Wunderlist創業者のスタートアップがPowerPointに挑むために32億円を調達

ソフトウェア産業はもはや幼年期ではない、そしてそのことが私たちを技術的に興味深い瞬間にも引き合わせてくれるのだ。広く普及した最大級のレガシーアプリの中には、小規模で動きの速いスタートアップたちの挑戦を受け続けているものがある。スタートアップたちは新しいアプリケーションを開発して、巨人たちを打ち負かすことを夢見ている。その最新の動きとして、ベルリンのあるスタートアップが、米国時間10月1日に新しいプレゼンテーションソフトPitchのクローズドベータ開始を発表した。

これは特にMicrosoft(マイクロソフト)のPowerPointに対して挑戦しようとするものだ。なお、スタートアップの創業者たちはかつてMicrosoftに自分の会社を売却した経験を持つ者たちである。

同時に、Pitchは追加の3000万ドル(約32億円)を調達したことも発表した。このファンディングはThrive Capitalによって主導され、Instagramの共同創業者たちであるKevin Systrom(ケビン・シストローム)氏とMike Krieger(マイク・クリーガー)氏、そしてSuperhumanの創業者であるRahul Vohra(ラーフル・ヴォーラ)氏も参加している。

この資金は1年前に行われた、Index Ventures、BlueYard、Slack、その他ソフトウェアディスラプションに精通した他の多くのエンジェルたち(ZoomのCEO、DataDogのCEO、 Elasticの共同創業者が含まれる)が参加したラウンドで、Pitchが調達した1900万ドル(約20億円)にさらに追加されることになる。

Pitchは、Wunderlistを開発した人たちと同じメンバーによって創業された。Wunderlistは人気のToDoアプリで(多くの今回と同じ投資家たちから支援されていた)、Microsoftが2015年に買収し、その後独自のサービスTo Doの開発に伴ってその終了が発表されたばかりだ。昨年10月以来、Pitchはずっと密かにそのサービスの最初のバージョンを開発していた。創業者には、CEOのChristian Reber(クリスチャン・レーバー)氏のほかに、Vanessa Stock(ヴァネッサ・ストック)氏、Marvin Labod(マービン・ラボッド)氏、Adam Renklint(アダム・レンクリント)氏、Charlette Prevot(シャーレット・プレボット)氏、Jan Martin(ヤン・マーティン)氏、Eric Labod(エリック・ラボド)氏、そしてMisha Karpenko(ミシャ・カルペンコ)氏が名を連ねている。

現在行われている招待者限定フェーズは、開発のゆっくりとした進歩の1つだ。レーバー氏がインタビューで述べたようにベータ版の目的は、使用方法の情報とフィードバックをベータテスターから集めて、将来のフルバージョンに備えてアプリケーションを洗練する方法を見出すことだ。

言い換えれば、すぐにテストできる製品は実際にはまだないことを意味している。私が尋ねると、レーバー氏は試せるようになるには少なくともあと数週間は必要だと語った。とはいえ開発は着実に進行しており、十分な量な資金を調達することもできた。

Pitchの開発の背後にある主な動機は、長い間存在してきたゆえに、非常に強固に固まったプロセスを再検討しようというものだ。その長く使われてきたプロセスはそれほどうまくは機能しておらず、テクノロジーのすべての進化を念頭に置いて再検討を受けてもいいものだ。

闘いの相手の第一候補はPowerPointだ。その登場はなんと1987年に遡る。10億以上インストールされ、5億人以上のユーザーがおり、広大なプレゼンテーションツールの世界で最大かつ強大な存在となっているが、おそらくその賞味期限を多少過ぎてもいるツールだ。

「私たちはピッチ(発表)そのものを製品として構築していくというアイデアが気に入っていました」と彼は言う。「ここ数年、Figmaのような企業のことをみてもわかるように、デザインに多くのイノベーションが起きてきました。それが私たちに1つの疑問を投げかけたののです。どうしてプレゼンテーションツールは停滞したままなのかと。PowerPointの改良版を開発するというアイデアも気に入りましたが、私のビジネス脳がそれは酷いアイデアだと叫びました。なぜ、KeynoteやPowerPointに似た製品で市場に参入する必要があるのでしょう?」。

