SpaceX、Falcon 9のフェアリング回収にネット装備艀を準備

SpaceXが目標とするのは、なんといっても打ち上げコストの削減だ。現在同社が取り組んでいるのはフェアリングの回収だ。フェアリングはロケットの先端に取り付けられ、なんであれ搭載されたペイロードを保護する部品だ(Falcon Heavyのテスト飛行の場合はTesla Roadsterとスターマンが搭載されていた)。これまで打ち上げのたびにフェアリングは使い捨てとなっていた。

フェアリングの製造コストは600万ドルだという。多数の打ち上げでフェアリングを回収し、複数回使えることになればコスト削減の総額は大きい。SpaceXでは昨年フェアリングの回収に成功しているが、今回はさらに信頼性が高く、再利用にも適した新しい方式を開発した。

それがMr. Stevenと名付けられた自動航行艀だ。Teslaratiの Pauline Acalinが撮影した写真によれば、Mr. Stevenには巨大なアームが装備され、その間にネットが張り渡してある。Mr. Stevenは次回Falocon 9が打ち上げられる予定となっているカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地の近くの港に停泊している。Falcon 9のPAZミッションではスペインのレーダー地上観測衛星の他に、SpaceX独自の通信衛星も搭載される。これはSpaceXが計画しているインターネットのブロードバンド接続を提供するサービスのための実験だという。

Falcon 9のこの打ち上げは日は若干延期され、2月21日(日本時間2/22)に予定されている。フェアリングはGPSによる位置制御が可能なパラシュートによって太平洋上に降下し、それをMr. Stevenが待ち構えてキャッチする計画だ。

フェアリングは2つの部分からなるが、SpaceXがその片方でも無事に回収し、再利用できるなら打ち上げコストをさらに引き下げることができるだろう。完全使い捨ての場合の場合、Falcon 9は打ち上げコストは6300万ドル程度と推定されている。そこでブースターの回収はもちろんだが、600万ドルのフェアリングであっても回収に成功すれば利益に対する寄与は大きい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスクのテスラとスターマンはここにいる――軌道追跡サイトでチェックしよう

先日、イーロン・マスクのSpaceXの最新大型ロケット、Falcon Heavyで宇宙に飛び立ったチェリーレッドのTesla Roadsterとその運転席に座ったダミー、スターマンは火星と地球の軌道を横切りながら太陽を周回する巨大な楕円軌道を描いている。しかし搭載バッテリーが切れて、通信が途絶した今、Teslaとスターマンがどこにいるかの知るにはどうしたらよいだろう?

SpaceXの大ファンで、航空宇宙産業でエンジニアとして働いているBen Pearsonが、Where is Roadster(ロードスターは今どこ?)というサイトを開設している。これはJPL(NASAジェット推進研究所)の Horizonsシステムを利用してTeslaの軌道を表示している。これによればTeslaとスターマンのコンビは火星だけでなく、太陽や他の惑星にも接近することがわかる。

このサイトではスターマンの任意の時間における位置や速度も示してくれるので、火星に近づきつつあるのか遠ざかりつつあるのかなどもわかる。このサイトは公式にSpaceXやTeslaと提携しているわけではないが、イーロン・マスクがツイートで取り上げているのが面白い。

たしかこのあたりに駐めたはず。 ―イーロン・マスク

Falcon Heavyが飛び立った後も、このサイトがあればマスクは自分のTeslaをパーキングした場所を探してうろうろせずにすむわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、次期Falcon 9で自社の衛星ブロードバンドサービスをテスト

SpaceXは次期Falcon 9の打ち上げを2月17日に予定している。主要な貨物はスペインの地球観測衛星、Pazだが同乗するもうひとつの積荷の方が興味深い。SpaceX自身は衛星を利用したブロードバンドインターネット通信サービスをテストするために、自社の通信衛星2基を軌道に送り込む。

ロケットに載せられるのはMicrosat-2AおよびMicrosat-2B(via TheNextWeb)という小型の衛星で、稼働期間はわずか20カ月だ。いずれもKu帯ブロードバンド無線送受信機を備え、低地球軌道から地球上に通信環境を提供する能力をテストする。

SpaceXは長期利用可能な本格的ブロードバンド通信衛星を打ち上げる前にこのテストを行う。同社はロケット発射事業に加えて、宇宙ベースの安価なブロードバンドを地上に提供することを新たな収入源として考えている。衛星インターネットサービスが利益を生めば、同社が構想する野心的火星ミッションなどのプロジェクトを賄うことができる、とSpaceX CEO Elon Muskが同社の長期計画の概説で語っていた。

