スペースXの最新Starship試作機が圧力テストに失敗

まったく新しい宇宙船を設計、テストし建造するプロセスは確かに困難で、いくつかの問題に直面するに違いないものだ。SpaceX(スペースX)が建造する、完全に再使用可能な巨大宇宙船であるStarshipも例外ではない。「SN3」と名付けられた最新のStarshipのプロトタイプは、試験飛行中に宇宙船が体験する圧力をシミュレートするための極低温実証試験の最中に、致命的な失敗を起こしてしまった。

SpaceXの最初のプロトタイプであるMk1も、燃料タンクの圧力試験中に破壊され、次のフルスケールのプロトタイプであるSN1も、2月下旬の圧力試験中に破壊された。もう1つのプロトタイプであるSN2は、極低温試験のために簡素化され極低温試験を通過したが、次のフルスケールのプロトタイプであるSN3は、テキサス州ボカチカにあるSpaceXの発射台での極低温試験中に再び失敗した。

NASAspaceflightのMary(@BocaChicaGal)によるYouTube動画では、極低温圧力テストの最中にSN3型の機体が崩れる瞬間を確認できるが、このプロトタイプを作り直して再利用することはおそらくないだろう。当初の計画では、SN4を高高度飛行用のプロトタイプにすることになっていたが、今回の試験結果を考えるとその可能性は低い。

スペースXの創設者かつCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、SN3の失敗は宇宙船自体の問題ではなく「テスト設定のミスだった可能性がある」とTwitterで語った。マスク氏は、午前中に一度だけデータレビューを受けると述べている。

これは確かに後退ではあるが、宇宙船開発では珍しいものではない。スペースXはこれまでの開発プログラムで成功を収めており、その中にはStarshipや最終的にはSuper Heavyブースターの推進力に使用されるRaptorエンジンの基本性能を証明した「Starhopper」のサブスケールプロトタイプのテストも含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

BMW、ゲームエンジンのUnreal Engineを使って車両デザインを複合現実化

BMWはリアルとバーチャルの良いところを組み合わせて、新車の設計をできるだけ早く、スムーズにしようとしている。同社はゲームエンジンのUnreal Engineのレンダリング機能を利用してバーチャルサーフェスを生成し、プロトタイプ部品を3Dプリントすることで、デザイナーやエンジニアが実際に制作することなく様々な部品や表面が最終製品でどう見えるかを確認できるようにする。

内装の外見、窓の大きさなどを車種ごとにVRを使ってモデル化し、3Dプリントされたプロトタイプに重ねて表示することができる。これによって従来非常に高価だったVR設備の導入や、全部品のプロトタイプを作って外見を確認する必要がなくなる。BMWはこの方法によってエルゴノミクスデザインを劇的に改善できると言っている。高額な費用のかかる物理的モデルを作る前に、室内の各要素がが人の移動や視界の邪魔にならないことを専門家の目で確かめることができる。

プロトタイプ制作前に問題を特定することによるコストと時間の節約に加えて、新方式によって設計者は、世界中のオフィスにいるほかのスタッフと協同作業ができるようになったとBMWは言う。変更の影響を見るために同じモデルを何度も作る必要がなくなるので無駄も省ける。

企業の現場における協業は、VR推進者が強調している可能性のひとつだ。こうしたVRやミックストリアリティ(複合現実)を万能な手法と呼ぶのはまだ早いが、BMWのようなトップメーカーが価値を認めたことは、よい兆候であることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電動トラックのCharge、カーレースに挑戦

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英国オックスフォード拠点の電気自動車メーカー、Chargeは、最も伝統的なやり方でプロトタイプをテストしている。カーレースだ。

自動車時代の夜明け以来、発明家や製造メーカーは自分たちの作った車の能力を試すためにコースへ繰り出した。ただしこのトラックはレースで走るのではない。電気自動車のレースシリーズFormula Eの、公式サポート車両として参加する。Formula Eは、Chargeにとってとりわけ都合が良い。このシリーズでは専用コースではなく公道を使用する。Chargeが市場に出た時に走るのと全く同じ環境だ。

Chargeは小型の配達用車両と、大型のフルサイズトラックを製造して様々なニーズに答えようとしている。車の説明にはプラグインハイブリッドと思われる記載がある。このトラックは最初の100マイルを完全排出ゼロで走るが、エンジンでバッテリーを再充電する「デュアルモード」で最長500マイルまで距離を延ばせる。

トラックはモジュラー設計で作られているので、1台を組み立てるのに1人で4時間しかからないとChargeは言っている。同社の計算によれば、10人が1日2シフトで働けば年間1万台のトラックを作れる。これはChargeにとって、製造・運用のスケーリングが容易であることを意味する。英国のハブで生産して世界に配送するのではなく、販売場所に近い現地の小さな設備で組み立てられるからだ。同じアイデアは、Local MotorsOXも探っている。

Chargeのレースへの関りは、レースコース周辺に物を運ぶことだけでは終らない。同社は来シーズンから本格的に始まる自立サポートレース、Roboraceにも関与する。ChargeはRobocarの電源回路やモーターの開発全般に協力している。

Chargeの最初の工場は2017年に本社近くに竣工の予定で、電動(あるいはハイブリッド)トラックを「一般的トラックと同等の」価格で作ることを目標に置いている。

下のビデオで、ChargeのDHL配達トラックがFormula Eのレーシングカーを載せているところが見られる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

モバイル用のプロトタイプを、ネイティブアプリケーション上で動作させるProto.io

ここ数年で大きく成長しつつある、モバイルアプリケーションのプロトタイピング作成サポートツールのProto.ioが、注目すべき新たな機能をリリースした。簡単にモバイルアプリケーションを作成するだけでなく、そのプロトタイプの動作を確認するためのネイティブアプリケーションが登場したのだ。iOS版およびAndroid版があり、双方の環境で、プロトタイプを実際のアプリケーションのように動かしてみることができる。

このアプリケーションを使うことで、フルに動作するアプリケーション風のものをスマートフォン上で動作させながら、プロトタイプに変更を加えていくことができるようになるわけだ。一般的にプロトタイプツールといえば、ブラウザ上で動作を確認するようなものが多いが、そこから比べると大きく進化したものということができよう。

CEOのAlexis Piperides曰く、「フルスクリーンでの動作環境を提供したかったのです」とのこと。以前はProto.ioでもプロトタイプはモバイル版のSafariやChromeなどのブラウザ上で動作させていた。しかしブラウザにはタイトルバーやアドレスバーなど独自のUIが備わっているし、必ずしもプロトタイプ表示に最適であるというわけでもなかったのだ。

また、アプリケーションを媒介することにより、作成したプロトタイプをiPhone、iPad、そしてAndroidデバイスで動かしてみることができるようになった。作成した環境と異なる環境の人に見てもらう場合にも、簡単にアプリケーション経由で見てもらうことができるようになったのだ。

もともとはキプロス発のプロジェクトで、クライアントサイドの開発をいろいろと行っていた。プロトタイピングツールはもともと自分たちで使うためのツールとして開発したものだった。きちんとしたデザインを行って開発をすると費用もかかるので、その前にアプリケーションの「テスト版」を見せて評価を促したいと考えてのものだったわけだ。しかし作ってみると、一般の人も多いに興味を持つツールができあがっていた。そこで2年半ほど前に、このプロダクトのスピンアウトを行ったわけだ。

昨年になって、Piperidesは拠点をアメリカに移し、アメリカの企業としてProto.ioを立ち上げた。今やこのフリーミアムサービスは7万の利用者を抱え、少ないながら1500の有料会員を抱えることとなっている。有料プランは月額24ドルから用意されていて、企業向けにはより高価なプランも用意されている。

また、サービスはいくつかのビッグネームによっても利用されている。たとえばPayPal、eBay、Disney、Sportify、あるいはEvernoteなどもユーザーに含まれる。他にも大小問わずさまざまな企業に利用されているし、もちろんフリーランサーによる利用も多い。

アプリケーションプロトタイプを提供するサービスには、Invision、Flintoなど最近注目を集めているところもある。またAxureやJustinmindなどのように便利なプロトタイプオーサリングツールを提供しているところもある。Proto.ioは、これまでもプロトタイプ作成時の機能や使い勝手のよさで他サービスと競ってきていた。機能比較についてはきっとこちらのサイトも参考になるだろう。

実際に動作するプロトタイプを簡単に作成できれば、たとえばメニューの反応の様子を示すためのPhotoshop画像なども必要なくなる。実装しようとするメニューを配置して、それぞれのメニューからのリンクを設定することで、より簡単に具体的なイメージを掴んでもらうことができるようになる。またもし必要なのであれば、カスタムアニメーションなどを利用することもできるようになっている。

「私たちは非常に強力なアニメーションエンジンを持っています。さまざまなアニメーションを使ってもらえますし、またタイムライン上にて、アニメーションの継続時間などを指定することもできるようになっています」とPiperidesは言っている。

さらに、もともとはスマートフォン用のデザインツールとして開発したのではあったが、smart TVやゲーム機、冷蔵庫、目覚まし時計、車(AppleのCarplayもここに含まれる)などに向けた開発にProto.ioを利用しようとする人も増えてきた。さまざまな環境に対するニーズが高まる中、Proto.ioとしてはAndroid Wearスマートウォッチには対応できるようになっている。

シード資金こそ少額であったものの、シリーズAではサンフランシスコでチーム展開を可能とする人材を得るのに充分な金額を得ようとしている。

Proto.ioのアプリケーションはiTunesのこちらないしGoogle Playで入手できる。

訳注:上のスマートフォン画面はスクロールして見ることができます。

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(翻訳:Maeda, H


デザイン画などからモバイルアプリケーションのプロトタイプを作成するAppGyver。カメラ制御なども実現可能

prototyper_logo世の中には多くのDIYアプリケーションビルダーが存在する。そうしたツールを使えばコーディングのノウハウがあまりなくてもアプリケーションを作ることができる。またコンポーネントをドラッグ&ドロップするだけでモバイル版のウェブサイトや簡単なアプリケーションを作成することができるものもある。今回紹介するAppGyver(大ヒットテレビシリーズのMacGyverと似せている)は、少々異なるアプローチをとるものだ。アプリケーションの開発ツールではなく、アプリケーションの「プロトタイプ」を作るするためのものなのだ。アプリケーション開発にあたって、デザイン設計段階などで便利に活用できるものだ。

AppGyverがスタートしたのは、もうしばらく前のことになる。アントレプレナーのMarko Lehtimaki(CEO)およびHenri Vahakainu(共同ファウンダー)が立ち上げたサービスだ。しかしサービスがプライベートベータとなったのは昨年12月のこと。それまでは、他のビジネスで行なっていたアプリケーション開発のプレゼンテーション用内部ツールとして利用されていたのだった。

「ビジネスのアイデアを説明する際、まずは相手側に“いったい何の話をしているのか”を理解してもらうのに時間がかかったものでした」とLehtimakiは言う。「提供しようとするアプリケーションの使用感などを伝えるツールが必要であると思ったのです」とのこと。

AppGyverは、DIYアプリケーション作成ツールと競合する部分もあるだろう。またプロトタイプ作成サービスとしてはjustinmindなども存在する。しかしLehtimakiによるとAppGyverの方が使い方も簡単ですぐに利用できる点で便利だとのこと。

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「デザイナーやプロダクトマネージャーの方に便利にお使い頂けると思います」とLehtimakiは説明する。「構成案やモックアップ、フォトショップで作った画像などがあれば、それらをもとにAppGyverを使ってすぐにインタラクティブなプロトタイプを作成することができます。数分で完了することもあります」とのこと。AppGyverではハードウェア的に準備されたUIやカメラなどにアクセスできるのも、競合と比較した際の強みとなっている。

プライベートベータでのテストは8週間にわたって行われたが、規模もさまざまの企業から2000名がテストに参加してきたのだそうだ。すぐにもプロトタイプ作成が必要になりそうなスタートアップからの参加もあった。

「スタートアップ企業にとっては、間違いなく便利なサービスだと思います。さまざまな機能調整やバージョンアップを短時間で行なっていくのに、プロトタイプの作成は欠かせないからです」とLehtimakiは自信を見せる。「投資家やメディアに対して、実際に動作するデモンストレーション用プロトタイプを簡単に作成することができるのです」。

テストに参加したうちの5%が有料正規版の利用を開始しているのだそうだ。ちなみに現在もまだ無料版も公開されている。有料版については、月間9ドルでBASIC版が利用できる。チェーンリアクションに対応したり、プロジェクトをZIPファイルでダウンロードできるなどのオプションを加えたPRO版は月間39ドルとなっている。

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現在はサンフランシスコに拠点をおき、7名でのサービス展開を行なっている。エンジェル投資家、友人、家族、およびファウンダー自身が60万ドルを出資して運営中で、シードラウンドの実施を計画中だ。事業内容もプロトタイプのみではなく、さらに拡大して行きたい考えなのだそうだ。

「プロトタイピングは、アプリケーション開発プロセスの最初に位置するものです。そこからアプリケーション完成までにさまざまな段階を踏むことになります」とLehtimakiは説明する。「私たちはアプリケーション開発のさまざまな面におけるサービスを展開していきたいと考えています」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H)