米国初の新型コロナワクチン接種デジタル証明をニューヨーク州が運用開始、IBMがブロックチェーン活用で協力

米国初の新型コロナワクチン接種デジタルパスをニューヨーク州が運用開始、IBMがブロックチェーン活用で協力

New York State

米ニューヨーク州は3月26日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種あるいは、陰性であることを証明するデジタルパスポート「Excelsior Pass」の運用を開始しました。Android、iOSアプリで提供されており、読み取り側も同じくスマートフォンで対応します。同種のデジタル証明書の運用は、米国では初だとしています。

新型コロナのワクチン接種が開始されている国々では、ワクチンを接種したことや陰性であることを証明することで、徐々に経済活動を再開する動きが始まっており、そのための証明アプリの開発も盛んです。ただ、怪しげなアプリを規制する意味でも、Appleは、証明アプリについては信頼できる機関からのみ申請を受け付けています。

アップル、「コロナ陰性証明書アプリ」のApp Store提出は信頼できる機関または提携開発者に限定へ

その点、Excelsior Passはニューヨーク州の公式ということで、信頼性が高いもの。開発にはIBMが協力しています。医療情報を含む個人情報はブロックチェーンや暗号化により保護されており、開発元のIBMはもちろん、それを読み取って利用する企業側でも把握できないとしています。また、利用時には、QRコードとともに名前と生年月日の分かる写真付きの身分証明書の提示が必要とのことです。なお、QRコードをスマートフォンで表示するのではなく、紙に印刷したQRコードを提示することでも利用出来ます。

ニューヨーク州ではExcelsior Passを利用することで、スタジアムやアリーナ、結婚披露宴などのイベントへの参加が可能になるとのこと。マディソンスクエアガーデンやダイムズユニオンセンターなどの主要な施設では今後数週間でExcelsior Passに対応するとしています。

ただし、Excelsior Passの利用は強制ではなく、個人あるいは企業側も任意です。利用しない場合には、従来通りに紙の証明書を利用できるとのことですが、今後、事実上必須になっていく可能性はありそうです。

(Source:New York State、Via:USA TodayEngadget日本版より転載)

関連記事
欧州が推し進める新型コロナ「デジタルパス」に存在する差別や技術的課題の懸念
EUが安全な旅行を支援する新型コロナワクチン接種・検査状況を表示する「デジタルパス」を準備中
新型コロナワクチン接種のデジタル記録開発でテックとヘルスの企業がタッグ
Healthvanaの新型ワクチン接種デジタル証明書は免疫のパスポートではなくコミュニケーションツール

カテゴリー:ヘルステック
タグ:IBM(企業)IBM Digital Health Pass(用語)新型コロナウイルス(用語)ブロックチェーン(用語)ワクチン(用語)ニューヨーク(国・地域)

ソーシャルメディアCEO3人が米下院公聴会で反ワクチン誤情報アカウントを削除するか聞かれ言葉を濁す

米国12州の検事総長からなる連合は米国時間3月24日、Facebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)に対し、両社のプラットフォーム上での新型コロナワクチンに関する誤情報の拡散を減らすため、コミュニティガイドラインの施行を強化するよう求めた。検事総長らは今回の書簡の中で、Facebookと同社の傘下にあるInstagram(インスタグラム)、そしてTwitter上で公開されている反ワクチン情報の65%を占める12の「反ワクチン派」アカウントを特定している。25日に行われた偽情報と過激主義に関する下院公聴会では、TwitterとFacebookのCEO、そしてGoogle(グーグル)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏が、これら12のアカウントを削除する意思があるかどうかを直接問われた。

関連記事:ザッカーバーグ氏、ピチャイ氏、ドーシー氏が下院公聴会で情報操作と過激主義について証言

彼らの答えはまちまちだったが、パンデミックを終息させるために予防接種を受けるか否かという米国人の意思決定に大きな影響を与えかねない、ほんのひと握りの意図的誤報のソースを排除するというシンプルな行動を、ソーシャルメディアの経営者たちは取る意思がないことを示していた。

公聴会の中で、ペンシルベニア州選出のMike Doyle(マイク・ドイル)下院議員(民主党)は、55万人近くの米国人が新型コロナウイルスによって命を落としていること、また、独立した調査によると、米国を含む5カ国のFacebookユーザーが新型コロナウイルスの偽情報に38億回さらされていることを指摘した。現在、米国政府はこの致命的なウイルスの蔓延を抑えるためにワクチン接種を急ピッチで進めているが、ソーシャルメディアサイトが人々にワクチン接種を躊躇させるようなコンテンツを宣伝・推奨し続けていることにも続けて対処しなければならない。

「私のスタッフは、YouTube(ユーチューブ)でワクチンを打たないように伝えるコンテンツを見つけ、そのあと似たような動画を勧められました。Instagramでも同じことがいえます。ワクチンに関する偽情報を簡単に見つけられるだけでなく、プラットフォームが似たような投稿を推奨していました」とドイル氏は述べた。「Facebookでも同じことが起こりましたが、そこではさらに反ワクチングループも推奨されていました。ツイッターも同様でした」。

ドイル氏はCEOたちにこう語りかけた。「あなた方は、こうしたコンテンツを削除することができます。(偽情報の)ビジョンを減らすことができます。あなた方はこの問題を解決できるのに、そうしないことを選んでいるのです」。

同氏はその後、検事総長らが書簡の中で偽情報の「super-spreaders(スーパー・スプレッダー)」と呼んだ12のアカウントを削除する意思があるかどうか、CEOたちに直接尋ねた。

連合からの書簡には、FacebookとTwitterの両社が、利用規約に繰り返し違反している12人の著名なワクチン反対派ユーザーのアカウントをまだ削除していないと書かれている。これらのユーザーのアカウント、関連する組織、グループ、そしてウェブサイトは、2021年3月10日の時点で、Facebook、Twitter、Instagram全体で公開されている反ワクチンコンテンツの65%を占めていると、書簡は指摘した。

これらの12のアカウントを削除するかどうかという質問に対して、ザッカーバーグ氏は言葉を濁した。同氏は、まずFacebookのチームが参照されている正確な例を見なければならないと述べ、ドイル氏は彼の答えを遮ることになった。

一方のピチャイ氏は、YouTubeが誤解を招くような新型コロナウイルス情報を含む85万本以上の動画を削除したことを指摘して回答を始めようとしたが、ドイル氏が「YouTubeが12人のスーパー・スプレッダーのアカウントを削除するかどうか」という質問をし直したため、回答がそれによって遮られた。

「当社にはコンテンツを削除するポリシーがあります」とピチャイ氏は述べたが「人々の個人的な体験談であれば、コンテンツの一部は許可されています」と付け加えた。

TwitterのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、同じ質問を受けた際「はい、ポリシーに反するものはすべて削除しています」と答えた。より前向きな答えではあるが、Twitterが実際に特定された12のアカウントを削除することを確認するものではない。

ドーシー氏は公聴会の冒頭で、誤情報に対処するためのTwitterの長期的なビジョン「Bluesky」と呼ばれる分散型の未来像についても幅広く語った。同氏は「Bluesky」では、共有されるオープンソースのプロトコルをベースに活用することで「ビジネスモデル、推薦アルゴリズム、モデレーションコントロールなど、私企業ではなく個人の手に委ねられることで、イノベーションが促進される」と説明した。この回答はTwitterのモデレーションに関するビジョンが、最終的には他者に責任を委ねることであると示している。これはFacebookがここ数カ月の間に、最も困難なモデレーションの決定の際に意見を述べる外部機関であるOversight Committee(監督委員会)で行っていることと同じだ。

これらの動きは、ソーシャルネットワークが自分たちだけではコンテンツモデレーションの責任を果たせないと判断したことを示している。しかしその結果、米国政府が実際に規制に乗り出すかどうかは、さらに見ていく必要がある。

関連記事:Twitterが描く分散化の未来、包括的なオープンスタンダードに向けた展望はインターネット極右を追い詰めるか

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookGoogleTwitter新型コロナウイルスワクチン偽情報

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Appleの「マップ」が新型コロナワクチン接種場所を表示、まずは米国で

Google(グーグル)は2021年初め、人々が近くの新型コロナウイルスワクチン接種会場を見つけるようにするためGoogleマップのアップデートを発表した。そして今、Apple(アップル)も同様のことを行う。Appleデバイス所有者は米国内でワクチン接種を受けられる場所をSiriに尋ねるかAppleの「マップ」で検索して探すことができる。検索結果にはサービス提供時間や住所、電話番号、ウェブサイトへのリンクといった主要な情報が含まれる。

音声コマンドを通じて情報にアクセスするのに、ユーザーはSiriに「どこで新型コロナワクチンを接種できる?」などと聞くことができ、その後マップに誘導される。

Siriやマップ内でのワクチン情報検索に加えて、マップの「Find Nearby」メニューでも「新型コロナワクチン」というオプションが利用可能だ。

ワクチン接種のロケーションデータは、ボストンの子ども病院が主導するイニシアチブVaccineFinderを情報源としている、とAppleはいう。このデータはGoogleマップのワクチン検索にも使われている、とGoogleは述べていた。ヘルスケアプロバイダー、ラボ、他の事業所も扱っている新型コロナ検査やワクチン会場についてApple Business Registerページから情報の提供を選ぶことができる、とAppleは説明。情報を提供するとAppleが内容を認証し、周辺の新型コロナリソースを検索しているユーザーに表示する。

立ち上げに際しては、ワクチンを提供している2万カ所についての情報がAppleマップを通じて提供される。今後数週間無内にさらにワクチン提供場所の情報が追加される。

パンデミックでは、Appleは米国内外で他の新型コロナ関連健康リソースをAppleマップに統合してきた。たとえば2020年同社はオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、日本、オランダ、ニュージーランド、ポルトガル、シンガポール、台湾、タイ、米国で新型コロナ検査場所を表示するためにAppleマップをアップデートした。また事業者ページに新型コロナモジュールを加え、新型コロナや検査場所、そして今、ワクチン接種場所についての知識をSiriに盛り込んだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleAppleマップ新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitterが新型コロナワクチン誤情報への注意を喚起するラベルを導入、まずが英語でのツイートが対象

Twitter(ツイッター)は米国3月1日、新型コロナウイルスワクチンの展開を混乱させる恐れのある誤情報を排除すべく、ユーザーのタイムラインに新たなラベルを導入すると発表した。リツイートのウィンドウにポップアップのメッセージとしても現れるラベルは、同プラットフォーム上での行いをさらに良いものへと誘導する同社の最新の実験だ。

Twitterはツイートされた誤情報に通知を添付して、コンテンツが「ミスリードしている」とユーザーに警告し、十分に精査された公衆衛生情報へのリンクを案内する。3月1日から始まったこうしたワクチン誤情報の排除は自動のモデレーションシステムではなく同社の人間のモデレーターが行う。

目標は、今後人間による作業と自動作業の混合でワクチン誤情報のサイトを精査するよう、初期の判断をAIシステムの訓練に使うことだと同社は話す。最新の誤情報対策は、拡大する前にまず英語でのツイートを対象とする。

Twitterはまた、パンデミック関連規則の違反に新たにストライクシステムも導入した。新システムは投票妨害や投票関連の誤情報の対策で導入された一連のものをモデルとしている。これらの対策では「ストライク」が2つ、3つとなったユーザーは12時間アカウントをロックされる。違反4回となると1週間アカウントにアクセスできなくなり、5回以降は永久追放となる。

同社はパンデミックに関する規則を1年前に導入した。人々を新型コロナ拡散の大きなリスクにさらすようなコンテンツとともに、偽の治療や予防を推進するツイートを禁止するというものだ。2020年12月に人気のワクチン陰謀説に照準を当てた新規則を追加し、その際、警告ラベルの導入を準備中だと発表していた。

関連記事
Twitterが新型コロナ感染拡大につながるツイート削除を強化
Twitterが新型コロナワクチンに関する陰謀論の削除をユーザーに求める

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Anadolu Agency / Contributor / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

EUが安全な旅行を支援する新型コロナワクチン接種・検査状況を表示する「デジタルパス」を準備中

欧州委員会は、新型コロナウイルス時代に国境を超える旅行を促進することを目的とする「デジタルグリーンパス」というデジタル認証に関する立法計画を2021年3月下旬に示すと明らかにした。

欧州委員会委員長のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏は2021年3月1日、計画されているデジタルツールはワクチン接種の証明を提供することが目的だと述べた。しかしそれだけではない。「デジタルグリーンパス」は、たとえばまだワクチンを受けられない人のためのコロナテスト結果や「新型コロナからの回復」に関する情報も表示する。

「データ保護、セキュリティ、プライバシーを尊重します」とフォン・デア・ライエン氏はいくつかのツイートで付け加えた。

「デジタルグリーンパスは欧州人の生活を楽にします」とも述べた。「目的は、徐々に欧州人が仕事や旅行のためにEU内外を安全に移動できるようにすることです」。

ロイターによると、欧州委員会は2021年3月17日に立法計画の詳細を発表する。

EUの首脳は、加盟国同士が独自に2カ国間取り決めを行うなど単一マーケットの細分化を回避するために汎EUシステムの設置に熱心だ。あるいはサードパーティの商業システムが足がかりを得るのを回避するためだ(2021年初め、数多くのテック企業がワクチン接種ステータスのための「ユニバーサル」な基準を設けるために取り組んでいると発表した)。

関連記事:新型コロナワクチン接種のデジタル記録開発でテックとヘルスの企業がタッグ

欧州委員会は、ワクチンへのアクセスがまだかなり限られていることに基づく人々の自由の制限が醜い差別の材料となるとして、デジタルパスを「ワクチンパスポート」と呼ぶのを注意深く避けている。

と同時にEUの首脳は明らかに、経済的に外国人旅行客に大きく頼っているギリシャやスペインのような加盟国をサポートしなければならない重圧を感じている。2021年1月にEU幹部はワクチン書類提示の相互承認のための共通のアプローチが「最も重要」だと述べた。

ワクチンの接種と新型コロナテスト結果を表示するための汎EUデジタル認証はソリューションとなる。ただし、デジタルパスの使用を義務化することにはならないようだ。

欧州委員会は、筆者がコメントを求めて連絡をとった際、そして3月1日の報道機関との会見でデジタルパスの計画についての詳細を求められた際にさらなる情報の開示を却下した。

別の疑問は、計画しているデジタル認証システムがどれほど早く立ち上げられて運用されるかだ。数カ月後には夏のバケーションの到来が見込まれ、欧州委員会は迅速に進めなければならないというプレッシャーを受けることになる。と同時に、ロイターによると、欧州委員会はシステムがEU外でも機能するよう国際組織と協業したいと考えている。

Apple(アップル)は2021年2月、ワクチンパスに関するiOSレビューのプロセスを厳格化していると述べた。デベロッパーはそうしたアプリを提出する前に、公衆衛生当局や当局とつながっている企業に認証された組織と協業する必要がある、としている。Appleは「こうしたアプリが機密データを責任を持って扱い、信頼できる機能性を提供することを確かなものにするために」変更を加えた、とBBCは報じた。

2020年、多くの欧州のプライバシー専門家が、別の新型コロナ関連デジタルツールのための分散型プライバシー保護基準を考案するために結集した。このツールは、新型コロナにさらされたリスクを予測するBlutooth駆動の接触追跡アプリだ。AppleやGoogleが接触追跡のための分散型アプリのみをサポートすることを選んだにもかかわらず、(フランスのように)一部のEU加盟国は一元化されたシステムを選んだ。

関連記事
EUのプライバシー専門家が新型コロナ接触追跡において分散型アプローチを推進
アップルが新型コロナ接触追跡の新ツールをiOS 13.7でリリース
フランスが新型コロナ接触者追跡アプリをリブランディングしてダウンロード促進を狙う

カテゴリー:ヘルステック
タグ:ヨーロッパワクチン新型コロナウイルス

画像クレジット:ADEK MICA/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

米国が1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチン緊急承認、通常の冷蔵庫で保管可能

FDAが1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンを緊急承認、通常の冷蔵庫で保管可能

Leah Millis / reuters

米食品医薬品局(FDA)は、ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発した1回の接種だけですむ新型コロナウイルス用ワクチンに緊急使用許可を出しました。これは米国ではモデルナ、ファイザーに続いて3番目に認可された新型コロナワクチンで、通常の冷蔵庫で保管できます。

先発のモデルナおよびファイザー製新型コロナワクチンは、いずれもmRNAと呼ばれる種類のワクチンで、ウイルスの一部の遺伝物質を体内に直接送達する仕組み。ただし、遺伝子の構造が破壊されやすく、保管温度がマイナス20℃(モデルナ)、または−75℃(ファイザー)と指定されています。そのため、医療施設には専用の保管用冷蔵庫が必要となり、運搬時の温度管理をどうするかといった課題があります。またどちらも2回の接種が必要とされます。

これに対し、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは英アストラゼネカのワクチンと似た種類を採用、不活性化した風邪ウイルス(26型アデノウイルス)に新型コロナの遺伝子を挿入したウイルスベクターワクチンで、1回の接種で完了するうえに、通常の冷蔵庫に保管が可能と手間と管理コスト両方にメリットがあるのが特徴です。米国、南アフリカ、ブラジルで行われた治験では、85%の重症化予防効果があり、中程度の症状も66%を予防できたとされます。FDAが出した緊急使用許可は、米国の18歳以上を対象とします。

先発2社のワクチンは予防効果が約95%と言われており、その点でジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンの効果が低いとする声も一部にはあるようですが、CNNは専門家の意見としてジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは治験が伝染性が高いとされる変異種も含む状況で行われたためとの見方を示しました。そして米国でも春頃から変異種の感染が急増する可能性があると指摘。「今日ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンが打てて、明日モデルナのワクチンが打てるなら、待つ必要はありません。今日打つ方を選ぶべきです」との言葉を伝えています。

ちなみに、日本では2月17日から医療従事者を対象としてワクチンの先行接種が始まったばかり。3月1日にはファイザー製ワクチンの第3便が到着する予定で、第1便から数えると合計で68万人(x2回)分が到着するとのこと。今後は国内の医療従事者470万人に順次優先接種が行われ、高齢者も含めてそれぞれ2回接種可能な分のワクチンを全国に分配する見通しです。

また、アストラゼネカは日本政府との契約のもと厚生労働省にワクチンの日本国内生産を申請しており、承認され次第、最大9000万回分を国内から供給する予定です。一方で、他の製薬会社による日本独自の国産ワクチンの開発も進められてはいるものの、こちらは輸入(国内生産含む)ワクチンの接種が本格化すれば臨床試験の実施が難しくなる可能性も考えられ、いつ頃実用化できるのかはまだわかりません。

(Source:FDA。via:Ars Technica。Coverage:CNNBBCNikkeiEngadget日本版より転載)

関連記事
1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンは米国で3月に配布開始の見込み
モデルナが既存の新型コロナワクチンも変異株に効果ありと発表
米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目
ファイザーの新型コロナワクチンが米FDAから緊急使用許可を取得、数日以内に配布開始

カテゴリー:バイオテック
タグ:Johnson & Johnson(企業)新型コロナウイルス(用語)米食品医薬品局 / FDA(組織)ワクチン(用語)アメリカ(国・地域)

ファイザーとビオンテックの新型コロナワクチン管理温度が緩和へ、輸送管理が容易に

Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)が共同開発した新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの輸送管理要件が当初よりも緩和される。もともとmRNAベースのワクチンは有効性を維持するために輸送中に摂氏マイナス60度〜マイナス80度という超低温を維持する必要があった。両社が集めた品質安定性に関する新たなデータが米食品医薬品局(FDA)に提出され、そこには大半のクリニックや医療施設にある標準の医療用冷凍庫で対応可能な摂氏マイナス15度〜マイナス25度で保存できる、とある。

この温度で最大2週間ワクチンを保管でき、これは輸送オプションのフレキシビリティ、接種会場でのラストマイル保管を大きく改善する。これまでワクチンは接種会場に届けられるまでの管理を主に既存の「コールドチェーン」インフラに頼ってきた。こうした制約はModerna(モデルナ)のワクチンにはなく、同社のワクチンは冷蔵庫の温度で最長1カ月品質を維持できる。

今回の管理温度の改善は、米国や世界各地の当局によって緊急承認されすでに使用されているワクチンに関する取り組みが継続していることを示す1つの例だ。PfizerとBioNTechは、そうした保管のための温度要件をさらに緩和できる方向で取り組んでいると話しており、Modernaワクチンの要件に近づく可能性がある。

加えて、PfizerとBioNTechのワクチンは2回接種することになっているが、1回の接種で最大85%の効果があるというイスラエルの研究者による調査結果があり、これは世界の接種プログラムにとって大きな前進だ。新しい保管温度要件は、配車サービスやオンデマンド配達を展開する潜在プレイヤーの参加に扉を開く。ここには、バイデン政権に協力を申し出たAmazonワクチン教育プログラムでModernaと提携したUberのような巨大ネットワークも含まれる。

関連記事
アマゾンがバイデン新大統領の新型コロナワクチン接種公約に同社リソース提供で協力
Uberと米製薬会社Modernaがなかなか進まない新型コロナワクチン接種の啓発、促進で提携

また、大規模対応能力がない、あるいは超低温のコールドチェーンストレージのための特殊装置がないロジスティックやケアデリバリー分野のさまざまなスタートアップや零細企業にも参加の扉を開く。アシストする方法を模索しながらも必要なハードウェアや効率的に行うための専門性を持たない業者にとって、テクニカルな問題が参入を阻んでいた。

カテゴリー:バイオテック
タグ:PfizerBioNTech新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic / Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Notable Healthはインテリジェントな自動化で新型コロナワクチン管理の効率化を目指す

効率的かつコストパフォーマンスの高い新型コロナウイルスワクチンの配布は、2021年最大の課題の1つであり、Notable Healthは自動化プラットフォームを提供し、支援しようとしている。

2017年にスタートアップが創立された当初、Notable Healthは全米で年間2500億ドル(約26兆5000億円)にもなるヘルスケアの管理コストの削減を目指していた。ヘルスビジネスにおける管理部門には、時間のかかる反復的かつ単純なタスクが膨大に存在するため、自動化には大きなメリットがあった。しかしパンデミック以後、Notable Healthはワクチン接種プロセスの管理にこのテクノロジーを適用することを考え、2021年に1月に具体的計画を発表した。

Notable Healthの医療担当ディレクターであるMuthu Alagappan(ムトゥ・アラガパン)氏はTechCrunchのインタビューに対して「私は内科医として診療の現場を熟知していますが、新たな患者に治療を開始するには90ステップ程度の処理が必要です。我々はこれらの処理の大部分は自動化できると信じています」と述べた。

Notable Healthの核心となるテクノロジーは従来からあるRPA(ロボッティック・プロセス・オートメーション)、NLP(自然言語処理)と機械学習を組み合わせて新型コロナワクチンを接種すべき患者を発見できるプラットフォームだ。このプラットフォームは病院システムの電子カルテのデータと総合しワクチン接種を受ける資格がある患者を判別し、予約を受けつけることができる。またこの際、新型コロナウイルスに関する情報を提供し、各種の啓蒙的リソースに誘導する。

NotableHealthの戦略アドバイザーであり、バイデン大統領の新型コロナウイルス感染症関連政権移行チームのメンバーでもあるEzekiel Emanuel(エゼキエル・エマニュエル)博士は 「このプラットフォームは接種資格がある患者の判別、患者への周知、啓蒙に加え医療機関側のトリアージでもインテリジェント化、自動化を活用します。これにより医療システムを効率化し公平なワクチン接種のワークフローを実現できます」とプレスリリースで述べている。

ワクチン接種の予約は、特に高齢の人々にとって難しい作業だ。医療機関のウェブサイトをナビゲーションするのに苦労している人々が多いことが報告されている。アラガパン博士はこれをサイトのデザイン上の欠陥のせいだと考えている。「人々は悪いテクノロジーの実例に出会うことが多いため、テクノロジー全体が悪い印象を得てしまいがち」だという。

Notable Healthはシンプルで洗練されたアプローチを通じてユーザーと会話しようとしており、ユーザーに対しては「基本的かつ誰でも覚えているような情報」のみをテキストメッセージとして求める。博士は「ユーザーの使い勝手を念頭に置いたデザインであるため、高齢者ユーザーに対しても優れたエンゲージメント率を維持できていると思います」と述べた。

このプラットフォームの当面の効果は、病院や医療システムがワクチン接種の効率化を図るために役立つことだ。しかしRPAとNLPの適用は将来、医療システム全般における最適化を実現するのに役立つに違いない。他のビジネス分野ではオートメーション化テクノロジーによりすでに数十億ドル(数千億円)の評価額を得て投資家の強い関心を引き寄せているスタートアップがいくつも存在する。

関連記事:業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

ヘルスケア分野でも今後数年間でAI(人工知能)は急成長すると予想されている。アラガパン博士はヘルスケア業務の大幅な改善には、利用しやすい既存のインテリジェント化テクノロジーとAIを組み合わせることが重要だと考えている。

我々がインテリジェント化、自動化というとき、実は2つの側面が含まれています。AIは『何をすべきか』を教え、ロボットプロセス自動化は『実行方法』を教えてくれます。この複合的アプローチによりNotable Healthはヘルスケア管理業務上の煩雑な手続きを回避し、システムに効率的かつ柔軟な方法でタスクを実行する具体的な指示を与えます。

Notable Healthはワクチン接種のロジスティクス、特に適格者の発見、選別と予約受付にプラットフォームを使用するためにすでに複数の州の病院システムと協力している。現在このプラットフォームは1日あたり数万人の適格者にワクチン接種を受けるよう連絡している。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Notable Health新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Notable Health

原文へ

(文:Sophie Burkholder、翻訳:滑川海彦@Facebook

1回の接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナワクチンは米国で3月に配布開始の見込み

Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の子会社であるJanssen Pharmaceuticals(ヤンセン・ファーマシューティカルズ)が作った単回接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを配布開始する準備がほぼ整った。同社は第Ⅲ相試験のデータに基づく有効性報告書を発表したばかりで、この新しいワクチンが新型コロナ感染症の中等度から重症化の予防には全体で66%、重症化の予防には85%の有効性があることを明らかにした。

これらの数字は、すでにFDA(米国食品医薬品局)の緊急使用承認を受けて配布が始まっているModerna(モデルナ)やPfizer(ファイザー) / BioNTech(ビオンテック)が開発したワクチンの報告されている数字(どちらも90%以上の有効性が報告されている)に比べると印象的ではない。しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは、2回の接種が必要なく、1回の注射で済むため、はるかに簡単かつ早く配布することができるはずだ。このワクチンはまた、接種後28日目には、試験参加者の入院や死亡を100%防ぐ効果を示しており、これは新型コロナウイルスが保険資源に与える影響を考える上で重要な指標となる。有効性は地域によって異なるが、米国では中等度および重度の症例では72%の有効性が証明されたのに対し、世界全体では66%だった。

Johnson & Johnsonの第Ⅲ相試験が、英国や南アフリカで確認された変異種のように、より感染力の強い新種のウイルスが出現している中で行われていることも重要だ。ModernaやPfizer / BioNTechが試験データを発表した時点では、これらの変異種はまだ見つかっていなかった。

Johnson & Johnsonのワクチンは、改変した風邪ウイルスの一種(アデノウイルス)をベクター(運び手)として使用し、人の体に、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)が人の細胞に付着するために使用するスパイクタンパク質の複製を構築する指示を出す遺伝子情報を送達する。この改変されたアデノウイルスは、人間の細胞内で複製することはできず(病気にならないという意味)、免疫反応が起こるだけで、これが後に新型コロナウイルスの感染を抑える抗体を作り出す。このアデノウイルス法は、現在使用されている他のワクチンが採用するmRNA法と比べると、人での使用という点では、はるかに実績がある。

つまり、ModernaやPfizerのデータと比較すると、数字の上では物足りないように見えるものの、ジョJohnson & Johnsonの報告は、実際には非常に勇気づけられるものであるということだ。同社によると、2021年2月にはFDAに緊急使用承認(EUA)の要求を提出する見込みで、翌月2021年3月には配布が可能になると予想されるという。世界的な感染と戦うための武器が、また1つ加わることになりそうだ。

関連記事:モデルナが既存の新型コロナワクチンも変異株に効果ありと発表

カテゴリー:バイオテック
タグ:Johnson & Johnson新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Thiago Prudêncio/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが新型コロナワクチンプログラムに助成金と施設を提供

Google(グーグル)は米国時間1月25日、米国での新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン配布を支援するために、助成金の提供やワクチン接種プログラムへの施設の開放など、いくつかの措置を講じていると発表した。なおAmazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)、Starbucks(スターバックス)、Microsoft(マイクロソフト)などの大手テック企業も、ワクチン接種を増やすために地方自治体や医療機関に支援を約束している。

Googleはワクチン教育を促進するために、保健機関や公衆衛生機関に総額1億5000万ドル(約155億7000万円)相当の広告助成金と資金提供を約束した。また建物や駐車場など同社の施設を利用できるようにすることで、ワクチンの配布を支援するという。

GoogleはOne Medicalや公衆衛生当局と提携し、カリフォルニア州ロサンゼルスとサンフランシスコのベイエリア、ワシントン州カークランド、ニューヨーク市にワクチン接種施設を開設し、ワクチンが入手できれば米国内でさらに多くの施設を開設する計画だという。Intelligent Vaccine Impact Platformを含む同社の技術は、ワクチン配布のロジスティックスを支援するために利用される。

助成金では約1億ドル(約104億ドル)がGoogleのAd Grants Crisis Reliefプログラムの一部として、CDC Foundationや世界保健機構どの非営利団体に寄付される。さらに5000万ドル(約51億9000万円)が「公衆衛生当局と協力して、ワクチン関連のコンテンツや情報が十分に提供されていない地域にリーチする」ために投資されるという。Google.orgは、Morehouse School of MedicineのSatcher Health Leadership InstituteやCDC Foundationなど、有色人種や農村地域の人々がワクチンを利用できるようにする組織に、約500万ドル(約5億2000万円)の助成金を約束している。

関連記事
アマゾンがバイデン新大統領の新型コロナワクチン接種公約に同社リソース提供で協力
新型コロナワクチン接種のデジタル記録開発でテックとヘルスの企業がタッグ

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Google新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin / Getty Images

原文へ

(翻訳:塚本直樹 / Twitter

モデルナが既存の新型コロナワクチンも変異株に効果ありと発表

Moderna(モデルナ)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異型に対しても、同社のワクチンが引き続き有効であるようにするために、行っているステップの詳細を説明した。そこで説明されている内容は、既存の新型コロナワクチンを使って、3回の接種でどのようにブースター効果を得るかの検証方法や、英国と南アフリカで初めて確認された新しい変異ウイルスの、スパイクタンパク質を標的とするようにデザインされた、系統特異的なワクチンの開発についてだ。

Modernaはプレスリリースの中で、こうした手段を「念には念を入れて」追求していると語っている。なぜなら初期の研究では、既存のワクチンがこうした新しい系統に対しても(南アフリカで確認されたB.1.351系統に対しては多少有効性は損なわれるものの)、変わらず有効であることが示されているからだ。とはいえ、同社がウイルスの変異に対して迅速に対応していることは心強い。なぜなら今後、現在のパンデミックが一度収束したとしても、新型コロナウイルスを長期的に制御下に置き続けるためには、すばやい対応を続けていくことが必要になるからだ。

さらにModernaは、同社の次のワクチン候補や既存のワクチンが、市場に出回っている「すべての主要なワクチン候補」と組み合わせて使用されることによって、追加の免疫導入能力を提供できるのではと述べている。つまり、同社は自社のワクチンを、オックスフォードやPfizer / BioNTech(ファイザー / ビオンテック)のワクチンと組み合わせて、免疫力を高めるために使用することができると考えているということだ。このことによって自社もしくは他社のワクチンが不足した際に、ブースター効果をタイミングよく与えるための緊急需要を満たすことができる。

もちろん、この中で最もすばらしいニュースは、Modernaが現在世界中の人々に提供しているmRNAベースのワクチンが、この先もSARS-CoV-2ひいては新型コロナウイルスに対する保護を、引き続き提供できることを示唆する証拠が出てきたことだ。特に英国の変異株に対しては、ワクチン接種を受けた患者の免疫力の低下は見られないという研究データが出されている。南アフリカの変異株については、その有効性の低下は、主に注射によって提供される免疫がより早く減衰していることに起因している可能性がある。つまり、単に追加の注射を、予定されていた期間よりも短い間隔で行えば良いだけなのかもしれない。とはいえ少なくとも初期段階では、これは世界的なワクチン接種アプローチに大きな変更を強いるものではないだろう。

カテゴリー:バイオテック
タグ:Moderna新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:ADEK MICA/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:sako)

Cloudflareが新型コロナワクチンを配布する世界中の保健当局・機関にデジタル待合室を無料提供

ウェブインフラ企業Cloudflare(クラウドフレア)は米国1月22日、新型コロナウイルスワクチン接種を提供する世界中の保健当局・機関に公正で公平、そして透明性のあるデジタル待ち列を維持する方法を供給すべく、完全無料の新しいツールを発表した。同社のProject Fair Shot initiative(ワクチン公正接種プロジェクト)が、要件を満たした組織に無料で新しいCloudflare Waiting Room(Cloudflare待合室)を提供する。今後ワクチン接種を受ける人が登録し、接種待ちの列のどのあたりに自分がいるのか常にアップデートされる透明性ある情報を得る手段となる。

「オースティンのオフィスに勤務する当社幹部の妻が、新型コロナワクチン接種プログラムに両親を登録しようとしていました」と同社のCEOであるMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏は電子メールで説明した。「登録サイトはクラッシュし続けました。そして彼女は夫にこういいました。『なぜCloudflareは、ワクチン接種のサイトをサポートする順番待ち機能を構築しないの?』。そうして当社はまさにその機能の開発に取り組み始めました。2月初旬に立ち上がる予定です」

世界中の人がウイルスの脅威に直面しているなか、可能な限り早くワクチン接種を展開しようと試みるときに起こる、多くのインフラの問題を軽減するのに役立つツールの緊急の必要性を認識し、同社はリリース時期を変更して追加のリソースをプロジェクトに注いだ。

「チームには、Waiting Room機能の予定されていた立ち上げを前倒しするよう話しました」とプリンス氏は付け加えた。「チームは昼夜休むことなく取り組みました。というのも、ワクチン接種の展開のサポートがいかに重要かを認識していたからです。こうしたプロジェクトは真にチームを駆り立てる種のものです。幅広い問題を解決するのに当社のテクニカルな専門性とインフラを使い、ポジティブな影響を与えられるのです」。

テクニカル面に関しては、同社によるとCloudflare Waiting Roomの実装はシンプルで、同社の既存のデリバリーネットワーク上で構築されているあらゆる予約登録ウェブサイトに追加できる。エンジニアリングやコーディングの知識は不要だ。サイト訪問者はそこで登録ができ、順番待ちの列に加わったという確認を受け取る。そして順番が回ってきた時、ワクチンを管理する組織のサインアップページに誘導するフォローアップを受け取る。追加の設定オプションで Waiting Room運営者は、予想待ち時間や順番が近づいてきたときのアラーム(今後のアップデートで導入される見込み)を登録者に提供することもできる。

プリンス氏が言及したように、Waiting RoomはすでにCloudflareのプロジェクトロードマップにあったもので、実際には需要が多くて供給配分が限定的な他のアイテムへの活用が意図されていた。絶対に手に入れたいコンサートチケットや注目の最新スニーカーの発売などだ。しかしFair Shotプログラムは必要とする組織に完全無料で提供され、商用プロダクトとはならないはずだ。ワクチン接種待ちに関心のある人はCloudflareの登録ページでサインアップできる。

「当社はFair Shotプロジェクトで、接種対象者全員が公平に新型コロナワクチンにアクセスできるようサポートする用意がいつでもできています。他の人々と同様、この病気を乗り越えるのを楽しみにしています」とプリンス氏は説明した。

関連記事:

カテゴリー:
タグ:Cloudflare、新型コロナウイルス、ワクチン

画像クレジット:Malte Mueller / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

中国の配車サービスDidiが新型コロナワクチン接種支援で10.4億円の基金を設立

世界中の国が新型コロナウイルス対策としてワクチン接種を準備している中、テック企業は率先して死に至ることのあるウイルスとの戦いをサポートしようとしている。中国の配車サービス最大手Didi Chuxing(滴滴出行)は米国時間1月22日、中国外の13のマーケットでの新型コロナワクチン接種の取り組みを支える1000万ドル(約10億4000万円)の基金設立を約束した。

この多目的基金は乗客がワクチン接種場所に行くのにかかる料金と、ヘルスケア分野で働く人たちがワクチン接種会場に移動するのにかかる料金を減額するのに使われる。また、各国政府と引き続き協業し、サービスを展開する現地のニーズに基づいた今後の対策も支援すると述べた。

同社がどのように資金を十数のマーケットに配分するかはまだ明らかではない。同社が事業を展開しているマーケットはブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、コスタリカ、パナマ、ペルー、ドミニカ共和国、アルゼンチン、オーストラリア、日本、ロシア、ニュージーランドだ。

「ワクチン接種の開始と各マーケットでのサポート計画が確定し次第、さらなる詳細を明らかにします」と広報担当は述べている。

他のテック企業同様、Didiは救済措置を提供することで新型コロナ流行にすばやく対応した。これまでに医療最前線のヘルスケアワーカーに600万回超の無料または割引乗車と食事を、そして600万超のマスクと消毒キットを中国外マーケットのドライバーや提携配達人に提供した、と述べた。

中国内でもDidiは同様の取り組みを展開してきた。ここには感染が確認されたり隔離されたりしたドライバー向けの保険といった財政的援助も含まれる。

「ワクチン接種サポートイニシアチブは、世界中の回復に向けた取り組みにおいて重要なステップです」と同社の会長Jean Liu(ジアン・リュー)氏は述べた。

「複雑なモビリティシナリオ向けに構築された安全システムとともに、驚くほどのコミットメントとDidiチームの臨機応変さは、この困難な時期における人々の保護と必要不可欠なサービスの確保において重要な役割を担います。当社は都市が再び前に進むよう、引き続きパートナーやコミュニティに寄り添います」。

乗客やドライバーの安全を確保するために、同社は2020年に中国や他のマーケットで車内カメラを使ったマスク検知テクノロジーを取り入れた。

ソフトバンクが支援するDidiは、2018年に起きた2件の乗客殺害事件を受けて人気かつ儲けの多い相乗りサービスを一時停止したときに打撃を受けた。同社は中国で最も価値の大きな非上場のテック企業の1社で、IPOを計画しているという噂が何年もある。

Didiはアジア太平洋、南米、ロシアでタクシー配車、プライベートカー配車、ライドシェア、バス、自転車、電動自転車などを提供し、ユーザー数は計5億5000万人だ。最近では年間に100億回超の乗車に対応している。中国外ではユーザー2000万人超、それから280万人のドライバーと配達人を抱えている。

同社にはソフトバンクの支援を受けた新しい自動運転部門もあり、積極的に自動運転車両の開発とテストを進めている中国の新興AI企業群の1社だ。また、中国の電気自動車(EV)メーカー大手BYDと共同で配車サービス向けモデルのデザインも行っている。

関連記事
中国の配車サービスDidi、新たな女性客殺害事件を受けてサービスを一時停止
ソフトバンクがリードするラウンドでDiDiの自動運転開発子会社が540億円調達
中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

カテゴリー:モビリティ
タグ:Didi新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:STR/AFP/Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

アマゾンがバイデン新大統領の新型コロナワクチン接種公約に同社リソース提供で協力

Jos Biden(ジョー・バイデン)氏が第46代米国大統領に就任したことを受けて、Amazon(アマゾン)は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの提供に向けた政権の目標達成に対して支援を行う。TechCrunchに送られた声明中で、Worldwide Consumer部門CEOであるDave Clark(デイブ・クラーク)氏はバイデン大統領とKamala Harris(カマラ・ハリス)副大統領を祝福する一方で、「最初の100日間で1億人の米国人にワクチンを接種するというあなたの政権の目標を達成するために、支援を提供します」と約束した。

この覚書は、バイデン大統領が2020年12月の記者会見でパンデミック対策チームのメンバーを紹介した際に掲げた誓約に言及している。同大統領は「最初の100日間では、新型コロナウイルスウイルスは終息しないでしょう。それは約束できません」と述べた。「私達はこの混乱にすぐに陥ったわけではなく、またすぐには抜け出せないでしょう。それには時間がかかります。しかし100日間で病気の経過を変え、米国の生活をより良いものに変えることができると、私は確信しています」。

最近では、新型コロナウイルスの疫学者タスクフォースのメンバーであるMichael Osterholm(マイケル・オスターホルム)氏がこの目標を「野心的であり実行可能である」と発言し、その取り組みを強化するには時間がかかるだろうと付け加えている。

クラーク氏は声明の中で、倉庫や他の労働者が必要不可欠な労働者として数多く雇用されたように、このウイルスに対するAmazonの対応について詳しく説明している。提供されているリソースには、オンサイトでワクチンを投与できる医療提供者との契約が含まれる。

「私たちはAmazonの施設でワクチンをオンサイトで投与するために、認可された第三者の労働衛生ケア提供者との契約を結んでいます」とクラーク氏は述べている。「私達はワクチンが利用可能になったときに、迅速に対応できるように準備しています。さらに当社の業務、情報技術、コミュニケーション能力および専門知識を活用して、政府の予防接種の取り組みを支援する準備ができています。私たちのスケールは新型コロナウイルスとの戦いに対して、即座に意味のある影響を与えることを可能にし、この努力を支援する準備ができています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Photo by Mark Makela/Getty Images / Getty Images

原文へ

(翻訳:塚本直樹 / Twitter

欧州医薬品庁が不正に操作された新型コロナワクチンデータのリークを警告

欧州医薬品庁(EMA)は、2020年12月にサイバー攻撃で盗まれ、1月11日の週にオンライン上にリークされた新型コロナウイルス(COVID-19)関連薬剤とワクチンの情報について、リークされる前に「ワクチンの信頼を損なうかもしれない」ように手が加えられた内容が含まれていると警告した。

薬剤の構造の図式と新型コロナワクチンの評価過程に関する内容を含む情報にどのくらい手が加えられたのかははっきりとしていない。

TechCrunchはEMAに問い合わせている。

Twitter(ツイッター)を介してリークについて懸念を表したセキュリティ研究者のLukasz Olejnik(ルーカス・オレイニク)氏は、リークされた内容にあるバイオテクノロジー関連の言葉は広く知られていないため、手が加えられたデータは「不信をまくのにうってつけだ」との考えを示した。

同様に、データを適切に解析するにはかなりの専門知識が必要なために、バイラル効果を制限することで手が加えられたバージョンがおよぼす影響を抑制することはあり得る。

しかしEMAが新型コロナワクチンへの信頼に関するリスクを懸念していることは注目に値する。

「EUの2件の新型コロナワクチン販売承認は、独立した科学的評価を経て2020年12月末と2021年1月初旬に認められました」とEMAはハッキングに関する最新のアップデートの中で書いている。

「EUの新型コロナ感染率が高い状況下で、EU市民になるだけ早くワクチンを提供できるよう、急を要する公衆衛生上の必要性があります。この緊急性にかかわらず、高品質の基準で妥協せず、ワクチンの安全性、品質、効果について確固たる科学的な証拠に基づくという点でEUの認識は常に一致していました」。

「EMAは欧州共同体(EC)やネットワーク内外の他の規制当局と絶えず対話しています。ワクチンのメリットがリスクよりも大きいという説得力のある証拠がある場合に承認が付与されます。科学的な評価の全詳細はEMAのウェブサイトにある欧州公開医薬品審査報告書(European Public Assessment Reports)で公開されています」と付け加えている。

この記事執筆時点で、サイバー攻撃の捜査はまだ続いている。

今回の攻撃はまだ特定のハッキンググループや国家主体に関連づけられておらず、手を加えた医学書類をオンライン上でばらまくことで新型コロナ関連の誤情報を埋め込もうとしたのは誰なのかわかっていない。

しかしながら2020年11月にMicrosoft(マイクロソフト)はロシアと北朝鮮が支援するハッカーが新型コロナワクチンの開発に取り組んでいる製薬会社をターゲットにしていると警告した。

欧州委員会もまた2020年6月、今後数カ月以内に新型コロナワクチンの偽情報が拡散するという懸念を提起していた。と同時に欧州をターゲットとした国家主体の偽情報キャンペーンの裏にいると確認された外国の実体として中国とロシアを挙げた。

つまり、疑いはいつもの「敵対的な容疑者」に向けられているようだ。

ロシアによる似たような「不正に加工したリーク」戦術は以前もあった。通常それは選挙絡みで、トップの公職の候補を汚すことで政治に干渉しようとする企てだ。

研究者らは、リークされた電子メールにこっそり不正操作されたデータを侵入させた、2015〜2016年の民主党全国委員会ネットワーク情報漏洩に関わったハッカーを特定した。この攻撃はロシアに起因した

一方、より直近のものとして、悪名高い「『Hunter Biden』 ラップトップ事件」があった。これはトランプ大統領のサポーターが2020年の大統領選挙で、ホワイトハウス奪還を目指す挑戦者(現在の次期大統領)に影響力を及ぼそうとしたものだった。

このケースでは、データキャッシュの発見やタイミングに関する多量の疑わしい主張が展開される中で偽情報の攻撃はなくなった

その前の2017年の事件では、フランス大統領のEmmanuel Macron(エマニュエル・マクロン)氏の選挙活動に関連する電子メールも投票直前にオンライン上でリークされた。大統領選をリードする人がケイマン諸島に秘密の銀行口座を持っているとする、インターネットフォーラムでひどく扱われた文書と一致するもので、マクロン氏の選挙運動はフェイクだという主張だ。

また、2019年にReddit(レディット)は英国の選挙運動の最中に起こった機密の英国・米国通貿易交渉のリーク・拡散に関与した疑いがあるとして、ロシアの政治影響オペレーションアカウントを指摘した。

リークされた貿易関連のフォルダが不正に手を加えられたかどうかは明らかではない。そしてもちろん、Jeremy Corbyn(ジェレミー・コービン)氏の労働党に圧勝的な選挙勝利をもたらさなかった。同党は選挙運動でリークされたデータを使用した。しかし、ロシアによる似たような先の操作は複数のオンラインプラットフォーム上での偽の書類のリークに関わった(そうした誤情報の操作は2019年5月にFacebookによって特定され、排除された)。

不正に手が加えられた新型コロナワクチンや治療に関する医療データのリークの出現は、他人にとって役に立たない結果を生むために偽のデータを武器とすることを模索する敵意のあるサイバー分散操作の厄介な進化のようだ。ワクチンプログラムの信頼性が過小評価されれば人々の健康に直接的なリスクがある。

以前にも医療データをターゲットとした国家レベルのハッキングがあった。とはいえ、それは現在ある公衆衛生の緊急事態を背景とするパンデミックに関連するものではなかった。

たとえば2016年に世界ドーピング防止機構は、数多くのアスリートのオリンピック薬物検査に関連する機密の医療データが、ロシアにつながっているサイバーハッキンググループ「Fancy Bear」によってリークされたことを認めた。このケースでは、データが不正に手を加えられたという報告はなかった。

関連記事:ロシアと北朝鮮のハッカーが新型コロナワクチン製造会社を標的にしているとマイクロソフトが指摘

カテゴリー:セキュリティ
タグ:新型コロナウイルスワクチンハッキング

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic/Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

新型コロナワクチン接種のデジタル記録開発でテックとヘルスの企業がタッグ

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種デジタル記録の基準を作ろうと、産業をまたぐ新たな取り組みが進んでいる。個人のワクチン接種を証明し、世界中で使えるデジタル記録を想定している。情報は暗号化で安全に守られ、内容の信頼性を追跡したり証明したりできる。「Vaccination Credential Initiative(ワクチン証明イニシアチブ)」と呼ばれるこの取り組みには、ヘルスケア業界やテック業界のさまざまなビッグネームが関わっている。いくつか挙げると、Microsoft(マイクロソフト)、Oracle(オラクル)、Salesforce(セールスフォース)、Epic(エピック)、Mayo Clinic(メイヨークリニック)、Safe Health(セーフヘルス)、Change Healthcare(チェンジヘルスケア)、CARIN Alliance(カリンアライアンス)などだ。

この取り組みはSMART Health Cardsのようなデジタルヘルスケアプログラムですでに使われている基準を参考にしている。SMART Health Cardsの仕様は、プロバイダー間で相互運用できるデジタルヘルス記録で使うために作られた基準であるHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)に準拠している。イニシアチブが作ろうとしている最終的なプロダクトは「希望者がデジタルウォレットに保存するための接種履歴の暗号化されたデジタルコピー」だ。デジタルで持ちたくない、あるいはスマートフォンを使いたくない人のために、W3C基準の検証可能な証明情報を含むQRコードの印刷としてバックアップを取ることもできる。

ワクチン接種証明は、目新しいものではない。1700年代から何らかの形式で存在している。しかしその使用や歴史はまた論争や不公平だという非難から抜け出せずにいる。新型コロナではすでに、テスト結果が陰性だった場合のみ入国を許可するという対応を取っている国もある(だがそのような陰性の結果は、実際には個人が新型コロナウイルス持っていない、あるいは他人にうつさない、ということを保証しない)。

具体的には、ロサンゼルス郡の直近の取り組みでは、Appleのウォレット技術を活用し、Healthvanaとの提携を通じて個人にすでにデジタル接種記録を提供している。しかしHealthvanaのCEOで共同創業者は筆者に対し、その記録提供は個人の社会的活動や地理的なアクセスを抑制するのに使うための免疫証明の提供ではないと明確にした。そうではなく、最適なケアを受けられるよう患者に情報を提供しサポートするためのものだ。

今回のイニシアチブは新型コロナワクチン接種記録を文字通りパスポートとして使うためのもののようだ。今回に限り、名称にイニシアチブの文言が入っている(「Credential(証明書)」はかなり明示的だ)。協力している企業は少なくともそうしたプログラムの落とし穴の可能性を認識しているようで、非営利組織MITREの首席デジタルヘルス医師Brian Anderson(ブライアン・アンダーソン)博士は「我々はサービスを十分に受けられていない人々がこの証明にアクセスできるように取り組んでいます」と話し、「新型コロナが社会経済的地位に基づいて差別しないように、我々は記録への便利なアクセスがデジタル格差に阻害されないようにしなければなりません」と付け加えた。

この取り組みを率いるOracleとSalesforceは、「旅行の再開」「以前のような公共の生活」「コンサートやスポーツイベントの開催」などを含む社会・経済活動の再開のためのものであることを認めた。Safe Healthもまた「少なくとも部分的にブロックチェーン対応」の「プライバシーを保護している健康状態証明」ソリューションとなるようにサポートする、という。

安全な社会経済再開、そして現在進められている大規模な世界的ワクチン接種プログラムを管理する方法につながるソリューションの緊急性を考えると、現代のアプローチに歴史のあるワクチン接種記録システムのデジタル版が含まれるのは理に適っている。しかしそのようなプログラムは、新たな利便性とスマートフォンやインターネットによって可能になるモードをもたらす一方で、特にプライバシーや公平な扱いにフォーカスしている公共利益団体によって間違いなくかなり精査され、思わぬ危険やリスクに直面する可能性がある。

関連記事:Healthvanaの新型ワクチン接種デジタル証明書は免疫のパスポートではなくコミュニケーションツール

カテゴリー:ヘルステック
タグ:新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Dogukan Keskinkilic/Anadolu Agency / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

Uberと米製薬会社Modernaがなかなか進まない新型コロナワクチン接種の啓発、促進で提携

Uber(ウーバー)と製薬会社Moderna(モデルナ)は新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに関してさまざまな取り組みを含む提携を発表した。さしあたって決定しているのは、新型コロナワクチンの安全性について信頼できる事実に基づく情報をUberの消費者向けアプリを通じてユーザーに提供することだ。しかし両社は、ワクチン接種予約プロセスにUberを通じた乗車のスケジューリングを直接組み込む「オプション」も検討した。

米国の新型コロナワクチン接種プログラムは、まだ初期段階ではあるが難題に直面している。ここには、ワクチンを最も必要としている人々にタイムリーにワクチンへのアクセスを提供することが含まれる。ワクチン接種プログラムはまた、ワクチンの安全性に関するソーシャルメディア上でのかなりの誤情報拡散とも戦わなければならない。Uberのような利用者が多いアプリは前向きなメッセージと正確な情報を多くの人の目に触れさせることができるため、この取り組みはいいニュースだ。

しかし効果的なワクチンキャンペーンを展開する上でかなり難題となっているものの1つはロジスティックであり、Modernaワクチンの1回目と2回目の接種の予約をとるよう促すことは多くの人が考えていた以上に大きな課題だ。筆者はHealthvanaのCEO、Ramin Bastani(ラミン・バスタニ)氏にロサンゼルス郡との取り組みについて聞いた。同社は患者にタイムリーな情報とワクチン予約についてのリマインダーを提供するためにApple Walletを活用してワクチン接種記録を作るという取り組みを展開している。だが、大半のユーザーがすでにスマホにダウンロードしているUberアプリに乗車予約サービスや予約リマインダーを直接組み込むことは、1回目と2回目のワクチン接種率を高めるのにかなり有効な別の方法となり得る。

Uberはすでに、実際に出かけてワクチン接種を受けるのにともなう壁を下げようと、無料あるいは割引運賃での乗車を提供している。プロダクトレベルの統合は、簡単でユーザーフレンドリーなアクセスを提供することでより効果があるかもしれない。前述の通り、これはまだ協議中のオプションの1つにすぎないが、もしUberとModernaが積極的に実行するとすれば、それは少なくとも両社が方法を見つけるのに真剣であることを意味する。TechCrunchは両社の動きをマークし、このコラボレーションの進展についてはフォローアップするのでご安心を。

カテゴリー:その他
タグ:UberModerna新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:Kirill Kukhmar/TASS / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi)

Healthvanaの新型ワクチン接種デジタル証明書は免疫のパスポートではなくコミュニケーションツール

新型コロナウイルス(COVID-19)への反撃の準備が(多難のスタートながら)進む中、数多くの企業がワクチンの効果を高めようと、いろいろな支援を計画している。HIV患者のための患者情報をデジタルで提供する専門企業としてスタートしたヘルステックのスタートアップHealthvana(ヘルスバーナ)は、Apple(アップル)のウォレット技術を利用して新型コロナウイルスのワクチン接種証明書をモバイル機器に提供するというロサンゼルス郡の取り組みに協力している。この技術をざっと見た限りでは、それを導入することで、個人のワクチンの効果を手軽に証明できるようになると思われるかもしれないが、これは免疫を請け合うものではなく、技術自身もHealthvanaも、むしろ人々に個々の医療プログラムへの参加を促すことに重点を置いている。

「医療のほとんどが、見た目も使い勝手も、総じてWindows 95のようなものだと私は思っています」とHealthvanaのCEOで創設者のRamin Bastani(ラミン・バスタニ)氏はいう。「私たちのルック・アンド・フィールはInstagram(インスタグラム)です。どうしてそこにこだわるのかって?なぜなら患者は、自分が理解できるものに頼るからです。最も楽なのは、普段からコミュニケーションに利用している方法によるコミュニケーションです。つまるところそれが、より健康な結果をもたらすのです」。

バスタニ氏は、そのアプローチでHIVに関する患者教育とコミュニケーションに特化した会社を立ち上げ、そのソフトウェアを利用した場合、従来の方法で今後の治療に関する情報や次回の診察予約日のお知らせ受け取った人に比べ、7.4倍もの人が次の予約日に受診するようになることが証明できたと話す。同社は、単により良い医療を個々人にもたらすというだけでなく、誤解の払拭や、受診を続けるよう患者を追跡して説得するといった、労働時間を大幅に消費する大変な作業から医療や介護のスタッフを解放し、医療提供者のコストを削減することも視野に入れて、ツールやアプローチを構築している。

「実際に私たちは、医療提供者のコスト削減も実現しています。結果はどうだったか、理解できない、ログインできない、SARS陰性とはどういう意味かわからないといった1000件もの問い合わせにスタッフが対応する必要はなく、すべて私たちがシンプルに対処するからです」とバスタニ氏。「これで大きな違いが出ます。結局、患者の関心を惹き、彼ら自身が自分の健康問題に対して行動を起こせるようにすることが、あらゆる医療において重要な鍵になるだろうと、私は考えます」。

それはまた、新型コロナウイルス予防接種証明書で同社がロサンゼルス郡と協力して行っている取り組みの目標でもある。彼らは、同郡のワクチン接種証明書を確実に成功に導く極めて重要な役割を担っている。現在認可されている新型コロナウイルス用ワクチンは、どれもが2回接種を行うことになっている。1回目の予防接種に続き、少し間を開けて2回目で効果を高める。ロサンゼルスの住民への新型コロナウイルス予防接種、および2回目の接種が必要な人にはその旨の告知を徹底することが、この取り組みの第1の目標だ。そこに、患者の治療継続率を高めてきたHealthvanaの経験が活かされる。しかもこのアプリでは、新型コロナウイルスの治療に関する情報や、とりわけ便利な機能として、感染拡大の予防と感染を鈍化させる方法が提示される。

突き詰めれば、Healthvanaはメッセージ伝達の「最後の1マイル」だとバスタニ氏はいうものの、また適切な治療と予防のための正しい行動の判断にはそれ以外にも数多くのレイヤーが関わっているものの、彼らの実用価値のある情報を送り届ける方法は、すでにひとつの重要な手段である「接触者追跡」において大きな恩恵をもたらしている。一部の自治体では、Healthvanaは、検査で陽性になった人に、濃厚接触者のデバイスに匿名で直接知らせるよう促す取り組みを開始する。通知相手には、無料で受けられる検査の情報と、関連情報のリストも提供される。

「この広いロサンゼルス地区で2カ月以内にこれを成し遂げたのは、私たちだけです。すでに1万2000人以上の人たちにウイルスに曝露したことを通知しています」とバスタニ氏。「それぞれの人が、他の人や家族と同居している可能性が高いため、これが感染拡大を鈍らせる方法になります」。

Google(グーグル)とApple(アップル)は、珍しく協力して、最近のアップデートでiOSとAndroidのデバイスに曝露通知ツールを組み込んだが、その導入は比較的ゆっくりだった。その基礎となっている技術は確かなものであり、ユーザーのプライバシーにも特別な配慮を払っているにも関わらず、利用者数は世間の関心を惹くにはほど遠い。たとえばバージニア州の曝露通知フレームワークを使ったアプリでは、ローンチ以来この3カ月間に曝露を通知した人の数はわずか388人止まりだ。

Healthvanaは、その時々に即して個々人の必要性に応じた情報を、その人が一番よく理解している最も使い慣れた方法を通じて届けることに専念している。それはすでに、新型コロナウイルスとその地域感染の対策に大きな力を発揮できる潜在力を示した。同スタートアップは現在、米国国内の別の地域でも同様の取り組みを実施するための協議に入っている。これが米国国内のワクチンの効果を高め、ワクチンを手にした後の人々の新型コロナの対処法に大きな影響を与えることになるだろう。

関連記事
新型コロナ検査ポップアップクリニックを展開するCarbon Healthが105億円調達
アップルとグーグルが新型コロナ暴露通知アプリのサンプルコードやUI、詳細ポリシーを公開

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Healthvana新型コロナウイルスワクチンロサンゼルス

画像クレジット:Healthvana

原文へ

(翻訳:金井哲夫)

米モデルナが季節性インフルエンザ、HIV、ニパウイルス向けに3種の新しいmRNAベースワクチンを開発中

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を止めるために、現在世界的に2種類のmRNAベースのワクチンが展開されている。そのうちの1つを開発しているバイオテクノロジー企業であるModerna(モデルナ)が、2021年には3種の新しいワクチン候補を中心に開発プログラムを進めることを発表した。それらはHIV、季節性インフルエンザ、ニパウイルスのためのワクチン候補だ。モデルナの新型コロナウイルスワクチンの開発と臨床試験は史上最速のペースで行われており、これまでのところ、その結果は非常に有望なものであり、初めてヒトの臨床への応用が行われるこの技術を用いた他の予防治療の有効性も大いに期待されている。

mRNAワクチンは従来の典型的なワクチンとは異なる。なぜならそれは体の自然な防御システムを起動するための特定のタンパク質を、どのように生産すればよいかという指示を人体に与えるものだからだ。そのmRNAによる指示は一時的なものであり、人体のDNAには影響を与えない。単に、ウイルスが細胞に取りついて感染する際に使うタンパク質の生産を、人体の細胞に対して促すだけだ。生み出されたタンパク質は、その後人体の自然免疫反応によって排除されるが、そのことによって、ウイルスが人間に取りついて感染するのを助けるタンパク質やその類似タンパク質を撃退する方法についての、永続的な教育が人体の防御系に対して行われることになる。

モデルナの新しいプログラムは、季節性インフルエンザだけでなく、通常のインフルエンザとCOVID-19を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の両者を対象とする複合ワクチンも目標とする予定だ。またAIDS Vaccine Initiative(AIDSワクチンイニシアチブ)ならびにBill and Melinda Gates Foundation(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団)との協力のもとに開発されたHIVワクチン候補は、2021年中に第一相臨床試験が開始される予定だ。ニパウイルスは、呼吸器症状や神経症状を引き起こす致死性の高い病気で、特にインド、バングラデシュ、マレーシア、シンガポールで脅威となっている。

mRNAベースのワクチンは、その柔軟性とプログラミングが可能である点、また活性ウイルスや休眠ウイルスなどを使用しないために直接的な感染症を引き起こすリスクが低いという点から、未来のワクチン開発手段として可能性を長年期待されてきた。新型コロナウイルスのパンデミックが、この技術への多額の投資と、規制・健康・安全性への投資に拍車をかけ、モデルナ社による新しいワクチン候補試験を含む、他の分野での利用への道を切り拓いたのだ。

関連記事:米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目

カテゴリー:バイオテック
タグ:ModernaワクチンmRNA新型コロナウイルス

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

原文へ

(翻訳:sako)

米国がモデルナの新型コロナワクチン緊急使用を承認、ファイザーに続き2例目

米食品医薬品局(FDA)はModerna(モデルナ)の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンに対し緊急使用許可(EUA)を出した。今週初めに諮問委員会が許可を推奨していたことを受けてのものだ。EUAで米国での使用が認められたコロナワクチンは、Pfizer(ファイザー)とBioNTech(ビオンテック)が共同開発し、先週承認されたものに続き2例目となる。

Anthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士がNBC番組Todayでのインタビューで語ったところによると、Modernaのワクチンの接種は12月21日か22日には始まりそうだ。この承認から接種までのタイムラインは、PfizerのEUAから実際に最初の接種が先週始まるまでのものと同じだ。

Pfizerのワクチンと同様、ModernaのワクチンもmRNAタイプだ。つまり、ウイルスそのものは含まず、人体に特定のタンパク質をつくるよう伝える遺伝子情報だけを含んでいる。そのタンパク質は新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスSARS-CoV-2が持つものとほぼ同じだ。Modernaのワクチンでは人体がそれ自体は無害なタンパク質を作るようにするだけで、免疫システムによる自然免疫能がタンパク質に反応してウイルス防御法を構築する。防御システムは体に記憶され、その一方でワクチンそのものはほどなくして自然に消失し、人に免疫だけを残す。

米国での使用はまだ承認されていないオックスフォード大学とAstraZeneca(アストラゼネカ)が共同開発したワクチンは、接種した人の体の中でタンパク質を急増させないよう弱毒化され、組み替えられた普通の風邪のウイルスを使っている。結果として人体は免疫反応をつくることができる。これはワクチン開発の過程でより確立されている方法だ。しかしModernaとPfizerのmRNAベースのワクチンは大規模なフェーズ3治験の予備データでかなりの有効性を示した。

カテゴリー:バイオテック
タグ:Modena、新型コロナウイルス、ワクチン、米国

画像クレジット: Konstantinos Zilos/SOPA Images/LightRocket

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi