LEGO、いよいよ「NASAの女性たち」発売 ――宇宙開発のパイオニア女性を讃えて11月 1日出荷

LEGOはファインサイト、 LEGO Ideasから提案されたプロジェクトをいよいよ公式な製品として発売する。Women of NASA〔NASAの女性たち〕というパッケージにはNASAの宇宙開発におけるパイオニアとなった女性たち4人と貢献したプロジェクトのミニチュアがフィーチャーされる。

このLEGOセットはまず最初にMIT Newsの副編集長、Maia WeinstockがLEGO Ideasで昨年提案したものだ。プロジェクトはたちまち1万の支持者を集め、LEGOが正式に製品化するためのハードルを超えた。

今回のフィギュアとなった4人は以下のとおり。60年代にアポロ計画の船上搭載ソフトウェアを開発したコンピューター科学者のマーガレット・ハミルトン、ハッブル宇宙望遠鏡の開発に貢献したナンシー・グレース・ローマン、アメリカ初の女性宇宙飛行士、サリー・ライドとアメリカ初のアフリカ系女性宇宙飛行士、メイ・ジェイミソンだ。Weinstockが当初提案したリストには映画Hidden Figures〔邦題は『ドリーム』〕でも描かれているキャサリン・ジョンソン(マーキュリー計画、アポロ計画で軌道を計算した)も含まれていた。

  1. 4848503-21312_box1_v39-wmyrkyruovzhnw.jpg

  2. 4848573-21312_front_c-udmf0by2ehdlag-thumbnail-full.jpg

  3. 4848565-21312_front_a-skmro-dxlghi4a-thumbnail-full.jpg

  4. 4848569-21312_front_b-9bl6idcsgh9eyg-thumbnail-full.jpg

  5. 4848577-21312_top-pevebwm-r3h_ww-thumbnail-full.jpg

製品版ではキャサリン・ジョンソンが含まれていないが、LEGOによれば、関係者全員の承諾が得られなかったためという。ジョンソンと家族の承認を得る際になんらかの問題があったようだ。

キットはLEGOのGemma AndersonとMarie Sertillangesによってデザインされ、Weinstockのオリジナルのアイディアに非常に忠実だ。AndersonとSertillangesは再現にあたって細部にわたって膨大な調査を行った。たとえばフィギュアのサリー・ライドの名札には「Sally」とファーストネームしか書かれていないが、これはサリー・ライド自身の要望によって現実にもそうなっていたものという。

Women of NASA〔NASAの女性たち〕パッケージは11月1日から出荷され、価格は24.99ドルだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google Mapsで訪問できる太陽系の惑星に冥王星と火星が加わった、土星の衛星も

Googleが今日(米国時間10/16)Google Mapsの、太陽系の主な惑星とその衛星を仮想訪問できる機能をアップデートした。今回のアップデートで冥王星と金星、そしていくつかの衛星が加わり、またそれらをMaps上で見つけやすくなった。これでGoogle Mapsには今や、16の天体の画像がある。

Googleは前から、火星と、地球の衛星(月)の詳細画像を提供していたが、それらをMapsから見ることは久しくできなかった。しかし今では土星の衛星エンケラドスディオーネ、3つめに大きな衛星ヤペトゥスなども、Google Mapsから行けるようになった。

これら、さまざまな衛星や惑星のマップは、天文アーチストBjörn JónssonとGoogleが共同で制作した。

この新しい画像にアクセスするためには、ふつうの地上のGoogle Mapsからズームアウトしてもよいし、ここからいきなり行ってもよい。

これらの惑星の探検をすべて終了したら、最近Google Mapsのストリートビューに加わった国際宇宙ステーションに立ち寄ってみるのもよいだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpaceX、イリジウム衛星10基の軌道投入に成功

今朝(米国時間10/9)、SpaceXはカリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地から今年14回目となるFalcon 9の打ち上げを行った。ペイロードは10基のイリジウム(Iridium)衛星で、SpaceXはすべての衛星が所定の軌道に投入されたことを確認した。今回の打ち上げはSpaceXによるイリジウム打ち上げの3回目のミッションで、Iridium NEXT衛星電話システムを完成させるためには合計8回の打ち上げが必要とされる。

SpaceXは今回もFalcon 9の一段目ロケットの回収に成功した。一段目は太平洋上のJust Read The Instructionsという船名の自動航行艀に着陸した。

今回のミッションの目的はもちろん衛星打ち上げであり、発射1時間後にSpaceXは10基の通話衛星がそれぞれ計画された軌道に乗ったことを発表した。

SpaceXはこのすぐ後、10月11日にもさらにFalcon 9の発射を予定している。これはEchoStarとSES共同の高出力通信衛星でフロリダ州のケネディー宇宙センターから打ち上げられる。このFalcon 9の第1段はすでに打ち上げに用いられ、回収された機体で、これまで再利用のための整備が行われていた。

