置き配サービス「OKIPPA」が利用者全員に上限3000円の盗難補償を無償付帯へ、コロナ禍の置き配増加受け

強度の高いポリエステル素材とタイヤルロックを組み合わせた簡易宅配ボックス「OKIPPA」を提供するYper(イーパー)は7月29日、利用者全員に盗難補償を無料で提供することを発表した。新型コロナウイルスの蔓延で玄関先などのへの置き配需要が高まっていることを受けての施策だ。

補償を受けるには、OKIPPA所有者でアプリからの申し込みが必要となる。OKIPPA自体は、同社のウェブサイトやAmazon(アマゾン)などの通販サイトで3980円で購入できる。最大容量は57Lで、Amazonパントリーの箱やヤマト運輸のクロネコボックス(12)、日本郵便のゆうパック・箱 (特大)までを収納可能だ。

無料の盗難補償の上限3000円。配送される品物が3000円未満の場合は商品代金ぶん、3000円以上の場合は3000円ぶんが、ギフトカードなどで送られてくる。現金でキャッシュバックしてほしいところだが、送付や振り込み時の手間や口座番号の提供などのリスクを考えると現実的な補償方法だろう。

補償金の申請は、専用アプリから警察に届け出た盗難届の写しと盗難現場の画像を提出するだけと手軽だ。なお、購入元などで補償が適用される商品は補償対象外。OKIPPAの追跡アプリで経路が追えない荷物も補償対象外となるので、OKIPPA対応のネット通販以外、例えば個人間の受け渡し荷物は補償されない。

なお同社は2018年7月より、100円/30日の有料プランとして東京海上日動と共同開発した「置き配保険」を提供しており、こちらもOKIPPAで追跡できる荷物が対象となるが補償額は上限3万円。通販のヘビーユーザーはこちらのプランに加入するのもお勧めだ。

アマゾンなどでも置き配は推奨されており、今後さらに需要が高まると考えられる。OKIPPAは、一部例外はあるものの、アマゾン、楽天、Yahoo!ショッピングのほか、電子メールで商品情報や支払い金額、追跡番号(配送情報)が取得できる通販サイトに対応している。コロナ禍でECサイトの需要が高まっている中、無料での盗難補償付帯はうれしいサービスだろう。

置き配バッグ「OKIPPA」がRakuten EXPRESSの配送方法に採用、EC事業者とのタッグで再配達削減へ

置き配バッグ「OKIPPA」を展開するYperは4月20日、楽天の配送サービス「Rakuten EXPRESS」における正式な配送方法としてOKIPPAが採用されたことを明らかにした。

Rakuten EXPRESSでは以前から不在再配達を減らす仕組みとして置き配に対応済みで、4月22日からは置き配を選んだ際の荷物置き場の1つとしてドアノブに設置したOKIPPAを指定できるようになる。YperによるとEC事業者が配送先選択肢にOKIPPAを取り入れた事例は今回が初めてだ。

またこの取り組みと合わせて、楽天オリジナル柄のOKIPPAを抽選で1万名に無料配布することも発表している。

Rakuten EXPRESSの受け取り場所としてOKIPPAを指定可能に

OKIPPAはこれまでも何度か紹介しているように、手軽に置き配を利用できる“簡易的な宅配ボックス”だ。手のひらサイズに折りたたんだOKIPPAを玄関のドアノブに吊り下げておくだけで、不在中や在宅時に非対面で荷物を受け取れる。既存の宅配ボックスと違い、常設していても玄関前のスペースを取らないのが特徴だ。

盗難や個人情報漏洩対策として2種類の鍵(ドアノブ専用ロックとシリンダー式南京錠の内鍵)を採用しているほか、バッグと連携するモバイルアプリを通じて「置き配保険」も提供。同アプリには配送状況の確認機能や到着時の通知機能なども搭載されている。

OKIPPAでは2018年9月の販売開始から公式サイトを含む複数のECサイトで個人向けに販売する傍ら、日本郵便を含む複数の事業者と連携して無料で各地に配布する取り組みを進めてきた。その結果として現在は全国13万世帯以上で活用されているという。

Yperで代表取締役を務める内山智晴氏は以前よりOKIPPAを通じて再配達を削減するためには、バッグの普及とともに「OKIPPA便のような形で、ECサイトの配送方法の選択肢の1つに採用してもらうことが重要だ」と話していた。そういった意味では今回の取り組みは同社にとって非常に大きな一歩となるだろう。

Rakuten EXPRESSは「楽天24」などの直販店舗や「楽天ブックス」、「Rakuten Fashion」、「楽天ビック」の商品に加え、「楽天スーパーロジスティクス」で担う「楽天市場」の出店店舗の一部商品を対象に36都道府県で配送サービスを展開している。

現時点では楽天市場で購入した全ての商品が該当するわけではないけれど、公式の置き配場所にOKIPPAが加わり、Rakuten EXPRESSの対応商品についてはOKIPPAを指定して受け取れるようになる。

「置き配を普及させていく上では配送会社が置き配に対応するだけでは十分ではない。特に規模の大きいEC事業者の協力が不可欠であり、今回の取り組みはOKIPPAにとっても大きな転換点になる。今後もこのような取り組みを加速させていくことで、再配達の削減や荷物を受け取るユーザーの利便性向上に繋げていきたい」(内山氏)

Rakuten EXPRESSとの連携は、国土交通省が2019年3月から1年間に渡り実施してきた「置き配検討会」がきっかけだ。Yperと楽天は共に検討会の構成員であり、さらなる置き配推進を目指しタッグを組むことになったという。

冒頭でも触れた通り、両社では楽天オリジナル柄のOKIPPAの配布キャンペーンも行う計画。本日から5月19日にかけて第1回抽選を実施し、2回に分けて合計1万個のバッグを配布する。

2020年は置き配が一気に広がる可能性も

再配達を削減する施策として近年注目を集め始めていた置き配が、今年は一気に普及していくかもしれない。楽天に限らず大手EC事業者で置き配関連の取り組みが加速している状況で、3月にAmazonが30都道府県の一部地域を対象に「玄関への置き配」をデフォルトの配送方法にする取り組みを始めたことは話題を呼んだ。

マンションの玄関前など共用スペースで置き配を利用する(荷物を置く)ことが消防法上の問題にならないのかといった議論も一部ではあったが、3月31日に実施された第五回置き配検討会では「共用部分に、宅配物・生協配送・牛乳配達など、避難の支障とならない少量または小規模の私物を暫定的に置く場合は、長期放置や大量・乱雑な放置等を除き、社会通念上、法的問題にはならないと考えられる」との見解も発表された。これも置き配を普及させたい事業者にとっては追い風になるだろう。

加えて直近では新型コロナウイルスの影響で、デリバリーなども含めて在宅時でも非対面で荷物を受け取れる選択肢が増えている。こうした取り組みによって置き配の認知度や利用度が高まる可能性も十分にありそうだ。

内山氏によるとYperでは昨年約12万個のOKIPPAを配布済みで、月あたりの荷物の処理個数はピーク時で60万件ほど(サンプリング調査からYperが推計)。ちなみにコンビニの同数値は推定で約320万個(Yperがコンビニへのヒアリングをもとに試算したもの)で、OKIPPAの5倍強だ。

あくまで計算上ではあるけれど、OKIPPAが63万個以上普及した場合にはコンビニと同程度の荷物を処理できるようになるとのこと。Yperでもまずはこの数値を1つのマイルストーンに設定しているという。

「今月末にも15万個を突破する予定だが、まだまだしばらくは普及フェーズ。まずはマイルストーンとして63万個、その後は昨年度からの目標である100万世帯への普及を目指す」(内山氏)

先日からはファッションサブスクの「メチャカリ」と共同で、OKIPPAを活用して衣類の返送を非対面集荷で実施できる実証実験も始めた。事業者との連携によるバッグの配布やEC事業者との連携と並行して、バッグ自体の用途を広げる取り組みも進めることでユーザーの利便性を高め、さらなる普及を目指す計画だ。

Yperが東京電力と強力タッグ、ガス新規契約者の先着5000人に置き配バッグOKIPPA無償配布

Yperは1月20日、東京電力エナジーパートナーと連携し、東京電力が提供する家庭向けガスサービスの新規契約者を対象に、簡易宅配ボックスOKIPPA(オキッパ)を先着5000名にプレゼントするキャンペーンを開始した。

キャンペーンの応募資格は、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬の東京電力のサービスエリア内で、電気に加えてガスを新規契約する利用者。さらに、新規加入者全員に3カ月間連続でYperから日用品がプレゼントされるほか、毎月10名には家電などの商品がもらえるキャンペーンも実施する。キャンペーン期間は2月29日まで。

OKIPPAは2018年9月中旬の発売開始から全国13万世帯以上に普及している吊り下げ式の簡易宅配ボックス。専用アプリを連携させることにより、再配達ストレスをゼロにする。OKIPPAバッグに荷物が配達されるとアプリに通知が入るほか、万が一再配達になった場合もアプリから素早く再配達を依頼できる。100円/30日のプレミアムプランに加入すれば、東京海上日動と共同開発した専用の盗難補償「置き配保険」も利用可能だ。

日本郵便が置き配バッグ「OKIPPA」を10万個無料配布へ

スマホアプリと連動した置き配バッグ「OKIPPA」を展開するYperは6月24日、日本郵便が再配達の削減を目的としてOKIPPAを10万世帯に無料配布することを明らかにした。配布先は毎週1回抽選で決める予定で、本日から8月26日まで専用サイトで募集を行う。

これまでも何度か紹介しているOKIPPAは、手軽に置き配を利用できる“簡易的な宅配ボックス”のようなバッグだ。面倒な設置工事も不要で、玄関口に専用ロックで固定しておくだけ。普段は手のひらサイズに折りたためるので、限られたスペースでも簡単に宅配ボックス環境を構築することが可能だ。

専用ロックと内鍵が付属していて、宅配物を玄関口にダンボールのまま置く通常の置き配に比べて盗難のリスクを軽減できるのも特徴。プレミアムプランでは東京海上日動と共同開発した置き配保険も提供する。

バッグと連動したスマホアプリを併用すれば、荷物が預入されたタイミングでスマホに通知が届く仕組みだ。

OKIPPAは2018年9月中旬の発売開始から現在までに全国1万2千世帯以上で導入済み。昨年12月には日本郵便と共同で東京都杉並区の1000世帯にバッグを無料配布し、再配達率への影響を調査する実証実験を実施している。

結果はこちらの記事にて取り上げた通り、対象の世帯数や期間は限定的ではあるものの最大で再配達率を61%削減することに繋がった。今回の取り組みは、ユーザーの荷物待ちストレスや再配達ストレスを解消しつつ、配送員の負担も減らす仕組みとして「置き配」をより多くのユーザーに体験してもらう目的もあるようだ。

Yperによると本日OKIPPAが日本郵便から正式に荷物受け取り容器として公認されたとのこと。これまで宅配ボックスを利用する際に必要とされていた利用申請の提出が不要となり、OKIPPAを受け取った日から利用できるようになるという。

このことからも再配達率を削減するべく、日本郵便が本気で置き配を普及させようとしていると言えそうだ。

今回の日本郵便との取り組みは、OKIPPAを通じて置き配をスタンダードな選択肢とすることを目指しているYperにとっても大きい。同社の代表取締役を務める内山智晴氏は以前「100万個設置することが今年の目標」と話していたが、一気に10万個を配布することでその目標にも一歩近づく。

「厳密に各社の数字が公表されているわけではないので、あくまで業界内で聞いている範囲だが、設置数が10万個を超えてくると個人用の宅配boxとしては普及個数が国内トップクラスになる。OKIPPAを通じて置き配への抵抗やハードルを下げることで、(OKIPPA以外も含めて)簡易宅配boxをインフラとして広げていきたい」(内山氏)

Yperは2017年8月の創業。同社は昨年ニッセイ・キャピタルから5000万円、今年4月にも同じくニッセイ・キャピタルとみずほキャピタルから3.5億円の資金調達を実施している。

“置き配”は再配達率を減らす救世主になるか、置き配バッグ「OKIPPA」が3.5億円調達

スマホアプリ連動型の置き配バッグ「OKIPPA」を展開するYperは4月24日、ニッセイ・キャピタルとみずほキャピタルを引受先とした第三者割当増資により3億5000万円を調達したことを明らかにした。

同社にとっては昨年ニッセイキャピタルから5000万円を調達して以来となる、シリーズAラウンドという位置付け。調達した資金を活用してバッグ量産体制の整備と人材採用、経営体制の強化を進めながら国内における再配達率の改善を目指していく。

アプリ連動型の「置き配バッグ」を展開

過去に何度か紹介しているけれど、OKIPPAは狭いスペースでも手軽に活用できる“簡易的な宅配ボックス”のような置き配バッグだ。普段は手のひらサイズに折りたたむことができ、設置するための工事も不要。玄関口に収納したバッグをかけておけば置き配を利用できる。

バッグの最大容量は57リットルで耐荷重は13kg。拡げると割と大きな荷物も入れることができ、撥水加工も施されている。盗難が心配なユーザー向けに、アプリのプレミアムプランとして東京海上日動と共同開発した置き配保険も展開済みだ。

またバッグ以外のプロダクトとして、YperではOKIPPAと連動したスマホアプリを手がけている。

このアプリではバッグに荷物が預入された際に通知が届く仕組みになっているほか、ヤマト運輸や日本郵便など配送会社5社に再配達依頼ができる機能、Amazonや楽天を含むECサイトで注文した商品の配送状況を追跡できる機能などを搭載。バッグを持っていないユーザーでも荷物管理用のアプリとして単体で使うことが可能だ。

今回Yperでは同様の特徴を持つ「荷物管理/荷物管理Lite」を吸収合併し、「荷物管理OKIPPA」としてアプリのリニューアルを実施。荷物管理/荷物管理Liteを開発していたチームもYperの開発体制に加わり、さらなる機能拡充と利用者数の拡大を目指していく。

なおOKIPPAの概要や開発背景については以前詳しく紹介しているので、そちらも参考にして頂ければと思う。

複数社が置き配サービス開始、置き配検討会もスタート

「この1年だけでも置き配を取り巻く環境が大きく変わってきた」——。Yperで代表取締役を務める内山智晴氏は2018年から2019年にかけての置き配市場についてそう話す。

同社では最初のプロトタイプを翌年2月に開発した後、4月にクラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げ、9月下旬から一般販売をスタート。現在OKIPPAバッグの累計販売数は全国で1万個を突破しているという。

昨年4月にMakuakeで実施したクラウドファンディングプロジェクトでは、目標を大きく上回り、1800人以上が参加(2000個以上が売約)した

開発当初に置き配サービスをやっていたのはYperとファンケルぐらいだったそうだが、そこから昨年6月に楽天が自社サービス内で置き配に対応。今年2月にはAmazonが試験的に一部エリアで置き配を指定できるようにしたほか、日本郵便も3月からサービスを始めた。

置き配に注目が集まる背景にあるのは再配達率の高さだ。国土交通省の発表では2018年(平成30年)4月期の宅配便再配達率は約15.0%。この数値を2020年度には13%程度まで削減することを目標に掲げている。

近年この課題を解決する有力なソリューションとして注目を集めてきたのが「宅配ロッカー(宅配ボックス)」だったわけだけれど、現時点で十分に普及しているとは言えず、これのみで再配達を劇的に減らすのは難しい。そこで新たな打開策として置き配への関心が高まっているわけだ。

それを象徴するように、3月には国交省と経産省が再配達削減検討に向けて「置き配検討会」を新設。検討会の委員名簿にはアスクルやアマゾンジャパン、日本郵便、楽天、ZOZOなどと並んでYperの名前も含まれている。

「今まではそもそも『置き配』とは何か、明確な定義やルールもなかった。国としてその環境の整備を進めていく検討会に委員として参加できるのは大きい。自分たちとしては当初からOKIPPAを『置き配のインフラ』にすることを目指してやってきた。置き配自体が国主導でスタンダードなものになって行けば、配送会社も積極的に検討しやすくなるし、OKIPPAをどのように活用するか議論もしやすくなる」(内山氏)

ECヘビーユーザーをターゲットにまずは100万個設置へ

Yperでは昨年12月に日本郵便と共同で、OKIPPAによる再配達削減の効果を検証するための実証実験を実施した。この実証実験は東京都杉並区の1000世帯にOKIPPAを無料配布し、約1ヶ月の期間に渡って再配達率への影響を調査するというものだ。

期間内に約6000個の宅配物が配送され、参加者の不在率は約51%だったそう。同実験ではこの51%に当たる約3000個の宅配物を「潜在再配達個数」とし、その内OKIPPAを活用することで受け取れた荷物(OKIPPA受取個数)が占める割合を「再配達削減率」として算出した。

そのロジックに基づくと、週ごとの結果では最大で再配達率を61%削減。トータルではOKIPPAを通じて1744個の荷物を受け取ったことになり、約57%の削減に繋がった。

「OKIPPAのメインターゲットはECサイトで週1回以上買い物をするようなヘビーユーザーで、かつ自宅に宅配ボックスが内容な人たち。彼ら彼女らは一般の消費者に比べて年間で3~4倍ほど荷物を受け取る機会が多く、その人たちに置き配の選択肢を提供できれば再配達率を6割以上削減することも可能だと考えている」(内山氏)

そのためにはそもそもバッグがしっかりと行き届いて使われる状態になっている必要があるし、配送員への認知の拡大なども含めてインフラとして整備される必要もある。内山氏によるとコアのターゲット層がだいたい200万人ほど全国にいると試算しているそうで、当面はその約半数に当たる100万人への提供を目標にしていくという。

現在の1万個から100万個はなかなか簡単ではないようにも思えるが、バッグの普及に関してはすでに複数の施策を始めているようだ。

たとえば消費者に直接販売するだけでなく、事業者と組んでエンドユーザーに無料配布する取り組みを実施。東京電力グループのPinTや建設会社のオープンハウス・アーキテクト経由で、それぞれのサービス利用者などに無料でOKIPPAを提供するB2B2Cモデルにも力を入れている(事業者がバッグを購入しユーザーに提供する仕組み)。

またOKIPPAに限らず置き配サービスの障壁となるオートロックマンション向けにも、それに対応したシステムを開発中だ。

「ドライバーは減っていっている一方で、宅配物の数は増えている。特にB2Cの宅配物の増加がネックで、そこにどうやって対応していくのかは大きな社会課題だ。配送の無駄をなくし配送効率をあげることは不可欠で、置き配は日本の治安の良さを活かした配送方法としてインフラ化できる可能性がある」(内山氏)

OKIPPAバッグが普及すればECサイトなどでOKIPPAの配送プランを作り、コンビニの宅配便取次手数料のようなモデルでのマネタイズも検討していきたいとのこと。今回調達した資金を用いて、月産数十万個単位で生産可能な量産体制を整備し、最低限のインフラを整えるべく事業を加速させるという。

「再配達は誰にとっても無駄なもの。ユーザーにとってはストレスだし、配送会社にとっても負担が大きい。それにも関わらず今はそこに対してコストを払っている。OKIPPAを通じて再配達を減らすことで、誰も損しない形で、サービスとしてもしっかり成長できるような仕組みを目指したい」(内山氏)

Yperのメンバー。左から3人目が代表取締役の内山智晴氏

置き配バッグ「OKIPPA」の累計販売数が6000個を突破、都内1000世帯の実証実験も

Yper(イーパー)は1月31日、同社が開発した置き配バッグ「OKIPPA」(オキッパ)の累計販売数が6000個を突破したことを発表した。2018年9月下旬の発売開始から約4カ月での達成だ。同社は、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリスト。

OKIPPAはその名のとおり、宅配された荷物を施錠可能な専用の袋「OKIPPA」に入れて置きっぱなしにすることで、再配達問題を解決するサービス。盗難が心配な場合は、プレミアムプランに入会すれば置き配保険(盗難保険)をかけられる。とはいえ、現在のところ置き配保険の適用実績はないとのこと。

専用アプリではGmailやHotmailと連携することで、Amazon、ZOZOTOWN、ユニクロ、メガネスーパー、FABIA、ヨドバシ.comなどの通販サイトから発送されてくる荷物の追跡や再配達の依頼がアプリ上で可能だ。ヨドバシ.comについては1月30日にリリースした最新バージョンからの対応となる。

同社によると、OKIPPAの利用者は47都道府県すべてにいるとのこと。同社が設置先2000件を対象にした調査では、オートロックなしの集合住宅が52%、戸建が約46%という割合で利用されていることがわかったそうだ。宅配ボックスのないマンションやアパートでの需要が高いと考えられる。数はまだ少ないが、マンションの管理組合の合意を得てエントランスがオートロックのマンションの設置も進んでいる。

なお同社は2月5日に、日本郵便と組んで実施した東京都杉並区の1000世帯を対象にした1カ月の実証実験の結果を「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM 2018」のDemo Dayで発表する予定だ。

delyのYahoo!グループ入り記事が4位にランクイン(2018年7月ランキング)

2018年にアクセス数の多かった記事を月別に紹介していく年末企画。7月を振り返ってみると、Pokémon GO(ポケモンGO)が1位を飾ったものの、TechCrunchらしい記事がトップ5に並んだ。

Pokémon GO関連記事は、兄弟メディアのEngadgetでも非常によく読まれる鉄板ネタ。今年もさまざまな機能が実装され、さまざまなモンスターが登場したことで1年中盛り上がった。

2位のFacebook関連記事、3位のイーロン・マスク関連記事もTechCrunchとしては毎月強い。特にイーロン・マスクはもはや、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾスなどを抑えて、名前だけでアクセスが延びる人物となった。テスラ(Tesla)やスペースX(SpaceX)の関連記事はもちろん、本人の行動を紹介した記事も大人気だ。

4位は、堀江裕介氏(写真中央)が率いるdelyがYahoo!グループ入りした記事がランクイン。11月に開催されたTechCrunch Tokyo 2018に登壇した堀江氏は、Yahoo!グループ入りにより「kurashiru」(同社が運営している動画レシピサービス)のアクセスが伸長したほか、人脈やデータ、サービスなどのリソースをフル活用できる環境となり「グループ入りにデメリットはない」と力強くコメント。

5位は、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルのファイナリストであるYperの「OKIPPA」の記事がランクイン。OKIPPAは、取扱量の激増と人材不足により激務になっている運送業者の業務を効率化。配達された荷物を預けられるバッグだけでなく、万が一の盗難に備えて東京海上日動と共同でバッグ専用の盗難保険「置き配保険」も開発した。管理組合とのやり取りが煩雑な既存の分譲マンションへの導入にも成功するなど、同社の事業は着実に拡大している印象だ。

1位 NianticがPokémon GOのプレーヤーの反則行為を説明
2位 Facebookが時価総額1230億ドルを一夜で失う
3位 イーロン・マスクが洞窟救出にエンジニアを派遣
4位 新生delyはこれから、モノを売り、1兆円企業をめざす
5位 荷物待ちや再配達のストレスから解放、置き配バッグ「OKIPPA」

置き配バッグ「OKIPPA」と日本郵便、再配達削減の実証実験へ

手のひらサイズの特製バッグを玄関口に吊るしておくだけで、不在時でも宅配物を受け取れる“置き配”バッグの「OKIPPA」。開発元の物流スタートアップYperは12月から日本郵便とタッグを組み、置き配バッグを活用した大規模な実証実験を都内で始める。

今回の実証実験はOKIPPAを活用することによる再配達削減の効果を検証するためのもの。東京都杉並区で1000世帯を募集し、参加者にはOKIPPAバッグ一式を日本郵便が無料で配布する。試験期間は2018年の12月3日〜12月31日まで、本日11月7日より参加者の募集をスタートした。なお、希望者は実証実験終了後もOKIPPAを利用できるという。

日本郵便と言えば、つい先日ゆうパックの置き配サービス(指定場所配達サービス)を3月18日より開始すると発表したばかりだ。

このサービスはゆうパックの「お届け予定通知」もしくは「ご不在通知」などのメールを受け取ったユーザーが、荷物の受け取り場所を指定できる仕組み。宅配ボックスや郵便受箱のほか、メーターボックス、物置、車庫が指定できるようになる。

今回の実証実験では上記の場所やツールではなくOKIPPAを活用。毎年12月は年末商戦やお歳暮などで宅配便の需要が増えるシーズンとのことなので、再配達の削減効果を確かめる意味でももってこいのタイミングと言えそうだ。

OKIPPAについては以前紹介しているので詳細はそちらの記事をチェックしてもらえればと思うけれど、スペースのない場所にも手軽に宅配ボックス環境を構築できるのが特徴。Yper代表取締役の内山智晴氏の言葉を借りると「しっかりとした作りの宅配ボックスと、ダンボールを指定の場所にそのままおく一般的な置き配の中間に位置する」ようなサービスだ。

専用のアプリからは荷物の配送通知を受け取れるほか、AmazonやZOZOTOWNなどECサイトから出荷された商品の配送状況を一元管理することもできる。

バッグ自体は月額課金制などではなく3685円(税別)の買い切り型。玄関口に固定する専用ロックと内鍵がセットになっているほか、有料オプションとして置き配保険も備える。普段から頻繁にECサイトを利用するようなユーザーを中心に「荷物の受け取り方の新たな選択肢」を提供することが目標だ。

今年7月には東京23区の100世帯を対象に約1ヶ月の実証実験を実施。参加者の約6割が週1回以上ECサイトで買い物をするヘビーユーザーということもあり、OKIPPA利用前の宅配ボックスがない環境下では再配達率が59.2%とかなり高かったそう。そのようなユーザーが実際にOKIPPAを利用することで、再配達率は最終的に15.9%と約43%削減。内山氏も一定の手応えを感じたという。

「ECサイトのヘビーユーザーが求める荷物の受け取り環境が十分には整っていない。そこが整備されれば再配達率を削減できるだけでなく、荷物の待ち時間が減りユーザーのストレスもなくなる。(待ち時間が減ることで)ECサイトでの購入頻度が増えることも期待できるので、配送会社、ECサイト、ユーザーそれぞれにとってメリットのある、新たな選択肢を広げていきたい」(内山氏)

ちなみにYperはいよいよ来週に迫ったTechCrunch Tokyo 2018 スタートアップバトルの参加企業。15日午前10時30分から行われるグループAにてピッチを披露する予定だ。

荷物待ちや再配達のストレスから解放、“置き配”バッグ「OKIPPA」—— 東京海上と盗難保険も開発

「こんなにも多様な商品をネットで買える時代になっているのに、受け取る方法は未だに自宅、コンビニ、宅配ロッカーと少ないまま。もっと新しい選択肢があってもいいと思った」——そう話すのは、置き配バッグ「OKIPPA」を開発するYperの代表取締役、内山智晴氏だ。

置き配という言葉からもぼんやりとイメージできるかもしれないけれど、OKIPPAは専用のバッグを通じて不在時でも自宅の玄関前で荷物を受け取れるサービス。2018年4月からクラウドファンディングサイト「Makuake」で始めた先行販売プロジェクトには約1800人が参加(2000個以上売約済み)するなど、大きな反響を呼んだ。

8月下旬には一般販売も予定しているOKIPPA。それに向けて開発元のYperは7月5日、東京海上日動と共同でバッグ専用の盗難保険「置き配保険」を開発したことを明らかにした。合わせて7月7日より東京23区にて約1ヶ月間の実証実験を実施することも発表している。

不在時でも専用バッグで荷物受け取り、アプリとも連動

近年ECサイトやフリマサービスなどの普及に伴い、宅配物の取扱件数が年々増加している。その中で課題とされているのが再配達率の高さだ。6月25日に国土交通省が発表した資料では、宅配便の再配達率は約15.0%。特に全体を押し上げている都市部(16.4%)において、この数値を下げる方法が求められている。

自宅以外でもコンビニや宅配ロッカーで荷物を受け取ることができるものの、内閣府の世論調査などを見る限りではそこまで使われていないのが現状。これらを補完する新しい選択肢としてYperが提案しているのが、冒頭でも紹介したアプリ連動型の置き配バッグOKIPPAだ。

普段はバッグを玄関口などに吊り下げておき、荷物収納時に地面まで引き下げて使用する。耐荷重は13kgと容量の大きいものも収納できるが、使っていない際には手のひらサイズに折りたためるため余計なスペースをとらないのが特徴だ。

盗難対策として玄関口に固定する部分には専用のロック、内鍵に南京錠を付属。撥水加工の生地、止水ファスナーによって雨から荷物を守る(完全防水ではない)。一般販売では3980円(税抜)で提供する予定だ。

合わせてOKIPPAではバッグと連動するアプリを開発。OKIPPAに荷物が配送されると通知を受けとれるほか、Amazon、ZOZOTOWN、楽天で購入した商品の配送状況を管理することも可能。配送業者5社(ヤマト運輸、日本郵便、佐川急便、西濃運輸、Amazonデリバリープロバイダー各社)に対応し、もし再配達が必要になった場合もアプリから依頼できる。

OKIPPAを使う1番のメリットは、荷物を待つストレスから解放されることだろう。

通常荷物の受け取り時間は「14時から16時」など一定の範囲を指定する。この場合14時に届くのか16時に届くのかまではわからないから、その間ずっとそわそわし続けなければいけない。トイレに行くのでさえもなぜか緊張するし、たとえほんの数分だとしても家から出るとなればかなりの勇気がいる。

「いろいろな商品をネットで買えるのだから、商品に応じて受け取り方をもっと柔軟に選べてもいいはず。たとえばパソコンのように高価なものは、土日の午前中を使ってでも受け取りたいが、ちょっとした日用品を受け取るのに貴重な時間を使うのは無駄に感じてしまう。受け取りの選択肢が増えるだけでストレスも軽減される」(内山氏)

すでにMakuakeで初期に購入したユーザーを含めた50世帯以上で試験的に運用を始めていて、今のところは盗難などの被害も報告されていないそう。内山氏自身も以前は平日に受け取ることができず再配達の常連だったが、OKIPPAを使うことでその問題は解決。ユーザーからも同様の反響が多いという。

ちなみにOKIPPAのバッグ自体はIoT化していない完全にアナログなもの。その一方でアプリを作り込むことにより、少しでもIoTロッカーに近い機能を、なるべく安価かつ使いやすい形で実現することを目指している(荷物の受け取り通知も、配送員が行う配送管理処理をサーバー側で取得してアプリに通知する仕様)。

東京海上日動と共同で「置き配保険」開発

置き配サービス自体は何もOKIPPA固有のものではなく、FANCLやAmazon、アスクルを始め複数のECサイトが実践してきた。ただ内山氏の話ではダンボールをそのまま丸裸で置くのが一般的だそうで、ニーズはあるものの盗難や個人情報がさらされることを不安に思う人もいるようだ。

OKIPPAの場合は上述したバックと、新たに東京海上日動と開発した専用の置き配保険を通じて「置き配をインフラ化したい」(内山氏)という。

置き配保険は宅配物がバッグに預入された時点から一定時間(24時間の予定)を対象とし、盗難があった場合に補償してくれるというもの。もともとMakuakeの購入者にアンケートをとったところ、約半数が盗難保険を希望していたため開発に至ったそうだ。

一定金額以上に補償に関してはアプリのプレミアムプランとして提供することを予定していて、バッグが納品される8月末を目処に適用を開始する計画。なおOKIPPAバッグに預入後は、配送会社は輸送中に宅配物に付保する運送保険とは切り離すことができるという。

5000万円の資金調達も実施、インフラとなるサービス目指す

Yperは2017年8月の設立。代表の内山氏は伊藤忠商事の出身で、同社で航空機の販売や改修などに携わった後にYperを立ち上げた。

物流に関心をもったのは、前職でフランスに滞在した時。「フランスに比べて日本の物流はシステムもインフラも整備されていてすごいと感じた。その一方で物流が高度化されている日本ですら再配達など問題が発生している。これをスタートアップとして解決したらおもしろいのではと思った」(内山氏)ため、この領域でビジネスをすることに決めたそうだ。

当初はIoTロッカーを検討したものの、ヒアリングを重ねる中でコストや利用頻度、使い勝手(常に外に置いておくと雨ざらしになる上に、整備費用も発生。配置にはある程度のスペースも必要)などを考慮して方向性を転換。現在のOKIPPAのモデルに行き着いた。

2018年2月にはニッセイ・キャピタルのアクセラレーションプログラム「50M」に採択。5月には同社から5000万円の資金調達も実施している。

今後は一般販売に向けてプロダクトの改良を進めるほか、今年中にマネタイズのモデルを構築することが当面の目標。こちらはまさに進めている段階で「現時点で詳しい話まではできない」とのことだが、「独自の配送網から収益を得るモデルも検討している」(内山氏)という。

内山氏によると、MakuakeでOKIPPAを購入したユーザーの約6割が週に1回以上ECサイトを利用するヘビーユーザー。同じく約6割が半分以上の荷物で再配達を依頼している(そのうちの約4割はほぼすべての荷物で再配達を依頼)。まずはこういったユーザーを中心にOKIPPAを広げていく方針だ。

「再配達の利用率が高いECのヘビーユーザーから反響が大きいので、OKIPPAを普及させることができればB2Cの再配達率は効率的に下げていくことができると考えている。まずは日本でインフラとなるようなサービスを目指していきたい」(内山氏)