インキュベイトファンドが機関投資家を中心に過去最大250億円規模の5号ファンドを組成

インキュベイトファンド 5号投資事業有限責任組合

インキュベイトファンド゙は7月20日、インキュベイトファンド5号投資事業有限責任組合を組成し、2020年7月10日に1次募集を完了したと発表した。最終的なファンド総額は過去最大の250億円を予定。

また、2020年5月10日に1号ファンド設立から10周年を迎え、「Zero to Impact」を掲げた初のコーポレートリブランディングを実施。同社初のオウンドメディア「Zero to Impact magazine」をリリースした。

インキュベイトファンドは、第5号となる新ファンドを設立、2020年7月10日に1次募集を完了。最終的なファンド総額は過去最大の250億円予定で、これまでの過去ファンド出資者の他、年金基金・金融機関・政府系機関を中心とした出資者構成となっている。

投資ステージは従来同様創業期が対象。創業者とともにゼロから事業戦略・プロダクト・チームを組成する。5号ファンドでは1社あたり最大で約30億円の投資が可能となり、創業期からPre-IPO期まで一気通貫でスタートアップを支援し、次世代産業の創造に取り組むとしている。

これまでのファンドで確立した投資スタイルをベースに、既存産業変革及び新規産業創出をテーマとして、デジタルトランスフォーメーション・パブリックセクターイノベーション・ディープテックイノベーションの3軸から、従来の業界構造や消費者の生活習慣を一新するシードスタートアップへ集中的に投資活動を行う。

インキュベイトファンド 5号投資事業有限責任組合

またインキュベイトファンドは、「Zero to Impact」を掲げた初のコーポレートリブランディングを実施。起業家やスタートアップの情報発信加速に向け、オウンドメディア「Zero to Imapct magazine」もリリース。「Zero to Impact」実現の中心・主役は起業家であると考え、同メディアも起業家を主役とした発信を中心に行うという。

インキュベイトファンド 5号投資事業有限責任組合

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起業家と投資家の合同経営合宿「Incubate Camp 13th」が10月2日、3日に開催決定

シード、アーリーステージのスタートアップを中心に投資を進めているベンチャーキャピタルのインキュベイトファンドは4月1日、起業家と投資家の合同経営合宿「Incubate Camp 13th」を10月2日、3日に開催することを発表した。スケジュールは以下のとおり。

  • エントリー受け付け開始:4月1日(書類選考通過者には順次連絡)
  • 説明会:4月18日、4月25日
  • エントリー締め切り:8月31日
  • 面接期間:7月1日~8月9日(出場が決定した企業に順次連絡)
  • 合同経営合宿:10月2日、3日

今年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で各地自体から外出自粛要請などが出されている現状を踏まえ、選考プロセスをオンラインで完結させるのが特徴だ。なお、エントリー後は希望者に対して全員と面談を実施する。面談では、資金調達や事業計画、ピッチの相談などが可能だ。面談希望者は、エントリーフォーム内の質問項目でメンタリングを「希望する」を選べばいい。

また、エントリーしたスタートアップで早期の資金調達が必要な場合は、インキュベイトファンドがパートナーファンドのGPとともに月1回開催している即断即決ピッチイベント「Circuit Meeting」への参加推薦や、連携しているVCやアクセラレーターを紹介などが受けられる。

Incubate Campでは、エントリーした企業の中から選考を通過した16名の経営者をキャンプ(1泊2日の合宿プログラム)の参加者として招待。キャンプでは、ベンチャーキャピタリスト16名とディスカッションを重ねて事業プランをブラッシュアップする。さらに、エントリー後やキャンプ参加後の資金調達機会に加えて、構築した関係性の中で事業の支援を継続的に行っていく。

株式上場やM&Aなどでイグジットを果たした企業

Incubate Campは、過去12回の開催で累計の参加者は約220名。その中で、20社の企業が株式上場や企業による買収などでイグジットを実現しており、累計調達額は約270億円超となっている。

10月2日、3日に参加するゲストキャピタリストや審査員は順次公表予定とのこと。なお。過去の参加ゲストキャピタリストは以下のとおり(五十音順)。

  • アーキタイプ:中嶋 淳氏
  • iSGSインベストメントワークス:五嶋一人氏
  • ANRI:佐俣アンリ氏、河野純一郎氏
  • East Ventures:松山太河氏
  • インキュベイトファンド:赤浦 徹氏、本間真彦氏、和田圭祐、村田祐介氏
  • インスプラウト:三根一仁氏
  • インフィニティベンチャーズ:小野裕史氏
  • WiL:伊佐山 元氏、松本真尚氏
  • グローバル・ブレイン:立岡恵介氏
  • グロービス・キャピタル・パートナーズ:今野 穣氏、高宮慎一氏
  • XTech Venures:西條晋一氏
  • Coral Capital:James Riney氏
  • サイバーエージェント・キャピタル:近藤裕文氏
  • サムライインキュベート:榊原健太郎氏
  • GMO Venture Partners:村松 竜氏
  • C Channel:森川 亮氏
  • ジェネシア・ベンチャーズ:田島聡一氏
  • STRIVE:堤 達生氏
  • スマートニュース:鈴木 健氏
  • セプテーニ・ホールディングス:佐藤光紀氏
  • W Ventures:新 和博氏
  • DeNA:原田明典氏
  • DNX Ventures:倉林 陽氏
  • ニッセイ・キャピタル:永井研行氏
  • B Dash Ventures:渡辺洋行氏、西田隆一氏
  • ベンチャーユナイテッド:丸山 聡氏
  • メルカリ:小泉文明氏
  • ヤフー/YJキャピタル:小澤隆生氏、堀 新一郎氏
  • ユナイテッド:金子陽三氏

空き時間や余剰在庫を有効活用できるマケプレ運営のタイムバンクが総額39.5億円を調達

タイムバンクは1月8日、総額39.5億円の資金調達を実施することを発表した。第三者割当増資による調達で、引受先はLINE Ventures、ジャフコ、インキュベイトファンドなど。今回が同社初の外部からの資金調達となる。調達した資金は、認知度アップを目的として広告や事業者の開拓に投下される。

同社は、空き時間や余剰在庫を利用者に安価に提供するマーケットプレイスを運営する、2018年8月設立のスタートアップ。当初は専門家の空き時間を販売するスキルシェアサービスとして展開していたが、現在では店舗や施設などの時間貸しや飲食店やアパレル店などの余剰在庫を安価に手に入れらるマーケットプレイスを目指している。タイムバンクのサービスをテレビCMで知った読者も多いと思われるが、飲食店や各種販売店の製品や宿泊代などを、日程や条件付きで通常よりも少し安価で購入できる「ワケあり」オンラインショップに近い印象だ。

2019年11月末時点でタイムバンクを利用しているユーザーはIDベースで150万人。直近6カ月間で1000万円以上の売上を達成した事業者は30社を超え、中には5000万円以上を売り上げる事業者も複数存在するという。現在は一部の事業者に限定して情報を掲載しているが、今後は広くオンライン上から商品やサービスを掲載できるオープンなプラットフォームとして解放していく予定とのこと。

【10月31日まで】TC Tokyo 2019前売りチケット販売中、SmartHR宮田氏やOYO LIFE山本氏の登壇が決定

TechCrunch Japanは、11月15日、16日に国内最大級のスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2019」を東京・渋谷ヒカリエで開催する。ここでは10月31日現在で決定しているセッション内容とタイムスケジュールの一部、スタートアップバトルの審査員をお知らせしたい。

新たにシリーズCで60億円超えの資金を調達したの宮田昇始氏やソフトバンクグループの住宅シェアサービスOYO LIFE Japanでバイスプレジデントを務める山本竜馬氏、10月30日にレイターステージのスタートアップを支援する新ファンド「千葉道場ファンド」の設立を発表し、代表パートナーに就任した千葉功太郎氏、インキュベイトファンドの代表パートナーを務める村田祐二氏の登壇が確定した。

TechCrunch Tokyo 2019 11月14日(木)

9:00-9:10 TechCrunch Japanご挨拶
9:10-9:40 Fireside Chat

最新ガジェットを試し購入できるリテール・アズ・ア・サービスb8taの戦略
Vibhu Norby氏(b8ta CEO)

9:40-10:10 Fireside Chat

自動運転OS「Autoware」が作り出す未来
加藤真平氏(ティアフォー取締役会長兼CTO)

10:30-11:10 Startup Battleファーストラウンド・グループA(5社)

【審査員】
五嶋一人氏(iSGS Investment Works代表パートナー)
西條晋一氏(XTech代表取締役CEO)
堤 達生氏(STRIVE代表パートナー)

11:20-12:00 Startup Battleファーストラウンド・グループB(5社)

【審査員】
有安伸宏氏(起業家・エンジェル投資家)
今野 穣氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー)
新 和博氏(W Ventures共同パートナー)

12:20-13:00 TC School Special Edition(Sponsored by engage)

地方で起業するということ

岡橋寛明氏(みやこキャピタル代表取締役パートナー)
川原大樹氏(KURASERU代表取締役CEO)
近藤洋祐氏(電脳交通代表取締役社長)
寺田輝之氏(エンジャパン執行役員)

13:10-13:40 Fireside Chat

後日発表

14:00-14:30 Fireside Chat

後日発表

14:30-15:00 Fireside Chat

シリーズCで60億円超を調達、SmartHRの今後の戦略
宮田昇始氏(SmartHR代表取締役)

15:10-15:50 Panel Discussion

ボイスメディアの過去、現在、未来
緒方憲太郎氏(Voicy代表取締役CEO)
Matthew Hartman氏(Betaworks Venturesパートナー)

16:00-16:40 Startup Battleファーストラウンド・グループC(5社)

【審査員】
榊原健太郎氏(サムライインキュベート代表取締役)
深澤優壽氏(Eight Roads Ventures Japanプリンシパル)
山岸広太郎氏(慶応イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長)

16:50-17:30 Startup Battleファーストラウンド・グループD(5社)

【審査員】
堀 新一郎氏(YJ Capital代表取締役社長)
松本真尚氏(WiLジェネラルパートナー)
宮田拓弥氏(Scrum Venturesジェネラルパートナー)

17:30-18:00 Startup Battle

会場投票

18:00-18:40 Fireside Chat
Uberの日本戦略、そして自動運転と空飛ぶタクシーはどうなる?
Émilie Potvin氏(Uber APAC Public Policy & Government Relations担当ディレクター)
18:40-19:00 Startup Battleファイナルラウンド通過発表

TechCrunch Tokyo 2019 11月15日(金)

9:00-9:10 TechCrunch Japanご挨拶
9:10-9:40 Fireside Chat

住宅シェアリングのOYO LIFE、日本での戦い方
山本竜馬氏
(OYO LIFE Japan Vice President of Growth)

9:40-10:10 Fireside Chat

正確な位置情報を3単語で表現する「住所革命」でできること
Chris Sheldrick氏(what3words CEO)

10:30-11:00 Fireside Chat

5Gがもたらすロボティクス新時代
沢登哲也氏(コネクテッドロボティクス代表取締役/CEO)

11:00-11:30 Fireside Chat

後日発表

11:50-12:20 Fireside Chat

後日発表

12:40-13:30 Product Update

山本 俊氏(GVA TECH代表取締役)
菱木 豊氏(inaho代表取締役CEO)
内山智晴氏(Yper代表取締役社長)
小川 嶺氏(タイミー代表取締役)
神林 隆氏(Eco-Pork代表取締役)
流郷綾乃氏(ムスカ代表取締役CEO)

13:40-14:20 Panel Discussion

2019年のスタートアップ投資を振り返る
千葉功太郎氏(Drone Fund代表パートナー/千葉道場ファンドジェネラルパートナー)
村田祐介氏(インキュベイトファンドジェネラルパートナー)

14:40-15:10 Fireside Chat

トヨタ自動運転開発子会社が開発する「世界で最も安全な自動運転車」とは?
James Kuffner氏(TRI-AD CEO)

15:10-15:40 Fireside Chat

電動キックボードのLimeが規制大国・日本に上陸する理由
David Richter氏(Lime CBO)

16:00-17:20 Startup Battleファイナルラウンド(6社)

【審査員】
赤坂 優氏(エンジェル投資家/エウレカ共同創業者)
千葉功太郎氏(Drone Fund代表パートナー/千葉道場ファンドジェネラルパートナー)
松本 大氏(マネックスグループ取締役会長)
山本康正氏(DNXベンチャーズインダストリーパートナー)
百合本 安彦氏(グローバルブレイン代表取締役社⻑)

17:50-18:20 Startup Battle授賞式
18:20-19:50 Meetup

TechCrunch Tokyoでは現在、一般来場者向けの「前売りチケット」(3万2000円)、設立3年未満(2016年10月以降に設立)のスタートアップ企業の経営者や従業員向けの「スタートアップチケット」(1万8000円)、同じく設立3年未満のスタートアップが対象でデモブースの出展と来場者チケット2枚ぶんが付属する「スタートアップデモブースチケット」(3万5000円)、学生向けチケット(1万8000円)、5名以上の一括申し込みで購入できる「団体チケット」(2万円/枚)、会場内のAホール前列の指定席と専用の控え室を利用できる「VIPチケット」(10万円)を発売中だ。なお、学生チケットでの入場の際は学生証の提示が必要となる。

前売りチケットとスタートアップデモブースチケットの販売は本日10月31日まで。11月1日からは一般チケット(4万5000円)の販売に切り替わる。

チケット購入はこちらから

月額16.8万円からのパーソナルドクター「Wellness」のベータ版提供開始、3500万円の資金調達も

パーソナルドクターサービス「Wellness」(ウェルネス)を運営するウェルネスは10月23日、同サービスのベータ版の提供開始を発表した。同時に、インキュベイトファンドと佐竹義智氏、中島聡氏、藤岡大祐氏、複数の医師を含む個人投資家を引受先とした約3500万円の第三者割当増資の実施も明らかにした。

Wellnessは、身体や心の課題・リスクと向き合い、ヘルスリテラシーを高めて効率的に予防ケアを行うためのパーソナルドクターサービス。健康理解度や課題を踏まえて専用のカリキュラムを考案してくれるほか、日々のオンラインコーチング、週1回のホテルのラウンジや自宅での対面レクチャーなどが受けられる。カリキュラム(プラン)は、月額16万8000円のベーシック、月額29万8000円のスタンダード、月額42万8000円のプレミアムの3種類が用意されている。それぞれレクチャーを受けられる期間と回数が異なっており、ベーシックは約1カ月間でレクチャー計4回、スタンダードでは約2カ月間でレクチャー計8回、プレミアムは約3カ月間でレクチャー計12回となっている。

同サービスは、創業者である中田航太郎氏が自らが医師として働いていたときに感じた患者との意識のズレを解消することを目指して開発されたそうだ。患者の中には、人間ドックの活用法がよくわからず、年齢や生活習慣に応じて適切な検査を受けてない人が多く、その検査結果を正確に読み解くことも難しいという現状があった。Wellnessでは、そういった患者に対して今後の健康を改善するための知識を提供する。具体的には、太っていると自覚している人には人間が太ってしまうメカニズムを解説しつつ、生活習慣に合わせて食事のタイミングや内容を提案してくれる。さらに肥満がリスクになる病気や、体重だけではなく血圧やコレストロールにも配慮した食事についてもレクチャーとコーチングを実施する。

同社では現在、有料カリキュラムを利用する前の無料カウンセリングを実施中だ。医師が専門的な立場かヒアリングして「健康上のリスクや課題」「健康のために知っておくべきこと」の2点をチェック後、専用のカリキュラムを提案してくれる。

ライフタイムベンチャーズが最大10億円規模の2号ファンドを設立

ライフタイムベンチャーズは8月13日、インキュベイトファンド、アフラック・イノベーション・パートナーズ、個人投資家より出資を受けたことを発表。2号ファンドを最大10億円で設立し、デジタルヘルス、インダストリークラウド、クロスボーダー・ジャパン領域へのシード投資を開始した。

ライフタイムベンチャーズは、プレシード/シード特化型ベンチャーキャピタル。代表パートナーの木村亮介氏は、インキュベイトファンドでの4年半の企業支援を経て、2017年1月に同ファンドを設立。1号ファンドでは、Rehab for JAPAN、ウーオ、IMCFなど9社の投資・支援を行ってきた。2号ファンドでは、プレシード・シード期の企業は1社あたり3000万円前後、シリーズA以降の企業にはフォローオン投資を含め1社あたり最大8000万円を投資し、ハンズオン支援を実施するとのこと。具体的には、週次で個別定例ミーティングを実施し、プレシード・シードステージのスタートアップ企業に必要とされる経営戦略の策定から実行支援までを行う。投資分野の詳細は以下のとおり。

デジタルヘルス分野では、ヘルスケアAI、ヘルスケアIoT、デジタル医療機器(SaMD)、医療機関向けSaaS/PaaS、介護事業者向けSaaS/PaaS、ライフサイエンス企業向けSaaS・PaaSなど、デジタルテクノロジーを活用した医療・介護・健康関連サービス全般を対象とする。

インダストリークラウド分野では、電力、物流、製造業、金融、不動産、教育、行政など、特定業界のデジタルトランスフォーメーションに特化したSaaS・PaaSなどのクラウドサービス全般を対象とする。

クロスボーダージャパン分野では、インバウンド宿泊・体験予約、外国人採用・研修、外国人居住・生活支援、越境D2Cコマース、越境決済プラットフォーム、多言語化対応SaaS・PaaSなど、日本を基軸としたインバウンドまたはアウトバウンド関連サービス全般を対象とする。

給与即日払いのペイミーが7億円調達、今冬に決済プラットフォームを実装へ

ペイミーは7月8日、7億円の第三者割当増資を発表した。引き受け先は、ミクシィ、サイバーエージェント、インキュベイトファンド。

同社は、給与即日払いサービス「Payme」を運営している2017年7月設立のスタートアップ。勤怠データとPaymeを連携させることで、実労働時間から給与計算を即時に実行して即日払いを実現するのが特徴だ。導入企業は、飲食チェーン、人材派遣、小売、コールセンター、 アミューズメント、物流など250社を超え、累計流通金額は15億円を突破、導入先従業員数は12万人に達しているとのこと。利用できる金額の上限は、その日までに稼いだ額の70%まで。この範囲内であれば1000円単位でいつでも即日払いを申請できる。

今回の資金調達で同社は、Payme上に決済プラットフォームとしての新機能を今冬をメドに実装する予定だ。従来の「口座受け取り」以外の受け取り手段を追加することで、キャッシュレス化を推進し、資金の偏りによる機会損失をなくすことを目指す。

なお現在同社は、エンジニア、セールス、PR、マーケティング、コーポレートの5つの職種で人材を募集している

日本酒接客支援ツール開発のSAKELOGYが総額4200万円を調達

日本酒接客支援ツールを開発・運営するSAKELOGYは6月26日、総額4200万円の資金調達を発表した。内訳は、インキュベイトファンド、ALL-JAPAN観光立国ファンド、個人投資家の曽我健氏を引受先とした第三者割当増資と、北國銀行からのデットファイナンス(借り入れ)となっている。

社名と同名のサービス「SAKELOGY」は、日本酒のデータベースを利用した日本酒メニューの作成システム。飲食店や小売店が自店の日本酒銘柄のメニューをクラウド上で簡単に作成できるのが特徴だ。

来店客は、スマホやタブレットを使って、店舗側が提供する日本酒に合った飲み方や酒の肴を選ぶことができる。なお、メニューは英語に切り替えることも可能だ。

ワインと同様に種類や産地が多岐にわたる日本酒の銘柄を詳しく説明するには、前提となる知識や経験が必要で、スタッフをトレーニングするにはかなりの時間がかかる。SAKELOGYではこういった問題を解消するために開発されたサービス。前述のように英語メニューへの切り替えにも対応しているので、インバウンドの需要も取り込める。同社は、日本酒の出荷量を現在の2〜3倍へ押し上げることをミッションに掲げている。

SAKELOGYでは今回の資金調達により、石川県内でのパートナーシップの拡大とSAKELOGYの導入を検討している顧客へのサポート強化を目指すとのこと。ちなみに石川県を重視しているのは、同社が2018年9月に石川県で開催されたビジネスコンテストで賞を獲得し、同県拠点の北國銀行や行政、酒販店の協力によって県内400銘柄の日本酒データベースを構築しているためだ。2019年後半には、石川県以外の北陸、関西にエリアを拡大してデータベースを充実させるとのこと。その後、順次全国をカバーして海外進出も目指す。

AI駆使で要介護者見守りや在宅透析治療管理、学生スタートアップが8000万円調達

METRICA(メトリカ)は、インキュベイトファンドとライフタイムベンチャーズ、およびエンジェル投資家を引受先とした第三者割当増資などにより、総額8000万円の資金調達を完了した。

METRICAは、慶應義塾大学に通う現役学生である西村宇貴氏らが立ち上げた医療系スタートアップ。高齢化により医療に対する需要が高まっている半面、国内の約40%の病院が赤字経営。しかも医師や看護師、介護士の労働時間は一般企業に比べて極めて長時間。そのため人件費がかさむ。同社は、この悪循環をAIを駆使して解決することを目指す。

人手不足を補う手段の1つとして海外からのスタッフの受け入れがあるが、言語の問題で情報の共有が難しい。そこでMETRICAは、外国人介護スタッフ向け電子介護記録を開発。具体的には、医療・介護向けにチューニングした自動翻訳機能を備えた介護記録アプリと、サーバーサイドでの翻訳精度の学習機能により、情報の共有を容易にする。

要介護者がベッドにいるか、部屋にいるか、どれぐらいの速度で歩いているか、きちんと歩けているかなどをカメラとAIを駆使して分析し、転倒や夜間の離室、認知症による異常行動を検知するシステムも開発中だ。これにより、介護士が常時監視しなければならない精神的負担を軽減するという。

さらに近年増加傾向にある透析患者向けのソリューションもある。知的財産権を申請中とのことで具体的な仕組みは不明だが、在宅での腹膜透析をAIを利用して効率的に管理するシステムを開発中とのこと。

METRICAでは今後、これらのプロジェクトを提携パートナーと進めていくとのことで、今回の資金調達は開発チームを強化するための人材募集にあてる。

スタートアップのチーム作りを創業者・VC・人材会社が語る:TC School #14レポート2

TechCrunch Japanが主催するテーマ特化型イベント「TechCrunch School」の新シーズンが4月10日、スタートした。新シーズンは、スタートアップのチームビルディングをテーマに、全4回のイベント開催が予定されている。

今シーズン初回、そしてTechCrunch School通算では14回目となった今回のイベントは「チームを集める」が題材。起業時の創業メンバー、設立後の初期メンバーに続く中核メンバーの採用に焦点を当て、講演とパネルディスカッションが行われた(キーノート講演の模様はこちら)。

本稿では「TechCrunch School #14 Sponsored by engage」のパネルディスカッションの模様をお伝えする。登壇者はMeily代表取締役CEO 川井優恵乃氏、レキピオCEO 平塚登馬氏、インキュベイトファンド ジェネラルパートナー 村田祐介氏、エン・ジャパン執行役員 寺田輝之氏の各氏。モデレーターはTechCrunch Japan 編集統括の吉田博英が務めた。

スタートアップ、VC、人材会社に聞くチーム組成

Meilyの川井氏とレキピオの平塚氏には、アーリーステージのスタートアップ経営者として、今まさに行っているメンバー集めの状況や課題について、赤裸々に語ってもらった。また、キーノート講演にも登壇した村田氏とエン・ジャパンの寺田氏からは、これまで数多くのチームビルディングや採用の事例を見てきた経験から、アドバイスをうかがった。

まずは各氏から自己紹介があった(村田氏とインキュベイトファンドの紹介はキーノート講演レポートを参照してほしい)。

トップバッターはエン・ジャパンの寺田氏だ。寺田氏は2002年、当時スタートアップだった人材サービスのエン・ジャパンに入社し、現在は執行役員を務めている。また2018年に設立されたLINEとのジョイントベンチャーで「LINEキャリア」を運営するLENSAの代表取締役にも就いている。

エン・ジャパンでこれまでに「エン転職」「キャリアハック」「カイシャの評判」といったウェブサービスを立ち上げてきた寺田氏が、現在力を入れているサービスは「engage(エンゲージ)」だ。

2016年に「3人でプロダクトを立ち上げた」というengageは、企業が無料で独自の採用ページが持てる採用支援ツール。「求人情報が広く届けられるように、企業にもっと情報発信してもらいたい」という思いから生まれたそうだ。

「立場上、採用側、求職者の両方から話を聞くが、採用する側からは『なかなか採用ができない』、求職者からは『人材サービスに登録されている求人しか、選択肢がない』という声が多い。それならば、求人したい企業が自社の採用情報をもっと発信できるようにすれば、求職者にとっても良いのではないか、と考えたサービスがengageだ」(寺田氏)

engageは現在19万社が利用中で、今では、毎月1万社ベースで増加しているという。

engageでは、自社独自の採用ページ作成ツールのほかにも、遠隔地や時間が合わない求職者とのビデオ面談ツール「Video Interview(ビデオインタビュー)」や、自社とのカルチャーフィットを数値で可視化できる適性検査「Talent Analytics(タレントアナリティクス)」、入社後の早期離職を防止する「HR OnBoard(エイチアールオンボード)」といった採用支援ツールも提供する。また、Googleの検索結果やIndeedなどのサイトにも、求人情報が自動掲載されるようになっている。

寺田氏は「engageは人材を集めるだけでなく、定着までの採用支援ツールをワンパッケージで提供している。ずっと無料で使えるので、これからチームづくりを行うスタートアップにはぜひ、お勧めしたい」と話す。

続いて紹介があったのは、レシピアプリを提供するレキピオの平塚氏。アプリ「レキピオ」は、いま家にある食材を選ぶと、AIがメニューを提案してくれるというものだ。

和食、洋食などの好みや食事の相手、人数といった条件を選べば、登録した食材とあわせて推測を行い、メニューが提案される。料理を選択すると、詳しいレシピとともに足りない食材が表示されるので、買い物にも便利。選んだメニューを実際に作るときには、食材を使い切ったかどうかをチェックすることで、次のメニューを考えるときに生かすことができる。

平塚氏は京都出身で先月大学を卒業したばかり。在学中にレキピオを設立して、現在約1年半が経過したところだ。2018年の秋にシードラウンドで合計約5000万円を資金調達し、現在は東京で事業を展開している。

最後にMeilyの川井氏が自己紹介。Meilyは美容医療のリアルな情報を得られるサービス「Meily」を提供している。川井氏は自身が美容整形を行っていて「合計500万円ぐらい、(自動車の)LEXUSが買えるぐらい費やした」という。

「美容医療の利用者は日本では少ないのではないかと思われているが、実は整形大国と言われる韓国よりも日本の方が施術件数は多く、しかも年々成長している」と川井氏。「美容医療の市場規模が年間7200億円、そのうち約20%が広告に投下されると考えると、およそ1400億円〜2000億円のマーケットがある」と同氏は分析している。

容姿について「コンプレックスをなくして生きたい」と美容整形を決意した川井氏は、情報収集を始めたのだが、検索サイトではクリニックのホームページや広告ばかりが表示され、「二次情報に対する不信感が否めなかった」と語る。またクリニックへカウンセリングに通っても「医師や看護師の言うことも信じられない」状況。実際に顎の施術後に2カ月間、顎が長い状態が続き、医院から「大丈夫」と説明されても、ずっと不安を感じたまま過ごしたこともあるそうだ。

「美容整形をするユーザーは、実際に施術を受けた人の意見が知りたいんです」と語る川井氏。情報収集を行うため、TwitterやInstagramで自身も情報発信を行っていたそうだが、まず「検索に情報が引っかからない」、そして「SNSでは質問しづらいし、したとしてもフォロワー数が少ない人では回答が得にくい」、さらに「症例は、知っている病院のホームページで見るしかなく、探しづらい」という3つの課題があることが分かったという。

この3つの課題を一度に解決できる、「美容医療情報の検索」「ユーザー同士のQ&A」「クリニックの症例紹介」機能を備えたアプリとして、Meilyは2018年4月に作られた。

欲しい人材、機能を手に入れるためには

パネルディスカッションは、まずレキピオ平塚氏、Meily川井氏にチームビルディングに関する質問に答えてもらい、採用の専門家である村田氏、寺田氏からは、それに対して経験談やアドバイスをもらうという形で進められた。

最初の質問は「会社をどれぐらいの規模、人員にしたいと考えているか」というもの。平塚氏は「世界のリーディングカンパニーを目指すというビジョンを掲げているので、規模には際限はない。できる限り高みを目指したい」と回答した。

レキピオCEO 平塚登馬氏

とはいえ「直近の話で言えば、少数精鋭にしておきたい」という平塚氏。「現在、副業なども含め、全部で10人ぐらいの従業員がいるが、今はちょっと会社規模に対して大きいのでは、という状況。人員を増やしすぎると意思決定がふらつくし、マネジメントコストもかかる。人数が少ないときの方がスピードが出るな、ということは感じている」として、「会社の規模自体は今後大きくしていくが、比較的、少数精鋭になるようにしていきたい」と述べている。

初期メンバーの人員について、村田氏は「理想は社長がコードを書けること。1人フルスタックの人がいれば、意思決定に迷わずに、すごく簡単にプロダクトが作れる。最低限のコードが書ける人が何人もいるよりも、スカッとプロダクトが作れる人が1人いれば、少数精鋭も実現できる」と話す。

「最近ではクラウドソーシングも便利になってきている。ルーティンワークについては『顔が見えなくてもいい』と割り切って、そういう人へ振るのもよいのではないか」(村田氏)

川井氏は「会社規模、人員についてはそれほど深くは考えていない」と言う。現在Meilyには、フルタイムで川井氏を含めて7名がいる。

大学在学中だった創業時、理系学部の友人にもエンジニアの紹介を頼んだそうだが「(学業など)タスクが多すぎて無理」と断られ続けた川井氏。創業メンバーは、イケメン探しに使っていた「Tinder」で見つけたという。そのチームの作り方も独特だ。

「Tinderで肩書きに“UX/UIデザイナー”と書かれた人を見つけて、スーパーライク(超いいね)を送った。返信が来たので『アプリを作りたいので、会って話を聞いてください』と言って会い、企画書を見せたところ、興味を持ってくれた。何度もディスカッションを重ねていくと、その人が『実はチームを持っている』と言うので、最後はチームごと引き抜いた」(川井氏)

川井氏が今後募集したい人材は、マーケティング担当者だという。

「どのスタートアップに聞いても、マーケティング担当はみんな探している。ゼロイチのフェイズに参加してくれる人で、数字を見て改善ができ、どのチャネルを使えばいいか選定できる人は、本当にいない」(川井氏)

村田氏は、ネットを使ったプロダクトのマーケティング手法に関しては「Googleでアカウントエグゼクティブをやっているような人に、一度方法を聞ければ、ずっと使える知識が身につく」として、採用するというよりも、知識のある人にレクチャーを受けることを勧めている。

Googleのリスティングにせよ、FacebookのAdネットワークにせよ、やり方が分かれば、後はひたすら運用するだけだという村田氏。「効率的なCPAへ落とし込むためのゴールは確実にある。フレームワークを一度作れば、誰でも回せるようになる」と話す。

またクリエイティブの選定に関しても、広告配信のパターンと同様にいくつかのパターンを用意してテストを行い、効率の良いものだけを残すということを繰り返していけば、パフォーマンスの良いものだけが残っていく、と村田氏。「それを実施するだけでも、とてもいいマーケティングになる」という。

今後募集したい人材へ話を戻そう。レキピオでは「僕がビジネス面やマーケティングを1人で担当しているので、エンジニアをひたすら集めている」と平塚氏は言う。

「特定の技術スタックにはこだわらない。初期のスタートアップにエンジニアとしてジョインしようと思ってくれる人なら、熱量は間違いなくある。開発環境も悪い状況で入ろうと思ってくれている時点で、スキルはあると考えている。例えばJSしか業務で使っていなかったとしても、そういう人はバックエンドも書けるようになる」(平塚氏)

寺田氏は、エンジニア採用のコツについて、このように説明している。

「1カ所に掲載された採用情報を見ただけでは、エンジニアも企業を判断できないはず。だから、いろいろなところで、いろいろな角度から情報を出しておくことが大事だ。今いるエンジニアたちが、どういう人が良くて、どういう人はちょっと違うと思っているのかをブレストして出してみると、何となく自分たちが評価する/評価しないエンジニア像が分かってくる。そこで分かった『求めるエンジニア像』や、用意している環境、やっていきたいことを、場を持って発信していくといい」(寺田氏)

みんなが利用するサービスでのスカウト合戦よりは、そこで興味を持ってくれた人に、より深く理解してもらえる場へ誘導して、説得することが大切、という寺田氏。「これはエンジニアに限ったことではなく、採用の悩みを抱えている企業が取るべき、基本的なスタイルだ」と述べている。

カルチャーフィットは“間”で見極める

平塚氏は「どんなエンジニアでも採用したいというわけではなく、今のメンバーと仲良くできなさそうであれば、どれだけ技術スタックが高くても採用しない。チームブレーカーではない、“いい奴”を探している」という。

ではスタートアップの人材採用では必ずというほど課題に挙がる、採用候補者とのカルチャーフィットの見極め方はどのようにしているのだろうか。

「スタートアップの人たちには、エンジニア出身の人も多いし、真面目な人が多いけれども、僕はその正反対。プライベートでも攻撃的な人間だ」という平塚氏は、「自分の意見をはっきり言わない人や、ぼそぼそとしゃべる人、挨拶に勢いがない人だと、面接が10分ぐらいで終わってしまうこともある」という。

「『言い方が怖い』と言われることもあるので、4〜5人で向かい合って毎日仕事をしている現状では、それに耐えられる人でなければフィットしないかなと思う」(平塚氏)

Meily代表取締役CEO 川井優恵乃氏

一方、川井氏は、今、採用で一番重視していることとして「絶対に辞めないかどうか」を挙げる。

「途中で辞められたら本当に困る。市場は絶対にあるので、後はやりきるかどうかだと思っている。できない理由を探す人ではなくて、どうにかする。その覚悟があるかどうかというのを一番見ている」(川井氏)

Meilyの創業メンバーは現在、川井氏以外に6人いるが、「2回資金ショートしても、受託業務でも、アルバイトしてでも何でもやって、絶対にやり遂げる」と言ってくれているそうだ。性格が合わないときもあるが「本当に信頼している」という川井氏。「同じような人を探すとなると、やはり、そこの部分が重要」と話す。

村田氏は、スタートアップの創業初期に加わる人の見極め方について「社員数が少ない時点では、相手と自分の“間”、話すテンポや、自分の理解のスピードと近いかどうかという点が大事だと思う」と語る。

「優秀かどうかというよりも、一緒に仕事をしてうまくいくことが大切。優秀さは会社がある一定のところへ到達するまでは、あまり関係ないのではないかと感じる。だから最低限、絶対にこの人は裏切らない、嘘をつかない、コミットメントが高い、というところ以外を見るとすれば、コミュニケーションが楽だ、うまく合いそうだと思ったら、すぐに採用した方がいい。逆にすごく優秀だと言われている人であっても、そこが合わないとムチャクチャになってしまう可能性が高い。だからスキル重視ではなく、人物重視というのはすごく大事だ」(村田氏)

寺田氏も「僕も“間”は重要だなと思っている」と発言。「飛行機が飛ばなかったとして、そいつと一緒に一晩過ごせるかというテスト(Googleの採用面接で面接官の判断基準となっている『エアポートテスト』のこと)と同じで、それくらいの関係性になれるかどうかということは重要。空気感は平塚さんが言うように、会ってみなければ分からないし、話してみないと分からないということはあるな、と感じている」と話している。

さらに寺田氏は「『こいつは合うな』と思った後、適性検査を互いに受けている」という。検査結果では「仕事上の何に対してやる気を出すか、その傾向が近いかどうか。それと何にストレスを感じるかを見ている」という寺田氏。

「まず面接でフィーリングが合うかどうかを判断した上で、科学的に数値でも見る。必ずしも全てが一致していなくてもいいんだけれども、採用する側としては、そこはマネジメントしていかなければならない部分。『カルチャーは合うけれども、こういうところにストレスを感じやすいなら、こう接していこう』といった入社後のオンボーディングにも役立つ」(寺田氏)

スタートアップの“ゴールデンタイム”は1年半

「現在の事業をいつごろまでに軌道に乗せ、新規事業などの次のフェーズへ移るつもりか」という質問には、平塚氏は「この1年が勝負」と回答。「今のアプリではマネタイズは想定されていないので、これをどうお金に換えていくか、新規事業の立ち上げなども検討しているところ。あと1年で軌道に乗せたい」ということだ。

川井氏は「半年で軌道に乗せる」と答える。「現在、Meilyと同じ領域の会社が3社いる状態。プロダクトも似ているので、スピード感と規模感が必要だ。いずれも大型調達へ向かって動いていて、半年以内には結果が見えてきてしまうので、この半年が勝負だと思っている」(川井氏)

左:インキュベイトファンド ジェネラルパートナー 村田祐介氏、右:エン・ジャパン執行役員 寺田輝之氏

スタートアップの“ゴールデンタイム”について、村田氏はこう話している。

「会社を作ってから1年半は、創業者にとってはエンペラータイムのようなもの。『起業すると思っていた』『お前ならきっとやれる』と周りからも言ってもらえるし、自分自身も寝ないで仕事ができるほど、すごいエネルギーが出ている。それが1年半ぐらい経つと、周りも何も言わなくなるし、自分も自信を失う瞬間が少しずつ増えていく。だからこのタイミングまでに、強いチームを作れるかどうかがすごく大事だ」(村田氏)

村田氏は、プロダクト・製品も大事だが、チームこそがスタートアップでは重要だと説く。「先ほどの川井さんの話にもあったが、お金がなくても会社は続くと僕は思っている。強いチームが作れていれば、受託でもやろうとか、絶対にエンジェルが現れるはずだとか、必ずサバイブできていくという面がある。創業1年半で、いかに強いチームが作れているかが大事だ」(村田氏)

寺田氏は「創業初期では、エンジニアとPRをいかに集められるかが重要。engageは、アーリースタートアップでは、思いにコミットしてもらえて、一緒に学びながら運営してやっていけるような若いメンバーを探す、という使い方をされている企業も多い」と初期のチームづくりに関して語っていた。

初期チーム採用について質疑応答

最後に会場からの質問に対する登壇者からの回答をいくつか紹介しよう。

Q:CXOを入れるタイミングは?

「いい人がいたらすぐに入れたいところ。出会った日が吉日だ。まとまったトラクションができていて、資金調達ができたら即入れるべき」(村田氏)

Q:採用に関連して企業が発信すべきことは?

「いいところも悪いところも含めて、すべての情報を発信すべき。エン・ジャパンでは、採用された人が入社した後にどれだけ活躍できるかということを重視しているが、1年以内の早期退職の理由は3つ。1つ目は、入社前と後でのギャップ。入る前と後とで『違う。聞いていなかった』となると辞めることになるので、これを防ぐには全ての情報を出すしかない。2つ目は直上の上司のパーソナリティが合わないこと。3つ目は仕事量だ。仕事量に関しては、多すぎても少なすぎても辞める原因になる。スタートアップだと『張り切って入社したが思ったより仕事がない』とか『想像はしていたけれど、それ以上に忙しかった』とか、いろいろなパターンがあり得る」(寺田氏)

Q:創業後のエンジニア採用で大事なことは?

「ノンエンジニアが会社を作った場合は、リファラルが大切。知り合いの知り合いの技術者などに、リファレンスが取れるかどうかが全て。信じられるエンジニアかどうか、聞ける人を1人以上は確保して、声をかけまくるというのがポイント」(村田氏)

Q:チームブレーカーの出現を未然に防ぐための価値観の共有方法は?

「ミッション・ビジョン・バリューが早期に決められるスタートアップならよいが、なかなか決められないものだ。そこで、KPTというフレームワークを利用する方法がある。週1回ぐらい、メンバー全員が今自分が取り組んでいることについて、Keep(継続すべきこと)・Probrem(解決すべき課題)・Try(新たに取り組みたいこと)の3つに分けて付箋紙に書き出して、並べてその場で共有するというもの。うまくファシリテートできる人がいるなら、間違いなくこれはやった方がいい。メンバーが、自分の手がけていることをやるべきか、止めるべきかを共有することができる」(村田氏)

「僕たちは、engageのTalent Analyticsを年1度、メンバー全員で受けている。性格や価値観は変わるもの。定期的に診断すると、家庭の事情などで変化が大きい人が出てきて、重視する項目が変わるのが可視化できる。また、Talent Analyticsでは、例えば『主体性』といった項目を偏差値で表すことができるが、数値で把握できることは大切だ。直属の上司・部下がどういった価値観を持っているのかを、データで把握できるとよいと思う」(寺田氏)

Q:創業者間の持ち株比率は何%が理想?

「代表が100%保有するのが分かりやすく、おすすめ。メンバーには後でストックオプションではなく、生株で渡すのもよい。投資家の立場からすると、上場前にメンバーの持分が5%だと『めっちゃ渡している』という感覚。ガバナンスを明らかにする意味でも、代表ができるだけ持っておくのがベスト」(村田氏)

「僕も100%を勧める。腹を決め、決断できる人が持っているというのが分かりやすい構造だ」(寺田氏)

 

次回もチームビルディングをテーマに「TechCrunch School #15 Sponsored by engage」を開催予定だ。イベント開催時期が近づいたら、TechCrunch Japanでもお伝えするので、ぜひ楽しみにお待ちいただきたい。

スタートアップの初期チーム組成の事例と陥りやすいワナ——TC School #14レポート1

TechCrunch Japanが主催するテーマ特化型イベント「TechCrunch School」の新シーズンが4月10日、スタートした。新シーズンでは、スタートアップのチームビルディングをテーマに、全4回のイベント開催が予定されている。

今シーズン初回、そしてTechCrunch School通算では14回目となった今回のイベントは「チームを集める」が題材。起業時の創業メンバー、設立後の初期メンバーに続く中核メンバーの採用に焦点を当て、講演とパネルディスカッションが行われた。

本稿では、そのうちのキーノート講演の模様をお伝えする。登壇者はインキュベイトファンドでジェネラルパートナーを務める村田祐介氏だ。講演では、創業期の投資・育成にフォーカスしたベンチャーキャピタルとして、これまでに手がけてきた投資先スタートアップのチーム組成の例と、チームビルディングで陥りやすいワナについて、語ってもらった。

インキュベイトファンド ジェネラルパートナー 村田祐介氏

インキュベイトファンドは、創業期のスタートアップに特化した独立系のベンチャーキャピタル(VC)だ。

「良い会社を見つけてきて、審査して投資するというのではなく、良い会社を作りそうな人を見つけて、一緒に会社を立ち上げていくという形で、これまでに関連ファンドの出資先を含めて300社以上を創業から支援。累計400億円以上の資金を集めて、これらの会社に出資してきている」と村田氏はインキュベイトファンドの歩みについて説明する。

これまでIPOは20社超、M&Aで約30社をエグジット。ほかにも急成長中のスタートアップを多数支援しているという。

また、通常の投資・育成とは別に、アクセラレーションプログラム「Incubate Camp」を2010年から主催。同社以外も含めたVCのジェネラルパートナー級の投資家たちと起業家たちを集め、泊まりがけで毎年行われるこのプログラムには、これまでに約200名の起業家が参加。参加企業の累計調達金額は約200億円、上場企業も出ており「非常にいいイベントになってきている」と村田氏は話す。

村田氏自身は、学生起業をして3年後に失敗しエグジット。その後キャピタリストとなって現在17年目、インキュベイトファンドを共同代表として設立して10年目になる。日本ベンチャーキャピタル協会にも携わり、スタートアップにより大きな成長資金が集まるような活動も行っている。

インキュベイトファンドにおいては、ジェネラルパートナーとしてスタートアップと関わる中で、共同創業者を探して連れてきたり、会社がスタートしてからの人材確保など、チームビルディングも組織的に行っているという。その経験から、まずは創業チームの組成について「特徴的な3社」を紹介してもらった。

スピード上場を果たしたGameWith、U25の少数精鋭チーム組成

GameWithは、2013年創業のゲームメディア事業会社。代表の今泉卓也氏は23歳のときにGameWithを設立し、30歳未満で東証マザーズに上場した。ゲームの攻略メディアとコミュニティも運営しているGameWithは、国内最大級のゲームメディアへと成長。MAU(月間アクティブユーザー)が4000万前後で推移しているという。

GameWithは2013年の設立だが、今泉氏はその前の2011年、コスモノーツというゲーム会社を立ち上げ、CTOとして参画していた。コスモノーツは「まさにチーム組成に大失敗してしまって、結果的に解散するところまで行った」(村田氏)。ということだが、その解散の役員会で次の会社を立ち上げようという話になり、設立されたのがGameWithだという。

「創業前に今泉さんと僕の2人でスタートし、プロダクトの原型を手がけていった。まだ会社を作る前の段階から、インキュベイトファンドからの出資をコミットし、ヤフーからの出資も取り付けてスタートした」(村田氏)。

創業チームは全員アンダー25歳の5人。「創業時は『完全にコミットしたい』という今泉さんの思惑から、巣鴨の住宅街にあるマンションを借り、それぞれが自分の部屋に住んで、リビングがオフィス、という形を取っていた。」(村田氏)。

2013年6月に創業、9月にメディアをリリースしてから、年末までに100万MAUまで一気に伸びたというGameWith。創業メンバー5人に加えて1人目を採用したのは、2013年の暮れから2014年初にかけてのころで、mixiにいたエース人材を「飲んで口説いた」と村田氏は言う。
組織作りに関しては、今泉氏にはある思いがあったようだ。村田氏によれば、コスモノーツを最初立ち上げたときには「経営者も社員もフラットに、和気あいあいとやろうと言って始めた」という。しかし「みんなが不満ばかり言うようになり、統制が取れなくなって失敗した」ということで、GameWithのリスタートに際し、今泉氏は「一定の形ができるまでは文鎮型の組織でトップの統制を強くしたい。決めるのは村田さんと僕だけでいい」と話していたそうだ。

今泉氏自身がエンジニアだったこともあって、トラフィックが1000万MAUを超えるまでは、フロントエンドもバックエンドも彼がほぼ1人で開発していたというGameWith。利益が1億円を超え、2015年が始まろうという頃、初めて外部から幹部として、オプトの14年選手だった眞壁雅彦氏を迎え入れるまでは、「今泉氏+その他」という“文鎮型組織”をずっと維持し続けたという。

2015年のシリーズBラウンド調達のころには、5億PV、2000万MAUを超え、完全に黒字化。「そこでIPO準備を進めようということで、公開準備のための実務担当者と、社外役員としてスクエア・エニックスの元社長(武市智行氏)と元CFO(森田徹氏)、複数の上場経験を持つ人物などを連れてきて、上場のためのチームを作った」(村田氏)。

そして、2017年6月には東証マザーズへ上場。創業時メンバーのうちの二人は上場後の今も執行役員として活躍しているそうだ。アンダー25での創業から、現在30歳を超えたメンバーたちだが「会社の成長とともに、チーム全体がしっかり成長できた一例と言えるのではないか」と村田氏は述べる。

上場直前の正社員は30人程度。少数精鋭だったというGameWithで、特徴的なチームづくりとして、もうひとつ村田氏が挙げたのが、アルバイト採用の基準だ。「ゲーマーをたくさん採用したい、ということで、アルバイトの募集をする際、ゲーム画面のスクリーンショットを送らせた。バイトとして採用した人間を契約社員へ引き上げ、契約社員を正社員へ登用する、という段階構造を作って組織を残してきた」と村田氏は説明する。

天才が天才を呼ぶ構造、落合陽一氏率いるPixie Dust Technologies

続いて紹介されたPixie Dust Technologiesは、メディアアーティストで筑波大学の准教授でもある、落合陽一氏が設立したスタートアップだ。立ち上げ当時、落合氏は東京大学の博士課程にいる学生で、村田氏は「天才がいるので会ってほしい」と言われて紹介され、「とんでもない天才だ」と感じたそうだ。

当時から「音、光、電磁場を波動制御コントロールによって3次元化したい」というようなことを言っていた、という落合氏。誰でも体感できる最先端のテクノロジーを表現することを得意とする落合氏は、研究者としての人生を全うしたいと言いつつ、この成果の社会実装をしていきたいと述べていたそうだ。

そこで村田氏は、スタートアップとして資金調達した方が実現確度が高くなる、とアドバイス。ともに立ち上げたのがPixie Dust Technologiesだ。プロトタイプづくりに必要な資金が4000万円と落合氏から聞き、その場で4000万円を出すと話した村田氏。最初は「デラウェア州の法人でスタートすれば、テクノロジーに対する理解が早い投資家や大企業が国内よりも多いので資金調達または買収の可能性が上がるのではという思惑で、現在の同社の前身となる米国法人を2015年に立ち上げるところからスタートした」そうだ。

落合氏は「(研究もあり)フルコミットは難しいが、4000万円を元手に2年以内にプロトタイプをつくり、それに関わる論文を出し、IP(知的財産権)を取る。そこまでなら、コミットできる」と言っていたという。村田氏は「当初から早期Exitを狙いに行く可能性もあったが、そこまでやれればもっと欲が出てくるはず」と考えて、一緒にスタートすることを決めた。
創業チームには、落合氏の研究者としての“相方”でもあり、後に東京大学助教も務めた星貴之氏が加わり、プロトタイプ完成までの1年半ぐらいを過ごした。当時経営について落合氏は「興味がない、研究だけがしたい」ということで、研究以外の業務を村田氏が巻き取ったという。

プロダクトとしては、音が特定の場所だけで聴こえるというスピーカー「Holographic Whisper」を製作。これらのプロトタイプを作っていく段階で、落合氏は村田氏の思惑通りに「会社としてスケールさせていきたい」と告げたそうだ。

またプロトタイプが出来上がってくると、国内外のメーカーからたくさんのオファーが来るようになり、PoC(実証実験)からスタートして共同製品を開発したい、と声がかかるようになる。このため、これらをクロージングするためのチームづくりに入った。
2017年初には、後にCOOとなる村上泰一郎氏が参画。アクセンチュア出身で社団法人の未踏エグゼクティブアドバイザーも務める村上氏を、落合氏と村田氏は「『COOとしてジョインしてほしい』と飲みながら口説いた」という。

村上氏の参画と同時に、Pixie Dust Technologiesを日本法人化し、本格的な資金調達をスタート。2017年、シリーズAで6.5億円を調達した。NEDOやCREST、AMED、JST ASTEPなどのプロジェクトにも採択され、2019年にはシリーズBとして、数十億円規模の大型調達を予定しているという。

村上氏参画までは、落合氏、星氏の2名体制だったPixie Dust Technologiesだが、この1年ほどで大量に人材を採用した。CFOとして迎え入れた関根喜之氏は、東大発の創薬ベンチャー、ペプチドリームでCFOの任に就き、東証マザーズ、東証一部上場を果たした人物だ。またGoogleでハードウェア部門に在籍していた人物、トヨタ自動車やキヤノンのAIエンジニア、Google Japanの創業メンバーなど、そうそうたる人材がこの1年で参加した。

「チームづくりに落合氏自身も自信を持つようになってきている。この会社は『天才が天才を呼ぶ構造』になっていると思う」(村田氏)。

チームビルディングで陥りやすいワナ

キーノート講演の最後には、村田氏から「チームビルディングで陥りやすいワナ」について、いくつかピックアップして解説があった。

「創業者間での仲違いは、本当によく起きる」という村田氏。「誰が最終意思決定をする人であり、誰がエクイティを大きく持つのか、というのは絶対に最初に決めておかなければいけないこと」と述べている。
「エクイティの保有パーセントが近ければ近いほど、もめ事が起きやすくなって、最終的にエクイティのシェアが低い人が辞めざるを得なくなりやすい。シェアのバランスはすごく慎重に調整した方がいいと思うし、創業者の株主間契約も必ず結ばないと、後で取り返しのつかないことになりやすいので、気をつけた方がいい」(村田氏)。

また「コードが書けるからCTO、コードが書けないからCOO」といった形で、創業メンバーの中からCXOを選んでしまうケースはよくあるが、「これをやってしまうと、後でその人のスペックが足りないということになる可能性が極めて高い」と村田氏は言う。

「ポストは後から用意しても、その中にキレイにハマる瞬間というのが必ずある。トップマネジメントはこの人、と決めたんだったら、あとは一旦フラットな組織にしてしまった方が、構造が明らかで設計もしやすい。後から優秀な人を集めるための素地として、作りやすい」(村田氏)。

チームブレーカーにより組織が崩壊する、というのも「本当にあちこちで起きているケースだ」と村田氏。

「事業がうまく立ち上がってこないことを他責にする人はたくさんいるのだが、課題解決のためによかれと思って知りうるネガティブな情報をあらゆる人に伝えてしまうことで、結果的に情報過多な状態をチーム全体に行き渡らせて、どんどん組織崩壊していくパターンも」(村田氏)。

このパターンは、会社を「より良くしていこう」と思ってモチベーションが落ちている人に対してチアアップしてくれたり、「誰々は今大変な状態にあるから」とカバーするために、自分の知っている情報をチーム全体にまき散らしてしまう人に見られるとのこと。
「本来見えなくてもいい悪い部分だけが独り歩きしてしまって、結果として組織が崩壊していくということは、よく起きている」と村田氏は説明する。

キーノート講演の後、村田氏も参加して、創業期のメンバー集め、チームビルディングに関するパネルディスカッションが行われた。その模様も近日中にレポートとして紹介する予定だ。

なお、実際のキーノート講演では村田氏が関わったもう1社の創業期のチーム組成について語られたが、その場限りの話としてこの記事では割愛している。

スマート水田デバイスを開発する富山拠点の笑農和がインキュベイトファンドから資金調達

創業期に特化した独立系ベンチャーキャピタルであるインキュベイトファンドは4月15日、スマート水田デバイスの「paditch」などを開発・運営する富山県を拠点とする笑農和(えのわ)への出資を発表した。出資額は非公開。

笑農和は今回の資金調達で、従来のサービスの「paditch gate02 」の機能追加を実施し「paditch gate02+」として提供する。加えて、開発およびカスタマーサポート体制強化のため、事務所を移転し人材採用を積極的に進めていくという。

paditch(パディッチ)は、水稲農家向けの水位調整サービス。gate02では、水温、水位を管理できるほか、水門の遠隔開閉、タイマー自動開閉。全体開閉、個別開閉、エリア開閉などが可能。減水時や何かが詰まった際にアラートを発する機能も備える。クラウドで管理されているため、スマホなどからの操作やデータの参照が可能だ。

笑農和はpaditchなどを活用したスマート農業を普及させることで、若い世代の人が農業を職業として選択する未来をつくることを目指す。

TC School 「チームビルディング(1)〜チームを集める〜」は南青山で4月10日で開催、参加費無料

TechCrunchでは、例年11月に開催する一大イベント「TechCrunch Tokyo」のほか、テーマを絞り込んだ80〜100人規模のイベント「TechCrunch School」を開催してきた。昨年3月開催の第13回に続き、今年も4月から新たな「TechCrunch School」がスタートする。

すでに80名超の参加登録をいただいているが、このたび立ち見席を含む座席を若干数増やして受付を続行することが決定した。参加費は無料なので、興味のある読者はぜひ参加してほしい。参加チケットはイベントレジストのTCページから入手できる。

昨年3月に開催したTechCrunch Schoolの様子

4月10日のTechCrunch Schoolは、スタートアップのチームビルディングに焦点を当てた全4回のイベントの1回目。テーマは「チームを集める」で、起業時の創業メンバー、会社設立後に早期に入社した初期メンバーのあとに必要となる中核メンバーの採用に焦点を当てる。

イベントは、キーノート、パネルディスカッション、Q&Aの3部構成。キーノートではインキュベイトファンドでジェネラルパートナーを務める村田祐介氏を招き、これまで手がけてきた投資先スタートアップのチーム組成について語ってもらう予定だ。

パネルディスカッションでは、村田氏のほか、現在アーリーステージのスタートアップ経営者として、Meily代表取締役CEOの川井優恵乃氏とレキピオCEOの平塚登馬氏、そしてエン・ジャパン執行役員の寺田輝之氏の4名で、中核スタッフの採用についての悩みを解消していく。そのあと、来場者を交えたQ&Aセッションとミートアップを開催する予定だ。もちろんQ&Aセッションでは、おなじみの質問ツール「Sli.do」を利用して会場からの質問にも回答する。

イベント会場は、TechCrunch Japan編集部のある東京・外苑前のVerizon Media/Oath Japanのイベントスペース。セッション後はドリンクと軽食を提供するミートアップ(懇親会)も予定している。

起業間もないスタートアップ経営者はもちろん。スタートアップへの転職を考えているビジネスパーソン、数十人の組織運営に課題を抱えているリーダーなど幅広い参加をお待ちしている。

TechCrunch School #14概要

チームビルディング(1) 〜チームを集める〜
開催日時:4月10日(水) 18時半開場、19時開始
会場:Verizon Media/Oath Japanオフィス
(東京都港区南青山2-27-25 ヒューリック南青山ビル4階)
定員:100人程度
参加費:無料
主催:Verizon Media/Oath Japan
協賛:エン・ジャパン株式会社

イベントスケジュール
18:30 開場・受付
19:00〜19:05 TechCrunch Japan挨拶
19:10〜19:30 キーノート(20分)
19:35〜20:15 パネルディスカッション(40分) Sponsored by engage
20:15〜20:35  Q&A(20分)
20:35〜21:30 ミートアップ(アルコール、軽食)
※スケジュールは変更の可能性があります。

スピーカー
・キーノート
インキュベイトファンド ジェネラルパートナー 村田祐介氏

・パネルディスカッション、Q&A
Meily代表取締役CEO 川井優恵乃氏
レキピオCEO 平塚登馬氏
インキュベイトファンド ジェネラルパートナー 村田祐介氏
エン・ジャパン 執行役員 寺田輝之氏
TechCrunch Japan 編集統括 吉田博英(モデレーター)

申し込みはこちらから

MAツール開発のSATORIが12.2億円調達、匿名客へのアプローチ機能を強化

SATORIは2月27日、第三者割当増資により総額12.2億円を調達したことを発表。第三者割当増資の引受先は、インキュベイトファンド、SMBCベンチャーキャピタル、TIS、キャナルベンチャーズなどで、インキュベイトファンドがリードした。

同社は、メール、SNS、 ウェブサイトなどのマーケティング活動を自動化・可視化するマーケティングオートメーション(MA)ツールを開発している2015年設立のスタートアップ(2014年にトライアックス内の社内ベンチャー事業としてスタート)。今回調達した資金を活用して、今後4年で3000社への導入を見込んで、SATORIの機能開発、カスタマーサクセス、パートナー連携を加速させるという。

機能開発については、匿名客へのアプローチ機能を強化。SATORIは、もともと各種データを一元管理するDMPとして開発され、その後セールス&マーケティング担当者向けのMAツールの機能が加わったツールで、「匿名客へのアプローチ」が強みだという。2019年1月時点現在で、国内400社以上への導入実績があるとのこと。

カスタマーサクセスについては、人員を現在の10名から2年で50名まで増員する目標を立てている。パートナー連携としては、新たに100社のパートナーを募集し、金融や不動産、製造、IT、メディア、学校法人などの業種、大手企業やスタートアップ、地域の中小企業などにも対応するそうだ。

小松菜栽培ロボ開発のレグミンがインキュベイトファンドから1億円を調達

レグミンは1月22日、インキュベイトファンドを引き受け先とする1億円の第三者割当増資を実施した。レグミンは、自律走行型ロボットを活用して農業の効率化を目指すスタートアップ。

レグミンで代表取締役を務める成勢卓裕氏(写真左から2番目)と野毛慶弘氏(写真左から3番目)、インキュベイトファンドの代表パートナーを務める赤浦 徹氏(写真右から2番目)

農業ロボットの開発および、AIを活用した生産者向け経営プラットフォームを提供しており、第1弾として小松菜の栽培コストを75%カットすることを目標とした、葉物野菜の種まきから農薬・肥料の散布、収穫までを全自動化するロボットを開発。ロボットによる野菜や障害物位置の自動認識やAI画像解析による農作物の成長状況の把握などによって、農業機械費および人件費の削減に貢献することを目指しているという。そのほか遊休農地の「調達」および、スーパーなどへの「流通・販売」までを一貫して担うことで、生産・流通の両課程の効率化を実現。日本の農業は販売農地が18年前対比で50%減少しているなど深刻な労働力不足に陥っていることから、同社はロボットを活用して日本の農業の持続的な発展に取り組んでいるという。

小松菜などの葉物野菜の収穫を効率化するロボットを開発するレグミン

レグミンの代表取締役を務める成勢卓裕氏は「『日本の美味しい野菜を次の世代にも残したい』という想いで農業界の抱える課題にチャレンジしたいと起業いたしました。若手就農者を増やし、テクノロジーを活用する事で日本の素晴らしい農業を次の世代に、更には世界中に広めていきたいと考えております」。同じく代表取締役を務める野毛慶弘氏は「私は祖父母共に農家の家系で幼少期より農業の手伝いをして過ごしました。静岡銀行で農業関連企業を複数支援した後、退職後は日本中(九州、四国、関東、東海)の農地を巡りました。その後、農業に従事すると同時に地場優良スーパーの青 果部門で働き農業に関する知識を深めました。日本中の農地を巡って洗い出した課題や農業従事や青果部門での勤務による知識を踏まえ、日本の農業をより良くするために起業しました。」とコメントしている。

第三者割当増資の引き受け先であるインキュベイトファンドは、シードスタートアップへの投資に特化した独立系ベンチャーキャピタル。代表パートナーである赤浦 徹氏は「野毛さん、成勢さんの農業にかける想いと人柄に惹かれ、ビジネスモデルの設計からご一緒し、投資させていただきまし た。レグミン社の事業は後継者不足や耕作放棄地の増加など、日本の農業が直面する問題を解決する社会的意義の大き な事業になると考えており、共に事業成長に取り組んでまいります」とコメントしている。

野菜の収穫といえば、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリストであるinahoが開発している、アスパラガス、きゅうり、ピーマン、トマト、ナスなどに対応したロボットもある。人工知能とロボットで日本の農業の深刻な問題を解決するスタートアップの動向については、TechCrunchとしても継続して追いかけていきたい。

元インキュベイト山田氏が独立し、10億円規模の新ファンド「Full Commit Partners」設立へ

Full Commit Partners代表の山田優大氏

インキュベイトファンドのアソシエイトとしてスタートアップ投資を行ってきた山田優大氏は7月3日、主にシードステージのスタートアップを対象としたVC「Full Commit Partners」の設立を発表した(1号ファンド組成は5月16日)。

Full Commit Partnersの投資対象は、原価構造改革、IT・新技術の活用、行政や国との連携を切り口に既存産業の改革に取り組むシードステージのスタートアップだと山田氏は話す。同ファンドはすでに4社へ投資済みだ。

その名の通り、Full Commit Partnersはいわゆる“ハンズオン”を超えて、投資先の経営に深く関わるフルコミット投資を信条としている。そのため、同ファンドではポートフォリオを絞り込み、山田氏が1人でフルコミットできる10社程度に投資対象を絞るという。

投資先の選び方について山田氏は、「“人”に張る。成功する経営者は、熱い情熱を持ち、仕事に対して深くコミットメントでき、PDCAを回せる地頭をもち、ビジネスを行う領域について深い知見をもつ人だと思う。そういった人を発掘したい」と語る。

山田氏は2012年にグリーへ入社。社長室にてコーポレートブランディングや管理部門の予算管理などを担当後、同社の財務戦略部に異動。新規事業の立ち上げに興味をもった山田氏は、2016年にインキュベイトファンドに参画した。

Full Commit Partnersは2018年5月にファーストクローズを行い、インキュベイトファンドからの出資と自己資金により約5億円を調達。年末のファイナルクローズまでに最大10億円の資金調達を目指すという。

“波動”を打って闘うARスポーツ「HADO」開発のmeleapが3億円を資金調達、海外へ本格進出

ストレスがたまってイライラ、もやもや……ああ、こんなときに“波動拳”や“かめはめ波”が打てたらいいのに!と誰しも一度ぐらいは思ったことがあるのではないだろうか。今はいい方法がある。手からビームが出せて、しかも体を思い切り動かして、誰も傷つけずにストレス解消になる、AR(拡張現実)技術を使ったスポーツ「HADO」がそれだ。

HADOを開発するmeleapは11月6日、総額3億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はインキュベイトファンドDBJキャピタルと、SMBCベンチャーキャピタルが運営するファンド。

meleapは、2014年1月の設立。KDDI ∞ LABOの第7期に参加し、2016年5月に開催されたSlash Asia 2016では、ファイナリストに選ばれ、PR TIMES賞を受賞している。2017年8月には、インキュベイトファンドが開催するシードアクセラレーションプログラム「Incubate Camp 10th」で総合1位を獲得した。

HADOは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とアームセンサーを装着して、3 on 3(または2 on 2)で競い合うゲームだ。手から繰り出した「エナジーボール」を相手プレイヤーにぶつけ、敵のライフを削りながら得点を重ね、勝利を目指す。相手からのエナジーボールを防ぐ「シールド」をジェスチャーで作り出して、防御することもできる。

対戦は、プレイヤー以外の観戦者も映像で楽しむことができる。下の動画は、meleap創業者チーム(CEOの福田浩士氏・CAOの新木仁士氏)と投資家チーム(インキュベイトファンドの和田圭祐氏・DBJキャピタルの河合将文氏)による競技の模様だ。

meleapでは、HADOを国内外のショッピングモールやテーマパーク、レジャー施設などにフランチャイズ展開している。PvP型でなくモンスターを倒すタイプのゲーム「HADO MONSTER BATTLE」、「HADO SHOOT!」などのシリーズを含めると、常設店舗は世界9カ国、25店舗、プレイヤー数は延べ60万人に及ぶ。12月には、昨年開催された第1回大会に続き、最大6カ国からの選抜チームが集う世界大会「HADO WORLD CUP 2017」も東京で開催される。

今後さらに海外展開を加速させたいmeleapでは、調達資金により、アメリカ・ロサンゼルスとマレーシアのクアラルンプールに支社を立ち上げ、店舗開拓と顧客サポート体制の強化を目指す。またHADO以外にも、ARを使った新競技の開発を進めていて、来年のリリースに向けて開発体制の強化も行っていくという。

「勝算は集客力」ヤフーがスマホゲーム参入

ヤフーがスマホゲームに参入することがわかった。同社の宮坂学社長が2月4日、2015年第3四半期の決算説明会で明らかにした。ヤフーは今年1月、インキュベイトファンドと共同で「GameBank株式会社」を設立。4月以降、スマートフォンやタブレット向けに、ミッドコアゲーム(カジュアルゲームよりも、やりこみ要素のあるゲーム)やコアゲームを投入していく。

メンバーはゲーム会社出身

開発体制は30人。メンバーのほとんどは、セガネットワークスやコーエーテクモゲームス、バンダイナムコ、スクウェア・エニックスといったゲーム会社出身。今後、1年で80人に増員する計画だ。

GameBank執行役員COOの椎野真光氏によれば、開発費は1タイトルあたり1〜2億円。四半期に1タイトルのペースで投入する。同時に、3〜5億円をかけて海外有力タイトルを日本展開することも視野に入れているという。

圧倒的な集客力でライトユーザー獲得へ

スマホゲームの勝算の鍵は「集客力」だ。ヤフーの月間ページビュー数は約605億PV。ヤフーのサービスを利用するために利用されたブラウザ数(ユーザー数とは異なる)は1日あたり約7600万ブラウザに上る。GameBankはテレビCMに加えて、ヤフーの圧倒的な集客力をフル活用すると、椎野氏は語る。

「コアなゲームはコアなユーザーがだけがプレイすると思いきや、一気にマス広告でライトなユーザーが入ってきたりする。ヤフーの送客を使って、初めてオンラインゲームをやるユーザーをどんどん引っ張りたい。インターネット上で最大のトラフィックを持つヤフーがスマホゲームに参入する勝算は、そこにある。」

なぜ今なのか

ところで、なぜ今なのか。宮坂氏は「前々からゲームを作りたかった」と前置きした上で、こう続けた。「これまではゲームメーカーと組んで『ヤバゲー(Yahoo!モバゲー)』を提供してきて、それなりの大きな規模に成長した。ゲームを作れる人材も増えたので、このタイミングでゲーム事業を切り出そうと考えた」。

なお、インキュベイトファンドはこれまで、Gumiやイストピカ、アクセルマークといったゲーム会社に投資してきた実績がある。新会社では「インキュベイトファンドが持つゲーム分野のアドバンテージをうまく事業にいかしながら進んでいきたい」と宮坂氏は語る。インキュベイトファンドが投資するゲーム会社との連携も検討するようだ。