AmazonやGoogleなどテクノロジー大企業に対するフランス新税制が成立へ

やるのか?やらないのか?何年も行ったり来たりを繰り返した挙句、巨大テクノロジー企業に対するフランスの新税がやっと法律で決まりそうだ。フランスで大きな売上を上げているテクノロジー大企業は、フランスで得た売上に課税されることになる。

ブリュノ・ル・メール経済大臣は新税のためのロビー活動で、大型テクノロジー企業が、実質税率を下げるためにヨーロッパの法人の構成を最適化しないよう働きかけてきた。最初大臣は、ヨーロッパの他の国もそうすることを望んでいた。

でもそうやってヨーロッパの全体の税制改革になれば、全会一致の票決が必要になる。そしてル・メール氏に全員を説得する力はない。

でも彼は、何かできないかと考えた。そこからひねり出されたのが、テクノロジー企業に対する今回の新税で、対象は全世界売上が7億5000万ユーロ(約937億円)以上、その内フランスでの売上が2500万ユーロ(約31億円)以上の企業だ。

AmazonやUber、Airbnbのようにマーケットプレースを、あるいはFacebookやGoogleやCriteoのように広告ビジネスをやっているなら、その企業はフランスでの売上の3%を払う。米国の企業だけが対象ではなく、ヨーロッパやアジアの企業も課税される。

それはおかしな課税方式で、利益ではなく売上に課税される。また「フランスでの売上」の「フランスでの」の定義が独特で、買い手の通常のアドレスだけでなく、メールアドレスやIPアドレスでもフランスと判定するので、政府の税務当局による精査を必要とする。そこでこの税制によると、2019年の課税対象売上は4億ユーロ(約500億円)になるという計算だ。

いろいろ話を聞くと、フランスのテクノロジー業界の連中は、この新税は政府のスタンドプレーにすぎない、と見ている。OECDは今でもテクノロジー企業への課税に関して、一連の標準化された規則による適切な課税方式を検討している。

OECDの案がまとまるのは2年先だが、それは利益をベースとし、数十カ国にわたって状況を明らかにするつもりだ。それは、今日の新税をリプレースするだろう。

課税反対派だと誤解しないでほしい。テクノロジー分野の大企業に課税することは重要だし、テック企業はすでにあまりにも長年、脱税で罰金を取られてきた。でも、今回のフランスの税制は拙速だと感じる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple、EUの追徴税150億ドルの支払いを完了

Appleは、不法な税優遇で得た100億ユーロを超える資金をアイルランド政府に返還した、とReutersが伝えた。Appleは、追徴金153億ドル(131億ユーロ)に加えて14億ドル(12億ユーロ)の利息を払った。

2016年8月、欧州委員会はAppleが2003年から2014にかけて不当な税優遇を受けていたという裁定を下した。特に同社はアイルランドにもっと多く納税すべきだった——はるかに多く。EUの競争担当委員、Margrethe Vestagerは、[アイルランドでの]Appleの実質的法人税率は予想よりもよりもずっと低かったと語った。

当時多くのグローバル企業がダブルアイリッシュと呼ばれる方法を利用して、利益のごくわずかな割合に対して法人税を支払っていた。Appleはすべて合法であると主張し、アイルランド政府もAppleを擁護した——おそらく、巨額の罰金がビジネスに悪影響をもたらす恐れがあるため。

欧州の各国政府の陳情によってダブルアイリッシュは2014年に終了した。Appleは同じ時期に国外利益の一部をジャージー島に移転した。

現在巨額の現金はエスクロー口座に置かれている。Appleは2016年にEUの決定に意義を申し立てた。この手続には最大5年を要するため、アイルランド政府は当分Appleの資金を手にすることがないだろう。

