文法チェックのGrammarlyが企業向けに表記揺れ防止機能を追加

米国時間6月9日、文法やスタイルの誤りを防ぐツールとして人気のGrammarlyが、有料で利用している企業ユーザー向けにカスタムスタイルガイド機能を公開したと発表した。スタイルガイドとは一般に、企業のコミュニケーションに一貫性を持たせるためのものだ。あるメールには「datacenter」、別のメールには「data center」と書かれているような事態は避けたいはずだ。

Grammarly Businessのゼネラルマネージャーを務めるDorian Stone(ドリアン・ストーン)氏は次のように述べている。「Grammarlyは、あらゆる規模の組織がよりよいコミュニケーションを通じて事業の成功を加速させることに努めている。ビジネスコミュニケーションにおける一貫性は、重要な利害関係者からのブランドに対する信頼と信用を獲得する上で最低限必要なことだ。しかし多様な従業員がさまざまなライティングのプラットフォームを使っている環境で一貫性を維持することは難しい。適切なプロセスを確立しないままにリモートワークをしている企業にとっては、さらに困難だ」。

スタイルガイドを使うと企業は簡単にガイドラインを設定できるので、複数のチーム間で、あるいは全社で、名前や用語を統一できる。AtlassianやZapierといった企業がいち早くこの機能を利用している。

スタイルガイドはGrammarlyの無料ユーザーと有料の個人ユーザーでは利用できないことに注意が必要だ。有料のGrammarly Businessアカウントが必要で、最低3ユーザーから利用でき、費用は1カ月1ユーザーあたり12.5ドル(約1300円)だ。

この市場で長く独占状態だったGrammarlyにとって、新しくなったMicrosoftエディター(未訳記事)はライバルの登場と言える。Microsoftエディターには無料バージョンと有料のMicrosoft 365プラン(あらゆる機能を利用できる)の一部として利用できるバージョンがあり、実はGrammarlyより安い。しかし今のところ、筆者はMicrosoftエディターには魅力を感じていない。というのもWordPressでは動作しないようなので使えないのだ。しかし、この競争はユーザーにとっては良い方向に働くだろう。

2019年後半にGrammarlyは10億ドル(約1070億円)を超える評価額で9000万ドル(約96億2000万円)を調達したと発表し、ユーザー数が2000万人を大きく上回ったことも明らかにした。2000万人のうちどの程度が有料ユーザーは明らかにされていないが、この新しいスタイルガイドのようなツールを備えることで、さらに多くの企業を、そして企業内のさらに多くのユーザーを獲得する可能性がある。

トップ画像:Catherine Falls Commercial / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトと米警察機関との契約中止を社員グループが要請、支援者は250人、グループメンバーは1万人

Microsoft(マイクロソフト)の社員グループが経営陣宛てにレターを送り、会社と警察機関との契約を打ち切るよう求めた。

OneZeroの報道によると、Eメールで送られたそのレターは、同社若手社員が集まるFacebookグループから生まれた。レターはマイクロソフトのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏と執行副社長のKurt DelBene(カート・デルベーン)氏に直接宛てられ、250人の支援者にコピーが送られた。過去にはマイクロソフト社員が別の活動を同じFacebookグループから組織したことがある(OneZero記事)。現在グループには約1万人のメンバーがいる。

メールは会社に対して警察機関との契約を破棄し、シアトル警察署の「資金援助打ち切りと非軍事化」の支援と、Black Lives Matter Seattle(ブラックライブズ・マター、シアトル)の支持を要求している。さらに経営陣に対して、生産性への期待値を緩和し、新型コロナウイルス(COVID-19)とジョージ・フロイド事件への抗議運動という二重の危機の中で、週4日労働の実施を要求している。

レターは地元警察による残忍行為の事例をいくつも挙げ、「シアトルから何マイルも離れた場所に住む同僚、マネジャー、幹部」に向けて格差をなくすよう呼びかけ、24時間続くヘリコプター騒音、催涙ガス、閃光発煙筒、ゴム弾、銃撃、武装警官でいっぱいのワゴン車やバスなど、シアトル中心部で明らかにされた国家が認める暴力の実態を示した。

「あらゆるレベルの幹部や管理職を通じた認知と共感が今すぐ必要である。そうすれば公共の安全と精神衛生の危機の中にいる同僚たちに同僚を教育する負担がかかることはなくなる」とレターには書かれている。

先週ナデラ氏は、現状の人種的不公平に対する会社の方針をメールで従業員に伝え、会社は「目を見開き組織の状況を調べて最善を尽くす」と語った。同氏は、人種不公平と警察解体に関するMinnesota Freedom FundBlack Lives Matter FoundationInnocence Projectといった6つの運動に150万ドル(約1億6000万円)を追加で寄付することを約束した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国土安全保障省がWindows 10の「ワーム化」するバグを警告

米国国土安全保障省のサイバーセキュリティアドバイザリーユニットがWindows 10のユーザーに、完全なパッチが当てられているか確認するよう警告している。先週「ワーム化」するバグのあるエクスプロイトコードがオンライン上で公開されたためだ。

そのコードは、Microsoftが2020年3月にパッチを当てた脆弱性を悪用する(Microsoftプレスリリース)。その「深刻」なバグの詳細は、公開された直後にネットから姿を消したため、混乱と懸念を引き起こしている。

SMBGhostと呼ばれているエクスプロイトコードは、Windowsがプリンターやファイルサーバーなど他のデバイスと通信できるようにするサーバーメッセージブロック(server message block、SMB)のバグを悪用する。このバグを悪用すると、犯人はWindowsコンピューターに自由にアクセスして、マルウェアやランサムウェアなどの悪質なコードをインターネットからリモートで実行させることができる。

しかもそのコードは「ワーム化」可能であるため、ランサムウェアのNotPetyaWannaCryが世界中に広がったときのようにネットワーク上に広がり、数十億ドルの被害を発生させる可能性がある。

Microsoft(マイクロソフト)がパッチを公開したのは数カ月前だが、インターネットに接続した何万台ものコンピューターにその脆弱性を抱えているため、勧告が出されている

米国土安全保障省のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)によると、ハッカーはパッチを当てていないシステムを狙ってその新しいコードを用いるため、ユーザーはただちにアップデートすべきであるという。

そのコードを公開した研究者はGitHub上でChompie1337というハンドル名(GitHubページ)で知られるユーザーで、彼が概念実証用コードは拙速だったため、改良しなければ信頼性がない、と認めているが、もし悪意を持って使用された場合、大きな被害をもらたす可能性があると警告している。

「このコードを勉強以外の目的で使うことは、非常に良くない考えだ。コンピューターは炎上し、そばに子犬がいたら死ぬ」とその研究者は警告している。

最近Windowsをアップデートしていないのであれば、今が良いタイミングだろう。

関連記事:Windows 10の脆弱性修正パッチを緊急配布、月例アプデのSMBにバグ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SlackとAWSの統合がMicrosoft Teams+Azureコンビを焦らす

SlackAmazonが米国時間6月4日の夕方、大きな統合を発表した。この統合によりSlackは通話機能にAmazon Chimeを利用することになり、また同社自身のインフラを担うクラウドサービスとして引き続きAWSを利用する。一方、Amazonは、社内コミュニケーション全般でSlackをそのためのオプションとして利用することで合意した。

Amazonのスポークスパーソンは本誌に「Amazonの一部は以前からSlackをライセンスしているが、全社員のオプションになるのはこれが初めてだ」と語った。

ここで強調しておきたいのは、この動きは確かにSaaSのコミュニケーションツールがAWSとの関係を深めたという大きな統合だが、それと同時にこの合意はMicrosoftとSlackのライバル製品である同社のTeamsへの対抗策でもあることだ。そのためクラウドではMicrosoftのライバルであるAmazon AWSと手を組んだのだ。過去にSlackのCEOであるStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏は、テクノロジー大手が彼の企業を自分たちの存在を脅かすものと見ている、とからかったこともある。

いずれにしても、Teamsは巨大テクノロジー企業が作った小さなソフトウェアにすぎないが、今回の契約を上記の文脈でみないことはできない。AWSとの関係強化はMicrosoftに対するメッセージであり、インフラサービスであるAzureはAWSと競合している。

もちろんバターフィールド氏自身がそう口にしたわけではない。彼は今回の契約のシナジー効果に関する声明で「AWSと戦略的なパートナーシップを結んだことは、今後の需要に対応するスケール能力を両社に与え、顧客にエンタープライズ級のサービスを提供できるようになる。AWSのサービスをSlackのチャンネル方式のメッセージングプラットホームと統合すれば、開発チームは彼らのクラウドインフラストラクチャのプロジェクトを、Slackを去ることなく容易にそしてシームレスに管理できる」と語っている。

この契約には、AWS Key Management ServiceとSlack Enterprise Key Management(EKM)との統合による暗号キーの管理や、AWSのチャットボットサービスとの連携強化、AWS AppFlowとの直接統合などといったことも含まれている。AppFlowの統合によって、SlackとAmazon S3ストレージやAmazon Redshiftデータウェアハウスとの安全なデータ転送が可能になる。

AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏からみれば、これは純粋な統合劇だ。「AWSとSlackが共同で開発者チームに、フロントエンドのアプリケーションで迅速なコラボレーションとイノベーションの能力を与える。それと同時にバックエンドのクラウドインフラストラクチャに関しても、効率的な管理能力を与える」とジャシー氏は声明で述べている。

良好な契約の例に漏れず、これも明らかにWin-Winの関係だ。SlackはAWSに大きな顧客を獲得し、AWSはそのサービスの多くをSlackに直接統合する。エンタープライズユーザーがこれほどまでもSlackに惚れ込んでいる理由は、フォーカスをあっちこっち変えたり、いろんなインタフェイスを行ったり来たりしなくても、ただ1つの場所で仕事を完了できるからだ。

SlackとAmazonの統合によって、両社共通のユーザーにより多くのメリットをもたらし、その一方で共通の敵を焦らす。まさしく、Win-Winだ。

関連記事:SlackのバタフィールドCEOがマイクロソフトの「比較広告グラフ」を非難

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アマゾンがインド第3位の通信事業者の株式を2000億円以上で取得検討か

Amazon(アマゾン)はインドで急成長している通信市場の一端を手に入れるために、米国の同志であるFacebook(フェイスブック)と同じ道をたどろうとしているのかもしれない。

ロイターが匿名の情報源からの話として伝えたところによると、インドですでに65億ドル(約7080億円)を投資しているアマゾンは、インド第3位の通信事業者であるBharti Airtel(バハーティ・エアテル)の株式の5%を20億ドル(約2178億円)以上で取得する交渉の初期段階にあるという。

アマゾンにコメントを求めたが回答はなかった。一方のBharti Airtelは「我々は常にあらゆるデジタルおよびOTT企業と連携し、各社の製品、コンテンツ、サービスを我々の多くのお客様に提供するために深く関わっている。これ以上はお伝えする動きはない」と述べた。

Google(グーグル)がインド第3位の通信事業者であるVodafone Ideaの株式取得について交渉中(未訳記事)の模様であると報じられている中で、アマゾンはBharti Airtelに関心を持ったようだ。2020年4月にはライバルのフェイスブックがインド第1位の通信事業者であるReliance Jio Platformsの株式の9.99%を取得した。地元メディアの報道によると、Microsoft(マイクロソフト)もReliance Jio Platformsと交渉中で、20億ドル(約2178億円)の投資をする可能性があるという。

Vodafone Global GroupのMDで現在はAccloudのCOO兼パートナーであるAmit Pau(アミット・ポー)氏は、Facebookの出資はインドがテック大手にとっての新たな主戦場であることの表れだと語る。

「フェイスブックはJio Platformsとの連携によりインドのeコマース市場でアマゾンに狙いを定めて攻撃をしかけたが、これは世界最大級の企業が争う壮大な戦いの火ぶたを切ったものだ。インドの消費者はデジタル化によってより良いサービスを利用できるようになり、経済が発展するだろう」とポー氏。

米国の大手企業はこれまでに重要な海外市場であるインドの通信事業者と連携し、インドでの市場を拡大してきた。マイクロソフトはReliance Jioと連携してOffice 365を多くの中小企業に購入補助付きの価格で提供(未訳記事)している。グーグルはGoogle Cloudスイートに関してAirtelと同様の連携を続けている

インドのクラウド市場をリードしているアマゾンは、現時点では通信事業者との同様の取引はしていない。ただし過去にはBharti Airtelと連携(Business Today記事)していた。

画像:Manjunath Kiran/AFP / Getty Images(画像は加工しています)

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(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナ禍で神戸市がマイクロソフトと包括連携、Power Virtual Agentsでチャットボット、Twilioで音声自動案内などを構築

神戸市は6月4日、マイクロソフトとの包括連携についての記者発表会を開催した。新型コロナウイルス感染蔓延に関連する情報発信や特別定額給付金に対する市民からの問い合わせに迅速に対応する目的で、同社の業務アプリケーションプラットフォーム「Microsoft Power Platform」と、その他の企業のテクノロジーを活用する。

なお、今回の提携によって神戸市が開発した新型コロナウイルス対策に関連するサービスは、すべてオープンソースとして公開される。ほかの自治体は、Microsoft Azureなどのクラウド環境を構築するコストは別途必要だが、神戸市と同様のシステムを無償で利用可能になる。

新型コロナウイルス関連の市民からの問い合わせ対応については、Microsoft Power Platformに含まれるチャットボット作成サービス「Power Virtual Agents」を利用して「新型コロナウイルス健康相談チャットボット」を開発。
感染したかどうか不安な市民が24時間いつでも受診先などを相談できるようになっている。現在のところ1日あたり100件ほどの利用実績があるという。

新型コロナウイルス関連の情報公開については、こちらもMicrosoft Power Platformに含まれるデータ分析サービス「Power BI」を利用したウェブサイトを構築。これまで市役所のウェブサイトで分散していた情報を1つのサイトに集約した。
集約したウェブサイトはダッシュボードタイプになっており、PCやスマートフォンなど視聴するデバイスごとに最適化されたレイアウトで情報をチェックできる。データの取得や加工、可視化などをすべて自動化したことで常に最新の情報を参照できるとのこと。現在1日あたり1万件ほどのアクセスがあるとのこと。

誰もが気になる特別定額給付金についても、Microsoft Power Platformに含まれるアプリ作成サービス「Power Apps」を利用した検索サービスを構築。検索サービスに10桁の申請番号を入力することで、申請状況を確認できるようになっている。

ピーク時には1日4万件を超える電話問い合わせがあるなど窓口が逼迫していたが、検索サービスの構築後は電話の問い合わせは4万件から3000件に減少。一方で検索サービスのアクセス数は1日あたり3万5000件になったという。

さらに、PCやスマートフォンを使っていない市民に対しては音声による申請状況自動案内サービスを6月5日から提供する。こちらは米国サンフランシスコ拠点のTwilioのAPIを活用している。電話口で10桁の申請車番号を電話機のプッシュボタンで入力することで、申請状況を音声で確認できる。ちなみにTwilioは、国内ではKDDIウェブコミュニケーションズが代理店となっている。

神戸市は今回のマイクロソフトとの包括提携により、新型コロナウイルス関連サービス以外にも、各種申請手続きのオンライン化や遠隔医療、遠隔教育、IoT機器や5Gを活用したモニタリングなどの施策を同社とともに進めていく計画だ。

 

Dockerがマイクロソフトとのパートナーシップを深化、より良質な開発者体験を提供

Dockerは昨年の秋、そのエンタープライズ事業をMirantisに売却したが、企業としては健在でいまではクラウドネイティブのデベロッパーツールへと事業内容を変えている(未訳記事)。米国時間5月27日、同社はMicrosoft(マイクロソフト)とのパートナーシップの拡充を発表した。DockerのコンテナをAzureでもっと簡単に動かせるようになる。

今回の発表により、DockerとAzureの2つのデベロッパーツール「Visual Studio Code」(VS Code)と「Azure Container Instances」(ACI)の統合度が高まる。Dockerによると「これまではこれらのツールで開発者がコンテナ環境をセットアップしようとすると数時間ないし数日を要していた」とのこと。

新たな統合により、マイクロソフトのツールセットでアプリケーションを開発時に、もっと容易にDockerのコンテナを含めることができ作業効率が高まる。DockerのCEOであるScott Johnston(スコット・ジョンストン)氏は「この統合によってデベロッパー体験が改善される」と説明する。

同氏は「マイクロソフトとの戦略的関係を拡張することによって、マイクロサービスを使うアプリケーションをクラウドネイティブで構築、共有、そして稼働していくことが一層単純化される。DockerとVS Codeは、最も好まれているデベロッパーツールであり、両者を合体させることによって、Azure Container Instancesのためのコンテナベースのアプリケーションを開発するデベロッパー体験がさらに改善されることは、我々の誇りだ」と述べる。

本日発表された内容としては、DockerのCLIからAzureに直接ログインできる機能や、2つのツールセットの間を行ったり来たりする煩雑さの軽減などがある。このほか開発者は、マイクロソフトのACI環境をデフォルト構成でセットアップできたり、ローカルのデスクトップインスタンスとクラウドを容易に切り替えながらアプリケーションを動かしたりできる。

今回のさまざまな統合化の努力によって、 AzureとDockerの両方を使っているユーザーは、それほど苦労しなくてもマイクロソフトのクラウドサービス上で作業できるようになる。なお、これらの統合は目下ベータだが「本年後半には正規にリリースされる」と同社は約束している。

関連記事:Docker regroups as cloud-native developer tool company(Dockerがクラウドネイティブのデベロッパーツールに特化。

未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoft Edgeでサーフィンができるようになった

ブラウザ開発者は、インターネットがダウンしているときに時間をつぶすのに役立つような、小さなイースターエッグ(いたずら機能)をアプリに追加するのが大好きだ。例えばChromeには昔から、「ネット接続なし」というエラー画面から起動できるDinoゲームがある。Microsoft(マイクロソフト)のEdgeチームは2020年に、似たような機能をプレリリース版に組み込んでおり、そして米国時間5月26日に同社が発表したように、安定版のソフトウェアでも利用できるようになった。

URLバーに「edge://surf」と入力するだけ、サーフレースに参加することができる。ゲームは障害物や他のサーファー、そして時折登場するクラーケン(イカやタコのような怪物)を避ける、エンドレススクロールゲームだ。Dinoゲームよりも楽しいし、機能も充実している。さまざまなゲームモード(エンドレス、タイムトライアル、ジグザグ)があり、キーボード、マウス、タッチまたはゲームパッドでプレイできる。ゲームをさらに簡単にプレイする場合は、低速モードや視覚障害者のための高視認性モードがある。

1年近いパブリックプレビュー期間を経て、Edgeチームは2020年初めに最初の安定版をリリースし、また先週の仮想で行われたMicrosoft Build 2020で、マイクロソフトは多くの新機能を発表した。プレビュー期間中でもEdgeは有能なブラウザだったが、同社の非常に優れたChromiumベースのブラウザであることを除けば特徴的な機能を欠いていた。この状況は徐々に変化しており、現在、チームはEdgeの機能セットを構築中だ。このサーフゲームは特徴的な機能ではないが、ブラウザの全体的な雰囲気を整えるのに役立つし、マイクロソフトがすでに基本機能以上の点に注力していることがわかる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがRPAプラットフォームのSoftomotiveを買収

Microsoft(マイクロソフト)のCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏はBuildの基調講演で5月19日、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)のプラットフォームのSoftomotive(ソフトモーティブ)を買収したことを明らかにした。Bloomberg(ブルームバーグ)が今月初め、買収の動きを最初に報じたが、両社は現時点でコメントを出していない。

ナデラ氏はSoftomotiveがマイクロソフトのPower Automateプラットフォームの一部になると述べた。「Softomotiveの買収により、レガシーアプリやサービスにRPAをもたらす」と同氏は語った。

Softomotiveは現在、世界中に約9000人の顧客を数える。同社のWinAutomationプラットフォームは、マイクロソフトのPower AutomateのRPAアタッチッドライセンス(人を介さず実行されるロボットのライセンス)があれば自由に利用できるようになる。

マイクロソフトはPower AutomateにSoftomotiveのツールを利用して多くの新機能を実現する予定だ。新機能にはSoftomotivesのローコードデスクトップオートメーションソリューションのWinAutomationも含まれる。これまで、Power Automateはデスクトップオートンメーションツールを備えていなかった。

また、SAPアプリケーション用のSoftomotiveのコネクタ、レガシー端末画面、Javaをデスクトップオートメーションエクスペリエンスに組み込み、UIオートメーション向けの並列実行とマルチタスクを可能にする。

Softomotivesのもう1つの主力アプリケーションであるサーバーベースのエンタープライズRPA開発用のProcessRobotも、Power Automateの中に新しい居場所を見つけるはずだ。だが筆者は、マイクロソフトが主にデスクトップオートメーションスキルのために会社を買収したと推測する。

「当社の最も際立った特徴の1つであり、DNAの根幹は、使いやすさを追求するぶれない姿勢だ」。SoftomotiveのCEOで共同創業者のMarios Stavropoulos(マリオス・スタブロプロス)氏は述べた。「当社は常に市民開発者の概念を信じてきた。コードを書けるのは世界の人口の2%未満にすぎないため、プロセスの改善と全体的なイノベーションの両方の最大の可能性はビジネスエンドユーザーから得られると思う。これが、エンドユーザーを複雑さから開放するために熱心に投資し、業界で最も直感的なユーザーインターフェイスを作成した理由だ。これにより、技術者ではないビジネスエンドユーザーが、専門的な問題の解決者やイノベーターになれるだけでなく、より多くのことを実行できるようになる。このビジョンをマイクロソフトの一員として追求できることを非常にうれしく思う」。

両社は取引の金銭面の条件を明らかにしていない。

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(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトがより公平な機械学習モデルを作るためのツールを発表

Microsoft(マイクロソフト)は、米国時間5月19日のデベロッパーカンファレンスBuildで機械学習に力を入れていた。そして同社は多くの新しいツールや機能を発表しただけでなく、AzureクラウドとMicrosoftのオープンソースツールキットの両方で、より信頼性が高く公平なAIシステムの構築に取り組んでいることも強調していた。

そのシステムには、差分プライバシー(differential privacy)のための新しいツールや、モデルが異なるグループでも動くためのシステム、厳しい規制要件を満たしながら企業がデータの最大限に利用できるようにするツールなどが含まれている。

このところデベロッパーは、AIのモデルの構築方法を勉強しなければならない機会がますます増えており、そのシステムは「説明しやすいか」や「差別やプライバシーの規制を満たしているか」などと定期的に自問することになる。そのためには、モデルの結果をより良く解釈することを助けるツールが必要だ。そんなツールの1つが、Microsoftがしばらく前にローンチしたinterpretMLだが、MLのモデルの公平性を評価するツールキットであるFairlearnもある。このFairlearnは現在、オープンソースのツールとして利用できるが、2020年6月にはAzure Machine Learningに組み込まれるという。

差分プライバシーは、プライバシー情報を保護しつつ個人データからインサイトを得られる技術だが、マイクロソフトは新しいオープンソースのツールキットであるWhiteNoiseを発表した。GitHubとAzure Machine Learningの両方で使うことができる。WhiteNoiseは、マイクロソフトとハーバード大学のInstitute for Quantitative Social Science(定量化社会科学研究所)とのパートナーシップの結果だ。

画像クレジット:Akos Stiller/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトがAirtable風ToDoアプリListsをMicrosoft 365向けに発表

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月19日、Microsoft 365ユーザー向けの新しい「スマートトラッキングアプリ」であるListsを発表した。これは新たなToDoリスト管理アプリのようにも見えるが、マイクロソフトには既にMicrosoft To Doがある。その上、なぜListsが必要なのか疑問に思われるだろう。しかしListsは、基本的なToDoアプリをはるかに超えるもののようだ。実際のところListsは、むしろAirtableと競合するものであり、そこに当然ながらマイクロソフトの他のアプリとの統合機能が追加されたものとなる。

マイクロソフトの説明によると、Listsは「課題、アセット、ルーティーン、連絡先、目録などを追跡するもので、カスタマイズ可能なビュー、スマートルール、アラートを使ってメンバー全員と同期する」ためのツールだという。Microsoft TeamsやSharePoint、その他のマイクロソフト製品とも密接に統合される。2020年夏にまずウェブ上でリリースされ、モバイルアプリも2020年後半にリリース予定となっている。

マイクロソフトがこれまでに明らかにした範囲では、Listsには何種類ものテンプレートが用意されている。例えばチームの連絡先、イベントのための旅程、出張の承認、新人研修のチェックリストといったものだ。

このようなテンプレートのリストからわかるように、マイクロソフトはこのサービスを柔軟なものに保つことに注力しているように見える。それによって多くのユースケースに対応できる。その点では、Trelloのようなサービスを思い起こさせる。実際のところ、Listsのモバイルアプリは、Trelloのものにかなり似ている。

こうしたすべてのユースケースを有効にするために、Listsはリストを視覚化するためのさまざまな方法を用意している。現時点ではグリッド、ギャラリー、カレンダーという3種類のビューがある。標準のビューは「グリッド」で、ちょっとAirtableに似ていると感じる人もいるだろう。「カレンダー」ビューは、名前でだいたいわかるだろう。「ギャラリー」ビューは、視覚的な内容に適したもの。またListsは、柔軟性を何よりも重視しており、カスタムビューを自分で作成することもできる。

Airtableと違いListsにはKanbanビューや、カスタムフォームを利用してデータを入力するような機能は備わっていないようだ。

Listsのもう1つの重要な機能は、ルールを作成するためのシステムにある。「アウトプットが決まったら、if/thenの手順をクリックしていってルールを展開します」と発表資料にも書かれている。「人、ステータス、値の変化を選択して通知を送信したり、リストの中の別の場所にある値を、プログラムによって更新したりできます。最後にルールを指定してリマインダーを設定し、チームのメンバー全員に常に情報を提供します」。

現在のマイクロソフトのツールは、結局のところはMicrosoft Teamsにつながるものとなっている。当然ながらこのListsも、Temasに統合されるものになると同社は強調している。この点では、同社のコミュニケーションプラットフォームに属する他のアプリと同様だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Microsoft EdgeにPinterest統合、サイドバー検索、仕事利用時自動切り替えなど新機能が多数搭載

Microsoft(マイクロソフト)はオンラインで開幕したBuldカンファレンスで新しいEdgeブラウザに多数の機能を追加することを発表した。アップデートの一部は一般ユーザー向けだがビジネスユーザー、IT管理者、デベロッパー向け機能も含まれる。Edgeの安定バージョンがリリースされたのは最近だが、開発チームはこのブラウザをライバルと差別化するための新機能を組み込み始めたようだ。

一般ユーザー向けのアップデートの1つは、Edgeのコレクション機能をPinterest に利用するというものだ。Pinterestとコレクション機能はどちらも、ページ、画像その他なんでもユーザーがオンラインで見つけたアイテムのリンクを保存できるようにするものだ。そこでマイクロソフトはEdgeにPinterestを利用したツールを追加し、コレクションの下部にPinterestからの「おすすめ」を表示できるようにした。クリックするとユーザーは「類似したピンを集めたPinterestボードに移動する。ユーザーは興味あるアイテムを見つけて自分のコレクションに追加できる」という。逆にEdgeのコレクションをPinterestにエクスポートすることもできる。一部のユーザーには歓迎される機能だろうが、(特に個人的には)無効にするオプションが欲しいところだ。

コレクションは既にWord、Excelと統合されているが、さらにアイテムをOneNoteのメモ作成ツールにエクスポートする機能も追加される。

これらのEdgeの新機能は、今後数日以内にまずプレリリースチャンネルで公開される。

サイドバー検索はまったく新しい機能で、名前のとおりブラウザのメイン画面で新しくタブを開かなくてもサイドバーから検索が実行できるようになる。ユーザーがタブを移動してもサイドバーは維持されるので、これはかなり役立ちそうだ。このアイデアは他のブラウザも真似することになるだろう。

我々の多くは、同一のコンピュータの同一のブラウザにビジネスアカウントと個人アカウントを混在させている。Edgeが導入するプロフィールの自動切り替え機能も便利そうだ。これはページ内に業務用認証情報を必要とするリンクを検出すると、Edgeは自動的にプロフィールを「仕事用」の設定に切り替える。

これに関連するが、EdgeはWindows 10のWIP(Windows情報保護)をサポートすることになる。WIPは企業向け管理システムで、個人データと企業データを判別する。私用のメールアカウントから企業が開発中の極秘のプロダクトの画像を送信するなどの誤用を防止できる。WIPのサポートは企業からの要望事項のトップだった。

デベロッパー向けの新機能やツールも発表された。その1つはOrigin Trialsだ。これを利用するとデベロッパーは実験的なウェブ機能を一定期間サイトにアップし、Edgeユーザー向けにテストできる。マイクロソフトによれば「Edgeを通じてサイトを訪れるユーザーの一部に一般的公開前のプロトタイプをテストしてもらうことができる」という。

Windowsのデベロッパーは新しいWebView2プレビューをテストすることができるようになる。このデベロッパー向けプレビューは従来Win32プログラムに制限されていたが、アップデート後は.NETおよびUWPアプリもサポートされる。

またWindowsのPWSA(プログレッシブWebアプリ)が強化された。

【略】

利用できるのは当面一部のビルドのユーザー(Windows Insider buildsとEdge Canary preview builds)に限られる。

個々のアップデートも十分興味あるものだったが、最もポイントとなるのはEdge開発チームが単なる「もうひとつのブラウザ」を超え、ライバルとはっきり差別化されるブラウザを目指して機能のリリースを開始したことだろう。Edgeはもともと非常に優秀なChromiumベースのブラウザなので、この新しい方向は大いに期待できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトはOpenAIと協力してAzure上に世界第5位となるスーパーコンピューターを構築

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月19日に、デベロッパー会議であるBuild 2020で汎用AIを開発するスタートアップのOpenAIと提携したことを発表した。提携の中身にはいろいろあるが、その1つはマイクロソフトが10億ドル(約1078億円)を投資して、Azureのインフラストラクチャ上に、世界的にも最速レベルのスーパーコンピューターを構築することだ。マイクロソフトによると、28万5000コアを持つマシンで上位500位のスーパーコンピューターのランキングでも、トップ5に位置するものだという。

マイクロソフトはまだ多くを明らかにしていないが、1万基のGPUを備え、サーバー1台あたり毎秒400ギガビットのネットワーク通信速度を実現するという。これについては、マイクロソフトとOpenAIの言葉を信じるしかない。

現状でスーパーコンピューターランキングのトップ5に入るには、2万3000テラフロップスを超える必要がある。参考までに述べれば、現在第1位のマシンはIBMのPower SystemベースのSummitで、速度は14万8000テラフロップス以上に達している。それとの差はかなり大きい。マイクロソフトは同社のAIイニシアチブについて、4ページに渡るプレスリリースを出したにも関わらず、これまで実際のパフォーマンスの数値は公表していなかった。

「このコンピューターは、Azureに接続されてはいますが、OpenAIの専用リソースとなります。OpenAIはシステムの利用代金を、マイクロソフトと他のサプライヤーに対して支払います。その費用の総額は明らかにできません」と、マイクロソフトの広報担当は私の質問に答えて語った。また、システムは現在稼働中だという。

マイクロソフトによる大規模な投資を受けて以降、OpenAIはクラウドサービスとしてAzureを選択している。このスーパーコンピューターは「OpenAIと協力してOpenAI専用に」開発されたものだ。

OpenAIは、非常に大きなモデルをトレーニングすることで有名になった。それももちろん、これと同じように、1つのプロジェクトの目的なのだろう。

「私たちが、私たちのニーズを理解し、スーパーコンピューターを構成するすべてのコンポーネントのさまざまな限界についてよく知るにつれて、ようやくわかりました。私たちの夢をかなえるようなシステムを設計できるとすれば、それをどのようなものにすべきか、ということを表現できるようになったのです」と、OpenAIのCEOであるSam Altman(サム・アルトマン)氏は語った。「そして、マイクロソフトがそれを実現してくれました」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)