した。月面探査と深宇宙科学両方の拠点となる。

これはNASAが熱望するいわゆる「深宇宙ゲートウェイ」コンセプトの探究と開発の一環であり、人類の宇宙探査の範囲と能力を拡大するための戦略基地を目指している。NASAは人類を月より遠くに連れていきたいと思っている。言い換えると、このゲートウェイコンセプトは、月の周辺に軌道周回宇宙ステーションを置くことで、計画の実践的可能性を高めようとするものだ。

「深宇宙ゲートウェイはまだコンセプト形成の段階だが、人類の宇宙探査を前進さする第一歩としてのシスルナ(地球と月の間)空間進出に国際的関心が高まっていることをNASAは歓迎する」とワシントンのNASA本部長官代理、Robert Lightfootがこのニュースを伝えるプレスリリースで語った。「ロスコスモスと共同署名したこのような声明は、ゲートウェイ構想が手頃価格で維持可能な探査アーキテクチャーの先駆けとなることを示している」。

ロスコスモスとNASAの共同作業はまだごく初期段階にある ―― 将来共同作業に合意する可能性に関する合意とみることもできる。しかし、将来月の周回軌道に科学および探査施設を設置することについて、開かれた会話が持たれる良い兆候だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ペギー・ウィットソン飛行士、288日間の宇宙滞在から帰還

記録破りの宇宙飛行士、Peggy Whitsonが、宇宙滞在累積日数の記録保持者として宇宙から帰ってくる。地球着陸の模様はライブストリーム中継される。

軌道離脱噴射は今晩(米国時間9/2)5 pm PT(西海岸時刻)に始まり、着陸予定時刻は6:22 pm(彼女が着陸するカザフスタンでは日曜日の7:22 am)。

Whitsonは、288日すなわち約10カ月間を宇宙で過ごし、その間宇宙ステーションは4623回軌道を周回した。これは米国の宇宙飛行士Scott Kellyの宇宙滞在連続340日に次ぐものだが、Whitsonは累計665日を宇宙で過ごしており、宇宙経験はどのアメリカ人よりも長い。

6月の帰還を予定していたが、今年になってロシアの宇宙開発組織、RoscosmosがISSミッションからクルーを引き上げたため、3カ月の期間延長を快諾した。

Whitsonは、ロシアのミール宇宙ステーションと国際宇宙ステーション(ISS)の両方に滞在した数人のロシア人記録保持者をランキングで追っている。しかし、Whitsonはほかにいくつもの印象的記録をもっている。ISS初の女性コマンダー(船長)を務め、最長宇宙遊泳 60時間を記録したことに加え、宇宙へ行った女性としては最高齢の57歳だ。

現在3回目のISSミッション遂行中のWhitsonは、4月に宇宙初の4Kストリーム中継を、ラスベガスで行われていた全米放送事業者協会ショウに向けてビデオを送信した。

Whitsonの帰還便には、同じくISSを離れる米国宇宙飛行士Jack FishcerおよびロシアのFyodor Yurchikhinも同乗する。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

まもなく始まる全米日食ショー。NASAによるライブストリーミングはこちらから!

まもなく、アメリカではほぼ100年ぶりとなる皆既日食を観測することができる。日食のおこるしばらく前から、大勢を巻き込む大騒ぎとなっている。

ただ、残念なことに皆既日食が見られるのは、オレゴン州からサウスカロライナ州まで、幅70マイルほどの区間に限られる。その他の地域では部分日食を観測することになる(もちろんそれもまた感動的なショーになるはずだ)。

もちろん日食なんてまったく見られない地域の人もいるだろう。平日でもあることで、デスクに縛り付けられている人も多いはずだ。しかし、そうした人々にも「手段」がある。

今回の日食、NASAが完全ライブストリーミングを行うのだ。開始時刻は11:45AM ET(日本時間0時45分)で、4:15PM ET(日本時間5時15分)までのライブストリーミングを予定している。本稿の英語版ページには、ライブストリーミングが開始され次第、そのストリーミング配信を埋め込んでお届けする予定だ。

NASAのウェブサイトには次のような記事が掲載されている。

地球物理学者による、太陽−地球の位置関係が起こす不思議についての解説を聞くことができます。ラント社(Lunt Solar Systems)が、Hαフィルタ、カルシウムK線フィルタ、white-lightソーラーフィルタを通した3種類の高解像度で美しい日食画像を提供します。さらにSaluki Stadiumからの観測気球からの映像もストリーミングされることになっており、市民科学者となるためのさまざまな知識を学ぶことができるようになっています。さらに得られた知識について、ソーシャルメディア上で多くのエキスパートと意見を交わすこともできるでしょう。つまり、日食を生で見られない人も残念がる必要はないのです。NASA EDGEを通じて、世界中のあらゆる場所が世界最高の観測スポットとなるのです。

