ついに出ました! 今日(米国時間2/2)発売されたRaspberry Piの強力なニューバージョンPi 2は、プロセッサはクアッドコア、メモリは倍増して、より厳しい処理ニーズに対応している。
Pi Foundationはまた、この新型機によりPiが“PCと互角に競合できる”パワーを持つに至った、と宣言している。
Piの作者Eben Uptonは、こう言っている: “Pi 1もPCとして使う人たちがいたが、35ドルのPCだからこんなもの、というあきらめもあった。Pi 2の最大の違いは、それがまさにPCであることだ。35ドルにしてはまあまあだね、ではなくて、文句なしのPCだ”。
“PCとして利用される多様なニーズがある、と確信している。Webブラウザはあるし、LibreOfficeをインストールできる。PCの入門機としては十分な性能だ”。
そのため、数か月後に出す予定の、本機のRaspbian参照インストールには、LibreOfficeなどの実用アプリケーションを最初から含める。OSは、ニーズによってはWindows 10をインストールしてもよい。
35ドルのPC入門機を必要とする人は、誰だろう? たぶん学校だ、とUptonは言う。“教材としていろんな目的で使えると同時に、汎用のコンピュータでもある”。
昨年はGoogleのチャリティ部門Google Givingが100万ドルを寄付して、イギリスの学童15000名にPiが無料で提供されることになった。また、KanoのDIYコンピュータやPimoroniのFlotilla電子工作キットのように、Piをベースとするさまざまな教材製品も出回っている。Piはすでに、学校や児童生徒にかなり入(はい)り込んでいるのだ。
もちろんPiの用途は、組み込みシステムや、ホビー、ロボット工学など、とても幅広い。だからUptonは、“Pi 2ぐらいのパワーが求められる開発課題はいくらでもある”、と言っている。言い換えるとユーザコミュニティは、このようなハイパワーのRaspberry Piを前から求めていた、というのだ。
“たとえば画像処理は当然、高性能な処理能力を必要とする。ロボットにPiとカメラを搭載して環境を認識させようとすると、そのための画像処理のアルゴリズムは、シングルコアのARMよりもクアッドコアの高速なARMで動かしたいからね”。
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お値段は変わらず
Pi 2の正式名称はRaspberry Pi 2 Model Bで、そのフォームファクタはPi Model B+と同じだから、過去のアドオンやアクセサリやオンラインのチュートリアルなどがそのまま使える。
“2年前ぐらいからもっと速いPiを求められていたが、こっちはフォームファクタを変えないために相当苦労した。2年もかかったのは、そのためだ”。
“互換性を捨てればもっと早く出せたと思うが、それではもうRaspberry Piじゃなくなる。別のコンピュータになってしまう。そうやってブランドを拡張するエンジニアリングよりも、実用性の高いエンジニアリングにわれわれは固執した”。
価格を35ドルに維持できたのは、Uptonによると、最初のPiが“規模の経済”の基盤を作ってくれたために、部品の大量発注が可能だったからだ。製造はPi 1と同じくイギリス国内で行われている(ウェールズのSonyの工場)。Pi 1のごく一部のみ、中国で生産されている。
Pi 2のプロセッサは900MHz Quad ARM Cortex-A7だ。昨年の夏に出たばかりのModel B+がこれまでの最速機だが、Pi 2はその6倍のスピードだ。
“これまで使ってきたシングルコアのARM 11はもう相当古い。クアッドコアのARM Cortex A7は新鋭機だし、Pi 1の6倍は速い”。
Pi 2はメモリを倍増して1GBになった。フォームファクタとインタフェイス機能は、前述のようにB+と同じだ。
“ユーザの要望は無限にある。昨年の7月にModel B+で、I/Oの増設やUSBポートの増設、フォームファクタの改良、省エネ化など、基本的な要望には対応した。でもそのほかの要望は、プロセッサとメモリをアップグレードしないと無理、というものが多かった”。
“そういう意味でPi 2は、Piに寄せられていた重要な問題の多くを解決している”。
Uptonの予想では、Pi 2は発売初日に少なくとも1万、うまくいけば10万は売れる、という。“スパイクには十分対応できると思うけど、もしかしたら、待ち行列ができてしまうかもしれない”、と彼は言う。
現在のPiの売れ行きは毎月20万強だ。あとしばらくは、このペースが続くとUptonらは予想している。Pi 1の生産を打ち切る予定はないから、ユーザはPi 2へのアップグレードを急ぐ必要もない。
“どちらも、需要があるかぎり生産を続ける”、と彼は言っている。
これまでに売れたPiの総台数は約450万、オリジナルのModel Bがローンチしたのは3年前の2012年2月だ。
“量では、北米地区がいちばん多く売れているけど、人口一人あたりではそれほどでもないね。今、いちばん勢いづいているのは中国。前は少なかったけど、今は急速にPiの需要が伸びている。Piが、本格的に使われ始めているようだね”。
そのほかのPi
昨年の11月に発売したModel A+はどうだろう? Uptonによると、20ドルという価格は魅力的だから、今後は後継機の一つとして伸びると思っているが、それにはまだ時間がかかりそうだ、という。
“A+は売れてるんだよ。オリジナルのModel Aより売れてる。20ドルという価格と、小さなフォームファクタ、そして省エネ、この三つの組み合わせは、現実に強力なセールスポイントになっている。だからA+はうちのローエンド機として、少なくともあと1年は需要が続くと思っている。でも、2016年になったら、クアッドコアにするとか、メモリを増設するなどを検討しなければならないだろう”。
“実際にはあれは、うちが企画した製品ではない。うちの余力としてやってるようなものだね”。
10月のDisrupt Londonで同社が見せたタッチパネルタイプのPiは、今でも開発が進められている。本番生産のための部品が倉庫で寝ているけど、UptonらはPi 2を優先したのだ。“タッチパネルは今四半期(1-3月)内には何とか仕上げて、ローンチまでこぎつけたい”、とUptonは言っている。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))