家賃やローンの支払いでもポイントがもらえる報酬プログラム「Bilt Rewards」

Ankur Jain(アンカー・ジェイン)氏率いるスタートアップスタジオ「Kairos(カイロス)」は、新ブランドのBilt Rewards(ビルト・リワーズ)を米国時間6月22日に立ち上げた。Biltは、賃借人が家賃を払うたびに報酬をもらえるプログラムだ。

この会社を支援しているKairosは、他にもRhino(ライノ)、Alloy(アロイ)、Little Spoon(リトル・スプーン)などのブランドを管理しているスタートアップスタジオだ。

Biltは大きく2つの部分からなる。報酬ポイントプラットフォームとMastercard(マスターカード)と提携したクレジットカードだ。

報酬プログラムでは、不動産所有者やBlackstone Group(ブラックストーン・グループ)やThe Related Companies(リレーテッド・カンパニー)、Equity Residential(イクイティー・レジデンシャル)といった資産管理会社と提携している。対象となる物件を借りている人は、家賃を支払うたびにポイントが加算される、契約更新や新規契約などのときにはさらにボーナスを得られる。

共同ブランドのクレジットカードであるBilt Mastercardは、対象物件の借り手だけでなく賃借人なら誰でもこのカードで家賃を払うことができる。賃借人として未だに小切手の郵送を強いられている私自身にとっても、これはうれしいサービスだ。

Blit Mastercardの利用者は、家賃支払いでポイントが2倍になり、それ以外のカード利用では1ドル(約110円)につき1ポイント貯めることができる。

貯めたポイントは、カード利用によるものも提携パートナーの家賃支払いによるものも、航空会社やホテル、その他グループ・フィットネス・クラスなどの特典に利用することができる。しかし、ポイントの利用方法で最も大きいのは、ローンの支払いだろう。

Biltは規制当局やFannie Mae(ファニー・メイ、連邦住宅抵当公庫)、住宅都市開発省らと話し合い、報酬ポイントをローン支払いに使用する承認を取った。その結果、報酬ポイントを住宅ローンの頭金に使えるだけでなく、Bilt Mastercardの利用者は信用スコアと報酬ポイントを同時に得ることで、ローンの利率を下げることができる。

収益については、Biltクレジットカードを利用した購入の取引手数料をMastercardと分配する。さらに同社は、賃借人に配布したポイント分を物件管理者から受け取ることでも収入を得る。

「3年前だったら、不動産所有者と組んで統合報酬プログラムを作ることなど想像もできなかったでしょう」。とジェイン氏はいう。「もし私がクレジットカードや家賃の手数料で決済ネットワークと提携することを考えたなら、ほとんどの人が不可能だと言ったでしょう。米国政府から規制の承認を得ることは、越えなくてはならない膨大な障壁でした。航空会社やホテルとの提携も膨大な作業でした。3年かかったのはそのためです。これは私たちにとって史上最も困難なプロジェクトでした」。

関連記事
みんなの銀行とピクシブが連携、「ピクシブ支店」(仮称)独自銀行サービスでクリエイターの創作活動を支援
英フィンテックRevolutの2020年売上高は前年比57%増の約398億円
クロスボーダー送金のWiseがロンドン証券取引所に直接上場へ

カテゴリー:フィンテック
タグ:Bilt Rewardsポイントクレジットカード

画像クレジット:Kairos

原文へ

(文:Jordan Crook、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アフリカ、ラテンアメリカ、インドなどの新興市場では決済、融資、ネオバンクがフィンテック業界を掌握

ここ数年、新興市場ではテック関連の投資が活発に行われており、エコシステムの成長につながっている。

アフリカ、ラテンアメリカ、インドなど、これらの市場の一部では、それぞれの地域の傾向や投資に関する包括的な報告が出版社や企業により提供されている。しかし、地域間の傾向や投資を比較対照した報告はほとんどみられない。それも当然だろう。このような作業は骨の折れる仕事である。

そうした中、データ調査機関Briter BridgesとインクルーシブテックのグローバルアクセラレーターCatalyst Fundが発表した報告書は、この3市場の最重要セクターであるフィンテックに対して全体像の提示を試みるものだ。

本報告書「新興市場におけるフィンテックの状況レポート」は、新興市場全体にわたって投資、プロダクト、包括性という3つの指標で評価を行っている。

調査はアフリカ、ラテンアメリカ、インドの177のスタートアップと33の投資家を対象に行われた。ここで使用されているサンプルの規模はごく小さなものであるが、鍵となる所見は非常に印象的である。

それでは中身を見ていこう。

フィンテックは2017年以降、地域全体で230億ドル(約2兆5038億円)を資金調達している

新興市場に向けられた投資意欲はとどまるところを知らない。本セクターは過去5年間、前年比で最大の投資を受け続けている。

3億人を超えるアフリカの成人が、銀行口座を持たない世界人口の17%を占めている。2019年にアフリカ大陸でBranch、Tala、World Remit、Interswitch、OPayによる合計7億7500万ドル(約845億円)超に達する5つの大型取引が行われたことは理解に難くない。2020年は3億6200万ドル(約394億円)に低下したものの、Flutterwave、TymeBank、Kudaなどの企業がこの期間にかなりの額を調達している。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカでは、デジタルユーザーの基盤が拡大し、規制と改革が促進され、中小企業が活況を呈している。アフリカ同様、銀行口座を持たない人の割合は70%と高い。この地域のフィンテック企業はその事業機会をとらえ、NuBank、Neon、Konfio、Clipといった企業が享受するメガラウンドを獲得した。これまでの5年間で、フィンテック系スタートアップは合計100億ドル(約1兆886億円)を調達している。

インドのフィンテック系スタートアップは、2019年だけで48億ドル(約5225億円)という記録的な額を調達したことが報告書に記されている。そして2020年、同セクターは30億ドル(約3266億円)を調達し、CRED、Razorpay、Groww、BharatPeなどの著名な大手企業を含む過去5年間の合計額は116億ドル(約1兆2627億円)に達した。

アフリカの平均シードラウンドは100万ドル(約1億885万円)、インドとラテンアメリカの平均は400万ドル(約4億3540万円)

報告書によると、アフリカでの初期段階の取引は過去5年間で累計16億ドル(約1742億円)以上増加している。特にシードラウンドの平均規模は、2017年の75万ドル(約8250万円)から2020年には100万ドル(約1億885万円)に拡大した。

