クラウドインフラプロバイダーのDigitalOceanが負債で約110億円を調達

中小による企業や若い企業を対象とするクラウドインフラプロバイダーであるDigitalOcean(デジタルオーシャン)は2月20日、投資家グループから1億ドル(約110億円)の新規資金を負債で確保したと発表した。2016年にも負債で2億ドル(約220億円)を調達しており、負債による調達累計額は約3億ドル(約330億円)になった。なお、2015年にはシリーズBで8300万ドル(約91億円)を調達した。

TechCrunchはDigitalOceanのCEOであるYancey Spruill(ヤンシー・スプルール)氏に、今回の資金調達、売上成長計画、同社の財務健全性、将来のIPO計画について聞いた。同氏は2019年、IPO経験のある新CFOと共に入社した。同社は今年初めに新しいCMOも採用した。

新しい資金は、提携への投資、製品投資の加速、CEOがいう「アーリーステージにおけるインサイドセールスの能力」を成長させるために使う予定だ。

1億ドルARR(Annual Recurring Revenue、年間経常売上高が約110億円)クラブシリーズの読者は、この投稿を姉妹版と考えてほしい。DigitalOceanは後日加える予定だ。この投稿では、DigitalOceanの勢いと、株式ではなく負債で資金調達した選択に焦点を当てる。

成長の軌跡

DigitalOceanは売上高の大きい未公開企業であり、2018年の年換算売上高は2億ドル(約220億円)だった。2019年は2億5000万ドル(約280億円)を見込む。スプルール氏によると、同社の売上高はすべて経常的であるためARRに含めることができるという。

金融分野にこだわるDigitalOceanはTechCrunchに対し、同社の成長率は20%台半ばであると明らかにした。同社はEBITDAマージンが2000万ドル台前半(約22〜28億円)であるとも主張している。スプルール氏はTechCrunchに対し、同社は「今後数年間で中小企業と開発者コミュニティに特に注力し続ける戦略」であり、「DigitalOceanは今後5年間で売上高が10億ドル(約1100億円)に拡大し、フリーキャッシュフローも黒字になる」と語った。

同社は2020年前半には年換算で3億ドル(約330億円)の売上高を見込む。2016年に負債で約2億ドル(約220億円)を調達して以来、資金調達なしでどうやって成長を実現してきたのか。いい質問だ。まずDigitalOceanの収益性について検討する。

収益性

DigitalOceanの市場開拓の動きは非常に効率的だ。人的な観点から言えば、比較的低コストで新規顧客を引き付けていることを意味する。同氏は、毎月数百万人(同氏によると約400万人)をウェブサイトに誘導することでこれを実現していると説明する。それが何万もの新しい顧客に変わる。

DigitalOceanはセルフサービスのSaaSビジネスのため、対面営業がなくても顧客がやってきて利用し始めてくれる。対面の販売サイクルは遅いしコストがかかる。ただ、中小企業が自分でサインアップできる点は魅力的に聞こえるが、この顧客獲得方法に頼る企業は解約に悩まされる。そこで筆者はスプルール氏に顧客の解約について、つまり中小企業の時にDigitalOceanに加入したものの成長とともにAzureやAWSなどの同業他社に移っていくペースについて掘り下げて聞いた(読みやすさのために若干要約した)。

この手のアーリーステージの中小企業を狙ったセルフサービスのビジネスと同様、顧客にとって最初の3〜4カ月が非常に重要だ。だが、当社の顧客基盤、すなわち過去8年のカテゴリー別の顧客データを見ると、どのカテゴリーも毎年成長している。質問された解約率について答えると、顧客が当社のプラットフォームを離れるのは少なくとも1年以上使用した後だ。

つまり、DigitalOceanでは解約は大惨事にはなっていないようだ。これが同社の収益性を非常に魅力的なものにしている。比較的低いコストで顧客を獲得し、最初の四半期を過ぎたあたりでの解約による取りこぼしがとても少ないため、かなりの期間にわたって顧客から粗利益を引き出すことができる。同社はその現金を何に使っているのか。再投資だ。スプルール氏はそのプロセスを次のように説明した。

高い顧客定着率と力強い売上成長がもたらすキャッシュフローが、事業の成長、投資、また負債の支払いや存在そのものを支える。希薄化や、当社の規模と成長率を持つ事業について考えるとき、およそ4億ドル(約440億円)の調達資金というのはおそらく妥当な代理変数だ。発展の規模と段階が同じ会社や同業他社の大部分は株式で資金調達している。当社の場合、調達資金のたった4分の1、または4分の1を少し上回る程度を株式で調達している。事業にキャッシュフローレバレッジを効かせ、大幅な希薄化を避け、株主資本に莫大な利益をもたらす。しかもなお責任を持ってエキサイティングな方法で事業を成長させることができる。

後ろから聴こえてくる合唱隊の声は、アーリーステージで参加した投資家らだ。DigitalOceanが成長のためにこれ以上株式を発行せず、価値の上昇分を彼らが大量に保有する既存の株式に集中させていることを喜んでいるのだ。

ここで簡単に要約したい。DigitalOceanは、セルフサービスによって収益を生み出すことで顧客獲得コストを低く抑え、収益性の点で良好な競争優位に保ち、中小企業と開発者に特化したクラウドインフラの構築に取り組んでいる。稼いだ利益によって開発投資を賄う。全体として収益性が十分に高いため、投資を株式ではなく負債によって調達することが可能だ。今朝聞こうと思っていた内容ではないが、面白い部分だと思う。

将来の見通しはどうか。おそらく直ちにIPOには向かわない。同社は負債で多額の資金調達をしたばかりで、その資金はおそらくIPOデビュー前に使う意図があるはずだ。CEOはTechCrunchに「DigitalOceanのIPOの選択肢は引き続き検討中だ」と語り、続けて「同社の成長や成長率、営業利益率、まもなく黒字になるフリーキャッシュフロー、会社規模があれば『これは公開の可能性のある会社だ』という話もでてくるだろう」と述べた。

次回、DigitalOceanを1億ドル(約110億円)ARRクラブに追加したら、最終的なS-1提出までのいくつかの売上高のマイルストーンがどんなものになるか筆者は想像してしまう。

画像クレジット:Diane Keough / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

DigitalOceanがPostgreSQLに続いてMySQLとRedisのマネージドデータベースサービスをローンチ

半年前にPostgreSQLのマネージドサービスをローンチしたばかりの、新進のホスティングおよびクラウドサービスプラットホームDigitalOceanは米国時間8月20日、MySQLとRedisのマネージドデータベースサービスのローンチを発表した

これも含め同社の最近のリリースは、低価格なホスティングサービスというルーツを脱して本格的なクラウドプロバイダーになろうとするDigitalOceanの意欲の表れだ。データベースのマネージドサービスと同社のコアであるホスティングおよびインフラストラクチャに加えて、今や同社はオブジェクトとブロック単位のストレージとKubernetesエンジンも提供しており、とくに後者は今日の現代的なクラウドインフラストラクチャならどれの上でも利用ができ、動かせる。ハイパークラウドと呼ばれる連中に追いつくのはまだかなり先だと思われるが、市場の競争がより激しくなるのは良いことだ。

DigitalOceanのプロダクト担当上級副社長Shiven Ramji(シヴァン・ラムジ)氏は、次のように述べている。「MySQLとRedisを加えたことによって、DigitalOceanは今やもっとも要望の多い3つのデータベースをサポートしている。しかもデベロッパーは、それらの面倒な管理で悩むことなく、アプリケーションを構築し動かすことができる。デベロッパーはDigitalOceanのDNAであるだけでなく、その成功の大きな要因でもある。私たちはこの成功を足がかりとしてさらにデベロッパーのサポートを拡充し、彼らのよりシンプルなアプリケーション開発を可能にしていかなければならない」。

マネージドデータベースサービスの料金体系は、どれを選んでも前と同じだ。

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新しいマネージドデータベースサービスは当面、同社のニューヨークとフランクフルト、サンフランシスコのデータセンターで提供される。そのほかのデータベースエンジンのサポートも、目下開発中だ。2番目3番目としてMySQLとRedisを選んだのはデベロッパーの要望が多いからだが、そのほかのエンジンについても、同じくデベロッパーの要望の多さが選択のベースになるだろう。ただしDigitalOceanの2019年のロードマップに載っているデータベースはMySQLとRedisだけだから、年内に次のサポートが発表されることはないだろう。

関連記事:DigitalOcean launches its managed database service(DigitalOceanがマネージドデータベースサービスをローンチ、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クラウドホスティングのDigitalOceanもついにコンテナプラットホームを提供

誰もが気軽に使えるクラウドホスティングサービスDigitalOceanが、そのメニューにコンテナサービスを載せた。同社は今でも、安価な仮想プライベートサーバーのホスティングサービスとしていちばんよく知られているが、同社自身はそのうち、クラウドコンピューティングの世界でメジャーになるつもりだ。ホスティングは、そのプランの最初の部分にすぎない。たとえば同社のストレージサービスSpacesは、同社の夢が本気であることを示す一例だ。

しかし今や、コンテナを避けて通れない世の中になっているので、同社が今日(米国時間5/2)、Kubernetesベースのコンテナサービスを立ち上げたのも、もはや意外ではないだろう。

このサービスはまだ初期のプレビュー段階で、ここからサインアップできるが、一般公開は今年の終わりごろだ。

DigitalOceanのプロダクト担当VP Shiven Ramjiはこう述べている: “私たちはいつも、デベロッパーのためのシンプルなソリューションに専心してきた。その最初のプロダクトが、クラウドサーバーDropletsだった。今度のプロダクトも、その例外ではない。デベロッパーは自分のアプリケーションを完成させることに専念でき、複数のアプリケーションにまたがるスケーラビリティの高い安全なクラスターを作って動かすことに伴う、複雑な作業は免除されるのだ”。

そのサービスはDigitalOcean Kubernetesと名付けられ、それによりデベロッパーは、自分のコンテナワークロードをDigitalOceanのプラットホームでデプロイし管理できる。大手のクラウドコンピューティングプロバイダーのほとんどすべてが提供している競合製品と同様に、DigitalOceanのプロダクトも、Kubernetesを動かすことに伴う複雑性の大部分を、抽象化してデベロッパーからは見えなくする。しかし必要ならユーザーは、KubernetesのAPIにフルアクセスして、独自の隔離されたKubernetesクラスターを作れる。

このサービスは同社の既存のサービス、ストレージやファイヤーウォールツールなどを統合している。デベロッパーは自分のコンテナを、DigitalOceanの標準のノードで動かすか、あるいはより強力で計算能力の高いノードで動かすかを、選択できる。また“teams”という機能で、アクセスコントロールができる。さらに、こういうサービスの通例として、通常のパフォーマンスアナリティクスやロギングの機能もある。

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中小スタートアップに人気のクラウドサービスDigitalOceanが料金体系を改定

クラウドホスティング企業DigitalOceanが今日、一部の料金改定を発表した。また同社は数年ぶりに、最低料金月額5ドルのドロップレット*のインスタンスのスペックをアップグレードした。〔*: droplet, 滴(しずく), DigitalOcean独自の愛称で、同社が提供する仮想マシンのこと。〕

5年前にDigitalOceanは、革命的なサービスの提供を開始した。それは月額料金5ドルでSSDが20GB、RAM 512MB、CPUコア1を利用できるサーバーだ。しかしその後、Linuxの仮想サーバーは参入企業がどんどん増えて、低料金が珍しくなくなってきた。

たとえばLinodeは、月額5ドルでRAM 1GB、SSD 20GB、CPUコア1だ。Scalewayでは、RAM 2GB、SSD 50GB、2CPUコアで3ドル65セント(2.99ユーロ)だ。というわけでDigitalOceanは、競争に生き残るために、製品構成および料金体系のオーバーホールをせざるを得なくなった。

新料金は、月額5ドルでRAM 1GB、SSD 25GB、CPUの性能は前と同じだ。標準のドロップレットはすべて、前と同じ料金でRAMが倍になり、ストレージも増える。もちろん料金の高いプランではストレージも大きい。

月額40ドル以上になると、同料金のまま仮想CPUコアの数が前より多くなる。ただし160ドルのプランは、前と変わらない。高額な料金プランが新たに二種類増え、最高の月額960ドルのモデルではRAM 192GB、ストレージ3840GB、コア数32になる。

おもしろいのは、月額15ドルの新しいプランでは構成が三種類あることだ。すなわち、(1)RAM 3GBで1コア、(2)RAM 2GBで2コア、(3)RAM 1GBで3コアだ(下表)。さらにまた、RAM容量33%アップでストレージも多めという、“最適化ドロップレット”もある。ここまで読んで頭が混乱してきた読者は、DigitalOceanの新料金表へ行ってみよう。

なお、同社によると、秒課金をもうすぐ始める。Amazon Web ServicesGoogle Compute Engineがすでにやってるように。

例によってプランを変えるのは簡単で、DigitalOceaのアドミンパネルへ行けばよい。DigitalOceanの人気の源泉は、こんな気軽さ、柔軟性にある。すでにユーザーである方は、さっそく今度の新しい料金体系の“良いとこ取り”をトライしよう。

標準のフレキシブルドロップレット

最適化ドロップレット

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DigitalOceanがロードバランサーを現料金内で提供開始、徐々に本格的なクラウドコンピューティングサービスへ成長中

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DigitalOceanが今日から、このプラットホーム上でアプリケーションを運用しているデベロッパーのために、ロードバランスサービスの提供を開始する。ロードバランサーは比較的単純明快なプロダクトで、DigitalOceanの場合も、サイトへの接続を複数のサーバーに分散することによって、アプリケーションの良好なアップタイムを保証する。言い換えると、トラフィックにスパイクがあっても、ロードバランサーがあれば一箇所のエラーですべてがだめになることはないから、顧客へのサービス性が向上する。ただし、一つしかない(バックアップのない)データベースがダウンしたら、上記の‘一箇所のエラーで云々’という説は通用しなくなる。

これまでDigitalOceanのユーザーは、ロードバランサーを自前でセットアップしていた。しかしこれからは各月20ドルの料金にロードバランサーの利用も含まれ、同社のダッシュボードやAPIからアクセスできる、プロトコルはHTTP, HTTPS, およびTCPをサポートしている。またロードバランサーのアルゴリズムをラウンドロビン最小接続の二つから選べる。

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ロードバランサーのセットアップは、数クリックで終わる。時間にして1分足らずだ。利用できる圏域は、DigitalOceanの全世界の全リージョンだ。

DigitalOceanによると、同社の登録ユーザー数は100万に近く、現在のアクティブユーザーはデベロッパーのチーム数で言って4万あまりだ。同社は今日までずっと基本サービスの規模拡大で忙しくて、関連サービスの提供が遅かったが、そろそろその悪癖も、改まりつつある。これまでは単純に安く使える仮想プライベートサーバーが売りだった同社も、今では本格的なクラウドコンピューティングプラットホームを目指している。たとえば昨年はストレージサービスを開始したし、また複雑なアプリケーションを高い可利用性で提供できるフローティングIPを導入した。そしてさらに最近は、改良されたモニタリングサービスの提供も開始した。

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サーバーが何台あっても足りないDigitalOceanが$130Mの資金を銀行融資に仰ぐ

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DigitalOceanは、ユーザーにとっては低料金で気軽に利用できるクラウドホスティングプラットホームでも、そんなサービスを作るためには相当なお金が要る。同社はこれまで1億2000万ドルあまりを調達し、そのほかにも随時、銀行からの融資を仰いで、その成長を支えている。

クラウド(雲)という言葉は曖昧だが、その実態はサーバーの集合だ。サーバーは、買うのもデータセンターの一部を借りるのも、安くはない。

今同社は、12のデータセンターを利用して70万のユーザーに常時、仮想プライベートサーバーを提供しているから、同社が管理するラックキャビネットの数は膨大だ。

DigitalOceanの全ユーザーがブートしているクラウドサーバーの数は1300万に達する。中にはサービスをもはや提供していないサーバーもあるが、とにかくすごい数であることは確かだ。

そんな同社にとって、クレジットラインの利用には二つの意味がある。第一に、DigitalOceanは今でも同社のインフラストラクチャへの投資額が大きいこと。既存のユーザーがサーバーをアップグレードしたりリプレースすることも多いし、同社自身がインフラの規模を拡大することもある。

第二に、DigitalOceanは小さなデベロッパーにとってありがたいプラットホームだが、でも、営利企業として、超大手のAmazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどと伍して大型クライアントを獲得していくためには、インフラの充実努力がコンスタントに必要だ。そしてそのためにはもちろん、お金が要る。

でも、今日のようなスタートアップ環境の中で、大金を貸してくれる銀行〔banks, 複数形〕を同社が見つけられていることは、たいへんめでたい。つまり銀行も、投資家たちと並んで、同社の将来性をポジティブに評価している、ということだ。

〔訳注: タイトルにある融資獲得累計額$130M(1億3000万ドル)の件は、本文中にない。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

DigitalOceanにFloating IP機能が加わる、サーバのダウンタイムを実質ゼロにする

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人気の高いクラウドホスティングサービスDigitalOceanに今日(米国時間10/20)、floating IPと呼ばれる興味深い機能が加わった。

今では多くのデベロッパが、DigitalOceanやAmazon Web Services、Google Cloud Computing、Microsoft Azureなどのクラウドホスティングサービスを利用している。昔の“レンタルサーバ”と違って、アプリケーションのデプロイや運用のための、いろんな機能やサービスが提供される。

とくに便利なのは、アプリケーションを複数のデータセンターで動かしたい場合や、アプリケーションの複製をあちこちに置きたい場合だ。でもそれらのネットワークの管理が、複雑難解になることもある。ドロップレット(個々のクラウドサーバ)の置換が必要以上に難しくなったりするのは、それぞれのドロップレットのIPアドレスが違うからだ。

それはまるで、郵便配達への依存度が大きくなったようなものだ。彼なら誰のことでも知っているし、あなたの町のすべてのアドレスを知っているから、誰かが引っ越ししても彼に聞けば新しい住所が分かる。でも、誰かの住所を知りたくなるたびに彼に依存するなんて、とても面倒だ。

そこで登場するのがfloating IP、すなわち浮動IPだ。DigitalOceanのこの新しい機能では、ひとつのIPを同じデータセンター内のどのドロップレットにも割り当てられる。IPがユーザのアカウントに付随し、ユーザのインスタンスには付随しない。AmazonのEC2 Elastic IPも、このような機能だ。

いろんなユースケースがあるけど、ぼくが好きなのは災害対策だ。あなたのドロップレットのひとつが、完全にダウンしました。治すのに時間がかかりそうなので、セーブされているイメージを新しいドロップレットに載せて動かし、IPは元のIPをそのまま使いたい。…この奇跡を実現するのが、floating IPだ。

もっと良いのは、イメージからリカバーするのではなくて、バックアップドロップレットを用意し、そこにプロダクションドロップレットのすべてを複製しておくのだ。そしてプロダクションドロップレットに異状が起きたら、 IPをそのバックアップドロップレットに移行するだけだ。ユーザ(お客さん)にとっては、サーバが落ちたという認識は完全にゼロだ。適当なスクリプトを書いておけば、IP移行の過程も自動化できる。

また、ロードバランサーを二つ使って(災害時には)floating IPを有効に使えるだろう。DigitalOceanは今や70万のデベロッパのために800万のクラウドサーバをデプロイしているから、この機能は彼らの仕事も楽にするだろう。

〔訳注: floating IP参考記事(1)(2)。〕

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DigitalOceanがBitnamiとパートナー、100種以上の有力Webアプリケーションを簡単にインストール

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シンプルなホスティングサービスとして人気のDigitalOceanが、このたびBitnamiパートナーして、複雑なアプリケーションのインストールをさらにシンプルにした。

DigitalOceanのユーザはBitnamiを2ヶ月間無料で利用できる。これによりインストールが単純化されるアプリケーションは、WordPressやGhost、Drupalなどベーシックなもののほかに、バージョンコントロールのGitLabやElasticsearch、SugarCRMなどの複雑なアプリケーションもOKだ。

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これまでDigitalOceanは、そのアプリケーションディレクトリに、WordPress、Drupal、MongoDB、Docker、それにLAMP/LEMPスタックなど、およそ25のアプリケーションを加えてきた。しかし初期から急成長が続いた同社は、サービスの技術的側面のスケールアップに追われ、プロダクトとしての充実は後回しになりがちだった。そのため同社のアプリケーションカタログは成長が遅く、今日まで一貫して、ベーシックなものにとどまっていた。

DigitalOceanの協同ファウンダでCMOのMitch Wainerが今日の発表声明の中で、次のように述べている: “Bitnamiは、今市場にあるアプリケーションローンチパッドの中でいちばんシンプルだ。弊社のクラウドインフラもシンプルを追求し、ソフトウェアデベロッパの仕事ができるかぎり容易になるために、複雑で余計なものをなるべく省いてきた。”。

なお、アプリケーションのライブラリはDigitalOceanとBitnamiで一部重複しているが、Bitnamiのライブラリの方がよりロバストで、しかも、デベロッパに提供するオプションもより幅広い、という。

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90年代に生まれたローカルのホスティングサービスAtlantic.Netが生き残りを懸けて21世紀を戦う

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Atlantic.Netはフロリダ州Gainesvilleで、1994年からホスティングビジネスをやっている。しかし同社は長年、地方企業であることに甘んじてきた。でも同社は昨年ぐらいから、知名度を高め全国区の企業になるための懸命な努力を開始している。それは、同業のDigitalOceanの急成長に刺激されたためだ。

Atlantic.NetのCEO Marty Puranikによると、同社は合衆国の全国区の企業であるだけでなく、グローバル企業も目指しているので、最初はヨーロッパとアジアでの事業展開を目指す、という。

同社の世界展開の旅の最初の停泊地がロンドンだ。“ロンドンはデベロッパのコミュニティがヨーロッパでいちばん活発だから”、とPuranikは言う。Atlantic.Netの現ユーザの中にもすでにイギリス人がかなりおり、多くがロンドンの住人だ。だからヨーロッパの最初の拠点としては妥当な選択だ。でも同社は、ヨーロッパのそのほかの都市にも近く進出するつもりだ。

アジアでは、まずシンガポールに同社のデータセンターを作る。Puranikが言うように、この都市国家は国際企業の進出に寛容であり、しかもアジアとオーストラリアとニュージーランドの市場へのアクセス性が良い。彼は曰く、“この地域の顧客は、ヨーロッパや合衆国に比べると地理的に遠いため、当然ながらレイテンシを気にしている。その懸念を払拭できるほどのサービスを提供できれば、快調なアジア進出が可能だろう”。

同社の今後の拡張方針としては、まず第一歩として世界の主要地域を抑える。“幹線を抑えてから支線にも出て行きたい。そのようにして全世界的に、顧客との距離を一歩々々縮めていきたい。たとえばインドなんか、デベロッパの数も多いからね”、というのだ。

最近の2年間ぐらいで、DigitalOceanが急速にVPSホスティング市場の支配的勢力になってきた。Atlantic.Netもそろそろ静観は許されない事態だと思うが、こうして古参が積極的に戦う姿勢を見せているのは、たのもしい。

たとえば同社が最近立ち上げた、月額99セントのSSDベースのサーバは、ローパワーではあるけど、多くのコンペティタをぎょっとさせた。そして同社は今では、WordPressやNode.js、Docker、それに標準のLAMP/LEMPスタックの、‘ワンクリックインストール’を提供している。〔LEMPはApacheがnginxに代わるだけ。〕

今後Atlantic.Netは、本業のVPS以外のサービス、たとえばストレージサービスなどをいくつか提供して行くつもりだ。

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弱小でも人気の高いホスティングサービスDigitalOceanが、CoreOSをサポートして大規模クラスタにも対応

わずか数年前に開業したDigitalOceanは、早くも、誰もが気軽に使える仮想サーバを提供するホスティングサービスとして、有名になってしまった。しかし同社自身は、個人のためにWordPressのブログをホストするとか、デベロッパのために月額5ドルのテストサーバを提供するといったレベルには満足せず、次のステップとしてCoreOSのサポートをこのたび発表した。CoreOSはコンテナを前面に打ち出したLinuxディストリビューションで、アプリケーションの大規模な展開に適している。

DigitalOceanの協同ファウンダでCMOのMitch Wainerは今日(米国時間9/5)の声明文で次のように述べている: “CoreOSにはコミュニティの熱気がある。デベロッパが今すぐにでもCoreOSを使い始められることを、ここに発表できることは、とても喜ばしい。CoreOSの高い障害耐性と大規模なスケール能力を、みなさまにご享受いただきたい”。

DigitalOceanによれば、CoreOSもうちで使えば気軽なお値段で試用できるし、コンテナはどのクラウドサービス上のものでも使える、という。

CoreOSのクラスタを動かすことは、一台のサーバの上でUbuntuの最新バージョンを動かすことほど単純ではないので、DigitalOceanで使用ないし試用する場合でもいくつかの作業が必要だ。まず、新しいサービス(DigitalOceanの用語では“ドロップレット(droplet)”)を作るときには、構成ファイル(コンフィギュレーションファイル)が必要だ。つまりCoreOSは、自分がどことどこのサーバにアクセスするのかを、知る必要がある。構成ファイルを作るのは難しくはないが、それほど些細な作業でもない。

CoreOSのサポートを加えたことによってDigitalOceanは、単なるベーシックな仮想サーバの提供者から脱皮しようとしている。しかし今後AWSやGoogle Cloudなどと真剣に競合していくためには、それも欠かせぬステップの一つだ。

同社の協同ファウンダのBen Uretskyがこれまで何度も言っていたように、同社は増大する需要に対応していくのが精一杯で、基本的な製品開発、たとえばサポートするディストリビューションの種類を増やすといったことが、どうしても後回しになりがちだった。しかし最近DigitalOceanは巨額な資金を獲得してスタッフも増員したから、今回のCoreOSのサポートのような、新しいことにも、十分、注力していけるのだ。

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コミュニティベースで誰もが気軽に使えるIaaSを目指すDigitalOceanが$37.2Mを調達–AWSの次の世代を展望

AWS等と競合するクラウドホスティングのDigitalOceanが、シリーズAで、企業評価額$153Mに対し3720万ドルを調達した。ラウンドの幹事会社はAndreessen Horowitzで、これまでの投資者IA VenturesとCrunchFundも参加した。投資額はAHが圧倒的に大きく、Peter Levineが同社の取締役会に入る。同社のこれまでの資金調達額は一桁少なく320万ドルだった。

DigitalOceanの協同ファウンダでCEOのBen Uretskyは曰く、“うちはインフラプロバイダとして世界第9位だが、IaaSはきわめて資本集約的な業態だ。ユーザは物理マシンの小片を短期間借りてわずかな金額を払うだけだが、その環境を整えるためには巨額な資本を確保して、顧客ニーズをつねに先取りしていかなければならない”。

DigitalOceanもスケーラブルな仮想プライベートサーバを提供するのだが、競合他社に対する差別化要素がいくつかある。その第一は、安いことだ。最小プランの仮想サーバ、愛称droplet(水滴)は、RAM512MB、SSD20GB、帯域1TBでは基本料金月額5ドル+時間料金だ。小さなアプリケーションを実験的に動かしてみるのに、適している。この低料金をいつまで維持できるのか、と聞いたら、Uretskyは簡単明瞭に曰く、“料金を変えるつもりはない”。

もちろん、本格的なWebサービスも十分に動かせる。dropletは55秒で作れて、そのサイズ拡大はワンクリックでできる。大きな‘水滴’でもよいし、複数の‘水滴’を動かしてもよい。今同社のデータセンターはニューヨークとサンフランシスコとアムステルダムとシンガポールにあり、99.99%のアップタイムを約束している。このようにDigitalOceanはユーザに仮想プライベートサーバを提供するので、低レベルのアクセスも可能だ。コロケーションセンターの専用サーバは、管理やアップグレードをユーザがやるのはたいへんだが。

Uretskyによると、“WordPressホスティングのFlywheelはうちのクラウドで構築されて動いているが、今は1000あまりのdropletで構成されている。しかしインテグレーションがとてもタイトだから、Flywheelの顧客はホスティングサービスを使っていることに気づかないだろう”、ということだ。

12月にニューアルバムを出したBeyoncéは、Beyonce.comをDigitalOceanで動かしている。アルバムのローンチ時にも、その仮想サーバ群はびくともしなかった。

“あのときは、最初の24時間で1500万のビジターがあった。彼女は、うちのサービスにとても満足していた”、とUretsky自身も満足げだ。

ホスティングプロバイダとして強敵は多い: RackspaceLinode、それにある意味ではAmazon EC2OpenStackも。では、これらのせめぎあいの中で顧客がとくにDigitalOceanを選ぶ理由は何だろう? まず、同社には強力なコミュニティがある。ユーザ同士で、特定のスタックやアプリケーションを動かすためのチュートリアルやチップスを共有している。そのWebサイトは今では、たえず拡張を続ける巨大な知識ベースになっている。そこで解決できない問題は、同社に直接ヘルプを求めればよい。

“DigitalOceanの上に、みんなが協力して大きな共有環境を作っている、と考えればよい。コミュニティのベストプラクティスを、誰もが利用できるのだ”。

できるだけシンプルなサービスにする努力もしている。システム管理のスキルは必要だが、自分の物理サーバを管理するときほどたいへんではない。dropletのセットアップはほんの数クリック、Webコンソール(管理画面)も提供される。プロビジョニングツールを使ってテンプレートの利用や共有もできる。IPv6のサポート、ロードバランシング、ストレージサービス、なども準備中だ。

“今回の資金調達を契機に、初心に戻りたい。それは、Webのインフラストラクチャをできるだけシンプルにして、デベロッパが使いやすいものにすること。そしてそれと同時に、本格的なWebアプリケーションを問題なくサポートできるほど強力であることだ”。

資金の用途はまず、技術者を増員して、顧客数の増大と、顧客サイトの今後の大幅なスケールアップに備えること。顧客数は、2013年の初めにはわずか2000だったが、今ではアクティブカスタマーが11万いる。動かしている物理サーバは5000台。新規の登録顧客は毎日1000近くある。そして、すでに黒字だ。

投資ラウンドの幹事としてAHを選んだ理由は、これからの社会ではデベロッパがますます重要になるということを、同社がどこのVCよりもよく理解していたからだ。一方AHのPeter Levineは、DigitalOceanの昨今の成長が著しいことに感銘をうけた。そして今後のグローバル展開が確実と考え、大きな投資に踏み切った。

DOのコミュニティについてLevineは、“GitHubの取締役もやってるけど、コミュニティの威力はGitHubで十分承知している。ユーザはコミュニティがあることで、勇気づけられるのだ。DOも、コミュニティはすでに相当大きいし、十分なフィードバックもある。新進スタートアップで、すでにこれだけのコミュニティが育っているところは、本当に珍しい”、と言っている。

Levineはデベロッパとしての仕事をもうやってないが、投資する前にDigitalOceanを実際に使ってみて、仮想プライベートサーバdropletのセットアップが、同社の言うとおり超簡単なのに驚いた。

DOのインタフェイスはAWSやOpenStackとは全然違う。DigitalOceanの市場に合うよう特製されている。Uretskyは、“これまでなかったようなIaaSを作ったことを誇りに思っている”、と言う。今の成長が続けば、メジャーの一角にのし上がることも、ほぼ確実だろう。

情報開示: CrunchFundのファウンダMichael ArringtonはTechCrunchのファウンダである。

写真クレジットt: Tristan Schmurr; CC BY 2.0のライセンスによる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))