幼稚園・学校・塾・習い事教室の集金業務キャッシュレス化・DX化を実現する「enpay」が4億円調達

幼稚園・学校・塾・習い事教室の集金業務キャッシュレス化・DX化を実現する「enpay」が4億円調達

集金業務のキャッシュレス化・DX化を実現するFintech×SaaSプラットフォーム「enpay」(エンペイ)を提供するエンペイは4月1日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額4億円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、リードインベスターのDNX Ventures、ちゅうぎんインフィニティファンド。累計調達額は4億7000万円となった。

調達した資金は、「お金の流れを円滑にし、幸せな社会を創造する」というビジョン達成に向けて、enpayの非連続な事業拡大および圧倒的な品質向上、新たな金融サービスの開発、それらに伴う組織の拡充へと投資する予定。

enpayは、PCとスマホを活用し、現金や紙を一切やり取りすることなく、請求から支払いまで対応する集金業務支援サービス。保育園・こども園・幼稚園・学校・塾・習い事教室などに特化しており、リアルタイムでの支払い状況の確認や消し込み作業などすべて自動管理が可能。また、集金業務だけでなく会計データを自動作成し、会計業務管理までワンストップで行えるという。集金業務から会計業務まで、圧倒的な業務負担軽減を実現するとしている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:エンペイ (企業・サービス)SaaS(用語)資金調達(用語)DX / デジタルトランスフォーメーション(用語)FinTech(用語)日本(国・地域)

家庭の冷暖房に特化した垂直型SaaSのServiceTitanは年間定額収益270億円、評価額9000億円以上に

家庭の冷暖房に特化した垂直型Software as a Serviceツールキットを開発することで、83億ドル(約9090億円)の価値が生まれるとは誰が想像できただろうか?

これは、わずか8年前に設立されたロサンゼルスを拠点とするスタートアップ企業であるServiceTitan(サービスタイタン)の現在の価値を表している。銀行関係者によると、住宅建設やエネルギー効率化などの大きな追い風が同社の収益を押し上げ、垂直型ソフトウェア企業としては前例のない評価額になっているとのことだ。

ServiceTitanの巨額の資金は、Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)のGlobal Equities(グローバル・エクイティ)ファンドと、Tiger Global Management.(タイガー・グローバル・マネジメント)が主導する5億ドル(約550億円)の資金調達ラウンドで得たものだ。

ServiceTitanの出資者は、Battery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)、Bessemer Venture Partners(ベッセマー・ベンチャーズ・パートナーズ)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)といった長年の投資家に加え、T. Rowe Price(ティー・ロウ・プライス)、Dragoneer Investment Group(ドラゴニア・インベストメント・グループ)、ICONIQ Growth(アイコニック・グロース)といった後期ステージからの投資ファンドなど、ベンチャー業界のさまざまな顔ぶれが並ぶ。

同社は今回の5億ドルの資金調達により、市場環境が整えば、2021年後半から2022年末までに株式を公開することが可能になるだろう。

ServiceTitanは現在、7500社以上の顧客が10万人以上の技術者を雇用し、配管工事、空調工事、電気工事、煙突工事、害虫駆除、芝生の手入れなど、200億ドル(約2兆2000億円)相当のサービスを提供している。

Angi(アンジ)やThumbtack(サムタック)が、住宅所有者がサービスや技術者を探しに行くところなら、ServiceTitanは、それらの技術者が自分のビジネスを管理したり組織化したりするところだ。

カリフォルニア州グレンデールを拠点とし、アトランタとアルメニアにサテライトオフィスを持つServiceTitanは、HVAC(冷暖房空調)事業に従事していた両親を持つ共同創業者たちが、身近に感じていた問題を解決するために立ち上げた事業だ。

ホームサービス市場は、米国で500万人以上が働く1兆ドル(約110兆円)規模の世界市場となっている。

グローバルな展開という言葉は魅力的に響くものの、ServiceTitanにとって米国だけでも成長する余地は十分にある。

米国では、リモートワークの増加や新型コロナウイルス流行の影響を受けた大都市からの人口流出により、住宅所有率が10年ぶりの高水準に達しているからだ。

エネルギー効率を重視し、温室効果ガスの排出量を削減しようとする動きは、住宅や商業施設の改修を急増させ、それが新たなビジネスを後押しすることにもなるだろう。実際にこのような傾向は、2020年に経済全体が3.5%縮小したにもかかわらず、ホームセンターへの支出は3%増加したという統計にも表れている。

「私たちは、水道、暖房、空調、電力といった生命維持システムを保持するために、これらの専門業者の人々に依存しています」と、ServiceTitanの共同設立者でCEOを務めるAra Mahdessian(アラ・マフデシアン)氏は語る。「今日、住宅所有率と在宅時間がともに過去最高を記録する中、これらの必要不可欠なサービス提供者は、ますます増加している現代テクノロジーに精通した住宅所有者からの需要の高まりに直面しています。ServiceTitanは、これらの業者の方々に、すばらしい顧客体験の実現とビジネスを容易に成長させるために必要なツールを提供することで、勤勉なこの業界の人々が、相応の成功レベルに到達することを可能にします」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ServiceTitanSaaS住宅

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「昭和」な方法が残る債権管理・督促業務のDXを進めるLectoが総額1.1億円調達

債権回収のDXを進める

債権管理・督促業務のDXを進めるスタートアップLecto(レクト)は3月22日、第三者割当増資によって総額1億1000万円の資金調達を行ったと発表した。

Lectoは今回の調達で、債権管理・督促回収業務を一貫して支えるSaaS(Software as a Service)プロダクトの開発を進める。金融事業者がユーザーにサービスを提供した後に発生する請求通知や督促連絡、債券譲渡など、さまざまな業務をワンストップで管理できるようにする。また、2021年7月を目途に債権回収を自動化する機能を開発して提供する見通し。

金融事業にはさまざまな業務フローがある

金融事業にはさまざまな業務フローがある

なお、引受先はシンガポールに本社を置くBEENEXTが運営するALL STAR SAASFUNDのほか、East Venturesやラクマ(フリル)創業者の堀井翔太氏、コネヒト創業者の大湯俊介氏らとなる。

Lectoは2020年11月に会社を設立後、2021年1月から債権管理などにおけるハンズオン支援のコンサルティングサービスを提供している。すでにyupナッジに同サービスを提供しており、今後は複数社でのサービス導入が決まっている。

レガシーな金融業界と新たな動き

金融業界では債権管理業務自体をMicrosoft Excelなどのアナログ管理で行っている事業者が少なくない。また、既存事業者には督促回収を電話や個別訪問で行うなど、昭和から続くアナログな方法が残っているという。

金融業界には現在、ITを活用した決済テクノロジーが進歩し、決済サービスなどが多様化している側面もある。このため政府は2021年4月から、改正割賦販売法を施行し、新しい決済テクノロジーやサービスに対応するための環境を整えている。

改正法では、限度額10万円以下となる少額の分割後払いサービス提供事業者に対する登録制度を創設する。また、限度額審査については、AI技術などによる新たなテクノロジーに基づく審査手法を許容するとしている。改正法が施行されれば、少額の分割後払いサービスを提供する事業者が多く金融市場に参入することになる。

Lectoでは、既存事業者に対しては債権管理・督促回収のDXを展開し、スタートアップをはじめとした新規参入事業者にはゼロベースからの債権管理・督促回収の支援サービスを提供していく考えだ。

Lectoは「金融サービスの裏側を変えていくことは一見地味な取り組みだが、我々の取り組みこそが金融ビジネスを成長させるキモだと考えている。債権管理・督促回収のアップデートが金融市場に与える影響は大きく、我々はARR(年間経常利益)で1000億円以上を目指せると試算している」と述べた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:LectoSaaS資金調達日本DX

インディアナポリスのVC「ハイアルファキャピタル」が約120億円のファンドを発表、起業初期のSaaS会社に投資

スタートアップのエコシステムを形成するには、さまざまな要素が必要だ。沿岸部の主要なハイテク中心地に属さない都市では、そのようなシステムを立ち上げるために計画的な努力を必要とする。インディアナ州のインディアナポリスでは、2000年にExactTarget(エグザクトターゲット)が設立されたことがきっかけだった。2013年にExactTargetがSalesforce(セールフォース)に25億ドル(約2730億円)で買収されたことで、インディアナポリスのスタートアップシステムに大量の現金がもたらされた。

そのExactTargetの買収から誕生したベンチャーキャピタル、High Alpha Capital(ハイアルファキャピタル)は米国時間3月11日、新たに1億1000万ドル(約120億円)のファンドを発表した。同社はB2BのSaaSスタートアップに注力しているVCだ。High Alphaのパートナーで共同設立者であるKristian Andersen(クリスチャン・アンダーセン)氏は、このファンドを新型コロナウイルスとそれがもたらした事業運営方法の変化という文脈で捉えている。

「私たちは今、かつてないほど混乱の時代に生きており、個人、企業、そして社会全体に多くの困難をもたらしています。このような困難な時代にもかかわらず(あるいはそのような困難な時代だからこそ)、私たちは、起業家精神とテクノロジーの融合によって世界を変革しようとする次世代の創業者たちを支援することに、これまで以上に確信と意欲を感じています」とアンダーセン氏は述べている。

もちろん、スタートアップシステムのレシピには資金が欠かせない。ExactTargetの創業者たちは買収によってそれを得た。彼らは教育、起業家精神を奨励するシステム、数学のスキル、エンジニアリングの才能のプール、そしてもちろん投資を促進するベンチャーキャピタルなど、ゼロからシステムを構築したかったと、同社創業者の1人であるScott Dorsey(スコット・ドーシー)氏は語っている。

「そのために必要なのは、才能、資本、サポート、メンターシップです。中でも才能を最も重視しなければなりません。High Alphaではもちろん、インディアナポリスの市場全体で、才能を重視しています。2番目は資本です。インディアナポリスのような市場では資本にアクセスできないことが多いので、自分たちで資金を調達することが重要なのです」とドーシー氏はいう。そして次のように続けた。

「3番目はサポートとメンターシップで、実際そのためにHigh Alphaが作られました。当社には、デザイン、マーケティング、プロダクト・エンジニアリング、財務、人事など、SaaS企業を起ち上げて成長させるために必要な40人のセンター・オブ・エクセレンスがチームに揃っています」。

High Alphaという会社は2つの部分に分かれている。1つはHigh Alpha Studioで、これは本当に初期段階の創業者のためのインキュベーターのようなものだ。もう1つのHigh Alpha Capitalが、今回の発表の中心である。

これは同社にとって3番目のファンドとなる。最初のファンドは2100万ドル(約22億9000万円)のHigh Alpha Oneで、2番目のHigh Alpha Twoは8500万ドル(約92億8000万円)だった。3つのファンドを合計すると、調達額は2億1600万ドル(約235億8000万円)となる。最初の2つのファンドの投資先は主にインディアナ州内だったが、今回のファンドでは、少なくとも一部の投資先を同州外にも拡大する計画だ。

High Alphaは、企業向けB2B SaaSの会社を対象に、プレシードからシリーズAまでの投資を行っており、ExactTargetを成功させた経験から、育成と学習を支援できるアーリーステージの企業に注力している。

同社が投資した企業には、Attentive(アテンティブ)、SalesLoft(セールスロフト)、Zylo(ザイロ)、Terminus(ターミナス)、The Mom Project(ザ・マム・プロジェクト)、Lessonly(レスオンリー)、LogicGate(ロジックゲート)、MetaCX(メタCX)、Socio(ソシオ)などがある。

関連記事:顧客エンゲージメントのSalesLoftが103億円調達、評価額は1100億円超

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:High Alpha CapitalインディアナポリスSaaSベンチャーファンド

画像クレジット:Icon Sportswire / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SaaSの購買サービスで成長するVendrがシリーズAで約65.5億円の大型資金調達

米国時間3月8日、Vendrが6000万ドル(約65億4600万円)の大型シリーズAラウンドを発表した。このラウンドを主導したのはTiger Globalで、他にY Combinator、Sound Ventures、Craft Ventures、F-Prime Capital、Garage Capitalが参加した。

Vendrは2020年6月にシードラウンドで400万ドル(約4億3600万円)を調達し、その際にTechCrunchは同社が収益を上げていることを報じた。今回の大型シリーズAはそれに続く資金調達となる。Vendrは今回のシリーズAより前に600万ドル(約6億5400万円)以上を調達していた。

TechCrunchにはいくつか疑問があった。まず、Vendrはどのようにしてこれほど多額の資金を短期間で集めたのか。CEOのRyan Neu(ライアン・ノイ)氏がインタビューで答えたところによると、Vendrは2020年に5倍弱の成長を遂げ、同年のキャッシュフローも黒字だった。同社のビジネスモデルはSaaSの売り手と買い手の間に立ち、取引を迅速化しつつコストを抑えるもので、ソフトウェア依存の高まりとコスト管理の重視という2020年の2つのトレンドにうまくフィットしたようだ。

次の疑問は、どのようにしてこれほど大きく成長しているのかということだ。Vendrは顧客に対しソフトウェアに支払う代金の1〜5%を請求しており、これを積み上げて増やしていくことができる。ノイ氏はTechCrunchに対し、従業員500人の標準的な企業はソフトウェアに年間200万〜350万ドル(約2億1800万円〜3億8000万円)を支払うと述べており、計算してみると最小の1%の場合にVendrは2万〜3万5000ドル(約218万〜380万円)を受け取ることになる。パーセンテージの中間である2.5%なら、5万〜8万7500ドル(約545万〜955万円)を受け取る。

このような価格体系でVendrは年間の売上を短期間で増やすことができる。それではなぜVendrの顧客はソフトウェアの費用を処理するためにVendrに支払いをするのか。それは節約に有効だからだ。Vendrに支払う費用以上に節約できるなら、企業は得をする。さらに、企業は購入にかかる時間を節約できるとVendrが主張するとおり、Vendrの顧客はツールの確保にかかる時間を削減することができる。

誰にとっても良いことのように見えるが、例外はソフトウェアの売り手だ。売り手にとっては、あまり詳しくない買い手が自分たちのコードに高い費用を払ってくれるチャンスを失っているのではないか。しかしノイ氏は、Vendrのモデルは売り手企業にとってもそれほど悪くないという。迅速に、高確率で契約が成立するからだ。売り手企業はセールスチームの時間を節約することができ、差額とのバランスがとれるかもしれない。

現在、買い手を中心としているVendrはソフトウェア市場の売り手に対して何ができるかをさらに尋ねたが、ノイ氏は今後の計画を明らかにしなかった。

資金調達ラウンドに話を戻すと、新規の外部資金なしでうまくやっていたのならVendrはなぜ資金を調達したのか。同社はTechCrunchに対し、1年前は10人だった従業員を60人に増やしたことと、バランスシートをもっと強化したかったことを挙げた。なるほど。Tiger Globalからこれほど多額の小切手を用意されて受け取らないスタートアップは滅多にないだろう。評価額の上昇がVendrにとって何を意味するかを考えれば、謎を解くのはそれほど難しくない。

TechCrunchはここ数週間、ソフトウェア市場のとてつもない深さを探ってきた。ソフトウェアのTAM(Total Addressable Market、実現可能な最大の市場規模)を考えると、Vendrは投資家が今回のラウンドで期待を示したハイパーな成長を維持できるかもしれない。2021年のVendrの動向に注目しよう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SaaSVendr資金調達

画像クレジット:Karl Tapales / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Kaori Koyama)

ハイテク株の下落が続く、被害はソフトウェアやインシュアテックも含む広範囲に

米国時間3月5日、これまで高値を維持していたソフトウェア会社の株さえもが下落し、ハイテク株がさらに打撃を受けた。

1年間太陽の下で楽しんできたセクターにとって、最近の取引は市場の崇拝期間に穴を開けるものだ。市場がハイテク株の評価を見直しているというのは早計だが、今回の下落は重要なポイントに達しており、注意しなければならない。

関連記事:再び上昇するSaaSの評価額に何が起きているのか?

この記事を書いている時点で、ハイテク株の多いNASDAQ総合指数は、前回の下落に続いてこの日も1.2%下落している。今や有名になったアークイノベーションETF(上場投資信託)は6.5%下落しており、テックセクターで注目すべき下落銘柄のリストは非常に長くなっている。

市場心理の変化は、最近の結果を見ても明らかだ。ここでは、テック系のNASDAQ総合指数を見てみよう。

NASDAQ総合指数の52週高値:14,175.12
米国時間3月5日のNASDAQ総合指数:12,561.13
変動率:-11.4%

そしてSaaSやクラウド株だけで考えると被害は激化する。この分野を追跡しているBessemer cloud index(ベッセマー・クラウドインデックス)を見てみよう。

ベッセマー・クラウド・インデックスの52週高値:2,884.23
米国時間3月5日のベッセマー・クラウド・インデックス:2,185.62
変動率:-24.2%

簡単に言えば、NASDAQは玉整理に入っており、SaaS株は弱気相場の領域に達しているということだ。両者とも最近の高値維持から大きく転換した。

ソフトウェアだけではない

米国時間3月4日のTechCrunch編集室では、もう1つのネオ保険会社であるHippo(ヒッポ)の株式公開を前に、インシュアテック(保険テクノロジー)株の価値が急落していることを指摘した記事が書かれていた。

SPAC主導によるHippoの株式上場は、ウォームマーケットに着地しないだろう。米国時間3月5日の同時代の企業は以下のようになっている。

Lemonade(レモネード)の52週高値:188.30ドル
Lemonadeの現在の株価:84.72ドル
変動率:-55.0%

Root Insurance(ルートインシュアランス)52週高値:29.48ドル
Root Insuranceの現在の株価:12.38ドル
変動率:-58.0%

MetroMile(メトロマイル)の52週高値:20.39ドル
MetroMileの現在の株価:10.04ドル
変動率:-50.8%

被害は広範囲に及ぶ。最近のIPOの成功事例であるSnowflake(スノーフレーク)は米国時間3月4日、収益が前年同期の8800万ドル(約95億5000万円)から、直近の四半期では1億9000万ドル(約206億円)に成長したと発表した。そして、その株式は翌日、7%以上下がっている。

この評価の変化がほんの一過性のものなのか、それとも風向きが落ち着いた変化なのか、その判断は読者におまかせする。しかし、外部ではまた違った反応が見られる。

スタートアップ企業にとって、これらはすべて悪いニュースだ。2020年には好調だった企業価値が、2021年にその輝きが失われると、後期ステージの価値が圧縮される可能性があり、シリーズAやBラウンドでは成長を続けたスタートアップの上昇傾向が制限されることになるかもしれない。しかし、そのような影響は市場には及ばないため、まだ状況が変わると判断するのは早いだろう。

それでも、すべての個人投資家は、自分たちの案件についてはイグジットに目を向けている。そのイグジットが突然縮小した場合、次の投資では非常に多くの利益を得ることに関心が向く可能性が高くなる。

カテゴリー:その他
タグ:インシュアテック株式市場SaaS

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投資家たちはいまだにソフトウェアが大好きだ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

最近の市場の不安定さにもかかわらず、ここ数四半期の間にソフトウェア企業一般が享受してきた評価額は、すばらしいものだった。米国時間3月5日の記事では、なぜそうなったのか、そして評価額が他のものよりも少々バブル的になっている可能性があるのはどこなのかについて検討した。Battery Venturesの何人かの投資家が書いたレポートでは、その理由を、SaaS市場の中央部が評価額インフレーションのピークを迎えているからかもしれないとしている。

もしスタートアップの成長率が低下している場合に注意しなければならない。しかし、今回の記事では、私は失望や心配の材料の代わりに、いくつかの歴史的に注目すべきデータを持って来て、現代の良いソフトウェアスタートアップやその大規模な兄弟たちが、現在どのようにそのデータに当てはまるのかを示すことにする。

表の解読にあまり興味がない読者のために、時間の節約をすることにしよう。表の一番右上に示されているのは、現在年率10%未満で成長しているSaaS企業は、次の12カ月間の収益の平均6.9倍で取引されているということだ。

これが2011年の段階では、40%以上の成長率を持つSaaS企業の取引額は、次の12カ月の収益の6.0倍だった。景気は変わるが、ソフトウェアの評価額は例外のようだ。

Battery Venturesとの会話からもう1つ紹介しよう。その投資家であるBrandon Gleklen(ブランドン・グレックレン)氏は、ARR(年間経常収益)の定義と現代の市場におけるそのニュアンスについて、The Exchangeに言及した。より多くのSaaS企業が従来のSoftware-as-a-Service(サービスとしてのソフトウェア)の価格設定を、従量型の価格設定に変更する中で、同氏はARRの定義について細かいことを書くことは避け、ソフトウェアの収益においてとにかく重要なのは、ソフトウェアの収益が長期的に維持され、成長するかどうかであると主張した。これで次の話題に移ることができる。

従量型とSaaS型の価格設定

ここ数週間、公開ソフトウェア企業の業績報告会に、何度も参加している。何度も繰り返し登場するテーマの1つが、従量型価格設定と従来のSaaS型価格設定の対比だ。利用量に基いた価格設定のソフトウェア企業の方が、平均よりも高い顧客定着率のおかげで、従来型の価格設定のソフトウェア企業よりも高い価格で取引されていることを示すデータもある。

しかし、話はそれだけではない。Fastly(ファストリー)のCEOであるJoshua Bixby(ジョシュア・ビクスビー)氏と同社の業績報告後に行ったチャットでは、私たちは従量型課金がより魅力的な場所とそうでない場所の間の、市場の興味深い区別を取り上げて話し合った。ビクスビー氏によれば、Fastlyは、大規模な顧客が従量型の価格設定を好むのは、変動に耐える余裕があり、請求をより密接に収益に結びつけることを好むからだと見ているという。とはいえ、より小規模な顧客は、従来のSaaS型の課金を好むとビクスビー氏は述べている。なぜならそちらは支払額をきっちり予測できるからだ。

私は最近この議論を、Open View PartnersのKyle Poyar(カイル・ポイヤー)氏に投げかけた(同氏は、ここ数週間TechCrunchにこのトピックについて書いているベンチャー業界人だ)。彼は、場合によっては逆のこともあるという、価格が固定されていないことで、開発者が大規模なコミットメントをしなくても製品をテストできることが多いため、中小企業にもアピールできるとの指摘だ。

そのため、おそらくソフトウェア市場では、小規模な顧客たちは、必要量を把握している場合にはSaaS型の価格設定を選択し、まず実験をしたい場合には従量型価格設定を選択するということになるのではないだろうか。また大企業では、支出が収益と連動している場合には、従量型価格への関心が高まる。

SaaSの価格設定の進化は遅々としたもので、決して完全なものにもならない。しかし、みんながそれを本当に考えている。Appian(アピアン)のCEOであるMatt Calkins(マット・カルキン)氏は、価格設定の一般的なテーゼとして、価格は提供される価値以下に留まるべきだと考えている。従量型とSaaS型のトピックを尋ねられて、彼は少しためらったが、現在の価格設定の行われかたについては「完全に満足している」わけではないと答えた。彼は「顧客価値をよりよく代表してくれる」価格設定を望んでいるが、それ以上の発言をすることは拒んだ。

もしこうしたことを考えないまま、スタートアップを運営しているとするなら、この先はどうするつもりだろうか?このトピックについてはこれからも、従量型的なShopify(ショッピファイ)よりも、SaaS型に賭けているBigCommerce(ビッグコマース)CEOとのインタビューのメモを含め、さらに多くの情報をお届けする予定だ。

Next Insuranceとその変化する市場

Next Insurance(ネクスト・インシュアランス)は先週、別の会社を買収した。今回買収したのはAP Intego(APインテゴ)で、このことによってデジタルファーストの中小保険会社であるNext Insuranceには、さまざまな給与計算会社が顧客として加わることになる。Next InsuranceについてはTechCrunchがその成長について何度か書いているので、お馴染みかと思う。例えば、同社は2020年にはプレミアムランレートを2倍の2億ドル(約216億7000万円)に引き上げている。

AP Integoの買収により、ネオ保険会社のNext Insuranceには1億8510万ドル(約200億5700万円)のアクティブプレミアムがもたらされる。つまり2021年の同社は、自然成長を計算にいれなくても、現時点ですでに急成長を遂げていることになる。このNext Insuranceの取引と目前に迫ったHippo(ヒッポ)のSPACは、非公開市場でのホットな話題ではあるが、一方インシュアテックの公開市場における熱は少々失われている。

Root(ルート)、Lemonade(レモネード)、MetroMile(メトロマイル)のような公開ネオ保険会社の株式は、ここ数週間でかなりの価値を失っている。そのため、Next InsuranceやHippoのような(急速なプレミアム成長を支えている多額の資本を持つ、未公開インシュアテックのスタートアップ)企業たちのエグジットの状況は、悪い方向へと変わりつつある。

HippoはSPACを使って公開を行うことを決めた。しかし私は、Next Insuranceは物事がスムーズに進むようになるまで、公開への道を急ぐとは思っていない。同社は2020年9月に2億5000万ドル(約270億9000万円)を調達しており、株式公開を急ぐ必要はない。

その他のことなど

さて他には?1億ドル(約108億円)ARR(年間経常収益)クラブの会員であるSisense(サイセンス)が新しいCFOを採用した。よって、私たちは彼らが今後4~5四半期以内には上場すると予想している。

そして、以下のチャートは、SPAC Alphaから出されて、NASDAQ(ナスダック)、そしてLux CapitalのDeena Shakir(ディーナ・シャキール)氏を経由して引用したものだ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange保険SaaS

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

SaaSアカウントや請求情報を一元管理可能な「NiceCloud」を運営するLBVが約1億円を調達

SaaSアカウントや請求情報を一元管理可能な「NiceCloud」を運営するLBVが約1億円を調達

企業のSaaSアカウントや請求情報を一元管理できるSaaS管理プラットフォーム「NiceCloud」を運営するLBVは2月25日、Coral Capital、ANOBAKA、個人投資家および金融機関から、総額約1億円の資金調達を発表した。

調達した資金により、開発体制を強化すると共にSaaS提供事業者との提携を進める。NiceCloudは、2021年3月にクローズドα版公開、また機能を強化した上で2021年夏にβ版をリリースすることを予定している。β版リリースに先駆け、上場企業やスタートアップを含む数十社が事前登録を行っているという。

近年DXによるデジタル化が進む中で、企業によるSaaS(Software as a Service)の利用、またSaaS提供事業者が増え続けており、SaaS国内市場規模は2024年には1兆円を超えるとも予測されている。

そのような中、1社あたりのSaaSの利用数が5~10を超える企業では、どの従業員がどのSaaSを利用しているかわからない、アカウントの発行や削除が面倒といった課題が発生してるそうだ。

LBVは、これらSaaSアカウント管理の課題を解決するためにNiceCloudを開発。NiceCloudは、企業が導入する各SaaSアカウントを一元管理し、どの従業員がどのSaaSを利用しているか、どれくらいの料金を支払っているかをダッシュボード上で把握でき、アカウントの発行・削除などの面倒な業務を自動化するとしている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:LBV(企業)SaaS(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

アイデンティティ管理のSailPointがSaaS管理スタートアップIntelloを買収

2017年に株式を上場したアイデンティティ管理企業のSailPoint(セイルポイント)が、米国時間2月19日、アーリーステージのSaaS管理スタートアップのIntello(インテロ)を買収することを発表した。両社は買取価格を公表していない。

SailPointは、顧客が社内で使用されているすべての SaaS ツールの場所を特定できるようにすることで、IT部門が企業の安全性を高めることができると信じている。ここで考慮されている問題は、ITの知識がなくても従業員がSaaSツールを導入するのが非常に簡単なことだ、そこにIntelloは、より高い可視性とコントロール性を与える。

実際、ここ十年ほどのうちに定着した「シャドーIT」という用語は、ITのプロの目が届く範囲外で、ソフトウェアを導入できてしまう状況を表現するためのものである。Intelloのようなツールを使えば、すべてのSaaSツールを検索して従業員を認可済みのツールに誘導することが可能になり、セキュリティのプロがみんなに利用してほしくないサービスをシャットダウンすることができる。

SailPointの製品担当上級副社長であるGrady Summers(グラディ・サマーズ)氏によれば、パンデミック中に多くの企業がリモート化したことで、シャドーIT問題はさらに深刻になっており、従業員がどのようなSaaS ツールを使用しているのかを知ることは IT部門にとってさらに困難になっているという。

「この問題によって、無秩序にSaaSが蔓延し、そうしたアプリ内に保存され共有されているために、保護されないデータが急増しています。組織内にどのようなシャドウアクセスが存在するかをほとんど把握できないために、各社のITチームは、ここ1年の間にさらに増加したサイバーリスクから保護することが、より困難になっているのです」とサマーズ氏は声明で説明している。彼は、Intelloを導入することで、無認可の利用を根絶し、企業の安全性を高めると同時に、SaaS支出もよく理解して貰えるようになると考えている。

Intelloは常に自身を、セキュリティとコンプライアンスを向上させるための手段として位置づけ、過去にはOkta(オクタ)やOnelogin(ワンログイン)などの他のアイデンティティ管理ツールと提携している。同社は2017年に創業され、Crunchbaseのデータによれば580万ドル(約6億1000万円)を調達している。その中には、2019年5月に行われた250万ドル(約2億6000万円)の拡大シード調達も含まれている。

米国時間2月18日には、別のSaaS管理ツールのTorii(トーリ)が1000万ドル(約10億6000万円)のシリーズAを発表した。SaaS管理領域における他のプレイヤーには、BetterCloud(ベタークラウド)やBlissfully(ブリスフリー)などもある。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SailPointIntello買収SaaS

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

SaaS企業に新規顧客の呼び込みスピードと内容の向上を提案するOnboard

サービスとしてのソフトウェア(SaaS)企業の提案を受け入れる企業は多いが、その新しいサービスをシームレスなかたちで最初から導入するのは容易ではない。中には、契約書のデジタルインクが乾くや否や、忘れ去られた気にさせられる企業顧客もある。

そこに現れたのがOnboard(オンボード)だ。創設10カ月目のこのスタートアップは、SaaSビジネスで新規顧客を失望させることなく、むしろ喜ばせることを目指してる。

同社は、CEOを務めるJeff Epstein(ジェフ・エプスタイン)氏が共同創設した。エプスタイン氏は以前、リファーラルマーケティングとアフィリエイトマーケティングのためのソフトウェアを開発する企業Ambassador(アンバサダー)を立ち上げ、その8年後の2018年に売却している。

現在はIntrado(イントラド)となったWest Corporation(ウェスト・コーポレーション)への売却条件は公表されていないが、株主には「いい結果」になったとエプスタイン氏は話している(Ambassadorは2021年1月、小さなシアトルの企業にさらに売却された)。

Onboardの仕組みは、エプスタイン氏が簡潔に説明している。「顧客層の変数を定めるのです。計画タイプが違えば、企業のやり方も変わるからです」(たとえばAPIを使うか、コードスニペットを使うかなど)。その後、OnboardはSaaS企業と協力して、できればセールスの過程で収集した必須要件を含めた全体的なタスクリストを作り、担当者、期限、警報、通知を含む動的なタスクのドロップダウンリストの作成を支援する。

基本的にセルフサービスの製品であるため、責任の所在が明確になる。しかし導入過程においては、最終的に同社と顧客企業との「共同責任」になるとエプスタイン氏はいう。同社はさらに、洗練された通知レイヤーの開発にも取り組んでいる。相手に不快感を与えることなく、自動的に計画の進捗を促すというものだ。

従業員5人のこの会社では、現在行われているベータテストの数十社の参加企業からは料金を受け取っていない。収益化の段階へシフトチェンジする前に、製品をしっかりしたものにしておきたいのだとエプスタイン氏はいう。いずれは、ターゲットとする中堅規模の企業顧客から数百ドル(数万円)の月額料金と、人数につき月あたりの料金を徴収する予定だ(「とにかく業務用らしくならないように」と、エプスタイン氏は長期契約を控える方針を述べている)。

Onboardにも、競合相手がいないわけではない。それどころか、企業社会のこの問題が多い分野には、新しい企業が次々と生まれ出ている。それが、多くの新規顧客の悩みを悪化させていることを、共同創設者William Stevenson(ウィリアム・スティーブンソン)氏の話でエプスタイン氏は知り、注目した。Ambassadorでカスタマーサクセス担当副社長を務めていたスティーブンソン氏は当時、他企業の同じ役職の人たちと同様、Monday、Asana、Basecamp、Google Docsといった理想的とはいえない製品の寄せ集めに対処していた。

Ludlow Ventures(ラドロー・ベンチャーズ)のJonathon Triest(ジョナサン・トリエステ)氏も同じ問題点を熟知していた。Ludlow Venturesは2020年夏、Onboardのシードラウンドを密かに主導し、Zelkova VenturesとDetroit Venture Partnersを加えて125万ドル(約1億3200万円)を投資している。

画像クレジット:Onboard

「私たちのポートフォリオ全体を通して、特にB2BのSaaSセールスの企業は、常にそれを経験しています」とトリエステ氏。Ludlowのポートフォリオに含まれる企業は、「ソリューションの断片を繋ぎ合わせるか、自分たちのために作られたものではないツールの使用を強いられているのです」。

問題は、Onboardがライバル企業に先駆けて足場を築けるか否かだが、スタートを切るにあたって必要なものは揃っているとエプスタイン氏が自信を見せるのは、意外なことではない。つい先日、Ambassadorを退社した3人目の共同創設者Matt Majewski(マット・マジュースキー)氏も、Onboardの勢いを増してくれた。

自身の経歴も強い味方だとエプスタイン氏はいう。デトロイトの起業家であり、会社の売却に成功した彼の名前は、地元のみならず数多くの投資家の間に知れ渡っている(「私たちは小さな世界の大物になりました」と彼はいう)。

さらにエプスタイン氏は、投資家たちが「この分野には可能性がある」と気づいているという。しかも「共同出資者ではない、複数のベンチャー投資企業のパートナーから電話がかかってきました。LinkedInで第三者の人脈を辿ってきてくれた人もいます」

過去において「たしかにある程度の資金を調達した」が、これほどの額は初めてだとエプスタイン氏。「妙な感じ」だが「いい気分です」と話している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:OnboardSaaS

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(文:Connie Loizos、翻訳:金井哲夫)

評価額2170億円を超えるMambu、バンキングサービスを強化するSaaSプラットフォームに約140億円を調達

チャレンジャー銀行、既存の銀行、そしてあらゆる銀行サービスに参入してくる多くの企業には共通点がある。それは、クレジットラインや預金、当座預金などの新商品を立ち上げる際に、最近ではそうした多くの企業が一から作り上げるのではなく、サードパーティーのテクノロジーを利用してサービスを提供していることだ。米国時間1月7日、そのようなテクノロジーを提供する大手企業の1つが、事業拡大のための大規模な資金調達を発表し、この市場の成長を裏付けた。

Mambu(マンブー)は、ベルリンを拠点とするスタートアップで、SaaSバンキングプラットフォームを自称していて、銀行などにAPIを介して融資や預金などの銀行商品を強化するテクノロジーを提供している。マンブーは、1億1000万ユーロ(1月7日時点のレートで約1億3500万ドル、約140億円)のラウンドを終了し、この資金調達により、調達後の評価額は17億ユーロ(同20億ドル強、約2160億円)になることが確認された。

CEO兼共同創業者のEugene Danilkis(ユジーン・ダニルキス)氏は、この資金を利用して、すでに事業を展開している50の市場をより手厚く拡充し、南米やアジアなどの特定の地域にも力を入れていく予定だと述べている(「シリコンバレーは死んだのか?」という話題に注目している方へ。同社は、マイアミに米国オフィスを構える数多くのテック企業の1つだ)。

マンブーは前年比100%の成長を遂げているが、注目すべきは、同社が前回2019年に3000万ユーロ(当時のレートで約37億6000万円)を調達したときには50の市場をカバーしていたことだ。マンブーはそうした市場に投資し、事業を拡大していく予定だ。

今回のラウンドはTCV(ティーシーブイ)が主導しており、Tiger Global(タイガーグローバル)とArena Holdings(アリーナホールディングス)に加え、以前の出資者であるBessemer Venture Partners(ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ)、Runa Capital(ルナキャピタル)、Acton Capital Partners(アクトン・キャピタル・パートナーズ)も参加している。Netflix(ネットフリックス)、Facebook(フェイスブック)、Spotify(スポティファイ)などに投資を行ってきたTCVは、大規模な成長ラウンドへの投資を行うことで知られ、最近ではRevolut(レボリュート)Spryker(スプライカー)Mollie(モリー)Relex(リレックス)などへの投資を行い、ヨーロッパのフィンテックやeコマースの大手企業を支援することでも名を馳せている。

マンブーが注力する市場では、スマートフォンやウェブの利用増加を活用する銀行や金融機関のサービスの新勢力に大きなチャンスがある。

預金の入出金、ローン申請書の記入、個人やビジネスへの融資を最終的に判断する審査役との面会のために銀行のリアル店舗に行く必要がある時代は遠い過去の話だ。実際、そのような従来型の店舗の多くはもはや存在さえしていない。その役割は、アプリやウェブサイト、オンデマンドサービスが取って代わり、人々が時間とお金を費やすオンライン上に存在している。

ダニルキス氏によると、マンブーのプラットフォームは現在、約7000種類の銀行商品をカバーしている。これらの商品は、融資、当座預金口座、普通預金口座の3つの主要なカテゴリーに大別されるが、商品の数の多さは、今日の銀行サービスがいかに多くの方法や形態で提供されているかを如実に物語っている(例えばクレジットを例にとると、さまざまな種類のカード、店頭販売のペイレイター商品、ストレートローンなどを介してサービスを利用できる)。また、独自の商品に加え、TransferWise(トランスファーワイズ)のようなサードパーティーの金融サービスへのリンク、セキュリティなどの追加サービス(銀行のプラットフォームとしては当然のことだろうが)、「プロセスオーケストレーション」(ビジネスプロセス管理ツールの提供に等しい)のためのプラットフォームも提供している。

Gartner(ガートナー)の推計(マンブーが引用)によると、銀行系ソフトウェア市場の規模は1000億ドル(約10兆4000億円)を超え、2桁台の成長率で拡大している。マンブーの顧客リストを見ると、最近そのシェアの一部を争っている企業の顔ぶれが見えてくる。N26やOakNorth(オークノース)のようなチャレンジャー銀行だけでなく、Santander(サンタンデール)やABN Amro(エービーエヌアムロ)のような大手の既存銀行、Orange(オレンジ)のような通信事業者も含まれており、これらを合わせて約2000万人の顧客と約120億ドル(1兆2500億円)が管理下にあるとマンブーは述べている。

そして当然のことながら、大きな好機があるということは、マンブーのような企業にとって競合他社の数も増加していることを意味している。Rapyd(ラピッド)やUnit(ユニット)のような新しい企業だけでなく、昨年大規模な資金調達を行ったThought Machine(ソートマシン)Temenos(テメノス)、イタリアのEdera(エデラ)などがそうだ。SaaS銀行プラットフォームの分野に新規参入した企業が、事実上「既存」となった企業とどのように対峙していくのか、興味深いところだ。2011年に創立したマンブーは設立から10年を迎えようとしている。こうした動きは統合につながる可能性もある。

顧客リストに立ち戻ると、通信会社やネオバンクのような実際には金融サービス事業を行っていない企業が、APIベースのサービスを銀行業務に活用するというロジックが理解できる。そうした企業は金融サービス自体を提供する代わりに、金融サービスを提供するための質の高いアルゴリズムと、金融サービスを使いやすくするための高速なインターフェースを構築することに重点を置いている。この顧客リストに大手銀行も載っていたことは興味深い。その理由は、大手銀行も新興勢力に対して対抗策を練っているということだ。

「確かに、銀行は機能と能力を持っているが、新しいことを立ち上げるには、スピードやコストが問題となることが多い」とダニルキス氏は言う。「第2世代のシステムを持っている銀行もあるかもしれないが、多くはもっと古いシステムだろう。そして、金融商品の動作を変更することは、小さな変更でも問題が起きる可能性があるため、非常に困難でありリスクが高い。また、APIを使って動作するように設計されていないシステムを、他のシステムに接続することは不可能ではないにしても非常に困難であり、リアルタイムでの接続などは到底無理だ。特定のソリューションやサービスを、独自に構築することは不可能であるか、現実的ではない」。

TCVのパートナーであるJohn Doran(ジョン・ドラン)氏は、今回のラウンドでマンブーの取締役会に参加している。またマンブーは、一部の人からは既存の企業と見られているかもしれないが、その早期参入者としての立場を活かしてマーケットシェアを獲得しただけでなく、投資家の間でも持続力のある企業の1つとして注目を集めている。

「マンブーは、銀行のソフトウェアをクラウドに移行する機会をいち早く活用した企業の1つだ」とドラン氏は声明の中で述べ、次のように続けている。「従来、市場は大規模で動きの鈍いオンプレミスのベンダーに支配されてきたが、マンブーのチームは、数十億ドル規模で急速に成長しているこの市場において、高度に構成可能で完全にクラウドネイティブな製品を構築した。長年にわたってマンブーの発展を見守ってきたが、ユジーン氏とマンブーのチーム全員が世界中の顧客にサービスを拡大するための過程でパートナーを組むことができたことを本当に嬉しく思っている」。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:SaaS 資金調達

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

企業向けID管理のOktaがSaaSへのログイン統計発表、Office 365が(一応)トップ

企業向けにID管理とクラウドアクセスのインテグレーションを提供しているOktaは毎年、同社の認証システムを通じて何百万件ものSaaSアクセスを処理している。ありがたいことに同社はそのデータをベースにした年次報告書を発表してくれる。最新のレポートによれば、この1年でダントツの人気だったツールはMicrosoft 365(旧Office 365)だった。

アプリの人気は地域によって大きく違っていることに注意すべきだが、Office 365はグローバルでも国、地域別でも、要するにどの項目でもナンバーワンだった。レポート中の他のプロダクトではこういう結果が出ていない。つまりOffice 365は世界中で(少なくともOktaを使用している企業の間で)最も広く使用されていることが判明した。

クラウド関連の問題では常にそうだが、サインインした人数が多いというだけではOffice 365とMicrosoft(マイクロソフト)が全面的な勝者だと断定はできない。現実のクラウドは複雑な市場であり、ユーザーがあるツールを利用していて、直接ライバル関係にある別のツールを利用することを妨げるものではない。

たとえばMicrosoft 365のユーザーの36%が、よく似たオフィス生産性ツールであるGoogle Workspace(旧G Suite)を併用していることがレポートで述べられている。OktaはOffice 365のユーザーの42%がZoomを使用し、32%がSlackを使用していることも発見している。

Office 365のTeamsにもZoomに似たリモートワーク機能が無料でバンドルされていることを考えると、これは大いに注目すべき点だ。またGoogleハングアウトも利用者が多い。ユーザーは好みに合わせてツールを選び、ときにはほぼ同機能のライバルツールを併用することもあるわけだ。レポートによればOffice 365ユーザーのうち44%がSalesforce、41%がAWS、15%がSmartsheet、14%がTableau(Salesforceが所有)を利用している。ところがMicrosoftはこれらすべてのカテゴリーで競合プロダクトを持っている。

Microsoftはもちろん巨大企業であり、膨大な製品群を有している。しかしこのレポートはユーザーには「ブランド選考」はほとんどないことを示している。Office 365のファンだからといって、同社の他プロダクトのファンになるということはない。同種、同機能の製品カテゴリ内でさえブランドへの忠誠心はなく、ライバル製品の併用が普通に行われている。

レポートを読み進めると他のデータもとても興味深いことがわかってくる。もちろんこのレポートではSaaS全般の状況を知る決定的な窓ではない。あくまでOktaインテグレーションネットワーク(OIN)上でのSaaSの利用状況についての統計だという点は念頭に置くべきだろう(同社自身、調査手法の章でこの点を明確に認めている)。そうであっても非常に重要なレポートだ。

Oktaは「本レポートのデータは、あくまでOktaのユーザーを対象としたものであることに注意してください。この統計はOINを介してアクセスされたアプリケーションやサービス、またユーザーがそれらのサービスを介してアクセスしたツールに関するものです」と述べている。

そうであってもこの統計は9400社のOktaユーザーと6500種類のSaaSツールへアクセス状況を集計したものであり、当然同社はSaaSの現状について見解を得る非常に都合がいい立場にある。このレポートは貴重な資料だ。クラウドは複雑であり、決してゼロサムゲームではないという結論が引き出せそうだ。また多数の分野で勝者になっても全面的な勝者であることを保証するものではないことも判明した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SaaSMicrosoft 365Okta

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:滑川海彦@Facebook

顧客と会計士の体験を両方改善させるフランスの会計サービスPennylaneが19億円を調達

自動化されたプロセスと人間の会計士を組み合わせた会計サービスを提供するフランスのスタートアップPennylane(ペニーレイン)が、1500万ユーロ(約19億円)を調達した。既存も投資家のGlobal Founders CapitalとPartechが再び投資を行っている。

Pennylaneは、顧客の財務データを扱うSaaS企業であると同時に会計事務所でもある。会計士と直接仕事をすることで、同社のプラットフォームを介して担当会計士と話ができるということだ。すなわち財務データを一元管理できることになる。

同スタートアップは、顧客と会計士双方の体験を改善させたいと考えている。通常、会計事務所には毎月、あるいは四半期ごとにデータが送られてくる。会計士はファイルを開いたり、会計ソフトに情報を入力したりするために、膨大な時間を浪費している。

同様に、会計報告書もCEOやCFOにとってはブラックボックスで、そのデータを財務予測と可視化に活用することができていない。Pennylaneが狙っているのは、エクセルを使って会社の損益計算書を予測する必要性をなくすことだ。

Pennylaneで作業を開始する際には、まず自分のアカウントをすでに貴重な情報を持っているStripe、Payfit、Qonto、Zoho、Sellsyなどのサードパーティサービスと接続する。こうすることで、各サービスからデータを手動でエクスポートするだけではなく、情報を常に自動的に最新の状態に保つことができる。

ローンチから1年が経過したPennylaneは、550社のクライアントを獲得し200万ユーロ(約2億5000万円)の売上を達成した。現在、30人の会計士が同社のために働いている。

次は、より多くの企業、特に社内に会計チームを持っている企業や、すでに会計事務所と連携している企業を勧誘したいと考えている。Pennylaneのソフトを、顧客が自社の会計士から利用することもできるようにする予定だ。

Pennylaneは以前、Global Founders Capital、Partech、Kima Venturesから、シードラウンドとして400万ユーロ(約5億1000万円)を調達していた。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Pennylane資金調達SaaS

画像クレジット:StellrWeb / Unsplash

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(翻訳:sako)

企業がデータウェアハウスからより多くの価値を引き出せるよう支援するHightouchが2.2億円調達

Hightouchは、企業内のさまざまな営業やマーケティングのツール全体に対して顧客データを同期するSaaSのサービスだ。このほど同社は、ステルス状態を脱して210万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドを発表した。このラウンドをリードしたのはAfore CapitalSlack Fundで、これに多くのエンジェル投資家が参加した。

HightouchはY Combinatorの2019年夏季に参加し、今多くの企業が直面している顧客データの統合という問題の解決を目指している。

Hightouchの共同創業者であるTejas Manohar(テハス・マノハール)氏とJosh Curl(ジョシュ・カール)氏は、Segmentにいたとき、SnowflakeやGoogleのBigQuery、そしてAmazon(アマゾン)のRedshiftなど、データウェアハウスの成長を目にしてきた。顧客データのハブでもあるSegmentのデータも結局そこへ収まるのだ。企業がデータウェアハウスを採用すると、そこにはすべての顧客データが集まる中心的なリポジトリがある。しかし通常、その情報は分析のために使われるだけだ。そこでHightouchのチームは、Bessemer Venturesの投資家だったKashish Gupta(カシシュ・グプタ)氏とともに、データウェアハウスというトレンドにイノベーションを持ち込み、企業がそのすべての情報を活用できるようにしたい、と考えた。

HighTouchの共同創業者であるカシシュ・グプタ氏、ジョシュ・カール氏、テハス・マノハール氏

「データウェアハウスにはすべての顧客データがあるけど、それを分析目的だけに使っているのはあまり意味がない。たとえば企業にはさまざまな事業チームがあるのに、各チームがデータを有効利用していない。データは、マーケティングキャンペーンや製品の個人化にも活かせるはずだ。Hightouchは、そこに着目した。それは、データウェアハウスの爆発的な成長を見て、技術の進歩やアクセシビリティ、それに採用の面から着想したことだ。私たちの目標は、ウェアハウスが分析のためだけでなく、企業経営の多様なユースケースに奉仕できるようにすることだ」とマノハール氏はいう。

ビッグデータのデータウェアハウスプラットホームのすべてが、標準のクエリ言語としてSQLを使っていることが幸いした。それにウェアハウスのサービスはすでに、多様なデータの取り込みという問題を解決している。そこでHightouchは、テクノロジースタックのこの部分で苦労する必要がない。また、カール氏によると、Snowflakeやその競合企業はどこも、分析というユースケースを超えるものを提供していない。

画像クレジット:Hightouch

プロダクトとしてのHightouchは、ユーザーにSQLのクエリを作らせ、そのデータをさまざまなデスティネーションに送る。それはSalesforceのようなCRMシステムかもしれないし、あるいはMarketoのようなマーケティングのプラットホームかもしれない。クエリとデータは、事前にデスティネーションが期待する形式に変換される。

SQLクエリの名人がいる企業も少なくないが、Hightouchは一般社員がクエリを作れるために、GUIを提供している。そして中心的なユーザーはデータ担当チームであるため、彼らもクエリの結果をGUIで見て仕事をはかどらせたい。「ウェアハウスで使われているデータのモデルや集積構造がなんであっても、一般のビジネスユーザーがそれに十分アクセスできるようにしたい」とグプタ氏は説明する。

データがどのように利用されるかに関してはHightouch自身は関知しないが、現在、最も多いのはB2C企業だ。そこではマーケティングのチームがデータを利用することが多く、またB2B企業の営業も顧客データをよく利用する。

画像クレジット:Hightouch

「データウェアハウスの上にネイティブに構築されるツーリングという、新しいカテゴリーが生まれてきたと感じている。これまでは標準的なSaaSツールがまずあって、独自のデータストアがあり、ユースケースに応じて二次的なデータストアを管理していた。しかし我々が作ろうとしているのは、データウェアハウスに接続して、そのデータをさまざまな経営目的に利用するソフトウェアカテゴリーだ。それにはまだ正式の名前がないが、データエンジニアリングが向かう未来の方向性はそれだと信じている。SnowflakeやBigQueryのような今ある中央集権的なプラットホームに対して、構築されるものだ」とカール氏はいう。

またマノハール氏によると、新カテゴリーの名前は「ウェアハウスネイティブ」がいいのではないか、という。それが定着するか、見守ろう。

HightouchはY Combinatorのデモデーに参加した後に資金を調達したが、そのことはまともなプロダクトと市場適性を確立してから公表しようという話になった。現在の顧客はRetool、Proof、Stream、Abacusなどだ。そのほかの大企業も多いが、名前は公表できない。

関連記事:グーグルが英国のデータウェアハウス管理スタートアップDataformをひそかに買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:HightouchSaaS資金調達データウェアハウス

画像クレジット:zf L / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スパやサロンにクラウド管理ソリューションを提供するインドのZenotiが約166億円調達しユニコーンに

スパ、サロン業界向けのサービスを開発する創業10年のスタートアップZenoti(ゼノティ)がユニコーンの仲間入りを果たした。ワシントン州ベルビューに本拠地を構えるSaaSスタートアップである同社はシリーズDラウンドで1億6000万ドル(約166億円)を調達し、このラウンドで「10億ドル(約1035億円)を優に超える」額で評価された、と創業者でCEOのSudheer Koneru(スドヒア・コネル)氏は今週初めのTechCrunchとのインタビューで述べた。本ラウンドはAdvent Internationalがリードし、Tiger GlobalとSteadview Partnersが参加した。Zenotiの累計調達額は2億5100万ドル(約260億円)だ。

インド発のZenotiはヘルス・ウェルネス産業向けのクラウド管理ソリューションを構築した。同社のプラットフォームでは顧客が予約を入れた後にモバイルアプリから直接支払いできる。また、顧客が店舗に入るときにその旨をプロバイダーに知らせる。

Zenotiを利用するクライアントは、予約やデジタル決済の受けつけ、給与支払い、バックエンド在庫管理、顧客が渡すチップのスタッフの銀行口座への直接送金などができる。Zenotiは2010年に設立されたが、2012年にサービスを構築してから事業を開始した。

ZenotiのプラットフォームはERP(基幹系情報システム)とCRM(顧客管理)のツールを組み合わせている。これはヘルス・ウェルネス産業の実情を示している。この業界はZenotiが参入するまではそうしたサービスを十分に受けられておらず、サービスの提供が必要とされていた、とAccel(アクセル)のパートナーShekhar Kirani(シェカール・キラニ)氏はTechCrunchとのインタービューで説明した。

AccelはZenotiに最初に出資した投資家だった。さまざまな業界の人が使用する「水平的」サービスを構築したMicrosoft(マイクロソフト)やNotion(ノーション)といった企業のプロダクトと異なり、スパとサロンの業界は直面している問題を解決することに専念する「垂直的」プレイヤーを必要としていた、と同氏は説明した。Zenotiはそれを実行した。

早い段階でZenotiがインド国外の顧客を獲得できることはかなり明確になった。そして早期の賭けは正しいことが証明された。同社の売上高の60%は米国でのもので、その次に多いのが英国だ。Hand & StoneやGene Juarezなどを含む50カ国にまたがる1万2000超の事業所がZenotiのサービスを使っている。同社はハイエンドな事業所と協業している。

キラニ氏はZenotiの成功をインドにおけるSaaSの成長だと表した。世界第2位のインターネット市場であるインドはFreshworks、Zoho、MindTickle 、Chargebeeといったスタートアップを輩出したが、そうしたスタートアップの顧客の大半はインド国外だ。

パンデミックによって企業が事業の一部をデジタルに移行するようになり、Zenotiのサービスはここ数カ月でその有用性をこれまで以上に証明した。以前はデジタルサービスに対応していなかったスパやサロンのチェーンが次々とモバイルアプリを展開し、現金に頼らなくなった。

「サービス強化に役立てようと事業所はZenotiのテクノロジーを使っています。また同社が昨年達成した成長に感銘を受けています」とAdvent InternationalのマネジングディレクターEric Wei(エリック・ウェイ)氏は声明で述べた。

パンデミックにもかかわらずZenotiは2020年、これまでで最大となる100%の成長を達成し、顧客になりたがっている事業所は数多くある、とコネル氏は話した。同氏はこの勢いを来年も維持したいと考えている。またZenotiの従業員はスパ、サロン産業の労働者に25万ドル(約2600万円)を寄付している。

約550人を雇用するZenotiはエンドカスタマーから儲けているわけではなく、事業所にサブスク料金を課している。以前、マイクロソフトで働き、オフラインのスパ事業に投資していたコネル氏は、Zenotiが現在のところまだ黒字化を達成していない一方で、利ざやは改善し、売上高の成長は加速していると述べた。具体的な数字は明かさなかった。

Zenotiは新たに調達した資金をグルーミングなどの部門へのサービス拡大に使う予定だ。ここ数カ月で、同社はジムやフィットネスセンターなどへのサービス提供も開始した。また、M&A機会の模索にも前向きだとコネル氏は話した。そうした買収がテクノロジー・タックの拡大ではなく同社の顧客成長の原動力になることが理想だ、とも語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ZenotiSaaS資金調達

画像クレジット:Manny Carabel / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

SaaS購入・管理支援スタートアップのCledaraが約3.5億円の追加資金を調達

企業の膨大なソフトウェア・サブスクリプションの実行可能性を高め、その管理を支援するSaaS購入・管理プラットフォームのCledara(クレドラ)は、340万ドル(約3億5000万円)の追加資金調達を行った。

このラウンドはNauta Capitalが主導し、既存の投資家であるAnthemisが参加。その背景には、このスタートアップが2020年に20倍も収益を成長させていることがある。Cledaraは具体的な数字を公開していないが、2020年8月からだけで7倍も伸びている。

Cledaraは、2018年7月にCristina Vila(クリスティーナ・ヴィラ)氏が設立した会社で、企業がSaaSの利用状況や支出を追跡・管理できるようにするためのソフトウェアを開発しており、その中には資金が十分に使われているかどうかを理解するのに役立つ分析も含まれる。ヴィラ氏は、ロンドンのフィンテックであるDopayで働いていたときにSaaSの管理問題を直接経験した。また、彼女の共同創業者でCOOを務めるBrad van Leeuwen(ブラッド・ヴァン・ルーウェン)氏は以前、バンキングプラットフォームを展開するRailsbankの重役だった。RailsbankもCledaraの顧客の1つだ。

Cledaraのもう1つの特徴は、従業員や外部のチームが適切なSaaSを自由に購入できるようにするための無制限の仮想デビットカードを発行していることだ。これには、管理者が事前にすべての購入を承認し、全員が何を購入しているかリアルタイムで更新される情報にアクセスできるオプションが含まれる。Cledaraの収益の一部は、このカードの利用による交換手数料と、有料サブスクリプションによるSaaSモデルによって得られている。

Cledaraを利用している顧客は全部で100社を超え、その中にはFlorence.co.uk、Unmind.com、Butternut Boxなどが含まれる。Cledaraの顧客は、ソフトウェアの使用量を最大30%削減できる一方で、SaaSの請求書との格闘や簿記、「一般データ保護規則や決められたフィンテックに対するアウトソーシング規制への準拠」など、手作業で管理すれば膨大な時間が掛かる作業を毎月「何時間も」節約できると、同社は主張している。

画像クレジット:Cledara

Cledaraの製品は英国、フランス、アイルランド、ドイツ、スペインなど欧州20カ国以上で販売されている。今回の投資はその製品の成長を加速させ、米国への進出計画を含むさらなる国際的な拡大のために活用すると、同社では述べている。

「成長を加速し続けるためは、チームの成長が不可欠ですが、先月はいくつかのボトルネックのために、顧客のオンボーディングを遅らせなければなりませんでした」とヴァン・ルーウェン氏はいう。「 来年半ばまでにサポート、サクセス、プロダクト、エンジニアリング、コンプライアンス、マーケティング、セールスなど、ビジネスのあらゆる部分でチームを4倍に成長させる予定です。今回のラウンドでは、そのための資金を調達することができました」。

その新たな従業員の半分以上は、バルセロナで雇用することになるだろう。Cledaraは4カ月前にスペインオフィスを開設し、英国のEU離脱以後に英国以外の国からも人材を確保できるようにしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Cledara資金調達SaaS

画像クレジット:Cledara

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Juggleが210万ドルを確保、上級管理職の「柔軟な働き方」を促進するSaaSマーケットプレイスの拡大を目指す

ご存知の通り、世界はCOVID-19パンデミックによって大きく様変わりし、一部のスタートアップ企業はビジネスモデルの軌道修正を余儀なくされている。一方で、創業当時は夢にも思わなかったものの、自社のビジネスモデルがこんな時代にほぼぴったりであることが明白になった企業もある。

わかりやすい例として、SaaSマーケットプレイスのJuggle(ジャグル)がある。元々はエグゼクティブレベルの女性が結婚や出産の後に仕事に柔軟に復帰しやすくするためのマーケットプレイスとして設計されたもので、その後さらに、自由に働きたい人やそういったタイプの人材を必要とする雇用主も対象に市場を広げてきた。パンデミックによって世界が一変した今、最も重要とされているのがまさにこの「柔軟性」である。

Juggleの発表によると、同社は英国と米国の投資家から210万ドル(約2億2千万円)の資金を集めたという。これには、英国有数のエンジェル投資家が含まれているほか、Oxford CapitalSocial Capital7percent Venturesも名を連ねている。その他にも、Oculusを支援したAndrew Gault(アンドルー・ゴート)氏、シリアル投資家のAndreas Mihalovits(アンドレア・スミハロヴィス)氏、Magic Ponyを支援したAndrew J. Scott(アンドリュー・Jスコット)氏、Casperを支援したCharlie Kemper(チャーリー・ケンパー)氏、Charlie Songhurst(チャーリー・ソングハースト)氏、Uberの初期メンバーのCurtis Chambers(カーティス・チャンバー)氏、企業家で投資家のPip Wilson(ピップ・ウィルソン)氏、東海岸投資家のRajiv Kapoor(ラジーブ・カプール)氏といったそうそうたる顔ぶれがそろう。

リモートワーク、パートタイム、役割分担など多くの企業が柔軟な働き方へ移行するのに伴い、Juggleは「9時から5時」の勤務時間を基本とする人たちではないプロフェッショナルと企業を結び付けている。

仕事における柔軟性とは、働く時間や場所はもちろん、ジョブシェアリングなどの働き方にも及ぶ。英国の1996年雇用権利法により、26週間以上勤務している従業員には理由に関係なく、柔軟な働き方を要求する制定法上の権利がある。つまり、Juggleにとって状況はそろっている。Avivaの2019年のレポートによると、英国の従業員の5分の1は受け入れられるはずがないと柔軟な働き方を要求するつもりはなく、35%はより柔軟な働き方を雇用主に要求しづらいと感じている。しかし、従業員の5分の1以上がより柔軟な働き方を求めて転職または部署を異動しており、約半分は自分のワークライフバランスのニーズに合った新たな役職が提示されれば変わることも検討するという。つまり、こういった人たちの受け皿となるプラットフォームを用意すれば、同社は他の方法では働きたくないと考えている多くのプロフェッショナル達を拾い上げることができるだろう。

プロフェッショナル達は同サービスにサインアップすると、求人ツールを使って求職の申し込みをスケジュールして管理できるほか、コーチングやサポートも利用できる。またJuggleは「スマートマッチング」や柔軟な働き方に備えるための必要な事務処理の機能も提供する。求人にJuggleを利用する企業は、柔軟な働き方に確実に対応できるか事前に調査されるため、雇用主と雇用者の双方にミスマッチが生じることはない。

かつてヘッドハンターであったRomanie Thomas(ロマニー・トーマス)氏が創設したJuggleの基本使命は、2027年までに企業の経営幹部の50%を女性にすることだという。2017年の創業以来、Juggleによる全職業斡旋の62%が女性であった。

画像クレジット:Juggle

「これまでシニアエグゼクティブのヘッドハンティングで数々の成功を収めてきましたが、その一方で優れた社員が出産のために退職し、なかなか復帰できない様子を見てきました。企業は申し分のない候補者でも、個人の要望に合わせた契約設定が面倒なために採用を見送り、社員は自分にとって最も効率的で生産性の高い方法で働けるようにするための変化を要求することはありません。柔軟性を持つことで人々はエネルギーとスキルを最大限に発揮できるため、これを実現できれば雇用主にとって莫大な利益になります」とトーマス氏は述べている。

Juggleには同社のB2Bプラットフォームを使っている多様な企業が集まっており、Reallife Tech、Hopster、Hubble、White-Hatなどがクライアントに名を連ねている。

7percent Venturesの創設パートナーであるAndrew Gault(アンドリュー・ゴート)氏は次のようにコメントしている。「現在のパンデミックは私たちの仕事のあり方に今後もずっと影響を及ぼしていくことでしょう。私たちが重大な変化の瀬戸際にすでに立たされていたとき、Juggleは先手を打って先回りしていました。多くの雇用主や雇用者が柔軟な働き方に目を向けるようになった今、Juggleは企業と人材を適正にマッチングし、幅広い知識を提供して柔軟な働き方を実現する態勢を完璧に整えています。データによると、優れた柔軟性はだれにとっても有益であり、また優秀な女性たちに上層の役割に就いてもらえるようになるため男女格差にも大きな影響を及ぼすことになるでしょう」。

TechCrunchのインタビューでトーマス氏は次のようにも付け加えている。「この会社自体、私の個人的な挫折とヘッドハンターをしていて企業の経営層に女性がいないことを肌で感じていたことから生まれました。企業にあるのは男性用の回転ドアだけのように見えました。男女比を均等にするには柔軟な働き方が重要です。Juggleで私たちが扱うセグメントは技術的なものではなく、一般的には技術プラットフォームの対象外です。しかし、プロフェッショナルが柔軟な働き方でキャリアを積上げられる環境を作ることには、製品としてのチャンスがあります。問題は実際には女性ゆえの問題ではなく、人間の問題なのです。私たちが女性ばかりに注目してしまうと、私たちがやっていることはすべて男女の役割を固定させてしまうことになります」。

同氏によるとJuggleは、現代の労働者の需要に適応していない従来型の人材紹介業界にもその手を伸ばすつもりだと言う。「私たちが直面している労働力の問題は技術プラットフォームを使って解決する必要があります。そもそも問題を作った従来型の業界だけでは何も解決しません」。

パンデミックを受けた今、性別や多様性に対する時代遅れの姿勢によって後れを取っているこれら既存の産業に立ち向かうスタートアップに終わりはないように思われる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:SaaS 資金調達 イギリス

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(翻訳:Dragonfly)

SaaS管理サービスのBlissfullyが中企業向けの総合的なITサービスに事業拡大

Blissfullyが2016年にローンチしたときは、企業が自分の会社でSaaSをどのように利用しているか、その理解を助けることが仕事だった。しかし年月とともに同社は、特に中規模企業にはもっと幅広いニーズがあることを多く見てきた。米国時間10月8日に同社は「総合的なIT管理を提供していく」と発表した。

同社の共同創業者でCEOのAriel Diaz(アリエル・ディアス)氏によると、同社は当初SaaSの使われ方を調べるサービスを企業に提供していたが、やがて新入社員の研修や一般社員の退社の処理などにも手を広げることになり、そこで本日、総合的ITサービスへの転換を図った。

ディアス氏は「会社を始めたときの私たちのビジョンは、SaaSの時代にはITが変わる、というものだった。そこで最初のステップでは、SaaSの管理に関するものなら何でもやった。そしてその次のステップは、幅広いIT管理のビジョンという枠組みの中で、それをやっていくことになる」と説明する。

Blissfullyは、マインドシェアと支出および管理の面で、SaaSがITのますます大きな部分になっていく、と考えていた。その信念は、正しかった。そして今は、その最初の考えをもっと大きなIT管理機能に広げて行くべきときだ。

そこで本日リリースされた新しい拡張プラットホームは、これまでずっと提供してきた初期からのSaaS管理だけでなく、4つの新しいカテゴリーを提供していく。

第一は、ITの資産管理だ。「今の弊社はSaaSアプリケーションだけでなく、ハードウェアデバイスや従来からあるソフトウェアも含む顧客のすべてのIT資産を調べる能力を提供している」と同氏は語る。

そしてその次が、ヘルプデスクの管理とそのチケット発行を通じて、SaaS管理のワークフローからこぼれるようなリクエストを処理することだ。また役割ベースのアクセスコントロールにより、さまざまな人がさまざまなIT管理サービスにアクセスできるようにする。新型コロナウィルスの感染蔓延のために自宅からトラブルシュートやIT問題の管理をせざるをえない状況では、このコントロールが特に重要だ。最後の4つ目は、APIを公開して企業のITがそれを利用できるようにすること。それにより、機能性やワークフローのカスタマイズをBlissfullyのプラットホーム上でできるようになる。

ディアス氏は同社が「SaaSの管理では成熟点に達し、中企業のための拡張ITサービスの必要性が目の前にある」と言う。それは、大企業ならServiceNowのような企業から得ているサービスだ。

Blissfullyの新しいサービスは、米国時間10月8日から利用できる。

関連記事:Blissfullyが全てをサーバーレスで行うと決めた理由

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Blissfully、SaaS

画像クレジット:Alistair Berg / Getty Images
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米株式市場は再び暴落、SaaS株が最大の打撃を受けている

ほんの数日前まで「株価は上がる一方」だの「いや、Tesla(テスラ)が株式分割で値上がりするのは理にかなっている」など株式市場に関するオンラインニュースの見出しはどうでもいいものばかりだった。しかし、米国時間9月4日と昨日、すべては地獄に堕ちた。

つまるところ株は下がるものであり、そのときはものすごく速い。そして、ひどいスランプに耐えられるテスラでさえ、時価総額で何百億ドルも失っている。

何が起きているのか?1つに理由に絞るのば不可能だが、米国が今も新型コロナウイルスの影響を受けていること、高い失業率や関連する問題が広く経済を蝕んでいることは間違いない。

アップデート:本稿執筆中に、Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)とWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、ソフトバンクによる巨大な投資が、テック株高騰の少なくとも一部の理由であったと報じた。もちろんTechCrunchはいまもこの件を追究しているが、上記の段落を補うために書かせてもらった。

米国株式市場はここ数日史上最高値の更新を続けていた。おそらく、今のところこの2日間の暴落が起きるまでなぜそんなに好調だったかを問うべきだろう。中でも国内のテック関連株が。

関連記事:Palantir’s concentrated governance is great for execs, but what about shareholders?(未訳記事)

そして、大部分の報いを受けているのは、将来の成長を期待されていた一部のテック企業だ。そう、SaaS(サーズ、サービスとしてのソフトウェア)株とクラウド株は売上マルチプルが限界点に達するかのような歴史的好調を続けた後、1週間ぶんの利益を失った。

米国時間9月3日のダメージは深刻だった(CNBC記事)。

  • ダウ平均:808ポイント安、マイナス2.8%
  • S&P 500:126ポイント安、マイナス3.5%
  • Nasdaq:598ポイント安、マイナス5%
  • SaaS・クラウド株(ベッセマー指標による):マイナス8.2%

これはとんでもない事態だ。そして9月4日も相当にひどいが、以下の数字には最安値からの反発結果も含まれている。

  • ダウ平均:381.3ポイント安、マイナス1.35%
  • S&P 500:69.5ポイント安、マイナス2%
  • Nasdaq:403.2ポイント安、マイナス3.5%
  • SaaS・クラウド株(ベッセマー指標による):マイナス6%

テック株は最悪の打撃を受けている。そしてテック株の中でもSaaSとクラウド株はさらにひどい下落を体験している。以前本誌は、一部のテック株は成長が投資家の機会を裏切ったときに報いを受けると指摘したが、今はSaaS分野全体が成長の期待を裏切っているのかもしれない。

強気筋は、この値下がりはほんの数週間分の利益であり、加速するデジタルへの転換はSaaSの強い追い風になっているというかもしれない。弱気筋は、これはテック株の大幅下落の始まりであり、これまでが高すぎただけだったと言うかもしれない。確実に言えるのは、ソフトウェア株は予想外の暴落の中にあり、われわれが気にかけているその他の株も似たような状況にあるということだ。

9月7日月曜日は株式市場が休みなので、果たしてこの出血が止まるか、そのまま続くのかは8日火曜日に見ることになる。

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SaaSアプリのセキュリティプラットフォームAdaptive Shieldが約4億円調達

テルアビブ拠点のセキュリティスタートアップAdaptive Shield(アダプティブ・シールド)が8月12日、ステルスモードから抜け出してVertex Ventures Israelがリードする400万ドル(約4億円)のシードラウンドを発表した。Adaptive Shieldのプラットフォームは、企業がセキュリティ問題対策としてさまざまなセッティングを定期的にスキャンすることでSaaSアプリケーションを保護するのをサポートする。

同社の共同創業者2人はイスラエル国防軍で出会った。そこで彼らはサイバーセキュリティについて訓練を受け、その後、Adaptive Shieldを立ち上げる前に数多くのセキュリティ企業で働いた。Proofpointでクラウド研究を率いていたAdaptive ShieldのCEOであるMaor Bin(マオール・ビン)氏は、取り組んでいる企業が少ない喫緊の問題としてSaaSセキュリティを掘り下げることに決めた、と筆者に話した。

写真は9つのアプリがAdaptive Shieldプラットフォームにモニターされている例。各アプリのトータルスコア、影響を受けているカテゴリーやフレームワーク、スタンダードが含まれる(画像クレジット:Adaptive Shield)

「周囲にある問題をみると、重要で緊急の問題を解決したいと思う」とビン氏は話した。「ビジネスアプリケーションよりも大事なものは何か。全ての情報がそこにあり、人々が毎日オンプレミスインフラをクラウドに移動させるのを目にしている」

企業が独自のセキュリティセッティングや利用者権限のあるさまざまな種類のSaaSアプリケーションを受け入れるにつれ、セキュリティチームは往々にして手一杯になるか、あるいはシステムオーナーではなく、アクセスすらできないかもしれないためにシンプルにこうしたSaaSツールにフォーカスしなくなる、とビン氏は主張する。

「あらゆる企業が今日、変幻自在のセキュリティリスクを解決せずにSaaSサービスをかなり使用している」とVertex Ventures IsraelのゼネラルパートナーEmanuel Timor(エマニュエル・チモール)氏は話す。「我々はこの複雑な問題を優雅に解決するAdaptive Shieldのビジョン、そして顧客の関心のレベルと素早いソリューション受け入れに感銘を受けている」。

オンボーディングは至って簡単だ、とビン氏は筆者に示した。SaaSアプリでユーザーを登録し、Adaptive Shieldを通じてサービスにログインする。同社は現在、GitHub、Office 365、Salesforce、Slack、SuccessFactors、Zoomなどを含む標準的なSaaS企業アプリケーションのほとんどをサポートしている。

「最も重要な差別化要因の1つは当社がサポートするアプリケーションの数だと考えている」とビン氏は述べた。

Adaptive Shieldはすでに有料顧客を抱え、ここにはさまざまな分野のFortune 500企業も含まれる。同社はまた、世界が新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに見舞われる前にクローズした資金の一部を、顧客のためのさらなるインテグレーション構築にすでに注いでいる。ラウンドがクローズするやいなや同社はすぐさま採用を開始し、現在は米国での販売を担う初の人材の採用プロセス中だ。

画像クレジット: Doron Letzter

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(翻訳:Mizoguchi