イーロン・マスクの秘密の屋根裏部屋、NASAのSpaceX立入検査を呼ぶ

Elon Muskが9月のラジオインタビューで口走ったマリファナとの関わりは、彼の信奉者たちを離れらせただけでは済まなかった(人工知能やソーシャルメディア、発明、宇宙などにまつわる 興味深い会話もあった)。

Washington Postによると、NASA当局はMuskの屋根裏部屋話を喜んではいられず、CEOの派手も悪ふざけを受けてSpaceXとBoeingの安全審査を命じた。

NASA の有人探査担当副長官William GerstenmaierはWashington Postのインタビューに答えて、審査は来年開始されBoeingおよびSpaceX両社の「安全カルチャー」を調査すると語った。

ロケットそのものの安全性ではなく、この審査では従業員の労働時間、薬物ポリシー、リーダーシップおよび経営スタイル、従業員の安全への懸念に対する会社の対応などに目を向ける、Post紙は伝えている。

審査の指揮を執るのはNASAの安全ミッション保証部で、これまでに同様の審査を行ってきた部門だ。

NASA当局者によると、審査手順は「かなり踏み込んだ」もので、会社が活動している全所在地にわたり、あらゆる地位の従業員から数百回もの聴き取りを行う可能性がある。

2014年に有人宇宙飛行復活のために両社が受託した68億ドルの契約が危機にひんしている。SpaceXは同プログラムでNASAから26億ドルを受け取り、残りがBoeingに渡った。

両社ともに、NASA宇宙飛行士を軌道に送り込む有人システムのテスト中につまづきがあった。Boeingは宇宙船の断熱材とパラシュートシステムのテストと、緊急中止プロセス中に起こる可能性のある推進剤漏出への対応が必要だ。

SpaceXもパラシュートシステムに問題を抱えている。

SpaceXはPost紙に送った声明で、「これまでNASAと共に成し遂げてきたすべての仕事に大きな誇りを持っており、アメリカに有人宇宙飛行を取り戻す日を楽しみにしている」と言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

宇宙飛行の予約エージェントShuttleはこんな会社

Avery Haskellは、NASAJohnson Space Center近くのヒューストンで育ち、物心ついた頃から宇宙飛行士になりたいと思っていた。

スティーブン・ホーキングとカール・セーガンがヒーローだったスタンフォード大学卒の24歳のAveryは、起業家の家庭に育った。インターネットが生まれてすぐの頃、石油・ガス産業で会計士として働く母親と鉄道のIT技術者の父親が“Neighbornet”というスタートアップを立ち上げたーZillowの初期バージョンだ(Zillowは結局スタートしなかった)。

Haskell自身は現在手がけているベンチャーShuttleに落ち着く前は、クラウドファンディングスタートアップの立ち上げに手を出したり、いくつかのモバイルテクノロジー会社にいたりと、スタートアップ業界の中でちょろちょろと動いていた。

Shuttleは今年初めにAlchemist Acceleratorから生まれ、サイバーセキュリティの専門家でWickrの共同創業者であるNico Sellと共同で設立された。ウェブ・モバイルベースの宇宙飛行予約エージェントになることを目指している。

「宇宙は僕の初恋だ」と、母校スタンフォードでスペースイニシアチブの立ち上げに関わったHaskellは語る。「僕はいつだって宇宙飛行士になりたかったし、多くの人が宇宙飛行士になるのを手伝いたいと思っている。より多くの人が宇宙へ行き、そしてより多くの人が宇宙旅行に興味を持つようになればいいと考えていた」。

HaskellはSellにAlchemist Acceleratorで出会った。Sellはそこでは初めに若い起業家のためのメンターを務めた。しかし彼女はすぐに新たなフロンティアマーケットの先端で働くというアイデアに夢中になった。くしくも、SellがShuttleの会長に就くことに合意した日は、イーロン・マスクのSpaceXが2つのブースターロケットをほぼ同時に地球に着陸させた日だった。

「イーロンに続いて宇宙に足を踏み入れる」とSellは語る。「Averyと働き始めたとき、“我々は本当に準備ができているのだろうか?”と尋ねた。その後、彼と働きながら、準備ができていると確信した」。

Shuttleのフライトリストにあるチケットを購入するのは、Kayakで航空券を買うのとは同じではない。それは、あなたが超お金持ちでなければの話だが、価格が不条理に近いほど高いことが主な理由だ。

Shuttleが提供するのは、25万ドル超もするVirgin Galacticでの宇宙旅行から、無重力を体験できるボーイング747の1席5000ドル以下のローエンドパッケージなどだ。

Shuttleは実際、2019年3月にサンフランシスコから打ち上げられる予定の無重力が体験できる初のフライトの予約を受けている。このフライトでは34人が無重力を約8分にわたって体験できる。

「我々のミッションは、誰もが宇宙を楽しむ機会を持てるようにすること」とHaskellは話す。「より多くの人に宇宙に行ってほしい。そうすると価格が下がり、そしてより多くの人が宇宙から地球を眺めることができ、プライベート宇宙飛行士になる」。

ゆくゆくは、多くの宇宙旅行が利用可能になったところで、Shuttleはさらに商品を増やす。「現在、建設中のラグジュアリーな宇宙ホテルもある」とSellは語る。「1泊100万ドルで最低12泊、90分おきに日の出と日の入りを見ることができる。かなり近い将来、ムーンウォークとスペースウォークも商品として提供できるようになる」

Shuttleは、惑星探査に興味があり、これまでに何人かしか行ったことがないような場所に果敢にも行きたいと考えているコンシューマー向けに、1カ所で商品を購入したり情報収集したりできるハブになりたいと考えている。またShuttleは、実際に宇宙に行く費用を払えない人のために、ヴァーチャルスペースツアーも提供する予定だ。

さしあたっては、かなり金持ちの人か、まとまった額の助成金をもらった人だけがこの宇宙旅行に参加できる。Sellは、ビジネス客向けの企業パッケージにも商機があるとみているープロフェッショナルサーファーKelly SlaterのSurf Ranchでのエグゼグティブの静養先としての旅行にたとえた。

Sellは、宇宙に行くのにかかる5万ドルから25万ドルを喜んで払う人が今後10年間で10万人超出てくると見込んでいる。

すでに同社は、4回のVirgin Galacticのフライトと、同じく4回のZero Gravityチャーターで顧客8人から予約金166万ドルを受け取っていて、チケット1枚あたりの平均価格は25万ドルであるフライトの手数料レートは5〜10%だ。

次に来るものとして、Haskellには心に描いているものがある。「我々はおそらく、近い将来、月に基地を作ることができる。2030年までには可能ではないか。私が生きている間に宇宙の他の惑星に行ったり来たりするのはかなり一般的になるだろう」と語った。

Haskellにとって、Shuttleの重要性は地球に住む人間に、共有している青い惑星での我々の存在がはかないものであることを認識してもらうことにある。Haskellは、お気に入りのカール・セーガンの言葉「宇宙が自らを知る方法、それが私たちなんだ」を引用した。そしてもしそれが本当なら、宇宙を旅することは人間にとって自らをより理解することにもなるとHaskellは考えている。

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(翻訳:Mizoguchi)

NASAの次世代計画は私たちを月と火星に連れて行く…きっといつかは

NASAは太陽系を探査するための公式計画を要約した報告書を発行した。それはとても楽しく読むことができる ―― もしそれが現実味を帯びているかどうかを気にしないならばだが。月の表面への有人ミッション、月を周回する半永久的な基地、火星のサンプルを持ち帰るミッション…これら全てとそれ以上のものがそこには書かれている…それらが次の10年では実現できないかも知れないとしても。

The National Space Exploration Campaign(国家宇宙探査キャンペーン)は低軌道(LEO:low Earth orbit)や国際宇宙ステーション(ISS)のことは忘れて、次の月へのレースに勝利し、火星への道を描くNASAの包括的プランだ。これは、ある意味では、NASAに太陽系全体への拡大と探査に焦点を当てるよう指示した大統領のSpace Policy Directive-1(宇宙政策指令-1)に応えたものである。これは、幸いなことに、政府が既に長期に渡って追求してきていた良い目標の1つである。

したがって、今後の10から20年の計画は、過去数年に渡って行われていたものと似通っているものに見えるだろう。なにしろこうしたことは、極めて長期間に渡って追求され続ける必要があるからだ。

単純な真実は、たとえ全部が上手く行ったとしても、10年以内に月の表面に人間が降り立つことは、危険であることは言うまでもなく、極めて難しいということだ。私たちは単に「できた」と言うためにそのミッションを行うことはできない。私たちのこれからの月ミッションは、月の周回軌道と、惑星間旅行のための着陸船を活用する長期的な戦略の一部でなければならないのだ。言い換えると、短期的なアポロスタイルの派手な着陸(タッチダウン)に数十億ドルを費やすこともできるし、あるいは数多くの分野で有意義な支配力を発揮するために、長期的なインフラに数十億ドルを投資することもできるということだ。

その目的のために、NASAは野心的だが達成可能な短期的な目標をいくつも抱えていて、そうした仕掛中の目標の向こうに、Lunar Gatewayや月着陸船のような未来のプロジェクトが控えている。結局のところ、もしOrion宇宙船とSpace Launch System(SLS)の計画が遅れる(あるいは期待を上回る)ならば、そうしたシステムを使って、月の軌道上に半永久的な施設を建設し人間を送り込もうとする計画に重大な波及効果が及ぶだろう。

その優先度合いは基本的に3つの計画に沿っている:

1. 商業的取り組みを強化する

NASAは数十年に渡って、例えば国際宇宙ステーション(ISS)への補給任務などの、低軌道(LEO)に向けての打ち上げを行ってきている。いつでも行うことができる準備は整っており、商業的取り組みが引き継ぐ準備も整っている。

「これからの数年のうちに、LEO経済における、NASAの歴史的かつ中心的な役割に取って代わる、幅広い顧客基盤が出現することが非常に重要だ」と報告書には記されている。これからの数年の目標は、有効性や競争力などの研究を行いながら、基本的には資金調達と契約を指揮することである。

この動きに依存する形ではあるが、米国は2025年までにISSに対する直接的な資金注入を中止し、その代わりに商業的プロバイダーに依存できるようにする可能性がある。これは私たちがISSを完全に見放すということを意味するわけではない ―― NASAがただ消耗品と宇宙飛行士の供給をやめるというだけのことだ。

実際には、潜在的にはISSを完全に置き換えることを目指した新しい商用LEO開発プログラムに資金を提供するために、1億5000万ドルが確保されている ―― 少なくともその一部がそのために執行されている。それはほぼ同じ規模である必要はないが、私たちのものであると呼べる軌道上プラットフォームが1機ないし2機あることは良いことだろう。

より一般的な観点から見れば、LEO事業から撤退することで、より野心的なプロジェクトに向かうための巨額の資金とリソースがNASAに与えられることになる。

2. 月を攻略する

月は計画された太陽系探査計画のための、すばらしい足場となるエリアだ。そこは地獄のように環境が厳しい。つまりそこでは火星のような生活環境や宇宙線被曝などのテストを行うことができるのだ。月を覆う地表の下には大量の有用なミネラルがある筈で、おそらくは利用可能な水さえも見つかる筈だ。このことで基地建設が大いに単純化されるだろう。

残念ながら、人類が最後に月へ足を踏み入れたのは数十年前であり、ロボット着陸船による帰還さえも、数えるほどしか行われて来なかった。だから私たちはそれを正しい方向へ向かわせようとしているのだ。

2019年に始まる商業的な月面着陸船とローバーの計画もある。すなわち着陸ではなく、開発が始まるということだ。これらの努力と成功に基づいて、さらに多くのミッションが私たちの月面に対する基礎知識を向上させるために開始または遂行される予定だ。こうした基礎知識は、ドリルや掘削などへの応用という観点からは、まだほとんど何も知られていないのだ。

一方、Orion宇宙船とSLSは、2020年に初めて軌道上のテストが行われる予定であり、もし全てが順調に進んだならば、数年のうちに宇宙飛行士たち(とおそらくは少量の貨物)を月の周回軌道の上に送り込むことができるだろう。それが証明された後、Orionの変種である貨物宇宙船が、一度に10トンのペイロードを軌道に乗せることができるようになるだろう。

これらは皆、月の周回軌道に乗る宇宙ステーションLunar Gatewayを投入するための前準備に相当するものである。Lunar GatewayはNASAの宇宙飛行士たちが搭乗し、深宇宙へのテストベッドならびに実験室として利用されることになる。彼らは、来年までに体積、質量、材料、技術の基礎を確定しようとしており、2022年までには月の軌道上に最初のコンポーネントを乗せたいと考えている。

3. 皆に、私たちが既に火星にいることを思い出させる

NASAは科学者で溢れている。そして彼らに将来の火星ミッションについて質問したならば、彼らは既に取り組んでいる多くの火星ミッションを激しく指さしながら、熱い言葉を語り始めることだろう。驚くようなことではないが、政府のロードマップは、はるかな未来ではなく比較的近い未来に焦点を当てている。ここでの事実は、火星はすでに優先課題であり、すでに重要なミッションが計画されているが、有人ミッションや基地設置に関しては、何を語っても時期尚早で無責任なものになるということだ。

Insightはすでにルートに乗っており11月には着陸する予定である。またMars 2020 Roverは来年の夏に打上げ予定である。両者は将来のミッションを計画する上で、重要で興味深い沢山の結果を生み出してくれるだろう。Mars 2020は、数年後に計画されている別のミッションで持ち帰るためのサンプルを収集する予定だ。火星の岩石でいっぱいの貨物船で、何ができるか想像できるだろうか?遠くにチームを送り出す前に、それらの試料をまず実験室に送り込んで分析をしたいと思うのは当然だ。

NASAにとっては2024年が、おそらく2030年代の火星有人ミッションについて決定を下すことを約束しているもっとも早い時期である。その段階でも決定されるのはおそらく軌道周回を行うミッションだろう。当然のことながら、そのミッションから得られる信じられないほど貴重な観測と学んだ教訓に基いて、新しいミッションが計画されることだろう。おそらく2030年代の終わりには火星に人間の足跡を残せるのではないだろうか。

それは少々残念だろうか?まあ、商業区間で物事が進行する速さを考えると、それ以前にプライベートな火星ミッションを目にする可能性は高い。しかし、NASAはある種の義務を負っている。それは科学機関であり、納税者からの資金提供を受けている以上、民間企業が選択しないようなレベルまでその仕事を正当化しテストする必要があるのだ。

この報告書は約束されている内容は重いものの、実際の施策と厳密な日程に関しては扱いが軽い。すなわち多くのゴールがまだ遠く「2024年にはっきりする」以上のことは自信をもって明らかにすることができないと思われる。宇宙に関する急速な進歩が見られるこの時代に、そうした遠く漠然としたゴールを持つことは、少々不満かもしれないが、それがこのビジネスの性質というものなのだ。

一方、NASAや業界全体を再編している数多くの商用宇宙産業たちによる、エキサイティングな開発のネタが枯渇する心配はない。もしNASAの慎重なアプローチが気に入らないのなら、宇宙へと自分のミッションで乗り出すことができる ―― 本当に。そう考えるのはあなた1人ではない。

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(翻訳:sako)

SpaceXのBFRに乗って月を周回飛行する最初の民間人乗客はYusaku Maezawa(前澤友作)だ

日本人の億万長者で起業家のYusaku Maezawa(前澤友作)が、SpaceXのBig Falcon Rocket(BFR)で月の周回飛行をする初の民間人になる。その24万マイル(約39万キロメートル)の旅は、早くも2023年に決行される予定だ。

月曜日(米国時間9/17)にロサンゼルス近くのSpaceXの本社で行われたイベントで、彼は大声で興奮と喜びのスピーチを語った: “ぼくは月へ行きたいんだ!”。

SpaceXがBFRの…今後の長期に亙る…テストと開発に成功したら、Maezawaは1972年にアメリカが行ったアポロ計画以来初の、月旅行の乗客になる。月に行ったことのある人は、わずか24名だ。SpaceXによると、旅程はおよそ1週間で、月面から125マイル(約200キロメートル)の至近距離に達したら月旅行を終えて地球へ帰還する。

Muskは、発表後の記者会見で、“彼は最高の冒険家だと思う”、と語った。

Maezawaはこれまでの人生で、ありとあらゆることに挑戦してきた。今の彼は、起業家であり、ミュージシャンであり、デザイナーであり、アーチストであり、美術蒐集家であり、そしてオンラインのファッションリテイラーZozotownのCEOだ。

彼は曰く、“これはぼくの一生の夢です。子どものころから月が好きで、月を見るだけでいろんなことを想像します。月はいつでもそこにあって、ぼくにインスピレーションを与え続けています”。

Maezawaによると、彼は6人から8人のアーチストを同行して、彼らに宇宙や月に刺激された作品を作ってほしい、という。彼はそのプロジェクトを、#dearMoonと呼んでいる。“彼らの傑作がぼくたち全員の中のドリーマーにインスピレーションを与えるだろう”、と彼は語る。まだ同行者を具体的には決めていない。たぶん、ミュージシャンとフォトグラファーと絵描きと建築家の混成チームになるだろう、と言っている。

BFRがMaezawaを宇宙に送り出すまでにSpaceXには、やるべきことと、調達すべき資金がたくさんある。現在は、SpaceXのリソースのわずか5%がBFRに投じられている。BFRの開発費用は、50億ドルと見積もられている。

MaezawaもMuskも、まだ彼の“運賃”を明かさない。でもMuskは、これは本物の商契約であり、彼は“大金を”払っている、と言う。

BFRはまだ、できていない。Muskによると、成功の鍵は売上、中でもとくに有料顧客の数にかかっている。BFRは定員100名だが、最初の飛行では備品等の量も多いので旅客の数は10名強が妥当、という。

Muskは木曜夜のツイート(米国時間9/13)で、新しいBFRの設計を前触れした。“SpaceXはBFRによる月周回旅行の世界初の民間人乗客と契約した”。これはSpaceXが発表する三度目のBFRの設計だ。Muskは月曜日(米国時間9/17)の夜、“これはBFRの概略構造設計としては最終作だ”、と言った。

その月曜夜にMuskは、BFRの詳細をさらに明かした。月曜日に見せた設計ではBFRは長さ118メートルの二段式再利用可能な宇宙船で、100トンの荷重を火星へ運べる。

SpaceXはまだ、BFR宇宙船の“グラスホッパー”試験を来年行なう計画だ。そのあと2020年に、高高度高速飛行を行なう。

BFRはBig Falcon Rocketの頭字語ではないのかもしれないが、とにかく、持続可能な惑星間宇宙船として設計されている。いずれそれは、SpaceXのそのほかのロケット、Falcon 9やFalcon Heavyなどをリプレースするのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Virgin Galacticの初の宇宙旅行フライト、イタリアからの打ち上げに?

米国の宇宙開発ベンチャーVirgin Galacticは、イタリアから宇宙への商業打ち上げを実現するために現地の宇宙航空企業2社と提携したと発表した。

イタリア最大の民間宇宙航空企業SITAEL、そしてイタリア宇宙機関とThales Alenia Spaceが出資する半官半民企業ALTECだ。この提携に至るまでに2年の歳月を要した。

この提携は、Virgin Galactic社の宇宙輸送システムを、今後イタリアに建設される宇宙船基地Grottaglieに導入することが目的だ。Grottaglieは宇宙旅行をしたい個人、また研究を行いたいイタリア宇宙機関のような顧客のために使用されることになる。

今年初め、イタリア航空機関ENACは、将来的に水平姿勢のまま打ち上げる宇宙飛行の拠点となるTaranto-Grottaglie空港を設計した。

この宇宙空港は今後、Virgin Galactic社が将来展開する準軌道フライトのためのインフラを徐々に整備していくが、 Virgin Galacticの運用本部はニューメキシコのSpaceport Americaに引き続き置く。

「この提携により、もしかするとVirgin Galactic社による史上初の宇宙旅行がイタリアから打ち上げられることになるかもしれない」とVirgin Group創業者のRichard Bransonは発表文で述べている。

Virgin GalacticにはVirgin GroupとAabar Investments PJSが出資していて、2つの姉妹企業を持つ。1つは、LauncherOne軌道打ち上げを使った小型衛星の打ち上げを行うVirgin Orbit、もう1つはアーム製造を行うSpaceship Companyだ。

Virgin Galacticは現在、水平な姿勢を保ったまま打ち上げでき、かつ再利用可能なSpaceShipTwo VSS Unityのテスト中だ。SpaceShipTwoと、輸送機WhiteKnightTwoは、Spaceship Companyがカリフォルニアのモハーヴェで製造し、テストを行なっている。仕組みはこうだ。 WhiteKnightTwoがVSS Unityを高い高度まで持って行き、切り離す。その後VSS Unity はエンジンを発射し、宇宙と地球大気圏の境まで行く。そこで乗客は数分の無重力を体験し、再び地球大気圏に戻る。

過去数カ月、Virgin GalacticはSpaceShipTwoのテストフライトを2回行い、成功している。このSpaceShipTwoはロケットで飛ぶ旅客機で、いつの日か旅行者を宇宙の入り口まで連れて行ってくれるはずのものだ。2014年にSpaceShipTwo Enterpriseが重大な事故を起こして以来、Virgin Galacticは初めて今年4月にロケット機体のテストを実施した。

イメージクレジット: Virgin Galactic

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(翻訳:Mizoguchi)

ジェフ・ベゾス、野心的な月植民計画を説明――宇宙協会のカンファレンスでアラン・ボイルと対談

Amazonのファウンダー、CEOのジェフ・ベゾスには月で実行したいビッグ・プランがある。すでに無数の実用衛星が軌道を回っているが、この宇宙テクノロジーをチューンアップすすれば月植民のプラットフォームになるという。この事業はNASAやESA(欧州宇宙機関)との協力の下に実行するのがベストだが、必要とあればベゾスはBlue Origin単独でもやり遂げるつもりだ。

ロサンゼルスで開催された米国宇宙協会の国際宇宙開発カンファレンスでベゾスは著名な科学ジャーナリストのアラン・ボイルと対談した。 ここでベゾスは月を製造業の拠点とするアイディアを説明した。これは地球の資源を守ることにも大いに役立つという。

「近い将来、といっても数十年、もしかすると100年後かもしれないが、現在われわれが地表でやっている仕事の多くが宇宙でもっと簡単にできるようになると思っている。もっとエネルギーが得られるようになるだろう。われわれは地球を離れるべきだ。われわれは宇宙をもっと使える場所にすべきだ」とベゾスは述べた。

ベゾスは、「ある種の鉱物や資源など地球でなければ手に入らないものがある」としながら、月への製造業の移転は必然的だと述べた。

月のある部分では太陽光が24時間常に利用でき、太陽光発電に理想的だ。また地下水の存在も探知されている。また粉状の月の表土は資源として魅力的だ(埃を吸い込まないようご注意)。「文字通りおあつらえ向きだ」とベゾスは述べた。

ベゾスは自分が設立したBlue OriginとNASAが月の利用で提携することを求めている。この月着陸船は月に植民して製造業の拠点する可能性を探るためのものだ。ペイロードは5トンで、これだけあれば月面利用に関して本格的な調査が行えるはずだ。

もちろん現在のところ、これらは可能性に過ぎない。 Blue Originが開発したロケットはカーマン・ラインを超えて低い高度に上昇することに成功したに過ぎない。

このNew Shepardの後継となるNew Glennロケットは軌道周回能力を備え、2020年代に入って実際に発射される計画だ。しかしベゾスは月利用計画に確信を持っており、ロケットが完成するまでプロジェクトを進めるのを待つつもりはない。

月植民計画は国際協力事業となるべきだとベゾスは信じている。国同士が競争するのではなく、各国は製造、居住の設備を共有し、「ルナー・ビレッジ」として力を合わせて目標の追求にあたるべきだという。

この高邁な目標を追求するBlue Originは現在のところベゾスが私財を投じるプロジェクトとなっている。ベゾスはこの事業を「誰かが引き継ぐか、私が破産するまで続ける」と述べた。ボイルとベゾスは後者の可能性はまずなさそうだという点で意見が一致した。

New Shepardの乗員カプセルのパラシュートによる回収成功を報じるTechCrunch記事

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Orbital ATK、ISS向け重量物運搬ロケットを打ち上げへ(日本時間5/21夕方)

東海岸で早朝に起きた人は、3トン以上の貨物を国際宇宙ステーションに運ぶロケットの打ち上げを見られるかもしれない。東海岸時間5月21日(月)4:39(日本時間17:39)にバージニア州ワロップス島のNASA施設から打ち上げ予定のミッションは、天気がよければOrbital ATKにとって9回目のISSへの貨物輸送になる。

ロケット、Antaresの打ち上げは昨年11月以来で、当初は今日に予定されていたが、検査と天候の好転を優先して延期された。宇宙船には、補給物資、部品、装置のほか、ISS科学研究のために設計された小型衛星、CubeSatが3基積載される。CBSによると、量子物理学の研究のひとつとして「原子を絶対零度より10億分の1度高い温度まで冷却する実験」が行われる。

東海岸で早起きして見晴らしのよいところにいる人は空を見上げてみよう。Space.comの 説明によると、始めは流れ星のようだったものが彗星のように大きくなり、発射から4分半後頃にはロケットの噴煙が太陽光を受けて光り輝く。

この打ち上げは同社がNASAと契約したISSミッション11回のうちの1回で、あと6回追加される可能性がある。SpaceXは現在20回のミッションを契約している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FCC、SpaceXの衛星ブロードバンド計画を承認―― 4425個の小型衛星で世界をネットワーク

数千個の小型衛星のネットワークで世界的ブロードバンド網を建設するSpaceXの計画にFCC〔連邦通信委員会〕が承認を与えた。しかもこの計画は(少なくとも宇宙計画の一般的スピードでいえば)近々実行に移されるはずだ。承認された計画によれば、SpaceXは向こう6年間に計画されている衛星の半数を打ち上げることになっている。

FCCのAjit Pai委員長が先月メモを発表して、アメリカ企業による世界初の衛星による地球規模のブロードバンド網を建設する計画の称賛したため、SpaceXの提案がFCCから承認されることは確実になっていた。無論この称賛にイーロン・マスクも異議を唱えていない。

SpaceXのCOO、Gwynne ShotwellはFCCの承認に関連してTechCrunchに次のようなコメントを寄せた。

われわれはSpaceXの衛星ブロードバンド計画をFCCが詳細に調査した上で承認したことを喜んでいる。きわめて複雑な計画であるため、今後なすべきことは数多いが、FCCの承認はSpaceXが次世代の衛星ネットワークを建設する上できわめて重要なステップだった。このサービスは経済的であり、信頼性が高く、重要な点として現在インターネットに接続する手段を持っていない人々を結びつけるために特に役立つものとなるだろう。

Starlinkと呼ばれるSpaceXの計画は、OneWeb、Spireなど他の衛星事業者から反対を受けていた。単に事業のライバルが増えるということ以外に、何千個もの衛星が軌道と電波の帯域を混雑させることに対する懸念だ。

SpaceXのインターネット衛星網:FCCへの申請書から

たとえばOneWebは、SpaceXの衛星軌道は自社の衛星から高度にして125キロ以上離すべきだととしている。もちろん衛星間の干渉を防ぐ必要はあるが、それにしてもこれほどの距離が必要かどうかは疑わしい。

しかし軌道上に散らばるスペースデブリを極力減らすべきだという点はFCCによっても留意された。【略】SpaceXとしては計画を実行に移す前にさらに研究を続ける必要がある。

しかも問題は早急に解決する必要がある。FCCはSpaceXに対して「急がないなら承認を再検討する可能性もある」としている。FCCでは2024年3月29日までに計画している衛星の50%を打ち上げるよう求めている。【略】SpaceXでは最終的に1万2000基の衛星によるネットワークの構築を計画しているが、今回承認されたのは軌道高度が高い4425基の分だ。残りの衛星は高度と使用する周波数帯が異なるため別個の承認を必要とする。

Falcon 9がStarlink衛星を実験打ち上げ。2月22日

なおFCCのRosenworcel委員は、委員長のものとは別の声明で宇宙の商業利用に関するFCCの諸規制を根本的に見直す必要があると述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceXがFalcon 9の50回目の打ち上げとミッションに成功、重量6トンの通信衛星を軌道へ運ぶ

SpaceXがFalcon 9ロケットの50回目のミッションを打ち上げた。搭載したのは静止衛星ペイロードとしてはこれまで最大のHispasatユニットで、そのサイズは都市バスぐらいある。

打ち上げは今朝(米国時間3/5)フロリダ州ケープカナベラルから行われ、計画通り進行してHispasat 30W-6をそのターゲットの静止遷移軌道に配達した。そのStandish衛星は重量が6トンあり、この宇宙企業のこの種の衛星向けとしては新記録となった。

これは、Falcon 9ロケットにとって大きな節目となる。このロケットは、最初のバージョンがSpace Xのためのサービスを2010年に開始した。Space Xはまた最近、初めて同社のFalcon Heavyを打ち上げ、さらに次世代の打ち上げ機BFRを目指している。BFRは、語呂合わせで‘big f*cking rocket’と呼ばれることもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

シリーズAで国内過去最高の101.5億円を資金調達したispaceは月のインフラ構築に挑む

民間企業が月面着陸を競うGoogle Lunar XPrizeのファイナリストに選ばれ、日本で唯一残っているチームHAKUTO。世界初の民間月面探査を目指す、そのHAKUTOを運営するスタートアップispaceは12月13日、総額101.5億円という巨額の資金調達をシリーズAラウンドで実施すると発表した。第三者割当増資の引受先は産業革新機構、日本政策投資銀行、東京放送ホールディングス(TBS)など(記事末尾に出資社リストを記載した)。シリーズAとしては日本では過去最高額、また宇宙分野のシリーズAとしても世界過去最高額の資金調達となる。

ispaceは2010年9月設立。2040年を目標に、月の水資源を軸として宇宙インフラを構築し、地球と月をひとつのエコシステムとして持続的な世界を実現することを目指す、宇宙スタートアップだ。これまでに、エンジェル投資家や、独立系VCのインキュベイトファンドが運営する3号ファンドからも資金調達を行っている。

今回の資金調達でispaceは、独自開発の月着陸船による「月周回」と「月面着陸」の2つの月探査ミッションをスタートさせるという。Mission 0と位置付けられたGoogle Lunar XPrizeへの参加に続き、Mission 1として2019年末ごろに月周回軌道への月着陸船投入と軌道上からの月探査を、Mission 2として2020年末ごろに月面へ軟着陸して探査ローバーによる月面探査を行う予定だ。

月探査 Mission 1「月周回」イメージ

月探査 Mission 2「月面着陸」イメージ

ispaceでは2つのミッションを、月のインフラ構築に必要となる物資の月輸送と、資源を含めた月面探査の技術を確立する出発点としている。これら日本初の民間月面探査プロジェクトにより、物資の月輸送と、資源を含めた月面探査の技術を確立するための検証を実施。今後の月面データ提供サービスや輸送サービス構築を進めていくもくろみだ。

2009年、NASAの研究により水の存在が示唆されてから、月面の水資源には世界的に注目が集まっている。水資源は、生命維持に欠かせない要素であるほか、水素と酸素に分解することで燃料化が可能。月面での人間の生活に加え、月をベースとした宇宙開発も視野に入ることから、ispaceでは「月の水資源こそが宇宙へのヒト・モノの輸送の在り方を変え、人類が宇宙で生活する未来を速める重要な鍵」ととらえている。

ispaceのウェブサイトによれば、この後に続くMission 3以降では月の極域の水探査を中心とした、月の情報サービス/月輸送サービスプラットフォームの構築、Mission 10以降では安定的な月面開発を実現する産業プラットフォームの構築を目指しているという。

ispace代表取締役の袴田武史氏は、今回の資金調達について、こうコメントしている。
「今回の資金調達によりランダー開発に着手することで柔軟で定期的な月面輸送システムの構築し、小型宇宙ロボット技術の強みを活かし、月面での探査および開発をより一層促進していきます。日本のみならず、ルクセンブルクと米国の拠点を通して積極的にグローバルでの宇宙資源開発を先導していきます。さらに、今回投資していただいた機関投資家や事業会社の皆様の知識とネットワークを活用して、月面資源を軸にした民間の宇宙ビジネスシステムを構築し、その先にある人類が宇宙で生活できる持続的な人類社会の創造を目指します。」

[ispace シリーズAラウンド出資社一覧]
産業革新機構
日本政策投資銀行
東京放送ホールディングス
コニカミノルタ
清水建設
スズキ
電通
リアルテックファンド
KDDI
日本航空
凸版印刷
スパークス・グループ ※12月末時点の追加投資に参加

World Viewの成層圏気球がツーソン本社からの浮上操作に成功、商用化に一歩前進

成層圏気球をさまざまな目的のために提供するWorld Viewが、同社の発表によると、アリゾナ州ツーソンの本社から、その最初の浮上に成功した。その新しい本社は公式には2月にオープンしたが、その後今日まで各種の準備作業に追われ、本日(米国時間10/1)やっと初浮上に至りついた。

World Viewは高高度の気球船を使うことにより、商用宇宙ビジネスに新しい分野を開拓しようとしている。その気球は地球の大気圏の上端で運用され、科学研究や観測などの目的に、低地球軌道人工衛星よりずっと安い費用で利用できる。その成層圏高度は、長期的な観測サイトにも適しており、気象観測や国防用途にも向いているとされる。

ツーソンにおける初浮上は、土曜日(米国時間9/30)に行われ、その前の気球充填テストは8月半ばに行われた。ツーソンの本社には浮上のための施設設備だけでなくオフィスもあり、巨大な気球を手作業で組み立てるための世界最長のテーブルもある。将来的には客室のある気球も構想しており、それが実現したら成層圏観光旅行や科学者たちの搬送も可能になる。

World ViewのCEO Jane Poynterによると、ツーソンからの最初の浮上は同社の(ブランド名)Stratollite気球の一連の開発および立証過程における、重要な里程標のひとつにすぎないが、今日の成功を踏まえて今後は徐々に、長期の滞留や永続的ステーションの実現に向けて努力していかなければならない、という。

ツーソン本社ではなく試験サイトからの浮上では、すでに気球の27時間の連続飛行に成功している。複数の気球の、数時間でなく数か月の一斉滞留が可能になれば、商用の運用もできる、と同社は考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Vectorがマイクロ衛星用ロケットのテストに成功――宇宙スタートアップ、大きく前進

マイクロ衛星の打ち上げを目指すスタートアップ、Vectorを創立したのはSpaceX、Virgin Galactic、Boeing始めとする宇宙企業の元社員のチームだ。今日(米国時間8/3)、Vectorは衛星打ち上げに利用するロケット、Vector-Rの実物大プロトタイプの打ち上げに成功した。

今回の打ち上げはジョージア州カムデンに所在するVectorの基地で行われた。 このSpaceport Camdenは1960年代にNASAの固体ロケットのテスト施設として開設されたもので、最近Vectorが打ち上げ基地として再開したものだ。

Vectorの目的はSpaceXのような衛星打ち上げを行う企業となることだ。実際、共同ファウンダーのJim Cantrell、John GarveyはSpaceXの共同ファウンダーだ。今日の打ち上げ成功は同社にとって大きな一歩となる。またVectorはマイクロ衛星の商用打ち上げをAstro DigitalCenter for Applied Space Technology、NASAエイムズ研究所から委託される予定で、これらの企業や組織からのテスト用ペイロードも積み込まれた。

現在Vectorでは「開発は順調に進んでおり、来年中に実際の衛星打ち上げ能力を獲得できる」としている。今回の打ち上げ実験の成功が大きいというのは、NASAのマーシャル宇宙飛行センターと共同で開発した3Dインジェクターによって成形されたエンジンが用いられているからだ。このテクノロジーは打ち上げコストを大幅に低下させる効果を期待されている。

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VectorのミッションはCubeSatと呼ばれるマイクロ衛星の低コストでの打ち上げ能力を得ることと同時に、こうしたこうした衛星に必要とされる能力を発揮させるアプリを開発するプラットフォームとなるソフトウェアを開発することだ。Vectorでは自身で衛星をデザイン、開発して打ち上げるのではなく、Vectorが提供するAPIを通じてサードパーティーが衛星をコントロールするアプリを開発できるようにするという。

Vectorではマイクロ衛星の打ち上げコストを最終的に300万ドル程度まで下げようとしている。SpaceXのFalcon 9ロケットによる衛星打ち上げコストの6000万ドルと比較してきわめて安価だ。この低価格によりこれまでとは比較にならないほど広い範囲のユーザーが宇宙にアクセスできるようにしるのが狙いだ。同社は最近SequoiaがリードするシリーズAのラウンドで2100万ドルを調達している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google Mapsのストリートビューで国際宇宙ステーションの中を探検散策できる

Google Street View(ストリートビュー)でこれからは、国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)の中を探検できる。ストリートビューが宇宙に入り込むのはこれが初めてで、ISSを訪ねる機会などないわれわれ一般大衆に、その15のモジュールすべてを見せてくれるのだ。

最新の画像を見ながらさまざまなモジュールを歩き、というか漂(ただよ)い、あなたがその一時寄留の間(かん)に出会ういくつかの複雑な装置の説明を読むこともできる(下図)。なにしろISSは、複雑難解の塊(かたまり)である。ストリートビューにとっても初めてだから、今後何度も撮影して見せ場を増やしていただきたい。宇宙ステーションの中でも、ストリートビューならではの移動画像をそのまま見られるのが、なかなかすてきだ。

宇宙飛行士たちがこのプロジェクトのために画像を撮り集めてくれたとき、たまたまSpace XのDragonがISSに駐機していたので、ステーションへの貨物の配達の様子を見ることができる。

地上と違ってISSは無重力空間のラボだから、すべてを見るためには文字通り360度の撮影が必要だ。しかし残念ながら今のストリートビューの技術は宇宙空間向けに最適化されていないから、その点、まだ完全ではない。

でもユーザーインタフェイスはおなじみのストリートビューそのものだから、気楽にクリックしながらあちこちを見られる。ではでは、Google Mapsへ行ってこいつをトライしましょう。

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Virgin Galactic、動力飛行テストを再開――2018年には商用宇宙旅行開始を目指す

Virgin Galacticが宇宙往還機の動力飛行のテストを再開する。2014年に副操縦士のMichael Alsburyが死亡した悲劇的事故以来SpaceShipTwoのの動力飛行は中断されていた。テストの再開はVirgin Galacticのファウンダー、リチャード・ブランソンがBloombergのインタビューの内容を共有したことで確認された。

現在実施中の滑空飛行の結果が集約された後は、3週間に1回のペースで動力飛行が行われる予定だ。テストは徐々に高度を上げ、今年11月か12月には宇宙との境界となる高度まで飛行するという。すべて順調に運べば、2018年半ばにブランソン自身が最初の乗客となって最初の宇宙飛行を行う。ブランソンは最終的にはこの機体で有料商用宇宙旅行を実現させようとしている。

2014年の事故以来、沈黙していたVirgin Galacticだが、今回初めて具体的な商用宇宙旅行計画が明らかにされた。ブランソンはBloombergに対し、計画の遅延とジェフ・ベゾスのBlue Originやイーロン・マスクのSpaceXなど民間宇宙企業の躍進にもかかわらず、「(ライバルがいくらあろうと)十分な数の宇宙旅行機を製作することはできない」と需要が旺盛であることを強調した。

Virgin Groupは現在Virgin Orbitとよばれる衛星打ち上げとロジスティクスを行う会社を所有している。同社は最近VSS Unityと呼ばれる機体の滑空実験を行い、成功させている。今後動力飛行の実験に移り、最終的にはこの機体から小型衛星の打ち上げを成功させたい考えた。

〔日本版〕Virgin Orbitの機体は専用のボーイング747、Gosmic Girlに背負われて成層圏に上がり、動力飛行して衛星を放出、軌道に乗せることが目的。SpaceShip IIは弾道軌道の有人商用宇宙飛行が目的で、双胴タイプのジェト機に吊り下げられ、上空で分離する。下は事故前にVirgin Galacticが公開したビデオ。

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Lockheed MartinがスタートアップTerran Orbitalに投資してナノサテライトのブームに乗るつもり

航空宇宙産業のリーダーLockheed Martinが、アメリカのナノサテライト企業Terran Orbitalに投資したことは、成長を続ける商用宇宙利用において小型衛星、とりわけ安価で軽量な人工衛星が、業界の新旧両勢力から重要な機会と見なされていることの、ひとつの例だ。

Lockheedはキャッシュと現物支給で今回の投資を行ったが、両社は過去に、DoDやNASAの仕事でパートナーしたことがある。Lockheed側の意図は、Lockheed Martin Venturesの常務取締役からの声明では、“敏速で応答性が良く、コスト効率の良い技術によるミッションとそれらの実証デモンストレーションへの関心が、弊社の顧客において昨今ますます増大しており、それに対応するため”、としている。

Boeingが開示した独自の計画では、同社の人工衛星製造ビジネスを再構成して、現在の大型衛星をはるかに下回るコストによるナノ衛星の生産に注力していく、となっている。そこは今、比較的低い起業コストで商用宇宙ビジネスへの参入をねらうスタートアップにとっての温床でもあり、Lockheedのようなレガシーの業界リーダーが今後の有力な商機とねらうのも、当然と言える。

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SpaceX、NROL-76の打ち上げに利用したロケットの地上回収に成功

NROL-76の打ち上げに利用したFalcon 9は、既報通りに無事回収された。Falcon 9は、打ち上げ後しばらくして第二段ロケットを切り離し、その後に予定通り地球に向けて下降した。

SpaceXがケープカナベラルのLZ-1にてロケットを回収するのはこれが4回目のことだ。この地における最初のロケット回収は18ヵ月前のことだった。地球に帰還する状況に応じて自在に着地地点を変更する海洋上のドローンによる回収に加え、地上でも安定的に回収することが可能となっているようだ。

回収したFalcon 9はテストを経て、再利用に向けた調整が行われることになっている。SpaceXとしては、究極的には回収後24時間で再利用できるようにしたい考えがあるのだとのこと。ちなみに、第一段ロケットの再利用自体については、今年の3月に成功している。そのロケットについても、回収を行なって再利用に備えているところだ。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、中継切れのあのシーンを公開―Falcon 9ブースターがドローン艀に垂直着陸

SpaceXは衛星打ち上げミッションの一部始終を生中継で公開している。われわれも報じたとおり、前回のSES-10放送衛星打ち上げでは、回収したFalcon 9ブースターの再利用に成功し、さらに上の写真のように大西洋上のドローン艀への回収にも成功した。しかし SpaceXが公開していた生中継ビデオはブースターの大気圏再突入時にカメラの不具合でビデオの送信が途切れ、ドローン艀からの送信も中断してしまった。

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艀からの中継も切れたのは衛星アップリンクを失ったからだという。しかしSpaceXではブースターの着陸の瞬間を艀上のカメラでローカルに記録していた。このほどその瞬間のビデオが公開された。

着陸は複数のアングルから記録されており、タッチダウンの瞬間にわずかにバウンドする(安定性のため)ところも捉えられている。この成功の意味は大きい。いくら強調しても強調しすぎることはない。ロケットの回収と再利用により衛星打ち上げコストを劇的に減少させるというpaceXのビジネスモデルそのものがが有効だと証明された瞬間だった。

〔日本版〕上のInstagramビデオは再生時に音が出るので注意。キャプションにある"Of Course I Still Love You"はSpaceXが運用する2隻のドローン艀の1隻の船名。もう1隻は"Just Read the Instructions"。どちらもSF作家、イアン・M・バンクスの作品名から。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Blue Originに10万ドル払って宇宙旅行するときの座席はこれだ!

宇宙ロケットなどの記事を書いていると、自分も宇宙へ行きたくなる。今度のこれはBlue Originの記事だけど、やはり自分自身が宇宙へ行ってみたいよね。とくに、今回渡された素材は、同社のNew Glennロケットの豪華なインテリアの写真だから、なおさらだ。本革を贅沢に使っているし、しかもどのシートも窓側シートでかつ、通路側シートなのだ。

これらはもちろんモックアップだけど、10万ドル+αでチケットを買って10分間の宇宙旅行を楽しむときも、Ars Technicaによると、これとほぼ同じだそうだ。カプセル内の中央の装置が宙に浮いているのなんて、すごくクールだね。しかもこれは、Blue Originが昨年のロケットでテストした脱出エンジンで、緊急時にカプセルをロケットから最大限の力で素早く切り離すのだ。

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コックピットが全景ビューのパノラマだとかっこいいけど、でも表面に透明部分が多いとロケットの強度を確保できないのだろう。それとも、強度的には可能だけど、ラグジュアリー仕様の車のように、費用が高すぎるのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

商用ロケットStarliner乗組員の宇宙服をボーイングがお披露目

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商用宇宙産業は、新しいロケットやそれらに関連する機材の開発では、偉大な仕事を成し遂げている。しかし宇宙服に関しては選択肢があまり存在していなかった。これまでは。ボーイングはそのStarliner機に搭乗する宇宙飛行士が着用する宇宙服を公開した。既存のものに比べて、大いなる改良が施されているもののように見える。

元宇宙飛行士で現在はボーイングのStarliner Crew and Mission Systemsを率いるChris Fergusonは、昨日(米国時間25日)カメラの前でその宇宙服を披露した

これは船外活動を行うためのものではなく、宇宙飛行士が打ち上げ段階から宇宙ステーションへ到着するまで、あるいはその逆の場合に着用されるものだ。それでも気密性と、極端な温度、高真空、宇宙放射線だけに限らないその他の「極限」状況への耐性は必要とされる。しかし、間違いなく、1990年代以降NASAが作っている、明るいオレンジ色のAdvanced Crew Escape Suitsには改善の余地があったのだ。

「私たちは宇宙服をシンプルなものにしました」とFergusonはボーイングのビデオの中で述べている。「これまで宇宙飛行士たちは、太い首のリングを有する比較的かさばる重いスーツを着ていました。しかしこの年月の間に、私たちはそのリングは不要であることがわかりました」。

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SpaceXがドローン船を使ったFalcon 9ロケットの回収に成功 民間企業の宇宙レース激化―ボーイングCEOが「SpaceXより先に火星に着く」と宣言 Elon Muskが、来月SpaceX社本社からトンネルの掘削を始めるとツイート【英語】

NASAの宇宙服が30ポンド(約13.6キロ)あるのに対して「ボーイングブルー」スーツの重量は12ポンド(約5.4キロ)であり、よりコンパクトでかつ多くの機能を有している。内部はより涼しく、より柔軟で、通信機器はヘルメットに埋められていて、大きな金属の首のリングは存在していない。その代わりにヘルメットはジッパーで装着され、使っていない時には、フードのように後ろに垂れ下がるようになっている。

リーボックによってデザインされた靴は、ブーツと言うよりも大きなソフトランニングシューズのようだ、そして手袋には21世紀に於いて最も重要な機能が備わっている:タッチスクリーンを操作できるのだ。

ボーイング社は、2018年にはそのStarliner CST-100ロケットに最初の商用乗組員を搭乗させる予定だが、その際にはこの宇宙服が着用されることになる。

ということで、目下の疑問は、SpaceXは果たして更にクールな宇宙服でボーイングを巻き返すのだろうかということだ。その答は程なく分かることだろう。なにしろSpaceXはボーイングがスポットライトを独占し続けることを許さない連中だからだ。

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(翻訳:Sako)

イーロン・マスク、トランプの国務長官人選を評価―「レックス・ティーラソンはいいかもしれない」

WASHINGTON, DC - JANUARY 11:  Renda Tillerson (L) listens during the confirmation hearing for her husband and former ExxonMobil CEO Rex Tillerson (R), U.S. President-elect Donald Trump's nominee for Secretary of State, before Senate Foreign Relations Committee January 11, 2017 on Capitol Hill in Washington, DC. Tillerson is expected to face tough questions regarding his ties with Russian President Vladimir Putin.  (Photo by Alex Wong/Getty Images)

月曜日にTeslaとSpaceXのCEOはロッキード・マーチンやアンダーアーマーなど他の製造業のトップと共にホワイトハウスでトランプ大統領と会った。その翌日、マスクはトランプ大統領が国務長官にエクソン・モービルの元ECO、レックス・ティラーソンを指名したことを支持するツイートを投稿した。

マスクが―よりによって―ティラーソンに好意的な評価を下そたことに驚くものも多かった。40年以上化石燃料を生産するエクソン・モービルで働いてきたティラーソンはマスクの世界観にもっとも遠い人物のはずだった。しかしマスクはEconomistのツイートに答える形で、ティラーソンの国務長官は「悪くない人選かもしれない」と述べた。

@TheEconomist こう言えば驚かれるかもしれないが、私はEconomistに同感だ。レックス・ティラーソンは優れた国務長官になる可能性がある。

ひどく直感に反すると思える判断の理由を尋ねるフォロワーからの質問にマスクはこう答えた。まずエクソンでの仕事ぶりからして「ティラーソンはおそろしく優秀だ」という。またグローバル政治を深く理解している点も賞賛した。別のツイートではティラーソンは少なくとももともそうでないと分かるまでは仕事ぶりを判断する余裕を与えられるべきだと述べた。

@danahullt レックスは経営者として非常に優秀だ。地政学の理解も深い。自分のチームを勝たせる術を知っている。今や彼のチームはUSAだ。

ティラーソンは以前、エクソンのCEO時代に地球温暖化対策としてもっとも有効だとして炭素税の導入を支持したことがある。しかしエクソンはニューヨーク州から気候変動に関して公衆を誤らせたという疑いで調査されている。ティラーソンの批判者は炭素税支持は単にエクソンに対する批判の矛先をそらせることが目的で実効を伴う支持ではななかったのではないかとしている。

レックス・ティラーソンの指名は上院外交委員会で承認されることが確実となっており、正式な国務長官への就任にさらに一歩近づいた。しかしティラーソンはエクソンで長年ロシアを担当しており、12月のTIMEの記事によれば、2011年にはロシアとの間で北極圏における掘削権とテキサスおよびメキシコ湾岸の石油へのアクセスをバーターする取引をまとめたとされる。

マスクは月曜日以前にもドナルド・トランプと会っている。昨年末、当選後のトランプとテクノロジー・ビジネスのリーダーとがニューヨークで懇談したときのことだ。その後トランプは戦略政策フォーラム(Strategic and Policy Forum)のメンバーとしてペプシコのインドラ・ヌーイ、Uberのトラヴィス・カラニックと並んでイーロン・マスクを指名している。マスクは投資家向けQ&AセッションでTrumpが化石燃料に強気なのは必ずしも代替燃料の将来にとってマイナスとは限らないと説明した。

SpaceXとTeslaはどちらもほとんどの製造工程がアメリカ国内にある。アメリカ製造業の復権を後押しするために国内製造業への規制を緩和するというトランプ大統領の政策はマスクにとって有利なものとなる可能性がある。しかしマスクがこのように新国務長官について楽観的な見通しを述べるのを聞くと居心地悪く感じるし奇妙でさえある。ティラーソンの経営者としての経歴のほとんどすべてはTeslaともSolarCityとも正反対なはずだ。

画像: Alex Wong/Getty Images/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+