アップルがアプリ追跡の透明性をユーモラスに表現した「iPhoneのプライバシー|追跡」CMを公開

アップルがアプリ追跡の透明性をユーモラスに表現した「iPhoneのプライバシー | 追跡 」CMを公開

Apple

今年4月末に配信されたiOS 14.5ではアプリトラッキング透明性(App Tracking Transparency/ATT)が導入され、今後アプリが異なるWebやアプリをまたいでユーザーを追跡する際には、ユーザーの明示的な許可を得ることが義務づけられるようになりました。アプリがユーザーのIDFA(広告識別子)を取得する前には、プロンプトを表示してユーザーの許可をもらうことが必須となっています。

これを受けてアップルは、ATTをユーモラスに表現したテレビCM「iPhoneのプライバシー|追跡」の公開を開始しました。

アップルいわく、アプリのトラッキング透明性とは「あなたのデータを、あなた自身がコントロールできる新しい機能」とのこと。それを朝の一杯のコーヒーを買った人の一日を追うかたちで分かりやすく可視化しています。

その人がコーヒーを買ったり店で買い物するたびに後を付いてくる店員(勝手にプライバシーを追跡するアプリの擬人化)が続々と増えていき、気が付けば部屋は追跡者で満員に。そこでiPhoneに「アクティビティを追跡することを許可しますか?」というプロンプトが表示され、「Appにトラッキングしないように要求」をタップすると追跡者がドロンと消えてゆくという流れです。

アップルはプライバシーが基本的人権であり、ユーザーが自分の情報を自分でコントロールできるように製品を設計していると述べています。そうした信念は昨日今日のことではなく、共同創業者スティーブ・ジョブズ氏がCEOだった時代まで遡り長年にわたって追求されてきたものです。4月初めに公開されたプライバシー保護原則やATTに関するデジタルブックでも、ジョブズ氏の「彼らのデータで自分たちが何をしようとしているのか、正確に説明すべきです」との言葉が引用されていました。

かといってアップルは広告一般に反対しているわけではありません。ティム・クックCEOも人々がオンラインで費やす時間が長くなるなかで、デジタル広告が増えていくのは自然な成り行きであると認めていました。その上で「このような詳細なプロフィールの構築(追跡から得た情報に基づいて作ったユーザー属性)をお客様の同意なしに行うことが許されるかどうかです」として、広告関係者には事前にどんな情報を集めるかを知らせ、ユーザーが自らのデータを制御できる権利を尊重するよう呼びかけているしだいです。

iPhoneにATTが導入された直後、米国ユーザーの96%がアプリ追跡を無効にしたとの調査結果もありました。その一方でマーケティング業界団体は一時的にはiOS向けの広告費は減りながらも、いずれはユーザー追跡なしの広告が増えていくという楽観的な見通しも発表しています

無料でアプリやサービスが楽しめる対価として広告が表示されるビジネスモデルはテレビやラジオから引き継がれたものであり、もしも否定してしまえばあらゆるコンテンツが有料になりかねません。

ATTはあくまで異なるWebやアプリをまたいだユーザー追跡に同意を求めるにすぎず、自社アプリやサイト上でのデータ収集は今まで通り続けられるはず。今後はその会社の経済圏内に留まり続けるかぎり行動履歴に基づくパーソナライズド広告が表示され、一歩外に出ればテレビのスイッチを切るように追跡もオフにされる、という新たな行動様式が定着していくのかもしれません。

(Source:Apple(YouTube)Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Apple / アップル(企業)App Tracking Transparency / ATT / アプリのトラッキングの透明性(用語)広告 / アドテック(用語)広告業界(用語)個人情報 / 個人情報保護(用語)プライバシー(用語)メディア(用語)

フェイスブックがご近所とつながる新機能「Neighborhoods」をカナダで提供開始

Facebook(フェイスブック)はご近所とつながったり、近所レベルのローカルニュースをキュレートする新機能の提供を始める。意外性のない「Neighborhoods」という名称の新機能は現在カナダで提供されており、間もなく米国のユーザーも試せるようになる。

TechCrunchが以前報じたように、Neighborhoodsは少なくとも2020年10月から技術上は使えるようになっていたが、使用はカナダ・カルガリーのリクルートされたユーザーに限定されていた。

Neighborhoodsでは、Facebookユーザーは別の専用サブプロファイルを作って、そこに趣味やカスタムの自己紹介を登録できる。自分で作ったご近所や現在地近くのご近所に参加して、置き配泥棒や最近の子どもたちについて文句を言ったり、あるいはNextdoorでやるようなことができる。

Nextdoorがモデレーションでかなり頭を悩ませていることを認識しているFacebookは、Neighborhoodsを「関連性があり、優しいもの」にするためにコメントや投稿をレビューするNeighborhoods専門のモデレーターを配置する、と話す。Neighborhoodsの中では、代理を務めるユーザーが会話をまとめたり始めたり、ときに軽いモデレーションをしたりするようだ。ブロック機能もついている。

プライバシーに関して、そこはFacebookだ。NeighborhoodsはFacebookから独立したアプリではなく、当然のことながらターゲット広告を表示するためにあなたのご近所での活動を共有することになる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook広告SNSカナダ

画像クレジット:Facebook

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

YouTubeにインターネットテレビの広告でもっと買い物しやすくなる新機能追加、Z世代をターゲットに

米国時間5月4日、YouTubeは広告主たちに、同社の動画プラットフォームで視聴者が買い物できる機能を予告的に紹介した。同社が近く導入するその新しい対話的機能は「ブランドエクステンション」と呼ばれ、広告主がそれを利用すると、動画の視聴者がボタンをクリックして画面に映っている商品の詳しい情報が得ることができる。

広告主はその新しい広告形式を使って、自分のウェブサイトのリンクや、インターネットテレビの広告中のその他のアクションを高輝度で表示できる。視聴者が「電話へ送る」をクリックすると、その宣伝やURLそのものがモバイルデバイスへ飛ぶが、その際、動画の視聴そのものは邪魔されない。

消費者はモバイルデバイスから、商品を閲覧したり、カートに品物を加えたり、決済を完了したりの買い物体験を通常どおりできる。しかもそのショッピング機能のある商品情報は、動画の視聴を中断されずにモバイルへ送れる。

広告主は、その動画の内容によって広告をターゲティングできる。たとえばフィットネスの動画なら、そこには新商品のランニングシューズのブランドエクステンションが出るだろう。

YouTubeによると、ブランドエクステンションのコンバージョンレートはGoogle Adsで直接見られるようになる。

eコマース関連のもう1つの取り組みとして、これからはブランドがそのダイレクトレスポンスビデオ広告に商品の閲覧用画像を加えられる。つまり、関心を持ったショッパーがその画像をクリックすると、その商品のウェブサイトやアプリへ飛ぶことができる。

YouTubeが自らをeコマース化しようと努力している機能はさらに多く、ここで取り上げているのはごくわずかな例にすぎない。

消費者、特に若いZ世代は、動画を見たりその他の関わり行為をしながらついでにショッピングする傾向があり、Popshop LiveNTWRKShopShopsTalkShopLiveBambuserといったたくさんの動画ショッピングサービスが登場している。Facebookも、FacebookとInstagramの両方でライブのショッピング(何かをしながら見ながらのショッピング)や動画からのショッピングに投資している。

一方、TikTokはWalmartとともに動画によるeコマースのホームになり、最近の数カ月でショッピングのライブストリームを複数ホスティングした。TikTokの中国資本からの切り離しと売却をトランプ元大統領が強制しようとしたときは、Walmartも買い手の名乗りを上げた。他にも、eコマースにおけるTikTokの成功例には、動画にウェブサイトのリンクを統合するツールや、Shopifyの統合などがある。

関連記事:パイロットテスト成功を受けWalmartがTikTokでライブ買い物イベント第2弾実施へ

Comscoreのデータによると、YouTubeは今でも、広告入りストリーミングサービスの全視聴時間の40%を占めているため、動画ショッピングの見込み客の数も大きい。YouTubeによると、米国のインターネットテレビの市場では上位5社のストリーミングサービスが80%のシェアを占めている中で、広告入りはわずか2社だ。

しかも広告は、YouTubeのeコマース振興努力の一部にすぎない。クリエイターの役割も大きい。

2020年秋のBloombergの記事によると、YouTubeはクリエイターたちに、彼らの動画クリップに商品が登場するとき、それにタグと追跡機能を持たせることを求めた。その後YouTubeは2021年の2月に対する説明を行い、視聴者が自分の好きなクリエイターから買い物できる機能をベータテスト中で、その本番展開は年内と発表した。

ただし、ブランドエクステンションはそれとは別であり、動画からショッピングできる機能を広告主に与える。YouTubeによると、ブランドエクステンションのある広告は、同社が他にもいろいろ用意している対話的機能の第1弾にすぎない。そしてそれは、2021年後半にグローバルで展開される。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleYouTubeeコマース広告

画像クレジット:Olly Curtis/Future/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ツイッターが予定するサブスクサービスの充実を狙い広告を取り除きページを読みやすくするScrollを買収

Twitter(ツイッター)は、米国時間5月4日朝、Scroll(スクロール)の買収を発表した。Scrollはウェブ上の長いコンテンツを読みやすくするためのサブスクリプションサービスで、記事を読む邪魔になる広告やその他のウェブサイトの飾り部分を取り除く。Twitterによれば、このサービスはTwitterによる大規模なサブスクリプション投資の計画の一部であり、やがてTwitterがサブスクユーザーに提供する機能の1つになるという。

サブスクユーザーはScrollを用いることで、ニュースサイトや、Twitter独自のニュースレタープロダクト、そして最近買収されすでにTwitterのサービスに統合されているRevue(レビュー)を楽に読むことができるようになる。サブスクユーザーがTwitterを通してScrollを利用すると、そのサブスクリプション料金の一部が、パブリッシャーやコンテンツライターへ支払われるのだと、Twitterは説明している

関連記事:TwitterがオランダのニュースレタープラットフォームRevueを買収、作家が報酬を得る方法を提供

現在、Scrollのサービスは、The Atlantic(アトランティック)、The Verge(ヴァージ)、USA Today(USAトゥデイ)、The Sacramento Bee(サクラメント・ビー)、The Philadelphia Inquirer(フィラデルフィア・インクワイラー)、The Daily Beast(デイリー・ビースト)など、何百ものサイトに対して動作する。読者にとっては、Scrollの利用体験はいわゆる「リーダービュー」に似ている。つまり広告、トラッカー、その他のウェブサイトのゴチャゴチャが取り除かれ、読者がコンテンツに集中できるようになるのだ。

画像クレジット:Twitter

パブリッシャーに対するScrollからのアピールは、Scrollに対応することで、広告だけよりも収益を上げることができる、クリーンなコンテンツを配信できるようになるということだ。

取引条件は公開されていいないが、Twitterは合計13名のScrollスクロールチーム全体を取り込む。

当分の間Scrollは、Twitterのサブスクリプション作業に自社製品を統合し、予想される成長に備えることに焦点を当てることができるように、新しいユーザーのサインアップを一時停止する。ただし買収終了後も、Scrollのネットワークに参加したい新しいパブリッシャーの登録は引き続き行われる。

そしてScroll自体は、チームが製品をTwitterに統合する作業を行うので、プライベートベータ状態に戻る。

画像クレジット:Twitter

Twitterはまた、ScrollのニュースアグリゲーターNuzzel(ナッツェル)プロダクトも縮小されるが、やがてNuzzelの中核機能の一部がTwitterの中に組み込まれるようにするという。Nuzzelのブログ記事には、Twitterとともに拡大するためにはプロダクトを再構築する必要があることがより詳しく説明されている。

「Twitterは開かれた対話を提供するために存在しています。ジャーナリズムは対話のミトコンドリアです。それは起点であり、増幅を行い、そして知らしめます。それは視点を転換し裏返します。理想的には、お互いの立場に立たせ、お互いの共通の人間性を理解するのに役立つことでしょう」とScrollのCEOのTony Haile(トニー・ハイレ)氏は、同社の買収に関する同社のポストで語った。

そして彼は「(Twitter CEOの)ジャック(・ドーシー氏)とTwitterチームによって与えられた使命はシンプルです。Scrollが構築してきたモデルとプラットフォームを切り出し、それをスケールすることです。つまり、ニュースを愛する人たちのすばらしい集まりがその金銭的支援を続けてくれるように、Twitterを使用するすべての人が面倒やフラストレーションなしでインターネットを体験する機会を得られるようにすることです」と付け加えた。

Twitterは2021年の初めに、自社のビジネスを広告収入以外へ多様化する手段として、サブスクリプションに向かう計画を詳述した。同社は「Super Follow」(スーパーフォロー)構想を発表したが、これは、サブスクユーザーに、限定コンテンツ、プレミアムユーザー専用のニュースレター、お得情報、バッジ、有料メディアなどの幅広い特典を提供する、クリエイター中心のサブスクリプションサービスだ。Twitterは、この新機能を提供することで、2020年の37億ドル(約4042億円)から2023年には75億ドル(約8193億円)以上に、収益を倍増することを目指している

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Twitter広告買収サブスクリプション

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

【コラム】バイデン政権はインクルーシブであるためにAI開発の取り組みにもっと力を入れる必要がある

本稿の著者Miriam Vogel(ミリアム・フォーゲル)氏は、人工知能に存在する無意識の偏見を減らすことを目的とした非営利団体EqualAIの代表兼CEO。

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人工知能国家安全保障委員会(NSCAI)は2021年3月、不安なメッセージを公的に伝える報告書を発表した。「米国は、AI時代に防衛したり競争したりする準備ができていない」というものだ。この報告書は、直ちに回答が求められる2つの重要な質問につながる。つまり、米国がAIの開発と導入に遅れをとった場合、米国は世界の超大国であり続けるのか?そして、この軌道を変えるために私たちは何ができるのか?

一見、中立的に見える人工知能(AI)ツールを放置すると、不平等が拡大し、事実上、差別が自動化されてしまう。テクノロジーが可能にする弊害は、すでに信用判断、医療サービス広告などで表面化している。

このような事態の再発と規模の拡大を防ぐために、Joe Biden(ジョー・バイデン)政権は、AIと機械学習モデルに関する現行の法律を明確にする必要がある。これは、民間企業による利用をどのように評価するかという点と、政府システム内でのAI利用をどのように管理するかという点の両方においてだ。

一見、中立的に見える人工知能(AI)ツールを放置すると、不平等が拡大し、事実上、差別が自動化されてしまう。

政権は、ハイテク分野に重要な地位の人事を置いたり、就任初日にEquitable Data Working Group(公平なデータのためのワーキンググループ)を設立する大統領令を発布するなど、好印象を与えている。これにより、米国のAI開発とデジタル空間における公平性の確保を懸念する懐疑的な人たちをも安心させた。

しかし、AIへの資金提供を現実のものとし、その開発と利用を保護するために必要なリーダーと体制を確立するという強い決意を政権が示さなければ、その安心も束の間のことだろう。

優先順位の明確化が必要

連邦政府レベルでは、AI政策や技術分野における平等性へのコミットメントが大きく変化してきている。OSTPの副局長であるAlondra Nelson(アロンドラ・ネルソン)、NECのTim Wu(ティム・ウー)、NSCのKurt Campbell(カート・キャンベル)など、バイデン政権内の注目を集める人事を見ると、内部の専門家による包括的なAI開発に大きな焦点が置かれていることが分かる。

NSCAIの最終報告書には、包括的なAI開発のためのより良い基盤を実現するために重要となる提言が含まれている。例えば、現在および将来の従業員を訓練するためのU.S. Digital Service Academy(米デジタルサービスアカデミー)を通じて新たな人材パイプラインを構築することなどが挙げられている。

また、報告書では、副大統領が率いる新しいTechnology Competitiveness Council(技術競争力協議会)の設立を推奨している。これは、AIのリーダーシップに対する国の取り組みを最高レベルの優先事項として維持するために不可欠なものとなるだろう。ハリス副大統領が大統領との戦略的パートナーシップを持っており、技術政策に精通していること、公民権に力を入れていることなどを考慮すると、AIに関する政権のリーダーシップをハリス副大統領が陣頭指揮することは理に適っていると思われる。

米国は模範となるべきだ

AIは、何千通もの履歴書に目を通し、適している可能性のある候補者を特定するなど、効率化を実現する上で強力であることはわかっている。しかし、男性の候補者を優先的に採用するAmazonの採用ツールや、人種に基づく信用の「デジタル・レッドライニング」など、差別を拡大することもできてしまう。

バイデン政権は、AIが政府の業務を改善する方法についてのアイデアを募る大統領令を各省庁に出すべきだ。また、この大統領令では、米国政府が使用するAIが意図せずに差別を含む結果を広めていないかどうかを確認することも義務付けるべきである。

例えば、AIシステムに組み込まれた有害なバイアスが、差別的な提案や、民主的で包括的な価値観に反する提案につながっていないかどうかを評価する。そして、AIが常に反復して新しいパターンを学習していることを考慮すると、定期的に再評価を行うスケジュールを設定するべきだ。

責任あるAIガバナンスシステムの導入は、特定の利益を拒否する際にデュープロセスの保障が求められる米国政府においては特に重要だ。例えば、AIがメディケイドの給付金の配分を決定するために使用され、そのような給付金がアルゴリズムに基づいて修正または拒否された場合、政府はその結果を説明できなければならず、これはまさに技術的デュー・プロセスと呼ばれている

説明可能性、ガイドライン、人間の監督なしに決定が自動システムに委ねられると、この基本的な憲法上の権利が否定されるという、どうしようもない状況に陥ってしまう。

同様に、主要企業によるAIの安全対策を確実なものにするにあたり、政権はその調達力を通じて絶大な力を持っている。2020年度の連邦政府の契約費は、新型コロナ対策費を含める前でも、6000億ドル(約64兆9542億円)を超えると予想されている。米国政府は、AIシステムを連邦政府が調達する際のチェックリストを発行すれば、非常に大きな効果を上げることができる。これにより、関連する市民権に配慮しつつ、政府のプロセスが厳格かつ普遍的に適用されるようになるだろう。

AIシステムに起因する差別からの保護

政府は、AIの弊害から私たちを守るためのもう1つの強力な鍵を握っている。調査および検察の権限だ。判断がAI搭載システムに依存している場合、現行の法令(ADA、フェアハウジング法、フェアレンディング法、公民権法など)の適用可能性を明確にするよう各機関に指示する大統領令が出れば、世界的な大混乱に陥る可能性がある。米国で事業を行っている企業は、自社のAIシステムが保護対象クラス(Protected Class)に対する危害を加えていないかどうかをチェックするきっかけができることだろう。

低所得者は、AIの多くの悪影響に対して不相応に弱い立場にある。特にクレジットやローンの作成に関しては、従来の金融商品へのアクセスや、従来のフレームワークに基づいて高いスコアを得ることができない可能性が高いため、その傾向が顕著だ。そしてこれが、そのような判断を自動化するAIシステムを作るためのデータとなる。

消費者金融保護局(CFPB)は、差別的なAIシステムに依存した結果の差別的な融資プロセスについて、金融機関に責任を負わせる上で極めて重要な役割を果たす可能性がある。大統領令の義務化は、AI対応システムをどのように評価するかを表明するための強制機能となり、企業に注意を促し、AI利用に関する明確な予測で国民をよりよく保護することができる。

個人が差別的な行為をした場合には責任を問われ、説明もなく恣意的に公共の利益が否定された場合にはデュー・プロセス違反となることが明確になっている。理論的には、AIシステムが関与している場合、これらの責任と権利は容易に移行すると思われるが、政府機関の行動や判例(というよりもむしろ、その欠如)を見る限り、そうではないようだ。

差別的なAIに対する法的な異議申し立てを基本的に不可能にするようなHUD(都市住宅開発省)規則案を撤回するなど、政権は良いスタートを切っている。次のステップとして、調査や訴追の権限を持つ連邦政府機関は、どのようなAI行為が審査の対象となり、現行の法律が適用されるのかを明確にする必要がある。例えば、HUDは違法な住宅差別について、CFPBは信用貸しに使用されるAIについて、労働省は雇用、評価、解雇の際に行われる判断に使用されるAIについてといった具合だ。

このような行動は、苦情に関する原告の行動に有益な先例を作るという利点もある。

バイデン政権は、差別のない包括的なAIの実現に向けて、心強い第一歩を踏み出した。しかし、連邦政府は、AIの開発、取得、使用(社内および取引先)が、プライバシー、公民権、市民的自由、米国の価値観を保護するような方法で行われることを連邦政府機関に要求することで、自らの問題を解決しなければならないだろう。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:ジョー・バイデンコラム人工知能アメリカ差別医療広告インクルーシブ

画像クレジット:Andy Emel / Getty Images

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(文:Miriam Vogel、翻訳:Dragonfly)

ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

Apple(アップル)のモバイルOSの最新バージョン「iOS 14.5」が、米国時間4月26日に配信開始となった。これに伴い、多くの議論を巻き起こした「App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性)」という新しいプライバシー保護機能が導入される。

この機能は約1年前に発表されたが、アップルはアプリ開発者に準備期間を与えるために導入を延期していた。以来、この機能への対応はすでにiOSで始まっており、いくつかのアプリがすでに採用している。例えば、Duolingo(デュオリンゴ)やVenmo(ベンモ)では、ユーザーにデータ追跡の許可を求めることが確認されている。だが、アップルは今回のアップデートから実際に新しい規定の施行を開始すると述べている。

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つまり、iPhoneユーザーは一般的なアプリケーションを使用していると、何度もプライバシーに関するプロンプトを目にするようになる。アプリごとに「他社のAppやウェブサイトを横断してあなたのアクティビティを追跡する」許可を求めて来るのだ。追跡(トラッキング)許可を求めるすべてのアプリは、iOSの広範な「プライバシー」設定の中の「トラッキング」メニューに表示され、個々のアプリまたはすべてのアプリについて、トラッキングのオン / オフをいつでも切り替えることができる。

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トラッキングのオン / オフを切り替えると、実際にどのような効果があるのだろうか?トラッキングをオフにすると、そのアプリケーションは、アップルのIDFA識別子を使ってあなたの行動に関するデータをデータブローカーやその他の第三者と共有し、広告のターゲットにすることができなくなる。また、アプリが他の識別子(ハッシュ化されたメールアドレスなど)を使ってあなたを追跡することもできなくなるが、アップルにとって実際にポリシーのこの部分を施行することは、より困難になるかもしれない。

画像クレジット:Apple

App Tracking Transparencyについては、リリースに向けて激しい議論が交わされてきた。賛否両論あるものの、賛成派の説明は簡単だ。これまで膨大な量の個人情報や活動が、消費者の同意なしに収集されていた(アップルは「あなたのデータの1日」と名づけられた報告書でその概要を説明している)が、その共有を簡単に制御できるようになるということである。

しかし、Facebook(フェイスブック)は、この新ポリシーが広告ターゲティングに深刻な打撃を与えることから、手頃な費用で効果的な広告キャンペーンを行うためにターゲティングを利用している中小企業に損害を与えると主張している。

さらにFacebookは、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)、The Washington Post(ワシントン・ポスト)に「世界中の中小企業のためにAppleに立ち向かう」と宣言する広告まで掲載した(電子フロンティア財団は、このキャンペーンを「Facebookのビジネスに悪影響を与えるアップルのプライバシー保護強化に向けた変更を阻止しようとしつつ、自社の反競争的な行動やプライバシー問題に関する失態から人々の目を逸らさせようとする、Facebookの笑えない試み」と断じた)。

関連記事:Facebookがアプリ追跡と広告ターゲティング制限に対してアップル批判を強化

なお、このような変更は一部の開発者や広告主に「存亡の危機」をもたらす一方で、アップルには利益をもたらすことにもなるという意見もある。

これがどれほどの影響をもたらすかということは、どれだけ多くの人がトラッキングの拒否を選択するかにかかってくるだろう。アプリ開発者はトラッキングの有無に応じて何らかの機能を制限することができないため、このようなプロンプトが表示されたときに、一般的なiPhoneユーザーの多くが「許可」を選択するとは考えにくい。しかし、モバイルアトリビューション分析会社のAppsFlyer(アップスフライヤー)によると、初期の調査結果によれば、「許可」選択率は39%にも達する可能性があるという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleiOSiOS 14IDFAApp Tracking Transparency広告Facebook個人情報プライバシー

画像クレジット:Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

パブリッシャーのコンテンツ推奨収入を最大化を支援するイスラエルのWhizzCo

イスラエルのスタートアップWhizzCoは、OutbrainやTaboolaのようなコンテンツ・レコメンデーション・ウィジェットの広告について、パブリッシャーはプログラムによるオークション方式を採用すべきだと述べている。

結局のところパブリッシャーは、他のデジタル広告ユニットのほとんどにこのアプローチを採用している。しかし共同創業者でCEOのAlon Rosenthal(アロン・ローゼンタール)氏は、自分のウェブサイトを収益化しようとしたとき、それらのウィジェットからの収益を最大化することは「不可能」だと気づいたと語っている。

「それが私たちの本当の苦痛でした」と彼は述べている。

そこでローゼンタール氏と彼のチームはWhizzCoと共同でContent Recommendation Yield Platformと呼ばれるシステムを開発した。これは40以上の異なるコンテンツ・レコメンデーション・プロバイダーからネイティブ広告を抽出し、どのインプレッション(CPM、CPC、CPAのいずれであっても)が最も高い収益をもたらすかを予測し、そのプロバイダーから広告を配信するというものだ。

さらにローゼンタール氏は、WhizzCoがパブリッシャーと協力してレコメンデーションウィジェットと広告がページのネイティブ部分のように見えるようにし、広告がどこから配信されたのかにかかわらず外観が変わらないようにしていると付け加えた。同氏によると、パブリッシャーはWhizzCoのJavaScriptを「ヘッダーではなく、サイトの実際のコードに実装することで、ロード時の問題がすべて解消できます」と述べている。

WhizzCoは2017年に設立され、すでにPenske Media CorporationのShe Mediaをはじめとする多くのパブリッシャーと仕事をしている。She Mediaのオペレーション担当シニアバイスプレジデントであるRyan Nathanson(ライアン・ネイサンソン)氏は声明で「WhizzCoのプラットフォームにより、競争力のあるエコシステムを構築することができ、よりタイトなカスタマイズ、競争、編集ガイドライン管理が可能になり、コンテンツレコメンデーションのCPMが75%増加しました」と述べた。

さらにローゼンタール氏によると、WhizzCoの顧客は平均してコンテンツレコメンデーション収益が37.7%増加しているという。

「私たちのモットーは、100%のパフォーマンスを100%の時間で提供できる人はいないということです」とローゼンタール氏は語った。「たとえGoogle(グーグル)やその他の大手広告会社でであろうと、常に最高のパフォーマンスを発揮することはできません。そこで、私たちの技術が必要となるのです」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:WhizzCoイスラエル広告

画像クレジット:Feodora Chiosea / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Facebookがインストリーム動画トピックスなど動画広告に関する新機能のテストを開始

Facebook(フェイスブック)は、FacebookおよびInstagram(インスタグラム)における動画広告主に向けたいくつかの新機能と、それらの広告を視聴する可能性があるユーザーに関する最新の数値を発表した。

まずは数字から。Facebookによると、インストリーム動画広告を視聴する人は現在、毎月20億人に上るという。また、インストリーム動画広告の70%は最後まで視聴されており、すでにニュースフィードやストーリーズで展開している広告にFacebookインストリーム広告を加えると、その広告の想起率は中央値で1.5倍になったことが、最近の調査でわかったという。

Facebookのグローバルビジネスグループ副社長であるCarolyn Everson(キャロライン・エバーソン)氏とこのニュースについて話し合った際、従来の広告主が同社の測定基準に納得しているのかと、筆者は疑問に思った(同社は2016年に、動画の視聴時間がエラーによって実際より膨れていたことを認めざるを得ず、その対応について今も批判を浴びている)。

エバーソン氏は、Facebookが「非常に具体的」な数字を目指していると語り、同社がインストリーム広告を掲載するのは3分以上の動画に限られており、視聴者が少なくとも45秒(動画によってはそれ以上)視聴してから初めて広告が再生されるということにも言及した。

「私は、当社が市場に調和し、非常に高い競争力を持つことになると信じています」と、彼女は語った。「測定の基準は人によって異なりますが、しかしこの数字は広告主の方々に喜んでいただけそうなものです」。

画像クレジット:Facebook

そして次は新機能について。Facebookは「In-Stream Video Topics(インストリーム動画トピックス)」の世界的なテストを開始する。これによって広告主は、視聴者だけでなく、動画のトピックに基づいて広告をターゲティングできるようになる。Facebookはブログ記事で、当初のターゲティングには「スポーツなどの20以上のビデオトピックと、野球、バスケットボール、ゴルフ、水泳などの700以上のサブトピック」が含まれると述べている。

エバーソン氏によると、同社は機械学習技術を用いて対象となる動画を分類するとともに、Facebookのブランドセーフティガイドラインを満たしているかどうかを確認するという。

さらにFacebookは、Instagramの短編動画「Reels(リール)」形式の広告のテストを、まずインド、ブラジル、ドイツ、オーストラリアで開始すると発表した。これらの広告は最大30秒の長さで、ユーザーは元来のリールコンテンツと同じように「いいね!」やシェア、あるいはスキップすることができる。

画像クレジット:Facebook

また、Facebookは2021年3月に発表したステッカー広告のテストも行っている。これはブランドが広告としてカスタムステッカーを作成し、クリエイターはそれをFacebookのStories(ストーリーズ)に貼り付けることができるというものだ。

以上のような発表をまとめて、エバーソン氏(2011年にFacebookに入社)は次のように述べている。「率直に言って、私はマーケターのためのオンライン動画ソリューションに関する議論を繰り返してきたこの10年間、すべての準備が整う瞬間をとても楽しみにしてきました。今回の発表で、それがようやく実現したと言えます」。

関連記事:Facebookがショート動画やストーリーズに広告を導入

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タグ:FacebookInstagram広告

画像クレジット:CHANDAN KHANNA/AFP/Getty Images / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GoogleのCore Web Vitalsを見据えて機械学習を活用するビデオアドテックCedatoをEX.COが獲得

EX.COは同社初の買収を発表した。2015年創業のビデオ収益化スタートアップCedatoを買収する。

かつてPlaybuzzとして知られていたEX.COは、「Experience Company」の略語で、パブリッシャーや他の顧客にインターラクティブ要素やビジュアル要素(投票やプロダクトレコメンデーションなど)をコンテンツに加える簡単な方法を提供している。同社はパブリッシャー事業の売上高が2018年から2020年にかけて300%成長したと話す。

共同創業者でCEOのTom Pachys(トム・パチス)氏によると、同氏は2020年、人工知能が「我々が行うすべてのことを乗っ取る」と確信するようになった。

「我々は洗練された方法でビデオを作っている、つまりコアエンジンの一環として機械学習を使っている企業を探し始めました」とパチス氏は話した。「つまり、正しいコンテンツや正しい広告を選ぶ、正しい方法で(広告)オークションをどのように管理するかを知っている企業ということです」。

同氏はCedatoがこれらのことすべてをページロードタイムに影響を及ぼすことなくできるため、抜きん出た存在だったと述べた。この能力はGoogleのCore Web Vitals測定にとって、ますます重要になり、検索ランキングにとっても重要になるだろう。

「一般的に、効率と売上は常に歩み寄らなければならない関係です。しかしCedatoは、かなり驚くような方法でスピードを上げ、売上高を増やすことができます」とパチス氏は話した。

Cedatoのテクノロジーを加えることで、EX.COは顧客にビデオコンテンツの予想されるレコメンデーション、ビデオ広告のためのヘッダービディング、コネクテッドTVのための改善されたサポートといったものを提供できる。逆にEX.COはCedatoの既存客を引き続きサポートしながら追加のプロダクトも提供する。

「我々は何もなくしはしません。ソリューションを加えるだけです」とパチス氏は述べた。

買収の取引条件は明らかにされなかったが、Cedatoのチーム(ニューヨークとイスラエル拠点)はEX.COに加わる。

「当初からCedatoは、シンプルで顧客ファーストのアプローチで最も高度なビデオツールの開発にピンポイントでフォーカスしてきました」とCedatoの創業者でCEOのRon Dick(ロン・ディック)氏は声明で述べた。「EX.COは似たようなビジョン、パワフルなテクノロジー、そして忠実な顧客ベースを持っています。協業により我々は最先端のテクノロジーを世界中のパートナーに提供でき、引き続きマーケットの主なニーズをサポートするプロダクトイノベーションでリードします」。

パチス氏はEX.COがAI関連のさらなる買収を検討しており、次はコマース分野になりそうだと付け加えた。

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タグ:EX.CO買収広告

画像クレジット:Ex.co

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

Ben Gabbe via Getty Images

GoogleはChromeブラウザにおけるサードパーティCookieを段階的に廃止していく一方で、新たな広告技術「FloC(Federated Learning of Cohorts)」の導入を計画しています。これは似たブラウジング行動をした人々をグループにまとめることで(個々人のブラウジング履歴はGoogleと共有しない)関連広告を表示する技術とされています。

これはGoogleのブラウザChromeにも実装される技術であり、同じくGoogleが管理するオープンソースのエンジン「Chromium」を使う他社のブラウザにも導入される可能性があります。その1つであるマイクロソフトのEdgeがFloCを無効化しており、事実上GoogleにNOと表明していることが明らかとなりました。

Chromiumのソースコードを確認すると、FloCはデフォルトでは有効とされています。つまりMicrosoft EdgeなどChromiumベースの他社ブラウザにも、コンポーネントを明示的に無効としない限り自動的にインストールされることになります。

しかし大手コンピュータヘルプサイトBleepingComputerによると、Edgeではコマンドライン引数を使ってFloCを有効にしてもブラウザ上で使用できないとのこと。つまりMSが意図的にFloCを無効にしていると解釈できるわけです。

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

そこでMSに意図を問い合わせたところ、明確な回答は得られず、代わりに自社の広告提案PARAKEETが紹介されるに留まっています。

GoogleのFLoCに関しては「正しく実装される保証がない」として、ユーザーのプライバシーにとって重大な脅威になるとの批判が相次いでいます。Chromiumベースのブラウザ「Brave」は、「Why Brave Disables FLoC | Brave Browser」にてFloCがプライバシー保護を装いつつ、プライバシーに重大な損害を与えると指摘。また同じくChromiumベースの「Vivaldi」も「No, Google! Vivaldi users will not get FloC’ed. | Vivaldi Browser」を表明し、今まで以上にプライバシーを損なう危険なステップだと痛烈に批判しており、両社ともFloCは採用しないと明言しています。

Googleは現在、何千万人ものChromeユーザーを対象にFloCをテストしており、最終的には数十億人のChromeユーザーに展開する予定です。それに対して、Chromeには及ばないものの大きなシェアを持つMSのEdgeが実質的にNoを突きつけたことで、今後の動向に影響が及ぶのかもしれません。

(Source:BleepingComputer、Via:MSPoweruserEngadget日本版より転載)

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タグ:ウェブブラウザー(用語)オープンソース / Open Source(用語)Chromium(製品)Google Chrome(製品・サービス)広告 / アドテック(用語)FLoC(製品・サービス)Brave(企業・サービス)プライバシー(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)Microsoft Edge(製品・サービス)

Facebookがニュースフィードの投稿に企業の関連コンテンツを表示するテストを米国で開始

Facebook(フェイスブック)は米国時間4月15日、ニュースフィード上で企業を発見するための新しい機能のテストを米国で開始すると発表した。この機能が導入されると、ユーザーはニュースフィード上の投稿や広告の下に表示されるトピックの中から興味のあるものをタップして、企業の関連するコンテンツを探すことができるようになる。Facebookは最近、Apple(アップル)の「App Tracking Transparency(ATT)」導入がどれほど中小企業に影響を与えるかということを巡って論争を続けている。この主張は、多くの人が誤解を招くものとして否定しているが、それにもかかわらず、一部の家族経営のような小規模な店舗は、広告ターゲティング機能への影響を懸念している。今回始まった新しいテストは、Facebookがニュースフィードを調整することで、必要であればより多くのユーザーデータを容易に構築することができると示す一例だ。

同社によると、ユーザーは、美容製品、フィットネス、衣料品などを販売する企業の投稿や広告の下に、この変更を目にすることになるという。

つまりこれは、ユーザーが関連するコンテンツを見つけようと特定のアクションを起こした際に、Facebookがニュースフィード機能を使って関連するビジネスにユーザーを誘導するというものだ。これによってFacebookは、どのユーザーがクリックして関連コンテンツを見ようとしたか、どのような企業に関心を持ったかなど、ユーザーに関する新しいデータのセットを作成できる。将来的には、この機能を広告に転換し、企業が高い掲載率を得られるようにすることも可能だろう。

「人々はすでにニュースフィードをスクロールしながら企業を発見していますが、この機能によって自分では見つけられなかった新しい企業を発見し、検討することが容易になるでしょう」と、Facebookは簡単な発表の中で述べている。

Facebookは今回のテストについて、今後の詳細な計画は発表しなかったが、ユーザーがこの機能をどのように利用するかがわかれば、より多くのユーザーや企業にこの体験を拡大していくと述べている。

画像クレジット:Facebook

このテストのニュースと併せて、Facebookは2021年4月中にビジネスオーナー向けのツールをさらに展開することも発表した。その中には、FacebookとInstagram(インスタグラム)の両方にStories(ストーリーズ)を作成、公開、スケジューリングする機能や、スケジューリングされた投稿を変更・編集する機能などが含まれる。また「Facebook Business Suite(フェイスブック・ビジネス・スイート)」からFacebookの写真やアルバムを作成・管理する機能や、Business SuiteのモバイルアプリからFacebookとInstagramの投稿を作成し、下書きとして保存する機能も、遅れて追加される予定だ。

他のビジネス関連のアップデートとして、Facebookは、Lead Ads(リード獲得広告)、Call Ads(電話発信広告)、Click to Messenger(Messenger誘導広告)や Lead Generations(Messengerでのリード獲得)など、企業と顧客のつながりに焦点を当てた広告製品の機能をアップデートした。

Facebookは2021年初め、企業がビジネスプロフィールを使って投稿、コメント「いいね!」などの活動を行ったり、専用のニュースフィードにアクセスすることができる新デザインのFacebookページを発表した。このリニューアル時には、ページの「いいね!」ボタンが廃止され、フォロワー数に重点が置かれるようになった。

この時期にFacebookが中小企業向けのツールを宣伝しているのは偶然ではない。近い将来、FacebookのiOSアプリでユーザーが追跡を「許可しない」を選ぶようになると、広告ターゲティング機能の精度が低下して、Facebookのプラットフォームが中小企業経営者にとって有益でなくなるのではないかと懸念されているからだ(その多くは、Facebook自身が声高に叫んでいるのだが)。

関連記事:「Facebookページ」がリニューアル、「いいね!」ボタンが消えニュースフィードが追加

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タグ:Facebookアメリカ広告SNS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国のプライバシー保護団体が「監視広告」の禁止を米議会に強く要請

米国時間3月25日に、ビッグテックと議会による「映画のような」激しい応酬が行われた。米国議会は、虚偽情報という不快なトピックについて今回もFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Twitter(ツイッター)のCEOに聴聞する予定だ。それに先立ち、プライバシー、反トラスト、消費者保護、公民権の各分野の組織で構成される連合体が「監視広告」の禁止を要求し「ビッグテックの有害なビジネスモデルが民主主義を弱体化させている」という論調を強めている。

「不快な広告」の禁止を要求しているのは、40あまりの組織で構成される強力な連合体だ。このような広告には、行動広告のターゲティングを目的としたウェブユーザーの大規模追跡とプロファイリングが利用されている。この連合体には、American Economic Liberties Project(アメリカ経済的自由プロジェクト)、Campaign for a Commercial Free Childhood(広告のない子ども時代を目指すキャンペーン)、Center for Digital Democracy(デジタル民主主義センター)、Center for Humane Technology(人道的技術センター)、Epic.org(電子プライバシー情報センター)、Fair Vote(フェア・ボート)、Media Matters for America(メディア・マターズ・フォー・アメリカ)、Tech Transparency Project(技術透明性プロジェクト)、The Real Facebook Oversight Board(リアルフェイスブック監視委員会)などの組織が参加している。

同連合体は公開書簡の中で「我々はさまざまな問題や業種を代表しており、コミュニティの安全性と民主主義の健全性に対する懸念を共有している。ソーシャルメディア大手は、情報を吸い取る有害なビジネスモデルのサービスにおいて、合意された現実を侵食し、公共の安全を脅かしている。監視広告の禁止に向けた取り組みで我々が協力しているのはそのためだ」と述べている。

この連合体はまた、より安全な非追跡型の代替手段(コンテキスト広告など)が存在することを指摘している。一方で、アドテックのインフラストラクチャのさらなる透明性とそれに対する監督が、関連するさまざまな問題(ジャンクコンテンツ、陰謀論の増加、広告詐欺、デジタルイノベーションの荒廃など)の解決に役立つ可能性があると主張している。

前述の公開書簡の中には「この危機に対処するための特効薬はない。この連合体のメンバーは、包括的なプライバシー関連の立法、反トラスト法の改正、責任基準の変更など、引き続きさまざまな政策的アプローチを追求していく。しかし全員が同意できることが1つある。それは、今こそ監視広告を禁止すべきときだということだ」と書かれている。

さらに、同連合体は「ビッグテックのプラットフォームは、憎悪、不法行為、陰謀論を増幅している。また、ユーザーにますます極端なコンテンツを提供するようになっている。それによってエンゲージメントと利益を最大化できるためだ」と警告する。

「ビッグテック自身のアルゴリズムツールによって、白人至上主義者のグループ、ホロコースト否認主義、新型コロナウイルス感染症関連のデマ、偽造オピオイド、虚偽の癌治療情報など、あらゆる情報の拡散が促進されてきた。エコーチェンバー現象、急進化、嘘の拡散はこのようなプラットフォームの特徴である。これはバグではなく、ビジネスモデルの中心なのだ」。

また、この連合体は監視広告による従来型ニュースビジネスへの影響についても警告している。プロのジャーナリズムにおける収益が減ってきており、それにより民主主義で取り組むべき(真の)情報エコシステムへの危害が大きくなっていると述べている。

これらの批判にもそれなりの根拠はあるのが、従来型ニュースの終焉をテクノロジー大手のせいにするのは単純化しすぎである。巨大テック企業の存在そのもの、つまりインターネットによってもたらされた産業のディスラプション(創造的破壊)を批判しているのと同じだ。とはいえ、一部のプラットフォーム大手による、プログラムを使用したアドテックパイプラインの支配は、明らかによいことではない(オーストラリアの立法はこの問題に対して判決を下したが、つい最近のことであるため、まだその影響を評価することはできない。しかし、ニュースメディアへの対価の支払いを義務付ける法律の恩恵を受けるのは大手メディアビッグテックだけで、声を上げた両業界全体に利益がもたらされることにはならない、というリスクがある)。

同連合体は次のように警告する。「フェイスブックとグーグルの独占的な力と、データを『収穫』する行為は、両社に不公平なほど大きなメリットを与えてきた。それにより両社はデジタル広告市場を支配し、以前は各地域の新聞が得ていた収益を吸い上げるようになった。そのため、ビッグテックのCEOがさらに裕福になる一方で、ジャーナリストは解雇されている。ビッグテックは現在も差別、分断、迷いを煽っている。標的型の暴力を助長し、暴動の土台を用意することになる場合でも、金銭面でのメリットがある限りこれを行う」。

連合体は、具体的な被害をまとめたリストの中で、フェイスブックとグーグルなどのテクノロジー大手による圧倒的に有利なオンラインビジネスモデルが「医療関連のデマ、陰謀論、過激なコンテンツ、外国のプロパガンダを促進する狡猾な虚偽情報のサイト」の資金源になっていると指摘している。

「監視広告を禁止することで、デジタル広告の表示に対する透明性と説明責任を以前のように戻せる可能性がある。また、虚偽情報のパイプラインにおいて重要なインフラストラクチャとして機能しているジャンクサイトの資金を大きく減らせる可能性がある」と同連合体は主張し、さらに「このようなサイトでは、拡散目的で作られた陰謀論がいつまでも続くことになる。この陰謀論は、ソーシャルメディア上の悪意のあるインフルエンサーや、エンゲージメントに飢えたプラットフォームのアルゴリズムによって拡散が促進される。つまり、監視広告が有害なフィードバックループを加速し、資金源にもなっている」と述べている。

同連合体が指摘する被害には他にも、プラットフォームによるジャンクコンテンツや虚偽コンテンツ(新型コロナウイルス感染症に関する陰謀論やワクチンに関する誤った情報など)の拡散による公衆衛生に対するリスク、不公平に選ばれた、またはバイアスがかかった広告ターゲティング(女性や民族的マイノリティなどを違法に排除する求人広告など)を通じた差別のリスク、コンテンツや広告におけるユーザーエンゲージメントを増加させるために過激なコンテンツや悪意のあるコンテンツを増やす、広告プラットフォームによる道義に反する経済的インセンティブ(これは社会の分断を促進する。また、コンテンツが多く拡散されるほどプラットフォームが財務的に利益を得るという事実の副産物として党派性を促進する)、等がある。

同連合体はまた、監視広告システムが「小規模ビジネスに対して不正な試合を持ちかけている」とも主張している。プラットフォームの独占的状態が監視広告システムに組み込まれるためだ。これは「不快な広告は何らかのかたちで中小企業と大規模ブランドの勝負を公平にする」というテクノロジー大手の自衛的主張に対する妥当な反論である。

「フェイスブックとグーグルは自らを小規模ビジネスのライフラインであるかのように装っている。しかし真実は、単に独占企業としてデジタルエコノミーへのアクセスに対して課金しているだけだ」と同連合体は述べており、独占的状態にある両社による「広告市場に対する監視に基づく拘束により、小規模企業はレバレッジや選択肢を利用できない」と主張している。これはビッグテックによる搾取の余地を生む。

そのため、同連合体は、フェイスブックとグーグルが米国の広告市場の60%近くをコントロールしている現在の市場構造ではイノベーションと競争が抑制される、と断言している。

「監視広告はオンラインパブリッシャーに恩恵をもたらすのではなく、ビッグテックのプラットフォームに対して偏ったメリットをもたらす」と同連合体は述べ、フェイスブックは2020年に842億ドル(約9兆3214億円)の広告収入を、グーグルは1348億ドル(約14兆9231億円)の広告収入を得て「一方で監視広告の業界では詐欺の申し立てが多数あった」と指摘する。

行動ターゲティング広告の禁止を要求するキャンペーンは、今回が初めてではない。しかし、支持している署名者の数を考えると、これは、今の時代を形作り数社のスタートアップが社会と民主主義を弱体化させる巨人に姿を変えたデータ収穫型ビジネスモデルに反対する勢いの大きさを示している。

米国議会がビッグテックの影響に細かい注意を払うようになってきたため、この点は重要だと思われる。また、複数のビッグテックに対する反トラスト法関連の訴訟が進行中である。とはいえ、マイクロターゲティングの悪用の影響と民主的社会へのリスクについて早い段階で警鐘を鳴らしたのは、欧州のプライバシー規制当局だ。

話は2018年にさかのぼる。Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が関与していたフェイスブックデータの不正使用と投票者をターゲットにしたスキャンダルが発生すると、英国のICOは、倫理的な理由から政治キャンペーン目的でのオンライン広告ツールの使用停止を要求した。また「Democracy Disrupted? Personal information and political influence(民主主義は崩壊したのか?個人情報と政治的影響)」というタイトルの報告書を作成した。

その同じ規制当局が、行動ターゲティング広告が制御不能になっているという警告を2019年に受けていながら、アドテック業界によるユーザーデータの違法使用に対してこれまでアクションを起こしてこなかったことは、ちょっとした皮肉では済まされない事態だ。

ICOが行動を起こさないのを見た英国政府は、ビッグテックを監督する専門の部門が必要だと判断した。

英国政府は近年、オンライン広告の分野を独占禁止法関連の懸念事項として挙げており、2019年に競争・市場庁が実施したデジタル広告セクターの市場調査に従い、競争重視の規制機関を作ってビッグテックの支配に対応していくと述べている。この調査では、アドテックによる独占的状況に対する大きな懸念が報告された

一方で、欧州連合のデータ保護監督機関のトップは先月、インターネットユーザーのデジタルアクティビティに基づくターゲティング広告を、停止ではなく禁止することを主張し、各加盟国の議員に対して、デジタルサービスルールの大規模な改正にそのための手段を組み入れるよう求めた。このルールは、運用者の説明責任などの目標達成を促進することを目的としたものである。

欧州委員会の提案がここまで踏み込んだのは今回が初めてだ。しかし、デジタルサービス法とデジタル市場法に関する交渉は現在も継続中である。

2020年、欧州議会でも、不快な広告に対してより厳しい姿勢で臨むことが支持された。ただし、ここでもオンラインの政治広告対応に取り組む委員会のフレームワークでは、あまり過激な内容は提案されていない。そのため、EUの議員はさらなる透明性を求めている。

米国議会が今回のキャンペーンにどう反応するかはまだわからないが、米国では市民社会組織は協力してターゲティング広告に反対するメッセージを広めようとしており、有害なアドテックを一掃すべきだ、という圧力が米国内でも高まっている。

同連合体のウェブサイトに記載されているコメントの中で、フォーダム大学ロースクールの法律学准教授であるZephyr Teachout(ゼファー・ティーチアウト)氏は「フェイスブックとグーグルは、権威主義国家における監視体制とタバコのような依存症ビジネスモデルを組み合わせた、巨大で独占的な力を持っている。議会には両社のビジネスモデルを規制する広範な権威があり、監視広告への取り組みを禁止するためにそれを使用するべきである」と述べている。

Ruby on Rails(ルビー・オン・レイルズ)のクリエイターであるDavid Heinemeier Hansson(デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)氏は、今回の活動を支持する別の声明の中で次のように述べている。「監視広告は、新聞、雑誌、独立したライターから、生活およびコモディティ化された仕事を奪ってきた。代わりに我々が得たものは、数社の腐敗した独占的企業だった。これは社会にとってよい取引ではない。このやり方を禁止することで、我々は文章、音声、動画の独自の価値を、それを集める者ではなく、それを作る者の手に取り戻すことができる」。

興味深いことに、米国の政策立案者がアドテックにさらに細かく注意を払うようになっている状況を受けて、グーグルは個人レベルの追跡サポートを「プライバシー保護」型の代替策として認知されている方法(FLoC)で置き換える努力を加速させている。

それでも、Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)でグーグルが提案したテクノロジーでは、ウェブユーザーのグループ(コホート)が引き続き広告主のターゲットになる。ここには引き続き、差別が発生するリスクや、社会的弱者のグループが何らかの標的にされ、社会的規模で操作が行われるリスクが存在する。そのため、議員はグーグルのブランディングではなく「プライバシーサンドボックス」の詳細に注意を払う必要がある。

「要するに、これはプライバシー保護の点では有害なことだ」とEFF(電子フロンティア財団)は2019年の提案について触れながら警告した。「集団の名称は基本的には行動の信用スコアだ。デジタル版の額にタトゥーが刻まれているようなもので、あなたが誰か、何が好きか、どこに行くのか、何を買うのか、誰と関係があるのか、といった情報を提供している」と述べている。

EFFはまた「FLoCはプライバシー保護テクノロジーとは逆のものだ」と付け加え「今日も追跡者はウェブ上であなたを追いかけている。あなたがどのような人間かを推測するためにデジタル環境でコソコソ動いている。グーグルによってもたらされる未来では、追跡者は椅子に座って何もせず、自分の代わりにあなたのブラウザに働かせるだろう」と述べている。

関連記事:EUの主管プライバシー規制当局が行動監視に基づくターゲティング広告の禁止を求める

カテゴリー:ネットサービス
タグ:広告アメリカプライバシーFacebookGoogleTwitterEU英国

画像クレジット:JakeOlimb / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックがマルウェアが仕込まれた偽「PC版Clubhouse」アプリの広告を掲載

TechCrunchが入手した情報によると、サイバー犯罪者らは、PCユーザー向けのClubhouseアプリを装ったFacebookの広告多数掲載し、無防備な被害者を狙ってマルウェアを仕込んでいるという。

TechCrunchが米国時間4月7日に得た警告によると、いくつかのFacebookページに結びついている複数の広告がClubhouseになりすましているという。ClubhouseはiPhoneでしか利用できないオーディオチャットアプリだ。広告をクリックすると偽Clubhouseのウェブサイトが開き、そこには存在しないPCアプリがどのように表示されるかという偽のスクリーンショットと、悪意あるアプリのダウンロードリンクが表示される。

悪意のあるアプリを開くと、コマンド&コントロールサーバーと通信して、次に何をすべきかの指示を得ようとする。このマルウェアをサンドボックス解析したところ、隔離されたマシンにランサムウェアに感染させようとしていたことがわかった。

しかしひと晩経つと、ロシアでホストされていたClubhouseの偽サイトはオフラインになっており、それにともないマルウェアも動作を停止していた。4月8日にサンドボックスでこのマルウェアをテストしたGuardicoreのAmit Serper(アミット・サーパー)氏によると、このマルウェアはサーバーからエラーを受け取り、それ以上は何もしなかったという。

偽ウェブサイトはClubhouseの本物のウェブサイトのように見せるよう設定されていたが、悪意あるPCアプリを搭載していた(画像クレジット:TechCrunch)

サイバー犯罪者たちが人気の高いアプリの成功に便乗して、自分たちのマルウェアで犯行を行うことは珍しくない。Clubhouseは招待制であるも関わらず、世界で800万回以上ダウンロードされたと報じられている。その需要の高まりを受けて、アプリをリバースエンジニアリングして海賊版を開発し、Clubhouseのゲートウォールだけでなく、アプリがブロックされている政府の検閲も逃れようとする動きが活発になっている。

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Clubhouseを装ったFacebookの各ページは、わずかに「いいね!」されているだけだが、本稿執筆時にはまだアクティブだった。Facebookは、Clubhouseの偽ウェブサイトを示す広告をクリックしたアカウント数は発表していない。

米国時間4月6日から6日にかけて、少なくも9つの広告が設置された。一部の広告は「これからはClubhouseをPCで使えます」と述べている。また、共同創業者のPaul Davidson(ポール・デヴィッドソン)氏とRohan Seth(ローハン・セス)氏の写真を載せているページもある。Clubhouseは、コメントの求めに応じなかった。

広告はFacebook’s Ad Libraryから削除されたが、コピーがこれだ。そもそも広告がFacebookのプロセスをどのように通過したのかも不明だ。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:FacebookClubhouseマルウェアランサムウェア広告Facebook広告

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルが導入間近のデータトラッキング規制「App Tracking Transparency」の詳細をさらに公開

Apple(アップル)は米国時間4月7日、近く導入される「App Tracking Transparency(ATT)」機能についてさらに詳しい情報を発表した。この機能によりユーザーは、自分のデータが広告ターゲティングの目的で共有されるかどうかを、アプリごとにコントロールできるようになる。

現行バージョンのiOSを使用しているユーザーであれば、ある意味、App Tracking Transparencyがどのように機能するか確認できる。というのも、iOSにはすでに「プライバシー」設定の中に「トラッキング」メニューが含まれており、一部のアプリはすでにユーザーにトラッキングの許可を求め始めているからだ。

しかし、iOS 14.5(現在は開発者向けベータ版)が初春に一般公開されると、Appleは新しいルールを実際に適用し始めるため、iPhoneユーザーはより多くのリクエストを目にするようになるだろう。これらのリクエストはアプリ使用中にさまざまな場面で表示されるが、いずれも、アプリが「他社のAppやウェブサイトを横断してあなたのアクティビティを追跡することを許可」するか問う標準的なメッセージが表示され、その後、開発者からカスタマイズされた説明が表示される。

アプリがこの許可を求めると「トラッキング」メニューにも表示されるようになり、ユーザーはいつでもアプリのトラッキングをオン / オフに切り替えることができる。また、スイッチの切り替えでこれらのリクエストを一度にすべてオプトアウトしたり、すべてのアプリでトラッキングを有効にすることもできる。

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Appleの開発者向けウェブサイトにはすでに記載されているものの、メディアの報道(TechCrunchも含め)では完全には明らかにされていないことで、強調に値するポイントが1つある。このルールは、IDFA識別子に限定されるものではないという点だ。確かにAppleが直接管理しているのはIDFAだが、同社の広報担当者によると、ユーザーがトラッキングを拒否した場合、Appleは開発者に対して、広告ターゲティング目的でユーザーを追跡するための他の識別子(ハッシュ化されたメールアドレスなど)の使用を中止し、そうした情報をデータブローカーと共有しないようにすることも求めるという。

ただし、開発者が複数のアプリをまたいでユーザーを追跡することは、それらのアプリがすべて1つの会社によって運営されている場合には妨げられない。

Appleの広報担当者は、同社自身のアプリはこのルールを遵守するとも述べている。しかし、Appleは広告ターゲティングを目的にサードパーティーのアプリ間でユーザーを追跡することはないため、AppleからのATTリクエストはないという(以前の記事で触れたように、Appleが自社のファーストパーティーデータを使って広告をターゲティングできるかどうか設定する、独立した「パーソナライズされた広告」オプションはある)。

Facebook(フェイスブック)はこの変更によって、効果的な広告キャンペーンを行うためにターゲティングを利用している中小企業が打撃を受け、Appleの収益にもつながると主張し、特に声高に批判してきた

Appleはそれに対し、プライバシーに焦点を当てた講演や「A Day in the Life of Your Data」と題されたレポートの中で、ユーザーが実際にどのように追跡されターゲティングされているのかを説明し、批判に反論していた。さらに加えて同社は最近、広告オークション、広告アトリビューション、Apple独自の広告製品に関する情報を追加して同レポートを更新した。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Apple広告IDFAiOSiOS 14プライバシートラッキング

画像クレジット:Emmanuel Dunand / AFP / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

音楽ストリーミングのSpotifyがパーソナライズプレイリストで広告を拡大

音楽ストリーミングサービスのSpotify(スポティファイ)はパーソナライズされたプレイリスト「On Repeat」にスポンサーシップ広告を導入する。2019年に提供が始まったユーザーのお気に入りの曲を特集するこのプレイリストは、Spotifyで2つめのスポンサーシップ広告が導入されたパーソナライズプレイリストとなる。Spotifyのフラッグシッププレイリスト「Discover Weekly」が1つめで、2019年に広告が入るようになった。

スポンサーシップはSpotifyのSponsored Playlis広告プロダクトを通じて可能だ。ブランドがSpotifyの無料ユーザーにオーディオ、ビデオ、ディスプレイ広告メッセージで販促できるというもので、広告主は「エンド・ツー・エンド」のエクスペリエンスにできる、とSpotifyは話す。

またSpotifyの最も熱心なユーザーにリーチするチャンスをブランドに提供している。

例えば「Discover Weekly」をスポンサーシップ広告対応にしたとき、Spotifyはこのプレイリストを聴くユーザーはプレイリストを聴かなかった人の倍以上ストリーミングしたと指摘した。同様に「On Repeat」はユーザーが最も頻繁に流した音楽に的を絞っているため、Spotifyをより頻繁に利用するユーザー向けのサービスだ。

2019年9月の立ち上げ以来「On Repeat」のプレイリストは世界で120億ストリームに達したとSpotifyは話す。ファンはまたプレイリスト再生に7億5000万時間を費やし、Bad Bunny、The Weeknd、Ariana Grandeといったアーティストが「最もリピートされた」再生リストの上位にくる。

Spotifyは現在、数多くの広告入りプレイリストを提供しているが、パーソナライズされたプレイリストでは「Discover Weekly」を除き、ほぼ広告禁止だった。パーソナライズされたプレイリストはかなり価値の高い財産であり、Spotifyは同社のアルゴリズムで動くストリームコレクションへとユーザーを誘導する。Spotifyはアプリで拡大し続けている「Made for You」ハブにそうしたコレクションを整頓している。そこではユーザーは「Discover Weekly」と、ジャンルやアーティスト、年代、ニューリリース、お気に入り、提案などによって整頓されたコレクションの間を行ったり来たりできる。

「On Repeat」にスポンサーシップを導入することで、北米や欧州、南米、アジア太平洋を含む30のグローバルマーケットのブランドはSpotifyのもう1つの最大のパーソナライズされた財産を所有できるようになる。

このスポンサーシップを活用する最初の米国の広告主はTurboTaxで、プレイリストのパーソナリゼーションの要素とユーザーエンゲージメントが広告を出す理由の1つだとした。

「音楽のように、税金も一長一短です。納税に関する状況は人によって異なり、それぞれのニーズは異なります」とTurboTaxのマーケティング担当副社長Cathleen Ryan(キャスリーン・ライアン)氏は述べた。「消費者に当社の存在をアピールし、税務申告をするときに必要とする専門性をTurboTaxで利用できると示すために、Spotifyの熱心なリスナーへのコネクションを使います。TurboTaxが提供するツール、ガイダンス、専門性について知ることができるよう、Spotifyでは正しいオーディエンスにリーチしてターゲットとすることができます」と付け加えた。

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タグ:Spotify広告

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

GoogleがCookieに代わる広告ターゲティング手段FLoCをChromeでテスト開始

米国時間3月30日、GoogleはChromeのPrivacy Sandboxプロジェクトの重要な部分であるFederated Learning of Cohorts(FLoC)の、開発者によるトライアルを展開していることを発表した。

FLoCは、広告のテクノロジー企業がウェブ上でユーザーを追跡するために現在利用されているCookieに代わる技術だ。個人を特定できるCookieと違い、FLoCはローカルでユーザーのブラウジング行動を分析し、同じような興味を持つ志を持つ人々のグループにまとめる(ユーザーのブラウジング履歴をGoogleと共有することはない)。このコホートは、広告主が自分の行動を実行して関連広告を表示できるだけの限定的なものだが、マーケターが個人を特定できるほど具体的ではない。

Googleはこれを「関心に基づく広告」と好んで呼んでいるが、ユーザーが同じ関心を持つユーザーの群れの中に隠れてしまうことになる。ブラウザーが表示するのはグループ(cohort)のIDだけであり、ユーザーの閲覧履歴やその他のデータはローカルに残る。

画像クレジット:Google

トライアルは米国とオーストラリア、ブラジル、カナダ、インド、インドネシア、日本、メキシコ、ニュージーランド、そしてフィリピンでスタートし、Googleの計画では今後徐々にグローバルに展開されるという。2021年3月初めに明らかになったように、GoogleはGDPRなどのプライバシー規制を気にしてヨーロッパではテストを一切行わないい。特に、FLoC IDがその規制の下で個人データと見なされるかが不透明だ。

ユーザーは自分をデータの起点とするトライアルをオプトアウトできるし、Privacy Sandboxの各種トライアルをすべて拒否することもできる。

当然ながらFLoCは既存のオンライン広告システムの多くを否定するから、それが嫌な人たちもいる。広告主は当然、個人ユーザーをターゲットにできることを好むが、Googleの事前データによると「このようなグループ方式でも結果は前とほぼ同様であり、投じた広告費1ドル(約110円)当りに得られるコンバージョンレートは、Cookieを使う広告の場合のレートの95%以上」だという。

Googleによると、同社自身の広告プロダクトも、広告のエコシステムの中の競合他社とまったく同様に、CookieではなくFLoC IDにアクセスするという。

しかしこのプロジェクトを懐疑の目で見ているのは広告業界だけではない。プライバシー活動家たちも、このアイデアを完全には納得していない。たとえばEFF(電子フロンティア財団)は、FLoCによってマーケティング企業が、さまざまなFLoC IDを利用してユーザーの指紋を追跡するのが容易になると主張する。それはGoogleがPrivacy Budget という案で対応しようとしている問題だが、その効果はまだ未知数だ。

一方、ユーザーは広告業界が何と言おうと、広告を見ずに、そしてプライバシーを心配せずに単純にウェブを閲覧したいだろう。しかしオンラインのパブリッシャーたちは依然として、資金を広告収入に依存している。

このように、さまざまな関心がそれぞれ違う方向を向いているが、常に明白なのはGoogleが主導する企画をすべての人が喜ぶことはないということだ。その過程で摩擦が常に生まれる。そして、その他のブラウザーのベンダーが直ちに広告とサードパーティCookieをブロックすることはできるが、広告のエコシステムにおけるGoogleの役割は、それをさらにややこしくしている。単純ではない。

GoogleでPrivacy Sandboxを担当しているプロダクトマネージャーであるMarshall Vale(マーシャル・ベール)氏は、本日の発表声明でこう言っている。「他のブラウザーがサードパーティーCookieをデフォルトでブロックし始めたとき、私たちはその方向性に感激しましたが、その直接のインパクトが心配でした。プライバシーが守られるウェブを私たちは絶対的に必要としているから、感激するのは当然であり、しかもサードパーティーCookieが長期的な答えではないことを私たちは知っています。一方、心配なのは、今日では多くのパブリッシャーがCookieを使う広告に依存して自分たちのコンテンツ努力を支えていることです。そしてCookieのブロックがすでに、フィンガープリンティングのようなプライバシーを侵す抜け道を生み出していることです。つまりユーザーのプライバシーにとって、状況はますます悪くなっています。つまりサードパーティーCookieの完全なブロックを、エコシステムのための有効な代替を欠いた状態でやるのは無責任であり、私たちみんなが享受しているフリーでオープンなウェブにとって有害ですらあります」。

なお、FLoCや、Googleが主導するその他のプライバシーサンドボックスの企画はまだ開発途上である。同社によると、今回は最初のトライアルから学ぶことが主眼であり、学んだことに基づいてプロジェクトを進化させていきたいという。

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タグ:GoogleChrome広告FLoCプライバシー

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

電光石火のウェブ体験の実現するデジタル広告技術Kargoが新パブリッシングシステム「Fabrik」

デジタル広告技術を提供するKargoは、新製品であり新事業部門となるFabrikをローンチした。

創設者でCEOのHarry Kargman(ハリー・カーグマン)氏によれば、Fabrikは現代のパブリッシャーの需要に応えてデザインされたコンテンツ管理システムであり、Kargoの広告テクノロジーと一体化されているという。

カーグマン氏はこれを「省力的パブリッシング」という、Kargoの大きなミッションと見なしているという。広告業者には無理難題のようにも聞こえるが、同社は「広告事業でのずば抜けた経験と収益力」でそこに挑んできたと彼は話す。それでも彼は「まだ足りない」と感じていた。

特にカーグマン氏の気がかり、多くのウェブサイトが「重すぎる」ために、読み込みが非常に遅いことだ(それを証明するために、彼はTechCrunchのホームページを読み込んでみせた。たしかに、私が思っていたより遅かった)。それが読者を逃がす原因となり、Google検索のランキングを落とすという困った結果をもたらす。

そこでFabrikは「電光石火」のウェブ体験の実現を目標とした。これはOK Magazin(オーケー・マガジン)のサイトを開いてみればわかる(編集部注:日本では閲覧不可)。Fabrikの話では、このスピードはサードパーティーのトラッカーとプラグインの必要性を排除することで達成されているとのことだ。実際、カーグマン氏は、プラグインは「インターネットの死」だと説明している。彼はよくパブリッシャーにこう尋ねるそうだ。「お金を儲けたいのか、それとも大量のプラグインを集めたいのか?」。

「私たちはGoogleのベストプラクティスとCore Web Vitals(コアウェブバイタル)を指標にしています」と、COOのMichael Shaughnessy(マイケル・ショーネシー)氏は説明する。「速度を低下させる恐れのあるアイテムをどう読み込むかに、私たちの高度な戦略があります」。

このローンチは、多くのパブリッシャーが、サブスクリプションやメンバーシップといった、広告を超えたビジネスモデルを模索している時期と重なった。それらの取り組みにもFabrikは補完的に貢献するとショーネシー氏は主張している。なぜならそれは「基礎を簡素化する」からであり、結果としてマンパワーを新たな商業活動に振り向けることができるからだ。

広告面としては、カーグマン氏はこう話す。「私たちは自社のアドテックを、Kargoを使わない理由は考えられないというかたちでFabrikに直接組み込んだと自負しています。とはいえ、排他的にKargoだけを使うようなことは決して要求しません。私たちが望むのは、ブランデッドエンターテインメントをカットし、自分たちが本当にやりたいことだけができるようにして、パブリッシャーが自身のサイトで収益を上げられるようにすることです」。

前述のとおり、FabrikはKargo傘下の独立した事業部門として分離される予定だ。Fabrikは独自の顧客とCEOを抱くことになる。現在、カーグマン氏はその候補者と話をしている最中であり「発表には時期尚早」とのことだ。

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タグ:KargoFabrik広告

画像クレジット:Fabrik

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(文:Anthony Ha、翻訳:金井哲夫)

フランスの競争委員会がアップルのプライバシー保護施策に対する阻止要求を却下

Apple(アップル)は、サードパーティのアプリケーションがユーザーを追跡する前にユーザーの同意を得ることを義務づけるiOSのプライバシー保護施策の導入を予定しているが、これを競争法に違反すると申し立て、阻止しようとしていたフランスの広告業界による企てを回避した。

フランスの競争委員会(FCA)は現地時間3月17日、アップルの動きを阻止するために先手を打って介入するよう求めるIAB France、MMAF、SRI、UDECAMの申し立てを拒否したと発表した。App Tracking Transparency(ATT)機能の導入が、同社による支配的地位の乱用であるとは現時点では考えていないと述べた。

しかし同委員会は「本案に基づいて」アップルの調査を継続すると述べ、同社が自社のアプリにサードパーティーの開発者よりも制限の少ないルールを適用してるのではないかという疑いについて確認するとしている。

Reuters(ロイター)によると、フランス競争委員会は同国のプライバシー監視機関であるCNILと緊密に連携し、ATTの停止要求を却下したとのこと。

CNILにコメントを求めているところだ。

アップルの広報担当者は以下のように語った。

「iOS 14で導入するApp Tracking Transparencyが、フランスのiOSユーザーの利益になると認めてくれたフランス競争委員会に感謝しています。ATTは、アプリ開発者が広告目的で他社とデータを共有したり、データブローカーとデータを共有したりする前に、ユーザーの許可を得るように義務づけることで、ユーザーに強力なプライバシー保護上の利点をもたらします。私たちは、ユーザーのデータはユーザーのものであり、そのデータがいつ、誰と共有されるかはユーザーが管理すべきであると確信しています。当社は、ユーザーのプライバシーと競争に関するこの重要な問題について、FCAとのさらなる協力を期待しています」。

アップルは2021年1月、同年の春よりiOSにATTを適用すると発表した。

関連記事:アップルのApp Tracking Transparency機能はデフォルトで有効に、早春にiOSで実装

その後、フランスのスタートアップのロビー団体であるFrance Digitale(フランス・デジタル)が、同国のプライバシー監視機関に苦情を申し立て、アップルがプライバシーに関する「偽善的」行動を取っていると非難した。

関連記事:アップルのプライバシー対策にフランスのスタートアップのロビー団体が苦情

この苦情も同様に競争上の問題を提起している。アップルは、サードパーティのアプリケーションがiOSユーザーを追跡する前に同意を得ることを義務づけるのに対し、自身のアプリケーションについてはiOSのデフォルト設定で追跡を許可するようになっているというのだ。しかしアップルは、この申し立てを「まったくの誤り」とし、ATTは「アップルを含むすべての開発者に等しく適用される」と述べた。

デフォルトで「許可しない」ようになっているiOSのATT設定は、Facebook(フェイスブック)のようなアドテクノロジー企業には非常に不評で、それらの企業は開発者のアプリの収益化に悪影響を与えると主張している。また、フェイスブックは、アップルの動きが自社の収益を著しく低下させるであろうことも認めている。

関連記事:Facebookは2021年のターゲティング広告と収入に大きな障害を予測する

一方、アップルはこれを、アドテック業界のヒステリーと間違った主張であると非難し、インターネットユーザーに忍び寄って個人情報を搾取し、利益のために人々を操ろうとする「データ産業複合体」を糾弾し続けている。

アップルが自社アプリでiOSユーザーにパーソナライズされた広告を提供できることは事実だが「パーソナライズされた広告のための限定的なファーストパーティデータの使用」と称して、ユーザーにそのオプトアウトを許可しているため、アドテック業界のデータ産業複合体よりも「高い基準」を保っていると同社は主張し、その機能が「当社を一線を画したものにしている」と強調している。

Google(グーグル)に関しても最近同じような動きがあった。2020年末に英国では、Googleが同社のChrome(クローム)ブラウザで、ユーザーがサードパーティーから追跡される方法を変更するのを阻止しようと、競争法違反の申し立てが行われた。

Googleのいわゆる「Privacy Sandbox(プライバシー・サンドボックス)」計画は、広告主からも非常に嫌われている。広告主は、Googleがユーザーを追跡する機能を廃止しながら、自らは追跡を続けることで、支配的な立場を乱用していると非難している。

関連記事:Googleはウェブのプライバシーとフィンガープリントの新たな対策を提案

同時に、アドテクノロジー業界では、ウェブユーザーの行動を追跡する代替手段を考案するためのさまざまな取り組みが行われている。これは、市場で圧倒的なシェアを占めているChromeで、近い将来サードパーティcookieのサポートが廃止されるという見通しによって加速している。

英国の競争・市場庁は1月、プライバシーサンドボックスに関する多くの苦情を受けて、Googleによる競争法違反の疑いについて調査していると発表した。

この調査は現在も続いている。

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タグ:Appleフランス広告iOSiOS 14プライバシー

画像クレジット:Apple (livestream)

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、第三者と多くの個人データ共有

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、広告主と最も多くの個人データ共有

SOPA Images via Getty Images

アップルは2020年末から新規およびアップデートするApp Storeアプリに、収集しているプライバシー情報(プライバシーラベル)の表示を義務づけています。FacebookGoogleなどは何らかの事情から遅れていましたが、ようやくトップアプリのほとんどが表示を実装しています。

そのプライバシーラベルに基づいて、スイスのクラウドストレージ企業pCloudがユーザーから最も多くの個人データを集めて第三者と共有する「侵略的な」アプリのランキングを発表し、InstagramとFacebookの2つがトップに位置づけられました。

InstagramとFacebookアプリはサードパーティ広告主(第三者)と最も多くのデータを共有しており、購入や位置情報、連絡先の詳細やユーザーコンテンツ、検索履歴から閲覧履歴まであらゆる情報を対象にしているとのこと。その事実は別のメディアが確認しており、両アプリを運営するFacebookのプライバシーに配慮の薄い印象から言っても全く意外ではありません。

フェイスブックとインスタグラムが「最も個人情報をかき集めるアプリ」トップに、広告主と多くの個人データ共有

pCloud

しかしInstagramは個人データの79%を収集し、Facebookは57%と数値化されると、やはり圧倒的ではあります。それに続くのはビジネスSNSのLinkedInとUber EATSで50%と並んでいます。また本調査はGoogleがGoogle検索アプリとChromeのプライバシーラベルを公開する前に行われましたが、それでもYouTubeとYouTubeMusicも43%を叩き出してトップ10入りを果たしています。

第三者との個人データの共有とは、たとえばYouTubeが動画を検索するたびにデータがアプリ外に送信され、他のSNSで個人をターゲットにしている業者などに販売されるということです。特にpCloudは、月間アクティブユーザー数が10億人を超えるInstagramが自覚のない人々のデータを大量に共有するハブ化していることに懸念を示しています。

かたや、ほとんど個人データを集めていないアプリの顔ぶれはSignalやClubhouse、NetflixやShazam、SkypeやTelegramといったところです。インストール時に「連絡先をぜんぶ吸い上げる」仕様を廃止したばかりのClubhouseですが、ログイン後の挙動はプライバシー重視だった模様です。

(Source:pCloud、via:MacRumorsEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:広告 / アドテック(用語)Instagram / インスタグラム(企業)広告業界(用語)Google / グーグル(企業)SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)Facebook / フェイスブック(企業)プライバシー(用語)

アップルのプライバシー対策にフランスのスタートアップのロビー団体が苦情

Apple(アップル)は欧州でまたもやプライバシーに関する苦情に直面している。スタートアップのロビー団体であるFrance Digitale(フランスデジタル)は、EUの規則に違反している疑いについて、同国のデータ保護監視機関調査を依頼した。

Politico(ポリティコ)が報じたこの苦情は、EUのプライバシー保護活動団体「noyb」が2020年、ドイツとスペインで訴えた2つの苦情に続くものだ。

これらの苦情はすべて、(直接および間接的に)Appleの「IDFA」と呼ばれる広告主のためのモバイルデバイス識別子を標的にしている。noybはAppleがその独自の識別子(その目的は、名前が示すように、広告ターゲティングのためにデバイスの追跡を有効化すること)をデバイスに割り当てる前に、ユーザーから同意を得るべきだったと主張している。

一方、France Digitaleによる訴えは、近々行われるAppleのプライバシーポリシー変更が、競争を阻害するという懸念を提起するものだ。この変更が実施されれば、サードパーティーのアプリ開発者は、ユーザーに追跡の許可を得なければならなくなるが、それと対照的に、Appleがユーザーを追跡することができるiOSの「パーソナライズされた広告」設定は、初期状態で有効になっていることをFrance Digitaleは指摘している。

関連記事:アップルのフェデリギ氏はユーザーデータ保護強化でのアドテック業界との対決姿勢を鮮明に

初期状態では、EUの法規(GDPR、EU一般データ保護規則)で求める要件に反しているのではないかと、France Digitaleは提言しているわけだ。

France Digitaleの苦情はまた、Appleが広告ターゲティングに利用するデータアクセスのレベルについての疑問も浮かび上がらせた。Appleは、提供されているiOSユーザーのデータは「一般的なデータ(出生年、性別、場所)」だけで、完全なターゲティングデータではないと述べている。

訴状に対応する声明の中で、Appleの広報担当者は次のように述べている。

この訴状における主張は、明らかに事実に反しており、ユーザーを追跡している人たちが、自分たちの行動から目をそらし、規制当局や政策立案者を誤解させようとする粗末な企てのように思われます。

ユーザーのための透明性と規制は、当社のプライバシー哲学の基本的な柱であり、Appleを含むすべての開発者に、等しく「AppTrackingTransparency(アプリのユーザー追跡の透明性)」を適用するようにしたのはそのためです。プライバシーは我々がプラットフォーム上で販売する広告に組み込まれており、ユーザーを追跡することはありません。

パーソナライズ広告のためのデータの使用は、ファーストパーティであるAppleに限定されており、ユーザーがこれをオフにすることができるようにすることで、より高い基準を維持しています。

CNIL(フランスの「情報処理と自由に関する国家委員会」)にも、この訴えについてコメントを求めているところだ。

今回のAppleに対するIDFA関連の苦情は、プライバシー保護団体によるものではなく、スタートアップのロビー団体からのものという点で少々珍しい。

しかし、サードパーティーのトラッキングをiOSユーザーが許可する必要があるように(「許可しない」を選ぶことができるようにしたのではなく)変更したAppleの決定が、強い反発を招いていることは明らかだ(この動きは、2020年フランスでパブリッシャーのロビー団体が不公正な競争を訴える事態にもつながった)。このあまりにも微妙な意味合いを含んだ行為によって、Appleは偽善という非難を受けている。

France Digitaleに、Appleに対してプライバシーに関する苦情を訴えた理由を尋ねると、広報担当者は次のようにTechCrunchに答えた。「スタートアップはルールに基づいて事業を行っています。世界最大のハイテク企業もそうであることを我々は期待します。競争の場に公平な規制がなければ、どんなに事業を拡大しても繁栄はないと、我々は信じています」。

「我々はCNILに法の執行を求めているに過ぎません。個人情報保護の番人は、私たちスタートアップのメンバーを常に調査しています。彼らの専門知識を、もっと大きな企業にも適用させようということです」と、彼は続けた。

同グループのCNILに対する訴えが急速に注目を集めている一方で、GDPRのワンストップショップのメカニズムの下、この問題はEU内でAppleのデータ運用を監督するアイルランドのデータ保護委員会による参照が必要だ。その後、調査するかどうかについての決定が下されることになる。

だから、この問題に何らかの迅速な規制措置が取られる可能性は低い。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleフランスGDPRデータ保護プライバシー広告

画像クレジット:Apple (livestream

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)