AppleはiPhoneの性能抑制に関する訴訟で34州に計117億円を支払い和解へ

Apple(アップル)は、2016年に起こったiPhoneバッテリー問題を同社が組織的に軽視したことが消費者保護法に違反したとする訴訟で、34の州およびワシントンDCとの和解に応じ計1億1300万ドル(約117億2000万円)を支払うことに同意した。これは、この問題を巡って今年すでに消費者に支払った5億ドル(約518億9000万円)と世界各国で課せられたさまざまな罰金に続くものだ。

問題はTechCrunchで数年来報じてきたように、ある新バージョンのiOSが古い(というほど古くない)iPhoneを突然シャットダウンさせ、この問題を「修正する」というアップデートがそのデバイスの性能を密かに抑制していたことだった。

陰謀論好きの人々(かなり多いことがわかっている)は、これを新しい端末の購入を促進するための意図的性能劣化であると疑った。それは事実と異なっていたが、複数の州の調査を統括したアリゾナ州のMark Brnovich(マーク・ブルノビッチ)検事総長は、アップルが問題の大きさと解決方法の欠点を十分認識していたことを明らかにした。

ブルノビッチ氏は他の州の検事総長とともに、iPhoneのバッテリー問題に関する「情報の偽りと隠蔽」およびそれを修正するために行ったアップデートの不可逆的悪影響によって、アップルがさまざまな消費者保護法、例えばアリゾナ州の消費者詐欺法に違反したと訴えた。

アップルは不正行為はなかったことを認めた1億1300万ドルの和解に同意した。金額は各州で任意に分割される。これはフランス当局から課せられた2500万ユーロ(約30億7000蔓延)と違い、罰金ではない。もしアップルが法定の罰金対象になっていれば、金額はこの日に合意したものどころではない膨大なものになる。アリゾナ州の消費者詐欺法は意図的違反1件に対して最大1万ドル(約104万円)を要求しているため、たとえその何分の一であっても影響を受けた人数をかけるとたちまち巨額になる。

現金による和解に加え、アップルは「iPhoneのバッテリー状態、性能、電源管理に関する真実の情報をさまざまな方法で消費者に提供」しなければならない。同社はすでに数年前からこの趣旨に沿って変更を行っているが、今回のような和解にこうした要件を入れるのは、再び同じことを繰り返さないためだ。もっとも、Facebook(フェイスブック)のように構わずやってしまう(未訳記事)企業もある。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPhone

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アニメ「スヌーピーのメリークリスマス」がApple TV+の独占権に関わらず米国PBSで放映

これをホリデーの奇跡と呼ぼう。Apple(アップル)は米国時間11月18日、ホリデー向けアニメの名作「A Charlie Brown Thanksgiving(スヌーピーの感謝祭)」と「A Charlie Brown Christmas(スヌーピーのメリークリスマス)」が2020年もテレビで放映されると発表した。このニュースはApple TV+の独占契約によってPeanuts(ピーナッツ)のアニメがテレビ放映されなくなることに対する苦情を受けてのことだ。

2020年10月に本誌が指摘したように、この独占契約は55年間で初めて最愛のクリスマススペシャルがテレビで放映されなくなるというものだった。どちらのホリデースペシャルも、1966年のハロウィンスペシャル「It’s the Great Pumpkin, Charlie Brown(スヌーピーとかぼちゃ大王)」と同じ運命を辿ることになりそうだ。

実際、アップルの契約には、無料放映に関する条項がある。ホリデー休暇の伝統を有料サブスクリプションサービスに組み入れることが、このオリジナルスペシャルの持つ確固とした反大量消費主義メッセージと相容れない、という感覚を振り払うことはアップルといえども難しかったのだろう。

うれしいことに、Apple TV+に加えて「スヌーピーの感謝祭」 は2020年11月22日 午後7時30分(太平洋標準時)から「スヌーピーのメリークリスマス」は2020年12月13日午後7時30分からPBSで放映される。

おそらく小さな勝利なのだろうが、いまはもらえるものをもらっておこう。しかも今回はCMなしだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApple TV+

画像クレジット:Peanuts/TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)

M1搭載MacBook Airレビュー、新しい扉を開けたAirは多くの人におすすめしたいAppleシリコンMac

ハードウェアのレビューはおおむね退屈な仕事だ。ときには、何か新しいものや、地球を震わせる可能性のあるものが登場するが、全体としては地道な進歩があるだけだ。製品ラインを新鮮に保つために、小さく徐々に変化を刻んでいく中で、やり方を間違えなければ、ライバルとの差別化を果たすことができる。

Apple(アップル)も、もちろんその意味で、誰にも負けないくらい有罪だ。これは、12カ月から24カ月で繰り返される製品サイクルの宿命に過ぎない。すべてのリフレッシュが革命とはなり得ないのだ。しかし、それがいつものことだとしても、やがてゲームチェンジャーはやってくる。製品ラインにより深い変革をもたらす、否定しようもない何かが、状況を変えるのだ。前回から3カ月の時間をおいて開催された、2020年3度目の大規模プレスカンファレンスで発表された3種のMac(マック)には、まさにそれが当てはまる。

かつてアップルが、それまで10年以上にわたって依存していたチップテクノロジーのPowerPC(パワーPC)から、インテルプロセッサーに跳び移ってから15年が経った。そのときの移行は、アップルが選んだ技術の限界に突き当たったために行われたものだ。それまでPowerPCはアップルを大いに支えていたが、それでもアップルが欲する次世代ポータブル端末のためのパワーに欠けていたのだ。

そのときの移行と同様に、Appleシリコンへの動きは何年も前から続いてきた。同社は、サードパーティ製のコンポーネントから脱離するために、全体的な努力を続けてきた。とりわけ、市場で基本的に他社と同じ部品を使っている限り、製品を差別化することはますます難しくなってきている。もちろん、独自のプロセッサを生み出すことは、時間のかかる難しいプロセスだ。しかし、ありがたいことに、同社は幸先のよいスタートを切ることができた。

画像クレジット:Brian Heater

同社のモバイルデバイスを駆動するArmベースのチップが、素晴らしい出発点となった。アップルはこれまで数世代にわたり続けてきた学習の成果に基いて構築を行うことが可能になり、アップルのソフトウェアが追い求める永遠の聖杯、すなわち完璧な互換クロスエコシステムに、ますます近付くことになる。iOSで実現された要素は、何年もの間にmacOSへと少しずつ取り込まれ続けてきた(この傾向はBig Surで間違いなく加速している)。またIntel Macオーナーたちの移行を簡単にするために、アップルはmacOSとiPadOSでソースコードを共有できるCatalyst(カタリスト)を提供している。

画像クレジット:Brian Heater

数え切れないほどの噂と数カ月のおあずけの後、3種のAppleシリコンMacがついに登場した。そしてその結果は、ひと言でいうなら「素晴らしい」だ。過去数日間の間に、コミュニティに多くの驚きをもたらした、さまざまなベンチマークの結果を、きっと目にしていることだろう。アップルが自身のプレゼンテーションでそのパフォーマンスについて語ったのは事実だが、具体的なベンチマークなしではそうした数値は割り引いて考えられがちだ。TechCrunchでは3人の記者が3つのシステムを手分けしてレビューすることになった。そして正直なところ、みんながこのシステムができることに圧倒されたといっても過言ではない。

さて、まずはM1を簡単に紹介しよう。

  • 2倍のパフォーマンス向上を謳う8コアCPU
  • 最大2倍のグラフィック性能の向上を提供する、7コアまたは8コアGPU(利用するAirモデルによって異なる)
  • 16コアのニューラルエンジン
  • 処理性能の向上
  • 画像信号処理の改善

特にAirはエアは、2020年3月にリリースされた同システムの最新バージョンの、真に力強い改良バージョンとなっている。すべてが明かされたいまでは、それはまるで、はるか昔のことだったように感じるかもしれないが、実のところわずか8カ月前のことなのだ。このシステムは、特に2つのベンチマークで優れている。すなわちバッテリー持続時間(簡単なビデオ再生によって測定)と、システムのCPUとGPUのパフォーマンスを、実際の状況をシミュレートしながらテストするGeekbench(ギークベンチ)だ。ついでながらいうなら、すべてのあらゆる動作が機敏なのだ。

画像クレジット:Brian Heater

アプリはほぼ瞬時に開き、4Kビデオの編集などのリソース集約的なタスクは、驚くほどキビキビ動く。これらのいくつかは、システムを限界まで追い込まずとも、すぐに気づくことができる変化だ。スリープ状態からすぐに利用可能になるという、巧妙な仕掛けのことを考えてみよう。これは、モバイルデバイスでは当たり前のことだが、デスクトップではあまり見かけることはない。

これらの進歩は、おそらく当然のことながら、同じ外観で到着した。新しいMac mini(未訳記事)や13インチのProと同様に 、Airは今年初めにリリースされたものとみかけはそっくりだ。おそらくアップルは、製品が内部では劇的な変化を遂げるため、外観上では一貫性を保とうとしているのだろう。それともリデザインがArmへの移行とは歩調が揃っていないのかも。まあ、あるいはアップルは現在のデザインを、薄くて軽量のラップトップのためのプラトン的理想の一種だと考えているのかもしれない。

いずれにせよ、新しいAirをラインナップから選ぶべきか否かで、読者は悩んでいることだろう。私は公の場でそのシステムを使ってみたが、私が次世代Macでほんの少し先行していることに気がつく人はいなかった。正直な気持ちをいえば、もしアップルがこの瞬間を、素晴らしい劇的なリデザインで飾ってくれたなら良かったのにと思う。少なくとも中身の変化にともなって外見が変わったことを非難する人はいない。まあそれでも素直になろう。Airの物理デザインはここ数世代変わって来なかったが、それでも市場で最も象徴的かつ外観の優れたノートパソコンの1つのままなのだ。

これには、MacBook の他の製品ラインと差別化される、薄くて斜めのデザインが採用されていて、2.8 ポンド(約1.27kg)という重量は13インチのMacBookよりも0.2ポンド(約90g)軽い。それは大きな違いではないが、時間とともに腰にくる負担に違いが出てくる。このことはこのシステムを週末に15マイル(約24.1km)ほど歩いて持ち運んだ人間としての意見だ。

画像クレジット:Brian Heater

今回も2つのUSB-Cポートが同じ側面に配置されている。私はいつでもより多くのポートが必要だと主張している、特にポートの1つが、ほぼ常に充電ケーブルで塞がれてしまう現実を考えるとなおさらだ。私はまた、ポートの間隔をもう少し広げて欲しい。できればマシンの両側に配置してもらえるとありがたい。配置によってケーブルに余裕がない場合や、ポートに少々幅のあるものを挿し込もうとする場合に助かるからだ。もちろんこうした点は、今回のアップグレードによって2つのポートを失った新しい13インチProとは異なり、驚くようなものではない。

だがProの変更は、アップグレードを検討しているユーザーにとっては辛い。この変更は新しいM1 SOCの制限と関係しているのだろう。だが、もし私がギャンブラーなら、きっと様々な可能性がやってくることは合理的に予想できるというだろう。例えばプロユースにフォーカスしたチップの次のバージョンでは、最初のAppleシリコン16インチMacBook Proなどで、より多くのポートが採用されるだろう。

実際アップルは、2021年のどこかで登場する可能性の高い新しいプロ向けデバイスとの差別化のために、今回の発表では多くのアップグレードを控えた可能性が高い。それはすべてアップルのMac戦略の構成の一部であり、私たちはスローモーションでその進行を見ているところだ。新しいAir、13インチのMacBook ProそしてMac mini は、Mac製品のエントリーレベルを代表するものたちだ。このカテゴリは、近年、アップルのより注力しているカテゴリーで、iPhoneとApple Watchの製品ラインでも見かけることができる。

もちろん、長年にわたるプレミアム「Apple Tax」(Apple税)のコンセプトは残されているが、アップルはローエンドの製品を改善するために労力を注いでいる。Macによるこの戦略のより驚くべき側面の1つは、アップルがMacBook Airと13インチMacBookの間のギャップをどれくらい小さなものにしたのかという点だ。もちろん、2つのデバイスの間には違いがある。多くの人にとって、最大の違いは、Airの999ドル(日本価格税別10万4800円)と、13インチMacBook Proの1299ドル(日本価格税別13万4800円)という最低価格での300ドル(日本価格では3万円)の差だ。

では、アップルはこの価格差を、どのように正当化しているのだろうか?さらに重要なポイントは、大多数のユーザーにとって、高額商品を買うことが、どのような違いにつながるのだろうか?これ以上進む前に、新しいAirとProの主な違いを書き出そう。

