5G iPhone発表か?アップルのスペシャルイベントは日本時間9月16日午前2時にバーチャル開催

新しいApple WatchとiPadに関する噂はこれまでのところ大部分が外れている。当たったのはアップルの次の大きなイベントへの招待が始まるという点だ。事実、同社はは恒例の秋の(バーチャル)イベントが9月15日午前10時(日本時間9月16日午前2時)に開催されると発表した。

これはiPhone 12の到来を告げるものであり、アップルもついにiPhoneに5Gテクノロジーを採用するだろう。もちろん、今年は5G採用がスマートフォンの売り上げ伸びが鈍るのを抑える役割を期待されていたが、我々の生活のあらゆる側面同様、これも新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けた。感染蔓延は同社が新世代のスマートフォンを来週に間に合うように準備ができるのか、それともさらに別のバーチャルイベントが必要になるのかという疑問も呼び起こした。

スマートフォンビジネスには感染蔓延が大きな穴をうがったが、最近のアナリストの統計によれば、iPhoneはライバルに比べて被害が軽かったようだ。多数の産業のサプライチェーンも著しく阻害された。7月の四半期決算の電話記者会見でアップルはiPhone 12の発表が「数週間遅れる」ことを認めた。これは同社とって前例のない動きだったが、それをいうなら我々が直面しているのが前例のない時代だ。

イベントに新しいApple Watchが登場するのはほぼ間違いない。Apple Watchは引き続き同社のベストセラーアイテムとなるだろう。これまでに出た噂のほとんどは、血中酸素濃度測定機能の追加などヘルスモニター能力に関するものだった。バッテリー駆動時間を延ばすこともApple Watchにとって非常に重要なポイントだ。watchOSの最新バージョンに睡眠モニタが追加されたことを考えるとこれは必須となる。

アップルは大型ライブイベントをバーチャルで開催する要領をWWDCで確立している。数か月の準備期間があったことでもあり、9月15日のイベントも高い水準で実施されると期待できる。

画像:Apple

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが香港の国家安全法について言及

7月1日に中国政府が香港に新たな国家安全保障法を一方的に施行した後、多くの人々はこの動きを半自治区における異議申し立てや抗議行動を取り締まるための、中国政府の取り組みだと見ていた。

その直後、マイクロソフト、Twitter、グーグルなど多くの大手テクノロジ企業が、香港当局からのユーザーデータ要求の処理を中止すると発表した。一方、アップルはこのリストには加わらなかった。代わりに同社は新しい法律を 「評価する」 と述べていた。

TechCrunchの取材に対してアップルは、新しい国家安全法が施行されて以来、香港当局から何件のユーザーデータを要求されたかについては明らかにしていない。しかし同社は、香港から直接ユーザーコンテンツを要求されることはないと繰り返した。一方で米国当局は、長年確立されたいわゆる相互法的援助条約により外国政府からのさまざまな要求を検討することができる。

アップルによると、同社は香港ユーザーのiCloudのデータを米国内に保存しているため、香港当局がユーザーコンテンツを要求した場合は、まず米司法省の承認を得る必要があり、データを香港に引き渡す前に米国連邦裁判所の判事が令状を発行する必要があるという。同社によると、不正行為や盗難されたデバイスに関連してアップルが香港からコンテンツ以外の要求を受けた回数は限られているが、国家安全法の導入以降に香港当局から受けた要求の数は今後の透明性レポートに含まれる予定だという。

香港当局が2019年中に行ったデバイス情報に関する要求は604件、金融データに関する要求は310件、ユーザーアカウントデータに関する要求は10件となっている。同報告書によると、アップルは昨年下半期に米国当局から8万0235台のデバイスに関連するデータの要求を5295件受けており、これは前半年間の7倍に増加しているとのこと。

また、アップルは米国当局から3万1780アカウントのiCloudに保存されているユーザーデータに関する要求を4095件受けており、これは過去6カ月間に影響を受けたアカウント数の2倍となっている。要求のほとんどは、現在進行中の返品や修理の不正調査に関連したものだとアップルは述べている。

報告書によると、米国当局から6741件のユーザーアカウントのデータを保存するために2522件の要請を受け、法執行機関がデータにアクセスするための適切な法的手続きを取得できるようにしているとのことだ。さらに同社は、1万5500人から1万5999人のユーザーまたはアカウントに関するコンテンツ以外のデータについて、0件から499件の国家安全保障上の要請を受けたとしており、前回の報告書と比較して40%増加している。

テック企業は、司法省が定めた規則に従って国家安全保障上の要請数の範囲内で報告することしか認められていない。

同社が申請していた2019年以降の2件の米連邦捜査局(FBI)の国家安全保障書簡(NSL)も公開された。これらの書簡はFBIが司法監督なしで発行する召喚状で、多くの場合、会社がその存在を開示することを妨げる箝口令が敷かれている。2015年に自由法が導入されて以来、FBIはこの箝口令を定期的に見直し、必要ないと判断された場合には解除することが求められていた。

アップルは、同社のアプリストアから258個のアプリを削除するよう54件の要請を受けたという。要求の大部分を提出したのは中国政府だ。

画像クレジット:Iain Masterton/ Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

パンデミック下に低価格フィットネスバンドが再び注目を集める

Canalysの最新データによると、ウェアラブルのフィットネスデバイスは北米地区の第2四半期で台数は伸びたが、市場全体としての売上は横ばいだった。製品の平均販売単価が下がっているためだろう。

2020年の全体的なトレンドは現在も続いており、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックがウェアラブルデバイスへの関心を高めることに貢献し、家に閉じこもる人の増加にともなって健康や散歩の歩数を気にする消費者も増えた。しかしながら、高い失業率と経済の大規模な低迷で、買い物も節約志向に傾いている。下図上部の黒い部分、「その他」が増加している。

画像クレジット:Canalys

アナリストのVincent Thielke(ヴィンセント・ティールケ)氏は、図の説明で「米国人はパンデミックの間に50ドル(約5300円)未満のフィットネストラッカーにもっぱら購入しており、自宅にずっといる多くの時間を、できるだけ有意義に過ごそうとしている」と語る。

フィットネストラッカーはもっぱらスマートウォッチに支配される傾向だったが、これらの数字はそのトレンドに逆らっている。ただし、パンデミック特有の現象を、今後のより広範なトレンドとみなすべきではない。しかしそれでも、この特別なトレンドは低価格製品メーカーの市場に一時的に光を当てた。Amazon(アマゾン)はHalo Bandを発売して以降、鉄を熱いうちに打つように販売し、アジアで成功を収めている多くの企業も市場のドアが開くのを目にした。これらの低価格デバイスは、サブスクリプションサービスが収益化の鍵のようだ。

全体としては、Apple(アップル)が依然としてこのカテゴリーの支配者だ。この時期、Apple Watch Series 3もよく売れた。ハイエンドデバイスが揃うアップル製品の中では200ドル(約2万1000円)の低価格機となるが、第2四半期は前年同期比で30%も売上が増えた。

関連記事:アマゾンが手首装着型アクティビティトラッカー「Halo Band」とメンバーシッププログラムを発表

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Apple Amazon

画像クレジット:Dave Kotinsky/Getty Images for Fitbit/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Appleが新たに無料、割引で提供できる「サブスクリプションオファーコード」を導入

Apple(アップル)はサブスクリプションの仕組みに変更を加える。別に政府から反トラスト法(独占禁止法)調査を受けたりEpic Games(エピック・ゲームス)との訴訟を抱えているからといって、同社の取り分を減らすわけではない。アップルは開発者が新しい「オファーコード」の機能を使ってサブスクリプションを提供できるようになると発表した。開発者はユーザーに1回限りのコードをデジタルまたはオフラインイベントで印刷して配布し、無料または割引価格でサブスクリプションを提供できる。

同社によれば、この機能により開発者が加入者を獲得、維持、再獲得するのに役立つとのことだ。

開発者は新しいコードに付す価格オプションを3つの中から選択できる。期間は開発者が選択する任意の長さに設定できる。無料オファーコードでは、加入者は試用期間中無料でサービスにアクセスできる。従量課金制オファー(pay-as-you-go offer)では、加入者は一定の期間中、毎回の請求時に割引料金を支払う。例えば月額1.99ドル(約210円)で試用し、数カ月後に月額9.99ドル(約1060円)の標準サブスクリプションに変更する。3番目のオプションの前払いオファー(pay-up-front offer)では、加入者は一定の期間に対し一括価格を、例えば6カ月のサブスクリプションに対し9.99ドル(約1060円)を前払いする。サブスクリプション更新時に、開発者は標準価格を導入できる。