Microsatを軌道に打ち上げることは、同社のブロードバンド事業を現実にする最初の一歩にすぎないが、SpaceXの壮大なビジョンが進展していることを示す良い兆候だ。SpaceXは、今月始めにFalcon Heavyの初飛行に成功し、今年中に有人宇宙船Crew Dragonの打ち上げを予定している。2018年はMuskの宇宙ベンチャーにとって記念すべき年になるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

【動画】Falcon Heavyの発射を見守るイーロン・マスク

この1週間、SpaceXの間違いなく巨大なFalcon Heavyロケットの初打ち上げを、私たちは眺めながら、果たしてちゃんと打ち上げることができるのだろうかと、固唾を飲んでいた。イーロン・マスクもそれは同じだった。

ナショナル・ジオグラフィックが、打ち上げの際の素晴らしい舞台裏映像を掲載した。それは打ち上げの約15秒前から、ミッションが大成功を収めたことをイーロンが認識するまでを撮影したものだ。彼らは完璧な打ち上げを成し遂げただけでなく、3つのロケットコアのうち2つを(同時に!)驚嘆すべき美しさで、着陸させたのだ。

この打ち上げは、SpaceXの本当に何年にも及ぶ努力の集大成だった。それでも何が起こるかについては、誰も絶対確実なことは言えなかったのだ。イーロンは 打ち上げ前の夜、 記者団に対して 「発射台から飛び立って、粉々に砕けなければ満足だよ」と語っていた。以下のビデオでは本当に嬉しそうな彼の様子を見ることができる。

Falcon Heavy発射直前のイーロン・マスクの様子を追った、独占舞台裏映像

(上記の動画がモバイルでは再生できないという報告が来ている。もしその場合はこのリンクを試して欲しい)。

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(翻訳:sako)

スターマンからの信号が途絶えた

スターマンと彼のSpace Teslaから地球軌道最後の自撮り写真が送られてきた、とElon Muskが報告した。マネキンドライバー(本物のSpaceX宇宙服着用)を乗せたこの車は昨日(米国時間2/6)Falcon Heavyロケットに乗せられて飛び立ち、最終的には地球軌道を離れ太陽系の彼方へ向かう。

Elon Muskはスターマンの「最後の写真」をInstagramに投稿した。これは最後の数分間の中でもおそらくベストショットだろう。昨日の記者会見で、Muskはこの#DrummondPuddleWatch以来の奇妙で魅力的なライブ中継が、近々終了することを覚悟するよう予告していた。

「バッテリーは打ち上げから約12時間持続する」と彼は言った。「その後は宇宙の奥深く何百万年、おそらく何十億年も存在し続けるだろう。きっとどこかのエイリアンが発見して、『これは何のためなのだろう? この車を崇拝しているのか? なぜ車の中に小さな車があるんだ?』などと言うのだろう」。

(車のダッシュボードにはおもちゃのドライバーを乗せたおもちゃのRoadsterが接着されている)

実際にいつオフラインになったのかははっきりしないが、それまではたのしい時間だった。Muskがこの打ち上げを、自ら所有する別の大企業を宣伝する一種の相乗りPRイベントにしていることに疑問を挟む向きもあるが、本人は純粋に楽しみのためだと言っている。

「馬鹿馬鹿しくて楽しい。しかし馬鹿馬鹿しくて楽しいことは大切だ」と彼は言う。「文字通り普通の車が宇宙にある。私はその不条理さが好きだ。普通はコンクリートのブロックを山ほど飛ばすが、そんなのは面白くない」

スターマンと車は外宇宙に向かってゆっくりと進み続け、やがて火星の軌道を横断して小惑星帯に入ると、たくさんの岩つぶてを見舞われるだろう。しかし軌道の角度によっては、黄道を離れて衝突死を避けられるかもしれない。

いずれにせよ、まだまだ先の話だ。Roadsterの速度は知らないが、速いわけではなく火星は恐ろしく遠い。危険な目にあうほど遠くへ行くまでには数十年、数百年はかかるだろう。それまでにElon Muskが永遠の若さの秘密を発見していれば、それもきっとインスタするのだろう。

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SpaceXのFalcon Heavy、歴史的達成――打ち上げ、サイド・ブースターを地上回収とも成功

SpaceXはFalcon Heavyの最初のテスト発射に成功した。この大型ロケットはFalcon 9のブースターを3基用いており、ライバルの2倍以上の大重量のペイロードを衛星軌道に投入する能力がある。今日(米国時間2/6)東部時間午後1:30、フロリダ州ケープカナベラルのケネディー・スペースセンターのLC-39A発射施設からFalcon Heavyは予定どおり打ち上げられた。

今回の打ち上げはSpaceXにとって歴史的な達成となった。同社は2011年から大型ロケットの運用能力を獲得しようと努力してきた。当初の目標は2013年だったが、さまざまな事情がこれを妨げて、延期を重ねてきた。それが今日ついに成功した。SpaceXが当初2年で大型ロケットを打ち上げられると考えていたがイーロン・マスクはその後「あれはうかつな考えだった」と述べた。結局スケジュールには大幅な遅れが生じた。

Falcon Heavyは Merlinエンジンを9基装備するブースターを3基用いる(Falcon 9の3倍だ)。地球低軌道への衛星打ち上げ能力は140,700
lbs(63.8トン)、静止遷移軌道(GTO)へは 58,900 lbs(26.7トン)だ。さらに火星に37,000 lbs(16.8トン)のペイロードを送ることができる。SpaceXはFalcon Heavyを火星有人探査計画のカギと考えているため、こうした数字はそれぞれ重要だ。

SpaceXの今回のテストで、イーロン・マスクのチェリーレッドのTesla Roadsterは地球と火星を周回する軌道を目指す。Teslaの運転席にはSpaceXで開発された宇宙服を着たダミーが着席している。データストレージにはアイザック・アシモフの偉業を記念して宇宙SFの古典3部作が収められている。またSpaceX社員全員の名前を刻んだネームプレートも搭載されている。ミッションが成功すればこうしたペイロードは10億年にもわたって宇宙を旅し続けることになるはずだ。

SpaceXがNASAからリースしているケネディー・スペースセンターのLC-39Aも歴史的な重要性をもつ発射施設だ。SpaceXが利用する以前はNASAのスペースシャトル、さらにそれ以前はアポロ計画で用いられた。

SpaceXではブースター3基をそれぞれ回収する計画で、うち両サイドの2基については順調に地上回収に成功している。中央のブースターは大西洋上のドローン艀上に着陸させる予定だ。われわれはその成否についてSpaceXからの公式発表を待っている。

さらに取材中…

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SpaceX、Falcon Heavy初のテスト飛行を2月6日に設定

SpaceXは、Falcon Heavyの初めての打ち上げ予定日を2月6日に設定した。Falcon Heavyは同社が制作中の新型大容量ロケットで、一度のミッションでこれまでの3倍近い積載量を軌道に運べる、今回が初めてのテスト飛行となる。

土曜日、SpaceX CEOのElon Muskは打ち上げ目標日をツイートし、近くの土手から誰でも打ち上げの様子を見学できることを付け加えた。発射されるのはケネディー宇宙センターの39A発射台で、SpaceXはこの大型ロケットのために発射台に修正を施した。また、ここはかつてNASAのアポロやスペースシャトル計画に使われた中心地でもある。

2月6日という日付は先週後半に噂されていた。以前SpaceXは、ロケットの静止噴射テストに成功してから約一週間後に打ち上げると言っており、テストは1月24日に行われた。このたびMuskが正式に認めたことで、具体的な日付がはっきりした。

SpaceX初のFalcon Heavyの飛行は、現実世界での飛行をテストすることが主目的だ。同社は数多くの準備とシミュレーションを重ねてきたが、ロケットが空中でどう振る舞うかは実際に飛ばすまでわからない。Muskは、ロケットが打ち上げ後、軌道に乗る前に爆発する可能性も示唆していたが、かりにそうなったとしても、SpaceXのこの大型ブースターロケットにとって大きな一歩だ。

このミッションの積載物はチェリーレッドのTesla Roadsterオリジナルモデルだ。すべてが順調に運べば、将来火星の軌道に送り込まれる予定で、Muskのベンチャー精神が生んできたものと、将来達成するであろうことへの賛意を表している。

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SpaceX、Falcon Heavyエンジンの地上テストに成功――本番打ち上げは「来週あたり」

SpaceXは巨大な新ロケット、Falcon Heavyの地上エンジン・テストに成功した。 いよいよ本番打ち上げの幕が開く。今日(米国時間1/24)実施された発射台上でのロケット噴射は実際の打ち上げに向けて必須のステップだった。各ブースターに9基ずつ、トータル27基のMerlinエンジンがすべてが正常に働くことが確認された。

テストはSpaceXのケープ・カナベラル発射施設で行われたが、実際の打ち上げもこの場所からとなる。SpaceXではテスト後に「すべて順調だった」と発表した。SpaceXのCEO、イーロン・マスクはこのテストが成功したので最初のフライトは「来週あたり」になるととツイートした。

今朝のFalcon Heavyの静止噴射の結果は良好だった。 蒸気が巨大な積乱雲を作った。打ち上げは来週あたりになる ―イーロン・マスク

これはグッドニュースだ。打ち上げは昨年の暮に予定されていたが延期となった。今年に入ると、予算が議会でブロックされて政府の活動が一時停止した。これでSpaceXが打ち上げに利用しているケープ・カナベラルのNASAの施設も閉鎖され、さらに遅れが出るのではないかと懸念されていた。議会における妥協により連邦政府の活動は(当面)再開され、SpaceXは巨大ロケット打ち上げ準備を再開できることとなった。

Falcon Heavyは現在のFalcon 9の3倍近い大重量のペイロードを搭載できる。1回のミッションで複数のクライアントのために多数の衛星を打ち上げることが可能になれば宇宙利用の経済性が一層高まるものと期待されている。また最終的にはイーロン・マスクのビジョンである有人火星旅行にも利用されるはずだ。

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SpaceXの宇宙船ドラゴン、ISSから2度目の帰還

SpaceXのDragonカプセルが、約一カ月間ドッキングしていた国際宇宙ステーションから予定通り帰ってきた。このDragon宇宙船は、以前ISS再補給ミッションで飛んだことがあり、これで2度目の往復飛行に成功したことになる。

Dragonは約6時間前に宇宙ステーションから切り離されて出発し、数時間後に軌道脱出噴射を終え、着陸用パラシュートを開いて土曜日(米国時間1/13)午前に着水した。

このカプセルは12月15日に打ち上げられ、約2.2トンの補給物資を宇宙ステーションに運んだ。科学実験器具など、ステーションに滞在している宇宙飛行士のミッションに必要な物資だ

Dragonは帰路にも多くの貨物を積載しており、実験結果は地上の多くの科学者らによって分析される。

これはSpaceXにとって大きな意味を持つ出来事だ。「飛行証明済み」再利用可能宇宙船プログラムの実証結果がまたひとつ増えたからだ。上記の通りこのDragonは以前再補給ミッションに使用されており、今回使われた第一段ブースターのFalcon 9も以前飛んだことのある再利用ロケットだった。

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SpaceXの新しい巨大ロケット、Falcon Heavyが発射台に姿を現す

衛星打ち上げで順調に成功を重ねているSpaceXだが、新しいFalcon Heavyロケットのテストフライトに向けての準備も進んでいる。Falcon Heavyは地球低軌道に大重量のペイロードを運び上げることを目的としたヘビーデューティー・ロケットだ。1段目には従来のFalcon 9のブースターを3基束ねたものが用いられている。テスト発射は向こう数週間以内にフロリダ州ケープカナベラルの施設から行われる。

Falcon Heavyは昨年暮にケープカナベラルに到着していたが、いよいよ発射台に垂直に設置された姿を表した。発射を控えて詳細なチェックが行われているところだという。SpaceXは新ロケットのをドローンで撮影した驚くべきビデオと発射台上の巨大ロケットの姿をクリアにとらえた新しい映像を公開した。

Falcon Heavyの発射時推力は226トン以上。これはボーイング747旅客18機の最大推力に匹敵する。現在運用されるものとしては2位を2倍以上回って世界最大のロケットとなる。

Falcon Heavyのトップには大きなカーゴポッドが装着されFHのロゴがはっきり読み取れる。われわれがよく知っているとおり、ペイロードはイーロン・マスクの愛車、チェイリーレッドのTesla Roadsterだ。 実験が成功すればFalcon Heavyはイーロン・マスクの野心的ビジョン、火星植民を実現するために用いられることになる。

しかし今回はなんといってもFalcon Heavyの最初の打ち上げの試みであり、すべてが計画どおりに進まない可能性は十分にある。マスク自身、超特大の火の玉が中継される可能性を認めている。いかにシミュレーションを繰り返そうと、実際の打ち上げはコンピューターが予言するのとは何かしら違ったコースをたどるものだ。

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SpaceX、2017年を18回目の衛星打ち上げ成功で締めくくる――新世代Iridium10基を軌道投入

SpaceXは今年18回目となる衛星打ち上げ成功で2017年を締めくくった。衛星打ち上げ回数として同社の新記録で、昨年の打ち上げ回数を10回も上回った。

今回の打ち上げのペイロードはIridium衛星10基で、Iridium NEXT衛星電話ネットワークの一部を構成する。SpaceXがIridiumを打ち上げるのはこれが4回目のミッションだ。これまで高い実績を上げてきたFalcon 9が今回も打ち上げロケットとして用いられた。2017年1月のIridiumミッションは、実は2016年9月に発射台上でFacon 9が爆発した事故でFacebookのインターネット通信衛星を失うという.悲劇の後の最初の発射だった。

SpaceXはカリフォルニア州ヴァンデンバーグズ空軍基地から打ち上げられた。今回のミッションにはブースターの回収は含まれていなかった。打ち上げが日没前後だったためロサンゼルス周辺では息を呑むようなスペクタクルとなった。大勢の住民がTwitterに動画や静止画をアップした。UFOではないかと驚いた人々もいたようだ。

Iridium NEXTネットワークの目的は世界中あらゆる場所を飛ぶ航空機に常時接続を提供することで、このテクノロジーはまた世界中の船を常にネットワークで結ぶことができるようになる。

SpaceXには次の大きなチャレンジが迫っている。2018年1月に巨大なFalcon Heavyロケットの最初のテスト発射が行われる予定だ。Falcon Heavyは現在ケープカナベラル空軍基地の施設で最終調整が進行中だ。最初のペイロードはイーロン・マスクの愛車のチェリーレッドのTesla Roadsterだという

〔日本版〕Falcon 9の打ち上げとほぼ同時刻に日本のJAXAもH-2Aロケットによる科学衛星2基の打ち上げに成功している。

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SpaceXの巨大ロケット、Falcon Heavy、ケープカナベラルで最終調整中

SpaceXは新しい巨大ロケット、Falcon Heavyを2017年中に打ち上げることできなかった。しかしこのモンスターはフロリダ州ケープカナベラルに到着し、打ち上げを控えて各種のテストが行われている。これには静止状態でのエンジンのフル出力テストや最終組立が含まれる。テスト飛行は来年早々に予定されている。

SpaceXのCEO、イーロン・マスクはケープカナベラルの同社施設でほぼ組み立てを終えたFalcon Heavyの写真を公開した。今後ロケットの先端にフェアリングやペイロードが取り付けられることになる。横に3本並んでいるのはそれぞれが9基のMerlinエンジンを搭載したブースターだ。このブースターは基本的に現在打ち上げに用いられているFalcon 9のブースターと同じものだ。しかも左右に取り付けられたブースターはSpaceXの過去のミッションですでに飛行したブースターだという。

Falcon HeavyはSpaceXの新しいハイキャパシティー打ち上げシステムで、最大63トンのペイロードを低軌道に投入する能力がある。SpaceXは1回のミッションで多数の衛星を打ち上げることができるようになる。あるいはまったく新しい大型のペイロードを扱う能力も得る。

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SpaceXではFalcon Heavyのテスト飛行を来年1月に予定している。ペイロードはマスクの愛車、Teslaロードスターだという。最初はジョークだと思われていたが、そうではなかった。もちろんFalcon Heavyの初打ち上げは花々しい大爆発に終わる可能性もなくはない。マスク自身が過去に「ロケットにはいつも打ち上げ直後に炎上する可能性がある」と警告していたとおりだ。

新しいロケットのテストには大きなリスクが付きものだ。Falcon Heavyのような強大な推力のモンスターとなれば、それがどのように作動するかは、いかに地上でテストやシミュレーションを繰り返しても、実際に発射してみる以外に知るすべがない。

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SpaceX、再利用Falcon 9ブースターで再利用Dragonの打ち上げに成功

SpaceXは今回の打ち上げで「経済的な宇宙飛行のためのロケット再利用」という目標に向けてまた一歩前進した。今回のCRS-13ミッションのペイロードは国際中ステーション(ISS)のための補給物資で、すでに宇宙飛行に用いられたDragon補給船とこれもすでに用いられた一段目ブースターを用いたFalcon 9ロケットによって打ち上げられた。補給船とブースターの双方が同時に再利用されたのはこれが最初だ。

今回のミッションは12月12日に予定されていたがSpaceXのエンジニアがFalconの二段目ロケットを再点検する必要を認めたため延期され、12月15日(日本時間12/16)に実施された)。Falcon 9はケープカナベラル空軍基地の改装されたSpaceX用発射台、SLC-40から打ち上げられた。 目的は2.1トンの補給物資をISSに運ぶことだ。〔Dragon補給船はロボットアームで捕獲されISSに取り付けられた〕。

SpaceXはまたFalcon 9のブースターをケープカナベラルのLZ-1着陸施設に無事に回収した。今回はSpaceXにとって今年17回目のの打ち上げとなり、1段目ブースター回収の成功としてはSpaceXの歴史を通じて20回目となる。回収されたブースターは今年6月にCRS-11ミッションで最初に使われたものだが、点検の結果異常がなければ3回目の打ち上げに用いられる。

面白いのはSpaceXはブースターを再塗装していないことだ。打ち上げの前にブースターに付着しているススは前回の打ち上げのときのものだ。SpaceXによれば「飛行性能の改善に役立つと認められないかぎり、今後も外部の再塗装は行わない」という。SpaceXの節約ぶりが伝わってくる。

着陸回収から再打上までのターンアラウンドを24時間以内にして商用打ち上げのクライアントの要求に迅速かつ経済的に応えられるようにするるのがSpaceXの目標だ。長期的にはイーロン・マスクの夢である火星植民計画を実現させるために必須のステップということになる。

〔日本版〕NASAの発表によればDragon補給船は2018年1月にISSを離れ資料・廃棄等を積載して地球に向かう。なおJAXAの宇宙飛行士・金井宣茂(かない・のりしげ)氏ら3名の宇宙飛行士がバイコヌール宇宙基地から打ち上げられISSに向かって飛行中。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスクは彼の個人所有のTesla車を火星の軌道にのせる

これまでで最も強力な再利用可能ロケットであるSpaceXのFalcon Heavyは、その壮大な最初の打ち上げに際して、イーロン・マスク個人の所有するTesla車を搭載する予定だ。

(もともとは11月に予定されていた)打ち上げが2017年内には間に合わないという報告に続けて、SpaceX CEOのイーロン・マスクは、その打ち上げが1月に行われる予定だと述べた。そしてマスクらしいことだが、そこで話は終わらなかった。

マスクは、ロケットに搭載される荷物が、彼自身のTesla Roadster(ミッドナイトチェリー色)であること、そして発射の際にはデビッド・ボウイのSpace Oddityが流されることを発表した(同曲の中にはカウントダウン音声が入っている)。

計画されている目的地は火星である。マスクは、うまくいけば、彼の個人所有の車は、惑星の軌道に「10億年」留まるだろうと語った。

マスクのツイートは、Falcon Heavyの打ち上げが2018年の早期に行われるだろうという報告と共に行われた。

SpaceXの社長であるGwynne Shotwellは、Aviation Weekに対して、同社が2017年末までに、27基のMerlinエンジンを同時に使ったFalcon Heavyロケットの静止点火試験を計画していると語った。それが大きな問題なく進んだならば、実際の打ち上げは数週間以内に行われるだろう。

時間的制約は厳しいものの、イーロン・マスクはイーロン・マスクだ。すれが素晴らしい光景になることは確かだ。

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(翻訳:sako)

SpaceX、謎の衛星Zuma打ち上げへ――11/17 10:00AM(JST) ライブ中継

SpaceXは今日(米国時間11/16)、特殊なペイロードを搭載したFalcon 9を発射する予定だ。打ち上げに適した、いわゆる「ウィンドウ」が開くのは東部時間で今日の午後8時で、およそ2時間開いている。発射はフロリダのNASAのケネディ宇宙センターで行われ、SpaceXはファルコン9ロケットのブースターをケープカナベラルのLZ-1ランディングパッドに回収する予定だ。ただし今回のミッションのいちばん興味ある点は、"Zuma"と名付けられたペイロードそのものだろう。この謎の衛星についてはまったくといっていいほど情報がない。

SpaceXが発表したミッション概要にはペイロードがZumaだという以外、一切言及がない。その存在が発表されたのも法規で必要とされる書類中だけだ。われわれの理解するところでは軍需企業のノースロップ・グラマンがアメリカ政府の代理としてZumaの搭載を仲介したもののようだ。

ノースロップ・グラマンの公式声明によれば、ペイロードは「機密」だそうだ。我々が知っているのはZumaという名称と打ち上げは低軌道に対して行われるということだけだ。これだけ秘密なペイロードであれば、Falcon 9の飛行を追跡するライブビデオ中継はペイロードの分離の段階で打ち切られるだろう。ともあれFalcon 9の発射と着陸のもようはライブ映像を見ることができる。

SpaceXは打ち上げウィンドウが開く15分前からライブ中継を開始するはずだ。YouTubeはこの記事のトップにエンベッドしてある。

〔日本版〕現在YouTubeには「5時間後にライブ配信開始 11月17日10:00」と表示されている。

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SpaceX、Falcon 9で韓国の通信衛星打ち上げに成功――ブースターも洋上回収

さきほどSpaceXは今年に入って16回目のFalcon 9による衛星打ち上げに成功した。顧客は韓国の衛星企業KT SATで、フロリダ州のNASAのケネディー・スペース・センターから発射された。ペイロードのKoreasat-5A衛星は静止軌道上からKT SATのユーザーにブロードバンド接続を提供する。

今回の打ち上げでもFalcon 9の1段目(ブースター)は大西洋上を航行するドローン艀、Of Course I Still Love Youの甲板に無事着陸した。

Space Xのブースター回収はこれで19回目の成功となる。最後の回収失敗以後、回収方法にも各種の改修が加えられたが、成功が連続し始めてすでにかなりの期間が経った。ブースター回収により衛星打ち上げのコストを劇的に低下させるというSpaceXの戦略にとって回収の成功が続くことには大きな意味がある。

〔日本版〕上のビデオは16分ごろから中継録画が始まる。Koreasat-5Aタレス・アレニア・スペースが製造した通信衛星で東アジアからペルシャ湾までの地域に衛星ブロードバンド接続を提供するという。

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SpaceX、Falcon 9ロケットの発射と3度目の回収に成功

本日(米国時間10/11)SpaceXはFalcon 9ロケットの今年15回目の打ち上げに成功した。ロケットはフロリダ州のケネディ宇宙センターから飛び立ちEchoStarおよびSESの二重目的ミッションをもつ衛星を搭載している。今回打ち上げに使った第一段ロケットは2月に宇宙ステーションの補給ミッションで飛んだ後回収され、SpaceXによって修復された。

LC-39Aの発射は、6:53 PM EDTからのSpaceXの発射時間帯の初期に実行された。積載された通信衛星はクライアントであるEchoStarのKuバンドおよびSESのCバンド両方の送受信が可能だ。

SpaceXは、第一段ロケットの回収に再び成功した。これは、状態がよければ使用したFalcon 9を3度目の飛行に利用できることを意味している。着地したのは大西洋上のSpaceXのドローン船 “Of Course I Still Love You” 。SpaceXにとって、Falcon 9第一段ロケットの18回目の着陸成功だった。

これはSpaceXにとって、月曜日午前のイリジウム-3ミッションに続く、今週2回目の打ち上げだった。将来SpaceXは、打ち上げのペースを早めるだけでなく、ロケットを24時間以内に再利用したいと考えている。同じ週に複数のロケットを打ち上げられるようになれば、長期計画にも良い影響を与える。

発射からおよそ30分後、SpaceX Falcon X第二ステージは、積荷を目標軌道に配置することに成功し、SpaceXにとって本ミッション全体が成功裏に終わった。

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SpaceX、イリジウム衛星10基の軌道投入に成功

今朝(米国時間10/9)、SpaceXはカリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地から今年14回目となるFalcon 9の打ち上げを行った。ペイロードは10基のイリジウム(Iridium)衛星で、SpaceXはすべての衛星が所定の軌道に投入されたことを確認した。今回の打ち上げはSpaceXによるイリジウム打ち上げの3回目のミッションで、Iridium NEXT衛星電話システムを完成させるためには合計8回の打ち上げが必要とされる。

SpaceXは今回もFalcon 9の一段目ロケットの回収に成功した。一段目は太平洋上のJust Read The Instructionsという船名の自動航行艀に着陸した。

今回のミッションの目的はもちろん衛星打ち上げであり、発射1時間後にSpaceXは10基の通話衛星がそれぞれ計画された軌道に乗ったことを発表した。

SpaceXはこのすぐ後、10月11日にもさらにFalcon 9の発射を予定している。これはEchoStarとSES共同の高出力通信衛星でフロリダ州のケネディー宇宙センターから打ち上げられる。このFalcon 9の第1段はすでに打ち上げに用いられ、回収された機体で、これまで再利用のための整備が行われていた。

〔日本版〕イリジウム衛星電話は日本ではKDDIが運用窓口となっている。

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SpaceXのDragon補給船、無事帰還――12回目のISS物資補給任務も成功

SpaceXはDragon補給船がISS(国際宇宙ステーション)から実験資料などを搭載して無事に地球に帰還したことを発表した。カプセルは予定通り太平洋に着水したという。Dragon補給船はSpaceXのCRS-12補給ミッションにより8月にISSに向かって打ち上げられた。

Dragonは各種の実験機材を搭載していたが、なかでも重要だったのはHPE(Hewlett Packard Enterprise)が開発したスーパーコンピューターだ。これはハードウェアは強化せずソフトウェアのみ強化したもので、こうした構成で宇宙の厳しい環境に耐えることができるかどうかを実験することになっている。

DragonはISSに約1ヶ月間接続され、その間に各種の実験結果などの物資を積み込んで地球帰還軌道に入った。上層大気での減速、パラシュート展開などもすべて予定どおりだったということなので、貴重なペイロードは地球の科学者たちによって精査されることになるだろう。

今回のミッションはSpaceXにとってISS補給の12回目の成功となる。今回用いられたDragonは新品のカプセルとして最後のものとなる。SpaceXでは今後は補給ミッションで回収したカプセルを再利用していくという。

SpaceXがDragonカプセルを最初に再利用したのは今年の7月だ。イーロン・マスクは、「今のところ再利用は〔使い捨て方式に比べて〕まだ経済的なメリットを得るところまでいっていない」と認めたものの、今後再利用技術が進展するにつれて経済性は大きく改善されるだろうと述べた。Dragonカプセルやブースターの再利用間隔はさらに短縮され、プロセスも効率化されていくものと思われる。

注:トップ画像のDragonカプセルはSpaceXのCRS-10ミッションで使用されたもの。同社は今回のCRS-12ミッションで使用されたカプセルの写真を公開していない。写真の公開は一連の回収作業が完了した後になるものと思われる。

〔日本版〕NASAもCRS-12補給カプセルの着水を確認。ただし同サイトの写真も以前のミッションのストック写真。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Elon MuskがSpaceX宇宙服の全身ショットを初お披露目

Elon Muskが社内でデザインしたSpaceX宇宙服の写真を披露した。これは、同社によって作成された新しい宇宙服のデザインを、Muskが公開した2枚目の写真だ。なお全身が見えるのは今回が初めてである。

最初の写真は頭部と肩に焦点を当てたもので、色の付いたフルフェイスマスクのヘルメット、角張った肩、そして白黒のデザインを見せていた。今回の写真は、宇宙服を(SpaceX初の有人打ち上げで使用する)Crew Dragonカプセルと並べて見せたものだ。

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Crew Dragonの横に立つ宇宙服を着た宇宙飛行士

このスーツの全身ショットは、屈曲時の可動性を確保する柔らかな膝を特徴とするズボンとともに、初めて手袋とブーツのデザインを明らかにしている。背中には、カプセル内に座っている間快適に過ごすのを助けるような、黒い詰め物の領域があるように見える。

ブーツはとても軽量に見えるが、おそらく移動性のために最適化されているだろう。いずれにせよ、この宇宙服は船外活動(EVA)のためにデザインされたものではない。宇宙飛行士たちがカプセルの中にいる間に保護を提供するために作られたものだ。また完全に真空状態に晒されるのではなく、ある程度空気が存在する状況下での他の宇宙船(例えばISS)への移動の際にも用いられる。

以下に示したのが、以前公開されたヘルメットショットだ:

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SpaceX宇宙服の最初の写真。この先数日で更に枚数が増える予定。実際に機能するというところに注目すべき価値がある(モックアップではない)。各種真空テストも行われている。美しさと機能のバランスをとるのは非常に難しかった。別々ならば簡単なのだが。

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(翻訳:Sako)