ポーラ・オルビスとANAによるCosmoSkinプロジェクトが開発中のスキンケア化粧品、JAXAの生活用品アイデア募集に選定

ポーラ・オルビスとANAによるCosmoSkinプロジェクトが開発中のスキンケア化粧品、JAXAの生活用品アイデア募集に選定

ポーラ・オルビスホールディングスANAホールディングスは3月22日、JAXAの「第2回宇宙生活/地上生活に共通する課題を解決する生活用品アイデア募集」において、両社が「CosmoSkin」(コスモスキン)プロジェクトとして開発している宇宙で使えるスキンケア化粧品が選定されたと発表した。国際宇宙ステーション(ISS)の搭載を目指し、開発を進めるとのこと。

CosmoSkinで開発されているのは、宇宙船内の特殊な環境を想定したスキンケア製品。極度に乾燥していること、水が貴重であること、微小重量といった環境に対応するために、スキンケア製品にはこれまでにない機能性や使用法が求められるという。宇宙の生活では、全身にさまざまな変化が起き、精神的な健康の維持も重要になる。そのため、肌を美しく保つ機能だけでなく、「スキンケア行為を通して心も健やかに保つ体験価値」の追究を目指す。

また、資源が極端に限られ、ゴミを最小限にしなければならないといった制約に合わせて技術開発を行えば、それがそのまま地上でのサステナビリティー向上にもつながるとポーラ・オルビスホールディングスは話す。

両社は、それぞれ宇宙に目を向けている。ポーラ・オルビスホールディングスは、2018年に化粧品の枠を超えた新価値創出のための「マルチプルインテリジェンスリサーチセンター」(MIRC)を発足し、宇宙への取り組みを開始した。2020年からは、JAXAが推進する宇宙生活の課題から宇宙と地上双方の暮らしをより良くするビジネス創出プラットフォーム「THINK SPACE LIFE」での活動を開始している。

ANAホールディングスは、2018年に宇宙事業化プロジェクトを発足し、衛星データ活用事業、宇宙物資輸送事業、宇宙旅行事業といった宇宙事業の検討を開始している。

CosmoSkinでは、ポーラ・オルビスホールディングスが「肌の知見や製剤技術を活かし宇宙ライフに適した化粧品の研究開発」と、ANAホールディングスが「地上よりも宇宙環境に近いとされる航空機内を実証実験の場として提供」することになっている。

ANAとJoby Aviationが提携、日本でもエアタクシーサービスを開始へ

Joby Aviationは、日本の航空会社ANAと提携し、航空ライドシェアサービスを日本に提供する。トヨタ自動車も両社と提携し、エアタクシーと地上の交通機関を接続する方法を模索する予定だ。

Joby Aviationが日本で事業を開始する意向を明らかにしたのは、同社が韓国のSK Telecomと提携し同国で航空タクシーサービスを開始する計画を発表した1週間後のこととなる。JobyはSK Telecomのスピンオフ企業であるT Map Mobilityプラットフォームと協力して、エアタクシーをT Mapのサブスクリプションベースのmobility-as-a-serviceプラットフォームに統合する予定だ。

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両社は、Jobyの航空機の操縦開始時期、日本での商用サービス開始予定時期、ANAとJobyのどちらが運営するのか、顧客がどのように利用するのかなど、サービスの具体的な内容は明らかにしなかった。Joby Aviationの広報担当者は、Joby、ANA、トヨタの3社は現在、インフラ整備、パイロット養成、飛行運用、規制要件、一般の受け入れ、航空輸送をより大きな交通エコシステムに接続する方法などを検討しており、計画段階にあるという。

トヨタは、この未来のサービスにおけるパートナーであるだけでなく、JOBYの戦略的投資家でもある。トヨタは2020年にJobyの5億9000万ドル(約681億円)のシリーズCラウンドを主導し、同社と電動化技術や製造、品質、コスト管理に関する専門知識を共有しているとJoby Aviationの広報担当者は述べている。

「本日の発表は、日本における未来のエアタクシーサービスのあり方を定義するための第一歩です」と、広報担当者は語る。「両社は今後、ルートの候補も含めて、この画期的な新しい交通手段を確立するためのあらゆる側面で協力することになります」。

Jobyの航空機は、最大航続距離150マイル(約270km)、最高速度時速200マイル(約320km/h)だ。クルマで1時間かかる関西国際空港から大阪駅までの移動は、同社のサービスを使えば15分以内で行けると試算している。

電動垂直離着陸機(eVTOL)は4人乗りであり、少なくとも最初の用途では、商業サービスは限定的なものになるだろう。Jobyが現在のモデルを大量生産するか、より大きなeVTOLを作るまでは、エアタクシーが一般的になるのは数年先だろう。さらにeVTOLの製造に時間と費用が必要であるだけでなく、規制上の障害がある可能性のためだ。しかし、先に米運輸省の連邦航空局とG-1(第4段階)の認証基準を締結し、一歩前進した。これにより、同社は米国での適合性試験を開始し「実施段階」に入ることができるようになった。これは基本的にJobyは、航空機の複合材部品の設計と製造に承認を得たことを意味する。

日本における空のライドシェアの採用を加速させたい学者、研究者、航空会社、スタートアップ、公的機関が集まった「空の移動革命に向けた官民協議会」では、日本でのeVTOLの認証が検討されている(Joby Aviation、トヨタ、ANAはすべてこのグループのメンバーだ)。最終的な認定は、国土交通省航空局が行う予定だ。

画像クレジット:Joby Aviation

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Katsuyuki Yasui)

全日空や三井物産が支援する再生可能ジェット燃料のLanzaJetにShellも出資

アルコールをジェット燃料に変えるプロセスの商業化を図っているLanzaJet(ランザジェット)には全日空、Suncor Energy、三井物産、British Airwaysなどが戦略投資家として出資している。その投資家リストにエネルギー大手Shell(シェル)も加わった。

LanzaTechからのスピンオフで、最初のクリーンテックブームの最後の生き残り企業の1社である未上場企業LanzaJetは、法人から段階的に出資を受けるアプローチを取っている。これにより、LanzaJetが生産施設を拡大するにつれ、投資家は追加でLanzaJetに出資することができる。

Shellの出資の取引条件、出資後のLanzaJetの評価額は明らかにされなかった。

LanzaJetは、航空業界がネットゼロエミッションを達成するのをサポートできると主張する。パリ協定で設定された温室効果ガス削減目標を世界が達成するのを支えるための長い道のりだ。

「LanzaJetのテクノロジーは、ATJプロセスを使ったSAF(持続可能な航空燃料)生産に向けた新しいエキサイティングな道を切り開いていて、航空部門の差し迫ったSAF需要を解決します。これは、我々が力を合わせた時に業界が機敏に動いてより多くのSAFを供給できることを意味します」とShell Aviationl社長のAnna Mascolo(アンナ・マスコロ)氏は声明で述べた。「需要と供給の両方を推進するための適切な政策メカニズムと規制に関して業界、政府、社会が協業するこで、航空業界はネットゼロエミッションを達成できます。LanzaJetと戦略が一致するのはすばらしいことです」。

関連記事:再生可能ジェット燃料LanzaJetが英国航空と提携、年間7500トン供給へ

LanzaJetは現在、アルコールをジェット燃料に変える施設をジョージア州ソパートンに建設中だ。完成すると、持続可能な合成ジェット燃料のための初の商業規模プラントとなり、年間1000万ガロンを生産できる。

燃料はエタノールを使って作られる。エタノールはShellが詳しいものであり、供給する用意も整っている。ブラジルの合弁企業Raízenを通じてShellはバイオエタノールを10年以上生産してきた。

LanzaJetは、二酸化炭素の排出を抑制する方法で飛行機を飛ばすために、持続可能燃料を従来の化石ジェット燃料に混ぜることを想定している。生産する燃料の約90%が航空燃料で、残り10%は再生可能ディーゼルだと同社は話した。

LanzaJetのSAFは化石ジェット燃料に最大50%混ぜることがASTM(米試験材料協会)に認められていて、エンジンや航空機、インフラに変更を加える必要のないドロップイン燃料だ。加えて、LanzaJetのSAFは従来の化石ジェット燃料と比べ、ライフサイクルベースで温室効果ガスの排出を70%超削減する。エタノールの汎用性、そして低炭素でゴミを材料とし、食品や餌をソースとしないこと、またエタノールが世界どこでも入手できることと併せ、LanzaJetのテクノロジーはSAFの永続的な解決策となっている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:LanzaJet投資全日空三井物産Shell二酸化炭素二酸化炭素排出量

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

生産性と睡眠を向上させるパーソナルな「音環境」を生み出すEndelが5.3億円調達

ベルリンに拠点を置くEndel(エンデル)の売り文句は単刀直入だと、共同創設者でCEOのOleg Stavitsky(オレグ・スタビッツキー)氏は言う。

「私はEndelを説明するとき、いつもこう言います。これは集中とリラックスと睡眠を助けるテクノロジーですと」と。「もちろん、実際にやっていることは、もうちょっと複雑ですが」と同氏。

このスタートアップは米国時間9月23日、500万ドル(約5億3000万円)のシリーズA投資を獲得したことを発表した。主導したのはTrue VenturesKevin Rose(ケビン・ローズ)氏。そこに、SleepScore Ventures、Techstars Ventures(EndelはTechstars Music Acceleratorに参加していた)、Impulse Ventures、Plus 8 Equity Partners、Waverley Capital、Amazon Alexa Fund、Target Global、その他さまざまな投資家が参加している。

同社のメンバーは子供向けアプリの会社Bubl(バブル)でともに働いていた仲間だとスタビッツキー氏は教えてくれた。Bublを売却した後、彼らはサウンド関連の仕事を探し始めたのだが、やがて「睡眠や集中力、さらには成長などを助けるようデザインされた、マインドフルネスアプリのプレイリストが伸びていることを知った」とスタビッツキー氏は言う。

「仕事を始めた当初は、環境音楽を生成する機械を作ろうと考えていました」と彼は振り返る。しかしリサーチを進めると「パーソナルなものでないとダメだ。ひとつの曲や、ひとつのプレイリストや、ひとつの音風景では実現しない。それは、自分だけの宇宙に強く依存するからだ」と気付いたそうだ。

そしてそれが、Endelの製品となった。彼らのテクノロジーであるEndel Pacific(エンデル・パシフィック)が作り出す「音環境」は、集中、睡眠、リラックスをしたいとき、または外に出かけるときであっても、それぞれの人に応じてデザインされる。この環境は、時刻や天気、またはユーザーの心拍数や動作などによって、部分的に変化する。

画像クレジット:Endel

ローズ氏は、「リアルタイムのフィードバックを利用して、肉体を非常にポジティブな方向にコントロールし変化させる、閉ループシステムというアイデア」に興奮を覚えたという。そしてEndelは「科学に裏打ちされている」と強調する。

Endelのアプローチは、いくつかの科学分野から引き出されている」とスタビッツキー氏。概日リズム(毎日の睡眠周期の中の今どこにいるかを把握)、ペンタトニック音階(心地よいサウンド)、サウンドマスキング(気が散る音を小さくする)に関する研究だ。

このアプローチを支える科学の検証を強化するために同社はパートナー企業と協力しているが、すでにxフローの概念を提唱し関連本も執筆している心理学者であるMihaly Csikszentmihalyi(ミハイ・チクセントミハイ)氏が開発した経験サンプリング法を用いて、その音環境が集中力を6.3倍高め、不安を3.6倍鎮めることを確認できているという。

私も試してみた。昨日仕事中にEndelがミキシングした心地よい音楽とホワイトノイズを聞いた。もちろん、この原稿を書きながらも聞いている。活力や集中力が即座に、また劇的に高まった感じがしたとは言えない。しかし、時が経ち、いつもより長い時間、気が散ったり疲れたりせずに仕事が続けられていたことに気がついた。

EndelのCEOを務めるオレグ・スタビッツキー氏

Endelは、iOS、Apple Watch、macOS、Amazon Alexa、Android用にアプリをリリースしている。ダウンロードは200万回近くに達する。サブスクリプションの料金は1年で49.99ドル(約5300円)だ。

スタビッツキー氏はまた、例えば日本の全日空と協力してこの技術を飛行機に応用するといった大規模な事業にも着手していると話している。さらに自動車メーカーやスマートスピーカーのメーカーとの提携も考えているという。

さらに、歌やアルバムをアルゴリズムで制作するために、Warner Music(ワーナー・ミュージック)との契約(The Verge記事)に署名した。スタビッツキー氏は、ミュージシャンとの協力も望んでいる。彼らが新しいアルバムをリリースするとき、従来型のアルバムと同時に「仕事をしたり眠りたいときの音風景として使える機能性と適用性のあるアルバム」も同時に出せるようにとの考えだ。

「大きな展望としては、最終的にはサウンドを超えることです」と彼は言う。その手始めに、今年末からApple TV用アプリとして動画も取り入れる。

Endelは、現在までに合計710万ドル(約7億5000万円)を調達している。

関連記事:Kevin Rose on health apps, crypto and how founders get through this time with their sanity intact(未訳記事)

画像クレジット:Jasper James  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)