Galaxy S8+などAndroid端末にベースバンド脆弱性、通話傍受から個人情報窃取も

セキュリティ専門家は人気あるAndroid端末多数に脆弱性を発見した。アクセサリーのアプリが端末のベースバンド情報にアクセスできてしまう脆弱性を利用しており、被害は所有者のプライバシー情報の漏洩から接続の完全なブロックまでさまざまな可能性がある。

攻撃者はアクセサリーのアクセスを利用して、脆弱性のある端末のIMEIやIMSIなどの一意的識別子を知って接続をダウングレードする。これにより通話傍受、別の端末への転送、さらにはすべての通話とインターネットへのアクセスの完全なブロックも可能になる。

TechCrunchの独占取材によれば、影響を受けるAndroid端末は、Samsung(サムスン)のGalaxy S8+、Google(グーグル)のPixel 2、Huawei(ファーウェイ)のNexus 6Pなど少なくとも10種類あるという。

この問題は、端末のモデムをコントロールするベースバンド・ファームウェアへのインターフェイスの脆弱性を突いたものだ。ベースバンドはスマートフォンのモデムが通話の発信、インターネットへ接続など携帯網との通信をコントロールする。その重要性を考慮して、通常、ベースバンドはアプリを含むデバイスの他の部分からのアクセスが禁止されている。また多くの場合、危険なコマンドの実行を防ぐコマンドブラックリストが付属している。

しかし専門家は、多くの多くのAndroid端末でBluetoothやUSBを利用したヘッドフォン、ヘッドセットなどのアクセサリが(おそらくは意図せずに)ベースバンドにアクセスできる仕様になっていることを発見した。こうした脆弱性のあるアクセサリを悪用することにより、攻撃者は接続先のAndroid端末で自由にコマンドを実行できる。

この調査を行った、2人の専門家、Syed Rafiul(サイード・ラフィウル)氏と Hussain Imtiaz Karim(フセイン・イムティアズ・カリム)氏はTechCrunchへのメールで「こうした攻撃の影響は、重要なユーザー情報の漏洩からサービスの完全なブロックまで多様だ」と述べた。

フセイン氏と共同研究者のパデュー大学のImtiaz Karim(イムティアズ・カリム)氏、Fabrizio Cicala(ファブリツィオ・チカラ)氏、Elisa Bertino(エリサ・ベルティーノ)氏、アイオワ大学のOmar Chowdhury(オマール・チョードリー)氏は、来月カンファレンスで詳細を発表する予定だ。

こうした攻撃の影響は、重要なユーザー情報の漏洩からサービスの完全なブロックまで多様だ
Syed Rafiul Hussain, Imtiaz Karim

ベースバンドファームウェアはデバイスのセルラー機能を制御するATコマンドと呼ばれる特殊なコマンドを処理する。このコマンドは、例えば呼先の電話番号をモデムに伝えるための信号を送出する。専門家グループはこATコマンドを不正に操作できることを発見した。そこで危険性のあるATコマンドを発見できるATFuzzerと呼ばれるツールが開発された。

テストを実行したところ、脆弱性のあるAndroid端末から秘密であるべきデータを盗み出し、通話を不正に操作できるATコマンド14種類が発見された。

ただし、すべてのデバイスの脆弱性が同一ではないため、操作できるコマンドの種類、操作方法はデバイスごとに異なっていた。特にGalaxy S8 +端末の場合、特定のコマンドによってIMEI番号を漏洩させ、通話を別の番号にリダイレクトし、接続のセキュリティ自体をダウングレードできた。これは携帯端末を覗き見するハッキング専用ハードウェア「stingrays」とほぼ同様だ。他のデバイスは、通話を不正に操作できる脆弱性はなかったが、インターネット接続と通話をブロックするコマンドが使用できた。脆弱性の利用自体はさほど難しくないが、以下のような条件がすべての満たされている必要がある。

「この攻撃は脆弱性のあるBluetoothコネクタやUSB充電ステーションをセットし、そこに被害者を誘い込むことができれば簡単に実行できる」とフセイン氏らは述べている。別のコンピューターなどからインターネットを介して悪意あるアクセサリにアクセスできるなら、被害者の端末を容易に操作できるわけだ。端末がBluetoothデバイスに接続されている場合、攻撃者は物理的に付近いる必要がある。ちなみに、一部のデバイスではBluetoothを実装する方法自体に脆弱性があるため、そうしたデバイスにBluetooth攻撃を加えることは容易だという。

「スマートフォンがヘッドフォンその他Bluetoothデバイスに接続されている場合、攻撃者はまずBluetooth特有接続の脆弱性を利用し、次に不正なATコマンドを挿入できる」という。

サムスンは、一部のデバイスに脆弱性があることを確認しパッチを公開している。ファーウェイはこの原稿を書いている時点ではコメントしていない。グーグルは、「報告されている脆弱性は準拠しているBluetooth仕様そのものの問題の場合がある。最新のセキュリティパッチを適用したPixelデバイスでは問題は再現しない」とコメントしている。フセイン氏によればiPhoneにはこの脆弱性はないとのこと。

この調査は、ベースバンド・ファームウェアの脆弱性問題の最新の例だ。 以前からベースバンドの脆弱性については記事や論文が発表されている。こうした調査はまだ数少ないが、セキュリティ専門家は「情報機関や悪意あるハッカーがこうした欠陥を使用してユーザーに気づかれない、いわゆるサイレント攻撃を仕掛ける可能性がある」と警告していた。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ゼンハイザー初のゲーム用ワイヤレスヘッドセット「GSP 670」

ゼンハイザーは、先週のComputexの開催期間中に、来月初めに出荷予定の初のゲーム用ワイヤレスヘッドセットGSP 670をメディア向けに早期プレビューを行った。

GSP 670の小売価格は349ユーロ(約393ドル、約4万2600円)で、他の一般的なゲーム用ワイヤレスヘッドセット(そして有線方式の従来のモデルゼンハイザーGSP 600の249.95ドル)よりも、かなり高価なものだ。ゼンハイザー社は、同社の優れた音質と快適なヘッドセットに対する評判と共に、その新しいヘッドセットの機能が、ゲーマーたちに購入を決心させることを望んでいる(私がComputexで試用してみたときには、それは優れた装着性、接続速度、そしてオーディオ品質を提供してくれた。しかしもちろん当日の数分程度の試用では、数時間に及ぶゲームの後で、ヘッドセットがどのように感じられ音が響くのかを判断することは難しい)。

ワイヤレスによってもたらされる自由にもかかわらず、多くのゲーマーたちは音質や接続速度の低下、あるいはバッテリーレベルを心配する必要を避けるために、有線ヘッドセットを使い続けている。これらはゼンハイザーがGSP 670の機能でアプローチした課題である。他のワイヤレスヘッドセットと同様に、GSP 670もワイヤレスドングルに接続する必要がある。製品にはGSA 70コンパクトUSBドングルが付属しているが、これには「ほとんど遅延することのない音」を約束するためにゼンハイザーが開発した、低遅延接続を実現する技術が搭載されている。USBは、PCおよびSony Playstation 4と互換性がある。GSP 670にはBluetoothも搭載されているので、ユーザーはスマートフォンやタブレットとペアリングすることもできる。

GSP 670のマイクはノイズキャンセリング機能付きで、ブームアームを上げることでミュートすることができる。ヘッドセットには、ユーザーがチャット音声とゲーム音声を別々に制御できるようにするための、2つの音量調整ホイールが備わっている。ゲーマーたちは、ゼンハイザー製の”Gaming Suite for Windows”を使ってオーディオの調整を行うことができる。これはユーザーたちにプリセットオーディオとカスタマイズサウンドの間の切り替えを可能にし、サラウンドサウンドモードの切り替えや、イコライザーとしての機能も提供する。

バッテリーに関してゼンハイザーは、GSP 670の急速充電バッテリーは7分の充電で2時間動作することができると主張している。完全に充電された場合、バッテリーはBluetooth接続で最大20時間、GSA 70ドングルで接続されている場合には16時間動作することができる。ヘッドセットは、電力を節約するために自動シャットダウン機能を持っている。

GSP 670は、現在ゼンハイザーのウェブサイトで予約注文が可能で、7月1日から出荷される予定だ。

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(翻訳:sako)

米Logitech、22億ドルでヘッドセットのPlantronics買収か

キーボードやウェブカムなどの周辺機器の大手メーカー、米Logitech〔日本ではロジクール〕はbluetooth接続のヘッドフォン、ヘッドセットの有力メーカー、Plantronicsを買収する交渉に入っているという。 Reutersによれば、Logitecは買収価格として22億ドルを提示しているという。 これはLogitechとして過去最大の買収になる。

安価のデバイスの津波が中国から押し寄せ、アメリカのメーカーの利益率を削る中、買収による経営統合は両者のコスト削減に役立つだろう。Reutersの記事では買収交渉は早ければ来週にもの結果が出るという。

TechCrunchでは両社にコメントを求めている。何か分かり次第アップデートするつもりだ。

買収のニュースが流れるとNYSEの時間外取引のPlantronicsの株価はアップした。

Logitech、Plantronicは両社ともこのところ企業買収を積極的に進めてきた。 最近ではLogitechはポッドキャスティング用マイクロフォンのYetiとSnowballで知られているBlue Microphoneを買収した。

一方、カリフォルニア州サンタクルスに本拠を置くPlantronicsは今年Polycomを20億ドルで買収している。Plantornicsはジェット旅客機のパイロットであった共同ファウンダーが小型のヘッドセットの開発を試み、これにNASAが加わったことで急速にこの分野を代表するメーカーに成長した。しかしApple始め高品質で手頃な価格のプロダクトを提供するライバルの参入によって地位が脅かされる事態となっていた。

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滑川海彦@Facebook Google+

Oculusの共同創設者が競合他社製Magic Leapヘッドセットを「悲劇の誇大広告」と痛烈批判

企業の創業者が、競合他社の新製品をこき下ろすレビュー記事を書くというのは尋常なことではないが、Oculusの共同創設者Palmer Luckeyは、ずっと尋常ではない起業家で通ってきた。

昨日(アメリカ時間8月27日)、Luckeyは、自身の個人ブログに『Magic Leapは悲劇の誇大広告』と題したMagic Leapの開発者向けキットのレビュー記事を掲載した。その中で彼は、いくつかお世辞を述べてはいるものの、大部分は、その新製品の欠点の列挙と、同社の重役たちがAR技術のたわごとを並べていながら、結局は、彼が言うところの3年前のHoloLensに毛が生えたようなものに収まってしまった理由の説明に割いている。

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「Magic Leap ML 1に関する私のレビュー。メディアでは大きく取り上げられておらず、分析もされていない、いくつかの点に焦点を当てている」
「Magic Leapは悲劇的な誇大広告:このレビューのタイトルはよく考えて付けた。軽率な言葉ではない。私はVRにとって最高のものを、そして現実-仮想連続体のための最高の技術を求めているのだ」

 

彼は、いくつもの問題点をレビューの中で掘り下げている。おそらく、もっとも深い洞察が行われているのは、ヘッドセットとコントローラーに使われているトラッキング技術に関するものだろう。それがユーザーエクスペリエンスを後退させているという。Magic Leap Oneのコントローラーには、磁気トラッキング・システムが使われている。Oculusを含むほとんどのVRメーカーが採用している光学トラッキング・システムとは大幅に違うものであり、概して複雑な仕組みになっている。クリック式のトラックパッドがないことを批判している段落を読めば、それがLuckeyの単なる個人的な好みの問題ではないことがわかる。

Magic Leap One Lightwear

 

現在、LuckeyはVRの日々を卒業して、(ほぼ)転職を果している。彼の新しい会社Anduril Industriesは、国境警備のための技術開発に特化した企業だ。しかし、彼はまだハードコアなVR愛好家としての評判が高く、VR世界では大きな発言力を持ち続けている。

彼の不満の原因は明らかだ。Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、この数年間、多額の資金を調達して、秘密裏に技術開発を行い、公には既存の技術をこき下ろしていた。Luckeyは、それがARやVRの分野への投資意欲を削いでしまうと心配していた。目の前に非現実的な期待をぶら下げられた投資家は、比較的保守的なアプローチで売り込みをかける既存の企業への興味を失ってしまうからだ。

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Palmer Luckey「驚き!」
Fernando Serrano「悪いけど、こうするしかなかった」

 

もっとも辛辣な言葉は、Magic Leap Oneのディスプレイ技術のために残されていた。Luckeyは、他のメーカーの視野にあるものと、まったく変わらないと指摘している。Magic Leapの開発チームは、彼らが作っているものを説明するときに、独自の専門用語を作り出すほどだったのに、自分たちで言い出した技術を完成できなかったとLuckeyは言っている。

彼らはそれを「Lightware」と呼んでいる。長年にわたり、彼らの宣伝文句の中心的な存在だった。また彼らは、「フォトニック・ライトフィールド・チップ」、「ファイバースキャンイング・レーザーディスプレイ」、「デジタル・ライトフィールドをユーザーの目の中に投影する」技術、さらには、数十年間にわたってヘッドアップディスプレイの世界を悩ませ続けている「輻輳(ふくそう)調整不調和を解決」する方法、つまり、両方の目の焦点と「ふくそう」を常に一致させるための、「恒久的神経疾患」や脳障害を予防するために必須であるとMagic Leapも訴えてきた、この世界では聖杯とも言うべき技術について、繰り返し語ってきた。ふくそう調整不調和の解消技術は、VRよりも、デジタル要素と現実の要素との整合性を保たなければならないARにおいて重要になる。

要約:「フォトニック・ライトフィールド・チップ」は、反射型シーケンシャルカラーLCOSディスプレイとLED照明とを組み合わせた、単なる導波管に過ぎない。同じ技術は、もう何年も前から広く使われている。Microsoftの最終世代のHoloLensもそうだ。Magic Leap Oneは、「ライトフィールド・プロジェクター」ではない。または、広く認知された定義によるディスプレイでもない。「2焦点ディスプレイ」なので、ひとつかふたつの焦点面にすべてのUIと環境要素を配置した怪しいデモで、ふくそう調整不調和を解決したように見せかけている。それ以外の距離では、不調和が起きる。止まった時計でも、1日かならず2回は正確な時刻を示すというのと同じだ。

彼はまた、ヘッドセットの視野の狭さも指摘している。ただ正直なところ、彼は、もっと単純な光学システムを使った他社製のARヘッドセットと比較しているので、ちょっと不公平に思える。Magic Leapのディスプレイの視野範囲は、HoloLensのものよりも40パーセント大きいと見積もられているが、それでも人によっては狭いと感じるのかも知れない。

もしこれが、鳴り物入りで登場した製品に対する誰かさんの辛口批評に聞こえたなら、そのとおりかも知れない。Luckeyは、同社の注文番号のシステムから、売り上げを試算している。

Magic Leapの注文状況は、発売から数日の間は、じつに簡単に把握できた。私は友人から注文番号を見せてもらい、注文した時間と比べてみた。そこから、私は最初の1週間の売り上げを予測できると確信した。残念ながら、彼らは私がこのことをツイートした直後に、システムを変更してしまった。私が集めた情報を元に計算すると、最初の週で2000台が売れている。しかし、それは最初の48時間に大きく集中している。そこから推測するに、現時点での販売台数は、3000台を下回る。これは残念なことだが、確かな理由がある。私はMagic Leap Oneを持っている人を100人以上知っているが、彼らの中にAR開発者はわずかしかいない。ほとんどが、技術系企業の重役か、「インフルエンサー」か、初期のころに業界にいたが、ARアプリを開発しようという気がもうない人たちだ。黎明期のVR業界にとって、これは大問題だ。何千何万という開発者がいて、何千何万という開発キットが売れているにも関わらずだ。この問題の桁数が大きくなれば、Magic Leapにはとても厳しいことになる。

Luckeyは、このレビューの続編を書くつもりはないようだが、レビュー用にしばらく遊んだ後、彼は個人で買ったMagic Leap OneをiFixitに渡して分解を依頼している。

このレビュー記事が公開されると、Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、アニメ『アバター 伝説の少年アン』のキャラクターとLuckeyとを比較した、じつに奇妙なツイートをしている。それに続いてもうひとつ、さらに奇妙なツイートを出している。

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「この社会は不和に満ちてる。人々を団結させよう。私たちのデジタルとフィジカルの世界を統合しよう。創造しよう。そして、アーティストとなって作って遊ぼう」

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「Magic Leapの旅もパーティーも、これから面白くてクリエイティブで物凄いものになる。目標ははっきり見えている。誰でも歓迎する。ただし、どうかお行儀よく」

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(翻訳:金井哲夫)

Leap Motionの新しいARヘッドセットのプロトタイプは、高解像度、低コスト、そして少々昆虫眼的

Leap Motionの立ち位置はずっと微妙である。彼らは手の動きをリアルタイムに追跡するコンピュータービジョンに注力し、1億ドル以上の資金を調達したが、そのこと自体は大変上手く行っている。ただ、彼らの仕事は常に説得力のあるデモを生み出して来たものの、8年が経って、会社そのものはまだデモの段階を抜け出せていないように感じる。

本日(4月9日)サンフランシスコを拠点とするスタートアップは、AR/VR世界での野望を広げようと、新しい拡張現実ヘッドセットを発表した。なおこれは直接的な製品化を狙ったものではない。Project North Starは単なるプロトタイプのリファレンスデザインであるが、その設計書をオープンソースとして公開している。実際にヘッドセットを装着すると、まるで巨大な虫のように見えてしまうものの、これはとても興味深いもののようだ。

スタートアップによれば、この低コストヘッドセットは、量産することで100ドル以下の提供が可能になると言うことである。他のARヘッドセットとの比較を行った場合のコスト削減の要因は、光学系の単純さにある。この形で、多くのいかついVRヘッドセットに対して遜色のない映像を生み出すのだ。120ヘルツで動作する2枚の1600×1440のLCDディスプレイが、ユーザーに合わせて100度の視野を提供する。このヘッドセットにはもちろん、必要なハンドトラッキングセンサーも内蔵されている。

おそらくLeap Motionは、自身のハンドトラッキング技術をデモンストレーションするために必要なセンサーを統合した、広い視野のヘッドセットを必要としていたのだが、その要求にぴったりなものが世の中にないことに気が付いて、自ら製作に乗り出したのだろう。

Leap MotionのCTOであるDavid Holzは、ブログ記事の中で「私たちは、これらのデザインが、新しい実験的なARシステムを触発してくれることを望んでいます。すなわちARシステムがどのように見えるべきかという議論から、AR体験はどのように感じるべきかという議論への移行を促したいのです」と書いている。

同社は過去数週間の間に、数多くの非常に興味をそそるビデオをリリースし、拡張現実感のために同社のハンドトラッキング技術をどのように適用していくかの取り組みについて取り上げている。彼らが披露した内容には強い説得力がある。

仮想ウェアラブルを紹介します pic.twitter.com/LPvknKBlnO

Leap Motionは、ずっと私のお気に入りのスタートアップである。なぜなら彼らは揺らぐことのない視線で対象に集中し、結果としてとても素晴らしいものを提供してきたからだ。それにもかかわらず、同社が提供しているものは、開発キットの段階からあまり踏み出すことのない、ハードウェア用のSDKに過ぎない。このことが意味することは、同社が構築するAR機器が他の多くのハードウェアよりも優れているものに見えたとしても、おそらくARヘッドセットマーケットが成熟するには、まだ何年もかかるだろうということだ。

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(翻訳:sako)

FOVEがついに視線追跡VRヘッドセット「FOVE 0」の出荷を開始

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FOVEはラスベガスで開催されているCESで、視線追跡VRヘッドマウントディスプレイ「FOVE 0」の発送を開始すると発表した。FOVEが2015年5月に実施したKickstarterのクラウドファンディングにおける当初の出荷時期は2016年3月だったが、その後パーツ調達の問題に直面し、発送を延期していた。それから8ヶ月近く経って、ようやく出荷の準備が整ったようだ。また、FOVEは今回出荷の発表と同時にリラクゼーションを促すVR体験「LUMEN」のコンテンツ追加とVRアナリティクスサービスcognitiveVRへの対応を発表した。

まずは数千台の「FOVE 0」を出荷するという。Kickstarterの更新情報を見てみると、工場からの出荷日は1月8日とある。

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出荷延期などの問題はあったものの、プロダクト開発は順調に進んでいたようだ。2016年11月にはヘッドセットの予約販売にこぎ着けた。価格は599USドルで、今から購入すると2月の発送予定とある。ただ、FOVEは現在、白と黒のヘッドセットを用意しているが、黒色は1月末までの限定販売で、以後白色のみに注力するという。

今回、FOVEは製品出荷の他にコンテンツについてもいくつか発表を行った。1つは、VRスタジオFramestoreが開発しているリラクゼーション体験「LUMEN」が利用できるようになる。LUMENは木々を見ることで育ち、花が咲き、色が変わる幻想的な世界観のVRアプリだ。LUMENは当初Time inc.のVRプラットフォーム「LIFE VR」のみで提供していたものだ。

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もう一つ、FOVEはVRに特化したアナリティクスサービスを提供するcognitiveVRに対応する。cognitiveVRを使用することで、VR上のユーザーの移動経路や視線のヒートマップなどを得ることができる。例えば、VRのコマースアプリであればユーザーが良く立ち寄る場所を特定したり、不動産の内覧するVRアプリであればユーザーが物件で気になっている箇所を特定したりすることができるだろう。

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2016年はOculus Rift、Playstation VRなど主要なVRヘッドセットが出揃い、ようやくそこにFOVEも並んだ。視線追跡はFOVEの特徴的な機能だが、VRヘッドセットに取り組む企業はどこも視線追跡技術の開発を急いでいるようだ。昨年12月、Oculusは視線追跡技術を開発するThe Eye Tribeを買収しているし、同様にGoogleも2016年10月にアイトラッキングのEyefluenceを買収した。GoogleはVRヘッドセットの開発に乗り出すとも発表している。今後数年でVR領域にどのような発展があるか目が離せない。

モバイルブラウザでもVR、Android用ChromeベータがWebVR APIに対応

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Googleは今日のブログ投稿で、Android用Chromeの最新ベータ版がWebVR API対応になったと発表した。これによりユーザーはVRヘッドセットがあれば、Chrome経由でVRのオンラインコンテンツを楽しむことができるようになる。

これまでのウェブのVRコンテンツでは、ヘッドセットにスマホを装着して視聴した時、固定された視野のVRしか体験できなかった。これではVRの醍醐味がない。最新のアップデートにより、ウェブ開発者はモバイルVRデバイスやコントローラーの入出力、そしてVRと密接に関連するヘッドセットの位置や方向の情報を扱うことが可能になる。

APIやベータ版のアップデートはつまらないニュースと思うかもしれない。だが、これはVRコンテンツがウェブ上に広まるための門戸を開放し、クリエイターがYouTubeやFacebook以外でもVRコンテンツを提供できるようになることを意味する。GoogleのDaydream Viewモバイルヘッドセットなどのデバイスで体験できるコンテンツが格段に増えるだろう。

開発者は、人々が視聴するほとんどのVRコンテンツに対応する標準規格に期待を寄せていた。マルチプラットフォームの性質を持つWebVRは、そんな開発者を喜ばせるものだ。Googleは近い将来、 Chromeのアップデートでデスクトップ、そしてGoogleの低価格なCardboard VRプラットフォームでもWebVR対応を進めるという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Starbreezeが買収したNozonの技術はVRの没入体験を向上させる

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現在VRの未来は、間違いなく大きく開かれているが、競争者たちの多くの視線は、明らかにゲーム用コンピュータと家庭用コンソール上での戦闘ゲームに向けられている。その一員であるStarbreezeは、アミューズメントパークならびにIMAXシアター向けのハイエンドヘッドセットの製作に取組んでいる。

数十年にわたる家庭用ゲームによる席巻の後では、少々後退した(あるいはレトロな)ように感じるものの、同社はその時間と資金を自身のStarVRヘッドセットに着実に投入してきた。同社はAcerや自身で買収したハードウェアメーカーと提携している。先週同社は、ベルギーのビジュアルエフェクト企業と、VRコンテンツクリエイターのNozonを、約775万ドルで買収した

買収の鍵はPresenZである、これはヘッドセットの装着者に、より優れたプリレンダリングされたアニメーション効果を提供し、まるでコンピューターが生成したVR世界の中を見回しているようなより没入感のある経験を与えてくれる、Nozonによって設計された視差ツールである。同社によれば、このテクノロジーは室内のスケールで、映画レベルの表現を提供することができる。

StarbreezeのCEO、Bo Andersson Klintは買収の件を興奮気味に語った。

VRの未来はまだ定まってはいませんが、この技術をみれば想像しやすくなるでしょう。空間が高品質のCGイメージとしてスキャンされそしてレンダリングされる様子を見て、そしてパリのルーブル美術館やヴェネツィアのサン・マルコ寺院のような空間をレンダリングして、そこでインタラクティブなガイドツアーを提供するアプリケーションを見たならば。

出典:Venture Beat

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(翻訳:Sako)

プレステVR、HTC Vive、Oculus Riftーー買うならどれがいい?

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ここ数ヶ月、私は結構な時間、ヘッドセットを顔につけてVRを体験した。それが私の人生を豊かにしたか、あるいは混乱させたかは分からない。少なくともVRゲームは本当に楽しめるものになり始めていて、動画コンテンツは今後一層良くなるだろうとお伝えすることはできる。

Playstation VRがローンチし、コンシューマーが高品質なVRを楽しむための3つの代表的な製品がある。最初の質問は、これを今買うべかどうかだ。

ハードコアなゲーマーなら答えは「イエス」だ。常に最新テクノロジーのアーリーアダプターであるなら、それも「イエス」だ。いつもBurning Manに行っている、あるいは常にBurning Manの話をしているなら、その答えも「イエス」だ。その他の人にとってはというと、私は懐疑的だ。これらを買うために貯金する必要はないだろう。Gear VRもしばらくの間、十分だと思えるほどのものだ。

ここ数ヶ月の間で知り得たことは、PCで動くヘッドセットのアップデートサイクルは、モバイル端末と同じ頻度ではなく、ゲームコンソールの期間(おそらく3、4年おき)と同じくらいになるだろうということだ。

コンシューマーが個人的にこれに投資するには、高額すぎるだろう。また、光学やセンサーなどの発展のおかげで次のヘッドセットでは技術的に大きな飛躍が見込まれる。そうなれば、次の変更で、大部分に互換性が残るとは限らない。少し興味があって、これらのハイパワーのヘッドセットの第2世代を待つというなら、それは2019年か2020年頃になるだろう。

この記事を読んでいて、まだVRを購入するという選択肢が残っているなら、主要なヘッドセットの概要を簡単にここにまとめたので参考にしてほしい。

PlayStation VR

レビュー記事はこちら

+ ヘッドセット、カメラ、コントローラーが付いて499ドル
+ PS4システムが必要
+ 既存のMoveモーションコントローラーを使用
+ ディスプレイ解像度1080×960 OLED (片目ごと)
+ ディスプレイのリフレッシュレート:120Hz

HTC Vive

レビュー記事はこちら

+ 全部込みで799ドル
+ 強力なPCが必要
+ SteamVR OS
+ ルームスケールのトラッキングとモーションコントローラー付き
+ ディスプレイ解像度:1200×1080 OLED (片目ごと)
+ ディスプレイのリフレッシュレート:90Hz

 Oculus Rift

レビュー記事はこちら

+ ヘッドセットとXbox Oneコントローラーで599ドル
+ Touchコントローラーは199ドル(12月6日発売予定)
+ 強力なPCが必要
+ Oculus Home OS
+ ディスプレイ解像度 1200×1080 AMOLED(片目ごと)
+ ディスプレイのリフレッシュレート:90Hz

結局どれがいい?

各ヘッドセットは上記に挙げた通りだ。では、どれを買うべきか?単刀直入に回答したいと思う。

高額なPCを買いたくないのなら、PS VRがいいだろう。ベストなヘッドセットではないが、価格が適正で定期的なシステムアップグレードの時にGPUで見栄を張り合る気苦労もない。また、Sonyはゲームスタジオとの関係性を築いているので、良いゲームタイトルがこのプラットフォームに最初に登場する可能性が高い。

VRの保守主義者で、VRがオープンプラットフォームであることを保証するために個人的に投資しようと思うのなら、HTC Viveがいいだろう。OculusとPlaystationは独占的だが、HTCはValveのSteamVRシステムを活用していて、1つのコンテンツが異なるヘッドセットで利用できるようになることを目指している。

しかし、VRに多額を費やしてもいいという気持ちがあるならOculus Riftがいいだろう。現段階ではViveの方が全体の体験はいいだろうし、トラッキングも素晴らしいが、新しく出るTouchコントローラー(12月6日発売予定)が一番良いものだ。OC3で見たOculusだけで遊べる良質なゲームの多さも衝撃的だった。いくつかの最新のテクノロジーで、少しパワーの落ちるPCでも動かすことが可能にもなる。また、親会社のFacebookとの距離が近いことは、このVR大手がゲーム以外のソーシャルアプリでも最先端を行き、そのネットワークが持つポテンシャルを引き出すだろう。XBox OneのコントローラーではVRのコンテンツ体験はパッとしないものだったが、ヘッドセットが脚光を浴びる時代はこれからだ。

まだVRは始まったばかりだが、早すぎるということもない。このどれを買ったとしても、大きく外すということはないだろう。Google Cardboardからその機能、複雑さ、価格から大きく飛躍した。あなたのニーズに合った最良のVR体験を見つける参考にしてほしい。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

仮想現実ヘッドセットOculus Riftが予約開始―価格599ドル、出荷開始は3月

2016-01-07-oculus-rift-consumer-edition

だいぶ待たされたが、仮想現実のOculus Riftが予約の受け付けを開始した。Oculusの発表によればヘッドセットの価格は599(プラス送料)と判明した。

われわれの編集長、Matthew Panzarinoがすでに1台発注しているのでこの価格は間違いなさそうだ…

Oculus Rift order

イギリスでの販売価格は499ポンドとなる。Oculuによれば、当初、発送先は20ヵ国〔日本を含む〕とされ、また数量も限定される。出荷は4月という〔アップデートあり〕。予約受付はこちらから

注意点として、Oculusの仮想現実世界を体験するためにはまずOculus対応のWindowsパソコンが必要だ。Macユーザーは新たにWindowsパソコンを購入しなければならないので予算が膨らむ。Oculusでは対応パソコンを‘Oculus Ready’と呼んでおり、 Windows 7 SP1 64bitないしそれ以降が必要とされる〔日本語版:さらにビデオカードなどの条件もあるのでサイトの注意を熟読のこと〕。近くOculus ReadyパソコンとRiftがバンドルされた製品がOculusから出荷される予定で、2月に予約受け付けが開始される。価格は1499ドル。

これも今朝確認された点だが、Riftの第一陣の出荷は3月だ。これまでOculusでは製品の出荷開始は2016年第1四半期中としていた。それからすると3月中の出荷というのはぎりぎりスケジュールどおりということになる。アップデート — Oculusでは予約の第一陣は売り切れたと発表した。これからRiftを予約すると製品の入手は5月になる。そうであっても2016年第一四半期に「出荷が開始される」という約束は守られたわけだ。

またこの「第一陣」の数量に関して有益な情報は何も手に入らない。今のところ、Riftの人気、実際の需要などに関して推測する手がかりはまったくない。OculusではVR〔拡張現実〕コミュニティーには大勢のマニアがいるとしている。

すでに確認されているとおり、Oculus Touchコントローラーによってユーザーはヘッドセットに表示される世界を手元で操作できる。仮想現実のアイテムを拾い上げるなどができるようなるわけだ。ただしTouchの出荷はRiftより遅れるという。

コントローラーの予約のための手順はこうだ。まずRiftを予約し、支払手続きに進むとOculusアカウントへの登録を求められる。TouchコントローラーはOculusアカウントに登録した会員だけが予約できる。(Oculusでは実際にアイテムが出荷されるまでユーザーからの支払いは受け取らない仕組みだとしている)。

Oculusではこれ以前に「Touchコントローラーは2016年の下半期に入手可能となる」としていた。つまり「没入的かつ相互作用可能な拡張現実」を実際に体験できるのは今年後半になってからということだ。拡張現実というのはずいぶん人を待たせるものらしい…。ともあれ、Riftの当初のユーザーはバンドルされているXbox Oneのコントローラーでできる操作内容で我慢しなければならない。なおゲームも2本バンドルされている。

アップデート: Oculusのファウンダー、Palmer LuckeyはTwitterへの投稿で予約に伴う処理の遅延や混乱について多少の説明を試みた。問題の原因はクレジットカード詐欺を試みるグループだという。

さてバーチャル・リアリティーを体験するのに600ドルは高いだろうか? この点が判明するにはもう少し時間が必要だ。一般消費向け製品のこの価格はデベロッパー向けキット(350ドル)に比べて相当に高額だ。もちろんTwitterで価格が高すぎると不平を言うユーザーを見つけるのは簡単だ。しかし、これは私の勘にすぎないが、ガジェットがメインストリームに入れるかどうか決めるのは価格ではないと思う。ともかくLuckey自身もそういう意味のことを言っている。

ちなにみ600ドル出すとこういうものが買える。

  • フラグシップモデルのスマートフォン1台
  • 低価格8Androidスマートフォン6台以上
  • Samsung Gear VRが6台
  • Apple Watche2組弱
  • Fitbit Zipトラッカー10台
  • Facebookの株式、6株弱(現行価格で)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+