Airbnb CEO、「来年のIPOは可能、だけどないかもしれない」

Airbnbは年間数十億ドルの売上をもたらし、EBITDAベースで黒字なので、この宿泊シェアリング会社がいつ上場するのか多くの人々が注目している。今日(米国時間5/30)のCodeカンファレンスで、Airbnb CEO Brian Cheskyは、「来年IPOはできるだろうが、するかどうかはわからない」と言った。

Airbnbが上場するときは、それが間違いなく会社にとって大きな利益になることを考えなくてはならないと付け加えた。いくつかの質問のあと、Cheskyは「上場することに問題はない。上場は可能だ」と語った。

一方Airbnbは規制問題に関しては2010年以来苦闘を続けている。中でもサンフランシスコとニューヨークは規制の観点から見てもっとも困難な2都市だとCheskeyは言った。

たとえばニューヨークは2010年以来停滞状態にある。Cheskyによると、彼はニューヨークの問題は解決にあと数年かかると予想している。

「この挑戦には終わりがないように思える」とCheskyは言った。Cheskyによるとこの問題には、ホテル業界および「この終わりのない戦いに人々を駆り立てた」組合も関係しているという。

ほかにAirbnbに対する批判として、家賃の上昇と立退きの問題が挙げられている。Cheskyはこれを単なる経営判断だとして付け加えた。ニューヨークには「住む価値がなかったということだろう」。しかしCheskyは、Airbnbで収入を得ることに依存しているホストもいると言う。

CodeカンファレンスでCheskyは、AirbnbのExperience製品を説明し、同社の宿泊サービスの10倍以上の速さで伸びていることを自慢した。Airbnb ExperienceはAirbnbが2014年にテストを始め、正式には2016年にスタートした、旅行者が世界中の都市でなにかを見つけるのを手伝うサービスだ。

スタート当初、Airbnbはそれぞれの体験について調べていなかったが、悪い体験がいくつかあって以来、Aibrnbは検証を始めた

「非常にうまくいっている」とCheskyは言った。さらに、「Experience経済」は成長中であり、「おそらく各種の体験を中心にして大きな経済が生まれるだろう」と付け加えた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Rackspaceが企業のSalesforce導入を助けるRelationEdgeを買収、アプリケーション管理の部門を充実へ

Rackspaceが今日(米国時間5/17)、Salesforceの実装パートナーでデジタルエージェンシーのRelationEdgeを買収したことを発表した。価額など買収の条件は公表されていない。

Rackspaceは今でも多くの人が、ホスティングとマネージドクラウドサービスとIaaSの企業だと思っている。そしてRelationEdgeは、企業がSalesforceのSaaSを実装しようとするとき、それを支援し管理するサービスだ。しかしRackSpaceは近年、業態の多様化に努めており、各種SaaSアプリケーションの管理サービスもそのポートフォリオに含めようとしている。その最初の試みが、昨年のTriCoreの買収で、こちらもやはりエンタープライズのアプリケーション管理を提供する企業だ。本日の買収も、同じ路線上にある。

Rackspace Application ServicesのゼネラルマネージャーGerard Brossardによると、アプリケーション管理サービスに関しては同社はまだ草創期だが、これらの新しい提供物により新たな顧客を獲得しつつあり、既存の顧客もRackspaceにIaaSを超えた管理サービスを求めるようになっている。そして、“これによってSaaSの管理サービスの分野に参入できるし、しかもSalesforceはエンタープライズSaaSのリーダー格だ”、という。

一方、業績も良く、社員が125名もいるRelationEdgeは、なぜ身売りするのか? RelationEdgeのファウンダーでCEOのMatt Stoykaはこう語る: “まるで木々の自然成長のように、わずかな資金でここまで伸びてきたが、目の前にはもっと大きな機会がある。しかしそれをものにするためには、現状を超えた力が必要だ。つまり社員と企業の両方にとって、正しい新居が必要なのだ”。

彼によると、両社は社風も似ているそうだ。とくに、技術そのものよりも、それが生み出す結果を重視するところが。

当面、RelationEdgeのブランドはそのまま残り、Rackspaceとしても、現状のリーダーシップによる企業の独立性を尊重する、とBrossardは言っている。RelationEdgeのブランドイメージは無視できない、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

音声認識とAIで会議のノートを取るVoiceraがモバイルの同業Wrappupを買収

Voiceraは、会議などで人間がノートを取ることを今後永遠に不要にしたいと考えている。同社のビジョンはAIによる音声認識システムが、ノートを取るだけでなく話者を認識し、会議の要点や行動案件を要約できることだ。今日(米国時間4/18)同社は、類似のスタートアップWrappupを買収したことを発表した。ここもAIによるノート取りアプリで、Voiceraのビジョンにぴったり符合している。

Wrappupのチームは直ちにVoiceraに加わる。買収価額などの条件は、公表されていない。

VoiceraのCEO Omar Tawakolも、声明文の中で、相性は良い、と見ている: “問題解決への両社のアプローチには、互いにシナジー効果がある。Wrappupはモバイルファーストで目の前の人が相手だから、会議電話が主体のVoiceraを補完する”。

Wrappupの長所は、モバイルのコンテキストでミーティングの重要箇所を見つけることだ。そのために同社は、新しいモバイルアプリのローンチを発表した。これら二つの企業の協働関係は前からあって、それがやっと今日、オフィシャルになったものと思われる。

写真提供: Voicera

WrappupのCEO Rami Salmanによると、Voiceraとの合体によって顧客にとってより魅力的で強力なソリューションが作られた、という。“両社の技術とAIのアルゴリズムが合わさると、ミーティングの重要箇所をより正確に見つけてまとめることができる。それが、どんな場所であっても”、と彼は声明で述べている。

Voiceraの音声認識ツールはEvaと呼ばれるクラウドサービスだ。それは、ミーティングのノートを取る作業を、人間から取り上げるために設計されている。同社は先月、e.ventures, Battery Ventures, GGV Capital, Greycroftなどの著名VCから、シリーズAで1350万ドルを調達した。同社はまた、GoogleのGVやMicrosoft Ventures, Salesforce Ventures, Workday Venturesなどエンタープライズ系のVCからも注目されており、ミーティングの痛点(ノート取り)に対する同社のソリューションが本物であることを伺わせる。

Wrappupは、2015年にドバイで創業された。これまで80万ドルを調達している。同社の製品は、CitrixのGoToMeeting, CiscoのWebEx, UberConference, Zoomなど既存のミーティングツールと併用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

結果がすべてを癒やす——イグジットした起業家がエンジェル投資をする意義とは

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昨日僕は、イグジットした起業家の投資に関わる記事を書いた。そして記事の公開後、あらためて起業家兼エンジェルを中心に、多くのスタートアップ業界関係者とその内容の是非について話をすることになり、起業家の本業とエンジェル投資のあり方についてもさまざま意見を聞くことができた。元記事で説明しきれなかった話ともあわせて、ここで整理して紹介したい。

やはり「本業ありき」ではないか

特定の企業を指しての話ではないという前提で、あらためて言うと、一度イグジットした起業家が(代表を続ける、M&Aであればロックアップが外れるまで事業を担当するという意味で)責任を持つ限りは、まず本業に注力することが重要だと思っている。M&AであろうがIPOであろうがKPIや業績を伸ばさないといけないし、IPOしたなら株価の維持・向上を目指さないといけない。

もちろん例外的な話を挙げればキリはないだろう。例えばM&Aの場合、売却先と求めているゴールが——内的要因であれ、自分たちでコントロールできないような外的要因であれ——ズレてしまうというケースもあると聞く。そういった話はあっても、基本的には本業ありきだ。買収先も、市場の投資家も、スタートアップの現状だけでなく未来を期待して彼らを買うのが市場の原理ではないだろうか。

本業で最終的な結果を出してから投資をしないと…なんて厳密なことを言うつもりはない。でも本業が厳しい状況で起業家がエンジェル投資に注力しているなんて話を聞けば、買い手がどう見るか、どう考えるかを意識する必要があるのは当然ではないか、ということだ(あとは、取締役会などを通じた社内との合意形成なんかも大事かもしれない)。

成功者がリスクマネーを出す意味は大きい

その話とは別に、成功者が挑戦者に対してリスクマネーや知恵を提供することは本当に価値があると思っている。いくらVCや投資を受けた事業会社の担当者が相談に乗ったところで、起業家同士でないと共有できない悩みやトラブルだってある。エンジェル投資をする側の起業家は「投資することが自分の知見になる」と語っていた。投資する側にとっても情報収集や思考の整理、業界のリサーチなど、自身の学びになるということは大きい。

また成功者、すなわちイグジットした起業家というのは、自分たちがリスクマネーを得て成功しているわけだ。ある起業家は「そんな(リスクマネーを得て成功した)人間が自分の興味がある分野にリスクマネーを提供しないでどうするのか」と語った。玉石混交のエンジェル投資は、リターンを求めると決して効率がいい投資とは言えない。だけれども成功者は、若きスタートアップのチャレンジに興味があるから、エコシステムを回そうとするから、率先してリスクマネーを出すのだという。「もちろん本業もあるが、投資にはタイミングがある。エコシステムのことを考えれば、投資によってノウハウが回るだけでも価値になる」(ある起業家)

余談めいた話になるのだが、本業の状況に関わらずスタートアップに出資するべきという話をする中で、「キャバクラや旅行で100万円払うなら、若いスタートアップに100万円出資した方が、世の中はよくなる」と語る起業家がいた。その例え話に笑ってしまったが、内容としてはごもっともな話だ。本業ありきとは書いたが、その話とは別で、豪遊するくらいならば、是非とも若い起業家の成長を応援してほしい。ただ勘違いしないで欲しいのだけれど、別に起業家に極度の禁欲を求めている訳でもない。

シリコンバレーのスタートアップを支えるエンジェル

それこそシリコンバレーのスタートアップなら、同じようなステージのスタートアップや界隈の「ちょっとしたお金持ち」が出資することだって日本よりもはるかに多いと指摘する起業家がいた。日本のエンジェルは100〜200人、対してシリコンバレーのエンジェルは20万人とも言われている。彼らを源泉としたリスクマネー、そしてその知恵の積み重ねは、シリコンバレーのスタートアップの土台を支える1つの要素になっている。

シリコンバレーつながりで話をすれば、PayPalの成功後にTesla MotorsやSpaceXを立ち上げ、さらに投資を行うElon Musk氏、TwitterとSquareの代表を兼ねたこともあり、また投資家としても活躍するJack Dorsey氏なんていうずば抜けた存在がある。イグジット経験があるが今は本業のグロース中。そんな希代の起業家も、本業を複数持ちつつ、シリコンバレーのスタートアップエコシステムを回す存在になっている。こういった背景を踏まえれば、本業の結果というのはあくまでも原則論で、リスクマネーが流れること自体が重要だという考え方もできるだろう。

スタートアップが「内輪ごと」で終わらないために

起業家によるエンジェル投資について、数人の関係者から「(投資の事実を公開せず、)黙ってやるのが一番いい」というコメントも得た。買収先や株主の目線を意識すれば、僕はそれに堂々と賛成だとは言えない。だが、本業の苦しさで対外的に指摘を受けるくらいなら、黙ってこっそりエンジェル投資をしたほうがいいという意見には反論しにくい。

ちなみに元記事で名前を挙げた起業家兼エンジェルは、あくまで個人投資をしていることを公言している人物というだけだ。各社の本業の状況をひとくくりにして是非を問うような意図はない。名前こそ出していないが、彼らよりも積極的に投資を行っている起業家は数多くいる。

そんなことを言いながら、なぜ「本業ありき、市場の目線を意識するべき」と書いたのか。それは、この数年で成熟してきたスタートアップのエコシステムが、「ムラ」とでも呼ぶような、内輪ごとになりがちなことに、危機感とまで言わないが不安を持っているからだ。

上場企業を取材対象にする全国紙やビジネス誌の記者や証券会社をはじめとした金融業界関係者、そのほか「市場」に近い人たちと話したとき、スタートアップ界隈の「未成熟さ」についてツッコミが入ることは少なくない。元記事にもあるが、例えばIPOまわりの話で言うと、去年一昨年で上場直後の下方修正が何度あったのか? 上場承認後の取り消しがなぜ続いたのか? となる。

日本でスタートアップが時価総額数千億円、数兆円規模の会社を作るとなれば、株式市場を無視することなんてできないはずだ。なのに彼らのロジックにスタートアップの状況を当てはめると、たとえスタートアップコミュニティで評価されている会社ですら、ツッコミに反論ができないことがある。

本当に世界を変える挑戦をしている起業家がそんなことで批判されるのは、僕はもうなんというか、ものすごく悔しい。僕がスタートアップ(当時はそんな言葉はなかったけど)に初めて関わったのはちょうど10年前。10年前の1月といえばライブドアショックが起こったタイミングだ。そこからやっとここまでスタートアップのエコシステムもコミュニティもできてきたのだ。だからこそ、スタートアップ関係者には市場や世の中と、きっちり対話できるようになって欲しいと思っている。

成長が、結果がすべてを癒やす

こんな話をずっと続けていたのだけれど、最後にある起業家が語った言葉を紹介したい。たまたまなのかこの話こそが起業家の本質だからか、このあと数人の業界関係者から同じようなメッセージをもらうことになった。

「GoogleがYouTubeを買収したときも、FacebookがInstagramを買収したときも非難ごうごうだった。どこか一点(のタイミング)で切って(本業の是非について)判断をするのも難しい。ならば結局は、結果を出すしかない」

成長が、結果が、スタートアップのすべてを癒やすのだという。事業を続けていれば時には苦しい時期だってある。いや、苦しい時期ばかりかもしれない。起業家についてまわるのは、つまるところ結果に対する責任だ。苦しい時期があっても、最後にどうなったか、その結果がすべてなのだという。それならば苦しい局面において外から何を言われようが、結果に突き進むしかない。

ではそんな起業家を追いかける僕らはどうするべきか? 挑戦し続ける彼らについて、苦しいときも、結果を出したときも、そしてその先のさらなる挑戦についても、ずっと取材し、紹介していくだけだ。これからも起業家と対話し、その成長を公平な目線で追いかけて行きたい。