ショートムービーのQuibiがAirPlayをサポート、iPhoneなどでのコンテンツシェアが容易に

4月にサービスを開始したとき、Quibiはすぐに視聴できるようなショートビデオを提供するという明確な使命感を持っていた。サービスの狭い焦点は多くの潜在的な加入者を誤った方向に動かし、多くの人がシリーズ動画を見るためのより伝統的な方法を要求した。

最終的にQuibiの立ち上げは残念なものとなり、創業者のJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏はサービスの不調なスタートを新型コロナウイルスのせいにした。他のストリーミングサービスがロックダウンの中でどのように成功してきたかを考えると、それは奇妙な主張だ。インタビュー(ニューヨークタイムズ紙記事)の中で同氏は、テレビへのストリーミングのサポートの追加についても言及した。

新型コロナウイルスのパンデミックとQuibiの期待はずれのパフォーマンスが、この機能のローンチを加速させたのかもしれない。QuibiはApple(アップル)のAirPlayのサポートを追加するという約束を果たした。つまり、iOSユーザーはQuibiのイライラするほど短いコンテンツを、AirPlay対応システムに直接ストリーミングできる。

チーフプロダクトオフィサーのTom Conrad(トム・コンラッド)氏は、Twitterにて今回の機能追加に言及した。「我々はQuibiを外出先で利用するように設計したが、最近ではより屋内で使われるようになっている。そこで、Quibiのバージョン1.3にてiOS向けにAirPlayのサポートが追加された。さらに来月には、Chromecastへのストリーミングの対応が予定されている。

興味深いのは、HBOが待望のMaxサービスを開始する日にこのニュースが入ったことだ。しかし、期待外れと思われていたローンチ後もQuibiが確かに進化を続けているのは良いことだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

TikTokと逆行するショートムービーサービスQuibiを失敗へと導く4つの理由

2020年の現在、完全に非社交的なビデオアプリを構築しようと試みるには、大胆な自信、または無謀とも言える傲慢さが必要だ。17億5000万ドル(約1900億円)ものハリウッド資金をかけた、モバイル専用の6〜10分間の短いテレビ番組配信サービスを提供するQuibi(クイビィ)の目論みがどちらの部類に入るのかは不明だ。Quibiはアプリを人気にするためのトレンドや戦略を全て見事に無視している。同社は(平均レベルである)コンテンツ力と(必要額に足りていない)マーケティング費用だけで成功を収めることができると信じているようだ。

Quibiが大多数のスタートアップとは極端に違うことをしている事実は認める。製品と市場の適合性を考慮して似たようなものばかりを生み出す代わりに、大金をかけて洗練されたアプリを開発し、豪華なコンテンツをひそかに購入して堂々たる市場参入を目指したわけだ。

しかし、インターネットがすべてのエンターテイメントメディアに浸透する以前の、テレビが黄金時代だったころのコンセプトを引きずってしまったために、Quibiの大胆なビジネス戦略はその効力を失ってしまった。同社の製品は共有できない上に自由度が限定的で、軽快さに欠け、扱いにくく、不親切なのである。ソーシャルネットワークの要素を微塵も取り入れないQuibiのアプリは、まるでリアリティショーを宇宙から眺めているように冷たく孤独なものになっている。

Coming to Quibi

そう言った意味で、QuibiはダイナミックなTikTokの真逆と言える。TikTokは大勢に人気のコンテンツでユーザーを引きつけ、さらにそれを友人にシェアさせるという仕組みになっている。それが功を奏しTikTokはこれまでに約20億件のダウンロードを達成している。一方Quibiは、記念すべき市場参入の当日、わずか30万件しか達成できなかったのである。

Quibiが犯した過ちの概要と、TikTokの成功要因、この新ストリーミングアプリの今後の行方を下記に紹介する。

ハリウッドとユーザーのずれ

Quibiは出来損ないのケーブルテレビ番組のような感じなのだ。わけのわからないリアリティショーや脚本ドラマ、ニュースの要約などが混在している。2000年代半ばの昼時のMTVを想像してほしい。必見の番組など存在せず、「ゲーム・オブ・スローンズ」や「マンダロリアン」がやっているわけでもない。作り込み感はYouTube上のものよりは優れているものの、番組のコンセプトは実にずさんであり、目新しさはすぐに薄れてしまうだろう。

少額訴訟の裁判官になりきるクリッシー・テイゲン。メイクオーバー番組で必ずある「すごい! 信じられない!」といったセリフの飛び出す喜びの瞬間をさらに各エピソードに付き4倍ほど大袈裟に仕上げたお涙ちょうだいものの「Thanks A Million」。極め付けは、目隠しをしたシェフの前で食べ物を爆破させ、シェフがその食べ物が何だったのかを推測すると言う料理番組だ……。

放送作家が思いつきで考えたような作品ばかりなのだ。同社の番組は、VRゲームのデモ動画程度のものや、見込みユーザーのニーズを考慮することなく趣味で作ったアプリを彷彿とさせる。共同創業者のジェフリー・カッツェンバーグ氏は「ライオン・キング」や「シュレック」を手掛けた経験を持つが、同アプリのコンテンツは、ヒューレット・パッカード・エンタープライズの元CEOでQuibiの現CEOであるメグ・ホイットマンがゴーサインを出したんだなと感じさせるようなものばかりなのである。

メグ・ホイットマン

QuibiのCEOメグ・ホイットマン

タッチスクリーンのインターフェース用に構築されているにもかかわらず、今のところ型破りでインタラクティブなコンテンツはほとんどなく、6〜10分の枠内でクリエイター達が何か特別なものを生み出しているようにも見えない。各番組はやたらと詰め込まれたテレビ番組のような感じで、かつコマーシャル休憩で途切れたかのような終わり方をする。アプリを最初に使い始める段階で、好きな番組やジャンルをたずねるプロセスも搭載していない。作品数が増えるにつれて、見たい番組をすぐにを見つけることが困難になるだろう。

TikTokは真逆のアプローチを取り入れている。ハリウッドが一方的に考えるユーザーの好みを配信するのではなく、TikTokのコンテンツはユーザーから直接広がっていくのだ。ユーザー自身が面白いと感じ、友人も同じく興味を示してくれるだろうと思うものを録画する。その結果、制作費ゼロか低予算で、一般のティーネイジャーもインフルエンサーも何百万ものいいねを獲得できるような動画を作成するのである。その上ミレニアル世代やX世代以上の人々も夢中になり、彼らも同様に仲間同士で動画を作りあっている。ユーザーが閲覧しているものをアルゴリズムが常にモニターしているため、ユーザーの好みを即座に把握しておすすめの動画を推奨できる仕組みだ。

TikTokはインタラクティブなのだ。各クリップのオーディオを借りて、さまざまな層やサブカルチャー向けにミームをパーソナライズし、リミックスを作成できる。また、同アプリのスター達はデジタルネイティブであるため、ファン層と常にコミュニケーションを取り、好みに合わせてコンテンツを調整する能力を持ち合わせている。ここでは誰もがお気に入りを見つけることができ、どんなニッチなものでも存在価値があるのだ。

TikTok

TikTokのスクリーンショット

ソリューション:QuibiはDisney ChannelのYouTube世代向けネットワーク、Brat TVを参考にすべきである。若いソーシャルメディアスター達が、独自のプレミアム番組の中で小学校での生活を演じるというもので、既存のファン層のために制作されたコンテンツだ。

【情報開示】Bratの共同創設者であるダレン・ラックスマンは筆者の従兄弟である。

クリッシー・テイゲンの裁判番組にしても、20歳程若いスターを活用して、例えばTikTokの天才的スターチャーリー・ダメリオやチェイス・ハドソンにQuibiのコンテンツのコンセプト化を任せれば、彼らが大勢のファンを連れてきてくれることだろう。スマートフォンの対話性を活用したファン投票のゲーム番組や「Choose Your Own Adventure」(きみならどうする?)のコンセプトを強化したようなものにするべきだ。昼時間帯のテレビ番組のような作品を作らないクリエイターを見つけてQuibiを差別化するとともに、ユーザーがアプリをダウンロードする際に何を見たいかを尋ねたらいいのだ。

スクリーンショットが獲れない

これは率直に言ってふざけている。Quibiのスクリーンショットを撮ると真っ黒の画面として写し出されるのだ。これではミームが作れない。Quibi作品のシーンをジョークのネタにできなければ、どこにもシェアされずNetflixのタイガーキングのようにその時代の文化を反映する象徴的存在になることもできない。NetflixやDisney+などのモバイルストリーミングアプリもスクリーンショットをブロックしているのだが、ウェブ版を使用すればスナップしてシェアすることが可能だ。プロデューサーからコンテンツのライセンスを取得するという協定を構築し、コンテンツが出回ることを阻止したのはQuibiの犯した大きな過失である。

Quibi vs TikTok

一方TikTokでは、アプリの透かしは付くもののデフォルトで動画をダウンロードして好きな場所で共有できるようになっている。これこそがTikTokの傑出した成長の起爆剤だ。TwitterやInstagramで共有され、閲覧者は同アプリへと誘導されるのである。その結果、TikTok動画を集めたものがYouTubeに誕生し、流行のジョークやダンスの人気を拡大し長引かせるリミックス文化が生まれているのだ。

解決策は、Quibiがスクリーンショットを許容すること。ネタバレや著作権侵害のリスクはほとんどない。協定で禁止されているのであれば、ダウンロードして共有できる事前承認済みの各エピソードのスクリーンショットやビデオクリップや予告編を提供するべきだ。アプリ内のプレスキットのようなものと考えたら良い。ミームを作成するための完璧なスクリーンショットをとる事が許可されなくても、こうすれば少なくとも他のソーシャルネットワークで番組のネタを話題にすることができる。

のろのろしたペース

モバイル上で人々は、より面白いものを求めて、常にスワイプをし続ける。指先をチャンネルの変換ボタンに置いたままテレビを見ているようなものだ。最近の映画の予告編が、最も重要なシーンが早送りされたようなコラージュ映像から始まるパターンが多いという事実に気付いたことはあるだろうか。ところがQuibiは、「猟奇島」や「サヴァイヴ」のようなゆったりとした構成のドラマで宣伝するのが好みのようで筆者は退屈して早送りする羽目になった。自宅のソファでさえその状況だ。忙しい外出先で空いた1〜2分を埋めるのにスローペースのコンテンツは必要なく、ユーザーは代わりにInstagramやTikTokを開くことになるだろう。

ホーム画面をスクロール中に番組を通過した際、トレーラーや最初のエピソードが自動再生されることもない。Quibiでは番組の抜粋を再生する前に、静止したインタータイトルが2秒間表示されるのだ。これでは新しい番組を探すのが余計に煩わしくなる。

TikTokは即時性に優れている。クリエイターたちは、動画がつまらなければユーザーが一瞬にして次へとスワイプしてしまうことを心得ている。笑顔や衣装、大胆なキャプションやクレイジーな状況を用いて、最初の1秒でユーザーの心をつかむのだ。これによりユーザーの側でも自分の興味のないものをすぐに判断して簡単に却下できる上、TikTokのアルゴリズムにはユーザーの好みに関するデータが蓄積される。たった30秒のコンテンツでも、この上ない喜びを得る事ができる。TikTokと比べるとQuibiのうたう「Quick Bites」は人手の足りないレストランのように感じるのである。

ソリューション:番組のプレビューでユーザーを引きつけられるよう、クリエイターを教育すべきである。Quibiのホームページで番組カードをタップするとすぐに番組そのものが再生される仕組みのため、ティーザーを最初のエピソードに組み込む必要がある。または、埋め込みの専用のショーページや、多くの人がホーム画面で操作するプレビューカードなど、トレーラーを表示するためのボタンが必要だ。そうしなければ、いつまでたってもユーザーはどのQuibiの番組が自分の好みかを知る事ができない上、今後何を表示して欲しいかを伝える事ができない。

アンチソーシャルなビデオ

Quibiはセカンドスクリーンの可能性を全て無視している。スクリーンショットを禁止しているため話題性を呼ぶことが難しく、その上アプリ内で話し合ったり広めたりできるような組み込みのコメントやメッセージ機能も存在しない。Twitterにエピソードのリンクを貼っても、プレビューボックスに番組名が表示されることもない。また、番組独自のソーシャルアカウントもないため、ユーザーに視聴を促すような機会もない。

自分が見ているものを友達にフォローしてもらったり、自分のおすすめを表示したりするような機能はどこにもない。人気番組のランキングも、タイムスタンプ付きのライブストリーム式のアノテーションも存在しない。スマートフォンの周りに群がらない限り友人と一緒に視聴することができないTVアプリの欠点を補うための、共同視聴の同期機能さえもない。

Quibiは宣伝広告だけで充分だと思っているようだ。何らかのコンテストで勝者がカメオ出演的なメッセージを受け取ったり、お気に入りのスターとチャットできたりするようなことも可能だろう。Snapchatの「Cameos」機能のようなディープフェイクスタイルで、ユーザーの顔を俳優の頭に入れ替えてシーンを共有するようなことも可能なはずだ。ユーザーが出演者に質問を投げかけられる、アプリ内の円卓会議のようなものも主催できたはずだろう。まるで「Web 2.0」が起きなかったかのようだ。

一方でTikTokは考えられる限り全てのソーシャル機能を駆使している。すべての動画をフォロー、いいね、コメント、メッセージ、ライブ、デュエット、リミックス、ダウンロード、共有できる。人気の課題に参加するようユーザーを促し、またユーザーがTikTokに戻ろうと思っていない場合でも、前述のソーシャル機能からの通知が届いたり、透かし入りのクリップが他のネットワークに現れたりする。同アプリのすべては、コンテンツが大衆文化の中心に置かれるよう設計されているのだ。

TikTok Duets and Challenges

解決策としては、Quibiは我々がモバイルで視聴しているからといって動画が単独の体験であるわけではないことを理解する必要がある。最初に、ソーシャルコンテンツの検出オプションを追加してどの友達が視聴しているのかをわかるようにしたり、人気番組のランキングを表示したりするべきだ。新エピソードがどんどん配信されるような番組は特に、その番組について誰かと話せる方が楽しいに決まっている。

最終的には、アプリ内のセカンドスクリーン機能を搭載するべきだ。コメントをシェアできる場を作り、各エピソードの最後のクレジットが流れている間に人々がそのコメントを読めるようにして、皆がユーザー同士のコミュニティーにいるような感覚をもたらすのだ。

Quibiの今後の可能性

Quibiが残念である最も大きな理由は、従来通りの方法で制作されたプレミアムコンテンツとスマートフォンにおける我々の新たな使用方法を上手く融合させることにより、同アプリが斬新なものになり得る可能性が大いにあるという点だ。しかし今のところ、全ての番組が2つの幅で撮影されているためいつでも横長モードと縦長モードに切り替えることができるという点以外は、ケーブルTVのチャンネルが雑然と詰め込まれ縮小されたものにすぎない。

INDIA MEDIA TIKTOK

2020年2月14日、ハイデラバードの自宅のテラスでTikTok動画を作成するため携帯電話のカメラの前で演じる若者たち(撮影:NOAH SEELAM / Getty Images、AFP)

Quibiの数少ない長所を伸ばすとすれば、Ryan Vinnicombe(ライアン・ビニコム、別名InternetRyan)が言うとおり、毎日リリースされる新エピソードによるコンテンツの連載化を用いて待ち遠しさを高めるという点だ。従来のストリーミングサービスを介したビンジウォッチでは、緊張感やファンの推測が構築される前に見終えてしまうし、後から見始めたとしても番組がまだ人気のうちに追いついてしまう。次のエピソードを1週間ではなく1日しか待たなくていいという特徴は、Quibiにとって目玉機能になる可能性があるだろう。

TikTokの課題は、連載によって待ち遠しさを生み出すことができていない点だ。1つのビデオの中でギャグや辻褄の合わない発言が展開され、視聴者はそれを理解できることを期待して待つ。しかしクリエイターは数分間の動画を作成し、それをいくつかのパーツに分割することでフォロワーを巻き込み、フォロワーは次の展開を視聴するためにサブスクライブすることになる。ところがTikTokは常にタイムスタンプを表示したり、以前の動画をホーム画面に表示したりするわけではないため、パート2を見つけるのは非常に面倒な場合が多い。またクリエイターがそれをリンクする良い方法もない。TikTokは、Quibiのマルチエピソードコンテンツから学ぶ点があるだろう。

Quibi App Chart

しかし現在のQuibiは、すでにウェブ上に存在する無料のものや、Netflixにて有料で提供されているサービスをミニチュア化して機能を低下させたバージョンとしか感じられない。広告付きは月額4.99ドル(約540円)、広告なしは7.99ドル(約860円)のQuibi。必見の番組や、斬新でインタラクティブな体験、思い出を作るようなソーシャル体験を提供せずにこの価格をチャージするのは法外と言えるだろう。

