ASMRを企業のブランディングに活用する「SOUNDS GOOD」が渋谷でノイズの展覧会を開催

オーディオブックを中心に展開するオトバンクQUANTUMと共同で運営しているブランデッドオーディオレーベルの「SOUNDS GOOD」。東日本のASMRをサンプリングネタとしてばら撒くなどユニークな取り組みを行ってきたSOUNDS GOODだが、今度は青森県の特別協賛のもと、渋谷と青森の環境音や生活音を含む「ノイズ」を写真と映像で体験できるイベント「THIS SOUNDS GOOD?展 #渋谷x都市 #青森x農林水産業」を開催すると発表した。

SOUNDS GOODは、以前に紹介した通り、企業の「特有の音」、例えば「山手線大塚駅周辺のまちの個性を表す音」や「工業用バーナーの燃焼音」をASMR化し、音声コンテンツにすることでブランディングに活用するという試みから始まった。

SOUNDS GOODいわく、本日発表されたイベントは「特定の地域や場所でアーティストが自由にノイズを集音することにより、アーティストならではの視点で“音の資産”を発見し、その場所の魅力を引き出すとともに、身近なノイズ (環境音・生活音)を楽しむカルチャーを提案していく新しい取り組み」。

会場には写真が展示されており、来場者は中央にあるQRコードを読み込むことで、ノイズを視聴することができる。渋谷を代表し、「荘子it(Dos Monos)」、「ermhoi (Black Boboi)」、「関口シンゴ (Ovall)」、青森を代表し、地元出身の「ナカコー」の計4組のアーティストが音を集めた。映像作品も展示され、会場にはアーティストたちが制作した楽曲が流れている予定だ。

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会期終了後、アーティストが集音したノイズならびに制作した楽曲はSoundCloudにアップされ、アーティストが音を集音している様子の映像はYouTubeなどで公開される。また、アーティストが集音したノイズは、音楽を制作する全てのアーティストに無料で提供される。

特別協賛の青森県庁は「私たちが普段農林水産業の現場で感じている雰囲気を、アーティストを通して音で伝えられるという点に魅力を感じ、今回参加させていた だくことにしました」とコメント。同県が農林水産業の魅力を新たな手法で発信するプロジェクトに取り組む中でSOUNDS GOODを知ったという。

「青森県出身アーティストでもあるナカコーさんが自ら音を集めてくれるとのことで、どんな青森県の魅力を引き出してもらえるのかと楽しみにしています」(青森県庁)

「THIS SOUNDS GOOD?展 #渋谷x都市 #青森x農林水産業」は3月5日から3月11日まで、渋谷ヒカリエ8F の イベント、ショップスペース「MADO」で開催される。

音声コンテンツの新たな指標を目指す「JAPAN PODCAST AWARDS」が開催決定、エントリー受付を開始

優良なポッドキャストを発掘し応援する「JAPAN PODCAST AWARDS」の開催が決定し、本日よりエントリーの受付を開始した。企画、制作はニッポン放送で、オトバンク、Radiotalk、SPOON、himalayaが協力企業として、Spotifyが協賛企業として参加している。

同アワードの目的は「ファンを獲得し熱狂を生んでいながらも、世の中になかなか周知され辛い、本当に優良なオリジナル音声コンテンツを発掘する」こと。同アワードが音声コンテンツの新たな指標となることで、日本でもポッドキャストを含む音声コンテンツが今まで以上に聴かれるようになることを目指す。

本日より始まった一般公募では、専用応募フォームよりエントリーを受付。応募条件は(1)オリジナルの音声コンテンツであること(2)2019年の間に1回でも世に配信されていること(3)日本語圏に向けた音声コンテンツであること。

一次審査では、全ての作品を実行委員会が聴いた上でノミネート20作品を選出。最終審査では選考委員による審査を行う。本日第一弾として発表されている選考委員の4名は、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行氏、メディアコンサルタントでBuzzFeed日本版の創刊編集長を務めた古田大輔氏、LINE取締役CSMOの舛田淳氏、そしてアンジェルムおよびハロー!プロジェクトを卒業した和田彩花氏。その他の選考委員は後日発表される予定だ。

選考基準は、今、絶対に聴くべきか、もっと世の中に知られるべきか、そして、そのポッドキャストを通じて、製作者が新しい視点を生み出しているか。

審査の後、最も評価の高かった作品がJAPAN PODCAST AWARDS大賞を受賞する。2020年4月には受賞式が開催される予定だ。大賞とは別に、Spotifyが選ぶ優秀作品に贈られる特別賞のSpotify賞が設置されている。

音声コンテンツプラットフォーマー各社が協力企業として、そしてSpotifyが協賛企業として参加しているJAPAN PODCAST AWARDSが、ポッドキャスト配信者の新たな指標、そしてモチベーションの源となり、日本でもより多くの優良な音声コンテンツが誕生し、注目を浴びることを期待したい。

子供の声が絵本になる読み聞かせアプリ「みいみ」をオトバンクと東京ガスが発表

オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」などを展開するオトバンクは12月19日、東京ガスとの資本業務提携に基づき、音で遊べる絵本アプリの「みいみ」を共同開発し、提供開始したことを発表。みいみは、2017年7月にリリースのお風呂で楽しむ音声コンテンツ「Furomimi」に続き、両社が共同で提供するサービスの第2弾となった。

このアプリでは、声優やナレーターによる絵本や児童書の朗読を楽しめたり、登場人物のセリフの一部を子供が自身で吹き替えることで遊べる。そのため、今後は、録音データの容量を増やすことで「音のアルバム」としても機能するようになる予定だ。

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リリース時には、映画化もされた講談社の「絵本 はなちゃんのみそ汁」、イラストレーターのヨシタケシンスケ氏が挿絵を手がける「レッツとネコさん」、加えて名作童話や昔ばなしを多数、配信。講談社の絵本「おさるのまいにち」や「サラとピンキー パリへ行く」なども近日追加される予定だ。

オトバンクと東京ガスがみいみのリリースを通じて目指すのは「『音』と『絵本』を起点とし、親子のコミュニケーションをサポートし子育てを応援」すること。両社は子供の寝かし付け時や、家事育児の負担の軽減のために、みいみが利用されることを想定。そして、「子育て中のお客さまへの調査より、共働き世帯が増えている中、平日は時間に追われているが、子供と過ごす時間を増やしたい、子供と過ごす時間が増えたら一緒に遊ぶ、読み聞かせをしてあげたい、一緒にくつろぎたいというニーズがあることが分かった」と説明。

なぜ絵本なのか。両社は「有識者より、最近は子供の活字離れが顕著だが、子供の語彙の増加や共感力の育成、親子の愛着形成に本に親しむことは非常に効果的であると伺った。そして本好きな子供に育ってほしいという普遍的なニーズに応えることを目的に開発した」と綴った。

東京ガスの担当者によると、同社の狙いは「デジタル技術の効果的な活用および育児サポート領域での事業創出」。

「これまで取り組んできているエネルギー事業、住宅設備機器などに係る事業に加え、近年、お客さまのニーズを踏まえてIoT、サービス、コンテンツの検討にも取り組んできた。そのような中で、成長市場であるコンテンツ市場の中で『ながら視聴』のニーズの高まりとコンテンツ数の拡大により今後期待されている音声コンテンツに注目し、2018年にオトバンクと資本業務提携を締結した。本サービスを通じ、子育て中のお客さまの寝かし付け時などの負荷を軽減したり、親子で絵本を楽しむきっかけを提供することを想定している」(東京ガス担当者)

なお、絵本アプリのみいみは、東京ガスとのエネルギー契約の有無にかかわらず利用することが可能だ。iOSとAndroidのどちらにも対応しており、利用開始から1ヵ月はすべての機能、絵本が無料。2ヵ月以降は月額500円となっている。

オーディオブック配信「audiobook.jp」会員が100万人を突破、ユーザー急増のワケは“サブスク”そして“コンテンツの質と量”

オーディオブックの配信サービス「audiobook.jp」を展開するオトバンクは10月8日、同サービスの会員数が100万人を突破したことを発表した。スマホが国内で普及していなかった2007年にサービスを開始した同社。2018年12月に60万人を突破した会員数はそれからわずか9ヵ月で100万人を超えた。2018年3月にサブスクを開始したこと、そして制作ラインの強化や配信ジャンルの拡充が近年におけるユーザー数の急増に繋がったとオトバンク代表取締役社長の久保田裕也氏は言う。同社は4月、企業向けのオーディオブック「audiobook CAMP」もローンチしている。

「2018年から月額750円の聴き放題をスタートした。初回は30日無料、ザッピングして色々な作品に触れられるような設計にしたことが、『オーディオブックのは気になるけどハードルが高い』という潜在ユーザーへの訴求に繋がっているようだ。 そして次は制作力。スマホが普及する前の2007年からサービスを開始、オーディオブックの制作インフラ開発を手掛けてきており、複数のスタジオも構え、オーディオブックをずっと作り続けてきた制作陣も社員として所属している。良質なクオリティで大量にオーディオブックを制作するラインを開発し続け、現在は毎月500タイトル以上の作品が配信され、累計では2万7000点を配信している。また、音や本関連で親和性の高いコラボレーションを定期的に続けてきたことも、ユーザー獲得に繋がった。コナミスポーツクラブや、高速バスの『WILLER EXPRESS』などと連携させていただいている。色々な場とコラボしてオーディオブックを試していただく機会を作っているが、一度聞いていただければ継続してユーザーになってくださる可能性が高いということも実感している」(久保田氏)。

会員数100万人突破の発表に合わせ、オトバンクは「オーディオブック白書」も併せて公開している。この白書によれば、移動中に、そして朝の通勤時間帯にオーディオブックを利用しているユーザーが多いようだ。同調査はaudiobook.jpの会員を対象にしたオンライン調査。サンプル数は1358名。

最近では、オトバンクは8月にポッドキャストの配信を本格的に開始した。このポッドキャストには配信者のマネタイズを支援する課金システムが導入されている。久保田氏いわく「聴き放題内のランキングでもポッドキャスト番組がベスト10に入ることが増えてきている」そうだ。「よりスピーディーに配信対応できるよう、配信インフラの整備を社内のエンジニアチームが頑張って進めている。準備が間もなくできるので、より多くの番組が配信されていく」(久保田氏)。

会員数100万人を突破したaudiobook.jp。だが、「耳から情報をインプットする」ことの普及は海外に比べて「まだまだこれからだ」と久保田氏は話す。「海外では20年以上も前からオーディオブックやその他の音声コンテンツの普及が始まっていた。しかし、日本では現在も音声コンテンツを増やしている初期段階のような状態に近いと思う。 また、『聴く』という行為がまだ浸透していないと感じている。より一層『聴く』のハードルを下げるにはどうしていけばいいのか、現在。事業サイドでも検討を続けている」(久保田氏)。

オトバンクは今後、今以上にコンテンツを拡充していくため制作ラインを強化し、「本を耳で聴く」というライフスタイルをより一層広げるべく、アプリの機能開発を進めていく。そして、生活のシーンに合わせて「聴くコンテンツが選べるような状態」を構築すべく、「これまでと変わらず、本を音声化したオーディオブックは引き続き増やしていくほか、もう少しライトに聞き流ししても楽しめるような短尺コンテンツも増やしていきたい」(久保田氏)。

audiobook.jpがポッドキャスト配信者のマネタイズを支援、「課金システム」を提供開始

オーディオブックの配信サービス「audiobook.jp」を展開するオトバンクは8月1日、ポッドキャスト配信者に課金システムの提供を開始した。これにより、配信者はaudiobook.jpの「聴き放題プラン」と「単品販売」を通じ、ポッドキャストでロイヤリティ収益を得ることが可能となる。

オトバンクいわく、近年、ポッドキャスト市場は世界的に急成長している。特に市場が大きいというアメリカでは、「2018年のポッドキャストにおける広告収入が前年比53%、史上最高額となる4億7900万ドル(約520億円)に到達した」そうだ。

同社によると、ポッドキャストは日本でも徐々に注目番組や配信者が増えているなど一定の盛り上がりを見せている一方、「ポッドキャストの配信により収益を得られるシステムが少ない」といった課題が残っているという。

オトバンク代表取締役社長の久保田裕也氏は、「近年個人でポッドキャストを配信する例も増えていますが、サーバー費やコンテンツの制作費の負担により番組の継続が難しいという話も耳にします」と話す。そのため、この課金システムにより、オトバンクはポッドキャストの配信者が継続してコンテンツを配信できるように基盤構築を進め、新しいコンテンツ制作などに寄与していく。

また、久保田氏は「2009年ごろから一部ポッドキャストの有料化を行ってきましたが、限られた番組での実施にとどまっていました」と説明。だが、「昨年から聴き放題を開始し、ユーザーの求めるコンテンツニーズが多様化していること、またポッドキャストを提供する媒体としてもより親和性の高いものになったため」(久保田氏)、audiobook.jpでもポッドキャストの取り扱い、そして課金システムの提供を本格的に開始した。

本日より、audiobook.jpでは2種類のポッドキャストの配信方法を提供開始。1つ目は、「聴き放題プラン」の対象コンテンツとしての配信。配信者には再生時間に応じたロイヤリティが支払われる。そして2つ目は各コンテンツの「単品販売」。配信者には販売数に応じたロイヤリティが支払われる。

近年、声のブログ「Voicy」や「Radiotalk」などの音声配信プラットフォームが誕生してきた。noteでも音声コンテンツに対し料金を課することが可能となっている。ポッドキャスト配信者が活躍できる場は増えてきたが、今後、audiobook.jpの課金システムのような取り組みが増え、より多くの配信者が無理なく優良なコンテンツを継続的に配信できるような環境が整うことを期待したい。

オトバンクでは今後、順次ポッドキャスト配信者を増やしていくべく、応募を受け付けている。

JR東日本の「ASMR」をサンプリングしてトラックを作ろう

オーディオブックを中心に展開するオトバンクQUANTUMと共同で運営しているブランデッドオーディオレーベルの「SOUNDS GOOD」。

企業の「特有の音」、例えば「山手線大塚駅周辺のまちの個性を表す音」や「工業用バーナーの燃焼音」をASMR化し、音声コンテンツにすることでブランディングに活用するという試みだ。

ASMRはAutonomous Sensory Meridian Responseの略で、よく“音フェチ”などとも言われる、脳や感情に働きかける“気持ちいい音”のこと。

そのSOUNDS GOODが、JR東日本、東京ガス、ユカイ工学のASMR音源を楽曲制作のサンプリング素材としてプロアマ問わず全てのトラックメイカーに無料での提供を開始した。営利目的での利用も可能だ。

「企業とリスナー、若手アーティストの間に新たな関係性を構築する」ことを目的としている。

企業ASMR音源使用申請フォームを記入することで素材を入手することが可能だ。

ただ、必須条件として、トラックを配信する際に、タイトルに「Sampling – “企業名(英語) on SOUNDS GOOD”」と記載する必要があったり、細かい注意点も多かったり。例えば、「複数社の音源を同時にサンプリングすることはご遠慮ください」とある。

だが、トラックメイカーにもメリットがあり、SOUNDS GOODが気に入ったトラックに関しては同レーベルのTwitterやInstagram、SoundCloud、YouTubeなどで紹介されたりする。また、SOUNDS GOODの公認アーティストとして、SOUNDS GOODから有料での楽曲制作を依頼されるというチャンスもある。

SOUNDS GOODの公式アーティストたちが制作した楽曲も公開されているので、トラックメイキングする際には参考にしてみては。

ASMRを企業のブランディングに活用するレーベル「SOUNDS GOOD」がローンチ、JR東などが参加

本を音声で楽しむオーディオブックを中心に展開するオトバンクは3月5日、QUANTUMと共同でブランデッドオーディオレーベルの「SOUNDS GOOD」を設立し、本日より運営を開始したと発表した。

SOUNDS GOODの特徴は企業の“特有の音”をASMR化し、音声コンテンツにすることでブランディングに活用し、企業とリスナー、若手アーティストの間に新たな関係性を構築する。

ASMRはAutonomous Sensory Meridian Responseの略で、よく“音フェチ”などとも言われる、脳や感情に働きかける“気持ちいい音”のこと。

第一弾参加企業は東京ガス、東日本旅客鉄道、ユカイ工学の3社。「工業用バーナーの燃焼音」「山手線大塚駅周辺のまちの個性を表す音」「製品プロトタイピングの過程で発生する独特な音」などを収録したASMR音声コンテンツを「SOUNDS GOOD」上で4週にわたり順次公開する。

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加えて、小林うてなTOSHIKI HAYASHI(%C)KSK(MGF)の3組の気鋭のアーティストが「SOUNDS GOOD」上のASMR音源に関して、心地よさや面白さなど“音楽的視点”から語る。

さらに、上記3組に加え、藤牧宗太郎(citrusplus)tajima halを加えた合計5組のアーティストがSOUNDS GOODのコンテンツをサンプリング・アレンジした楽曲を制作し、各自でSoundCloudなどの音楽配信プラットフォームで順次公開する。

  1. 小林うてな

    小林うてな
  2. TOSHIKI HAYASHI (%C)

    TOSHIKI HAYASHI (%C)
  3. KSK (MGF)

    KSK (MGF)
  4. 藤牧宗太郎 (citrusplus)

    藤牧宗太郎 (citrusplus)
  5. tajima hal

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たとえば工場の製造ラインで発生する特徴的な音や、製品使用時の音といった、企業の“特有の音”はこれまであまりブランディングに活用されてこなかった。ブランドを象徴する音や声をブランディングのアセットとして捉えASMR音源化し、企業と消費者との新たな接点を作り出すのがSOUNDS GOODの狙いだ。

オトバンクいわく、今回を第一弾とし、今後も第二弾、第三弾といった形で、定期的に様々な企業固有の音を扱った音声コンテンツを配信していく予定だという。

SoundCloudで聞ける第一弾のコンテンツは以下の通りだ。

耳の可処分時間を獲りに行く図書館タクシーのチャレンジ

IMG_0342.JPGオトバンク日本交通は10月26日、タクシー内でオーディオブックを楽しめる「本のない図書館タクシー」の試験サービスを発表した。発表会には、オトバンクの久保田裕也社長(写真中央)と日本交通のメディア開発部でエグゼクティブプロデューサーを務める金 高恩氏(写真右)が登壇した。本日26日から専用ウェブサイトで乗車予約を受け付け、10月29日〜11月11日の期間限定で運行する。もちろん予約なしでの乗車も可能だ。

営業エリアは都内23区と三鷹市、武蔵野市。日本交通の金氏によると「試験サービス期間中は3台の図書館タクシーがこのエリアを走る。その内の1台はドライバーが書店員の衣装で出迎えてくれる特別仕様(ラッキータクシー仕様)になっている」とのこと(写真左)。

IMG_9179.JPGまた乗車すると「本のない図書館タクシー利用カード」がもれなくプレゼントされる。このカードには1000ポイント(1000円相当)のオーディオブックの利用クーポンが付いている。乗車時に気になったオーディオブックなどをあとで購入する際に利用できる。

専用ウェブサイトからは、乗車地と降車地、利用時刻などを入力して予約する仕組み。専用ウェブサイトから申し込んだ場合は抽選となるが、迎車料金やタクシー代は無料となる。予約なしでの乗車は通常のタクシー利用と同じで、タクシー代は自己負担だ。

オトバンクの久保田社長によると「タクシーの平均乗車時間は18分程度で、この時間に合わせたオーディオブックを30作品ほど用意した」とのこと。そのため各オーディオブックは最初から内容を読まれるものではなく、ダイジェスト版になっているものが多い。

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図書館タクシー内部には、オーディオブック専用タブレットが1台と特製クッションが2つ置かれている。乗客は、ドライバーからタブレットを受け取り、好きなオーディオブックを選んで再生すればいい。オーディオブックの音声は専用タブレットのスピーカーからの出力となる。

テレビやスマホなど視覚中心の可処分時間の奪い合いは激化しているが、「タクシー内のスキマ時間に耳の可処分時間を獲りにいきたい」と久保田氏。オーディオブックは2017年上期と比べると2018年上期には会員数が3倍に伸びており、年内に50万人を突破する勢いだという。「読書離れが叫ばれいる現在、オーディオブックをきっかけに読書を楽しむ人を増やしたい」とのことだ。

月額750円でオーディオブック聴き放題——リリースから10年のオトバンクが“サブスクリプション”に舵を切った

「たくさんのエンタメコンテンツがある中で、オーディオブックが選択肢としてもっと前に出てこない限り、ユーザーにも使ってもらえないし権利者側も利益を得られない。もっと間口を広げて、オーディオブックを知らない人でも気軽に触れられる環境を作っていく必要があると考えた」—— オトバンク代表取締役社長の久保田裕也氏は新たなチャレンジに至った背景について、このように話す。

2007年よりオーディオブック配信サービス「FeBe」を提供してきたオトバンク。同社は3月19日より、月額750円でコンテンツが聴き放題の新サービス「audiobook.jp」を始める(新サイトは本日中にオープンする予定)。

audiobook.jpはこれまで提供していたFeBeを全面的にリニューアルする形で提供。最も注目すべき点は、これまでと同様にコンテンツを1冊ずつ購入できる仕組みを残しつつも、新たに月額定額制のサブスクリプションモデルを取り入れたことだ。

FeBeを活用するユーザー層が広がっていくことに合わせて、ユーザーがよりライトにオーディオブックを楽しめるようにするべく、今回のリニューアルに至ったという。

1万点のオーディオブックが月額750円で聴き放題

audiobook.jpはベストセラー書籍を中心に2万3千点のオーディオブックコンテンツをそろえたプラットフォームだ。0.5〜4倍まで、0.1倍速刻みで再生スピードを調整でき、音声のダウンロードも可能。これらの特徴は前身となるFeBeも共通で、移動中や家事の時間などを中心に幅広いシーンで活用されてきた。

従来は気になるコンテンツを1冊ごとに購入する仕組みだったが、サービスリニューアルに伴って聴き放題プランを新たに導入。対象となる1万点については、月額750円でいくらでも聴けるようになる。

この中にはビジネス書や小説、落語などを幅広いコンテンツが含まれるほか、今後は日経新聞の主要なニュースを聴ける「聴く日経」も追加する予定。入会から30日間は無料で利用できる。

コンテンツや開発体制も充実、ようやく準備が整った

冒頭でも紹介したとおり、実はFeBeはリリースから10年が立つ。これまで地道に規模を拡大してきたが、2017年は同サービス史上最大の伸びを記録。年間登録者数は前年比で3倍となり、登録者数は 30万人を突破した。

「2017年に入ってユーザーの単月の伸び方が変わり、購入頻度やコンテンツのトレンドなどユーザーの属性も広がってきた。たとえば以前多かったのは30~40代の男性。それが今は男女比もほぼ同率になってきている」(久保田氏)

ビジネス書をしっかり聴きこむヘビーユーザーも増えている一方で、小説や語学学習コンテンツだけをさらっと聴くライトなユーザーが増えてきた。コンテンツ数も拡大する中で、幅広い人にさまざまなコンテンツをより気軽に楽しんでもらう手段として、聴き放題プランの検討が始まったという。

リニューアルに向けて議論が本格化したのは2017年の夏頃から。ビジネス書や自己啓発書に加えて文芸や小説も増え、どのジャンルもある程度のボリュームに。合わせて開発リソースも拡充し「今だったらできるかも」と話が進んだそうだ。

「アラカルト(個別購入)の場合はユーザーが何かしら明確な目的を持っているが、サブスクリプションの場合は動機が固まっていないことも多い。そうなると、パッとサービスを開いた時に自分が気になるコンテンツがあるかどうか。『あ、この本あるじゃん!』と感じてもらえるかが重要だと考えていたので、コンテンツが充実してきたことは大きかった」(久保田氏)

合わせて権利者側の温度感もこの1、2年で変わってきたという。久保田氏の話では「2016年くらいから『オーディオブックもきちんと頑張れば収益がでる』という感覚が定着し、積極的にやっていこうと足並みが揃ってきた」という。

たとえば『サピエンス全史』など人気書籍を音声で楽しめるのはFeBeからの特徴。このようなコンテンツはオトバンクのみで作ることはできないので、権利者サイドがより前向きになったという意味でも、絶好のタイミングだったというわけだ。

オーディオブックをもっと一般的に、当たり前に

「会員数は30万人を超えたものの、まだまだ少ない。オーディオブックをもっと多くの人に、当たり前のように使ってもらえるような環境を作っていきたい」(久保田氏)

左から、聴き放題画面(アプリ)、再生画面(アプリ)、ブックリスト(WEB)

価格については社内で複数案が出たそうだが、ライトに使ってもらえるようにと月額750円に設定した。今後は「ランニング中」「カフェで」「雨の日に」などシチュエーション別や、「パラキャリ」「◯歳のお子さまと聴きたい」「資格取得」などユーザー層別に作品をまとめたブックリストを順次公開するほか、聴き放題プラン限定のコンテンツなども増やしていく方針だ。

「『しっかりと聞く』というところから、もう少しライトに『聞き流してもいいや』というコンテンツを作っていく。わかりやすいものだと“短尺”のもの。イメージとしては『ニュースサイトのPUSH通知ででてくる情報以上、従来のオーディオブック以下』のコンテンツなどを考えている」(久保田氏)

昨今コミックや動画、テキストメディアなど「目」を取り合うコンテンツの競争は激化している。一方「耳」については音楽やラジオなどあるものの、まだポジションが空いているというのが久保田氏の見立てだ。

今後スマートスピーカーが普及すれば、そのポテンシャルはさらに広がるかもしれない。「何かしながら、並行して聞き流せるコンテンツ」には一定のニーズもあるだろう。

一方で「他のコンテンツもどんどん進化している中で、オーディオブックとしてどんなチャレンジができるか、どんな価値を提供できるかを考えていきたい」と久保田氏はある種の危機感も感じているようだ。

NetflixやHuluのようなプレイヤーがドラマやアニメ、映画といったコンテンツの楽しみ方を変えた。スマホの普及に合わせて「縦スクロールのコミックアプリ」「スマホ版の携帯小説とも言えるチャットフィクションアプリ」など新たなフォーマットも続々と生まれてきている。

「オーディオブックについては、他のメディアと違って今のユーザーのニーズに応えきれていない部分がまだある。ユーザーが欲しい形に合わせて(コンテンツを)提供するのが理想。今後は聴き放題プランで完全にオリジナルなコンテンツなど、コンテンツホルダーとも協力して新しいものを作り『本を聴く文化』を広げていきたい」(久保田氏)