ちなみに、生で日食を体験する人にお伝えしておきたい。よくご存知のこととは思うが、たとえ1秒でも、あるいは日食の最中ではあっても、太陽を直接見つめないようにしてほしい。どうしても直接に見たいという人は、ライブストリーミングの映像を見ることにしてほしい。

ライブストリーミングはUStreamYouTubeおよびFacebookなどで行われる。もちろんTwitterでも見ることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

SpaceX、ISS補給船12回目の打ち上げに成功――Falcon 9ロケットも回収

SpaceXは今回も衛星打ち上げとブースターロケット回収に成功した。ペイロードはDragon補給船で、国際宇宙ステーションに補給する約2.9トンの物資を積んでいる。CRS-12というミッション名のとおり、これはNASAとの契約によりSpaceXがISSに対する12回目の物資補給であり、また科学研究の観点からもっとも意義が大きいものとなった。

CRS-12のペイロードの75%は宇宙における科学実験のために資機材で、これはいままでのミッションの中でももっとも割合が高い。通常Dragon補給船のペイロードはISSで生活するクルーのための物資が大半を占めていた。しかし今回から来年にかけてステーション上の科学者による実験に比重が移されている。クルーの作業をさらに効率化するための拡張現実(AR)システムも搭載された。

Falcon 9はケープカナベラルのケネディー宇宙センターから今日(米国時間8/14)、東部時間12:31に打ち上げられ、予定どおりDragon補給船は軌道に投入された。
ISSとの会合は8月16日に予定されている。補給船はステーション側のCanadarm 2ロボット・アームで捕獲され、ステーションに接続される。1ヶ月後に補給船は1.4トン弱の物資を積んで地球に帰還し、太平洋に着水する予定だ。

科学実験の機材(有人火星旅行を助けるために設計されたスーパーコンピューターも含まれる)の他に、今回の打ち上げで重要な点は、今後SpaceXはCRS補給ミッションでDragonカプセルの再利用を続けると発表したことだろう。つまり新品のDragonが使われるのは当面これが最後となる。

今日の打ち上げではFalcon 9の1段目ブースターの回収も行われた。ブースターは打ち上げ後9分でケネディー宇宙センターの LZ-1着陸パッドに無事着陸した。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASA、「静かな超音速旅客機」の開発プロジェクトをスタートへ

NASAは国際線の飛行時間を大きく減らせるような超音速旅客機の実用化に乗り出す計画だ。騒音レベルでコンコルドを下回ることもNASAが提示した超音速旅客機が実現を狙う目標のひとつだ。

Bloombergの記事によれば、NASAはこの8月から超音速旅客機のフルスケールモデル製作のため競争入札を開始するという。採用された場合、向こう5年間で4億ドルの予算が予定されるプロジェクトだ。

ビジネスがグローバル化し、仕事が世界に分散化する中、 航空旅客運輸の高速化のニーズが高まっている。NASAは新しい商用超音速機の開発によってにこれに応えたいとしている。NASAでは開発された航空機デザインを利用してロッキード・マーチン、ゼネラル・ダイナミクス、ボーイングのような巨大企業からコロラドのBoom Supersonicのようなスタートアップまでが広く製造に参加することを期待している。

私は今年に入って、コロラド州のBoom Supersonicを取材し、CEOのBlake Schollにインタビューしたことがある。Schollは現在開発中の機体の目標の一つは騒音の大幅低下であることを認めた。現在アメリカ合衆国の陸上を超音速旅客機が飛行することが規則で禁止されている理由の大きなものが騒音問題だ。Boomでは当初の空路をすべて洋上に設定し、この問題を避けようとしている(コンコルドの場合もアメリカについてはニューヨークの空港を利用する大西洋横断ルートのみが設けられていた)。

Bloombergの記事によれば、NASAではロッキードで開発されたデザイン(トップ画像)をベースとして高級車が高速道路を走行する程度の騒音レベルを達成しようとしている。これは60dBから65dB程度であり、Concordeの90dBよりはるかに静かだ。

NASAでは2022年までに人口密集地帯の上空飛行を含む本番テストを実施したい考えだ。アメリカにおける超音速旅客機の飛行を制限する規則を変えるためにこの結果を使う計画だという。Boomでは実証機の飛行を来年にも開始する。この10年ほど休眠状態だった超音速旅客機の実現に向けていよいよ競争が始まることになりそうだ。