Quibi が成功したと言えるのは、どれだけ人々が90日間の無料トライアルをキャンセルし忘れるかを検証した点かもしれない(実際にキャンセルをし忘れる人は非常に多い)。うっかりしたサブスクライバーと熱狂的なセレブファンがもたらした初日の30万回というダウンロード数が、Quibiが今後より多くの現金を調達するのに十分な牽引力をもたらし、生き残りのために製品を社会に適合させ、フォーマットを活用するようクリエイターを教育するのに十分な期間を与えた、と楽観的にとらえる事もできる。

しかし、App Storeでのランキングは急速に下落しており、Sensor Towerによると開始当日の月曜日の総合4位から昨日には21位へ落ち込み、合計ダウンロード数はわずか83万件とのことだ。魅力的なコンテンツがなくバイラル性がなければ、今後話題になる可能性は低い。人気番組のプロデューサーらはひっそりと立ち去るか適当な仕事をし、その結果人々はよそでショートビデオを楽しむと言うことになりそうだ。

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(翻訳: Dragonfly)

モバイルストリーミングQuibiのサービス開始日のダウンロードは30万回だが

Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏によって設立された奇妙な名称のモバイルストリーミングサービスQuibi(クイビィ)は、調査会社Sensor Towerのデータによると、サービス開始日に30万回ダウンロードされた。この数字は、2019年11月12日に米国とカナダで始まったDisney+の初日ダウンロード約400万回の7.5%に過ぎない。しかしQuibiアプリをApp Storeチャートのトップ近くに持ってくるには十分なものだった。4月7日現在、QuibiはAppleのApp Storeで第3位だが、Google Playでは29位にすぎない。

iOSでのチャート上位に入りこんだのは、Quibiがリリース時にApp Storeのあちこちでかなり取り上げられたことが貢献しているかもしれない。このプロモーションにはApp Store上の「アプリ」ページ一番上にあるスクロールできる大きなバナーや、「Apps We Love Right Now」コレクション下での表示などが含まれる。こうしたプロモは、好奇心に溢れたApp Storeビジターによるダウンロードを促したはずだ。

AppleがQuibiのプロモに関心を示したのには、サブスクリプションベースのプロダクトであることが関係している。サブスクはApp Storeの収入源だ。Quibiのストリーミングサービスは90日間無料で、T-Mobileの無制限ワイヤレスサービスの顧客には1年間無料で提供されるが、その後は広告付きサービスを月4.99ドル(約540円で)、もしくは広告なしサービスを月7.99ドル(約870円)で購入しなければならない。

Sensor Towerは、Quibiのデビューが「Game of Thrones」シーズン5封切り5日前の2015年4月7日にスタートしたHBO NOWのサービス開始をかなり上回るものだった、とも指摘した。しかしそれはおそらく適切な比較ではないだろう。それはHBO NOWのサービス開始が数年前だからだけでなく、HBO NOWが当時いくつかあるHBOコンテンツ視聴法の1つにすぎなかったからだ。当時のHBO視聴者の多くはすでにテレビ購読を通じてHBOにアクセスできていた。そして視聴者がモバイルで観たかったら、HBO GOアプリを使ってそうすることができた。

一方のQuibiはモバイルでのみの利用だ。つまり30万回という数字はサービス開始時の顧客ベース総数を表していて、いくつかある選択肢の一部というわけではない。

4月7日のデビューの前に、Quibiは初日のダウンロード数を押し上げるためにApp Storeでプレオーダーを提供した。この取り組みがどれくらい功を奏したのか定かではないが、Sensor Towerは初日ダウンロードの「かなりの数」が前もってのものだったとしている。

アプリでは、Sophie Turner(ソフィー・ターナー)やLiam Hemsworth(リアム・ヘムズワース)、Chance the Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)、Jennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)、Chrissy Teigen(クリスシー・テイゲン)らビッグネームスターが番組に登場している。カッツェンバーグ氏のコネ、そして17億5000万ドル(約1900億円)という巨額の資金のおかげで、QuibiはSteven Spielberg(スティーヴン・スピルバーグ)、Guillermo del Toro(ギレルモ・デル・トロ)、 Lena Waithe(リナ・ウェイス)、Catherine Hardwicke(キャサリン・ハードウィック)といった映画監督によるコンテンツの提供を約束している。

しかし、息抜きの時間は数分しかないような絶えず動き回る忙しい生活向けにデザインされたモバイルストリーミングサービスに対する消費者の需要は、現在のような自宅でテレビ見放題の隔離生活では無縁のものだ。そしてQuibiには現在、AirPlayやChromecastというオプションはなく、自宅での視聴という点では弱い。

公正に判断するには、ダウンロード30万回を分析するのはまだ早い。90日間のトライアルが終わるまでは、どのくらいの人がお金を払ってQuibiを利用するのか未知数だ。またサービス開始時のダウンロード数は大成功を示すものではなく、現在チャートの上位に入っていてもそれがすべてではない。

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(翻訳:Mizoguchi

ショートビデオサービスのQuibiでサービス開始日に障害が発生

Quibiのローンチは、完全にスムーズというわけにはいかなかったようだ。

問題は解決したようだが、Quibiのカスタマーサポートアカウントは米国時間4月6日の午後に「一部のユーザーにてアプリに問題が発生している可能性がある」とツイートし、1時間後には「ユーザーは再び通常どおりにアプリを使えるようになったはずだ。ご迷惑をおかけした」と付け加えた

障害がどの程度広範囲に及んだのかは不明だが、The Vergeによると、ある編集スタッフはエラーによりアプリが閲覧できず、また別のスタッフはアカウントを作成できなかったという。なお、TechCrunchのスタッフが東部時間午後4時過ぎに試したところ、アプリは正常に動作しているようだ。

少なくとも、17億5000万ドル(約1900億円)を調達したスタートアップであっても、ストリーミング動画を確実に配信するのは難しいようだ。11月にDisney+がローンチされた時でさえ、Disney(ディズニー)はストリーミングに関する広範囲の問題を経験した(最終的にはすべて解決したが)。

Quibiを知らない人のために、確認しておこう。これはハリウッドのエクゼクティブことJeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏によって設立され、CEOのMeg Whitman(メグ・ホイットマン)氏(以前はヒューレット・パッカード・エンタープライズとeBayのCEOを務めた)によって率いられているショートビデオサービスだ。

アプリは本日から50本近くの番組をローンチしているが、それらはすべてモバイル専用に制作されており、各エピソードの長さは10分以下だ。90日間の無料トライアル後は、広告付きで4.99ドル(約540円)、広告なしで月額7.99ドル(約870円)で利用できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

無料の短時間番組ストリーミング「Ficto」がサービス開始、Nianticの番組も配信

短い動画のストリーミングサービスを試せる機会がやってきた。すでに話題になっているQuibiとは別のサービスだ。

Fictoはロサンゼルスを拠点とする無料のストリーミングサービスでインタラクティブなドラマ、映画化作品、コメディ、ドキュメンタリー、トークショー、ゲーム番組、ニュースなどを配信する。iOS版Android版のアプリを公開して、サービスを開始した。

Fictoによれば、同社のエンターテインメントはライブストリーミング、ユーザーの位置情報、ライブチャット、投票、選択肢のある物語、360度の映像、AR、タップして進んでいくeコマースとインタラクティブに楽しめるように設計されているという。

Fictoのサービス開始時の番組数は30で、スターが登場する強力ラインアップのQuibiよりかなり貧弱だ。1エピソードあたりの平均時間は5分で、これもQuibiよりやや短い。シリーズは3〜10エピソードで構成され、現在さらに20作品を制作中だ。

Fictoでは、ARゲームのIngressにまつわるシリーズがすでに公開されている。Ingressといえば、ポケモンGOの大ヒットでおなじみのNianticのゲームだ。

「Ingress: The Series」の監督、Spencer McCall(スペンサー・マッコール)氏は「Nianticは物語をとても重視している。我々は現実のモバイルゲームが描く物語をさらに広げるインタラクティブな方法を常に求めている」と語った。

Fictoには他に、(2021年の)東京オリンピックから新種目として採用されたサーフィンの女性選手を追うドキュメンタリーの「Represent」、製作総指揮のPaul Feig(ポール・フェイグ)氏がロサンゼルスに住む2人のイスラム教徒女性を描いた「East of La Brea」、誰がデートできるかを視聴者が決める「Date & Switch」、3人のアフリカ系米国人のティーンが郊外の裕福な白人コミュニティで成長するコメディの「Brothers from the Suburbs」、ロサンゼルスで治安の悪いエリアと言われるSkid Rowの人々を取り上げた「Nothingman」などの番組がある。

コンテンツ製作者に対するFictoの重要な利点は、スマートコントラクトシステムだ。コンテンツの再生回数に基づいて番組のプロデューサーやタレントに自動で報酬が支払われる。Fictoの共同創業者でCEOのMike Esola(マイク・エソラ)氏によれば、他のほとんどのストリーミングで交わされている前払いの報酬の契約よりも公平で長期的な収益を得られるように、Fictoでは契約や収益分配を事前に決め、新しい才能を引き込もうとしているという。

同社はFicto Studioも開設し、マーケッターや広告代理店がFictoのインタラクティブ性を生かしたプロモーションを仕掛けられるよう連携する。プロモーションはスポンサーシップやAR、ユーザーの位置情報、クリック購入、プロダクトとの統合、イベントの実施、クリエイターとのコラボなど、さまざまなものが考えられる。

画像:Ficto

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(翻訳:Kaori Koyama)

スマホ用ショートコンテンツ配信のQuibiで4月6日から50番組がスタート

ショートフォームビデオサービスのQuibiは米国時間3月7日、ローンチ番組の全ラインアップを発表した。QuibiとはQuick Bites(軽食)という意味で、スマートフォンで視聴できる短い動画にフォーカスしている。その内容は「チャプター区切りの映画」(7〜10分の長さのチャプターに区切られた長い動画)、台本なしの番組、ドキュメンタリー、毎日のニュース、エンターテイメント、インスピレーションを含む。

  • Most Dangerous Game:Liam Hemsworth(リアム・ヘムズワース)氏とChristoph Waltz(クリストフ・ワルツ)氏主演のディストピア的アクションスリラー
  • Survive:Alex Morel(アレックス・モレル)氏の小説をもとにした、飛行機事故の影響を描いたSophie Turner(ソフィー・ターナー)氏主演のドラマ
  • Chrissy’s Court:少額訴訟裁判所を主宰するChrissy Teigen(クリシー・テイゲン)氏のドラマ
  • Murder House Flip:殺人事件で悪名高い家を家主が改修しようとする
  • Thanks a Million:エグゼクティブ・プロデューサーのJennifer Lopez8ジェニファー・ロペス氏を含む有名人が一般人に10万ドルを寄付し、お金を払わせるリアリティー番組
  • Last Night’s Last Night:Entertainment Weeklyによる深夜番組のまとめ
  • The Replay by ESPN:スポーツニュースを毎日放送する

Quibiによると、全175番組から合計8500話を最初の年にリリースするという。同社の「Turnstyle」技術を使えば、視聴者は縦向きと横向きをシームレスに切り替えられる。実際に一部の番組は視聴モードによって異なる、補完的な視聴体験を提供するよう特別に設計されている。

サービスの料金は広告付きで月額4.99ドル(約530円)、広告なしで月額7.99ドル(約840円)だ。またQuibiは、90日間の無料トライアルを提供することも発表した。ただし、これには4月6日までに同社のウェブサイトにて登録をすませる必要がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

短編ストリーミングサブスクのQuibiがサービス開始を前に約800億円を調達

The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙によると、正式なサービス開始まであと1カ月余りというタイミングで、短編ストリーミングの月額課金(サブスクリプション)サービスのQuibi(クイビー)が7億5000万ドル(約800億円)の新規資金調達を完了した。

同社は今回のラウンドに参加した投資家の名前を開示せず(これは常に素晴らしい兆候だ)、新しい投資が同社のバリュエーションにどう影響するかについてもコメントを避けた。

最高経営責任者のMeg Whitman(メグ・ホイットマン)氏は「今回の資金調達は長期的な事業構築のための財務的柔軟性と成長基盤を確保するために行われた」と同紙に語ったが、Brandless(ブランドレス)やWeWork(ウィーワーク)などの企業も資金調達の際に同じ目標に言及していたと思われる。

同紙によると、同社の新規投資に参加したのは、既存投資家からAlibaba Group(アリババグループ)、Hollywood Studios(ハリウッドスタジオ)、Quibiの共同創業者でありハリウッドの大御所Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏が立ち上げた投資会社で持株会社のWndrCoなどだ。これまでにQuibiは17億5000万ドル(約1860億円)を調達した。

同社はストーリーテリングへの独自のアプローチと、アプリで流すシリーズを開発する多数の優れた人材について宣伝している。ただ、他社も以前短編に力を入れたことがある特にTechCrunchの親会社)。だが結果は芳しくなかった。

単に一時停止ボタンを押すのではなく、短編ストーリーが必要とされているというアイデアは興味深い。YouTube(ユーチューブ)やTikTok(ティクトク)ではなく、有料でも必要とされるドラマやリアリティショースタイルのエンターテイメントとは何かを確認する実験だと言える。

おそらくQuibiはリアリティショーとドラマ(正直なところ、かなり面白そう)で勝利するだろう。カッツェンバーグ氏と共同創業者ホイットマン氏が約束したビッグネームは、同社の番組について報じた最近のEntertainment Weekly(エンターテイメント・ウイークリー)の記事で確かに挙げられている。

競合するストリーミングサービスと異なり、Quibiは過去に放映したタイトルのカタログがまだないため、1年目はなんと175番組で8500エピソードを繰り出す。1本10分以内の内容になる。

サービス開始時には50の番組が提供される予定だ。それらがどう受け止められるかに多くがかかっている。タイトルの多くは魅力的に見えるが、Quibiが期待するような、視聴者に訴求する魅力を持ち、有料でサブスクに加入してもいいと思えるタイトルは2つくらいにすぎない。

このサービスでは、ネットワークテレビやNetflix(ネットフリックス)で一般的なシーズンごとのリリースではなく、新しいエピソードを毎日配信することで差別化を図る。

アプリ自体は、他のストリーマーで利用可能なサービスとあまり差別化されていないようだ。同社は2月、アプリの事前予約を開始したときに以下のように説明した。

モバイルテクノロジーを活用した新しい方法でテレビを見直すためにQuibiではさまざまな試みが行われてきましたが、アプリ自体は他のストリーミングサービスとよく似ています。

アプリには、NetflixやPrime Video(プライムビデオ)などのストリーミングアプリに共通の暗めの画面表示を採用し、下部に4つのメインナビゲーションボタンがあります。

最初のページはパーソナライズされた「For You」ページで、アプリがユーザーの好みを推測して新しいコンテンツを提示するフィードを表示します。

「検索」タブでトレンドの番組を探すことができ、番組のタイトル、ジャンル、雰囲気で検索することができます。

「フォロー中」タブはお気に入りの番組を、「ダウンロード」タブはオフライン視聴可能にした番組を追跡するのにそれぞれ使います。

その他の点では、Quibiのインターフェースは非常にシンプルです。動画は大画面で表示され、ホームフィード上で垂直に、または「ブラウズ」セクションを移動するときに水平・垂直の両方でめくることができます。

同社はアプリストアの説明で「TurnStyle」表示テクノロジーを宣伝しているが、その名前には言及せず、自分で完全にコントロールできる視聴体験だと説明している。「スマホを持つ向きに関係なく、すべてが画面に収まるように表示される」と説明している。

垂直表示モードでは、画面の左側または右側に表示されるコントロールも導入しする。これは、左利きか右利きかに基づいて選択する。

Quibiは、アプリが事前予約できることを正式に発表しなかった。カッツェンバーグ氏が創業したこのスタートアップは、最近完了した4億ドル(約410億円)のラウンドを含め10億ドル(約1060億円)以上の資金に支えられてきた。

成功の可能性を疑う向きにもかかわらず、Quibiはサービス初年度に利用可能な広告枠1億5000万ドル(約160億円)を売り切った

ユーザーだけでなく広告主もしっかり確保できるのかは何とも言えない。このサービスはストリーミングメディアとしては、Michael Bloomberg(マイケル・ブルームバーグ)氏の選挙戦のような結果に終わる可能性がある。多額の費用をかけたが目に見える成果がまだない。

画像クレジット:CES

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(翻訳:Mizoguchi

CBS Newsが「60 minutes」スタイルの短い番組をQuibiで配信予定

映画プロデューサーでドリームワークス・ アニメーションSKGのCEO、Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏が4月に立ち上げたストリーミングサービスのQuibiが、CBS Newsと提携して「60 minutes」スタイルの番組をネット時代に合わせた現代的なショートビデオにして配信することになった。「60 minutes」は1時間のニュースマガジン番組だが、CBS Newsは「60 in 6」(60分を6分で)を制作する。オリジナルのニュースストーリーをモバイルデバイス用として6分間のエピソードに圧縮した番組だ。

Quibiとのライセンス契約により、60 Minutesは毎週1本、オリジナルのストーリーを制作する。

60 Minutesのエグゼクティブプロデューサー、Bill Owens(ビル・オーウェンズ)氏は発表の中で次のように述べている。「60 Minutesのように、ストーリー性があり、深く掘り下げて調査するジャーナリズムにとって、新しい視聴者を得るのにもってこいの機会だ。デジタルの世界で足場を広げることがかつてないほど重要になっている中、我々は『60 In 6』を始められることに興奮している」。

Quibiと提携したニュースのパートナーは、CBSが初めてではない。NBCは、Quibiの番組専門のフルプロダクションチームを編成することになっている。朝晩、6分間のニュース番組などを制作する予定だ。一方、BBCとQuibiはミレニアル世代向けに5分間の国際ニュース番組を開発している。そしてESPNはスポーツハイライトとニュース番組の制作に合意したばかりだ。

Quibiを創業し取締役会長に就いているカッツェンバーグ氏は発表の中で「60 Minutesはこれまでも、現在も、これからも、ストーリーを伝えるニュースジャーナリズムの理想であり続ける。その才能とリソースを活かして新しい形で伝えられることになり、Quibiにとってこれほどうれしいことはない」と述べている。

Quibiが配信するのはニュース番組だけではない。サム・ライミやギレルモ・デル・トロなどの有名タレントが出演するエンターテインメント番組が予定されている。さらにSnapchatの成功の軌跡、アクションスリラー、殺人ミステリー、カースタントシリーズ、コメディ、ドラマなども配信される予定だ。

Quibiは、プレミアムなコンテンツを短時間で「つまみ食い」できるように作り、モバイルの利用者向けに縦長と横長の両方の動画を配信しようとしている。基本的な考え方は、Snapchat世代向けのNetflixを作ろうということだ。これはリスキーな試みではある。狙っている年齢層であるY世代(一般に1980年代前半から1990年代中盤生まれ)やZ世代(一般に1990年代中盤以降の生まれ)は、高品質なエンターテインメント作品のサブスクリプションはNetflix、クリエイターが作ったカジュアルなビデオならYouTubeでだいたい満足しているからだ。

Quibiは、サブスクリプションのビデオはモバイルデバイスではなく今でもテレビで視聴されているという事実を無視しているようにも見える。そしてユーザーのスマートフォン上では、多くのアプリやゲームと戦わなくてはならない。Apple Arcadeから新しいタイトルが出てくるし、YouTubeやInstagram、TikTok、Snapchatなど時間つぶしをするものはたくさんある。

そこでカッツェンバーグ氏は業界からQuibiに対して多くの支援を受けている。同社はディズニー、ワーナーメディア、21世紀フォックスなどからすでに10億ドル(約1080億円)を調達し、さらにこの額を増やそうとしていた。今年の夏にはサービス開始前に広告を販売し、1億ドル(約108億円)の予約があった。

Quibiは2020年4月にサービスを開始し、その時点で「60 in 6」も配信される。サービスの利用料金は月に5ドル(約540円)、広告なしの場合は8ドル(約860円)の予定。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ストリーミング配信のQuibiがリアム・ヘムズワース主演のアクション・スリラーを制作

エンターテイメント界の大物ジェフリー・カッツェンバーグ氏とHPエンタープライズの元CEOであるメグ・ホイットマン(Meg Whitman)氏が共同設立したQuibiが、開業時のタイトルラインアップに新たなスターを加えた。短編ビデオコンテンツに特化した同社は、リアム・ヘムズワース主演のアクションスリラー作品を制作中だ。数多くいるヘムズワースのひとりで、具体的にはハンガー・ゲームの主演をした俳優。

シリーズ名はまだ決まっていないが、ヘムズワースは「ダッジ・メイナード」という役(ダッジはよくある名前)で、非常に破廉恥でおかしな仕事を請負い、最終的に悪党たちの餌食になる。おそらくその悪党たちは「『最も危険な獲物』を狙うだけの非常に裕福な人間になる」というのが、ありそうな結末だ。

裏方には「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」の脚本家ニック・サントラ、や「マッドメン」で何度も監督を担当したフィル・エイブラハムなど強力なクリエイティブスタッフが参加している。

来年4月に開業予定のQuibiは、カッツェンバーグのハリウッドへの影響力を生かして、トップクリエイターによる数多くの作品を揃えようとしている。サタデー・ナイト・ライブ(SNL)のローン・マイケルズによる殺人ミステリーや、タイラ・バンクスのドキュメンタリー・シリーズ、スティーブン・スピルバーグのホラー・ショウなどに加え、ギレルモ・デル・トロやクリッシー・テイゲン、イドリス・エルバなどのプロジェクトも進められている。

Quibiは、1億ドル相当の広告を契約済みで、調達資金総額は10億ドルに上る。他のオリジナル作品ストリーミング・サービスと比べてユニークなのは、短編コンテンツを作っていることで、その結果モバイル端末との相性がいい。開業時点での料金は月額4.99~7.99ドルで、広告をどの程度表示するか、完全広告なしにするかによって変わる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

縦も横も関係ないFireworkのビデオストーリーアプリが公式リリース

Facebookの利用がここ10年で初めて減少するという状況をよそに、TikTokのような動画中心のアプリがソーシャルメディアの未来だともてはやされている。この変化の著しい主戦場に切り込もうとしているのがFireworkだ。その急成長中のソーシャルビデオアプリは、同社が「リビール・ビデオ(隠れていた部分を見せるビデオ)」と呼ぶ巧妙なトリックを備えている。動画の作成者は、モバイルデバイスによる1回の撮影で、縦、横、両方のビデオを撮影できるのだ。一方、動画の視聴者は、再生中にスマホを回転させることで、どちらでも好きな見方で、そのシーンを楽しめる。

縦型動画のアイディアを広めたのはSnapchatだが、Fireworkは縦型、横型の制約から動画を開放しようとしているのだ。

ところで、Jeffrey Katzenberg氏によるモバイルストリーミングサービスQuibiも、スマホの持ち方に関係なく、理想的な視聴体験を提供できることをウリにしている。QuibiのCEOであるMeg Whitman氏が米国時間3月8日にSXSWでのインタビューで、同社は「ランドスケープからポートレートまで、シームレスにフルスクリーンビデオを扱えるような機能を開発した」と説明している。

はっきり言って、Fireworkにそっくりだ。

Fireworkは、独自のフリップ・ザ・スクリーンの表示技術について特許を申請している。その技術は、クリエイターにビデオストーリーの新たな表現方法を提供するものとされている。「リビール・ビデオ」は、単に視聴者に見方の自由を与えるだけでなく、ストーリーの意外な展開や、驚きのエンディングといった未知の機会をもたらすのだ。

それを可能にする仕組みはこうだ。まず作成者は、スマホを横向きにして撮影する。その際、Fireworkの画面には、縦長のファインダーの枠が表示される。それを見れば、視聴者がスマホを縦にして再生したとき、画面のどの部分が表示されるのかが分かる。

この録画画面は、TikTokのものにちょっと似ている。それと同じようにして、録画を停止したり、再開したり、好きな部分を撮り直したり、音楽を追加したりもできる。

「Snapchatではひたすら縦型を押し進めました」と、Snapchatから移籍したFireworkの最高収益責任者であるCory Grenier氏は説明する。

「私たちが普段から見ているのは、ほとんどのプロの映画制作者が、まずはVimeoで、次にYouTubeで見てもらいたいと考えているような作品です。映画のストーリーに登場する背景や人物が、縦型画面の枠に完全に収まるような世界は存在しません。それはあり得ないのです」と、彼は続ける。

新しい撮影テクニックに関連する技術以外にも、Fireworkは、TikTokやQuibiといった、他の短編ビデオとの差別化ができるような領域を開拓することを目指している。

Fireworkの動画は30秒で、TikTokの15秒より長いが、Quibi8よりは、はるかに短い。

「30秒というのは、Snapchatの10秒と、それより長いものの中間にある、ちょうどいいスウィートスポットなのです」と、Grenier氏は説明する。「10秒では、ちゃんとストーリーを語るには短すぎます。印象的なオープニング、明快な中間部、そしてすごく面白い、または意外性のあるエンディングを、みんな入れたいでしょう」と、彼は述べた。

このフォーマットは、TikTokによくあるようなリミックスされた音楽付きムービーよりも、短編のストーリーに向いていると、Fireworkでは信じている。その上、ユーザーによる手作りが可能だ。それはQuibiの、2台のカメラを使った制作価値の高い(費用もかかる)「TV品質」のコンテンツとは対照的なもの。

Fireworkでは、それに対抗するように、同社が「プレミアム・ユーザージェン」と呼ぶものに注力している。それはプロのクリエイターと、有望な新人を合わせて起用する。これまでFireworkは、Flo Rida、Dexter Darden(「The Maze Runner」出演)、モデルでミスUSAのOlivia Jordan、ディズニースターのJordyn Jones、Frankie Grandeといった人々と仕事をしてきた。

さらに、Refinery29やComplex Networksなど、いくつかのブランドとも協力している。とはいえ同社は、アプリを、そうしたブランドのコンテンツだらけにするつもりはないとしている。

水平、垂直を問わないトリックに加えて、Fireworkはファンエンゲージメントに関しても、他とは異なることを考えている。コメントを排除しているのだ。ユーザーは個人的にビデオの作成者にメッセージを送ることはできるが、動画自体にコメントすることはできない。

「ヘイトや荒しといった行為をする人は、観衆に飢えています。極端な反応を煽りたいのです。われわれは、それを除外しました」と、Grenier氏は言う。

また、動画を「いいね」にする代わりに、ユーザーはその動画をブックマークするか共有することだけが可能となっている。これはリツイートのようなスタイルのエンゲージメントだ。共有した動画は、元のクレジットを残したまま、ユーザーのプロファイルにポストされる。

Fireworkは、2年弱前にマウンテンビューで設立され、現在はレッドウッドシティーに移転している。また、ロスアンゼルス、日本、ブラジルにも支社がある。親会社のLoop NowがFireworkを発表する前にテストしていたいくつかのアプリは、フィットする市場をみつけられなかった。

フルタイムで働く51人は、技術者とハリウッドの専門知識を持った人間の混成チームだ。

メンバーとしては、CEOのVincent Yang氏(StanfordのMBAで、以前はEverStringの共同創立者兼CEO)、共同創立者兼COOのJerry Luk氏(LinkedInの社員番号30で、Edmodoにもいた)、ビジネス開発部門のトップのBryan Barber氏(Warner Brothers、Universal Pictures、Foxでの経験を持つ)、そしてすでに登場したCROのCorey Grenier氏らがいる。

Quibiの十億ドルにはほど遠いが、Fireworkの親会社であるLoop Now Technologiesは、この会社を立ち上げるために「数百万ドル」を調達した。初期の支援者としては、Snapにも投資したLightspeed、IDG Capital、そして(非公開の)Musical.lyの初期の投資家が含まれている。Fireworkは数週間以内にシリーズAの資金調達を発表する体制を整えているところであり、現状では投資の詳細の公表を差し控えている。

このアプリは昨年リリースされているが、最近までオープンベータ版となっていたSensor Towerのデータによると、iOS上に180万のインストールがあり、その55%は米国内ということだ。Fireworkによれば、iOSAndroidを合わせて、すでに200万人の登録ユーザーがいるという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)