  • バッテリー Pro:最長20時間まで、Air:最長18時間まで
  • ディスプレイ Pro:明るさ500nit、Air:400nit
  • マイクアレイ Pro:スタジオ品質の3マイクアレイ、Air:3マイクアレイ
  • タッチバー Pro:有り、Air:なし
  • スピーカー Pro:高ダイナミックレンジのステレオスピーカー、Air:ステレオスピーカー
  • ファン Pro:有り、Air:なし

最後の点は、パフォーマンスという点では最も重要だ。M1の登場によって、ファンレスのMacBook Airが可能であることが示された。これは以前のモデルでは聞いたことがない。これは、将来登場するMacBookたちの薄さを予告するものであり、直近のご利益としては、極めて静かな動作を意味する。実際、この数日間どれほどストレステストを加えても、システムは不気味なほど沈黙したままだ。しかし本当にストレスをかけ続けた場合には、パッシブ冷却システムではAirがかなり熱くなってしまう可能性があることは注意しておこう。さらに、ワークロードの観点では、リソースを大量に消費するタスクの最中に、システムが遅くなる可能性がある。だがそのためには本気でシステムを追い込まなければならない。

例えばFinal Cut Proで5分の8Kクリップをエクスポートすることを考えてみよう。Proで33分13秒、Airで32分59秒というその結果の差は、正直なところ無視しても構わないものだ(一方、参考までにMac Proは、5分半という圧倒的な速度で両者に打ち勝った)。WebKitのコンパイルを同様に実行してみた。それはAirで25分5秒、Proでは20分43秒だった。この違いは完全に無視できるものではないが、どちらのシステムも2019年の16インチMacBook Proの26分56秒を打ち負かした。そしてどちらのM1システムも、処理中に失ったバッテリーは9%程度に過ぎず、これは16インチMacBook Proの39%に対してはるかに少ない。

新しいM1チップは、リソース集約型のタスクを実行する場合でも、非常にエネルギー効率に優れている。ビデオ再生テストでは16時間の再生が可能だった。これはアップルが述べている最大18時間よりは短いが、それにもかかわらず素晴らしい数字だ。おそらく充電器を持たずに家を出ても不自由を感じることはないだろう。

Matthew記者の数字によれば、Proはさらに優れている。彼はアップルの宣伝文句に示された20時間前後を達成することができた。その高い数字が達成できたのは、ノートパソコンの厚みがあるために、バッテリーの容量が大きいからだ。しかしいずれにせよ、2つの新しいシステムは、2019年の16インチと13インチのProを完璧に打ち負かした(こちらはそれぞれ8時間8分と、6時間40分だった)。それは重要なメトリック中でもとりわけ大きなものだ。

画像クレジット:Bryce Durbin

それでは、Geekbenchの5つの数字を見てみよう。新しいAirとProの数字は非常に似通っている。これは、それぞれの内部を考えると、予想された結果だ。繰り返しになるが、ファンレス設計のAirに目に見えるような問題を引き起こさせるためには、長時間かけて厳しくシステムを本当に追い込む必要がある。Proはシングルコアで1711、マルチコアで7549を記録した。Airは平均で、それぞれ1725と7563を記録した(良い比較のために、Miniが同様の1748と7644を記録したことを付け加えておこう)。

Geekbenchの数値の歴史的な文脈を示しておこう。いくつかの関連する例、2020年初めのCore i7 MacBook Airの平均は1136の平均だったが、13インチProは1240だった。(Rosetta 2エミュレータを使用して)ベンチマークのIntelバージョンを実行してみると、数字は予想通り悪化したが、それでもIntelシステムを上回っている。そして実際、Intel用に設計されたアプリは極めてスムーズに実行された。

画像クレジット:TechCrunch

私たちが実行したベンチマークのほとんどで、2つのシステムは互いに著しく近いスコアを記録した。いい換えれば、このレベルでシステムを探している人の大半は、制限にぶつかるようなことはあまり起こらないと考えても安全だということだ。ハードウェアの限界に挑戦するタスクを頻繁に実行しているような人にとっては、新しい13インチProを今すぐ購入するか、16インチのようなモデルが店頭に登場するのを待つのかが難しい選択肢となる。その情報についてさらに詳しく知りたいなら、Matthew記者による新しい13インチProのレビュー記事を読んで欲しい。

画像クレジット:Apple

しかし、より確実にいえることは、アップルはクリエイティブのプロたちに改めて焦点を定めた、はるかに強力な利用ケースを手に入れたということだ。このカテゴリは長い間、クリエイティブのプロたちとは切っても切れない関係だったが、アップルがその市場の一部をMicrosoft(マイクロソフト)のSurface(サーフェス)シリーズなどに明け渡したとみなされ得る場面もあった。アップルは、Touch Bar(タッチ・バー)がその関係を再燃させると主張したが、私は前機種よりも、はるかに重いワークロードを処理できるMacBook Airの方が、プロたちとの関係の再燃をはるかに強く引き起こすことになるだろうと思う。

そして率直にいうなら、私はTouch Barがなくてもまったく困らない。私の主力ノートパソコンは、Touch Bar付きの15インチProだが、その機能は私のワークフローに実際に影響を与えることはない。もちろん試したことがないわけではない。ProとAirを区別しようとする人にとっては、問題になるような機能の違いはほとんどないのではないだろうか。それはともかく、Touch Barの中の私のお気に入りの機能であるTouchIDは提供されている。これは1つ前のAirにも提供されていたものだ。全体として、薄いTouch barの上の写真や絵文字をスクロールする機能よりも、指紋でログインする機能の方が便利であると思っている。

画像クレジット:Brian Heater

タッチといえば、誰もが認識しているのに口に出さない件がある。一部で噂されていたタッチスクリーン式Macは、今回のイベントでは発表されなかった。それでも、macOSとiOSの間で線があいまいになり続けて、それほど遠くない将来のある時点でそれが登場することを期待することは合理的だ。モバイルオペレーティングシステムから主要な機能を採用する傾向を続けているBig Surを見ればそれはよくわかる。

画像クレジット:Brian Heater

私が最近のmacOS 11.0(Big Sur)の記事でも書いたように、多くの機能が実質的にタッチスクリーン操作を求めるようなものになっていた。コントロールセンターに新しく追加されたスライダーを考えてみよう。もちろん、トラックパッドでもちゃんと操作することはできる。だがそれを指でスワイプできた方が満足度は高いだろう。このことは、M1でネイティブに実行することができる、iOS用に最適化された特定のゲームをプレイするときにさらに顕著になる。ゲーム「Among Us(アマング・アス)」を例にとろう。大人気のソーシャルゲームを新しいAirでプレイしてみた。ゲームプレイは予想通りスムーズだが、トラックパッドでの操作はタッチ操作よりも自然さが足りない。

この実装では、画面上のジョイパッドを制御するためにマウスポインタを使用するか、単に登場キャラクタをポイントして正しい方向を示すことになる。ゲームは、固定サイズのウィンドウに表示され、そのウィンドウをフルスクリーンに拡大することはできない。M1チップが、未来のMacエコシステムを切り開くためにはまだ時間がかかる。そのエコシステムではチェックボックスをチェックするだけで、簡単にiOSアプリをMac App Storeを通して配布できるようになるだろう。だが多くの場合、特にプロユースを意識したアプリケーションの場合には、追加の最適化が行われることは確実だ。

画像クレジット:Brian Heater

その他のプライマリ入力デバイスとしてのキーボードは、最新のIntel Airとほぼ同じだ。これは以前のものに比べるとずいぶん良いものとなっている。その以前のものは間違いなくアップルが忘れたいと願うキーボードの黒歴史だ。それは岩のように固く、耐え難いほどやかましかった。それらはまた、動かなくなることによって、多くのユーザーに過度のストレスを引き起こした。最新バージョンに採用されたシザーメカニズムは、以前のバタフライメカニズムに比べてはるかに優れている。現在のものが、最高のノートブックタイピング体験だとはいわないが、以前のモデルと比べたら月とスッポンだ。

触れておくべきもう1つの側面はウェブカメラだ。ほとんどのノートブックのレビューで触れられることは滅多にないが、なにしろ今年は2020年だ。それは奇妙な要求が生まれた奇妙な年であり、私たちはZoom(ズーム)を介して他の人間との相互作用の大半をこなしている。とんでもない話だが、それが人生だ。多くの人びとが、すでに在宅勤務へのシフトの一環として、外部ウェブカメラに投資していることは間違いない。おそらく初めて、多くのもしくはほとんどの人にとって、ウェブカメラが購入を決める際の重要な要素になったのだ。

画像クレジット:Brian Heater

実際には、アップルは前回のAirのためにカメラをアップグレードしていた。しかしそれは完全なものではなかった。つまり、今回はセンサーは同じで、カメラはいまでも720pに固定されているのだが、M1のSOCデザインの一部として組み込まれた新しい画像信号プロセッサ(ISP)が、より良い画像を生み出すのだ。上の写真でその違いをみることができるだろう。率直にいえば、どちらも素晴らしいとはいえないが、一方は他のものよりも明らかに悪さの程度が低い。左側が新しいAirの画像だ。

解像度はまだ低いが、特に色は確かに改善されている。ホワイトバランスは現実により近く、影もより良く処理されている。自分の外部ウェブカメラに関しては、例えばExtra Crunchのパネルの機会に出演するときまでまだ取っておこうと思うが、ちょっとした会議であれば、Airで参加しても構わない。今回は、アップルが新しいシステム上で、ウェブカメラをリフレッシュして入れ替えるための絶好の時期だったのだろう。一般的には、ノートパソコンの蓋に厚みを与えてしまうカメラのハードウェアには制限があるといわれているが、もし大胆に予想するならば、きっとアップルはウェブカメラをProモデルの差別化要素として考慮していると思う。

一方、マイクは、AirとProを区別するためのポイントのままだ。上のリンクから、Intel版とArm版のAirで録音した声を聞くことができる。違いがわかるだろうか。正直なところ、私には区別がつかない。ウェブカメラと同様に、これらはカジュアルな会話に使うのは問題がないが、例えばポッドキャストの録音に使いたいとは思わない。

今回発表された3つの新しいシステムは、Macの未来への第一歩を表している。Appleシリコンの可能性に関しては、興奮すべきことがたくさんある。M1チップは、多くのタスクで劇的な性能向上を実現し、消費電力の削減よるバッテリー寿命の大幅な向上も達成できた。

画像クレジット:Brian Heater

だがこれらのモデルには、指摘しておくべきいくつかの制限がある。現在の構成では、2つのUSB-Cポートが最大であるように見える。3つのモデルはすべて16GBのRAMが最大容量だ。これらの制限が問題になるとしても、アップルはまだ当分はIntelモデルを売り続けてくれるだろう。

6月のWWDCでAppleシリコンが発表されたとき、Tim Cook(ティム・クック)CEOはフル製品ラインの移行には2年かかると指摘していた。つまり、私たちはまだこの旅の入口に立ったばかりであり、例えばMakBook Proの真の姿がどれくらい劇的に違うものなのかといった、たくさんの疑問を解き明かして行かなければならない。

一般的なニーズを持つほとんどのユーザーにとって、Airは良い選択肢だ。もしいま新しいMacBookを購入しなければならないとしたら、私はAirを選び、さらにメモリとストレージを強化するだろう。これはコンパクトなボディにおさまった驚くほど強力なマシンだ。

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タグ:AppleMacBook AirApple Siliconレビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:sako)

AppleがApp Store手数料率を15%に削減、年間収益約1億円以内の小規模事業者対象

AppleがApp Store手数料率を15%に削減、年間収益約1億円以内の小規模事業者対象
Apple(アップル)は11月18日、年間収益が100万ドル(約1億円)以内の小規模事業者に対するApp Storeの手数料率を15%に削減する新プログラム「App Store Small Business Program」を発表した。2021年1月1日より実施予定で、同プログラムの全容と詳細は12月初旬にあらためて発表する予定。
<ul>
<li>App Storeを通じて配布中の全アプリケーションについて2020年の収益が合計100万ドル(約1億円)以内の既存デベロッパー、またはApp Storeを通じてこれから自身のアプリケーションを配布を計画している新規デベロッパは、本プログラムの対象となり手数料率が引き下げられる。</li>
<li>同プログラムの対象となるデベロッパーの収益が100万ドルを超えた場合には、当年の残りの期間については、標準の手数料率が適用される。</li>
<li>デベロッパーの事業が不調で当年の収益が100万ドル未満に落ち込んだ場合には、翌年の手数料率は再び15パーセントに下がる。</li>
</ul>
デジタルグッズ&サービスを販売するアプリケーションで手数料控除後の売り上げ金額が100万ドルを超える収益に達している場合は、App Storeの標準手数料率である30パーセントが維持される。
有料アプリケーションおよびApp内課金に対する手数料率を引き下げることで、App Storeを通じてデジタルグッズ&サービスを販売する大多数のデベロッパが恩恵を受けられるとしている。

暗闇で光るPowerBeatsイヤフォン「AMBUSHスペシャルエディション」登場

​Apple(アップル)が自社ブランドのヘッドフォンに本腰を入れ始めた現在、Beatsは社内での輝きを少し失っているのかもしれない。それでもBeatsの製品はいまも非常に人気があり、ブランドは親であるアップルよりも幅広いラインナップを提供している。

Powerbeatsは、同ブランドのワイヤレス製品(50ドル、約5400円の新製品ほどではないが)の中でも実用性の高い製品のひとつで、左右のワイヤレスイヤホンをケーブルでつないだ形状と低価格で提供されている。米国時間11月17日、Beatsはこの製品の新しい特別版を提供し、ジュエリーブランドのAmbushとナイジェリアの歌手ことBurna Boy(バーナ・ボーイ)とのコラボレーションを開始した。

「AMBUSHスペシャルエディション」である「AMBUSH Glow」のスペック自体はオリジナルと変わらず、バッテリー持続時間は15時間で、汗や水に強いデザイン、アップルのH1チップなどを搭載してる。しかし最も重要なのは、このイヤフォンがBeats初の暗闇で光る製品だということだ。

画像クレジット:Apple

Ambushの共同設立者であるYoon Ahn(ユーン・アン)氏は、「夜遅くに外で音楽を聴いているときに、同じ街のエネルギーを捉えられるような製品をデザインするのはとてもクールだと思いました」と述べている。

AMBUSHスペシャルエディションは200ドル(日本では税別1万9800円)と少し割高だ(標準のPowerbeatsは現在150ドル、日本では税別1万4800円で販売されている)で、まもなく発売される。

関連記事:Beatsも5400円の安価な新Blutoothイヤフォンを発表、オンラインストアで予約受付開始

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleBeatsPowerbeats
画像クレジット:Apple

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

macOS Big Surが公開された

Appleのデスクトップソフトウェアアップデート11.0は、未来のMacの基礎を築く

ついにその日が来た。永遠に待ちぼうけを食らわされるかと思わせた、macOSの最新バージョンBig Sur(ビッグ・サー)が、やっと到着したのだ。想像上の産物ではなかったのだ。確かにいまさら時間についてあれこれ言うのは無意味だが、WWDCでの発表から本日(米国時間11月12日)のリリースまで、実に5ヶ月近くの長い時間がかかった。

間違いなく、それにはたくさんの理由がある。なにより今年は、できるだけ丁寧に扱うべき特別な年だった。またこれは、デスクトップオペレーティングシステムにとって、かなり大きな年次アップデートでもあった。そして、もちろんこれは、この14年間に行われた、Appleのハードウェアに対する最大の変更である新しいARMベースのMacのために、公式に開発されたmacOSの最初のバージョンなのだ。

私は6月以降、開発者や少数の怖いもの知らずたちと肩を並べて、私の所有するマシンの1台でこのオペレーティングシステムのベータ版を利用してきた。私たちがヒーローだとは言わないが、そうではないとも言わない。結局のところ、それは自分で口にすべきことではないだろう。

今回のアップデートでは、数多くのデザイン上のアップデートがもたらされているが、その多くが、macOSとiOSの間の境界線をぼかすという長年の流れに沿ったものだ。この先Appleシリコンが次世代のMacを牽引するにつれて、その流れはますます強まるだろう。少なくともその流れは、ずっと以前にAppleのソフトウェアデザインのポールポジションを取ったiOSの観点からは理にかなったものだ。iOSは、最終的にはデスクトップへ導入された多くの機能を、まず最初に実装してきた。

画像クレジット:Brian Heater

変更の多くは微妙なものだ。メニューバーの背がより高くより半透明になり、背景も変更され、システムの明暗モードが切り替わる際に変化する。Finder(ファインダー)のDock(ドック)が画面の下部から少し上に浮かぶようになり、メニューには少し余裕の場所が差し込まれた。ウィンドウにも多少の余裕が生まれ、メールやカレンダーなどの自社製アプリには新しいシンボルが散らばっている。

画像クレジット:Brian Heater

アイコンの形状は、よりiOS風のスクワーコー(squircle、スクエア+サークルからの造語で、角の丸まった正方形のこと)デザインに変化したし、全体に微妙な変更が加えられている、たとえば「メール」のアイコンには、ほとんど見えないテキストでAppleの本社の住所である「Apple Park, California 95014」が書き込まれている。他の多くの変更と同様に、ここでの要点は、Big Sur全体とAppleのエコシステム全体に一種のスタイルとしての一貫性を提供することだ。

画像クレジット:Brian Heater

しかし、Finderに対する最も直接的で明らかな変更は、コントロールセンターの追加だ。この機能は、iOS/iPadOsから直接借用されたもので、シンプルでクリーンで半透明な一時ウィンドウを画面の右上に表示する。個々のコントロールパネルは、メニューバーに直接ドラッグアンドドロップすることができる。Touch Barと一緒に導入されたコントロールセンター機能のようなものを思い出させるが、何よりも大きなボタンやスライダーは、画面に手を触れるようにと誘いかけてくる。こうなるとAppleが、Appleシリコンを内蔵した未来のタッチスクリーン式Macの基盤を築き始めている、という想像を振り払うことは本当に難しい。

画像クレジット:Brian Heater

嘘は言わないが、私は「通知センター」をきちんと使ったことはない。Appleがいくつか前のアップデートから、通知センターをデスクトップに持ち込もうと考えた理由は理解できるが、とにかくモバイルのようには一元化されていなかった。それは私の普段のワークフローにもフィットしなかった。Appleはこの機能を調整し続けていて、今回はかなり大掛かりな改修となった。残りの多くのアップデート同様に、それはAppleがスペースをどのように使用するかにかかっている。

今回のアップデートで(専用のボタンではなく)メニューバーの日付と時刻をクリックすることで通知センターにアクセスできるようになった。ここで最も魅力的な2つの変更は、通知とウィジェットがグループ化されたことだ。ここでもiOSからの借用が行われていて、通知がグループごとに積み重ねられるようになった。積み重ねられた通知をタップすると、下に向かって展開される。左肩に表示された「X」をクリックして通知を消すこともできる ―― だがやはり、もしスワイプして消すことができれば、もっと満足できるだろう。また、通知項目と対話する機能も注目できる。通知の中から、直接メッセージに返信したり、ポッドキャストを聴くことができる。ワークフローの一部としてそうした機能をすでに使用している人にとっては、これは素晴らしい機能追加だ。

画像クレジット:Brian Heater

システムはまた、新しいウィジェットを通知と同じ列に追加して、最新バージョンのiOSのやり方に寄せている。現在、このウィジェットには、カレンダー、天気、ポッドキャストなどのApple製アプリと、App Storeを介して利用可能な追加のウィジェットが含まれる。ウィジェットの追加と削除、およびサイズ変更を行うことができる。十分な余地のある画面では、他のアプリケーションで作業している間、開いたまま固定するために、それらを最上位にピン留めしておくことができれば便利だろう。

サウンドも、全体的にアップデートされている。新しく録音された起動チャイムと同様に、変更はほとんど微妙なものだ。より顕著な変化は、ファイルの移動を行うときなどに感じることができる。素敵なハミングサウンドだ、これはこれまでの、冷たいバネのような音よりも快適だ。以下の動画には、私にはまとめる時間がなかったサウンドのすてきな一覧がまとめられている:

Apple製アプリには、いくつかの重要なアップデートが加えられている。Safari(サファリ)のアップデートはその中でも、ウェルカムページを始めとして、最大のものだ。バックグラウンド画像は、自分のライブラリにあるものや、Appleが事前に選択した写真を使って設定することができる。もう少しダイナミックなものがあると良いのだが。たとえば事前に手作業で選んでおいた画像やAIを使ってライブラリから選んだ最高の画像を順番に切り替えてくれるとか。まあとはいえ今回の実装は良くできているし、タブをオープンしたときに馴染みのあるものが目に入るのは好ましい(私の個人的なケースでは、私のアパートに家賃も払わずに住んでいるウサギの画像だ)。

画像クレジット:Brian Heater

さらに、ホームページのカスタマイズとして、お気に入り、頻繁に訪問するサイト、リーディングリスト、さらにはSafari がブロックしたトラッカーの数などがわかるプライバシーレポートなどを表示することができる。プライバシーレポートをクリックすることで、ブロックされた特定のトラッカーの詳細プロファイルや、トラッキングを行っているサイトが表示される。どうやら私のコンピューターからSafariを使って訪れたサイトの80%はトラッカーを使っているようだ、うげっ。

Safariに組み込まれた翻訳機能は、Chrome(クローム)に対抗するための素晴らしい一歩だ。翻訳サービスの分野ではGoogle(グーグル)が長年のリーダーを務めてきていた。AppleのブラウザSafariは、モバイルでは大きな市場シェアを持っている(iOSのデフォルトのブラウザであることが大きな理由だ)が、デスクトップ市場の調査では、シェアは8〜10%のどこかに落ち着くことが多い。とはいえ、現在翻訳機能はベータ版であり、現在翻訳されるのは、英語、スペイン語、簡体字中国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、ブラジルポルトガル語などに限られている。もちろんAppleがそのリストを更新し続けることは間違いない。

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私が高く評価したいのは、タブの上にマウスを置くと表示される、ウェブサイトのプレビューだ。これは、タブを使いすぎる傾向のある私たちにとって、素晴らしい追加機能だ。今では多くの、いやほとんどの人がそうした傾向を持っているのではないかと思う。またAppleは、タブにサイトのファビコンも追加した。これもまた、サイトを素早く識別する役に立つはずだ。

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内部の改良も同時に行われ、サイトのレンダリングが速くなり、電力利用効率も向上した。Appleは、Safariを使えば、Firefox(ファイアフォックス)やChromeに比べて、ストリーミングビデオの再生時に、バッテリー寿命を最大3時間程度伸ばせるはずだという。これはとても大きな違いのように見えるが、間違いなくApple製ソフトウェアを使用する利点はあるだろう。たとえ同社が今でもデスクトップ市場のシェアを広げるための、急坂を登っている最中であるとしても。「マップ」は、AppleがGoogleからかなり厳しい競争を強いられている、また別の場所だ。最新データでは、Googleマップは67%前後の市場シェアを握っている。Appleからの提供は、明らかに遅いスタートだったが、AppleはGoogleに追いつくためにかなり必死の努力を重ねている、そして今では、いくつかの点ではGoogleを上回るようになった。

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もちろん、そうしたアップデートの多くは、パンデミックが起こっていないときならもっとチェックしやすいものだ。まあしばらくの間は、360度ルックアラウンド機能(Apple謹製Googleストリートビュー対抗機能)のようなもので、代わりに楽しむのが良いだろう。機能は比較的限られているものの、屋内マップも使える。空港や屋内ショッピングモールなどの一部のスポットで、その機能をチェックすることができる。その他の主な追加には、充電ステージ経由の移動を計画できる電気自動車ルート案内、サイクリングルート案内、主要都市の渋滞地域に関するマップなどがある。

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「メッセージ」へのアップデートのいくつかは、ここで言及する必要があるだろう。その多くは、iOSの最新バージョンでも導入されたものだ(OS間で同等性が実現されることは稀だったが、おそらく今後はより一般的になるだろう)。今回の場合、なぜAppleがこうしたものを一度にロールアウトしたかったのかは明らかだ。

このアップデートにより、デスクトップ全体でのメッセージの堅牢性が向上した。追加された機能には、ミー文字エディタやスタンプ、紙吹雪やレーザーなどのメッセージ効果、改善された写真選択機能などがある。会話はアプリの上に固定でき、グループチャットは改善されて、グループ写真、特定のメッセージへのインライン返信、@記号でユーザーに通知する機能などが含まれるようになった。それはSlackの代替ではないし、そうなろうともしていない。

ベータが数ヶ月続いて、Big Surはついに皆の手に届いた。アプリやシステムへの重要なアップグレードが目立つが、Appleの視点から見てさらに重要な点は、ARMを搭載したMacの最初の基礎を築き、同社の主要な2つのオペレーティングシステム間の統一に向けてその行進を続けているということだ。

関連記事:

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・Here’s everything Apple announced at the ‘One More Thing’ event today(未訳記事)
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(翻訳:sako)

Apple Podcastのウェブ埋め込みが可能に

Apple(アップル)はウェブ経由でポッドキャストを簡単に見つけ、聴くことができるようにする。同社は米国時間11月16日、Apple Podcastsの埋め込みウェブプレーヤーが利用可能になったと発表した。クリエイター、リスナー、マーケターを含む誰もが、Apple Podcastsサービスで利用可能な150万以上の番組の埋め込みコードを生成できるようになる。

コードはウェブ上のApple Podcastsのプレビューページ、またはApple Podcasts Marketing Toolsのウェブサイトから生成できる。

前者の場合、まず番組または個々のエピソードのプレビューページで共有アイコンをクリックする。​すると、左側に新しい「embed(埋め込み)」ボタンが表示される。

後者の場合は、Marketing Toolsのウェブサイトに埋め込みたいポッドキャストやエピソードのURLを入力し、ページの一番下までスクロールして埋め込みプレーヤーのオプションを表示する。

プレイヤーの高さと幅のオプションを自分の好みに合わせて調整することも、デフォルトの450×660ドットのままにしておくこともできる。コードを取得する準備ができたら「Copy Embed(埋め込みをコピー)」ボタンを選ぶだけで、クリップボードにコードがコピーされ、他の場所に貼り付けることができる。

閲覧者は組み込みウェブプレーヤーからエピソードを再生したり、iOS、iPadOS、またはmacOS用のApple Podcastsアプリケーションを開いてプログラムの詳細を確認したり、既存のポッドキャストサブスクリプションに追加したりすることで、すぐにポッドキャストが楽しめる。

この新機能は、アップルがお気に入りのオーディオ番組をフォローするために独自のアプリを使用しているポッドキャストリスナーの聴衆を維持し、成長させることを目的としている。さらに現在はSpotify(スポティファイ)に代表されるライバルが、ポッドキャストへの投資を増やしている最中だ。Spotifyはポッドキャストスタジオや広告技術の買収を続ける一方で、ポッドキャストのクリエイターやリスナーのためのツールや機能も追加している。Spotifyもすでにポッドキャストの埋め込み機能を提供しており、ユーザーを自社サービスに誘導しようとしている。

アップルによると、Apple Podcastsのウェブ埋め込み機能は米国時間11月16日から広く利用できるようになるという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Appleポッドキャスト

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

​Appleが先週から起こっていたGatekeeperの脆弱性を修正

​Apple(アップル)は、先週起こったmacOSのGatekeeperバグの再発を防ぐ次のステップを説明する同社ドキュメントページ(Appleサポートページ)を更新した。Rene Ritchie(レナ・リッチー)氏が発見している(Twitter投稿)。アップルは来年にかけて修正を実施する計画だという。

先週、アップルは厳しい配信日を迎えた。​同社はmacOSのメジャーアップデート「macOS Big Sur」(未訳記事)をリリースしたが、その後、アップルはサーバー側の問題に悩まされた。

​今回の問題は、Macがサードパーティ製アプリケーションを開発者認証を確認できない(未訳記事)ために起動できないというものだ。この機能はGatekeeperと呼ばれ、正規のアプリを装ってマルウェアアプリをダウンロードしていないことを確認してくれる。証明書が一致しない場合、macOSはアプリを起動できないようにする。

現在、​多くの人がセキュリティ機能のプライバシーへの影響を懸念している。​アップルは、ユーザーがMacで起動したすべてのアプリのログを残し、アプリの使用状況に関する情報を集めているのだろうか?

サーバーは暗号化を義務付けていないため、その疑念に関する回答は簡単だ。Jacopo Jannone(ヤコポ・ジャノーネ)氏がこの暗号化されていないネットワークリクエストを傍受し、アップルが密かにユーザーを監視していないことを突き止めている(Jacopo Jannone氏ブログ)。Gatekeeperは本当にいわれていることを行っているだけだった。

​​「これらのチェックから得たデータを、アップルユーザーやそのデバイスに関する情報と組み合わせたことはありません。チェックから得たデータを、個々のユーザーがデバイス上で起動または実行しているものを知るために使用することはありません」と同社は記している(Appleサポートページ)。

アップルはさらに一歩進んで、同社の次のステップについても伝えている。​同社は先週から、サーバー上のIPアドレスの記録を停止している。​Gatekeeperのためにこのデータを保存する必要はない。

「これらのセキュリティチェックには、ユーザーのApple IDやデバイスのIDは含まれていません。さらにプライバシーを保護するため、開発者IDの証明書チェックに関連するIPアドレスの記録を停止しました。収集されたIPアドレスがログから削除されるようにします」とアップルは書いている。

​最後に、アップルはネットワークリクエストのデザインを見直し、ユーザー側のオプトアウトオプションを追加している。

それに加えて、今後1年間でセキュリティチェックにいくつかの変更を加える予定です。

​・開発者ID証明書の失効チェックのための新しい暗号化されたプロトコル
​​・サーバ障害に対する強力な保護
​​・ユーザーがこれらのセキュリティ保護からオプトアウトするための新しいプリファレンス

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ApplemacOS

画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Apple HomePod Miniレビュー、もっと早く登場していたら、小さな躯体で驚くサウンドを楽しめる

HomePod Miniが数年前に登場していたらスマートスピーカーマーケットはかなり違うものになっていたかもしれない、という気がしてならない。見たところこのデバイスはさほど革新的ではないが、Apple(アップル)が約3年前のオリジナルモデルの立ち上げ時とかなり異なるアプローチをとっていることを否定するのは不可能だ。

アップルは、ハードウェアのコストに敏感な企業ではない。「アップル税」というような言葉は何もないところから湧き出しはしない。しかしここ数年で同社は、クリエイティブ系のプロという同社が従来得意としてきた顧客以外のユーザーにアピールしようと、そのアプローチを軟化させてきた。iPhoneやApple Watchでは、エントリーレベルのユーザーに積極的にアピールしてきた。そしてスマートスピーカーでもその路線を踏襲したまでのことだ。

Echo DotとGoogle / Nest  Home miniが、それらを展開している各社にとってよく売れているスマートスピーカーであるという事実を踏まえ、HomePod Miniの発売はほとんど不可避のものだった。そしていま、アップルは世界のスマートスピーカーマーケットの一角を取り込もうとしている。現在はAmazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)がそれぞれ40%のシェアを持っている。HomePodにとっては苦戦となるが、Miniはこれまでで最も強いプッシュとなる製品だ。

2018年初めに(遅れて)発売されたHomePodは多機能だった。しかし安いという人は皆無だ。349ドル(約3万6500円)という価格はアマゾンとグーグルの最も高いモデルよりも数百ドル高かった(日本では現在、税別3万2800円)。HomePodはプレミアムデバイスで、まさしくそれが売りだった。音楽は常にアップルの哲学の基礎であり、そしてHomePodはそれを表現する、同社の手抜きなしの製品だった。

画像クレジット:Brian Heater

Matthew(マシュー)は David Foster Wallacesqueの「4行」レビューに「アップルのHomePodは明らかにこれまでで最高のサウンドのスマートスピーカーだ。このクラスのどのスピーカーより、セパレーションやベースのレスポンスが改善され、7年間におよぶアップルの努力に報いるニュアンスと繊細さを備えている」と書いた。

マシューは限定的なSiriの機能を嘆く一方で、「驚くほど多機能で、徹底して感動的だ」とした。概して、HomePodはそうあるべきという点で素晴らしいものに仕上がった。しかし世界で最も売れているスマートスピーカーになる、ということは決してなかった。この価格では無理だ。その代わり、単にスマートアシスタントを利用できるようにするデバイスではなく、全体としてスマートスピーカーはどうあるべきかを業界に示すことになった。したがって、アマゾンとグーグルの直近のプロダクトにおける最大の関心事はサウンドだ。

主にアマゾンとグーグルはよりサウンドにフォーカスするようになり、アップルは価格を気にするようになった。しかし企業がどこかで妥協したといっているのではない。単純に「Apple Echo Dot」という話でもない。HomePod Miniはそれでも多くの点でユニークなアップル製品だ。その価格にしては比較的プレミアムな体験を提供するのにフォーカスしている。

99ドル(日本では税別1万800円)という価格もポイントだ。どちらかというと懐に優しいタイプより、スタンダードのAmazon EchoとGoogle Nestと競合する。Amazon EchoとGoogle Nestはおおよそ半分の値段で、いずれも頻繁に、そしてかなり割引される。実際、それらデバイスのカテゴリーはリーダー不在に近い状態となりそうだ。スマートスピーカーは、スマートアシスタントをユーザーの家庭に送り込むすごく安い方法だ。アップルはそうしたアプローチにさほど関心はないようだ。少なくとも当面はそうだ。アップルはいいスピーカーを売りたいのだ。

HomePod Miniは驚くほどいいスピーカーだ。価格においてだけではなく、サイズ的にもそうなのだ。Miniは新しいEcho Dotとほぼ同じ大きさで、おおよそソフトボール大だ。ただし、この2つのスピーカーのデザインにはいくつかの鍵となる違いがある。まず最初に、アマゾンは完全円球デザインを邪魔しないように、Echoのステータスリングをデバイスの底に移した。一方、アップルは単純にトップ部分を切り落とした。このデザインが何を連想させるか考え、浮かんだのがネットを被せられたリンゴだ。

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このMiniのデザインは、オリジナルHomePodの流れを汲んでいる。Siriが起動しているときは上部のライトがオーロラの光を放つ。また、タッチ操作できる音量ボタンがあり、表面をタップして音楽の再生・一時停止操作もできる。グーグルやアマゾンのここ数世代のプロダクトで主流だったファブリックスタイルの表面ではなく、MiniはフルサイズのHomePodと同様、オーディオ伝導性のあるメッシュ状の素材で覆われている。

他のスマートスピーカーと異なり、Miniのカラーは白とグレーで、目立たせるというより調和する感じだ。もちろんHomePodよりずいぶん小さいことで、用途をかなり広げている。筆者はアップルが送ってきた2つのMiniの1つを自宅の机に置いて使ってきたが、理想的なサイズだ。硬いプラスティックでできている底にはアップルのロゴが入っている。

Miniには取り外し不可の長いファブリックケーブルがついている。ユーザーがコードを取り外すことができ、必要に応じて交換できればよかったのだが。しかしケーブルの端子はUSB-Cで、かなり便利だ。また20W電源アダプターも付いてくる。AUX端子が搭載されていないのは残念だが、驚くことではない。スタンダードのHomePodにもない。

画像クレジット:Brian Heater

アマゾンは新しいEchoを前向きスピーカーに変更した一方で、アップルは360度サウンドを継続している。どちらを好むかはスピーカーをどこに置くかにもよるが、このモデルはより万能型だ。特に1日中、スピーカーの前に座っているわけではない場合はそうだろう。筆者はこれまでさまざまなスマートスピーカーを使ってきたが、アップルが3.3インチのデバイスで可能にしたサウンドに本当に感激している。

このサイズにしては完全でクリア、そして驚くほどパワフルだ。もちろんステレオペアを作れば、その性能は倍になる。箱から出して、ペアリングするのは簡単だ。2台のデバイスを家の中の同じ部屋でセットアップすると、ペアリングしたいか聞いてくる。その後は、どちらが右チャンネル、あるいは左チャンネルを担当するのかを決める。もし音楽を広範に流したいのなら、それぞれのスピーカーを異なる部屋に配置することでマルチルームオーディオになる。そしてあなたは「Hey SIri、キッチンで音楽を流して」「Hey SIri、あらゆるところで音楽を」などというだけでいい。想像できただろうか。

実際、iPhoneを使ってのセットアップ作業はかなりシンプルだ。AirPodsのペアリングとよく似ている。スピーカーの近くにスマホを置くと、セットアップ作業の間、お馴染みの白いポップアップが部屋の選択や音声認識をオンにするなどの操作を案内する。

Miniは結構大きな音を出す。しかしクリアサウンドと本当に大きな音量を求めているなら、オリジナルのHomePodのような大型の(そして値段の高い)ものを検討することを強くすお勧めする。ただ、クイーンズにある筆者のワンベッドルームの家のリビングにはMiniはバッチリで、部屋のどの角度からも素晴らしい音が聴ける。

スマートアシスタントに関しては、Siriはベーシックなタスクをこなす。アップル独自のエコシステムを使えるようにするいくつかの仕掛けもある。例えばSiriに画像をiPhoneに送るよう頼むと、SiriはBingの結果を使って対応する。ただし、実際のところ、スマートホームアシスタントに関してはアマゾンとグーグルがかなり先に進んでいて、アップルはまだ遅れをとっている。

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しかしながら、最新の重要な進歩もいくつかある。特に Home / HomeKitに関してだ。直近のiOSアップデートではいくつかのスマートホーム更新があった。14.1ではHomePods用のインターコム機が加わり、14.2では同機能が他のデバイスでも使えるようになった。なので、「Hey SIri、みんなにインターコム。夕食の用意ができた」というと、その言葉がさまざまなデバイスに送られる。この機能はアマゾンとグーグルが提供しているものと似ているが、事前録音されたユーザーの声のスニペットをデバイスに送ることで幅広いアップル製品で使えるようになっている。

