新型コロナワクチンのサプライチェーンを監視するアイスランド企業Controlantに脚光

遠く離れたアイスランド発のスタートアップが、新型コロナウイルスのワクチンの1つを世界中に届けるというレースで主要プレイヤーとして脚光を浴びている。Controlant(コントロラント)は、GSMネットワークに基づくリアルタイムのサプライチェーン監視テクノロジーを有し、医薬品やライフサイエンス分野を専門とする。同社はPfizer(ファイザー)がBioNTech(ビオンテック)と共同開発したmRNAベースの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを世界中に配布する際、監視サービスを提供していることを認めた。Controlantのプラットフォームには、GSMネットワークにリンクし、ウェブやモバイルアプリに情報を届けるスクリーンベースのIoTタグが含まれる。

12月7日の週に、米ニューヨーク州知事はワクチンが入った箱を披露した(上の写真と下の動画を参照)。この箱には、ControlantのGSM追跡デバイスと思われるタグが付いていた。TechCrunchはControlantに連絡を取り、そのタグが実際に同社のものであることを確認した。

サービスソリューションとしてのControlant Cold Chain

Controlantはリアルタイムの「サービスとしてのコールドチェーン」プラットフォームのマーケットを拡大すべく、9月にシリーズB資金調達ラウンドで1500万ドル(約15億6000万円)を確保した。同社はSjovaVISなど主にアイスランド拠点の投資家を抱える。アイスランドのVC会社Frumtakは2011年に初めてControlantに投資した。直近の資金調達により、Controlantの累計調達額は5000万ドル(約51億8000万円)になった。Frumtakはこのほど持分11%を1400万ドル(約14億5000万円)近くで売却したが、それでもFrumtak IIファンドを通じて同社はまだ13%の持分を維持している。

Pfizerに提供している見える化とモニタリングのソリューションに加え、Controlantは米政府、米疾病予防管理センター(CDC)、米保健福祉省、そして「ワープスピード作戦」関係者と直接協業している。Controlantのプラットフォームはワクチン配布のための米国中のサプライチェーンで使用されている。

ControlantのCEOで共同創業者のジスリ・ヘルユーフソン氏

Controlantの共同創業者でCEOのGisli Herjolfsson(ジスリ・ヘルユーフソン)氏は「当社はワクチンのサプライチェーンオペレーションについてのノウハウを持っています。Pfizerおよび政府関係者との直接作業を通じて当社のソリューションをmRNAベースのPfizer / BioNTech製新型コロナワクチンサプライチェーン全体に適用する機会をうれしく思っています」と声明で述べた。

ワクチンと一緒に梱包されるControlantのIoTデバイスは時間や温度、明るさといった環境情報をとらえてリアルタイムにControlantの独自仕様プラットフォームに送る。

以下のビデオでは、ニューヨーク州のAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)知事がControlantのデバイスが取り付けられたパッケージを披露している。

関連記事:ファイザーの新型コロナワクチンが米FDAから緊急使用許可を取得、数日以内に配布開始

カテゴリー:IoT
タグ:ControlantワクチンCOVID-19新型コロナウイルス

画像クレジット:Controllant

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

ファイザーの新型コロナワクチンが米FDAから緊急使用許可を取得、数日以内に配布開始

米国食品医薬品局(FDA)は、Pfizer(ファイザー)とそのパートナーであるBioNTechが開発した新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの緊急使用許可(EUA)を付与したとThe New York Timesが最初に報じ、その後、The Wall Street Journalも続いた。今回の緊急使用許可は、FDAの委託を受けた独立専門家委員会がファイザーの申請を審査し勧告したことを受けたもので、同委員会は今週の初めに全会一致でこれを支持した。

今回の許可後、直ちにワクチンの出荷が始まり、初回分は290万回分となる見込みだ。医療従事者や長期療養施設の高齢者などの患者にはEUAの許可が出てから数日以内にワクチンが届くと予想されている。

この許可は、米国の治療薬規制当局による完全な承認ではない。4万4000人のボランティア参加者を対象にした第III相臨床試験に基づき、ファイザーが提供した情報を包括的に見直す必要がある緊急措置だ。

mRNAをベースとした治療薬であるファイザーのワクチンは、これまでの試験結果を最終的に解析した結果、95%の有効性を示したことがわかっており、ワクチンを接種した患者に重大な安全性の問題はないことも判明している。

最初の290万回分のワクチンに加えて、米国では2020年末までに約2500万回分の配布を行う予定だが、ファイザーのワクチンは最大の効果を得るために2回接種する必要があるため、実際に接種可能な人ははるかに少なくなる可能性がある。同社の生産ペースと米国での注文量を考えると、ほとんどの米国人は2021年第1四半期または第2四半期までワクチンを入手できないと考えるべきだ。