〔日本版〕イリジウム衛星電話は日本ではKDDIが運用窓口となっている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

World Viewの成層圏気球がツーソン本社からの浮上操作に成功、商用化に一歩前進

成層圏気球をさまざまな目的のために提供するWorld Viewが、同社の発表によると、アリゾナ州ツーソンの本社から、その最初の浮上に成功した。その新しい本社は公式には2月にオープンしたが、その後今日まで各種の準備作業に追われ、本日(米国時間10/1)やっと初浮上に至りついた。

World Viewは高高度の気球船を使うことにより、商用宇宙ビジネスに新しい分野を開拓しようとしている。その気球は地球の大気圏の上端で運用され、科学研究や観測などの目的に、低地球軌道人工衛星よりずっと安い費用で利用できる。その成層圏高度は、長期的な観測サイトにも適しており、気象観測や国防用途にも向いているとされる。

ツーソンにおける初浮上は、土曜日(米国時間9/30)に行われ、その前の気球充填テストは8月半ばに行われた。ツーソンの本社には浮上のための施設設備だけでなくオフィスもあり、巨大な気球を手作業で組み立てるための世界最長のテーブルもある。将来的には客室のある気球も構想しており、それが実現したら成層圏観光旅行や科学者たちの搬送も可能になる。

World ViewのCEO Jane Poynterによると、ツーソンからの最初の浮上は同社の(ブランド名)Stratollite気球の一連の開発および立証過程における、重要な里程標のひとつにすぎないが、今日の成功を踏まえて今後は徐々に、長期の滞留や永続的ステーションの実現に向けて努力していかなければならない、という。

ツーソン本社ではなく試験サイトからの浮上では、すでに気球の27時間の連続飛行に成功している。複数の気球の、数時間でなく数か月の一斉滞留が可能になれば、商用の運用もできる、と同社は考えている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpaceXのDragon補給船、無事帰還――12回目のISS物資補給任務も成功

SpaceXはDragon補給船がISS(国際宇宙ステーション)から実験資料などを搭載して無事に地球に帰還したことを発表した。カプセルは予定通り太平洋に着水したという。Dragon補給船はSpaceXのCRS-12補給ミッションにより8月にISSに向かって打ち上げられた。

Dragonは各種の実験機材を搭載していたが、なかでも重要だったのはHPE(Hewlett Packard Enterprise)が開発したスーパーコンピューターだ。これはハードウェアは強化せずソフトウェアのみ強化したもので、こうした構成で宇宙の厳しい環境に耐えることができるかどうかを実験することになっている。

DragonはISSに約1ヶ月間接続され、その間に各種の実験結果などの物資を積み込んで地球帰還軌道に入った。上層大気での減速、パラシュート展開などもすべて予定どおりだったということなので、貴重なペイロードは地球の科学者たちによって精査されることになるだろう。

今回のミッションはSpaceXにとってISS補給の12回目の成功となる。今回用いられたDragonは新品のカプセルとして最後のものとなる。SpaceXでは今後は補給ミッションで回収したカプセルを再利用していくという。

SpaceXがDragonカプセルを最初に再利用したのは今年の7月だ。イーロン・マスクは、「今のところ再利用は〔使い捨て方式に比べて〕まだ経済的なメリットを得るところまでいっていない」と認めたものの、今後再利用技術が進展するにつれて経済性は大きく改善されるだろうと述べた。Dragonカプセルやブースターの再利用間隔はさらに短縮され、プロセスも効率化されていくものと思われる。

注:トップ画像のDragonカプセルはSpaceXのCRS-10ミッションで使用されたもの。同社は今回のCRS-12ミッションで使用されたカプセルの写真を公開していない。写真の公開は一連の回収作業が完了した後になるものと思われる。

〔日本版〕NASAもCRS-12補給カプセルの着水を確認。ただし同サイトの写真も以前のミッションのストック写真。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、アメリカのX-37B宇宙往還機の打ち上げに成功――ブースターの回収は16回目

イーロン・マスクの宇宙企業、SpaceXは再び成功を収めた。昨日(米国時間9/7)、SpaceXはアメリカ空軍の宇宙往還実験機、X-37Bの打ち上げに成功した。これによりSpaceXはロッキード・マーティンとボーイングの合弁宇宙事業、ULA以外では唯一のX37B打ち上げ企業となった。今回の実績はSpaceXにアメリカの国防予算からの契約をさらに多数もたらすことになるだろう。

SpaceXのFalcon 9ロケットは、現地時間で木曜日の午前10時にフロリダ州ケネディー・スペースセンターのLC-39A発射台から打ち上げられた。Falcon 9はX-37B Orbital Test Vehicle〔衛星軌道テスト機〕をペイロードとして搭載し、第一段目ブースターはケープ・カナベラル空軍基地のSpaceXのLZ-1ランディングパッドに予定どおり無事着地した。フロリダ州には猛烈なハリケーン、イルマが接近しているが、SpaceXはいわばイルマを出し抜く形で打ち上げに成功した。

空軍のミッションであるためX-37Bの詳細は「各種の実験を実施している」という以上には公開されていない。前回の発射でX-37Bは2年間軌道にとどまり、今年5月に帰還している。ボーイングが製作したX-37Bは無人機だが、引退したスペースシャトルのミニ版といっていいデザインだ。帰還の際もスペースシャトルのように水平飛行して通常の滑走路に一般の航空機のように着陸する。

X-37Bはアメリカ最初の経済性の高い無人宇宙往還機で、軌道上から安全にペイロードを持ち帰る実験が行われている。 今回の打ち上げの重要な目的はSpaceXにX37-Bを軌道に投入する能力があることを実証する点にあった。ボーイングによれば、SpaceXが打ち上げ能力を持つことはX-37Bを恒常的に運用する上で決定的に重要だという。

一方、SpaceXにとっては今回がFalcon 9ブースター回収の16回目の成功となった。 次回のミッションでは回収・整備されたブースターを用いたEchoStar 105 SES-11通信衛星の打ち上げとなる。これは来月に実施が予定されていおり、用いられるブースターは前回ISS(国際宇宙ステーション)への補給ミッションで使われたものだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、台湾の大型観測衛星打ち上げに成功――年間打ち上げ回数トップ、ブースターも洋上で回収

先ほどSpaceXは台湾国家宇宙センター(NSPO)の資源観測衛星の打ち上げに成功した。NSPOのFORMOSAT-5衛星を搭載したFalcon 9ロケットはカリフォルニアのバンデンハーク空軍基地の4E発射台から打ち上げられた。予定通り衛星を軌道に投入した後、ブースターは洋上の自動航行艀に無事着陸した。

これはSpaceXにとってこの12ヶ月で12回目の衛星打ち上げ成功だ。Facebookの通信衛星を搭載したFalcon 9が打ち上げ直前に発射台上で爆発するというきわめて痛い失敗を経験したのが昨年9月だということを考えれば驚くべき立ち直りといえる。1年間に12回の衛星軌道投入でSpaceXはライバルであるロシアの国営宇宙機関をわずかに抜いて打ち上げ成功回数でトップに立った。 さらにSpaceXはこの1年で回収整備したロケットの再打ち上げ、回収整備したDragon補給船の再利用にも成功している。

今日の打ち上げで2段目と分離した後、1段目ブースターはカリフォルニア沖の太平洋を航行するSpaceXのドローン艀に予定通り垂直着陸した。これにより2017年にSpaceXが回収したブースターは9基となった。SpaceXではこれまでの合計15基のブースター回収に成功している。

すでにSpaceXにとっては大成功の年となっているが、この11月にはFalcon Heavyの最初テストが予定されている。この大型ロケットの打ち上げに成功すればイーロン・マスクは宇宙にさらに大きく一歩を進めることになる。マスク自身は「Falcon Heavyの最初の打ち上げで予定どおり軌道投入に成功する可能性は低い」と慎重な態度だ。しかし無事に発射に成功すればそれだけでも大きな達成だろう。SpaceXは貴重なデータと経験を入手できる。やがてFalcon Heavyは大重量貨物や有人宇宙船の打ち上げに用いることができるようになるはずだ。

〔日本版〕SpaceXの打ち上げの録画はまもなく<a target="_blank" href="http://

“>こちらから視聴可能になるはず。ペイロードの衛星については台湾側の公式ビデオがある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスク、SpaceX謹製宇宙服の写真を公開

SpaceXが有人飛行時に採用しようとしている宇宙服の写真を、イーロン・マスクが公開している。Instagramに公開されたこの写真は、モックアップのものではないとのこと。完全に動作する本物の宇宙服の写真なのだそうだ。通常の運用圧力の倍の圧力下でのテストも行ったものなのだそうだ。

マスク曰く、外観と機能のバランスを取るのが非常に難しいとのこと。従来の宇宙服と比較すれば、明らかに外観を意識したファッショナブルなものになっているといって良いだろう。ボーイングが、最初の有人商用ミッション用に予定している宇宙服と似ている面もある。両者とも、従来のものにくらべてより身体にフィットするようになっている。しかしSpaceX製のもののほうが、さらにスリムでファッショナブルになっている。

Instagram Photo

ちなみにこの宇宙服は、SpaceXの内製品だ。ボーイングが宇宙服開発を専門にするDavid Clark Companyに依頼しているのとは異なるやり方だ。コスト削減やサプライチェーンの管理のためにさまざまな製造工程を内製化しているSpaceXにとっては、これも当然のやり方であるといえるだろう。

マスク曰く、より詳細な情報を公開する予定であるとのこと。全体を写した写真などもまもなく公開されるのだろう。ところで、この宇宙服デザインをもとにした普段着などを作ってくれても面白い。個人的にはぜひとも入手したいと思っている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

まもなく始まる全米日食ショー。NASAによるライブストリーミングはこちらから!

まもなく、アメリカではほぼ100年ぶりとなる皆既日食を観測することができる。日食のおこるしばらく前から、大勢を巻き込む大騒ぎとなっている。

ただ、残念なことに皆既日食が見られるのは、オレゴン州からサウスカロライナ州まで、幅70マイルほどの区間に限られる。その他の地域では部分日食を観測することになる(もちろんそれもまた感動的なショーになるはずだ)。

もちろん日食なんてまったく見られない地域の人もいるだろう。平日でもあることで、デスクに縛り付けられている人も多いはずだ。しかし、そうした人々にも「手段」がある。

今回の日食、NASAが完全ライブストリーミングを行うのだ。開始時刻は11:45AM ET(日本時間0時45分)で、4:15PM ET(日本時間5時15分)までのライブストリーミングを予定している。本稿の英語版ページには、ライブストリーミングが開始され次第、そのストリーミング配信を埋め込んでお届けする予定だ。

NASAのウェブサイトには次のような記事が掲載されている。

地球物理学者による、太陽−地球の位置関係が起こす不思議についての解説を聞くことができます。ラント社(Lunt Solar Systems)が、Hαフィルタ、カルシウムK線フィルタ、white-lightソーラーフィルタを通した3種類の高解像度で美しい日食画像を提供します。さらにSaluki Stadiumからの観測気球からの映像もストリーミングされることになっており、市民科学者となるためのさまざまな知識を学ぶことができるようになっています。さらに得られた知識について、ソーシャルメディア上で多くのエキスパートと意見を交わすこともできるでしょう。つまり、日食を生で見られない人も残念がる必要はないのです。NASA EDGEを通じて、世界中のあらゆる場所が世界最高の観測スポットとなるのです。

ちなみに、生で日食を体験する人にお伝えしておきたい。よくご存知のこととは思うが、たとえ1秒でも、あるいは日食の最中ではあっても、太陽を直接見つめないようにしてほしい。どうしても直接に見たいという人は、ライブストリーミングの映像を見ることにしてほしい。

ライブストリーミングはUStreamYouTubeおよびFacebookなどで行われる。もちろんTwitterでも見ることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

GoogleのLunar Xprize賞(民間・個人資金による月面着陸)は締め切りを変更して賞金の種類を増やした

民間ないし個人の取り組みで月面着陸を競うGoogleのLunar Xprize賞は、このほど参加のインセンティブを増やし、締め切りを延ばした。優勝者の資格は、2018年3月31日までにミッションを完了する、という一つだけになり、今年中に着陸船を打ち上げる、という要件はなくなった。

月へ行く宇宙船はほぼ完全に民間〜個人資金だけで作り、それが月面に着地するものでなければならない。さらにその後、着陸機は月面を1/3マイル(536メートル)動きまわり、画像とビデオを地球へ送信する。優勝賞金は2000万ドルである。二位の準優勝者は500万ドルもらえる。

The Vergeによれば、これらの情報が一般公開されたのは今日(米国時間8/16)だが、すでに参加者たちは数か月前から開発に着手している。打ち上げの締め切りがなくなったのは、来年初めなどかなり遅く打ち上げてもミッション締め切りに間に合うチームもありえる、と考えたからだ。

締め切りの変更に加えて、賞金計475万ドルの新条件が登場した。まず、3月よりも前に月を一周して着陸を開始したチームには175万ドル、さらに月面にソフトランディングして期間終了までにデータを送信し続けることのできたチームは300万ドルをもらえる(トップの優勝/準優勝チーム以外?)。

今残っている参加チームはMoon Express, Synergy Moon, SpaceIL, Hakuto, TeamIndusの五つだけだ。どのチームもすでにロケットを予約しているが、打ち上げの日程や、締め切りに間に合いそうかなどは、まだ分からない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpaceX、ISS補給船12回目の打ち上げに成功――Falcon 9ロケットも回収

SpaceXは今回も衛星打ち上げとブースターロケット回収に成功した。ペイロードはDragon補給船で、国際宇宙ステーションに補給する約2.9トンの物資を積んでいる。CRS-12というミッション名のとおり、これはNASAとの契約によりSpaceXがISSに対する12回目の物資補給であり、また科学研究の観点からもっとも意義が大きいものとなった。

CRS-12のペイロードの75%は宇宙における科学実験のために資機材で、これはいままでのミッションの中でももっとも割合が高い。通常Dragon補給船のペイロードはISSで生活するクルーのための物資が大半を占めていた。しかし今回から来年にかけてステーション上の科学者による実験に比重が移されている。クルーの作業をさらに効率化するための拡張現実(AR)システムも搭載された。

Falcon 9はケープカナベラルのケネディー宇宙センターから今日(米国時間8/14)、東部時間12:31に打ち上げられ、予定どおりDragon補給船は軌道に投入された。
ISSとの会合は8月16日に予定されている。補給船はステーション側のCanadarm 2ロボット・アームで捕獲され、ステーションに接続される。1ヶ月後に補給船は1.4トン弱の物資を積んで地球に帰還し、太平洋に着水する予定だ。

科学実験の機材(有人火星旅行を助けるために設計されたスーパーコンピューターも含まれる)の他に、今回の打ち上げで重要な点は、今後SpaceXはCRS補給ミッションでDragonカプセルの再利用を続けると発表したことだろう。つまり新品のDragonが使われるのは当面これが最後となる。

今日の打ち上げではFalcon 9の1段目ブースターの回収も行われた。ブースターは打ち上げ後9分でケネディー宇宙センターの LZ-1着陸パッドに無事着陸した。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

アフリカも宇宙競争に参加、ガーナの最初の衛星が地球の周回を始めた

【編集部注】著者のJake Brightは、ニューヨーク市在住の記者ならびに作家である。また彼はThe Next Africaの共著者でもある。

ガーナの最初の衛星であるGhanaSat-1は、友人たちの助けも少し借りながら、軌道に乗ることができた。

All Nations Universityのガーナ人エンジニアリングチームが作成したCubeSat(小型衛星)は、6月にSpaceXロケットに搭載され、ケネディ宇宙センターのパッド39aから発射されてNASAの国際宇宙ステーションへと届けられた、とNASAの広報担当者が語った。

ガーナの教授兼、NASAのアシスタントリサーチサイエンティストであるRichard Damoahによれば、センターから届けられたGhanaSat-1は7月には軌道に乗り、運用が開始されたということだ。

「今回の衛星には2つのミッションがあります」と、DamoahはTechCrunchに語った。「まずガーナの海岸線を詳細にモニタするためのカメラが搭載されています。それから、教育的要素があります。私たちはそれを使って衛星技術を高校教育のカリキュラムに組み込もうと考えているのです」と彼は語った。

GhanaSat-1は、All Nations Universityの宇宙システム技術研究所の地上局に対して信号を送信する。そこは、Benjamin BonsuErnest Teye Matey、Joseph Quansahらを含むエンジニアチームによって衛星が開発された場所だ。 

ガーナの大統領Nana Akufo-Addoは発射に喝采を送りチームを直接労ったが、プロジェクトはガーナ政府の公式な支援を受けていない、とDamoahは語った。その代わりに、日本の国家宇宙機関であるJAXAが、衛星の開発のために大量のリソースと訓練を提供した。

GhanaSat-1の展開は、宇宙探査に向かうアフリカの関心と活動の高まりを示している。ナイジェリア初のCubeSatも、同じSpaceXのミッションで打ち上げられている。「南アフリカ、ナイジェリア、ケニア、そしてエチオピアなどの国が宇宙機関を持っています。アンゴラも来年に衛星を打ち上げる意向を発表しています」と、世界経済フォーラムのアフリカ代表、Elsie Kanzaは語った。

彼女はまた、アフリカ連合(AU)による(昨年採択された)アフリカ宇宙政策と戦略イニシアチブなどの、宇宙開発努力を調整する全アフリカの取り組みを紹介し、これによりアフリカ連合のメンバーたちが「アフリカにおける外宇宙プログラム(Outer space Programme)をAUの優先プログラムの1つとして認識した」と語った。

DamoahはGhanaSat-1の打ち上げ成功によって、 All Nations Universityと同国の宇宙科学技術センターが共同で推進する第2の衛星プロジェクトに足して、ガーナ政府の支援が提供されることを期待している。「今回の打上げ後、私たちは大統領と内閣からの支持は得ています」と述べた。「われわれは、違法な鉱業、水使用、森林破壊などのモニタリングを可能にできる、高解像度のカメラを備えたGhanaSat-2の開発を考えています」。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Vectorがマイクロ衛星用ロケットのテストに成功――宇宙スタートアップ、大きく前進

マイクロ衛星の打ち上げを目指すスタートアップ、Vectorを創立したのはSpaceX、Virgin Galactic、Boeing始めとする宇宙企業の元社員のチームだ。今日(米国時間8/3)、Vectorは衛星打ち上げに利用するロケット、Vector-Rの実物大プロトタイプの打ち上げに成功した。

今回の打ち上げはジョージア州カムデンに所在するVectorの基地で行われた。 このSpaceport Camdenは1960年代にNASAの固体ロケットのテスト施設として開設されたもので、最近Vectorが打ち上げ基地として再開したものだ。

Vectorの目的はSpaceXのような衛星打ち上げを行う企業となることだ。実際、共同ファウンダーのJim Cantrell、John GarveyはSpaceXの共同ファウンダーだ。今日の打ち上げ成功は同社にとって大きな一歩となる。またVectorはマイクロ衛星の商用打ち上げをAstro DigitalCenter for Applied Space Technology、NASAエイムズ研究所から委託される予定で、これらの企業や組織からのテスト用ペイロードも積み込まれた。

現在Vectorでは「開発は順調に進んでおり、来年中に実際の衛星打ち上げ能力を獲得できる」としている。今回の打ち上げ実験の成功が大きいというのは、NASAのマーシャル宇宙飛行センターと共同で開発した3Dインジェクターによって成形されたエンジンが用いられているからだ。このテクノロジーは打ち上げコストを大幅に低下させる効果を期待されている。

rockettest

VectorのミッションはCubeSatと呼ばれるマイクロ衛星の低コストでの打ち上げ能力を得ることと同時に、こうしたこうした衛星に必要とされる能力を発揮させるアプリを開発するプラットフォームとなるソフトウェアを開発することだ。Vectorでは自身で衛星をデザイン、開発して打ち上げるのではなく、Vectorが提供するAPIを通じてサードパーティーが衛星をコントロールするアプリを開発できるようにするという。

Vectorではマイクロ衛星の打ち上げコストを最終的に300万ドル程度まで下げようとしている。SpaceXのFalcon 9ロケットによる衛星打ち上げコストの6000万ドルと比較してきわめて安価だ。この低価格によりこれまでとは比較にならないほど広い範囲のユーザーが宇宙にアクセスできるようにしるのが狙いだ。同社は最近SequoiaがリードするシリーズAのラウンドで2100万ドルを調達している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本版SpaceX、初の民間ロケットを打ち上げ

商用ロケット打ち上げを目指す日本のスタートアップが、日曜日に「モモ」ロケットの打ち上げを行った。打ち上げには成功したものの、目標とした高度の5分の1にしか到達することはできなかった。しかし打ち上げを行ったインターステラテクノロジズは、すでに再チャレンジを見据えているようだ。今回の初打ち上げから得られたさまざまなデータを、次回以降に活かしていく予定であるとのこと。

Bloombergが伝える通り、日本において、私企業によるロケット打ち上げは初めてのことだった。打ち上げは日本の北部に位置する北海道の大樹町から行われた。インターステラテクノロジズは、衛星打ち上げのコストを大幅に減らすことを目的としており、今回の打ち上げにもクラウドファンディングを含め、さまざまな方向からの資金調達を行なっていた。目的とするところは、イーロン・マスク(Elon Musk)のSpaceXと重なるわけだ。

モモ・ロケットは高度20kmに達した時点で制御を失った。そこで緊急のエンジン停止措置がとられることとなった。目標高度は、いわゆる「宇宙空間」となる100kmとしていた。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

ソニーα7S IIが国際宇宙ステーションからとらえた4K動画が圧巻

ソニーのフルフレーム・ミラーレスカメラ群は素晴らしい出来で、世界中のフォトグラファーやビデオグラファーを魅了している。しかし、α7S IIはついに地球を飛び出し、国際宇宙ステーションから美しい4K動画をとらえるまでになった。

この記事に掲載されている動画は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した宇宙実験棟『きぼう』に取り付けられたα7S IIによって撮影されたものだ。JAXAは同製品が、真空状態や放射線、極端な温度変化(太陽が当たるかどうかで200度以上の温度差がある)といった環境に十分耐えうると判断し、利用に踏み切った。

α7S IIの耐久性の驚くべき点は、今回の撮影にあたってほとんど製品に手が加えられなかったということだ。JAXAによれば、温度変化を和らげるため、カメラの設置部にラジエーターやヒーターを取り付けたものの、「カメラのハードウェア自体にはほぼ手を加えていない」とのこと。

もともとJAXAは、α7Sを船外に設置しようとしていたが、4K動画を内部で記録できるということで2016年に使用機材をα7S IIへと変更。暗い場所で力を発揮する高感度のフルフレームセンサーの力もあり、以前のシステムでは不可能だった夜間の撮影も問題なく行えた。

静止画もこのシステムを使って撮影される予定だ。動画よりも静止画の方が色の再現性が良いため、海や森林の色の変化を時間経過と共に比較するのに役立つだろうとJAXAは語る。その一方で、宇宙船がドッキングする様子や、上記のような美しい景色を撮影するのにはやはり動画が1番だ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

重量4グラム、世界最小の宇宙船を低地球軌道に打ち上げ成功

世界最小の宇宙船の実動プロトタイプが先月、周回軌道に乗った。それはOHB Systemが運行するMax ValierVenta衛星に相乗りする形で、Indian Space Research Organization(ISRO)により軌道上に打ち上げられた。

この小さな‘Sprite’宇宙船はBreakthrough Starshotのプロジェクトとして作られ、2011年にKickstaterで資金を募集した。大きさは3.5cm×3.5cm、重量は4グラムだが、動力源(ソーラーパネル)とコンピューティングの部位、センサー、そして無線通信装置がある。

このちっぽけな宇宙航空機Spriteは、さらに小さなワンチップ宇宙船の研究開発の初期的段階だ。これまでのテスト結果は良好で、カリフォルニアとニューヨークにある地上局とメッセージを通信できた。また、アマチュア無線愛好家たちが、Spriteが頭上を通過するとき信号を捉えることができた。

なぜこんなに小さな宇宙船を作るのか? 実はBreakthrough Starshotは、光の力で、光速の20%の速度で航行する宇宙船が可能であることを、実証しようとしている。そしてそれを、プロキシマ・ケンタウリbのような、ケンタウルス座α星系の惑星群の、撮影可能な範囲内に定置させたい、としている(上図)。

それは、実現可能な宇宙航行方法の一つとして、Liu Cixinの硬派SF三部作The Remembrance of Earth’s Pastに詳述されている。ぼくがその理論を初めて知ったのもこの本からだ。この夏、ひまを持て余しそうな人には、一読をお勧めしたい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Mapsのストリートビューで国際宇宙ステーションの中を探検散策できる

Google Street View(ストリートビュー)でこれからは、国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)の中を探検できる。ストリートビューが宇宙に入り込むのはこれが初めてで、ISSを訪ねる機会などないわれわれ一般大衆に、その15のモジュールすべてを見せてくれるのだ。

最新の画像を見ながらさまざまなモジュールを歩き、というか漂(ただよ)い、あなたがその一時寄留の間(かん)に出会ういくつかの複雑な装置の説明を読むこともできる(下図)。なにしろISSは、複雑難解の塊(かたまり)である。ストリートビューにとっても初めてだから、今後何度も撮影して見せ場を増やしていただきたい。宇宙ステーションの中でも、ストリートビューならではの移動画像をそのまま見られるのが、なかなかすてきだ。

宇宙飛行士たちがこのプロジェクトのために画像を撮り集めてくれたとき、たまたまSpace XのDragonがISSに駐機していたので、ステーションへの貨物の配達の様子を見ることができる。

地上と違ってISSは無重力空間のラボだから、すべてを見るためには文字通り360度の撮影が必要だ。しかし残念ながら今のストリートビューの技術は宇宙空間向けに最適化されていないから、その点、まだ完全ではない。

でもユーザーインタフェイスはおなじみのストリートビューそのものだから、気楽にクリックしながらあちこちを見られる。ではでは、Google Mapsへ行ってこいつをトライしましょう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpaceXは来年中に24時間以内のロケット再利用を目指す

国際宇宙ステーションに関する関するカンファレンスでイーロン・マスクはSpaceXのロケット再利用計画について語り、いくつかの詳細が明らかになった。SpaceXでは来年中にFacon 9を回収後、24時間以内に再打上げすることができるようにする計画だ。マスクによればSpaceXは「これを実現するための技術的な筋道を付けている」という。

SpaceXのロケット再利用はまだコスト削減に大きな効果を挙げる段階まで来ていない。マスクは最近の回収して再利用に成功したISS補給船ドラゴンについて、回収後の整備コストは補給船を「新しく建造するのとほぼ同等、やや大きいかもしれない」と明らかにした。

SpaceXは補給船の整備技術を今後改良していくはずなのでコストの点も時間と共に改善されるはずだ。マスクは「次回はコストを数パーセント削れるだろう」と述べた。これは補給船の再利用に関しての話だが、再利用サイクルを早めるためには非常に多くの技術的問題を解決していく必要があるようだ、

一方、ロケットの先端部を覆って衛星などのペイロードを保護しているフェアリングについてマスクは「SpaceXは再利用の実現い非常に近づいている」と述べた。今年、SpaceXはフェアリングを地上に戻すことに成功している。マスクによればフェアリングと部品の再利用は「近い」という。フェアリングには複雑なシステムが取り付けられており、総額は500万ドルから600万ドルの価値がある。

「空から600万ドルが詰まった箱が落ちてくるとしたら捕まえてみたくなるはずだ」とマスクはSpaceXのエンジニアに言ったという。

フェアリングの回収は今年末か来年初頭を目指している。ブースター(1段目)とフェアリングが回収できればFalcon 9の80%が再利用されることになる。マスクは「われわれは2段目も回収できるかもしれない。ともかくそれも実験してみる」と述べた。

ロケット全体を短時間で再利用できるようになることはマスクが目指す火星ロケットの実現に欠かせないステップだ。マスクが再利用を急ぐのはそういう理由のためだという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本のかわいいロボットカメラ、ISSでテスト開始――JAXAのInt-Ballはクルーの相棒に

科学もときどきかわいくなれるらしい。たとえば日本の宇宙開発組織、 JAXA(Japan Aerospace Exploration Agency)が開発し、この7月4日にドラゴン補給線で国際宇宙ステーション(ISS)に送り込んだInt-Bal(JEM Internal Ball Camera)という球形カメラだ。下にエンベッドしたのはJAXAが公開したInt-Ballの稼働の様子を示す最初のビデオだ

Int-Ballの目的は地上の科学者がISS内部の様子を写真とビデオで確認するためで、このロボットカメラは宇宙ステーション内を地上からに指令で自律的に移動できる。JAXAによれば「3Dプリント・テクノロジーを利用して開発されたドローンは地上の科学者やオペレーターが宇宙ステーションの状況をリアルタイムでモニターすることを可能にする」といいうことだ。Int-Ballが収集したデータはISSのクルーも利用できる。

Int-Ballのユニークな形状はもちろん無重量状態での活動を考慮したものだ。JAXAではこのデバイスは「自律的に飛行でき、ISS内のどんな場所でももどんなアングルでも記録できる」と述べている。これによってISSのクルーが活動の記録のために静止画像やビデオの撮影をしていた時間をゼロにすることを目指す。JAXAによればこの活動撮影のためにクルー活動の時間の10%が費やされているという。

Int-Ballはアクチュエーター、回転運動・並進運動のセンサー、電磁ブレーキなどを内臓して位置と姿勢を制御する。JAXAではこのテクノロジーを拡張し、衛星などでも利用していきたい考えだ。デバイスは現在ISSで初期テスト中で、パフォーマンスやクルーを援助する能力の改良が図られている。

友達としての社交能力については特に言及がなかったが、おそらく高いはず。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「火星は思ったより住みにくい」――土壌成分と降り注ぐUVで微生物はあっという間に死滅

eng-logo-2015

NASAやESAその他宇宙機関が火星を目指す計画を立て、2015年には火星に水が存在する可能性が高まったことから、最近では火星移住計画も荒唐無稽な話ではないという感覚になりつつあります。ところが、最新のScientific Reportsに掲載された論文では、火星に土壌成分には細菌レベルでも生命が存在できないほどの毒性があると報告されました。

1970年代にNASAが実施したバイキング計画では、火星表面に過塩素酸塩で覆われる土壌があることがわかっています。当時の研究では、過塩素酸塩は微生物のエネルギー源になる可能性があり、近辺に微生命が存在する可能性があると解釈する研究者も多くいました。

しかし実際には、過塩素酸塩はロケットの固体燃料酸化剤として使われる物質でもあります。スコットランド・エディンバラ大学の研究者Jennifer Wadsworthは、この火星の土壌で実際に微生物が存在できるかを確認するために、地球上のバクテリアを過塩素酸塩に混ぜ合わせ、火星環境に近い強さの紫外線を照射してみました。

すると、ただ紫外線に晒したときの2倍の速さでバクテリアが死滅したとのこと。それではと、火星の一般的な土壌にある、酸化鉄や過酸化水素といった成分も加えて再度実験したところ、今度は過塩素酸塩のときの11倍もの速さであっという間にバクテリアが死んでしまいました。過酸化水素と言えば、要するに殺菌消毒液オキシドールの成分。これでは生命が存在する可能性どころではありません。

研究者は、この毒性を回避して微生物が存在するには、かなり地中深く潜った位置にいなければならないとしています。

なお、欧州宇宙機関ESAは、2020年にExoMarsローバーを火星に送り込むべく準備中です。ExoMarsローバーには地表から2mの深さまで掘り下げられるドリルを備えており、そこで採取した土壌サンプルに火星初の微生物を発見することが期待されています。

ちなみに、今回の実験にはポジティブな面もひとつ見つかっています。それは、これまでに火星に送り込んだ探査機や着陸機、ローバーに付着していたかもしれない地球由来のバクテリアがおそらく火星上では死滅しており、火星の汚染が広まっていないと考えられること。”地球人”よりも先に”地球菌”たちが火星探査機にヒッチハイクして移住し、地球人がそこへ到達するまでに、やけにでかい脳と骸骨のような顔を持つ生物に進化している可能性は著しく低くなりました。

Engadget 日本版からの転載。