【スタートアップバトルへの道】「人生の一大ページのひとつになった」2018 Finalist / Eco-Pork #1

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も1114日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。TC Tokyoで毎年最大の目玉となるのは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は916日、本登録は9月末まで

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連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ、計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞いている。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルファイナリスト、Eco-Pork代表取締役の神林隆氏。2回に分けてお送りするインタビューの前半では、出場を決めたいきさつ、準備の状況や登壇時の印象について話を聞く。

人生で初めてのピッチに臨む

Eco-Porkは、世界のタンパク質不足という課題を“養豚×テクノロジー”の力で解決しようというスタートアップ。提供するのはクラウド型の養豚経営支援システム「Porker」だ。Eco-Porkを創業した神林氏は以前からTechCrunch Japanの読者で、TC Tokyo開催の紹介記事を読んでスタートアップバトルを知り、応募したそうだ。申し込み後、CFOから「TC Tokyoには出ておいた方がいい」と言われたので「もう申し込んだよ」と答えたという。

Eco-Pork代表取締役の神林隆氏

「2018年9月、SaaSプロダクトのPorkerを正式にリリースして世の中に受け入れられ始め、プロダクトも形になってきたところだった。Porkerの後、今後不足するタンパク質の中でも割合の多い、豚肉の生産性向上と資源効率化について訴え、ちゃんと説明したいと考えていたところで、いいタイミングだった」(神林氏)

とはいえ「TC Tokyoが人生で初めてのピッチだった」という神林氏。実は「生徒会長みたいなこともやったことがなかったので、演説もしたことがなかった」という。神林氏は「自分が伝えたいことは何か、考え抜くというそもそもの部分に丸一日使った」と語る。

「製品がどう、ということじゃなくて、平成29年11月29日、“いい肉の日”に創業したのは『タンパク質がある未来を人類に残そう』ということだった。そこからブレイクダウンして、豚肉の生産性向上と資源効率の向上のために何ができるか、ということで、そもそもの事業ドメインやミッションの部分をクリスタライズし、モヤモヤした思考を形にすることに時間をかけた。それが結果としてファイナルラウンド出場につながったんだと思う」(神林氏)

話のコアの部分を固めた神林氏は、その後2日ほどかけて構成づくりを行ったが、事前審査の面接で「資料に文字が多すぎる」と言われたそうだ。「コンサルティングファーム出身だからか、何でも文字で説明しておかないと不安で、すぐに文字に逃げてしまう。『もっとそぎ落として、魂の言葉を書いた方がいい』とアドバイスされた」(神林氏)

そこからさらに2〜3日かけてファイルを完成させ、本番前は3〜4時間ぐらいかけて練習を行ったと神林氏はいう。TC Tokyo初日のバトルファーストラウンドでは、3分の持ち時間でプレゼンテーションが行われる。対して、決勝ラウンドでは持ち時間は5分。決勝向けにロングバージョンを用意しておいて、初日用に縮めるプレゼンターも結構多いのだが、神林氏は「3分間、魂の言葉を用意して、ファイナル進出が決まったその日の夜に5分版をつくった」と話している。

「3分版では早口だったので、5分版では抑揚を付け、そもそもの思いも入れ込んだ。その部分はゆっくりと、なぜこの事業を始めるに至ったのかを、ストーリーにするようにした」(神林氏)

TC Tokyoは思いを伝えられる場

当日の出場者控え室では、ピッチコンテストへの出場経験がある人が多く、それぞれが顔見知りで挨拶などを交わしている中で神林氏は「みんな場慣れしている感じで、孤独だった」と印象を語る。「だけどそれが、逆によかったように思う。ピッチ慣れしていないので、自分に向き合ってプレゼンを組み立てられた」(神林氏)

同じ出場者として印象に残ったのは、バトルを制して最優秀賞を獲得したムスカだと神林氏は振り返る。「プレゼンにも感動したが、僕らは食糧危機を解消しようという点では志を同じくする会社同士。控え室で串間会長(ムスカ創業者で現会長の串間充崇氏)が、流郷さん(当時の暫定CEO、現在は代表取締役CEOの流郷綾乃氏。当日プレゼンを担当)を励ましているのを楽屋で聞いていて、実は僕も勇気づけられてピッチに臨めた」(神林氏)

神林氏は「TC Tokyoは思いを伝えられる場。僕がそこへ出たいと考えたのも、Eco-Porkの事業を自分だけが見ている夢でなく、みんなで見る夢として強くしたかったから。串間さんがつくった夢を流郷さんが自分の夢に置き換えて進んでいるのを見て、うらやましくもあったし、『こういう会社は強くなるだろうな』とも思った」と話している。

いざ、登壇してみての感想はどうだったのだろうか。神林氏は「はじめて1000人ぐらいの人を前に話すことになって、壇上へ上がった瞬間には『こんなにも聞いてくれる人がいるんだ』と感動した」と述べている。初日のプレゼンと質疑が終わった時には「人生で一番やり切った感じだった」という神林氏。ファイナルラウンド進出が発表されたときには「人生で初めてガッツポーズをしたんじゃないか」というぐらい、うれしかったそうだ。

「自分が見ていた夢を伝えて、みんなの夢にしたい、と思っていたことを、3分のプレゼンと質疑応答で説明し切れたことがうれしかったし、また明日も説明できるんだ、ということもうれしかった」(神林氏)

出場から審査発表までの一連の記憶について「確実に人生の一大ページのひとつになっている。今でも会場の絵が思い浮かぶ」という神林氏。これから出場を目指す起業家には「想像よりすごいよ、と伝えたい」と話している。

「舞台はキラキラしていて、スモークがたかれ、華やかなライトを浴びる。舞台袖から、光の差す方へ向かって段を上がり、会場に向いたとき『がんばらなきゃ』と思った。ちゃんと練習していなければプレゼンでコケる可能性もあるけれど、僕はあれを経験できてよかったと思う」(神林氏)

 

インタビューの後半では、バトル出場による社内外の変化や今後のサービス展開などについて聞く。

 

なお現在、スタートアップバトルの応募だけでなく、TechCrunch Tokyo 2019のチケットも販売中だ。「前売りチケット」(3.2万円)をはじめ、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)など。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。

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TC Tokyo 2019団体チケット販売開始、5人以上の申し込みで1人あたり2万円に

11月14日(木)と15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」。

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現在、「前売りチケット」(3万2000円)、設立3年未満(2016年10月以降に設立)のスタートアップのみなさんに向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、設立3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)、学生向けの学割チケット(1万8000円)を販売中だ。

TechCrunch Tokyo 2019ではすでに、トヨタ自動車の子会社で自動運転を研究しているTRI-AD(Toyota Research Institute – Advanced Development)のジェームス・カフナーCEO、世界各地の住所を3単語で表すジオコーディング技術を開発したwhat3wordsのクリス・シェルドリック氏CEO、たこ焼きロボなどの調理ロボットを開発するコネクテッドロボティクスの沢登哲也CEO、自動運転OS「Autoware」の開発者でありティアフォーの加藤真平取締役会長兼CTOの登壇が決まっている。このあとも登壇者情報を続々とアップしていく予定だ。

TRI-AD(Toyota Research Institute – Advanced Development)のジェームス・カフナーCEO

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what3wordsのクリス・シェルドリック氏CEO

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コネクテッドロボティクスの沢登哲也CEO

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ティアフォーの加藤真平取締役会長兼CTO

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例年、登壇者の情報があまり決まっていない7月、8月に2万円の超早割チケットを販売しているが、登壇者が続々と告知される9月以降も超早割と同じ価格でチケットを購入する方法がある。企業や団体、仲間内で5人以上がTechCrunch Tokyo 2019に参加するならぜひ団体チケットを購入を検討してほしい。5枚以上の購入が前提なので10万円以上となるが、イベント当日まで一人あたり2万円で購入できる。なお、10万円以上のチケット代金の場合は請求書払いも可能だ。

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現在、「スタートアップバトル」の募集も受け付けている。法人設立3年未満、ローンチ1年未満のプロダクトやサービスを持つ新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げる、TechCrunch Tokyoの目玉イベントだ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は9月16日、本登録は9月末まで

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【スタートアップバトルへの道】「今秋には新発表も予定」2018 Finalist / エアロネクスト #2

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も1114日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。TC Tokyoで毎年最大の目玉となるのは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は916日、本登録は9月末まで

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連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ、計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞いている。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルファイナリスト、エアロネクスト代表取締役CEOの田路圭輔氏。2回に分けてお送りするインタビューの後半では、スタートアップバトル出場後の社内外の変化や今後の同社の展望について話を聞く。
(バトル出場までの経緯や準備などについて聞いた、インタビュー前半はこちらから)

バトル後にドローン関連のほぼ全企業からアプローチ

TC Tokyo 2018 スタートアップバトルでは、書類選考に通過した20社の中から、ファイナルラウンド進出6社に勝ち残ったエアロネクスト。同社は、ドローンの機体軸がブレることなく飛行するための重心制御技術「4D GRAVITY®」をはじめとした技術の研究開発を行っているドローンスタートアップだ。

中国・深センで開催された国際ピッチ大会に出場するため不在だった田路氏の代わりに、TC Tokyoでは、エアロネクスト 空力研究所 上席研究員の大河内雅喜氏が登壇。その模様を田路氏をはじめとした訪中メンバーは、リアルタイムのオンライン中継で応援していた。

前編でも紹介したとおり、エアロネクストは惜しくもTC Tokyoでは優勝を逃したのだが、バトルで大河内氏とともに戦い、最優秀賞を獲得したムスカの代表取締役CEO流郷綾乃氏について、田路氏は「すばらしいプレゼンだった」と感想を述べている。流郷氏とは、ほかの場面でも交流があるという田路氏は「その後の活躍もすばらしい」と続け、「彼女とは今でも交流があるが、TC Tokyoをきっかけに勢いがついた、ひとつの節目だったと聞いている」と明かす。

そんなエアロネクストも、バトル出場後に環境が「激変した」という。「国内開催の4つのピッチイベントに集中参加したことが、狙い通りに効果を上げた」と語る。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏

「僕らは技術と特許ポートフォリオの会社。メーカーではないし、サービスプロバイダーでもない。最終的なエンドユーザーは事業者だが、彼らに直接僕らの技術を売るわけではない。ドローンメーカーに採用してもらい、そのメーカーがつくった機体を使うサービスプロバイダーが、点検事業者や物流事業者にサービスを導入していくという構造だ。だからドローンメーカーに技術を採用してもらう必要はあるのだが、メーカーに技術を売りに行くのではなく、最終ユーザーである事業者に、僕らの技術が欲しい、必要だと言わせたかった。事業者からメーカーへ『4D GRAVITY®を搭載したドローンを早くつくってくれ』と言わせるための戦略が、ピッチで優勝することだった」(田路氏)。

ふたを開けてみると「本当にそうなった」と田路氏。「4つのピッチが終わった後、日本でドローンに関わる会社のほぼ全社から僕らのところにコンタクトがあった。『あなたのところの技術を搭載したドローンが買いたい』『どこにいけば買えるのか』という問い合わせがたくさんあって、結果としてドローンメーカーに対して『4D GRAVITY®を搭載したドローンを早く提供して欲しい』という空気になった」という。

「ドローン産業の中で僕らの技術が注目されたこと、スタートアップの中で注目され知名度が上がったこと。その点ではピッチの成果は非常にあった」(田路氏)。

ドローン大国・中国でも評価、資金調達にも影響

エアロネクストの技術を搭載したドローンをつくる企業は現在、複数社出ており、ちょうど4D GRAVITY®の採用製品が作られているとのこと。「来年ぐらいになれば、複数のドローンメーカーから僕らの技術を積んだドローンが出荷されることが見えている」と田路氏はいう。

さらにTC Tokyoと同日開催だった国際ピッチ大会での入賞の反響も大きく、今年5月には深センに現地法人を設立した。コンシューマードローンでは同じ深センのDJIが有名だが、産業ドローンでは科比特航空科技(MicroMultiCopter Aero Technology:MMC)が最大手のひとつ。このMMCがエアロネクストの技術を評価し、6月に戦略的提携も発表された。

「こうして、中国・深センでも僕らの技術を搭載したドローンがつくられ始めている。僕らが目指す『産業ドローンの標準技術として、僕らの重心制御技術が採用される』という流れは、日本のみならず、世界で最も進んだドローン大国である中国でも評価されるところまで来た」(田路氏)。

そのほか、資金調達にもピッチコンテストへの参加、入賞が影響していると語る田路氏。現在はシリーズAラウンドのクローズに向けて調達を進めているところで「大きな調達もでき、何とか次のステージへ進めるかな、というところ」だと述べている。

「守りの特許」から「技術を流通させるための特許」へ

TC Tokyoで紹介され、注目を集めたドローンの重心制御技術4D GRAVITY®。だがエアロネクストでは、それだけではなく、さらに次の展開を睨んでいる。「僕らは無人航空機という領域で、未来へ向けて何世代も先の機体フレームを発明している」という田路氏。「今年の秋ぐらいには、新しい機体フレームの発表を控えている」とのことで、新しい機体フレームの中には人が乗ることができるものも含まれるという。

「僕らのビジネスモデルではまず、発明がある。無人航空機の機体フレームの何十年か先を予測して、発明をし、特許を出願する。特許出願と同時にプロトタイプを開発し始め、世の中にプロトタイプを発表する頃には、コア特許がほぼ成立する見込みが立っている。プロトタイプが市場から評価され、量産したいという話になる頃には、技術をライセンスするのに必要な、およそ50〜100件ぐらいの特許がポートフォリオとして構築されていて、世界各国の企業にライセンス可能な状態になっている、という構造だ」(田路氏)。

田路氏は「僕らの会社は特許という経営資源の存在を、大きく変えようとしている」と語る。「これまでの特許は、自分たちの製品が他人から侵害されたり、刺されたりしないように取得する『守りの特許』だった。製品を作り続けるためのものなので、一度に1つか2つの特許しか取らない。僕らは特許を『技術をメタ化したもの』と捉えている。技術を流通させるには、時間がかかり、エネルギーがすごく要る。それを特許という形式にメタ化して、技術の流通スピードを高めることができる。技術を流通させるために特許を使う、というのが僕ら独特のアプローチだ」(田路氏)。

「だからビジネスモデルはライセンスになる」と田路氏。「僕がなぜライセンスというビジネスモデルが好きかというと、世界シェア100%が狙えるから。自分で製品を作ると100%シェアは絶対に起こりえないが、唯一100%シェアを達成できるのがライセンスモデル。実際にシェア100%というのは難しいかもしれないが、理論上シェア100%が実現可能な仕組みなので、好んでビジネスモデルに採用している」と述べている。

「ピッチの結果もあり、何とかいいところまで来た。ここからまた新しいチャレンジが続いていくが、チーム全員で頑張っていきたい」(田路氏)。

 

なお現在、スタートアップバトルの応募だけでなく、TechCrunch Tokyo 2019のチケットも販売中だ。「前売りチケット」(3.2万円)をはじめ、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)など。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。

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TC Tokyo 2019にティアフォー加藤CTOの登壇決定、自動運転OS「Autoware」の開発者は何を語る?

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だが、今回4人目の登壇者を紹介できることになった。ティアフォーで取締役会長兼CTOを務める加藤真平氏だ。同氏は現在、ティアフォーでのCTO業務のほか、東京大学大学院・情報理工学系研究科の准教授、名古屋大学未来社会創造機構の客員准教授、The Autoware Foundation代表理事なども務める。

加藤氏といえば、国内外で200社以上の企業が採用する自動運転OSのAutowareを開発した人物。AutowareはLinuxとROS(Robot Operating System)をベースとしており、人工知能や各種センサーを制御する自動運転の頭脳にあたるモノだ。一般的な自動車はもちろん、トラックや車椅子、ゴルフカードなどさまざまな車両に実装可能なのも特徴の1つ。

現在はオープンソースで公開されているので、誰もが自由に試せるほか、ルールに従って改良を加えることもできる。Autowareの開発コミュニティーは現在のところ800人超となっている。

Autowareを使えば、LIDAR(ライダー、光センサー技術)やカメラ、GPSやGLONASSなどの全球測位衛星システムを利用して、現在位置や周囲の物体を認識しながら、カーナビから与えられたルート上を自律走行できる。自動運転用車両や実験場所などの環境さえ整えれば、自動運転の実証実験をすぐに始められるのだ。もちろん公道を走るには、各国の交通法規やさまざまな道路の形状をAI学習させる必要があるが、多くの企業が自動運転の基礎研究にすぐに使えるOSとして世界各国で注目されている。

さて加藤氏がCTOを務めるティアフォーは、愛知県名古屋市を拠点とする2015年12月設立のスタートアップ。7月4日にシリーズAで累計113億円の資金調達を発表したことで、業界内はもちろん、一般での知名度もさらにアップした。2017年12月に日本初の一般公道でのレベル4(無人運転)の自動運転、2019年2月には一般公道における5Gを活用した遠隔監視型自動運転の実証実験を成功させている。8月には、アップルのMacBook ProのなどのPC製造で有名な台湾クアンタ・コンピュータから10億円を調達し、Autowareを搭載した電子制御ユニット(ECU、Electronic Control Unit)の開発と商用化に共同で取り組むことも発表している。

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自動運転技術開発のティアフォーが累計113億円の資金調達、本格的な商用化目指す
ティアフォーがクアンタ・コンピュータから10億円調達、Autowareを搭載したECU開発が加速

株主には、損害保険ジャパン日本興亜、ヤマハ発動機、KDDI、ジャフコ運営の投資事業有限責任組合、アイサンテクノロジーなどが名を連ねる。損害保険ジャパン日本興亜とアイサンテクノロジーは、自動運転に向けた保険商品の開発で同社と業務提携。ヤマハ発動機は低速自動運転車両の開発力を強化する目的で同社に出資している。KDDIはもちろん5G。低遅延通信と高速大容量通信が特徴の次世代通信規格である5Gをベースとした、通信ネットワークプラットフォームについて同社と開発を進めていく。

加藤氏は、TechCrunch Tokyo 2019で対話形式の公開インタビューであるファイヤーサイドチャットに登壇予定で、5G時代を迎える自動運転の未来についてじっくり話を聞く予定だ。

TechCrunch Tokyo 2019は、10月15日まで前売りチケットを3万2000円(税込)で販売中。10月16日からは4万5000円(税込)の一般チケットの販売に切り替わる。既報のとおり、加藤氏のほか、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOであるジェームス・カフナー氏、地球上を57兆個のマスに分割し3単語で表現するジオコーディングシステムを開発するwhat3wordsのCEOであるクリス・シェルドリック氏、汎用アームロボをチューニングした調理ロボットの開発を手がけるコネクテッドロボティクスの沢登哲也CEOの登壇も決まっている。

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それ以外の登壇者も続々と確定しており、プログラムの大枠は間もなく完成する予定だ。また現在、スタートアップバトルの募集も受け付け中。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

関連記事:TechCrunch Tokyo スタートアップバトルへの道

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TC Tokyo 2019のブース出展と2名ぶんの参加チケットのセット、スタートアップデモブース券発売中

11月14日(木)と15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2019」。現在発売中の「前売りチケット」(3万2000円)は10月15日までだが、設立3年未満(2016年10月以降に設立)のスタートアップのみなさんに向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)は開催日当日まで販売している。

昨年開催されたTechCrunch Tokyo 2018のデモブースの様子。写真は、昨年のスタートアップバトルでファイナリストに選出された、アスパラガスをはじめとする野菜収穫ロボ開発のinahoのブース

また、設立3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)も販売中だ。こちらは会場スペースの都合上、規定枚数が50枚程度と少なく、期間中に販売終了となる可能性もあるので注意してほしい。

TechCrunch Tokyo 2018ではBホールでQ&Aセッションも開催された。写真は昨年登壇したトヨタ自動車の投資子会社であるTOYOTA AI Venturesでマネージング・ディレクターを務めるジム・アドラー氏

例年、スタートアップデモブースは東京・渋谷ヒカリエのBホール中心の出展となるが、ここには今年もTC Loungeと名付けたステージを設け、当日はブースへの取材も入る予定だ。ぜひ出展を検討してほしい。

TechCrunch Tokyo 2019ではすでに、トヨタ自動車の子会社で自動運転を研究しているTRI-AD(Toyota Research Institute – Advanced Development)のジェームス・カフナーCEO、世界各地の住所を3単語で表すジオコーディング技術を開発したwhat3wordsのクリス・シェルドリック氏CEO、たこ焼きロボなどの調理ロボットを開発するコネクテッドロボティクスの沢登哲也CEOの登壇が決まっている。このあとも登壇者情報を続々とアップしていく予定だ。

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たこ焼きロボ開発のコネクテッドロボティクス沢登CEOがTC Tokyo 2019に登壇決定

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また現在、「スタートアップバトル」の募集も受け付けている。法人設立3年未満、ローンチ1年未満のプロダクトやサービスを持つ新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げる、TechCrunch Tokyoの目玉イベントだ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は9月16日、本登録は9月末まで

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【スタートアップバトルへの道】「もう一段レベルアップを図って出場」2018 Finalist / エアロネクスト #1

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。TC Tokyoで毎年最大の目玉となるのは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は9月16日、本登録は9月末まで

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連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ、計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞いている。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルファイナリスト、エアロネクスト代表取締役CEOの田路圭輔氏。2回に分けてお送りするインタビューの前半では、出場までの経緯や準備などについて話を聞く。

国内ピッチ4大会で優勝を狙っていた

エアロネクストは、UAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を追求するドローンスタートアップ。TC Tokyo 2018登壇から約8カ月前の2018年3月に新技術「4D GRAVITY®」を発表している。4D Gravity®は、機体の軸がブレることなく飛行する重心制御技術だ。発表には大きな反響があり、エアロネクストでは2018年6月、プレシリーズAラウンドで資金調達も実施している。田路氏がスタートアップバトルへの応募を決めた背景には、こうした流れの中で「もう一段階、レベルアップを図りたい」との意図があったという。

「エアロネクストは、R&Dスタートアップだ。自分たちから売り込みに行くというよりは、ドローンに対する世間の考えや常識、空気を変えたいと思っていた。ドローンへの先入観や期待を壊しに行こうと考えていた折、ちょうど日本でいくつかのスタートアップ向けピッチコンテストがあったので、集中的に出場しようと計画した」(田路氏)。

田路氏は、2018年秋冬に行われたICC Kyoto 2018、B Dash Camp Fall 2018、TC Tokyo 2018、IVS 2018 Winterの4イベントを1つのパッケージと考え、「すべてのピッチコンテストで優勝を目指していた」と話している。実際に、TC Tokyo以外の3イベントでは同率1位も含め、優勝を獲得している。

実はTechCrunch Tokyo 2018の当日、田路氏は中国・深センにいた。この地で行われていた国際ピッチ大会「創業之星2018」に出場するためだ。「本来は9月に開催予定だったのだが、開催時期がずれ込み、TC Tokyoと重なってしまった。そこでTC Tokyoのほうは、大河内(同社空力研究所 上席研究員の大河内雅喜氏)に託して、自分は中国へ向かうことになった」(田路氏)。

創業之星では3位に入賞。知財戦略を評価され、知的財産賞も受賞した田路氏。TC Tokyoについては、リアルタイムで配信される中継を深センに来ていた他のメンバーと見ていたが、惜しくもファイナルラウンド進出で終わってしまい、「とても悔しく、残念だった」と振り返る。

直前で予期せぬプレゼンター交代

TC Tokyoに登壇したのは、エンジニアである大河内氏だったのだが、もともと自身が出場するつもりだった田路氏は、他のピッチコンテスト同様にプレゼンの準備をしていた。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏

プレゼンでは「みんなが信じていることに対して、最初に疑問を投げかける」ことにこだわっている、という田路氏。いつも「今飛んでいるドローンでは産業にならない」というところから、話をスタートさせるという。

「今あるドローンを、僕は『空飛ぶスマホ』『空飛ぶカメラ』と呼んでいる。みんなドローンに興味があるし、その可能性に盛り上がっているようなところがあるが、このままだと、みんなが期待しているようなドローンの市場は生まれない。それはなぜか……というところを解説していくのが、いつものプレゼンの流れだ」(田路氏)。

「漠然とみんなが感じているけれど、言葉にしていない課題を言葉で提示し、その上で、僕らの技術4D Gravity®がどう有用に働くかということを訴えていく。この流れだけは初めから決めている」と田路氏。自身が登壇する際には、この流れに沿いながら「オーディエンスの反応を見て、プレゼンテーションのトーンやワードは変えている」という。なんとイベントに先立って「練習もしていないし、原稿を書くこともない」そうだ。

「大きな枠組みはあるが、あとは(会場の)雰囲気や感じを見て、ストーリーやトークの強弱を決めている。プレゼン資料づくりも僕自身というより、チームで行っている。役者と脚本家のようなもので、その方が僕はうまくプレゼンができる」(田路氏)。

昨年秋はピッチのパフォーマンスがピークにあった、という田路氏は「TC Tokyoにも、優勝する自信があった」ともらす。プレゼンファイルは田路氏のために用意していたものを、大河内氏が使って登壇したとのこと。「結局、僕のプレゼンストーリーを彼がそのままやる形になり、ちょっとかわいそうだったかなと思う。もう少し時間が取れて、彼が独自のストーリーで、自分のファイルをつくって話せたら、また違った結果になったかもしれない」(田路氏)。

 

インタビュー後半では、スタートアップバトル出場後の社内外の変化や今後の同社の展望について聞く。

 

なお現在、スタートアップバトルの応募だけでなく、TechCrunch Tokyo 2019のチケットも販売中だ。「前売りチケット」(3.2万円)をはじめ、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)など。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。

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たこ焼きロボ開発のコネクテッドロボティクス沢登CEOがTC Tokyo 2019に登壇決定

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だが、今回3人目の登壇者を紹介できることになった。コネクテッドロボティクスで代表取締役/CEOを務める沢登哲也氏だ。

コネクテッドロボティクスで代表取締役/CEOを務める沢登哲也氏

コネクテッドロボティクスという社名を知らなくても、長崎のハウステンボスで昨年7月から1年以上稼働しているたこ焼きロボット「Octo Chef」やソフトクリームロボット「レイタ」を知っている人は多いはずだ。同社は2014年2月設立のロボティクス系スタートアップ。

関連記事:器用にたこ焼きを返す調理ロボットを開発、コネクテッドロボティクスが6300万円調達

特徴はなんといっても、汎用の産業用アームロボットを利用してさまざまな調理補助ロボットを開発している点。食品業界では工場を中心にロボット化は進んでいるが、カスタムメイドのものが多く初期導入コストは数千万円かかる。そのため、資金が豊富で長期的なスケールメリットを生かせる大手企業や、24時間フル稼働する工場を除くと、ロボットの導入は高いハードルとなっていた。

一方、コネクテッドロボティクスが利用するアームロボットは量産化が進んだ汎用品のため、1体数百万円で手に入る。これを同社がソフトウェア制御でチューニングすることで調理補助ロボットに変身させているのだ。同社は高度にチューニングされたこれらのロボットを、飲食業へ人件費1人ぶんもしくはそれ以下のサブスクリプションコストでの導入を考えている、仮に年間人件費1人ぶんがかかったとしても、最初から熟練した技術を持ち、休みなく働け、そして退職リスクがない従業員が1人増えることになる。

すでにセブン&アイ・フードシステムズとの提携が決まっており、関東近郊のイトーヨーカドー内に出店しているファストフード店「ポッポ」に、Octo Chefとレイタを展開することを発表済みだ。10月をメドに関東近郊の1店舗にまず導入し、その後に他店舗に広げていく方針とのこと。

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CEOの沢登氏は、大学卒業後に飲食店に働いた経験があり、本来は食べる喜び、出会う喜び、語らう喜びを人々に提供する場である場所であるはずの飲食店が、敬遠される仕事になりつつあることに危機感を持ち同社を創業。ロボットとの協働によって働く人と食卓での楽しいひと時を過ごす人たちの喜びを取り戻すことを目指している。

TechCrunch Tokyo 2019では対話形式の公開インタビューであるファイヤーサイドチャットに登壇予定で、沢登氏には5G時代を迎えるロボティクスの未来について話を聞く予定だ。

TechCrunch Tokyo 2019は、8月31日まで超早割チケットを2万円(税込)で販売中。9月1日からは3万2000円(税込)の前売りチケット、10月1日かは4万5000円(税込)の一般チケットの販売に切り替わる。

既報のとおり、沢登氏のほか、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOであるジェームス・カフナー氏、地球上を57兆個のマスに分割し3単語で表現するジオコーディングシステムを開発するwhat3wordsのCEOであるクリス・シェルドリック氏の登壇も決まっている。

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それ以外の登壇者も続々と確定しており、9月頭にはプログラムの大枠が完成する予定だ。また現在、スタートアップバトルの募集も受け付け中。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

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【残り3日】TC Tokyo超早割チケット発売中!トヨタのTRI-ADやソニー出資のwhat3wordsの登壇決定

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だ。すべてのゲストスピーカーが確定してない段階だが、今年もコアな読者のみなさんのために「超早割チケット」を用意している。

一般チケットの価格は4万5000円(税込)だが、超早割チケットは半額以下の2万円(税込)。販売期間は8月31日までだ。なお、9月1日から3万2000円(税込)の前売りチケットの販売に切り替わる。

TechCrunch Tokyoは、設立3年未満のスタートアップ企業が競う「スタートアップバトル」や、会場の展示ブースを通じて国内のスタートアップのトレンドを知ることができるほか、国内外から招待した著名ゲストのキーノートスピーチ(基調講演)、ファイヤーサイドチャット(対話形式のトークセッション)、テーマに沿って複数人が議論するパネルディスカッションなど、シリコンバレー発祥のブログメディアの日本版が運営するTechCrunchならではセッションを多数設けているのが特徴だ。

TechCrunch Tokyoの最大の目玉は、何と言ってもスタートアップバトル。例年100〜150社から応募が寄せられ、VCやエンジェル投資家、そしてTechCrunch Japan編集部が書類審査のうえ、20社程度を選抜する。書類審査をくぐり抜けてファイナリストとなったスタートアップ企業だけが初日の本戦に進むことができ、さらに5〜6社に絞られたあとファイナルラウンドに進出し、最終日に最優秀賞を目指して戦いを繰り広げるわけだ。今年はどんなスタートアップが登場するのか、編集部としてもいまから楽しみでならない。

もう1つの目玉は、ファイヤーサイドチャット。国内外のテクノロジーやスタートアップに関連するキーパーソンを招き、毎回TechCrunch Tokyoでしか見られないセッションが目白押し。昨年は海外から、Periscope共同創業者で現在はTwitterのプロダクトリードを務めるケイヴォン・ベイポー氏、トヨタグループのCVCであるToyota AI Venturesでマネージング・ディレクターを務めるジム・アドラー氏、ソフトバンクグループ傘下のArm入りしたTreasure Dataの芳川裕誠氏などが登壇した。

国内では、昨年6月に上場を果たしたばかりのメルカリで社長を務める小泉文明氏、ナイアンテックでアジア統括本部長を務める川島優志氏、登壇直後の12月に100億円キャンペーンを開始してコード決済を国内に一気に広めたPayPayの中山一郎社長、ハリンダー・タカール副社長兼CTOなどが登壇した。

トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)のCEOを務めるジェームス・カフナー氏

what3wordsでCEOを務めるクリス・シェルドリック氏

今年は既報のとおり、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOであるジェームス・カフナー氏、地球上を57兆個のマスに分割し3単語で表現するジオコーディングシステムを開発するwhat3wordsのCEOであるクリス・シェルドリック氏の登壇が決まっている。

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正確な位置情報を3単語で表現する「住所革命」のwhat3words、TechCrunch Tokyoに登壇決定

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それ以外の登壇者も続々と確定しており、9月頭にはプログラムの大枠が完成する予定だ。また現在、スタートアップバトルの募集も受け付け中だ。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

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正確な位置情報を3単語で表現する「住所革命」のwhat3words、TechCrunch Tokyoに登壇決定

what3wordsのCEO、クリス・シェルドリック氏

今年のTechCrunch Tokyoまであと3ヵ月弱!なので当然ながら、登壇者も続々と決まってきている。

本日は、この前に記事でも紹介した英国のスタートアップwhat3wordsのCEO、クリス・シェルドリック(Chris Sheldrick)氏の登壇が決定したことをお知らせしたい。

2013年に創業したwhat3wordsは、地球上を57兆個のマスに分割し3単語で表現する「what3words」というジオコーディングシステムを提供する。マスの大きさは3x3mとなっており、住所よりピンポイントな位置情報を伝えることが可能だ。3つの単語のみで位置情報を表すため音声入力に適しており、メルセデス・ベンツがwhat3wordsを組み込んだ音声入力ナビを装備した車種を発表しているほか、英国では警察や消防、救急などがwhat3wordsを導入している。詳しくはこちらの記事を参考にしてほしい。

ちなみにTechCrunch Tokyo 2019の会場となる渋谷ヒカリエのエントランス付近を表す3つの単語は「きぶん・かまえ・にってい」

what3wordsは既に日本語に対応しているが、シェルドリック氏いわく、今後は日本においての本格的な展開を加速させていく。同氏にはwhat3wordsのビジネスやテクノロジー、どのようにこのアイディアを思いついたのか、同システムの更なる可能性についてなど、詳しく話を聞きたいと思っている。ひょっとしたら何らかのアナウンスメントも期待できるかもしれない。壇上では何らかのデモを行う予定だ、と加えておこう。

現在は学生限定の「学割チケット」(1.8万円)、8月31日まで限定の「超早割チケット」(2万円)、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)の計5種類を発売中なので、気になる方はチェックしてみてほしい。

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【スタートアップバトルへの道】「みんなの頑張りで勝ち取った栄光」2018 Finalist / POL #2

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。毎年最大の目玉は、何と言っても設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は9月16日、本登録は9月末まで

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連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞く。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルのファイナリスト、POL(ポル)代表取締役CEOの加茂倫明氏だ。2回に分けてお送りするインタビューの後半では、出場後の社内外の変化、その後の事業や組織のアップデートと今後の展望について聞く。
(バトル出場までの経緯、登壇時の印象について、加茂氏が語るインタビュー前半はこちらから

悔しがる社員を見て入社を決めたスタッフも

TC Tokyo 2018 スタートアップバトル決勝戦に進出し、さくらインターネット賞、バンダイナムコ賞を受賞したPOL。当日のプレゼンテーションはリアルタイムで配信されていたのだが、それを社内で見ているメンバーもいた。実は、授賞式で惜しくも優勝を逃したのを悔しがる社員たちの姿を見て 「自分も社員としてこのチームに加わりたい」と入社を決めた業務委託スタッフもいるという。

「ファイナル進出も入賞も、僕が勝ち取った栄光というより、みんなの頑張りが認められた、みんなの戦い。だからその瞬間、一致団結感やスクラムできた感じがあった」(加茂氏)。

また「出場したことによって、自分たちが描いていた構想や夢を具現化することができ、YouTubeでピッチ動画が公開されたこともあって、社内へも今まで以上に考えていることが伝えられた」と加茂氏はいう。「事業が間違っていないかどうかはお客さんが決めることだけれども、出場、入賞は自信につながる。社員が自分たちが進めている事業を誇りに思い、自信が持てるようになった」(加茂氏)。

ファイナル出場の効果については対外的にもあったそうで、「当日、出場者向けのブースでさっそく商談があり、後日の問い合わせも増えた」と加茂氏は述べる。プレゼン直後の会場では、著名なエンジェル投資家で顧問的な活動もしている人物から声をかけられ、それが縁で今でも定期的に相談をしているとのこと。採用面談の際にも、TC Tokyo出場が話題になることもあるという。「社外のファンや仲間を見つけることができ、知名度アップにもつながった」(加茂氏)。

POL代表取締役CEO 加茂倫明氏

プロダクトは正式版に、メンバーは4倍へ強化

加茂氏はバトルで、企業が研究開発における産学連携パートナーを探すためのプラットフォームとして、当時ベータ版が提供されていた「LabBase R&D」を主に紹介していた。その後、プロダクトは「LabBase X(ラボベースクロス)」としてアップデートされ、2019年3月に正式版としてローンチ。加茂氏によればサービスは「うまく立ち上がり始めている」とのことで、「数字はこれからだが一定の伸びが出てきた」と出だしは好調のようだ。

また、2017年2月から正式にサービスが提供されている理系学生の採用プラットフォーム「LabBase(ラボベース)」についても、「細々といろいろなアップデートを重ねている」という。「より理系学生の採用につながり、企業の採用工数が減るように改良しており、プロダクトとしての価値を向上させた」(加茂氏)。

組織的にも10人程度だったメンバーが半年で約4倍になり、「エンジニアも、営業やカスタマーサクセスも増えて、組織が強くなった」と加茂氏。「成長のために必要な組織強化がだいぶ進んだところ。いよいよ事業がグロース期へ入るタイミングにさしかかっている」(加茂氏)。

研究に関する課題をすべて解決したい

今後の事業展望について、加茂氏は「科学技術や社会の発展にブレーキをかけている研究領域の課題はいろいろあるが、それらを全部解決したい。日本の科学技術を強くしたいし、それが社会の価値に変わるところをもっと支援したい」として、「やるべきことは、すごくいっぱいある。しかもそれをグローバルでやると決めているので、目指す山は高く、大きな挑戦になる」と述べている。

その中で「今はキャリア支援のLabBaseと産学連携支援のLabBase Xで、やっと2歩目。先は長い」としつつ、「この2つの事業では確実に勝ちきることで、LabTech事業群の地盤固めをする」と加茂氏は言う。そして「今後3年で、今の2プロダクトに、さらに2〜3の新規事業を立ち上げていく」と宣言する。

現在の主力事業はHRTechだが、「POLは人材の会社ではない」という加茂氏。「科学と技術の発展に貢献する新しい価値や事業を創り続けたい。世界中の研究者が研究のあらゆる工程で使うプロダクトや機能、事業を提供して『POLがあったから研究が進み、ノーベル賞が取れた』『POL経由の研究ですごく意義のあるサービスや事業が生まれて、多くの人の命を救った』というところまで持っていきたい」と夢を語る。

「研究者の可能性を最大化するプラットフォームを創造する、というのが我々のビジョン。僕らが提供するプロダクト事業群によって、研究者がポテンシャルを最大に発揮できて、科学や社会の発展スピードが上がれば一番うれしい」(加茂氏)。

体制面でも「今のメンバーが力を発揮できるようにすると共に、強い人材を巻き込んでいきたい」と加茂氏は話す。「単に優秀、というだけでなく、社会を良くしたい、価値ある事業をつくろうという人を巻き込めれば」(加茂氏)。

 

TC Tokyo 2019 スタートアップバトルの詳細はこちら。2019年9月30日までエントリーを受け付けているので、我こそはというスタートアップからの応募を心よりお待ちしている。

 

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TC Tokyo超早割チケットは8月末まで!トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOが登壇決定

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だ。すべてのゲストスピーカーが確定してない段階だが、今年もコアな読者のみなさんのために「超早割チケット」を用意している。

一般チケットの価格は4万5000円(税込)だが、本日発売の超早割チケットは半額以下の2万円(税込)。このチャンスを逃さないでほしい。販売期間は8月31日までを予定しているが、予定枚数に達した場合はその時点で販売終了となる。

TechCrunch Tokyoは、設立3年未満のスタートアップ企業が競う「スタートアップバトル」や、会場の展示ブースを通じて国内のスタートアップのトレンドを知ることができるほか、国内外から招待した著名ゲストのキーノートスピーチ(基調講演)、ファイヤーサイドチャット(対話形式のトークセッション)、テーマに沿って複数人が議論するパネルディスカッションなど、シリコンバレー発祥のブログメディアの日本版が運営するTechCrunchならではセッションを多数設けているのが特徴だ。

TechCrunch Tokyoの最大の目玉は、何と言ってもスタートアップバトル。例年100〜150社から応募が寄せられ、VCやエンジェル投資家、そしてTechCrunch Japan編集部が書類審査のうえ、20社程度を選抜する。書類審査をくぐり抜けてファイナリストとなったスタートアップ企業だけが初日の本戦に進むことができ、さらに5〜6社に絞られたあとファイナルラウンドに進出。勝ち抜いた6社は最終日に最優秀賞を目指して戦いを繰り広げるわけだ。今年はどんなスタートアップが登場するのか、編集部としてもいまから楽しみでならない。

もう1つの目玉は、ファイヤーサイドチャット。国内外のテクノロジーやスタートアップに関連するキーパーソンを招き、毎回TechCrunch Tokyoでしか見られないセッションが目白押し。昨年は海外から、Periscope共同創業者で現在はTwitterのプロダクトリードを務めるケイヴォン・ベイポー氏、トヨタグループのCVCであるToyota AI Venturesでマネージング・ディレクターを務めるジム・アドラー氏、ソフトバンクグループ傘下のArm入りしたTreasure Dataの芳川裕誠氏などが登壇した。

国内では、昨年6月に上場を果たしたばかりのメルカリで社長を務める小泉文明氏、ナイアンテックでアジア統括本部長を務める川島優志氏、登壇直後の12月に100億円キャンペーンを開始してコード決済を国内に一気に広めたPayPayの中山一郎社長、ハリンダー・タカール副社長兼CTOなどが登壇した。

今年は既報のとおり、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOであるジェームス・カフナー氏の登壇が決まっている。8月中にさらに2名ほどの登壇者の情報を公開する予定だ。

関連記事:目指すは「世界で最も安全な自動運転車」、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOがTechCrunch Tokyoに登壇決定

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それ以外の登壇者も続々と確定しており、9月頭にはプログラムの大枠が完成する予定。また現在、スタートアップバトルの募集も受け付け中だ。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

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【スタートアップバトルへの道】「プレゼンは、映画を作るようにつくる」2018 Finalist / POL #1

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。毎年最大の目玉は、何と言っても設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は9月16日、本登録は9月末まで

スタートアップバトルの応募はこちらから

連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年決勝に勝ち残ったスタートアップ計8社に取材。バトル出場までの経緯や出場してからの変化について、登壇者に話を聞く。

今回登場するのは、TC Tokyo 2018 スタートアップバトルのファイナリスト、POL(ポル)代表取締役CEOの加茂倫明氏だ。2回に分けてお送りするインタビューの前半では、バトル出場までと登壇時の印象について話を聞いた。

戦略や世界観の具体化にもいい機会だった

POLは理系学生の採用プラットフォーム「LabBase(ラボベース)」、産学連携を支援する研究者マッチングプラットフォーム「LabBase X(ラボベース クロス)」を提供するスタートアップだ。東大工学部生の加茂倫明氏と元ガリバー専務取締役の吉田行宏氏が2016年9月に共同創業。2017年4月にはBEENEXTなどから5000万円を調達、バトルに出場した2018年11月にはPKSHA Technologyと個人投資家らから資金調達を実施している。

POL代表取締役CEO 加茂倫明氏

加茂氏がスタートアップバトルへの応募を決めたきっかけは、投資家からの紹介だった。実はPOLは、TC Tokyo 2018出場の前に、ICCカンファレンス KYOTO 2017で行われたスタートアップコンテストで優勝を勝ち取っている(その後ICCサミット KYOTO 2018のカタパルト・グランプリでも準優勝)。加茂氏は「ICC KYOTOのコンテスト優勝の際に反響があったので、TC Tokyoで優勝できればさらにPR効果が得られると考えた。採用や法人向け営業はもちろん、優秀な顧問の参画など外部ブレーンを巻き込むためにも、優勝を狙っていた」と語っている。

出場準備には「常に張り付きで準備していたわけではないが、1カ月〜1カ月半ぐらいかけた」という加茂氏。「共同創業者(吉田氏)と資料をつくりながら、プレゼンの練習をするかたちで、一心同体でブラッシュアップを進めた。株主にも見せながら、さらにブラッシュアップをかけていった」と話している。

資料に落とし込むことが「その後の採用や投資家へのプレゼンにも役立った」とその効能を説明。バトル後、ビデオが公開されたことも各所へのアピールになったと加茂氏は語る。

また「PR効果に加えて、戦略や世界観の具体化のためにも、いい機会だった」と加茂氏は述べている。「資料やビデオがかたちになったということに加えて、登壇のための準備プロセス自体に意義があった」(加茂氏)。

夢と足元の堅実さ、両方を示す

加茂氏は「何を伝えるべきか、内容を絞ることを意識した」と、スタートアップバトルのプレゼンテーションで工夫した点について述べている。「POLの事業は、1プロダクトではなく、研究領域の様々な課題を事業群で解決するというものなので、説明が複雑になりやすく、長くなりがち。イベント初日のファイナルで3分、翌日の決勝でも5分とプレゼン時間が短いので、話したいことを絞らないと伝わらない。本当に大事なところだけ話すように心がけた」(加茂氏)。

短く話す練習をしたことで「その後のイベント登壇や採用の面談で自社を紹介するときにも役立っている。突き詰めて端的に話せるようになった」と加茂氏は話している。

内容面では「審査員として名前が挙がっている人たちの顔ぶれからも、仮説を立てた」と加茂氏は述べている。「優勝と入賞とでは効果も全然違うので、優勝にはこだわった。残念ながら審査員賞ダブル受賞という結果になったが、どういう戦いか理解するのは大事だ。初日のグループ戦では同じ組に技術に強い企業が多かったので、僕らは夢と足元の堅実さ、両方を示すことにした」(加茂氏)。

人前で夢を語る好機、短時間だけど楽しかった

登壇時の印象について加茂氏は「会場がきれい。人もいっぱい入っていて規模が大きく、ワクワクした」と振り返る。「自分たちの応援団を増やすきっかけになる。自分たちが手がけていることが伝えられる。起業家にとっては緊張することもいい機会。スタートアップバトルは人前で夢を語る好機だ。短い時間だけど楽しかった」(加茂氏)。

それでも「優勝を逃したのは悔しかった」と加茂氏。「決勝戦での戦い方は見誤ったか」と分析する。「夢の大きさ、ロマンが伝えきれなかったのかな、と。それでも賞を2つもらって、たくさんの人にPOLの取り組みについて聞いてもらえたのはよかった」(加茂氏)。

加茂氏は、プレゼン創りの秘訣を次のように述べている。「プレゼンは、映画を作るようにつくる。聴衆の感情がどう遷移するかを読みながらつくるのが大事」(加茂氏)。

質問には「落ち着いて客観的に答えることが大事。そのためには想定問答集を考えておくこと」と加茂氏はこれからの出場者にアドバイスする。また「プレゼン時間は短く、言いたいことがすべて入れられないこともあるだろう。だから、あえて聞かれそうな部分をプレゼンに入れず、質疑応答で答えるように残しておく手もあるかも」とちょっとしたテクニックも教えてくれた。

 

インタビュー後半では、出場後の社内外の変化、その後の事業や組織のアップデートと今後の展望について聞く。

 

なお現在、スタートアップバトルの応募だけでなく、TechCrunch Tokyo 2019のチケットも販売中だ。社会人など一般向けの「超早割チケット」(2万円)、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)の計4種類。なお、超早割チケットは8月末までの販売となり、9月からは「前売りチケット」(3.2万円)の販売に切り替わる。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。

 

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【スタートアップバトルへの道】「プライシングで社会的なインパクトを」2017 Winner / 空 #2

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。そのTC Tokyoで毎年最大の目玉となる催しは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

関連記事:TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は9月16日、本登録は9月末まで

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連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年の決勝に勝ち残ったスタートアップ計8社に取材。バトル出場までの道のりや出場してからの変化について、登壇者に話を聞く。

今回登場するのは、TC Tokyo 2017 スタートアップバトルで最優秀賞を獲得した空CEOの松村大貴氏。2回に分けてお送りするインタビューの後半では、出場後の社内外の変化や事業のアップデート、今後の展望などについて聞く。
(出場までの経緯や準備、登壇時に感じたことなどについて松村氏に聞いたインタビュー前半はこちらから)

採用活動への寄与は大きい

TC Tokyo 2017 スタートアップバトルで見事優勝を果たした。その後、社内外では何か変化はあったのだろうか。松村氏によれば「社内的には大きな動きではないが、社員は『一気に会社の名前が知られて、友人にもあの会社にいるんだね、と認められるようになった』と話していて、その後の資金調達もこの勢いでがんばるぞ、と士気が高まった」とのことだ。

空CEO 松村大貴氏

「起業をすると誰でも、自分たちがやっていることが本当に正しいのか、世の中に価値あるものをつくれているのか、不安と共にやっている。バトル優勝は、それまでにやってきたことが間違っていないと認められる、ひとつの機会。働く人や顧客にも『僕らの関わる事業』『私たちが使っているサービス』として、一緒にそれを感じてもらえる点が大きいところだ」(松村氏)。

空のプロダクトを利用する顧客企業はホテル業界が中心で、TechCrunch読者が少ないことから、営業面では直接の反響は少ないというが、バトル勝利後に経済紙・誌の取材が増えたことで、PRや営業はしやすくなったようだ。また、採用の面では「かなり強くなった」と松村氏はいう。

「バトルの1年後に『あのとき、会場にいました』という人が入社してきたケースもある。また記事やイベントの動画で空のことを知り、『面白いと思った』という人も多く、採用への寄与が一番強かったのではないか」(松村氏)。

PriceTechに向け、より本格的にチャレンジ

空が最初にリリースしたプロダクトは、ホテルなどに自動で最適な宿泊料金を提示するプライシングサービスの「MagicPrice」だ。そしてスタートアップバトルでは、同社の2つ目のプロダクトで2017年8月にリリースされた、ホテルの市場分析サービス「ホテル番付」が紹介された。

バトル後の約1年後、2018年12月にこれら2つのサービスは統合され、新生MagicPriceとして大幅にリニューアルされた。松村氏は「バトルのプレゼンでは『ホテルには経営指標が必要だ』と訴えたが、同時に『空の事業ドメインはプライシング』とも話していたとおり。空としては、プライシングはより長期で伸ばしたい事業領域。顧客にとっても付加価値が大きい、価格最適化を支援するサービスへ統合した」と説明している。

MagicPriceは同社の「PriceTechにより、世界中の価格を最適化する」との構想に基づき、プライシングの支援サービスとして、顧客数の成長率では1年で5倍以上に実績を伸ばしている。また会社の従業員規模も2倍以上に成長を遂げ、「空という企業のビジョン、ミッション、カルチャーに共感して集まってくれる人が増えている」(松村氏)。

今後の事業展望については「バトル当時に話していた空の未来が実現しつつある」と松村氏は語る。「プライシングはホテルに限らず、さまざまな業界での共通の経営課題だ。実際に最近ではホテル・旅館だけでなく、他業界でプライシングに悩む企業からの問い合わせが来るようになった。不動産関連やメーカー、小売など、さまざまな業種のアンテナ感度の高い企業で、新しい経営改善の手を探している。業界横断でプライシングサービスを展開できるよう、計画してやっていこうとは考えていたが、想定を超えて早く引き合いが来ている」(松村氏)。

今後、PriceTechへの本格的なチャレンジを図る空。松村氏は「プライシングでより大きな、社会的なインパクトがつくれる。最近発表した(2019年5月の)資金調達による後押しも含めて、成長を一気に加速させたい」と話している。

出るなら優勝すべき、プロセス自体もメリット

これからスタートアップバトルへの参加を目指す起業家に対しては、松村氏から「出るなら優勝すべき」と激励の言葉をもらった。「勝てるときに、勝つための練習をして、勝つためのメッセージを磨き込んで、勝つことに執着して出場した方が、意味のあることになる。バトルに優勝したからといって成功が約束されているわけではないけれども、プラスになることは多い」(松村氏)。

また松村氏は「全力で勝ちに行けば、結果が優勝でなくても、自分の会社の経営戦略を考えることとか、自分たちが世の中のために何をしたいのか定義をはっきりさせることにもつながる。出ると決めて、当日までに確固たるものにしていくという、プロセス自体もメリットになる」とも述べている。

「プレゼンのやり方については、型もフレームワークもいろいろとあるので、それほど特殊なことをしなくてもいい。よかったら僕の過去に書いたブログでもいろいろと発信しているので、参考にしてもらえればと思う」(松村氏)。

 

TC Tokyo 2019 スタートアップバトルの詳細はこちら。2019年9月30日までエントリーを受け付けているので、我こそはというスタートアップからの応募を心よりお待ちしている。

 

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TechCrunch Tokyo 2019スタートアップデモブース券を発売中、イベント参加チケット2枚付属

TechCrunch Japanが主催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。今年は通算9回目で11月14日(木)と15日(金)に、東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。

現在、一般来場者向けの「超早割チケット」(2万円)、設立3年未満(2016年10月以降に設立)のスタートアップ企業に向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、指定席や専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、学生向けの「学割チケット」(1万8000円)を購入できる。

そのほか、設立3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)も発売中だ。なお、上場企業の子会社や、設立3年以上の外資系企業の日本法人の出展は対象外。公序良俗に反する、イベント趣旨に沿わないなど、内容によっては出展を取りやめてもらうこともある。

出展できるブースは以下のとおりで、展示場所は主にヒカリエのBホール付近となる。このBホールには、TC Loungeと名付けたステージを設置し、Aホールに登壇したスピーカーによるQ&Aセッションを順次開催する予定だ。

例年、スタートアップブースには多くの来場者が訪れる。ここで新しい顧客や提携先が見つかったり、資金調達が決定することもある。

もちろんブース出展者は、Aホールで開催されるファイヤーサイドチャットやパネルディスカッション、スタートアップバトルの観覧も可能だ。スタートアップデモブースには、すでに20社近くの企業の出展が決定しており、残りは半数程度となっている。TechCrunch Japanへのブース出展や各種セッションの観覧を検討しているスタートアップ企業のみなさんは、いますぐ購入を検討してほしい。

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TechCrunch Tokyo 2019の登壇者についてはすでに数人が確定しており、9月頭にはプログラムの大枠が完成する予定だ。登壇者や当日のプログラムについては8月以降に随時発表していく。そのほか、スタートアップバトルの募集も始まっている。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

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【スタートアップバトルへの道】「出るからには優勝すべき」2017 Winner / 空 #1

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。そのTC Tokyoで毎年最大の目玉となる催しは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年の決勝に勝ち残ったスタートアップ計8社に取材。バトル出場までの道のりや出場してからの変化について、登壇者に話を聞く。

今回登場するのは、TC Tokyo 2017 スタートアップバトルで最優秀賞を獲得した空CEOの松村大貴氏。2回に分けてお送りするインタビューの前半では、出場までの経緯や準備、登壇時の感想などについて聞いた。

「勝てそうだ」と思ったから応募した

松村氏は「TC Tokyoには創業前の会社員だったころに、オーディエンスとして参加し、スタートアップの世界は面白いと感じていた」と明かす。大学在学中からシリコンバレーに旅行したり、起業家に会ったりしていて、起業を目指していた松村氏。「スタートアップの世界はクールで、僕にとってのスターは起業家たちの中にいた」という。スタートアップバトルは、そんな松村氏には“いつかは立つ舞台”として目に映っていた。

そんな松村氏がを創業したのは2015年。バトルへの応募を決意したのは2017年だ。「2017年になってサービスが伸び始め、事業への思いだけでなく実績が示せて、顧客業界でも役立ててもらっている、という段階になった。事業も好転していることから『今年出場すれば勝てそうだ』と思い、応募した」という松村氏。「出るからには優勝すべき」と出場タイミングも計算していた。

「2016年は、プロトタイプを試行錯誤しながらつくっていて、その年にはあまりピッチコンテストには出ていない。シード期の企業のためのコンテストで一緒に出場した同期のスタートアップの中には、2016年のTC Tokyoに出ていた企業も多かったが、『僕らはまだ勝てないな』と思ったので空では翌年出場した。結果、狙い通りに評価されたと思う」(松村氏)。

バトルに合わせてプロダクトリリースを計算

空CEO 松村大貴氏

「バトルに勝つために事業を進めていたわけではないけれども」と言いつつ、松村氏の周到な準備はプロダクトのリリース時期のスケジュールにも及んでいる。バトルで披露されたのは、空の2つ目のプロダクト「ホテル番付」。宿泊料金プライシングサービス「MagicPrice」に続いて公開された、ホテル向けの経営分析サービスだ。

プロダクトリリースは2017年8月。松村氏は「バトルの時点で導入件数など、数字が示せるように準備した。間に合うようにベータ版を用意して、先行登録の募集を開始し、実際に使ってもらって、フィードバックをもらえるよう、スタートアップバトルから逆算をして事業ステップをつくった」と話している。

当日のプレゼンの準備はバトルの2〜3週間前から実施。「プレゼンのだいたいの形を決めた後、練習を50回はしたと思う」と松村氏はいう。練習結果を反映しながら内容を変え、「より滑らかでより魅力が伝わるプレゼンになるように」練習と改善を繰り返した。松村氏は「TC Tokyoで優勝した後、よく『TC Tokyoのプレゼンを見た。今度ピッチコンテストに出るので相談させてほしい』と聞かれるのだけれど、『とにかく練習量をこなすのが一番』と伝えている」と語る。

プレゼンテーションのベースとなるフォーマットや話し方については、前年の2016年に参加した500 KOBE ACCELERATORのプログラムで、米西海岸でスタートアップのためのピッチコーチをしている人たちに教えてもらった型を、ほぼそのまま使っているそうだ。「解決すべき課題を示し、そこに対してソリューションや実績を提案していき、自分たちがなぜそれをやっているのか、きちんと語る。テンプレ化しているけれども、内容が一番伝わりやすいので、型に沿って発表した」(松村氏)。

プレゼンで力を入れたポイントは2つ。「成長率を示すこと」と「世界を変えるんだというメッセージを強調すること」だという。「実際に伸びているサービスだということを意図的に、印象に残るように心がけた。また、TC Tokyoではバトルに参戦するスタートアップに対して、審査員もオーディエンスもユニコーンを超えるような企業になることを期待して集まっている。小さな、ちょっとした課題を解決する中小企業になりたいわけじゃなく、この変革で世界を変えるんだ、と照れずにちゃんと言うこと、だから応援してもらいたいと示すことが大事だ」(松村氏)。

当日は「一緒に祭りをつくっている感覚」

バトル本番の当日について、松村氏は「イベントを運営するチーム、スタッフが一体となって、TC Tokyoを盛り上げようとしているんだなということが伝わってきて、『登壇者エクスペリエンス』としてはすごくよかった(笑)。舞台裏でのサポートも万全で緊張せずに舞台に立てたし、みんなで作り上げているイベントで一緒に祭りをつくっている感覚があり、楽しかった」と振り返る。

登壇の際も「練習していたので話すこと自体は勝手に口から出るようになっていたので、緊張はなかった。けれども高揚感はあり、会場の多くの人に向けて自分たちがやっていることを全力で伝えられる機会をもらったということがうれしくて、いい時間にしようと考えた」という。

また「せっかくだから対審査員だけでなく、オーディエンスに『こんな企業がいるんだよ』『こういうことをやっているんだよ』ということを伝えたい」と感じたそうだ。「話していることを聞いてくれている。それが目の当たりにできてうれしかった。ステージ上では後半になるほどしゃべりやすくなっていった」(松村氏)。

審査員からの質問についても「ちゃんといいところ、『まだ話し足りないんじゃないのか』という部分を質疑応答で聞いてくれた。質疑応答の時間も含めて、自分たちの魅力をアピールできた」という松村氏。念入りな準備が功を奏して、全体に余裕のある参戦となった様子だ。

 

インタビュー後半では、スタートアップバトル出場後の社内外の変化や事業のアップデート、今後の展望などについて松村氏に聞く。

 

【スタートアップバトルへの道】「登竜門として、試すにはいい舞台」2016 Winner / Kids Public #2

例年11月に実施される、スタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年も11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエでの開催が決定している。そのTC Tokyoで毎年最大の目玉となる催しは、設立3年未満のスタートアップ企業が競うピッチイベント「スタートアップバトル」だ。

連載「スタートアップバトルへの道」では、2016年、2017年のスタートアップバトル最優秀賞受賞者と昨年の決勝に勝ち残ったスタートアップ計8社に取材。バトル出場までの道のりや出場してからの変化について、登壇者に話を聞いている。

連載のトップバッターはTC Tokyo 2016 スタートアップバトルで最優秀賞を獲得したKids Public(キッズパブリック)代表の橋本直也氏。2回に分けてお送りするインタビューの後半では、Kids Publicが見据える医療サービスの近未来と同社の今後の展望、そしてこれからスタートアップバトル出場を目指す起業家たちへのメッセージをお伝えする。
(出場までの経緯や準備、出場後の社内外の変化について橋本氏が語ったインタビュー前半はこちらから)

これからの医療でスマホは重要な接点になる

TC Tokyo 2016のスタートアップバトルに出場、小児科に特化した遠隔医療相談サービス「小児科オンライン」で優勝を果たした後、Kids Publicでは小児科オンラインに続くプロダクトとして、「産婦人科オンライン」を2018年11月に立ち上げた

小児科医でもある橋本氏は「子育て期の悩みは、妊娠期から兆候が現れることがよくある」と述べている。「妊産婦死亡の原因の中で、妊娠中から産後にかけての自殺が今、最も多くなっている。妊娠中から産後、子育て期にかけて、オンラインで切れ目なく妊産婦さんと子どもに関われる仕組みを用意すべきだと考えた」(橋本氏)。

切れ目のないケアの必要性を感じていた一方、小児科医だけでは実現が困難であった。そんな中、現在産婦人科オンラインのサービス代表を務める産婦人科医の重見大介氏と出会う。「同じ考え、想いを持った彼との出会いは最高の幸運だった」と橋本氏は語る。

産婦人科オンラインは、企業の福利厚生の一環として従業員向けに導入されたり、住民サービスの一環として自治体により導入されたりしてきたが、今年6月には学校を通じて、高校生・大学生向けにも展開されるようになった。

「欧米では、産婦人科のかかりつけ医を持つことが一般的で、母親が自分のかかりつけ医に娘を思春期のうちに紹介することもよくある。日本では妊娠や出産についての情報が、海外に比べて早めに伝えることができていない。妊娠・出産に関する知識を持つことは大切なこと。避妊など、大事なことなのに伝えることがタブー視されているが、知識を持つなら早い方がいい。健康について主体的に考え始める学生の時期から、情報を伝えられるようにしたい。学生の場合はLINEが接点になるということもあって、オンライン相談サービスは親和性が高いと考えている」(橋本氏)。

TechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルでも語られたことだが、橋本氏は「患者が来るのをクリニックで待っているだけでは解決できない課題、届かない孤立や不安がある。小児科医がいる場所に子どもたちが来るのではなく、子どもたちがいる場所に小児科医がいる、それがこれからの小児医療において重」との考えを持っている。そのとき、毎度医師が出向くというわけではなく「接点になるのはスマホだ」と橋本氏はいう。

日本の小児科を取り巻く環境でいえば「基本的に子どもたちの身体の健康は良好な状態だ」と橋本氏は述べる。昔に比べれば栄養状態もよく、衛生管理や予防接種の普及などにより、致命的な感染症などはほとんど見られなくなっている。一方で「より生活に根付く問題、例えば発達が気になるとか、不登校やアレルギー、それに親の育児不安や虐待などの割合は大きくなってきている」と橋本氏。「そうした新しい課題に対して、従来の医療のアプローチでは限界がある。それには違ったアプローチが必要だ。患者の生活、日常の中にヒントがあり、医師がそこにリーチしなければ、問題は解決しない」と語る。

「日本は平均寿命も高く、世界的にも健康と見られている国だが、一方で今の疾患構造に合ったアプローチが必要になってきた。そのためには接点を増やすべきだが、その接点として、一つの解決策になり得るのは、やはりスマートフォンになるだろう」(橋本氏)。

オンライン医療相談は生産性の向上にもつながる

橋本氏は今後Kids Publicの目指すところを、次のように語っている。「日本では年間91万人の子どもが生まれ、同じだけ妊婦さんがいる。その数に対して医師や助産師はリソースが限られているが、提供できる知識やスキルを最大限に広く届けたい」。

現在の小児科オンライン、産婦人科オンラインのサービスは、医師や助産師と相談者が1対1で対応するようになっており、そのことが好評を得ている。だが「いつかは1対1対応では、対応する医療者が不足するようになる」として、「今のクオリティを落とさずにサービスを届けることを、実現したい」という。

そのために利用できると橋本氏が考えているのが、現在の各サービスでの回答データだ。相談に対する回答データの蓄積は着実に進んでいるとのことで、「それを生かして次のステップへ行きたい」と話している。

またKids Publicでは「小児科オンラインジャーナル」「産婦人科オンラインジャーナル」といった、医師・助産師が執筆し、監修にも別の医師・助産師がついた、プロによる医療メディアも展開している。これらも子育て世代や妊産婦へ情報を届けるためのアプローチのひとつ、と橋本氏は述べる。ジャーナルでは、相談サービスでよく寄せられる相談をピックアップして記事化も行っているという。妊婦では特に近年、インターネットが情報源になっている部分が大きいが、必ずしも正しい情報を得られていないことから、「正しい情報を提供していく」ことはジャーナルでも強く意識されている。

サービス、メディア展開の目的について「一番は不安の解消」と橋本氏は説明する。「学生さんには、婦人科の悩みで『こんなことをお医者さんに聞いてもいいんだろうか』と考えてなかなか受診せず、症状が悪くなっていく人も多い。『これはクリニックに行って聞いていいことなんだよ』という啓発をしていく。逆に子どもが生まれると今度は、不安に駆られて外来へすぐに訪れてしまうという人が多い。だから『こういう状況なら、明日の朝まで様子を見ても大丈夫ですよ、安心していいんですよ』という情報を伝えたい。これは、小児科外来の医師の負担の解消にもつながる」(橋本氏)。

小児科オンライン、産婦人科オンラインに共通しているのは「LINEだから言えた」という相談者が多いことだと橋本氏はいう。「対面では相談しにくいことも、オンラインだと聞きやすいという人は多い。医療者との間に新しいコミュニケーションを引き出すきっかけにもなっている」(橋本氏)。

ビジネス面では「顧客企業の社員からも評判はよく、企業から従業員への健康や子育てに対する応援メッセージとして受け止められている」ということだ。育児休暇明けの不安の解消、自信につながるというほかに、子どもの看病で「夜中に病院に行かずに済んだ」「会社を休まなくて済んだ」といった声もあるそうで、「導入企業の生産性の向上にもつながっている」と橋本氏は話している。

自治体においても、同様に住民への自治体のメッセージとして受け止められているとのこと。「無医村でなくとも、専門医はいない、という地域はあり、いても距離が離れている、という地域もあって、そうした地方ではオンラインで相談が受けられるという点が評価されている。また都市部には都市部で『人のつながりが希薄で相談ができない』といった悩みがあり、それを解消できると思う」(橋本氏)。

バトル出場を目指す起業家へのメッセージ

Kids Public代表 橋本直也氏

今後スタートアップバトル出場を目指すスタートアップには、橋本氏から「出場は、社会にサービスを知ってもらうにはいい機会だ。起業家には社会を変えたいという人が多いと思うが、まずは知ってもらわないと始まらない」とメッセージを寄せてもらった。

「どんな人に事業のアイデアが響いて、共感が生まれるかどうかは、訴えて見てもらわなければ分からない。審査員やオーディエンスの評価が分かるので、バトルはスタートアップの登竜門として、知ってもらうきっかけとして試すにはいい舞台ではないかと思う」(橋本氏)。

 

TC Tokyo 2019 スタートアップバトルの詳細はこちら。2019年9月30日までエントリーを受け付けているので、我こそはというスタートアップからの応募を心よりお待ちしている。

 

TC Tokyo 2019スタートアップバトルの受付開始!仮登録は9月16日、本登録は9月末まで

日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。通算9回目となる今年は、11月14日(木)と15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。

昨年のTechCrunch Tokyo 2018には2300人超が来場し、招待者を除く有料入場者数は過去最高を記録。初日の朝9時から始まる最初のセッションからメインホールは立ち見が出るほとの大盛況だった。もちろん最も盛り上がったのは「スタートアップバトル」。法人設立3年未満、ローンチ1年未満のプロダクトやサービスを持つ新進気鋭のスタートアップがステージ上で熱いピッチを繰り広げる、TechCrunch Tokyoの目玉イベントだ。

例年100〜150社から応募が寄せられているが、今年も本日から募集を開始する。本登録の締め切りは9月30日23時59分。また9月16日23時59分までの仮登録も受け付けている。仮登録は社名とメールアドレス、担当者名のみで登録できる。資料などが揃っていない場合はまずは仮登録を済ませてほしい。

応募条件(詳しくはバトル応募ページに記載)

  • 未ローンチまたは2018年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
  • 法人設立3年未満(2016年10月以降に設立)で上場企業の子会社でないこと。

昨年は、45年1100世代の交配を重ねたイエバエの幼虫を利用して、約1週間で畜糞を肥料に、幼虫をタンパク質の飼料にする技術を擁するムスカが最優秀賞に輝いた。ムスカはその後、丸紅や伊藤忠、新生銀行と出資を伴う戦略的パートナーシップを締結するなど、目覚ましい活躍を見せている。

もちろん、ムスカだけでなくファイナリストに選ばれたほかの企業も活躍している。モバイル養豚経営支援システム「Porker」を開発・販売しているEco-Porkは4月に、伊藤忠飼料と協業。置き配バッグの「OKIPPA」のサービスを提供するYperは6月に、日本郵政と組んでOKIPPAを10万世帯に無料配布するキャンペーンを実施した。タクシー会社の予約システムをクラウド化する電脳交通は2月に、JR西日本や地域のタクシー会社と組んで観光地などでのラストワンマイルの問題解決を進めている。

さらに昨年のスタートアップ系イベントでさまざまな賞を獲得した画期的ドローン開発のエアロネクストは中国の産業ドローンメーカーと組むなど、日本だけでなく中国市場への進出も視野に入れ、グローバルに活動している。

関連記事:TC Tokyo 2018スタートアップバトルのファイナリスト20社を一挙紹介

投資家や大企業の新規事業担当者も多く参加するTechCrunch Tokyoでは、スタートアップバトルをきっかけに出資が決まったり、優秀な人材の採用につながることも少なくない。みなさんの応募を心待ちにしている。

関連記事:TechCrunch Tokyo スタートアップバトルへの道

スタートアップバトルの応募はこちらから

目指すは「世界で最も安全な自動運転車」、トヨタの自動運転開発子会社TRI-ADのCEOがTechCrunch Tokyoに登壇決定

トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)の最高経営責任者(CEO)、ジェームス・カフナー氏

今年は11月14日(木)と11月15日(金)に渋谷ヒカリエで開催する、日本最大級の最新テクノロジーとスタートアップの祭典、「TechCrunch Tokyo 2019」。去年はトヨタグループのベンチャーキャピタルファンドのToyota AI Venturesでマネージングパートナーを務めるジム・アドラー氏に登壇していただいたが、今年はトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)の最高経営責任者(CEO)、ジェームス・カフナー氏に参加していただくことが決まった。

トヨタ自動車、デンソー、アイシンの3社によるジョイントベンチャーのTRI-ADは、トヨタの自動運転の取り組みに関わるソフトウェアの先行開発を行っている。世界で最も安全な自動運転車を作ること、そして自動運転の人工知能技術などに取り組むトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)の研究成果とトヨタグループ内の研究・先行開発の連携強化が同社のミッションだ。

そんな2018年3月設立のTRI-ADを率いるのが、カフナー氏。同氏は2009年から2016年までの間、グーグルでリサーチサイエンティストやエンジニアリングディレクターを務めた。

カフナー氏はグーグルの自走車開発チームの創設メンバーの一人であり、2014年にはアンドロイド社を創業したことで知られるアンディ・ルービン氏とともに立ち上げたロボティクス部門のヘッドに就任。そして2016年からはTRIのCTOを勤めた。

カフナー氏は「TechCrunchのイベントには世界中から、とてもエキサイティングな新しいアイディアや、イノベーターが集まります。TechCrunch Tokyo 2019に参加させて頂けることを、今から楽しみにしています」とコメントしてくれた。

TechCrunch Tokyo 2018ではアドラー氏にトヨタが注目している技術分野に関して話を聞いたが、カフナー氏にはモビリティーカンパニーへとシフトしている同社の技術に関してはもちろんのこと、安全と自動運転に対するビジョンや、自動運転の技術がどのように世の中をより良くするのか、話を聞きたいと思っている。

現在は学生限定の「学割チケット」(5000円)、社会人など一般向けの「超早割チケット」(2万円)、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)の計5種類を発売中なので、気になる方はチェックしてみてほしい。

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今年もあります!TechCrunch Tokyo 2019「学割チケット」を数量限定5000円で販売中

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だ。今年ももちろん、スタートアップ企業への就職に関心がある学生や起業を考えている学生に向けて「学割チケット」を用意。1枚5000円で限定100枚を販売中だ。

現在発売中のチケットそのほか、社会人など一般向けの「超早割チケット」(2万円)、専用の観覧エリアや専用の打ち合わせスペースを利用できる「VIPチケット」(10万円)、設立3年未満のスタートアップ企業の関係者向けの「スタートアップチケット」(1.8万円)、同じく設立3年未満のスタートアップ企業向けのブース出展の権利と入場チケット2枚ぶんがセットになった「スタートアップデモブース券」(3.5万円)の計5種類。今年は会場の許容量の関係もあり、いずれも規定数量に達した際は販売終了となる。なお、学割チケットで入場するには当日受付にて学生証の提示が必要になるので注意してほしい。また、超早割チケットは8月末までの販売となり、9月からは「前売りチケット」(3.2万円)の販売に切り替わる。

TechCrunch Tokyoは、設立3年未満のスタートアップ企業が競う「スタートアップバトル」や、会場の展示ブースを通じて国内のスタートアップのトレンドを知ることができるほか、国内外から招待した著名ゲストのキーノートスピーチ(基調講演)、ファイヤーサイドチャット(対話形式のトークセッション)、テーマに沿って複数人が議論するパネルディスカッションなど、シリコンバレー発祥のブログメディアの日本版が運営するTechCrunchならではセッションを多数設けているのが特徴だ。

TechCrunch Tokyoの最大の目玉は、何と言ってもスタートアップバトル。例年100〜150社から応募が寄せられ、VCやエンジェル投資家、そしてTechCrunch Japan編集部が書類審査のうえ、20社程度を選抜する。書類審査をくぐり抜けてファイナリストとなったスタートアップ企業だけが初日の本戦に進むことができ、さらに5〜6社に絞られたあとファイナルラウンドに進出。勝ち抜いた6社は最終日に最優秀賞を目指して戦いを繰り広げるわけだ。今年はどんなスタートアップが登場するのか、編集部としてもいまから楽しみでならない。

もう1つの目玉は、ファイヤーサイドチャット。国内外のテクノロジー業界、スタートアップ業界のコアにいるキーパーソンを招き、毎回TechCrunch Tokyoでしか見られないセッションが目白押しだ。昨年は海外から、Periscope共同創業者で現在はTwitterのプロダクトリードを務めるケイヴォン・ベイポー氏、トヨタグループのCVCであるToyota AI Venturesでマネージング・ディレクターを務めるジム・アドラー氏、ソフトバンクグループ傘下のArm入りしたTreasure Dataの芳川裕誠氏などが登壇した。

国内では、昨年6月に上場を果たしたばかりのメルカリで社長を務める小泉文明氏、ナイアンテックでアジア統括本部長を務める川島優志氏、登壇直後の12月に100億円キャンペーンを開始してコード決済を国内に一気に広めたPayPayの中山一郎社長、ハリンダー・タカール副社長兼CTOなどが登壇した。

登壇者についてはすでに数人が確定しており、9月頭にはプログラムの大枠が完成する予定だ。登壇者や当日のプログラムについては8月以降に随時発表していく。また、8月にはスタートアップバトルの募集も開始する。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

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TechCrunch Tokyo 2019「超早割チケット」販売開始、8月31日までの限定発売

TechCrunch Japan編集部では、通算9回目となるスタートアップとテクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月14日(木)、15日(金)に東京・渋谷ヒカリエで開催する。現在、国内外のVCや投資家、スターアップ企業の経営者などに登壇を交渉中だ。すべてのゲストスピーカーが確定してない段階だが、今年もコアな読者のみなさんのために「超早割チケット」を用意した。本日7月16日より販売を開始する。

TechCrunch Tokyoは、設立3年未満のスタートアップ企業が競う「スタートアップバトル」や、会場の展示ブースを通じて国内のスタートアップのトレンドを知ることができるほか、国内外から招待した著名ゲストのキーノートスピーチ(基調講演)、ファイヤーサイドチャット(対話形式のトークセッション)、テーマに沿って複数人が議論するパネルディスカッションなど、シリコンバレー発祥のブログメディアの日本版が運営するTechCrunchならではセッションを多数設けているのが特徴だ。

一般チケットの価格は4万5000円(税込)だが、本日発売の超早割チケットは半額以下の2万円(税込)。このチャンスを逃さないでほしい。販売期間は8月31日までを予定しているが、予定枚数に達した場合はその時点で販売終了となる。

TechCrunch Tokyoの最大の目玉は、何と言ってもスタートアップバトル。例年100〜150社から応募が寄せられ、VCやエンジェル投資家、そしてTechCrunch Japan編集部が書類審査のうえ、20社程度を選抜する。書類審査をくぐり抜けてファイナリストとなったスタートアップ企業だけが初日の本戦に進むことができ、さらに5〜6社に絞られたあとファイナルラウンドに進出。勝ち抜いた6社は最終日に最優秀賞を目指して戦いを繰り広げるわけだ。今年はどんなスタートアップが登場するのか、編集部としてもいまから楽しみでならない。

もう1つの目玉は、ファイヤーサイドチャット。国内外のテクノロジー業界、スタートアップ業界のコアにいるキーパーソンを招き、毎回TechCrunch Tokyoでしか見られないセッションが目白押しだ。昨年は海外から、Periscope共同創業者で現在はTwitterのプロダクトリードを務めるケイヴォン・ベイポー氏、トヨタグループのCVCであるToyota AI Venturesでマネージング・ディレクターを務めるジム・アドラー氏、ソフトバンクグループ傘下のArm入りしたTreasure Dataの芳川裕誠氏などが登壇した。

国内では、昨年6月に上場を果たしたばかりのメルカリで社長を務める小泉文明氏、ナイアンテックでアジア統括本部長を務める川島優志氏、登壇直後の12月に100億円キャンペーンを開始してコード決済を国内に一気に広めたPayPayの中山一郎社長、ハリンダー・タカール副社長兼CTOなどが登壇した。

登壇者についてはすでに数人が確定しており、9月頭にはプログラムの大枠が完成する予定だ。登壇者や当日のプログラムについては8月以降に随時発表していくので期待して待っていてほしい。また、8月にはスタートアップバトルの募集も開始する。設立3年未満でローンチ1年未満もしくは未ローンチのプロダクトやサービスを開発しているスタートアップ企業は、ぜひこの機会を逃さないでほしい。

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