友人たちからフィードバックを得るためにチームがプロトタイプをいじり始めたときに、その質問への答えを得ることになった。レーバー氏によればそのことによって、チームは本質的に停滞しているフォーマットを動的なものに変えるための、ビジネスチャンスを理解したのだという。Pitchが開発フェーズからクローズドベータに移行する前に、テストとフィードバックを拡張し続けている大きな理由は、ユーザーとの対話を通じて前向きな進展が得られているからだろうと私は想像している。

レーバー氏によれば、Pitchを開発する決断は、彼の投資家としての経験からも裏打ちされているのだという。これまでにも彼は、既に確立されたソフトウェアが支配的だったサービスの再構築を狙う、多くのアプリケーションに焦点を当ててきた。彼の投資ポートフォリオには、仮想ワークスペースを構築するNotionが含まれている。その創業者もまたPitchへの投資を行っている。

レーバー氏の作業時間を占めている他の案件のことを考えると、Pitchの立ち上げの中には学ぶべき興味深い教訓がある。実は彼は現在Wunderlistを買い戻そうと多忙なのだ。Microsoftによる終了の発表にもかかわらず、このツールはいまでも動作しているし、数百万人のアクティブユーザーを抱えているのである。

レーバー氏は、かつてWunderlistを売却したことについては後悔はしていないと語る。当時も会社は成長していたが、最終的には自分たちの力では構築できない、より大きなプラットフォームが必要だと感じていた。そしてEvernote(これはレーバー氏と彼のチームにとって大いなる刺激だった)の運命と没落を見つめるなかで、彼はMicrosoftへの売却が正しい選択だったということを知っていたのだ。

しかし、そうだとしても、現在の大きな所有者のもとで、製品がだんだん衰えて無視されて行くのを見るのは辛かったのだろう。

「Microsoftのリーダーシップチームに何度もメールを送り、ツールを買い戻すことができるかどうかを尋ねました。なぜならMicrosoftがユーザーを混乱させることなく、それをシャットダウンするのに苦労していることがわかったからです」と彼は言う。そこで彼はMicrosoftに対して「私に買い戻させてほしい。もしお望みならチームとその他すべてをそのまま維持してもいいですよ。皆が幸せになれます」という提案を行ったのだ。しかし、それは先に進まず簡単でもなかった。1年後、彼はTwitter上で改めてピッチを行った。そして「彼らは音信不通になりました」と彼は語った。

Wunderlistは、しっかり動作するプラットフォームなしにはアプリを構築する方法を考え出すことが難しい時代に出現したものだったが、この原則はもはやそのような単純なものではなくなったように思える。これがレーバー氏がWunderlistを買い戻して運用できると考えた理由だ。

「新しいソフトウェア会社にとって最も難しい問題は、特にSlackの例を考えるとプラットフォームの問題なのです」とレーバー氏は言う。「MicrosoftはTeamsを構築してWindowsにプリインストールして、少なくともユーザーに対して、試してみるようにと圧力をかけています。私に言わせれば、それは極めて不公平な彼らの利点であり、スタートアップならば継続的に闘って行かなければならないものなのです」。

「しかし同時に、新しいものを開発しているするこれらすべての企業は、互いに深く結び付くものを開発していると思います。Slack、Zoom、そしてAirtableはすべて緊密に統合されています。つまり、製品のスイート一式を用意しなくても、本当に大きな企業を作ることができるのです」。確かに、これらのように、Pitchのアイデアは、インストールすることを選べば使える他の軽いアプリケーションとともに、ウェブベースのバージョンを提供するというものだ。Pitchで作成されたドキュメントを読んだり操作したりするためにはソフトウェアライセンスは必要ない。その代わり自身でドキュメントを作成したい者に対しては最初から有料プランを提供するというのが、彼らのビジネスモデルのコアだ。

すなわち、収益の確保に対して、Wunderlistが十分に早い段階では焦点を合わせていなかったことが1つの反省点だったとレーバー氏は述べた。初期のEvernoteやその他の多くのアプリケーションのように、その主目的は注目を集めることだったからだ。これもまた学んだ教訓である)

