Amazonはラスベガスで開催中のre:Invent 2018カンファレンスでAWS Ground Stationを発表した。これは世界で初となる衛星通信の利用者向けに総合的な地上局の機能を提供するサテライト・アズ・ア・サービスだ。
このサービスのユーザーは衛星通信アンテナを始めとして世界すべてのリージョンに張り巡らされたAWSの通信ネットワークとデータ処理能力を利用できる。これによって衛星を経由するデータ送受信がンがきわめて簡単にできるようになるという。通信事業者だけでなく、衛星を利用するあらゆる企業がターゲットだという。
衛星通信を行うには基地局で衛星からの電波を受信し、各種のソフトウェアで利用できるデータ形式に変換しなければならない。仕組みそのものは各種のIoTデバイスを利用する場合と同様だが、ドアノブと違って相手は宇宙のかなたを周回しているというのが大きな違いだ。
CEOのAndy JassyによればAWS初めからこういうサービスを作ろうと考えていたわけではなかったが、顧客からの強い要望を受けて検討を始めたのだという。Jassyはこう述べている。
われわれは顧客から「衛星から大量のデータが降ってくる。そのデータを利用するアプリケーションも無数にある。ところがその処理は非常に大変だ。これをもっと簡単にできるようなサービスを提供して欲しい」と要望された。検討した結果、世界に広がる既存のAWSネットワークを利用してこの問題を解決できるのでないかということになった。
これまで衛星通信を行う事業者は衛星の電波を受信できる地域に自前で地上局を建設する必要があった。地上局で受信した電波をデジタルデータに変換し、ネットワークに送り出すことになる。事業者は土地やすべてのハードウェアを手当し、さらにデータ処理のためのソフトウェアを開発しなければならない。システムが完成した後も運用とメンテナンスのために膨大なりソースを必要とする。
Constellation Researchのアナリスト、Holger Muellerによれば、AWSの新サービスによってデベロッパーは衛星からのデータを簡単に利用できるようになる。TechCrunchの取材に対してMuellerは「各種の商用アプリケーションが衛星データを利用しようとする場合、データを利用可能な地域、時間をリアルタイムで知る必要がある。〔AWSの新サービスでは〕まさにこうした点がわかりやすくマップ表示される」と答えた。
どのようなタイプであれ、クラウド・サービスの価値はそれを利用することによってユーザーがどれほどリソースを節約できるかにかかっている。AWS Ground StationではAWSが電波の受信からデジタル化処理まで衛星データ取得に関するすべての作業をユーザーに代わって実行する。これはコスト削減だけでなく、衛星通信に関わる技術的な困難も大幅に軽減する。
AWSはこのオンデマンド・サービスを利用することにより、独自設備を所有することに比べて80%もリソースを圧縮することができるとしている。手始めに今日(米国時間11/07から地上局2局が運用を開始する。来年半ばまでに地上局は12箇所に拡大される予定だ。
AWSの新衛星サービスの顧客やパートナー企業にはLockheed Martin、Open Cosmos、HawkEye360、DigitalGlobeなどが含まれる。
画像:Jose Luis Stephens / EyeEm / Getty Images
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(滑川海彦@Facebook Google+