Astraが新規顧客であるSpaceflightの初ミッションで軌道に到達

宇宙スタートアップから今は上場企業となったAstra(アストラ)は、同社の新規顧客であるSpaceflight Inc.のためのデビューミッションで、2度目の軌道到達を果たした。

これは同ロケット打ち上げ企業にとっては大きな収穫だ。Astraは2021年11月に初めて軌道に乗ったが、それ以来、その偉業を再現できていなかった。今までは。

Astra-1ミッションは、アラスカ州のコディアック宇宙港から打ち上げられた。LV0009と名付けられたロケット3.3号機は、教科書通りの(つまり特筆すべきことのない、というのは打ち上げビジネスでは良いことだ)リフトオフとステージ分離を行った。今回の打ち上げでは、アマチュアのロケット愛好家グループであるPortland State Aerospace Society(PSAS、ポートランド州航空宇宙協会)の超小型衛星CubeSatやNearSpace Launchの衛星間通信システムなど、Spaceflightの3組の顧客のペイロードを軌道に乗せた。3番目の顧客は公表されていない。

Astra-1のミッションの飛行経路(画像クレジット:Astra)

同社は、打ち上げライブ配信の終了までに、顧客のペイロード展開を確認することはできなかった。展開が確認され次第、TechCrunchは記事を更新する。

【更新】AstraはTwitter(ツイッター)で、衛星が正常に展開されたことを確認した。

米国時間3月16日に行われた本日の打ち上げは、2025年まで続くSpaceflightとの契約における一連のミッションの最初のものであると、両社は14日に発表した。

Astraは2021年7月、SPAC合併によりNASDAQに上場し、従来のIPOプロセスを回避して株式市場へ参入する宇宙関連企業が増えている中、その仲間入りをした。その後、同社の株価は下落の一途をたどり、2月の直近の打ち上げ失敗の後、26%も下落することとなった。

同社は3月初め、失敗した打ち上げに関する予備的な事後報告を発表した。Astraのミッションマネジメント&アシュアランス担当シニアディレクターであるAndrew Griggs(アンドリュー・グリッグス)氏は、失敗の原因は、フェアリング分離機構の問題でステージ分離に異常をきたしてしまったことと、推力ベクトル制御システムのソフトウェアに問題があったことの2点であると述べていた。

「絶え間ないイテレーションと広範なテストを通じ行った変更により、LV0008で発生した不具合は解消され、ソフトウェア群はより安定しました」と同氏は述べた。

Astraには大きな計画がある。同社は2021年、投資家らに対して、2023年までに週1回、さらに2020年代半ばまでに1日1回の打ち上げを行うことを目標としていると語っている。

打ち上げの様子はこちらでご覧いただける。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Den Nakano)

スペースXがさらに47基のスターリンク衛星打ち上げに成功

SpaceX(スペースX)は2022年に、過去のどの年よりも多くのロケットを打ち上げることを目指している。米国時間3月3日にStarlink(スターリンク)の打ち上げを成功させたことは、その目標達成に向けて順調に進んでいることを示している。

今回のStarlink 4-9ミッションは、米国東部標準時の午前9時25分にフロリダ州にあるケネディ宇宙センターの39A発射施設から打ち上げられた。これは、同社が2022年打ち上げを予定している52回のミッションのうち、9回目にあたる。この1週間に1回という驚異的なペースは、SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOが力を入れている「迅速な再利用性」によるものだ。

今回のミッションでは「B1060」とナンバリングされたFalcon 9(ファルコン9)ブースター(1段目ロケット)が使われた。B1060は打ち上げから約9分後に、大西洋に浮かぶ「Just Read the Instructions(説明書を読め)」と名付けられた無人のドローン船に着地した。今回の打ち上げと着陸の成功により、B1060は2020年6月の初打ち上げ以来、SpaceXのロケット再利用回数で最多タイとなる11回の飛行を完了した。

B1060は今回、47基のStarlink衛星を軌道に乗せ、地球を周回している他の2000基を超える第一世代衛星群に加えることに成功した。これらの衛星コンステレーションは、地球の遠隔地にも高速・低遅延のインターネット接続サービスを提供することを目的としている。Starlinkの衛星は、現時点で1万2000基まで拡張することが承認されているが、SpaceXはさらに3万基の打ち上げを申請している。

4-9ミッションは、SpaceXによる2022年6回目のStarlinkの打ち上げだが、そのすべてのミッションが完全に成功したわけではない。2月3日の打ち上げでは、49基のStarlink衛星が打ち上げられたが、そのうち38基が地磁気嵐のために目的の軌道に到達できず、地球の大気圏に再突入した際に燃え尽きてしまった。SpaceXでは、この問題は大きな後退ではないと主張している。

同社は2月22日、Starlinkの持続可能性と安全性について発表した声明の中で「当社には1週間に最大45基の衛星を製造する能力があり、1カ月で最大240基の衛星を打ち上げています」と述べている。

というわけで、SpaceXによる次のStarlinkの打ち上げは、3月8日にケープカナベラル宇宙軍基地の第40発射施設でから予定されている。

画像クレジット:SpaceX / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Stefanie Waldek、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

打ち上げオペレーションを軸に宇宙事業を近代化するEpsilon3が約3.2億円のシード資金を調達

数億ドル(数百億円)のミッションを抱えているのに、なぜ90年代に作られたソフトウェアを使ってそれを設計し、打ち上げているのだろうか?それは多くの新規宇宙企業が問うている問題であり、Epsilon3(エプシロンスリー)は、こうした企業のオペレーションを、スプレッドシートやWord文書から現代的で協調的な作業プラットフォームへと導く手助けをしようとしている。

