shrturl.coで本物そっくりの偽サイトを作り放題―「2660億ドルでYC買収」の偽TC記事も

ノー。Andreessen Horowitzは2660億ドルでY Combinatorを買収していない。 このページはおそろしいほど完璧にTechCrunchのフォーマットになっているが、TechCrunchの記事ではない。第三者のジョークだ。

レイアウト、ロゴ、見出し、Facebookを利用したコメントまで、記事の本文以外、すべて本物そのままだったから多くの読者が疑いをもたなかったのも無理はない。バイラルに大反響を呼び起こし12時間で2万5000ページビューを記録した。いったいどうやってこれほど精巧なサイト偽造ができたのだろう? 

この偽造を可能にしたのはインターネットに存在するもっとも邪悪なツールの一つ、shrturl.coというサービスだ。

TheNextWeb.comのデザイナー、Alexander Griffioenが作ったShrtURLを使うと、インターネット上のどんなサイトでも見た目をそのままにコピーしてテキストを勝手に書き換えることができる。スタイル、デザインは元のサイトとまったく同じだ。Facebookコメントなどのウィジェットまで本物同様に動作する(500 Startupsのファウンダー、Dave McClureまでがおもしろがってコメントしている)。

私はShrturlを試してみたが、なるほど簡単にどんなサイトでもコピーできる。iOS 8はハードウェアなしで動くというTechCrunch記事がすぐに作れた。そこでiMacを無料で提供中.という偽Appleストアや当社はFacebookを買収しましたというGoogleブログも作ってみた。

もちろんこういう記事は一見してジョークと分かる。 しかし社会を混乱させたり個人に迷惑をかけたりするような使い方はいくらでもあるだろう。現にこんな偽ツイートが現れている(John Biggs記者はヘルペスに罹っていない)。

ただしShrturlで作製されたページは48時間後に自動的に削除される。.

それでもこのサービスを悪用する可能性は無限だ。このサイトで作られるページのURLは http://shrturl.co/(characters)となるので、正当なURL短縮サービスと紛らわしい。その上サイトのデザインが本物と完璧に同一なのだから、記事の内容が少々奇妙でも信じこんでしまう訪問者が出るのはやむを得ない。

Y Combinator買収のとんでもなく馬鹿げた記事がJordan Crook名義で書かれていたおかげで、今日は私はTwitterでさんざんな目にあった(偽記事を作ったのはこの人物。ただし、仲間内のジョークのつもりで、これほど大きな騒ぎになるとは思っていなかったようだ)。

その上、ShrturlのリンクをBit.lyでさらに短縮してしまえばいよいよもって正常なリンクに見える。謎の中の謎の中のジョークというわけだ。

昔からインターネットにジョークは付き物だった。もし「面白すぎる」話にでくわしたら―ウェブページであろうと友だちのツイートであろうと―ソースのURLをきちんとチェックすることが必要だ。そのURLがShrtURL.coだったらあなたはかつがれているのだ。

しかしGriffioenはそのうちURLをもっとうまく誤魔化す方法を考えつくかもしれない。ご用心、ご用心。

〔日本版〕shrturlでコピーしたいドメイン名を入力すると現在のページが表示される。カーソルを動かすと編集可能な部分(テキスト、写真)が黄色で表示される。クリックすると編集状態になるので下のサンプル画像のように望みのテキストを入力する。HTMLの知識もプログラミングの知識もまったく必要としない。

なお原文タイトルのA16ZというのはAndreessen Horowitzの略記。AとZの間に16文字あることから。ソフトウェア業界では伝統的に国際化をi18nなどと略記するジャーゴンが用いられてきた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


コンドームをディスラプトするGalactic CapはBill Gatesからの援助資金をねらう

ぼくは本誌TechCrunchの正社員ライターの中で、性担当のヘンタイ男とみなされているので、Galactic Capの記事はぼくが書くべきなのだろう。それは、あなたの“かわいいピンクの身代わり”さんが、あのなつかしき“謎と不思議の館(やかた)”を訪れるとき、安心のために身に付ける、小型のコンドームだ。このプロジェクトは今日(米国時間6/1)、Indiegogoで資金募集を開始した

使い方は、一(ひと)手間ではなく二(ふた)手間を要する。まず、特性の接着剤をイタチくんの先端に塗る。それは、数時間前でも数日前でもよろしい。そしていよいよ、イタチくんがクリスマス島環礁に上陸するときが来たら、小さなチップを取り出して保護膜を剥離し、海賊旗の先端に貼り付ける。そのキャップが外れることはないので、若者と乙女は肌と肌の接触を楽しみ、しかも妊娠のおそれがない。

でも、ふつうのコンドームの、どこがだめなのか? それに、STDs(性感染症)の心配は?

発明者のCharles Powelはこう語る: “通常のコンドームは不快であり、装着が面倒であり、性の楽しさを奪う。失敗率が15〜18%と高く、利用率が低い。全世界の男性の5%しかコンドームを使っていない。先進国では17〜20%だ”。

“健康な肌には感染を防ぐ力がある。でも、男性側に腫れや擦過傷がある場合は、必ず従来のコンドームを使うべきだ。Galactic Capならセックスの満足感が十分にあるので、コンドームの(==Galactic Capの)利用が増えると思う。したがってHIVやSTDの罹患率も減少するだろう”。

Indiegogoでの資金集めは、臨床試験のためだ。出資者にはプロトタイプが100ドルで提供されるが、今のコンドームに比べるとかなり高い。でもPowelは、一度体験したらもう二度と古典的なコンドームは使う気がしなくなり、多くの人がGalactic Trainに乗り換えるはずだ、と信じている。

Bill GatesのGates Foundationが、‘未来のコンドームデザイン’に提供している助成金は、これまですべて、ソーセージの皮タイプの(==従来型の)改良コンドームへ行っている。Powellは、Galactic Capこそ、その助成金にふさわしい、と考えている。

“男性の80%以上が何も使っていないんだから、これは肥沃な未開拓市場だ。彼らの言う完璧なコンドームも、誰も使わなければ無意味だ。Galactic Capで初めて、市場に本当の選択肢が登場したのだ”、とPowellはGatesから資金を助成された先輩たちを批判する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


引き抜き防止協定の代償はたったの3.24億ドル

Google、Apple、Intel、およびAdobeの4社は、会社間における引き抜き防止協定によって経済的打撃を受けたとする従業員らが起こした訴訟に応じて、3.24億ドルの示談に合意した。協定は各社従業員の給与を抑制していた。

3.24億ドルという金額は、あまりの端金で失望した。

この訴訟で注目すべきは、これらの会社が自社従業員の利益に反する行動に携わることに関して、いかに露骨であったかだ ― 社員の福祉や特典に鷹揚なことで知られる業界における皮肉な不調和である。Facebookは、陰謀に加担することを拒んだことで知られている。

金額は最大90億ドルに達していたかもしれなかった。The New York Timesが、この数字について書いており、その解説は一読に値する。

会社らは原告側が要求した90億ドルという数字を内心嘲笑し、ゆすりであると主張した。10万人近くに上る従業員らは、事実は明らかに会社側に不利 ― かつ見苦しい ― ものであり、金額は一歩も譲るつもりはないことをほのめかしている。

結局、従業員側は和解する意志を示すこととなった。会社の量である労動者たちの利益に反する行為に加担した会社が、提示された金額を「嘲る」態度を取ることに私は不快感を隠せない。

90億ドルというのは想像するのも難しい金額である。ちなみに、以前私が各社の直近四半期のデータ(主に2013年12月31日現在)を使って計算したところ、4社の現金、短期投資、および長期投資額の合計額は2428.44億ドルだった。

これは罰金最大90億ドルをほぼ27回支払うのに十分である。各社は ― その2430億ドルを使って ― 3.24億ドルの示談金なら750回支払える。4社は今、さらに裕福な四半期を迎えている。

自らの労働者たちが働きに見合う金額を得る道を閉ざした不当な陰謀と市場歪曲の代価は、Appleが1四半期に得る純利益の3.2%だった。つまり、事実上これは罰ではない。

6万4000人の原告団にとっての苦痛の代償は、弁護士費用を〈差し引かなくても〉、一人当たり5000ドル強にすぎない。費用や税金を引いた後の報酬は、限りなくゼロに近い。

それでは筋が通らない。

IMAGE BY FLICKR USER Jo Jakeman UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED) 

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


クラウドファンディングのカンファレンスで見つけた自分の足で歩く自転車

でっかくて、車輪の代わりに足先が複数ある脚(あし)のある自転車が欲しかった人、ついに出ましたよ。名前はBoneshakered Bigwheelで(マジに)で*、作者のRonald L. Schroerによるこの一台しかない手作りのプロジェクトは、後輪があるべき場所に脚がある異様な三輪自転車だ。ほとんどすべて木製で、前輪は“ヒプノホイール(hypno-wheel)”になっているので、乗っても見ても快感を得られる。〔*: Boneshakered Bigwheel, 直訳: ガタガタ観覧車。〕

Ronaldがこのプロジェクトをデモしたのは、フロリダ州Jacksonvilleで行われた、クラウドファンディングのカンファレンスの会場で、実はぼくが今日(米国時間4/10)の午後ここでスピーチすることになってる。クラウドファンディングをする/求めるカンファレンスは、これまでなかったと思うし、そこにこんな、やはり前例のない自転車が登場することもおもしろい。Kickstarterなどのメインストリームなサイトでは芽が出そうもない、奇抜なプロジェクトを見られることは、絶対すばらしいね。

Ronaldに、大量生産を考えたことはあるか、と聞いたら、需要があるかどうか分からない、と言った。この自転車をおもしろいと思った読者は、ぜひここで彼にご出資を。ぼくのうちにガレージがあったら、ぜひ一つ買って、ブルックリンでフィクシー(fixie)(固定ギア自転車)に乗ってる連中を、びっくりさせたいね。

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車を捨ててハーフバイク(Halfbike)で健康的な通勤はいかが?

半分で足りるとき、全部を求める人はいるかな? Kickstarterに登場した、このとびきり奇妙なHalfbike〔直訳: 半分自転車〕は、軽量でスピーディー、自転車に乗ることと、ランニングをすることの合体を、ユーザに約束する。設計家のMartin AngelovとMihail Klenovが考えたこの自転車は、目標額8万ドルに対し、残り10日で5万ドル集まっている。

Klenov曰く、“Halfbikeは新しい自転車文化で、これまでの自転車に代わるものではない。都市内の移動に楽しさを取り戻し、通勤を退屈から快楽に変える”。

木製のステッキを握って坂を転がり落ちることは、ぼくの快楽の概念に当てはまらないと思うが、Klenovは自信満々だ。二人は、自転車の設計にもっと別のアプローチはないか、と考えているときに、これを思いついた。部品を減らす、そして効率を上げる、この二つの課題をともに満たすスタイルとして、三輪車に箒の柄をつけたような現在の形に落ち着いた。しかもこれは、健康に良さそうだ。

“立って乗ることは、人間にとって自然な姿勢なんだ。背筋がまっすぐになるし、胸郭を広げるから呼吸も良くなる。これに乗ると、体に負担を与えないランニング(low impact running style)と同じ形になる。つまり、膝と背中に無理な負荷がかからない、なめらかでシームレスな動きになる”、とKlenovは言う。

自転車やスクーターのクラウドファンディングは、よくある。昨年はLit MotorsのKuboがローンチしたし、CESにはスクーターの巧妙なハック、Urb-Eが登場した。でも今回のHalfbikeは、数少ない本物のイノベーションの一つだと、ぼくは感じる。でも、しかし、今あるリカンベント(recumbent)型の自転車に乗っているあなたと、これに乗っているあなたの、どっちがはたから見てよりお間抜けに見えるか、それについては何とも言えない。

二人によると、この自転車は5キロぐらいまでの軽いサイクリングに適している。今後も、アリゾナ州ツーソンのワークショップで手作りしていきたいそうだ。かなり職人芸的で、アートのようでもあり、しかもやさしさを感じる。どれも、ぼくたちが好きな性質だ。

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「ハーレムシェイク」後に世界で流行するのは「クジラ」

今日の「クジラ」はもうどこかに投稿しただろうか。世界に目を向けても「クジラ」が新たなムーブメントとして大きな注目を集めている。クラブや学校でも「クジラ」がはやっているし、もちろん自分の部屋で「クジラ」をやっている人もいる。まあ、墓地での「クジラ」はあまりおすすめできない。不謹慎だとして俎上にあげられてしまうこともあり得るだろう。

ご存じない方のために、若干説明しよう。「クジラ」とは、下のVineを見ればわかるように、クジラが水面に飛び出したときのような動作を行うことを言う。ちょっと変わった場所で「クジラ」をした方が、注目度は高まる(もちろん難易度も上がる)。「クジラ」の最中にひねりを加えたりできれば、さらに注目されることになる。

ともかく、非常に多くの人が「クジラ」ビデオを投稿している。もしかして、非常に大掛かりな「クジラ」プレイを考えている人がいるといけないので言っておくと、こうした流行の持続時間はどんどん短くなってきているのが現状だ。Harlem Shakeも1週間とちょっとしか注目されなかった。「クジラ」については、Vine利用者がぼちぼち投稿するようになったのが数週間前で、まだ流行は始まったばかりの段階であるとは言える。大掛かりな仕掛けを用意する時間はあるまい。ただ、今ならまだウケを狙うことができる。背中を痛めないよう気をつけて励んでいただきたい。

(翻訳:Maeda, H


3Dプリントしたチキンを見たければこれ!(日本発)

チキンは好きだろう。3Dプリントした作品も好きだろう。だったら両方合わせて究極の3Dプリント食品サンプルを作らない手はない。どう思う? クールだろう? 私もそう思った。

さて、日本、横浜のデザイナー集団、iJetは、Lifehackerのスタッフを驚かせいと思った。ケンタッキーで買ってきたオリジナルチキンを、高解像度レーザースキャナーでスキャンしてフルカラーでプリントした結果、マジパンで作ったチキンのパーツとロースト・アルマジロの足をかけ合わせたようなシロモノが出来上がった。

実はこれ、iJetの興味深いカラープリンティング技術のテストで、レイヤー毎に色を噴射することができる。石膏レイヤーは非常に正確に色を吸収し、驚くほどリアルなプリントを作ることができる。

こいつを食べようとは思わないこと。非常に壊れやすく、見た目は脂ぎって美味しそうだが、The Matrixのステーキと同じく全くのフェイクだ。

via 3Ders

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


今年のアカデミー賞は・・・サムスン、ジェニファー・ローレンス、そしてセルフィーに決定

このうち誰ひとりとして金の小像を持ち帰った者はいないが、Samsung、ジェニファー・ローレンス、そして何といってもスター満載の自撮り写真が昨夜のオスカーを独占したことは間違いない。少なくともソーシャルメディアによれば。

PopTipがまとめたInstagram、Facebook、Twitterでリアルタイムに交された会話の分析によると、Samsungは、アカデミー賞授賞式スポンサーに関して言及されたフレーズのトップテンのいくつかを占めた。Galaxy Note、Galaxy s5、そしてSamsung提供によるセルフィー[自撮り写真]だ。

事実、セレブ11人(メリル・ストリープ、ブラッドリー・クーパー、ジュリア・ロバーツ、ブラッド・ピット、レディー・ジェニファー・ローレンス等々)を撮った写真のTwitter界での人気はすさまじく、20分ほどの間に200万回以上リツイートされ同プラットフォームを圧倒した。オスカーに巨額なスポンサー料を払ったSamsungにとって唯一重要なのは、この歴史的セルフィーがGalaxy Noteで撮影されたという事実だ。

エレクトロニクスの巨人は、番組中5000回以上言及され、エレン[デジェネレス]によるSamsungセルフィーについての書き込みは3万件近くに上った。

これはSamsungにとって何を意味するのだろうか? 興味深いのは、Samsungがその焦点をGalaxy SラインからNoteラインへとシフトしつつあることだ。Samsungは番組中Galaxy s5も紹介した。さらには、セレブというセレブが、会場や舞台裏でSamsung製品を使ってツイートしたり、FacebookやRedditしているところが派手に映し出された。

そしてもう一つ注目すべきは、エレン・デジェネレスが舞台裏で写真を撮りツイートしていたのが[Galaxy Noteではなく]iPhoneだったという事実だろう。Samsungとしては怒るわけにもいかない。

他のソーシャルメディアに関するニュースとして、ジェニファー・ローレンスが依然この世界で最もお気に入りの人物であり、イベント中最も多くツイートされた有名人だった。「ジェニファー・ローレンスが転んだ」は、レッドカーペットの最中いちばん多くシェアされたフレーズで、この晩最も多くツイートされたフレーズトップ10にも入った。同夜のジェニファー・ローレンスに関する書き込みは、計1万8354件を数えた。

ボーナス:自分もオスカーのセルフィーに写りたいという人は、これをお試しあれ!

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


これはまたクールで不気味なアプリ―FaceSubは他人の顔を借りてビデオチャットができる

いつも言っていることだが、最近のテクノロジーはすごい。

FaceSubstituteはウェブカメラを通じて「誰か他人の顔を借りることができる」というテクノロジーのデモだ。たいへんにクールだが同時に不気味でもある。『ブレーキング・バッド』のウォルター・ホワイトでもキム・カルダシアンでもお望みのままだ。ジャスティン・ビーバーにだってなれる!

このアプリには現在ニコラス・ケイジ、ブライアン・クランストン、漫画のピカソからユーザー自身の顔の意図的な変形まで17種類の顔が用意されている。

いささか「羊達の沈黙」を思わせる不気味さがあるものの、テクノロジー・デモとしては驚くべき出来栄えだ。しかもすべてブラウザベースだという。WebGLと顔の特徴を認識し、リアルタイムで動きをモニタするClmTrackerというJavascriptが利用されている。アプリの開発者はノルウェーのデベロッパー、Audun Mathias Øygardで、能力のデモのために公開している。

アプリとしてはまだ完全ではなく、よくハングする。しかし初めて見たものはだれでも口をあんぐりさせるだろう。

こちらがリンクだ

使い方:

  • Chrome(これがいちばんうまく動く)でアプリを開く
  • アプリのドロップダウンメニューからウェブカメラへのアクセスを許可する。
  • スタートボタンを押し、アプリが自分の顔を認識するまで数秒間待つ。 次に好みの代替顔写真を選ぶ。
  • 30分ほど笑い転げる。

その他注意点:

  • むらなく照明された明るい部屋を選ぶ。私は最初暗い部屋で試したのでまったく動作しなかった。
  • モーショントラッキングは完全ではない。なるべくゆっくり動作し、カメラに正面から向き合うこと。
  • もし動作が不調になったら(しばらくすると必ずなる)、一度顔をカメラのフレームから外す。マップがリセットされるので、顔を戻す。

大きなお世話だが、私がデベロッパーならユーザーが自分の変身を簡単に録画できる機能を追加し、1ドルの料金で友達と共有できるようにする。

[このアプリを発見したFast Co.のMark Wilson感謝する]

パソコンのウェブカメラを有効にしたとたん見知らぬ顔が写っていたら驚くだろう。
いやいや、写っているのは
なのだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Bathysの「原子腕時計」はクラウドファンディングで世に出てくることとなりそうだ

ハワイのカウアイ島で、非常にユニークな人物の手により小規模に腕時計の生産を行っているBathysが、どうやらクラウドファンディングの活用を決意したようだ。資金を集めて世に出そうとしているのは、もちろん「原子腕時計」だ。

同社はこれまでにがっしりとしたダイバーウオッチを製作してきた。ダイバーウォッチメーカーのままであれば、テックの世界でさほどメジャーになることもなかっただろう。しかし最近になって、月面車を普通に運転する子供の子供世代になっても狂わない時計というものを発表して、こちらの世界でも大いに話題になったのだった。Symmetricom社のSA.45s CSAC原子周波数発信機を搭載して究極なまでに正確な腕時計を生み出したのだ。

製作者はJohn Pattersonで、この時計は実はまだ開発中ではある。商品化の目処がつけば、クラウドファンディングにてのリリースを検討している状況のようだ。ABlogToWatchによれば、初期割引があったとして、1個あたりの価格は8000ドル程度になるのではないかとのことだ。

写真を見ればおわかりの通り、現物はあまりにもデカく、そして電池寿命にも問題があるようだ。但しこれはGPSなどを用いたデバイスよりも、さらに正確な時を刻む、史上初のスタンドアロン・プロダクトではある。電波を受信して補正するのではなく、常に、未来永劫に正確な時を刻み続けるのだ。確かにサーフィンに連れて行くには少々不向きかもしれない。しかし天体観測や、あるいは大型ハドロン衝突型加速器での作業を行う際には、こうした正確な腕時計を持っていても良いのかもしれない。
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(翻訳:Maeda, H


夢ではない本当だ:ティム・ドレイパー、シリコンバレーを州にする構想の詳細を語る

シリコンバレーは普通でないアイデアとは馴じみ深い場所だが、今日(米国時間12/23)あらためて世界にそれを証明した。著名な投資家、Time Draperが、カリフォルニアを6つの州に分割する法案を提案している。Draperの「6つのカリフォルニア」構想については、本誌が先週木曜日に初めて報じて以来、当然ながら多くの疑問が投げかけられている。そこでこの賛否両論の計画を立てた人物が、今日の午後記者会見を行った。

「現状維持はもはや機能しない」とDraperは言った。「今のカリフォルニアにおける業界や様々な関心の広がりは、もはや維持不能だ。」

Draperの州民投票法案は、カリフォルニア州を6つの存在に分割する:シリコンバレー、西カリフォルニア、ジェファーソン、南カリフォルニア、中央カリフォルニア、および北カリフォルニア。

Draperがカリフォルニアの統治を分散化したいと熱望していること以外、何がどう起きることになるのか今日まで誰も知らなかった。ここに、みなさんがどうしても聞きたかっ質問の答を載せた。

カリフォルニアはどう再編されるのか?

6つの領域の概要を微調整することに関して、個々の郡には「多大な柔軟性が与えられる」、とDraperは記者会見で言った。彼は、水利権、新しい州旗、その他公務に関するアイデアの多くを、市民がクラウドソースすることを期待している。

議会はどうなるのか?

各州は上院議員を2名ずつ得るべきなので、連邦議議員は10名増えることになる(差引で州が5つ増える)。このため当局は上院議場の椅子を買い足す必要があると同時に、上院が200年以上維持してきた、強固な二党間の均衡も完全に崩れるだろう。

「彼らは変化に神経をとがらせるだろう」と言うDraperは、最終的に政府は、地域のより良い統治を受け入れるだろうと考えている。

誰が費用を払うのか?

Draperは、その独自の思いつきを自己資金で賄おうとしている。これには何百何千万ドルという資金が必要であり、現時点で大物パートナーによる支援はない。しかしDraperは、多くの草の根的関心が集まっているのを見ていると言う。

まだまだ手続き上多くの解決すべき問題がある。法案が通過したら何が起きるのだろうかか? 誰が新しい州知事を決め、下院選挙区を区切り直し、天然資源を割り振る責任者になるのか? Draperはこれらの質問に詳しく答えることはできなかったが、今後数ヵ月のうちには回答されるはずだ。

ともあれ、そう、これは本当に起きている。あなたは夢を見ているのではない。6つのカリフォルニアだ。Draperは、100万人の署名が集まった時点で次の記者会見を行うつもりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


YourFreeProxy、ツールバーが裏でBitcoinを発掘していたことが発覚

今日の「テク系サービスがやってはいけないこと」コーナーは、Mutual Public(別名Build Toolbars, LLC = WBT)のYourFreeProxyをご紹介する。ファイヤーウォールや検閲を回避するためのプロキシサーバーを提供するこの会社は、ツールバーを通じて秘かにユーザーのパソコンを利用してBitcoinの発掘を行っている。しかもこの「機能」は、サービス利用規約に堂々と記載されている。

コンピューティング、およびセキュリティー。Mutual Public製品をダウンロードすることによって、取引の確認およびセキュリティー向上を目的に、あなたのコンピューターは当社関連ネットワークのために数値計算を行うことがあります。当社または関連会社が回収した謝礼あるいは手数料はすべて当社および関連会社に帰属します。

みんなが感謝祭の眠りから醒めてネット上を悪口雑言が駆け巡れば、変更されるのではないかと私は思うが、Bitcoinの発掘に必要となる膨大なCPUパワーを考えると、これはユーザーに対する大きな裏切りであり、フリーミアムモデルの明らかな乱用である。事実、あるユーザーがMalwarebytesに報告したところによると、この「ツールバー」をインストール後CPU利用率が50%上昇した。WBTは、Monitor.exeから実行されるjhProtominerというプログラムにこの汚れ仕事を行わせており、伝統的マルウェア技術のおかげでユーザーは削除することができない。

「私に言わせれば、この種の方式は最悪の極みに達した。彼らはすでに検索ツールバーやリダイレクターによって、利用者のブラウジングや購入傾向の情報を集めてきた」と、MalwarebytesのAdam Kjawaは言う。「彼らはポップアップ広告や不必要なソフトウェアによってアフィリートから金を受け取り、ユーザーを冒涜してきた。今度は、リソースを奪いユーザーのシステムを死に追いやることによって、とどめを刺そうとしている」

私の意見では、最悪なのは、発掘ソフトウェアに近々マルウェアの烙印が押されるかもしれないことで、そうなれば場合によってプログラムの利用が困難になるという問題が生じる。要するに、これは誰にとっても悪であり、WBTの詐欺師たちにとってもそうなのである。

via Malwayrebytes

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(翻訳:Nob Takahashi)


腕時計型オシロスコープがKickstarterで資金募集中

未来の考古学者は今のわれわれの文明の遺跡を見て、なぜこんなにたくさんのスマートウォッチがあったのか不思議に思うだろう。たとえばこの、Gabriel Anzzianiが作ったオシロスコープウォッチは、本格的なオシロスコープを人の手首につける。なぜそんなことを? そうしてはいけない理由は、どこにもないからだ。

このウォッチのオシロスコープはXProtolab製の本物で、表示部(オシロスコープ本体)、波形生成、ロジックアナライザー、周波数コントローラなどの部分から成る。Anzzianiが3Dプリントで手作りしたプロトタイプはあまりぱっとしないが、60000ドルの目標額に達したら、ちゃんとした製品がお目見得するだろう。

アナログ入力が2、デジタル入力が8あり、最終的に腕時計型になるか懐中時計タイプになるかはまだ決まっていない。128×128のディスプレイが波形を表示し、時刻も表示する。ご自分のArduinoプロジェクトのための測定ぐらいは、すぐにできるはずだ。100ドルの投資で1台もらえるが、発売予定は来年の4月だ。

あなたはオシロスコープウォッチが必要かな? 必要な人は世界中に一人もいないと思うが、でもこういうものを実際に作ってみようとするハードウェアハッカーがいること自体は、おもしろいよね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


人類を家畜のように飼育するディストピアのウォーロボット

さあ。不定期にお伝えしているToday In Dystopian War Robots That Will Harvest Us For Our Organs(人類を家畜のように飼育するディストピアのウォーロボット)、略してTIDWRTWHUFOOの時間だよ。こうした動きにしっかり注目して、しかるべく準備を整えておかないと、いつか大変なことになってしまう。

まず紹介するのはiStructだ。ドイツのDas Deutsche Forschungszentrum für Künstliche Intelligenz GmbHによるものだ。このiStructはBig Dog同様に四足で動くこともできれば、また二足歩行を行うこともできる。2つの形で人類に迫ってくる恐ろしい存在だ。

次に紹介するのはSAR-400。数年以内に国際宇宙ステーションに送り込まれるだろうと見込まれているロボットだ。Technology.orgによるとSAR-400は地上ないし宇宙における遠隔基地からの装画が行えるようになっているのだそうだ。微妙なタッチを行うことが可能で、細かい操作や小さな物体を扱うこともできるようになっている。もちろん、用途によっては繊細さなどかなぐり捨てて強烈な動きをすることも可能なのだろう。

「宇宙飛行士訓練センターにてテストを行いました。ISSなどでの活躍を期待しています」と、Mr. Oleg Gordienko(Gagarin Cosmonaut Training Centerのディレクター代理)は言っている。人間にとっては危険なものなどを扱うのにも適しているとのこと。宇宙空間内では、宇宙船の外部破損状況を調査したり、修理すしたりする用途に適しているとも考えているそうだ。

活動場所が人間から離れたところを想定しているというのは気になるところだ。故障状態などを判別中に、ふと「まあロボットは平気だしね」などと、他のロボットと相談をまとめてしまう危険性も否定出来ない。

こちらのロボットもゴツイ外見だが、こいつはおとなしくコーヒーをいれてくれるだけだ。

人類の危機に関心をもってくれてありがとう。また危険な奴らが出てきたら報告しよう。

via IEEE

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(翻訳:Maeda, H


常に正確な時間を知りたいと思うなら、腕時計も「原子時計」にしてみよう

ほとんどの人には馬鹿げたものに見えることだろう。しかし歴史的な優れものだと感動してしまう人もいるのではなかろうか。1000年に1秒しか狂わない(電池がもつなら、という話ではある)原子時計が、ついに腕時計として登場してきたのだ。製造したのはハワイの小さなBathysという企業(注:リンク先ページでは音が出るのでご注意を)で、時計の名前をCesium 133という。

Symmetricon SA.45s CASCという原子時計チップを使って、アナログ時計を組み上げている。設計はDr. John Pattersonだが、現在のところはテスト目的で文字盤とストラップのついた荒っぽい金属ケースに原子時計チップを詰め込んで、取り敢えずの形にしたという段階だ。製品段階ではまた違った形になるそうだ。ABlogToWatchの記事を引用しておこう。

Cesium 133の製品版はLEDによるステータスライトを備えて、より洗練されたものになるようだ。現在のプロトタイプは幅60mm、奥行きが50mmで厚さも23mmとなっている。製品版ではムーンフェイズは採用したまま、サイズを大幅に小さくする予定だとのこと。

サイトに掲載されている他のBathys製品を見てみたが、スタイルや高級感はアメリカ製品としては最高の部類に入るものと言えそうだ。ここからするに、今回のCesium 133も製品段階では相当に気合の入った製品となりそうだ。

ウォズニアックがNixie Tubeウォッチのファンであることを考えれば、やはりこうした新規性のあるプロダクトはテッキーたちの人気を集める可能性があるのかもしれない。Bathysは2014年中に20個を製造予定であるそうで、価格は1個1万2000ドルとなっている。正確な時刻を知るために払う額としては少々高額すぎるようにも思える。但しこれほどの投資をするのであれば、今後は予定時刻に一切遅れなくなるというメリットもあるのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


ドアの下から高速でカサカサと這いこんでくるロボットが3Dプリンタで製作された(ビデオあり)

「夜中に寝室に忍び込んできて目玉から涙を吸い取っていく恐怖のロボット」シリーズの最新作をお届けしよう。STAR.V3というロボットの部品の主要部分は3Dプリンタで出力されたもので、非常に小さく、非常に平たくて、非常に高速だ。ドアの下の隙間をくぐれるように自分自身をさらに平たくすることもできる。

「涙を吸い取る」のはまだ先のことになりそうだが、このロボットを開発したのは超小型の生体模倣システムを研究するカリフォルニア大学バークレー校のBiomimetic Millisystemsラボだ。チームはこの新型の這うロボットをSprawl Tuned Autonomous〔這うことに特化した自律的ロボット〕の頭文字を取ってSTARと命名した。

David Zarrouk、Andrew Pullin、Nick Kohut、Ronald Fearingのチームはこのロボットの動作部品を3Dプリンタで出力できるシンプルで頑丈なものにデザインした。

STARは滑らかな床ではことに高速で走行でき、毎秒5.2m(20k/m弱)にも達する。

チームはこのロボットを救難・捜索などの現場で簡単に修理できるシステムにしようと試みている。部品の多くはどんな3Dプリンタでも出力jできるので輸送中、作業中に部品が破損しても簡単に交換できるわけだ。ここにさらに詳しい記事がある。片目を開いて寝ていればこのロボットがベッドに這い上がってくるのを見つけることができるかもしれない。

RoboticsTrends

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Huaweiさん, それはおかしいよ

それにGalaxy Note IIを耳に近づけて持っていたら自分が間抜けに見える、と思ったあなたも、このHuawei MediaPad 7 Vogueではどうだろう? ごくふつうの人のニーズに応える、を社是とする企業からやってきたタブレットだからな。

お値段に関する情報はないが、FCCのデータを見るかぎり、Huaweiはこれを海外のおばかさんたちに売るつもりらしい。

詳細はSlashGearに載っているから、解像度とかSoCのクロックなどが気になる人はそっちを見て。

ジョークはともかくとして、Huaweiは中国の外では敗者だ、などと軽視してはいけない。合衆国では政府のセキュリティ要件を受け入れずに市場を去ったが、着実にグローバルな通信企業として成長している。母国の中国ではトップ企業、2012年の全世界では、スマートフォンを世界で三番目に多く売った企業だ。しかしそれでも、タブレットを耳のそばに持って使いたい人を、この星の上で見つけるのは難しい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


$100の腕時計が、飲み過ぎを知らせてくれる

日本の時計メーカー、Tokyoflashは、 長年奇妙な[時刻がわかりにくい]デザインで注目を集めてきたが、このたび初めて同社のKisaiウォッチに飲酒検知器を組み込み、持ち主が酔っぱらったかどうかわかるようにした。

下のビデオは、はっきり言って少々わざとらしい。同社は魅力的なスコットランド人男性を酔わせるために雇った。そして彼はその通りになる。次に彼は腕時計を試し、様々な機能を見せびらかす。この時計には、手と目の連携をテストする酔っぱらい検査ゲームと、本物の飲酒検知器がついている。おそらくこの測定値は裁判では効力を発しないだろうが、本人とその酔った友達にとっては十分正確だ。自分の時計が次々と人の手に渡り直接息を吹き込まれるという問題を考えると、飲み仲間のためにいくつか買っておく方がいいかもしれない。

画面右の表示には、血中アルコール濃度が10段階で表示される。グリーンのディスプレイで0.00‰と表示されれば、しらふを意味する。黄色く0.41~0.60‰と表示されれば、ホロ酔いである。赤く0.61‰以上と表示されれは、酔っぱらっていることを意味する

時計の価格は$99で、充電はUSB経由で行う。嬉しいことに文字盤は判読可能なので、近所の飲み屋で何時間かおきにビールの飲み比べに参加することもできる。


【日本語版注:Tokyoflashは日本での営業活動を中止し、twoOtwoが特約店となっている模様。この機種の日本での発売予定は未確認】

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(翻訳:Nob Takahashi)


「オフライン・グラス」を使えば、飲み屋でメールではなくトークするようになる

メールばかり打って酔いもしない友達が増えて困っている人たちへ。この巧妙なハックはOffline Glassと呼ばれ、バーでみんながThe Greatest American Heroの主役は誰だったかWikipediaを調べたり、メールやFacebookをチェックしたりできなくする。グラスの底が特別な形状をしていて、スマートフォンが使えないようになっている。

このグラスは底の一部が欠けているため、スマートフォン(iPhoneが一番具合がよい)の上に置かないと立っていられない。スマートフォンを使う時は、必ずもう一方の手でビールを持っている必要がある。私の知る平均的酔っぱらい像を考えるに、 (1) 一晩で数百台のiPhoneが壊れる、(2) 大量のビールがこぼれる、ことになると思われるが、ナイスなアイデアではなかろうか。

このグラスが使われているのは、ブラジル、サンパウロのSalve Jorge Barで、作ったのはブラジルの広告代理店、Fischer & Friendsだ。販売はされていないが、適当なツールさえあれば自分でも作れそうだ。誰か3Dプリンターで作ってパーティーに持ってきてほしい。

私がTCのメンバーと出かける時はいつも、Phone Gameと称して全員の電話機を一ヵ所に積み上げて誰も届かないようにする。こうすることで会話が促進される、そしてGoogle Glassを着けていない限り、最初の数分間のみんなの苦しげな表情は魅惑的だ。あの体験を再現できる新しい道具に乾杯!

The Offline Glass from Mauricio Perussi on Vimeo.

via PSFK

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(翻訳:Nob Takahashi)


GoogleのWaze買収研究―なぜモバイル・ナビのスタートアップに11億ドルも出したのか? その影響は?

Waze買収に関する噂は数ヶ月前から流れていた。最初はAppleが5億ドルを提示し、続いてFacebookが10億ドルという値付けをしたと報じられた。そこに突如Googleがやって来て獲物をさらっていった。イスラエルの経済紙Globesによれば、Facebookの幹部がイスラエルに飛び、真剣な交渉を始めていたという。

この大騒ぎの元のWazeっていったい何だ?

Wazeは2007年に創業され、現在イスラエルとシリコンバレーのパロアルトにオフィスがある。主なプロダクトはiOSとAndroid向けの無料カーナビ・アプリだ。創立の1年後にWazeはシリコンバレー(KleinerPerkinsなど)や香港(Horizons Ventures)の有力ベンチャーキャピタルから6700万ドルの資金を調達し、社員110人の企業に成長した。社員の大部分はイスラエルに住むイスラエル人で、CEOのNoam Bardin他10人程度がパロアルトのオフィスに勤務する。

モバイル地図アプリが無数に生まれている中、Wazeのユーザーは5000万人(昨年10月の3000万人)を超えて着実に増加中だ。強みの一つはユニークなクラウドソースによる地図編集方式にある。自ら現地を回って地理情報を収集する代わりに、Wazeは地図作成にあたって何千万ものユーザーが投稿する情報に頼っている。ユーザー車両の車速や位置などの情報は自動的にアップロードされ、さらにユーザーは新たな交通規制、事故、渋滞などの情報をリアルタイムでWazeに投稿する。

こうしてドライバーからクラウドソースで収集されたデータはユーザー・コミュニティーによって共有、管理される。大勢の熱心な市民地図作成者からの情報は非常に有益であり、何よりリアルタイム性が高い。カーナビ・サービスでは道を間違えたときの経路再検索の処理が非常にやっかいで、Googleでさえ苦闘している。膨大なクラウドソース・データを持つWazeは、経路再検索でも非常に高い能力を発揮する。

ドライバーは単に運転経路だけでなく、ソーシャル・レイヤーを使って沿道のガソリンスタンドの位置と最新のガソリン価格、観光地、レストラン情報などをハンズフリーで受け取ることができる。ソーシャル・サービスはすべてそうだが、規模が大きくなればなるほど有用性も増大する。

ビッグ3すべてが買収を狙ったわけ

Jordan Crook記者も指摘していたとおり、巨大モバイル・テクノロジー企業の間で「マップ戦争」がますます激しくなっている。情報が網羅的で、信頼性が高く、使い勝手のいいナビゲーション・サービスはすべてのモバイル体験のベースになる。地図アプリ、ナビ・アプリが使われる頻度がこれだけ極端に高ければ、Facebook、Apple、Googleのビッグ3がこの分野のユーザー体験の改善に全力を投入するのは当然だ。

Appleの場合、Waze買収に興味を示したのはAppleのCEOのTim Cookが公式に謝罪する破目になった.悪名高い地図アプリの大失敗の後だった。正確さで名高いWazeを買収するという選択は地図で被った悪評を打ち消すために理にかなっていると思われた。.

Facebookもことところ全力を挙げてサービス全体のモバイル化に取り組んできた。モバイル部門は次第にFacebookの決算に直接大きな影響を与えるようになった。Facebookにとって、自社独自の優秀なネーティブ地図アプリを持てば、不人気なFacebook Homeのてこ入れにもなるはずだった。

この2社に対してGoogleの状況は若干異なる。Googleはすでに文句なく世界一の地図プロダクトを持っている。一般ユーザー向けカーナビ・モバイル・アプリの世界標準を確立したのもGoogleだ。Googleはおかしな格好のストリートビューカメラを装備した撮影チームの大部隊を世界に展開し、おかげでわれわれは道路だけでなくグランドキャニオンを下る小道から海の底まで地球上のあらゆる場所をワンクリックで見られるのを当たり前だと思うまでになっている。考えてみればとほうもない偉業だ。

なぜGoogleが勝ったのか?

今日のブログ記事でWazeのCEO、Noam BardinはGoogleと(特にCEOのラリー・ペイジ、ジオ・プロダクト担当副社長のBrian McClendon)の間で長期的ビジョンにおいて共感するところがあったからだと書いている。しかしそれだけではあまり具体性がある情報とはいえない。そこで以下、なぜGoogleが巨額を投じることを決めたのか、Apple、Facebookを始めモバイル・マップ関連業界に激震を走らせることになったのか分析してみたい。

地理情報

WazeがGoogleを選んだ理由は他の2社のようにシリコバレーへの移転を求めなかったからだと言われている。Googleはイスラエルには優秀なITエンジニアを輩出することをよく認識している。GoogleはこれまでにLabpixiesやQuickseeなどイスラエルで生まれたスタートアップを買収しているだけでなく、イスラエルに拠点を持ち、地元の起業家を支援するプログラムを運営するなど存在感を高めていた。Wazeの社員の大部分がイスラエルに居住している。GoogleがWazeにシリコンバレーへの移転を求めなかったのは、イスラエルのエンジニアの人材を獲得するのに現状のままのの方が有利だと判断したからだろう。

5000万ユーザーより、そのビッグデータの方が重要

通常、買収にあたってはサービスのトラクション(ユーザー数、トラフィック)がもっとも重視される。しかしGoogleはすでにアメリカでもっとも人気の高いカーナビ・アプリを持っている。なるほど5000万ユーザーも魅力ではあろうが、喉から手が出るほどトラクションの増加を必要としていたわけではない。.

Googleがもっとも魅力を感じたのはトラクションではないはずだ。Wazeは自らを「地図企業ではなくビッグデータ企業だ」と規定している。Googleは「地球上のあらゆるデータを組織化する」のを使命と考えている。Antonio Regaladoによればビッグデータという概念を生んだのは事実上Google(とその発明になるMapReduceシステム)だ。またGoogleはビッグ・データを地図上に新たなフォーマットで表示する実験に力を入れてきた。もちろんGoogleマップ改善にも常に精力的に取り組んでいる。

巨大なデータ・セットと地図インフラを擁するGoogleは個別のユーザー向けにカスタマイズされた体験を提供しようという努力を始めている。これを実現するにはWazeが得意とするようなソーシャル・レイヤーが必要になってくる。たとえばナビゲーションではGoogleは依然として固定的な経路を事前に設定する方式に頼る傾向が強い。なるほど最新のGoogle Mapsでは渋滞情報のレイヤーも提供されるようになった。しかしWazeのように運転中にリアルタイムで常に渋滞情報がアップデートされ、ドライバーに渋滞を避ける代替ルートが提案されるというレベルにはなっていない。

こうした代替ルートの提案などのWazeの機能は一見ささいに見えるかもしれないが、Googleマップに統合されれば大きなユーザー体験の向上となることは間違いない。またWazeのUIデザインは見て楽しく、対話性にも優れている。Googleは位置情報サービス全体にこのデザインを取り入れることができる。Wazeユーザーは渋滞やネズミ捕りの情報を共有するのに非常に熱心だ。これもまたGoogleにとって大きな価値になる。

ソーシャル・ドライビング

WazeはGoogle+とGoogleマップをソーシャル化するために理想的なプラットフォームを提供できる。昨年、Wazeはソーシャル化を一歩進め、友だちの位置が表示できるようにした。これは待ち合わせに便利だし、さまざまな会話や情報共有の可能が広がる。

WazeにはFacebookへのワンクリック・サインイン機能がある。これはそのままGoogle+の認証に使える。Google+にはユーザーの友だちがいる。Facebookとの連携ではWazeは特定の待ち合わせ場所やそこへの運転経路を友だちの間で共有できる。これらはすべてすぐにGoogle+に生かせるだろう。

ローカル広告にビッグチャンス

言うまでもないが、Googleのビジネスは徹頭徹尾、広告だ。Googleのさまざまなサービスの究極の目的は消費者の前に広告を表示することにある。Wazeもまた非常に有望な広告プラットフォームだ。

当初Wazeは収益化を後回しにしてプロダクトの開発と成長に専念してきた。しかし昨年後半にWazeはローカル・ビジネスと大手ブランド向けに位置情報に基づく運転者向けローカル広告のプラットフォームを発表した。

以前からWazeはガソリンスタンド情報などをタップとスワイプですばやく調べることができる機能を提供しいてが、広告プロダクトはいわばそれの強化版だ。ただでさえ狭いモバイル画面に単にバナー広告を表示するのではなく、Wazeの広告は、たとえばドライバーが「レストラン」を検索した場合に、付近のレストランやファーストフード・チェーンの店舗の広告が表示される仕組みだ。

Wazeの広告プラットフォームを利用すれば、たとえばローカルビジネスだけでなくダンキン・ドーナッツのようなチェーン店もセフルサービスでモバイル広告キャンペーンを実施し、成果を評価できる。これは従来のローカル検索広告や高度なターゲット広告と組み合わせることによって一層効果を高めることができるだろう。

これまでFoursquare、Yelp、Facebookその他有力テクノロジー・サービスはなんとかして効果的なローカル広告プロダクトを作り出そうと苦闘してきた。ここに名前を上げた3社はローカル検索と位置情報を統合したチェックインシステムを提供している。しかしこと検索に関しては3社とも機能、規模いずれをとってGoogleのレベルには御びょばない。.

たしかに今のところGoogle+’のローカルビジネス・ページはFacebookページほど普及していないが、その差は縮まりつつある。Googleはローカルビジネスに関して膨大なデータをすでに保有しており、住所、連絡先、営業内容などを把握している。キーワード検索を通じて適切なターゲットに広告を表示するテクノロジーではGoogleには圧倒的な蓄積がある。

アメリカのローカル・モバイル広告市場はここ数年で爆発的に成長すると見込まれている。Googleの巨大なローカルビジネスのデータベースとWazeが統合されればきわめて強力なソーシャル・モバイル広告のプラットフォームとなるだろう。現在Wazeに欠けている一般的な検索機能をGoogleが補うのも容易だ。

地図戦争はゲーム・オーバー?

GoogleのWaze買収の動機を調べれば調べるほどこれは安い買い物だったと思わざるを得ない。地図サービスの改良を絶望的に必要としているライバル2社ではなく、すでに世界最高の地図サービスを持つGoogleが既存のサービスとは方向の異なる優れた新興サービスを手に入れたのだ。

将来の統合のことはしばらく置くとしても、Greg Kumparak記者も指摘していたとおり、GoogleはすぐにでもWazeのリアルタイム交通情報データと代替経路提案をカーナビ・アプリに取り入れることができる。どちらもGoogleマップの大幅な改良になる上に、Waze側のユーザー体験を損なうこともない。

端的に言って、今回のGoogleによるWaze買収はFacebookとAppleに取って打撃だったと思う。両社はWazeがGoogleの手に落ちるのを防ぐという目的のためだけにでも、もっと真剣に買収の努力をすべきだったのではないか。これでApple、Facebook、その他地図サービスに関わる全員が流れに逆らって上流に泳ぐような苦しい戦いを強いられることになりそうだ。.

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+