スペースXが最新Falcon 9打ち上げで衛星投入数の記録達成、143機の衛星を軌道上へ

SpaceX(スペースX)は米国時間1月24日に実施されたTransporter-1のミッションで、1回で投入された衛星数の記録を更新した。この打ち上げは同社のライドシェア専用ミッションの最初の試みで、複数の顧客でロケットのペイロード容量を分割することでそれぞれのコストを削減しながら、完全な打ち上げの実施と必要な収益のすべてをスペースXに提供した。

今回の打ち上げには143機の衛星が含まれており、そのうち133機はペイロードを予約した他の企業からのものだった。スペースXはまた自社のStarlink衛星10機を打ち上げ、同社のブロードバンド通信ネットワークを運用するためにすでに軌道上に送られている1000機以上の衛星に加えた。先週の打ち上げ配信の中で同社は、カナダで顧客へベータ版サービスを開始し、プライベートなプレローンチテストを英国にも拡大することを明らかにした。

本日の打ち上げでは、48機のSuperDove地球観測衛星を打ち上げたPlanet Labs、36機の自社製小型IoT通信衛星を打ち上げたSwarm、8機の自社製通信衛星を追加したKeplerなどが顧客に名を連ねた。スペースXが現在実施しているライドシェアモデルは、小規模な新規宇宙開発企業やスタートアップ企業が軌道上で運用可能なコンステレーションをより早く構築するのに役立ち、Rocket Lab(ロケット・ラボ)や新規参入のVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)のような他社の小型ペイロードランチャーを補完するものだ。

今回のスペースXの打ち上げは、Starlink衛星を極軌道に投入する初の試みでもあり、これは同社のブロードバンドサービスの継続的な拡大における重要な鍵となる。ミッションにはFalcon 9ロケットの第1段ブースターの着陸と回収の成功やブースターの5回目の使用、打ち上げ時にペイロードを保護する半分のフェアリングの両方の回収も含まれており、フェアリングは同社の回収船で大西洋の海から回収され、整備され再利用される予定だ。

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タグ:SpaceXFalcon 9

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXが記録的な数の衛星を搭載した初の専用ライドシェアミッションをライブで公開、予定変更で日本時間1月25時0時から

【更新】米国時間1月23日の打ち上げは、天候のため中止に。翌日である東部標準時1月24日午前10時(日本標準時1月25日午前0時)に行われる。

SpaceXはライドシェア専用ミッションの第1弾を打ち上げる。これは2019年に導入されたもので、小型衛星の運用者がSpaceXのFalcon 9ロケットの打ち上げ時に搭載物の一部を予約できるというものだ。Falcon 9は現在、製造されているほとんどの小型衛星と比べて、比較的大きなペイロード容量があるため、このようなライドシェアミッションは、中小規模の企業やスタートアップに、現実的な予算の中で彼らの宇宙船を軌道に乗せる機会を提供する。

今回、Falcon 9に搭載されている貨物用カプセルには、合計133基の衛星が搭載されている。これは、インド宇宙研究機関のPSLV-C 37が2017年2月に打ち上げた104機の衛星のペイロードを超えるもので、単一のロケットで打ち上げられた衛星数としては過去最高記録となる。また、今回の打ち上げはSpaceXのライドシェア機能だけでなく、複数のペイロードを比較的迅速に異なる記号に展開させることを含む、打ち上げでの複雑な調整機能の重要なデモンストレーションになる。

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特に今回の打ち上げは、軌道上のトラフィック管理をどのように行うのかという点が注目されている。というのも、今後、民間による打ち上げの活動量がどうなるかを明確に示しているためだ。打ち上げられる衛星の中にはiPadほどのサイズしかないものもあり、専門家たちは衝突の可能性を避けるために、どのように展開、追跡されるか最新の注意を払うことになるだろう。

今回、打ち上げられるペイロードには、Swarmの小さなIoTネットワーク衛星が36機、KeplerのGEN-1通信衛星8機など大量のスタートアップ衛星が含まれている。また、SpaceXのStarlink衛星は10機、Planet Labsの地球観測衛星も48機搭載されている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

スペースXが宇宙船Starship用の洋上基地建設のために採掘リグを2基購入

SpaceX(スペースX)の次期宇宙船はテキサス州で開発中だ。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、開発監督の募集広告が掲載された後にスペースXがStarshipの運用のためにフローティングスペースポートを建設する計画だと明かしていた。そして今回、同社はこの目的のために2基の石油採掘リグを購入した。この情報はspaceflight.comのMichael Baylor(マイケル・ベイラー)記者が最初に報じ、CNBCによって確認された。

この採掘リグはSpaceXによって、Deimos(デイモス)とPhoibos(ポイボス)と名付けられた。これは火星の2つの衛星(元はギリシャ神話の恐怖と恐怖の神々の名前)の名前だ。この採掘リグはもともと、最大深度8500フィート(約2600m)に到達する深海掘削用に建造された。これらの採掘リグは現在、テキサス州ブラウンズビルにあるスペースXのStarship開発拠点近くの、メキシコ湾の港町ブラウンズビルにある。

これらの採掘リグの大きさは240フィート×255フィート(約73×78m)で、理論的にはStarshipの打ち上げをサポートするために再利用される予定だ。(同ロケットは再利用が可能で、着陸もできる)。これまでのところスペースXはStarshipのプロトタイプをボカチカの拠点で打ち上げ、着陸させてきたが、これまでは低空飛行しか実施していない。同社はまた、現在のFalcon 9ロケットのブースター用の自律型浮揚着陸パッドとして、長さ300フィート(約91m)、幅約170フィート(約52m)のドローン船を2隻運用している。

スペースXはまた、南テキサスの施設を「21世紀のスペースポート」にするためのリゾート開発マネージャーを募集する別の広告を掲載し、リゾート施設の専門知識を持った人を探している。一方でマスク氏は2020年12月、カリフォルニア州の税制や規制環境を理由に、多くの人々の提案を受けてテキサス州に移住したことを認めた

マスク氏の他の会社であるTesla(テスラ)も、米国での次のギガファクトリーの場所としてオースティンを選んだ。これはCybertruck、Model Y、Tesla Semiおよび東海岸の顧客向けのModel 3の組み立てを目的としている。同社はテキサス州マクレガーにエンジンテスト施設を保有しつつ、フロリダ州に近い2カ所のStarshipの開発サイトの1つとしてボカチカを選択した。その後、テキサス南部の同地にてStarshipの開発を統合し、宇宙船の建設とテストに用いる唯一の焦点にした。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXが宇宙船Starship用の洋上基地建設のために採掘リグを2基購入

SpaceX(スペースX)の次期宇宙船はテキサス州で開発中だ。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は以前、開発監督の募集広告が掲載された後にスペースXがStarshipの運用のためにフローティングスペースポートを建設する計画だと明かしていた。そして今回、同社はこの目的のために2基の石油採掘リグを購入した。この情報はspaceflight.comのMichael Baylor(マイケル・ベイラー)記者が最初に報じ、CNBCによって確認された。

この採掘リグはSpaceXによって、Deimos(デイモス)とPhoibos(ポイボス)と名付けられた。これは火星の2つの衛星(元はギリシャ神話の恐怖と恐怖の神々の名前)の名前だ。この採掘リグはもともと、最大深度8500フィート(約2600m)に到達する深海掘削用に建造された。これらの採掘リグは現在、テキサス州ブラウンズビルにあるスペースXのStarship開発拠点近くの、メキシコ湾の港町ブラウンズビルにある。

これらの採掘リグの大きさは240フィート×255フィート(約73×78m)で、理論的にはStarshipの打ち上げをサポートするために再利用される予定だ。(同ロケットは再利用が可能で、着陸もできる)。これまでのところスペースXはStarshipのプロトタイプをボカチカの拠点で打ち上げ、着陸させてきたが、これまでは低空飛行しか実施していない。同社はまた、現在のFalcon 9ロケットのブースター用の自律型浮揚着陸パッドとして、長さ300フィート(約91m)、幅約170フィート(約52m)のドローン船を2隻運用している。

スペースXはまた、南テキサスの施設を「21世紀のスペースポート」にするためのリゾート開発マネージャーを募集する別の広告を掲載し、リゾート施設の専門知識を持った人を探している。一方でマスク氏は2020年12月、カリフォルニア州の税制や規制環境を理由に、多くの人々の提案を受けてテキサス州に移住したことを認めた

マスク氏の他の会社であるTesla(テスラ)も、米国での次のギガファクトリーの場所としてオースティンを選んだ。これはCybertruck、Model Y、Tesla Semiおよび東海岸の顧客向けのModel 3の組み立てを目的としている。同社はテキサス州マクレガーにエンジンテスト施設を保有しつつ、フロリダ州に近い2カ所のStarshipの開発サイトの1つとしてボカチカを選択した。その後、テキサス南部の同地にてStarshipの開発を統合し、宇宙船の建設とテストに用いる唯一の焦点にした。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

スペースXが2021年最初の打ち上げでStarlinkを60機投入、Falcon 9ロケットの再利用記録も更新

SpaceX(スペースX)は8回目の飛行となるFalcon 9ロケットを使用した、2021年の最初のミッションで17回目のStarlink衛星を打ち上げを行い、ロケットを着陸させその再利用プログラムの記録を更新した。これにより、Starlinkのコンステレーションは合計約1000基になった。同社はサービスのベータプログラムを英国とカナダに拡大し、カナダ・オンタリオ州の僻地にあるFirst Nationsコミュニティに最初のサービスを提供する。

打ち上げは東部標準時午前8時2分(太平洋標準時午前5時2分)にフロリダで実施され、打ち上げから約1時間後に予定通りに衛星が投入された。この打ち上げに使用されたブースターは、上述したように先に7回飛行している。これには、2020年月12月に衛星ラジオネットワークをサポートするために軌道上にSiriusXMを投入するのに使用されたものを含む。

今回の打ち上げは、海上に配置されたスペースXのドローン回収船が停泊していた着陸ゾーンの風が、同社が設定した安全値を超えていた「エンベロープ拡張」条件での着陸の試みだったことからも、注目された。

この成功により、スペースXはロケット回収を試みるための風速に対する許容範囲を広げることができるため、着陸ゾーンの気象条件による打ち上げのキャンセルが減ることになるだろう。

カテゴリー:宇宙
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

宇宙スタートアップIntuitive Machinesが2回目の月面着陸機ミッションでスペースXと契約

最初の商業月着陸船は早ければ2021年にも月への飛行を開始する予定だが、今回は別の着陸船の契約が確認された。Intuitive MachinesはSpaceX(スペースX)のFalcon 9で2機目の着陸機を送り込む予定で、打ち上げ時期は早くて2022年頃になると予想されている。同社はスペースXと最初の着陸船ミッションをすでに予約している。スペースXはNASAの商業月輸送サービス(CLPS)プログラムの下で月面着陸を目指している、他の民間企業のペイロードもホストしている。

Intuitive MachinesのNova-C着陸機は、最大100kg(約222ポンド)の荷物を月面に運び、ミッションの結果を地球に送信することができる。内部および外部の両方にペイロードを積載でき、NASAの商業パートナーシッププログラムを通じて、さまざまな顧客の科学実験装置を月面に運ぶ予定で、有人月面着陸であるアルテミス計画を含む将来のNASAのミッションをサポートすることも計画に含まれている。

Intuitive Machinesの最初の月着陸機ミッションでもNova-Cが使用される予定で、現在のスケジュールによれば2021年の第4四半期(10月〜12月)中に実施される予定だ。これには「月の表面から天の川銀河の中心の最初の画像撮影」を目指す月面撮影ミッションが含まれ、第2のミッションでは他のペイロードに加えて、NASAに代わってドリルによる月極地の資源採掘と、スペクトロメーターの月南極への輸送が含まれる。

カテゴリー:宇宙
タグ:Intuitive MachinesSpaceX

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

イーロン・マスク氏が「世界で最も裕福な人物」に

SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)を率い、時に物議を醸すこともある謎に包まれた起業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、過去20年間に他の3人だけが保持していた地位に到達した。「世界で最も裕福な人物」の称号を得たのだ。

マスク氏は2021年、Warren Buffet(ウォーレン・バフェット)氏やBill Gates(ビル・ゲイツ)氏など多くの億万長者を超えてトップに立った。彼がこの地位に上り詰めたのは、2020年3月から830%近く急騰したテスラの株価のおかげであり、決められた時価総額と収益性のマイルストーンを達成した後に有効になった実質的な給与体系のためでもある。これによってマスク氏は、2017年から世界一の富豪の座を保持していたAmazon(アマゾン)創業者兼CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を追い落とした。

Bloomberg(ブルームバーグ)の億万長者指数によると、マスク氏の財産は現在1880億ドル(約19兆5000億円)を超えている。テスラの株価は米国時間1月7日にも上昇を続け、5%以上も上昇して795.75ドル(約8万2737円)となった。

マスク氏一流の表現で彼はこのマイルストーンを認め「なんて奇妙なことだろう」「さて、仕事に戻るか……」とツイートしている。

世界で最も裕福な人物という肩書きよりも、興味深いのはマスク氏がそこに到達したスピードだ。ほんの1年前、マスク氏は世界長者番付の底に方にいた。2021年、テスラの株価が急上昇したおかげで、マスク氏は約1500億ドル(約15兆6000億円)もの富を手にした。マスク氏はテスラの株式を約20%保有している。またSECの報告書によると、同氏は約420億ドル(約4兆4000億円)の行使可能なストックオプションを持っている。

テスラ株はかねてより変動率の高さに悩まされてきた銘柄で、ツイートや財務更新の後に大きな変動が発生することがある。2018年を例に見てみよう。テスラの株価は約3.8%の上昇で1年を終えた。1月2日と12月31日という株式市場カレンダーの両端の間に生み出されたその3.8%の値上がりは、株価の混乱と激しく揺れる上下変動に終始した1年を煙に巻いた。

2020年のテスラの株価は上昇傾向にあった。この年、上場企業としてわずか10年で、テスラは時価総額でFord(フォード)、GM、VWグループ、Toyota(トヨタ)を抜き、世界で最も価値のある自動車メーカーとなった。テスラの時価総額は現在5770億ドル(約6兆円)だ。

関連記事:イーロン・マスク氏の2回目となる約2200億円ストックオプション獲得、取締役会の承認待ち

カテゴリー:モビリティ
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(翻訳:TechCrunch Japan)

NASAの有人月探査船ミッションのメンバーに選ばれたアン・マクレーン宇宙飛行士が次世代宇宙船の設計と操縦について語る

NASAは有人月探査プロジェクトであるアルテミス計画に参加する宇宙飛行士を発表した。ISS国際宇宙ステーションで203日間過ごし、船外活動を2回行ったAnne McClain(アン・マクレーン)氏もそのメンバーに選ばれた。宇宙ビジネスは10年前とは様変わりし、宇宙船のテクノロジーは一新されている。マクレーン氏は本人や他の飛行士の宇宙に関するビジョンを語ってくれた。

マクレーン陸軍中佐がISSに搭乗していたのは2018年12月から2019年6月までだ。スペースシャトルの退役後の時代だったため、軌道への打ち上げも降下もロシアのソユーズが利用された。しかしアルテミス計画では、米国製の新しいロケットと宇宙船が使用される。マクレーン氏はCrew Dragon宇宙船を操縦はしていないが、カプセルがISSにドッキングしたときに内部を実際にチェックしている。同氏は次のように述べた。

ソユーズに搭乗できたことはうれしい経験でした。ソユーズは簡素ですが非常に信頼性が高い宇宙船であり、歴史の一部を飛ばしているように感じました。もちろん将来は新しい宇宙船に搭乗できるはずだと知っていました。DM-1(Dragonカプセル)がISSにドッキングしたとき、私はISSにいたので実際に体験する機会がありました。(Drogaonの)船内を遊泳してタッチスクリーンのモニターなどのコントロールをチェックする機会がありました。テクノロジーが民間旅客機の機内なみに進歩したことに驚きました。

Dragonカプセルを軌道上で最初に操縦したのはDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の両宇宙飛行士だった。後に両氏は「(コントロール類が)まるきり違っている」と感想を述べている。実際、Dragonの主要なインターフェースはタッチスクリーンだった。マクレーン氏はソフトウェアがインターフェイスとなるにつれて、命を預けられる信頼性を確保するのが大事業となっていることを次のように強調した。

現在の宇宙船は大部分がソフトウェアでコントロールされており、インターフェイスはタッチスクリーンです。物理的なスイッチはあまりありません。リレーはほとんどソフト化されています。しかし、読者もよく知っていると思いますがソフトウェアの信頼性確保は難しく、非常に複雑なタスクとなります。システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたいと考えています。

システムを深く理解し、デザイナーが想定していない分野でさえシステムを使いこなせるようになりたい

どんな場合に人間がシステムに介入する必要があり、どんな場合に自動化すべきなのか我々は常に注目しています。また自動化の場合、そのソフトウェアが有人宇宙飛行に十分な信頼性を備えていることをどのように知ることができるかという問題も重要です。ある時点で、「これこれの事態が発生したら人間がシステムに介入する」ということを決めておかねばなりません。ソフトウェアの信頼性テストの結果が出るのを10年間も漫然と待っているわけにはいきません。

マクレーン氏はパイロットとして当然意見を持っており、ハーリー、ベンケン両宇宙飛行士とともに早い段階からSpaceXと協力してきた。マクレーン氏は、宇宙船Orion宇宙船と宇宙船Starlinerが彼女のような専門家から同様の注目を受けたことを指摘している。

ボブ(・ベンケン)、ダグ(・ハーリー)と仕事をすることができて幸運でした。私はCrew Dragon宇宙船コックピットのコントロールについて非常に早い段階からSpaceXにアドバイスしてきました。

SpaceXのCrew Dragon宇宙船の歴史的成功を祝って拳を打ち合わせるボブ・ベンケン氏とダグ・ハーリー氏

会社の名前が宇宙船を作るわけではない。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっている

中でもシステムの柔軟性は最も重要だった。プログラムがわずかでも予期と違う動作をする場合、ツールが柔軟であり、人間の介入に対する制限とならないことが絶対に必要だ。

我々パイロットは 常に柔軟なオプションが欲しいと考えます。何か起きたときは対処のオプションが必要です。我々は地上でできるかぎりあらゆる状況を想定してシナリオを練り上げます。しかし現場では必ず予測されていない事態がおきる可能性があることを常に強く意識しています。そうなったら、オプションが必要です。システムを十分に理解し、設計者が直接想定していないような方法でもシステムを操作できるしたいと考えています。ソフトウェアが人間の選択肢を制限しないことが何より重要です。これが宇宙船のハードとソフトをまったく予想されていなかった方法で使用した(奇跡的に地球生還を果たした)アポロ13号のケースをNASAが重視している理由の1つです。

Jeffrey Bezos(ジェフ・ベゾス)氏のBlue Originのような新しい宇宙企業と仕事をするのはこれまでと違うのかと私が尋ねたところ、マクレーン氏は「違うのは名前だけです」と答えた。

Blue Originとロッキードによる月着陸船の予想画像(CG)

こうした企業と協力した経験は十分にあります。会社の名前が宇宙船を作るわけではありません。こうした会社にはこれまでに宇宙船を建造した人々が大勢います。スペースシャトルやISS宇宙ステーションを作った人々は現在、宇宙ビジネス全体に広がっています。これはまさにNASAが望んだことなのです。これが宇宙事業の核心となる人的資本です。もう1つ自信を持っていえるのは、NASAがこうした新しい宇宙企業と協力する方法です。NASAはテストと設計レビューを徹底的に行います。ですからロケットが発射台に乗ったときにはシステムが徹底的にチェックされていることに私は確信を持てます。

コミュニケーション・テクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込む

つまりマクレーン氏によれば、新しい宇宙船には地上のノウハウと能力がすっかり搭載されており宇宙飛行士とともに宇宙に出るのだという。私は最後に、たとえばビデオチャットのような消費者向けテクノロジーの発達によって、宇宙で長期間過ごすことが楽になったかどうか尋ねた。マクレーン氏によれば答えはイエスだ。

まさにそのとおりです。ビデオチャットがなかったら、我々が陥っているパンデミックははるかに耐えがたいものになっていたでしょう。現在、大切な人と自由に会えずにいます。相手が地上にいても宇宙にいてもつ会えないのは同じです。たとえばビデオチャットで両親の顔を見て会話ができるのは本当にすばらしいこどです。これは士気高めるだけではありません。ミッションは6カ月、いや1年も続くかもしれません。その間コミュニケーションテクノロジーは乗員の精神の健全性を保つために不可欠です。こうしたテクノロジーはいわば地球をまるごと宇宙船に持ち込むのです。

マクレーン氏は アルテミス有人月面着陸ミッションに参加する18人の宇宙飛行士の1人に選ばれた。他の宇宙飛行士についてはこちらで知ることができる

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タグ:NASAアルテミス計画Crew DragonSpaceX

画像クレジット:NASA / Bill Ingalls

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスク氏「SpaceXは発射台のアームでSuper Heavyブースターを回収する」

SpaceXはロケットブースターを回収、再利用するために現在と大幅に異なるアプローチを試みると創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は述べた。発射台のアームが打ち上げ前のロケットを支えて安定させている。マスク氏は開発中の大型ブースターをこのアームを利用してキャッチしようと考えている(Twitter投稿)。現在のFalcon 9ブースターはエンジンを逆噴射し、組み込みの脚を展開して着陸する。しかし極めて大きな次世代ロケットであるSuper Heavyでは脚を廃止するのが目標(Twitter投稿)だとマスク氏は述べた。

Super Heavyも減速のためにロケットを逆噴射するが、姿勢制御には本体上部に装備されているグリッドフィンを利用する。このフィンをブースターのキャッチに利用する。つまりブースターが着陸する寸前に発射台のアームをグリッドフィンに引っかけるわけだ。この方法では、非常に精密な姿勢制御が必要になる。Super Heavyから着陸脚を完全に省くことができればコストと重量の両方を大幅に節約できる。

マスク氏が指摘したもう1つの利点は、Super Heavyブースターがそのまま元の発射台に定置されることだ。ブースターの上段に新しいペイロードを搭載したStarship宇宙船をセットすれば「1時間以内(Twitter投稿)」に再飛行が可能になる(SpaceXは現在、Starship宇宙船の開発とテストを実施中)。

Starship宇宙船とSuper Heavyブースターの目標は、現在のFalcon 9(およびFalcon Heavy)と比べてさらに再利用を進めたシステムだ。Starshipをジェット旅客機のように定期的かつ頻繁に飛行させることをマスク氏は目標としている。地球上の2点間を結ぶ超高速飛行、地球軌道付近のミッション、月(や最終的には火星)への長距離ミッションなどだ。 火星に「維持可能な植民」を行うためにはこうした能力が必須となる。今回提案された新しい着陸方法はこうした目標を達成するためSuper Heavyで迅速な再飛行サイクルを確立するためのものだという。

Starshipのプロトタイプは現在、テキサス州ボカチカで建設およびテストされている。2019年、SpaceXはここでは試作宇宙船の飛行テストを繰り返してきた。同社はSuper Heavyブースターを開発中だが、マスク氏は同システムの各部分の飛行試験を数カ月以内に開始できるよう全力で取り組んでいると述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスク氏が2021年Starship開発テストを倍増すると発言、深宇宙探査用ブースター初飛行は「数カ月後」

SpaceX(スペースX)は2021年に向けて、Starshipの開発プログラムを大幅に強化する予定だ。同社のCEOであり創設者でもあるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間12月24日、同社がテキサス州ボカチカにある開発施設の2つの発射台を利用してプロトタイプロケットを打ち上げ、Super Heavyの飛行テスト(低高度の「ホップ飛行」から始まる)を「数カ月後」に開始する予定だとツイートした。

スペースXは最近、メキシコ湾にあるテキサス州のテスト施設のPad Bに、Starship(シリーズの9番目)のプロトタイプことSN 9を設置した。SN 9はその前身であるSN 8が高度約4万フィート(約12.19km)までの飛行に成功し、量産バージョンの動力着陸に利用される重要なベリーフロップマニューバを実行した後に、より積極的なテストを実施する予定だ。SN 8は予想以上に強く接地し壊れてしまったが、スペースXによれば飛行中のすべてのテスト目標が達成されたという。

SN 9は今後、地上試験を受けた後に独自の飛行試験を行う予定だ。これによりチームはさらなるテストを行うための貴重なデータを得ることができ、最終的にはプロトタイプを軌道に乗せることを目指している。マスク氏のツイートによると、ボカチカの発射台となるPad AとPad Bの両方で2つのプロトタイプが並んで設置され、スペースXのロケット製造のスピードに合わせて打ち上げペースが加速する可能性があるという。

一方、Super Heavyがまもなくテストを開始するかもしれないというニュースは、2021年のスペースXとStarshipにとって楽しみなものだ。Super Heavyは同社が宇宙船を軌道に乗せて打ち上げ、最終的には火星を含む深宇宙探査への打ち上げに利用するためのブースターだ。Super Heavyは高さが約240フィート(約73.15メートル)で、28基のRaptorエンジンを搭載し、貨物を積んだStarshipを地球の重力から離脱させるのに必要な推進力を提供する。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXによる米偵察衛星を打ち上げが12月19日に延期、ロケット上段の液体酸素タンクに異常見つかる

東部時間午前11時15分(日本時間12月18日午前1時15分)アップデート:SpaceX(スペースX)は米国時間12月18日のミッションを中止し、米国時間で12月19日午前9時(日本時間同日午後11時)から始まる3時間の打ち上げウィンドウで再度挑戦する予定だ。ロケット上段の液体酸素タンクにて異常に高い圧力が確認されたが、同社はこれを解決するために作業を進める。

SpaceXは米国時間12月18日、Falcon 9ロケットをケネディ宇宙センターから、米国東部標準時午前9時(日本時間同日午後11時)に打ち上げる予定だ。ミッションでは米国国家偵察局(NRO)の偵察衛星が搭載され、Falcon 9の一段目のブースターの回収も予定されている。

このFalcon 9の第1段ブースターはこれまでに4回飛行しているが、その中にはSpaceXがNASAのために国際宇宙ステーション(ISS)に向け実施した2回の民間補給ミッションやStarlink衛星の打ち上げ、そして8月にアルゼンチンの宇宙機関のための衛星打ち上げであるSAOCOM 1Bミッションなどが含まれる。

SpaceXはケープ・カナベラル宇宙基地の着陸地点への着陸を試みる予定で、これは海上の2隻のドローン着陸船の使用に比べると珍しいケースだ。同社の洋上着陸は、陸上への着陸に十分な燃料が搭載されていなかったロケットブースターの回収を可能にするために導入された。一方で今回のNROミッションでは「打ち上げ地点への着陸」を可能にする。

気象条件にもよるが気象条件にもよるが、通常打ち上げウィンドウが長くなるとSpaceXはの最初の時間での打ち上げを目指す。現在の状況であれば、上記のストリームは東部標準時の午前8時45分頃(ウィンドウの15分前)に開始されるはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

NASAとボーイングが無人軌道飛行テストのやり直しを2021年3月に予定

NASAとBoeing(ボーイング)社は、現在進行中の商業乗員輸送プログラムにおける重要な資格認定実証ミッションである軌道飛行テスト2(OFT-2)について、可能な限り早い日付として2021年3月29日を検討している。ボーイングは、国際宇宙ステーション(ISS)へ宇宙飛行士を輸送する有人宇宙打上げシステムの開発と認可取得を行うためにNASAから選ばれた2社目の企業で、現在も宇宙船の認証に向けて作業を進めている。選ばれたもう1つの企業であるSpaceX(スペースX)は、すでに最初の現行サービスミッションに成功している。

ボーイングは2019年12月にこのミッションの最初のバージョンを打ち上げた。同社のStarliner(スターライナー)CST-100有人宇宙船は、ULAのロケットに搭載されて計画通りに離陸し、ミッションの一部を完璧にこなした。しかし、このカプセル型宇宙船に搭載されていたミッションタイマーにエラーが発生し、地上通信が一瞬途切れたため、修正が間に合わず、今回の実証飛行の最大の目的であった宇宙ステーションにドッキングするための軌道投入に十分な燃料を確保しておくことができなかった。

ボーイングはそれでも、スターライナーカプセルの大気圏再突入、降下、回収を成功させることができた。これらはすべて、他の重要なミッションの目標を達成するための良いテストになった。

しかし、ボーイングとNASAは、最終的な有人飛行による実証ミッションを実施する前に、無人軌道飛行テスト(OFT)を繰り返す必要があるという判断を下した。

長時間にわたる徹底的な調査の後、ボーイングとNASAは双方とも、ソフトウェア開発プロセスとパートナーシップの変更を実施し、ミッションタイマーに影響を与えたようなエラーが将来的に起こらないように対策した。

両社は当初、最初のトライから約1年後の2020年12月中にこのミッションの再打ち上げを望んでいたが、その後スケジュールがずれ込み、最終的には来年の第1四半期が最も早くて実施可能な時期となった。

NASAはボーイング社の宇宙船が認証を取得し、宇宙飛行士の地球低軌道への商業輸送サービスを、1社ではなく2社に頼ることができるようにしたいと望んでいる。そのように多様なプロバイダーの組み合わせが可能になれば、有人宇宙飛行を中心とした地球軌道上における商業活動の増加を促進するのにも役立つはずだ。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXのプロトタイプロケットが着陸時に大爆発、しかし飛行テストは成功

 

現行のロケット「Falcon」の後継機にSpaceXはまた一歩近づいた。同社の宇宙船「Starship」のプロトタイプ「SN8」が米国時間12月10日、テキサス州南部にあるSpaceXの開発施設で、上空12.5kmまで上昇するという、現在進行中の宇宙船開発プログラムの中で重要なマイルストーンを達成したのだ。

離陸から約2分後、スターシップに搭載されている3基のRaptorエンジンのうちの1基は停止したが、このプロトタイプロケットは上昇を続けた。続いて3分後には、もう1つのエンジンが停止。1基のみが点火し稼働している状態となった。ロケットは上を向いたまま上昇を続けていたものの、どのくらいの高さまで上昇したのか、動画フィードからはわからなかった。そして4分30秒を過ぎた頃、3基目のエンジンが炎上し、スターシップは機体を水平にしながら地上に向けて自由落下を始めた。

ロケットが地上に近づくとエンジンが再点火し、再び垂直に姿勢を戻して落下速度を遅めた。しかし、予想よりも少し勢いよく着陸したため、爆発を起こしロケットは炎に包まれた。それでもテストは成功であり、SpaceXや多くの観察者の予想よりも上手くいった。ストリーム上ではSpaceXの管制室からチームの成功を祝福する声が聞かれた。

爆発と宇宙船の全損で終わった飛行は、成功したように見えないかもしれないが、まったく新しい宇宙船を設計しそのテストを行っていることを考えれば、間違いなく成功だ。SpaceXはこの試験飛行ではおそらくその目的のすべてを達成できないだろうと予想していたし、同社のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは今週初めにTwitterで、目標高度は達成するかもしれないが、他のことはあまり期待していないと述べていた。だが、目標高度は達成されたようであり、機体を水平にして着陸時に再び正しい向きに戻す「ベリーフロップ」と呼ばれる動きを制御することもできた。ただ、着陸の際に少々スピードが速すぎたのだ。

今回のテストで、チームが多くの貴重なデータを収集したことは間違いなく、現在はそこで学んだことを次の試行の改善に役立てようとしている。SpaceXはすでに「SN9」と「SN10」という2機のプロトタイプを完成させており、実際に次のテストに向けて準備ができているのだ。これらのプロトタイプは、この日飛行したSN8と比較してもすでに改良されており、チームは今回の飛行とテスト中に得られたデータに基づいて、迅速に追加の改良を施す予定だ。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXイーロン・マスク宇宙船ロケット

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:TechCrunch Japan)

スペースXがStarshipの高高度飛行を再度ライブ中継

SpaceX(スペースX)のプロトタイプ宇宙船であるStarshipは米国時間12月9日午後(日本時間12月10日早朝)、高度約4万フィート(約12km)に達する初の高高度飛行を行った。12月8日はRaptorエンジンの1基が自動的にシャットダウンし、テストがさらに悪化するのを防ぐために最後の数秒で試験が中止されたため、これは2回目の試行となる。

この宇宙船はスペースXが構築したStarshipの最新プロトタイプの1機であり、高高度飛行のデモンストレーションに挑戦する最初の機体でもある。他のプロトタイプは最大約500フィート(約150m)まで上昇し、その後に制御着陸を達成している。今回のテストでもそれらが試されるが、スペースXのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、テストがうまくいかない可能性が非常に高いと述べている。これは、宇宙船開発の現時点での段階では予想の範疇だ。

ロケットはテキサス州にあるSpaceXの開発施設から打ち上げられ、4万フィートの高さまで飛行した後、ベリーフロップ・マヌーバを実行して旋回し、地球に落下して最終的には制御着陸を実行して垂直に降り立つ。

この結果は、スペースXのStarshipの開発に貴重なデータを提供することになる。

【Japan編集部】打ち上げは無事成功。現在、YouTubeで打ち上げの様子を見ることができる。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter)

イーロン・マスク氏がカリフォルニアに愛想を尽かしてテキサスへ転居

SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国12月8日、テキサス州に転居したと述べ、ここ数カ月流れていたカリフォルニア州を去るだろうという憶測を認めた。カリフォルニア州に対してマスク氏はかなり批判的になっていた。同氏はウォールストリートジャーナル紙のCEOカウンシル年次サミットでのインタビューで転居したことに言及した。

マスク氏がテキサス州に引っ越すつもりだと友人に語ったというCNBCの報道を、同氏は肯定した。

転居は、テキサス州で進められているSpaceXとTesla関連の数多くのプロジェクト、マスク氏のロサンゼルスにあるいくつかの家の売却、そしてカリフォルニア州当局の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック対応への不満と一致する。マスク氏は5月に同州アラメダ郡を相手取って訴訟を起こし、本社や将来のプログラムをテキサス州かネバダ州にすぐさま移すと脅した。訴訟は、フリーモントにあるテスラの工場が新型コロナで発令された外出禁止令の最中に再開できるかどうかをめぐる衛生当局との応酬がエスカレートした結果だ。

インタビューの中でマスク氏は、カリフォルニア州は恵まれたな地位を当然のものだと考え、独りよがりになっていると語った。

マスク氏がテキサス州に引っ越すだろうという憶測はテスラがCybertruckとModel 3、Model Yを生産する工場の設置でオースティン近くを選び、建設を開始した後に流れ始めた。同氏の別企業であるSpaceXはテキサス州ボカチカにロケット打ち上げサイトを計画している。ブルームバーグは12月7日、マスク氏が自身の財団をオースティンに移し、これは同氏がテキサス州に引っ越したか引っ越そうとしているもう1つのサインだと報じた。

テキサス州は近年、オースティンやヒューストン、ダラスの急成長でホットスポットとなっている。パンデミックの間、カリフォルニアを拠点としていたテックワーカーがシリコンバレーやサンフランシスコといった高級エリアから脱出するにつれ、テキサス州の勢いは増した。

同州はまたマスク氏にとって別の大きなメリットがある。州所得税がないことだ。

カリフォルニアはまだSpaceXとテスラの運営においてメジャーハブだ。SpaceXの本社はホーソーンにあり、テスラの本社はシリコンバレーにある。Model 3やModel X、Model S、Model Yを組み立てるテスラのメイン工場はフリーモントに立地する。

カテゴリー:その他
タグ:イーロン・マスクテキサスカリフォルニアTeslaSpaceX

画像クレジット:Diego Donamaria / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXが地方ブロードバンド推進基金から920億円獲得、ファイバー網を引けない地域でのStarlink衛星サービスに期待

FCC(米連邦通信委員会)は、地方部デジタル機会基金フェーズⅠ入札の結果を公表した(FCCリリース)。この基金は難しい名称に聞こえるが、サービスが十分に提供されていない地方に安定したインターネット接続を提供するブロードバンドプロバイダーに資金を分配するというものだ。ここにはSpaceX(スペースX)に割り当てられた8億8500万ドル(約920億円)が含まれる。同社のStarlink衛星サービスはファイバー網を敷くことが現実的ではない地方にとってゲームチェンジャーとなり得る。

SpaceXより多くの資金を獲得したのはたったの3社だ。Charter(チャーター)の12億2000万ドル(約1270億円)、ミネソタ州とアイオワ州のプロバイダーLTD Broadband(LTDブロードバンド)の13億2000万ドル(約1370億円)、そして公共事業の集合体Rural Electric Cooperate Consortium(地方部電気協同組合コンソーシアム)の11億ドル(約1140億円)だ。これら3社は基本的に従来型の有線ブロードバンドを提供し、資金受領者リストを一読したところ他に衛星ブロードバンドのプロバイダーはないようだ(合計180の入札者が資金提供対象として選ばれた)。

92億ドル(約9570億円)の入札(FCCリリース)では、企業が特定のエリアにどのくらいのサービスを提供できるかを求めている。下りが100Mbs、上りが20Mbs以上というのが理想だ。この入札で地方の企業は、現在では銅が使われているファイバー網を敷くのに必要な巨額の資金を得ることができ、また複数の州にまたがる未整備地域では数億ドル(数百億円)もの大きな開発プロジェクトが展開される。

SpaceXのStarlinkには、地方に暮らす人にインターネットを提供するのに大型建設プロジェクトは不要という利点がある。必要なものはパラボラアンテナで、急速に拡大している地球低軌道衛星ネットワークに現在カバーされているエリア向けのサービスだ。つまり、同社は理論的には多くの競合他社より一歩先を行くことができる。

Starlinkはまだ本格提供されておらず小規模なテスト展開のみだが、SpaceXによるとテストは極めてうまくいっているとのことだ。このサービスのベータテスター第1陣は毎月99ドル(約1万300円)の使用料と、1度限りの設置費用500ドル(約5万2000円)を払うことになる。しかし商業サービスの価格がどれくらいになるのかはまだわかっていない(おそらくもう少し安くなると思われる)。

FCCの入札で8億8500万ドルを確保するために、SpaceXはリーズナブルな価格で同社が網羅するエリアにしっかりとしたサービスを提供できることを示す必要があった。そのため現行のブロードバンドサービスと同じような価格になると思われる。同様の価格帯でサービスを提供できる衛星ブロードバンドプロバイダーは他にない。SwarmはIoT接続を月5ドル(約520円)で提供しているが、これはまったく異なるカテゴリーだ。

しかし、FCCは巨額の小切手でElon Musk(イーロン・マスク)氏のドアをノックしたわけではない。同社は約束したロケーションで「断続的な構築要件」を示さなければならず、それを受けて資金が配分される、これは数年続き、若いインターネットプロバイダーが立ち上げの厳しさや不確実性が続く間も事業を継続するのに貢献するはずだ。FCCの基金が底を突く頃には、理想的には企業は数百万の契約者を抱えているはずだ。

今回はフェーズⅠの入札で、新しいインターネットサービスを最も必要としているエリアを対象にしている。フェーズⅡでは、サービスを提供できる企業が1社はあるが競争がない「少しはサービスが提供されている」エリアを対象とする。SpaceXがそこで事業を推進できるかどうか(あるいはそうしたいのか)は不明だが、こうしたどちらかというと達成が困難なマーケットでは限定的な役割に止まるxかもしれない。

地方のブロードバンド拡大の推進は、間もなく職を退くFCC委員長Ajit Pai(アジート・パイ)氏が特に関心を寄せてきたものだった。同氏はこの取り組みははこれまでのところ成功していると述べた。

我々はこのイノベーティブで画期的な入札を、テクノロジー的に中立なものになるよう、そして高速、低遅延のサービス提供を優先するものになるようにしました。税金を最大限有効活用すること、ネットワークが消費者の増大するブロードバンド需要に合うものになることを目的とし、我々の戦略がうまくいったことが結果に表れています。この入札はデジタル格差を埋めるためにこれまで取られた1つの対策としては最大のものであり、現在も続くユニバーサルなサービスに向けた取り組みにおいてFCCにとって大きな成功です。この入札を期日までに終わらせようと長らく懸命に取り組んだ職員に感謝しています。

入札で選ばれた事業者の一覧はFCCのプレスリリースで閲覧できる。

関連記事:SpaceXがStarlinkアプリをローンチ、ベータテスターに月額約1万円の参加費用とサービス内容を公開

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SpaceXStarlink

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXが100回目のFalcon 9打ち上げに成功、新Cargo DragonをISSへ

米国時間12月6日、SpaceXは21回目となるNASAの商用再補給サービス(CRS)ミッションを行い、新しいDragonカプセル宇宙船をISS(国際宇宙ステーション)に打ち上げた。新しいCargo Dragonは前回よりも輸送能力が大きく、ISSと完全に自律してドッキングすることが可能になっている。

今回の打ち上げは、再設計されたCargo Dragonにとって初の打ち上げであり、NASAとの契約を更新したSpaceXの新たなCRSミッションにとっても初のミッションとなる。Cargo Dragonには宇宙ステーションとその乗組員のための物資と、そこで行われている研究のための実験用品や機器の両方を6400ポンド(約2902kg)搭載されている。新バージョンのCargo Dragonは、SpaceXの以前の貨物宇宙船より20%多く物資を運ぶことができ、実験材料の温度管理輸送のための動力付きロッカーの数が倍となっている。

新しいCargo DragonはCrew Dragonの改良版で、5月に行われたDemo-2ミッションと2020年11月のCrew-1フライトの間に宇宙飛行士をISSに運んでいる。搭乗中の宇宙飛行士を守るために早期の中心が必要な場合、Falcon 9からカプセルを迅速に遠ざけるための推進力を与えるCrew Dragonに搭載されていたSuper Dracoエンジンの取り外しなどが改良点となっている。また、これまでのCargo Dragonは3回までしか再利用できなかったが、新バージョンは5回に増えている。

今回の打ち上げは、SpaceXにとって100回目の商業用ロケットであるFalcon 9の離陸成功であり、そのうち43回は回収、改修されたブースターで行われている。日曜日のミッションにはFalcon 9の第1ステージ回収も含まれており、これまでに合計4回飛行している。これはSpaceXにとってこれまでに68回成功したブースター着陸となる。

CRS-21の次のステップは、米国時間12月7日月曜日の夜に予定されているCargo DragonとISSの間のランデブーだ。カプセルは、ISSの新しいドッキングアダプターの1つと自律的にドッキングするよう特別に設計されている。このアダプターは11月にCrew Dragonがドッキングしたときから存在しているため、今回のCargo Dragonは2台目のドッキングとなる。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXNASACargo Dragonロケット

画像クレジット:SpaceX

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXは有人火星面着陸を2024〜2026年に実現させるとイーロン・マスク氏

SpaceX(スペースX)の創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、米国時間12月1日に大手メディア企業Axel Springer(アクセル・シュプリンガー)から賞を贈られたが、そこで彼は腰を据え、宇宙、Tesla(テスラ)、AIなど、幅広い話題にわたるインタビューに応えた。マスク氏はまず、SpaceXの火星への野心について語り、SpaceXの次世代宇宙船Starship(スターシップ)で赤い惑星へ到達するまでの現在のタイムラインを示した。彼らは、今週末までにこの宇宙船の新たな高高度試験飛行が実施できればと考えている。

マスク氏は、火星の有人着陸を6年後あたりに想定しているという。そのタイムラインには「とても自信がある」と彼は話していた。これは、地球と火星の太陽を巡る公転軌道上の位置が、26カ月ごとに最接近するという事実に基づくものだ。無人火星飛行と着陸は、次の最接近時、つまり今から約2年後を目指している。さらに、運が良ければ、今から6年後ではなく4年後の最接近時に有人着陸を果たしたいと彼は語った。

マスク氏自身が最初の軌道飛行を行うのはいつかと尋ねられると、「2年後か3年後になる」と答えた。ただし、第1の目標は「大勢の人が火星へ行き、惑星間で生活が行えるように、そして月面に基地を建設できるように」するための同社のテクノロジーを確立することだと釘を刺し、自身の個人的な目標を抑えて謙虚に答えた。

彼はまた、最後には火星に埋葬されたいという願望(火星に宇宙船が墜落して事故死するという意味ではなく)を繰り返した後、宇宙旅行社会の到来が現実になるとの信念と、ゆくゆくは人類の生存には必須のものになるという考えを示したが、それは避けて通れないリスクということではなく楽しく、エキサイティングで、魅力的なものであって欲しいとも語った。

Starshipは、先に述べたとおり、最初の大規模な高高度試験飛行に向けて動き出している。打ち上げはテキサスにあるSpaceXの開発施設で、早ければ今週末までには実施される予定だ。だが同社は、実際の飛行の前に、試作エンジンの重要な地上燃焼試験を済ませる必要がある。

関連記事:SpaceXがStarship宇宙船初の高高度試験飛行を来週に設定

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX火星イーロン・マスク

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(翻訳:金井哲夫)

スペースXがFalcon 9ブースターの7回目の打ち上げに成功!

SpaceX(スペースX)はさらに60機の衛星を低軌道衛星群に追加するという、新たなStarlinkミッションを実施した。これは世界を高速ブロードバンドでカバーするという同社の取り組みにとって良いニュースであり、米国時間11月24日の打ち上げはFalcon 9ロケットの第1段ブースターが新記録の7回目の飛行を実施したことからも、再使用可能なロケットシステムの開発というスペースXの重要な展望にとっても良いニュースである。

スペースXは第1段ブースターの6回の再使用飛行の記録を更新し、大西洋上のドローン船への制御着陸でブースターを回収した。

本日の打ち上げはフロリダ州のケープカナベラル空軍基地から実施され、東部標準時午後9時13分(太平洋標準時午後6時13分)に離陸した。このミッションでは以前のミッションで1回飛行している半分、および以前に2回使用されている別の半分を含む、ペイロードを保護するフェアリングカバーを使用している。

スペースXはすべての新しい部品を使用するのではなく、以前のミッションで使用された部品を飛行させることでコストを削減し、ユーザビリティの向上を目指している。今日のミッションは結果として、これまでで最も費用対効果の高い打ち上げであると考えられる。

これは16回目のスターリンクミッションであり、これまでに1000機近くの小型衛星が打ち上げられてきた。同サービスは現在ベータ版として運用されており、最近ではアメリカの一部からカナダ南部の地域にまで拡大している。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXFalcon 9Starlink
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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

SpaceXがStarship宇宙船初の高高度試験飛行を来週に設定

SpaceX(スペースX)は、Starship宇宙船開発プログラムにおける次の重要なフェーズに進む準備ができたようだ。そのフェーズとは15kmの試験飛行で、これまでStarshipのプロトタイプが達成した最大高度をはるかに超えるものとなる。現在までに記録されたホップテストの最高高度は約150mだったからだ。Elon Musk(イーロン・マスク)氏はSpaceXが最初の高高度試験を、来週のある日に行う予定だ(Twitter投稿)と話している。

この暫定的な日付(これらは常に変更になる可能性がある)は、現在のSN8世代のプロトタイプが静的点火試験(基本的に発射台に固定したまま試験用宇宙船のラプターエンジンの点火だけを行うテスト)に成功した後になる。それは実際の飛行への道を開く重要なステップであり、宇宙船が地上を離れる前に、稼働したエンジンの圧力に持ち堪え、耐えられることを証明するものだ。

SpaceXのSN8プロトタイプは、いくつかの点で以前のバージョンとは異なっている。最も明らかなのは、ノーズフィンとともにノーズコーンが実際に装備されているということだ。これまで短いテストホップを行ったSN6を含むプロトタイプは、ノーズコーンの代わりに質量シミュレーターとして知られるもの(つまりノーズコーンと同じ重量のおもり)が先端部分に取り付けられていた。

マスク氏は、SN8の高高度飛行が計画通りに進む可能性は高くないと付け加え、多くのことが正しく機能しなければならないことを考えると「可能性は3分の1くらいだろう」と見積もっている。そのためSpaceXはすでにSN9とSN10の準備をしており、それがStarshipのこれまでの開発プログラムのテーマであると言及した。つまり、テストと反復作業を迅速に行うために、連続した数世代のプロトタイプを並行して早急に製作しているというわけだ。

打ち上げがいつ行われるかについては、地元の規制当局に提出された警戒警報から、おそらく知ることができるだろう。SpaceXのStarshipプログラムが大きく飛躍することを期待しながら、来週は我々のお伝えする新たな情報に注目していただきたい。

関連記事:SpaceXがStarship宇宙船プロトタイプの短期試験飛行を成功、初の軌道上打ち上げへ向け前進

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceX宇宙船StarshipElon Musk

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:TechCrunch Japan)