画像: Lockheed Martin

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASA、宇宙船カプセルの海上脱出テストを実施

NASAは、宇宙飛行士を運ぶあらゆる機器について長期にわたり徹底した安全確認をおこなう。そして有人カプセルOrionも例外ではない。このカプセルは2021~2023年に、大型打ち上げロケットSpace Launch System(SLS)に乗ってクルーと共に宇宙へ飛び立つことを目標にしている。メキシコ湾で行われた海上脱出テスト(via Space.com)では、宇宙飛行士たちが太平洋に着水した後安全に脱出、移動できるかどうかを確認した。

NASAによるこのテストが行われたのは7月11日で、Orionカプセルは米国沿岸警備隊の船で運ばれてメキシコ湾の海上に置かれた。飛行士たちは宇宙服を着て小型ボートでカプセルに乗り込み、実際にカプセルが太平洋に着水したときの非常手順を再現した。

宇宙飛行士が鮮やかなオレンジ色の緊急用ゴムボートでカプセルを脱出するのは、望ましい行動ではない。Orionが予定通り着水した場合の標準運用手順では、地上の救出チームが飛行士らを収容する。長時間の宇宙滞在で筋肉劣化などの体調不良も考えられる飛行士らにとって、この方が好ましいやり方だ。

しかし、何らかの理由で24時間以内(Orionが維持できる時間)に救助チームが来なかった場合、あるいは早く脱出する必要が生じた場合には、すべての手続きを宇宙飛行士が担当しなくてはならない ―― たとえ身体能力が低下していようとも。

他の有人宇宙船も発射前にNASAが要求する安全確認手順を実施している。例えばLochkeed MartinとBoeingのジョイントベンチャーであるULAは、CST-100 StarlinerがAtlas Vロケットに搭載された際の発射前作業用に作られた緊急脱出システムのデモを行った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAとAmazonが協力して宇宙から4Kライブ・ストリーミング―NABトレードショーの一環

4Kテレビ、あるいはディスプレイを持っている読者もいるだろう。しかしその解像力を本当に活かすようなコンテンツをいつも観ているだろうか? スポーツ中継? Netflixの番組? そんなとこだろう。では宇宙は? 

宇宙飛行士たち(たぶんいちばん事情に詳しいはず)によれば、大気圏外から見下ろす地球の景観は比較を絶して素晴らしいという。今月末にこの映像が高解像度スクリーンにやってくる。AWSとNASAが協力して世界初の宇宙からの4Kライブ・ストリーミングが4月26日に予定されている。

正確な時間は4月26日の太平洋標準時午前10:30だ(日本時間4/27午前2:30)。Varietyによれば、ラスベガスで開催される世界最大の放送機器のトレードショー、NABの一部としてストリーミングされるという。コンテンツは録画され、NASAのウェブサイトからも4K画質で公開される。AWSが協力するストリーミングでは国際宇宙ステーション(ISS)とNAB会場が結ばれ、NASAの宇宙飛行士、Peggy Whitson博士と AWSの共同ファウンダー、 Sam Blackmanが会話することになっている。

ストリーミングにはAWSが新しく公開したElementalエンコードが用いられる。宇宙からの高画質中継というのは驚くべきパフォーマンスだが、ISSとラスベガスを結んで会話ができるというのはエンコードのリアルタイム性をデモするのに絶好だろう。

NASAが宇宙からのライブ・ストリーミングに力を入れるのには理由がある。これは軌道上の強力なカメラを通して得た映像を地上の科学者がリアルタイムで観察、分析することが可能になるからだ。

〔日本版〕ライブ中継は日本では4/27 午前2:30になってしまうが、4K録画をNASAのサイトから見ることができるはず。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASA、宇宙飛行士の訓練に複合現実システムを利用

NASAはビジュアル化のために常に最新技術を取り込んできた ― たとえそれが他愛のないエンターテイメントのために開発された技術であっても。最近本誌はNASAのホログラムを使った火星の展示を紹介した。また数多く3D資料開発者や教育者向けにNASAから提供されている。そして米国航空宇宙局は、Epic Games社と提携して同社のUnreal Engineを利用した複合現実による国際宇宙ステーション・シミュレーターを作ろうとしている。

NASAの宇宙飛行士の資格を得るために、候補者は最長2年間の訓練期間中に、無重力下での作業やスペースシャトルと国際宇宙ステーションの各部分の移動、飛行士同志の救急措置などに備えて、厳しい講義とシミュレーションを体験する。