長期的にはスタートアップは、独立性を維持するか、自身がプラットフォームとなるか、それとも別のプラットフォームに乗るかという、どの方向に進むかについての選択を行う必要がある。しかし今のところ、それらはPitchが行わなければならない選択ではない。

「私たちは、大きな市場の可能性を秘めた急成長企業に投資しています。Pitchは、変化の機が熟している市場で、優れた製品を開発できる強力な立場にあります。Pitchへの期待は、プレビューに対して期待を寄せた何千社もの企業の存在によって、既に明らかなのです」とThrive CapitalのJoshua Kusher(ジョシュア・クーシャー)氏は声明の中で述べている。「私たちは製品のビジョンだけでなく、そのチームも含めた両者によって、Pitchを信じています。Wunderlistへの投資を通じて、私たちは創業者たちと強力な関係を築きました。Pitchで再び彼らと協力できることを楽しみにしています」。

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(翻訳:sako)

マイクロソフトはパワポ用のAIプレゼンコーチを導入開始

画像クレジット:NBC/Contributor/Getty Images

数カ月前、Microsoft(マイクロソフト)は、PowerPoint(パワーポイント)で、AIを活用したプレゼンテーションコーチがもうすぐ使えるようになると発表した。フィードバックをその場で返すことで、重要なプレゼンテーションの準備を手助けする機能を備えたものだ。米国時間の9月25日、同社はまずウェブ版のPowerPointから、この新ツールの導入を始めた

公衆の面前で話すのは本当はかなりの練習を要するスキルだが、プレゼンをリハーサルする人はほとんどいない。自分のプレゼンの出来栄えがすでに素晴らしいから(本当はそうでもないのに)練習の必要はないと考える人もいれば、リハーサルするだけで緊張してしまうからしないという人もいるだろう。それでも、プレゼンの練習が有効であることは間違いない。

PowerPointの新しいプレゼンテーションコーチの目的は、練習のわずらわしさを取り除くこと。このツールの現在のバージョンは、3つの点に着目する。ペース、スライドの読み方、単語の選択だ。ペースについては自明だろう。プレゼンの話の早さ、あるいは遅さをチェックする。「スライドの読み方」のチェックは、スライドにある文章を単語ごとに区切って読んだりしていないかどうか確認する。そのような退屈なプレゼンを、ずっと見ていたいと思う人はいない。「単語の選択」ツールは、(英語版の場合)「um(えーと)」「ah(おっ)」「actually(実は)」あるいは「basically(基本的に)」といった言葉の使用頻度を検出するだけでなく、「you guys(男性諸君)」や「best man for the job(この仕事に最適な男)」のような文化的に無神経な言葉の使い方を指摘してくれる。

このプレゼンコーチ機能以外にも、Office 365には、今回いくつかの新機能が加わっている。例えば、PowerPointでのインク機能のサポートの向上がある。スライドにインクで書き込む様子をプレゼン時に再生できるもので、一種のアニメーション効果を埋め込むことができる。この機能は、今のところWindows版とMac版で利用可能となっている。ウェブ版Officeでのインクのサポート強化も、もうすぐ提供される予定だ。また、Microsoft Whiteboard(ホワイトボード)もアップデートされ、新たなテンプレートが追加された。また、Office 365のサブスクリプションを利用している教師は、新しく10種類のレッスンプランを利用できるようになった。その中にはレッスンで活用できる23種のカスタムな3Dモデルも含まれている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

PowerPointのAIツールは発表のやり方をコーチしてくれる

好む、好まざるにかかわらず、Microsoft(マイクロソフト) のPowerPointは企業の世界ではいたるところに使われているツールだ。ここ数年、マイクロソフトは同社のAI資源を投入し、PowerPointで見栄えのいいスライドを作るための機能を提供してきた。米国時間6月18日に同社は、その機能をさらに強化すべく、いくつかの新機能を公開する。最高にデザインされたプレゼンテーションであっても、発表者が話し下手では強いインパクトは与えられるない。そのためのスキルを身につけるためには多くの練習が必要だが、本日発表された新しいAiツール「Presenter Coach for PowerPoint」は、ユーザーがコンピューター相手にプレゼンテーションの練習をすると、フィードバックを返してくれる。

マイクロソフトのAIはユーザーのジョークがウケるかどうかはもちろん教えてくれないが、たとえば発表のペースについてリアルタイムにフィードバックを返したり、差別のない表現を使っていないか、「えー」「あー」などの言葉をどれだけ使っているかなどを教えたりする。さらにこのツールは、スライドを読むだけ、というプレゼンテーションにおける最大の罪を犯さないように監視する。

リハーサルセッションが終わると、PowerPointは発表パフォーマンスの概要を示し、スキルを改善するためにのポイントを教えてくれる。

本機能はまずウェブ版のPowerPointに、その後Office 365のデスクトップ版に導入される。

ビジュアルデザインに関しては、ユーザーがプレゼンテーションを作成する際に写真、スタイル、色などを推奨するデザイナー・テーマ・アイデアなどの新機能が追加された。この機能はWindows、Mac、およびウェブのOffice 365加入者が今すぐ利用できる。

大企業に勤めている人は、会社やブランドで決められたスタイルを使わなくてはならないことが多いだろう。「Designer for branded」テンプレートを使ってブランドのガイドラインやロゴを定義しておけば、PowerPointが新しいデザインを推奨するときにデザインアイデアがそれを考慮に入れる。この機能はWindows 10およびMacのOffice 365 Iniders加入者向けに本日から提供される。

マイクロソフトはバニティーメトリクス(虚栄の評価指標)の発表も忘れてはいない。同社はユーザーがPowerPointデザイナー機能を使って、2016年の提供開始以来10億枚のスライドを作成して保持していると発表した(作ってもさまざまな理由で捨てられたものもたくさんあったに違いない)。願わくばこれが、ここ数年世界からまずいプレゼンテーションが減ったという意味であってほしいものだが、今日コーチング機能が加わったことで、これからはまずいプレゼンテーションを「聞く」ことも減るのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Office 2019が出たけど今やMicrosoft Offeceの最良の機能はOffice 365にある

Microsoftが今週、WindowsとmacOS用のOffice 2019をリリースした。それは、この生産性スイートの、サブスクリプション型(有料会費制)ではないタイプの、定例の最新アップデートだ。言い換えるとそれは、あなたが10年前にOffice Depotで買ったシュリンクラップ(収縮包装)のOfficeと同じ種類のOfficeだ。でも今やそれは、Microsoftがあなたに買ってほしいと思っているOfficeではない。あなた自身も、買いたくないかもしれない。なぜなら現時点では、Office 2019は一種の限定バージョンであり、それは、サブスクリプション(有料会員制)のOffice 365にあるおもしろい最新機能を欠いているからだ。

Microsoftの企業向けOfficeとWindows担当VP Jared Spataroはこう語る: “私たちはOfficeの全フレーバーの中で、Office 365の…とくに商用ユーザーのためのOffice 365 ProPlusの…位置づけにたいへん苦労してきた。それを、名前の中に年数のあるOfficeとはまったく違うものにしたかった。Office 2019には、これまでのOffice 365にあった機能がすべてある。だからクラウドバージョンのOffice 365には、インターネットに接続しているからこそ得られる新しい命がある、と言いたい”。

Spataroによると、Microsoftはユーザーに、Office 365はクラウドに接続されているから生産性が高く、セキュリティも優れていることを知ってほしい、と思っている。彼によると、TCO(total cost of ownership, 総保有コスト)も、自分のパソコンにインストールするバージョンより安いそうだ。

Office 2016のころには、それらの一般市販バージョンは、たえずアップデートされているOffice 365のスナップショット、言い換えればコピーだった。365は毎月アップデートされ、新しい機能も増えていた。しかし今回は初めて、オンプレミスバージョンのOffice、すなわちOffice 2019には、Office 365の機能の多くが欠けている。つまり、機械学習による人工知能機能など、もっともおもしろい機能は、Office 365にあってOffice 2019にはない。

Spataro曰く: “混乱するユーザーもいると思うが、名前に年数がついていることは、それが‘現時点でベストバージョンである’という意味ではない、ということを時間をかけて分かってもらう努力をしなければならない”。

しかし、機能の差は当然でもある。Office 365だけにある新しい機能は、その多くが、クラウドだからこそ得られる機能だからだ。たとえばアプリケーションの中から行なう検索も、機械学習のモデルを動かしてそこからデータを取り出すことも、クラウド、すなわちインターネットへの接続がなければできない。そしてそれを有料化する最良の方法は、サブスクリプション(subscription, 有料会員制)しかない。

Microsoftのやり方は、たとえばAdobeのサブスクリプションサービスCreative Cloudなどと同じだ。こちらも従来の主要アプリケーションをシュリンクラップからクラウドへ移して、サブスクリプションで課金している。Adobeのこのやり方は大成功しているが、Microsoftは同じことをOffice 365やMicrosoft 365でやろうとしている。

[AIでOfficeが賢くなった…Microsoft Ignite 2018カンファレンス開幕]

more Microsoft Ignite 2018 coverage

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MicrosoftのPresentation Translatorはプレゼンの翻訳をリアルタイムに行なう

Microsoftが今週のBuild Conferenceで発表しているものの多くは、明らかに開発者向けのものである。しかし、Azure、Visual Studio、.NETに関する膨大な数のニュースの合間に、同社は一般ユーザーを対象としたPowerPointの新しいアドインのプレビューも披露した。Presentation Translatorは、リアルタイムで自動的に翻訳された字幕を提供したり、元の書式を維持しながら、実際のP​​owerPointプレゼンテーションのテキストを翻訳したりすることができる。

現在は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、ポルトガル語、ロシア語、そしてスペイン語をサポートしている。ここでは翻訳機能に焦点を当てたが、同じサービスを使用して、ろう者や聴覚障害者のために、プレゼンテーションにキャプションを追加することも可能だ。

 Microsoft Garageから発表されたこのプロジェクトは、現在は非公開のプレビュー中だが、ここから早期アクセスを申し込むことができる。アドインはMicrosoft Translatorによって支えられており、こうしたAI搭載サービスがゆっくりと、しかし確実に、生産性向上アプリに入り込みつつある様子を示すための例題の役割を果たしている。

実際に、PowerPointはこの分野におけるMicrosoftの努力を示すための格好の場所である。QuickStarterとDesignerという2つのツール(現在内部プレビュー中)の力を借りれば、PowerPointは既に、指定したトピックに基づく基本的なスライドショーを自動的に生成して、そのコンテキストに基づいて見栄えを良くすることもできるのだ。

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(翻訳:Sako)

オンラインプレゼンテーション作成・共有ツールのSlides

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ミーティングがなくなることは恐らく決してないだろう – それに伴いプレゼンテーションがなくなることも。しかし、プレゼンテーションを作るためのこれまでのやり方は、少々時代遅れなものになっている。PowerPointなどのツールは定期的なアップデートを繰り返しているが、それらはプレゼンテーションに対するある種の簡潔さに欠けている。

それこそが、Owen BossolaとHakim El Hattabの2人が、スライドショープレゼンテーションの作成、表示、コラボレーションのためのオンラインサービスであるSlidesを始めることに決めた理由である。Slidesの目標は、世の中に散在するPowerPointやSlideShareといったプレゼンテーション管理サービスの、最も優れた部分を取り入れて、1つのシームレスな使い勝手を提供することだ。

「ビジュアルストーリーの需要は常にあります、そしてSlidesのコアはビジュアルストーリーツールなのです」とEl Hattabは語った。「たぶん、Slackを使ったもっと効率的なコミュニケーションも可能でしょう、しかしセールスやマーケティングや教育の場には、プレゼンテーションソフトウェアを必要とするユースケースが存在しています。人々はそれぞれが異なるやり方でプレゼンテーションを行います。私たちはそれら全てに取り組みたいのです」。

スライド作成の使い勝手は、あなたが期待するやりかたにほぼ沿っている。他の多くの作成ツールの中にも存在する各種機能を見つけることができるだろう、そして作成後、ユーザーはプレゼンテーションへのリンクを共有することが可能で、ミーティングの最中にリアルタイムにそれらを広げて見せることが可能だ。また限定的なコメント機能もサービスには組み込まれているが、現段階ではまだ実験的なものだ。これはBossolaとEl Hattabが、機能を急激に膨らませることは避けたいと考えているためだ。

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スライドショーを行う者は、プレゼンテーション内に他のサービスからのコンテンツを埋め込むこともできる。すべてがオンラインで閲覧されていて、したがって、すべてのものがWeb上でレンダリングされているので、込み入ったPDFファイルや3Dビジュアルをダウンロードすることに比べて複雑なビジュアルのレンダリングも、よりシームレスなものになり得る。

オンラインですべてをレンダリングすることには別の利点もある:任意のデバイス上で閲覧することができるということだ。こうすれば、実際にその場にいなくても、電話やタブレットを使ったカンファレンスコールを通して、リアルタイムに遠隔からプレゼンテーションを見ることができるようになる。プレゼンターがスライドをめくれば、遠隔のデバイス上でも同じことが起きる。

こしたことがすべてSlidesの中で行うことができる、なぜならプレゼンテーションをより柔軟にすることに彼らはアプローチしているからだ。作成ツールの使い勝手は他の標準的なツールに比べて遜色ないものである(むしろ既存のものよりも幾分巧妙にも見える)、例えばカラースキームを変更する機能はテキストが暗い背景の中に沈んでしまわないようにしている。オブジェクトはグリッドに自動整列し、外部からのコンテンツの取り込みも容易で、事前に用意されたテンプレートにアクセスすることもできる ‐ それらが同社によって作られたものか、あるいは同社によって提供されるストックスライドであるかは問わない。

プレゼンターはまた、自分の携帯電話をクリックを行いノートを書き込むアプリケーションで使うことが可能で、スライドを先に進めたり、スライドのノートを参照したりすることができる。このツールは – 開発者にとってもとても柔軟なものだが ‐ 明らかにマーケティングを行うひとやプレゼンテーションをまとめ上げる必要のあるひとを狙っていて、その全てのプロセスを可能な限りシームレスなものにしようと努力している。当然のことながら、このための大きな市場が存在している(もしそれがなければPowerPointのような巨大なアプリケーションが定期的な更新を行うことはない)。

「私たちのフォーマットは、その終端は結局ウェブサイトなので、あなたはプレゼンテーションのためのウェブサイトを持っていることになります」とBossolaは言う。「そのウェブサイトの中で、あなたはウェブサイトに含めることができるものは何でも含めることができます。こうした特定の機能の中で、数式を書くのにテキストを使うひとたちが教育現場には沢山います。ウェブベースですので、私たちは即座に柔軟に対応することができるのです」。

明らかな適用シーンが存在している。大学でプレゼンテーションをする際に、この種のツールがあると素晴らしい。例えば、他のツールを求めてウェブをさまよったり、学校のPowerPointライセンスを扱ったりする必要がなくなるからだ。しかしこの先Slidesの主要な顧客は、常に魅力的なプレゼンテーションを作るために良いツールを必要としている、企業のより大きなマーケティング部門になるだろう。

Slidesは、実際にはEl Hattabが長い時間をかけて開発して来た、オープンソースソフトウェア技術の上に構築されている。開発者たちは、プレゼンテーションを作成するためにそのツールを使用していたものの、手作業でコードを書く必要があった。El HattabとBossolaはそこに会社設立の可能性があることに気付いた。同社はこれからも、そのオープンソース資源に貢献するだけでなく、バグやセキュリティ修正などのコミュニティから来る新しいツールコンポーネントを取り込んで、そのサービスを更新していく予定だ。オープンソースソフトウェアの上に会社を構築するリスクは常に存在するが、El Hattabによれば、それは同社のDNAの一部であって、Automatticのような成功例もたくさんあるということだ。

さて当然ながら競合もいる、例えばBunkrSwipeといった会社だ 。Slidesチームはコンテンツ開発という意味ではとても長い歴史を持っている、Bossolaは以前Thrillistで働いたことがあり、El Hattabはデジタル制作会社からやって来た。希望として、もし同社がそのツールをシンプルで、柔軟で、可能な限り広い範囲に適用できるもに保ち続けることができるなら、最終的にPowerPointキラーを彼ら自身の手に持つことになるだろう。

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(翻訳:Sako)

プレゼン用ウェブアプリ、Bunkrは優れもの―HTML5出力でどんなデバイスでもブラウザだけでスライドが再生可能

フランスのスタートアップ、BunkrはPowerPointキラーになろうという野望を抱いている。

このウェブ・アプリを使うユーザーはビジュアルなコンテンツをさまざまな場所から収集、編集してスライドに仕上げることができる。UIはよく考えられており、デザインも美しい。スライドショーはHTML5ファイルで出力されるので、パソコンでもタブレットでもスマートフォンでも自由に再生できる。またPDF、PPT形式でも出力できる。

共同ファウンダーで最高マーケティング責任者のÉdouard Petitは私の取材に対して「われわれは役立つ情報を収集、分析してクライアントのために戦略を立案するのに使う以上の労力を美しいPowerPointプレゼンを準備するために費やすという本末転倒に陥っている。そこでBunkrではどうやったら最小限の時間でわかりやすいスライドが制作でくるかを追求した」と語った。

その回答はこのプロダクトの2つの側面、情報の収集とプレゼンの制作に現れている。PowerPointでは役に立つ画像や動画をウェブで検索し、ダウンロードして、スライドに体裁よく配置することに非常に長い時間がかかる。また情報の収集と保存にはEvernoteのような別のアプリを使わねばならない。

これに対してBunkrはこのプロセスをすべて引き受ける。 単なるスライド制作ツールではなく、Evernote的なクリッピングと整理のツールでもある。ウェブで役に立ちそうな情報を発見したらブックマークレットでチェックするだけで、Bunkrのアカウントに保存される。ユーザーは画像、ビデオ、ウェブページ、ノート、引用などをこうして処理できる。

Bunkrは伝統的スライドショーを枠組みを守りながらあらゆるデバイスのあらゆるブラウザで自由に再生できる能力を加えた

その結果はテーマごとにPinterest風のグラフィカルなデータベースに保存される。毎日なんらかのプレゼンをしなければならないようなエグゼクティブ―つまりPowerPointのパワー・ユーザーにとっては非常に魅力的な機能yだ。

Petitは「“共同ファウンダーと私は以前、広告代理店に勤務しており、毎日の大半の時間をプレゼンの準備に使っていた。それがBunkrの開発を思い立った理由だ」と語った。

ただしプレゼンの構造に関してはBunkrはたとえば、Preziのように過激に新しくはない。これはPowerPointユーザーには安心できる要素だ。しかしPreziなどのライバルとの最大の違いはBunkrがフルHTML5出力をサポートしている点だ。Flashプログインを必要とせずにブラウザなどのデバイスで再生できるl.スマートフォンで再生するにも専用アプリをインストールする必要がない。ユーザーはプレゼンへのリンクを送るだけで、相手はどんなデバイスのどんなブラウザでも再生できる。またYouTubeのエンベッドも簡単だ。

Google Driveのプレゼンテーション・ウェブアプリと同様、複数のユーザーが同時にスライドを同時に編集できる。サービスを使い始めるのは無料だが、HTML5ファイルやPPTフォーマットでダウンロードせずにオンラインで同時に3つ以上のプレゼンを保存しようとすると、月額2.50ユーロ(日本からは3ドル/月)の利用料金がかかる。現在、7000ユーザーのうち200人が有料契約をしているという。

Bunkrはフランスのルーアンに本拠を置くTheFamilyアクセラレータ参加のスタートアップで、年内にもシード資金調達のラウンドを行う予定だ。しかしプロダクトはすでに完成しており、出来は非常に良い。これだけのデザイン力と技術力があればBunkerが有力なPowerPointのライバルに成長できる可能性は十分ある。まずは試してみることをお勧めする。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+