画像クレジット:Apple

オファーコードは電子メールのようにデジタルで配布したり、イベントで渡したり、物理的な製品(サブスクリプションがついているハードウェアデバイスなど)と一緒に提供したりできる。

コードは作成後最大6カ月で有効期限が切れる。ユーザーは1つのコードにつき1回しか恩典を受けられないが、開発者が選択する構成よっては、1つのサブスクリプションで複数の恩典が利用できる場合がある。

ユーザーは1回限りのコードのためのURLにアクセスすれば、iOS 14かiPadOS 14以降のバージョンでコードの恩典が受けられる。もしくは開発者のアプリがコードの受け入れに対応するAPIを実装している場合は、アプリ内でコードが使える。アップルはコード使用に関するその他全部の手続きの運営を担う。オファーの詳細を表示する画面、アプリのアイコン、サブスクリプションの表示名、期間、価格などだ。

開発者がこの機能を使うには、レシート検証やステータス更新通知受信のためにサーバーの設定が必要だ。このため、小規模な開発者やアプリのためのサーバーを設けていない開発者は使えない可能性がある。

オファーコードがあれば開発者はアプリを初めて使うユーザーに従来なかったエクスペリエンスを提供することもできる。例えば有料サブスクリプションの価値やその機能を強調することが考えられる。

新しいオファーコードは、アップルがすでに用意している2つのサブスクリプションオファーであるお試しオファーとプロモーションオファーに加わることになる。アップルによると、開発者はビジネスの目的に応じて、任意の組み合わせを選ぶこともできるし、3つのオファーを同時に提供できることも可能だ。

開発者からは、サブスクリプションをエンドユーザーに提示する方法について柔軟性を求める声が上がっていた。ユーザーは通常、事前にアプリを使ってみなければ有料でサブスクリプションを始めようとは思わないからだ。

ただし、オファーコードはアップルのサブスクリプションからの取り分が高すぎるという開発者の不満への回答にはなっていない。アップルの取り分は、1年目が30%、2年目以降は15%へと下落する。開発者が顧客開拓やアプリの宣伝のために実際に電子メールを送ったり見本市へ出席したりして新規に顧客を獲得したときは、自身の決済の仕組みに誘導する方法もある。ただしアップルが認める条件の下で、といった議論は残る。一方オファーコードは、アップル独自の決済の仕組みであるApple Pay(アップルペイ)を介して新規加入者を誘導する方法の1つだ。

アップルによると新しいオファーコードは間もなく利用可能になる。(日本語版サイトには「今年の終わりには」とある)

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:Mizoguchi

アップルが開発者によるユーザー追跡の明示的許可強制を来年まで延期

6月に開催されたWWDC(世界開発者会議)でアップルは、今秋リリース予定のiOS 14 アップデートでユーザーがアプリ内広告のトラッキングをオプトアウトできるようになると述べた。しかしこのプライバシー機能は、ターゲット広告をユーザーに配信するのが難しくなるのではないかとの懸念から広告大手からすぐに反発が噴出した。

こういった状況を受けてか同社は現在、同機能の適用を「来年の初めに」まで延期していることを認めた。

iOS 14には、この種のターゲット広告トラッキングを希望するかどうかをユーザーに尋ねる新しいプロンプトが含まれる予定だ。開発者はiOS 14がリリースされ次第、このプロンプトを自分のアプリに組み込めるが、アップルが以前に説明したように必須ではない。

声明でアップルは以下のようにコメントしている。

アップルは、技術はプライバシーへのユーザーの基本的な権利を保護すべきであると信じています, そして、それはユーザーがどのアプリやウェブサイトが広告や広告測定の目的のために他の企業と自分のデータを共有している可能性があるかを理解するためのツールを与えることを意味します。同様に、このトラッキングのための許可を取り消すためのツールを提供します。この機能を有効にすると、システムプロンプトが表示され、ユーザーはアプリごとにトラッキングを許可したり拒否したりすることができるようになります。アップルは、開発者が必要な変更を行うのに必要な時間を与えたいと考えており、その結果このトラッキング許可の使用の要件は来年初めに発効することになります。

アップルは開発者に時間を与える必要性を挙げているが、Facebookなどの大手広告会社は、この変更が自社の運営に深刻な影響を与える可能性があると警告している。「アップルのアップデートにより、Facebookの広告収益化ツールであるAudience NetworkはiOS 14で提供する意味がほぼなくなる可能性があります」と同社は先週の声明で述べていた。

こうした収益性の高い提携関係を危うくすることは、アップルの収益にも打撃を与え、一部のアプリやサービスが利用可能かどうかにも影響を与える可能性がある。

ポリシーが施行される正確な日付、そのほかの詳細は後日発表される。
画像クレジット:Apple

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アップルが新型コロナ接触追跡の新ツールをiOS 13.7でリリース

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は新型コロナウイルスの接触追跡の取り組みを支援するため、計画していた接触通知技術の普及に引き続き力を入れている。両社は、公衆衛生当局が独自のアプリを開発・維持しなくても、デジタルの接触通知をより容易に導入できる新しいツールを発表した。アップルは9月1日のiOS 13.7システムアップデートから利用できるようにするが、グーグルはAndroid 6.0で自動生成されるアプリケーションから今月後半に導入する予定だ。グーグルのほうはシステムサービスとOSのアップデートを管理する方法が非常に異なるため、対応策が必要となっている。

テクノロジーの仕組みの変更により、ユーザーは管轄の公衆衛生当局(Public Health Authority、PHA)が作成した専用アプリを実際にダウンロード、インストールする必要がなくなる。代わりに地域の公衆衛生当局から、接触通知システムとその機能に関する通知が届く。ユーザーはそこでオプトインを選択できる。iOSではプロビジョニングプロファイル(App Store以外からiOS端末にアプリを配信するためのバイナリファイル)をインストールすることになるが、Androidでは地域のPHA用に自動生成されたアプリが作成され、Google Playストアからインストールされる。アップルとグーグルは、Exposure Notification Express(接触通知エクスプレス)が既存の専用PHAアプリを置き換えるものではなく、共存するものであることを明確にした。

Exposure Notifications Expressを利用するPHAはアップルとグーグルに対し、連絡先情報、ケアに関するガイダンス、注意事項、次のステップに関する推奨事項を伝える。PHAは、その名前、ロゴ、接触通知が発信される基準のほか、テクノロジーに詳しくない人でも簡単にシステムが利用できるよう接触が起きた場合の通知内容を提示する。

地域の保健当局は、ユーザーが受け取るテキストメッセージを自らカスタマイズする必要があるが、アップルとグーグル双方の技術に基づくデジタル接触通知システムを使って接触追跡のために独自のアプリケーションを開発・配布する必要はない。保健当局は接触リスクの計算方法決定にも責任も持つ。専用アプリなら備えていた機能だ。これは大きい。なぜなら、アップルとグーグルによると、世界で20カ国がすでにAPIに基づくアプリを導入し、そして米国の25の州がシステムの利用を「検討」しており、これまでに6つの州がアプリをリリースしたからだ。こうした現状から、今回のシステムは開発者や医療当局が採用する際の技術的参入障壁は低くなっており、普及を早めるのに役立つはずだ。

アップルとグーグルは、まずワシントンDC、メリーランド州、ネバダ州、バージニア州がExposure Notification Expressを導入し、他の州もそれに続くと予想していると述べた。両社はまた、U.S. Association of Public Health Laboratories(米国公衆衛生試験所協会)と全米の主要サーバーに関して協業しており、ユーザーが地元の医療当局の管轄外に移動する場合であっても州境を越えて効果的に接触追跡ができるよう取り組んでいると述べた。

接触追跡が有効に機能するためには60%以上の採用が必要だという誤った情報が広まっている。これは、今年初めに発表されたオックスフォードの研究が誤解されたことによる。研究に携わった研究者たちはその後、実際にはデジタル接触追跡をサポートするアプリによるあらゆるレベルの接触追跡が、新型コロナ拡散軽減とそれがもたらす死亡数の減少にプラスの効果がある(MIT Technotogy Preview記事)と明らかにした。

このシステムには、アップルとグーグルがこれまで提供してきたものと同じようにプライバシー保護が含まれている。つまり、個人の位置情報が収集されたり、接触通知と紐付けられることはない。代わりに、技術者はランダムに生成されたキーを使用して、あるデバイスがソフトウェアを利用する他のデバイスのBluetoothの検出範囲に入った時間と場所を追跡する。システムはランダムな識別子のログを保持し、確認・報告された診断結果(完全に匿名化されている)と照合して接触リスクの有無を判断する。その判断は、各地域を管轄する公衆衛生当局時間と距離に関してが定める接触の定義に基づき行われる。

