不況を生き延びたいならプラットフォームフォーマーを目指せ!

世界で最も成功している企業たちを眺めてみると、それらは皆1つの単純なサービスではない。その代わりに、彼らは様々なサービスを持つプラットフォームを提供しており、外部のパートナーや開発者が、それに接続して、提供されているベース機能を拡張できるようにしている。

プラットフォームを目指すことと、実際にプラットフォームの構築に成功することは同じではない。すべてのスタートアップは、おそらく最終的にはプラットフォームとして振る舞いたいと思っているだろうが、実際それを実現することは困難だ。しかし、もしあなたが成功して、提供する一連のサービスが誰かのビジネスワークフローの不可欠な一部となったとしたら、あなたの会社は、最も楽観的な創業者でさえも想像できなかったほどに大きくなり、成功する可能性がある。

Microsoft(マイクロソフト)、Oracle(オラクル)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、そして Amazon(アマゾン)を見て欲しい。どれもみな、リッチで複雑なサービスプラットフォームを提供している。それらはみな、例えサードパーティが宣伝のためにその会社の人気を利用するにしても、サードパーティがプラグインしてプラットフォームのサービスを使う方法を提供する。

The Business of Platforms』(プラットフォームのビジネス)という本を書いたMichael A. Cusumano(マイケル・A・クスマノ)氏、David B. Yoffie(デビッド・B・ヨフィー)氏、そしてAnnabelle Gawer(アナベル・ガワー)氏たちは、MIT Sloan Reviewに「The Future of Platforms(プラットフォームの未来)」という記事を書いた。その中で彼らは単にプラットフォームになるだけではスタートアップの成功は約束されていないと述べている。

「すべての企業と同様に、プラットフォームは最終的に競合他社よりも優れたパフォーマンスを発揮する必要があるためです。さらに、プラットフォームを長期的に存続させるには、政治的および社会的にタフである必要があります。そうでない場合には、プラットフォームは政府の規制や社会的反対運動、および発生する可能性のある大規模な債務によって押しつぶされるリスクがあるのです」と彼らは記している。

つまり、成功するプラットフォームを構築するのは安上がりでも簡単でもないが、成功したときに得られる報酬は莫大だということだ。クスマノ、ヨフィそしてガワーらは彼らの研究が次のことを見出したと指摘している。「……プラットフォーム企業は、(成功した非プラットフォーム企業の)半分の従業員数で同じ売上を達成しています。さらに従来の競合相手よりも、プラットフォーム企業の利益率は2倍、成長速度も2倍そして2倍以上の価値を達成しています」。

企業の観点から、Salesforceのような企業を見てみよう。同社は(特に初期の段階の)比較的少数のエンジニアチームでは、顧客の要求に応じたすべてのサービスを構築することが不可能であることを、ずっと以前から知っていた。

最終的にSalesforceはAPIを開発し、次に一連の開発ツール全体を開発し、API上に構築されるアドオンを共有するための市場を開設した。FinancialForce、VlocityそしてVeevaのような、Salesforceが提供するサービス上で企業全体を構築するスタートアップも存在している。

2014年にBoxWorksのベンチャーキャピタリストのパネルディスカッションで講演した、Scale Venture PartnersのパートナーであるRory O’Driscoll(ロリー・オドリスコル)氏は、多くのスタートアップがプラットフォームを目指しているが、それは傍目で見るよりも難しいと語っている。「狙ってプラットフォームを作れるわけではありません。サードパーティの開発者が関与してくるのは、十分なユーザー数を獲得した場合のみです。そのためには何か他のことをしなければならず、それからプラットフォームになる必要があるのです。プラットフォームとして最初から完成形で登場できるわけではありません」と彼はそのときに語っている。

もし深刻な経済危機の最中にそのような会社を設立する方法を考えているなら、Microsoftが不況の真っ只中である1975年に立ち上げられたことを考えて欲しい。GoogleとSalesforceはどちらも、ドットコムクラッシュの直前の1990年代後半に起業し、Facebookは2008年の大不況の4年前となる2008年に開始した。すべてが途方もなく成功した企業になった。

こうした成功には多くの場合、莫大な支出と販売とマーケティングへの取り組みが必要だが、成功した場合の見返りは莫大なものだ。成功への道が簡単であることを期待してはいけない。

関連記事:How Salesforce paved the way for the SaaS platform approach(未訳)

画像クレジット:Jon Feingersh Photography Inc/Getty Images

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(翻訳:sako)

シリコンバレーの外で成長中、大衆市場を狙うスタートアップたち

【編集部注】執筆者のHans TungはGGV Capitalのマネージングパートナー

シリコンバレーは長きにわたって、現状を打ち破ろうとするテック企業のホームグラウンドとして知られてきた。しかしエンジニアやプロダクトマネージャーといった人材の拡散、ミレニアル世代の影響力の増大、さらにはソーシャルメディアを介したeブランドの台頭といった要素が相互に作用し合い、シリコンバレーの外でも新たな動きが生まれ始めている。

昨年ニューヨークではB2Cビジネスが転換期を迎え、ロサンゼルスもSnapDollar Shave Clubをはじめとするスタートアップの活躍で注目を集めた。

母校に近い都市部での生活を選ぶ新卒生が増える中、シリコンバレーの独占状態は崩れ始め、結果的にサンフランシスコのベイエリアに拠点を置く大手テック企業も、本拠地以外のオフィスを拡大し始めた。特にニューヨークやロサンゼルスといった大都市では、長年コンシューマー向けブランドやエンターテイメント、メディア企業で活躍してきたスペシャリストと”国境なきエンジニア”の間にシナジーが生まれつつある。

例えばシリコンバレーで力をつけたエンジニアと、ニューヨークに蓄積したブランディング、メディア、ファイナンス、ヘルスケア、コマース、製造といった業界のノウハウーーそしてGGV Capitalにとっては友人のようなBoxGroup, First Round, General Catalyst, Greycroft, Lerer Ventures, Max Ventures and Union Squareなどのニューヨークに拠点を置くVCーーが全て合わさることで、さまざまなウェブ・モバイルファーストプラットフォームやeブランドが誕生している。

私たちはミレニアル世代(アメリカ:7500万人、中国:3億人)という名の新しい大衆市場には、途方も無いほどのチャンスが眠っていると考えている。だからこそGGV Capitalは、昨年だけでニューヨークの企業に合計9回もの投資を行ったのだ。

テクノロジー人材の流入

健全なエコシステムの醸成には、大企業と荒削りなスタートアップの共存が不可欠で、人材やアイディア、資金が双方向に流れることで両者にメリットが生まれる。ニューヨークでは既にそのような動きが一定の効果を発揮しつつある。Googleは2008年から2012年の間にニューヨークオフィスの社員数を倍増させ、FacebookやHPも同時期にニューヨークの人材を増強した。そして、このような企業で腕を磨いたエンジニアたちは自らビジネスを立ち上げ、以前からニューヨークで活躍するブランディングやメディアのスペシャリストとタッグを組んでいるのだ。

プラットフォームとブランド

このような文化をまたいだコラボレーションは、大きなビジネスに繋がる可能性を持っている。シリコンバレーは世界でも有数のプラットフォーム発祥地として知られているが、テクノロジー以外の分野では、コンシューマー向けブランドをつくろうという気運が高まっているとはいえない。

ベイエリアでは最先端のイノベーションや、特定の市場の課題を解決するためのプラットフォームの創出に重きが置かれている。その一方で、シャンプーや缶飲料、服といった一般的に消費額の多い日用品となると、シリコンバレーは富裕層に目を向けがちなところがある(400ドルもするWiFi機能搭載ジューサーなどを思い浮かべてみてほしい)。

確かにニューヨークのスタートアップの多くも、これまでは大衆市場ではなく富裕層を主なターゲットにしてきた。しかし、質はそのままに価格だけを下げた商品で大衆市場を狙うWishIbottaPoshmarkといった企業は、未だに需要が満たされきれていない大衆市場の伸びしろに気づいたのだ。

ここからがニューヨークらしいところで、現在街にあふれるデザイナーやマーケターは、大手小売企業を離れて自分たちでEC企業を立ち上げようとしている。

ロサンゼルスでも、約260億ドルの時価総額を誇るSnapや、Unileverに10億ドルで買収されたDollar Shave Club、さらにはMobalyticsMusical.lyMightyをはじめとする急成長中のスタートアップ各社のおかげもあり、スタートアップエコシステムが芽を出し始めた。

生まれ変わるメディア

メディアビジネスもニューヨークのスタートアップの得意分野だ。シリコンバレーで生まれたプラットフォームやツールは従来のメディアビジネスに大きな影響を与えたが、シリコンバレー発のメディア企業という話はほとんど聞かない。その一方で、アメリカメディアの中心地としてのニューヨークの力は衰えておらず、スタンフォード大学が優秀なエンジニアを輩出するように、コロンビア大学ジャーナリズムスクールなどの有名校から数々のコンテンツクリエイターが誕生している。

The Huffington PostとBuzzfeedがSEO・ソーシャルメディア革命の波に乗って大きく成長し、現在ニューヨークでは新しい分野で新たなオーディエンスを狙うメディアビジネスの第2波が到来しつつある。

BuzzfeedBustle(女性向けのオンラインメディアで2013年の誕生以降急成長中)、Refinery29といった企業は、潤沢な資金を持つ在ニューヨークの広告会社との物理的な近さを利用し、売上を伸ばしている。

そして彼らはシリコンバレーのスタートアップとは違う強みを持っている。GoogleやFacebookは、広告主ができるだけ多くの人にリーチできるようなツール・プラットフォームを提供する一方、ニューヨークのメディアスタートアップはそれぞれの強みを活かし、広告主と一緒にミレニアル世代に訴えかけるようなユニークなコンテンツを作っているのだ。さらに生放送のニュースを配信するCheddarやニュースレターのThe Skimm、VR動画のLittlstarといった企業がメディアの境界線をさらに押し広げようとしている。

国中に広がるスタートアップの波

以上の通り、ブランディング・メディアビジネスのメッカとしてのニューヨークの強みが、テクノロジーを活用したeブランド構築の原動力となっている。その一方でニューヨーク以外の都市も、自らの強みとシリコンバレー外に移住するエンジニアのスキルを融合させ、新しいビジネスを生み出そうとしている。

ロサンゼルスで言えばエンターテイメント、シアトルで言えばSaaS(Amazon、Microsoft、Expedia、Zillowなどがそれを後押ししている)、さらに中西部の街では食べ物とテクノロジーを組み合わせたビジネスが誕生しようとしている。シリコンバレーがテック界の潮流をつくるという構図に変化はなくとも、シリコンバレーやベイエリアの外にチャンスを求めている投資家や起業家にも十分望みは残されているのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ユニコーン企業に出会う確率がアメリカで1番高い地域はどこなのか?

【編集部注】執筆者のJason Rowleyはベンチャーキャピタリスト兼Crunchbase Newsのテクノロジー記者。

起業家がよく口にする「スタートアップを始めるのに最適な街はどこか?」という問いは、いつの時代も耳にする、なかなか答えが出ない問題だ。期待をもたせないために先に伝えておくと、この問いに正解はない。テックエコシステムではよくあるように、この問いにはいくつもの要因が絡み合っている。しかし、ひとつだけ言えることがあるとすれば、ネットワークは重要だということだ。

街のネットワーク

ネットワーク理論の中には、「同類性」と呼ばれるコンセプトが存在する。これは、性質の似た個体同士の方が、そうでない個体に比べて繋がり合いやすいということを意味している。つまり「類は友を呼ぶ」ということだ。それでは、もしある起業家がユニコーンクラブ(評価額が10億ドルを超える非上場独立企業の集まり)に入りたい、もしくは資金的な安定を求めている場合、その人はどの都市に拠点を置けばいいのだろうか?

この問いであれば、ちょっと捻りを加えて答えることができる。

活発なスタートアップエコシステムが存在し、ユニコーン企業もしくは調達額が5000万ドルを超える企業の数が多い大都市を見つけるというのはあまりに簡単だし、そこまで意義があるとも言えない(ネタバレ:全てに関してサンフランシスコのベイエリアが1番だ)。

そこで、アメリカでもっともユニコーン企業や資本が潤沢な企業の割合が高い地域について考えてみたい。つまり、ユニコーン企業や調達額の多い企業を、その地域で設立された企業の総数で割った数を以下で確認していく。

スタートアップを始めるのに”最適な”街探し

この調査にあたっては、Crunchbaseに掲載されている、アメリカ中の2003年以降に設立された3万3500社のデータを分析した(Aileen Leeの定義によれば、2003年がユニコーン時代の始まりとされている)。

このデータセットからは、設立前に資金調達を行ったとされる企業は取り除かれている(これは分析結果にノイズをもたらすエラーとした)。というのも、私たちが分析しようとしているのは、ソフトウェアを中心とするプロダクトやサービスを提供している”普通”の企業だからだ。同様に、資本集約的な事業(エネルギー、石油精製・採掘、製薬、医療機器等の生命科学事業)を営む企業も調査対象から外している。

そこから全体のデータを分析し、2003年以降に各地で設立された企業のうち、基準を満たすものをピックアップしていった。もちろん、設立年や拠点情報が掲載されていないために、対象データから漏れてしまった企業も存在するだろう。しかし分析対象となった企業の総数を考えると、これは誤差の範囲におさまる程度だ。

ユニコーンの生息地

ユニコーン企業に関しては、Crunchbase Unicorn Leaderboardを参照し、評価額が10億ドル以上の非上場企業、もしくは既にエグジットを果たした企業を対象とした。その結果、アメリカには現在144社のユニコーン企業が存在することがわかった。以下がユニコーン企業の数がもっとも多い5地域だ。

  • サンフランシスコ・ベイエリア:83社
  • ニューヨーク:22社
  • ロサンゼルス:8社
  • ボストンとシカゴ(同位):5社
  • ソルトレイクシティ:4社

ここまでは予想通りの結果だ。しかし、ユニコーン企業の数を2003年以降に設立された企業の総数で割ることで、ユニコーン企業の密集した地域が導き出せる。

「ユニコーン企業はどこにいるか?」という問いにこんな風に回答を導きだしたことで、規模の小さなスタートアップエコシステムの存在が浮き彫りになるという、意外ながらも面白い結果となった。

多額の資本が集まる成熟したスタートアップエコシステム

ユニコーン企業の分布を見て面白いと感じる人もいるかもしれないが、そこから得られる情報には限りがある。10億ドル以上の評価額がついた企業を144社見つけられたものの、そのほとんどは一箇所に集中しており、それ以外に特段分析すべきようなところもない。

それでは少し視野を広げて、次は”資本が潤沢な”企業の割合が高い地域を見ていきたい。下の地図に、2003年以降に設立された企業のうち、資本が潤沢な企業の割合が高い地域をプロットした。しかし、まずは対象企業の基準について説明しよう。

ここでは累計調達額が5000万ドル以上の企業を”資本が潤沢な”企業と考えた。個々の企業レベルで言えば、ほとんどが設立から数年が経ち、少なくとも資金調達ラウンドを2回経験した企業で、彼らはIPOやM&A、または自己資金での生き残りに向けて比較的順調に進んでいっていると言える。

エコシステムレベルで言えば、調達金額の多い企業がたくさんいるということは、多額の資金を現地企業に投じようと考える投資家がその地域にたくさんいるということを示唆している。あるいは、もしもその地域に投資家があまりいなかったとしても、現地企業には外から資金を調達するだけの力があるということがわかる。

そこからさらに分析結果に磨きをかけるため、2003年以降に設立された企業の数に下限を設定した。というのも、もしある地域で過去14年間に設立されたスタートアップの数が5社しかなく、そのうちの1社が5000万ドルの資金調達に成功したとする。厳密に言えば、その地域で設立された企業の20%が潤沢な資本を持つ企業ということになるが、母数が少なすぎるためこのデータは参考にならない。4匹の小魚しかいないプールの中でクジラを見つけても、私たちの目的からはズレてしまう。

そのため、ここでは2003年以降に少なくとも20社以上を輩出した地域を対象とした。こうすることで、ベイエリア外のたまたま10億ドル企業が誕生した地域ではなく、スタートアップエコシステムとしてある程度持続性を持った地域に目を向けることができるのだ。

こちらのインタラクティブマップからとった下のスクリーンショットには、各地域のスタートアップの総数に占める、資本が潤沢な企業の割合が示されている。リンク先の地図では、青い点の上にポインタをかざすと5000万ドル以上を調達した企業の数が表示されるようになっている。

すると、街としての規模は小さくとも、資本が潤沢な企業の割合が比較的高い地域が散見する。アイダホ州のボイシ(Boise)ヴァージニア州のアレクサンドリア(Alexandria)フロリダ州の”スペースコースト”エリアノースカロライナ州のシャーロット(Charlotte)は、全てベイエリアやボストンといった巨大スタートアップハブよりも資本が潤沢な企業の割合が高い。ニューヨークやシカゴ、ソルトレイクシティなど、ひとつ前の指標で上位につけていた地域は逆にランクダウンしている。

まとめ

スタートアップを始めるのに最適な地域というのは存在しない。サンフランシスコやニューヨーク、ボストンといった主要地域は、これまでに誕生したプロダクトや企業という点では確かに活気に溢れているし、素晴らしい地域だと言える。その一方で、生活費は高く、次の10億ドル企業をつくるのは自分だと息巻いている起業家も当然たくさんいる。

対照的に、シャーロットやソルトレイクシティ、ヒューストンといった比較的規模の小さな地域は、主要地域に比べれば生活費も安く、ベイエリアやニューヨークに比べて”打率”も高い。しかし、企業数の多くない規模の小さな地域という事実に変わりはなく、巨大企業の存在は単なる偶然であることも多々ある。

誤解のないように伝えておくと、ユニコーン企業と資本が潤沢な企業の数だけで、スタートアップの拠点を決めるというのは賢明とは言えない。そういった企業は、豊かで勢いのあるエコシステムがあるからこそ生まれるのであって、その逆ではない。規模が大きく活気で溢れ、資金調達やコネクション作りがしやすいエコシステムを選ぶか、それとも自分たちがそのようなエコシステムを作っていくのかというのは起業家自身の選択なのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

シリコンバレーを有効活用するためのサテライトオフィスという選択

Silicon Valley from above

【編集部注】執筆者のAndrew GazdeckiはBizness Appsのファウンダー兼CEO。

スタートアップのエコシステムが、ユタ州シアトルダラスデンバーシカゴニューヨークシティなどアメリカ中の街で根付き始めている中、全ての街がシリコンバレーの成功の法則をコピーしようとしている。SSTIのデータによれば、ベンチャーキャピタルによる投資も以下のようにアメリカ中に広がっている。ニューヨーク州(の企業に対する投資額):44億ドル、コロラド州:8億ドル、ジョージア州:8億3600万ドル、アリゾナ州:1億1300万ドル、デラウェア州:9800万ドル、ネバダ州:4500万ドル、オハイオ州:3億ドル、イリノイ州:10億ドル、アイダホ州:200万ドル、カンザス州:5000万ドル、インディアナ州:5400億ドル、フロリダ州:8億6400万ドル、コネチカット州:5億6300万ドル。

全国のスタートアップエコシステムが広がりを見せている一方で、ベンチャーキャピタルによる投資総額の47%を占める、272億ドルという投資額を誇るシリコンバレーと肩を並べるような街は存在しない

しかし、シリコンバレー以外で事業を展開することにはメリットも多くある。人材獲得や事業の確立のしやすさ、自分のビジネスを脅かすような数十億ドルの評価額を誇る企業がいないことなどが、その例として挙げられる。

とは言っても、シリコンバレー優位の状況は変わらない。そこで、前述の街やこれから自分たちのテクノロジーハブを成長させようと考えている地域は、「どのようにシリコンバレーのリソースを活用して自分たちのエコシステムを成長させることができるのか?」という問いに答えていかなければならない。

シリコンバレーのリソースの活用

次のAppleやGoogle、Facebookを育てることで、各地域は何千というテック系の雇用を創出することができ、短期的には地元経済へも大きな変化をもたらす可能性がある。しかし投資家やメンターから得られる適切なリソース無しでは、その実現は極めて困難だ。

まず投資家は地元企業へ投資したがる傾向にある。地元が同じであれば、スタートアップがプレゼンを行う際のハードルが下がり、投資家も共同出資がしやすくなる。300を超えるベンチャーキャピタルが何千ものエンジェル投資家と共に、ベイエリアに拠点を置いていることを考えると、シリコンバレー以外のスタートアップは資金調達において不利な立場にいると言える。

スタートアップはシリコンバレーにいなくとも、その恩恵にあずかることができる。

かと言って、スタートアップはシリコンバレーでだけ成功できるというわけではない。さらに、エンジニアやベンチャーキャピタルからの投資を必要としている企業は、シリコンバレーに拠点を移さなければならないと言うつもりもない。そもそもそんなことは不可能だ。

スタートアップエコシステムを成長させようとしている地域は、むしろベンチャーキャピタルや投資家の知識をひきつけるような施策をとらなければいけないのだ。

例えばサンディエゴは独自の取り組みを行い、投資誘致に成功した。同市は11億5000万ドルもの投資を受け、そのほとんどが成長著しいバイオテクノロジー企業への投資だった。しかしこれはサンディエゴにとって良い兆候なのだろうか?

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もちろんだ!しかし11億5000万ドルという投資額自体は目を見張る数字である一方、これはアメリカ全体のベンチャーキャピタルによる投資額の2%にしかならない。サンディエゴはこの(ベイエリアと比較した際の)偏りに気づき、シリコンバレーと協力してエコシステムを成長させるための新しい取り組みをはじめた。

究極的には、国中のテクノロジーハブを育てるために重要なのは、各地のテックスタートアップとシリコンバレーのリソースを結びつけるような方法をみつけることなのだ。

シリコンバレーとの溝を埋める

シリコンバレー以外の地域に拠点を置く企業への投資を考えるベンチャーキャピタルにとって、他地域のスタートアップとシリコンバレーとの溝を埋めることがひとつの命題となっている。さらなる経済成長やイノベーションが、シリコンバレー外の企業からもたらされる可能性があるということが明らかになる中、多くの企業はアメリカ中のテクノロジーハブにサテライトオフィスを設立しだした。そしてこれは両者の溝を埋めるための理想的な方法だと考えられている。

他地域の企業とシリコンバレーを繋げる「橋」としてのサテライトオフィスをつくることで、スタートアップは両者の良い所をうまく利用できるのだ。地元でオペレーションを行うことで彼らは(ほぼ間違いなく)オペレーションコストを下げることができ、「橋」を利用してプレゼンスを持つことで、シリコンバレーの恩恵にあずかることもできる。

多くのベンチャーキャピタルが、チャンスさえあればシリコンバレー外のスタートアップにも喜んで投資するとさえ言っている。投資家のKarim Farisは、他地域のスタートアップへの投資は「新鮮な空気を吸い込む」ようだと言い、「各エコシステムは違った考え方を持っています。さらにそれぞれの地域が、他の地域には無い強みを持っているので、そこから新しいことを学んでいくのも魅力のひとつです」と話していた。

San Diego Venture GroupMike Krennは、サンディエゴの企業とシリコンバレーの投資家の結びつきを強めるための新たな施策を打ち出している。彼らはカリフォルニア州南部に拠点を置く企業のために、シリコンバレーにSan Diego Business Hubを開設中で、地元企業が拠点を移さずにシリコンバレーに眠る資本へアクセスできるような仕組みをつくろうとしている。

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他の地域も、このような「サテライトオフィス」をシリコンバレーにつながる窓のようにとらえ、サンディエゴのような施策を検討した方が良いだろう。そうすれば、シリコンバレーの人材やリソースを直接目にすることができ、もしかしたらシリコンバレーの人材や投資家も彼らに目を向けるかもしれない。サンディエゴはシリコンバレーを競合としてではなく、リソースとして見ており、他の地域も彼らに学ぶべきなのだ。

そうすることで、地元企業はシリコンバレーでのオペレーションに伴う多額のコストを負担する必要もなくなり、多額の資本へもアクセスできるようになる。ベンチャーキャピタルやテック系の人材は川のようにシリコンバレーを流れていると知られており、その流れを変えるよりも、直接今ある川にアクセスする方が賢い戦略だと言える。

実際にスタートアップはシリコンバレーにいなくとも、もっと良い方法でその恩恵にあずかることができる。サテライトオフィスを開設して、両方の利点を享受すれば良いのだ。サテライトオフィスを置くことで、どの地域にいるスタートアップも全てをまとめて西に移動することなく、シリコンバレーの人材や資本にアクセスすることができる。

なぜサテライトオフィスがWin-Winの状況を生み出せるのか

他地域の企業に対して、シリコンバレーのリソースにアクセスするための窓を用意するというのは、激化する競争への回答になるかもしれない。評価額は誰かがコントロールできるものではなく、投資家は自分たちが拠点を置く地域以外へも投資を分散させようとしているのだ。

しかしほとんどの投資家は、自ら外に出て投資チャンスを探そうとまではしていない。実際のところ、シリコンバレー外の企業へ投資を行うことに興味を持っている投資家以上に、有能な人材の少なさを理由に他の地域に拠点を置くスタートアップへの出資を嫌がる投資家の数は多い。

つまり各地域のスタートアップは、投資家をわざわざ引っ張ってくるのではなく、彼らが居る所に向かうような戦略をとらなければならない。投資家が他地域のスタートアップと会いやすく、地元の魅力を感じられるような戦略だ。シリコンバレー外のスタートアップは、投資家が自分たちと会うハードルを下げ、彼らが真剣に投資を考られるような施策をとることができる。

そうすることで他地域のスタートアップは、シリコンバレーでのオペレーションにお金をかけずに、人材や投資を狙うことができる。テック系の人材は自然とシリコンバレーに集まるようになっており競争も激しいため、シリコンバレーは人材採用のハブとしても素晴らしい利点を備えている。

サテライトオフィスという手段をとることで、他地域のスタートアップは地元の良さを利用しながら、シリコンバレーのベンチャーキャピタルや人材にもアクセスできるようになる。これこそが新しいエコシステムを成長させるためのレシピであり、投資家もこのようなアドバンテージを持つ企業に目を向けはじめるようになるだろう。

全員にとってWin-Winな状況をつくる

アメリカ中の各地域はシリコンバレーのリソースを活用すべき、というのが本記事の結論だ。そうすることで他地域のスタートアップの道が拓け、投資家をひきつけることができる。その結果、シリコンバレーの影響力がさらに広がり、各地域はその恩恵にあずかることができる。

また各地域をシリコンバレーと結びつけるということは、関係者全員にとって良いことだ。シリコンバレーの投資家にとっては、新たな投資チャンスがまとめて家の前まで来るようなもので、各地域も新たな人材や資本の流入によって地元経済を活性化することができる。

シリコンバレー以外に拠点を置くスタートアップは、自分たちがどのくらいのシェアを握っているのかだけを心配するのではなく、シリコンバレーとの溝を埋めようとすることで、地域経済の成長を促進することができるかもしれない。これこそが、スタートアップ各社が全米に活動範囲を広げ続ける中、現在起きていることなのだ。そして、この動きから全員が何かを得ることができる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Flurryの調査結果:スマホアプリのゴールドラッシュ期は過ぎた模様

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10年前、AppleはiPhoneを発表した。その後アプリストアが誕生し、アプリエコシステムが創生された。そしてついにこの業界は成熟し、クリティカルマスに到達したと、今朝Flurryが出したレポートは示唆する。アプリ利用は昨年比で11%増加しているなど、まだ成長も見られるが、成長速度は鈍化している。前までは、すべてのアプリカテゴリーで成長が見られたが、今では成長しているアプリカテゴリーがある一方で、減退しているアプリカテゴリーがある。

これは、ユーザーがアプリを利用する時間の上限までアプリが浸透したことを示す。つまり、新しいアプリに注意を向けてもらうには、別のアプリから注意を奪わなければならない。これは新しいアプリビジネスにとって課題となる。特に2016年最も利用されたアプリであるFacebook、Messenger、Google、Gmail、Instagram、Amazon、Apple Musicなどからパイを奪おうとするものには難題だ。

Flurryはこのデータ分析のために、同社のアナリティクスプラットフォームにあるアプリを分析した。Flurryは21億台の端末における、94万以上のアプリの32億セッションをトラックできる。その結果から、アプリエコシステムの現状について深い洞察を得た。

全体のアプリ利用(セッション)は昨年比11%の増加で、少ししか上昇していないことがFlurryの結果から分かった。2015年の年間レポートでは58%の上昇が見られた。しかし、アプリの利用時間は急上昇していて、昨年比69%の増加だった。

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いくつかのアプリは抜群に伸びている。

SNSとメッセージアプリは、予想通り高い結果だった。セッション数は2015年比44%の上昇で、アプリの利用時間は昨年比394%と驚きの伸び率を達成した。

これらのカテゴリーの上昇にはいくつかの理由が考えられる。スマートデバイスがどこでも利用できるようになったこと、通信速度の早いモバイルブロードバンドの普及、音声通話や動画通話といった新機能の登場、コミュニケーションとエンターテイメントの両方をアプリで楽しめること、ライブコンテンツの追加、そして「I Generation(I世代)」が成長したことだ。「I 世代」は、スマホが出た時にはまだ子供だったが、現在ティーネイジャーとなり、スマホを所有している世代を指す。

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1つFlurryは言及していないが、ユーザーがより個人間のやりとりやシェアを望むようになったこともこのカテゴリーの上昇の理由に挙げられるだろう。これはインターネット全体においてユーザープライバシーが確保されていないこと、少なくともウェブにはどんなにプライバシーがないか理解が進んだことによる反応だ。ここ数年、ユーザーは各自のSNSがどれだけ見られ、分析され、パーソナルデータが集められ、マーケターや広告主に売買されているかを知るようになった(もちろん、政府が市民のやりとりをスパイしていることへの不信感もある)。

メッセージアプリは、他のオープンなSNSよりプライバシーが確保され、安全だとも言えない。それは、ユーザー個人の暗号化とセキュリティー対策にかかっている。しかし、少なくともそのように感じ、メッセージの利用率が上昇したと言える。

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しかし、この分野での上昇は、他のアプリ利用の減少を招いている。

例えば、最大の減少を見せたのはパーソナライズアプリのカテゴリーで、46%の減少だった。Flurryは、ユーザーにとってこれらのアプリの重要性が低下していることを理由に挙げる。

ゲームも利用時間は4%減少した。小幅な減少で、このタイプのアプリが短命であることを示している。ただ、ゲームの収益面は問題ないようだ。ポケモンGOのような大々的なヒットのおかげで、アプリストアは数々の記録を打ち立てた (スーパーマリオランのローンチは、Flurryのゲームカテゴリーの数字に影響を与える時期には間に合わなかった)。

2016年で他に上昇しているアプリカテゴリーはビジネスとファイナンスだった。この分野でのアプリ利用時間は43%上昇した。ショッピングも32%、スポーツも25%上昇している。

特にショッピングは、Eコマース業界の成熟の恩恵を受けることができた。Eコマースでのモバイルでの支払い方法が大きな進歩を遂げたからだ。Apple Payなど、モバイルネイティブの決済方法が台頭した影響もあるだろう。

また、FlurryはAmazonの存在を無視できないと指摘する。Amazonはホリデーシーズンの取引の38%を占めていたからだ。

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この調査ではアプリの他に、ユーザーの端末の傾向も分析している。2016年Q4までにファブレットがマーケットシェアの41%を獲得した。これはメディア消費とソーシャルエンゲージメントのカテゴリーと相関関係にあるとFlurryは指摘する。

総括するとアプリ利用は鈍化は、アプリのゴールドラッシュ期は過ぎ、市場が成熟したことを示す。今後新しいアプリは、アプリをインストールするユーザーベースの獲得が難しくなる。これは、例えばスタートアップがアプリをグロースさせるのに、連絡先からスパムを送るような強行手段を取るような事態を招くかもしれない。あるいは、アプリ業界でのM&Aが進んだり、VCから調達した資金が底をついたアプリ会社は撤退の判断をしたりすることも増えるかもしれない。

Apple、Google、Microsoftといったアプリプラットフォームの持つ大手テクノロジー企業は、モバイルエコシステムが成熟するほど、次の開発者プラットフォームを探すようになる。ウエアラブル、インターネット接続TVやメディアプレイヤー、ボットで使用するアプリなどが挙げられる。最も未来がありそうな次のフロンティアは音声コンピューティングだろう。2017年に「アプリ」エコシステムで大躍進するのはAlexaのアシスタントやアドオンを持つAmazonかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

有償ユーザー125万人で、Slackの成長がややダウン

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Slackはいまでも急速な成長を続けている、過去5ヶ月の間にDAU(Daily Active User:日次アクティブユーザー)と有償ユーザーが33パーセント増加した。しかし、以前ほどではない。昨年の12月15日から今年の5月25日までの5.5ヶ月で、DAUが50パーセント、有償ユーザーが63パーセントの伸びたときに比べれば 。

これはTechCrunchが聞きつけた、Slackの顧客継続率のわずかな落ち込みという噂とも整合する。カジュアルでGIFに埋められたワークプレースチャットアプリが大企業を賑わつつある一方、スケーラビリティに課題があるためだ。例えばUbserは、4月にSlackの利用を止めている

Slackの今日のブログ投稿によれば、同社現在400万人のDAUを抱え、週次アクティブユーザーは580万人。125万人以上の有償ユーザーと3万3000の有償チームが存在している。現在の年間売上予想は1億ドルである。それは4月に2億ドルを調達した際に、38億ドルとの評価を受けて、7つのオフィスに650の従業員を抱える同社にとっては、十分なものではない。

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ここで、SlackのDAUと、有償ユーザーの成長に関するタイムラインを見てみよう:

  • 2013年8月 – ローンチ
  • 2014年2月1日 – 1万6000DAU
  • 2014年8月12日 – 14万DAU、4万有償ユーザー
  • 2014年10月31日 – 26万8000DAU、7万3000有償ユーザー
  • 2015年2月12日 – 50万DAU、13万5000有償ユーザー
  • 2015年4月16日 – 75万DAU、20万有償ユーザー
  • 2015年6月24日 ‐ 110万DAU、30万有償ユーザー
  • 2015年10月29日 ‐ 170万DAU、47万有償ユーザー
  • 2015年12月15日 ‐ 200万DAU、57万有償ユーザー
  • 2016年2月12日 ‐ 230万DAU、67万5000有償ユーザー
  • 2016年4月1日 ‐ 270万DAU、80万有償ユーザー
  • 2016年5月25日 ‐ 300万DAU、93万有償ユーザー
  • 2016年10月20日 ‐ 400万DAU、125万有償ユーザー

明言しておくが、Slackの成長は依然として驚異的だ。これは10ヶ月でそのユーザーを倍増させた、にもかかわらず世界中の働く人々をそのメッセージングプラットフォームに引き込むクエストはまだ端緒についたばかりだ。

Thrive、GGV、Comcast、Accel、Index、そしてSocial Capitalのような投資家たちは、スラックが頑張って維持しなければならない迅速な成長に賭けている。同社は、半数以上の毎日の利用者が、北米以外からアクセスしてくることを強調することで、その世界的な可能性を証明しようとしている。そこには海外のトップマーケットである英国、日本、ドイツ、フランス、そしてオーストラリアなどが含まれている。また、同社はAutodesk、eBay、Conde Nast、Airbnb、EA、Pinterest、TIME、そしてLinkedInといった知名度の高い顧客の名も挙げている。

1-owrcueperydeumrujs8a9g2x-1利用継続率を高めるためのSlackの大きな戦略は、Slackのコア部分をコピーしようとする競合相手の中には存在しないような、サードパーティアプリのエコシステムの中に、ユーザーをロックインすることだ。Slackによれば、現在App Directoryには746のアプリが登録されており、毎月41万5000回インストールされているサードパーティアプリは丁度600万インストールに達したばかりだ。

これ以上の株式を売ることなく、投資家たちにSlackの成功に向けての掛け金を倍増させる機会を与え、同時にその守りを固めることを狙って、同社は8000万ドルのSlackファンドを立ち上げた。ファンドの資金はプラットフォーム上のアプリに投資される。7月の時点で、そのうちの200万ドルが14のアプリに投資されている、そこには例えばAbacus、Butter.ai、Birdly、Lattice、そしてSudoといったものが含まれる。一方、Slackは企業のID管理機能の1つを提供することを狙って、「Sign In With Slack」(Slackでサインイン)機能を他の企業向けツールに向けてプッシュしている。

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Slackの App Directory

長期的な成功のために、Slackはその最大の敵を倒す方法を発見しなければならない:それは人間の性質だ。企業のあらゆるレベルで、誰もが通信する必要があること、そして私たちがオンラインチャットに慣れているという事実こそ、Slackをこれほどまでに急速に成長させた第1の理由である。しかし、本当に仕事を進めたい際には邪魔となりかねない、Slackが返答への遅延を奨励したり、ソーシャライズにあまり価値を置いていないやり方は、顧客を怖気させてしまう可能性がある。

stewart-butterfieldそれこそが、同社がブログで「私たちが『Slackは仕事が進められている場所』と書くとき、私たちが意味しているのは、単に他の人びとにメッセージを送ることができる場所ということではありません。私たちの、世界中の何万人ものビジネスカスタマーの仕事のギアを回す、統合されたワークフロー、ビジネスプロセス、データストリームそしてアプリケーションが行われる場所という意味なのです」と宣言した理由である。

ノイズをカットし、Slackを生産的に利用する方法についてのユーザー教育を行い、そしてビジネスに向けたきちんとした体制を整えておくことが望ましい。Dropboxも同様に、カジュアルで若さに溢れたボトムアップのやり方で企業の世界にやってきたが、伝統的で保守的な企業たちに、プロ向きで十分に安全なものであると信じさせるためには相当に苦労した。Slackとその率直なCEOStewart Butterfieldは、愛すべきスタートアップを構築した。その成長の次の段階は、尊敬を集める企業ビジネスの構築だ。

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(翻訳:Sako)