従来、宇宙飛行士の訓練といえば、「無重力環境訓練施設」― 620万ガロン(2万3470㎥)の水を擁する巨大なプール ― に飛び込み、NASAのスペースシャトルおよび国際宇宙ステーション(ISS)の一部の実物大モデルである宇宙船モックアップ施設で時を過ごすことを意味していた。しかしこうした施設は収容能力が限られている。物理的設備と複合現実を組み合わせることによって、宇宙飛行士訓練生はスキル向上に長い時間を費やすことができる。

Unreal Engineの主要なライバルであるUnityもNASAと協同作業をしてきた。ご存じない方のために書いておくと、いずれの会社も企業アプリやVR体験にも応用されているゲームエンジンを作っている。これまでのところUnityを使っているゲームデベロッパーの方がUnreal Engineよりも多い。しかしUnreal Engineは、BMWやMcLaren、Ikea、Lockheed Martinなどの「有力ユーザー」がいることを誇りにしている。

Unreal EngineとNASAが今月発表したビデオによると、複合現実システムには、エクササイズマシンや保守作業に用いるツールなどISSに装備された機器の様々な要素が組み込まれている。シミュレーターは以前教育用に公開されたMission: ISS for Oculusとは別のシステムだ。

この複合現実ISSシステムは、重力シミュレーターのARGOS(Active Response Gravity Offload System)で宇宙飛行士訓練生の心を奪う。ロボティック・クレーン装置を利用して、訓練生に微小重力、月面重力、火星重力を体験させる。NASAはこの複合現実システムを宇宙飛行士や技術者の訓練に使うだけでなく、新たな居住環境のデザインにも利用する計画だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAの折りたたみロボットは、ローバーの入れない場所にも潜入できる

NASAのジェット推進研究所(JPL)は絶え間なく驚きを供給してくれる。その最新作がPUFFER(Pop-Up Flat Folding Robot)。このロボットのデザインは折り紙にインスパイアされたもので、折りたためることが大きな特徴だ。車輪を引っ込めて平たくなることで、一般のローバーが入れない高さ制限のある場所にも入っていける。つまり、遠い月や惑星の表面をもっと深く探索できる。

ロボットがどうやって動くのかは上のビデオか下のGIF動画を見ればすぐにわかるだろう。車輪はほぼ地面と水平になるまでつぶれ、それでもある程度駆動力があるので天井の低い場所でも移動できる。底面には充電用のソーラーパネルがあり、車輪のトレッドは45度の傾斜も登っていける。しっぽもついていて、ボットが動き回る際の安定を保つ。

PUFFERは宇宙だけではなく、地球でも有用だ。火山の噴火口など通常のロボットでは進入が困難で人間が行くのは不可能な場所で科学者を手助けする。次の段階はセンサーなどの科学研究に役立つ機器を付加し、無人運転(現在はBluetoothによるリモートコントロール)機能によって単独あるいは集団行動できるようにすることが目標だ。

大型のローバーが平らにつぶしたPUFFERをおなか一杯に詰め込んで走る場面を想像してほしい。調査すべき場所に来たら折り紙ロボットたちを野に放って詳細な探索を行う。私はペットにしたいので、そのための開発も進めてほしいものだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、NASAと協同で火星の着陸地点を検討中

SpaceXは同社の宇宙船が初めて火星表面に着陸するときのことをすでに考えている。計画性があるのか希望的観測なのかは読者の評価に任せる。同社はNASAと協同で赤い惑星の着地候補点を探している。

民間宇宙会社SpaceXでDragonロケットの誘導、ナビゲーション、および制御システムの責任者を務め、火星探査の上位計画にも関与しているPaul Woosterは、テキサス州で行われたカンファンスの席上、SpaceXはNASAのジェット推進研究所と協力して着地候補地点および実現性を検討していると述べた。SpaceNewsは、非常に有力な候補地が既に特定されたと報じている。

火星探査機にとって理想的な着地点とはどんなところだろうか。地表付近の氷の近くは大いに有力だ。地球からの輸送なしに長期滞在生活を維持するための となるからだ。もう一つ重要な要素は赤道近くで日照が良い低地であることで、動力および温度条件が有利になる。いずれも通常は地表から遠くない大量の氷と共存できないため着地点候補は絞られる。

この火星着地点はSpaceXの長期目標である火星滞在を視野にいれているが、科学、商用などのクライアントのニーズにこたえるための着地も検討している可能性がある。

SpaceXにとって、火星はいまだに遠いターゲットだ。赤い惑星への最初の打ち上げは当初2018年の予定だったが、早くても2020年中ごろになりそうだと同社は言っている。どうやら最初のミッションは目的地を正確に把握することにあるようだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASA、SpaceXの月旅行支援を発表―さらなる野心の現れだ

2017-03-01-spacex-moon-interior_1

SpaceXが来年乗員2名を月周回軌道に往復させるという計画を発表して世界を驚かせたのに続いて、NASAがSpaceXのプロジェクトを支援するという声明を発表した。短い声明だが言外の意味は大きい。民間企業の宇宙進出は政府機関の宇宙開発も拡大させる追い風となるようだ。

この声明は、「民間企業に協力することは宇宙の商用利用(という付随的任務)からNASAを解放し、次世代ロケットや宇宙船の開発、月以遠の宇宙の探索という本来の任務に専念することを可能にする」としている。

これはつまり「そこなら行ったことがある!」というたぐいの旅行の自慢話的な任務からNASAを切り離すという宣言だろう。「月? クールだね。なるほど1969年には最前線だった。SpaceXが再訪するというのはけっこうなことだ。初めて行く人は興奮するだろう。われわれは火星や木星に集中できる。惑星探査は素晴らしい任務だが、とてつもなく時間と資金を食う。SpaceXが月に行くのを引き受けてくれるなら素晴らしい」という意味に違いない。

NASAははるか昔から民間企業が宇宙を自由に利用できるエコシステムを建設しようと努力してきた。商用利用の主役が民間企業になれば、NASAは限られた資源を深宇宙の探査に振り向けることができる。実際これがNASAの本来的使命でもある。もっともSpaceXなどの民間企業自身が火星以遠への旅行について興味を示しており、ライバルになる可能性がある。

ともあれ宇宙マニアにとっては目が離せない展開になってきた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASAが考えたエウロパの着陸船は三流SF誌の表紙絵のようにケバいぞ

pia21048_figb

別の惑星へのミッションが実際に始まるずっと前から、NASAなどの宇宙関連部局は、なぜどうやってそれに取りかかるか、に関する報告書を作らせていた。今週出た、その種の報告書の最新版は、木星の第二衛星エウロパを扱っているが、これは全太陽系の中でももっとも興味深くて神秘的な天体のひとつだ。そしてまた、生命の痕跡がありそうな天体、にも属している。

europa_layers

エウロパの凍った地殻の下にあると思われる金属が滲出した液状の水は、地球外生物がいちばん見つかりそうな環境、とされている。

報告書はとても長くて技術的だが、関連の文書や研究はここでダウンロードできる。でもこの記事では、エウロパの着陸船を想像で描いた、アーチストの作品を鑑賞しよう。大きな画像を、ここで入手できる。でも、画像の上にタイトルがほしいよね。

報告書はエウロパへのミッションの目標を三つ挙げている。生命の証拠を探すこと、この衛星の可住性を評価すること(温暖ではないが液状の水はプラスだ)、そして、今後の参考のために地表と地表直下の性状を調べること。

これらの目標を達成するために必要な、機器も挙げている。まだ、今の技術では存在しないものもあるが、いずれも、今あるものや、近く実現するものに類似している。上図の着陸船は、それらの物の組み合わせの一例だ。あまり丈夫そうに見えないのも、意図的なのだ。われわれはついつい、長期滞在による探査活動を連想してしまうが、実際にはほんの数週間で、木星からの大量の放射能で、鶏の唐揚のように揚げられてしまうだろう。

報告書は、熱心な宇宙ファンの人にとっては、ざっと見るだけでもおもしろいだろう。でもぼくはここで、表紙のすばらしいアートをみんなに見せたかった。すごいね、Michael Carrollさん。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

最後に月面を歩いた宇宙飛行士、ジーン・サーナン氏が82歳で死去

s71-51308

1972年12月7日、アポロ17号のミッションはジーン・サーナン船長の指揮の下で実行された。その4日後、クルーは月面に着陸した。それはサーナンにとって3度目で最後の宇宙への旅だった ― そして、結果的に現在までにNASAが月面に人間を送った最後の計画となった。

政府組織であるNASAの型にはまった業務の中にありながらも、月面を歩いたわずか10人の中の一人になることに、サーナン氏は子供のような興奮を隠すことができなかった。

「アポロ17号のこの第一歩を、これまで支えてくれた人々全員に捧げます」と、着陸船を降りた船長が無線で言った。「何ということ! 信じられない!」

月面を離れるにあたっての彼の言葉は、さらに思慮に富み、われわれが宇宙計画に期待する深遠さをものがたるものだった。「当面は最後になるであろう月面での歩みを進めながら、私はアメリカの今日の挑戦が、人類の明日の運命を築いてきたことを記録に留めたい」

NASAの報道 によると、サーナン氏はテキサス州で今日(米国時間1/16)闘病の末に亡くなった。82歳だった。「ジーンの足跡は月に残り、彼の業績は私たちの心と記憶に刻み込まれている」、NASAが発表した声明の中でチャールズ・ボールデン長官が語った。

元海軍パイロットのサーナン氏はNASA在任中、月に2回渡航した3名のうちの一人となったほか、初めての月面着陸の、いわゆる「ドレスリハーサル」でアポロ10号にも塔乗した。サーナン氏は、あの痛ましいジェミニ9号計画の飛行士として、宇宙遊泳した2人目のアメリカ人でもあった。

再びサーナン氏の言葉を引用する:

私たちは挑戦の時代に真っ只中にいる。その挑戦にはチャンスがついてくる。空はもはや限界ではない。不可能という単語はもはやわれわれの語彙にはない。われわれはやると決心したことはどんなことでもできることを証明してきた。限界を決めるのは自己満足だけだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASA、GIF公開のためGiphyにNASA公式チャネルを開設

lunar-transit-gif

NASAの仕事は太陽系を探索したり、地球についてさまざま重要な研究を行うにとどまらない。宇宙の様子を多くの人に伝えることも彼らのミッションのひとつだ。その中でビジュアルな「動き」を伝えるにはGIFが最適ツールのひとつだろう。NASAもそれに同意するようで、GiphyのNASAチャネルができた。過去のものから最新のものまで、数百ものGIFが掲載されている。

過去のアーカイブといえば、まずこうしたものが頭に浮かぶだろう。


via GIPHY


via GIPHY

あるいは「魅惑的」という言葉はきっとこういう写真のためにあるのだと思う。


via GIPHY


via GIPHY

NASAはもちろんお堅いばかりではない。


via GIPHY


via GIPHY

出典となる科学情報ないしニュースへのリンクのついたものも多い。GIFを眺めながらお勉強までできてしまうことになる。

現在のところは500枚程度が公開されているようだ。もちろんこれは増えていくことになるのだろう。ソーシャルメディアなどで共有しようとする場合、#nasagifというタグを使っている人が多いようだ。

参考までにお伝えしておくと、Pinterest上にもNASAページがある。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

SpaceX、NASAの地表水探査計画でロケット打ち上げ契約を獲得

shutterstock_112249904

NASAは、2021年4月に予定している初めて地球全体の表層水を調査する計画で、ロケット打ち上げ事業者にSpaceXを選んだ。この「地表水および地形」計画の打ち上げには、SpaceZのロケットFalcon 9が使用され、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地の4E発射施設から飛び立つ。

NASAにとって初めてのこの計画は、地球の海洋を高精度で測定するとともに、海の時間変化も記録する。この調査では世界の90%以上をカバーし、川、湖、海、その他の淡水および海水を、21日ごとに2回以上測定する。このデータを収集する目的は、気象科学での利用に加え、世界中の人々の淡水の確保にも役立てることだ。

現在SpaceXは、打ち上げ予定の中にNASAの計画を9件抱えているが、去る9月に発射台の打ち上げ前検査中にSpaceXロケットが爆発を起こして以来、打ち上げ再開の正確な日程は明らかにしていない。11月初めにSpaceXのCEO Elon Muskは、爆発の原因調査が間もなく終るので打ち上げは早ければ12月中旬に再開できるだろうと話した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ボイジャーのゴールデンレコード、Kickstarterに登場

e2aa769c29c29b4a0110efae916bc7ff_original

ボイジャーのゴールデンレコード(Golden Record)は人類のために作られたものではない。エイリアンのために作られたものだ。このエイリアン用に作られたものを、地球人類向けに提供しようとするプロジェクトがKickstarterに誕生した。

ながらくBoing Boingのエディターを務めるDavid Pescovitzが、Amoeba RecordsのマネージャーであるTimothy Dalyや、グラフィックデザイナーのLawrence Azerrad(ザ・ビーチ・ボーイズやクリントンファウンデーションなどの仕事をしている)と組んで、打ち上げ40周年を控えたボイジャーに搭載されたゴールデンレコードを人類に提供しようとするクラウドファンディングキャンペーンを立ち上げたのだ。

キャンペーンはスタートしたばかりだが、既に目標額を大きく上回っている。もちろん、レコードや、その他付属品は宇宙に送り出されたものをそのまま安売りしているというものではない。たったひとつの本物の、デラックスな復刻版を98ドルで入手できるとされているのだ。

ボイジャーに積まれたゴールデンレコードは、カール・セーガンの率いるNASAチームが、地球がどのような星であるかを、遠く離れた異星人に伝えるために製作したものだ。レコードには自然界の音、55ヵ国語による挨拶、モールス信号によるメッセージ、そしてバッハからチャック・ベリーまで広くにわたる音楽が録音されている。チャック・ベリーの曲を含めることについては、1977年当時、大いに議論になったものだった。

カーター大統領の言葉などもおさめられている。

This is a present from a small, distant world, a token of our sounds, our science, our images, our music, our thoughts and our feelings. We are attempting to survive our time so we may live into yours.

(訳注:訳文はWikipediaの「ボイジャーのゴールデンレコード」にあります)。

ボイジャー1号は2013年の時点で星間空間に到達している。Kickstarterのキャンペーンページには次のように記されている。「ボイジャー1号は4万年間後に、きりん座から1.6光年の場所に到達します。ボイジャー2号もその後を追っています」と記されている。その頃にはきっと「ジョニー・B.グッド」は純然たる名曲として受け入れられていることだろう。

キャンペーンプロダクトには、レコードに収録されたイメージ画像をプリントしたハードカバー本も同梱されている。

via Boing Boing

原文へ

(翻訳:Maeda, H

NASAの小惑星捕獲計画が、ロボット宇宙船の提案を募集

arm_nasa_asteroid_mission

もうすぐ近くの惑星で、小惑星採鉱が可能になる。具体的には、2021年に、この惑星で。しかしNASAのAsteroid Ridirect Mission[ARM:小惑星移動計画]がそこへ到達するまでにまだ多くの課題がある。今日(米国時間9/20)NASAは公式「提案依頼書」を発行し、実際に小惑星移動を実行するロボット宇宙船について、パートナー4社に提案を要求した。。

このミッションは、最近実行されたOSIRIS-RExとは少々異なる。こちらは、小惑星へ行き、その一部を地球に持ち帰ろうというものだ ― 十分に困難だが、小惑星に関する最新の課題ではない ― 日本のハヤブサが既に成し遂げている(ちなみにそれは驚くべき功績である)。

ARMのゴールは、通過しようとする小惑星を、選び、持ち上げ、人の手が届きやすく安定した月の軌道に方向転換させることだ。その後宇宙飛行士が月を訪れた際にはこの比較的安全な環境で、ゆっくりと隕石を探し地球に持ち帰ることができる。

Boeing、Orbital ATK、Lockeed Martin、およびSpace Systemsの4社はいずれも「概念設計フェーズ」に参加し、宇宙船の基本部分を固めたが、今回は各社が他社と差別化するチャンスだ。例えば、ARMが惑星表面を探査するためのセンサーの構成や、着陸船の構造等は、未だに決定していない。

4社が提案書をまとめるまでに約1ヵ月ある。10月24日が締切で、NASAのJet Propusion Laboratoryが来年中に決定する。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXの爆発事故が宇宙ビジネスに与える影響は


9月1日9時07分(東部標準時間)頃(日本時間1日22時07分)、SpaceX社が土曜日の打ち上げの準備のために行っていたルーチン着火テストの最中に壊滅的な爆発事故が発生した。

幸いなことに、負傷者は報告されなかったが、搭載貨物だったAmos-6衛星はFalcon 9と共に破壊された。約2億ドルの衛星Amos-6は、静止軌道へ打ち上げられ、Facebook主導のInternet.orgの一環として、アフリカの様々な場所にインターネット接続を提供する予定だった。

爆発の原因はまだ不明なものの、イーロン・マスクは、爆発が上段の酸素タンク付近で起きたことをTwitterで述べている。

Amos-6はFacebookの最初の衛星になる筈だった。現在アフリカに居るMark Zuckerbergは、Facebookのポストで爆発に対する失望を表明した。

マーク

ロケットの爆発が発生したときに、宇宙業界では3つの疑問が話題になる。最初は、爆発による損傷と原因の根本についてである。第二は、この爆発が原因となるであろうスケジュールの遅れと、影響を受ける他の顧客について。最後が、この爆発が打ち上げプロバイダの信頼性に与える影響についてである。

損害評価

今回、ロケットと搭載物の両者が破壊され、何百万ドルもの機器が灰燼に帰した。その上、ケープカナベラルのロケット発射台に対する重大な損傷があるだろう。幸いなことに、試験点火中の発射台には労働者がいなかったため、負傷者は報告されていない。

この損害は誰が負うのか?まあ、高価な搭載物を積んだロケットの場合、通常は宇宙保険会社がその大部分がカバーする。CNBCは「一握りの保険会社に、年間約7億5000万ドルほどの保険料が払われ、年間50件ほどの有保険打ち上げが行われています」と指摘している。

統計的に言えば、米国の打ち上げの9件に1件は失敗する可能性がある、よってもし1億ドルを超える搭載物を送り出そうとしているのなら、保険をかけることがおそらく賢明だ。SpaceX社に限って言えば、失敗率はより低くFalcon 9の29件の発射中ただ2件だけが失敗に終わっている(最初の失敗は2015年6月)。

しかしながら、今回のケースは非常に珍しいものである。なぜなら爆発がエンジンの点火前に起きているからだ。SpaceNewsのPeter B. de Seldingによれば、発射保険はエンジン点火後に初めて有効になるということだ。しかし、被害は海洋貨物保険として知られている別のタイプの保険によってカバーされる可能性がある。

しかし、これは発射台やSpaceXの車両、そして衛星をカバーするのだろうか?これがどのようになるかに関しては、私たちは成り行きを見守るしか無い。

スケジュールの遅れ

どのような企業にせよ、ロケットの失敗は遅延を招く。遅延の期間は原因の根本に依存している。もしそれがSpaceX社の技術的エラーの場合には、長期間の遅延が予想される。もしそれがSpaceX社側の人的エラーの場合には、遅延はおそらく短期間に留まるが、信頼性の高い打ち上げプロバイダとしての評判が傷つくおそれがあるだろう。

昨年の6月、国際宇宙ステーションに物資を運ぶFalcon 9ロケットが、発射後わずか数分で爆発した。このときはSpaceX社が最終的に打ち上げに戻るまでに半年かかっている。しかし、その復帰は派手だった:その復帰飛行は、初めてのロケット再着陸を行うものだったのだ。

今年、SpaceX社は2015年に比べて3倍の打ち上げを計画していた、これが意味することは、今回の爆発が後に控える自分たちの打ち上げにどのように影響するかを不安に思っている多くの顧客がいるということだ。

そうした顧客のひとつが米航空宇宙局(NASA)である。Falcon 9を使った国際宇宙ステーションへの貨物補給ミッションは、11月に予定されていた。SpaceX社は貨物契約以外にも、NASAの商業乗組員プログラムに、2社のうちの1社として選ばれている(もう1社はボーイング)。

SpaceX社は、もともと2017年の8月に、ISSへの同社による最初の有人打ち上げを提供することを計画していた。ボーイング社の商業乗組員のための機材の準備が遅れていたため、SpaceX社が宇宙飛行士を登場させて打ち上げる最初の民間企業なることが予想されていた。SpaceX社が遅延する可能がでてきたため、競争の行方は不透明なものになった。

Falcon Heavyロケットの初打ち上げと再着陸を行ったロケットの初再打上げ(両者とも本年後半に予定されている)といった、他のSpaceX社の大きなマイルストーンも、おそらく遅れることになるだろう。

信頼性への懸念

ロケット打ち上げの世界では、信頼性が至上命題である。あなたが仮に最も安いプロバイダーで、顧客が2億ドルの搭載貨物を託すのには不安を抱えていたとしても、それは変わらない。

SpaceX社は、最も安い打ち上げプロバイダの一つであるという特徴を押し出して事業を行って来た。例えばSpaceX社の直接の競争相手の1つであるUnited Launch Allianceと比べても、かなり安価である。ULAはその価格を公表してはいないものの、いくつかのケースで、顧客はULAの代わりにSpaceXを選択することで40%の節約を実現している。

しかしULAの高い値札は、搭載貨物が行くべきところに届く、という安心感をもたらしている。ULAは2006年以来、わずか2件の部分的な失敗を除き、ほぼ完璧な発射記録を保っているが、その一方SpaceX社は過去15ヶ月に2つの大きな失敗を経験している。

SpaceX社の信頼性についてどのような判断を下すにせよ、まずは今日の爆発について多くのことを学ばなければならない。しかし現時点での大きな疑問は;この失敗の真因は何であったのか、誰に落ち度があり、どれほど速やかにその原因を取り除けるのかである。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)