欧州の税制改革を追いかけている人なら、フランス、ドイツ、スペイン、およびイタリアが、巨大IT企業に対して、欧州の各国で実際に得た利益に基づいて課税する税制改革を協議 していることを知っているだろう。そうすることで、IT企業は法人税率の低い一国だけで利益を計上することができなくなる。

しかし、どうやらこの改革は一部の国々の反対によって停滞しているようだ。この種の改革法案を通過させるためには全会一致が必要だ。このため、改革が実施されるかどうかは不透明だ。

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オーストラリアの人たちは7月からAmazonのアメリカのサイトで買い物できなくなる

7月からは、オーストラリアの人はAmazonのアメリカのサイトで買い物ができなくなる。今日(米国時間5/30)の同社の発表によると、オーストラリアからの買い物客は自国のサイトAmazon.com.auへリダイレクトされ、同社の国際的なサイトであるAmazon.comはオーストラリアの住所に発送をしない。この変更は7月1日に施行される新しい税制への対応で、それによると年商75000AUD(オーストラリアドル)以上の企業から消費者が少額品目を輸入すると、それに対し10%のGoods and Services Tax(商品およびサービス税, GST)がかかる。

“Amazon税”と呼ばれるこの新しい施策は、Amazonなどの大きな海外eコマース企業が、すでにすべての販売品目でGSTを払っているオーストラリアの小売企業に与える、影響への懸念により導入された。これまでは、海外小売企業から買った品目が1000ドル以上だった場合に限りGSTが適用されていたが、それに対し地元企業は、それではAmazonやeBayなど海外の競合他社にとって不公平に有利だ、と主張していた。

Amazonのオーストラリアサイトは昨年12月に開設され、今では6000万品目を扱っているという。それはAmazonのアメリカサイトの推定5億品目の足元にも及ばない。その埋め合わせとしてオーストラリアの顧客は、Amazon.comが新たに設けたGlobal Storeで400万品目にアクセスできていた。

本誌TechCrunchに宛てたメールでAmazonのスポークスパーソンは次のように述べている:

“7月1日に施行されるオーストラリアのGST法の改正により、オーストラリアの顧客のための国際的ショッピングオプションが変わる。

これによって顧客にご不便が生ずるとしたらそれは残念だが、われわれは複数の国際的サイトのあるグローバル企業として、その税制への有効な対応策を検討せざるをえない。そしてその検討に基づき、われわれはオーストラリアの顧客を弊社の国際的サイトからamazon.com.auへリダイレクトし、今日からそこで、従来Amazon USのGlobal Storeで売られていた製品をお買い上げいただくことになる。これによってわれわれは、われわれの顧客に、国際的な特選製品へのアクセスを提供し続けることができ、そしてまた、Amazonのサイトで売られ海外から発送される製品に対してはGSTが課税されるという、新しい税制へのコンプライアンスを維持できる。”

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米国国税庁の支払いサイトが、納税期日にダウン

Twitterが短時間止まるだけでも十分なストレスだが、税金の支払いをぎりぎりまで待っていた人たちにとっては、はるかにクラッシュが心配なサイトがある。米国国税庁のオンライン支払いサイトが、納税期日当日にダウンした

トラブルはすでに数時間続いており本稿執筆時点もまだつながっていない。サイトを訪れた人は、大きな感嘆符のついた赤いバナーに「警告:本サービスは現在利用できません。ご不便をおかけして申し訳ありません」と書かれたページに出迎えられる。

このサイトは、当座預金または貯蓄預金からの支払いを専門に扱っている。クレジットカードかデビットカードで払うという回避方法もあるようだ —— ただし、その場合は手数料がかかる。もっとも、2ドルか4ドルで安心を買えるなら払う価値はあるかもしれない。

IRSは、これは技術的ミスによるものでありハッキングなどの不正行為が原因ではないと考えている。締め切り間際の高負荷が理由である可能性もあるが、電子送金サイトにとって納税期日にダウンするのは、ワールドシリーズ第7戦で満塁ホームランを打たれるようなものだ。

「現在問題解決に全力を尽くしているので、納税者は通常通り申告されたい」とIRSのDavid Kautterコミッショナー代理が発表したことをWashington Postが伝えた。同氏は「これはIRSの技術的問題なので支払いの遅れは罰則の対象にならない」ことも付け加えた。

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フランスの財務検察官は、Googleフランスを1年前から秘密裏に捜査していた

DUBLIN, IRELAND - APRIL 19:  (FRANCE OUT) A general view the Google European headquarters, on April 19, 2016 in Dublin, Ireland.  (Photo by Vincent Isore/IP3/Getty Images)

Googleは完全に不意をつかれた。先週、100名近いフランス国税庁(Direction générale des Finances)職員が、Googleのパリ事務所に立ち入り、税法違反を捜査した。フランスの財務検察官、Éliane HouletteはEurope 1に、彼女のチームが一年近く前から秘密裏にこの強制捜査の準備を進めていたことを語った。Googleは、18億ドル(16億ユーロ)の罰金を課される可能性がある。

Houletteのチームは、この捜査に関して少々偏執狂気味だ。Googleの規模と広がりを踏まえ、チームは極めて注意深く行動し、Googleはパリ事務所への立ち入り捜査を全く予期していなかった。押収する前に会社がファイルの隠蔽を行うことは避けなくてはならない。

このため国税庁内部でもHouletteがこの捜査に本腰を入れていることを知る人は殆どいなかった。彼女のチームはGoogleに言及する際「チューリップ」というコードネームを用いていた。

「われわれはこの会社の特質を踏まえ、完全な秘密裏に捜査に取り組んだ」とHouletteがEurope 1に語った。「秘密を守るために、われわれはGoogleに別の名前(チューリップ)を付け、Googleの名前は決して口にしなかった。そしてこの一年間近く、捜査はオフラインで行ってきた。コンピューターを1台使ったが、ワードプロセッサーとしてのみだった。

最終結果は数テラバイトのデータだ。このデータすべてを処理するには、何ヶ月、いや何年もかかるだろう、とHouletteは言っている。

多くの人々が、果たしてフランスは英国のような税取引きを行うのだろうかと質問している。フランスのミシェル・サピン財務大臣はロイターに、取引は一切しないと伝えた。Houletteはさらに、フランスの法制度にそのようなしくみはなく、フランス政府がGoogleと取引きを行う術はないと話した。

残る可能性はひとつ ― 裁判だ。この裁判は何年にもわたるかもしれず、厄介な状況になりそうだ。フランスでビジネスを行うことに関して、この国のイメージを悪くしかねない。Houletteはそれも承知しているので、この財務検察官が取引きや裁判に代わる方法を見つけられるかどうか注目したい。

Googleの税体系に対するフランスの捜査は、2011年に始まった。Googleによると、同社はフランスでさほど事業を展開していない。事務所のマーケティングチームは持っているが、営業チームはない。このためGoogle Franceの売上は殆どがアイルランドのGoogleヨーロッパ本社へ送られ、フランスには多くの税金を払っていない。

Googleは、Google Ireland Limitedの資金の殆どをGoogle Netherlands Holdings BVに送金し、ここからGoogle Ireland Holdingsに資金が送られる。

その名前とは裏腹に、Google Ireland Holdingsのコストセンターはバミューダにあり、Google Bermuda Unlimitedと呼ばれている。そしてこれが、銀行口座をバミューダに置きながらフランスで儲けるしくみだ。バミューダには法人税がそもそも存在しない。

多くのヨーロッパ企業が多かれ少かれ同じ手順で税率を下げている ― そしてこれは合法である。しかしフランスGoogleの主な問題は、国税庁がGoogleはフランスでマーケティング以上のことをしていると考えていることだ。アイルランドの契約先にフランスの会社がある場合、それはフランスの課税対象になる。よって捜査は始まった。

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