TechCrunchは2021年、Epsilon3がデビューしたときに記事にしていた。それ以来同社は、打ち上げオペレーション用のOSをプロトタイプからプロダクトへと移行し、顧客と契約することに熱心に取り組んできており、現在ではその数は数十社になっている。そしてこのたび、プレシードで280万ドル(約3億2000万円)を調達した。

関連記事:ロケット打ち上げ用OSを元SpaceXエンジニアの企業Epsilon3が開発

「2021年は、初期の顧客にMVP(実用最小限の製品)を提供することに尽力していました」とEpsilon3の共同創業者でCEOのLaura Crabtree(ローラ・クラブツリー)氏は語っている。「新規のプラットフォームに乗り出すことをためらう人もいましたが、新しいやり方に適応しようとする意欲が感じられたことは、うれしい驚きでした」。

同社はまた、Y Combinator(Yコンビネーター)の2021年夏のコホートの一環として、自らの適応プロセスにも時間を費やした。

「私は航空宇宙の出身ですので、顧客のことは理解しています」と、SpaceX(スペースX)とNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)で働いた経験を有するクラブツリー氏は語る。「ビジネスの構築とその運営方法について学ぶために、YCに参加しました。自社が構築したいと考えるものから顧客が必要とするものへと移行し、構築すべきことの優先順位を設定するプロセスを開始することにおいて、YCの支援は大変有益なものでした」。

Epsilon3のプラットフォームは元来、打ち上げや衛星の継続的なオペレーションを行うための近代的手段として意図されていたが、それ以上の用途があることが、初期の顧客からも示されていた。

「このソフトウェアがさまざまな業界で幅広いユースケースを生み出していることに驚いています」と同社のCOOであるMax Mednik(マックス・メドニック)氏はいう。「実際に多くの顧客が、新しいハードウェアや統合、テスト手順のために当社のソフトウェアを使用しています。こうした企業は、チームが成長し、野心的な目標を達成しようとしているときに、WordやConfluence、Wikipediaを使ってもうまくいかないと感じているのです」。

画像クレジット:Epsilon3

「【略】のように、情報へのリンクが付いた巨大なスプレッドシートや、すべてのファイルが保存された共有ドライブ上の巨大なフォルダでなんとかやっていくことはできますし、当社が支援している一部の企業もそのようにしています。しかし、間違いを犯しやすいのです」と同氏は続けた。「何かをテストする際にデータを書き出したり、過去のすべての実行にアクセスしたり、監査履歴を保持したりすることが頻繁にあるような状況では、他のツールはうまく機能しません。同じデータのコピーを何百万も保持することになります。何らかの問題が発生した場合、膨大な時間を失う可能性があります」。

Epsilon3は、テスト中にデータを追跡して記録するライブテレメトリ用のAPIを有しており、等しく堅牢でありながら脆弱さが少ないテスト方法を実現している。また、多重オペレーターのサインオフなどの機能も備えており、これは複数の人がデータポイントやフローをチェックして検証する必要がある航空宇宙や防衛産業では必須の要件といえよう。

他のサービスやプラットフォームを統合することも、ユーザーフレンドリーであるためには重要である。全体として、宇宙関連事業の開発用ソフトウェアプラットフォームであるFirst Resonance(ファースト・レゾナンス)に似ているように聞こえるかもしれない。これらの企業は、軌道上に乗る資産の構築と打ち上げという、長く複雑なプロセスの異なる部分にそれぞれ適合しているため、競争相手ではなく仲間であることは理に適っている。

画像クレジット:Epsilon3

「私たちは(First Resonanceと)データのやり取りについてすでに話をしています」とクラブツリー氏。「彼らは設計とハードウェア部分に、私たちはその後のテストとオペレーションに関わっていますので、ユーザーにそのループバックを提供できればと思っています。他のツールからのデータ統合に向けた足がかりを築きたいと考えており、そこに生まれる大きな付加価値を見据えています」。

「多くの人がより充実した自動化サポート、そしてJiraのようなツールやインフラ、メトリクス、分析用の統合を求めています。当社のAPIの隣にネイティブ統合を構築することで、相互運用が可能になります」とメドニック氏は付け加えた。

同社にはまだやるべきことが数多くあるが、顧客はすでに手に入れているものに喜んでお金を支払っているようである。メドニック氏によると、同社は2021年からARR(年間経常収益)を50倍に拡大し、顧客数も3倍以上になったという。その中にはFirefly(ファイアフライ)、Astrobotic(アストロボティック)、OrbitFab(オービットファブ)、Venus(ヴィーナス)、Gilmour Space(ギルモア・スペース)、Stoke Space(ストーク・スペース)、その他まだ公表されていない企業も含まれている。

像クレジット:Epsilon3

「インフラサイドでは多くのレベルアップがなされました」と同氏は振り返る。「これほど大勢の人たちとテストしたことがあるだろうか、という感じでした。そう、私たちはベストを尽くしました。順調にいったと思います」。

「それ以上のものでしたよ、マックス。成功裏に進んだと思います」とクラブツリー氏は応じた。

「本当に、すばらしい成果が得られました」。

今回の資金調達の焦点は、プロダクトとチームの拡張を継続することに置かれている。同社は当初の3人の創業者チーム(Aaron Sullivan[アーロン・サリバン]氏が共同創業者兼チーフエンジニア)から計21人に成長した。まだ規模は小さいが、このようなスタートアップにとっては「ガレージ」段階をはるかに超えている。

280万ドルのシードラウンドには、プレシード投資家のStage Venture Partners(ステージ・ベンチャー・パートナーズ)とMaC Venture Capital(マック・ベンチャー・キャピタル)の他に、新たな投資家としてLux Capital(ラックス・キャピタル)、Village Global(ヴィレッジ・グローバル)、Y Combinator、Pioneer Fund(パイオニア・ファンド)、Soma Capital(ソマ・キャピタル)、Broom Ventures(ブルーム・ベンチャーズ)が参加した。

画像クレジット:Epsilon3

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

Astra、フロリダからの初ロケット打ち上げに失敗

Astra(アストラ)は米国時間2月10日、フロリダ州の「スペースコースト」から初となるロケットの打ち上げを行った。これは当初、2月7日に予定されていたが、技術的な問題で中止されていた。二度目の試みとなった今回、ケープカナベラル宇宙軍基地のスペースローンチコンプレックス46から打ち上げられたロケットは、発射台を離れたものの、残念ながらペイロードは軌道に乗らなかった。

同社によると、ロケットは飛行中に問題が発生し、ペイロードを目的地に届ける機会が得られなかったという。これはロケットに積まれていたNASAの4基のCubeSat(キューブサット)が失われたことを意味する。NASAのLaunch Services Program(ローンチ・サービス・プログラム)に基づきこの契約を獲得したAstraは、小型のペイロードを宇宙に届ける低コストの軽負荷ロケットという代替手段の有効性を示すことを目標としていた。

本日の飛行中に問題が発生し、ペイロードを軌道上に届けられなくなってしまいました。

お客様であるNASAおよび小型衛星チームのみなさまに深くお詫び申し上げます。より詳細な情報は、データの確認が完了した後にお知らせします。

Astra

Astraによる打ち上げライブ中継では、ロケットのメインエンジンが切り離され、ブースターと上段が分離した直後に、何か問題が発生したように見えた。上段が制御不能な状態で転回しているように見えたが、その後、映像は切断された。

Astraのアプローチは、スピードと効率を重視し、業界の競合他社よりも大量に小型ロケットを生産することに重点を置いている。以前、AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、より低コストのアプローチには、トレードオフとして競合他社よりも高い故障率を負う可能性があることを十分に認識しており、そのことはビジネスモデルに織り込み済みであると、TechCrunchの取材に対してコメントしている

しかし、これでAstraは、比較的近い時期に二度の失敗を経験したことになり、いずれもSPAC(特別買収目的会社)合併によってニューヨーク証券取引所に上場した後に起きている。前回の失敗は2021年8月、同社の最初の公式な商業打ち上げ(米国宇宙軍のためのテストペイロード輸送)で問題が発生し、軌道に到達することができなかった。しかし、Astraはそれから3カ月後の11月、商業ペイロードの軌道投入に成功している。

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画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スペースX、地磁気嵐でスターリンク衛星40基を失う

SpaceX(スペースX)のFalcon 9ロケットで米国時間2月3日に大気圏外に運ばれたインターネット衛星Starlink(スターリンク)のほぼすべてが、目的の軌道に達しない。SpaceXは、打ち上げの翌日に発生した地磁気嵐により衛星に深刻な影響があり、最大で40基が地球の大気圏に再突入するか、すでに突入していることを明らかにした。米地質調査所は、地磁気嵐を、一般的に太陽風の強いうねりによって引き起こされる「急激に磁場が変動する」期間と説明している

こうした嵐は、電子機器や軌道上の人工衛星にダメージを与える可能性がある。今回のケースでは、大気が暖み、大気抵抗(衛星の動きに対する摩擦)がこれまでの打ち上げに比べて最大で50%増えた。SpaceXの説明によると、Starlinkチームは、新たに配備された衛星を救おうと、抵抗を最小限に抑えるためにセーフモード(紙のように飛ぶよう動きを調整するモード)にした。しかし、抵抗が増し、セーフモードを終了できなくなった。

軌道から外れた衛星は衝突の危険はなく、大気圏に再突入する際に完全に燃え尽き、軌道上のデブリも発生しない、とSpaceXは説明している。また、衛星の部品が地上に落下することもない見込みだ。「この特殊な状況は、Starlinkのチームが、軌道上のデブリ軽減の最先端を行くシステムを確実なものにするために、多大な努力を払ってきたことを示しています」と同社は発表文に書いている。

SpaceXは2022年1月時点で、第1世代のStarlink衛星を2000基以上打ち上げている。Starlink衛星をペイロードとする打ち上げは、同社にとって日常的なものとなっていて、世界をカバーするインターネット提供を目的とした最大3万個の衛星からなる第2のコンステレーション形成が承認されれば、さらに頻繁に行われるようになるはずだ。

Starlinkは遠隔地にいる人々にもインターネット接続を提供することができるが、天文学者たちは、巨大なコンステレーションは都市の光害よりも研究にとって深刻な脅威になっているという。実際、国際天文学連合は「衛星コンステレーションの干渉から暗くて静かな空を守るためのセンター」を設立したばかりだ。望遠鏡が衛星コンステレーションによって反射された光を拾い、宇宙の観測を困難にすることが大きな問題であるため、センターは観測所が実行できるソフトウェアや技術的な緩和策に焦点を当てることにしている。SpaceXは2020年にStarlink衛星に「サンシェード」を追加し、明るさを抑えている。Sky & Telescopeによると、現在は確かに暗く見えるが、望遠鏡ではまだ見えるという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Starlink

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

Astraが2022年1月に初めてフロリダ州ケープカナベラルからロケットの打ち上げを行うと発表

Astra(アストラ)はこれまで、初期のロケット数機をアラスカ州コディアックで打ち上げてきたが、今後は打ち上げ場所を拡大する予定だ。同社は米国時間12月6日朝、クライアントであるNASAから請け負ったミッションを、2022年1月にフロリダ州のケープ・カナベラルから打ち上げると発表した

この打ち上げは、ケープ・カナベラル宇宙軍基地の広大な敷地内にあるSpace Launch Complex 46 (スペース・ローンチ・コンプレックス46)で行われる予定だ。この施設は、かつてミサイル試験用基地として使われていたが、しばらく使用が停止されていた後、1997年に商業宇宙事業のために再開された。以降は2019年に実施された直近のミッションまで、散発的に使用されている。

Astraが計画している打ち上げは、同社にとってだけでなく、米国からの打ち上げに尽力している米宇宙軍のSpace Launch Delta 45(第45宇宙航空団)にとっても大きな価値がある。これまでの宇宙開発では、打ち上げに必要な承認には数年を要していたが、今回のミッションはわずか「数カ月」で承認を得ることができた。

Astraにとっては、打ち上げのために利用可能な選択肢が増えることになり、顧客のペイロードを届ける軌道の幅を広げるという意味でも重要だ。また、フロリダという土地は歴史的に天候が比較的安定していることもあり、打ち上げ場所として人気が高い。

Astraのコアバリュープロポジションの1つは、ロケットが小型であり、現場における打ち上げ業務に必要な装備も軽量であるため、最小限の人員と準備だけでさまざまな場所から効果的に打ち上げを展開できることだ。ゆえに、それを証明するためにも、打ち上げ場所を多様化することは重要になる。

AstraのBenjamin Lyon(ベンジャミン・リオン)氏とKelyn Brannon(ケリン・ブラノン)氏は、来週の「TC Sessions:Space 2021」に講演者として参加する予定なので、2022年の計画についてはそこでより詳しく知ることができるだろう。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

初の軌道打ち上げに成功したAstraが新型ロケットの試験に向けて本格的に動き出す

ロケット開発スタートアップから株式公開企業となったAstra Space(アストラ・スペース)は、米国時間11月19日の夜、同社初の軌道打ち上げに成功。11月22日朝に株式市場が開くと、株価が42%も急上昇した。しかし、本当の仕事が始まるのはこれからだ。商業運行の開始を目指す同社は、2022年の飛行試験に向けて新しい仕様のロケットを準備している。

アラスカ州コディアックのPacific Spaceport Complex(パシフィック・スペースポート・コンプレックス)から打ち上げられた「Rocket 3.3(ロケット3.3)」または「LV0007」ロケットは、米国宇宙軍の宇宙試験プログラムの一環であるペイロード輸送に成功した。これはAstraにとって、軌道に到達したごく少数の民間企業の仲間入りを果たす大きな躍進だ。

関連記事:小型ロケット専門のAstraが前回の失敗を乗り越え初の軌道到達に成功

「これは本当に難しく、1つ間違えるだけですべてが上手くいきません」と、Chris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、米国時間11月22日の会見で記者たちに語った。

Astraでは、機敏かつ反復的なアプローチでテストを行っており、打ち上げ用ロケット(シリアルナンバーによる命名規則がある)を迅速に製造し、比較的短期間で試験飛行を実施している。その結果、最近の「LV0006」の飛行試験では、エンジンの異常により高度約50kmに到達する前にロケットが横に流れてしまうなどの失敗も経験している。

「多くのことは、実際に飛行している状態でないとテストするのが非常に難しいのです」と、ケンプ氏は説明する。「この反復アプローチにより、私たちは記録的な速さで(軌道打ち上げを)達成できました。他の方法では、このスケジュールで達成できなかったと思います」。

今回の打ち上げに向けて、Astraではフライトシミュレーションからではなく、同社が打ち上げ施設を構えるアラスカ州コディアックの氷点下の自然環境から、多くの有益なデータを得たと、チーフエンジニアのBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は語っている。

「このような氷点下の環境で運用したことは、今まで一度もありませんでした」と、ケンプ氏は付け加えた。

2人の幹部は、次のRocket 3.3である「LV0008」が打ち上げ可能な状態に近づいていることを認めたが、打ち上げを行う日時や場所などの詳細については、今後発表すると述べるに留まった。

しかし、LV0007の打ち上げが支障なく行われたため、今後の3.3バージョンの変更にはこれ以上あまり力を注がないだろうと、ケンプ氏は述べている。代わりに、Rocket 3.3で運べる50kgのペイロード容量よりも重いペイロードを搭載可能な新バージョン「Rocket 4.0」に集中するという。同社は2022年に、Rocket 4.0の試験飛行を開始する予定だ。

Astraが目指しているのは、この小型ロケットシステムを使って、ゆくゆくは毎日宇宙への打ち上げを行うことである。この目標が最終的に達成できるかどうかはまだわからないが、ケンプ氏によると打ち上げの需要は時が経つに連れて増す一方であるという。

「Astraが上場して以来、宇宙技術企業と呼ばれる会社が10社以上も上場しています」と、ケンプ氏は語る。「これによって各社は、宇宙船や衛星のさらなる開発や反復設計を行うためのリソースが得られます。ここ2、3年で見てきたように、需要は今後も増え続けることが予想されます。そこでAstraは間違いなく、正確なスケジュールで正確な軌道にペイロードを届けることができるようになる立場にあると思います」。

軌道到達。✅Astraは、太平洋標準時2021年11月19日(金)深夜、米国宇宙軍のための最初の商業軌道打ち上げを成功させました。

画像クレジット:John Kraus / Astra

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NASAのリアル「アルマゲドン」ミッション、小惑星軌道変更「DART」が11月24日13時すぎに打ち上げ

NASA(米国航空宇宙局)にとって、ここ数年で最も刺激的で風変わりなミッションであるDouble Asteroid Redirection Test(DART、二重小惑星方向転換試験)は、地球から数百万km離れたところからやってくる巨大隕石に衝突し方向転換させるべく米国時間11月23日夜(日本時間11月24日13時すぎ)に打ち上げられる。飛行の様子はライブで見ることができるが、実際に大衝突が起きるまでにはしばらく時間がかかる。

関連記事:NASAが「アルマゲドン」のような小惑星軌道変更ミッションの打ち上げを11月23日に予定

DARTは、宇宙を旅する生物にとって、飛来する小惑星の経路を意図的に変える初めての試みだ。心配はいらない、今回のケースは我らの貴重な惑星に危害を加えるものではく、将来そんな危機が訪れた時に必要となる介入の理想的な実験台だ。

「惑星防衛組織はこの問題に、実際、数十年にわたって取り組んできました」とNASAのThomas Zurbuchen(トーマス・ザブーケン)科学局長が説明した。「一連のツールを合体させるときがきました。このミッションはあらゆる利害関係者にとってますます重要になっています。本プログラムへの支持が高まったのはわずかこの5年間に過ぎません。そして、標的はその5年以上前から存在しています。地上から成功を見届けることができるこの完璧な機会について人々は語り合っています。追加調査は必要ありません」。

問題の小惑星は、太陽系を新婚カップルのように旅する二重小惑星の小さい方だ。大きい方の小惑星Didymos(ディディモス)は直径約780mで惑星キラーというわけではないが、近所に落ちてほしくないことに変わりはない。そしてディディモスを周回しているのが今回の標的、Dimorphos(ディモルフォス)で、長辺170mほどのピーナツ型をしている。ちょうど自由の女神がボルダリングするくらいの大きさだ。

DARTがやろうとしているのは、ディモルフォスがディディモスの向こう側から回ってきたその時を狙って飛んで行き、できる限り強く衝突することだ。宇宙船は質量約550 kg で、新しいイオンエンジンが秒速約6.6kmという目から涙が出るような(宇宙船に目があって空気があったとすれば)速度で飛ぶことを考えると、相当に強い衝突だ(衝撃の大きさを計算するのは専門家にまかせておく)。

ディモルフォスの軌道が衝突後にどう変わるかを表す模式図(画像クレジット:NASA/JHUAPL)

ディモルフォスが爆発して当たり一面に破片を飛ばすようなことはない。むしろその正反対で、影響はほとんど目に見えない。しかし、衝撃はディディモスを周回する軌道周期にわずかな影響を与え、速度を落とし、強力な望遠鏡で観察できる程度に周期を拡大する。この変化を観察することによって、科学者らは対象物の質量を知り、重い物体に別の物体を衝突させるこの精緻な技術がどれほど効果的だったかを知ることができる。

ロケットに搭載される前の防護壁の中にいるDART(画像クレジット:NASA/Johns Hopkins APL/Ed Whitman)

それがわかれば、将来たとえば2倍の大きさの小惑星が衝突コースに現れたとき、何が必要になるかを情報に基づいて判断することができる。「この」大きさの力を「この」角度で「この」時間と距離(できる限り遠く、とメンバーの1人が私にいった)から加えることで、地球に衝突しないために必要なだけ惑星の方向を変えられる。DARTはこうした惑星防衛技術の基盤となるだろう。できれば必要にならないことを願うが、石油掘削員を集めて土壇場で小惑星を爆発させるよりも、準備を整えておいたほうがいいことには誰も異論はない。これは、TechCrunchの貴重な年長読者を掴んでおくための「アルマゲドン」への言及だ。

「私たちが今回本当にやりたいのは、迫りくる脅威のサイズに応じてインパクター(衝突体)のサイズを決める方法を知ることです。高い精度をもった衝突体モデルが必要なのです」とザブーケン氏は言った。1回のミッションでは足りないかもしれないし、次の衝突ミッションの計画はまだないが「別のタイプの小惑星に向けた追跡試験が計画されることは容易に想像できます」と同氏は語った。

衝突は比較的小さいかもしれないが、それでもワクワクする。そのために、NASAは衝突前にDARTから分離されるキューブサット、LICACube(リシアキューブ)を送り込んで近くから観察し、宇宙の山にアタックするところのデータと大衆受けするビデオを記録する。それは一陣の埃か瓦礫かソーラーパネルの破片のようなものかもしれないが、見るまでわからない。小惑星には何かが暮らしているかもしれない。もしそうであっても、1094万kmの彼方のことなので差し迫った危険はない。いずれにせよ、小惑星に宇宙船をぶつけるところをカメラに収め「ない」ことなど想像できない。

「これはリスクも衝撃も大きい探査です」とザブーケンしがキューブサットについて言った。キューブサットは衝突の瞬間を綿密に監視するための理想的な位置に置かれる。「これがなくても成功を確認することはできますが、あの映画を見たいんですよ、そりゃあ」。

DARTはSpaceX(スペースエックス)のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットを使って、米国太平洋標準時11月23日午後10時20分(日本時間11月24日13時20分)頃からの打ち上げ予定で、ヴァンデンバーグ空軍基地の天候は最新予報で90%良好だ。打ち上げ後、宇宙船がディモルフォスと破壊ランデブーを行うまでには1年近くかかる。衝突は2022年9月末に起こる見込みだが、正確な時間はさまざまな要因が確定するまでわからない。

打ち上げ前中継はNASA Liveで1日中行われるが、直前準備とカウントダウンは午後7時(日本時間24日正午)頃が見どころだ。こちらのリンクから見ることができる。

画像クレジット:NASA/JHUAPL

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Rocket Labは2022年にヘリコプターでElectronロケットブースターの空中キャッチを目指す

Rocket Labが3回目のブースター回収に成功したことを受けて、CEOのPeter Beck(ピーター・ベック)氏は、次のステップとして、2022年前半にヘリコプターを使ってブースターを空中でキャッチすることを目指していると語った。

Rocket Labは先に、地理空間画像衛星「BlackSky」2基を低地球軌道に運んだあとで洋上に着水したElectron打ち上げ機の第1段を回収した。そのミッションの間、同社はヘリコプターを着水領域の近くに配置したが、その目的は偵察だけだった。一貫して、同社の再利用化計画の究極の目標はブースターを空中でキャッチすることであり、それが今や近づいている。

ベック氏は米国時間11月23日の記者との電話会見で現在からそれまでの間に行われる主な作業は、ヘリコプターの準備だと述べている。空中キャッチに使われる航空機は、先の打ち上げ時に存在したものよりもかなり重く、積載量もかなり多いものになる(第1段の重量は約980kg)。

「また、非常に忙しいスケジュールの中で、フライトのスケジュールを組むことも重要な仕事のひとつです。最優先事項は、常にお客様を時間どおりにお届けすることです。それが次の課題ですが、2022年前半、もしくは可能な限り早くフライトを実現したいと考えています」。

同社は、現在から空中回収を試みるまでの間に、いくつかの商業飛行を計画しているが、これらは回収を目的としないミッションだ。Rocket Labにとって次の大きな学習のチャンスとなるのは、ブースターをキャッチして濡れていない状態で工場に戻すことができたときだとベック氏は付け加えた。

2022年に向けて、ベック氏はRocket Labにとって忙しい年になると予想している。その理由の1つは、ニュージーランドで新型コロナウイルスの規制が続いているため、2021年の同社打ち上げ回数が制限されていたからだ。来年の打ち上げ数については言及していないが、2022年はこれまでで最も忙しい年になるだろうという。

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ブルーオリジン、初の親子を含む乗客6人の宇宙飛行を12月9日に設定

Blue Origin(ブルーオリジン)は、次の有人宇宙飛行を発表した。米国時間12月9日に6人を乗せて実施する。同社が再使用可能なロケットNew Shepardとカプセルに最大定員となる乗客6人を乗せて飛行するのは今回が初めてだ。搭乗するのは、「Good Morning America(グッドモーニング・アメリカ)」の共同司会者であるMichael Strahan(マイケル・ストレイハン)氏、ロケットの名前の由来であるAlan Shepard(アラン・シェパード)氏の娘Laura Shepard Churchley(ローラ・シェパード・チャーチリー)氏、Voyager SpaceのCEOであるDylan Taylor(ディラン・テイラー)氏、Dick Holdingsの業務執行社員Evan Dick(エバン・ディック)氏、そして父子であるLane Bess(レイン・ベス)氏とCameron Bess(キャメロン・ベス)氏だ。

Blue Originは、有人宇宙飛行ミッションで歴史的な「初」体験を好む傾向にあるが、今回は親子が一緒に宇宙に行くのは初となる。Bess Venturesのプリンシパルで創業者のレイン・ベス氏と、コンテンツクリエイターでソフトウェア開発者であるキャメロン・ベス氏がともに搭乗する。

上段左から右へ、レイン・ベス氏、 キャメロン・ベス氏、エバン・ディック氏。下段左から右へ、ディラン・テイラー氏、ローラ・シェパード・チャーチリー氏、マイケル・ストレイハン氏

今回の有人宇宙飛行は、Blue Originにとって3回目であり、また2021年3回目のものでもある。New Shepardはこれまでに、各回とも4人が乗り込んだ有人宇宙飛行を2回実施した。最初の打ち上げにはBlue OriginとAmazonの創業者であるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏も搭乗し、10月にはWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏をはじめ、Blue OriginのAudrey Powers(オードリー・パワーズ)氏、DCVCのパートナーであるChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)氏、Medidata共同創業者であるGlen de Vries(グレン・デ・ヴリーズ)氏を宇宙に送った。デ・ヴリーズ氏は宇宙飛行の数週間後に飛行機事故で悲劇的に亡くなった。

Blue Originがこうしたペースで打ち上げを行っていることは、特に搭乗券が高価なことを考えると、ものすごいことだ。6人の搭乗となったことで、Blue Originはおそらく利益率を向上させ、その結果、この後に続く人たちにはもう少し手頃価格の座席が提供されるかもしれないが、それでも非常に贅沢なものであることは間違いない。

Blue OriginのNew Shepardは、乗客を宇宙の端まで連れて行き、準軌道上の滞在となるが、数分間の無重力状態と比類のない地球の眺めを提供する。その後、カプセルはパラシュートで減速して西テキサスの砂漠に着陸する。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

SpinLaunchが運動エネルギーを利用した発射システムで試作機の初飛行に成功

運動エネルギーを利用した宇宙への発射システムを開発しているスタートアップ企業のSpinLaunch(スピンローンチ)が、初めてプロトタイプの打ち上げに成功した。これは、7年前に設立されたこの会社にとって、実物大のシステムのテストに向けた重要なマイルストーンとなった。

このシステムのコンセプトは非常に斬新だ。SpinLaunchの基本的な考え方は、大きな真空密閉室と極超音速のテザーを使い、宇宙船を回転させて大気圏を脱出するのに十分な速度(最高時速約8000キロメートル)を得て、軌道に到達させようというもの。つまり、ロケットもロケットエンジンも使わないということだ。従来の一般的な打ち上げシステムよりも、巨大なレールガンに近いもので、宇宙飛行に対する考え方が明らかに異なる。

SpinLaunchによると、電子機器の小型化や炭素繊維などの高強度素材の進歩により、機体と小型衛星の両方とも高い重力加速度に耐えられるようになったため、このようなシステムが可能になったとのこと。

プロトタイプの打ち上げは、米国時間10月22日にニューメキシコ州のスペースポート・アメリカで行われた。今回のテストでは、実際に予定しているシステムの約3分の1の大きさ(それでも自由の女神像よりは大きい)の加速器を使って、試験機体を超音速で打ち上げることに成功しただけでなく、後のテストに再利用するために機体を回収することもできた。

2014年に設立されたSpinLaunchは、今後6〜8カ月間で約30回のサブオービタルテスト飛行を行うことを目指していると、CNBCは報じている。このスタートアップには、Airbus Ventures(エアバス・ベンチャーズ)、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、GVが出資している。

SpinLaunchは最初の軌道飛行の場所を公表していないが、同社のウェブサイトには「米国の沿岸地域」になると記されている。

画像クレジット:SpinLaunch

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

打ち上げプロバイダーSpaceflightが顧客のペイロードを初めて2つの異なる軌道に投入へ

打ち上げサービスプロバイダーのSpaceflight Inc(スペースフライト)は現地時間11月9日、顧客の宇宙機を初めて2つの異なる軌道に展開すると発表した。同社の軌道変換機Sherpaシリーズの能力を拡大する。

軌道変換機(OTV)は、衛星が軌道上の最終目的地に到達するための一般的な手段となっており、小さな宇宙開発企業は、独自の推進システムを持つためのコストや煩わしさを回避しつつ、OTVの費用を割って負担し合うことができる。これは、SpaceX(スペースX)がライドシェア・ミッション・プログラムで打ち上げ費用を企業が割り勘にできるようにしているのと同じだ。

シアトルに本社を置くSpaceflightは、化学推進システムを搭載した新型のSherpaスペースタグを使用して、この演習の実行を目指している。同社は新型機をSherpa-LTC1と呼んでおり、過去12カ月で3種類目のSherpa OTVを発表したことになる。Spaceflightは、6月にSpaceXのTransporter-2ミッションで飛行した、Sherpa-LTEという電気推進システムを搭載したSherpaタグと、2020年にデビューさせたSherpa-LTも開発した。

Sherpa-LTC1は、2022年1月にフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられる予定のSpaceX Transporter-3に乗って宇宙へ向かう。このスペースタグは、顧客の宇宙機13機を2つの軌道に乗せる予定だ。Sherpa OTVはまず9つの小型衛星を展開し、その後、低高度に移動して残りの4つのCubeSat(小型人工衛星)を展開する。

ミッションの顧客は、Capella Space、Umbra Space、Lynk Global, Inc.、Kleos Space、NASA(米航空宇宙局)、Spacemanicと提携しているチェコ航空宇宙研究センター、Space Products and Innovation (SPiN)、Portland State Aerospace Societyなどだ。

この新しいスペースタグは、Benchmark Space Systemsが開発した「環境に優しい」推進システムを使用しており、同社によれば、さまざまなサイズの宇宙機の迅速な軌道移動を可能にするという。Spaceflightの事業開発担当SVPであるGrant Bonin(グラント・ボニン)氏は「LEO(地球低軌道)での実施はほんの始まりにすぎません。これらの機能やサービスは、LEOを超えて他の軌道へのアクセス、宇宙輸送やさまざまなミッションサービスの開発において重要な役割を果たすでしょう」と話した。

Spaceflightは9月、2022年の月低空飛行ミッションで別のSherpaであるSherpa-ESをデビューさせることを発表した。

画像クレジット:Spaceflight Inc.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

iRocketとデブリ除去・衛星サービスのTurion Spaceが地球低軌道へ10回の打ち上げ契約を締結

ニューヨークに拠点を置く再利用可能ロケットのスタートアップiRocket(アイロケット)は、最初の商用顧客を獲得した。同社は米国時間11月4日、Y Combinator(YC)の卒業生であり、軌道上デブリの除去や衛星サービスのための宇宙機を開発しているTurion Spaceと複数回の打ち上げ契約を締結したと発表した。

契約条件によると、iRocketは10回の打ち上げで、Turionが開発中のDroid衛星20基を軌道に乗せる予定だ。

iRocketは、完全に再利用可能なロケットの開発を進めており、まずShockwave(ショックウェーブ)打ち上げロケットを開発し、2年後には軌道に乗せることができるようになるとしている。自律的に3DプリントされたShockwaveは、最大で約300kg(661ポンド)および1500kg(約3300ポンド)のペイロードに対応することができる。同社は、NASAのマーシャル宇宙飛行センターで、インジェクターテストやロケットエンジンテストなどのハードウェアテストを開始した。次は完全な組み立てテストだと、CEOのAsad Malik(アサド・マリク)氏はTechCrunchに語っている。

「開発は順調に進んでおり、Turionとのパートナーシップはそれを強化するものです」と同氏は語った。iRocketは、米国宇宙軍、M&J Engineering Group、VCのVillage Globalから資金提供を受けている。

再利用可能な上段を持つiRocketと、Droid宇宙機を持つTurionは、両社とも宇宙ゴミの除去に目を向けている。Droidは軌道上のゴミをロボットアームを使いドッキングして除去し、最終的には大気圏再突入で燃え尽きるよう、十分に低い軌道に引きずり込ことで、デブリを除去する。

Y Combinatorの2021年夏期コホートに参加していたTurionは、2022年10月にDroidのプロトタイプ1号機の打ち上げを目指している。同社はそのミッションのためにすでに別の打ち上げ契約を結んでいるが、どのプロバイダーを選択したかは明らかにしていない。

この最初の打ち上げでは、軌道上デブリを除去したり、衛星にサービスを提供することはできない。TurionのRyan Westerdahl(ライアン・ウェスターダール)CEOは「領域認識活動のみを行う予定です」と説明する。「私たちはこの衛星を『Just Get It Up There』と呼んでいますが、これはできるだけ早く軌道に乗せたいからです。なぜなら、当社がすべきことの大部分は、地上オペレーションを本当に強化することだからです」とも。

Turionは、YCに加えて、Soma Capital、Forward VC、Pi Campus、FoundersX Ventures、Harvard Management Company、Imagination VCからも資金提供を受けている。

ウェスターダール氏は「当社の最優先事項は、地球低軌道における持続可能な未来を築くことであり、積極的なデブリ除去はそのための大きな要素です」と述べている。

両社はまた、軌道上でのサービスに関する将来のコラボレーションの可能性についても示唆している。ウェスターダール氏は、TurionがiRocketと協力して、ロケット会社のペイロードの何分の一かで軌道上の最終デリバリーを行い、宇宙ゴミの除去と組み合わせる可能性を示唆した。

画像クレジット:Maciej Frolow/Photodisc / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

イーロン・マスク氏、Starshipロケットは「規制当局の承認があれば」来月にも最初の軌道打ち上げの準備ができると語る

SpaceX(スペースX)の「Starship(スターシップ)」ロケットは、テキサス州南東部で現在も開発が進められており、発射塔の建設や、宇宙空間に到達した際の動力源となる真空仕様の「Raptor(ラプター)」エンジンの搭載など、重要な要素に大きな進展が見られる。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、規制当局の承認が得られれば、来月にも初の軌道宇宙飛行を試みる準備ができると述べている。

SpaceXがこの試みを実施するためには、これまでテキサス州ブラウンズビル郊外の開発拠点で行ってきたStarshipのテスト飛行と同様に、米国連邦航空局(FAA)の承認が必要になる。FAAは基本的に、SpaceXが打ち上げ時に何か問題が発生しても最小限のリスクで済むように、必要な安全対策をすべて講じていることの証明を求めている。

Starbase(スターベース)発射塔が完成に近づき、初の軌道飛行に向け、StarshipとSuper Heavyブースターがスタンバイ

SPadre

すべてが順調に進めば、規制当局の承認を得た上で、来月にはStarshipの最初の軌道打上げに向けた準備が整います。

Elon Musk

この開発段階では、それも決して有り得ないというわけではない。SpaceXはすでに開発プログラムの中で、多くのStarship試作機が爆発するのを目にしてきた。だが、SpaceXのテストには、地球の大気圏内における高高度飛行テストや、制御された着陸に向けた宇宙船の降下など、いくつかの成功例もある。

SpaceXの次の大きなマイルストーンは、Starshipとブースター部分の「Super Heavy(スーパー・ヘビー)」のコンボを完全に積み重ねたバージョンを、地球の大気圏を超えて宇宙空間に飛ばすことだ。マスク氏によれば、技術的にはその準備は整っているとのことだが、FAAが最近行った打ち上げライセンス付与に関するパブリックコメントの募集が示唆するところによれば、規制当局の承認が得られるまでには1カ月以上かかる可能性もある。

先週行われたタウンホールミーティングでは、次のステップに進む前にFAAがSpaceXと一緒に検討・対処しなければならない多くの問題を、賛成派と反対派の両方が声をそろえて提起した。しかしながら、FAAはテストを目的とした一時的なライセンスを発行し、進行中の打ち上げ許可を再検討することで、これらの問題の解決を先送りする可能性もある。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)