夜間・休日など病院の時間外に子どもの健康相談が行える「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始

時間外の小児健康相談アプリ「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始、夜間・休日往診の「コールドクター」と連携

夜間や休日などに子どもの健康相談ができるアプリ「キッズドクター」(Android版iOS版)を提供するノーススターは9月6日、夜間と休日の往診サービスを提供するコールドクターと連携し、福岡エリアでの往診サービスを開始したことを発表した。

キッズドクターは、子どもの健康に悩んでいる保護者に「医師や看護師に気軽に相談できる安心を届ける」サービス。平日夜間や休日の病院が開いていない時間など病院の時間外に、看護師による「チャット健康相談」、医師と会話ができるオンライン診療、医師が自宅に訪問する「夜間往診」などを受けられる。

キッズドクター概要

  • チャット健康相談:厚労省指針に基づき、看護師チームが、医学的判断の伴わない一般的な医学的情報の提供や受診勧奨を行う。子どもの健康に関する悩みや、病院が空いていない時間の子どもの急な体調不良時に「今の症状だと受診したほうがいいのか?」という悩みに、迅速に応える
  • オンライン診療・夜間往診予約:オンライン診療では、かかりつけのクリニックが開いていない時間に、スマホを通して医師と会話ができる。夜間往診予約では、患者の自宅に医師が訪問する往診サービスを予約できる。健康保険・こども助成金なども適用可

またコールドクターは、夜間と休日に健康保険が適用可能な往診を受けられるサービス。医療機関と連携して400人以上の医師が登録している。

これまで「キッズドクター」は、名古屋市内、東京市部、大阪、兵庫エリアで往診サービスを行っており、今回、福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)での往診サービスを始めた。

今後も、対象エリアと時間の拡大を進めてゆくとノーススターは話している。

夜間往診の新規対応地域(地域・時間は順次拡張予定)

  • 福岡県:福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)
  • 受付時間:福岡地域では月・火・木の19時~24時(祝日は除く)の時間で診察予約を受付

 

医療機器特化型アクセラレータープログラム「MedTech Angels 2021」が参加スタートアップの募集開始

医療機器特化型アクセラレータープログラム「MedTech Angels 2021」が参加スタートアップの募集開始

医療機器開発インキュベーター「プレモパートナー」は9月3日、MedTech特化型アクセラレーションプログラム「MedTech Angles 2021」において、参加チーム募集を開始したと発表した。医療テクノロジー領域においてイノベーションを起こそうとする起業家に向けたもので、MedTech分野で起業間近のチーム、起業直後のスタートアップのエントリーを受け付けている(学生・社会人、国籍は不問)。募集領域はデジタルヘルス・医療機器・人工知能。応募期間は2021年9月30日23時59分まで。医療機器特化型アクセラレータープログラム「MedTech Angels 2021」が参加スタートアップの募集開始

昨今、ヘルスケア領域において、多くのスタートアップが誕生しているものの、医療機器領域での成功事例は極めて少ないという。プレモパートナーは、その理由として、独特な法規制や複雑な開発プロセスを正確に捉えられていないことが挙げられるとしている。事業化の実現には、開発初期における事業戦略が重要としており、医療機器イノベーションを実現しようとする方に向け、医療機器開発に特化した知見を提供するため、今回のプログラムの開催を決定した。

MedTech Angelsでは、医療テクノロジー開発に必須の、薬事・マーケティング・保険償還・資金調達、ピッチなど幅広い知識やノウハウを提供。約3カ月間の専門講義とメンタリングを経て、次のステージである資金調達が可能な事業戦略を策定できるよう支援するという。医療機器特化型アクセラレータープログラム「MedTech Angels 2021」が参加スタートアップの募集開始医療機器特化型アクセラレータープログラム「MedTech Angels 2021」が参加スタートアップの募集開始医療機器特化型アクセラレータープログラム「MedTech Angels 2021」が参加スタートアップの募集開始

「MedTech Angles 2021」プログラム概要

  • プログラム期間:2021年11月〜2022年3月(予定)
  • 支援内容(予定):バイオデザインメソッド、事業化戦略講義(計6回)。医療機器専門家、臨床家によるチームメンタリング(計5回を予定)
  • パートナー企業マッチングイベント:2022年3月上旬
  • デモデイ:2022年3月下旬
  • 参加費:無料

MedTech Angelsの特徴

  • バイオデザインメソッドのノウハウ:医療機器起業家育成プログラムであるバイオデザインのデザイン思考法をベースにしたMedTech開発手法を伝授
  • 事業化に必要な9つの戦略:薬事・マーケティングなどの基礎知識を習得するブートキャンプとチーム別メンタリングにより、9つの戦略立案を支援
  • ネットワーキング:先輩起業家、VC、エンジェル投資家、PMDA出身者など各領域の専門家とのネットワークを提供
  • マッチング機会:スポンサーとして参画するパートナー企業とのマッチングの機会を提供(デモデイ前にパートナー企業とのマッチング日を設定)
  • エンジェル投資機会:メンタリング終了後の事業継続に対し資金獲得の機会を準備、100万円~1000万円まで
  • コンサルティング継続支援:優秀チームには運営会社プレモパートナーによる最大100万円相当のコンサルティングサービスを提供

エントリーについて

  • 応募期間:2021年9月30日23:59まで
  • 応募資格:学生・社会人、国籍は不問。医療テクノロジーの事業化に高い関心を示し、原則起業済のチーム、メンタリングに参加できるチーム、10月14日午後の本選考に出席できるチーム
  • 募集領域:デジタルヘルス・医療機器・人工知能
  • 審査基準:アイデアを実現するチームの情熱、医療の課題を解決するアイデア、アイデアの独自性と実現可能性
  • 応募フォームMedTech Angels 2021エントリーフォーム

オンライン説明会(全日程とも同一の内容)

  • 開催日時:9月9日18:00〜19:00、9月16日18:00〜19:00
  • 説明会申し込みURLhttps://medtechangels-1.peatix.com(MedTech Angels 2021オンライン説明会)

プレモパートナーは、医療機器・ヘルスケア機器に特化したインキュベーター。2020年6月2日、第一種医療機器製造販売業(許可番号14B1X10024)を取得しており、高度管理医療機器の製造販売が可能になった。医療機器開発の「当事者」として、日本における医療機器ビジネスの活性化・業務拡大を目指している。

また現在、研究者の事業化サポート、企業の医療機器新規事業のサポート、医療機器ベンチャーサポートなど積極的に医療機器・ヘルスケア機器の分野に特化した専門性の高いサポートを行っている。

同社は、製品開発プロセスのデザインから製品上市後のプロモーション策定まで、ワンストップのサービスを提供。製品上市後の戦略までともに絵を描き、バックキャストして製品の適応を考え開発し、承認に導けるとしている。一気通貫で見据えることができるので、無駄のないシナリオを作成可能という。クラス1~クラスIVまでのすべての医療機器開発において、薬事承認から製造販売、市販後のマーケティングに至るまで幅広い分野に包括的に対応できる様々な経験豊富な専門家が在籍しているそうだ。

企業には「新規事業の創出」を、スタートアップ企業には「新製品の導出」を支援するとしている。

2型糖尿病の治療など個人に合わせた健康的な食事・生活習慣アドバイスを提供するOvivaが約88.1億円調達

2型糖尿病の治療をはじめ、より多くの人がサポートを受けられるように、個人に合わせた食事や生活習慣のアドバイスをアプリで受けられるデジタルサポートサービスを提供している英国のスタートアップ企業Oviva(オビバ)は、シリーズC資金として8000万ドル(約88億1000万円)の調達を完了した。これにより、これまでの調達額は1億1500万ドル(約120億6700万円)となる。

ヘルステック事業が成長した「すばらしい1年」の後のさらなる拡大のために使用される、と同社が語る今回の資金調達は、Sofina(ソフィーナ)とTemasek(テマセク)が共同で主導し、既存の投資家であるAlbionVC(アルビオン・ヴェンチャー・キャピタル)、Earlybird(アーリーバード)、Eight Roads Ventures、(エイトローズ・ベンチャーズ)、F-Prime Capital(エフプライム・キャピタル)、MTIPに加え、数名のエンジェル投資家が参加している。

このような成長を支えているのは、富裕層では、肥満や2型糖尿病(食生活の乱れや運動不足が原因とされる)などの健康状態が増加し続けているという欧米の社会状況だ。一方で、一般的には、サービス提供にかかる費用の増加に対処するために、これまでの対応型ではなく予防型の医療の概念により注目が集まっている。

体重やそれにともなう健康状態(糖尿病など)をコントロールするための生活習慣管理の分野こそ、Ovivaの出番だ。Ovivaは、医療従事者が提供する個別のケアと、患者が食事内容を確認したり、サポートを受けたり、個々の健康目標に向けた進捗状況を把握したりするためのデジタルツールを組み合わせた複合サポートを構築している。

このアプローチを裏付けるように、23本もの査読付き論文が発表されており、肥満を抱える人々の6カ月後の体重が平均6.8%減少し、一方、専門家向けプログラムでは、12カ月後に53%の患者が2型糖尿病の緩和を達成しているという主要な結果が出ている。

Ovivaは通常、デジタルでのサポートプログラムを健康保険会社(または公的な医療サービス)に直接販売し、健康保険会社はその顧客や患者に同社のサービスを提供(または紹介)する。現在、同社のプログラムは英国、ドイツ、スイス、フランスで提供されているが、今回のシリーズCの目的の1つは、展開規模のさらなる拡大だ。

「当社が提供するダイエットや生活習慣の改善に対して、医療制度による償還が行われているヨーロッパの市場、特にデジタル償還のための具体的な経路が確立されている市場に規模を拡大していきます。励みになるのは、より多くの医療制度が、そのようなデジタル償還のための具体的な方針を作り始めているということです。例えば、ドイツではDiGAがあり、ベルギーでもここ数カ月の間に準備されました」とOvivaはTechCrunchの取材に語っている。

これまでに同社は20万人を治療してきたが、ヨーロッパの人口が高齢化していることもあり、対応可能な市場は明らかに巨大だ。Ovivaによると、現在3億人以上の人々が、食生活の乱れによって引き起こされているか、あるいは個人に合わせた食生活の改善によって最適化することができるような「健康上の問題」を抱えているそうだ。さらに、現在、デジタルケアを受けているのは「ごく一部」に過ぎないと指摘している。

Ovivaはこれまでに、医療機関、保険会社、医師など5000以上のパートナーと提携し、自社の技術をより多くの人に利用してもらうことで、さらなる規模の拡大を目指してきた。過去1年間で、治療を受けた人と収益の両方が「2倍以上」になったという。

今回のシリーズCでは、食生活や生活習慣に起因する健康障害でサポートを必要としているヨーロッパの「数百万人」の人々にサービスが届くようにすることを目標としている。

また、規模拡大戦略の一環として、2022年末までにチームを800人に拡大する予定だ。

デジタルケアと対面ケアの比較において、デジタルでサービスを提供することにともなう潜在的なコスト削減効果はさておき「最も顕著な利点」はその受診率と完遂率であるという研究結果が出ているとし「私たちは、労働年齢層やマイノリティなエスクニックグループなど、支援が難しいとされるグループにおいても、70%以上の受診率と80%前後の高い完遂率を一貫して保ってきました。一方、ほとんどの対面式サービスでの受診率および完遂率は50%未満なのです」と述べている。

競合他社について質問されたOvivaは、Liva Healthcare(リバ・ヘルスケア)とSecond Nature(セカンド・ネイチャー)をこの地域での最も近い競合他社として挙げている。

「WW(旧Weight Watchers)も、償還を受けることができる一部の市場では、デジタルソリューションの点で競合しています。他にも、新しい方法でこの市場に参入しようとする企業はたくさんありますが、それらは償還対応していなかったり、ウェルネスソリューションなのがほとんどです。ヨーロッパでは、他の多くのアプリと同様に、Noom(ヌーム)が自己負担の消費者向けのソリューション分野で競合しています。しかし、私たちの考えでは、彼らの市場は、医療費が支払われる私たちがいる市場とはまた別のものだととらえています」。と付け加えている。

シリーズCでの資金調達は、既存市場での存在力を高め、新たな市場にターゲットを絞って拡大していくことに加えて、M&Aの機会を通じて事業をさらに拡大していくことも視野に入れているとOvivaは語っている。

「新しい国に進出する際には、新しい組織を一から立ち上げることや、強力な医療ネットワークを持つ既存の企業を買収することのどちらも視野に入れていて、当社の技術が患者により優れた医療ケアと価値創造のために活用できると考えています」と語っている。

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画像クレジット:Danny O. / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

メディカルフォースは8月31日、自費診療特化SaaS「medicalforce」において、デジタル問診票機能を正式リリースしたと発表した。これにより、美容クリニックのDXを加速させ、現場の非効率の軽減するとしている。

2020年11月設立のメディカルフォースは、「美容医療業界のニューノーマルをつくる」をミッションに、美容医療の現場の負担をテクノロジーで解決し、現場に余裕をもたらすことを目指すスタートアップ。

同社のmedicalforceは、予約管理・電子カルテ・会計といった自費診療の現場業務を管理・連携できるクラウドで一括管理できるサービスとなっている。自費診療の現場の非効率を減らす上で、「問診票の記入に手間がかかる・ミスが起きやすい」という課題を仕組みで解決するために、デジタル問診票機能をリリースしたという。自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

デジタル問診票機能では、患者側が問診票の記入を完了させると、自動でカルテに反映される。問診票に記載する項目は自由にカスタマイズできるほか、施術ごとに特定の問診票を作成することも可能。また、英語・中国語にも対応しており、海外からの患者にも利用できるという。

化学療法による脱毛を過去のものにするLuminateの被る医療用デバイス

化学療法による脱毛は、医療における副作用の中でも目立つものの1つであり、しかも自分の病気や受けている治療を知られたくない場合でも知られてしまうこともある。そこでLuminate Medicalは、特殊な医療用ウェアラブルデバイスで化学薬品が毛包に入り込むことを防ぎ、人生最悪の損失を防ぎ、このあまりにも目立つ状態を過去のものにしようとしている。

LuminateのCEOであるAaron Hannon(アーロン・ハノン)氏と共同創業者のBárbara Oliveira(バルバラ・オリベイラ)氏は、患者や医師に、がんの治療でイノベーションが必要と思われる分野について尋ねると「脱毛が話題になることがとても多いので驚いた」とハノン氏は語る。「それ以来、私たちは研究開発を化学療法による脱毛をなくすことにフォーカスすることにしました」。

患者が化学療法を受けると、抗がん剤が血液によって全身に行き渡る。それによって衰弱や吐き気といったさまざまな副作用が起こり、長期的には薬物が毛包を害して脱毛が起きる。Luminateがアイルランド国立大学ゴールウェイ校と共同で開発したソリューションは、そもそも血液がそれらの細胞に到達しないようにするというものだ。

画像クレジット:Luminate

そんな効果を有するデバイスは、頭に装着する一種の圧力装置だ。ただし柔らかい素材を使っているため不快感はなく、ハノン氏によると圧力も注意深くモニターされているという。

また、それらの細胞に血流が行き渡らなくても危険はない。「圧力療法は十分に研究されている分野です。細胞を傷つけない治療方法を適用できる時間についても、何年も前から研究されていて多くの文献があります。効果と快適性を両立させるためには、若干の機械工学が必要です」とハノン氏はいう。

患者はそのキャップを化学療法を受けているときとその後に装着する。頭皮への血流だけを制限するため、薬は腫瘍やがんの患部がどこにあっても順調に行き渡り、同時に毛包を損傷から守る。

最初の動物実験では体毛の80%が維持され、有害な副作用はなかった。本格的な人体実験は今後の課題だが、健康な患者に対するこのヘッドセットの血流阻止効果は、人に対して予想したとおりだった。

ハノン氏は「この療法がさまざまなタイプの毛髪に有効だとわかってとてもうれしい」という。たしかに、短い毛や真っ直ぐな毛など、毛のタイプを限定する治療方法だと、利用できない人が多くなってしまうだろう。

画像クレジット:Luminate/Wild Island Pictures

ハノン氏によると、圧力ではなく頭皮を冷やす方法もあるが、そちらはウィッグの価格が高すぎるとのこと。費用は患者1人あたり数千ドル(数十万円)であるため、もっと安価なデバイスを開発する余地は十分にある。

脱毛は保険などの保障が症状として認め、ウィッグも対象になっていることが多い。Luminateのデバイスが各種の保障で認められるためには、時間とエビデンスがもっと必要だ。しかしチームは、保険があれば患者負担は1500ドル(約16万5000円)程度に抑えられると確信している。ウィッグだけでなく、より高額な脱毛治療もいろいろある。化学療法で「髪を失わない」にチェックを入れてその費用が1500ドルなら、ためらう人は少ないのではないか。

画像クレジット:Luminate

しかしLuminateは、今後はデバイスの費用を払えない人にも提供していきたいと思っているため、FDAの認可や米国での発売、ヨーロッパ各国への進出などにより、大量生産による低価格化を考えている。

Y Combinatorの夏季を卒業したばかりのLuminateは、幸運にもアイルランド政府の補助金を獲得した。政府補助金であるため、投資と違って非希釈性だ。今後の規模拡大や国際化にはもっと資本が必要だが、現在のところチームはデバイスを最初の患者の手に、そして頭に、渡すことだけで精一杯だ。

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画像クレジット:Luminate/Wild Island Pictures

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

線維筋痛症のデジタル治療プログラムがFDAの画期的医療機器指定を取得

デジタル治療のスタートアップSwing Therapeuticsは、スマートフォンを利用した12週間の線維筋痛症管理プログラムで、FDA(米食品医薬品局)からBreakthrough Device Designation(画期的医療機器 / デバイス指定)を受けた。これは同社にとって初の画期的指定であり、2021年予定されている多数の臨床試験に先立つものとなる。

Swing Therapeuticsは2019年に設立され、JAZZ Venture Partnersが主導するシードラウンドで合計900万ドル(約9億8600万円)を調達している。同社は慢性疼痛、特に線維筋痛症の管理に注力している。

このFDAの画期的指定は、同社がUniversity of Manitoba(マニトバ大学)で最初に設計・試験を行ったアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)プログラムをスマートフォンに適用したことに与えらたものだ。Swing Therapeuticsはこのプログラムを独占的にライセンスし、独自の電話ベースバージョンを形成するのにそれを適応させた。

「私たちは基本的に、マニトバ大学のプログラムをプログラムの基礎として使用し、その上に実際的な構築を施しました。そしてそれを現代のスマートフォンのインターフェイスに最適なエクスペリエンスに適応させました」とSwing Therapeuticsの創業者でCEOのMike Rosenbluth(マイク・ローゼンブルース)氏は語る。

このFDAの指定により、Swing Therapeuticsはプロダクトの一連の臨床試験を実施する際に、FDAによる迅速な審査が可能になる。

現在のところ、線維筋痛症の治療法は確立されていないが、FDAは症状の管理に役立つ3種類の薬を承認している。Lyricaは、通常は神経損傷の治療に処方されるが、線維筋痛症の治療にも使用される。Cymbaltaは、元々はうつ病、不安症や糖尿病性神経障害の治療薬として開発された。Savellaは、うつ病の治療法に近いSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)である。

薬剤の世界の外では、ACTが慢性疼痛(線維筋痛症を含む)のある患者に有用であるというエビデンスがいくつか得られている。

例えば、ACTおよび慢性疼痛に関する25件の研究を対象としたメタレビューでは、ACT療法は疼痛強度にわずかな影響しか及ぼさないことが明らかにされた。しかし、痛みを受け入れるように(無視するのではなく)患者に教える治療プロセスは、抑うつ、不安、生活の質における中程度から長期の改善と関連していた。

「ACTが行っているのは、症状やコントロールできないことを患者が受け入れるのを支援することです。ACTは、自分にとって本当に重要な価値観について考えるのを助けてくれます」とローゼンブルース氏。「そして、患者はその価値観に合わせて行動ベースの変更を試みるのです」。

その一環として、Swing Therapeuticsのプラットフォームは、治療管理ツールとして医師によって処方されるように設計されている。処方されると、患者は41セッションの受け入れとコミットメントのセラピープログラムに入る。このプログラムは完全に携帯電話上で実行されるもので「毎日の服用」に分割されている。「毎日の服用」には、マインドフルネスセッションや短い文章を書くことを促すプロンプトが含まれることもある。

Swingのスマートフォンプログラムのベースとなっているマニトバ大学のプログラムには、その名の通りに行われる無作為化比較試験がある。これは当初、通常通りの治療を受けたか、通常の治療に加えて8週間のオンラインコースでACTを受けた参加者67人を対象とした研究で検証された。

コースの完了は、抑うつ症状の改善および睡眠、疼痛知覚、疲労または心理的苦痛に対する線維筋痛症の影響を測定する線維筋痛症影響質問票(FIQ-R)の患者スコアの改善と関連付けられた。このコースは患者の「痛みの受容」を改善し、そのメカニズムを通して線維筋痛症のエクスペリエンスを改善するのに役立つように見受けられた。

重要なのは、Swing Therapeuticsプログラムがマニトバ大学のプログラムとは少し異なる点だ。つまり、コンピューター上では8週間であるのに対し、スマートフォン上では12週間以上、ほぼ毎日の使用を想定して設計されている。このようなわずかな変化であっても、このアプローチが線維筋痛症患者にこの特異的なACT療法プログラムの恩恵をもたらすことを保証するために、独自の臨床試験が必要となる。

Swing Therapeuticsは、これらの臨床試験のいくつかを異なるステージで実施している。

この春、Swingは、線維筋痛症の適応治療に関する67人のパイロット試験の登録を完了した(患者は実薬対照群またはACTデジタル療法群に割り付けられた)。この研究は進行中である。Swingは先に、REACT-FMと呼ばれる大規模な研究も開始した。本研究は現在募集中で、ACTプロダクトを2週間使用する100人から150人程度の患者を登録することを目指している。

そして同社はまた、第Ⅲ相無作為化比較試験の開発フェーズにある。この研究の完了後、同社はFDAにプラットフォームの完全な承認を申請する。ローゼンブルース氏によると、この研究は2021年末にローンチされる予定だという。

FDAの画期的治療法指定は、すでにこれらの研究の形成に役立っている。臨床試験が続けば、このデバイスは迅速な審査を受け続けることになり、プラットフォームの臨床試験をスムーズに進めることができる。

「FDAとのチャネル対話が可能になったことは、非常に有益であることを実感しました。そうすることで、臨床試験のデザインと私たちのアプローチがFDAが期待するものと一致するように、協調していくことができます」とローゼンブルース氏は語った。

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画像クレジット:Swing Therapeutics

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

心不全の「デジタル治療」でFDAのブレークスルーデバイス指定をボストンのBiofourmisが取得

ボストンを拠点とするBiofourmis(バイオフォーミス)の創業者、Kuldeep Singh Rajput(カルディープ・シン・ラジプート)氏は、心不全患者が処方箋に加えてウェアラブルセンサーとアプリを持って退院するという未来を思い描いている。そして2021年7月下旬、FDAによる新たな指定により同社はその目標に一歩近づいた。

2015年に設立されたBiofourmisは、患者のケアを「拡張」するためのソフトウェアを開発するデジタルセラピューティクス企業である。これまでに約1億4500万ドル(約159 億円)の資金を調達し、約350人の従業員を抱えているとラジプート氏は説明する。

BiofourmisのBiovitalsHFは米国時間7月29日、心不全の投薬モニタリングのためのプラットフォームとして、FDAのブレークスルーデバイス指定を受けた。ブレークスルーデバイス指定が必ずしもFDAの認可を意味するわけではないが、これにより審査プロセスの迅速化を可能にし、開発中に連邦政府機関から専門知識を得ることができるようになる。

ラジプート氏によると、Biofourmisには大きく分けて2つの注力分野があるという。1つ目は製薬会社と共同でのデジタル治療法の開発(例えば、投薬のためのアプリや、健康状態をモニターできるセンサーなど)。2つ目は、急性疾患の患者に向けた、自宅でのフォローアップケアである。

前者への進出の一例がBiovialsHFだ。これまでに同社は、冠動脈疾患や心房細動などの疾患の「パイプライン」に対するデジタル治療法を開発しており、また化学療法を受ける患者や慢性的な痛みに対処するためのデジタル治療法も計画している。しかし、BiovitalsHFシステムはFDAのブレークスルー指定を受けた最初の製品であり、ラジプート氏はこれを同社の「主要デジタル治療」と呼んでいる。

BiovitalsHF製品は心不全患者の服薬管理を目的としたソフトウェアプラットフォームである。予め決まった処方箋をもらっていても、心不全患者が自宅に戻ってから薬の量を調整する必要が出てくることがあることから、この発想が誕生した。

心不全の治療では医師が複数の薬剤を使用することが多く、また時の経過とともに投与量を変更することも少なくない。特にACE阻害剤とβ遮断剤の2種類の薬の場合は、漸増、つまり患者が低用量で治療を開始し、時間をかけてゆっくりと用量を増やし、最適な「目標」用量を達成するプロセスが必要になることがある。

しかし、漸増は実生活では困難だ。2020年のある研究では、最適な投与量が達成されているのは心不全患者の25%以下だと示唆されている(他の研究では1%以下という結果になっているものもある)。2017年のCardiac Failure Reviewの解説によると、ACEの目標用量を守っている患者はわずか29%、β遮断剤の目標用量を守っている患者は18%と推定されている。

一方、臨床試験では、多くの患者が50〜60%の割合で最適な量を達成することができており、試験中での服用と実際の服用にギャップがあると考えられている。

BiovitalsHFは、ウェアラブルデバイスからデータを収集および分析することで、患者が退院した後の服薬調整プロセスを効率化したいと考えている。そのデータが、患者の健康状態に応じて薬を漸増させるために使われるというわけだ。

患者、ウェアラブルデバイス、外部の検査結果からの情報をもとに薬の投与量を調整するこのソフトウェア。ウェアラブルデバイスが心拍数、呼吸数、ストローク量、心拍出量などのデータを収集し、その一方で患者が自分の症状をアプリに報告、医師は検査結果を入力する。

「センサーを使って患者から収集したデータとモバイルプラットフォームに基づいて、自動的に増量や減量、薬の切り替えを行い、患者が適切で最適な量を服用できるようにします」とラジプート氏は話す。

すると患者には薬の調整が行われることを知らせる通知が届くという仕組みである。

BiovitalsHFプログラムはまだ概念実証試験が一度しか行われていないが(詳細は後述)、Biovitals患者モニタリングプラットフォームはこれまでに他の疾患でもテストされている。

例えば、香港のクイーン・メアリー病院では、バイオセンサーを1日23時間装着した、軽度の新型コロナウイルス(COVID-19)患者34人のモニタリングにBiovitalsシステムが採用されている。Scientific Reportsに掲載された論文によると、このプラットフォームは患者が悪化するかどうかを93%の精度で予測し、入院期間を78%の精度で予測することができたという。

BiovitalsHFシステムはこれとは少し異なる。患者をモニタリングすることを目的としてはいるものの、ラジプート氏が目指すのは、このテクノロジー自体を治療プログラムとして投与するということである。

つまり医師がBiovitalsHFプログラムを3カ月間「処方」し、ソフトウェア自体が患者の治療結果をモニターし、投与量を決定するということだ。

Biovials HFを単なる意思決定支援ソフトウェアとしてではなく、治療レジメンとして販売できるようにすることが目的なのである。わずかな違いのように感じるが、つまり同社は単なるデリバリーデバイスではなく、それ自体が医薬品のような存在になろうとしているわけである。

「デジタル治療用の製品ラベルには、臨床決定支援のための単なるモニタリングツールではなく、実際の治療効果が記載されています」とラジプート氏は話す。

当然、このような主張をするからにはしっかりとした結果が必要だ。同社は2021年3月に終了した概念実証臨床試験で、このコンセプトの初期テストをすでに行っているが、有効性を証明するためには今後さらに多くのテストを行う必要がある。

この試験では282名の患者を90日間モニターし、BiovitalsHFを使用している人と通常の標準治療を受けている人を比較。このプラットフォームが薬の投与量を最適化できるかどうか、つまり、この場合は最適な投与量の50%以内に収めることができるかどうかを判断するというのがこの試験の目的である。

同研究の結果はまだ公表されていない。しかし、ラジプート氏によるとこの研究はそのエンドポイントを満たしており、患者の生活の質や心臓の健康状態の改善にもつながっているようだ。

「3カ月以内に、患者のQOLや心機能が大きく改善され、血中バイオマーカーであるNT-proBNP(心不全のマーカー)も減少しました。これをもとにFDAにデータを提出したところ、ブレークスルー指定を受けることができました」と話している。

同社は査読付きジャーナルへの掲載に向けて、このデータを提出したという。

ブレークスルー指定を受けたことで、BiovitalsHFの開発が急速に進むかのように思えるが、実際はFDAの正式承認はおろか、市販承認に至るまでの道のりはまだ長いと言えるだろう。

「ピボタル試験はすぐにでも開始する予定です。そしてFDAへの正式な申請は、来年の6月か7月頃になると思います」とラジプート氏は話している。

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画像クレジット:Biofourmis

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

アルカディア・システムズが新型コロナ余剰ワクチンとキャンセル待ち希望者のマッチングシステムを試験運用開始

ワクチンを1本も無駄にしない、アルカディア・システムズがキャンセル待ち希望者と余剰ワクチンのマッチングシステムを試験運用開始

医療現場で役立つITソリューションを提供するアルカディア・システムズは8月23日、新型コロナウイルスの余剰ワクチンとキャンセル待ちの接種希望者とをマッチングさせるシステム「VAMCS」(ヴァンクス)を開発し、8月中に複数施設での試験運用、また9月には全国展開をはかる予定と発表した。

新型コロナワクチンの不足が続いている。一部には突然の予約キャンセルなどで余ったワクチンをキャンセル待ちの人に融通する措置を講じているクリニックなどもあるが、それには電話連絡や待機者のリスト管理などの業務負担が大きく、実施したくてもできない施設があるとアルカディア・システムズは言う。そこで同社は、ワクチンの簡単な余剰登録をするだけで、メールで自動マッチングをするVANCSを協力施設の指導の下開発した。

キャンセル待ち希望者は、1人で5件まで医療施設に登録でき、医療施設でワクチンの余剰が発生すると順番にメールが自動送信される。医療機関に来訪できる人とマッチングできるまで、15分ごとに次の人へ順番が回され、連絡が行くという仕組みだ。ワクチンは希釈後6時間で利用できなくなるため、すぐに応諾できる方をマッチングできるようにしている。希望者は、有効期限内(メール到着から15分以内)にシステムに応諾の入力をすることで接種予約が完了する。

医療施設の側では、希釈時間、受付終了時間、ワクチン種類、余剰数(シリンジ単位)を入力するだけで、マッチングが開始される。

8月17日の時点で、試験運用に参加している施設は以下のとおり。

  • 福岡東ほばしらクリニック(福岡県福岡市)
  • 岸辺くすのき透析クリニック(大阪府吹田市)
  • 横田クリニック(大阪府大阪市)
  • 下地診療所(沖縄県宮古島市)
  • 大正くすのきクリニック(大阪府大阪市)
  • 一般財団法人 医療情報健康財団(福岡県福岡市)
  • 中馬病院(兵庫県尼崎市)

また現在、試験運用に参加を希望する医療施設を募集している。試験運用に応じた施設には、システムが無償で提供される。9月中予定の本格運用に移ると、医療施設には月額2000円(税抜)の経費がかかるが、試験運用の参加施設は9月以降も無償となる。

アルカディア・システムズは、「VAMCS」というネーミングにはある願いを込めているという。「Vaccines Available Matching Circle System for COVID-19」の頭字語なのだが、この中の「Circle」には、ワクチンの循環という意味のほかに、「みんなで協力して新型コロナウイルスとの闘いに打ち勝てるように」との思いも表現されているとのことだ。

注射に慣れていない医療従事者も対応の「VR注射シミュレーター」が高知県室戸市の新型コロナ・ワクチン接種研修で採用

注射に慣れていない医療従事者向け「VR注射シミュレーター」が高知県室戸市の新型コロナ・ワクチン接種研修で採用バーチャル技術でカラダの動きをデータ化し、社会実装を進めるイマクリエイトは8月20日、EpiNurse高知県室戸市で8月18日に実施したVR活用ワクチン接種研修において、医療従事者向け「VR注射シミュレーター」を提供したと発表した。今後イマクリエイトは、ワクチン接種研修にとどまらず、地域におけるVR活用の検討を進めるとしている。

VR注射シミュレーターは、注射に慣れていない医療関係者でも筋肉注射の研修を効率的に行えるようにするためのVRコンテンツ。体の動きをデータ化するイマクリエイト独自技術「ナップ」を活用し、京都大学大学院医学研究科監修のもと開発した。教育のための人材を派遣することが難しい地域やコロナ禍において多人数の集まることができない状況においても、効率的にワクチン接種のトレーニングを行える。

同シミュレーターでは、新型コロナワクチンに代表される筋肉注射の手順について、VR内に表示されるお手本に沿って行うだけで感覚的に覚え、身に着けられるという。手順の間違いや漏れを防止できるなど高い学習効果が期待されるとしている。

また今回の取り組みでは、VRを用いたワクチン接種研修の他、Psychic VR LabのXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を用いて、室戸市と東京・イマクリエイトをオンラインで接続し、VR空間内におけるディスカッションも実施した。

注射に慣れていない医療従事者向け「VR注射シミュレーター」が高知県室戸市の新型コロナ・ワクチン接種研修で採用

VR空間内でのディスカッションの様子

EpiNurseは疫学(Epidemiology)と看護学(Nursing)を組み合わせた方法論を防災・減災に実践する一般社団法人。代表理事を務める高知県立大学看護学部教授の神原咲子氏は、「今回VRを導入することによって、視覚的に確認しながら、動作の練習できるのはまた新しいステップに一気に拡張したと思いました。看護研究で、筋肉注射練習用の筋肉を3Dプリンタで作る試みもしていたところで、そういうものと一緒にすることでさらにいろいろな可能性が広がる」とコメントしている。

AI創薬のMOLCUREが総額8億円調達、製薬企業との共同創薬パイプライン開発やグローバルを主戦場とした事業展開を加速

AI創薬のMOLCUREが総額8億円調達、製薬企業との共同創薬パイプライン開発やグローバルを主戦場とした事業展開を加速

AIを活用した新薬開発を行うMOLCURE(モルキュア)は8月18日、第三者割当増資による総額8億円の資金調達を発表した。引受先は、ジャフコ グループ、STRIVE、SBIインベストメント、日本郵政キャピタル、GMOベンチャーパートナーズ、日本ケミファ。今後は、国内外の製薬企業との共同創薬パイプライン開発を推進するとともに、グローバルを主戦場とした事業展開をさらに加速する。

有効な治療薬のない疾患は3万以上存在するとされるものの、製薬業界では創薬の難易度が年々高まり、開発効率が下がっているのが現状だ。製薬企業が医薬品を市場に提供するまでには約10年という期間、また約1000億円という巨額なコストが必要といわれており、新たな技術や開発手法が求められている(How to improve R&D productivity: the pharmaceutical industry’s grand challenge)。

これに対して、MOLCUREが提供するバイオ医薬品分子設計技術は、AIとロボットを活用し自動的に大規模スクリーニングと分子設計を行えることから、既存手法と比較して、医薬品候補分子の発見サイクルを1/10以下に効率化すること、また10倍以上多くの新薬候補の発見、従来手法では探索が困難な優れた性質を持つ分子の設計を行えるという。現在同技術を活用し、製薬企業とパートナーシップを組んで新薬開発を行っているそうだ。AI創薬のMOLCUREが総額8億円調達、製薬企業との共同創薬パイプライン開発やグローバルを主戦場とした事業展開を加速

特に、2021年に製薬企業と実施した共同創薬パイプライン開発では、既存のバイオテクノロジー実験ドリブンな手法と比較して100倍以上の結合力を持つ分子を大量に設計することに成功したという。また世界で初めて、ある創薬標的に対して効果を持つ分子の設計にも成功し、AIを活用した創薬事例で大きな成果を残したとしている。

MOLCUREが提供する技術は、圧倒的に多くの優れた医薬品分子を探索できる点や、業界トップの研究者集団が提供するAI×バイオ医薬品開発の質の高いノウハウが支持されているとしている。共同で創薬パイプライン開発を行っているパートナーとしては、これまでに米Twist Bioscience、日本ケミファをはじめ(2021年8月18日時点の例)、製薬企業・製薬バイオテック企業など累計7社10プロジェクトで利用されているそうだ。

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医師・看護師が遠隔管理できる在宅透析用AIモニタリング「PD Doctor’s Eye」のMETRICAが1億円調達

在宅腹膜透析用AIモニタリングツール「PD Doctor’s Eye」のMETRICAが総額1億円の資金調達を実施

「医療の常識をアップデートしよう」をミッションに、AIとエッジコンピューティング技術を中心とした医療ITソリューションを開発・提供するMETRICA(メトリカ)は8月11日、第三者割当増資による総額1億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、D4V、山口キャピタル、SFCフォーラムファンド、スカイランドベンチャーズ、インキュベイトファンド、ライフタイムベンチャーズ。

末期腎不全の患者は、血中の老廃物や余分な水分を取り除くために人工透析を行う必要があるが、腹膜透析(PD。Peritoneal Dialysis)は患者が自宅で行える治療法として、特にコロナ禍で在宅療養が求められる現在注目が集まっているという。しかし、日本におけるPDの普及率は、血液透析を含めた全透析患者の3%に過ぎないそうだ。そこでMETRICAは、「PD現場の課題を解決することでPD普及を促し、日本の透析現場の最適化を目指す」と話す。

METRICAは、医師と看護師がPD患者を遠隔で管理できるAI搭載モニタリングツール「PD Doctor’s Eye」を開発し、東京都内の病院や訪問看護ステーションなどに導入してきた。腹膜透析は、お腹にカテーテル(管)を設置して腹膜内に透析液を流し込み、腹膜から染み出た老廃物や余計な水分とともに排出することで透析を行うという仕組みで、PD Doctor’s Eyeの場合カメラによる画像解析により、液交換手順を支援したり異常を検知したりできる。また、カテーテルが外に出る部分(出口部)の状態も画像解析で数値化し評価できるようにする。病院と患者との遠隔での連携や、訪問看護師や介護士への患者補足情報の提供なども行えるというものだ。

今回調達した資金で、全国各地の医療機関、訪問看護ステーションにこのサービスを導入し、「臨床研究とモデル創り」を進めてゆくとのこと。

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現役の救急集中治療医師が設立、緊急医療の改善に取り組む千葉大発医療スタートアップSmart119が約3億円調達

現役の救急集中治療医師が設立、緊急医療の改善に取り組む千葉大発医療スタートアップ「Smart119」が約3億円を調達

現役の救急集中治療医師が設立し、テクノロジーで緊急医療の改善に取り組む千葉大学発医療スタートアップSmart119(スマートイイチイチキュウ)は8月10日、第三者割当増資による総額3億675万円の資金調達を発表した。引受先は、ニッセイ・キャピタル、三井住友海上キャピタル、Sony Innovation Fund(ソニーグループCVC)、PKSHA SPARX アルゴリズム1号(PKSHA Technology Capital/スパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメント)。

Smart119は、音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」のほか、緊急時医師集合要請システム「ACES」、災害時の医師の招集や最適な人員配置を支援する病院初期対応システム「Smart:DR」(スマートディーアール。Smart Disaster Response。Android版iOS版)など、「急性期医療の問題を解決する」SaaS型ソリューションの開発・運用を行っている。

Smart119は、2020年7月から千葉市消防局において本格運用を開始。Smart:DRなどの病院向けソリューションは、大阪急性期・総合医療センター、国立国際医療研究センター、りんくう総合医療センター、島根大学病院、千葉大学病院などに導入されている。

今回調達した資金は、PKSHA Technologyの知見を取り入れた「急性期医療分野における予測診断アルゴリズムなどの研究開発」、日本生命と三井住友海上グループのネットワークを活用した自治体や医療機関への営業活動の促進にあてられるという。

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米FDAが脳血管内手術で利用されるステントを応用した脳コンピューター接続デバイス「Stentrode」の臨床試験を許可

米食品医薬品局が脳梗塞の治療などに利用されるステントを応用した脳コンピューター接続デバイス「Stentrode」の臨床試験を許可

Synchron

米食品医薬品局(FDA)が、埋込型の脳コンピューターインターフェース(BCI)の臨床試験に許可を出しました。

この脳コンピューターインターフェース”Stentrode”を開発するSynchron社は、今年後半にもニューヨークにあるマウントサイナイ病院で6人の被験者を対象として、早期実現可能性を確かめる試験をに開始する予定です。なお、Synchronは「重度の麻痺を持つ患者に対する安全性と有効性」を評価するとのこと。

脳コンピューターインターフェースというワードを見れば、Engadget読者の方々ならあのイーロン・マスクが設立したNeuralinkはどうしたと思うかもしれません。

Neuralinkは2020年に脳埋込デバイスLinkを発表し、今年春にはそれを埋め込んだサルがゲームをプレイする様子を動画で公開するなど、技術開発が着々と進んでいることをアピールしていました。

しかしBCIのような人体に作用する器具を米国で販売するには、FDAに対して機能と安全性を示し、認可を得なければなりません。米国で先に臨床試験にたどり着いたのはNeuralinkではなくSynchronでした。

Synchronはオーストラリアにおいては、米国に先駆けてStentrodeの臨床試験をすでに始めています。こちらでは4人の患者にこのデバイスをインプラントしており、「脳の運動野から電極を通じてデータを転送し、デジタル機器を制御する」ことができるのを確認しています。

そしてJournal of NeuroInterventional Surgery誌への報告によると、被験者のうち2人はStentrodeの機能を通じた体外への脳インパルスの伝達によって頭で考えるだけでコンピューターを操作し、テキストメッセージを送ったり、オンラインバンキングやネット通販で買い物をしたり、仕事関連のタスクをこなしたりできるようになったとのこと。

ちなみに、Stentrodeのインプラントには約2時間かかる手術をする必要があります。この手術は低侵襲ながら、デバイスを首にある血管に挿し入れ、そこから脳内にまで移動させると言う手順が必要です(脳動脈瘤の治療など脳血管内手術に用いられている網目状のチューブ「ステント」を応用しており、頭蓋骨を開く開頭手術に対して患者の肉体的な負担が比較的小さい)。

Synchronは、3~5年でStentrodeが医療現場で広く利用できるようになるだろうと述べています。

米食品医薬品局が脳梗塞の治療などに利用されるステントを応用した脳コンピューター接続デバイス「Stentrode」の臨床試験を許可

Synchron

米食品医薬品局が脳梗塞の治療などに利用されるステントを応用した脳コンピューター接続デバイス「Stentrode」の臨床試験を許可

Synchron

(Source:SynchronEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:医療 / 治療(用語)Stentrode(製品)Synchron(企業)Neuralink(企業)脳(用語)BCI / 脳コンピューターインターフェイス(用語)米食品医薬品局 / FDA(組織)

初実験で致命的な脳腫瘍を30%縮小させた磁気ヘルメット

脳腫瘍を発見するヘルメットAIはこれまでにもあったが、実際に脳腫瘍を治療することもできる新しいヘルメットが登場した。

神経学上の最新ブレイクスルーの一環として、研究者たちは、磁場を発生させるヘルメットを使い、致命的な腫瘍を3分の1縮小した。この治療を受けた53歳の患者は、最終的には無関係の負傷で死亡したが、彼の脳を解剖したところ、短期間で腫瘍の31%を除去したことがわかった。この実験は、致命的な脳腫瘍である膠芽腫に対する初めての非侵襲的な治療法となる。

このヘルメットには3つの回転マグネットが搭載されており、それらはマイクロプロセッサーベースの電子コントローラーに接続され、充電式バッテリーで動作する。治療の一環として、患者はこの装置を5週間にわたってクリニックで装着し、その後、妻の助けを借りて自宅でも装着した。その結果、ヘルメットが作り出す磁場の治療は、最初は2時間、その後は1日最大6時間まで増やされた。この期間中、患者の腫瘍の質量と体積は約3分の1縮小し、縮小率は治療量と相関関係があることがわかったという。

この装置は、米国食品医薬品局(FDA)から例外的使用(Compassionate Use、CU)の承認を受けており、発明者たちは、放射線治療や化学療法を行わずに脳腫瘍を治療できる日が来ると主張している。

ヒューストンメソジスト神経研究所の脳神経外科ケネス・R・ピーク脳・下垂体腫瘍治療センター長であるDavid S. Baskin(デイビット・バスキン)医師は「今回の結果は、非侵襲的かつ無毒な治療法の新しい世界を開くものであり、将来的に多くのエキサイティングな可能性を秘めています」と述べている。この治療の詳細は、学術誌「Frontiers in Oncology」に掲載されている。

編集部注:本記事はEngadgetに最初に掲載された。

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タグ:治療ヘルメット腫瘍磁気米国食品医薬品局(FDA)

画像クレジット:Houston Methodist Neurological Institute

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(文:Saqib Shah、翻訳:Aya Nakazato)