このシステムはHomeKit対応のデバイスで使える。AlexaとGoogleアシスタント対応のものに比べるとその数は少ないが、増えつつある。対応するスマートホームデバイスのリストはここでチェックできる。

画像クレジット:Brian Heater

音楽が大音量で流れていても音声認識の音声への反応はかなりいい。Siri以外にもデバイスとやりとりする方法はいくつかある。音楽を再生・一時停止するにはトップ部分を1回タップする。トラックを進めるにはダブルタップ、前のトラックに戻るにはトリプルタップだ。しばらくタッチすることでSiriを起動できる。他のスマートスピーカーと異なり、マイクをオフにする物理的ボタンはない。オフにするようSiriに頼むこともできない。デバイスは「Hey SIri」というトリガーだけを聞いていて、オーディオは保存されない。しかし、さらなる安心感を得るのにスピーカーオフの機能があればいい。

またAirPlay 2を使ってiPhoneから音楽を操作することもできる。これは筆者の好きな方法だ。というのも、筆者は音楽のことになるとややうるさい。音楽操作のためにはAirPlayボタンを押す必要がある。それか、U1チップ(iPhone11以降)を使っているハンドオフ機能を最大限活かすために単にHomePod Miniの近くでiOSデバイスを持つこともできる。これはすてきな小技だ。

しかし、Apple MusicよりもSpotifyに慣れている人間として筆者が少しつまずいたのは、HomePodに音楽を流すように命令すると、1つのストリームとしてすべてのApple Musicリスニングセッションを扱うのではなく、最後に声で再生をリクエストしたものを選ぶようになっていることだ。筆者はこの点では、Spotifyの統一されたクロスデバイスアプローチを好む。

画像クレジット:Brian Heater

とはいえ、iOS 14.2の追加でユーザーの集められたリスリング履歴(アップルのポッドキャストと音楽)を、HomeアプリにあるHomePodを長押ししてアクセスできる1つのストリームに持ってこれる。すると、アルバムやポッドキャストを自動的にスマートスピーカーに送るためにタップできるようになる。

結局、筆者はこの小さなスマートスピーカーとの時間をかなり楽しんだ。前述したように、もしアップルが最初のHomePodとともにMiniを立ち上げていたらどうなっていただろうと考えずにはいられない。アップルがマーケットシェアを独占するには至っていなかっただろうが、Miniはアマゾンとグーグルのリード分を取り込んでいたかもしれない。アップルは、おそらく正しい製品にするために、時間をかけた。それはもちろん理解できることだ。同社はこれまで、急いで商品化に走るタイプの企業では決してなかった。だからこそHomePod Miniは素晴らしいものになっている。

関連記事:2021年のスマートスピーカー市場は21%成長の予想、安価なHomePod miniがアップルの市場拡大に貢献か

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleHomePod miniスマートスピーカーレビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:Mizoguchi

iPhone 12 miniレビュー、小型ながら主要機能に省略がない近年最高のコスパモデル

iPhone 12 miniとiPhone 12 Pro Maxを同時にレビューするなんて、超ハードなエクササイズだ。以前行ったiPhone 12とiPhone 12 Pro(未訳記事)のレビューでは、もっと極端な比較対象がないとミドルクラスモデルの評価は難しいと書いた。

そして今回は、そんな極端な比較対象を調べることになった。2020年、上から下まですべてのモデルを揃えてくれたApple(アップル)に、いまさらのように感心している。これらのスマートフォンはサイズも妥当だし、すっきりとしたデザインで機能も豊富だ。いくつかの小さなものを除けば、人を無理やり上位モデルに誘惑するような露骨なしかけは、価格に関しても機能に関しても存在しない。これまではそれが業界の定石だった。

2020年に発売されるすべてのiPhone 12の中で最も印象的なのは、間違いなくiPhone 12 Pro Maxだろう。その大きなディスプレイと美しい筐体はとても魅力的で、私がこれまで見た中で最高のカメラを搭載している。

しかし私の考えでは、ラインナップの中でiPhone 12 miniが最も魅力的な製品だ。それは、ただ小さなスマートフォンが欲しいという人たちの外で自らを強く主張するダークホース的な存在になっている。

サイズ

iPhone 12 miniはiPhone 12より20%小さく、18%軽くてiPhone 11の約半分のサイズとなっている。これは人の手にぴったり収まるで、ホームボタンがないため、同時に表示できるコンテンツの数も多い。

私は手が大きいためiPhone 12の方が快適だが、それでもうれしいのは、iPhone 12 miniのタイピングが、4.0インチの初代iPhone SEよりもずっと良いことだ。2020年初めに登場した4.7インチの二世代目のSEよりも良い。幅は同じだが背が高いため、筐体は小さいがディスプレイは大きくなった、というSFドラマ「ドクター・フー」に登場するTARDISのトリックのようになっている。これにより絵文字キーボードを切り換えられるし、音声入力ボタンをキー配列の外に置くことができた。そしてリターンキーやスペース、数字キー切り換えなどにもゆとりがある。キーサイズが拡大し、特にスペースバーが大きくなったことでタイピングが楽になった。キーボードスペースのサイズはiPhone 12よりやや小さいが、日常的なタイピングには十分だ。画面表示が似ているiPhone 11と比べても、コンテンツの量もほぼ同じだ。

iPhone 12 miniをPro Maxの上に乗せてみた

レンダリングといえば、iPhone 12 miniではスケールされている。つまり、「本来」の解像度2340×1080を0.96倍で表示する。しかし実際に見てみると、そのスケーリングは気にならない。miniは460ppiのiPhone 12より画面が小さいため解像度は476ppiとなり、スケーリングに気づかなくてもそれほど意外なことではない。アップルは長い間、拡大機能で積分スケールしてきたため、多くの実績がある。人工的な効果やスクロールにそれがあったとしても気づかないし、多くのアプリが正しいバランスであるように見える。しかしさまざまなスクリーンサイズをサポートするアップルのネイティブのフレームワークを利用しない開発者が、自分であれこれいじることはあるだろう。

iPhone 12 miniは、軽量コンパクトという点でも優れている。133gの12 miniは140gのiPhone 4Sよりもやや軽い。iPhone 5は112gなので比べると重たくなる。12 miniはこれらの伝統をすべて共有していながら、もっとしっかりしていて一体感がある。iPhone 12の設計は、初期のデバイスのように複数の素材をサンドウィッチしたものではない。そのため作ったというより、育ったと感じる。

この統一された品質は、わずか1mmの差が重要な小さなデバイスにとって奇跡的なものだ。アップルは手を抜くことなく、その高性能な内部に相応しい筐体、デザインを与えているようだ。しかしながら、iPhone 12 miniのスピーカーとマイクロフォングリルは非対称だ。これには少々がっかりしてしまう。

性能に関して、iPhone 12 miniはすべての点において充実している。熱管理とスケーリング、電力管理のためアップルはプロセッサーにやや手を加えざるを得なかったようだが、ベンチマークを見るとそれらは十分帳消しになっているようだ。実際に使ってみても、iPhone 12 miniとその他のiPhone 12シリーズの違いを感じる機会はゼロだろう。

ついでにいえば、iPhone 12 miniはRAMが4GBでiPhone 12と同様だ。iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxは6GBとなっている。私の経験によると、iPhoneのRAMが大きいほど良い最大の理由は、バックグラウンドにおけるタブの廃棄が少なくなること(キャッシュを多用できる)だ。仕事でブラウザを酷使する人は、その点を考慮しておこう。

写真を撮る者にとって、iPhone 12 miniは基本的にiPhone 12と変わらない。「miniにはない」というものはない。素晴らしいカメラだ、といえばそれで終わりだ。世界最高のスマートフォンカメラだが、望遠レンズはない。

iPhoneをカメラ中心で使う人がiPhone 12でなくiPhone 12 Proを選ぶ最も明確な理由が望遠レンズの有無だろう。iPhone 12にも望遠レンズはない。望遠レンズがないことで、後悔する人もいるかもしれない。また12 ProにはLiDARセンサーも搭載し、その違いは大きい。

私のiPhone 12 Proのレビューから引用すると、どのモデルを購入するかその選択方法は、Macの「写真」でスマートアルバムを作ったり、メタデータが読めるツールで「望遠レンズで撮影」を指定して写真をソートすることだ。昨年撮った中でそんな写真が多ければ、望遠の撮れない人生が果たして楽しいか、すぐにわかる。

私の場合は、iPhone 11 Proで撮った写真の約19%が、望遠で撮ったものだ。そのほぼ30%がポートレート(縦長)なので、私の写真はおよそ5枚に1枚がそのかっちりとしたフレームで撮ってることになる。望遠を使うのであれば、周囲のトリミングを最初からもっと正確に行いたいし、近いものは長い焦点距離でできる圧縮をもっとかけたい。

4K / 60fpsの動画はできないが、この超小さいデバイスで4K / 30fpsのDolby Visionの動画を撮影できるのはすごい。これは一般的なユーザーがiPhone 12 miniに期待するものを超えている。

アップルによると、iPhone 12 miniのバッテリーは4.7インチの現行iPhone SEよりも長いという。私が試しても確かに長いし、楽に1日はもつ。iPhone 12と比べても、miniは数パーセント上だろう。今回、バッテリーに関してキングであるiPhone 11と比べる時間的余裕はなかったが、ハードウェア的に見ても、王座の奪回は無理かもしれない。なにしろminiは小さい。搭載するバッテリーパックも小さく、プロセッサーを大幅に減速していることもありえない。iPhone 12 miniは20WのMagSafe充電器で12Wで充電する。小さいから15Wは必要ないし、それでも充電のスピードは大きなiPhone 12と変わらず発熱量も少ない。発熱は小さな筐体ではいつも問題になる。

iPhone 12 mini用のレザースリーブを試すこともできた。まぁ良くできたスマートな製品だが、ポジティブな意味で私向きではない。常にiPhoneを使っているため、いちいちケースから出し入れするようなゆとりがない。もしそれをやったら、無駄なエクササイズになるだろう。しかしケースを必ず使う人にとっては、アップルが革製品でも優秀な技術を蓄積していることがわかる機会になると思う。巧妙な留め金も含めて、全体にとてもすっきりしている。手触りも良い。

またレザースリーブには、アップルのMagSafe充電器を使うとOLEDに時刻を表示する窓も開いている。周辺光センサーのためのスペースもある。時刻表示も、なかなか利口だ。明るい背景色はスリーブのレザーの色とマッチしている。そのために使っているNFCのトリックは、シリコン製ケースが、iPhoneを置いた場所と同じ色のリングを表示するときと同じだ。時刻表示は数秒に1度ずつ二段階でフェードインするが、周辺光センサーがポケットの中でないことを知り、A14内のモーションコプロセッサーが動きを感知すると点灯する。

そのため、ちょっと持ち上げただけで時刻がわかる。また、時刻のウィンドウをタップしてカラーがマッチした時刻表示を見ることもできる。

そしてこのスリーブには、クレジットカードやIDカード用と思われるカードスロットがケースの口のところに隠れている。これも私向きではないが、小さなケースに、目に触れないものも含めて大量の仕かけを盛り込んだのはすごいことだ。今後発売されるであろうより高度なMagSafeアクセサリーのお手本かもしれない。

結論

iPhone 12 / 12 Proのレビューには、私が個人的なデバイスを選ぶときのワークフローを述べた。

  • コンパクトで出しゃばらない形状
  • お金が許すかぎり良いカメラ

そして以下が、現時点における私の結論となる。

iPhone 12 Proは、iPhone 12 Pro Maxでカメラに関してはトップの存在になった。アップルがこれまでに開発してきた中で、最大・最良のセンサーを搭載している。本体サイズも最大だ。そんなiPhone 12が、小型バージョンのiPhone 12 miniで精密にクローンされている。上に挙げたシンプルなワークフローに照らし合わせれば、どれか1つが、私がテストしたiPhone 12、12 Proのどちらよりも、12 Pro Maxか12 miniを選んだ方がいい。最良の妥協点を探るならiPhone 12 Proだ。Pro Maxではない。

現在、12 Pro Maxと12 miniの両方が手元にあるので、私の考えは変わっていないといえるが、ラインナップの定義に関しては少し変わっている。

iPhone 12 miniは、iPhone 12の機能面で大きな妥協がないため、私はこれらを「小さいながらも、大きく使える2つの画面サイズを持つ1つのデバイス」と見なしている。こんなことをいうと馬鹿にされることは百も承知だが、私はこれをminiをかなり使い込んだ後にいっているのだ。決め手になったのは、タイピングの感覚だ。

iPhone 12 miniは、アップルの2020年ラインナップにおいて断然コスパが良い。iPhone 12のパワーと最新技術をすべて備えており、ないのはiPhone 12 Proの望遠レンズと60fps / 4Kの動画撮影、そしてiPhone 12 ProとMaxの新しいセンサーだけだ。これらの機能を追加すると300〜400ドル(約3万1500〜4万2000円)のコストがさらにかかることになる。

iPhone 12にするかiPhone 12 miniにするかを選択する決定的な要素は何だろうか。人間工学的に小さなディスプレイが必要な人なら、中心的な機能に妥協のないデバイス(12 mini)がある。では、それほど小柄でもない人にとって決定要因は何だろう?

それは、こんな意思決定フローになるだろう。

  • iPhoneが唯一のカメラで、頻繁に写真を撮る人ならiPhone 12 Pro
  • iPhoneを使っているフォトグラファーで、画像のプリントや編集をいつも大量にする人な、iPhone 12 Pro Max
  • 上のどちらでもないがiPhoneが唯一のモバイルコンピューティングデバイスならiPhone 12
  • コンピューティングにはノートパソコンやiPadを携帯し使っているが、その他にもiPhoneを常に持ってる人ならmini

ワークフローの方がわかりやすい、という人がいるかもしれない。

2020年はiPhoneのラインナップにとって最良の年の1つだ。主要な選択要素はカメラと画面サイズだけであるためシンプルでわかりやすいし、パワーや主要な機能で大きな妥協をしていない。どれも、機能が完全に揃ったデバイスで、大から小まですべて良くできている。

このようなサイズを軸とする系列化は、今後カメラの技術が向上しして、上のワークフローのカメラ部分が当てはまらなくなるまで、ずっと続いて欲しい。それまでiPhone 12 miniはアップルが作り上げた最良の「小型」iPhoneであり、しかも妥協の少ない製品であり続けるだろう。

関連記事:iPhone 12 Pro Maxレビュー、プレミアムモデルには扱い難さを乗り越える価値がある

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPhoneレビュー

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPhone 12 Pro Maxレビュー、プレミアムモデルには扱い難さを乗り越える価値がある

iPhone 12 Pro Max は、おそらく新しいiPhone 12モデル(未訳記事)の中で最も簡単にレビューできる製品だ。それは巨大で、本当に素晴らしいカメラを備えている。真の最高ではないとしても、おそらくスマートフォンが採用してきたものの中では最高のカメラの1つだ。すでにiPhone「Max」や「Plus」モデルを使ったことのある人にとっては、考えるまでもない。手に入れよう、それは素晴らしい製品だ。今年Apple(アップル)が提供すべきものがすべて備わっていて、しかもiPhone 11 Pro Max よりも少々薄型だったりするのだ。

まだMaxやPlusを使用したことがない、その他大勢の「サイズ拡大候補者」に対して、このレビューがお答えしたいのはたった1つの疑問への答えだ。Pro Maxが提供するカメラとスクリーンサイズとそしておそらくはバッテリー寿命の改善は、スリムとはいえグラマラスなボディがもたらす人間工学上の取り回しの課題に見合うものなのだろうか?

答えは?もちろん見合うものだ。ただし、それは特定の条件でのみ成り立つ。詳しく見ていこう。

仕上がり

ここでは、iPhone 12 Pro Maxのパフォーマンスに多くの時間を費やすつもりはなく、機能ごとに詳しく説明することもしない。iPhone 12とiPhone 12 Proに関するレビューは既にこちらに(未訳記事)掲載してあり、また米国時間11月9日はiPhone 12 mini(未訳記事)についてのレビューも掲載した。ラインナップ全体の概要はそれらでチェックしてもらうことが可能だ。

この記事では、特にiPhone 12 Pro Maxと残りのラインナップとの違いに焦点を当てていく。アップルは今回、iPhone 8以来訪れていない場所に私たちを引き戻したので、この説明のやり方は理に適っていると思う。

残りのラインナップは滑らかに連続した選択肢を提供しているが、iPhone 12 Pro Maxは、iPhone 12 Proから何人かの人々を引き上げることができるようなユニークで抜きん出た特徴を取り込んでいる。

大きいサイズは、アップルがiPhone 12 Proを宝石のように見せるために行ったすべての作業を、一層引き立たせている。エッジはゴールド仕上げのスチール製で、ラミネート加工されたクリアで霜の降りたような背面には、カメラの周りのゴールドのアクセントリングや、光沢のあるロゴがあしらわれている。すべてが高級そうな雰囲気に溢れている。

おそらく読者の中には、通常はSymbian(シンビアン)やAndroid(アンドロイド)スマートフォンなどが安価に仕上げてしまう部分を「昇格」させようと上質な素材を使用した、Vertu(ヴァーチュ)のような超高級電話市場があったことを記憶している人もいるだろう。一般庶民の「上」に自らを位置づけるスーパーリッチ層のためのヴェブレン財(金持ちがみせびらかすために購入する物品)を生み出すためには、レザー、ゴールド、クリスタル、ダイヤモンドさえもが利用される。だが、アップルの材料科学実験と実現のレベルは非常に高く、他の誰からも、たとえ「手作業」によるものだとしても、この種の純粋で豪華な表現のレベルを家電品として得ることはできない。

公平にいって、Vertuや他のメーカーが死んだのは、アップルが金(きん)をうまく扱えたからではない。宝石をちりばめたその製品に、命を吹き込むためのソフトウェアがなかったので死に至ったのだ。しかしアップルは、彼らが早くに成し遂げていたものよりも、より良いものを成し遂げた。

これは素晴らしい作品であり、前述のように同じサイズの画面を持つ以前のMaxモデルよりも薄く、ほぼ同じ幅(0.3mm広い)だ。だが、私の意見では、今年の美しい直角のエッジは、このサイズの携帯電話を手に持つことを難しくしている。基本的にこれは、小さいモデルとは逆の効果だ。まあこのサイズの携帯電話の場合、誰でもケースを使うと思うので、これはおそらく杞憂かもしれない、だが指摘しておく価値はある。

iPhone 8以来日常的には使っていない、大きなiPhoneに対する私の印象は変わっていない。それらは両手で操作するためのデバイスで、タブレットもしくは場合によってはノートPCの代わりに使うようなものなのだ。携帯電話に生活のあれこれを頼ろうとするなら、ブラウザーと愉快なビデオチャットと余裕のあるキーボードのためのエリアを、一度に確保できる巨大な画面を欲しいと思うことは理に適っている。

相違点

この獣に手を出すかどうかという話をしているのだから、異なる点はひと通り挙げておくほうが親切だろう。もうしそうしなければ、iPhone 12 Proとあまり変わらないのではないかと思うかもしれない。

スクリーン:iPhone 12 Pro Maxの6.7インチスクリーンは、458ppiの解像度で2778×1284の大きさだ。それはiPhone 12 Proの460ppiとほぼ同じだが、わずかに低い解像度だ。ということで、これは違いではあるが、とるに足らない違いである。もちろん画面のサイズや、大きくなったエリアを活用するアップルやサードパーティのアプリにとっては有利なところだ。

パフォーマンス:CPUとGPUに関していえば、iPhone 12 Pro Maxは期待通りに動作する。これはiPhone 12 Proとまったく同じといえる。ボード上には12 Proと同じく6GBのRAMが搭載されている。バッテリーのパフォーマンスは私のiPhone 11 Pro Maxテストに匹敵するものだった。典型的な1日の利用には十分だが、長い移動をする日にはおそらく充電の必要があるだろう。

超広角カメラ:12 Proとまったく同じだ。ソフトウェアの修正とナイトモードの追加により、iPhone 11 Proよりも大幅に改善されたが、iPhone 12 Proのラインナップ全体では同じだ。

望遠カメラ:これはちょっと説明が難しい。なぜならこれはiPhone12 Proと同じセンサーを使っているのだが、新しいレンズ部品を使っているために結果として2.5倍(65mm相当)のズームを実現しているのだ。つまり、キャプチャ品質は同じなのだが、被写体から同じ距離、離れた状態で、よりタイトなフレーミングを実現することができる。望遠のヘビーユーザーとしては(私が昨年iPhone 11 Proで撮影した写真の3割以上が望遠を使ったものだ)、こうして手に入った調整幅とより高い倍率はとても気に入っている。

フレーミング調整はポートレートで特に効果を発揮する。

もちろん遠くの被写体でも重宝する。

どちらかといえば密かに望遠カメラに導入された更新もある(ウェブサイト上ではこれを見つけることはできなかったが、それが本当であることは検証した)。この望遠レンズは、iPhone 12の全ラインナップの広角レンズ以外では 、新しい光学手ブレ補正アップグレードを得た唯一のレンズなのだ。これは毎秒5000回のマイクロ調整を行い、低照度または日陰で画像を安定させることができる。それが利用しているのは標準的なレンズスタイルの手ブレ補正で、広角レンズで使用されている新しいセンサーシフトOISではないのだが、それでもiPhone 11 Proが行える補正量の5倍を行うことが可能で、iPhone 12 Proの補正量も上回っている。

その結果は、手持ちの屋内スナップの、上の写真で見ることができる。よりタイトなフレーミングに違いは別として、追加の手ブレ補正によって、ベースとなるセンサーが同一であっても、より細かいディテールをともなう鮮明なショットが得られている。広角に比べれば比較的小さな改善だが、望遠のヘビーユーザーであるならば、言及する価値があり、愛する価値がある。

広角カメラ:iPhone 12 Pro Maxの違いの大部分がここにある。これは、iPhoneがこれまでに撮影できていたものの限界を押し広げる、まったく新しいカメラなのだ。実際には3つの大きな変更が行われている。

  • 新しいF値1.6のカメラ。大きな口径とは、シンプルにより多くの光を入れられるより大きな穴を意味する。
  • 1.7ミクロンのピクセルを持つより大きなセンサー(ピクセルが大きいほど、光の収集力と色の再現力が向上する)。大きなセンサーほどより高品質の画像を意味する。
  • レンズではなくセンサーを安定化させるまったく新しいセンサーシフトOISシステム。これはいくつかの理由で有利だ。センサーはレンズよりも軽量で、より高速かつ高精度に移動、停止、始動が可能なため、調整をより迅速に行うことができる。

センサーシフトOISシステムは新しいものではなく、実際には2003年にミノルタDimage A1(ディマージュA1)で試験的に導入された (Twitter投稿)。しかし、ほとんどの携帯電話のカメラは、レンズシフト技術を採用してきた。なぜなら、それは非常に一般的で、非常に安価で、実装が容易だからだ。


上記3つのすべてが連携して、極めて素晴らしいイメージング結果をもたらす。またそれは、iPhone 12 Pro Maxのカメラの出っ張りを少し高いものにしている。その高さは、アップルがそれ

をカバーするために、実際に追加の出っ張りを付け加えたほどだ。私は、この追加された厚みは、センサーと新しいOISメカニズムを収容するために大きくする必要があった広角レンズ部品に直接由来しているのだと考えている。アップルは1つのカメラだけが他のカメラよりも大きく突き出すことは望まないだろう。

iPhone 12 Pro Maxは、この広角レンズで可能になった広いISOレンジを誇っている。ISO34〜7616のどこでも選ぶことができる。これにより、iPhone 12 Proよりもはるかに確実に、広い絞りと高速シャッタースピードで気軽なショットを撮影することができる。これが気にならない人もいるはずだし、何を撮影するかによって、得られなくてもよい利点だ。しかし、子供がいる人や、理想には満たない条件で動く被写体を撮影する人にとっては、それは大きく気になる点だ。これは、適切な状況下で、ピントがぴしりと合って人に見せられるか、駄目なものになるかの命運を分けるかもしれない。

ここに示したのはナイトモードのサンプルだが、その中でも明るさとシャープネスの改善を見てとることができる。アップルは、このレンズを使うことで集光能力が87%向上すると主張しているが、適切な条件下ではその主張がはっきりと裏付けられる。暗闇に近い環境の中で、一眼レフのような画像を撮影しようとすることはないと思うが(ナイトモードには限界があり、 非常に暗い場所では印象派的なものになる傾向がある)、アップルがこうしたものの改良を続けていったときには、いつかは必ずそのレベルに達するだろうということは予想することができる。

iPhone 12 Pro Maxからの広角ショットは、iPhone 12 Proよりも若干良いシャープネス、低いノイズ、より良い色の再現性を示し、iPhone 11 Proからははるかに改善されている。明るい条件下では、2つのiPhone 12 Proモデルの違い識別するのは難しいが、よく目を凝らせば、兆候を見て取ることができる。明るい日陰で手持ち撮影をしたときの、より良い手ブレ補正や、暗い場所でのノイズレベルの低さ、そして細部のシャープネスのわずかな改善などだ。

IPhone 12 Proでもすでに2019年のモデルに比べて印象的な結果を提供しているが、iPhone 12 Pro Maxはさらに飛び抜けている。これはアップルが画像に関して、一世代のうちに達成した最も素晴らしい改善だ。iPhone 7 Plusとアップルのブレンデッドカメラアレイのビジョンは先を見たものだったが、それでも画質はその年の小さなモデルと大きく異なってはいなかった。

2020年の跳躍はとても大きなものだ。このカメラがラインナップの下位にも展開していくのを待ちきれない。

LiDAR(ライダー):私はまだ本格的にLiDARの利点について言及していないが、iPhone 12 Proのレビューで詳細に行ったので(未訳記事)、ここでそれを引用しよう。

LiDARは、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Max限定の機能だ。低照度状況下でのオートフォーカスのロックインを高速化し、ナイトモードショットの広角レンズでポートレートモードを可能にする。

まず、低照度下のオートフォーカスがめちゃくちゃ速くなる。上の画像は、それを実現するために、目に見えないところで何が起こっているかを示したものだ。LiDARアレイは、アクティブな赤外線ライトのグリッドを使用してシーンを常にスキャンし、カメラが焦点を合わせるために使うことができる、深度およびシーン情報を生成することができる。

実際に、普通ならフォーカスをロックすることが非常に困難な暗い場所でも、カメラがすばやく焦点を合わせてくれる。LiDARアシストの低照度ポートレートモードは非常に印象的だが、広角レンズのみで動作する。つまり、ポートレートを撮影しようとする際に、暗すぎる場合には、ズームアウトを求める表示が画面に示される。

これらのナイトモードのポートレートは、iPhone 11の標準的なポートレートモードよりも明らかに見栄えが優れている。なぜなら11では望遠で撮影する必要があるため、より小さくて暗い絞りになるからだ。また11は、被写体を背景から切り離すのに役立つ、より明るいセンサーやLiDARの恩恵を受けることもない。そうした切り離しをRGBセンサーだけで低照度下で行うことは極めて難しい。

注意点として、このLiDAR機能は、アップルのニューラルエンジンとともに使うときには、5m未満の距離ならうまく働いて、低照度ポートレートを生み出すことができるということだ。それ以上では、光が減衰するため、あまり使い物にはならない。

iPhone 12 Pro Maxを使った明るい状態でのポートレートモードのショットの場合には、LiDARではなく、主に光学的にレンズを介して入ってくる情報に依存する。もし十分な光があれば、ほとんどの場合Lidarは必要とされないということだ。

購入機種決定ワークフロー

この先、私のiPhone 12 ProとiPhone 12miniのレビューからいくつかの文章をコピーしてくることにする。なぜならそれらのアドバイスはどのデバイスにも適用できるからだ。以上ご注意を。

私のiPhone 12/12 Proレビューでは(未訳記事)、私の個人的なデバイスを選択するための選択条件を書き出している。

  • 最もコンパクトで目立たない形状であること。
  • 手の届く値段で最高のカメラであること。

そして、以下がそのときに下した結論だ。

iPhone 12 Proはカメラの点で、iPhone 12 Pro Maxには負けている。Pro Maxはアップルがこれまで作った最大で最高のセンサーを備えているからだ(まあそのために大きさも最大に近いのだが)。iPhone 12はiPhone 12 miniの中に、正確に再現されている。私の単純な意思決定マトリックスは、私がテストしたモデルのうちで、どれが良い選択肢かを示したものだ。目標が、(iPhone 12とiPhone 12 Proの)2つの間の最良の妥協点を見つけることになった場合には、iPhone 12 Proがオススメだ。

さらにPro Maxとminiを使うことができたので、読者のための改めてささやかな決定フローを作ることが可能になった。

まだ決心を固めていないなら、私は次の2種類の人にiPhone 12 Pro Maxをお勧めしたい。スマートフォン時代絶対最高のカメラ品質を望む人と、他のデバイスではなく、多くの仕事を携帯電話上で行う人だ。Max版iPhoneに移行するには、人間工学的観点で支払わなければならない明確な「手数料」が存在している。いくつかの操作には単純に両手が必要で、片手での操作できいても不安定なものになる。

もちろん、すでにMaxカルトに自己洗脳されている場合には、この新しい製品はiPhone 11 Pro Maxからジャンプして手に入れる価値があるかどうかが疑問だろう。手短にいうならば、おそらくノーだ。それは素晴らしいものだが、写真撮影業をやっていない限り、真にぶっちぎりで優れているというわけでもない。古いものでも楽しめる。それはよくできていて、装備も満載だが、お値段も別格だ。だがストレージのアップグレードはかつてないほど安価で、なによりも本当に美しい。

さらに、iPhone 12 Pro Maxに新しい広角カメラが追加されたことで、これはアップルがこれまでに作った最高のカメラシステムとなり、おそらくこれまでで最高のサブコンパクトカメラが生み出されたのだ。わかってる、わかってる。これはかなり強い断定だ。しかしiPhoneはスマートフォンの世界ではクラス最高であり、アップルがやっているようなブレンデッドシステムやコンピュータビジョンのようなものをやっているカメラ会社は地球上に存在しないので、そうした断定も裏付けられるのではないだろうか。より大きなセンサーを持つコンパクトカメラならば、低照度状況ではまだiPhoneの撮影能力をまだ凌駕(りょうが)しているものの、アップルの機械学習に基づくブレンデッドシステムは時間とともに進化していく。

もし「手数料」を支払えるなら、これは価値あるアップデートだ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleiPhoneレビュー

画像クレジット:GettyImages

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(翻訳:sako)

Apple M1チップ搭載の新MacはeGPUをサポートせず

Apple(アップル)は米国時間11月10日のイベント(未訳記事)で、同社初のMacハードウェア向きの自社開発プロセッサーを発表した。「M1」と呼ばれるそのシステムオンチップ(SoC)は、IntelではなくArmアーキテクチャーに基づいている。これは非常に大きな切り替えであり、発表のほとぼりが冷めるにつれ、新しいMacBook AirMacBook ProおよびMac Miniのオプションに関する詳細が明らかになってきた。

TechCrunchは、最初のApple Silicon MacはeGPUをサポートしないという情報を得た。正確にどこからの非互換なのかははっきりしない。M1チップ自身がeGPUと仲良くできないのか、この日発表された3台の新型Macに関する何かなのか。

以前から消費者は、メモリー負荷の高い作業を劇的に高速化するために外付けグラフィックカードに頼ってきた。eGPUは、ノートパソコンや性能不足のデスクトップに同じ体重物階級で抜きん出た力を与えることができる。中でも、アップルの過去のノートパソコンは十分なRAMとCPU性能を持ちながらグラフィック処理能力が不足しているといわれてきた。そこでユーザーは、旧世代Mac miniに拡張RAMとeGPUを加えることでMac Proに匹敵する性能をわずかな価格で手に入れられることを発見した。しかしながらさきほど発表されたMacではいまのところ不可能だ。

本日のM1発表の中で、アップルの広報担当者はチップに統合されたGPUを繰り返し称賛したが、詳しい技術仕様は明らかにしなかった。この日発表されたバージョンのM1は7または8コアで、同社によると同等のPC向けGPUと比べて2倍のGPU性能を33%の消費電力で実現するという。これが本当なら(チップのベンチマークが終わればわかる)、このM1はモバイルチップとしては本格的なGPU性能を有することになるが、専用外付けグラフィックカードとは比較にならないため、見捨てられたと感じるユーザーもいるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルの新チップとMacは投資家を興奮させられなかった

ショーの終了時に、その価値が1985ビリオンドル(1兆9850億ドル、約208兆6000億円)だったApple(アップル)のMacイベントは、時価総額「2000ビリオン」、一般的な表現なら2トリリオン(2兆ドル)の勲章を得るために必要な最後の15ビリオンドル(150億ドル、約1兆6000億円)をもたらすことができなかった。

Appleの新M1プロセッサー一新されたノートパソコン製品群に目を光らせるだけでなく、会社の発言とともに変わる企業価値にも注目していた。アップルが世界の注目を欲しがるとき、私たちの疑問はいつもこれだ。会社が何を発表するかによって、市場が会社を見る目は変わるのか、その結果、価値は変わるのか?

答えはほぼ常に「ノー」だ。おそらくこれはアップルの新製品ラインの追加ペースが遅くなり、代わりに大きくて高価なiPhoneを作るようになって、いっそう明白になった。前者よりも後者をモデル化するほうが簡単なので、ほとんどの製品ニュースは、実際のデモを私たちが見る時のアップルの価値に織り込まれている気がする。

この日も例外ではなかったが、私は興味をもって臨んでいた。アップルが期待通り自社製チップを搭載した新しいコンピューターをたくさん発表したらどうなるだろうか?ハードウェア売上の利益率が良くなる可能性は投資需要と会社の価値を高めるのだろうか?

結果はといえば、答えは「ノー」だった。


アップルのイベントは太平洋標準時午前10時、上のグラフでは1pmに始まった。

発表中、アップルの価値は揺れ動き、まず、新MacBook Airのデモに向けて少し上がった。その後株価は下がり、新型Mac Miniはその下降を止めることができなかった。新しいMacBook Proの影響も限定的のようだった。AppleのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏が再び登場した頃、株価はその日の元値に戻った。これをどう解釈するかは読者の自由だ。

M1チップを、大手チップ会社としてのアップルの未来を、あるいはクパチーノ初の新型コンピューターを、「あなた」がどう思うかに関わらず、少なくとも投資家が新しい製品ラインに驚くことはなかった。

これでもIntelについて私たちがいえることよりも多い。アップルがM1テクノロジーを発表したその時から、同社にとってあまり良い日ではなくなってしまった。

おそらく、Apple M1の発表を知っていたアップル株主は全員、何が起きるかIntel株主に教えることができたはずだ。そうすればIntelのメンツも少しは保たれただろう。

ともあれ、アップルのホリデー製品群は出揃ったようだ。世界的都市封鎖が再び日常になる時、果たしてどんな売れ行きをみせるのか注目だ。おそらく前四半期の売行き不調を取り返すことはできるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Silicon MacではiOSアプリも動作する

米国時間11月10日、Apple(アップル)は新しいApple Silicon Macが従来より幅広い範囲のアプリを実行する能力を持つことについて詳しく話した。iOSデベロッパーがモバイルアプリのMac互換バージョンを公開していない場合でも実行できる。同社によると、新型Macに搭載されたmacOS Big Sur(ビッグ・サー)は、ユニバーサルアプリ(Apple SiliconとIntel Macの両方に対応するように作られたネイティブバイナリーを含む)だけでなく、ユニバーサルにアップグレードされていないその他のアプリも動作させることができる。

これは、新型Macが史上初めて、ユーザーのiPhone / iPadアプリを実行できることを意味している、とアップルは語った。この変革によってMacで利用できるアプリの選択肢は大きく広がる。

アップルはどうやってこれが可能になったのかをイベントで説明した。Rosetta 2(ロゼッタ2)と呼ばれる新技術が、IntelベースMac向けに作られたアプリがM1(Apple Siliconファミリー初のメンバー)上で動くのを助ける、と同社は語った。アップルは、グラフィック志向のアプリはRosetta 2を使った時のほうがIntelで動いたときよりも性能が向上するとまでいっている。

さらにアップルはイベントで、HBO MacとAmong UsといったiPhone / iPadアプリが新型シリコンMacで動作するところを披露してみせた。


アップルは他のデベロッパーが自社アプリを新型Mac対応にする計画を話しているところをビデオで紹介した。Panic、Cinema 4D、Baldur’s Gate 3、Hopscotch、mmhmm、Shapr3Dなどだ。

しかし9to5Macの記事によると、アップルはデベロッパーが新しいユニファイドアプリストアからオプトアウトすることを認めるらしい。Apple Silicon向けの新しいMac App Storeに自社アプリを提供しないデベロッパーとして9to5MacはGoogle(Gmail、Googleドライブ、Googleマップ)、Facebook(Facebook、Instagram、Messenger、WhatsApp)、Amaaon(Prime Video)、Snapchat、およびDisney+の名前を挙げている。

ただし、このオプトアウトは一時的な方策かもしれない。

アップルはユニバーサル・アプリ(Apple SiliconとIntelプロセッサーの両方に向けて作られたアプリ)について、さらに詳しく語った。ユニバーサルアプリを最初に公開する企業には、Omni GroupとAdobeが入っている。AdobeはユニバーサルバージョンのLightroomを2020年12月に、Photoshopを2021年に公開する予定だ。

ユニバーサルアプリのダウンロードは、App Storeでもウェブからでも可能になるとアップルはいう。。

もちろんアップルは自社アプリをすべてM1に最適化しており、macOSに含まれるアプリだけでなく、Pages、Numbers、Keynote、GarabeBand、iMovie、LogicPro、Final Cut Proなど、同社が提供している他のアプリも対象だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新macOS Big Surは米国時間11月12日に提供スタート

Apple(アップル)が米国時間11月10日に発表したところによると、同社の次期デスクトップおよびノートパソコン向けOS、macOS Big Surは米国時間11月12日にリリースされる。

カリフォルニアをテーマにしたMacOS Big Surには、新しいユーザーインターフェース、新機能、パフォーマンス改善が盛り込まれる。

iOS 14の機能の多くも移植されている。これには改善されたメッセージスレッドとインライン返信、再設計されたマップアプリが含まれる。macOS Big Surには新しいコントロールセンターが搭載されており、画面明るさやボリューム、Wi-FiとBluetoothへのすばやくアクセスできるようになる。

Safariにも待望の刷新が施されている。​新しいプライバシー機能とセキュリティ機能が搭載されており、ウェブ上でトラッカーが追跡するのを防ぐインテリジェンス追跡防止機能や、以前に侵入されたパスワードを使わないようにするパスワード監視機能などが組み込まれている。

macOS Big Surの動作の模様は、TechCrunchのBrian Heater(ブライアン・ヒーター)記者が8月に試している(未訳記事)。

​MacOS Big Surは、2013年以降のMacとMacBookでサポートされる。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

​新型13インチMacBook Proは新M1チップ搭載し、13万4800円から

Apple(アップル)から新しい独自チップを搭載した3つの新デバイスが登場した。新型MacBook AirとMac miniの発表に続いて、同社は13インチのMacBook Proをアップグレードした。

米国時間11月10日のイベントでアップルは、このシステムを「M1チップができる究極の表現」と呼んだ。​少なくとも、このシステムは新チップの能力の限界を押し広げているようだ。​ウェブブラウジングで17時間、ビデオ再生で20時間という長いバッテリー駆動時間を実現しており、これは同社がMacBook製品で提供している最高のスペックだ。

現時点ではベンチマークの詳細は不明だが、アップルによると以前のモデルに比べてほぼ2.8倍の性能向上と、5倍高速なグラフィックスを実現するという。またMacBook Airとは違い、内部にはファンがある。Touch Barはそのままでウェブカメラも大きくは変わらないが、同社はソフトウェアベースの性能向上をアピールしている。また、マイクも強化されている。本体には2個のThunderbolt / USB 4ポートを搭載。8GBのRAMと512GBのストレージが最低構成で、それぞれ16GBと2TBにアップグレードできる。

アップルによると、前世代と比較してM1を搭載した13インチMacBook Proでは以下のことが可能になったという。

  • Xcodeでのコードビルドが最大2.8倍高速になる。
  • Final Cut Proでの複雑な3Dタイトルを最大5.9倍速でレンダリングできる。
  • ​Unity Editorで複雑なゲームシーンを最大3.5倍の速さでスムーズにデザインできる。
  • ML作成機能でMLタスクを最大11倍高速に実行できる。
  • ニューラルエンジンの驚くべきパフォーマンスにより、djay Pro AIでリアルタイムでレコーディングからビート、インストゥルメンタル、ボーカルトラックを分離できる。
  • DaVinci Resolveで、1フレームも落とさずにフルクオリティの8K ProResビデオを再生できる。
  • M1チップのワットあたりの性能の向上により、1回の充電で4倍のコードをコンパイルできる。

MacBook Airと同様、MacBook Pro価格は据え置きだ。価格は1299ドル(日本では税別13万4800円)からで、予約販売は始まっており、来週には出荷が開始される。

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画像クレジット:Apple

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

新型MacBook AirはApple M1を搭載しバッテリー効率向上、10万4800円から

Apple(アップル)独自のシリコンを搭載した初のMacBookが登場した。長年愛されてきた薄くて軽いMacBook Airは、同社の新しいM1チップを搭載している。システムは過去数世代のMacBook Airとほとんど同じように見えるが、大きな変化のほとんどは内部で起きている。

アップルによると、システムは以前のモデルよりも3.5倍高速で、2019年に販売されたPCノートパソコンの98%よりも速いという。注目すべきは、新しいARMベースのチップはファンなしで動作する点だ。同社は長い間、バッテリー効率が新チップの大きな利点の1つだと主張しているが、それは確かなようで、15時間のウェブブラウジングと18時間の動画再生を実現している。以前のモデルが12時間だったことと比べると大きな進化を果たしている。

アップルによると、このシステムはFinal Cut Proで4K ProResビデオの複数のストリームを編集できるほど強力だという。​ファンのないシステムがどれだけ耐えられるのか、気になるところだ。

TouchBarは搭載されていないが、ありがたいことに前モデルのMacBook Airから引き続きTouch IDがを採用している。残念ながら、ウェブカメラのハードウェアは同じように見える。多くの人がビデオ会議をしている事実を考えるとアップグレードが望まれるが、アップルは720pのカメラにいくつかのソフトウェア的な改善を行ったと主張している。また本体には2つのThunderbolt / USB 4ポートが搭載されている。RAMは8GB、ストレージは256GBが最低の構成で、16GBと2TBにアップグレードできる。

アップルによると、​前世代と比較してM1搭載のMacBook Airは以下のことが可能になっている。

  • iMovieでウェブ用プロジェクトを最大3倍速く書き出すことができる。
  • Final Cut Proで3Dエフェクトをビデオに最大5倍速く統合できる。
  • Final Cut Proで初めて、フルクオリティの4K ProResビデオの複数のストリームをフレームを落とさずに再生して編集することができる。
  • Lightroomから写真を最大2倍の速さで書き出せる。
  • Final Cut ProのSmart ConformなどのMLベースの機能を使えば、クリップを最大4.3倍速くインテリジェントにフレーム化できる。
  • ​バッテリ持続時間は最大18時間で、MacBook Airとしては最長。より多くの映画やテレビ番組を観ることができる。
  • FaceTimeなどのビデオ通話時間を最大2倍に延長できる。

MacBook Airの価格は999ドル(日本では税別10万4800円か)らで、新しいMacBook ProやMac Miniと同様に予約受付が開始されており、来週から出荷が開始される。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac EventApple M1

画像クレジット:Apple

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

ARMベースMac発表イベントで、アップルの懐かしいCMに出ていた「私はPCです」氏が再登場

Apple(アップル)は、米国時間11月10日に開催したARMベースMacの発表イベントで、俳優のJohn Hodgman(ジョン・ホッジマン)氏をカメオ出演で呼び戻し、2000年代中期の同社CMのちょいと間抜けな「I’m a PC(私はPCです)」氏キャラクターとして再登場させた。彼の役割は、アップルのApple Siliconの未来に直面したIntelベースPCの慌てぶりを表現することだ。

この短編は、米国時間11月10日に開催された「One More Thing」イベントの終了後に放映された(今回のイベントでは新しいM1チップと、今後のMacBook Air、MacBook Pro、Mac Miniの新しいデザインが披露された)。ホッジマン氏演じるキャラクターは、昔なつかしいキャンペーン音楽と共に白い部屋の中に登場し、新しいマシンのパワーマネジメントをネタにして話した。

当時Mac役を務めていたJustin Long(ジャスティン・ロング)氏のカメオ出演は特になかった。ホッジマン氏の登場が単にに今回のイベントを飾るだけだったのか、あるいはアップルが懐かしいキャンペーンシリーズの計画を練っているのかは不明だ。いずれにしろ、それはアップルの人気キャンペーンを楽しく思い出させた。

下の動画の45:29からPC氏の姿を見ることができる。

カテゴリー:その他
タグ:AppleApple SiliconMacApple Mac Event

画像クレジット:Apple

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(翻訳:sako)

アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表Apple(アップル)は11月11日、ARMベースの独自システムオンチップ(SoC)として、5nmプロセス採用の「Apple M1」を発表した。

Apple M1は、CPU、GPU、Neural Engine、入出力、セキュリティなど複数技術を統合することで、より優れたパフォーマンスと電力効率を実現。5nmプロセス製造により、Apple史上最も多い160億個のトランジスターを搭載。CPU性能は最大3.5倍、GPU性能は最大6倍、機械学習では最大15倍高速になったほか、バッテリー駆動時間は1世代前のMacよりも最大2倍長く持続するという。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

2.6TFLOPS(テラフロップス)のスループット(演算性能)を持つとするApple M1は、4つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載。これら8コアすべてが連係することで高い性能を発揮でき、ワット当たりのCPU性能は世界最高としている。

4つの高性能コアは、省電力シリコンとしては世界最速のCPUコアとしており、ディベロッパーはこれまでよりも約3倍速くプロジェクトのビルドが行える。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

また高効率コアは、従来の1/10の電力で高いパフォーマンスを実現。これら4コアだけで、現行世代のデュアルコアMacBook Airと同等のパフォーマンスを発揮できるが、作業に使う電力ははるかに低く抑えられる。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

GPUについては、統合型グラフィックス機能として、2万5000近くのスレッドを同時に処理できる最大8つのコアを搭載。複数の4Kビデオのスムーズなストリーミング再生、複雑な3Dシーンのレンダリングなど、高いパフォーマンスを要求する作業を軽々とこなせるという。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

CPUとGPUでメモリーを一部共有するユニファイドメモリアーキテクチャーを採用し、ひとつのパッケージとしてApple M1にメモリーをまとめている。これにより、CPU・GPUなどが複数のメモリープール間でコピーすることなく同じデータにアクセスできるようになり、パフォーマンスと効率が一段と向上した。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

またApple M1は、毎秒11兆の演算処理が可能な16コア「Apple Neural Engine」を搭載。Apple M1のCPU、GPU、Neural Engineは、それぞれ異なるタイプの機械学習(ML)作業ができるよう設計されている上、MLパフォーマンスコントローラーがMLのタスクを適切な場所に配分するため、パフォーマンスを最大化できるという。

さらに、行列の掛け算を高速化するために作られたふたつの専用MLアクセラレーターが、1秒間に最大1兆回の演算処理を行う。Neural Engineほどの大きなパワーを必要としない、低レイテンシーのMLタスクを処理するのに最適としている。アップルがARMベースの独自SoC「Apple M1」を発表

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Apple Siliconファミリー初のチップ「M1」が登場

予想どおりApple(アップル)は米国時間11月10日、初のARMベースのラップトップとなるMacBook Air、Mac mini、Macbook Proを発表し、それにともなってARMベースのApple Siliconチップファミリーも発表している。最初にApple Siliconを発表したときに同社はあまり詳細を提供していなかったが、本日の発表ではかなり多くの情報が明かされた。このファミリーの最初のチップは、5nmプロセスで製造される「M1」である。

「私たちは10年以上も前からApple Siliconを開発してきました。これはiPhone、iPad、Apple Watchの心臓部であり、いまではMacにも搭載したいと考えています。これによりMacはApple Siliconによる驚異的なパフォーマンス、カスタムテクノロジー、および業界をリードする省電力性で飛躍的な進歩を遂げることができます」とアップルは述べている。

M1はARMチップのスタンダードを踏襲し、4基の高性能コアと4基の高効率コアを搭載される。

アップルによればM1は同社最高性能のチップであり、低消費電力の高効率コアは現在のIntel(インテル)ベースのデュアルコアMacBook Airと同等の性能を提供すると主張している(公平を期すると、MacBook Airは決してパフォーマンスマシンではない)。もちろん、高性能コアははるかに高速だ。

さらに重要なのは、これらのチップは他のシステムよりもワットあたりのパフォーマンスでも優れているということだ。

GPU側では、M1は最大8コアで128の実行ユニットを搭載する。これは最大2万4576の同時スレッドと、2.6テラフロップスのピーク性能を処理できる。アップルによると、これは世界で最も高速な統合グラフィックス体験をノートパソコンにもたらすという。

予想通り、このチップには機械学習のワークロードを加速するアップルのニューラルエンジンも搭載される。

画像クレジット:Apple

アップルが2020年初めに出荷した開発者向けユニットには、同時期に登場した2020年モデルのiPad ProでデビューしたA12のカスタム版であるA12Zチップが搭載されていた。アップルが本当に「開発者移行キット」のためにその8コアのA12Zチップを変更したようには思えないが、この開発者向けキットはエントリーレベルのMacBook Airと同等のパフォーマンスレベルを達成している。

​アップルがこのチップのデザインを自社の目的に合わせて変更したことは明らかだが、ARM自身もここ数年、サーバーとデスクトップ、ラップトップ対応チップのIPポートフォリオを構築してきたことは注目に値する。​ラップトップでは、Microsoft(マイクロソフト)が一部のSurfaceデバイスをARMベースに変更したことでいくつかの勝利を収めたが、全体的にはニッチな市場のままだ。​しかしサーバーの分野ではARMはパートナーに適切な設計を提供し、適切なパワーと性能のトレードオフでチップを構築できることを明確に示している。

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter