ウェブ接客ツールのエフ・コードが1.4億円を資金調達、新ツール「CODE」をリリース

ウェブマーケティングツール提供とコンサルティング事業を展開するエフ・コードは7月4日、複数の個人投資家を引受先とする第三者割当増資により、総額約1.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の調達はシリーズAラウンドに当たり、同社にとって外部からの初の調達となる。

また、エフ・コードは同日、新プロダクトとしてウェブ接客ツール「CODE Marketing Cloud(以下CODE)」を7月中旬よりリリースすることを発表した。

エフ・コード創業者の工藤勉氏は、外交官志望で東京大学法学部に入ったが、やがて「ビジネスをやった方が“世界を幸せにしたい”という願いがかないやすいのではないか」と考えるようになり、経営戦略コンサルティングの道へ進む。その後、自動車学校のポータルサイト運営会社に役員として参画。集客からサイト作りまで取り組むインターネットマーケティング事業が当たり、創業1年で業界トップクラスの実績をつくった。

ここで培ったメディア運営の知見を「自動車学校にとどまらず、業界を超えて提供していきたい」と工藤氏は考え、2006年3月にエフ・コードを立ち上げた。

エフ・コードはウェブコンサルティング事業からスタートし、大手企業のウェブ広告運用やコンバージョン改善などを人力で支援してきた。そのノウハウをより多くの企業に提供したい、と4年ほど前からSaaS事業を開始した。

「EC、教育、金融などさまざまな業界のウェブコンサルを手がけてきたが、どの業界にも共通して言えるのは『入力フォームでの離脱が多い』そして『そもそも入力フォームが使いにくい』ということだった」(工藤氏)

そこでまずは入力フォーム最適化ツール「f-tra(エフトラ)EFO」をリリース。その後、ウェブ接客ツール「f-tra CTA」、プッシュ通知ツール「f-tra Push」を加え、3つのツールを提供してきた。集客支援からコンバージョン改善、再訪促進までをf-traシリーズでカバー。述べ500社以上に利用されるツールとなっている。タイ、インドネシアにも拠点を置き、アジアにもサービスを展開している。

f-traシリーズではCookieを使ってターゲティングを行ってきたエフ・コード。新製品のCODEではCookieによる行動履歴データに加えて、既存顧客データやGoogle Analytics、他社マーケティングオートメーション(MA)ツールなどの外部データソースを利用して、ウェブサイト内のユーザーに対し、より緻密で最適化された1to1接客を実現しようとしている。

CODEでは、業界別にオファーバナーや接客のテンプレートが用意されている点も特徴だ。ウェブ接客ツールを利用するに当たっては、シナリオ設計やクリエイティブ制作に工数がかかり、導入してから実際に運用が始まるまでに時間がかかることが多い。CODEでは導入からすぐに運用を開始することができるという。

工藤氏は「ウェブマーケティングのツールで部分改善は進んでいるが、細分化が進み、企業内のマーケティング担当者の間で課題感が共有できていないことも。マーケターの先にいるユーザーはハッピーなのか?ということを考えなければいけない」と話す。

「インターネットを通じたサービスは、ウェブ、メールだけで完結する時代から、SNSやアプリ、実店舗など、さまざまなチャネルに広がっている。CODEでは、これらのチャネルを網羅して、顧客情報などのインプットも管理しつつ、1to1でのコミュニケーションを実現する機能を包括的に提供していく」(工藤氏)

ウェブ接客ツールの競合には、SprocketKARTEなどがあるが、エフ・コードでは「広告運用時代から培ったコンサルティング力をベースとした、運用コンサルティングによる顧客との“併走”が当社の武器」という。

「マーケティングオートメーションツールの導入企業も増えているが、使いこなすのは大変で、オンボーディング(担当者がツールやサービスに慣れるプロセス)が必要。ソフトウェアの開発力と営業力に加えて、優れたコンサルによる支援があることで、当社は特に中堅企業への導入では強みを持っている」と工藤氏は述べる。

資金調達について工藤氏は「創業以来、調達がなくても収支は成り立つように事業を行ってきたが、ベンチャーへの投資が活発になっているこの機会に、先行投資で顧客に貢献できる範囲を一気に広げ、成長をスピーディーに進めるため、増資を決めた」と話している。

今回のラウンドに参加した投資家は「以前からトータルに力添えをもらっていた個人」とのこと。本ラウンドはクローズしておらず、引き続き調達を進めるそうだ。

調達資金は、新プロダクトであるCODEの開発に充てる予定。「リリース直後のCODEには、これから顧客のニーズもいろいろと出てくるはず。今後も機能拡張を順次行い、細分化されたウェブマーケティングツールの統合を進める」と工藤氏は話す。

CODEの開発にはTwitterやChatworkでも使われているScalaをベース言語として採用。既に国内Scalaコミュニティの第一人者がエンジニアとして参加し、開発にも力を入れているという。「引き続き、優れたエンジニアとの開発を大切にしていきたい」(工藤氏)

また、国内外でのマーケティングも強化。「プロモーションもきちんと行っていく」と工藤氏は話している。

「アジアでは、デバイス普及率やローカライズの問題もあって、マーケティングツール導入が欧米より遅れている。しかし2025年にはツール利用の6割がアジアになる、という予測もある。導入の課題を解決して、中国や韓国、ASEAN地域で欧米発のツールと肩を並べるプレイヤーとなることを目指したい」(工藤氏)

創業87年、老舗出版社の旺文社がCVC設立ーーEdTech特化の10億円ファンド組成

各業界を代表する大企業がCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を設立し、スタートアップとの協業に本腰を入れるというニュースを紹介する機会が増えてきた。

つい先日も近鉄グループが近鉄ベンチャーパートナーズを立ち上げたことを取り上げたばかりだが、また新たに一社、実績のある老舗企業がファンドを組成してスタートアップへの投資を始めるようだ。

教育・情報を軸に事業を展開する旺文社は7月4日、同社のCVCである旺文社ベンチャーズの活動を6月より本格的に始動したことを明らかにした。

CVC自体は4月に設立していて、5月に10億円のファンドを組成。今後EdTech(教育)領域のスタートアップへ1社あたり数千万円〜5000万円ほどの投資を実行していく計画だ。

1931年創業の旺文社、満を持してCVC開始へ

旺文社は1931年の創業。これまで通信添削や受験情報誌、学習参考書など教育業界でさまざまなコンテンツを提供してきた。僕個人としては英単語帳「ターゲット1900」のイメージが強いのだけれど、学生時代に同社が手がける教材を使った経験がある人もいるだろう。

近年では自社のコンテンツやノウハウを活用し、外部サービスへのコンテンンツ提供、学習アプリや進学情報Webサービスの開発などITを絡めた事業にも力を入れている。

そんな同社がなぜCVCを設立して、スタートアップとの協業を進めるのか。旺文社ベンチャーズ代表取締役社長の本多輝行氏は、国内外でEdTechスタートアップへの投資が拡大しているだけでなく、国の取り組みなども含めて「時期として熟してきたことが大きい」という。

「学校現場でもICTの活用が進められているほか、経済産業省が『「未来の教室」とEdTech研究会』を立ち上げるなど、Edtech領域に力を入れ始めている状況だ。また文部科学省が大学入試改革を進めていて、その点でも今後業界が大きく変わっていく。(今後重要性が増す)能力を養ったり、評価していく上でも紙をベースとした既存の方法だけではなく、テクノロジーが使われるようになる」(本多氏)

もちろんそのような文脈だけでなく、出版業界がピーク時に比べて縮小していく状況において、新しい事業を作っていかなければいけないという思いもある。さらなるイノベーションを創出していくには他社との連携も必要と考え、市場にも大きな変化が訪れている今のタイミングでCVCの設立を決めた。

同社の投資対象となるのは国内外のEdTechスタートアップ。特に認知科学、教育用ロボット、AI、VR、ARなどのテクノロジーを活用した事業や、教育分野におけるAdTech企業を中心に、旺文社や関連企業との事業シナジーも考慮して出資をしていく方針だ(シナジーについては短期的だけでなく、長期的な視点で判断するそうだ)。

ステージは主にアーリーからミドル期、出資金額は1社あたり数千万円〜5000万円程度を予定。2017年に資本提携を結んでいるEduLabと連携し、中国やインドなどのアジア圏、北米など海外へも投資領域を広げていくという。

教育系スタートアップの成長エンジンに

旺文社ベンチャーズのメンバー。左からプリンシパルの宮内淳氏、マネージングパートナーの本多輝行氏、パートナーの粂川秀樹氏

今回取材をしている中で話にあがったのが、EdTechスタートアップが悩みがちな「学習コンテンツの不足」と「教育現場とのネットワーク構築のハードル」という課題だ。

たしかに以前学校向けのサービスを作っている起業家からも「学校現場の中に入っていく(担当者と関係性を作っていく)ことに苦戦した」という話を聞いたことがあるし、教育事業を軌道に乗せるためには越えなければいけない壁と言えるだろう。

旺文社ベンチャーズでは資金だけでなく、旺文社が長年培ってきたノウハウやネットワークを提供することで「教育系スタートアップにとっての成長エンジンの役割も担いたい」という。

「教育サービスでは学習コンテンツがないと成り立たないものも多い。これまで蓄積してきた編集力などのノウハウやキラーコンテンツといった旺文社の強みを、スタートアップへ積極的に提供していきたい。同様に旺文社のブランドや営業チャネルも、教育業界で事業をする上では価値があると考えている」(旺文社、旺文社ベンチャーズ双方で取締役を務める粂川秀樹氏)

特に教育現場とのネットワークについては、代表の本多氏が身をもって感じた課題でもある。本多氏は旺文社で大学受験生や英語学習者向けのサービスの開発、教育分野の新規デジタル事業開発に携わった後に独立。自身で立ち上げた会社では教育分野のAdtech事業を主軸に展開してきた。

旺文社をやめていざ自社で教育現場に踏み込むと「以前は会って話を聞いてもらえていたような機関からも相手にしてもらえないこともあり、関係性を作るのにかなりの時間を要した」(本多氏)そうだ。

「スタートアップはスピードも大切。学習コンテンツの開発や教育現場とのネットワーク構築のように(自社だけでやっていると)すごく時間がかかる部分をサポートする。スタートアップと一緒に教育業界でイノベーションを起こしていきたい」(本多氏)

カスタマーサクセス管理ツールのHiCustomerが総額6000万円の資金調達

前列右がHiCustomer代表取締役の鈴木大貴氏

サービスの定額化が加速している。SaaSの普及により企業向け製品の多くはサブスクリプションモデルを採用するようになり、個人向けのサービスも定額制のものが増えてきた。

音楽はSpotify、映画はNetflixとAmazon Prime Video、読書はKindle Unlimited…僕の生活も定額化されつつある。最後にタワーレコードを訪れたのはいつだっただろうか。

世の中がそのようなシフトを迎えている中、SaaSを始めとするサブスクリプション経済の興隆の重要性にいち早く注目していたと自負し、「HiCustomer」というカスタマーサクセス管理ツールを開発しているのがHiCustomerだ。

カスタマーサクセスを簡単に説明すると、顧客の潜在的な悩みに対し積極的にアプローチし、解決すること。顧客からの問い合わせを待つ受動的なカスタマーサポートとは異なり能動的に対応を行うのが特徴だ。顧客によるサービスの断続的利用が不可欠なサブスクリプションモデルにとってカスタマーサクセスは特に重要だと言えるだろう。

同社いわく、2018年4月にクローズドβ版をリリースして以来、100社以上が利用事前登録を行ったという。導入済み企業として、アライドアーキテクツ、スクー、Wovn Technologiesなど、法人向けサブスクリプション事業を営む企業を挙げている。

そんな同社が7月4日、500 Startups Japan、BEENEXT、アーキタイプベンチャーズよりシードで総額6,000万円の資金調達を実施たと発表。同社に外部資本が入るのはこれが初めてだ。

HiCustomerはサービスの利用状況に応じて顧客をスコアリングするツールだ。解約兆候を検知し、顧客の意思決定前にフォローアップすることで売上の低下を予防することができる。一方、サービスをフル活用しているファン層を特定することでアップセルやクロスセルのコミュニケーションもスムーズに行うことが可能だ。

一般にはまだ公開されていないが、ダッシュボード機能を提供するサービスとなっており、活動・利用頻度や満足度などをもとに顧客のプロダクトとの関係性を「Good」「Normal」「Bad」といったステータスで表示することができる。

代表取締役の鈴木大貴氏は「フリートライアル、オンボーディング、契約更新前、みたいに、カスタマーが自分たちのプロダクトとのライフサイクルにおける今どこにいるのか、絞り込んで見れる」ことが同サービスの強みだと語った。

例えば「オンボーディングだと使い始めてから日が浅く、定着させるために利用開始してから一ヶ月以内でこの設定まで終わっていないと使っていかなくなる可能性が高くなるので、コミュニケーションをしよう」と判断できる、と同氏は説明した。

「お客さんに買ってもらうというだけでなく、ちゃんと活用してもらうことができないとSaaS系のサブスクリプションサービスはどんどん顧客基盤を失うことになる。なのでこのプロダクトの開発に踏み切った」(鈴木氏)

同社は今回の資金調達をもとに開発体制を強化、人員を増やすために使うのだという。

フリマアプリ「ラクマ」が楽天Payと連携、売上金をチャージ可能に

eng-logo-2015楽天が運営し、フリマアプリで国内シェア第2位の「ラクマ」が、売上金を「楽天キャッシュ」にチャージできる新機能を発表しました。

この連携により、楽天ペイを通じて「ローソン」「AOKI」などの実店舗で、ラクマの売上金を使った支払いが可能に。また「楽天市場」や「楽天トラベル」「楽天ブックス」など、楽天グループサービスの支払いにも利用できます。チャージの手数料は0円で、売上金を銀行口座に振り込む場合(手数料216円・楽天銀行以外)に比べてお得に利用できます。

フリマアプリとウォレットサービスの連携は同社だけでなく、フリマ国内1位のメルカリも、売上金を他のサービスや実店舗で使えるようにする「メルペイ」構想を推進。コンビニなどの日常生活の決済に適用することで、日々の買い物に使う売上金を稼ぐために、ユーザーがより多くの不用品を出品する好循環、ひいては経済圏の確立が期待できます。

この「ラクマ」と「楽天キャッシュ」との連携は、本日7月3日よりラクマのウェブ版で利用可能。アプリ版でも7月9日から利用できます。

Engadget 日本版からの転載。

動画スタートアップのViibar、朝日放送グループ子会社と共同でDIYメディア「LYKKE」開始

ライフスタイル動画メディアの「bouncy」などを運営するViibarは7月3日、朝日放送グループのABCフロンティアホールディングス(以下、ABCフロンティア)と共同でDIY動画メディア「LYKKE(リッケ)」の正式リリースを発表した。

LYKKEは、DIYのアイデアやライフハック術を短いビデオで紹介する動画メディア。主なターゲットは20〜30代の女性で、まずはFacebookやInstagramなどのSNS上に動画を配信する分散型メディアとしてスタートする。LYKKEは2018年3月にプレオープン。現在までの再生回数は約30万回で、SNSアカウントのフォロワー総数は約4万人だ。

Viibar取締役の高橋俊輔氏は、「DIYで作れるモノを動画で見せるだけでなく、その作ったモノが生活の課題をどのように解決するのかを示すといったLYKKE独自の動画の作り方はあるが、テンポの良い動画作りなど、基本的にはbouncyの運営などで培ったノウハウが生かされている」と話す。

2013年創業のViibarは、動画マーケティング事業とメディア事業の2つを柱にビジネスを展開するスタートアップ。2017年1月には日経新聞社などから約4億円の資金調達を発表し、続く4月には電通グループとの資本業務提携を発表するなど、各分野の大手企業との協業を進めている。

一方のABCフロンティアは、朝日放送グループから分社化したアニメ事業、海外事業、ライセンス・物販事業を取りまとめる中間持株会社として2016年7月に設立された企業。

同社は現在、朝日放送グループ本体とのシナジーが大きい動画領域に限らず、幅広い分野での新規事業立ち上げを模索している最中で、今回のLYKKEもその取り組みの一つだ。ABCフロンティアとViibarには資本関係はなく、サービスの運営費用を共同で拠出するというスキームでLYKKEの運営を行っていくという。

元インキュベイト山田氏が独立し、10億円規模の新ファンド「Full Commit Partners」設立へ

Full Commit Partners代表の山田優大氏

インキュベイトファンドのアソシエイトとしてスタートアップ投資を行ってきた山田優大氏は7月3日、主にシードステージのスタートアップを対象としたVC「Full Commit Partners」の設立を発表した(1号ファンド組成は5月16日)。

Full Commit Partnersの投資対象は、原価構造改革、IT・新技術の活用、行政や国との連携を切り口に既存産業の改革に取り組むシードステージのスタートアップだと山田氏は話す。同ファンドはすでに4社へ投資済みだ。

その名の通り、Full Commit Partnersはいわゆる“ハンズオン”を超えて、投資先の経営に深く関わるフルコミット投資を信条としている。そのため、同ファンドではポートフォリオを絞り込み、山田氏が1人でフルコミットできる10社程度に投資対象を絞るという。

投資先の選び方について山田氏は、「“人”に張る。成功する経営者は、熱い情熱を持ち、仕事に対して深くコミットメントでき、PDCAを回せる地頭をもち、ビジネスを行う領域について深い知見をもつ人だと思う。そういった人を発掘したい」と語る。

山田氏は2012年にグリーへ入社。社長室にてコーポレートブランディングや管理部門の予算管理などを担当後、同社の財務戦略部に異動。新規事業の立ち上げに興味をもった山田氏は、2016年にインキュベイトファンドに参画した。

Full Commit Partnersは2018年5月にファーストクローズを行い、インキュベイトファンドからの出資と自己資金により約5億円を調達。年末のファイナルクローズまでに最大10億円の資金調達を目指すという。

クラウド会計ソフトのfreeeが「予算・実績管理機能」をリリース、「スモールビジネスを世界の主役に」

freee代表取締役の佐々木大輔氏

会計の専門知識がなくても経理をまとめて効率化できる「クラウド会計ソフト freee」を提供するfreeeが7月2日、財務データを活用する「予算・実績管理機能」を新たにリリースした。

同社はこれまで会計freeeを提供することで経理業務の効率化や新しい時間の創出を実現してきたが、「さらなるお客様への貢献」を目指し、サービスの最重要価値を「時間創出から利益創出へシフトする」と宣言。そのために必要となるツールがこの予算・実績管理機能だという。

新ツールは「スモールビジネスを世界の主役に」という同社の新たなミッションのもと、開発された。代表取締役の佐々木大輔氏が同日、2012年の創業以降初となる事業戦略発表でそのように語った。

同氏によると「世の中の99パーセントの企業は中小企業」だが「労働生産性は大企業の半分くらい」しかなく、テクノロジーの浸透度、クラウドサービスの利用率、ウェブサイトの保有率も大企業にくらべると「圧倒的にまだまだ」だという。

新ツールの提供を皮切りに「あらゆるスモールビジネスが経営企画をできる」ようにし、大企業と比べても「スモールビジネスのほうが強くてスマートでかっこいい」と思われる時代をつくりたい、と同氏は意気込んだ。

同ツールは法人向けの新料金プランである「プロフェッショナルプラン」にて利用することが可能だ。20〜100名からなる法人が対象となっている。

予算入力機能を使うと勘定科目ごとに予算を作成することができる。前年対比や構成比を確認しながらの作成、また、月別に作成することも可能だ。

実績比較機能はfreeeに反映された実績を財務諸表とグラフにリアルタイムに反映し、それぞれ予算との比較が行える。グラフは利益、売上高、販管費、月次など様々な切り口での表示が可能だ。また、月次の予算達成度を自動分析し年間の着地予測を確認することもできる。

同社は同日、新ツールに加えて収益性管理が行える「エクセルアドイン」機能を2018年9月にリリースするとも発表した。会計freee上にあるデータをエクセルの任意セルに自動連携することが可能になる予定だという。

国税庁による平成28年度分の会社標本調査によると国内企業のうち赤字企業の割合は6割を超えており、法人の多くは中小企業だ。このような状況だからこそ「計画と実績を比較しつつ経営改善に向けて迅速かつ最適な意思決定ができる環境を中小企業にも提供することが重要だ」と同社は考えている。

トークンエコノミーで実現する新しい政治コミュニティ「ポリポリ」のβ版が公開

「正直、政治にものすごく興味があったかというとそんなことはない。ただ政治は世の中に与える影響が多く市場規模も約6兆円と大きい一方で、イノベーションが進んでいない領域。だからこそテクノロジーでもっと良い仕組みを作れる余地も十分にあると思った」ーーそう話すのはポリテック(政治×テクノロジー)分野のスタートアップPoliPoli代表取締役社長の伊藤和真氏だ。

開発中のアプリ「ポリポリ」を通じて同社が目指しているのは、ブロックチェーンを使ってトークンエコノミーを構築することで良質な政治コミュニティを作ること。その第一段階として、トークンを絡ませない同アプリのβ版(iOS)を7月2日より公開している。

3つの機能を持つ政治コミュニティ

β版段階のポリポリは、比較的シンプルな政治コミュニティアプリといえるだろう。

軸となる機能は大きく3つ。気になる政治トピックについて議論したりニュースにコメントしたりできる「議論機能」、登録している政治家の政策や実績を閲覧できる「政治家一覧機能」、政治家へ質問や提言ができる「質問機能」だ。

ユーザーはトークルームと呼ばれるスレッドのようなものを作成することができ、そこで身の回りの政治に関するトピックについてディスカッションすることが可能。選挙前などには各候補者の情報を比較したり、政治家の考えを確認することで正しい情報を収集するツールにもなりえる。

また政治家側には複数のSNSへ同時に投稿できる機能を提供。情報発信の負担を下げるという効果もあるそうだ。

伊藤氏は今の政治が抱える課題として「情報の流通」と「荒れやすいコミュニティ」をあげる。

情報についてはマスメディアの発信できる情報量に限りがあり、どうしても人気政治家やスキャンダルに関する報道が目立つ。反面、政治家がどんな活動をしているのか、どんな考えを持っているのかといった重要な情報は不足してしまいがちだ。

また一部の政治家はSNSなどを通じて市民とコミュニケーションをとっているものの、インターネットを活用して十分に情報発信をできている政治家は少ない。結果的に政治家へ直接質問したり、意見交換したりできる機会もかなり限られる。

かといって政治に関するネットコミュニティはどうしても荒れやすい。自分と別の意見を持つユーザーへの誹謗中傷なども多く、コミュニティにユーザーが定着しない原因にもなっている。

ポリポリのアイデアは、現在のベータ版にトークンをかますことでこれらの課題を解決しようというものだ。

良質なコミュニティ作りのカギを握るトークン

トークン実装後のポリポリのモデル

ポリポリの正式版では独自のトークン「Polin」が発行されるようになり、これがあらゆるシーンで良質なコミュティを作るカギとなるインセンティブの役割を担う。

たとえばコミュニティ内で良い発言をするなど、活躍したユーザーには信頼スコアに基づいてPolinが付与され、反対にコミュニティを荒らすようなユーザーはスコアが下がる仕組みだ。

このPolinは政治家に投げ銭のような形で送ることもでき、個人献金プラットフォームの性質も持つ。信頼スコアによってコミュニティの質を担保することができれば、政治家も余計な炎上リスクを気にせず積極的に情報発信をするようになるかもしれない。

そうすれば従来の仕組みでは実現が難しかった、市民と政治家双方が積極的に意見交換をする議論プラットフォームが生まれる可能性もある。これがポリポリの目指すトークンエコノミーを用いた政治コミュニティの形だ。

「トークンの価値が出てくると、さらにその価値を高めようとインセンティブが働き、ユーザーがコミュニティ内で活発になる。トークンエコノミーのポイントはコミュニティを作れること。うまくインセンティブを設計できれば、おもしろい政治の仕組みができると思う」(伊藤氏)

長期的にはPolinを交換所で交換できる仕組みや、実店舗の決済時に使える仕組みなども整えながら流動性を高め、Polinの価値を高めていく狙い。ポリポリの主なビジネスモデルは通貨発行益、つまりPolinの価値があがるほど収益がでる構造だ。「トークンの価値が上がるような仕掛け」を作れるかどうかは、PoliPoliにとっても重要になる。

個人的には正直このモデルが成り立つのか予想がつかないが、この点について伊藤氏は「そもそも政治家に献金したいという市場が約数百億円ある」ことに加え、「アンケートによって集めたユーザーのデータを企業や政治家がPolinを使って取得できる仕組み」を設けることなどで、トークンを買いたいと思う理由を作っていきたいという。

なお仮想通貨を用いた献金については法律が十分に整備されていない領域ではあるが、献金者の情報を取得していれば年間150万円まではOKとされているそう。ただし外国人からの献金は禁止されているため、政治家にPolinを送る際にはパスポート認証をするなど、法律に遵守した形で慎重に設計していきたいとのことだ。

政治×トークンエコノミーに感じた可能性

PoliPoliのメンバー。左から2番目が代表取締役社長の伊藤和真氏

PoliPoliの設立は2018年の2月。1998年生まれで現役慶応大生の伊藤氏を始め、若いメンバーが集まる。5月にはネットエイジ創業者の西川潔氏、Labitの創業者の鶴田浩之氏、F Venturesから約1000万円を調達した。

冒頭でも触れたとおり、もともとは政治にそこまで興味がなかったという伊藤氏。ただ海外のスタートアップなどを調べていると、OpenGovなど政治領域のスタートアップが盛り上がっていることを知った。日本の政治はテクノロジーの活用が十分ではなかったこともあり、チャンスがあると考えこの市場に取り組むことを決めたのだという。

2017年の秋には市川市選挙に合わせてポリポリの原型となるアプリを作成。候補者の政策比較や、候補者に質問や提言ができるという機能を搭載したところ、約1000人にダウンロードされた。

そこから現在のポリポリの構想に行き着くきっかけとなったのは、トークンエコノミーを活用した新しい収益化の仕組みを備えたメディア「Steemit」を知ったこと。「Steemitはトークンの時価総額が約500億円もある。このような仕組みは政治とも相性がよく、今までにない形でマネタイズができるかもしれない」(伊藤氏)と考えたそうだ。

PoliPoliでは今回リリースしたβ版を通じてコミュニティを育てながら、9月〜12月を目処に無料でトークンを配布していく計画。2018年末を目処に完成版をリリースする予定だ。

「『政治家や市民が何か良い発言をすればトークンをもらえたり投げ銭できる』というある種のゲーム要素が大切。PoliPoliでは『政治をエンターテインする』ことをテーマにしているが、政治に興味がないような人でも入ってくるようなインセンティブを設計することで、新しいコミュニティを作っていきたい」(伊藤氏)

Wordの法務書類をワンクリックでクラウドに自動共有、履歴管理も自動化する「hubble」が先行リリース

Wordで作ったファイルを複数人で管理していると、やがていろいろな箇所にちらばっていき「最新版はどこにあるんだっけ」問題が発生する。TechCrunch読者のみなさんも、一度くらいはそのような体験があるかもしれない。

特に契約書など法務関連の書類は、IT系のベンチャーでもいまだにWordを使って作成することが多いと聞くから、その共有方法や管理方法はもっと改善できそうだ。

7月2日に先行リリースとなったリーガルテックサービス「hubble」を開発するRUCは、まさにその課題に取り組むスタートアップ。hubbleを通じてWordファイルの共有方法を変えることで、バックオフィスの業務効率の向上を目指している。

ローカルのWordを使いながら、クラウドの恩恵も受けられる

hubbleを使ってできることは大きく3つ。ローカルのWordファイルを従来よりも簡単に共有・管理できること、ドキュメントの編集履歴やコメント履歴を自動で記録(バージョン管理)できること、複数人で同時に並行編集できることだ。

hubbleではPC上で編集したWordを、保存ボタンひとつでクラウドに自動共有できる仕組みを構築。そのため毎回いちいちファイルをダウンロードしたり、アップロードしたりすることもなく、常に最新版がhubbleに残る。最大の特徴は「ローカルのWordを使っているけど、クラウドの恩恵も受けられる」(RUCのCEO早川晋平氏)ことだ。

「弁護士事務所や企業の法務部にヒアリングをしてみてもWordの文化が根強く、そこを一気に変えるのは難しい。GoogleドライブやDropboxのような使い勝手をいかにWordでも実現するかを追求してきた」(早川氏)

特に複数の契約書や法務書類を扱うようなフェーズの企業では、ファイルがチャットツールやGmailなど複数のチャネルに散らばってしまうことも多い。hubbleは特に難しい操作や面倒な作業なく、ファイルを保存さえすれば最新版が常に一箇所に集約されることがウリだ。

書類の作成や編集はなじみのあるWordを呼び出して実行。ファイルを保存すると最新版が自動でhublle上に共有され、ローカルには何も残らない

契約書や利用規約の作成過程を蓄積

早川氏によると現在クローズドな形で複数の企業(弁護士事務所や企業の法務部など)がhubbleを導入しているそう。そこでファイルの自動共有機能に加えて反響があるのが、バージョン管理機能だという。

hubbleではブランチと呼ばれるコピーのようなものを作ってファイルを作成し、そのファイルを原本(マスターブランチ)に統合するというフローを採用。毎回の変更履歴は編集者の名前とともに自動で記録されるため、必要に応じてこれまでの道のりを振り返ることもできるし、ファイルにコメントを入れることで変更の意図も確認できる。

たとえばサービスの利用規約を例に考えてみたい。複数人で利用規約を作る場合、メンバー間でその都度フィードバックしながら内容を磨いていくことが多いはずだ。法律の改正や機能の追加があった場合には、本文をアップデートすることもあるだろう。

その時に「誰が、どんな意図で編集したのか。どんなことを考慮する必要があるのか」といった情報が一箇所にまとめられていた方が、内容に手を加える際にもスムーズに進むはずだ。

「法務担当者が変更になってしまった場合、利用規約や契約書がなぜ現在の内容になっているのか、どのようなリスクがこれまで検討されてきたのかが新しい担当者にはわからない。hubbleを見れば作成過程をナレッジとして残すことができる」(早川氏)

変更部分(差分)もわかりやすい仕様になっている

それ、GitHubなら簡単にできるかも

RUCは2016年4月の設立。CEOの早川氏はもともと会計事務所の出身だ。ちょうどその頃にマネーフォワードやfreeeの手がけるプロダクトが界隈でも広がり、業務効率が大きく向上する場面を目の当たりにしたのだという。

「専門スキルのある会計士が領収書の入力に時間をかけているのはもったいない。専門家の方々が本来やるべき仕事により多くの時間を使えるように、その他の業務を簡単にするサービスを作りたいと考えた」(早川氏)

CTOの藤井克也氏がAI領域に詳しかったこともあり、最初は紙の書類をスキャンして保存すると、自動で整理してくれるプロダクトを考案。2017年7月にはANRI、TLM、CROOZ VENTURESから資金調達もして開発を進めていたが、データの不足などいくつかの課題もあり、そこから軌道修正をしてhubbleのアイデアに行き着いた。

hubbleのきっかけは、現在RECのCLO(最高法務責任者)で当時は同社の顧問弁護士だった酒井智也氏とのブレスト。酒井氏から「書類のバージョン管理に困っている」という話を聞いた早川氏が、「GitHubのような仕組みがあれば簡単にできるのに」と思ったことから具体的にプロジェクトが始まったのだという。ブランチの概念などはまさにGitHubからきたものだ。

数千万円の資金調達も実施、8月の正式リリースへ

RECでは2018年6月に既存株主のANRI、CROOZ VENTURESから数千万円を調達。まずは書類管理などに課題を抱えているようなステージの企業の法務部と、スタートアップ企業の2軸を中心にhubbleの導入を進めていく。

なんでもスタートアップに関しては、CLOの酒井氏が以前あるM&A案件に携わった時、事業は評価されているものの「契約書の管理などがきちんとされておらず、法務のリスクからバリエーションが下がってしまった」ことがあったそう。

将来のエグジットも見越して初期からhubbleを導入してもらうことで、「全ての法務書類がhubble上できちんと管理されている」という使い方を広げていきたいという意向もあるようだ。

本日より問い合わせベースで少しずつ企業への提供を開始。ユーザーの反応も見ながら、8月を目処にWeb上での正式リリースを予定している。機能面については現状のものに絞って強化しつつ、他サービスとのAPI連携に取り組みながら利便性の向上を目指す。

「(社員数が数名の)自分たちですら、ファイルがどこにいってしまったのか探すのに時間がかかるということはありがち。同じような課題を抱える企業のバックオフィスをサポートしていきたい。まずは契約書などの管理や内容調整ならhubbleという立ち位置の確立を目指していく」(早川氏)

pixivが新サービス「VRoid Studio」発表、3Dキャラクターをお絵かき感覚で

イラスト漫画コミュニティサイト「pixiv」(ピクシブ)を運営するピクシブ社が、キャラクターの「3Dモデル」を作成できるアプリケーションを2018年7月末にリリースすると発表した。Windows・Macで利用可能で、サービスは無料で使えるという。

サービス名は「VRoid Studio」

アプリのサービス名は「VRoid Studio」。3DCGアニメやゲーム、VR・ARプラットフォーム上などで利用できる3Dモデルを簡単な操作で作成できるという。

29日には、アプリの利用イメージ動画も公開された。ペンツールを使って、お絵かき感覚で目や顔、髪型といったパーツを作成できる。

作成した3Dモデルは、3Dアプリケーションで利用可能なファイルにエクスポートすることが可能という。

バーチャルYouTuber、もっと広がるかも。

3Dモデルといえば、キャラクターになりきって、YouTubeに動画を投稿するバーチャルYouTuber(Vtuber)が日本で誕生したことが記憶に新しい。

ピクシブ社はサービス開発にあたり、「『VR/AR空間上で他者とコミュニケーションしたい』『バーチャルYouTuberとして活動したい』など、キャラクターの3Dモデルを必要とする人は増えています」と説明。一方で、3Dモデルのキャラクターを1から作成できる人は「ごく少数に限られてしまってい」るという。

「VRoid Studio」のリリースによって、より多くの人に3Dキャラクターを楽しめる機会を提供する狙いだ。

「誰もが個性豊かな自分のキャラクターを持ち、そのキャラクターを他者とのコミュニケーションや創作活動に活用できる世界を実現するため、『直感的に操作でき、クリエイターが既に持っているお絵かきのテクニックを最大限に発揮できること』を重視して開発しています」

2018年2月には、バーチャルネットアイドルとして知られる「ちゆ12歳」が(3Dモデルではないが)バーチャルYouTuberとしてデビューし話題になった

「バーチャルYouTuber」が革命的なのは、肉体的にも精神的にも、しがらみがないという点だ。

女性が女性の、男性が男性のモデリングを使用することはもちろん、男性が女性キャラのモデリングとボイスチェンジャーを用いて活動することもできる。その逆も可能だ。

自由な発想でキャラクターを作り、動かせるバーチャルYouTuberの普及が加速していくかもしれない。

HuffPost Japanからの転載。

AIプラットフォーム運営のABEJAが42.5億円を調達

AIプラットフォーム「ABEJA Platform」などを展開するABEJAは6月29日、9社の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額で約42.5億円を調達したことを明らかにした。

今回ABEJAに出資したのは以下の企業だ。

  • PNB-INSPiRE Ethical Fund 1投資事業有限責任組合(既存投資家)
  • NVIDIA Corporation(既存投資家)
  • 産業革新機構(既存投資家)
  • SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合
  • ダイキン工業
  • TBSイノベーション・パートナーズ2号投資事業組合
  • トプコン
  • 日本郵政キャピタル
  • 武蔵精密工業株式会社

ABEJAは2012年の創業。当初よりディープラーニングを軸とするAIを活用したプラットフォーム「ABEJA Platform」の開発に取り組んできた。様々な業界、顧客に合わせたソリューションを提供しており、AIの本番運用を支援した企業数は100社を超えるという。

昨今自社ビジネスへのAI活用に関心をもつ企業も増えているが、人手や時間、コスト、データ、社内プロセスなどが課題となり、実運用まで至らないケースが多いのも現状だ。そこでABEJAでは過去の開発実績やノウハウをオープンなプラットフォームとして提供している。

ABEJA PlatformではAIのビジネス活用で必要となる「取得」「蓄積」「学習」「デプロイ」「推論・再学習」という5つのプロセスにおいて、インフラや周辺システム等を利用できる環境を整備。AIの実装および運用において大幅な省力化・自動化を見込めるのが特徴だ。

またこのABEJA Platformを利用して、各業種に最適化した特化型SaaS「ABEJA Insight」も運営。現在は小売・流通業界製造業界インフラ業界を対象とした3サービスを手がけている。

ABEJAは今回調達した資金をもとにAI運用システムの拠点を整備し海外展開を加速するほか、ABEJA Insightの対象業界を拡充する方針。またさらなる成長に向けて研究開発やそれに紐づく知的財産活動の強化、AI領域の専門人材の採用など組織体制の強化に取り組むという。

ドローンで設備点検や災害対策を効果的に、ブイキューブロボティクスが12億円を調達

企業や自治体向けにドローンを活用した業務用ソリューションを提供するブイキューブロボティクス。同社は6月29日、Eight Roads Ventures Japan、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、Drone Fundから総額で約12億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

調達した資金をサービス開発投資や組織体制の強化に用いて、さらなる事業成長を目指す方針。合わせて7月1日より社名をセンシンロボティクスへ変更することも発表している。

以前Drone Fund代表の千葉功太郎氏に日本のドローン市場について聞いた時、インフラ検査などB2B領域でのドローンの活用が大きく発展していくという話があった。インフラの老朽化などが進むとより多くの人材が必要になる一方で、今後国内の労働力人口が減っていくからだ。

ブイキューブロボティクスが展開しているのは、まさに設備点検や災害対策、警備・監視といった業務における課題を、ドローンなどのロボティクス技術を活用して解決する事業。たとえば主要サービスのひとつである「リアルタイム映像コミュニケーションサービス」では、ドローンで撮影している映像を、遠隔かつ複数の拠点でリアルタイムに共有する。

災害が発生した際やインフラ周りの設備点検をする際も、共有された映像を見ながらコミュニケーションをとることで、現場に人が近づくことなく状況判断や意思決定を行えるのが特徴だ。

その他にも機体や搭載するカメラ、定期メンテナンス、部品交換、ドローン保険など“ドローンを業務に活用する場合に必要となるもの”をパッケージ化したサービスや、ドローンを用いて太陽光発電施設の点検に関する一連の業務を自動化する「SOLAR CHECK」などを提供している。

ブイキューブロボティクスは2015年にブイキューブの子会社として設立。2016年にもグロービス・キャピタル・パートナーズとツネイシキャピタルから資金調達を実施している。

90秒で加入できるスマホ保険のjustInCaseが1億5000万円調達ーー少額短期保険業の登録受け、7月より新アプリ公開

スマホファーストな少額保険サービスを提供するjustInCaseは6月29日、既存投資家の500 Startups、グロービス・キャピタル・パートナーズ、LINE Venturesなどから総額1億5000万円の資金調達を実施したと発表した。また、同社はこれまで「保険業法の適用除外規定」を適用することで保険サービスをテストリリースしていたが、6月25日に関東財務局から少額短期保険業者として登録を受けたことも明かしている。

TechCrunch Tokyo 2017卒業生のjustInCaseは、スマホネイティブの世代にも受け入れられやすいようにこだわったUI/UX、約90秒で加入できる手軽さなどをウリにした少額保険サービスを提供するスタートアップだ。同社が初めて手がけた、スマホの故障を保証する「スマホ保険」については前回の記事も参考にしてほしい。

少額短期保険業者となったjustInCaseは今回、これまでテストリリースをしていたスマホ保険に代わり、新アプリ「ジャストインケース」をリリース。2017年6月末をもってスマホ保険の更新は取り扱わず、保険金請求についてもjustInCaseが“受け皿”として設立した新会社のP2Pが受付となる。

ジャストインケースで加入できる新しいスマホ保険には、以下のような特徴がある。

  • スマホに搭載されたセンサーから、ユーザーが端末をどれだけ丁寧に扱っているかをアプリが自動で計測。そのデータは「安全スコア」としてアプリに表示されるだけでなく、更新時の割引率にも影響する
  • 保険金請求がなかった場合、更新時に保険料が平均30%割引される。安全スコアが高い場合にはそれ以上の割引も。
  • 新しいスマホ保険は盗難や紛失にも対応
  • カメラ、ノートPCなどに1日単位で保険がかけられる「1日モノ保険」を特約として追加可能

justInCase代表取締役の畑加寿也氏は、「今後さまざまな事業者と連携し、1日モノ保険や1日ケガ保険などのオンデマンドの保険商品や、データ分析によってパーソナライズした保険商品などを提供する予定」だと話す。新アプリのジャストインケースは7月1日にAppStoreで公開予定だ。

「生々しい失敗体験こそシェアしたい」ユーザベースのVC事業が本格始動へ

左からUB Venturesベンチャー・パートナーの麻生要一氏、代表取締役社長の岩澤脩氏、テクノロジー・パートナーの竹内秀行氏

「自分たちも時に迷いながら、苦しい時期も乗り越えて事業を成長させてきた。培ってきたノウハウはもちろん、生々しい失敗体験こそ有益だと思うので、全面的にシェアしていきたい。スタートアップのタフタイムに寄り添える存在になれれば」ーー そう話すのはUB Ventures代表取締役社長の岩澤脩氏だ。

日本でも大きくなったスタートアップが業界の活性化や次世代のスタートアップを支援する目的で、出資やノウハウ提供に取り組む事例が少しずつ増えてきている。

たとえば2018年1月にはTechCrunchでもWantedly AI/Robot Fundマネーフォワードファンドを紹介した(双方とも子会社設立やファンドの組成を伴わない、本体からの出資プロジェクト)。両社はともに2017年にマザーズへ上場を果たしたスタートアップだ。

UB Venturesの場合は2016年にマザーズへ上場したユーザベースが新たに立ち上げた、VC事業を行う子会社という位置付け。同社は本日6月29日より本格的に始動している。

デジタルメディアやB2B SaaS領域の経験を次のスタートアップへ

事業会社がVC部門(CVC : コーポレートベンチャーキャピタル)を立ち上げる場合、本体とのシナジーを重視して投資先を選定するケースも多い。一方でUB Venturesはあくまで自分たちの経験をシェアしてスタートアップを支援し、キャピタルゲインを出していく方針。その意味で「CVCではなく、純然たるVC。シナジーありきではない」(岩澤氏)という。

ユーザベース自身も2008年の設立以降、経済情報の検索プラットフォーム「SPEEDA」と経済情報メディア「NewsPicks」を軸に、VCや事業会社など複数の投資家から資金調達をしながら成長してきた。

冒頭でも触れたとおり、自分たちが実際に事業をやっている事業家という立場から次世代の起業家を支援する意義があると考え、VC事業の立ち上げに至ったのだという。そのため投資の対象となるのはユーザベースが培ってきたノウハウを提供できる「経済メディア・ディスラプター領域」と「ワークスタイル・イノベーター(B2B SaaS)領域」のスタートアップだ。

「具体的にはサブスクリプションプラットフォーム、良質なコンテンツ、熱っぽいコミュニティという3つの軸で、発展していくスタートアップに投資をしたいと考えている。自分たちがきちんと目利きできる、支援できる領域に特化していきたい」(岩澤氏)

デジタルメディアにしろ、B2B SaaSにしろ業界自体が伸びていて、変化も激しい。メディアで言えば特にアメリカ。分散型メディアがトレンドになったと思いきや、「The Information」や「TheSkimm」のように、バーティカルなコンテンツを配信する課金モデルのメディアが改めて注目を集めている。

B2B SaaSについては、近年日本のスタートアップ界隈でも特に盛り上がっている領域のひとつと言えるだろう。TechCrunchでもいわゆるバーティカルSaaSと呼ばれる、特定の業界に特化したSaaSをいくつも紹介している。

双方の領域において海外展開なども含め前線で事業を運営し続けてきたユーザベースの知見を提供してもらえるというのは、スタートアップにとっては魅力的な話だろう。

心から解決したい課題に取り組む起業家を応援したい

UB VenturesはもともとSPEEDAのアジア責任者をしていた岩澤氏のほか、ユーザベースのチーフテクノロジストである竹内秀行氏、元リクルートホールディングス新規事業開発室長で現在は起業家としても活動している麻生要一氏の3人体制でスタートする。

現時点で出資枠については未定。1社あたりの出資額も特に上限等を決めていないが、メインはシード・アーリーステージのスタートアップだ。ユーザベースが初期から海外展開に力を入れていたこともあり、海外展開を見据える企業には積極的に投資をしたいという。

すでに最初の投資案件として予算管理SaaSの「DIGGLE」へ出資しているそうだ(なおDIGGLEはTC Tokyo 2016のスタートアップバトルのファイナリスト。2018年2月にタシナレッジから社名変更している)。

投資領域はあれど、「1番は鮮明な原体験があって、心から解決したい課題にチャレンジしているかどうか。仕組み先行ではなく自分自身がひずみを感じていて、手触りがあるななかで事業に取り組んでいる起業家を全力で応援したい」と話す岩澤氏。

テーマは事業家として、事業の前線で走りながらスタートアップに伴走していくことだ。

「同じスタートアップとして、起業家が抱える悩みや課題について同じ目線からサポートできるのが特徴だと思っている。自分たちが見てきた景色やリアルな経験を徹底的にシェアしていきたい」(岩澤氏)

モバイル管理サービス運営のアイキューブドシステムズが4億円調達——財務強化でIPO目指す

法人向けにモバイルデバイス管理(MDM)サービスを提供するアイキューブドシステムズは6月29日、総額4億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。引受先はNCB九州活性化ファンドジャフコと、経営陣、個人投資家など。ジャフコは2014年にも3億円を出資した既存株主。同年6月のTNPパートナーズからの1億円調達以降、アイキューブドシステムズにとっては4年ぶりの億単位の調達となる。

アイキューブドシステムズが提供する主力プロダクトは、企業でスマートフォンやタブレット、ノートPCなどのモバイルデバイスを安全に、かつ効率よく活用するために必要な環境を実現するためのプラットフォーム「CLOMO」。デバイス管理のMDMに加え、モバイルアプリケーション管理(MAM)や情報漏えい対策、セキュリティ強化などの機能を備えた、いわゆるエンタープライズモビリティ管理(EMM)のためのサービスだ。

働き方改革の推進もあって、モバイルデバイスやクラウドの活用により場所を選ばずに働ける環境が整う一方、ビジネス用途のデバイスの盗難・紛失対策や、ウイルス・マルウェア対策、企業内ネットワーク接続時の認証などセキュリティへの対応が企業には求められている。またOSやハードも多種多様で大量のデバイスを、ITポリシーに基づいて効率的に管理・運用できなければ、モバイル活用によるビジネスメリットを運用負荷が上回ってしまう。

こうした背景から、MDMおよびEMMプロダクトの市場は拡大している。中でもCLOMOは日本国内では数年にわたってトップシェアを誇るプラットフォームだという。

アイキューブドシステムズ代表取締役の佐々木勉氏は、シェア拡大の理由についてこう述べる。

「外資系ベンダーが提供するEMM製品と違って、CLOMOでは必要な機能に合わせてそれぞれのサービスを利用できる価格体系を取っている。また我々は福岡を拠点にした開発メンバーが、サービスを独自に開発。他社の提供するOEM製品ではプラットフォームが単一でない場合も多いが、当社では一貫したプラットフォーム上で提供している。このため、スケーラビリティが高く、デバイスの運用規模に合わせて利用しやすいのではないか」(佐々木氏)

このスケーラビリティの高さは、同社にとっても、顧客が利用するデバイス数に応じて収益を得やすいというメリットがあるようだ。

「企業が求める品質に応えるために改良を続け、かつiOS、AndroidなどモバイルOSのメジャーバージョンアップ対応にも投資しているほか、災害などによる障害発生時のリカバリー時間が1時間程度と短いこと、稼働状況を常時確認できる『StatusDashboard』を公開するなど、サービス・品質向上に力を入れてきたことで、顧客の継続率は高い」と佐々木氏は話している。

資金調達については「4年前の調達では製品開発に投資したが、今回は財務基盤の強化が主な目的だ」と佐々木氏は説明する。今回同社では、第三者割当増資と同時に資本金を減資、利益余剰金の累損解消に充てた。IPOを視野に、財務の健全性を確保したいとの思惑からだという。

アイキューブドシステムズでは4月1日より、取締役CFOに元スカイマーク代表取締役社長、前エアアジア・ジャパン副社長を務めた有森正和氏を、社外取締役にジャフコ九州支社長の山形修功氏を迎えている。

佐々木氏は「財務戦略についてさまざまな経験を持つベテランがCFOとして合流したことに、非常に期待している」と発言。今後さらに経営体制を強化し、上場を目指す構えだ。

またプロダクトについても、MDMサービスの付帯機能強化のための開発に投資するということだ。

「CLOMOのMDM製品では、モバイルでも働く時間が制限できる『ワーク・スマート』機能を取り入れるなど、アプリでも働き方改革の実現を支援してきた」と佐々木氏は語る。

「働き方改革実現に向けて、今後ユーザーの行動データを集める仕組みも作ることで、CLOMOを理想の形へアップデートしていきたい」(佐々木氏)

LINE、仮想通貨取引所を7月オープン。日米のぞくグローバルで取引可能

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LINEが仮想通貨取引所「BITBOX」を7月にオープンします。日本・米国を除くグローバルで利用可能。取引は仮想通貨同士のみで、法定通貨による仮想通貨の売買は実施しません。

取り扱い予定の仮想通貨は、ビットコイン・イーサリアム・ビットコインキャッシュ・ライトコインを含む30種類以上。

サービス提供地域は日本・米国を除いた各国。日本居住者・海外居住の日本人、および米国居住者に対しては一切サービスを提供しません。非対象のユーザーには、IPアドレス・電話番号・KYCによって利用を制限するとしています。

(更新中)

Engadget 日本版からの転載。

「LINE Pay 店舗用アプリ」公開、夏から決済手数料の無料化も

LINE Payは6月28日、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」において、国内でのキャッシュレス・ウォレットレス化を進めるためのコード決済普及施策を発表した。

具体的な取り組みとして、QRコード決済に対応する「LINE Pay 店舗用アプリ」の提供を本日より開始。2018年8月からの3年間は同アプリの決済手数料を無料化することに加え、ユーザー向けインセンティブプログラム「マイカラー」制度のアップグレードについても明かしている。

本日公開されたLINE Pay 店舗用アプリは、中小規模の事業者などでも気軽にコード決済を導入できる事業者向け決済アプリだ。特徴はQRコード決済に対応できる「レジ機能」に加えて、店舗アカウントと連携することで友だちとコミュニケーションがとれる「メッセージ配信機能」を備えていること。

これらの機能によって、店舗では初期費用をかけずにアプリ上でQRコード決済を導入。再来店のきっかけとなるキャンペーンの案内やクーポン送付などの販促施策も打てるようになる。なおメッセージ配信機能ではアカウントの友達となった顧客へ月に1000通までメッセージを送ることが可能だ。

そしてLINE Payではこの店舗アプリを通じて初期費用のハードルを下げた上で、事業者にとってもうひとつのネックとなりうる決済手数料の無料化も行う。

対象となるのは2018年8月1日から2021年7月31日までの3年間。電子決済利用の際に店舗側が負担する決済手数料をLINE Pay 店舗用アプリに関しては無料化し、0%で提供する方針だ(同アプリから加盟店の加入手続きを行い、生成されたIDを利用してアプリ上でQRコード決済を行った取引が対象)。

この施策によって、これまで初期費用や決済手数料が障壁となってQRコード決済に踏み切れなかったような事業者がどこまで動いていくのだろうか。

なおLINE Payでは本年度中にスマートフォンおよびLINE Payで支払い可能な箇所を、国内100万箇所まで拡大していくことを目標に設定。その実現に向けて同日、国内約72万箇所の加盟店を展開するJCBの「QUICPay」との提携も発表している。

 

LINEが旅行の比較検索・予約サービス「LINEトラベル」を公開

2017年に開催されたカンファレンスで、「LINE」が全てのショッピングの入り口となる「LINE Commerce gateway」というコンセプトのもと、「LINEショッピング」と「LINEデリマ」を発表していたLINE。

あれからから約1年がたった本日、LINE Commerce gatewayに新たなサービスが加わるようだ。LINEは6月28日に開催しているLINE CONFERENCE 2018にて、旅行の比較検索・予約ができる新サービス「LINEトラベル」を発表した。

LINEトラベルは行き先や人数、日程などを入力することで、人気旅行サイトから最安のプランや自分にあったツアーを探せるサービス。外部アプリの追加インストルーは不要で、LINE上から直接LINEトラベルへアクセスできるのが特徴。たとえば友達とLINEでトークをしている間に旅行の話がでたら、そのまますぐに宿泊施設を探すといったことが可能だ。

現時点でカバーしているのはホテルの比較のみで、10月から航空券、12月からツアーの比較にも対応する予定。連携する旅行サイトも年内には250を超える計画だという。

またLINEトラベルでは既存のサービスでは分断されがちだった「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の体験をシームレスにつなぐことを目指す。

同サービスのLINE公式アカウントからオススメの旅行情報や旅番組と連動したスポット情報を配信。LINE上で航空チケットや旅先のホテルの検索や比較をし、最もお得な旅行プランを立て、旅行の思い出シェアまでもできるサービスを構想しているようだ(2018年秋頃を目処に実装予定とのこと)。

午前中には「CASH」を運営するバンクが新たに立ち上げた旅行サービス「TRAVEL Now」を紹介したばかりだけど、この領域でもまだまだ新しいサービスが立ち上がっていくのだろう。

なおLINEトラベルでは2019年度の流通総額1000億円を目標に、引き続き機能改善やコンテンツの拡充を行っていくという。

ランサーズ、フリーランスが会社機能を持てる新サービスーー第1弾は月額480円で法律・会計相談

クラウドソーシングサービス「ランサーズ」などを運営するランサーズ。同社は6月28日、フリーランスが抱える様々な課題に対して複数のソリューションを展開していくことで、個人が会社機能を持てるサービス「Freelance Basics」を発表した。

第1弾として本日より月額480円で弁護士や税理士の支援を受けられるサービスを始める。

Freelance Basicsはフリーランスが個々人の得意な領域に集中できるように、事業活動をする上で負担となる業務や不得意な領域を総合的に支援するサービスだ。

中小企業庁の「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」を見ると、フリーランスになる際に直面とした課題として、顧客の確保や専門知識・技術の習得、経営知識の習得といった項目が上位に並ぶ。専門領域ごとに役割が分担されている会社員とは違い、フリーランスは基本的にすべての業務を自身で手がける必要がある。単独活動のため相談相手も少なく、不慣れな作業に膨大なコストがかかっているケースも少なくない。

このような課題にも直結する「フリーランスと会社員の差分」を少しでもなくしていこうというのが、Freelance Basicsの取り組みだ。これまで同社が「ランサー生活圏構想」のもとで展開してきた各サービスを統合し、そこに新たなサービスも加えることで、フリーランスのバーチャル株式会社化の実現へ向けて本格的に事業化する。

フリーランスと会社員の差分に関するイメージ

具体的にはフリーランスが抱える課題に対し「成長」「安心」「生産性」の3つの観点と、それに紐づく「コミュニティ / 教育」「金融」「補償 / 保険」「専門家支援」「業務効率化」という5つの領域でサービスを運営する方針。新サービスの第1弾としてリリースしたのが、冒頭でも触れた月額480円で専門家へ業務の悩みを相談できる仕組みだ。

相談の対象となるのは会計と法律の2分野。会計サービスでは確定申告支援や専門家相談窓口などを通してフリーランスの「お金まわり」を、法律サービスでは契約書関連の支援や弁護士相談窓口などを通して「法律まわり」をサポートする。

Freelance Basicsにはこれまでランサーズが発表してきたベーシックワーク制度教育プログラムオンライン融資サービスフリーランス向けクレジットカードなどが統合。今後も新たなサービスを加えながら、「フリーランスと共に課題解決を行う領域を追求・拡大していく」という。

「Freelance Basics」サービス提供領域のイメージ。水色箇所はすでに提供を開始している領域だ

与信をとらずに人を信じるーー「CASH」運営のバンク、“いま”お金がなくても旅行できる新サービス

「これは、CASHを手がける僕らだからこそやるべき事業なんです」ーー即時買い取りサービス「CASH」を手がけるバンク代表取締役の光本勇介氏は、今日発表されたばかりの新サービスについてこう説明した。その新サービスの名前は「TRAVEL Now」。あと払い専用の旅行代理店アプリだ。

TRAVEL Nowで旅行を買うとき、その時点で旅行代金が手元にある必要はない。ユーザーは海外旅行を含む3000種類の旅行プランの中から欲しいものを選び、ボタンを押すだけ。するとハガキが送られてくるから、それを持ってコンビニに行き、2ヶ月後までに支払いを済ませればいい。そのハガキを持つ手は、TRAVEL Nowで買った旅行で日焼けしていても構わない。

一番重要なのは、TRAVEL Nowを利用するにあたり面倒な審査や手続きなどは必要ないということ。バンクは、このサービス運営にあたってユーザーの与信はとらない。

人を信じる

CASHをリリースしたとき、同サービスは性善説によって成り立つビジネスだと光本氏は言い切った。その光本氏は今回の取材で、「CASHでは、人を信じてお金をばら撒いた。TRAVEL Nowでは、人を信じて旅行をばら撒く」と話す。では、なぜ旅行という領域にテーマを絞ったのかと聞くと、光本氏は一言、「勘です」と言った。

日本のオンライン旅行代理店(OTA)市場は、楽天やリクルートなどのビッグプレイヤーたちが長年にわたり覇権を握ってきた業界だ。どれだけマーケティング費用をかけられるか、という体力勝負になりがちなOTA市場にスタートアップが参入するためには、サービスに何かしらの新しさが求められる。

先日、チャット型旅行代理店の「ズボラ旅」をリリースしたHotspringは、チャットの向こう側にいる人に日程だけ伝えれば、目的地や旅先のプランをどんどんリコメンドしてくれるという“楽さ”をウリにしてOTA市場に参入した。バンクの場合、この市場に参入するための武器は、“そもそも旅行を買う時にお金を必要としないサービスを作る”というブッ飛んだ発想だった。

「旅行はモノとは違い、『彼女の誕生日があるから』だとか『急に休暇ができたから行きたい』といった、“いま”のニーズがとても重要です。でも、その時にたまたまお金がないから旅行を諦めていた人は多いはず。既存の旅行市場は、お金がある人が旅行に行くことで形成される市場だが、TRAVEL Nowは、その既存市場が取りこぼしていた人たちに旅行を提供することで市場を創る」(光本氏)

CASHのバンクだからこそできる事業

CASHが買い取った商品を並べた倉庫

与信も取らず、お金を受け取るより先に旅行を提供するーー仮に光本氏とは別の人がこのアイデアを思いついたとしても、それを実行することは難しかったはずだ。

「ノールック買い取り」と言われたCASHでさえ、ユーザーに“ばら撒いていた”のは1人あたり2万円まで。一方、比較的高額な旅行商品を扱うTRAVEL Nowでは、その数字が10万円にまで跳ね上がる。それを可能にするのは、「人を信じるために人を知る」能力だと光本氏はいう。

「CASHを1年運営してきて、ユーザーの行動をもとに悪い人を見分けるための知見がついてきました。例えば、CASHの初回利用時にグッチ、ルイヴィトン、APPLE製品の新品を売る人がデフォルトする(お金を渡しているのに、商品が送られてこない)率は94%。そして、その人が出品から5分以内に出金ボタンを押すと、デフォルト率は96%まで上がります。即時買い取りというフォーマットやUI/UXを真似ることはできるけれど、この事業は、ユーザーの行動によって悪い人を見分けるという技術がないとできないと思っています」(光本氏)

CASHの運営に関する具体的な数字は非公開であるものの、これらの行動分析により、CASH全体のデフォルト率は1年前のサービスリリース時にくらべて「10分の1以下」(光本氏)に下がったという。

CASHで培った行動分析力を駆使して、今度は旅行をユーザーにばら撒くと決めたバンク。はたして、与信をとらずに人を信じるビジネスは成立するのか。壮大な社会実験が始まった。