ラテンアメリカにおける過去5年間の平均シード取引額は約570万ドル(約6億2040万円)であったのに対し、インドでは約460万ドル(約5億円)であった。報告書では、後者のデータはCREDの3000万ドル(約33億円)のシードラウンドにより偏りが生じているとしている。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカはIPOに意欲的で、インドはユニコーンを産み、アフリカはM&Aへ向かっている

2020年StripeがPaystackを買収したことは、その規模とナイジェリアのフィンテック系スタートアップの地元出身というステータスにより、アフリカのM&Aのハイライトとなった。その他に大きな話題となったラウンドには、WorldRemitによるWaveの5億ドル(約544億円)の買収(これは大陸で最大のものである)とNetwork InternationalによるDPO Groupの2億8800万ドル(約313億円)の買収がある。

関連記事:インドのスタートアップは2020年に合計9660億円を調達、記録更新ならずも後半回復

アフリカのフィンテック市場ではメガ買収や7桁規模の未公開取引の数々に注目が集まっているが、ラテンアメリカのフィンテック市場ではIPOへの関心が高い。報告書によると、同地域のフィンテック企業は数回にわたり1億ドル(約109億円)のラウンドを行っており(Nubank、PagSeguro、Creditas、BancoInter、Neon)、M&A活動は希薄だ。しかし、Arco Educacao、Stone Pagamentos、Pagseguroなど、その多くが最近上場を果たしている。

一方、インドには25社を超える10億ドル(約1088億円)企業が存在し、毎年増え続けている。先月には8件新たに誕生した。こうしたユニコーン企業は、Paytmのような既存の企業からCREDのような新しい企業まで多岐にわたっている。

決済、クレジット、ネオバンクがフィンテック活動をリード

報告書によると、この3地域では決済企業がフィンテックへの投資の中心となっている。そのサブセット内では、B2B決済が支配的な位置を占めている。次に資金を得たフィンテックのカテゴリーは、クレジットとデジタルバンキングだ。

アフリカでは、決済スタートアップへの投資がクレジットやネオバンクを上回っている。Flutterwave、Chipper Cash、Wave、Paystack、DPOなどが挙げられるだろう。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカで最も資金を得ているフィンテック企業はネオバンクである。また、3つのプロダクトカテゴリーすべてに20億ドル(約2176億円)から30億ドル(約3266億円)の資金が集まっている唯一の地域でもある。そうした企業には、NuBank、Creditas、dLocalなどが名を連ねている。

インドではトップクラスの資金力を持つフィンテック系スタートアップは決済カテゴリーに属している。しかし、Niyo、Lendingkart、InCredのような9桁のラウンドを調達する企業が、クレジットやネオバンクで注目すべき存在となっている。

投資家は保険、決済、デジタル銀行の将来に期待を寄せている

5年後のフィンテックプロダクトの将来動向については、調査対象となった少数の投資家のほとんどが、保険、決済、デジタルバンキングモデルを選択肢としている。

投資プラットフォームや組み込み型モデルにも関心が集まっている。彼らの関心は農業や送金に向けられておらず、ウェルステックプラットフォームやネオバンクも優先順位が低かった。デジタルバンキングとネオバンキングが投資家の選択範囲の両極にあるのはなぜだろうか?確かなことはわからない。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

報告書の一部では、これらの地域で十分なサービスが行き届いていない消費者のことや、フィンテックスタートアップが彼らにどのようにサービスを提供しているかについて述べられている。また、これらのフィンテックスタートアップがファイナンシャルインクルージョンを促進しているかどうか、どのような機能やプロダクトがそれを可能にするかについても論じている。

そのすべてにおいて、アフリカがラテンアメリカとインドに何年も後れをとっているという明白な事実は、目新しい情報ではない。Briter BridgesのディレクターDario Giuliani(ダリオ・ジュリアーニ)氏に話を聞いたところ、アフリカ大陸がラテンアメリカとインドが現在位置しているところに到達するには5年かかるだろうと語っている。同氏はまた、現段階でインドをより良い市場にしているのは、他の市場のように大陸ではなく、オペレーションが一律的であるからだと付け加えた。

「アフリカの54カ国やラテンアメリカの20カ国よりも、1つの国を管理する方が容易です」と同氏はTechCrunchに語った。「アフリカでは、私たちは『アフリカ』というラベルを使いながら、4~6カ国にわたって言及します。ラテンアメリカでは基本的にブラジル、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアの4カ国で大手企業が台頭しています。一方、インドは1カ国です」。

同報告書によると、新興市場のほとんどのフィンテック企業は、作物保険、流通業者やベンダー向けのクレジットライン、KYC、電子商取引決済ゲートウェイ、医療金融、保険といったさまざまな分野に進出しているという。ジュリアーニ氏は、この状況が今後も続くと予想している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:アフリカラテンアメリカインド投資決済クレジットカード保険銀行金融

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

インド中央銀行がデータ保存規則違反でアメックスに対し新規顧客の追加を制限

インド中央銀行は、同国におけるデータ保存規則の違反を理由に、American Express(アメリカン・エキスプレス)とDiners Club(ダイナースクラブ)が新規顧客を増やすことを2021年5月から制限するとインド時間4月23日に発表した。

インド準備銀行(RBI、Reserve Bank of India)は声明の中で、2つのカード会社のいずれかを利用している既存の顧客は、5月1日に発効するこの新しい命令による影響を受けないと述べている。

インド中央銀行が、2018年に発表された同国のデータ保存規則へのコンプライアンス違反を理由に企業にペナルティを科すのは、今回が初めてだ。この規則では、決済企業はすべてのインドでの取引データを同国内のサーバーに保存することが求められている。

Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)をはじめとする複数の企業と米国政府は、これまでにインド政府に対し、規制当局の「自由な監督アクセス」を可能にするための規則を再考するよう要請してきた。

さらにVisa、Mastercard、American Expressの3社は、このルールを大幅に変更するか、完全に破棄するよう当局に働きかけていた。しかし、これらの努力が功を奏さなかったため、ほとんどの企業がルールを遵守するようになった。

American Expressの広報担当者は、現地時間4月23日夜に発表した声明の中で「RBIがこのような行動に出たことに失望している」としながらも「できるだけ早く」懸念を解決するため当局と協力していると述べた。

同国におけるAmerican Expressの顧客数は約150万人に上り、インドの外資系銀行の中で最も多くの顧客を獲得している。

「当社は、インド準備銀行とデータローカリゼーションの要件について定期的に対話を行い、規制遵守に向けた進捗状況を示してきました。【略】これにより、インドの既存のお客様に提供しているサービスに影響はなく、お客様は通常通り当社のカードをご利用いただけます」と同社は述べている。

Discover Financial Servicesの傘下にあるダイナースクラブは、インド最大の民間銀行(HDFC)との提携によりインドでクレジットカードを提供しているが、声明の中で、インドは引き続き同社にとって重要な市場であり「インドでの成長を継続できるよう」中央銀行と協力して解決策を検討している、と述べている。

2020年、インド中央銀行は、HDFC銀行のサービスが停電に見舞われた後、新規のクレジット顧客を追加したり、デジタル事業を立ち上げないよう命じた。

4月23日の命令は、インドのもう1つの主要外資系銀行であるCitigroup(シティグループ)が、収益性の向上を目指してアジアの消費者向け事業の大半から撤退する計画を発表した中でのことだ。13カ国で展開している同銀行の消費者向け事業は、現在売却先を探している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:インドAmerican ExpressDiners Clubクレジットカード

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが「Spring Loaded」で発表した新製品まとめ、新iMac、iPad Pro、AirTagなど

Apple(アップル)のイベントの日だ。

Apple Cardの改良から新しいiMacやiPadまで、Appleは1時間のイベントでたくさんのニュースを発表した。しかし、すべての発表に目を通している時間がない方のために、それぞれのポイントをまとめてご紹介しよう。

Apple Card

画像クレジット:Apple

Appleはまず「Apple Card」の仕組みの変化について、簡単だが重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族なら誰とでもカードを共有でき、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、Appleカードを他の大人と「共同所有」することもできるようになり、両方の所有者が等しくクレジットを蓄積できるようになる。

Appleはまず、Apple Cardの仕組みの変更について、簡単に、しかし重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族であれば誰でもカードを共有することができ、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、他の大人とApple Cardを「共同所有」することも可能になり、2人の所有者が同じようにクレジットを貯めることができるようになる。

Apple Podcasts

画像クレジット:Apple

Appleは、Podcastアプリのデザインを一新し、それぞれのPodcastを有料購読(月額または年額)できるオプションを提供する。

パープルのiPhone

画像クレジット:Apple

今回、新しいiPhoneは発表されなかったが(iPhoneは通常、年内に発売される)、既存のiPhone 12とiPhone 12 miniに新色「パープル」が加わった。彼らはWilly Wonka(ウィリー・ウォンカ)の歌が使われたが……、まぁそれはパープルだからだろう。

関連記事:iPhone 12 / 12 miniに新色パープルが追加

AirTag

画像クレジット:Apple

Appleはついに、ソファーで紛失したさまざまなAppleデバイスを探すのにときと同じく「Find My」アプリを使って、鍵やお財布、バッグなどを追跡するためのアクセサリーを正式に発表した。

AirTag」(不思議なことに「AirTags」ではない)と名づけられたこのアクセサリーは、1個29ドル(日本では税込3800円)、4個入りで99ドル(日本では税込1万2800円)、4月30日に発売される予定だ。バッテリーはユーザーが自分で交換できるが、奇妙なことにアタッチメントループは付属しない。キーホルダーなどに取り付けたい場合は、ケースを追加する必要がある。もちろん、Appleはそれを作り、販売する。

AirTagにはそれぞれスピーカーが内蔵されており、紛失したアイテムを見つけるのに役立つ。オンラインで購入すると、テキストや選択した絵文字を無料で刻印することができる。

関連記事:アップルが紛失物トラッカー「AirTag」をついに正式発表

次世代Apple TV 4 K

画像クレジット:Apple

Appleは、2017年に初めて発売した「Apple TV 4K」を大幅に刷新する。その内訳は以下のとおりだ。

  • AppleのA 12 Bionicチップ搭載。
  • iPhoneを使って映像のキャリブレーションが行える。キャリブレーションプロセスを開始し、iPhoneの前面カメラをテレビに近づけると、Apple TV 4Kはそれに応じて自らのカラー / コントラスト出力を自動的に最適化する。
  • リモコンのデザインも一新。これまでのタッチパッド付きのリモコンから、iPodのようなスクロールホイールを備えた5方向のクリックパッド付きのリモコンに変更された。ボタンを押す代わりにテレビに話しかけたくなったときのために、側面にはSiriボタンが付いている。このリモコンは、前世代
  • Siri RemoはApple TV 4KおよびApple TV HD用として59ドル(日本では税込6500円)で別売りされる。
  • 32GBモデルが179ドル(日本では税込2万1800円)、64 GBモデルが199ドル(日本では税込2万3800円)。

関連記事:新型Apple TV 4KにはSiriが使える「Siri Remote」が付属

新しいiMac

画像クレジット:Apple

iMacがM1にシフトするときが来た!Appleは、iMacの新ラインナップを発表した。往年のiMacを彷彿とさせる、ファンシーなカラーバリエーションが特徴だ。その概要は以下のとおりだ。

  • Appleが2020年にノートPCに初導入した驚異的に高速な「M1」チップセットを搭載。
    24インチの「4.5K」ディスプレイ。
  • ついに、まともなウェブカメラが登場!新iMacには1080pのFaceTimeカメラが搭載される。
    予約注文は4月20日から始まり、出荷は5月下旬。
  • 1299ドル(日本では税込15万4800円)で8コアCPU / 7コアGPU、1499ドル(日本では税込17万7800円)で8コアCPU / 8コアGPUにアップグレードできる。
  • カラーはグリーン、イエロー、ピンク、オレンジ、ブルー、パープル、シルバーの7色。一部の色は、より高額なモデルでのみ提供される。
  • どちらのモデルも256GBのSSDとThunderboltポートが2つ備えている。1499ドルのモデルでは、USB 3ポートが2つ追加される。
  • Appleは、Touch ID指紋認証センサーを搭載したBluetooth Magic Keyboardの新バージョンも発表。高額なモデルに同梱される。

画像クレジット:Apple

関連記事
アップルがカラフルな新iMacを発表
新型iMacがついに高画質なウェブカメラを搭載
アップルがMagic KeyboardにTouch IDを搭載

新しいiPad Pro

画像クレジット:Apple

iPad ProもM1を搭載する!Appleによると、この移行により従来のiPad Proと比べてパフォーマンスが50%向上したという。新機能は以下のとおりだ。

  • 8コアGPU / 8コアCPU。
  • 11インチモデルは799ドル(日本では税込9万4800円)から、12.9インチモデルは1099ドル(日本では税込12万9800円)から。
  • セルラーモデルは5Gをサポート。
  • USB-Cポートを介してThunderboltおよびUSB 4をサポート。
  • 12.9インチモデルは「Liquid Retina XDR」ディスプレイを搭載。Appleによるとフルスクリーン輝度は1000ニト、ピーク輝度は1600ニトとのこと。
  • Appleが「Center Stage」と呼ぶ機能は、FaceTime通話中に、部屋の中を動き回っても自動的に自分の顔をフレームの中央に保つ。
  • 最大2TBの内蔵ストレージと16GBのRAMを搭載。

関連記事
新iPad ProもApple M1チップ搭載
M1 iMacの電源アダプターは磁気コネクタとEthernetポートを搭載、他製品でも採用か

カテゴリー:イベント情報
タグ:AppleAPPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021Apple CardクレジットカードポッドキャストiPhoneAirTagトラッカーApple TVSiriiMacApple M1iPad

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)

インドのハイエンド層にフォーカスしたクレジットカードを提供するCREDが新規ラウンドで評価額2415億円に

創業2年のCRED(クレド)は評価額が20億ドル(約2195億円)を超える最も若いインドのスタートアップになった。

バンガロール拠点のCREDは現地時間4月6日、新規ラウンドのシリーズDで2億1500万ドル(約236億円)を調達し、ポストマネーの評価額は22億ドル(約2415億円)だと発表した。2021年1月に8100万ドル(約89億円)を調達したシリーズC時の評価額は約8億ドル(約878億円)だった。

新規投資家のFalcon Edge Capitalと既存投資家のCoatue Managementが新規ラウンドをリードした。Insight Partners、そして既存投資家のDST Global、RTP Global、Tiger Global、Greenoaks Capital、Dragoneer Investment Group、Sofinaも本ラウンドに参加し、CREDの累計調達額は4億4300万ドル(約486億円)となった。

TechCrunchは2021年3月、CREDが評価額20億ドルほどで約2億ドル(約219億円)を調達する交渉がかなり進んでいると報じた

CREDはクレジットカードの請求を期日までに支払う顧客にリワードを与え、クレジットや高級ブランド製品を集めたプレミアムカタログのようなさまざななサービスへのアクセスを提供するアプリを運営している。

クレジットスコアが少なくとも750以上の個人がCREDに申し込むことができる。ハードルを高く設定することで、人々が財務に関する行動を改善するよう動機付けされるようにしている、と同社は話す。

CREDは現在、顧客600万人超にサービスを提供しており、この数字は世界で2番目に大きいインターネットマーケットであるインドのクレジットカード保有者の22%にあたる。プレミアムなクレジットカード所有者に限ると全体の35%を占める。

CREDの創業者でCEOのKunal Shah(クナル・シャー)氏はTechCrunchとのインタビューで、インドの裕福な顧客のためのプラットフォームとなり、商品を金融サービス以外にも広げるつもりだと語った。

例えば前述のeコマースサービスが急成長してきた、とシャー氏は話した。そして、これまでの成功は顧客がCREDでアイテムのキュレーションを楽しみ、小売業者はCREDでの各取引の規模が大きくなる傾向にあるためにCREDを魅力的なプラットフォームととらえているからだとの考えを示した。

新たに調達した資金は、いくつかの売上チャンネルの拡大と、より多くの実験を行うのに使う計画だと同氏は話した。

いつの日かインドの全クレジットカードユーザーにサービスを提供したいかと尋ねると、一部の部門ではCREDはサービスを提供できないが、より多くのユーザーが将来クレジットスコアを改善することについては楽観的だと同氏は述べた。

インドの同業他社と異なり、CREDは普通のTAM(獲得可能な最大市場規模)、すなわち世界で2番目に人口が多いインドの数億ものユーザーにフォーカスしていない。その代わり、最もプレミアムなユーザーの一部に応じている。

インドのフィンテック企業にとっての消費者セグメンテーションと獲得可能な最大市場規模(BofA Research)

「インドで発行されているクレジットカードは5700万枚で(デビットカードは8億3000万枚)、主にハイエンドマーケット向けです。クレジットカード産業はトップ銀行4行(HDFC、SBI、ICICI、Axis)に集中しており、そうした銀行が全マーケットの70%を握っています。SBI CardsのIPOからわかるように、この分野はこうした銀行にとってかなり利益率が高いものとなっています」とBank of Americaのアナリストは顧客向けの最新レポートに書いた。

「CREDのような極めて少ないスタートアップがこのハイエンド層にフォーカスし、プラットフォームベースのアプローチ(顧客をまず獲得し、後に収益化を探る)を取っています。インドではクレジットカードは依然として憧れのプロダクトです。まだ浸透していないことは、今後引き続き力強く成長することを約束しています。今後、その形態は進化するでしょうが(たとえばプラスティックカードからバーチャルカードに移行するなど)、クレジットカードに対する需要は成長することが見込まれます」と付け加えた。

CREDはインドで最も話題の企業の1社になった。部分的にはこれは、資金調達のペース、大きくなるばかりの評価額、そして選ばれた顧客のみに対応しているという事実のためだ。

一部のユーザーはCREDが1年前ほど魅力的な特典を提供していないと指摘した。

インドで最も儲けているエンジェル投資家の1人で、以前経営していたベンチャーがインドにおいて稀なエグジットの1つとなったシャー氏は、CREDがすでにこうした懸念を解決していると話した。例えば顧客がCREDポイントを1000超の販売業者で使えるようにしている新機能はリワードをより魅力的なものにしたと述べ、CREDが徐々にこの機能を自社のeコマース店舗に組み込んでいるとも付け加えた。

「こうしたポイントは資産であり負債ではないことに顧客が気づくのに、そう時間はかからないでしょう。顧客は多くの場所でポイントのメリットを目にし始めるはずです」とシャー氏は述べ、さらにはパンデミックによりCREDが計画していたものの一部が妨げられたことにも言及した。

2021年1月に従業員から120万ドル(約1億3200万円)分の株を買い戻したCREDは4月6日の従業員への電子メールの中で、500万ドル(約5億4900万円)分の株を間もなく買い取ると伝えた。「資金調達はCREDが未来に投資するのをサポートし、株の買い戻しがみなさんの未来への投資をサポートすることを願っています」と電子メールにはある。

カテゴリー:フィンテック
タグ:CRED資金調達クレジットカードインド

画像クレジット:Manish Singh / TechCrunch

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Apple Cardプログラムは公正貸付法に違反していないとNY州金融サービス局が報告

米国時間3月23日に、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は報告書を発表し、Apple Cardプログラムの差別的慣行、特にジェンダーに基づく差別の疑いは、2019年11月のオンライン上の告発を発端とした調査の結果、払拭されたことを明らかにした。

当時、技術系実業家のDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハインマイヤー・ハンソン)氏がApple Cardを申請した際、同氏に設定されたクレジット利用限度額が妻に提示された額の20倍であったことについて、ジェンダーに基づく差別であるとツイートしたことから始まった同調査。同夫婦は共同で確定申告を行い、妻のクレジットスコアは同氏よりも高かったにもかかわらず、こういった利用限度額の判断がくだされていたのだ。Apple Cardプログラムは、AppleとGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)が共同で運営している。

ハンソン氏のツイートをきっかけにこの問題が拡散し、Appleの共同創業者であるSteve Wozniak(スティーブ・ウォズニアック)氏をはじめとする複数の人からも反応があった。同氏もパートナーとApple Cardを申請したときに同じようなことを経験したという。

ハンソン氏の妻であるJamie Heinemeier Hansson(ジェイミー・ハインマイヤー・ハンソン)氏も、自身の体験を詳細に記録したブログ記事を投稿している。

消費者からの数々の訴えはすぐにニューヨーク州金融サービス局の注意を引くこととなり、同局はゴールドマン・サックスのクレジットカード業務について調査を開始し、問題となっているジェンダーに基づく差別が行われているかどうかを検証した。

NYDFSの報告書を他に先駆けて報じたAppleinsiderによると、ゴールドマン・サックスは初めの段階で、配偶者よりも著しく低い信用スコアを提示されていた一部の女性の信用情報ファイルを再調査し、配偶者の信用スコアに合わせて限度額を引き上げることを決定していたという。同行は当時、与信判断に対する異議申し立てのための6カ月の待機期間も廃止している。

これらの行動から、Apple Cardのアルゴリズムが、性別に基づく不当な信用価値評価をしている可能性があることがうかがえるが、同局はそのような事実は存在しなかったとしながらも、信用スコア改革の必要性や、信用アクセスに関する既存の法律の改正について強調している。

NYDFSは、Appleとゴールドマン・サックスからの数千ページに及ぶ記録と書面による回答を調査し、Apple Card利用者への聞き取りや、Appleおよび同銀行の代表者との面談を行い、Apple Cardに申し込みをしたニューヨーク州40万人近くのデータセットを使って同行の引受データを分析したと述べている。さらに、差別を感じたという消費者にもインタビューを行った。

同局は、公正貸付法に基づく申請者に対する「違法な差別」はないと結論づけた。しかし、金融サービス監督官Linda A. Lacewell(リンダ・A・レースウェル)氏の声明では、信用融資制度自体には依然として差別があり、信用スコアが信用への不平等なアクセスにつながる可能性があることが強調された。

「公正貸付違反は認められませんでしたが、今回の調査は、同一信用機会法(ECOA)が制定されてから50年近く経過しても信用へのアクセスにおける格差が存在することを、私たちに思い出させるものでした」とレースウェル氏は述べている。同氏は「報告書はまた、信用へのアクセスを改善するために、信用スコアリングにおける現在の慣習や法律、貸し手に対する差別規制に近代化と強化を施すべきという点についても触れています」としたうえで、アカウント所有者に承認されたユーザーを追加することを許可しないというApple Cardのポリシーは適切ではないと感じる消費者に対して「配偶者の信用へのアクセスに依存し、承認されたユーザーとしてのみアカウントにアクセスする場合、配偶者と同じ信用プロフィールを持っていると誤解してしまう可能性があります」と注意喚起し「これは、公平な信用アクセスに関して私たちが議論しなければならない広範な問題の一部です」と付け加えた。

苦情を寄せた消費者の間で共通する要素の1つは、同一の銀行口座やクレジットカードのような共有資産にアクセスできる配偶者は、たとえそれが認可されたユーザーにすぎないとしても、配偶者と同じ信用条件を受けられると考えていることだった。しかし現在のシステムでは、引受機関は承認されたユーザーをアカウント所有者と同じように考える義務はなく、他の要因も考慮する可能性がある。調査によると、これらの要因が組み合わさって、融資判断の低下につながったという。

同局はゴールドマン・サックスに照会し、消費者からの苦情を受けた融資の決定に関する引受手続きの文書化に至ったという。性別による影響は見られなかったが、配偶者のクレジットスコア、負債額、収入、クレジット利用率、未払い、その他クレジット履歴などの要素が関与していた。確認された要因のいずれについても、与信判断の「違法な根拠」ではなかったと同局は述べている。

もちろん信用スコアシステム自体は、全体的に見ると男性に有利なものだ。(特に白人男性に対しては)。その根拠は単一ではないものの、多くの場合、女性が主に保護者としての役割を果たしていることと、信用スコアリングモデルの仕組みに関係している。これは改革が必要なシステムではあるが、Apple Cardプログラムと差別に対する苦情が見られたケースについては融資決定に際して「合法的に」使用されていた。

しかし同局は、Apple Cardの融資決定には透明性が欠如していることを指摘し、これらの苦情に対する銀行の決定に関するデータを当局は入手できたが、影響を受けた消費者は入手できなかったことを明らかにした。また、Appleが6カ月の待機期間を設けるのではなく、より堅牢な異議申し立てプロセスを提供できたのではないかと指摘している。

Appleはそれ以来いくつかの問題に対応しており、2020年は申請者がApple Cardの承認に必要な手順を踏むのに役立つ「Path to Apple Card」をローンチした。これまでに7万人以上の消費者がこのプログラムに登録し、約5,000人が承認されている。Appleはまた、同社ウェブサイトを更新しApple Cardの承認方法に関する詳細情報を公開した。そして現在、Apple Cardファミリー共有機能のサポートを追加しようとしているところだ。これは少なくとも、配偶者がより高い融資限度額を利用できないという問題に対処することになるだろう。

それでも今回の調査では、Appleが自身の信頼あるブランドと、消費者が好まないような銀行慣行をともなう従来型の貸し手が発行するクレジットカードとを組み合わせることで直面した問題に加えて、透明性の欠如が融資決定に対する信頼をいかに損なったかが浮き彫りになった。

ゴールドマン・サックスは調査結果に関する声明を発表している。

「金融サービス局の徹底した調査に感謝するとともに、融資の公平性に違反がないという結論を好意的に受け止めています。引き続き、信用への公正で平等なアクセスを提供することに専心してまいります」と述べている。

この調査全体が動き出すきっかけとなった最初のツイートを発信したハンソン氏にコメントを求めた。

「これはゴールドマン・サックスのプレスリリースのようなもので、私たちのケースの特定の事実を無視しています。妻は私よりも高いクレジットスコアを持っていましたが、そのクレジットの10分の1の価値であると判断されました。信用評価プロセスには透明性がなく、申請者は拒否された理由を知ることができませんし、ゴールドマン・サックスやAppleの従業員も理解しているようには見えません。アルゴリズムによるブラックボックスの影響は依然として存在しており、監査が行われる可能性はなく、不公正な結果が継続しています。完全な規制の破綻と言えるでしょう」。

【更新(2021年3月23日午後3時)】初版発行後にコメント付きで更新した。

関連記事:アップルがApple Cardの審査に落ちた人のための信用度改善プログラム「Path to Apple Card」をスタート

カテゴリー:その他
タグ:AppleGoldman SachsApple Cardクレジットカードニューヨーク

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

現金があるのにローンを組めない人向けサービスを提供するTomoCreditが約7.4億円調達

クレジット履歴がないと、クレジットカードを作るのは難しい。

この問題を解決しようとしているのが、スタートアップのTomoCreditだ。共同創業者兼CEOのKristy Kim(クリスティー・キム)氏が同社のコンセプトを考えついたのは、まだ20代の初め頃、立て続けに自動車ローンの審査に落ちたことがきっかけだった。

幼い頃、家族とともに韓国から米国へ移民したキム氏は、仕事に就いていて、しかも「キャッシュフローは黒字」だったにも関わらず、クレジット履歴がないことがこれほど大きな障害になると知り、落胆したのだ。

そこで、ロシア移民のDmitry Kashlev(ドミトリ・カシュレフ)氏と組んで2019年1月に、同じようにローンを組めない外国生まれの個人と若者向けのソリューションを立ち上げた。同年の秋、このスタートアップ(名前は「Tommorow’s Credit(明日のクレジット)」に由来する)は、Techstarsが支援するBarclays Acceleratorに選出された。

サンフランシスコを拠点とするこのフィンテックは、初めて借り入れをする人がFICOやクレジットレポートの評価ではなく、キャッシュフローに基づいてクレジット履歴を作りやすくなるよう、クレジットカードを提供している。

米国時間2月10日、TomoCreditは700万ドル(約7億3700万円)のシード資金調達ラウンドを行ったと発表した。これには韓国の消費者銀行Kookmin Bankの子会社であるKB Investment Inc.(KBIC)に加え、Barclays、Knollwood Investment Advisory、BAM Ventures、Passport Capital、Ulu Ventures、Strong Venturesが参加している。

エンジェル投資家と個人投資家たちもこのラウンドで資金提供をしている。Backstage Capitalの創業者Arlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏、Venmoの元COOである Michael Vaughan(マイケル・ボウハン)氏、Tinderの前財務責任者James Kim(ジェームス・キム)氏などである。

消費者金融保護局(CFPB)によれば、3000万人もの「キャッシュリッチ」な若者が、限られたクレジット履歴しか持たないために、デビットカードしか使えないという。

TomoCreditはデビットカードモデルで運用しているクレジットカードで、発行元はFDICに加盟しているCommunity Federal Savings Bankだ。利用者は7日後に自動支払いを行うスケジュールならば手数料無料で、それを過ぎるとAPR(金利)が適用される条件で返済を行う。与信限度額は平均3000ドル(約31万5700円)だが、最高で1万ドル(約105万2500円)まで増額できる。借り手がクレジットカードに自分の投資口座を紐づけることで、与信限度額を増額できる仕組みだ。

「当社は、ただインクルーシブなだけでなく、既存のクレジットカードが提供するサービスとは根本的に違うものを創り出そうとスタートしました」とキム氏は語る。

このカードは移民だけではなく、誰であれ、クレジット履歴に関して「履歴がないか、わずかしかない」と判断される人を対象にしているのだと、同氏ははっきり述べている。

自動車ローンの審査に落ちたことで、キム氏は米国という国で「クレジットスコアなしでは何もかもが難しい」ことを実感した。

「収入、貯金の有無は無関係なのです」と同氏は言い、こう続ける。「クレジット履歴の代わりに別のデータソース、特にキャッシュフローデータを活用できたらいいのにと思っていました。今、私たちが生きているのは2021年で、オープンバンキングが普及しており、オープンバンキングのデータには簡単にアクセスできるのです。当社はみなさんのキャッシュフローデータを利用して支払い保証を行います」。

TomoCreditのモデルが持つもう1つのユニークな側面は、カードを使う消費者からではなく、加盟店手数料から収益を得ている点だ。

「現在クレジットカードを発行しているカード会社とは違って、当社は借り手の支払いが遅れた時の遅延賠償金を収益源としていません。カード保有者の支払額に応じて収益を得ています。お客様のご利用が増えると当社も成長する、ということです」とキム氏は付け加えた。

TomoCreditは2020年の夏の終わりころにカードの発行を開始した。

「正直、あまり期待していませんでした。当社にとって初のローンチで、マーケティングも何もしませんでしたから」と同氏は当時を振り返る。「ところが、30万人以上の申し込みがあり、そのうち半分は当社で事前承認できました。それ以来、積極的にカードを発行し続けています。」

同社が発行するカードの需要が急増したのは、2020年YouTubeとRedditで「バズった」からだとキム氏はいう。

「ローンチの直後、大量のアクセスがありました。大勢のYouTuberがTomoCreditについてコメントしたりレビューをしたりしていて、クレジットスコアを速く効率よく作るために当社のソリューションを求めている人たちのコメントもありました。」

現在、TomoCreditのアクティブユーザー数は1万人を超え、同社は2021年の夏までに残りの事前承認済みの申込者のカードを発行する計画だ。

筆者は、TomoCreditが負うリスクを懸念する投資家を説得するのに苦労したかに興味があった。

クレジット履歴を持たない人々にカードを発行するリスクという「感情的、心理的ハードル」を乗り越えられるよう、投資家たちを説得する必要があったとキム氏は感じている。

「環境が変化していることを理解してもらえるよう、説明する必要がありました」と同氏は語る。「新しい世代の消費者、特にZ世代やミレニアルを見れば、そうした人たちのほとんどがわずかな履歴しかないか、まったく履歴がないことがわかります。これは彼らのせいではありません。人々の個人的なお金に関する行動様式が、過去とは違っているのです。そのために、従来型の貸し手が彼らを査定することが難しくなっているのです。」

Backstage Capitalの創設者アーラン・ハミルトン氏は、TomoCreditが獲得した投資家の1人だ。

同氏からのメールによれば「最近、自分が子供だったころに家族やその他大勢の人たちが理不尽な思いをした不都合なやり方を正してくれる製品に投資したり世に出したりすることに、自分の時間をたっぷり使っています」とのことだ。「こうしたテーマの1つに、良好なクレジットスコアを確立し、法外な金利のローンを借りずに済む手段を持つことが挙げられます。Tomo Creditはこの課題に対し、非常にスケーラブルで、メインストリーム的なやり方で取り組んでいると感じます。」

Barclaysのグループ最高イノベーション責任者のMariquit Corcoran(マリキット・コルコラン)氏は「ローンへのアクセスと財務プロファイルの形成において伝統的に困難を抱えてきた多くの人々が、実際の生活で直面しているある1つの問題」を解決するのだというキム氏の最初のプレゼンテーションを聞いて、その「粘り強さとパッション」に非常に強い印象を持ったという。

「彼らの成長と、個人のローン適格性を判定する方法が変化することのインパクトを見届けるのを楽しみにしています」と、同氏はメールで述べた。

今後について、TomoCreditは新たに調達した資金を使って、現在15名の人員を3倍に増やすことを計画している。そのほとんどはフルスタックエンジニアとデータエンジニアの採用が目的だ。最近同社は、LendingClubの元役員であるChaomei Chen(チャオオメイ・チェン)氏を最高リスク責任者代行に迎えている。また、同社は今回の資金の一部を使用して、インタラクティブ機能のいっそうの充実など、製品開発も行う計画だ

TomoCreditが代替クレジットモデルを備える唯一のフィンテックというわけではない。X1 Cardクレジットスコアの代わりに現在と将来の収入に基づいて限度額を設定している。また、Grow Creditは2019年に創業したスタートアップで、SpotifyやNetflixなどのオンラインサブスクリプションを対象とした与信限度枠を提供することで、顧客がクレジットスコアを構築できるようにしている。

関連記事:クレジットスコアではなく収入に応じて限度額を決めるクレカX1 Card

カテゴリー:フィンテック
タグ:TomoCreditクレジットカード資金調達

画像クレジット:TomoCredit

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)

メキシコの中低所得者層にクレカを提供するフィンテックStoriが約35億円調達

米国ではクレジットカードは一般的なものだが、他の多くの国、特に南米においてはユビキタスではない。中でもメキシコでは現金が主な決済手段であり、決済の推定86%が現金によるものだ。

しかしかつてなく人々がオンラインで買い物するようになり、クレジットカードの使用は増えている。最近の調査によると、メキシコは世界で最も急速にeコマースマーケットが成長している国だった。一方で、世界銀行の最新統計によると、15歳以上のメキシコ国民で銀行口座を持っている人の割合は37%に留まる。

こうした要因によりメキシコでは明らかにフィンテックイノベーションの時機が熟している。

それはメキシコシティに拠点を置くスタートアップStori(ストリ)の創業者らにチャンスをもたらしている。

Storiの創業チーム。左から順にJuan Villaseñor(フアン・ヴィラセニョール)氏、Marlene Garayzar(マレーネ・ガライザー)氏、Bin Chen(ビン・チェン)氏、Camila Burne(カミラバーン)氏(画像クレジット:Stori)

Storiは2020年1月にメキシコでクレジットカードプロダクトを立ち上げ、これまでのところ100万人超がカードを申し込んだ。

創業チームの一部のメンバーはCapital Oneで何年も働き、金融サービスを十分に受けられていない人々を引き受けるスキルを磨いた。また他のメンバーはメキシコと米国のMastercard、Morgan Stanley、GE Money、HSBC、Intelといったところで働いていた。

Storiは「メキシコで増えつつある中流階級向けの主要クレジットカード発行者になる」という目標を掲げてシリーズBラウンドで3250万ドル(約35億円)を調達した。

本ラウンドはLightspeed Venture Partnersがリードし、2018年初め以来Storiが調達した総額は5000万ドル(約53億円)になった。Lightspeed Venture PartnersのパートナーMercedes Bent(メルセデス・ベント)氏によると、Storiの案件はLightspeedにとって南米における初の大型投資で「投資案件は今後も続く」ことが見込まれている。

既存投資家のVision Plus Capital、BAI Capital、Source Code Capitalも本ラウンドに参加した。

Storiは「100%モバイルアプリベースのエクスペリエンス」となるクレジットカードをメキシコの増えつつある中所得層に提供する。Storiのチームは最初の2年を同社のインフラとプラットフォームの構築に費やした。

共同創業者Bin Chen(ビン・チェン)氏によると、2021年1月のStoriの月間新規顧客数は2020年1月の14倍で、2020年の平均月間新規顧客数の6倍だった。現顧客数を開示するのは却下した。

メキシコマーケットはかなり巨大であるため(同国の人口は1億3000万人近くだ)、Storiは現在メキシコのみにフォーカスしている。

世界の他の国と同様、デジタル決済に対する顧客需要を増やしている新型コロナウイルスパンデミックはStoriにとって追い風となっている。

「メキシコの消費者のeコマース、そして配車サービスやデリバリーのようなアプリベースのサービスの使用は急増していて、クレジットカードはそうしたチャンネルで好まれている決済方法です」とチェン氏は話した。「消費者はキャッシュフローの変動や不定期の支出、短期的な需要に対応できるフレキシブルなクレジットカードにアクセスする必要性をこれまで以上に経験しています」。

そしてもちろん、パンデミックによるロックダウンの間、多くの人が銀行の支店に直接足を運ぶのを回避するためにデジタルの金融商品を活用している。

チェン氏によると、Storiの共同創業者たちの共通点の1つはメンバーそれぞれが「質素な家庭の育ち」だということだ。

「我々はみな、従来の金融サービスの世界から排除されていると感じた経験があります。20年以上前にイリノイ州で修士号を取得しようとしていた学生のとき、学費と生活費を賄うために私はティーチングアシスタントシップ(優秀な学生が補助教員となること)に完全に頼っていました」とチェン氏は回顧した。「しばしばお金が尽き、やりくりが厳しいときがありました。最初にクレジットカードを手にする前に何回も却下されました」。

米国におけるTomoCreditのミッションと同様、Storiの創業者たちは「正式な金融システムを使うのは初めて」という中・低所得の顧客にクレジットカードを手にする機会を提供することに取り組んでいる。

同社は新たに調達した資金を顧客ベースの成長、従業員の増加、プロダクトデザインへの投資、テクノロジーインフラ、リスク引き受けなどに使う計画だとチェン氏は述べた。同氏は以前米国と新興マーケットでCapital OneとMastercardで働いた経験がある。Storiは現在、メキシコ、米国、中国のオフィスに従業員80人を抱え、この数字は1年前の40人から増えている。

「当社の目標は金融サービスが提供されていない人々のための主要なデジタルバンクになることです」とチェン氏は話した。

Lightspeedは1年以上前にStoriの創業者たちに会った。

「我々はStoriの創業者たちの経験の深さに感銘を受けました。米国スタイルの経済刺激策の恩恵を受けることなく、彼らは新型コロナの落とし穴を見事に避けて進み、リスク引き受けのモデルが強固なもので、そして向上しつつあることを示しました」とベント氏は話した。「それはチームの質を反映しています」

中国拠点のVision Plus Capitalのパートナー、Yiran Liu(イーラン・リュー)氏は同社がStoriのAラウンドをリードし「今回のラウンドでも引き続きかなりの比例配分」だとしている。

「デジタルフィンテックモデルに関して構造的な命題があり、当社は世界中、特に新興マーケットでこうしたモデルに投資しています。我々はStoriのチームが達成したことに感銘を受け、急成長で証明されているメキシコのマーケット機会に興奮しています」と声明で述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Stori資金調達メキシコクレジットカード

画像クレジット:Maica / Getty Images

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

ビジネスの「財務コントロールセンター」を構築を目指すシンガポールのVolopayがシードラウンド2.2億円を調達

シンガポールを拠点にビジネスのための「財務コントロールセンター」構築を目指すスタートアップVolopay(ボロペイ)は米国時間1月18日、シードラウンド投資210万ドル(約2億1800万円)を調達したことを発表した。このラウンドはTinder(ティンダー)の共同創設者Justin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏が主導し、Soma Capital、CP Ventures、Y Combinator、VentureSouq、Razorpayの創設メンバーなどのエンジェル投資家が参加している。

この資金は人材雇用、製品開発、戦略的提携、Volopayの海外展開に使われる。2020年1月末には、オーストラリアでの事業を立ち上げる計画だ。現在はSmart Karma、Dathena、Medline、Sensorflow、Beamなど約100社のクライアントを有する。

2019年、Rajith Shaiji(ラジス・シェイジ)氏とRajesh Raikwar(ラジェシュ・レイクウォー)氏が共同創設したVolopayは、2020年、Y Combinator(ワイ・コントリビューター)のアクセラレーター・プログラムに参加した。最高経営責任者のシェイジ氏は、起業前、いくつものフィンテック企業に勤めていたが、特に複数の国に分散した経理部門にまたがる事業経費の照合方法に不満を募らせ、Volopayを立ち上げた。シェイジ氏とレイクウォー氏はともに、多くの企業、特にスタートアップや中小企業が、サブスクリプションや業者への支払いなど何種類もの経費の追跡に苦労する様子を見てきた。

Volopayのクライアントは、ほとんどがテック産業に属する従業員15〜150名の企業だ。Volopayのプラットフォームには、複数通貨対応の法人カード(VISAが発行)、国内および海外の銀行振り込み、自動支払い、経費管理ソフトウェア、会計ソフトウェアといった機能が組み込まれ、為替手数料や出費の照合が迅速に行える。

展開を促進するために、VolopayはAirwallex(エアーウォレックス)のAPIを導入している。その法人カードでは、テック企業の三大出費項目だとVolopayがいうソフトウェアのサブスクリプション、ホスティング、海外出張で最大2%のキャッシュバックが受けられる。また2020年11月には、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中は中小企業を流動的な対応で支援する法人カードのためのカード部門を創設した。

クレジットカードや運転資金貸付のような従来型の信用取引と比較すると、VISA法人カードでも受けられるVolopayの信用枠は、クレジットの利用額に応じた固定料金構造を持つ魅力的なものになっているとシェイジ氏はいう。つまり、企業はいくら借りるかを事前に把握できるため、キャッシュフローの管理が楽になる。Volopayが提供している平均的な与信枠はおよそ3万ドル(約310万円)だ。

2020年7月にTechCrunchが取材して以来、Volopayは同プラットフォームでの総資金フローが前月比70%の伸びを見せているとシェイジ氏は話す。同社はまた2つの新機能もローンチした。クライアントが低い為替レートと安い手数料で国内外の送金が行える請求書支払い機能と信用供与だ。この請求書支払い機能は、現在、Volopayの総支払い額のおよそ40%を扱っている。一方、クレジット商品はカード利用額の30%を占めている。

シェイジ氏はTechCrunchに対して、Volopayがオーストラリア進出を決めたことを話してくれた。シンガポールよりもずっと大きな市場であることに加えて、「オーストラリアの中小企業は、有償ソフトウェアを利用した内部業務の効率化や事業の拡大に非常に慣れている」ためだ。さらに、現在のところオーストラリアには、Volopayのような支出管理とクレジットの両方を中小企業に提供する業者がないとも彼は指摘している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Volopayクレジットカード資金調達

画像クレジット:Volpay

原文へ

(翻訳:金井哲夫)