企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」の事前登録開始、特定社外の異性を月30名程度紹介

AILL(エール)は8月4日、人工知能を活用した恋愛ナビゲーションアプリ「Aill」の本サービスに向け、関東圏を中心に事前登録を開始したことを発表。先着500名は2021年3月まで無料で利用できるキャンペーンも併せて実施する。

同社は、TechCrunch Japanが主催したスタートアップとテクノロジーのイベント「TechCrunch Tokyo 2019」のピッチコンテスト「スタートアップバトル」のファイナリスト。応募120社超から本戦出場を果たした20社のうちの1社だ。

Aillは、福利厚生としてAillを導入している企業の独身社員のみが利用できるサービスで、社外で相性のいい異性を毎月30名程度紹介してくれる。AIが紹介、会話、好感度という3ステップを利用者にナビゲートすることで、男女のコミュニケーションのすれ違いを緩和し、出会った後の関係進展をアシストするという。利用者のやり取りを分析し、Aill自体もディープラーニングにより進化し、最適なコミュニケーションを支援する仕組みだ。

前述のように誰もが使える一般サービスではなく、企業の福利厚生サービスとして提供することで、プロフィール詐称などが難しく安心して利用できるのが特徴。恋愛AIの開発には、東京大学の松原 仁教授がAIシステム、北海道大学の川村秀憲教授がナビゲートエンジン、東京大学の鳥海不二夫准教授データ分析にそれぞれ携わっている。

本サービス向け、2019年11月〜2020年3月まで参加11社にてトライアルを実施した結果、サービスの安全性と有効性が確認できたことから今回の募集に踏み切った。トライアル中では、参加者が限られていた、遠隔地からの参加者が多いという状態だったが、以下のようなデータが得られたという。

  • AIによるアシストの受入率62%、かつ全体の違反行為は0%
  • チャット開通後1カ月以内でのデートへの進展率が、AIナビゲーションがない場合に比べ4倍(8.3%→32.8%)
  • デートに誘った場合の受諾率が、AIナビゲーションがない場合に比べ8倍(10.3%→88.0%)

すでにAillを導入している企業は、NTTグループ、みずほグループなど約20社。大手会員制福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を運営するベネフィット・ワンと業務提携しており、ベネフィット・ステーションのサービスメニューから利用できる。なお、ベネフィット・ステーションを使える企業すべてが対象でなく、Aillを福利厚生サービスメニューの対象とするには事前審査など、ここでも安全性を担保している。

AIのナビゲートにどれだけ頼るかは本人次第だが、結果的な既婚者との不倫や大幅なプロフィール詐称の被害遭うリスクを事前に排除できるメリットは大きいだろう。

2020年の変化に人は適応し始めているがAIは苦労している

2020年は、すべての産業がその前進のシナリオを新型コロナウイルス(COVID-19)に照らして再考することを迫られた年だ。公民権運動、大統領選挙、その他の数え切れないほどの大きなニュースが続いている。人間たちは、新しい生活様式に適応しなければならなかった。私たちはこれらの変化を受け入れ始め、新しいパンデミックルールの下で、人生をどう生きていくのかを理解し始めたところだ。人間がそのように落ち着きつつある一方で、AIは適応に苦労している。

2020年におけるAIトレーニングの問題とは、突然私たちが、社会的および文化的規範を変えたことだ。私たちがこれらのアルゴリズムに教えてきた真実の多くが、その真実性を失ってしまった。とりわけビジュアルAIは、それがまだ手に入れていないアップデートされた文脈に沿った、新しい生活様式を即座に解釈することが求められている。

アルゴリズムは新しいビジュアルデータへの適応を続けている最中であり、対象を正確に識別する方法を理解しようとしている最中だ。ビジュアルAIがアップデートされていくにつれて、不正確なトレーニングデータセットと既存のオープンソースモデルを修正できるように、AIトレーニングプロセスにおける定期的なアップデートの、新たな重要性の確立も必要としている。

コンピュータービジョンモデルは、新型コロナウイルスの時代になって私たちが出会った新しいシーンや状況の描写に対して、適切なタグを付けることに苦労している。カテゴリーが変わったのだ。例えば、息子が傍らで遊んでいる在宅勤務中の父親の画像があるとしよう。今でもAIは、それを「レジャー」または「リラクゼーション」として分類する。横で子供が遊びながら仕事をしている様子が、この時期の多くの家庭で見られる光景だとしても、AIがそれを「仕事」や「オフィス」と識別することはない。

画像クレジット:Westend61/Getty Images

より技術的なレベルでは、私たちは世界の異なるピクセル描写を物理的に抱えている。Getty Imagesでは、私たちはAIに「見る」ための訓練をしてきた。これが意味するのは、アルゴリズムが画像を識別し、その画像のピクセル構成に基づいてそれらを分類し、何がそこに含まれているかを決定できるということだ。私たちの日常生活のあり方が急速に変わることが意味するのは、カテゴリーやタグもそれにともなって変える必要があるということだ。例えば「掃除」を考えてみよう。

考えてみて欲しい。今や「掃除」には、視覚的にはきれいな表面を拭く行為も含まれるようになったのだ。これまでのアルゴリズムは、掃除といういうものは、とっ散らかった状況がまず必要だと教えられていた。これはとても異なるもののように見える。これらの再定義されたカテゴリパラメータを取り入れるために、システムを再トレーニングする必要があるのだ。

これは小さなレベルにも関係している。誰かが小さなワイプでドアノブを掴んでいたり、車の中に座った人がハンドルを拭いているかもしれない。かつては些細だったことが、今では人々が安全を確保しようとする際に重要なものになっている。適切にタグ付けされるように、こうした小さなニュアンスをもキャッチする必要がある。そうすることでやっと、AIは2020年の私たちの世界を理解し始め、正確な出力を生成することができるようになる。

マスクと手袋をした中国人女性。在宅命令が発令される中、買い物に行く前に車内の清掃と消毒を行っている。画像クレジット:Chee Gin Tan/Getty Images

現在AIのまた別の問題は、機械学習アルゴリズムはマスクをした顔を識別および分類する方法の模索を、まだ続けているということだ。顔は、顔の上半分だけまたは2つの顔(マスク付きの顔と目だけの顔)として検出されている。これにより不整合が生じ、顔検出モデルの正確な利用が妨げられることになる。

前進するための1つの方法は、マスクの上である顔の上部のみが与えられた場合のパフォーマンスを向上させるために、アルゴリズムを再トレーニングすることだ。このマスクの問題は、サングラスをかけている人や横顔から顔を検出するなどの、従来からの顔検出の課題に似ている。今ではマスクも一般的なものになった。

撮影場所:ダルエスサラーム/タンザニア 画像クレジット:Rodger Shija/EyeEm/Getty Images

こうしたことからわかるのは、コンピュータビジョンモデルが止まることなく進化し続ける私たちの社会の風景を本当に「見る」ことができるようになるまでには、まだ長い道のりがあるということだ。こうしたことに対抗するためには、堅牢なデータセットを構築したい。そして、顔が遮られたり覆われたりする可能性がある無数のさまざまな方法に対して、説明ができるようにコンピュータビジョンモデルをトレーニングするのだ。

この時点で、私たちはアルゴリズムが顔と見なすもののパラメーターを拡大している。それは食料品店でマスクを着用している人なのか、日常業務の一部としてマスクを着用している看護師なのか、または宗教的な理由で自らの顔を隠している人なのか。

こうした堅牢なデータセットを構築するために必要なコンテンツを作成するときには、意図していないバイアスが増える可能性があることに注意する必要がある。AIには常にある程度のバイアスが存在しているが、今やニューノーマルを反映したバランスのとれていないデータセットが、私たちの目の前にあるのだ。例えば他の人種に比べて、マスクを着けている白人の画像が増えている。

これは、厳格な在宅命令のために、写真家たちが自分のコミュニティ以外へのアクセスが制限され、被写体を多様なものにできない結果である可能性が高い。この主題を撮影することを選んだ写真家の人種に関連している可能性がある。もしくは、新型コロナウイルスがさまざまな地域に及ぼした影響のレベルの違いによるものかもしれない。理由がどのようなものであるにせよ、こうしたバランスのとれていないデータセットがあることで、アルゴリズムは他のどの人種や民族よりも、マスクを着けている白人をより正確に検出できるようになる。

データサイエンティストやモデルを利用してプロダクトを開発する人たちの、社会規範の変化に照らしてモデルの正確性をチェックする責任が、さらに重要なものになっている。トレーニングデータとモデルの定期的なチェックとアップデートは、モデルの品質と堅牢性を確保するための鍵だ。その重要性がこれまでになく高まっている。もし出力が不正確な場合には、データサイエンティストはそれらを素早く特定し、軌道修正することができる。

私たちの現在の生活様式が、見えている範囲での未来でも継続するだろうということにも触れておこう。こうした理由から、トレーニング目的で利用しているオープンソースのデータセットには、注意する必要がある。データセットは変えることができるし、そうすべきだ。変更できないオープンソースモデルには免責事項を記載する必要があるため、どのプロジェクトが古いプロジェクトのトレーニングデータから悪影響を受ける可能性があるかは明らになる。

システムによる理解が求められている新しいコンテキストの識別は、ビジュアルAIを前進させるための最初のステップだ。次に、より多くのコンテンツが必要である。周囲の世界に対する、多様な視点からの、より多くの描写。そしてこの新しいコンテンツを蓄積する際には、新しい潜在的なバイアスと、既存のオープンソースデータセットを再トレーニングする方法を検討しよう。私たちはみな、矛盾や不正確さをモニタリングする必要がある。コンピュータービジョンモデルの再トレーニングの恒久化と専業化が、2020年にAIを活かす鍵なのだ。

【編集部注】著者のAndrea Gagliano(アンドレア・ガリアーノ)氏は、Gety Images(ゲッティ・イメージズ)のデータサイエンス責任者であり、コンピュータービジョンと自然言語処理に重点的に取り組んでいる。彼女は倫理的AIプロダクトの開発のために、Getty Imagesの科学者、エンジニア、プロダクトデザイナー、ビジネスリーダーたちの教育を主導している。

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(翻訳:sako)

東大・松尾研発AIスタートアップDeepXが総額16億円の資金調達、建機自動化や工場内作業自動化の事業化加速

DeepX

東京大学松尾研究室発のAIスタートアップDeepXは7月31日、第三者割当増資として、総額16億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、未来創生2号ファンド(スパークス・グループ運営)、フジタ、SBIインベストメント運営ファンド、経営共創基盤。

今回調達した資金は、建機自動化や工場内作業自動化、自動化モジュール提供などの事業化を加速させるために、エンジニアや計算資源を中心に投資する。特に、認識技術や制御技術の少数データでの開発可能性や実空間での頑健性、汎用性、説明可能性などを追求する。

2016年4月創業のDeepXは、「あらゆる機械を自動化し、世界の生産現場を革新する」というミッションを掲げて活動する、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップ。多くの産業で問題となる労働力不足、熟練作業者不足、過酷作業などの現場の課題の解決を目指し、AIをはじめ様々な技術を駆使し、あらゆる機械の自動化、幅広い作業の自動化を推進していくという。

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歓喜の声を聞かせたAI日本酒はほのかな甘口!? HHKやScanSnapのPFUが音響識別AI活用の新プロジェクト

PFU 音響識別AI技術 数馬酒造 リカー・イノベーション 日本酒 継音 emopair エモペア KURAND クランド

小型キーボード「Happy Hacking Keyboard」やドキュメントスキャナー「ScanSnap」などを手がけるPFUは7月30日、「Makuake」(マクアケ)を利用した「PFUの音響識別AI技術を活用した新たな日本酒が体験できるプロジェクト」の開始を発表した。数馬酒造リカー・イノベーションとの協業によるもので、同プロジェクトで作られた日本酒「継音」(ツギネ)はMakuakeで限定販売される。

同プロジェクトでは、数馬酒造が、PFUの音響識別AI技術を活用して日本酒「継音」(ツギネ)を醸造。またPFUは、オンライン飲み会専用日本酒レコメンドアプリ「emopair」(エモペア)を10月1日に提供開始予定。リカー・イノベーションは、emopairを介して、同社酒類ECサイト「KURAND」(クランド)において様々な日本酒の販売を担当する。3社のコラボレーションにより新しい日本酒の楽しみ方を提案するという。

PFU 音響識別AI技術 数馬酒造 リカー・イノベーション 日本酒 継音 emopair エモペア KURAND クランド

350年前から毎年7月に開催されている石川県の伝統的な神事「あばれ祭」が2020年度は中止となった。日本遺産、また石川県無形民俗文化財となっている勇壮な祭りという。これを受け、創業60周年を迎える石川県拠点のPFUは、石川県能登町で1869年創業の数馬酒造、KURAND運営のリカー・イノベーションとともに、「疫病払い『あばれ祭』の歓声で醸したAI日本酒『継音』をオンライン飲みで楽しもう!」プロジェクトをMakuakeにおいて開始した。

  • プロジェクト名: 疫病払い「あばれ祭」の歓声で醸したAI日本酒「継音」をオンライン飲みで楽しもう!
  • URL: https://www.makuake.com/project/tsugine/
  • 期間: 9月29日まで

継音は、地元酒蔵である数馬酒造が、疫病払いの神事「あばれ祭」の中から「歓びの声」だけをPFUの音響識別AI技術で抽出し、「疫病払い、皆の幸せを願う」という想いを込めて聞かせ醸造した日本酒。リカー・イノベーションによると、甘くふくよかな米の香りが楽しめ、滋味深くやわらかい口当たりが特徴という。原料米:能登産酒米「五百万石」100%。アルコール分:15〜16%。精米歩合:60%。

PFU 音響識別AI技術 数馬酒造 リカー・イノベーション 日本酒 継音 emopair エモペア KURAND クランド

emopairは、オンライン飲み会専用アプリ。音響識別AI技術により、オンライン飲み会での盛り上がりや喜びの度合いを計測し、KURANDのラインナップからその状態に合った日本酒をレコメンドする。音声を聞かせ続けられる時間は1回あたり最大2時間。サービスの利用期間は2020年10月1日から2020年12月31日まで。ユーザーの声を元にサービスの継続とアップデートを判断する。

PFU 音響識別AI技術 数馬酒造 リカー・イノベーション 日本酒 継音 emopair エモペア KURAND クランド

emopairは、プライバシーを確保しつつ、声色や声の大きさ、会話の単語を検知・解析し酒宴の盛り上がり具合を識別。独自のアルゴリズムで、KURANDのお酒ラインナップの中からオススメのお酒をセレクト。その場にあった日本酒のペアリングを行う。様々な日本酒のラベルや飲み口の情報、製造の背景なども知ることができる。

PFUの音響識別AI技術は、様々な音が混ざりあった音のデータから、いつ、どの種類の音がしたかを検出。工場設備の異音検知やお年寄り向けに家庭内の生活音の識別など、様々なシーンで活用可能という。CPUやメモリーなどハードウェア資源の少ないエッジ環境でも利用できるほか、精度の面では、環境音識別に関する国際コンペティション「DCASE2018 Challenge Task4」で1位を獲得している。また、この音響識別AI技術を応用し、人の会話から感情を数値化する技術も確立した。

UXをAIプロジェクトに導入する5つの方法

編集部注:本稿を執筆したDebbie Pope氏は、The Trevor Projectで開発部シニアマネージャーを務める人物。

AIや機械学習ツールが浸透し普及が進むにつれて、あらゆる組織の製品チームとエンジニアリングチームがAIを活用した革新的な製品や機能を開発するようになった。AIはデータを扱う組織なら避けては通れないパターン認識や予測、ユーザーエクスペリエンスのパーソナライゼーションなどに特に適している。

AIを適用する際に必要なのは、莫大な量のデータである。AIモデルのトレーニングには通常大規模なデータセットが必要となり、また大規模なデータセットを持つ組織はAIなら解決できるであろう課題にほぼ確実に直面している。言い換えると、データセットがまだ存在しない場合、データ収集はAI製品開発の「フェーズ1」とも言えるわけだ。

使用するデータセットが何であれ、データ収集やその他何らかの形でAI機能に人が関与しているはずだ。データ収集時やユーザーにデータを表示する際、UXデザインとデータの視覚化における指針は早期の段階で検討する必要があるだろう。

1. ユーザーエクスペリエンスを早期に検討する

ユーザーがどのようにAI製品を使用するのかをモデル開発の初期段階から理解しておくと、AIプロジェクトが明確になりチームが共有された最終目標に集中できるようになる。

例えば映画配信サービスにある「あなたにおすすめの映画」のセクションの場合、データ分析を開始する前にこの機能でユーザーに表示される内容を明確にしておくことで、チームは付加価値のあるモデル制作のみに集中できるようになる。おすすめセクションでは映画のタイトル、画像、俳優、長さがユーザーにとって重要な情報になるとユーザー調査で判明した場合、エンジニアリングチームはどのデータセットを用いてモデルをトレーニングするかを確定する際に重要なコンテキストを把握していることになる。俳優と映画の長さのデータが、おすすめのセクションの正確性の鍵となるようだ。

ユーザーエクスペリエンスは3つに分類することができる:

  • 前 – ユーザーは何を達成しようとしているのか?ユーザーはどのようにしてこのエクスペリエンスに到達できるのか?ユーザーはどこへ向かうのか?ユーザーは何を期待すべきか?
  • 途中 – ユーザーが判断するために何が表示されるべきか?次に何をすべきかが明確か?エラーが生じた際にどのようにして克服するか?
  • 後 – ユーザーは目的を達成したか?エクスペリエンスに明確な「終わり」があるのか?フォローアップとしてのステップは何か?

モデルと関わる前、途中、後にユーザーに何が表示されるべきかを知ることで、エンジニアリングチームは最初から正確なデータでAIモデルをトレーニングし、ユーザーにとって最も役立つ結果を提供することが可能になる。

2. データの使用方法について透明性を維持する

ユーザーから収集しているデータに何が起こっているのか、そしてなぜそれが必要なのかをユーザーは認識しているだろうか。ユーザーは利用規約を読む必要があるだろうか。こういった点を解決するため、製品に理論的根拠を追記することを検討すべきである。「このデータにより、より優れたコンテンツを推奨できるようになります」といった単純な一言により、ユーザーエクスペリエンスにおける摩擦が取り除かれ、エクスペリエンスに透明性がもたらされるのだ。

The Trevor Project(トレバー・プロジェクト)のユーザーがカウンセラーに支援を求める際、カウンセラーに繋げる前に私たちがユーザーから収集する情報は、より良いサポートを提供するためのものである、ということをユーザーに明確に説明している。

Image Credits: Trevor Project

モデルがユーザーにアウトプットを提示する場合は、さらに一歩進んでモデルがどのように結論を出したかを説明すべきである。グーグルの「この広告について」のオプションでは、表示される検索結果をもたらす要素について詳しく知ることができる。さらに広告のパーソナライゼーションを完全に無効にして、ユーザーが個人情報の使用をコントロールすることも可能だ。モデルの仕組みやその正確さのレベルを説明することにより、ユーザー層からの信頼が高まり、ユーザーはその結果を利用するかどうかを自分なりに決定できるようになる。結果が低精度であっても、ユーザーから追加のインサイトを収集してモデルを改善する促進剤として活用できるわけだ。

3. モデルのパフォーマンスに関するユーザーのインサイトを収集

ユーザーに対してエクスペリエンスに関するフィードバックを提供するよう促すことで、プロダクトチームはユーザーエクスペリエンスを継続的に改善することができるようになる。フィードバックの収集について検討する際、AIエンジニアリングチームが継続的なユーザーフィードバックからどのような利益を得ることができるかについて考えてみてほしい。人間はAIが検出できない明らかなエラーを発見できる場合があり、人間だけで構成されているユーザーベースは時として非常に効果的なものとなり得る。

実際のユーザーフィードバック収集の例として、グーグルがあるメールを危険であると識別した場合でもユーザー自身の見識を元にメールに「安全」のフラグを付けることができるというものが挙げられる。ユーザーによる継続的な手動での修正により、モデルは危険なメッセージがどのようなものなのかを時間の経過とともに学習することができる。

Image Credits: Google

AIが正しくない理由をユーザー層が説明できる場合、モデルは著しく改善されるだろう。AIが示す結果にユーザーが違和感を感じた場合に、ユーザーが簡単にそれを報告できる方法を考えてほしい。エンジニアリングチームに重要なインサイトを集め、モデルを改善するための有用なシグナルを提供するために、ユーザーにどのような質問をするべきだろうか。エンジニアリングチームとUXデザイナーが共にモデル開発の早い段階からフィードバック収集を計画すれば、継続的で段階的な改善のためにモデルを設定することができるだろう。

4. ユーザーデータを収集する際アクセシビリティを評価する

アクセシビリティの問題が原因でデータ収集に偏りが生じ、偏りのあるデータセットでトレーニングされたAIによってAIバイアスが生じることがある。例えば主に白人男性の顔で構成されるデータセットでトレーニングされた顔認識アルゴリズムは、白人でも男性でもない人ではうまく機能しない。LGBTQの若者を直接サポートするTheTrevor Projectのような組織では、性的指向性同一性への配慮が非常に重要だ。包括的なデータセットを外部から探し出すということは、提示したり収集したりする予定のデータが包括的であることを保証するのと同じくらい重要なのである。

ユーザーデータを収集する時、ユーザーがAIと関わる際に利用するプラットフォームとそれによりアクセスしやすくする方法を検討してみてほしい。プラットフォームの利用に支払いが必要な場合や、アクセシビリティ・ガイドラインを満たしていない場合、またはユーザーエクスペリエンスに問題がある場合、サブスクリプションを購入できない人、アクセスする際に特別な支援を必要とする人、またはテクノロジーに精通していない人からのシグナルが届きにくくなってしまう。

すべての製品リーダーやAIエンジニアは、社会から疎外され過小評価されているグループに属する人々が製品にアクセスできるようにする能力を持っている。データセットから無意識的に除外してしまっているグループを理解するということが、より包括的なAI製品を構築するための最初のステップと言えるだろう。

5. モデル開発の開始時に公平性を測定する方法を検討する

公平性と包括的なトレーニングデータの確保は密接に関連している。モデルの公平性を測定するには、そのモデルが特定の使用環境でどの程度公平性を低下させてしまうかを理解する必要がある。人のデータを使用するモデルの場合、さまざまな人口統計を用いてモデルがどのように機能するかを確認することから始めるのが良いだろう。ただし、データセットに人口統計情報が含まれていない場合、この種の公平性分析は不可能である。

モデルを設計する際、使用するデータによってアウトプットがどのように偏るか、または特定の人々が十分なサービスを受けられない可能性について考えるべきである。トレーニングに使用するデータセットやユーザーから収集するデータが公平性を測定できるほど充分なものであるかを確認し、また定期的なモデルメンテナンスの一環として、公平性を監視する方法を検討してみてほしい。公平性のしきい値を設定し、時間の経過とともにモデルの公平性が低下した場合はモデルを調整したり再トレーニングしたりするための計画を構築する必要がある。

新人でもベテランでも、AIを活用したツールを開発する技術者として、ツールがユーザーにどのように認識され、どう影響を与えるかを検討するのに早すぎることも遅すぎることも決してない。AIテクノロジーは何百万人ものユーザーにリーチすることができ、大変重要なものがかかっている使用事例に適用される可能性もある。AIのアウトプットが人々にどのように影響するかを含め、ユーザーエクスペリエンスを総合的に考えるということは、ベストプラクティスであるだけでなく倫理的にも必要不可欠なことなのである。

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カテゴリー:人工知能・AI

タグ:コラム

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(翻訳:Dragonfly)

AIを活用した製造工程モニタリング技術を提供するInstrumentalが21億円調達

米国時間7月29日、ビジョンベースのAIを使用して製造工程の異常を検出するスタートアップ Instrumentalが、Canaan Partnersが主導する2000万ドル(約21億円)のシリーズBラウンドを行ったと発表した。2017年半ばに行われた750万ドル(約7億9000万円)のシリーズAと合わせて、同社はこれまでの2ラウンドで1030万ドル(約10億8000万円)を調達(Crunchbase記事)していた。

リリースによれば、今回のシリーズBには、シリーズAの投資家であるRoot VenturesEclipse Ventures、シードラウンドも主導したFIrst Round Capitalなどの他のVCも参加した。Stanford StartXも新しい投資家の一員として加わっている。

アンナ=カトリーナ・シェドレツキー氏(画像クレジット:Instrumental

Instrumentalテクノロジーは、ハードウェアとソフトウェアのハイブリッドだが、特に後者に重点が置かれている。

TechCrunchは、同社の創業者でCEOのAnna-Katrina Shedletsky(アンナ=カトリーナ・シェドレツキー)氏に話を聞き、その保有技術と成長戦略について理解を深めた。また、CanaanのパートナーであるHrach Simonian(フラク・シモニアン)氏に対して、今回のラウンドの主導に至ったビジネス指標とマイルストーンに対して質問した。

保有技術

Instrumentalのテクノロジーは、カメラとコードの組み合わせだ。スタートアップはハードウェアを製造ラインにインストールし、データの小さなサンプルセットを使って異常を検知できる学習ソフトウェアを採用している。同社の目標は、物理的な製品を製造するビジネスの生産性を向上させ、時間の短縮を支援する。

「私たちのお客様は、競合他社様に比べて、きわめて迅速に、設計、品質、そして工程上の課題を見つることが可能となります。そのことで高品質の大量生産をはるかに安価に行うことが可能となるのです」とシェドレツキー氏はTechCrunchへのメールに書いてきた。

以前Apple(アップル)で設計および製造を担当していた同氏によれば、Instrumentalは市販のありふれたハードウェアを使用しているという。大切なのはスタートアップのソフトウェアだ。それを使うことでわずか30台のユニットと簡単なラベル付けトレーニングだけで、カメラユニット群をトレーニングすることができる。特に同社が頻繁に手掛ける、インターネットの容量が小さい中国の多くの製造施設では、同社のハードウェアを利用してデータをオンサイトで処理することで、アップロード・ダウンロードの遅延を防ぐことができる。

このテクノロジーを製造ラインに組み込んでもらうことは簡単ではないと、同社はTechCrunchに語る。なぜなら製造を止めてしまうからという理由で採用を見送られることが多いからだ。これは、Instrumentalのような企業に対して参入の壁を高くする。

Instrumentalはこの問題を、製造ラインがまだ稼働前の開発段階にあるときに、そのテクノロジーを組み込むことで回避しようとしている。もしスタートアップがそこで価値を証明できれば、製造ラインが開発段階から本番に移行する際にテクノロジーも展開される可能性がある。また、Instrumentalのテクノロジーが最初のラインで機能した場合には、その後他にも立ち上がる製造ライン(「複製ライン」と呼ばれる)全体に拡張することができる。

Instrumentalのハードウェアユニット(提供:Instrumental)

スタートアップは2種類の製品を持つ。1つは開発中の製造ライン用で、もう1つは本番稼働中の製造ライン用だ。一般に1年単位の契約で販売されることが多いエンタープライズソフトウェア契約とは異なり、Instrumentalの製造契約は、CEOが「継続的販売」(Continuous Sale)と呼ぶプロセスを通じて、量に基づいて増額する形態だ。

このモデルによって、同社は、通常は再交渉を行うためには更新期間を待つ必要があるエンタープライズソフトウェア契約よりも、迅速に請求を行うことができ、Instrumentalのビジネスの成長速度を後押ししている。

成長戦略

2000万ドル(約21億円)という資金を得て、Instrumentalは何を計画しているのだろう?シェドレツキー氏はTechCrunchに対して、その最初の目標はスタートアップが最初の顧客の注目を集めている、製造業界の一角を占める電子機器分野でのビジネスを拡大することだと語った。

その取り組みを強化するために、Instrumentalは市場開拓機能を構築し、コアテクノロジーに引き続き取り組むつもりだと彼女は語った。

多くのVC支援企業が過ごすよりも約2倍ほど長いシリーズA以降の期間が経過して、TechCrunchは同社がより大規模なシリーズBにいつ踏み出すのだろうと考えていた。CEOによれば、スタートアップはその信念に従っているだけで、決してわざとゆっくり進もうとしているわけではないという。彼女は、長期的な視野に立つ企業の構築に取り組んでいて、維持可能でかつ大規模なものになりたいのだと強調した。

急激な成長目標を置かない現在のInstrumentalに、Canaanを引きつけたものが何だったのかにTechCrunchは興味を持った。Canaanのゼネラルパートナーであるシモニアン氏は、「Instrumentalのツールは急速に、ビジネスにとっての必須要素になりつつあります。大規模な顧客での更新率は非常に高いものです」と語る。

全世界の電子機器産業の巨大な規模を考えると(Business Wire記事)Instrumentalが売り込める市場規模はほぼ無限だ。この先スタートアップがどれだけ早く成長できるか見てみよう。

Image Credits: Getty Images

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(翻訳:sako)

サムスンがグーグルとの連携を強化、自社スマートアシスタント「Bixby」を大幅縮小か

最近、Samsung(サムスン)のBixby(ビクスビー)はあまり話題に上がっていない。かつてBixbyはサムスンの巨大なハードウェアエコシステムの中心として売り出し中の存在だったが、最近は輝きを失ってしまったようだ。そして、ここにきて新たに報じられたところによると、サムスンは同社のモバイルデバイスからこのスマートアシスタントを完全に取り除くことを検討しているという。

米国時間7月29日付けのロイターの記事では「連絡文書」を見たと記載されている。詳細は不明で、サムスンは当然、Bixbyへの取り組みを大幅に縮小しているという推測を退けている。サムスンは同社製デバイスからBixbyやGalaxy Storeを削除するという推測について否定した。

サムスン広報はTechCrunchに対し「サムスンは自社のエコシステムとサービスに引き続き取り組む。同時に、Google(グーグル)やその他のパートナー各社と緊密に連携して最高のモバイルエクスペリエンスをユーザーに提供する」と述べた。さらに具体的に「サムスンはこれからもBixbyとGalaxy Storeをデバイス上で提供する。どちらのサービスもGalaxyエコシステムの重要な要素だ」とも述べた。

ロイターの記事によると、サムスンは同社のデバイス上でGoogleアシスタント、検索、Google Play Storeをもっと目立たせるレベニューシェア契約を検討している。これはグーグルがずっと求めてきたことだ。それもそのはずで、サムスンは現在Android市場で最大勢力だ。IDCの調査によると、直近の調査期間での世界の出荷台数のうち21.2%とサムスンが最大のシェアを獲得している。

Huawei(ファーウェイ)が17.8%と僅差の2位だが、これが現在のグーグルにとってどういう状況であるかということは誰もが知っている。サムスンとファーウェイの合計で、世界のスマートフォン市場の3分の1を優に超えている。

サムスンが何を取り込むかについては、Bixbyに何が足りないかということがおそらく重要だろう。これまでのところ、Bixbyの主なセールスポイントは、洗濯機などでも使える比較的汎用性があるということだ。もちろんこれまでのところ、それはサムスン製デバイスの世界の中だけにほぼ限られている。

一般にBixbyへの関心は低いが、これはサムスンの努力不足が原因ではない。同社は長い間、Galaxyデバイスに専用のBixbyボタンを搭載してきた。ただし同社は2017年からこのボタンの機能をユーザーが無効にできるようにしている。また投資不足でもない。同社はアシスタントを充実させるために多額の資金を投じて買収を実施し、Bixbyのロードマップで多くの予定を示してきた。

米国時間8月5日に開催されるサムスンのUnpackedイベントで、Bixbyに関する現在の同社の方向性について何らかの重要な考え方が示されるだろう。

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:Kaori Koyama)

ウォルマートが従業員向け音声アシスタント「Ask Sam」をローンチ、商品の価格や位置を声でお知らせ

米小売り流通大手のWalmart(ウォルマート)が、音声技術の利用を広げている。米国時間7月29日、「『Ask Sam』と名付けた従業員用の音声アシスタントを全国5000店あまりの同社店舗の従業員が利用していく」と発表した。このツールを使うと、ウォルマート社員は価格を調べたり、店内の地図にアクセスしたり、製品を見つけたり、販売情報を見たりできる。個人向けのメール機能もある。最近ではAsk Samが、新型コロナウイルスに関する注意情報や安全教育のためのビデオも提供している。

Ask Samは最初、ウォルマートの姉妹店であるSam’s Club(サムズ・クラブ)のために開発され、2019年に全国展開(Chainstore Age記事)された。音声を使うので、小さな画面に質問をタイプすることに比べて情報を得るための時間が早い。しかも社員は、情報の入手に時間を取られないので顧客対応が充実する。新型コロナウイルスの蔓延が始まってからは、もう1つの利点も注目されている。音声アプリは手袋をしていても容易に使えることだ。

値段や製品の場所を調べるといった一般的な機能のほかに、Ask Samからプリンターを使ったり、メールをしたり、スタッフの誕生日などのイベントを調べたりといったことができる。その「緊急通報機能」で、管理職が全社員に対する警報や指示をメッセージで送信できる。「ロックダウンなので店にとどまれ」という指示や「お客さんを正しく誘導して早急に店から出ろ」という指示もありうるだろう。

同店の音声アシスタントは、機械学習の技術を使っているので使い込むにつれて次第により賢く、より正確になる。また、これまでの質問を調べてそのパターンを知ったり、見逃したかもしれないトレンドに気づいたりできる。例えば「最近最も多く検索されたアイテムはなんだろう」など。

同店が音声技術の利用を実験するのはこれが初めてではない。Ask SamもSam’s Clubの店ではすでに利用していたし、昨年はウォルマート自身がGoogleと提携(未訳記事)して、Googleアシスタントを利用する音声発注をトライした。家庭向けの音声技術ではAmazonのAlexaが成功しているが「ビジネス利用ではGoogleアシスタントが十分対抗できる」と考えたのだ。3年前にもウォルマートは、配送サービスのGoogle Expressが閉鎖する前に、GoogleとパートナーとしてGoogle Homeのデバイスを使った音声ショッピングを開発した。

「Ask Samには今後、顧客の便宜のためのバージョンが登場するのか」という問いにウォルマートは答えなかったが、すでに商品の価格や場所といった顧客が知りたい情報も提供しているのだから、近い将来顧客向けのサービスとして提供することは不思議ではない。

画像クレジット: Walmart

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

機械学習のためのデータセットを見つけるExploriumが約32.5億円調達

データの量はどんどん増え、1つひとつの機械学習モデルに対して適切なデータセットを見つけるのは場合によっては難しい。Exploriumは、それを簡単にするプラットフォームを作っているスタートアップだ。同社は米国時間7月28日に、シリーズBで3100万ドル(約32億5500万円)を調達したと発表した。

このラウンドを主導したのはZeev Venturesで、Dynamic Loop、Emerge、01 Advisors、F2 Capitalも支援した。Exploriumによれば、これまでの調達金額の合計は5000万ドル(約52億5000万円)となった。

CEOで共同創業者のMaor Shlomo(マオール・シュロモ)氏は、同社のプラットフォームはモデルに合うデータを見つけたい人を支援するために設計されていると言う。「分析における次のフロンティアは、特定のアルゴリズムをいかに調整したり改善したりするかではなく、できるだけ有用で影響力のあるアルゴリズムにする目的に合うデータセットをいかに見つけるかということになるだろう」と同氏は語る。

パンデミックが発生して、企業のこうしたニーズは以前より高まっているとシュロモ氏は述べる。これまでのデータが予測モデルの構築の役に立たない場合に、適切なデータセットを見つければ妥当なデータを見つけやすくなる可能性があるからだ。例えば小売業の場合、店舗を営業できなくなった地域に関してはその企業が持っている過去の購買データは関連性がなくなるだろうと同氏は説明する。

「組織が解決しようとしている業務上の問題に影響を与える環境要因はたくさんある。そこでExploriumが業務上の問題を解決するためのデータを検索するレイヤーになり、顧客の予測モデルを進化させようとしている」(シュロモ氏)。

パンデミックが発生した3月、シュロモ氏はパンデミックが自社に及ぼす影響を懸念し、雇用を控えた。しかし4月と5月に業績が伸びているのを見て、雇用を再開することにした。同社のイスラエルと米国のオフィスには現在87名の従業員がいて、今後数カ月で100名にまで増やす計画だ。

雇用に関してシュロモ氏は、特定の学位を取得しているとか特定の学校に行っていたというような厳密なルールは設けないと言う。同氏は「重要なことはただひとつ、成功を渇望する良い人材を採用することだ。カルチャーやグループが多様になれば、メンバーがお互いを発見しさまざまなカルチャーを発見して楽しくなる」と説明する。

資金調達に関して言うと、Exploriumは成長を加速するために資金を必要としていたものの、2019年のラウンドで得た資金はまだ十分に残っていた。「パンデミックが発生してどれぐらい続くかわからず、(最初のうちは)パンデミックによってビジネスがどの程度影響を受けるかもわからなかった。既存の投資家は我が社に対して常に楽観的だった。我々はその見方に従うことにした」とシュロモ氏は語った。

同社は2017年に創業し、2019年のシリーズAでは1910万ドル(約20億550万円)を調達した(未訳記事)。

画像クレジット:Explorium

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(翻訳:Kaori Koyama)

飲んだ日本酒からユーザー好みの日本酒を分析・提案する「Sakeai」アプリのAndroid版がリリース

サケアイ 日本酒 Sakeai Android

サケアイは7月27日、飲んだ日本酒を記録・投稿するとユーザーに合う日本酒をお勧めするアプリ「Sakeai」(サケアイ)のAndroid版を7月23日にリリースしたと発表した。

同社は、「世界の人々が日本酒を愛し、日本酒を最大限楽しめる世の中をつくる」ことを目指し、2020年2月に設立。Sakeaiは、ユーザーに合った日本酒を提案するというスマホアプリで、業界最大規模の日本酒データベース、1万種以上の日本酒銘柄の情報を閲覧可能などの特徴を備えている。先⾏公開していたiOS版に続き、Android版を公開した。

Sakeaiでは、飲んだ日本酒をユーザーが記録すると、AIによってユーザーの好みに合う日本酒をお勧めする。さらに、サケアイと提携する酒造会社・酒販店の最新情報をSakeaiで発信することで、ユーザーが気になる日本酒を購入するといった流れを提供し、人々の日本酒開拓をサポートするとしている。

サケアイ 日本酒 Sakeai Android

サケアイと提携した酒造会社は、蔵元のお勧めを表示したり、Sakeai内の日本酒の情報を自ら更新可能。飲食店・小売店は、店舗で取り扱っている日本酒を自ら更新できたり、各店舗お勧めの日本酒をSakeaiに掲載できる。提携の問い合わせは、蔵元向けページ飲食店・小売店向けページから行える。

サケアイ 日本酒 Sakeai Android

また、Sakeaiに飲んだ日本酒を記録すると、抽選で3名にSakeaiがお勧めした日本酒をプレゼントするキャンペーンを開始した。キャンペーンは8月10日まで。詳細はキャンペーンページを参照。

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huddl.aiが提案するインテリジェンスなオンライン会議

新型コロナウイルスのパンデミックによって直接顔を合わせての会議ができなくなり、我々は否応なくオンラインの世界に押し込められた。そして、Zoom、Cisco WebEx、Google Meet、Microsoft Teamsといった製品が日常の一部となってしまった。この渦中に、経験豊富な起業家が会議テクノロジーに人工知能の要素を採り入れようと3年半前に創設したスタートアップであるhuddl.ai(ハドルエーアイ)が、あえて飛び込んだ。

同社の創設者でCEOのKrishna Yarlagadda(クリシュナ・ヤーラガダ)氏は、いくつもの企業がビデオ会議のコンセプトを提案している中で、彼のスタートアップには一歩先を行くビジョンがあるという。「私たちが前に進めば、次にはインテリジェスの時代が来ます」とヤーラガダ氏はTechCrunchに話した。

同社が提供するツールには、重要な要素を特定し、会議の長いメモから鍵となる情報を拾い集める手間を省いてくれる議事録AIツールも含まれる。「そもそも、どんな会議にも目的があります。または何かの結論を求めて会議を行います。そこにHuddlの出番があります」と彼は言う。

ヤーラガダ氏は、今のソリューションは、単にクラウドルームへのリンクを提供し、クリックしたメンバーが参加できるようにするだけのものだと言う。Huddlは、そのプロセス全体に新しい構造を持ち込もうとしている。「私たちは、ユーザー中心のアーキテクチャーを開発しました。また、ミーティング・メモリーと呼ばれるレイヤーも追加しました。これは基本的に、会議の中心的な項目、つまり議題、要処置事項、モーメントを把握し、検索を可能にするものです」と同氏は説明する。

huddl.aiはそうした会議の要素をモーメントと呼び、会議の柱となる3つの要素を取り込んだ。それは、議題と参加者が会議中に記したメモ、内蔵ツールで参加者がキャプチャーしたスクリーンショット、そして、会議の内容を録音した音声だ。ユーザーは、これらの要素をまとめて検索でき、自分にもっとも関連する部分を抜き出すことができる。

画像クレジット:huddl.ai

さらに、SlackやSalesforceなどの企業向けアプリと統合し、必要ならば会議中に適切なツールの項目に移動することもできる。「基本的に私たちがやろうとしているのは、60分の会議の5分版を制作して、メモリーに収め、検索可能にすることです。会議の後で、このコンテンツは生きてきます。そしてAPIや統合を通じて、適切なプログラムで共有できます」と彼は話す。

例えば、営業会議で要処置項目があった場合はSalesforceに移動できる、エンジニアの会議でソフトウェアにバグが見つかった場合はJiraで共有できる。

同社は2017年に設立された。現在までに870万ドル(約9億3000万円)のシード投資を得ている。従業員数は50名。そのうち10名な米国にいて、残りはインドにいる。今年は、米国とインドの事業所で15〜20名を採用する予定だ。
画像クレジット:LeoPatrizi / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Tencentと中国の科学者たちがディープラーニングを使用してCOVID-19症例の重症化確率を予測

世界中のハイテク企業が、コロナウイルスパンデミックとの闘いを支援するために、フル回転している。研究によれば、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)患者の6.5%(ネイチャー記事)が突然重症化する可能性があり、その重症例の中での死亡率は、高ければ49%(JAMA記事)にも達することがある。したがって、保健当局の重要な任務の1つは、重度または致命的な症候群に陥る可能性のある患者を早期に特定して治療することだ。

これが、Tencent AI Lab(テンセントAIラボ)と、中国の公衆衛生科学者のグループによって結成されたチームで行われている研究だ。公衆衛生科学者のグループを率いているのは2月の発足以来(Tencent記事)、COVID-19に関わる中国の上級医療顧問を務めるZhong Nanshan(鍾南山、チョン・ナンシャン)氏である。

今週このチームが、コロナウイルス患者が重症化するリスクを予測できる、深層学習ベースのモデルを発表した。詳細はネイチャーコミュニケーションズで発表された。そこでは同ラボが、中国の575箇所の医療センターの1590人の患者群に基づいてモデルをどのように考案したのか、そしてさらに1393人の患者を使ってどのように検証を行ったのかが詳述されている。

共同ラボはこの予測機能をオンラインで利用できるようにして(Tencentサイト)、世界中の臨床スタッフが10種の臨床パラメーターを使って、5、10、30日以内に重症になる確率を計算できるようにした。これが直接焦点を当てているのはCOVID-19だが、研究室の長期的な使命は、自身の言葉で表現するなら「ビッグデータとAIを使用して、大規模感染、呼吸器疾患、および胸部疾患に向けての、スクリーニング、予防、制御、および警告を行うこと」である。

中国の他のハイテク大手も、この致命的なウイルスを封じ込めるために同様のプロジェクトを進めている。Alibaba(アリババ)は、機械学習とディープラーニングを使用して、90%の精度でCOVID-19の拡散を予測できるとする、公共機関向けのツール(Alibabaサイト)を開発した。Baidu(バイドゥ)はウイルス構造解析のアルゴリズムをオープンソース化(Baiduサイト)したが、同社はこの手法が従来の方法より120倍速いと主張している。

Tencent AI Labは、ビデオゲームやソーシャルネットワークなどの収益ビジネスと並んで、最先端のテクノロジー開発競争に身を投じようとする、Tencentの取り組みである。2016年に発足した研究部門は、70人の研究者と300人のエンジニアのチーム(Tencent AI Labサイト)を抱え、コンピュータービジョン、音声認識、自然言語処理、機械学習に取り組んでいる。

同ラボは、アリババのDamo Academy(ダモアカデミー)やBaidu Research(バイドゥリサーチ)などの国内ライバルと競争しながら、世界最高のAI人材を追い求めている。多くの場合、それは著名な科学者を雇って若い才能を引き付けることを意味している。近年、BaiduはAndrew Ng(吳恩達、アンドリュー・ン)氏とLu Qi (陸奇、リー・キー)氏の辞任に苦しみ、Tencent AI Labもまた、昨年その代表的な人物である Zhang Tong (張潼、チャン・トン)氏を失っている(未訳記事)。

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(翻訳:sako)

京大発スタートアップ「バイオーム」が大阪府内の生物ビッグデータの構築・生物多様性の調査に協力

Biome バイオーム 大阪府立環境農林水産総合研究所 おおさか気候変動適応センター 生物多様性

いきものコレクションアプリ「Biome」(バイオーム。iOS版Android版)運営のバイオームは7月22日、大阪府立環境農林水産総合研究所に対してアプリを提供し、府内の「在来種」と「外来種」を中心とする生物ビッグデータの構築、および生物多様性と気候変動の影響の調査に協力すると発表した。

Biome バイオーム 大阪府立環境農林水産総合研究所 おおさか気候変動適応センター 生物多様性

同企画では、バイオーム提供のアプリBiomeのゲーム機能を用いて、府内のいきもの観察クエスト「在来種 VS 外来種 おおさかはどっちが多い?」を2020年7月25日より配信。注目の在来種と外来種を中心に幅広い生物種を網羅することが期待されており、アプリを通じて集められた府内の網羅的な生物分布データは生物多様性と気候変動の影響分析に活用される。またコンテンツの配信に合わせて、大阪府立環境農林水産研究所 おおさか気候変動適応センター主催のいきもの観察イベントを、7月25日から9月30日まで開催する。

Biomeは、独自のゲーム機能「クエスト」を実装しており、テーマに沿って選ばれた対象種を見つけ、写真を撮影・投稿することでゲームをクリアできるようになっている。選ばれるいきものは季節や地域によって多様であり、様々な条件で発行されるクエストを仲間とともにクリアすることで、遊びながらいきものに関する様々な知識を身に着けられる。コンプリートしたユーザーは、アプリ内のバッヂを獲得できる。

大阪府の都市部およびその近郊の自然環境において、希少種を含む在来種の減少や新たな外来種の発見が報告されているという。しかし、これまで生物多様性の調査は、専門的な知識を要することから専門家など限られた人手によって行われてきた。Biomeは、スマホで撮影したいきものの種名をAIが自動判別する機能を実装しており、誰でも気軽にいきものの情報を収集できる。アプリを利用して数多の市民の目を通じた情報収集を行うことで、「広域・細粒度・最新」の生物ビッグデータの構築が期待される。

バイオームは、世界中の生物・環境をビッグデータ化し「生物多様性市場」を創り出すことを目指し、2017年に京都大学技術イノベーション事業化コース最優秀賞の受賞を経て、2017年5月に設立された京都大学発のスタートアップ企業。SDGs(Sustainable Development Goals。持続可能な開発目標)の社会的ニーズを背景に生物の分布データを取り扱った生物情報プラットフォームを構築し、情報収集ツールとしてBiomeを提供している。

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DATAFLUCTがビッグデータを活用した青果物サプライチェーンの垂直統合・DXを支援するサービスを開始

DATAFLUCT food supply chain. データフラクト フードサプライチェーン

データサイエンスで企業課題を解決するDATAFLUCT(データフラクト)は7月22日、青果分野サプライチェーンの構築支援サービス「DATAFLUCT food supply chain.」(データフラクト フードサプライチェーン)の提供開始を発表した。青果分野における生産から出荷、流通、加工・販売、消費までを、ビッグデータの活用によって垂直統合し、未来予測によって最適化を実現する。

2019年1月創業のDATAFLUCTは、データとサイエンスの⼒で社会と事業の課題を解決するデータサイエンス・スタートアップスタジオ。2020年7月13日には、東芝の共創アクセラレータープログラム「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM 2020」において、テーマ「GridDB:ビッグデータのリアルタイム分析で新たな価値創出を目指す」の協業検討企業に選定された。

同社は、「あらゆるデータを収集したデータレイクを活用した『未来予測モデルの構築』に対するニーズ」に応えるため、多種多様なデータの収集・蓄積、クラウド上でのリアルタイム分析・活用など、データに関するテクノロジーを駆使。データ活用におけるクライアントのあらゆる課題を解決、ビジネスの創出を支えているという。データレイクとは、データベース内のデータなど属性を構造的に管理する構造化データ、画像・映像・音声など特定の構造を持たない非構造化データかを問わず多種多様なデータを1つに集約し一元管理可能にしたデータ分析基盤を指す。

食のサプライチェーンを支援するサービスでは、「DATAFLUCT agri.」、「DATAFLUCT foodloss.」、「DATAFLUCT intelligent.」をすでに展開。これらの開発経験に加え、オープンデータのほか、「同社がこれまで展開してきたサービスで蓄積されたデータ」と「異なる業種の企業内に留まったままのデータ」を組み合わせるデータレイク構築技術や知見などの活用により、青果物のサプライチェーンのDX推進に貢献できると考え、新たに「DATAFLUCT food supply chain.」をサービスとして提供するという。

  • DATAFLUCT agri.: 農地の衛星画像や気象データ、価格データをAIで解析し、原料調達にかかわる収穫量や収穫日、市場取引価格を予測するサービス
  • DATAFLUCT foodloss.: 店舗のPOSデータや気象・人流などの外部データの活用によって精度の高い需要予測モデルを構築し、食品廃棄ロス削減に貢献するAIサービス
  • DATAFLUCT intelligent.: 売上管理や予約管理、発注手続きなど、サービス業における作業の自動化を補助するチャットボットサービス

DATAFLUCT food supply chain.は、分断し管理されている生産から出荷、流通、加工・販売、消費までの商流・物流におけるデータを垂直統合し、未来予測によって青果物のサプライチェーンの再構築を支援するサービス。これにより、適切な範囲での生産量や在庫量の実現、ルートや調達コストの最適化を実現し、利益の最大化に貢献するという。

利用が想定されるサービス業態は、青果物に関連するサプライチェーンに携わる企業・団体(農業生産組合、農業生産法人、食品メーカー、卸売業、スーパーマーケット、飲食店チェーン など)。特に、青果物の仕入れや販売において、原価高騰や材料ロス、在庫管理に悩む企業・団体としている。

また、活用可能なデータは、気象データ、衛星データ、主産地の生産計画、過去の生産計画、出荷履歴、入荷履歴、在庫データ、市場取引価格データ、輸入量、道路状況、配送履歴、トラックGPSデータ、人流データ、SNSデータ、POSデータなど。

活用事例としては、気象データや衛星データ、過去の生産計画・出荷履歴、市場取引価格、POSデータなどを用いて青果物の需要を予測し、最適な単価となるような生産計画に寄与するなどを挙げている。衛星データによる撮影画像を解析したキャベツ圃場の生育状態ヒートマップなどを利用するという。

DATAFLUCT food supply chain. データフラクト フードサプライチェーン

またPOSデータ、人流データ、SNSデータ、気象データなどを用いて飲食店の需要を予測し、それらを反映させたチャットボットを利用して発注を自動化する例にも触れている。

DATAFLUCT food supply chain. データフラクト フードサプライチェーン

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コロナ禍と社会動乱の同時発生によってはっきりしたAI規制の必要性

編集部注:Newman(ニューマン)氏は、Baker MacKenzie(ベーカーマッケンジー)の北米企業秘密部門を率いている弁護士です。本記事に掲載されている見解や意見はニューマン氏個人のものです。

筆者は、イノベーションを推進しつつ公衆の衛生と安全を保護するためのAI規制を長年にわたり提唱してきた者として、筆者が提案し現在は下院の討議用草案となっている「Section 102(b) of The Artificial Intelligence Data Protection Act(人工知能データ保護法第102(b)条)」法案を、米国連邦議会が超党派で成立させるのをこれ以上遅らせるべきではないと考えている。この第102(b)条で規定されるAIの倫理的使用に関する法令は、いわば防護柵として、個人の尊厳を守るためになくてはならないものだ。

人工知能データ保護法第102(b)条とはどのような法律なのだろうか。また、連邦政府がこの法案を早急に成立させる必要があるのはなぜなのだろうか。

これらの質問に答えるには、まず、我々の民主主義社会が2つの脅威に同時に直面するという歴史上まれな状況の中で人工知能(AI)がどのように使われているかを理解することが必要である。それを理解して初めて、AIが個人の尊厳に対してどのようにリスクとなるのかを認識し、米国市民が大切にしている自由を守り社会の基盤を支えるうえで前述の第102(b)条が非常に重要な措置の1つであることを理解できる。

米国では今、人種差別と警官による暴力行為を終わらせようと大規模な抗議活動が行われており、それと同時に、死をもたらす新型コロナウイルス感染症のパンデミックを鎮めようと苦戦する中で社会不安が高まっている。この二重の危機のいずれの場合においても―さらには生活のすべての側面において―我々がそれに気づいているかどうか、あるいは同意しているかどうかに関わらず、個人に関する重要な決定を下すために政府や民間組織によってAI技術が導入されている。多くの場合、AIは社会を補助する役割を担い、我々が新しい日常にできるだけ早く順応できるように助けるものとして利用されている。

しかし、これまで政策立案者たちは全体的に、AIの利用が公衆の衛生と安全に及ぼす深刻なリスクを見て見ぬふりをしてきた。今までAIといえば、そのアルゴリズムのトレーニングに使われるデータセットの公平性、偏見の有無、透明性が注目されることがほとんどだった。確かに、アルゴリズムに偏見が入り込んでいることには疑いの余地がない。雇用や融資の現場を見れば、女性や民族的少数派が不公平な方法で排除されているケースを目撃するのは簡単だ。

我々はまた、AIが想定外かつ、時には説明不能でさえある結論をデータから導き出すのを見てきた。一例として、裁判官が非暴力事件の被告に公明正大な判決を下すのをサポートする目的で導入された再犯予測アルゴリズムに関する最近の事例について考えてみよう。理由はまだ明らかにされていないが、そのアルゴリズムでは23歳より若い被告に対してより高いリスク点数が算出され、その結果、収監回数がより多い23歳以上の犯罪者よりも実刑期間が12%長くなり、収監期間も再犯予測率も軽減されなかった。

しかし、米国が直面している二重の危機は、往々にして見過ごされてきた別のもっと厄介な問題を浮き彫りにした。それは、AIアルゴリズムが正常に機能した場合でも、その結果に対して社会が倫理的な観点から不快に感じる場合にはどのように対処すべきなのか、という問題である。AIの主な目的は、正確な予測データを算出することにより、人間が決定を下す際の判断根拠を提供することである。政策立案者は今こそ、「AIで何ができるか」ではなく「AIがすべきではないこと」について措置を講じるべきだ。

政府や民間企業は、個人データを果てしなく集め続けている。現在、AIアルゴリズムは米国を含め世界中で、我々すべてに関するあらゆる種類のデータを正確に収集、分析するために利用されている。例えば、群衆の中から顔認識でデモ参加者を監視したり、一般市民が適切なソーシャルディスタンシングを守っているかどうかを判別したりするのにAIが使われている。また、接触者追跡のために携帯電話のデータが収集されており、特定の地域における新型コロナウイルスの感染状況や、抗議デモの場所、規模、暴徒化の有無を予測するために、公開されたソーシャルメディアのデータが収集されている。さらに、マスク着用や高熱の有無を分析するためのデータがドローンを使って集められていることや、入院している新型コロナウイルス感染症患者の重症化の可能性を予測するために個人の健康情報データが集められていることも忘れてはならない。

これだけの量の個人データをこれほど大規模に収集して分析するのは、AIを使わなければ不可能だ。

治安を維持し壊滅的なパンデミックを抑え込むためという大義名分の下でAIを使って携帯電話のデータ、社会的な行動、健康記録、移動パターン、ソーシャルメディアの投稿内容をはじめとする多数の個人データセットにアクセスして個人のプロフィールを把握できるということはすなわち、さまざまな政府系の機関や法人が我々にとって最もプライベートな個性、政治観、社交関係、社会的行動について恐ろしいほど正確に予測し得ること、また現実にそうなることを意味している。

このまま何の規制も課されなければ、AIがはじき出した分析結果のデータが、法執行機関、雇用者、家主、医師、保険会社をはじめ、その種のデータを収集あるいは購入し得るあらゆる個人、民間企業、政府機関によって個人に関する予測的な判断を下すために利用され、判断根拠になった予測が正確かどうかに関わりなく、その判断結果が個人の生活に影響を及ぼし、自由民主主義の根幹を揺るがすことになる。雇用の現場において面接、採用、昇進、解雇の対象者を選ぶ際にAIが果たす役割はかつてなく大きくなっており、拡大し続けている。刑事司法の分野では、収監対象者や判決内容を決めるためにAIが使われている。その他の場面でも、例えば自宅への訪問者に対する防犯チェックや、病院で特定の治療を制限すること、融資申請の却下、ソーシャルディスタンシング規制に違反した場合の罰則などにもAIが関わっている。

AIに関する規制に乗り気でない人々は、上記のような懸念を単なる仮説で大げさすぎる話として片付けてしまいがちだ。しかし、ほんの数週間前、ミシガン州に住む黒人男性のRobert Williams(ロバート・ウィリアムズ)氏が、AI顔認識のミスによって誤認逮捕されるという事件が起きた。報道や米国自由人権協会(ACLU)のプレスリリースによると、デトロイト警察はウィリアムズ氏の自宅の前庭、妻と恐怖に震える2歳と5歳の娘たちの目の前で、同氏に手錠をかけたという。警察は同氏を自宅から40分ほど離れた拘置所に連行し、一晩収容した。次の日の午後に行われた取り調べで警察官が「コンピュータの顔認識が間違っていた」と認め、同氏はやっと釈放された―この時、逮捕から約30時間が過ぎていた。

この事件はAIによる顔認識のミスが無実の市民の逮捕につながった最初の事例として広く知られることになったが、このような事件はこれからも起きるだろう。今回の事件では、法執行機関による逮捕という、国民に大きな影響を与える重大な決定を下す際にAIが主要な根拠として使われた。我々はここで、AIの顔認識が間違った人間を特定して、その人の自由を奪ったという事実だけに注目すべきではない。AIが特定の重大な決定を下す際の根拠として使われるべきでない状況を特定して、そのような状況ではたとえAIの分析結果が正しいとしてもAIの使用を禁止しなければならない。

民主主義社会に住む者として、我々は、考えたが実行しなかった犯罪のせいで逮捕されたり、最終的に必ず死に至ると分かっている病気の治療を拒否されたりすることについて、ウィリアムズ氏の誤認逮捕事件と同じくらい不快に感じることだろう。個人の自由を守るために、いわばAIの「飛行禁止区域」を設ける必要がある。ある種の重大な決定が人工知能のアルゴリズムによってはじき出された予測結果のみに依存して下されることを絶対に許してはならない。

もう少し明確に言うと、AIにインプットしたデータにも、それに基づいてアウトプットされた結果にもまったく偏見が含まれておらず、透明性と正確性にもまったく問題がないことに、関係するすべての専門家が同意している場合であっても、それをどんな形であれ予測的あるいは実質的決定に使うことを禁止する法令を設けなければならない、ということだ。確かにこれは、数学的な正確さを追求するこの世界にはそぐわないかもしれないが、それでも必要なのである。

人工知能データ保護法第102(b)条は、AIが正確な結果を算出した場合と不正確な結果を算出した場合のどちらのシナリオにおいても適切かつ合理的にデータを保護できる規制である。具体的には次の2つの方法でデータを保護する。

第一に、第102(b)条では、どのような決定においてAIを根拠の全体もしくは一部とすることが禁じられるのかが具体的に指定されている。例えば、対象組織が人工知能のみに依存して決定を下すことがAIの誤用として禁止される場合について列挙されている。それには、個人の新規採用、雇用、懲戒処分、医療行為の拒否または制限、医療行為の範囲について医療保険会社が決定を下す場合などが含まれる。社会で最近生じてきた出来事に照らして考えると、AIが人種差別や保護されたマイノリティに対するハラスメントを助長するツールとして使われるリスクをさらに抑えるために、AI使用禁止対象となる分野は今後拡大していくことだろう。

第二に、第102(b)条では、AIによる分析が全面的に禁止されるわけではないその他の分野については、意思決定のプロセスにおいて必ず人間を関与させることが義務付けられている。

第102(b)条を早急に成立させることによって、立法機関は個人の生活に影響を及ぼす重大な決定が人工知能アルゴリズムによって算出される予測データのみに基づいて下されることを防ぎ、個人の尊厳を守ることができるのである。

関連記事:コロンビアから学ぶ、テック業界と輸送産業の発展を阻む古い規制

カテゴリー:人工知能・AI

タグ:コラム プライバシー

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(翻訳:Dragonfly)

ロボティクスプラットフォームのRapyuta RoboticsがBizTech ファンドから資金調達

Rapyuta Robotics rapyuta.io マーキュリア

ロボティクスプラットフォーム「rapyuta.io」提供のRapyuta Roboticsは7月20日、マーキュリアインベストメントおよび伊藤忠商事が共同組成したBizTech ファンド(マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合)からの資金調達を発表した。調達額は非公開。

調達した資金は、複数・異種ロボットの協調連携を実現する、同社独自の群制御AIおよびソフトウェアの開発に投資する予定。同分野は、まだ世界的にも黎明期にあり、rapyuta.ioの技術を発揮できる分野であること、様々な商品を扱う倉庫物流を自動化する上で不可欠な技術となることから、戦略的な注力分野と位置づけているという。

Rapyuta Roboticsは、チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)からスピンオフした大学発スタートアップ。2014年7月設立の同社はEU出資の研究プロジェクト「RoboEarth」出身チームにより日本で創業した。

「ロボットを便利で身近に」をビジョンに掲げ、世界でも最先端の制御技術および人工知能技術を活用した次世代クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」を開発。

複数および複数種類のロボットの協調制御を得意としており、特に倉庫物流の自動化に注力している。自律移動ロボットや自動フォークリフト、ロボットアームなど、多種多様、かつ複数のロボットを、クラウドから一括管理し、協調制御や、ロボットナビゲーションなどが可能となる。

また、rapyuta.ioにより、システム構成要素を一から作り上げる必要がなくなり、ユーザーが得意とする技術分野の開発に集中できるとしている。

2020年5月には、このプラットフォーム構想の第1歩として、物流倉庫用協働型ピッキングアシスタントロボット(自律走行型のAMR、Autonomous Mobile Robot)の商用化を実現した。

マーキュリアインベストメントは、日本政策投資銀⾏が中心となり設⽴された、東証一部上場のプライベート・エクイティ投資の運⽤企業。BizTech ファンドは、マーキュリアの戦略株主である伊藤忠商事を中心に、不動産・物流業界の事業会社をパートナーに迎え、当業界の変革に挑戦する企業の⽀援を目的としている。

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クラウドロボティクスプラットフォーム開発のRapyuta Roboticsは“物流ロボのサブスク化”を目指す

ロボティック外科手術を目指すActiv Surgicalが約16億円調達

ボストン拠点のスタートアップであるActiv Surgical(アクティブ・サージカル)は、ARTIS Venturesがリードしたベンチャー投資ラウンドで1500万ドル(約16億円)を調達した。本ラウンドにはLRVHealth、DNS Capital、GreatPoint Ventures、Tao Capital Partners、Rising Tide VCも参加した。この調達によりActiv Surgicalは5月にマーケット投入したソフトウェアプラットフォームを引き続き開発を続けて性能アップを図る。

Activ SurgicalのActivEdgeプラットフォームは、実際の手術中にリアルタイムでデータを集めるために同社が開発したセンサーを搭載した外科用手術具から収集されるデータを使っている。データはさらに、機械学習やAIベースの視覚化の開発に使われる。これらは術中ミスの発生を防ぎ、最終的に患者の術後を改善するのに役立つ。

同社の主な目的は、サージカルビジョンにテクノロジー的なイノベーションをもたらすことだ。サージカルビジョンはまだ、70年以上前から使用されている蛍光染料のような手法に主に頼っている。Activは外科医が自分の目では見ることができないものについてリアルタイムにビジュアルな知見を提供するためにコンピュータービジョンを活用したいと考えている。そして最終的にはそうしたビジュアル知見を、次世代のコラボレーティブな手術ロボットや、ゆくゆくは完全自動のロボ手術を可能にするために活用するという青写真を描いている。

ActivSightはActivEdgeプラットフォームが提供する同社初のプロダクトとなる。既存の腹腔鏡と関節鏡の手術器具に取り付けることができる、小型で接続している画像用器具だ。同社は現在、このハードウェアに関し今年第4四半期までにFDA(米食品医薬品局)から使用許可を取得することを目指して取り組んでいる。また、米国でのパイロット事業で8つの病院と協業している。

同社はこれまでに3200万ドル(約34億円)を調達した。

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(翻訳:Mizoguchi

ジュピターテレコムがライドシェアサービス「J:COM MaaS」の実証実験を開始

ジュピターテレコム ライドシェア J:COM MaaS

ジュピターテレコムは7月16日、全国約4500台のJ:COM営業車を用いた、ライドシェアサービス「J:COM MaaS」の実証実験プロジェクト「J:COM For!」の実施を発表した。日地域の足を守り、日常生活の利便性を向上させるモビリティサービスの実現を目指す。

J:COM For!の実証実験の期間は、7月16日~12月31日。実証実験の場所は、:COM東京 東エリア(東京都練馬区、埼玉県和光市・新座市)、J:COM堺(大阪府堺市・和泉市 他)。実証実験の対象は、J:COM営業スタッフ約230名、車両台数6台。場所・対象とも開始時のもので、順次拡大予定としている。

ライドシェアサービス導入による営業車両の削減・CO2排出抑制とともに、J:COM MaaSアプリを通じた様々なデータを蓄積。アルゴリズムの高度化やアプリのUI・UX向上を行い、商用化に向けたライドシェアサービスの有用性・発展性を検証する。

警察庁の「運転免許証の自主返納について」によると、2019年に60万件以上の運転免許の返納があり、そのうち75歳以上の高齢者ドライバーによる自主返納は35万件以上になるという。

地域の足が失われていく状況が深刻な社会問題となる中、J:COMでは、「お客さま・地域の課題をDXで解決し、新たな価値を創造する」というビジョンのもと、生活圏における日常の移動をより便利にするサービスの提供を将来的に検討しているとした。

ジュピターテレコムによると、J:COM MaaSは、乗降場所と到着希望時間をアプリに入力することで配車予約を行える。ドアtoドアだけでなく、複数乗客を相乗り可能にし、効率的な移動の実現を目指す。ビッグデータやAIを活用し、最適なルーティングを瞬時に設定、乗客の様々なニーズに対して柔軟な対応が可能という。

またイメージとしては、「生活圏内を自由に移動できるサービス」「病院などの特定施設へ移動できるサービス」「マンションから駅までの送迎サービス」「生鮮食品や生活用品、料理のデリバリーサービス」を挙げている。

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SAPなどの巨人たちに挑戦するRecurrencyのERPは現代的なひねりを加えて機械学習で推奨や予測も行う

Y Combinatorの2020年夏のバッチのメンバーであるRecurrencyは、大学を卒業したばかりの21歳の人物によって創業された企業だ。彼はSAP、Infor(インフォア)、Oracle(オラクル)、Microsoft(マイクロソフト)などの巨人たちが率いる、しっかりと確立された市場に参入することを決心したが、エンタープライズソフトウェアの非常に複雑な領域を一気に攻めるのではなく、卸売ビジネスを支援することから始めている。

単独の創業者でありCEOであるSam Oshay(サム・オシェイ)氏は、今回の夏バッチに参加する前に、ペンシルベニア大学でエンジニアリングとビジネスにまたがる2つの学位を取得して卒業した。オシェイ氏は、データ主導の意思決定を推進するために、機械学習を使用することで、ERPに現代的なひねりを加えようとしている。

「SAP、Infor、Epicor(エピコ)といった他のERPとの違いは、ユーザーに対して彼らがまだ知らないことを伝えることができるということです」。従来のERPは、基本的にデータ入力システムに過ぎないと彼はいう。例えば価格表を入力することはできるものの、それに対する予測については何もできない。

「私たちのシステムなら、過去のデータをスキャンして、価格の推奨と予測を行うことが可能です。つまり、私たちのシステムはデータ分析を行うだけでなく、外部データをインポートして内部データと照合し、推奨と予測を行うERPなのです」とオシェイ氏は説明する。

彼は卸売ビジネス方面だけに閉じこもっているつもりはないが、彼の家族がこれまでその方面のビジネスを経営してきたという状況を考えると、そこを出発点としたことは理に適っている。実際、彼の祖父は第二次世界大戦後に米国に移住し、彼の伯父が現在も経営している金物の卸売業を始めた人物だ。そして彼の父親は、卸売業務に使う発送用品を販売するビジネスを始めた人物である。オシェイ氏はそうしたファミリービジネスの中で育った。そうした経験がほとんどの新卒者がおそらく持つことのない洞察を、彼に与えることになったのだろう。

「私は卸売業について、非常に深いレベルまで学びました。そして私が観察できたことは、私の父のビジネスに関わる問題の多くが、彼の使うERPシステムの問題に帰結するということでした。なので、もし誰かが、ERPの拡張機能やより優れたERPを構築できたなら、これらのレガシーシステムの中に現在閉じ込められている価値の多くを、解放できる可能性があると私は考えたのです」と彼はいう。

そこで、彼は良い起業家ならそうするようにシステムの構築を始めたのだ。手始めとして彼のシステムはSAPやNetSuite(ネットスイート)などのレガシーシステムにプラグインされるが、将来的な計画はより良いERPを一度に1ステップずつ構築して行くことだ。今のところ、それは卸売を対象にしているが、彼は自身の会社ではるかに大きいビジョンを持っている。

彼は元々、大学3年だった2019年秋学期にYCに応募し、その冬のバッチへの参加を許可されていたが、実際の参加は学業が完了する2020年夏まで延期していた。彼は早期卒業を行うために、ペンシルベニア大学の残りの時間を全力で過ごし、修了するために10のクラスを履修した(現在は卒業論文が1本残されているだけだ)。

今回のYCバッチはリモートで行われており、YCチームはそれを考慮に入れていて、それでも夏のクラスに対して有意義な体験を提供していると彼はいう。「YCが通常行うイベントのすべてが、現在でもそのままリモートで行われています。そして、私の知る限り、私たちが参加しているイベントのいくつかは、この奇妙な状況に対応するために特別にデザインされています。YCチームは今回のバッチを意味のあるものにするためにかなりの検討を重ねおり、それらは成功したと思います」と彼はいった。

パンデミックは、アーリーステージのビジネスに新たな課題を突きつけたが、彼はそのおかげでより良い集中を行う役に立った点もあるという。友人たちと出かける代わりに、彼は在宅でほとんど気を散らすことなく会社に取り組んでいる。

ご想像のとおり、この製品はまだ始まったばかりだが、既に3つの顧客で稼働しており、さらに2つが実装段階にある。また、これまでに2人とエンジニアを雇用して、それぞれフロントエンドとバックエンドを担当させている。

今のところ、彼は製品とビジネスの開発を続けていく予定だが、今回のパンデミックが、企業たちがレガシーERPのようなシステムを変更することに対して、よりオープンになるきっかけになるとみなしている。「誰かが何か新しいことを試したいと思っているときに、それをより簡単に試すことができるようにしてあげられるなら、そここそが売り込める場所なのです」と彼はいった。

画像クレジット: NicoElNino / Getty Images

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(翻訳:sako)

野球データ分析・チーム強化の「キューステ!」がミズノMA-Q連携の投球データ・映像分析機能を開発

ライブリッツ キューステ ミズノ MA-Q

ライブリッツは7月15日、野球の試合スコア・映像を管理・分析しチーム強化に活用できるサービス「キューステ!スポーツチーム向けサービス」において、ミズノ製の野球ボール回転解析システム「MA-Q」(マキュー)のデータを取り込み投球解析を行える機能を開発したと発表した。

ライブリッツ キューステ ミズノ MA-Q

キューステ!ユーザーは、オプション機能として、専用スマホアプリの投球解析機能を利用可能。MA-Qで取得できる投球の回転数・回転軸・速度などのデータと、ビデオカメラやスマホで撮影した投球の映像を組み合わせ、映像を重ね合わせた状態での比較や取得データのグラフ化を基にした管理・分析を行える。これにより、選手のスキルアップや監督・コーチのアドバイスに役立てられるとしている。

ライブリッツ キューステ ミズノ MA-Q

ライブリッツ キューステ ミズノ MA-Q

キューステ!は、ライブリッツのプロ野球球団向けデータ分析システムで採用しているAI・IoTなどを活用した、スポーツチーム向けチーム強化クラウドサービス。2019年にサービスを開始し、これまで社会人野球チーム「ENEOS野球部」や日本男子ソフトボールリーグ所属の「日本エコシステム」、台湾のプロ野球チーム「楽天モンキーズ」など複数の競技・チームが利用している。

ライブリッツは、複数のプロ野球球団に対しIT戦略的パートナーとしてチーム強化システムの構築・運用を手がけており、導入した球団はリーグ優勝や日本シリーズ制覇という実績を挙げているという。2018年4月にはAI・IoTを活用した選手トラッキングシステム「Fastmotion」を構築し、日本球界で初めて守備や走塁動作などのデータ化に成功した。

今後キューステ!は、アプリの機能拡張を進めるとともに、野球やソフトボール以外の他競技への提供など、サービスの進化と拡充を進めるとしている。

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