ドイツのオンラインバンクN26がブレグジットにともない英国から離脱

ドイツのフィンテック・スタートアップであるN26は、英国での営業を取りやめる。英国でN26の銀行口座を開いている利用者は、預金を移動させ、カードの残金を使いきるかATMで引き出さなければならない。すべての口座は2020年4月15日に自動的に閉鎖される。

ヨーロッパのフィンテック企業の多くは、パスポーティングと呼ばれるEUの制度を利用している。これは、EU加盟国の銀行や金融業者に営業を許可するもので、EU加盟国全域での事業展開を可能にする。

N26は現在、ドイツ中央銀行を通してEUでの銀行免許を取得しているため、ご想像のとおり、同社は英国の銀行市場から撤退しなければならない。ブレグジットによって、パスポーティングは変更される

特に自国のパスポーティングを使って英国で営業してる欧州の企業は、そのまま英国で事業を続けるためには、新たに申請手続きに従わなければならなくなる。

「EU離脱協定に示された時期と枠組みの概要によれば、ヨーロッパの銀行免許を使った英国での営業は、やがては不可能になります」とN26は声明に書いている。英国以外のN26の利用者は、この変更の影響は受けない。

N26はまた、英国でMonzoStarling、そしてある意味でRevolutとの激しい競争にさらされているた。そのためN26には、膨大な時間と資金を投資してまで、英国で独自の銀行免許を取得して合法的に子会社を設立する気がないという見方もできる。

英国ではもう口座は開設できない。現在、口座を持っている人は、4月15日まではすべてが通常どおり利用できる。今のうちに口座を空にして、毎月発生する支払いを別の銀行に移し、あらゆる定期課金、自動引き落とし、預金も確認して他行に移す必要がある。

4月15日には、口座にアクセスできなくなり、カードは使えなくなる。自動引き落としと預金も無効になる。プレミアム定期課金の利用者の場合、N26 YouまたはN26 Metalの定期課金の利用料は3月14日をもって請求されなくなる。

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(翻訳:金井哲夫)

フランスのフリーランサー向け銀行サービス「Shine」が有償化

フランスのスタートアップ、Shineはフリーランサーに必要な唯一の業務用銀行口座になろうとしている。これまで2万5000人がサービスに登録し、最近同社は930万ドルの調達ラウンドを完了した。

Shineはフランスのフリーランサーをあらゆる段階で支援しようとしている。登録すると、フリーランサー・ステータスを得るためのペーパーワークをアプリが手伝ってくれる。その後カードと銀行情報が手に入る。

ユーザーは請求書の作成、支払いの受付、さらにはスタッフの給料支払もできる。口座の開設と基本的取引は現在は無料だが、1月21日から、利用者のステータスに応じて月額4.90~7.90ユーロの料金が発生する。

フリーランサーで収入が7万ユーロ未満(「Auto-entrepreneur/個人事業主」と呼ばれる)の人は月額4.90ユーロ、それ以外の人はもっと高い料金を支払う。これは、ほとんどの業務用銀行口座よりもまだ安い。既存ユーザーは料金を支払う必要がない。

同社は 過去にプレミアムプランに言及したが、今回は全員に同一機能を提供する単一プランだ。インディーズのライフスタイルに真剣に取り組んで多くの収入を上げるひとは、もう少し高い料金を払うことになる。

この変更に加えて、同社はいくつか新機能を開発している。近々、会計処理用にエクスポート機能が強化される。小切手の入金、口座の管理をウェブブラウザーから実行可能で、請求書作成などの機能も改善される。

ただしShineは単に機能を増やそうとしているのではない。同社はフリーランサーにとって最高の銀行取引アシスタントを作ろうとしている。管理作業に関する通知を受け取れるほか、管理業務に関するどんなことでもサポートチームに質問できる。

これは、同社のサービスに関するカスタマーサポートではない——フランスの文書業務のサポートだ。それだけでも価値あるサービスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動化によって私たちに馴染みの銀行の形態は終焉する

[著者:Jason C. Brown]
世界初の自動債務管理会社Tallyの共同創設者、CEO。

銀行の崩壊が始まった。

ほんの10年前、一般の消費者と金融業とのつながりは非常に希薄で、取り引きのある金融機関もひとつかふたつに限られ、人々はそこですべての金融上のニーズを満たしていた。しかし、銀行が行ってきた特定の業務に特化し、それを銀行よりもうまく行うフィンテック企業が現れると、保守的な金融機関は崩壊し始めた。その結果、今では一般消費者も、明確な目的のある個別のサービスを、数多くの金融機関で利用できるようになった。

フィンテック革命は、2008年の金融危機の後に始まり、既存の金融機関に対する不満が大きな追い風となって進行した。監視が厳しくなると、銀行はリスクを避けるために数多くの活動から手を引くようになり、市場に大きな空白が残った。フィンテック企業は、そうしたイノベーションを大きく欠いた業界に踏み入り、新しいアイデアを持ち込んだ。しかし、景気が回復した現在、銀行は失ったものを取り戻そうと、その空白に向けて猛烈な突進を試みている。

世に名の通った銀行は、フィンテックがもたらしたいちばん良い部分をコピーすることに懸命になっている。彼らの動きは遅く、丸々5年遅れているが、その目標は、顧客をつなぎとめておくために、そこそこ便利なモバイル体験を提供することだ。銀行は、フィンテック企業を超える必要はないとわかっている。規模とディストリビューション力で勝る銀行は、そこそこ便利な商品でも強固な顧客基盤を守ることができるからだ。

そうした優位性のために、フィンテック企業は銀行と真っ向勝負ができずにいる。資金コストが低く、顧客一人あたりに使える資金が多い銀行が、ある特定のサービスを開始しようと思えば、一日でフィンテック企業を打ち負かすことができる。そのため私は、銀行が行っていないサービスの市場に的を絞ったフィンテック企業に対しては悲観的だ。そんなフィンテック企業は、いずれ銀行に真似されてしまうので、あるレベル以上に長期的な成長は望めないことを知るだろう。

フィンテック企業として存続しようと思えば、唯一の防衛策、そして長期的な戦略をもたらすものは、自動化しかない。

自動化は
永続的な最適化が
可能になるため
摩擦削減の
究極の方法となる

これからの20年は、どのように自動化するかによって、一般の人々の人生の形が決まる。そう遠くない将来、インテリジェントなサービスが、個人の金融上の判斷の大部分を下すようになるだろう。そうしたサービスは、人々と協力することにより、いつ引退したいか、子どもをどの大学なら入れられるかといった、個々人の人生設計を明確にしてくれる。そして、その超人的インテリジェンスと、瞬時に物事を繰り返し実行する能力を使って、その人のために金融システム全体の力を投入できるようになる。顧客は、そのインテリジェントなサービスの仕組みを理解できないかも知れないが、それが自分の人生を良くするために、100パーセント向けられたものであることは実感できる。

個人が、自分の金融プロファイルを丸ごと、どこへでも好きなところに移せるようになった状況を考えて欲しい。ボタンをひとつ押すだけで、電話番号を移すときと同じように、自分の口座がすべて別の場所に移動できる世界だ。

たとえば携帯電話業界では、電話番号の移転を妨げてはいけない決まりになっているため、業者は移転をさせないように必死に努力している。携帯電話キャリアは、電話番号の移転に高額な料金を課すことで、利用者の移転の意欲を削いできた。しかし2003年、アメリカ政府が携帯電話業界に対して、電話番号の移転の自由を義務付けたことから、携帯電話の利用プランの料金が安くなった。摩擦が消えたことで、過剰な利益も泡と消えたのだ。

自動化は、永続的な最適化が可能になるため、摩擦削減の究極の方法となる。自動化により、限界費用ゼロで最適化が行えるようになる。自動化により、人の手を介さずに最適化ができるようになる。それが可能になれば、顧客は常に理想的な金融サービスを使えるようになる。

これは銀行にとっては悪夢のシナリオだ。金融業界の摩擦が大幅に低減されると、銀行と顧客とのつながりは弱くなる。銀行は、金を保管し、ある場所からある場所へと金を移動させる配管や電線の役割を果たす公共施設となる。そして、特定のサービスに特化したフィンテック企業がそこに参入し、専門的なデータを使って利用者に代わって判斷を行い、その判斷に基づくサービスを提供する。そして最終的には、顧客が必要とするあらゆるものを割り出し、顧客のために実行される目に見えないインテリジェントなサービスとなる。

そう考えると、自動化の力は、顧客に代わって最適な判斷を行い、それに基づいて行動するインテリジェントなサービスの能力を超えるものとなる。摩擦を低減させる自動化の能力は、市場の競争をより活性化し、顧客を市場の中の最適な商品に合致させることで、顧客に大きな富をもたらす。

したがって、インテリジェントな自動化を、いかにして製品の利便性に、製品の製造工程に、または商品開発の過程に組み込むかを考え出すことが、フィンテック企業の成長と成功に欠かせないものとなる。こうしたテクノロジーの世界の変化に気づけない者たちは、市場シェアと市場での地位を失うリスクを負うことになるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

世界銀行がオーストラリアの銀行とパートナーして初のブロックチェーン上の債券を立ち上げ

世界銀行がオーストラリアのCommonwealth Bank of Australia(CBA)と共に、初のブロックチェーン上の債券を発行することになった。

この1億1000万オーストラリアドル(8700万USドル)のbond-i(ブロックチェーンによって運用される新しい債務証券)は、分散台帳技術を使って作られ、割り当てられ、送金(振替)され、そして管理される、初めての債券だ。なお、bond-iという名前は、オーストラリアの有名なビーチ、Bondi Beachから取られたに違いない!(銀行家は意外とジョークが好きである)。

この投資は、オーストラリアの金融にとっては小さな一歩だが、世界中のブロックチェーンにとっては大きな跳躍だ(でもないか)。

このブロックチェーンボンドの投資家は、CBA, First State Super, NSW Treasury Corporation, Northern Trust, QBE, SAFA, Treasury Corporation of Victoriaなどだ。それはまるで、オーストラリアの公的金融機関のごった煮のようだが、その意味は大きい。オーストラリアのフィンテックコミュニティはかねてから強力だし、そしてブロックチェーンは、これらの金融機関が探究に向けて関心を持っていたテーマだからだ。

世界銀行の声明によると、これは同行がブロックチェーンに関して行っていくであろう多くの実験の、ひとつである。6月に世界銀行はBlockchain Innovation Labを立ち上げて、その技術を検討してきた。

世界銀行の財務部長Arunma Otehはこう言っている: “公的機関やファンドマネージャー、政府機関、および銀行から寄せられた幅広い関心にとりわけ感銘を受けている。私たちは疑いもなく、コンセプトの現実化に成功した。なぜならば、これらの質の高い投資家たちが、テクノロジーを資本市場のイノベーションに利用することの意義を、理解されたからである”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ソフトバンクのロボット、PepperがニューヨークのHSBC銀行に就職

今日(米国時間6/26)からHSBC銀行のマンハッタン支店を訪れる人々は愛想のいい人型ロボットの出迎えを受けることになる。フィフス・アベニューのHSBC銀行にはカスタマーサービス要員としてPepperが配置された。 このロボットは近年拡大を続けるSoftbankのロボティクス事業のニューヨークにおける顔となる。

Pepperはもちろん数年前からあちこちで実用に使われており、空港の出迎えからショッピングモールの案内まで便利な雑用係として能力を発揮している。このロボットが日本を出てアメリカで臨時の職に就くことができたのは2016年だった。

人間のスタッフではできないような仕事をこなせるPepperだが、やはり物珍しさが先に立つだろう。HSBCではニューヨーカーに「未来の銀行」を体験してもらう助けとしてPepperを採用したようだ。

HSBC銀行のPablo Sanchezは声明で 「われわれのフラグシップ支店から1キロ以内に200万人以上の人々が住んだり勤務したりしている。フィフス・アベニューを歩く人々の数は毎日何百万にもなる。Pepperはリテール・バンキングでいまだかつてなかった経験を提供するはずだ。『未来の銀行』を開発するわれわれの努力にPepperが役立つものと信ずる。このロボットは支店の業務を効率化するだけでなく、訪れた顧客を楽しませることができる。人間の行員はさらに専門的なレベルの高いカスタマーサービスに専念できる」と述べた。

Pepperはセルフサービス・バンキングに関する情報を提供すると同時にいくつかの分野でベーシックな質問に答えることができる。おっと、それから、いっしょにセルフィーを撮ろうとするとPepperはポーズを決めてくれうそうだ。Pepperがさらに別の支店にも現れるのかどうか現時点では不明だが、声明によれば、「Pepperはここ数ヶ月かけてHSBCの支店における銀行業務を未来化させる一連の努力の一部だ」という。

言うまでもないが、PepperはSoftbankの広汎なロボット戦略の一端を担うプロダクトだ。同社は1年前にAlphabetからBoston Dynamicsを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ヨーロッパの無店舗オンラインバンクN26の口座保有者が30万に達す、毎日1000ずつ増加中

スタートアップとして銀行を始めたら、ユーザーの獲得は困難、と誰もが思うだろう。でも2013年にベルリンで創業したN26は今やヨーロッパの17の国で利用でき、ユーザーのために開設した銀行口座は30万に達した。今では、毎日ほぼ1000人がN26に登録している。

ユーザーの大多数は今でもドイツとオーストリアの居住者だが、最近では新たな登録ユーザーの半数以上がこれら2か国以外なので、徐々にその差は縮まるだろう。今、フランスのユーザーは3万、スペインとアイルランドは1万だ。これらの国は登録受付を開始してからまだ数か月しか経っていない。

同社がこれまでに扱った取引総額は30億ユーロに達し、その60%は2016年のものだ。その年、カードの扱い件数は1億件、そして今では1時間に1900件の取引を処理している。2秒に1件である。

しかし、いずれも立派な数字だが、ヨーロッパの大手リテールバンク(庶民や中小企業対象)に比べれば微々たる量だ。N26は最近やっと銀行免許を獲得*したから、今後は成長に向けて舵を切れる。〔*: 銀行免許: ドイツとECBから。ユーロ圏のみ。〕

N26がヨーロッパ全域で数千万の顧客を獲得したら、他行と互角に競争できる。今のところは、将来性をはらんだ創始期だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

N26がAllianzの旅行保険付きプレミアムカードを発表

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N26には何が欠けているだろうか?同社はゆっくりではあるが確実に、新しい銀行口座を一から作りあげつつある。そして現在、Visa PremierやMasterCard Goldに付帯する保険商品を作り変えようとしている同社は、N26 Blackカードを発表した。

N26はこれまで保険会社と直接交渉を進めてきており、旧来の銀行が上位クラスのMasterCard(Gold、World Eliteなど)に付帯させているような保険商品をついに提供できるようになったのだ。近日中にN26のユーザーは、今持っているカードをN26 Blackカードにアップグレードできるようになる。なお、機能面では既存のカードとほぼ同じN26 Blackカードには、Allianzの保険がついてくる。

1年契約で料金は月々5.9ユーロ(6.4ドル)に設定されており、普通の銀行が発行しているMasterCardやVISAカードの上位クラスの保険とほぼ同じ補償内容になっている。そのため、海外旅行中に病院へ行かなければならない場合、その費用はAllianzがカバーしてくれる。さらにフライトが4時間以上遅れた場合の費用についても払い戻しが申請できるほか、携帯電話が盗まれたときの補償もついてくる。

保険の全容についてはまだ公開されていないため、スキー保険やレンタカー保険が含まれているかは分からない。しかし上位クラスのカードにはこういった保険がついてくることが期待されるため、N26 Blackカードにも含まれる可能性がある。

N26のサービスの良い点は、必要のない保険に対してお金を払わなくてすむということだ。ユーザーがN26の口座をそこまで頻繁に使っていなければ、無料のN26カードを選ぶことができる。ドイツ、オーストリア、アイルランドの希望者には、11月前半にN26 Blackカードが届けられ、フランス、イタリア、スペインのユーザーはその数週間後にはカードを受け取ることができる。

また、興味深いことにN26は今年の夏に銀行のフルライセンスを取得し、同社は今後数週間の間に、20万人のユーザーを自社の銀行インフラ上へと移管させる予定だ。つまり、ユーザーは新しいカードと口座番号を受け取ることになる。

そのため、ユーザーはこのタイミングで、新しいベーシックなMasterCardかN26 Blackカードから希望のものを選ぶことができる。全てのユーザーが新しいカードを受け取るタイミングで、新たなプランを発表するというのは賢い動きだ。この作戦でN26 Blackカードのコンバージョン率は高まるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter