LinkedInがクリエイターモード、動画プロフィール機能、MSとの提携による新しいキャリアトレーニングツールを導入

世界中に7億4000万人のユーザーを持つソーシャルネットワークLinkedInは、プロフェッショナルが自身の職業をリストアップしたり、他の仕事のヘッドハンティングを受けたり、仕事を探したりするオンライン上の場としてのアイデンティティを確立している。しかしLinkedInは、そのポジションをさらに有効活用してトレーニングや教育、専門能力開発、人脈作り、ニュースなどの関連分野に進出する方法を数年にわたって模索してきた。そして米国時間3月30日、LinkedInはプラットフォームへのエンゲージメントを高めるために今後数カ月のうちに順次展開する一連の新機能を発表した。

同社はユーザーのプロフィールに動画を追加できるビデオ「Cover Story」をローンチする。ユーザーが自身について語り、自分のホームページ上で公開できる簡易動画の機能だ。また、LinkedIn上での自分の描写について誰もが正確に表現できるよう、性別の代名詞機能も追加される。

これと並行して、同社は新しく「Creator」モードを正式にローンチする。これは同社のインフルエンサーネットワークの、より洗練されていながらいっそう一般化されたバージョンとなる(選択すれば誰でもクリエイターになれる)。また、プロフィールに新機能のService pageを追加し、フリーランサーのためのプラットフォームとしての地位も確立しようと試みている。

LinkedInの教育およびトレーニングへの取り組みもいくらか強化されている。このプログラムは元々、新型コロナウイルスの影響による世界的な経済状況の変化を受け、LinkedInを所有するMicrosoftとともに2020年6月に開始された。同プログラムでは10の専門分野で無料のオンライントレーニングを提供しており、企業のトレーニングサービスの利用者が249カ国で3000万人を超えたため、サービス提供期間が2021年末まで延長されることになった。LinkedInとMicrosoftは、同プログラムを通じて人材を採用する企業の数が25万社に達することを期待している。

Microsoftとの新たな提携として、LinkedInはTeamsを使用する学生を対象とした新しいTeamsベースのアプリ「Career Coach」も発表した。このCareer Coachは、LinkedInのAIツールを利用してユーザーが職業として何に興味があり、何を追求したいのかを特定するのを支援し、LinkedInやMicrosoftの学習コンテンツへのリンクを通じてその過程をサポートする。

総合すると、一見したところ共通点のなさそうな一連の発表はすべて、LinkedInにとっての大きな進展につながるものだ。ソーシャルメディアは、コンテンツの投稿者であっても、自分が共感できる投稿を閲覧するだけの人であっても、個人のエンパワーメントという意味で非常に大きな影響力を持っている。LinkedInは、こうした多様な機能や製品を通じて、個人のアイデンティティや声、自己向上といったものを独自の方法で自社のプラットフォームに取り入れようとしているのだ。

以下では、こういった新領域についてのより詳細な感想をご紹介しようと思う。

動画ベースのCover Storyは、より消費者向けのソーシャルメディアプラットフォームであればステータスとして投稿するような、自身についての短い動画を作ってみてはという発想から生まれている。経歴や学歴のリストは人物像の一部を物語るが、自撮りの動画によってその人の別の側面を伝える事ができ、情報のギャップを埋める事ができるという考えだ。

LinkedInのチーフプロダクトオフィサーであるTomer Cohen(トマー・コーエン)氏によると、このスペースを使って履歴書には通常載せることのない興味や願望を伝え、より人間らしい角度から自身を説明することができるという。これは人々がプロフィールを訪れたときに自動再生されるものだが、コーエン氏はこれを魔法世界の動く新聞「Daily Prophet(日刊予言者新聞)」になぞらえ「ハリー・ポッター」効果と呼んでいる。現時点ではユーザーのプロフィールに表示されるだけだが、将来的には検索結果に動画が表示されるようになるかもしれない。

かなり魅力的に思えるが、実際にリクルーターの注意を引くものを作り出すというより、フォーマットを上手く整えようとする人向けに偏っている印象だ。

皮肉なことに、就職活動の際に人々を過度にプロファイリングしたり型にはめてしまうようなものを排除する傾向があるにも関わらず、こうした動画を追加することによりその種の判断材料が再び生まれてしまうかもしれない。結局は動画がどのように適用され、活用され、評価されるかという部分が重要視されてしまうからだ。

LinkedInが動画に力を入れているのは、ここ数年の同社のメディアへの取り組みの一環であり、例えばライブ配信などのサービスをタイムラインに追加している。TikTok、Snapchat、Facebook、Twitterなど、ソーシャルメディアの幅広い領域で動画がどれほど定着しているかを考えれば当然である。

LinkedInや同社の事業と関連する分野でも同様の展開が顕著になりつつあるようだ。同社が実施した調査によると、求職者の約61%が、今後動画が従来のカバーレターの代わりになる可能性があると回答しており、人事担当者の80%近くが、候補者の審査で動画は重要な位置を占めると述べている。したがって、この新たな傾向は単なる可能性には留まらず、確実に必要なツールになっていくのだろう。

動画はプロフィール機能だけでなく、さらに大きな役割を果たしつつある。その一環としてLinkedInはCreatorモードをローンチし、すでにLinkedIn Liveの動画やその他のコンテンツを作っている人々が、プロフィールを一般のLinkedInユーザーではなくCreatorsに移行できるようにした。これはLinkedInが少数のソートリーダーに提供するインフルエンサータグとは異なり、ユーザーが自分で選択するものであり、LinkedIn上で「フォロー」されることで、他の人々が投稿内容を見たり、最新の情報を入手したりすることができる。

クリエイターをフォローするためにInstagramに行くのと同じ感覚で、エンターテインメントを求めてLinkedInを訪れるというシナリオは想像し難いものの、LinkedInのコンテンツを作ること自体が、見る側にとっても見られる側にとっても最終的な目的になるのだろう。

LinkedInがDan Roth(ダン・ロス)氏率いる編集部門で構築してきたオリジナルコンテンツの展開は徐々に進められているようで、同社は2021年2月に、ロス氏が主導するCreator製品の最初のステップを発表した。ただしInstagramやYouTube、TikTokのようなプラットフォーム上のクリエイターとは異なり、今のところLinkedIn Creatorには収益化への直接のルートは存在しないようだが、状況は変わるかもしれない。

LinkedInのクリエイター戦略担当グループプロダクトマネージャーであるKeren Baruch(カレン・バルク)氏はQuentin Allums(クエンティン・アルムス)氏の言葉を引用しながら次のように語っている。「LinkedInでコンテンツを共有できるようにして以来、LinkedInはずっと間接的に人とチャンスを結びつけてきました。アルムス氏がLinkedInの動画を投稿し始めたとき、彼は失業中でお金もなく、絶望的な状況でした。しかしその後動画が大きな人気を集め、同氏はその成功からLinkedIn上で独自のビジネスを立ち上げる事ができたのです」。

「今後の可能性を検討する際には、メンバーからのフィードバックに耳を傾けながら、クリエイターのために価値を創造する方法を進化させていきます」とバルク氏は付け加えた。

Service Pagesは、LinkedInが2月に種をまき始めた製品やプロジェクトの起点でもあるようだ。LinkedInはさらに大規模なフリーランサーのマーケットプレイスを構成し、9月までには完成すると報じられている

このような小さな一歩を踏み出した同社。決済の設定やそれに類する処理へのリンクはないし、FiverrやFreelancer.comのように、ビジネスを生み出すためのプラットフォームを提供することでもたらされる利益をLinkedIn自体は得ていない。今のところは単に状況を検証し、一部の人に経歴を入力してもらうための手段にすぎないかもしれないが、将来的にはプレミアム購読やリクルーターのためのツール、その他の広告という形ですでに存在する収益創出機能に加えて、新しい種類の広告ユニットや支払いサービスへの道として注目すべきものになっていくかもしれない。

最後に、LinkedInがプラットフォーム上の機会を民主化しようと大々的に取り組んでいることを考えると、フリーランサーがプラットフォームに投稿するためのリンク提供は、ナレッジワーカーだけでなくより多くの人に扉を開く可能性を秘めている。こういった人々が現在LinkedInユーザーの主要部分を形成してはいるものの、仕事の世界にはまださまざまな分野が存在し、同社は長期的に新たな分野へと取り組みを広げていくのだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:LinkedInMicrosoftSNS

画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

AIチャットボット「りんな」を手がけるrinnaが日本語特化のGPT-2大規模言語モデルをオープンソース化

AIチャットボット「りんな」を手がけるrinnaが日本語特化のGPT-2大規模言語モデルをオープンソース化

AIチャットボット「りんな」などを手がけるrinna(リンナ)は4月7日、日本語に特化したGPT-2の大規模言語モデルを構築し、GitHubおよびNLPモデルライブラリー「HuggingFace」において、トレーニングコードと言語モデルをオープンソースソフトウェアとして公開した。

また今回公開したモデルは、GPT2-mediumと定義される中規模サイズのものという。今後、パフォーマンスとコストのトレードオフに基づいてユーザーおよび研究者が最善の選択を行えるよう、異なるサイズのモデルも公開する予定。異なるデータでトレーニングした新しいモデルの公開も計画している。

rinnaの研究チームが開発している大規模な言語モデルは、すでに同社プロダクトに広く使用されているという。同社は今後も、異なるテキストスタイルや異なるデータ量を含む、より高精度でより大規模な言語モデルの研究開発を続け、AIチャットボットの能力を高めるとしている。また、日本語の研究コミュニティのために、これらのモデルのオープンソース化を行う。

日本語GPT-2モデルの機能

言語モデルとは、言語データの機械学習を基に、会話や文章の「人間が使う言葉らしさ」を確率としてモデル化したもの。GPT-2の場合は、単語レベルの確率の組み合わせから文の確率を計算する言語モデル(自己回帰言語モデル)を採用している。

例えば、「確率(吾輩は猫である) = 確率(吾輩) × 確率(は|吾輩) x 確率(猫|吾輩,は) × 確率(で|吾輩,は,猫) × 確率(ある|吾輩,は,猫,で)」のような方法で推定を行う。この能力を使って、GPT-2は「吾輩は猫で」という接頭辞(Prefix)を与えられたとき、確率の推定から次にくる単語として「ある」を選択し、文章を自動生成する。

今回rinnaが公開した日本語GPT-2モデルは、一般的な日本語テキストの特徴を有した高度な日本語文章を自動生成できる。ユーザーおよび研究者は、特定のテキストデータを微調整して、このモデルから独自のモデルを作成することも可能としている。

例えば、Prefixとして「誰も到達していない人工知能の高みへ、ともに」という文章が与えられたとき、特定のコンテキスト(デモ1:講演の感想、デモ2:書籍の紹介)で応答文を生成するように、微調整できるという(掲載した画像のデモは生成する文章の文字数上限を設定しており、実際に生成される全文ではない)。

デモ1:講演の感想のコンテキストで文章生成

デモ1:講演の感想のコンテキストで文章生成

デモ2:書籍の紹介のコンテキストで文章生成

デモ2:書籍の紹介のコンテキストで文章生成

rinnaの日本語GPT-2モデルの特徴

rinnaの日本語GPT-2モデルは、トレーニングデータとしてCC-100のオープンソースデータを使用しているという。

またNVIDIA「Tesla V100 GPU」を用いて、70ギガバイトの日本語テキストを約1カ月の長期間にわたってトレーニングしたそうだ。その結果同モデルは、約18 perplexityという性能を達成した。この「18perplexity」は、GPT-2モデルが前に与えられた単語から次の単語を予測するときに、正しいものを含む18のオプションだけを残せるという性能を意味するという。モデルは十分にトレーニングされており、汎用性があるとしている。

rinnaは、Microsoft(マイクロソフト)のAI&リサーチ部門でAIチャットボットの研究を行っていたチームがスピンアウトして2020年6月に設立したAI開発企業。ディープラーニング技術を活用し、AIが文脈に応じた会話文を自動生成して人間と自然に会話する「共感チャットモデル」、AIが話し声や歌声で豊かな感情表現を可能にする「音声合成システム」などの技術を発表している。

これらの最新技術は、同社運営のAIチャットボット「りんな」や、会話内容や音声表現をカスタマイズしてキャラクター性を持たせたAIチャットボット「AIキャラクター」の開発に応用しており、企業のマーケティングなどに採用されているという。

同社は、製品開発のための自然言語処理(NLP)の実験過程で、日本語に特化したGPT-2の大規模言語モデルを構築。日本語のNLP研究コミュニティに貢献するために、開発した言語モデルと、研究者が自分のマシンで実験結果を再現するためのトレーニングコードを、GitHub、およびNLPモデルライブラリHuggingFaceで、オープンソースとして公開した。

関連記事
ウイルスの突然変異予測からClubhouse話者識別まで、今、人工知能に期待されていること
Copy.aiのAI利用記事作成システムは「使える」レベルの驚異的な出来、日本語も対応
テキストアドベンチャー「AI Dungeon」のLatitudeが「無限の物語」を生み出すゲーム制作のために3.5億円調達
OpenAIのDALL-Eは言葉による指示で「それらしい」画像を作り出す
LINEがOpenAI「GPT」・Google「T5」同様の超巨大汎用言語モデルをNAVERと共同開発、世界初の日本語特化
日本語音声合成向けに東京式アクセントを自動推定する自然言語処理ソフト「tdmelodic」がオープンソース化
OpenAIがテキストベースのAI機能利用が簡単になる汎用APIを開発
マイクロソフトはOpenAIと協力してAzure上に世界第5位となるスーパーコンピューターを構築
OpenAIは非常に優れたテキストジェネレータを開発したが、そのままリリースするのは危険すぎると考えている

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:OpenAI(組織)自然言語処理 / NLP(用語)GPT / Generative Pretrained TransformeGPU(用語)ディープラーニング / 深層学習(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)日本(国・地域)

マイクロソフトのネット障害でサイトやサービスがダウン

Microsoft(マイクロソフト)でのサービスで大規模なシステム障害が発生している。

ホームページ以外でもマイクロソフトのサービスはダウンしており、ログインページが読み込まれず、同社のステータスページさえも機能していない。さらに悪いことに、マイクロソフトのクラウドサービスであるAzureもオフラインになっているようで、同サービスに依存しているサイトやサービスはすべて停止している。

ステータスページによると、原因はネットワーク障害のようだ。マイクロソフトはまた、ウェブアドレスをコンピューターが読み取れるインターネット番号に変換するシステムであるDNSに関連しているとツイートしている。これはインターネットの仕組みの中で重要な役割を果たしているため、突然の停止は大きな問題となる。

米TechCrunchはマイクロソフトにコメントを求めている。詳細が判明次第アップデートする。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Microsoftシステム障害Microsoft Azure

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:塚本直樹 / Twitter

MicrosoftがARヘッドセット12万台を米軍に提供へ、最大2.4兆円の契約

AR / VRデバイスのキラーユースケースは文字どおり兵器ということになるかもしれない。米国3月31日、Microsoftは、Holo Lensテクノロジーをベースにした何万台もの拡張現実ヘッドセットを米陸軍に提供する契約を獲得したことを発表した。同社によればこの契約は10年間で218億8000万ドル(約2兆4240億円)にもなるということだ。

Microsoftは、IVAS(統合視覚増強システム)準拠のARヘッドセット12万台を陸軍に納入する。HoloLens 2は現場将兵のニーズに合わせて機能がアップグレードされている。

MicrosoftのAlex Kipman(アレックス・キップマン)氏は「このプログラムはユーザーの状況認識を強化し、さまざまなシナリオでの情報共有と適切な意思決定を可能にします」とブログで述べている。

この契約は、Microsoftが2018年に米軍に拡張現実テクノロジーを提供するために獲得した2年間、4億8000万ドル(約531億7000万円)の契約に繋がるものだ。この契約には、納入されたデバイスの評価結果によりさらに10万台以上のヘッドセットの追加オーダーが生じるる可能性があることが定められていた。Microsoftの広報担当がTechCrunchに送ったコメントには「拡張現実テクノロジーは従来より多くの適切な情報を部隊に提供し、意思決定を助けます。今回の新しいミッションはMicrosoftと国防省との長年にわたる信頼関係に基づき、さらに拡張するものです」と述べていた。

Microsoftによれば、今回の発表は「プロトタイプの提供から本格的な量産と実戦部隊への配備への移行を意味する」ものだという。

12万台のヘッドセット納入というのは、これまで大規模な応用が乏しかった拡張現実テクノロジーにとって最大スケールの展開だ。Microsoftは政府契約による資金を確保したことで将来的に民生機器や企業利用のレベルのデバイスを開発するベースとなるテクノロジーの開発に取り組むことができる。拡張現実テクノロジー業界の大手企業には軍との契約に消極的だったり反対意見を述べるところも多いが、Microsoftは軍事部門から契約を得ることに積極的だ。

関連記事:マイクロソフトが「HoloLens 2」を出荷開始、日本でも

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:MicrosoftHolo Lensペンタゴン

画像クレジット:US Army

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトが「Windows 10 Insider Preview」最新ビルドでフォルダーアイコンを刷新

マイクロソフトが「Windows 10 Insider Preview」最新ビルドでフォルダーアイコンを刷新

Microsoft

Microsoftは3月24日(現地時間)、Windows 10 Insider Preview参加者向けの最新ビルド21343をリリースしました。このリリースでは、ファイルエクスプローラーで表示されるシステムアイコンの多くが、新しいデザインに置き換わっています。

Microsoftは2020年から、Windows 10のアイコンデザイン更新を続けており、すでに多くのアプリアイコンが変わっています。新ビルドでのシステムアイコン変更はれに続くもので、Microsoftは、これにより次のステップに進んだ、としています。

Windows 10のアイコンが『脱フラットデザイン』。カラフルな新アイコンに

同ビルドでは、デスクトップやドキュメント、ダウンロード、ピクチャーなどのシステムフォルダも更新され、これにより一目で区別しやすくなったとしています。

たしかに、これまでは黄色いフォルダアイコンの横に個別の機能を示す絵が入ったデザインだったため、ぱっと見では区別が難しいこともありました。とはいえ、新デザインも慣れるまではどれが何のアイコンなのか、悩むことが増えそうです。

マイクロソフトが「Windows 10 Insider Preview」最新ビルドでフォルダーアイコンを刷新

Microsoft

なお、デザイン変更に伴い、黄色いフォルダの向きも縦向きから横向きに変わっています。そろそろ元ネタである紙のフォルダを知らない人も増えていそうですが、当面はこのデザインが続くようです。保存ボタンのフロッピーディスクと共に、1つのデザインとして残っていくのかもしれません。

このほか、ファイルタイプのアイコンやゴミ箱のアイコンも新しいものになっています。Microsoftは今後も、さらに多くのアイコンを更新していくとのことです。

なお、このビルド21343にアップデートすると、クイックアクセスに固定していたものがすべて表示されなくなるとのことなので、そもそもInsider向けとはいえ、導入には注意が必要です。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

関連記事
Microsoft Edgeの起動が高速に、バーティカルタブが利用可能に
マイクロソフトがワークフローを自動化するPower Automate DesktopをWindows 10ユーザーに無料で公開

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Windows(製品・サービス)Windows 10(製品・サービス)Microsoft / マイクロソフト(企業)日本(国・地域)

NTT東日本がMicrosoft Teams利用しオフィスの電話番号で発着信が行えるサービスを4月26日提供開始

NTT東日本がMicrosoft Teams利用しオフィスの電話番号で発着信が行えるサービスを4月26日から提供

東日本電信電話(NTT東日本)は3月24日、Microsoft TeamsをインストールしているPCやスマートフォンを利用し、オフィス(固定電話)の電話番号で発着信が行えるサービス「ひかりクラウド電話 for Microsoft Teams」を4月26日から提供すると発表した。提供エリアは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県。月額利用料は税込1430円/番号から(基本工事費などの初期費用が別途かかる)。通話料に関しては、ひかり電話オフィスA(エース)と同等。

また同サービスの利用には、Office 365またはMicrosoft 365の契約(E1、E3、E5のいずれかのライセンス)、マイクロソフトがTeams向けに提供している「Phone System(電話システム)」または「Microsoft365 Business Voice」が必要。またフレッツ 光ネクスト、ひかり電話オフィスAの契約も行う必要がある。

NTT東日本がMicrosoft Teams利用しオフィスの電話番号で発着信が行えるサービスを4月26日から提供

NTT東日本は、ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsでは、オフィスに着信していた電話をTeamsで受けることが可能となるため、オフィスへの着信対応のため出社する必要などがなくなるとしている。オフィスへの着信をどこでも受けられるため、BCP(事業継続計画)対策にも役立つという。

また、従業員ひとりひとりが電話番号を保有することで、電話の取り次ぎにかかる手間を削減可能。Teamsで電話をかけると、相手先にオフィスで契約している番号が通知されるため、従業員の個人的な電話番号の漏洩も防げる。

このほか、日々の業務における電話・チャット・ウェブ会議などの多様なコミュニケーションツールやデバイスを「Microsoft Teams」を導入したPCやスマートフォンに統合可能としている。

なお、Teamsに設定した固定電話番号はビジネスフォンでは利用できない。現在利用中のオフィスの電話番号を同サービスに移行するか、新たに固定電話番号の取得する必要がある。

NTT東日本がMicrosoft Teams利用しオフィスの電話番号で発着信が行えるサービスを4月26日から提供

NTT東日本がMicrosoft Teams利用しオフィスの電話番号で発着信が行えるサービスを4月26日から提供

関連記事
Microsoft Teamsに新機能多数、組織外とのチャンネル共有やPowerPointを使ったプレゼンも可能に
Sansanのオンライン名刺がMS Teamsと連携、カレンダー機能から名刺交換を実行可能に
日程調整自動化のwaaq LinkがWebhookやSlackとの通知・連携機能を公開、Teams対応予定
マイクロソフトがTeamsに小会議室、カスタムレイアウト、仮想通勤などの新機能を追加

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Microsoft / マイクロソフト(企業)Microsoft Teams(製品・サービス)東日本電信電話 / NTT東日本日本(国・地域)

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉最終段階か、買収額は1兆円強規模

マイクロソフトがゲームチャット「Discord」買収で交渉大詰めか、買収額は1兆円強規模

MARTIN BUREAU via Getty Images

ゲームプレイ向けの低遅延なボイスチャットサービスDiscordが、買収に興味を持つ複数の企業と交渉に入っていることをGamesBeatなどが報じました。有力な交渉相手としてはマイクロソフトの名前が挙げられており、Bloombergは交渉が最終段階にあるとして、100億ドル以上の規模になると伝えています。

Discordは低遅延のボイスチャットがゲーマーなどに人気のサービスで、新型コロナのパンデミックによって人々の娯楽としてビデオゲームの人気が上昇したこともあり、2020年にはユーザー数が倍増、売り上げは1億3000万ドルに急成長しました。その企業価値は12月には70億ドルとも評価されていますが、まだ企業として利益を出すには至っていないとも言われています。

他に買収に手を上げている大手企業としてはFacebookの名前があります。ただ、FacebookはAmazon、Google、Appleなどとともに独占禁止法関連の調査を受ける立場にあり、いまの時点ではやはりマイクロソフトが最も有力な買い手ということになります。マイクロソフトは2020年末時点で1310億ドルの現金を保有するなど資金力は申し分ありません。今年初めにはゲームパブリッシャーZeniMax Mediaの買収を完了し、さらなるゲーム関連企業を買収すべく検討しているとうわさされていました。

Discordはすでに数百万のゲーマーたちが登録済みで、マーケティングやプロモーションを仕掛ける対象としても有望です。しかし、現在のDiscordの独立性もまた、ゲーマーたちに対する魅力の重要な部分といえるかもしれません。これが大企業によって買収された場合、その企業の関係するゲームやサービスにDiscordのサービスも偏っていく可能性があります。

DiscordのCEO、Jason Citron氏の以前の会社であるモバイルゲームソーシャルプラットフォームOpenFeintは、日本のGreeに買収されたものの、両社のサービス統合はうまくいかず最終的にOpenFeintが閉鎖されるに至っています。

(Source:GamesBeatEngadget日本版より転載)

関連記事
ゲームチャットDiscordが145億円調達、月間アクティブユーザーは1.4億人
チャットアプリDiscordの画面共有がiOSとAndroid端末でも可能に
ビデオチャットDiscordが約7280億円の評価を受け資金調達ラウンド完了へ
マイクロソフトがBethesda親会社を買収、Elder ScrollsやFalloutなどがXboxクラウドゲーミングサービスへ
評価額3700億円超のDiscordがビデオゲーム縮小の方針でさらに100億円超を調達
【次世代SNS編】米国SNSの最新事情とZ世代が新しい場所を求める理由(その3)
隔離生活で求められる自然発生的なコミュニケーションを生むソーシャルアプリ

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Xbox / エックスボックス(製品・サービス)SNS / ソーシャル・ネットワーキング・サービス(用語)ゲーム(用語)ZeniMax MediaDiscord(企業)買収 / 合併 / M&A(用語)ビデオチャット / ビデオ会議(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)

米国の中小起業や地方自治体にも中国ハッカーによるゼロデイ攻撃の被害

米国政府は、その最も重要な連邦ネットワークをハッキングしたロシアへの報復を準備していると報じられているが、米国はサイバー空間でもう1つの古い敵にも直面している。中国だ。

関連記事:FBIとNSAが米連邦機関で進行中のハッキングは「ロシア起源の可能性が高い」と述べる

Microsoft(マイクロソフト)は3月初旬に、「Hafnium(ハフニウム)」と呼ぶ新たなハッキンググループの存在を明らかにしたが、このグループは中国で活動し、中国が支援している。Hafniumは、これまで報告されていなかった4つのゼロデイ脆弱性を利用して、Microsoft Exchange Server(マイクロソフト・エクスチェンジ・サーバー)をeメールサーバーとして運用している少なくとも数万の組織に侵入し、メールボックスやアドレス帳を盗み出した。

関連記事:中国の国家ハッカーがExchange Serverの脆弱性をゼロデイ攻撃、マイクロソフトが警告

Hafniumの目的は明らかになっていない。この活動を、国家が大企業や政府から情報や産業上の秘密を収集するスパイ活動になぞらえる人もいる。

しかし、今回の組織的ハッキング活動が大きな被害をもたらしているのは、欠陥が容易に悪用できるからというだけでなく、被害者が非常に多く、広範囲に及ぶからだ。

セキュリティ専門家によると、今回のハッカーはインターネット上で脆弱なサーバーをスキャンして攻撃を自動化しており、法律事務所や政策シンクタンクだけでなく、防衛関連企業や感染症の研究者など、幅広いターゲットや業界を狙っているという。脆弱なExchange Serverのメールーサーバーを運用していたため、Hafniumの攻撃に巻き込まれた膨大な数の被害者には、学校、宗教団体、地方自治体なども含まれる。

マイクロソフトはパッチを公開しているが、米国連邦政府のサイバーセキュリティ諮問機関であるCISAは、パッチは脆弱性を修正するだけで、ハッカーが残したバックドアを閉じることはできないと述べている。

CISAは、Microsoft Exchange Serverの脆弱性が国内外で広く利用されていることを認識しており、侵害の有無を判断するために、MicrosoftのIOC検出ツールでExchange Serverのログをスキャンすることを推奨しています。

リソースに余裕のある大規模な組織であれば、システムが侵害されたかどうかを調査し、破壊的なマルウェアやランサムウェアなどのさらなる感染を防ぐため、手を打つことができるだろう。

しかし、地方の小規模な被害者は、自分たちのネットワークが侵害されたかどうかの調査に、すぐに手が回らないことが多い。

Hafniumの発見に貢献したサイバーセキュリティ企業のVolexity(ヴォレクシティ)でセキュリティアナリストを務めるMatthew Meltzer(マシュー・メルツァー)氏は、「我々が見てきたところによると、被害者のタイプは非常に多様で、その多くは、サイバー脅威対応の専門業者ではなく、ITシステムの展開と管理を専門とする地元のITプロバイダーに技術サポートを委託しています」と述べている。

サイバーセキュリティの予算がない場合、被害者は常に侵害されていると考えられる。だが、次に何をすべきかを把握しているとは限らない。パッチを当てて不具合を修正することは、復旧作業の一部に過ぎない。ハッカーの後始末は、サイバーセキュリティの専門知識を持たない中小企業にとって、最も困難な作業となるだろう。

それはまた、他の悪質なハッカーに発見され、同じ脆弱性を利用してランサムウェアを拡散したり、破壊的な攻撃を仕かけたりされるのを防ぐための時間との戦いでもある。Red Canary(レッド・カナリー)とHuntress(ハントレス)の両社は、Hafnium以外のハッキンググループも同じ脆弱性を利用していることが考えられると述べている。ESET(イーセット)によると、少なくとも10のグループが同じサーバーの欠陥を悪用しているとのことだ。

脅威検出を専門とするRed Canaryのインテリジェンス担当ディレクターであるKatie Nickels(ケイティ・ニッケルス)氏は、これらのExchange Serverの脆弱性を悪用した活動が「明らかに広く行われている」としながらも、悪用されるサーバーの数はそれよりずっと少ないと述べている。

「一般的なIT管理者にとっては、最初に使われるWebシェルのクリーンアップをする方が、その後の活動を調査するよりもはるかに簡単でしょう」と、ニッケルス氏は語る。

マイクロソフトは管理者ができることについてのガイダンスを公開しており、CISAはアドバイスと、サーバーのログを検索して不正アクセスの証拠を見つけるためのツールを提供している。また、ホワイトハウスの国家安全保障会議は異例の声明を出し、パッチを当てるだけでは「修復にならない」と警告、企業に対して「直ちに対策を講じる」よう求めている。

サーバーがすでに侵害されている場合、パッチや緩和策は修復策にはなりません。脆弱性のあるサーバを持つ組織は、すでに標的にされていないかどうかを確認するために、早急に対策を講じることが不可欠です。

このようなアドバイスが中小企業にまでどれくらい浸透していくか、注視する必要があるだろう。

中小企業を含む多くの被害者は、自分たちが被害を受けていることに気づいていない可能性があり、たとえ被害を受けていることに気づいたとしても、次に何をすべきかについて段階的な説明が必要になると、サイバーセキュリティの専門家であるRuna Sandvik(ルナ・サンドビック)氏は語る。

「このような脅威から身を守ることも重要ですが、侵害の可能性を調査し、その行為者を排除することは、より大きな課題です」と、サンドビック氏は述べている。「企業にはパッチをインストールできる人はいるでしょう。しかし、それは最初のステップに過ぎません。侵入されたかどうかを調べるには、時間、ツール、ログが必要です」。

セキュリティ専門家によると、Hafniumは主に米国の企業をターゲットにしているが、攻撃はグローバルに行われているという。欧州銀行監督局は、自局のメールサーバーとして使用していたExchange Serverが攻撃を受けたことを確認した最大の組織の1つだ。

ノルウェーの国家安全保障局は、国内で「これらの脆弱性を悪用されたことがすでに確認されている」として、ノルウェーのインターネット空間全体で脆弱なサーバーをスキャンし、その所有者に通知すると発表した。SI-CERTとして知られているスロベニアのサイバーセキュリティ対応部隊は、こちらも自国のインターネット空間で潜在的な被害者に通知したと、Twitter(ツイッター)で述べている

米国企業の広範囲に及んでいることを考慮すると、米国政府と民間企業は対応を連携するためにもっとできることがあると、サンドビック氏は述べている。CISAは2019年に、脆弱でパッチが適用されていないシステムの所有者を特定するために、インターネットプロバイダーを召喚できる新たな権限を提案した。同庁は12月に政府の年次防衛法案の中でこれらの新しい権限を得たばかりだ。

「誰かがそれを持つ必要があります」と、サンドビック氏は言っている。

関連記事:米国土安全保障省が脆弱システムの利用者開示をISPに義務づけへ、法改正を準備中

カテゴリー:セキュリティ
タグ:ハッカーサイバー攻撃Microsoftゼロデイ攻撃中国

画像クレジット:BSIP / Getty Images

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ハッカーたちが脆弱なExchangeサーバーを悪用してランサムウェアをばらまいている

Microsoft(マイクロソフト)からの警告によると、ハッカーがメールサーバーExchangeに最近見つかった脆弱性を悪用してランサムウェアを投下。それにより数万台のメールサーバーに破壊攻撃のリスクが生じている。

米国時間3月11日午後のツイートでこのテクノロジー大手は、DoejoCrypt(あるいはDearCry)と呼ばれる新種のファイル暗号化マルウェアを検出したと発表した。それは以前Microsoftが、Hafniumと呼ばれる中国が支援する新たなハッキンググループと結びつけた同じ4つの脆弱性を利用している。

関連記事:中国の国家ハッカーがExchange Serverの脆弱性をゼロデイ攻撃、マイクロソフトが警告

それら4つをつなぐとハッカーは、脆弱なシステムを完全にコントロールできるようになる。MicrosoftによるとHafniumは、これらの欠陥を悪用している「主犯的な」集団で、スパイ行為や諜報収集のために犯行を重ねているとみられる。しかし複数のセキュリティ企業によると、その他のハッキンググループも同じ欠陥を攻撃していることを彼らは確認している。ESETによると、少なくとも10のグループがExchangeサーバーを活発に侵犯している。

ランサムウェアによる暗号化を解くツールを開発しているランサムウェアのエキスパートであるMichael Gillespie(マイケル・ギレスピー)氏によると、多くの脆弱なExchangeサーバーが米国とカナダとオーストラリアにあり、DearCryに感染している。

関連記事:流行中のランサムウェア「Stop」による暗号化を復号する新ツール群

Exchangeサーバーがランサムウェアにやられた可能性がある。ランサムウェアは「.CRYPT」とファイルメーカー「DEARCRY!」の名で大量に出回り、ざっと見ると米国とカナダ、オーストラリアのExchangeサーバーのIPからが多い。

この新しいランサムウェアは、セキュリティ研究者がMicrosoftがオーナーであるGitHubに、脆弱性を悪用するコードのPoC(概念実証)を発表してから1日足らずで登場している。そのコードは、同社のポリシーに違反しているとして、すぐに削除された

Kryptos Logicのセキュリティ研究家Marcus Hutchins(マーカス・ハッチンズ)氏はツイートで、そのPoCノードは動いたが、若干の手直しが必要だったと述べている。

セキュリティの危機を検知する企業(脅威インテリジェンス企業)であるRiskIQによると、3月11日に脆弱なサーバーを8万2000台検出したが、その数は現在、減っている。同社によると、銀行やヘルスケア企業の数百台のサーバーが今なお侵されており、米国政府の約150台もやられている。Microsoftが3月2日にこの脆弱性を公表した際、脆弱なサーバーは40万台近く存在していたため、急速な減少ということができる。

Microsoftは先にセキュリティフィックスを発行したが、そのパッチでは、すでに侵されているサーバーからハッカーを駆逐することはできない。米国政府のサイバーセキュリティ顧問に相当するFBIとCISAは、この脆弱性が全米の企業に重大なリスクをもたらすと警告している。

FireEyeの脅威インテリジェンス部門Mandiantの分析担当副社長であるJohn Hultquist(ジョン・ハルトキスト)氏は、今後はもっと多くのランサムウェア集団がはびこると予想している。

「パッチが適用されていない組織の多くは、サイバースパイ行為者によって悪用された可能性がある。ランサムウェアの犯罪的な操作は、組織を混乱させ、さらには盗まれた電子メールを公開することで被害者をゆすることもあり、より大きなリスクをもたらす可能性がある」とハルトキスト氏は語る。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Microsoftランサムウェアハッキング

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Microsoft Edgeの起動が高速に、バーティカルタブが利用可能に

Microsoftは1年前に、同社のEdgeブラウザーにバーティカルタブ(垂直タブ)を実装すると発表したが、ついに米国時間3月4日、Edgeのバーティカルタブの一般公開を発表した

さらにEdgeチームは、ブラウザーの起動を大幅に高速化する内部変更も発表している(Microsoftの予備テストによれば、正確には最大41%高速化)。Microsoftはハードドライブの速度を上げたり、Edgeを大幅に縮小したりすることはできないため、チームは実現のために、サインイン時にブラウザーをバックグラウンドでロードし、すべてのブラウザーのウィンドウを閉じても実行を継続している。これが気に入らない場合は、いつでもこの機能をオフもできる。

バーティカルタブはすぐ利用できるが、ブラウザーの起動に関する改良は2021年3月中に展開される予定だ。

画像クレジット:Microsoft

バーティカルタブは、もちろん新しいものではない。他のブラウザーでは、デフォルト機能やエクステンション(拡張機能)として以前からサポートしている。それでも、ついにEdgeで利用できるようになったのはうれしい。

本日の発表声明でMicrosoftのMichele McDanel(ミケーレ・マクダネル)氏は次のように述べている。「多くのウェブサイトは慣習的な格子形状で、ページの両端に空白が多くの残っている。私たちがユーザーとの協力の中で見つけたのは、この垂直の空白をタブのスペースとして使うということだ。タブのリストは必ずしも、従来のように上部に横に並ばなくてもよい。バーティカルタブは新しいコンセプトではないが、ブラウザー体験をより良いものにする機会として、いくつかのプロトタイプをユーザーとテストしてきた」。

画像クレジット:Microsoft

その結果わかったのは、バーティカルタブを好むユーザーは、通常の水平タブと切り換えながら使うのが好きだということだった。そこで、希望者はどちらのタブも常時見られるようにした。また、画面を広く使いたいユーザーもいるため、サイドバーをたたむ機能も搭載している。

他にもMicrosoftは、同社の検索エンジンであるBingにいくつかの新しい機能を追加した。例えば新設のレシピービューは、いつものように夕飯の献立が思いつかないとき利用する。また、画像検索の結果表示もきれいになり、サイドバーの情報ボックスを改善してインフォグラフィック的になっている。しかしながら、残念なことにあなたはおそらくBingを使っていない。もし使っているのならば、ここでアップデートの詳細を確認しよう。

関連記事:Microsoft Edgeにスマートコピー、バーティカルタブなどの新機能が追加

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft Edgeウェブブラウザー

画像クレジット:Microsoft

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフトが会議で文字起こしや翻訳を行うアプリ「Group Transcribe」を発表

Microsoft(マイクロソフト)の社内インキュベーターであるMicrosoft Garage(マイクロソフト ガレージ)から、会議の文字起こしに使える新たなプロジェクトが発表された。

現在、リアルタイムで文字起こしが行えるスマートフォン用アプリはいくつかある。例えば「Otter.ai(オッターエーアイ)」や、Google(グーグル)のPixel(ピクセル)デバイス向け「Recorder(レコーダー)」などだ。だが、Microsoftが新たに発表した「Group Transcribe(グループ トランスクライブ)」は、会議の文字起こしを共同作業的なプロセスとして再構築し、全員が同時に自分のデバイスで会議を記録することで、精度を高めるというものだ。このアプリは、80以上の異なる地域で話されている言語をリアルタイムで翻訳する機能も備わる。

アプリを使用するには、まず1人が自分のデバイスで会議を開始する。続いてBluetooth、スキャン可能なQRコード、またはリンクを共有することで、他の出席者に参加を呼びかける。他の出席者が参加して会議が始まると、各人はリアルタイムで文字起こしされる会議の記録を自分のデバイスで見ることができる。

画像クレジット:Microsoft

AI音声言語技術を搭載したこのアプリは、会議で使用されている各人の携帯電話のマイクが捉えた話し手の声量に基づいて、より精度の高い書き起こしと話し手の識別を行うことができるという。

各出席者の声量レベルを比較することで、どの端末が話し手に最も近いか、そしてその話し手が好む言語を、クラウドサービスが判断する。つまり、このアプリでは、誰が話したのかというラベルづけも正確に行うことができる。これは1人しか記録していない他の文字起こしアプリが不得意とすることだ。

さらに、会議の参加者が自分の母国語で話したい場合は、このアプリが他の参加者のデバイスに、各人の言語に翻訳して文字化したものを提供することも可能だ。

画像クレジット:Microsoft

Microsoftによると、このアプリはアクセシビリティも考慮して設計されており、聴覚障害者や難聴者、非ネイティブスピーカーの人でも、リアルタイムの文字化や翻訳を通して、より積極的に会議に参加することが容易になるという。

このプロジェクト自体が、全員合わせると十数種類のさまざまな言語や方言を話すMicrosoftの従業員たちによって構築されたものだ。

「これはコミュニケーションのためのすばらしいツールになり得ます。私が是非とも確かめたいことは、このアプリが異なる言語を話す人々の間にある壁を打ち破るためのものであるということです」と、主任開発責任者のFranklin Munoz(フランクリン・ムノス)氏は、このプロジェクトを発表する際に語っている。

多くのクラウドベースの文字起こしサービスと同様、このアプリは機密性の高い会議には使用するべきではない。しかし、Microsoftはこのデータとプライバシーコントロールをグラニュラ(粒状)化し、ユーザーは会話データを共有したい相手や時間を決めることができる。

画像クレジット:Microsoft

収集された音声とテキストの入力データは、機能を実行するためにMicrosoftのオンライン音声認識および翻訳技術に送られるが、本名ではなくランダムに生成された識別子が使用される。

Microsoftが会議の文字起こしデータや音声記録を保存することはないが(ユーザーのデバイスに保存される)、サービス改善のために参加者が会議の記録をMicrosoftに「寄与」することを、このアプリは奨励している。

会議の参加者全員が同意した場合、Microsoftは音声と音声認識で生成されたテキストの文字起こしを保持することができる。Microsoftはこのデータを見直すことで、音声認識と話者属性の機能を時間をかけて改善していくことを目指していると言っている。ユーザーデータはその後、Microsoftの従業員やMicrosoft社に勤務する他社の契約社員が、秘密保持契約の下でアクセスできるようになるが、発言者のアカウント情報は一切含まれない。

レビュアーがアクセスできるのはランダムな音声の断片のみで、完全な録音ではない。また、Microsoftによると、例えばクレジットカード番号や電話番号などを表す長い数字の文字列は削除することで、会議の録音を「非識別化」しているとのこと。ユーザーは過去に共有した録音をいつでも削除することができるが、それ以外の場合は暗号化されたサーバーに最大2年間保存されると、Microsoftは述べている。

企業で使用する場合、管理者レベルですべてのユーザーを「寄与」に設定したりブロックしたりする方法はないので、このようなサービスの利点とリスクを慎重に検討する必要があるだろう。また、これはMicrosoft Garageのプロジェクトであり、つまり実験的なものであって、いつでも閉鎖される可能性がある。

現在、このGroup TranscribeアプリはiOSのみで利用可能だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Microsoftアプリ機械翻訳文字起こし

画像クレジット:Microsoft

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国の国家ハッカーがExchange Serverの脆弱性をゼロデイ攻撃、マイクロソフトが警告

Microsoft(マイクロソフト)は顧客に対し、中国政府の支援を受ける新たなハッカーが、同社の企業向け電子メール製品であるExchange Serverの、これまでに発見されていなかった4つのセキュリティ上の欠陥を悪用し攻撃していると警告した。

Microsoftは米国3月2日「Hafnium(ハフニウム)」と呼ばれるハッカーグループが、法律事務所や防衛請負業者だけでなく、感染症研究者や政策シンクタンクなど、米国を拠点とする幅広い組織を攻撃対象にして情報を盗み出そうとしているようだと述べた。

同社によると、Hafniumは、新たに発見された4つのセキュリティ脆弱性を利用して、企業ネットワーク上で稼働しているExchangeの電子メールサーバに侵入し、被害者組織から電子メールアカウントやアドレス帳などのデータを盗み出し、さらにマルウェアをインストールしていたとのこと。4つの脆弱性を併用することで、Exchange 2013以降を使用するオンプレミスの脆弱なサーバーを侵害できる攻撃の連鎖が作られるという。

Hafniumは中国を拠点に活動しているが、攻撃を仕かけるために米国内のサーバーを利用していると同社は述べている。Microsoftは、Hafniumがこれら4つの新しい脆弱性を最初に発見したハッカーグループであるとも述べた(同社のブログ記事の以前のバージョンでは、Hafniumがこの脆弱性を悪用する「唯一の」グループであると誤って記述されていた)。

Microsoftは攻撃が成功した数については明言を避けたが、その件数は「限られたもの」と説明した。

該当する4つのセキュリティ脆弱性を修正するためのパッチは現在すでに公開されており、通常は毎月第2火曜日に予定されている同社の典型的なパッチ適用スケジュールよりも1週間早い公表となった。

「Microsoftの顧客セキュリティ担当副社長であるTom Burt(トム・バート)氏は次のように述べた。「Hafniumの攻撃に対するアップデートを迅速に配備するよう尽力しましたが、多くの国家活動家や犯罪グループが、パッチが適用されていないシステムを利用しようと迅速に動くことが予想されます」。

同社は米政府機関にも調査結果をブリーフィングしたとしているが、今回のHafniumによる攻撃は、米連邦政府機関に対するSolarWinds関連のスパイ活動とは関係ないとしている。トランプ政権末期にNSA(米国家安全保障局)とFBIは、SolarWindsの件は「ロシア起源の可能性が高い」と述べていた。

関連記事
FBIとNSAが米連邦機関で進行中のハッキングは「ロシア起源の可能性が高い」と述べる
NASAと米連邦航空局もSolarWinds製品を使った大規模ハッキングで被害に遭ったとの報道

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Microsoft中国ハッキングマルウェアゼロデイ攻撃

画像クレジット:Drew Angerer / Getty Images

原文へ

(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトがビジネススイートのDynamics 365とコラボツールTeamsを緊密に統合

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束せず、従業員がバラバラになって在宅勤務をするための条件がわかってくる中で、ユーザーはツールをもっと統合してタスクの完了に必要なクリックを減らしたいと望んでいるだろう。米国時間3月2日のIgniteカンファレンスMicrosoft(マイクロソフト)は、こうした問題を解決するために同社ビジネススイートのDynamics 365とコラボレーションツールのTeamsを緊密に統合すると発表した。

Microsoftのビジネスアプリケーション&グローバルインダストリー担当コーポレートバイスプレジデントであるAlysa Taylor(アリサ・テイラー)氏は、ネイティブに統合するこのアプローチの利点の1つは異なるアプリケーション間でのコンテクストの切り替えが減ることだと指摘した。同氏は「我々はコラボレーションプラットフォームとビジネスプロセスのレイヤーを1つにまとめ、営業職やサービス担当者、オペレーションマネージャー(と類似の職種)がコラボレーションと日常業務の両方の機能を備えた一元化されたプラットフォームを使えるようにコミットしています」と説明した。

その効果はマーケティング、セールス、サービスにさまざまなかたちで現れるだろう。例えばマーケッターはDynamics 365 Marketingツールでウェビナーを設定して管理し、Dynamics 365のコンソールに直接統合されたTeamsストリーミングセットアップを利用して、Teamsでストリーミングイベントを実施できる。

テイラー氏は営業を例に挙げ「販売担当者がLinkedIn Sales Navigatorを使って顧客の人事異動を追跡し、Dynamics 365 Salesを離れることなくMicrosoft Teams内で特定の販売記録を関連づけられます。このため、Salesアプリケーション内で顧客やTeamsで発生した顧客に関する変更事項をしっかりと把握でき、Salesは自動で更新されます」と話す。

Microsoft製以外にもさまざまなツールをワークフローに組み込んで使いたい企業の場合に関してテイラー氏は、Microsoftのクロスクラウドコネクタを使って別のサービスと接続でき、どのようなタスクかは問わないと説明する(コネクタが目的のアプリケーションに対応できればの話だが)。

ビジネスソフトウェア分野におけるMicrosoftの大きなライバルであるSalesforceは2020年末にSlackを270億ドル(約2兆9000億円)以上で買収し、Microsoftと同様の統合機能をSalesforceプラットフォームに導入した。テイラー氏は、この買収をMicrosoftがすでに構築を始め現在も継続している統合への対抗策と見ている。

関連記事:SalesforceがSlackを約2.9兆円で買収、買収前の企業評価額は2.6兆円強だった

同氏は筆者に対し「SalesforceはSlackを買収して(我々と同様の)コラボレーションを実現する必要があったと考えています。Salesforceは我々のようなネイティブの統合にはならないため、我々はSalesforceが提供しようとしていることより何年も先行しています。そのため私は、Salesforceの買収は我々がDynamics 365とTeamsでしようとしていることへの対抗策と見ています」と語った。

CRM分野の市場シェアではSalesforceがMicrosoftを上回っていることは指摘しておいた方がいいだろう。2019年のGartnerの調査によると、Salesforceが19%を超えているのに対しMicrosoftは3%に満たない。この調査以降に数字が多少は動いているかもしれないが、おそらく大きくは変わっていないだろう。

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft Ignite 2021Microsoft Dynamics 365Microsoft TeamsCRM

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft Teamsに新機能多数、組織外とのチャンネル共有やPowerPointを使ったプレゼンも可能に

今週(バーチャルで)開催されている「Microsoft Ignite(マイクロソフト イグナイト)」は、ITを中心としたMicrosoft(マイクロソフト)の年次発表会だ。このイベントが最後にリアルで開催された2019年には、過去最多の2万6000人以上が参加した。そんな現在の状況を考えれば、2021年はMicrosoft Teams(マイクロソフト チームズ)が発表の中心となったことは当然と言えるだろう。なんといっても、今やTeamsはMicrosoftの生産性スイートの中核となっている。今回の発表は、新しい会議機能から会議室用ハードウェアに至るまで多岐にわたる。

Teamsの、そしてSlack(スラック)のような競合製品にとっても、中核となるのはチーム間にまたがるコラボレート機能だが、最近では組織外の人々とのコラボレーションも含まれるようになってきている。プライベートプレビューとして提供が開始されたTeams Connect(チームズ コネクト)は、組織の内外を問わず誰とでもチャンネルを共有することが可能になる。このようなチャンネルは、他のチームやチャンネルと並んで表示され、Teamsの標準的な使い方のすべてが利用できる。管理者はこれらのチャンネルを完全に管理でき、例えば外部のユーザーは必要なデータのみにアクセスできるように制限することも可能だ。この機能は2021年後半に広く提供される予定だ。

だが、個人ユーザーにとってより重要なのは、新たにPowerPoint Live(パワーポイント ライブ)機能がTeamsに追加されることだろう。この機能を使えば、いつもどおりプレゼンテーションを行えるだけでなく、同時にノートやスライド、ミーティングチャットを、1つの画面で参照することができる。また、プレゼンテーションを受ける側にとっても、自由に画面をスクロールしたり、音声読み上げ機能を利用するなど、不便を減らすための機能が用意された。この機能は発表と同時にTeamsで使用可能になっている。

画像クレジット:Microsoft

また、プレゼンテーションする側には、より見る人を惹きつけるために視覚的な効果を使ったPresenter mode(プレゼンター モード)が新機能として加わる。数種類のモードが用意される予定で、例えば「Standout(スタンドアウト)」モードでは、コンテンツの前にプレゼンターのビデオを放映することができる。「Reporter(レポーター)」モードは、ローカルTVのニュース映像のように、話し手の肩の上にコンテンツを表示する。そして「Side-by-side(サイド・バイ・サイド)」モードは、まあ、想像がつくだろう。この機能は2021年3月中に導入される予定だが、当初はStandoutモードのみで、ReporterとSide-by-sideは「近々」追加になると、Microsoftは述べている。

もう1つ、新たに加わる視覚的な機能は「Dynamic view(ダイナミック ビュー)」と呼ばれるものだ。これによってTeamsは、ミーティングのすべての要素を「最適な視聴体験のために」、それぞれの参加者に合わせてパーソナライズするという。「人がミーティングに参加したり、動画を流したり、発言を始めたり、発表を始めたりすると、Teamsは自動的に画面表示のレイアウトを調整し、パーソナライズします」と、Microsoftは説明している。だが、さらに便利なのは、画面の上部に参加者のギャラリーを配置し、自然な視線の維持を助けることだろう(AIによるトリックを使わずに)。

画像クレジット:Microsoft

大規模なミーティングでは、Teamsのユーザーは最大1000人もの社内外の人々と、インタラクティブなウェビナーを開催できるようになった。また、CEOが全員に向けてプレゼンテーションを行う必要がある場合などには、最大2万人までの視聴者を対象とした放送のみのミーティングも可能だ。これは2021年6月30日以降になると1万人に縮小される予定だが、その頃には新型コロナウイルスも収束し、ビジュアルイベントに対する需要の高まりも落ち着くだろうという考えに基づいている。そうなることを祈りたい。

我々がオフィスに戻れる時のために、Microsoftは会議室用の「Intelligent Speaker(インテリジェントスピーカー)」を開発している。これは最大10人の発言者の声を識別して、より正確な文字起こしが可能になる。また、同社ではDell(デル)などのメーカーと提携し、新しい会議室用のモニターやスピーカーバーも発売する。

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft Ignite 2021Microsoft Teamsビデオ会議

画像クレジット:Microsoft

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトがAIをエッジで動かすハードウェアとソフトウェアの新プラットフォーム「Azure Percept」を発表

米国時間3月2日、Microsoft(マイクロソフト)はAzureのAIサービスをエッジで活用するハードウェアとソフトウェアの新しいプラットフォーム、Azure Perceptを発表した。Perceptは、デバイスを管理しAIモデルを作るためのMicrosoftのAzureクラウドツールと、同社のデバイスパートナーが製作するハードウェアを組み合わせるプラットフォームだ。物体の検出、異常の検出、棚の分析、キーワードスポッティングなどをエッジで実行するためのAIをあらゆる業種の企業が簡単に構築し実装できるようにすることを目指し、そのためにAIモデルの構築から互換性のあるハードウェアへのデプロイまでのエンド・ツー・エンドのソリューションを提供する。

スタートに弾みをつけるために、MicrosoftはビジョンのユースケースのためのインテリジェントカメラであるAzure Percept Visionのハードウェア開発キットも同日に発表した。このキットにはエッジでモデルを実行するハードウェア対応のAIモジュールが搭載されているが、クラウドにも接続される。開発キットは広く使われている80/20 Tスロットフレームアーキテクチャに対応しているので、ユーザーは現場での概念実証を実施することもできる。

Percept Visionの他、オーディオのユースケースのためのAzure Percept Audioも発表された。

Azure PerceptデバイスのTrust Platform Module、Azure Percept Vision、Azure Percept Audio(画像クレジット:Microsoft)

Microsoftのエッジ&プラットフォームグループ担当コーポレートバイスプレジデントであるRoanne Sones(ロアンヌ・ソーンズ)氏は「我々はよく使われる2種類のAIワークロードである、ビジョンとボイス、サイトとサウンドから始め、メーカーが我々の取り組みの基本を把握できるように計画を明らかにしました。しかしメーカーは実際に利用されるパターンに対応するあらゆるフォームファクターを考案できます」と述べた。

Perceptの利用者はAzureのコグニティブサービスと機械学習モデルを利用でき、Perceptデバイスは自動でAzureのIoTハブに接続される。

Microsoftによれば、半導体や装置のメーカーと連携して「Azure Perceptプラットフォーム上での動作を認証したインテリジェントなエッジデバイス」のエコシステムを構築しているという。今後数カ月の間にMicrosoftはこのプログラムに関わる他社製デバイスを認証する計画で、利用者が概念実証を実施し簡単に認証済みデバイスにデプロイできるようにすることが理想だ。

MicrosoftのAzureエッジ&プラットフォームグループのプロダクトマネージャーであるChrista St. Pierre(クリスタ・サン・ピエール)氏は「この開発キットのいずれかを使ってプロトタイプを作れば、認証済みデバイスを購入した場合に追加の作業は不要です」と述べた。

さらにサン・ピエール氏は、このプラットフォームのコンポーネントはすべてMicrosoftの「責任あるAI」の原則に従い、広範囲にわたるセキュリティのテストに合格する必要があると言及した。

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ハードウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft Ignite 2021Microsoft AzureエッジAI人工知能

画像クレジット:Microsoft

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトが離れていてもイベントを共有できる複合現実プラットフォーム「Microsoft Mesh」を発表

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間3月2日、同社の仮想現実コミュニティプラットフォーム「Altspace(オルトスペース)」内で開催されたAR(拡張現実) / VR(仮想現実)に特化したイベントで「Windows Mixed Reality(ウィンドウズ ミックスド リアリティ)」プラットフォームと「HoloLens(ホロレンズ)」ヘッドセットに、会議用の共有プラットフォームを提供することを目的とした新製品を発表した。

この「Microsoft Mesh(マイクロソフト メッシュ)」と呼ばれるアプリは、複合現実(MR)内でユーザーが他のユーザーと対話したり3Dコンテンツを共有できるバーチャルなミーティングスペースを提供し、ウェブ上で空間的なマルチプレイヤー体験を共有するための技術的に難しい部分をすべて処理することができる。

Microsoftの他のAR / VRアプリと同様、その売りはソフトウェア自体というよりも、マイクロソフトのクラウドコンピューティングサービス「Azure(アジュール)」に新たな専門性を追加し、開発者がその機能の上で独自のソフトウェアを構築することができるようにすることだと思われる。同社はMeshに対応したAltspaceVRの新バージョンを発表した。

同社のプレゼンテーションでは、映画監督で海洋探検家のJames Cameron(ジェームズ・キャメロン)氏や、Cirque du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)の共同創設者であるGuy Laliberté(ギー・ラリベルテ)氏、Pokémon Go(ポケモンゴー)の開発元であるNianticのJohn Hanke(ジョン・ハンケ)氏を招いて、Microsoft Meshの潜在的なユースケースを紹介し、この新製品を大々的に宣伝した。

MicrosoftのHoloLensは、複数のユーザーが共有スペースで、他の人には見えないデジタルコンテンツを一緒に見るような時に最も効果を発揮する。Meshの内部では、他のユーザーは漫画のようなアバターとして表現されるが、これは他の数え切れないほどのAR / VRアプリやプラットフォームを悩ませてきたデザイン上の問題だ。Microsoftでは、写真のように現実的な3Dの姿で映し出されるようになることを望んでいるというが、そのためには複雑なカメラハードウェアのコモディティ化が必要になることは間違いない。

同社は、現在のソフトウェアよりも数年先を行っていると思われるMeshのコンセプトビデオを披露した。

Meshは、空間コンピューティングの世界で、非常に独自性が高い機能を提供するわけではない。機能面を見れば、それはまったく標準的なやり方だ。Meshの差別化となる要因はアクセスの幅広さであり、それはかつてAltspaceVRプラットフォームの差別化的機能として見られたものだ。Meshは、HoloLens 2や多くのVRヘッドセット、スマートフォン、タブレット、PCなどさまざまなデバイスでアクセスすることが可能であり、デスクトップユーザーにも未来的なプラットフォームへの窓を提供する。

このソフトウェアは現在、AltspaceVRに統合されたかたちで利用できる他、HoloLens 2用のプレビュー版が公開されている。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:MicrosoftMicrosoft Azure

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトのマルチクラウドプラットフォームAzure Arcが機械学習のワークロードに対応

Microsoft(マイクロソフト)はコンテナのクラスターがどこでホストされているかに関わらずあらゆるKubernetes環境でAzureを実行できるサービスをAzure Arcで提供している。Arcは登場当初から幅広いユースケースに対応していたが、サービス開始時には残念ながら対応していない機能があった。それが機械学習だ。しかしArcのようなツールの利点の1つは企業がデータに関するワークロードを実行できることであり、それは現在ではそのデータを使って機械学習モデルをトレーニングするという意味であることが少なくない。

米国時間3月2日、Microsoft IgniteカンファレンスでMicrosoftは、Azure Machine LearningをArc対応のデータサービスに追加することでまさにこの機能をAzure Arcで利用できるようになると発表した。

AzureのGMであるArpan Shah(アルパン・シャー)氏は同日の発表で「機械学習の機能をハイブリッドやマルチクラウドの環境に拡大することにより、お客様は既存のインフラストラクチャへの投資を生かしつつ、データのある場所でトレーニングモデルを実行できます。データの移動やネットワークの遅延が減り、セキュリティやコンプライアンスの要件を満たすこともできます」と記した。

この新機能はArcの利用者にすでに公開されている。

Arcに機械学習機能が追加されたことに加え、MicrosoftはAzure Arc対応KubernetesがGAになったことも発表した。これによりユーザーは標準的なKubernetesの構成をあらゆる場所にあるクラスターにデプロイできる。

Azureのハイブリッドサービスの世界で新しい点としては、Azure Stack HCI上でのAzure Kubernetes Serviceのサポートがある。解説すると、Azure Stack HCIは顧客のデータセンター内にある標準化されたハイパーコンバージドなハードウェアセット上でAzureを実行するマイクロソフトのプラットフォームだ。このアイデア自体はAzure Arcより前からあるものだが、自社データセンター内でAzureを実行したい企業にとっては今でも妥当な代替策で、DellやLenovo、HPE、富士通、DataOnなどのベンダーがサポートを継続している。

Arcのオープンソースの面では、MicrosoftはArcがCNCF(Cloud Native Computing Foundation)の標準に適合するあらゆるKubernetesディストリビューションと連携して動作するように構築され、RedHat、Canonical、Rancherそして現在ではNutanixと連携してAzure Arc上でKubernetesの実装に関してテストと検証を実施していると強調した。

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ネットサービス
タグ:MicrosoftMicrosoft Ignite 2021Microsoft AzureKubernetes機械学習

画像クレジット:Akio Kon/Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがワークフローを自動化するPower Automate DesktopをWindows 10ユーザーに無料で公開

米国時間3月2日、Microsoft(マイクロソフト)はPower Automate DesktopをWindows 10ユーザーに無料で公開すると発表した。Power Automate Desktopはデスクトップベースのワークフローを自動化するエンタープライズレベルのツールだ。Power Automate DesktopはMicrosoftが「Attended RPA」と呼ぶソリューションだが、強力なマクロレコーダーのようなものと考えられる。複数のアプリケーションにわたるフローを構築するのに役立つ370のアクションがあらかじめ用意されているが、真価は何度も繰り返し実行する時間のかかるタスクを自動化するためのオリジナルのスクリプトを作れることにある。

Power Automate Desktopは2020年9月に発表された。2020年前半にMicrosoftがSoftomotiveを買収したことがベースにあるが、MicrosoftはSoftomotiveのテクノロジーを拡張し自社のスタックと深く統合してきた。

関連記事:マイクロソフトがビジネスパーソンが使えるワークフロー自動化ツールPower Automate Desktopを発表

Power Automate Desktopを試してみたいユーザーは現時点でMicrosoftからダウンロードできるが、今後数週間のうちにMicrosoftのInsider Builds for Windows 10に含まれ、最終的にはWindows 10に組み込まれて標準のWindows Homeエディションで利用できるようになる。これまでPower Automate Desktopの1ユーザーあたりのライセンス料は1カ月15ドル(約1600円)からとなっていた。

画像クレジット:Microsoft

MicrosoftのPower Platformエンジニアリング担当コーポレートバイスプレジデントであるCharles Lamanna(チャールズ・ラマンナ)氏は筆者に対し「Power Platformですべての人にとって開発を民主化したいというミッションを持っています。これはもちろん誰もが利用できるプロダクトを作るという意味で、Power Appsでアプリケーションを作るにしてもPower Automateで自動化するにしても、つまりノーコード/ローコードということです。しかしもう1つ重要なことがあります。典型的なPCユーザーに自分が開発者になれると思ってもらえるような想像力をどのようにして広げるかということです」と語った。

今回の移行に関しラマンナ氏は、ライセンスにまつわる面倒を解消し、Windowsユーザーに対して自分でbotを作りタスクを自動化できるというメッセージを送ることになると考えている。同氏は「特にマクロレコーダーのような記録機能に関して我々が設計した方法、そして我々の経験により、ユーザーはループやクリックするアプリやテキストボックスのことを考えることなく、ただ記録して実行できます」と述べた。

関連記事
マイクロソフトがExcelの数式からヒントを得たオープンソースの新ローコード言語「Power Fx」発表
Microsoft AzureがNoSQLのApache Cassandraマネージドインスタンスを提供開始

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftMicrosoft Ignite 2021Windows 10Power Automate DesktopPower Automate

画像クレジット:Kena Betancur/VIEWpress/Corbis / Getty Images
画像クレジット:spooh / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

Microsoft AzureがNoSQLのApache Cassandraマネージドインスタンスを提供開始

米国時間3月2日のMicrosoft Igniteカンファレンスで、Microsoft(マイクロソフト)はApache CassandraのAzure Managedインスタンスの提供開始を発表した。Apache Cassandraは最新のNoSQLデータベースシステムで、DatastaxなどCassandraセントリックの企業に対する競合となる。Microsoftはこの新しいサービスを「企業がCassandraベースのワークロードをクラウドでもっと活用するためのセミマネージドサービス」と表現している。

Microsoftは報道発表の中で「お客様は簡単にオンプレミスのCassandraワークロードを移行しクラウドで無制限にスケールでき、Apache Cassandraの最新バージョンとの互換性も完全に維持されます。このデプロイメントによりパフォーマンスとアベイラビリティが向上し、Azureのセキュリティとコンプライアンスの利点も得られます」と説明した。

同様のサービスであるAzure SQL Managed Instanceと同じで、ユーザーはスケーラブルなクラウドベースのデータベースにアクセスできるようになる。これまで企業がAzureでCassandraを利用するにはCassandra、MongoDB、SQL、Gremlin APIをサポートするスケーラビリティの高いデータベースサービスのCosmos DBに移行するか、バーチャルマシンまたはオンプレミスのインフラストラクチャを自社で管理する必要があった。

CassandraはもともとFacebookが開発し、2008年にオープンソースになって、その1年後の2009年にApache Foundationに加わった。現在はさまざまな業界で広く利用され、AppleやNetflixなどは中心的なサービスの一部に利用している。AWSはCassandra互換のマネージドサービスを2019年のre:Inventカンファレンスで発表し(現在はAmazon Keyspacesという名前になった)、Microsoftは2018年9月にCosmos DBのCassandra APIを提供開始した。今回の発表でMicrosoftはワークロードをクラウドに移行したい企業に向けてCassandraベースのサービスをフルレンジで提供できることになる。

関連記事:MicrosoftがExcelの数式からヒントを得たオープンソースの新ローコード言語「Power Fx」発表

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ネットサービス
タグ:MicrosoftMicrosoft Ignite 2021Microsoft AzureApache Cassandra

画像クレジット:Kena Betancur/VIEWpress/Corbis / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトがExcelの数式からヒントを得たオープンソースの新ローコード言語「Power Fx」発表

米国時間3月2日、Microsoft(マイクロソフト)が、Excel(エクセル)の数式からヒントを得た新しいローコード言語、Power Fx(パワーFx)を発表した。Power Fxは、Microsoft自身のローコード環境であるPower Platform(パワー・プラットフォーム)上でカスタムロジックを書くための標準手段となる。一方同社はこの言語をオープンソース化して、他者も同様に実装を行うことで、この種のユースケースのためのデファクトスタンダードになることも期待している。

Power Platform自体はプロの開発者よりもビジネスユーザーをターゲットにしているため、始めるに際してビジネスユーザー層のExcelの既存の知識とExcelの数式への親和度を活用することは、賢いやり方のように思える。

「私たちはこの15年ほどの間に、長いプログラミング言語の歴史と、真に興味深い出来事を目の当たりにしてきました。それは、プログラミング言語が無償となり、オープンソースとなり、コミュニティ主導型になったということです」と私に語ったのは、MicrosoftのPower Platformエンジニアリング担当CVPであるCharles Lamanna(チャールズ・ラマンナ)氏だ。彼はまた、C#(シーシャープ)やTypeScript(タイプスクリプト)、あるいはGoogle(グーグル)のGo(ゴー)のような内部言語でさえも、そうしたものの良い例となっていることを指摘した。

「それは現在進行形のトレンドなのです。そして興味深い点は、それらはすべてプロの開発者やコーダーのためのものだということです。振り返って、ローコード / ノーコード空間を眺めてみた場合にも、プログラミング言語が存在しています。例えばExcelのプログラミング言語のようなものがありますし、すべてのローコード / ノーコードプラットフォームもそれぞれ独自のプログラミング言語を持っています。しかし、それはオープンではありませんし、ポータブルでもなく、それぞれのコミュニティに閉じたものです」とラマンナ氏は説明する。

Microsoftによると、今回発表された言語はVijay Mital(ビジャイ・ミタル)氏、Robin Abraham(ロビン・アブラハム)氏、Shon Katzenberger(ショーン・カッツェンバーガー)氏、Darryl Rubin(ダリル・ルービン)氏らが率いるチームによって開発されたのだという。チームはExcel以外にも,Pascal(パスカル)、Mathematica(マセマティカ),1980年代に開発された関数型プログラミング言語であるMiranda(ミランダ)などの言語やツールからもインスピレーションを得ている。

Microsoftは、Power Fxを自身のローコードプラットフォームのすべてに導入する計画だが、コミュニティに焦点を当てていることから、Power Automate(パワー・オートメイト)やPower Virtual Agents(パワー・バーチャル・エージェント)などへの搭載がまず行われる予定だ。

しかし、チームは明らかにこの言語を他の場所でも採用して欲しいと考えている。ローコード開発者は、Power Apps Studio(パワー・アップス・スタジオ) のような製品の数式入力中にポップアップで表示されるのを目にすることになるだろう。しかし、より高度なユーザーは、Visual Studio Code(ビジュアル・スタジオ・コード)に移動して、より複雑なアプリケーションを構築するために使用することもできるようになる。

開発チームが指摘しているように、彼らは言語をただExcelのものに似せるだけではではなく、Excelのような振る舞いをさせることにも力を入れてきた、プログラム専門家ならREPLのようなものと言えば理解できるだろう。つまり数式は宣言的に書かれ、開発者がコードを更新すると同時に再計算が行われる。

最近のローコード / ノーコードツールの多くは、ユーザーがより洗練されたコードでアプリを拡張したり、ツールにコードベース全体をエクスポートさせたりするための脱出口を提供している。なぜなら結局のところ、こうしたツールたちには限界があるからだ。そうしたツールたちはデフォルトで幅広いシナリオをサポートするようになってはいるものの、どの企業も独自のやり方を持っているため、すべてのユースケースをカバーすることはできない。

「私たちは、おそらく開発者の大多数──私は『開発者』という言葉をPower Platformを使うコーダーとしてのビジネスユーザーを指しています──が、最後は何らかのかたちでこうした数式を書くことになると想像しています。基本的な想定として、Power Platformを使い始めた最初の日には、数式は書きませんよね?【略】そこで使われるのはマクロレコーダーだったりテンプレートです。Power Appsも同じです。純粋にビジュアルで、ドラッグ&ドロップを使い、数式は1つも書きません。でもPower Platformのすばらしい点は、これを使っていると2週目には、少しだけ洗練されたものを学んでいくことになるのです。そして少しずつ洗練された機能を使い始めることになります。そして、知らず知らずのうちに、さまざまな能力を身につけたPower Platformやローコード開発者のプロたちが手に入ることになるのです」。

Microsoft Ignite 2021

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:MicrosoftローコードオープンソースMicrosoft Ignite 2021

画像クレジット:Stephen D Harper / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)