とはいえ、今回の許可は有望な第一歩だ。ファイザーはワクチン候補の研究を始めてから8カ月ほどしか経過しておらず、ワクチン開発期間の短縮という点においては記念碑的な成果だといえるだろう。またModernaはmRNA治療薬(人の細胞に指示を出してウイルスに効果的な対抗策を作り出す)でもあるワクチン候補のEUAも提出している。こちらもすぐに実現する可能性があり、2020年末までには米国内で2種類のワクチンがEUAで接種できるようになるかもしれない。

関連記事
ファイザーとBioNTechが新型コロナワクチン候補の緊急使用承認を申請
製薬会社Modernaの新型コロナワクチンは予防効果94.1%で重症化は100%予防、緊急使用許可申請へ
英国がファイザーとBioNTechの新型コロナワクチン緊急使用を世界初承認
アストラゼネカの新型コロナワクチン治験で誤り、追加の治験実施へ

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Pfizer新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:JUSTIN TALLIS/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

Uberがドライバーと配達員への新型コロナワクチン優先接種を全米50州の知事に要望

パンデミックの中、多くの人たちがライドシェアリングやデリバリーのドライバーに依存していることを踏まえ、Uberはドライバーへの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの優先接種を要望している。米国時間12月10日、UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、全米50州の知事に書簡を送り、ドライバーと配達員がエッセンシャルワーカーとしてワクチンを優先的に接種できるよう依頼した。

「過去9カ月の間に、彼らは地域のライフラインになりました」とコスロシャヒ氏が書簡で述べている。「医療従事者を病院に運び、自宅に隔離されている人たちに食事を配達し、地元レストランの事業継続を助けています」。

また、コスロシャヒ氏は書簡の中で、ドライバーと配達員の仕事は必要不可欠になったと主張している。だからUberは彼らにワクチンを「早く簡単に無料で」届けたいのだと同氏は書いている。また、Uberはワクチンに関する情報共有にも協力しており、有資格者にワクチン接種を促している。

コスロシャヒ氏はまた「9カ月間最前線で社会を動かし続けてきた後、私たちは全50州の知事に対し、ドライバーと配達要員が早期にワクチン接種を受けられる優先措置をお願いしています」とTechCrunch宛の声明で語っている。「Uberは自らのテクノロジーとロジスティックの専門知識とリソースを活かし、私たちのプラットフォームで働く人たちを保護し、ワクチンをできるかぎり早く効果的に、人々へ届けるためには、できることは何でもする所存です」。

コスロシャヒ氏の州知事宛書簡に先立ち、UberはCenters for Disease Control and Prevention(疾病管理予防センター)に書簡を送り、医療従事者以外のエッセンシャルワーカーをワクチンの優先接種対象に含めることを主張している。

Uberによる労働者のために主張は、ライドシェアリングのドライバーと配達員をどう分類するかに関する進行中の戦いの最中に起きている。Uberが長年、ドライバーは従業員ではないと主張しているのに対して、多くのギグワーカーは自分たちが個人事業主に分類されるのは誤りであり、従業員が受ける多くの労働者の権利を得る資格があると訴えている。

関連記事:Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認

カテゴリー:モビリティ
タグ:Uber新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic / Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルが検索ページに信頼できる新型コロナワクチン情報を表示するパネルを追加

Google(グーグル)は米国時間12月10日、ユーザーのロケーションで認可された新型コロナウイルスワクチンのリストと、それぞれのワクチンについての情報を表示する新たな検索機能を導入すると発表した(Googleリリース)。この機能はまず、BioNTech(ビオンテック)とPfizer(ファイザー)が開発したワクチンの緊急使用を2020年12月初めに承認した英国で展開される。今後、各国当局がワクチンを承認するのに合わせて新機能は展開される、とグーグルは話している。

この機能は新型コロナワクチンをGoogle.comで検索したときに最上部に表示され、検索結果の上にくるボックスに信頼できる情報を表示する。ソースとして健康当局へのリンクがついている。新機能のパネルは2つのタブがある。1つは、ワクチンについての概要で、トップストーリーの上に表示され、政府のウェブサイトのような地元当局や国のリソースへのリンクもある。もう1つのタブは別セクションでのワクチンに関するニュースを集めている。

画像クレジット:Google

グーグルはニュース検索のパネルを、ワクチンの誤情報とワクチン接種への抵抗を解決するのに役立つ1つの手段と位置づけた。

しかし同社傘下のYouTubeはパンデミックの間、新型コロナに関する誤情報と陰謀論の拡散を許してきた。YouTubeは新型コロナを5Gネットワークに関連づける陰謀論を禁止し、その後2020年4月に「医学的に根拠のない」コンテンツを禁止したが、新型コロナワクチンに関する誤情報を10月まで禁止しなかった。いい換えると、新型コロナの誤情報すべてを禁止するポリシーを積極的に取り入れてこず、ワクチンの承認が迫るまで反ワクチンのコンテンツの拡散を解決しようとしなかった。つまり「ワクチンを接種した人は死ぬかもしれない」「ワクチンは不妊を引き起こす」「マイクロチップを埋め込む」といった嘘の主張をするあらゆる動画に対して、10月までYouTubeのポリシーが正式に適用されていなかったことを意味する。

