pringやPAY.JPも使えるAndroid搭載のマルチ決済端末「A8」

アルファノートは2月20日、Android搭載のマルチ決済端末「A8」をリリースした。クレジットカード、QRコード決済、ポイントカードなどに対応する。

クレジットカードは、VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners、銀聯の6ブランド。QRコード決済は、PayPay、WeChatPayのほか、ネットショップ作成サービスを運営するBASEが開発したオンライン決済サービス「PAY.JP」、無料送金アプリの「pring」に対応する。

BASEはダウンロード数が400万を突破。決済サービスのPAY.JPは、スタートアップやNPOに向けたプランを用意しているのが特徴。例えば、スタートアップ向けの「PAY.JP Seed」ではPAY.JPの決済手数料が通常の3%超から2.59%になる。

pringは2018年11月5日、プロダクトを拡大するために、日本瓦斯、SBIインベストメント、ユニー・ファミリーマートホールディングス子会社のUFI FUTECH、伊藤忠商事、SMBCベンチャーキャピタルなどから12.8億円を調達したばかり。同社はこの資金調達により、メタップスの連結子会社から持分法適用会社へと変わり、単体でのIPOを視野に入れながら事業に取り組んでいる。

話は戻ってA8だが、OSにAndroidを搭載。既存のPOSアプリや顧客管理アプリが同じくAndroidベースであれば移行は容易とのこと。端末はバッテリーで駆動するので携帯性もある。フル充電で48時間の連続利用が可能だ。Wi-Fiもしくはドコモの4G通信に対応するので、屋外やイベントなどので利用も可能だ。

なお、7月末まで税別7万4800円のA8端末を税別2万9800円で販売する。同社は今後、店舗支援ツールなどの自社開発にも取り組んでいくという。

エンジェル投資家の有安氏、AWS、SmartHR、PAY.JPと連携した特典プログラムを出資先に提供

VCが企業と連携し、出資先のスタートアップに特典プログラムを提供する例はあるが、個人のエンジェル投資家が同様の取り組みをすることはあまりない。でも、それが日本で始まるみたいだ。

エンジェル投資家として知られる有安伸宏氏は8月28日、彼が出資するスタートアップに対してAWSと連携した特典プログラムを提供するとTwitter上で発表した。

さらに有安氏は、AWSとの連携に加えて、決済サービスのPAY.JPとクラウド労務サービスのSmartHRと提携することもTechCrunch Japanに明かした。

この3社との提携によって、有安氏が出資するスタートアップは以下の特典プログラムを利用することができる(SmartHRについては、現在支援内容を検討中で9月にリリース予定だという):

AWS

*AWSが定める要件を満たすスタートアップに限る

  • 最大 1 年間有効な 100,000 USD の AWS プロモーションクレジット、または、最大 2 年間有効な最大 15,000 USD の AWS プロモーションクレジット
  • 最大 2 年間有効な、最大 10,000 USD の AWS ビジネスサポートプランクレジット
  • AWS Business Essentials のオンラインまたは個人トレーニング (600 USD 相当)
  • AWS Technical Essentials のオンラインまたは個人トレーニング (600 USD 相当)
  • セルフペースラボに使用できる 80 コース分のクレジット (80 USD 相当)

PAY.JP

  • 2.59%の手数料で決済を組み込むことが可能(プログラム名は「PAY.JP Seed」)

エンジェル投資家、有安伸宏

念の為に説明しておくと、自身も起業家である有安氏は2007年にコーチ・ユナイテッドを創業。2013年に同社の全株式をクックパッドに売却する。のちに投資家に転身した。2015年に共同設立したTokyo Founders Fundを通してVC投資を行うとともに、個人としてエンジェル投資も行っている。

先週8月25日に上場承認がおりたばかりのマネーフォワードにも創業初期から出資しているし、その他にも決済サービスのAnyPayなど40社を超える企業に出資してきた。

有安氏はTechCrunch Japanの取材に対し、「経営現場にいない投資家が、起業家に対して本質的に貢献できることはそう多くはない。それはエンジェル投資家も同じ。その前提に立って、スタートアップに対して何か実質的で『リアル』なサポートはできないかな、と日々考えているなか、AWSの畑さん(畑浩史氏)からお声がけいただいた」と話す。

AWSとの提携の話が進むなか、サポートの幅を広げたいと考えた有安氏が、PAY.JPを運営するBASEの鶴岡裕太CEOとSmartHRの宮田昇始CEOに話を持ちかけ、これら3社との提携が実現したそうだ。

ジェフ・べソスやピーター・ティールなど、米国のエンジェル投資家がもつ影響力は大きい。でも、個人である有安氏を中心にした新しい取り組みの誕生は、日本でもエンジェル投資家の存在感が大きくなっていること表しているのかもしれない。

BASEの決済サービスがリアルに進出、「PAY ID」アプリで店舗や個人間の支払いが可能に

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

ネットショップ作成サービス「BASE」からスタートし、今では自社でオンライン決済サービス「PAY.JP」までサービスを展開することで、購入から決済までのネット上でのお金の流れをワンストップで作っているBASE。同社がいよいよリアルな決済サービスに進出する。BASEは6月27日、お支払いアプリ「PAY ID」を公開した。本日からサービスを利用できる。

PAY IDは、スマートフォンアプリを通じて、代金の請求および支払いができるサービス。利用にはPAY IDの取得とクレジットカードの登録が必要。

店舗がオンライン上の管理画面で独自のQRコードを発行し、それを印刷しておけば、PAY IDアプリでそのQRコードを読み込むだけで決済が可能になる。また、PAY ID登録ユーザー同士であれば、アプリ上で個人間決済を行うことができる(このあたりの仕組みはAnyPayのpaymo同様、決済であることを証明するために、商品の写真撮影などが必須となる。ちなみにpaymoは商品でなくレシートの撮影を求めている)。

決済手数料は、加盟店や事業者においての支払いの場合、加盟店側は利用中のサービス(BASEもしくはPAY.JP)の決済手数料に準じる。購入者は無料。個人間での支払いの場合、請求側はキャンペーンとして2017年12月末まで無料、支払側は期間を問わず無料となっている。なお支払い限度額は1回あたり3万5000円、月間で10万円となっている。PAY IDアプリのリリースにより、すでにオンライン決済サービスのPAY.JPを導入している事業者や、ネットショップ作成サービスBASEの店舗も、店舗や催事などリアルな場面でもQRコードを用いた対面決済の提供が可能になる。QRコードによる対面決済は先行してOffice Oasis(阪神酒販)、下山松濤軒(つるの玉子本舗)、弁当将軍(ベントー・ドット・ジェーピー)などが導入する。

PAY IDでのQRコード決済を先行導入する店舗

オンライン、オフラインを問わない決済サービスに

「これまでPAY.JPでは、事実上オンラインでの決済だけを提供してきました。だがこれからはオンライン、オフラインを問わずにサービスを提供していきます。また人と人との間の決済についてもやっていくことで、基本的には全ての決済に利用できるようになっていきます。BASEはもともと決済のあり方を変えると言ってきましたが、そういう時代になってきた。タイミング的にもいいと思っています」——BASE代表取締役の鶴岡裕太氏はこう語る。

最近ではLINEがプライベートカンファレンスでLINE PAYを軸にしたウォレット機能の強化を発表し、割り勘アプリからスタートしたAnyPayのpaymoも、7月からQRコード支払いへの対応を発表している。OrigamiのOrigami Payはすでに都内の店舗やタクシーなどでQRコード決済を提供済みだ。中国では「Alipay(支付宝)」や「WeChat Pay(微信支付)」といったQRコード支払いの決済サービスが普及しているが、日本でも同様のサービスが出てきたということだ。

ではQRコード決済サービスのスタンダードになるために重要なことは何なのか? 鶴岡氏は加盟店の開拓だと語る。「BASEはすでに30万のショップを持っており、オフラインショップを持っている人もいます。加盟店開拓についてはまず既存のリソースを使うことができます。現在(プロダクトローンチ前の取材時点を指す)は、一部のテストを除いてショップへの告知は行っていませんが、アンケートを実施したところでは決済の需要は高いです」(鶴岡氏)。

とはいえ、BASEはQRコード決済の普及について楽観視しているわけでもないようだ。「結局は(交通系電子マネーで)ピッと決済する方が、QRコード決済よりも簡単。QRコード決済がより楽になるのはまだ先でしょう」(鶴岡氏)。だがその一方で、手数料などを考慮すると、QRコード決済の強みもあるという。「(交通系電子マネーの)手数料は4〜5%と高い。一方で中国のAlipayなどは0.5%程度と安価。月数十万円の売上で5%といった手数料がかかるというのは加盟店にとって酷な話。最初は電子決済を持っていない人達にアプローチしていく。安価なツールで、最適なソリューションを提供していきます」(鶴岡氏)

鶴岡氏は、PAY ID普及について次のように語った。「決済アプリは、実はApp Storeのファイナンスカテゴリのランキングで上位に出てきません。決済アプリってダウンロードする動機があまりないのです。実はそこが勝負なのかも知れません。BASEを利用してもらえれば、(決済のために)PAY IDのIDが作られます。ECなのでクレジットカードも登録してもらえます。例えばアプリの広告を見て、ダウンロードしても(支払先がなければ)すぐ使える訳ではないので、そういう意味では我々に強みがあると思っています」(鶴岡氏)

ネットショップ作成サービスのBASE、QRコードを使ったオフライン決済サービスを準備中

ネットショップ作成サービス「BASE」やオンライン決済サービス「PAY.JP」を展開するBASE。同社がQRコードを利用した店舗向けのオフライン決済や個人間の決済サービスを準備中だ。近日中にも専用アプリをリリースする予定するとしている。

サービスの対象となるのは、現在BASEでサービスを提供する30万店舗のほか、PAY.JPのアカウントである「PAY ID」を持つユーザー。利用にはPAY IDの取得とクレジットカード登録する必要がある。

QRコード決済を行う場合、事業者があらかじめ管理画面で商品や価格を設定したQRコードを発行しておく。その商品を購入するユーザーは、専用アプリでそのQRコードを読み込めば支払いを行うことができる。PAY IDを持つユーザー同士であれば、個人間での決済も可能。こちらは先行するAnyPayのpaymo同様、資金決済法で定義するところの「個人間送金」ではなく、あくまで「個人間決済」。アプリで支払いする商品の写真を撮影し、その商品の決済を行うというかたちになる。

中国ではAlipayやWeChat Payなどのモバイル決済サービスでQRコードでの決済機能が提供されているが、日本でもこの流れは進んでいるようだ。楽天やLINEがすでにサービスを提供しているほか、スタートアップではOrigamiやAnyPay(発表によると7月リリース予定)などもこの領域に進出している。

EC基盤「BASE」と決済サービス「PAY.JP」運営のBASEが15億円の資金調達、今後は金融領域強化へ

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

最近では金融×IT領域を指す「FinTech」というキーワードを見ない日はないが、そんなFinTech銘柄の大型調達が続いているようだ。昨日もウェルスナビが大型調達を発表していたが、今日はEコマースプラットフォーム「BASE」や決済サービス「PAY.JP」を手がけるBASEの大型調達のニュースが入ってきた。

BASEは10月13日、SBIインベストメントが運用するFinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合などのファンド、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合、サンエイトインベストメント(既存株主)を引受先とした総額15億円の資金調達を実施したことを明らかにした。BASEでは今回調達した資金をもとにBASEおよびPAY.JPの事業拡大のための開発体制とマーケティングの強化を図るとしている。

EコマースポータルのBASEは店舗数約30万件、年間での流通総額は「3桁億円」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)にまで成長した。「メルカリはこれにゼロが1つ多くて(流通総額で数千億円)、楽天はゼロが2つ多い(数兆円)。100倍だったら(挑戦することは)あり得るんじゃないか。もっとBASEを使ってもらえるのではないかと思っている」——鶴岡氏は現状についてこう語る。

同社は2016年1月にメルカリからの資金調達を実施。その後はメルカリ代表取締役の山田進太郎氏や取締役の小泉文明氏などからのメンタリングで組織運営についての考え方が変わったという。

「今までずっと僕がコミュニケーションの真ん中にいたが、今はピラミッド型。良くも悪くもウォッチできないところはあるが、結果として大きいチャレンジができることが分かった。『人がモノを作れる体制』を作らないといけないし、その体制を作れると、今までとはできることが大きく違ってくる。組織はすでに70人近くに成長して、今では元Googleといった人材も入社している。BASE単体でもまだまだ攻めるというメッセージを出していきたい」(鶴岡氏)

マーケティングも強化する。具体的なプランこそ話さなかったが。テレビCMについても「できるできないで言えばできる金額を集めた」(鶴岡氏)としている。また最近ではスマートフォンアプリのECモール機能も強化。さらなるサービス拡大を進めるとしている。

同時に今後より力を入れていくのが決済サービスのPAY.JPだ。PAY.JPで提供するID決済サービス「PAY.ID」はリリース45日で10万IDを突破。現在では20万IDを超えているという。

最近、決済領域のスタートアップの動きが急激に加熱している。連続起業家の木村新司氏が「AnyPay」を立ち上げ、Squareライクなクレジットカード決済からスタートしたコイニーが「Coineyーペイジ」を発表。また楽天傘下となったフリマアプリ「フリル」運営のFablicも決済領域に興味を持っていたスタートトゥデイからのMBOを発表した「STORES.jp」運営のブラケットも決済を強化することを視野に入れている。メタップスの提供する決済サービス「SPIKE」なんかもある。さらには米オンライン決済の雄、Stripeも日本に上陸している。

AnyPayの木村氏は以前TechCrunchの取材で、AnyPayをショッピングモールやフリマといった「マーケット」と結び付けて活性化を狙うと語っていたが、その考えで言えば、BASEはすでに30万店舗のマーケットと20万IDの決済が結びついた状態だ。今後はBASE外のサイトも含めてPAY.IDの導入を進めて、その経済圏を大きくする狙いだ。

「PAY.JPは『決済』だけをやりたいではない。インターネット上の個人を証明するということをやりたい。それと相性いいのが、決済、そして送金や融資といったビジネスだと考えている。インターネットではアカウントだけで人となりを証明しないといけない。今はコマースからスタートして、ペイメントをやっているスタートアップだが、将来は『金融』の会社でありたい」——鶴岡氏はこのように語るが、そんな同氏の構想を元にした新サービスも2017年の早いうちにリリースされる予定だ。

「スタートアップに一番優しい決済を」——手数料率を抑え審査も早い、PAY.JPの新プラン

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BASEは9月6日、オンライン決済サービス「PAY.JP」で、特定のベンチャーキャピタルおよび事業会社の紹介を受けたスタートアップのための優遇制度「PAY.JP Seed」を開始した。同時に、一般事業者向けに月額費用1万円で決済手数料を抑えた新プランの提供も開始する。

月額費用1万円で決済手数料2.59%〜に抑えた新プラン

まずは一般事業者向けの新プラン「PAY.JPプロプラン」を見ていこう。PAY.JPはウェブサービスやネットショップにクレジットカード決済機能を無料で簡単に導入できる開発者向けの決済サービス。反社会的勢力ではないこと、販売されているものが合法であることといった最小限の条件をチェックすることで、利用開始時の審査が最短即日で完了するのが特徴だ。

2015年9月のサービス開始から約1年、PAY.JPでは初期費用・月額費用無料、決済手数料はVISA、MasterCardが3.0%、JCB、AMEX、Diners Club、Discover Cardが3.6%の単一プランのみを提供してきた。

今回追加された新プランでは決済回数の多い事業者向けに、初期費用は無料のまま、月額費用1万円で、決済手数料をVISA、MasterCardで2.59%、JCB、AMEX、Diners Club、Discover Cardで3.3%に抑える。また、振込サイクルを月2回と早め、資金繰りもサポートする。

プロプランの追加について、BASE代表取締役の鶴岡裕太氏は「中長期的に見て、料率を上げて利益を確保することよりも、サービス利用のボリュームを増やし、ID決済の『PAY ID』やECサイトのプラットフォーム『BASE』も合わせた市場を大きくしていくことが重要と考えている。短期的なもうけよりスタートアップの支援を優先するのも同じ考えからだ」とする。

月額無料で手数料率も抑えたスタートアップ優遇制度、PAY.JP Seed

では、そのスタートアップ支援制度はどのような内容だろうか。PAY.JP Seedは、金融機関との交渉の手間や開発のための人員が割けず、また審査の壁の高さから決済サービス導入をためらうスタートアップ企業のために提供される。通常は与信や審査に時間がかかりがちな新しいビジネスモデルでも、BASEが提携するベンチャーキャピタルや事業会社の紹介があれば、同サービスを申し込める。9月6日現在の提携企業は、ANRI、East Ventures、Global Brain、さくらインターネット、Skyland Ventures、TLM、メルカリの各社となっている。

審査を簡便化することについて鶴岡氏は、「スタートアップの事業リスクは、トランザクションを見なければ分からない。最初の審査に時間をかけてその時点だけで判断して終わり、ではなく、我々は取引を常に確認し、実績を見て判断していく」とも話している。

月額費用は申込日から1年間は無料で、月額1万円のPAY.JPプロプランと同じ決済手数料でPAY.JPが利用可能。入金サイクルも月2回で、資金繰り面でもスタートアップを支援。導入時にはSlackによる技術サポートも行われる。

「日本では起業そのものよりも決済手段の導入フェイズ、特に審査期間の長さ・手数料率の高さ・技術サポートが得られないという3つの面でのハードルが高い。PAY.JP Seedで“スタートアップに一番優しいオンライン決済”を提供することで、最初に使ってもらえる決済として選択され、その後も利用し続けられる決済サービスでありたい」(鶴岡氏)。

現金、クレジットカードに限らない“新しいお金”の姿も模索

つい先日発表されたAnyPayの正式ローンチコイニーの新サービス提供とWeChat対応など、決済関連のサービスが盛り上がりを見せる中、BASEでは、スタートアップから中規模以上のマーチャントまで広くターゲットとして視野に入れているという。

6月にPAY IDを提供開始した際にも「質量を持った『現金』をリプレイスしうるプラットフォームを拡大する」と話していた鶴岡氏。今回の取材でも改めて、現金をなくせるプラットフォームに意欲を見せた上で「クレジットカードだけではない。オフラインも対象にした“新しいお金”のあり方を模索している。期待していてほしい」と話した。

BASE、オンライン決済サービス「PAY.JP」上でID決済の「PAY ID」を開始

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BASEは6月27日、自社で展開するオンライン決済サービス「PAY.JP」にて、ID決済の「PAY ID」の提供を開始した。

ID決済とは、あらかじめID情報と紐付くクレジットカード情報を登録しておけば、IDだけでスムーズにオンライン決済が可能なサービス。国内ではPayPalやLINE Pay、Yahoo!ウォレットや楽天ID決済、Amazonログイン&ペイメントなどの他、モバイルキャリア各社が同様のサービスを提供している。PAY IDでは複数のクレジットカードを登録可能で、目的によってカードを使い分けることができる。

BASEでは、ECサイトプラットフォームの「BASE」を展開。現在では個人や法人、行政機関などが合計20万店舗のECサイトを開設しているが、ここにPAY ID決済を順次導入する。ローンチしたばかりのID決済サービスではあるが、最初から20万店舗の加盟店舗持つことになる。なお、BASEのスマホアプリ(iOSおよびAndroid)でもPAY IDによる決済が可能だ。

「BASEで利用できるID決済だが、『BASE PAY』というブランドではなく、『PAY.JP』という決済サービスのブランドで展開することにはこだわった」——BASE代表取締役の鶴岡裕太氏はこう語る。

例えば大手のプラットフォーマーがID決済を提供する場合、そこで狙うのはユーザーの決済簡略化だけではない。IDと結びついた購買データを取得することで、ユーザーに最適な購買施策を行うことも重要になるのだ。だがPAY IDで狙うのは、あくまで質量を持った「現金」をリプレイスしうるプラットフォームを拡大するということなのだそうだ。PAY.JPはBASEが2015年に買収したサービスだが、その際にも鶴岡氏は「個人の与信をもとに、価値と価値の交換をなめらかにする」と話していた。

 

BASEがオンライン決済サービス「PAY.JP」を開始、EC事業者をメインターゲットに

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

ネットショップ開設サービス「BASE」を提供するBASE。同社は今年の2月、オンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを買収し、自社で決済事業を行う発表していた。当初今春にもリリース予定としていたそのサービスがいよいよスタートした。同社は9月7日、決済サービス「PAY.JP」を公開した。

PAY.JPは、ウェブサイトやネットショップがクレジットカード決済機能を無料で簡単に導入できる開発者向けのサービス。審査の後、サイト上にコードを加えることで導入が可能。

世界でサービスを展開する米PayPalや今秋にも日本で正式にサービスを開始する予定のStripeのほかGMOペイメントゲートウェイをはじめとする国内の大手事業者、さらにはメタップスのSpikeなどがいる領域だが、PAY.JPのウリはサービスの使いやすさ、審査の速さ、導入の手軽さなどだという。初期費用および月額手数料は無料。決済手数料はVISAおよびMasterCardが3.0%、AMEX、JCB、Diners Club、Discover Cardは3.6%。2016年5月末までにサービスを導入した個人および法人を対象にした決済手数料無料キャンペーンも実施する。2月の発表以降、ウェブサービスを中心にしてすでに2000店舗の申し込みがあった。

PAY.JPのトップページ

PAY.JPのトップページ

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏は、立ち上げたときから一貫してBASEについて「(ITリテラシーが低いという意味で)お母さんでも使えるサービス」をコンセプトにしていると語っていた。BASEのショップ開設数は2年半で17万店舗。現在も毎月1万件ペースで店舗が増えているという。この成長はそれはそれですごいと思うが、決済は「BASEというプラットフォームの規模に適さない(より大きな)ウェブサービスをやっていく人に向けて提供するサービス」なのだそう。「BASEはネットもままならない人に『商売』のサービスを提供するというものだが、PAYではよりモノを簡単に買えるようにする。ずっとやりたかったサービス」(鶴岡氏)

鶴岡氏いわく、Stripeは自らもプログラムに参加していたY Combinator発のスタートアップが手がけるサービスをはじめとして、ウェブサービスでの決済で成長してきた。しかし日本ではスタートアップが手がけるウェブサービスの課金というのは米国ほど大きいとも言えない。さらには既存の決済事業者も居る状況。そういう状況もあって、PAY.JPでは当面はウェブサービスよりはECの事業者をターゲットにするという。「大手事業者のクライアントを(PAY.JPに)ひっくり返していくのでなく、例えば5年後に『ZOZOTOWN』のように成長しているような新興ECサイトへの導入をいかにできるか。料率だけでもPAY.JPはいいと思うが、料率だけならば(競合と)たたき合おうと思えばたたき合える。どうユーザーをサポートしていくかが重要」(鶴岡氏)

PAY.JPの事業は2〜3年後の黒字化を目指す。同社はBASE事業の売上について詳細を公開していないが、「BASEも売上を意識するフェーズになってきた。PAY.JPは当面コストがかかるので、それを支えるサービスにしたい」(鶴岡氏)としている。

「5円チョコが売れないECを変えたい」BASEとWebPayの創業者が語る”決済の未来”

スタートアップ業界を取り巻く旬のキーワードを読み解くイベント「TechCrunch School」。3月24日には、オンラインでの売買に欠かせない「決済」をテーマに、先日LINEの傘下に入った、クレジットカード決済機能を組み込める開発者向けサービス「WebPay」創業者の久保渓氏と、近日中に新たな決済サービス「PAY.JP」の提供を表明している、BASE創業者の鶴岡裕太氏が登場した。

2人をリクルートホールディングスが東京・渋谷に開設した会員制スペース「TECH LAB PAAK」に招き、TechCrunch Japanの増田覚が司会を務め、オンラインにおける決済という処理が抱える課題について語ってもらった。

LINEの買収で何が変わる?

久保氏は、API形式でクレジットカード決済機能を提供し、開発者がサイトやアプリなどに簡単に決済機能を組み込めるようにするサービス、WebPayを2013年5月に立ち上げ、提供してきた。

同社は2015年2月、モバイル送金・決済サービスを提供する「LINE Pay」を通じてLINEに買収されることを発表した。スマートフォンでの購入の広がりという大きなうねりにチャンスを見出していることが、買収に同意した大きな理由だったという。

現に、久保氏が会場で「スマホでものを買ったことのない人は?」と尋ねたところ、ほぼゼロという結果だった。「僕自身もそうだけれど、机に座っていて目の前にPCがあるのに、なぜかスマホでものを買ったりする。これって大きな習慣の変化だと思う」(久保氏)。検索などに時間のかかるPCに比べ、スマホは導線が短く、楽で、リアルタイムな購買体験を提供できる可能性がある。そこに、LINEと組む意味があると考えているそうだ。

「WebPayとLINE Payが組んで何が変わるの?」という率直な質問に対し、久保氏は「世界が変わります」と答えた。

「これまで、ものを買う行為って、土日など時間のあるときにやっていた。それが、スマホの決済が変わることで、空き時間、ほんの30秒あれば買うといったことが可能になる。決済という行為が、ストレスなく、リアルタイムで一瞬で終わるような世界を目指しています。安全で、ユーザー自身が意識して渡すと同意したとき以外は個人情報を渡さないという、エンドユーザーにとって理想的な世界の中で、モノやサービスを享受する体験ができる世界というのが、LINE PAYの提供する価値」(久保氏)。

これまで通り、開発者向けのWebPayも継続していく。ただ、WebPayがどちらかというとものやサービスを提供するマーチャント、サービス事業者向けのサービスだったのに対し、LINE Payではコンシューマーの視点に重点を置くことになる。

「決済がインフラだけで満足してもらう時代って、2014年で終わったと思っています。使いやすさや便利さも含め、使ってくれているサービス事業者の売り上げにどれだけ貢献できるかが決済事業者にも求められる時代です。マーチャントを向いて商売するだけでなく、一般のコンシューマーも見てサービスを提供していかなくてはならない。購買行動を全て設計するのが決済事業者」と久保氏。LINEが抱えるユーザーベースを基に、その人たちが買いたいものを最も買いやすく、心地よい導線を設計して、欲しいときにすぐ買える決済サービスを提供して、売り上げに貢献していきたいという。

ちなみにLINEによる買収の別の効果が、「門前払いがなくなりました」(久保氏)ということ。ある会社と新たにパートナーとなりたい、話をしたい、という時に、相手側も積極的に高いモチベーションで関わってくれるようになったそうだ。

「決済はうまみのないビジネス」

一方、「PAY.JP」の名称で決済ビジネスへの参入を表明した鶴岡氏だが、意外にも「決済って、あまりうまみのないビジネス。ビジネス的なうまみという観点なら、もっと他にいいビジネスがある」と述べる。

この点には久保氏も賛同する。しっかり、堅牢にやらなければいけないビジネスの性質上、導入までのリードタイムが3カ月程度かかることもざらにあり、「全部、3〜4カ月遅れで数字が出てくる」(同氏)。従って、いわゆるWebのスタートアップの感覚からすれば、決済ビジネスのスピード感は非常にゆっくりなのだそうだ。

「でも、決済業界に対する明確な課題意識があって、その課題を解決するために必要なことをやりたいんだ、という形であれば、カード会社も協力してくれるし、耐えられると思う」(鶴岡氏)。久保氏も、「N年コミットするつもりでやるのかどうかがすごく重要。僕はWebPayをやっていて、資本主義社会の根幹を自分が担えるかもしれない、というくらい、社会に触れ合っている感覚がある。自分たちが資本主義社会のインフラ、プラットフォームとして、社会を一歩前進させるところにコミットしているんだという信念があって、N年がんばろう、というのがあれば、すごくやりがいがある」と述べる。

5円チョコが売れないECサイト

鶴岡氏が抱いているその課題というのは、「今の決済が、過去のオフラインでの決済のプロセス、形式の影響をあまりに受け過ぎていること」だ。

例えば、インターネット上で1つの決済を処理しようとすると、間に非常に多くのプレイヤーが挟まることになる。「僕、これってすっごい無駄だなと思うんですよ。既に、Bitcoinのように二者間で直接お金をやり取りできる手段もあるし、自分の与信枠を与えるというやり取りだってできるのに、そうなっていない。そうした効率の良くない部分をPAY.JPで変えていきたいと思っています」(鶴岡氏)。

究極的には、オフラインの世界と同じような価値の交換スキームをオンラインでも実現するのが同社のミッションだという。

「オフラインだと、モノを売る人と買う人の2者だけで価値の交換が完結するわけですよ。でもひとたびインターネットが間に入るとそうはいかない。今、ECサイトで5円チョコって売れないんですよね。手数料がそれ以上にかかるので。だから、負担なく5円チョコを売れるECサイトができるように……つまり、手数料を誰か事業者が代わりに負担して『無料』にするのではなく、本質的に手数料のないスキームというのを構築できないかと考えています」(鶴岡氏)。

久保氏も、「決済のシステムでは、1980年代の仕組み、下手をすると1970年代後半の仕組みが動いている。そこでは、1つのトランザクションを処理するために原価として5円、10円という手数料がかかってしまい、それ以下にはできないんですよね。『オフラインを引きずっている』ってそういう意味です」と述べた。

「左手にクレカ、右手にスマホなEC体験は20年後に爆笑される」

1990年代、インターネットが広がりECサイトが生まれ始めた時期に、そうした過去のシステムとWebとを無理矢理つなげた仕組みによって、今の決済の仕組みは何とか保っている。とはいえそろそろひずみが来ており、トランザクションの仕組みを2010年代の今の技術に置き換えていくことができれば、原価を引き下げ、コストのかからない決済ができるのではないかと期待しているという。

鶴岡氏は、「今は、左手にクレジットカードを持ち、右手にスマホ持って番号を打ち込んで決済をしていますけど、20年後の人がこの姿を見たら爆笑すると思うんです。いろいろな方法で個人を特定できるこの時代において、オンラインにおいてもクレジットカードというものを使うのがなんかすごく効率が良くないなと思っていて、そういうところで『与信枠』というテーマを追求したいと思っています」と述べた。

これからの決済手段、「一回は多様化」?

決済をめぐるプレイヤーは多様化している。方やApplePayがあり、日本ではSuicaという存在がある他、ID決済の可能性もあるなど混沌とした状況だ。今後、決済手段はますます多様化するのだろうか?

この問いに対し久保氏は「一回は多様化すると思います。WebでさまざまなAPI標準がうわーっと出てきてREST APIに収束したのと同じで、一回は決済も多様化して、どこかでマジョリティが使っている良いものに集約される流れになるのではないか」と述べた。

一方鶴岡氏は、「決済という仕組みの中で、最強の立場にあるのがビザとマスターで、そこが変わらなければ言うほど大きく変わらないと思います。その意味で、これからの10年、20年で、あの立場に立つもの、入れ替わるものが出てくるかどうかが面白いポイントだと思っています」と言う。

取り残された領域にテクノロジの力を、「Airレジ」の取り組み

セッションの後半には、リクルートライフスタイルの執行役員、大宮英紀氏が登場し、POSレジの機能を提供する無料アプリ「Airレジ」について紹介した。2013年11月にリリースされてから、Airレジの導入件数は当初の予定を上回るペースで伸び、今や10万アカウントを突破。クラウド関連サービスとも連携を広げている。

Airレジというアプリをリリースした目的について、大宮氏は「テクノロジや環境が変わっていく中で、取り残されている領域がある、それを変えたいと思って数人で始めた」と振り返る。Airレジというプロダクトを通じて、それと意識することなく、テクノロジをうまく活用できるようにしたかったのだそうだ。

飲食店や小売店鋪、サービス業などの場合、店舗を開くには相応のイニシャルコストが必要になる。同じ金額をPOSレジに投じる代わりに、Airレジでまかない、マーケティングなどほかの部分に力を入れることで、中小企業の成長を後押ししたいという。


ネットショップ開設サービスのBASEが決済に参入–「PAY.JP」を今春提供

ウェブの知識をあまり持たないユーザーでも、メールアドレスを持っていればネットショップを無料で開設できるサービス「BASE」。同サービスを提供するBASEが、オンライン決済事業を今春から提供する。同社はすでにオンライン決済サービス「Pureca」を開発するピュレカを2014年12月に買収しており、「PAY.JP」の名称で今春にもサービスを開始する。

今夏にはID決済も提供

PAY.JPでは当初、米国のStripe、国内のYahoo!ウォレットFastPayWebPayなどと同様にウェブサイトにコードを埋め込むことで、クレジットカード決済を導入できる決済サービスを提供する。なお、BASEの決済についても今春PAY.JPに変更される予定。PAY.JPの決済手数料などは現時点では公開されていないが、「どこと比較しても分かりやすいもの、選ばれるものにする」(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)ということ。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏

PAY.JPでは、まずはEC事業者向けにカード決済サービスを提供するが、今夏をめどにEC利用者向けのID決済サービスも提供していくという。PayPalなどを利用していると想像できると思うが、PAY.JPの決済サービスを導入するしているECサイト上では、PAY.JPにログインするだけで、(あらかじめ登録しておいたカード番号や住所を使って)決済が可能になるというものだ。

実はBASEの競合サービスであるブラケットの「STORES.jp」は、2014年にIDサービスを導入している。このIDサービスを利用する意味はいくつかあるのだけれども、その1つにSTORES.jp上で商品購入をする際、都度クレジットカード番号や住所を入力することなく決済できる、ということがある。

PAY.JPも同様の機能を提供することになるが、その機能はBASEで作ったショップに閉じたものではなく、PAY.JPの決済サービスを導入するすべてのECサイトに対応するものになる。ただしBASE内のショップに限定して、早期にサービスを導入する予定だ。「BASEは簡単にショップを作ることができるという世界を作ってきたが、PAY.JPでは簡単にモノを買うことができる世界を作っていきたい」(鶴岡氏)

BASEが買収したピュレカは2012年7月の創業。代表取締役の高野謙一氏は決済関連のスタートアップに携わったのちに起業。Purecaは国際セキュリティ基準(PCIDSS)に準拠した決済サービスで、まもなく正式リリースだったそうだが、もともと面識があった鶴岡氏の率いるBASEに合流してサービスを提供するに至ったそうだ。

BASEは「単なるショッピングカート」を目指していない

創業期からこれまで、鶴岡氏は一貫して「単なるショッピングカートを目指していない。決済までをやっていきたい」ということを取材の際に話していた。今回その決済サービスを提供することになったが、今後はどんな目標があるのだろうか。鶴岡氏は「個人の与信情報をためて、個人をスコアリングすることで、価値と価値の交換をなめらかにする。オンラインで行う経済活動のプラットフォームになりたい」と大きな構想を掲げる。

とはいえ、決済はスタートアップにとって非常にハードルの高い事業だと聞く。鶴岡氏も「既存事業者が強いのか、スタートアップの信頼性がまだまだないのか…」とその理由を分析するが、僕も実際に先行する決済関連スタートアップが苦戦している話はよく聞くし、鶴岡氏自身も「なぜ決済をやるのか」と問われることが多いのだそうだ。

だが鶴岡氏はこう語る。「決済は難しい。それは理解しているが、『こういう世界になるよね』と描けるところに挑戦するのが一番楽しい。BASEもサービス開始時点では、決済手数料も含めてまったく利益はなかった。でもここまで来れた。PAY.JPもいろいろ言われるが、まずはやってみないと分かからない。BASEの事業がある程度伸びることが見えたのなら、チャレンジしないと後悔する」

BASEの流通総額は年間数十億円後半に

なおBASEは現在年間の流通総額が数十億円後半、数カ月以内には100億円も見込める数字になる状況だという。店舗数は15万店舗で月間で1万店舗ほど新規ショップも増加している、現在カードの決済手数料のみをユーザーから取っているが、「リッチな機能を提供して課金するなど、収益化しようと思えばできるフェーズにまできている」(鶴岡氏)。