【Japan編集部追記】iOS 13.7であっても日本で新型コロナウイルス感染者と濃厚したかどうかを確認するには「新型コロナウイルス接触確認アプリ」のインストールが必要だ。

画像クレジット:Apple / Google

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(翻訳:Mizoguchi

Appleが悪名高いMac用マルウェアを誤って承認

Apple(アップル)は悪意のあるソフトウェアが同社のアプリストアに侵入するのを阻止するために、最も厳格といわれるルールを運用しているが、時として悪いアプリが網の目をくぐり抜ける(未訳記事)ことがある。

アップルが「notarization」(公証)と呼ぶそのプロセスでは、アプリにセキュリティ上の問題や悪意あるコンテンツが含まれていないかを検査する。承認されると、Macに組み込まれたセキュリティ検査システムであるGatekeeper(ゲートキーパー)はそのアプリの実行を許可する。セキュリティテストを通過していないアプリは拒絶され、実行できない。

しかし、あるセキュリティ研究者チームは、誤ってアップルに承認されてしまったMac初のマルウェアを見つけたといっている。

Peter Dantini(ピーター・ダンティーニ)氏は、著名なMacセキュリティ研究者のPatrick Warlde(パトリック・ヴァルデ)氏と2人で、Adobe Flashのインストーラーに偽装したマルウェアを発見した。このマルウェアはよく見られるものであり、近年Flashがほとんど使われていないにも関わらず、数年来出回っている。そのほとんどは検証されていないコードを使用しているため、開かれると直ちにMacがブロックする。

しかしダンティーニ氏とヴァルデ氏が見つけた悪意あるFlashインストーラーには、アップルが承認したコードが使われているため、Mac上で実行できる。

この悪意あるインストーラーはアップルに承認され、最新バージョンのmacOSで実行される。画像提供:Patrick Wardle

ヴァルデ氏は、アップルがこのShlayerというよく知られたマルウェアが使用しているコードを承認したことを確認した。セキュリティ会社のKaspersky(カスペルスキー)はShlayerを、2019年にMacが「最も多く直面した脅威」だと語った。Shlayerは、アドウェアの一種で、暗号化されたウェブトラフィックを(HTTPSを利用しているサイトであっても)傍受し、サイトや検索結果を広告に置き換えて不当に広告料金を取得する。

「私の知る限りこれは最初の例だ」とヴァルデ氏がTechCrunchに知らせたブログ記事に書いている。

ヴァルデ氏によると、アップルはこの悪意あるコードが申請された際に検出できず、Macで実行することを承認した、という意味であり、2020年に公開予定のmacOS Big Sur未公開ベータ版でも動作することになる。

ヴァルデ氏の連絡を受けたアップルはアプリの承認を取り消し、将来このマルウェアがMac上で実行できないようにした。

アップル広報担当者はTechCrunch宛の声明で「悪意あるソフトウェアは常に変化しており、アップルの公証システムはMacからマルウェアを排除するとともに、発見された際には迅速に対応することを可能にしている。このアドウェアの存在を知り、我々は該当する変種の承認を取り消し、デベロッパーのアカウントを無効化し、関連する承認を取り消した。当社ユーザーの安全を守るために協力してくれた研究者たちに感謝する」。

しかしヴァルデ氏によると、アタッカーはその後すぐに新たな承認済みコードを使って復活し、Macのセキュリティを再び回避したという。アップルは、そのコードもブロックしたとTechCrunchに伝えた。イタチごっこは続く。

関連記事:Apple macOS security protections can easily bypassed with ‘synthetic’ clicks, researcher finds(未訳記事)

カテゴリー:セキュリティ

タグ:Apple Mac

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AppleがApp Store規約で小さな譲歩、レビュー中でも脆弱性のバグ修正が可能に

Apple(アップル)のApp Storeの規約にここ数カ月強い注目が集まっている。規約においてApp Storeビジネスの核心をなす部分を絶対に守り抜こうとしてあらゆる努力を払うはずだが、アップルは規約に小さな変更を加えた。これによってユーザーがデベロッパーとアップルの死闘に巻き込まれることが少しでも防げるかもしれない。

アップルは米国時間8月31日、App Store に「アプリ審査のガイドラインをアップデートした」という短い告知(Appleリリース)を掲載した。これによりデベロッパーはアップデート自体が審査の途中であってもアプリのバグ修正を行うことができるようになった。アップルはアプリ内課金を行うにあたってApp Storeの定める正規の手続きを遵守するようますます強硬に求めているが、今回の変更はデベロッパーとアップルの対立がユーザーに与える影響を最小限に止めようという狙いだろう。

発表された声明は以下の通りとなる。「アプリのガイドライン違反が審査中であっても、法的に問題がある場合を除き、バグ修正は速やかに公開される」。デベロッパーはこのアップデートで新しい機能を付加することはできない。今回のルール変更はあくまでセキュリティとユーザビリティに関するバグの修正に限られる。この変更が行われることは7月に予告されていた(Appleリリース)。

しかしこの変更では App Store の規約には根本的な改変が必要だとする批判者を納得させることはできないだろう。主たる狙いはデベロッパーとの戦いでアップルが悪役だとするイメージを避けることだと考えられる。規約違反を理由にしてデベロッパーと対立している際に、セキュリティ上の脆弱性に関する修正まで拒否すれば、アップルは自分の足を撃つような目に遭うことなる。

関連記事:裁判所がアップルにUnreal Engineのブロックを止める命令、ただしFortniteのApp Store復帰は認めず

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Apple App Store

画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルがFortniteを筆頭にEpic GamesのApp Storeアカウントを完全削除

Epic GamesがアップルのApp Storeから削除された。すでにmacOSやiOSデバイスにFortnite(フォートナイト)をダウンロードしている場合はまだ動作するが、EpicアカウントがApp Storeからなくなるため、Fortniteの開発者が新しいアプリやアップデートをAppl Store経由では配信できなくなることを意味する。つまり、今後登場する新しいシーズンなどはプレイできない確率が高い。

アップル専門メディアのMacStoriesでマネージング・エディターを務めるJohn Voorhees(ジョン・ボーヒーズ)氏は、App Storeでは現在FortniteのライバルであるPUBGがフィーチャーされていることと同様に、Twitter上でEpic Gamesアカウントの完全削除について指摘している。

アップルは声明で今回の経緯を以下のように説明している。

App StoreのEpic Gamesのアカウントを終了せざるを得なくなったことに失望しています。我々は、Epic Gamesのチームとは長年にわたり、彼らのローンチやリリースで協力してきました。裁判所は、Epicがこのような状況を作り出すまでの10年間、Epicがこれまで守ってきたApp Storeのガイドラインに従うことを、訴訟が進む間もEpicに遵守するよう勧告しました。しかしEpicはこれを拒否しました。その代わりに、彼らはApp Storeのガイドラインに違反するようにデザインされたFortniteのアップデートを繰り返し提出しています。これはApp Storeのほかのすべての開発者に公平ではなく、顧客を彼らの戦いの真っ只中に追い込んでいます。我々は将来的に再び協力し合えることを願っていますが、残念ながら現在はそれができません」

またアップルは、Epicが不満を持ったユーザーをAppleCareに誘導してサポート問題を起こしているとも述べている。これはEpicとアップルの論争における最新の展開で、開発者が今月初めにFortniteでApp Storeを介さない直接支払いの機能を導入したことで、App Storeでの支払いにかかる30%の手数料を回避しようとしたことに端を発している。これによりFortniteはApp Storeから一時削除された。Epicはすぐに訴訟を開始し、その市場力を乱用しているアップルを非難する宣伝キャンペーンを展開した

今週初め、連邦地方裁判所の判事はアップルに対し、開発者向けにEpicが開発している3DゲームエンジンであるUnreal Engineへのアクセスをブロックしないよう命じたが、Fortnite自体ははApp Storeのルールに従うまで除外されるという見方が強かった

米国時間8月28日のApp StoreからのEpic Gamesのアプリの削除は、Epicが別のアカウントで管理しているUnreal Engineには影響しないだろう。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アップルがiOS 14導入予定の広告トラッキング規制にFacebookは不満を表明

アップルが、現在公開ベータテスト中の次期オペレーティングシステムであるiOS 14は「Facebook(フェイスブック)の広告ネットワークを頼りにしているパブリッシャーに多大な影響を及ぼす」とFacebookは主張している。

Facebookは米国時間8月27日、アップルがWWCDで発表したプライバシー規約の大幅な変更が与える影響について、Audience NetworkFacebook for Businessのブログ記事で概要を説明した。具体的には、ターゲット広告に使用するIDFA(広告識別子)をアプリ開発者に公開したいか否かを、アップルからユーザーに明示的に問うというものだ。

これに対してFacebookは、同社のアプリでは当該データは収集していないがパブリッシャーが自社サイトやアプリでターゲット広告を行う際にFacebookデータが利用できるFacebook Audience Network(オーディエンスネットワーク)(未訳記事)に与える影響は大きいと指摘している。

「iOS 14上のすべての広告ネットワークと同じく、Audience Networkにおいても広告主の正確なターゲティングと広告キャンペーンの効果測定の能力に影響がおよび、その煽りを受けたパブリッシャーは自身の能力を効果的に収益化する力を低下させます」とFacebookは話している。「結果として、私たちの最善の努力にもかかわらず、アップルの変更によりiOS 14におけるAudience Networkの利点は損なわれ、iOS 14上での展開は難しくなります」。

事実、ターゲティングとパーソナライズを禁止したテストの結果、モバイルアプリのインストールキャンペーンによるパブリッシャーの収益は50%減少することが判明しており、「iOS 14でのオーディエンスネットワークの場合はさらに深刻」だと警告している。

その深刻さがどれほどのものなのか、私はアドテク業界のいくつかの企業や投資家に話を聞いてみた。調査会社のApp Annieの分析部門ゼネラルマネージャーを務めるRon Thomas(ロン・トーマス)氏は、これを「IDFAが完全に消滅し、このIDFA後の世界のアトリビューション(メディアごとのコンバージョン貢献度を計測すること)が変化することへの最大手パブリッシャーからの謝辞」と表現している。

関連記事:iOS 14でアプリの広告トラッキングの拒否が可能に、セキュリティとプライバシーをさらに強化

モバイル広告のアトリビューション企業であるAppsFlyerの社長兼ゼネラルマネージャーのBrian Quinn(ブライアン・クイン)氏は、Facebookの発表は「市場への明解なメッセージ」だと話す。

「主要な収入源としてのFacebook Audience Networkを失う可能性は、中小のパブリッシャーや開発者のコミュニティーを世界的な規模で破壊する恐れがあります。これは反対に、日常生活をナビゲートしてくれるアプリの価値を認め、利用している世界中のユーザーに影響を与えます」とクイン氏は私に電子メールで伝えた。「ユーザーに合った広告を提示する能力と、そしてアトリビューションを通じて効率性を提供することは、パブリッシャーと開発者がアプリとユーザーが好む質の高いコンテンツを軸に事業を継続させるためには不可欠なのです」。

さらに同氏は「ユーザーには自身のデータの管理能力を与えつつ、プライバシーを重視したアトリビューション・ソリューションを通して開発者に透明性を提供することは可能です」と提案した。

それに対して、この問題だけを切り取るFacebookのやり方に懐疑的な人たちもいる。例えば、著名なガジェット評論家であるWalt Mossberg(ウォルト・モスバーグ)氏はTwitter投稿で、今後「Facebookやプライバシー窃盗産業である有害なアドテク業界のリーダーたちからの、この問題への不平」をもっと聞くようになると指摘。さらにiOSの変更はすべて、パブリッシャーを虐めるためではなく「消費者に明確な選択肢を与える」ためのものだと話した。

New York TimesやCondé Nast(コンデナスト)などのパブリッシャーを代表する事業者団体であるDigital Content Next(デジタル・コンテント・ネクスト)のJason Kint(ジェイソン・キント)氏は、Facebookは「パブリッシャーの利益を代弁するメッセンジャーを装っている」とTwitterで非難し、同社はAudience Networkのパブリッシャーを利用して、広範なデータ収集業務から目を逸らさせようとしていると指摘した。

「Facebookのデータ収集の大半は同社のサービスの中で行われ、最終的には本体を肥やしている」とキント氏はツイートしていた。同時に同氏とその団体は、アップルがエコシステムを支配する懸念(Wall Street Journal記事)も示している。

Facebookは今回に限らず、この数週間で何度もアップルを批判している。今月の初め、Facebookは有料オンラインイベントの開催を可能にする発表を行ったが、アップルが30%の手数料を免除しないと不満を漏らしている。いずれの場合も、Facebookの口調はずっと穏やかだった。しかし、決まり文句の羅列である企業PRとなると、あからさまなアップルへの敵意が顕著に感じられる。

報道関係に送られた電子メールで、ベンチャー投資企業NFXのJames Currier(ジェームズ・カリアー)氏は、この衝突は歴史の繰り返しの兆候だと示唆した。

2009年、Facebookプラットフォームがスタートした当初、誰もがFacebook上でアプリを制作して、大人気を獲得して、何百万人ものフォロワーを集めることができました。しかし、Facebookは徐々にすべての人気チャンネルを閉鎖してゆき、そこに広告サーバーを挟み込みました。つまり、アプリ開発者はトラフィックを確保するために金を払わなければならなくなったのです。Facebookは、アプリ開発者から徴収できる限りの金を抜き取りました。同じようにFacebookも、iOSプラットフォームのオープン当初、iOSアプリとして大量のユーザーを獲得していました。現在、アップルは、自身の利益のために、徐々に酸素を抜こうとしています。これはジャングルの掟です。このネットワーク効果は、誰が権力を握っているかをじつに明確に示しています。iOSです。

マーケティングとメディアに特化したベンチャー投資企業であるMathCapitalのEric Franchi(エリック・フランチー)氏はプライバシーと広告トラッキングを取り巻く状況の変化について「Facebook、アップル、Audience Networkのパブリッシャーだけでなく、スタートアップにも新たなチャンスをもたらす」と指摘する。ちなみにそのスタートアップには同氏が支援するzeotopとID5も含まれる。

「Facebookの主張は、マーケティングエコシステムがひと握りのオペレーティングシステムとプラットフォームに依存していること、デジタルマーケティングを成立させるためのユーザー識別が重要であることを強調しています」とフランチー氏はコメントしている。「我々は、今こそ、新しい形の同意主導型識別ソリューション構築のチャンスだと考えています」と同氏は続けた。

関連記事:iOS 14の「News+」アプリは記事提供元のトラフィックを横取りする

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(翻訳:金井哲夫)

裁判所がアップルにUnreal Engineのブロックを止める命令、ただしFortniteのApp Store復帰は認めず

地方裁判所はEpic Games(エピックゲームズ)に対して、iOS App StoreへのゲームFortniteの一時的復帰の要求を却下するとともに、Apple(アップル)にはゲームの巨人がUnreal Engineをアップルのエコシステムに供給するのを阻止しないよう命じた。裁定は悲喜こもごもの結果となった。

連邦地方裁判所判事のYvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンザレス・ロジャース)氏は、アップルはEpic Gamesへの報復措置として同社のアカウントを停止したり、アップルのプラットフォーム上で広く利用されているUnreal Engineへのデベロッパーアカウントによるアクセスを制限することを禁止した。

「Unreal Engineプラットフォームそのもの、およびサードパーティーデベロッパーやゲーマーを含むゲーム業界全体に対する著しい損害を招く可能性があることを記録が示している」と同氏は語り、たとえEpic GamesがApp Storeのガイドラインに違反したとしても、Unreal Engineおよびデベロッパーツールに関する契約には違反していないと付け加えた。

「アップルは断固とした行動を選び、その結果として契約上無関係な人々やサードパーティーデベロッパーエコシステムに影響を与えた」とロジャース氏は述べた。

しかしEpic Gamesにとって裁定は完全勝利ではなかった。同社は大ヒットタイトルのFortniteのiOS App Storeへの復活も要求していた。ロジャース氏は、同タイトルはEpic GamesがApp Storeガイドラインに再び準拠しない限りApp Storeから外されたままになると語った。

米国時間8月24日の裁定は、アップルとEpic Gamesの両巨人によるiPhone App Storeの基本的ルールを巡る大がかりな公開バトルに、ひとまずの決着をつけた。2020年8月EpicはアップルおよびGoogle(グーグル)のアプリストアガイドラインを破り、FortniteのiOSおよびAndroidユーザーが直接料金を支払う方法を提供した。アップルとグーグルは、プラットフォーム上のデベロッパーに対してそれぞれの支払プロセスシステムを使用し、手数料を支払うことを義務付けている。ゲームの手数料は取引金額の30%だ。

Epicの行動によってアップルは、おそらく史上最大のベストセラーゲームであるFortniteをApp Storeから削除する決断を下した。アップルの行動を予期していたEpic Gamesは、FortniteがApp Storeから削除された数分後にアップルを訴訟し、史上最も奇っ怪な、あるいは大胆なマーケティングキャンペーンを始動させた。

翌日、アップルはEpic Gamesに対してApp Storeガイドラインおよびデベロッパープログラムライセンス契約違反を根拠に、あらゆるデベロッパーツールを無効化すると伝えた。その結果、Unreal Engineを含む他のプログラムへのアップデートが8月28日まで不可能となった。その後Epic Gamesはアップルに対する差し止め請求を申請した

Unreal Engineはゲームデベロッパーの間で広く使われている人気の開発ツールだ。最近同ツールの評価が高まり、商業映画やDinsey+のThe Mandalorianのようなテレビ番組でも使用されている(未訳記事)。

先週Epic Gamesは、アップルのエコシステムでの将来に不安を感じたデベロッパーがUnreal Engineを離れ始めていると語った。Microsoft(マイクロソフト)のゲーミングデベロッパー体験担当ゼネラルマネージャーであるKevin Gammill(ケビン・ガムミル)氏はEpicによる差し止め要求に声明を追加して支持を表明した。

Xbox責任者のPhil Spence(フィル・スペンサー)氏もツイートで、「我々はEpicのUnreal EngineのためのApple SDKアクセスの維持を支持する声明を提出した。Epicが最新のアップルテクノロジーへのアクセスできることを保証することはゲームデベロッパーおよびゲーマーにとって正しい行動だ」と語った。

ちなみに、マイクロソフトとアップルは彼ら自身の法廷闘争の最中(未訳記事)である。

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Epicはアップルに事前通知して反アップルキャンペーンを敢行、独自iOSアプリマーケットは果たして認められるのか

アップルは、Epic GamesがApp Storeに復帰しようとしたことに対して法的文書を提出した。アップルはEpicの今回の行動全体を「入念に計画された多面的なキャンペーン」であり、iOS上でビジネスを行う特権に対して同社が要求する30%の削減を、おそらく永久に回避することを目的としていると説明している。

Epicは8月14日、App Storeを経由せずに同社の人気ゲームであるFortniteでアプリ内購入を行う方法をこっそりと導入した。「これは明らかにルールに反している」とアップルはすぐにゲームと同社のアカウントをApp Storeから削除した。この対応を予想していたEpicは、アップルの有名な1984年の広告のパロディを公開して訴訟を起こし、アップルが「慎重に編成された多面的なキャンペーン」と指摘したキャンペーンを実行に移し始めた。

実際、アップルの提出書類にあるように、Epic GamesのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は事前に電子メールでアップルに同社の計画を知らせていた。

米国時間8月13日午前2時頃、Epicのスウィーニー氏はアップルに同社の契約違反の意図を書いたメールを送りました。「Epicはもはやアップルの支払い処理に関する制限を遵守しない」と。

アップルのPhil Schiller(フィル・シラー)氏が出したコメントによると「Epicがアップルからの特別な免除を与えてほしいという『サイドレター』について何カ月にもわたって交渉・説得を試みた結果とのこと。これは「Epicが特別な取引を求めたことはない」というスウィーニー氏の主張と矛盾している。シラー氏のコメントは以下のとおりだ。

具体的には、2020年6月30日、EpicのCEOであるスウィーニー氏は、アップルのiOSプラットフォームでのアプリ提供方法を根本的に変えるような、Epicだけのための特別取引を実現するために、アップルからの「サイドレター」を要求するメールを私と同僚に送ってきました。

この電子メールの中でスウィーニー氏は、Epicとアップルの間の契約の複数の条項に直接違反する変更案であることを明示的に認めました。スウィーニー氏は、Epicとアップルの間の契約が変更されない限り、Epicが提案した内容を実行できないことを認めました。

Epicが狙っているのは、緊急時に使用するための法的手続きである「一時的な禁止命令」(TRO、Temporary restraining order)を裁判所が認めるよう要求することだった。これは、当事者(アップル)の行為が違法であり、その違法性を示す訴訟が係争中であり、訴訟成功する可能性が高い場合に認められる。そしてそれらの行動は「取り返しのつかない害」を引き起こすので、積極的に撤回されるべきという流れになる。

このEpicの要求が成功した場合、アップルはFortniteのApp Storeへの復活させる必要があるほか、ゲーム内ストアをApp Storeのルール外で運営できるようにすることを余儀なくされるだろう。当然ながら、これはアップルにとって悲惨なことになる。App Storeの規則が意図的に無視されるだけでなく、その規則は違法であるかもしれないという考えを裁判所が認めることになるからだ。従ってアップルとすれば、この特定の法的課題を迅速かつ包括的に解決することが不可欠になる。

アップルの提出書類では、いくつかの理由でEpicのTROの要求に異議を唱えている。まず、状況全体がEpicによってでっち上げられ自発的に始められたものなので、本当の「取り返しのつかない害」は存在しないと主張している。

Epicは、App Storeの恩恵をコストをかけずに享受したいと判断したため、自身の顧客やアップルのユーザーを利用してアップルとの契約を破棄したのです。

しかし、この「緊急事態」はEpicの自作自演です。Epicは、何が起こるかを十分に知っていたうえで、故意に意図的にゲームプレイヤーや開発者に損害を与えてしまったため、今裁判所に救済を求めています。

アップルがEpicが開発しているゲームエンジンであるUnreal Engineのアカウントだけでなく、Fortnite関連のものを禁止したというEpicの訴状についてアップルは、アカウントは税金IDやメールなど共有していることを考慮すると特段珍しいことではなく、同じ「ユーザー」とみなしているとのこと。アップルはまた、禁止措置が行われる前にEpicに十分な警告と是正の機会を与えたとしている。結局のところ、アップルはこのアプリからも多額の利益を得ているのだが。

アップルはまた、Epicの主な訴訟(TRO要求とは独立したもの)が成功する可能性についても疑問を呈している。

Epicの論理では、マイクロソフト、ソニー、任天堂などのゲームマーケットを独占することになります。

Epicの独禁法理論は、同社の組織化されたキャンペーンのように、ユーザーの安全、セキュリティ、プライバシーを守るために不可欠な重要な要件に対価を払ったり、それに従うことなく、App Storeの利益を自分のものにしようとする行動です。

最後にアップルは、今回のTROは公共の利益には何のメリットもないことを指摘する。例えば、アップルのなんらかの行為によって緊急電話が機能しなくなるなど、深刻な安全性の懸念があった場合とは異なるのだ。

Epicが裁判所に不正に緊急救済を求めているこれらの損害は、EpicがApp Storeに対するルール違反を解消すれば、明日にはすべて消滅する可能性があります。

これらはすべて、裁判所の介入や司法資源の支出なしに実現できる。そしてEpicは、第一次訴訟を自由に進めることができます。

アップルは、その提出書類の中でさらに推測することを避けているが、情報筋によるとEpicやその他の誰もがiOS上に独自のアプリストアを設立する可能性を避けることが、アップルにとって最も重要であることが読み取れる。

法律上の前例となると、独自のiOSアプリストア構築の道を切り開くのに大いに役立つと思われるので、アップルが長年に渡って苦労して構築していきた非常に収益性の高いビジネスモデルにとって、かなりの脅威となるわけだ。

とはいえ今回のアップルとEpicとの対立は、完全に管理・支配するアプリ市場からアップルが利益を得る権利に挑戦してきた数年前の訴えの最新版にすぎない。

最近では、マイクロソフトのxCloudアプリが、アップルが個別に審査できないゲームのマーケットプレイスになっているとしてApp Storeへの参入を拒否された。この種の機能は、最近の消費者が非常に求めているタイプのものであることを考えると、このアップルの決定には批判的な意見も多い。ほかの開発者や業界、プラットフォームも同様にさまざまな面でアップルに挑戦しており、アップル側も規則に挑戦するための正式なプロセスを作ることを約束している。アップルのファイリングの全文は以下で読むことができる。

画像クレジット:Epic Games

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(翻訳:TechCrunch Japan)

AppleがイスラエルのARおよびカメラ技術のCameraiを密かに買収していた

Apple(アップル)は事業拡大のために小規模スタートアップを買収することでよく知られている。このニュースはその種の買収の最新のものだが、買収からほぼ2年経っている。2018年から2019年のどこかで、iPhoneの巨人がイスラエルを拠点とする拡張現実とコンピュータービジョンの会社であるCameraiを買収し、同社は閉鎖されたと報じられた。CameraiはかつてTipitと呼ばれていた。

このニュースは8月20日、イスラエルの新聞Calcalistが初めて報じた。TechCrunchはAppleに直接問い合わせた。一方、CamoraiをMoty Kosharovsky(モティ・コシャロフスキー)氏、Erez Tal(エレズ・タル)氏、Aaron Wetzler(アーロン・ウェツラー)氏と共同で創業したCEOのJonathan (Yehonatan) Rimon(ジョナサン・イェホナタン・ライモン)氏にも報道について直接問い合わせたが、何となくコメントを断られた。別の情報筋は本件について認めた。詳細は随時更新する。

Calcalistによると、Cameraiは数千万ドル(数十億円)で売却された。同社は2015年に創業されて以来約500万ドル(約5億3000万円)を調達した。内容は2017年の250万ドル(約2億6500万円)のラウンドと2018年の未公表の250万ドル(約2億6500万円)だ。投資家の中にはAtooro FundとSKO Fundが含まれる。

この買収が成立したのは、ARがおそらく過大評価のピークに達していて、多くの大手テック企業が何らかのアクションを取ろうとしていた時代だ。Cameraiはすでに多くの企業からアプローチを受けていたようだ。2018年は、Magic Leap(マジックリープ)が1回の資金調達で約10億ドル(約1060億円)を調達した年であることを思い出してほしい。2018年当時、TechCrunchはApple、Samsung(サムソン)、Alibaba(アリババ)がCameraiにアプローチしているという噂を聞いた。

Calcalistによると、Cameraiの従業員はAppleのコンピュータービジョンチームに加わり、同社の技術はすでにApple製品に組み込まれているという。具体的な時期ははっきりしないが、iOS 13とiOS 14の両方でカメラのソフトウェアが大幅にアップデートされたことを思い出してほしい。

CameraiはSDK(ソフトウェア開発キット)と、特にカメラで撮った画像を洗練された方法で編集・使用するのに役立つ一連のソフトウェアベースのARツールを開発した。

Cameraiの技術には以下の機能が含まれている。画像内のさまざまなオブジェクトを検出し、その輪郭を正確に描き外観を変える機能。画像全体に輪郭を描きフィルターを適用する機能。人間の写真に重ねてリアルタイムで体の関節を検出・描画する「スケルトントラッキング」ニューラルネットワークAPI。進化したポートレートモード用の独自の焦点選択機能(2018年当時は携帯電話に標準装備されていなかった)。Cameraiのサイトはもう閉鎖されているが、インターネットアーカイブから拾ったウェブサイトのスクリーンショットを下に掲載した。

  1. Camerai2

  2. Camerai3

  3. Camerai4

  4. Camerai5

Cameraiの買収は、いくつかの興味深い継続的な傾向を浮き彫りにした。

第1にスマートフォン技術の発展で、特にカメラに関するものだ。スマートフォンカメラの技術に関する興味深いイノベーションのいくつかは、ハードウェアではなくソフトウェアの改善によるものだ。人工知能に画期的な技術を適用すると、センサー、レンズ、電話、クラウドプロセッサという既存の組み合わせから、より優れた、従来より技術的にダイナミックな画像が生み出される。

スマートフォンの買い替えサイクルが以前に比べて遅くなり、ハードウェアのイノベーションのスピードも落ちている現在、携帯電話会社外部の人材と技術の活用が競争力を獲得する1つの方法だ。

(それとは別に、最先端の技術がソフトウェアベースになると、将来的には古い携帯電話モデルへの有料アップデートの可能性が生まれる。不完全な新しいデバイスへの投資を望まない消費者からも稼ぐ余地があることを意味するのではないかと思う)

買収が浮き彫りにした第2の傾向は、大企業がボルトオン(既存事業の補完を目的とする買収)のための技術を探す場所としてイスラエルが肥沃な土壌であり続けているということ、そしてそれは今後も秘密裡に行われる可能性が高いということだ。

「イスラエルには30カ国から350を超えるグローバル企業がイノベーションを探しに集まっている。Apple、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のような会社はイスラエルで研究開発も行っている」とテルアビブで活動するベテランバンカーでありスタートアップアドバイザーでもあるAvihai Michaeli(アビハイ・ミカエリ)氏は述べた。「こうしたグローバル企業は主に競争力強化に役立つ技術を求めている。買収したスタートアップが買収された事実を発表したり話したりしないよう求められるのはこれが初めてではない」

Appleがイスラエルで買収した会社には、カメラモジュールメーカーのLinX、半導体スタートアップのAnobit、3Dセンサー会社のPrimeSenseなどがある。

詳細がわかり次第、記事を更新する。

画像クレジット:Camerai

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(翻訳:Mizoguchi

アップルの時価総額が2兆ドルの大台に

株式市場全般が壊滅的な影響を受けている(Investopedia記事)ことが、かえってアップルの時価総額を新記録にまで押し上げることになった。8月20日朝の時間内取引でFAAMGの一員である同社の時価総額が一瞬2兆ドル(212兆円)を記録した。ただしその後下落して大台をわずかに割っている(Yahoo!ファイナンス記事)。

アップルの株価は2020年に入って59%も上昇した。最近の四半期決算(アップルリリース)によれば収入は対前年度11%という控えめな伸びだった。同期の一株あたり利益は18%アップとずっと良好な数字ではあるが株価の上昇に比べればはるかに小さい。

新型コロナウイルスによるパンデミックの初期に世界中で厳しい措置が取られたため、株式市場は急激な下落を示した。しかしテクノロジー企業の多くはその後株価を大きく戻している。世界経済が常態に復帰したとき、テクノロジー企業が占める位置は現在よりもはるかに強力になっているだろうというのが投資家の全般的な期待のようだ。この期待はアップルのようなデジタルサービスビジネス(未訳記事)において特に強い。

今年、テクノロジー分野の株価は軒並み新高値をつけており、最近のNasdaq総合指数は1万1000ポイント(ドル)台という高い水準だ。

3年前に、FAAMG(Facebook、Apple、Amazon、 Microsoft、Alphabet)などと呼ばれる大型テクノロジー企業の時価総額は合計3兆ドル(318兆円)前後だった。これは当時大ニュースだった(Crunchbase記事)。ところが現在ではアップルとマイクロソフトの2社の時価総額合計が3.6兆ドル(382兆円)だ。

巨大テクノロジー企業の株価上昇はこの10年間話題となってきたし、この一年の最大の話題でもある。テクノロジー企業群の株価を決めるのは投資家の判断によるものではあるが、この株価水準は行き過ぎではないか(未訳記事)という警告のサインはいたるところに見出される。

しかし多くのスタートアップにとっては大変いいニュースだ。投資家一般が興奮して公開株が上がれば非公開株の価値も上がる。投資家の熱狂は株式上場に追い風となり企業買収も活発となる。アップルは今やギリシャ神話に出てくる大富豪であるクローサスも恥じるほどの巨額の資金を溜め込んでいる。つまりスタートアップは次の資金調達ラウンドで時価評価額を好きなように決めることができるだろう。

画像:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Epic GamesがアップルによるUnreal Engineを含む開発ツール全面禁止予告に差し止めの申し立て

App Storeの売上にApple(アップル)が高率の手数料を課することにFortniteの開発元であるEpic Gamesが戦いを挑んだ。アップルはUnreal Engineを含む開発ツールの削除を通告した。しかしEpicは引き下がる姿勢を見せていない。Epicはアップルから来週いっぱいで同社のデベロッパーアカウントを削除し、すべてのデベロッパーツールへのアクセスを禁止することを通知する書面を受け取った。これに対して、米国時間8月17日朝、Epic Gamesはカリフォルニア州北部地区連邦裁判所にアップルに対する差止命令の申立てを行った。

アップルはApp StoreからFortniteを削除し、8月28日を終期としてEpicのすべてのデベロッパーアカウントを削除し 、同時にiOSとMacの開発ツールに対するアクセスも禁ずると通知してきた。我々はこのような報復行為に対し、裁判所に差し止め請求を行っている。詳細はリンク先に。

差し止めの申し立てによれば、Epicはアップルの行為を報復と非難すると同時に、モバイルアプリ市場におけるアップルの独占体制を打ち破ることを使命と考えていることを再確認した。またアップルがEpic Gamesの一切のデベロッパーアクセスを差し止める行為がFortniteと無関係な広汎なビジネスに打撃を与えるものだと指摘した。同社はゲームエンジンを代表する有力なプロダクトであるUnreal Engineを多数のサードパーティのゲーム開発企業にライセンスしている。

申し立てでは「アップルはEpic Gamesに対し8月28日を終期として、同社のプラットフォームでゲームを制作するために必須であるすべての開発ツールへのアクセスを禁止すると通告してきた。これには、Epicが多数のサードパーティーのデベロッパーにライセンスしているUnreal Engineが含まれている。これらのツールは、アップル自身も利用約款に違反するとは一度も主張していない」と述べている。

「アップルは単にFortniteをApp Storeから削除するだけでは満足せず、Fortniteとはまったく無関係なEpic Gamesのビジネス全般に影響する攻撃を仕掛けてきた。最終的には法廷で我々の主張が認められるものと信じているが、差止命令が認められなければEpic Gamesは法廷から最終判断を得るよりはるか前に回復不能なビジネス上の打撃を受けることになる」と主張している。

先週、Epic GamesはFortnite内にアプリストアに手数料を支払うことなく直接支払が可能となる機能を追加することによりアップル、Google(グーグル)双方のアプリストアの規約に違反した。簡単にいえば、Fortniteのプレイヤーはこの機能を利用すればストアに手数料を支払わずに済むため、有利な条件でデジタルグッズの購入ができる。アップルは即座にこれを規約違反としてFortniteをApp Store から削除した。これに対しEpicは反アップルのPRキャンペーンを開始した。テクノロジーの巨人に対する反撃は十分に準備されたものだったようだ。Epic Gamesは反トラスト法による訴訟を起こすと同時にアップルの有名な「1984」CMを下敷きにした「圧制者を倒せ」と主張するビデオを流した。

TechCrunchの取材に対し、アップルはこの展開に関する新たなコメントを避け「アップルはこの問題を解決するためにEpic Gamesと協議しており、FortniteがApp Storeに復帰できるようあらゆる努力を払っている」という従来の主張を繰り返した。

Epic Gamesのアップルの行為に対する差し止め申し立ての全文はこちら

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カテゴリー:ゲーム / eSports

タグ:Apple App Store Epic Games Fortnite

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが独立修理店による純正部品を使った修理でMacも対象に、「修理権」問題にも対応

Apple(アップル)は、独立した修理店に部品やリソース、教育訓練を提供するプログラムを拡大し、Macコンピューターのサポートもその対象となった。修理プログラムは2019年秋に発表され、消費者が保証期間が切れたiPhoneの修理を容易にすることを目的としている。今では中小企業を含むサードパーティのショップを利用して、正規の修理用パーツやその他のツールに入手することができる。

このプログラムは、Best Buyをはじめおよそ5000以上のApple公認サービスプロバイダを補完するもので、保証期間内と期間外の両方の修理を受け付けてくれる。このプログラムは、消費者の要望に応えて生まれた面もある。これまで多くのiPhoneユーザーがショップが家から近い、修理が早い、安いといったさまざまな理由で非公認の修理ショップを利用してきた。しかしこのやり方では、ショップがアップルの正規部品を使えないため、結果にむらがあった。

米国でスタートして以来、このプログラムを利用する140社の企業に拡大し、700店以上が開設されている。今夏、アップルは、この事業を拡大してヨーロッパとカナダでも拡大すると発表している。

これまで修理プログラムはiPhoneの修理だけが対象で、Macは含まれなかった。しかしこれからは、これらの修理ショップと有資格店は、保証期間外のMacを修理するために必要なアップル正規のツールや修理マニュアル、診断技術、純正パーツなども入手することができるようになる。修理プログラムへの登録は無料であり、修理の教育訓練も無料、とアップルはいう。

このプログラムの拡大はロイターが最初に報じている。アップルはTechCrunchに対して安全で信頼の置ける修理は、教育訓練を経た技術者がアップルの正規の部品を使った場合に得ることができると語っている。また、正しく修理が行われていると消費者に確信して欲しいとも述べている。

先に行われた下院の反トラスト小委員会の調査では、消費者の「修理権」に対するアップルのスタンスが問題として取り上げられたため、プログラム拡大のニュースはタイムリーでもある。

小委員会で2020年7月に行われた公聴会(未訳記事)では、アップルのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏が、App Storeの手数料などさまざまな問題で質問攻めにあった。そのとき小委員会が調査の一環として集めたドキュメントには、それほど重視されなかったとはいえ、同社が何年もの間、反対運動を展開してきた修理プログラムと修理権に関する法案について、同社がどのように葛藤してきたのかを示す内部のメールが含まれていた。

あるメールの中でアップル幹部は、消費者に優しい修理ポリシーへの同社の取り組みを示すために当時まだ立ち上げ前の「正規部品による修理プログラム」について記者に説明したという。また幹部たちは承認を得ないまま修理マニュアルが公開された経緯についても触れており、アップルの修理ポリシーに対する一貫した戦略ができていなかったことを示唆している。

独立した事業者による修理にMacが加わったことで、正規部品の使用を拡大して顧客の評価を高めるだけでなく、今後の反トラストの調査を少なくともこの特定の話題からは逸らすことができるだろう。

関連記事:アップルが他社店舗での純正パーツ取り扱いを拡大

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Apple / アップル Mac / Macintosh

画像クレジット:Felix Besombes/Unsplash

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookが有料オンラインイベント開催機能をローンチ、iOS上のみ30%の手数料が引かれる

本日から企業はFacebook(フェイスブック)を使って有料オンラインイベントの開催が容易になる。同社は米国とほか19カ国で新たに有料イベント開催機能をローンチした。

記者との電話会議でFacebookアプリの責任者であるFidji Simo(フィジー・シモ)氏は「Facebookのイベント機能は対面イベント用に設計されていたが、新型コロナウイルスのパンデミックと、その結果としての社会的距離(ソーシャルディスタンシング)を保つ命令により、オンラインイベントのサポートに『すぐさまピボットした』」と述べた。

実際に今年6月には、Facebookページでのライブ放送が2019年の同時期に比べて2倍になったとシモ氏は述べている。

同氏はまた、Facebookのブログ記事で新機能の概要を説明(Facebookブログ)した。企業はFacebook Liveを通じて大規模なイベントを主催できるようになるほか、メッセンジャールームで小規模でインタラクティブな集まりを主催する機能もテストしているという。目標は、ビジネスオーナーがイベントの作成、価格の設定、イベントの宣伝、支払いの回収、イベント自体のホストをすべて1カ所で管理できるようにすることだ。

初期のユーザーとのテスト中に開催された有料イベントには、トーク、トリビア、ポッドキャストの録音、ボクシングの試合、料理教室、ミートアンドグリーティング、フィットネスクラスなどがあった。

画像に向かって左がFacebookのイベント機能におけるiOSでの購入の流れ、右がAndroidでの購入の流れ(画像クレジット:Facebook)

「社会的距離の維持の義務化が進む中、多くの企業やクリエイターは、既存の顧客とつながり、新たな顧客にリーチするために、イベントやサービスをオンラインで提供しています。人々はまた、物理的に集まることができない場合には、ライブビデオやインタラクティブな体験をより頼りにしています」とシモ氏。

シモ氏によると「Facebookは少なくとも来年以降、有料オンラインイベントから手数料を徴収しない」という。従ってウェブとAndroidでFacebook Payが利用できる国では、企業はオンラインイベント収益の100%を手に入れられる。一方、iOSではそうはならない。同氏はブログ記事でこの件について、驚くほど率直にこの件についてアップルを批判している。

我々はアップルに、新型コロナウイルスの感染蔓延によって苦労している企業のためにすべてのコストを吸収できるように、App Storeの30%の手数料を減らすか、Facebook Payを提供することを許可するように求めました。残念ながらアップルは我々の要求の両方を却下し、中小企業は苦労して稼いだ収入の70%しか得られません。ユーザーの混乱を避けるため、Facebookが手数料を免除している期間中は、手数料についてサービスの中で明確に記載することにしました。

上図にように購入ボタンの下に「アップルはこの支払いについて30%の手数料を取ります」という小さなテキストメッセージが含まれる。対してAndroidでは「Facebookはこの購入から手数料を取りません」と表示される。Facebookはこのメッセージを含むFacebookアプリのアップデートをアップルに申請したが、承認されるかどうかはわからない。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Epic Gamesに続きFacebookがアップルApp Storeの30%税に反発

Facebookは、アップルがApp Storeを経由した支払いの際に徴収する30%の手数料について、不満を表明する企業の1社として加わった。

これらの不満は、Facebookが有料オンラインイベントを可能にする新機能(未訳記事)に関するブログ投稿の中で明らかにされた(Facebookブログ)。Facebookによると、苦境にある企業を支援するために、少なくとも向こう1年間はこれらのイベントの手数料を徴収しないという。つまり、これらの企業はウェブとAndroidであれば売上の100%を受け取れる。

しかし同社は、iOSではApp Storeに支払う手数料のために対象外であることを説明。驚くほど直接的な表現でアップルを批判したのだ。

我々はアップルにそのApp Storeの30%の手数料を減らす、あるいはFacebook Payを利用して苦戦している企業のコストをすべて負担できるようにすることを求めた。しかし、残念ながらアップルはどちらの要求も却下し、中小企業は苦労して稼いだ売上の70%しか手に入れることができない。ユーザーが理解しやすいように、Facebookでは手数料を免除している期間中に限り、すべてサービスについて手数料について明記することにした。

上図はiOSとAndroidでのイベント参加料の決済画面だ。Androidでは「Facebookは手数料を取らない」、iOSでは「アップルは30%手数料を徴収する」と書かれている。Facebookは、この変更をアプリのアップデートに含めて本日アップルに申請したことを明らかにしたうえで、このアップデートが承認されない可能性があることを予想している。

今回のFacebookのアクションは、Epic GamesがApp Storeを回避した直接支払い機能を導入したことで、Fortnite(フォートナイト)がApp Storeから削除されてから約24時間後のことだった。Epic Gamesは意図的にアップルに戦いを仕掛けようとしているようだ。すぐにアップルに対する訴訟を発表し、アップルの有名なCM「1984」をアップルを悪者にしたパロディにして、Fortnite内でビデオを流した。ちなみに同社は、グーグルやAndroidとも同様の戦いを繰り広げている。

アップルがApp Storeで徴収する30%の手数料は昔からのルールだが、手数料の問題が表面化したのは今夏にBasecampが同社のサブスクリプションメールアプリ「Hey」をめぐってアップルと公然と対立(未訳記事)したあとだった。

アップルのPhil Schiller(フィル・シラー)氏は当時TechCrunchに「この論争は手数料30%ルールの再考を促しているわけではない」(未訳記事)と語った。同氏は、これらの手数料は、良質なアプリ体験を実現するために必要なものであり「アプリをダウンロードしても動かない」という状況を避けるためのものだという。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Fortniteを削除されたEpic Gamesが反アップルキャンペーンを全力展開、提訴も準備

Epic Gamesは全力でアップルとApp Store のガイドラインに反対するキャンペーンを開始した。

米国時間8月13日の朝、Epic GamesはFortnite(フォートナイト)のサーバー側のソフトをアップデートして新しい支払い方法を導入した。これによりプレイヤーはApp Storeを経由することなくEpic Gamesから直接ゲーム内通貨でFortniteのバーチャルグッズを購入できるようになった。新しいゲーム内課金システムはAppleに手数料を支払う必要がない。このためアップルは直ちにApp Store から Fortniteを削除した。

アップルはすぐに以下の声明を発表した。

Epic Gamesがアプリに導入した機能は、アップルの審査ないし承認を受けておらず、かつApp Store利用上のガイドラインに違反するという明確な認識があったものと認められる。このガイドラインはApp Storeでデジタルグッズないしサービスを販売するすべてのデベロッパーが遵守している。

しかしEpic GamesはFortniteがApp Storeから追放されることを十分予期していた。

Epicはすぐに「アップルは市場における優越的な地位を不当に利用している」として、アップルに対して法的措置をとる(PDF文書)ことを発表した。同社は声明で「アップルによるFortniteの削除は他者に対して不合理な拘束を加えるために同社が巨大な市場支配力を利用した新たな例だ。アップルはiOSアプリにおけるアプリ内課金において100%独占しており、不当な手段でこの状態の維持を図っている」とした。

さらにそのあとすぐ、Epic GamesはFortnite内フォーラム「Fortnite Party Royale」に短いビデオを発表した。これは アップルがIBMの独占を打ち破ろうとして公開した有名なCM「1984」をモチーフにしたものだ。ビデオの最後には「Epic GamesはApp Storeの独占に挑戦した。アップルは報復として10億ものデバイスにインストールされている FortniteをApp Storeから排除した。2020年が「1984年」になるのをストップさせる戦いに参加しよう。#FreeFortnite」というテロップが流れる。

独占を理由にアップルを訴えることは、たとえ特定の目的に絞った訴訟であっても、難しい戦いになる。アップルのCEOであるティム・クック氏はすでに下院司法委員会で証言している。このとき議会でアップルに対し反トラスト法を根拠とした措置を取ろうとする動きはなかったことを考えれば、なおさらだ。しかし法廷闘争が困難であっても、Epic Gamesは3億5000万人のFortniteユーザーに絶大な影響力を持っている。反企業キャンペーン、特にその分野のトップ企業を攻撃するキャンペーンに動員するためにゲーマーはまさに理想的なターゲットだ。

実はこのドラマは、アップルがクラウドゲームストリーミングアプリ「Microsoft xCloud」のApp Storeへの登録を拒否し、非難を集めた数日後に起きている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

大人気バトルロワイヤルゲームFortniteがApp Storeから消滅、メタバースの未来どうなる?

大人気バトルロワイヤルゲームFortnite(フォートナイト)を運営するEpic Gamesが、アップルのApp Storeでの高額な手数料徴収を回避する機能をアプリに組み込んだところ、FortniteはApp Storeから姿を消してしまった。具体的には、Epic Gamesがモバイル上でゲーム内通貨をApp Storeを介さずに直接支払いできる機能(Epic Gamesリリース)を追加した日に、App Storeからのアプリの取り下げが断行された。その後、Epic Gamesはゲーム内通貨のV-Bucksを20%割引の価格で永続的に提供することを決めている。

「アップルとグーグルの支払いオプションを利用する場合、30%の手数料が徴収されるため、最大20%の値下げは適用されません」とEpic Gamesはこの新しいオプションを紹介するブログ記事で説明している。「将来、両社が支払いの手数料を引き下げた場合、Epic Gamesはその引き下げぶんをユーザーに還元します」とも説明されている。

App Storeを介さないFortniteのアプリ内決済機能。App Store経由の決済方法も選べる

アップルはTechCrunchへの声明の中で「App Storeのルールに違反するという『不幸な一歩』を踏み出したことを理由にFortniteを削除したこと」を確認した。

Epic Gamesは、アップルの審査や承認を受けていないアプリ内機能を有効にしており、デジタル商品やサービスを販売するすべての開発者に適用されるアプリ内課金に関するApp Storeのガイドラインに明確な違反しています。

同社は10年前からApp Storeでアプリを提供しており、アップルがすべての開発者に提供しているツール、テスト、配布システムなど、App Storeのエコシステムの恩恵を受けてきました。これまでEpic GamesはApp Storeの規約とガイドラインに同意しており、同社がApp Storeで大成功を収めたことをうれしく思っています。同社のビジネス上の利益のために特別な取り決めを求めるようになったという今回の事実は、App Storeのガイドラインがすべての開発者にとって公平な競争の場を作り、すべてのユーザーにとって安全なストアを作るという事実を変えるものではありません。アップルはEpic Gamesと協力してこれらの違反を解決し、FortniteをApp Storeに復帰させるために全力を尽くします。

Epic Gamesの創業者兼CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は最近のツイートで、App Storeの手数料を巡ってアップルを何度も攻撃していた。今回の決定を「意図的で反競争的」と呼び、アップルは「メタバースを非合法化した」と断じている。

FortniteのTwitterアカウントでは、権威主義とアップルを対比させた象徴的な1984年のCMを連想させるような辛辣な投稿が見られ、同社が手を引くつもりはないことを示唆している。

Epic Gamesはまた、アップルがFortniteを削除することは「アップルがその巨大な力を使ってデベロッパーを不当な拘束を課し、iOSのアプリ内決済処理市場の100%の独占を維持している」と主張し、カリフォルニア州北部地区の米国連邦地方裁判所で、アップルに対して法的な訴状を提出したようだ。

同社が「恒久的」と呼ぶ直接支払い機能を追加することを決定した際、App Storeらの削除がある可能性を十分に認識していたはずだ。いずれにせよ、新しい支払い方法を追加することで、Epic GamesはApp Store料金をめぐる最近の激しい論争に火をつけた。アップルとこのような著名なソフトウェアメーカーとの対決で次に何が起こるかは誰にもわからないが、TechCrunchはこのあとの展開に注目している。

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)