そして禁止措置が取られた後も、YouTubeのモデレーションポリシーは多くの反ワクチン動画を見逃していたことが調査で明らかになった。

動画プラットフォームにとって、これは新しい問題ではない。YouTubeは何年もの間、反ワクチンコンテンツ問題に苦慮し、時には禁止された反ワクチンコンテンツを含む動画が収益を上げるのを許すことすらあった。

画像クレジット:Google

グーグルは12月10日、信頼すべき情報を提供するYouTube上の新型コロナ情報パネルは4000億回以上閲覧されたと述べ、YouTubeの誤情報対応問題を矮小化した。

しかし4000億回という数字は、YouTubeクリエイターがパンデミックに関する動画を往々にして自身の意見とともに公開している規模を示している。

グーグルはこれまでに危険、あるいはミスリードするような新型コロナ健康情報に関連する動画70万件を削除したと話した。しかし、もしプラットフォームが制御されなければ、危険な情報を含む動画がいつ削除されるべきか、誤情報とは何か、クリエイターに対する罰則はどのようなものであるべきか、といった決定を完全にグーグル任せにすることはできない。

YouTubeクリエイターが視聴者のために正確なコンテンツを扱うようにするべく、クリエイターをヘルスの専門家につなげているとグーグルは述べている。また、YouTubeで新型コロナに関する公共広告を展開する100以上の政府機関に広告費助成として2億5000万ドル(約260億円)を寄付したとも明らかにした。グーグルは2020年4月にも新型コロナ関連のファクトチェックの取り組みに650万ドル(約6億8000万円)を寄付し、またCOVID-19 Vaccine Media Hub(新型コロナワクチンメディアハブ)を設置するための基金に150万ドル(約1億6000万円)拠出することにしている。

関連記事:英国がファイザーとBioNTechの新型コロナワクチン緊急使用を世界初承認

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleYouTube新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic/Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

アリババとエチオピア航空が中国の新型コロナワクチンを輸送する低温物流設備を準備

中国は新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンを他の国々、特に緊密な関係にある国(Nature Research記事)と共有することを約束している(The New York Times記事)。​同国はワクチンを国際的に展開する準備はできていないが、大量輸送のためのインフラ整備進めている。

​今週、Alibaba(アリババ)はエチオピア航空と提携し、中国から他の国に温度管理がシビアな医薬品を輸送できるコールドチェーン(低温物流)を導入すると発表した。​航空貨物は、中国初となる国境を越えた医療用コールドチェーン施設がある深圳空港から週に2回、ドバイとアディスアベバ経由で各国に向けて出発する。

​「ワクチンの準備が整い次第、それを輸送する能力を私たちは確保しました」とアリババの物流部門であるCainiaoの広報担当者はTechCrunchに語った。

深圳は、中国におけるもう1つの大手物流事業者であるSF Expressの本拠地であり、同社はワクチンの保管と出荷にも取り組んでいる(SF Expressリリース)。

アリババの路線は、物流部門Cainiaoによって運営されており、同社は200以上の国と地域で事業を展開している。新型コロナ​のワクチンは通常、低温で保管する必要があるが、このワクチンを空輸することは国際航空運送協会の認定を受けている(IATAリリース)。たとえば客室には温度管理のモニターが設置され、エチオピア航空の貨物ターミナルには-23°Cから25°Cの間で温度調整可能な設備が備わっている。

​Cainiaoの国際サプライチェーン部門のゼネラルマネージャーであるJames Zhao(ジェームズ・ジャオ)氏は「コールドチェーン航空輸送の開始により、グローバルな物流能力がさらに強化され、新型コロナウイルスワクチンをはじめとする医薬品のグローバルな流通にワンストップソリューションを提供できるようになりました」と述べている。

​中国は新型コロナウイルスの大流行時、個人用保護具(PPE)の主要な輸出国(PBS記事)であり、またCainiaoからSF Expressまで、中国の物流大手はいずれも、医療救援物資の輸送に特化したプログラムを迅速に導入した。

カテゴリー:その他
タグ:Alibaba新型コロナウイルスCOVID-19中国ワクチン

画像クレジット:Cainiao Logistics

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

世界初、英国がファイザーとBioNTechの新型コロナワクチン緊急使用を承認

英政府は医薬品当局の推奨を受け、BioNTech(ビオンテック)とPfizer(ファイザー)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を承認した(英国政府リリース)。

英国は広範使用を目的に新型コロナワクチンを承認した初の国となる。承認により、高齢者ケアホームの住人や医療従事者といった最も「ハイリスク」な人たちが年末までにワクチンの接種を受けられるようになる。

BBC(BBC News記事)は、英国の医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が来週からワクチンを提供してもよいと述べた、と報じている。ただし、まず最初に誰が接種を受けるのかははっきりとしていない。

緊急使用の申請は、BioNTechとPfizerが先月MHRAに提出した。また、オーストラリア、カナダ、欧州、日本、米国の当局にも提出したが、まだどこもゴーサインを出していない。

声明文の中で、Pfizerの会長兼CEOのAlbert Bourla(アルバート・ブーラ)氏は英国の緊急使用の承認を「新型コロナとの戦いの中で歴史的な瞬間」と表現した。

「この承認は、科学が勝利すると最初に我々が宣言して以来、取り組んできた目標だ。注意深い評価を行う能力、そして英国民を守ろうとタイムリーに行動を取ったMHRAを称賛します」と同氏は述べた。「今後さらに承認や許可が得られると予想していて、これまでと同様に緊急性をもって高品質なワクチンの世界に向けた安全供給への移行に注力します。多くの人が感染する中で、この壊滅的なパンデミックを終わらせるという集団レースにおいては毎日が大事です」。

英国の承認は、BioNTechとPfizerが世界で行ったフェーズ3治験を含む試験データに基づいている。フェーズ3の治験ではワクチンの効果は95%で、安全上の重大な懸念は見当たらないとされた。

このワクチンはまたそれまでSARS-CoV-2ウイルスにさらされていなかった治験参加者、さらされていた治験参加者のどちらにおいても効果的であることが示された。

効果は年代、性別、人種、民族に関係なく一貫性があり、65才以上の人での効果は94%だった、と両社は明らかにした。

英首相Boris Johnson(ボリス・ジョンソン)氏は12月2日朝、正式承認のニュースをツイートした。そこには、ワクチンが「来週から英国で接種可能になります」と書いている。(2つめのツイートでは、一般的にはワクチン接種が「ついに」通常の経済活動に戻ることを可能にする、と推測している)。

英国はBioNTechとPfizerのワクチンを4000万回分注文している。これは2000万人分ということになる(1人2回の接種が必要)。ただ、注文したワクチンすべてを受け取るには時間がかかる。

「締結した契約を実行するにあたり各国に平等に提供できるよう、ワクチン4000万回分の提供は2020年から2021年にかけて段階的に行われます」と両社はプレスリリースで述べた。

「ワクチンが英国で承認され、我々はワクチン供給を始めるために迅速に動きます。初出荷分は数日内に英国に届くと見込んでいます。納入完了は2021年になります」と付け加えた。

英国の国民保健サービス(NHS)は、NHS最高経営責任者Simon Stevens(サイモン・スティーヴンス)卿がいうところの「英国史上最も大規模なワクチンキャンペーン」に向けて準備を進めている。BBCによると、50ほどの病院がスタンバイし、カンファレンスセンターのような施設に設けるワクチンセンターも準備中だ。

ジャーナリストへのコメント(Twitter投稿)のなかで、保健大臣Matt Hancock (マット・ハンコック)氏は来週80万回のワクチンが利用でき、年が明けてさらに多くのワクチンが投入されると述べた。「製造されるスピードで接種を展開していきます」と付け加えた。

ハンコック氏はワクチン初回分は、ケアする人も含め、ケアホームにいる「最も高齢」の人に優先して接種すると述べた。「そして当然のことながら年齢のレンジを下げていきます。NHSスタッフもまたワクチン接種を優先されるべきリストの上の方にきます。それから健康面で影響を受けやすい人、特にコロナウイルスに対して脆弱である人も優先されます」。

ワクチンは21日の間隔を空けて2回接種する必要がある。12月2日の記者会見で、MHRAと英政府の共同ワクチン・予防接種委員会の担当者は、完全な免疫は2回目の接種の7日後以降に得られる、と明らかにした。ただし、1回目の接種から何日か経って多少の免疫がつくとも述べた。

記者会見の中でMHRAのCEOであるJune Raine(ジューン・レイン)博士は、ワクチンの承認につながったデータについて行われたチェックの基準に「絶対的な自信」を持つことができると話した。米国の食品医薬品局(FDA)のような各国の当局で行われているものと「同等」のチェック基準だと表現した。FDAはまだ緊急使用を承認していない。

英国の対応は9月に始まり、チームの招集や、スタッフが並行して作業を進められるようにキャパシティを確保するなど数カ月かけて準備した、とレイン博士は述べた。

ハンコック氏が主張していた、EUよりも早いワクチン承認にブレグジットが関係していた、ということについては、レイン博士はむしろ2021年1月1日(ブレグジット移行期間が終わる時)まで効力を持つEU法の下で準備できたことの恩恵があったと話した。

MHRAのスピーディな承認はローリングデータと専門性へのアクセスに頼っていた、とレイン博士は述べ、差し迫っている英国のEU脱退が、今後追加される新型コロナワクチンの承認を遅らせるかについては疑問を呈した。

「進捗は完全に、レビューや確固たる評価、独立したアドバイスという点においてデータが利用できるかどうかにかかっていました。これが、EUとの関係を明確にできればと思います」とレイン博士は付け加えた。

共同ワクチン・予防接種委員会(JVCI)の当局は、BioNTechとPfizerのワクチンはマイナス70度で保管される必要があり、これにともなう制約がワクチンプログラムの初段階の実行において「フレキシビリティ」につながるかもしれない、と述べた。

画像クレジット:MHRA/JVCI press conference slide

つまりそれは、たとえば医療現場のスタッフが、働く場所に保冷施設があるために自分たちがワクチン接種を受けるのが簡単であればそうすることを意味する。しかしながら当局はまた、短い期間ながらワクチンが2〜8度の環境で品質を維持できるとも言及した。これはケアホームでの接種にともなう困難を解決するのに役立つとの考えを示した。

英国は、EUにある施設(ベルギーの製造施設)からBioNTechとPfizerのワクチンの供給を受ける。ブレグジット移行期間の終わりが迫るなか、EU脱退が将来のスムーズなワクチン供給における物流面での支障を引き起こすことになるかどうかは不明だ。もし支障があれば、製造と同じスピードで接種を行うというハンコック氏の計画に赤信号が灯る。これは、ブレグジット後の英国とEUの貿易について交渉がまだ続いているからであり、決着がつかない場合、税関検査により輸入遅れが発生する懸念もある。

また、(英国に限定しない)別の疑問として、ワクチンの効果がどれくらい続くのかというものがある。BioNTechとPfizerのワクチンはかなりのスピードで開発され、この疑問に答える長期的なデータはまだない。

他の企業が開発している新型コロナワクチン候補にも同じことが言える。

「英国の緊急使用承認により、英国市民は治験をのぞいて世界で初めて新型コロナワクチンを接種する機会を手にします」とBioNTechの共同創業者でCEOのUgur Sahin(ウグル・サヒン)氏は声明で述べた。「英国でのワクチンプログラムの展開でハイリスクの人たちの入院数を減らせると確信しています」

「我々の目的は、承認を受けた安全で効果のあるワクチンを必要な人に提供することです。世界中の当局に提出したデータは厳密な科学と極めて倫理的な研究・開発プログラムに裏付けられたものです」。

カテゴリー:バイオテック
タグ:BioNTechPfizer新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic / Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

モデルナの新型コロナワクチンの予防効果94.1%、重症化ケース100%予防、緊急使用許可申請へ

製薬会社Moderna(モデルナ)が新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン治験の初期分析を完了し、94.1%の予防効果が確認されたと結論づけた。治験には3万人が参加し、うち196人で感染が確認された。分析ではまた、(入院が必要になるなど)重症化ケースを100%予防でき、治験中に重大な安全性の懸念はなかったことも確認された。こうした結果を踏まえ、同社は11月30日に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請する。

EUA申請は実際の新型コロナワクチン供給開始に向けた次のステップだ。EUA申請が承認されれば、ヘルスケア監視当局からの正式かつ最終的な承認を待たずして、新型コロナによる死亡者数を減らせるような状況において医療従事者のような高いリスクを抱えている人にワクチンを提供できる。同社は欧州医薬品庁にも条件付きの承認を申請し、認められれば欧州内でも米国同様の緊急使用が可能になる。

ModernaのワクチンはmRNAベースで、新型コロナウイルスが人体に影響を及ぼすのを許すレセプター部位をブロックする働きのあるパワフルな抗体を作るのを促進するよう、遺伝子による指示を体に出す。人体への使用では新しい治療アプローチで、新型コロナに対し自然抗体よりもより強い抵抗を得ることができる可能性もある。免疫反応を引き起こすために実際にウイルスを体内に入れるワクチンにはリスクがつきまとうが、mRNAベースのものにはそうしたリスクはない。

Modernaは11月中旬に暫定結果での同社のワクチンの有効性は94.5%だったと発表した。同じデータを使った最終分析の結果は暫定結果とほぼ同じで、効果的なソリューションが早く利用できるようになることを願っている人にとって期待できるニュースだ。このデータはまだ専門団体のレビューを受けていない。しかし同社はフェーズ3の治験で得られたデータを科学専門誌に提出するところだと話している。

Modernaのワクチンは、前代未聞のグローバルパンデミックを受けて2020年初めに始まった新型コロナワクチンの開発・生産・供給を促進するための米国のOperation Warp Speedプログラムの一環だ。Pfizer(ファイザー)がパートナー企業BioNTech(ビオンテック)と共同で開発したワクチン、オックスフォード大学とAstraZenecaが共同開発したものなどもフェーズ3治験を進め、緊急承認と供給の準備を進めている。Pfizerはすでに緊急使用をFDAに申請した。一方、オックスフォード大学のワクチンでは、驚くほどの効果が得られた治験でワクチン接種量に誤りが見つかったため、新たな治験を完了するまでは米国で緊急使用の申請は行わない見込みだ。

関連記事
アストラゼネカの新型コロナワクチン治験で誤り、追加の治験実施へ
オックスフォード大学の新型コロナワクチンも効果を確認、安価で管理が容易なタイプ
ファイザーの新型コロナワクチンの予防効果は95%と判明、緊急使用許可申請へ
Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認
ファイザーとBioNTechが新型コロナワクチン候補の緊急使用承認を申請

カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

アストラゼネカの新型コロナワクチン治験で誤り、追加の治験実施へ

製薬会社AstraZeneca(アストラゼネカ)の新型コロナウイルスワクチンのフェーズ3臨床試験(治験)で、効果が高かったグループのワクチン投与量に誤りがあったことが明らかになり、同社のCEOはグローバルで追加の治験を行うとBloomberg(ブルームバーグ)に語った。AstraZenecaとパートナーのオックスフォード大学は、ワクチン2回分を投与したグループで62%の効果を、半回分の投与後に追加で1回分を投与したグループで90%の効果が確認されたとする暫定結果を発表していた。しかし後者については実際は、本来2回分を投与するはずのものを誤って1.5回分投与したにすぎなかったことに科学者が後で気づいた。

はっきりさせておくと、これはオックスフォード大学とAstraZenecaのワクチンに対する期待をくじくものではないはずだ。結果はかなり有望であり、追加の治験はアクシデントの半回分投与の結果が実際に意図的に行った時にも裏づけられることを証明するために行われる。追加の治験は米食品医薬品局(FDA)が米国内での使用を承認するのに必要な米国で計画されている治験の前に行われる見込みで、結果的にオックスフォード大のワクチンが米国で承認されるのにさらに時間がかかることになりそうだ。

AstraZenecaのCEOによると、安全性データを含めこれまでに行われた研究には米国以外の国からの参加者があったため、オックスフォード大のワクチンの米国外での展開はおそらく影響を受けない。

Moderna(モデルナ)とPfizer(ファイザー)のワクチン候補もフェーズ3治験でかなり高い効果を示した一方で、AstraZenecaのワクチンには非常に大きな期待が寄せられている。というのも、異なる手法を用いているAstraZenecaのワクチンは冷凍させるのではなく冷蔵庫の温度で管理・輸送でき、ModernaとPfizerが開発中の2つのワクチンに比べるとコストはわずかだからだ。

そのため、AstraZenecaのワクチンはコストや輸送インフラが大きな懸念事項となっている国への配布を含め、世界中のワクチン接種プログラムにとってかなり貴重なリソースとなっている。

関連記事
オックスフォード大学の新型コロナワクチンも効果を確認、安価で管理が容易なタイプ
ファイザーの新型コロナワクチンの予防効果は95%と判明、緊急使用許可申請へ
Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認
ファイザーとBioNTechが新型コロナワクチン候補の緊急使用承認を申請

カテゴリー:バイオテック
タグ:オックスフォード大学新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:STEVE PARSONS/POOL/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

オックスフォード大学の新型コロナワクチンも効果を確認、安価で管理が容易なタイプ

製薬会社AstraZeneca(アストラゼネカ)と提携して開発しているオックスフォード大学の新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンは、フェーズ3治験の予備結果で70.4%の効果が確認された。この数字には、2種の投与方法で得られたデータを含んでいる。1つのグループには2回分を投与し、効果は62%だった。もう1つのグループには半分の量を投与してから間を空けて1回分を追加投与し、効果は90%だった。

オックスフォード大学の治験結果は、Pfizer (ファイザー)やModerna(モデルナ)のもののように目を惹く高い効果ではないかもしれない。しかし、いくつかの理由で最も有望な要素を含んでいる。まず、2回に分けて投与する手法の効果が今後の結果や分析でも認められれば、オックスフォード大学のワクチンは使う量を抑えつつ、高い効果を得ることができることを意味する(効果がさほどなければフルに2回分の量を使用する理由はない)。

2つめに、オックスフォード大学のワクチンは通常の冷蔵庫の温度(摂氏1.6〜7.2度)で保存・輸送することができる。この点に関し、PfizerとModernaのワクチン候補はかなりの低温で管理される必要がある。通常の冷蔵庫温度での管理が可能なことは、輸送する際やクリニック・病院などで管理する際に特別な設備が必要ないということになる。

オックスフォード大学のワクチンは、mRNAをベースとしたModernaやPfizerのワクチンとは異なるアプローチを取っている。mRNAベースの手法は、ウイルスを体内に入れることなくウイルスをブロックする作用のあるタンパク質を作るための設計図を提供するのにメッセンジャーRNAを使うというもので、人体への使用に関してはどちらかというと未知の技術だ。一方、オックスフォード大学が開発しているワクチン候補は、アデノウイルスワクチンだ。何十年もの間使われてすでに確立された技術であり、遺伝子を操作して通常の風邪のウイルスを弱体化させたものを注入し、人の自然免疫反応を引き起こす。

最後に、オックスフォード大学のワクチンは安い。これは部分的にはすでに試験・テストされたテクノロジーを使うためだ。確立されたサプライチェーンもあり、輸送・保管がしやすいというのも貢献している。

オックスフォード大学のフェーズ3のワクチン治験には2万4000人が参加し、2020年末までに6万人に増える見込みだ。安全性に関するデータではこれでまでのところリスクは特に見られなかった。暫定分析では131人のコロナ感染が認められたが、ワクチンを接種した人で重症化したり入院が必要になったりしたケースはなかった。

これは、はっきりと効果が認められる新型コロナワクチンのサプライチェーンの幅を広げる、有望なワクチンという素晴らしいニュースだ。可能な限り早く多くの人に接種できるという点において、複数の有効なワクチンを持つというだけでなく、複数の異なるタイプの効果的なワクチンを持つ方がはるかにいい。

関連記事
ファイザーの新型コロナワクチンの予防効果は95%と判明、緊急使用許可申請へ
Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認
ファイザーとBioNTechが新型コロナワクチン候補の緊急使用承認を申請

カテゴリー:バイオテック
タグ:オックスフォード大学新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:STEVE PARSONS/POOL/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

ファイザーとBioNTechが新型コロナワクチン候補の緊急使用承認を申請

米国時間11月20日、有力な新型コロナウイルスワクチン候補の1つを製造している2つの企業が、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)に予防治療の緊急使用承認(EUA)を申請した。今週初め、国際共同第3相臨床試験データにおいてワクチンが95%の有効性を示したことを明らかにしたPfizer(ファイザー)とBioNTechは、米国だけでなくオーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、日本、英国でも緊急承認申請を行っており、2020年12月末までに「高リスク集団」でのワクチン使用を開始するための道を開く可能性があると述べている。

FDAのEUAプログラムは、現在のパンデミックのような軽減事由が満たされている場合、治療薬会社が早期承認を求めることができる。情報のサポートと安全性データの提供が必要とされるが、一般的に新薬や治療法が実際に広く投与できるようになる前に行われる完全な、正式な、より永続的な承認プロセスと比べて、優先的に審査が行われる。

ファイザーとBioNTechのワクチン候補は本質的に、SARS-CoV-19(新型コロナウイルス感染症の原因となるウイルス)が細胞に付着する能力をブロックする特定のタンパク質を産生する方法の指示を、人体に与えるというmRNAベースのワクチンだ。このワクチンは最近、第3相臨床試験が行われており、これまでに4万3661人が参加している。両社は参加者の中から確認された170例のデータ、8000人の参加者から積極的に募集した安全性情報、受動的に収集した3万8000人の補足データなど、FDAにEUAを申請するための裏付けとなる情報を提出している。

このワクチンやその他の後期開発段階にあるワクチンは、世界的に生産の準備が進められており、EUAは第一線で働く医療従事者を含む高リスク者へのアクセスを許可する可能性があるが、広範なワクチン接種プログラムの開始はおそらく来年以降、2021年後半になると思われるということは、記しておく必要があるだろう。

カテゴリー:バイオテック
タグ:PfizerBioNTech新型コロナウイルスCOVID-19ワクチン

画像クレジット:Anadolu Agency / Contributor / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性についてのPfizer(ファイザー)の発表に続き、Moderna(モデルナ)も米国11月16日にフェーズ3治験で得られた良好な結果を明らかにした。同社はワクチン候補が初期暫定データ分析で94.5%の有効性を示した(Modenaリリース)としている。治験参加者95人の新型コロナ感染が認められ、うち90人は偽薬を投与されていて5人のみが同社のmRNAベースのワクチンを接種していた。そして重症になったのは11人で、ここにはワクチン候補を投与された人は含まれなかった。

今回の発表も、2021年のどこかでまとまった量のワクチンを実用化できる可能性があるという有望なものとなった。上記の通り、今回の発表は暫定分析結果ではあるが、米国立衛生研究所が指名した治験を監督する安全委員会によるデータだ。同研究所はModernaとは関連のない独立した機関であるため、最終的な分析に期待をかけられる信頼できる結果だ。

Modernaは今後数週間内に判明する結果を元に、ワクチン候補の緊急使用許可を申請すると話している。最終的な承認の前に緊急状況で使用できるよう、米食品医薬品局(FDA)からの使用許可取得を目指す。緊急使用許可は、フェーズ3の治験参加者グループ(計3万人が参加)で感染者151人が確認されたデータと、感染後平均2カ月のフォローアップのデータに基づいて下りる見込みだ。

最終的な全データは独立したレビューのために専門団体に提出されることになる。これは最終ワクチン治験と承認のプロセスでは標準的なものだ。

Modernaのもの、そしてPfizerBioNTechとの提携で開発したものはともにmRNAベースのワクチンだ。このタイプは人に使用するのは初めてで、接種を受けた人の細胞に免疫反応を起こすよう指示するメッセンジャーRNAを活用しているという点で従来のワクチンとは異なる。従来のワクチンでは、抗体を作り出すためにかなり少量のウイルスを使って免疫反応を起こすが、mRNAベースのワクチンでは実際に人体をウイルスにさらすことはない。

関連記事:ファイザーの新型コロナワクチンの効果は90%、年末までに大規模な接種開始か

カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

Modernaの新型コロナワクチン、治験で94.5%の有効性確認

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの有効性についてのPfizer(ファイザー)の発表に続き、Moderna(モデルナ)も米国11月16日にフェーズ3治験で得られた良好な結果を明らかにした。同社はワクチン候補が初期暫定データ分析で94.5%の有効性を示した(Modenaリリース)としている。治験参加者95人の新型コロナ感染が認められ、うち90人は偽薬を投与されていて5人のみが同社のmRNAベースのワクチンを接種していた。そして重症になったのは11人で、ここにはワクチン候補を投与された人は含まれなかった。

今回の発表も、2021年のどこかでまとまった量のワクチンを実用化できる可能性があるという有望なものとなった。上記の通り、今回の発表は暫定分析結果ではあるが、米国立衛生研究所が指名した治験を監督する安全委員会によるデータだ。同研究所はModernaとは関連のない独立した機関であるため、最終的な分析に期待をかけられる信頼できる結果だ。

Modernaは今後数週間内に判明する結果を元に、ワクチン候補の緊急使用許可を申請すると話している。最終的な承認の前に緊急状況で使用できるよう、米食品医薬品局(FDA)からの使用許可取得を目指す。緊急使用許可は、フェーズ3の治験参加者グループ(計3万人が参加)で感染者151人が確認されたデータと、感染後平均2カ月のフォローアップのデータに基づいて下りる見込みだ。

最終的な全データは独立したレビューのために専門団体に提出されることになる。これは最終ワクチン治験と承認のプロセスでは標準的なものだ。

Modernaのもの、そしてPfizerBioNTechとの提携で開発したものはともにmRNAベースのワクチンだ。このタイプは人に使用するのは初めてで、接種を受けた人の細胞に免疫反応を起こすよう指示するメッセンジャーRNAを活用しているという点で従来のワクチンとは異なる。従来のワクチンでは、抗体を作り出すためにかなり少量のウイルスを使って免疫反応を起こすが、mRNAベースのワクチンでは実際に人体をウイルスにさらすことはない。

関連記事:ファイザーの新型コロナワクチンの効果は90%、年末までに大規模な接種開始か

カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:David L. Ryan/The Boston Globe / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

ファイザーの新型コロナワクチンの効果は90%、年末までに大規模な接種開始か

Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)は米国時間11月9日、開発中の新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンについて、フェーズ3治験の参加者で90%の予防効果があったと発表した(BioNTechリリース)。これは治験の結果をチェックするための外部独立委員会が分析したデータに基づいており、最終的な検証結果ではなく治験の初期結果を反映したものだ。しかしワクチンの実用化に向けた大きなニュースだ。

PfizerとBioNTechのワクチン候補はmRNAベースのもので、開発のスピードと潜在的有効性において優れていることから、多くの企業が新型コロナワクチン開発で比較的新しい技術だ。今回の結果は、新型コロナ陽性が確認された治験参加者94人のデータに基づいており、これは企業とFDA(米食品医薬品局)が合意している、正式な科学的評価のための陽性者62人という最低しきい値をクリアしている。

フェーズ3の治験は4万3358人を対象に行われた。Pfizerは感染予防率に加えて「安全に関する深刻な懸念は確認されていない」としている。初期データに基づくと、ワクチン接種を受けた人は最初の接種から28日後に抗体が確認された。このワクチンは2回接種する。

今後さらなる安全テストがあり、また研究も続けられるが、2カ月分の安全データ(FDAが緊急使用許可のために求めているもの)を11月第3週に提出できると両社は見込んでいる。治験参加者はまた、長期的な効果を監視するため、2回目のワクチン接種後2年間モニターされる。Pfizerは年末までに接種5000万回分、2021年に13億回分のワクチンが製造できると考えている。

今回の治験のフルデータは他の研究者や科学誌のレビューを受ける必要があるが、これは明らかに新型コロナワクチン開発においてこれまでで最も有望で良いニュースだ。すべてが順調にいけば、ワクチンの大規模な接種が2020年末までに始まることになるかもしれない。

カテゴリー:バイオテック
タグ:PfizerBioNTech新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:THIBAULT SAVARY / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi