RNA配列決定に革新をもたらすバイオテックのAmaryllis

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遺伝情報を読み取り記録することは、世界中のどのバイオテック企業においてもその根幹をなす技術だ。よって、その技術が改善すれば、その産業そのものがアップグレードするといってもいいだろう。Amaryllis NucleicsはRNAから遺伝子を転写する技術を飛躍的に向上させることでバイオテック産業の技術革新を目指している。

ところで、今回の話を始める前に断っておかなければならないことは、この話は普通Disruptのステージで披露されるような、所謂テクノロジーとして定義されるものの範疇には入らないということだ。同社の商売道具は試薬とピペットであり、プログラミングと製品を扱っているわけではない。しかし誰かがバイオそのものをバイオテックに注入する必要があり、馴染みのある半導体チップとソフトウェアの場合と同様に、バイオテックを支える分子機構そのものをアップデートすることは大変重要なことなのだ。

Amaryllisを創設したのは二人のPhDを持つ科学者Brad TownsleyとMike Covingtonで、この分野で何年も研究をする間、RNAから遺伝情報を得るのにかかる時間と費用に常に不満を持っていた。もし、高校の生物で習ったことがうろ覚えになっているのなら、RNAというのは細胞のデータ格納所(DNA)と生産施設(リボソーム)を媒介するものだ。

「我々がUCデービスにいた時、RNAシーケンスを大量にこなしていました。あまりに多かったので全部やり切るだけのお金がなかったし、しかも時間がかかりすぎました」と、Covingtonは言った。「だから、我々は結局RNAを機械で読めるようにする新しいプロトコールを作ってしまったのです。そうしたら、そのプロトコールはこれまでのキットより安くて速くなっただけでなく、ずっと正確に読めるようになったのです」

もし、研究者が不満を溜めることで科学が進歩するなら、科学はとっくの昔に進歩しているだろう。しかし現実はそんなに甘くない。幸い、多くの興味深い発見があったおかげでこの新しいテクニックが見つかったが、それは多かれ少なかれかれ偶然の賜物だ。

彼らは既存のRNAシーケンスのプロトコールを整備しているうちに、奇妙なデータに気づいた。「Mikeは情報科学のバックグランドを持っていたので、その現象の背後にあるメカニズムに探りを入れることが出来たのです。その現象の最適化を繰り返すうちに大変うまく動くものを見つけることができました」と、Townsleyは言った。

ここで言っているのは、ちょっとした効率アップといったものではなく、他のテクニックと比べて半分から10分の1のレベルでの時間の短縮と、同規模のコストの削減だ。

こんないいテクニックを自分たちだけのものにしておくのは勿体ない、と彼らは考えた。

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「始めたきっかけは、単に作業を簡単にしたかっただけなんです」と、Covingtonは言った。「会社を興そうとは考えもしませんでした」

「実際のところ、最初は全く自己の利益は眼中になかったのですが、そのうち、これは良い機会かもしれないと思いついたのです」と、Townsleyは付け加えた。「しかし、実際に自分で商品化することは、発見を世に出す上で最良の方法でもあるのです。新しいテクノロジーは、たとえ良いものでもその多くは大学の技術移転部門で朽ち果てています。その技術を活用してもらうには、誰かがあなたの持つまさにその技術を探しており、その人がたまたまその技術がリストされたカタログを眺めていることを願うしかないからです」

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彼らはIndieBioアクセラレーターに参加し少しばかりの資金を得た。その資金と新規の「物質の組成」のカテゴリーの特許により、彼らは発明をキット化し、研究者や大学、民間企業に発送することができた。キットの説明書通りにするだけでRNAの転写は粛々と進み、他のキットよりも速く正確に結果が得られる。

Amaryllisでは仕事の受託も行っているが、得られるデータ量は膨大で、何百ギガにも及ぶため、データファイルをホストするよりデータドライブを直接発送する方が便利なことがしばしばだ。このサービス自体がスケーラブルでないのは彼らも認めるところだが、顧客との関係を築く役には立ちそうだ。もし常連の顧客が何人かできれば、評判も加速的に広まるだろう。

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キットの販売と自ら行う受託サービスにより、Amaryllisは現在の生産レベルのみでも月10万ドル余りのビジネスを行っている。しかし、ほとんどアカデミアのバックグラウンドしかないたった2人だけの従業員が仕事に当たっており、同社は会社としては極めて初期の段階にある。実際、Covingtonがウェブ・アプリのセットアップをしたものの、サービス全体をカバーするには程遠い状況である。

最終的には、彼らはこのキット販売をそれ自体で持続的なビジネスにしたいと考えており、その製造を完全に外部に委託するつもりだ。現在、セールス、マーケティング、サポートやその他作業をしてくれる人がいないので、彼らにはまずスタッフが必要だ。

「ロボットはあるのですが」と、Townsleyは言った。「そして、ここはUCバークレーに近いので、インターンの配属を数人分申請してきました」

究極的には資金が必要になるということを彼らは認めた。

「資金調達を考えています、もし一緒に働いてくれるスタッフを直ちに雇わなければ成長はとても遅いものとなるでしょう。10人分の仕事をたった2人でこなしているのが現状です。我々に関しては、キットのことはすべて忘れて新しい製品の開発に集中する方が理にかなっているでしょう」と、Covingtonは言った。「何人かテクニシャンを雇い入れてセールス専門の人員を雇用することでビジネスの規模を大きくしたいですね」

Amaryllisは会社としては最初期の段階にあるが、その製品は既存の物を超越している。バイオテック企業で何10億もの資金と収益を集めるとすれば、それは人気商品であり、その開発に偶然の発見が絡むとなれば、これは極めて稀なケースだ。今から1年後に彼ら自らが、ピペット片手に実験していることはないだろう。

 

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(翻訳:Tsubouchi)

DNAを使ったアナログ計算は、医療に多大な影響を及ぼすか?

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私たち自身の遺伝機構を計算機やストレージの形で利用するとき、それを私たちが未来を生きている兆候だと捉える見方は、もはや新しいものではない – しかし、誤解してはならない。この分野はまだ始まったばかりで、沢山の驚異がこの先に待ち構えているのだ。例えば、今日紹介する驚異は、DNAを利用した完全にアナログで正確な算術計算だ。

DNAによって行われる計算なら、定義によって、なんでもアナログなのではと思う人もいるかもしれない、しかしそうではない。実際には、DNAは既にある意味デジタルであるため、こうした目的のためには有用なのだ。DNAが情報をエンコードする方法である塩基対をコドンとして配置するプロセスは、私たちがバイト列を構成するためにバイナリシンボルのシーケンスを利用する方法に驚くほど似ている。

こうした予め備わったデジタルアナログ性を使えば、お望みなら、DNAを私たちが既に開発したプログラミング様式に自然に当てはめることができる。しかしそれが唯一の方法ではない。

John Reif教授と大学院生Tianqi Songが率いる、デューク大学のコンピュータ科学者たちは、DNAがスイッチや論理ゲートで構成されるコンピューターを模倣することなく、数学的関数を実行することができることを示した。

DNA鎖はもちろん、二重に構成されていて、対応する塩基 – アラニンとチミン、グアニンとシトシン – が互いに自然に結合している。そして、マッチング塩基対が多いほど、より良いフィットが得られる。これにより、お互いに予測可能な方法で組み合わさる様々なDNA鎖を作ることが可能になる ‐ こちらの方があちらよりよくフィットするので置き換わり、3番目はこれと置き換わるが他のものとは置き換わらない、など。

こうした部品を十分に手に入れれば、それらがどのように組み合わさるかのロジックの構築を始めることができる。これがチームのやったことだ。入力鎖を制御して最終濃度を観測することによって、加算、減算、そして乗算を行うプロセスを構築した ‐ より複雑な演算もこれから追加される。

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論文に掲載された図は、どのように分子ロジックゲートが接続し、はっきりとしたDNA鎖の濃度の濃淡として現れるかを示している(もしあなたがそれを読み取れるならばだが)。

さて、これはデジタルコンピューティングを置き換えるものではないし、DNAを利用したデジタルコンピューティングを置き換えるものでもない。単純な計算にも何時間もかかるし、ロジックの調整は容易ではない。

「現代のPCや従来の計算デバイスと競うことは、考えることすらできません」と、デューク大学のReif教授はニュースリリースの中で注意を促した。しかし、彼は続けて「とはいえ非常に単純なDNAコンピューティングだとしても、医学や科学へ巨大な影響を与える可能性があります」と語った。

演算は遅いかもしれないが、これらの操作は、簡単に複製されたほんの一握りの鎖を使って行われている。一方デジタルコンピューターの模倣にははるかに多くの分子機構が必要であり ‐ また非常に脆弱なものである。鎖が通常の遺伝的プロセスによって妨害されないように、注意深くコード化することができるので、アナログDNAコンピューティングは体内の自然環境内で行うことができる。

大学院生Tianqiソング(左)と教授ジョン・ライフ(右)。

大学院生Tianqi Song(左)とJohn Reif教授(右)

血流中を泳ぐDNA計算機が恒常的に薬剤のレベルを計算しつつ、あるレベルを下回った際にタンパク質シグナルを活性化することができる。また特定の(たとえば癌細胞)を検出するために作られた特別な分子に結合された鎖が、医師に警告を発したり、自分の体の免疫反応にトリガーをだしたりするプロセスを始めることもできる。

国立科学財団(NSF)のファンドを受けたこの研究は、Synthetic Biologyジャーナルに掲載されている。

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(翻訳:Sako)

ヒト細胞のDNAに「記憶」を記録することが可能に

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CRISPRがまたやった。この留まるところを知らないゲノム編集システムを使って、MITの科学者たちが作ったのは、過去に起こった事象の強さや長さを記録する機能を付加したヒトの細胞だ。

これまでにも科学者たちは事象の発生を細胞に記録するシステムの構築を行ってきた。例えば細胞がある種の化学物質にさらされた場合など、それに伴ってDNAの一部が反転することで事象の発生を記録するシステムが構築されてきたが、今回のものもこのシステムの延長線上にある。しかし、今回のものはこれまでと異なり、細胞に記録される情報に刺激の長さと強さが加わったことだ。

これまでの多くの研究はバクテリアを使ったものに甘んじていた。MITの電子工学、コンピュータ科学、生物工学の準教授であるTimothy Luによると、今回このテクノロジーをヒト細胞で可能にしたことによって様々な可能性が開かれるが、とりわけ病気に強い影響を与える細胞内の事象、例えば遺伝子制御など、を研究するのに特に有用だろうということだ。

さらに今回の研究はこれまでよりさらに改良が加えられ複数の対象を同時に記録することが可能だ。本研究では、抗生物質であるdoxycyclineとラクトース様分子であるIPTGが使われている。

こういった情報が得られれば、感染がもたらす影響やガンなどの疾患に関したより詳細な研究が可能となる。また、胚が成体に発生する過程で特殊な細胞が分化に果たす役割を追跡するのに有用だろう。

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(翻訳:Tsubouchi)

DNAシークエンシングのIllumina社、アップルのPhil Schillerを役員に迎える

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IlluminaはDNAシークエンシングの分野でトップを走る会社の内の一つだ。本日、同社は取締役会にアップルのワールドワイドマーケティング副社長であるPhil Schillerを迎えると発表した

そのいまいちなウェブサイトのデザインとは裏腹に、同社はDNA塩基配列決定にかかるコストを劇的に低下させることに成功した。2007年時点で100万ドルかかっていたものが2013年時点でたったの4000ドルにまで下がった

「ワールドクラスの製品を市場に送り込むことに関して、Philのこれまでの経歴と世界を股にかけた経験は、我々が今後顧客に対して革新的なソリューションを開発する際に大きな指針を与えることになると思います」と、Illumina社長兼CEOのFrancis deSouzaは声明中で述べた。「彼のビジョン、誠実さと熱意はIlluminaの中核を成す価値観と完全に一致します」

そして、この市場のスケールを物語る数字を1つ挙げるならば、Illuminaの株式市場における現在の時価総額は約240億ドルほどである。実のところ、DNAシークエンシングというのは大変実入りの良い産業なのだ。
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(翻訳:Tsubouchi)

微生物からなんでも作り出すGinkgo Bioworksが1億ドルを調達、合成DNAの大量購入のため

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Ginkgo Bioworksはポストンに拠点を置くバイオテックのスタートアップで、微生物からありとあらゆる種類の香料や調味料を作り出している。この度Ginko Bioworksは6億ベースの製造されたDNAを入手するため1億ドルの資金をシリーズCのファンディングで獲得した。Ginkgoによるとこれは「これまで購入された合成DNAとして最大の規模」だという。

同社はその何百万ベースもの遺伝コードを使って新しい領域に乗り出そうと計画している。例えば、「汎用の化学薬品、工業用酵素、保健医療」などの市場だ。

新たな資金は全て現金で、これでGinkgoがY Combinatorでローンチしてから2年足らずで得た資金の合計は1億5千4百万ドルにもなる。これはY Combinator発のスタートアップの中でもトップ10に入る額だ。

この新しい形態のバイオテック、つまり薬品製造がらみではないバイオテックは、2014年になって、DNA合成コストの劇的な低下に伴い俄然ヒートアップしてきた。GinkgoはY Combinatorが投資した最初のバイオテックスタートアップの内の一つで、今なお競合相手がほとんどいない。数少ない競合相手の中には、西海岸で似たような業務を行うZymergenがあり、微生物のDNAを操作し消費者向け材料を大量生産することを目標に、今日までに4500万ドルの資金を調達した。

このラウンドの資金はYCのContinuity Fund、Senator Investment Group、Cascade Investment、Baillie Gifford、 Viking Global Investors、Allen & Company LLCより調達した。Viking GlobalはシリーズBのリードインベスターでもあった

Ginkgoは現在調味料、香水、食品産業のための商品を製造しているが、DARPAとも共同でプロバイオティックを製造しており、それはアメリカ兵が海外でお腹の調子を崩した時、整腸するためのものだ。しかし同社は昨年から他の産業分野への事業拡張を視野に入れ始めた。

Ginkgoは2015年の春に、1億ベースのDNAを購入し新しい製造分野に進出すると発表したが、それ以来その量を6億ベースに引き上げ、Twist BiosciencとGen9と業務提携し合成DNAの供給を受ける。Twistは少なくともその内の4億ベースを2017年の内に納入すると誓約している。

Ginkgoはさらに資金の一部をBioworks2を建てるのに使う予定だ。Bioworks2は7万平方フィートの広さを持つ新しい自動化された設備で、GinkgoでデザインされたDNAのプロトタイプをテストし新しい製品を創出する場所だ。その製品とは共同設立者のJason Kellyが言うところの「テックが見捨てたバーティカル製品」、例えば栄養や製薬業など。

「これらの産業はソフトウェアのように根本的に破壊的ではないのでとてつもなく大きなチャンスがあります」とKellyは言う。「生物をデザインすることがもっと上手く行き出せば、なんでも作れるようになります。そうすれば、これまでのテック産業が近づくことのできなかったセクターを崩せるのです」

Ginkgoは既にこれらの産業分野で多くの新しい製品を作っており、Kellyによれば、今回の資金は、Bioworks2が完成するのに伴い、Ginkgoがこれまでしてきたのと同様のことを今後も継続して行ってゆく上での助けとなるということだ。

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(翻訳:Tsubouchi)

誰でもDNA折り紙の達人になれるアルゴリズムが開発された

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高さ数インチのものをプリントしたいのなら、プラスチックを押し出して成形すれば良い。しかし、ナノスケールのものが必要ならDNAを使うのが良いだろう。でも、DNA1塩基単位でデザインして組み上げる時間のある人などそうそうはいない。しかし、今回の新しい研究成果を使えば、形さえ決めればあなたもDNA折り紙の達人になれる。A、T、G、Cをどのような順番で並べれば良いかはアルゴリズムが全部決めてくれるのだから。

DNAの構造は単純な二重らせんのみである必要はない。塩基の順番をいじくったり他の分子を入れ替えたりすることで、DNA鎖を右に鋭く旋回させたり、こちら向きやあちら向きに曲げたり出来る。また、深い洞察力があれば、一本鎖のDNA鎖を撚り合せ畳み込んで、有用な幾何学的構造体を作る事も出来るのだ。

そういった構造体はドラッグデリバリー (訳注:薬を体内でターゲットとなる部位まで一旦輸送してから放出する技術)に使ったり、CRISPR-Cas9の遺伝子編集因子のようなツールを内側にセットしたり、さらには情報を格納したりするのに使うことが出来る。

しかしこれまでの問題としては、例えば12面体をデザインするというのはとんでもなく複雑なことで、そのような何千塩基対にも渡る複雑な分子を人の手で組み上げることは事実上不可能だった。MIT、 アリゾナ州立大学、ベイラー大学の研究者たちはまさにその問題の解決を試み、その成果が本日、サイエンス誌に公開された

「この論文によりこれまでの問題は180度反転することになるでしょう。つまり、これまでは構造体を合成する際、専門家がそのために必要なDNAをデザインしていました。しかし、これからは構造体そのものが開始点なのです。その為に必要なDNAの配列は自動的にアルゴリズムにより決定されます」と、MITのMark Batheはプレスリリースで述べた

基本的に、ユーザーは閉曲面を持つ3次元の形状をプログラムに指定するだけで良い。それは多面体や、もう少し丸みを帯びた、例えばトーラスや、もう少し対称性のないティアードロップ状のものでも良い。相応の仕様の枠内でデザインする限り、一旦デザインをコンピューターに渡してしまえば、ユーザーはそれ以上何もしなくて良い。

今回研究者たちが創り上げたアルゴリズムは、その構造体の枠組みを形成する為にDNAをどのような塩基配列で並べれば良いかを厳密に決定してくれる。それは一本鎖DNAであり、それ自身が曲がり撚り合わさって3次元的形状を形成する。アルゴリズムにはDAEDALUSというカッコいい名前も与えられた。DNA Origami Sequence Design Algorithm for User-defined Structuresから来たものだが、 頭文字的にあまり合ってないのはご愛嬌だ。

どんな形状で試しても魔法のようにうまく行く。もちろん、実際に狙った3次元の形状が形成されているかは低温電子顕微鏡を使った単分子3次元解析により確認している。
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医学や遺伝子編集分野での利用価値は明らかだが、研究者たちが望んでいることは、このテクノロジーが急速かつ劇的に利用しやすくなることにより、前述の領域の枠に留まらない新たな利用法が創出されることだ。

例えば、DNAを使った情報保存はこの技術により飛躍的に簡便になる可能性がある。このアルゴリズムを使うことで極めて独自性の高い構造を作り、その一部をバイナリーデータを書き込むのに使用することが出来るようになるかもしれない。要するにそれはDNAで出来たナノスケールのROMディスクという訳だ。なんと素晴らしい。

「この複雑なプロセスを自動化することにより、この極めて強力な分子デザインの枠組みを利用する人が飛躍的に多様化することを願っています」とBatheは言った。

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(翻訳:Tsubouchi)

遺伝子組み換え作物ではない遺伝子“編集”作物は農務省が規制しないので将来性あり

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遺伝子組み換え作物(GMO)は今、遺伝子編集という新しい技術のおかげで、変わろうとしている。

その最新の例は、CRISPR(クリスパー)を利用して遺伝子を編集した白いボタンマシュルームだ。‘編集’とはこの場合、生物のDNAのパーツを切って並べ替えることだ。

合衆国農務省によると、そのマシュルームは、別の、有害かもしれない、バクテリアのDNAを使っているGMO植物のような危険性がないと思われるので、規制の対象としない。

ペンシルヴェニア州立大学の植物病理学者Yinong Yang博士は、マシュルームのDNAを変えて、酸素に触れても褐変しないようにした。そのコード中の二つの文字を入れ替えただけで、キノコは褐変しにくくなった。

しかし昨年10月に初めて組み換え種を作ったときには、その、遺伝子を変えたマシュルームが農務省の認可を必要とするのではないか、とYang博士は危惧した。

農務省の動植物健康検査サービス(Animal and Plant Health Inspection Service, APHIS)は、アメリカの農業環境を問題のある植物から守る機関で、検査の対象には、バクテリアやウィルスからのドナーDNAを使って植物の病虫害耐性を強化した作物も含まれる。

しかしCRISPRには、従来のGMOにない抜け穴がある。Yang博士はマシュルームに他の生物のDNAをいっさい加えていない。むしろその小変化は、マシュルーム自身の遺伝子で起きている。

CRISPRはかなり新しい技術だが、バイオテクノロジーの分野に新しい生命(いのち)を与え、明らかに規制をめぐる疑問を喚起している。USDAは、自分のDNAを改変した作物を問題視するのだろうか?

過去5年間で30件の、何らかの形で遺伝子編集技術が関わった作物が登場したが、マシュルームはその一つにすぎない。しかしこれまでのところ、答はノーである。

APHISはペンシルヴェニア州立大学宛の4月13日付けの書簡で、マシュルームは確実に規制検討の対象外だ、と確認した。

USDAは次のように声明している: “APHISにはCRISPR/Cas9ホワイトボタンマシュルームが有害植物であると信ずべき理由がない。したがって、同様の質問状に対する前回の応答と同じく、APHISはCRISPR/Cas9により編集されたホワイトボタンマシュルームが、2015年10月30日の貴書簡に記述されているように、連邦規則集第340部により規制されるべきとは見なさない”。

Yang博士は今、彼のマシュルームの企業化の可能性を、思いめぐらしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

RNA診断のCofactor GenomicsがY Combinatorに‘入学’、DNAよりも正確でリアルタイムな遺伝子検査を目指す

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このところY Combinatorは、計算生物学や生物情報科学の分野にも手を広げているが、今回はその孵化器の中に、かつてHuman Genome Projectの作業を手がけたこともある人たちによる、RNA試験の実験的開発企業Cofactor Genomicsを迎えた。

DNAと人体を構成する蛋白質との中間に位置するRNAは、DNAよりも正確でリアルタイムな診断を可能にする、と同社は主張する。DNAはあくまでも情報的であり、したがって予測的予報的な存在だ…将来の疾病の可能性は分かるが、今どうなっているかは教えてくれない。

RNAはしかも、食べ物や生活環境などの変化とともに、動的に変化する。

同社のCEO Jarret Glasscockはこう述べる: “RNAの方が、健康のバロメーターとして優れていると思う。動的に変化するから、疾病の早期診断が可能だ。DNAは予報的だが、RNAでは細胞の分子署名が早めに分かる”。

6年前にミズーリ州セントルイスで創業された同社は、すでに大手製薬企業9社と契約している。また国立衛生研究所から、約150万ドルの補助金を得ている。

彼らのRNA診断技術はとくに、癌や心臓疾患、アルツハイマー病などの早期発見を簡単な血液検査だけでできる点で、期待されている。料金などはまだ気の早い話だが、来年には診断サービスを供用開始したい、と考えている。

協同ファウンダのGlasscock、Dave Messina、Jon Armstrongらは、中西部出身の彼らが、今回シリコンバレーとのご縁ができたことによる、新たなビジネス機会に恵まれることを、期待している。

“田舎者とバカにされることはないけど、でもバレーとのコネでイメージがアップすることは確実だね”、とGlasscockは語る。

CofactorはRNAだが、ここ数年シリコンバレーでは、DNA診断企業への投資が一種のブームになっている。たとえばColor Genomicsは、乳がん遺伝子BRCA1とBRCA2を同定し、Counsylは、その人物の子どもに遺伝するかもしれない劣性遺伝子を検査する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AncestryDNAとGoogleのCalicoが共同で遺伝子操作による長寿の可能性を研究

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シリコンバレーには、不死に関するサイトで当てようとする人びとが少なくない。死を少しでも遅くするための取り組みなら、Googleの中にもある。今回は、最大の家系調査サイトAncestry.comの一部門であるAncestryDNAが、Googleの中の修道院のような企業Calicoとパートナーして、人間の遺伝子と長寿との関係を研究することになった。

AncestryDNAは100万人以上の人びとの遺伝子データと家系図をホストし、それらは数百年の過去にさかのぼることができる。

計画ではその、Ancestryのデータベースにある100万の公開家系データを匿名化したうえで調べて、長寿が遺伝形質か否かを判定する。Calicoはその結果に基づいて、商用の長寿療法を開発する。

CalicoのCSO(Chief Scientific Officer) David Botsteinは声明文の中で次のように述べている: “昔から誰もが、長寿には遺伝的な要因もあるのではないか、と思わせる現象に遭遇している。しかし遺伝子工学の標準的な手法では、長寿を司る遺伝子を見つけることは難しい。今回われわれは特異な機会に恵まれ、人間の高品質な家系図を用いる研究により、長寿に関するまだ答えられていない基本的な疑問を解明したいと願っている”。

科学者たちはすでに、人間を長寿にする遺伝子を同定している。またマウスを使った遺伝子治療では、DNA操作により不死の生命、もしくは地上における長寿の、実現の可能性が示された。

でも、Googleの“未来学者”Ray Kurzweilも以前言っていたけど、“寿命は統計的な現象であり、誰にでも、明日バスにはねられる確率はあるのである”。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa