フロリダ州の「禁止の禁止」令はSNS企業の言論の自由の試金石となる

フロリダ州のRon Desantis(ロン・デサンティス)知事は、ソーシャルメディア企業が州議会候補や報道機関による利用を禁止する行為を制限する法案に署名した。これは企業に与えられた言論の自由の権利に真っ向から挑戦するものだ。同法が法廷で異議を唱えられることはほぼ確実であり、違憲であるだけでなく連邦法とも直接衝突する。

その法律、フロリダ上院法案7072は、テック企業とソーシャルメディア企業に新たなチェック項目をもたらす。いくつか例をあげると以下のとおりになる。

  • プラットフォームは州議会候補の利用を禁止あるいは優先度を下げてはならない
  • プラットフォームは一定の規模要件を満たす報道機関の利用を禁止あるいは優先度を下げてはならない
  • プラットフォームは管理プロセスに関して透明でなくてはならず、ユーザーに管理行為の通知を送る必要がある
  • ユーザーおよび州は同法に違反する企業を訴訟する権利をもつ。一部の違反に対しては1日当たり最大25万ドル(約2700万円)の法定罰金が課される。

この法律が該当企業の管理手続きに影響を与えることは明らかだ。しかし、そうすることが検閲(政府による実際の検閲であり、しばしばこの用語が使われる一般的概念における制約のことではない)につながるかどうかは定かではない。明白なケースであれば、上院法案7072に対する法的行為によって強制される可能性は高い。

これに関する状況の前例と分析は膨大な数に上るが「ソーシャルメディアによる管理プロセスが憲法修正第1項によって保護されるかどうか」の問題はは未解決だ。法学者や判例は強く「イエス」に傾いているが、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が例示できるような決定的な前例は存在しない。

この言論の自由論争の要点は、ソーシャルメディアは新聞や出版社とは大きく異なるが、政府の介入からは概ね同じように憲法によって保護される、という主張に始まる。「言論の自由」は驚くほど自由に解釈される用語であるが、もし企業がお金を使うことがアイデアの保護された表現の1つであるとみなされるなら、その同じ会社がコンテンツを公開するか否かのポリシーを適用することも同様であるべきだと容易に想像できる。もしそうであれば、当局は保護されない言論の非常に狭い定義(満員の劇場で「火事だ」と叫ぶことなど)を越えて介入することは禁止される。これはフロリダ法の憲法に基づく根拠を崩すものだ。

もう1つの衝突の相手は連邦法、具体的にはかなり話題になった通信品位法230条で、企業を発信するコンテンツの責任から守る(代わりにクリエイターが責任を持つ)ものだ。さらに、企業自身の選んだルールに基づいてコンテンツを削除することも選択できる。同法の共同提起人であるRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員(民主党・オレゴン州)が指摘するように、これは企業に盾と剣の両方を与え、彼らはそれを使ってプラットフォームにおけるリスキーな発言と戦うことができる。

しかし上院法案7072は、その剣と盾の両方を奪う。誰を管理できるのかを制限し、さらには残された管理行為に対する法的行為に関する新たな条項を加えている。

連邦法と州法とはしばしば矛盾をきたし、両者を調停する方法の教科書は存在しない。一方では、州で合法化されているマリファナ店舗や栽培者が連邦当局の手入れを受けている。もう一方では、強力な州レベルの消費者保護法が、もっと弱い連邦法に先んじらずにいる。なぜならそうすることが人々を危険に晒すからだ。

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第230条については、誰が誰を保護しているのか容易にはわからない。フロリダ州の現行州政府は「真のフロリダ人」を「シリコンバレーのエリート」から保護していると言っている。しかし、そんなエリートたち(率直に言ってまさしくそのとおり)はこれを、明白な政府の勇み足であり、文字どおりの検閲であると主張するだろう。

こうした強力な法的異議申し立ては、影響を受ける企業からの必然的な訴訟を引き起こし、おそらくその法律が発効される前に提起され、覆されることを目標とするだろう。

興味深いのは、同法の影響を受けないであろう2つの会社は、世界で最も大きく最も妥協しない会社、Disney(ディズニー)とComcast(コムキャスト)だ。なぜだろうか?それはこの法律には、一定規模の「テーマパークまたはエンターテインメント集合施設を所有する」企業に対する特別免除条項があるからだ。

そう、この法律にはネズミの形をした穴があり、Universal Studios(ユニバーサルスタジオ)を所有するComcastは、たまたまそこにぴったりはまっただけだ。注目すべきはこれが修正条項として付け加えられたことであり、州内の二大雇用者が、自分たちのいかなるデジタル財産に対してでも新たな責任を負わされるアイデアを喜ばなかったことが推察される。

地元献金企業に対するこの露骨な迎合は、同法の推進者たちをエリートとの正義の戦いで倫理的に不利な立場に追い込むものだが、その効果も、数カ月後に現在起草されているであろう訴訟が起きた時には、上院法案7072対する禁止命令が施行意味をなくすだろう。

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タグ:フロリダSNS言論の自由

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

英国が子どものためのオンライン安全法案の草案を発表

英政府が、オンライン上のコンテンツや言論を規制しようと長きにわたって議論を進めてきた(子どもの)「安全確保」計画を公開した。

Online Safety Bill(オンライン安全法案)制定に向けた動きは、数年にわたって続いていた。以前の計画では、子どもがオンライン上の不適切なコンテンツにさらされることを防ぐ目的もあり、英国内でオンラインのポルノにアクセスする際の年齢確認を義務化する試みがあったが、こちらは非現実的として広く批判され、ひっそりと取り下げられた

当時の英政府は、オンライン上のさまざまな危険を規制する包括的な法案の策定に注力すると述べた。今回、それが達成された様子だ。

145ページにわたるオンライン安全法案は、123枚の補足資料と146枚のインパクト評価とともに、gov.uk(英政府の公式ウェブサイト)のこちらのウェブサイトにて公開されている。

本草案では、ユーザーがオンライン上で違法および / または有害なコンテンツにさらされる危険を防ぐため、ユーザーが生成したコンテンツの管理義務をデジタルサービスプロバイダーに課している。

英政府はこの計画を世界においても「画期的」なものと位置付け「テクノロジー企業が新時代で負う義務の先駆けであり、オンライン界に公平さと責任をもたらすもの」と主張している。

批評家は、プラットフォームによる過度な検閲を促すことで表現の自由が脅かされるだけでなく、提出法案がデジタル企業にとって法務および業務上大きな負担となるため、技術革新の減退につながる可能性があると警鐘を鳴らしている。

議論が本格化するのは、これからだ。

本法案は今後、下院議員による合同委員会で徹底的に調べられたのち、年内には最終版が正式に議会に提出される。

本法案が施行されるまでどのくらいの時間がかかるのかはまだ不透明だが、英政府は議会の過半数を獲得しているため、世間で大騒動が起きたり与党内で多数が反対に回ったりしない限り、オンライン安全法案は確実に制定の道をたどるだろう。

デジタル相のOliver Dowden(オリバー・ダウデン)氏は声明でこう述べている。「本日発表した画期的な法案は、英国が世界を率いるリーダーであることを示すものだ。この法案はテクノロジー企業が新時代で負う義務の先駆けであり、オンライン界に公平さと責任をもたらすものである」。

「私たちは、我々の権利を保護する新たな措置を通じてインターネット上で子どもたちを守り、ソーシャルメディアで見られる人種差別的発言を厳しく取り締まることで、真に民主的なデジタル時代を切り開いていく」。

英政府がオンライン安全法案の草案を作成する上で要した期間の長さは、法によって「インターネットを規制」する試みがいかに困難かという点を裏づけている。

DCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省)の広報担当者は、以前「インターネットを安全にしようとする政府の奮闘」についてうっかり漏らしたことがある。英国のオンライン安全法案をめぐる勝者と敗者が誰になるのか、現在はまだ疑問だ。

安全性か、民主主義か

本計画に関するプレスリリースにて、デジタル・文化・メディア・スポーツ省はこの「歴史的な法令」が「子どもたちの安全を守り、人種差別を撤廃し、オンライン上の民主主義を保護する」と主張する。

とはいえ、壮大な目標がいくつも並んでいることからわかるように、関連する分野の範囲はとても広いだ。規定の間で矛盾が生まれ、法令の一貫性が失われてしまえば、失敗のリスクも非常に高い。デジタル企業の業務にも、必要なコンテンツにアクセスしようとするインターネットユーザーにとっても足かせとなってしまう。

本法案は広範囲に適用される模様だ。大手のテクノロジー企業やソーシャルメディアサイトにとどまらず、ユーザーが生成するコンテンツをホストしたり、単にオンラインで人と対話するサービスを提供したりするさまざまなウェブサイト、アプリ、サービスが対象となる。

サービスの領域では、違法コンテンツおよび(大手サービスの場合は)有害なコンテンツを削除および / または制限する法的義務が課せられ、ユーザーを保護する義務を怠った場合は多額の罰金が命じられる可能性がある。さらには、子どもの性的搾取に該当するコンテンツについては、警察に報告する義務も課せられる。

放送メディアと通信分野の取り締まりを担当する英国の通信監視機関Ofcom(オフコム)は、本計画にて英国内のインターネットコンテンツの監視機関としての役割も担う予定だ。

オフコムはユーザー保護の新しい義務を怠った企業に対し、最大1800万ポンド(約28億円)または世界売上高の10%(のどちらか高額な方)を罰金として科す権限を持つ。

この監視機関は、サイトへのアクセスをブロックする権限も有するため、プラットフォーム全体を検閲する可能性も潜んでいる。

厳格なインターネット規制の制定を支持する活動家の一部は、役員階級の目を有害コンテンツ防止策の遵守にしっかりと向けるため、CEOに対する刑事制裁も法案に含めるよう英政府に圧力をかけている。大臣らはここまで厳格な措置の制定は予定していないものの、デジタル・文化・メディア・スポーツ省は、将来的には刑事犯罪での役員の起訴も検討するとし、こう補足している。「テクノロジー企業が安全性向上のための取り組みを強化しない場合、この措置を追って導入する可能性もある」。

インターネット上のプラットフォームに対する規制強化については、英国内の世論は大きく賛成に傾いている一方で、問題となるのは具体的な計画の詳細だ。

本計画は英政府が私有企業に言論の取り締まりをさせることになるため、人権活動家や技術政策の専門家らは、当初から本計画がオンライン上の表現を委縮させるのではないかと警告を重ねてきた。

法律の専門家も同様に、この枠組みの非現実性について警鐘を鳴らしている。「有害」といった概念、さらには新たに「民主的に重要」と位置づけられるコンテンツ(英政府は特定のプラットフォームに対し、これを保護する特別な義務を課そうとしている)の定義が困難なためだ。

わかりやすいリスクとしては、デジタル企業が負う膨大な法的責任の不透明さが挙げられる。英国内のスタートアップ企業の革新に加え、サービス提供状況は大きな影響を受けることとなる。

2019年のホワイトペーパーで公開された法案の前身には、表題に「有害」という単語が使われていた。その後、この単語はより穏やかな「安全」に置き換えられたわけだが、法的な面での不透明さは解消されていない。

法案の主眼は依然として「有害」とされる漠然とした何かを抑制することに向けられている。オンライン上のアクティビティにさまざまな形で関連または関係しているものが対象で、なかには違法なコンテンツもあれば単に不快なコンテンツも含まれる(対象の大半は、Instagramなどのプラットフォーム上で自殺に関するコンテンツが子どもにさらされた事例など、注目を浴びたメディア報道に基づいている)。

具体的な内容としては、いじめや暴言(オンライン荒らし)から、違法コンテンツ(子どもの性的搾取)の流布、単に子どもが見るには不適切なコンテンツ(合法ポルノ)まで多岐に及ぶ。

最新の草案を見ると、ある特定のオンライン詐欺(恋愛詐欺)もまた、英政府が法令で規制しようとしている危険の1つのようだ。

包括的な「有害」コンテンツの枠組みを作る英国のアプローチは、欧州連合のDigital Service Act(デジタルサービス法)とは対照的だ。デジタルサービス法は欧州連合のデジタル規則を改訂する目的でオンライン安全法案と並行して策定が進められており、こちらは違法コンテンツに注意が集中している。内容としては、連合内で違法コンテンツの報告手続きを統一すること、そしてeコマース市場で危険な商品が販売されているリスクに対処すべく、顧客の本人確認を必須とすることだ。

英国の法案がオンライン上の表現に影響を及ぼしかねないとする批判に対し、英政府は本日、人々がオンラインで自由に表現する権利を強化する措置を追加で講じると発表した。

また、この措置は英国におけるジャーナリズムの保護に加え、政治に関する民主的な議論を保護する役割も果たすという。

しかし、こうした条項が本来の法案と相反しているように見えることから、このアプローチにはすでに疑問の声が上がっている。

例えば、報道コンテンツの取り扱い方をめぐるデジタル・文化・メディア・スポーツ省の議論によると、ニュース発行社の公式ウェブサイトは法令の対象にはならない(サイトに投稿される読者のコメントも対象外)こと、また対象サービスにて共有された「一般に認知されているニュース発行社」の記事は、報道以外のコンテンツに適用される法的義務からは除外されることがわかっている。

プラットフォームに、報道コンテンツへのアクセスを保護する法的義務があるのは事実だ。(「つまり、『デジタルプラットフォーム』はコンテンツのモデレーションを実施する際にジャーナリズムの重要性を考慮しなければならないということだ。削除されたコンテンツについてはジャーナリストの控訴手続きを迅速に行い、報道コンテンツを恣意的に削除した場合はオフコムから責任を問われることとなる」とデジタル・文化・メディア・スポーツ省は述べている)

しかし一方で、英政府は「市民ジャーナリストのコンテンツはプロのジャーナリストによるコンテンツと同様の保護を受ける」とも述べているのだ。とすると「一般に認知されている」ニュース発行者(対象外)と市民ジャーナリスト(こちらも対象外)、そして単にインターネット上にブログ記事やコンテンツを投稿しているおじさん(おそらく対象?)のそれぞれの線引きは具体的にどのように行われるのか、見方は人によってさまざまだろう。

政治的発言を保護する取り組みは、デジタルサービスにおけるコンテンツモデレーションを複雑化することにもなる。例えば、人種差別的な意見を持つ過激派集団は、自身のヘイトスピーチや差別発言を「政治的意見」としてごまかすこともできるからだ(人種差別主義で有名な活動家も自らを「ジャーナリスト」と名乗るかもしれない)。

デジタル・文化・メディア・スポーツ省の声明によると、企業は「特定の政治的意見に対する差別をしてはならず、所属政党に関わらず、多様な政治的意見を平等に保護しなければならない」という。

「こうしたコンテンツを保護する政策は明確かつ現実的な規定と条件によって定める必要があり、企業がこの政策に従わない場合はオフコムによる強制措置を受けることになる」声明はさらに続く。「コンテンツのモデレーションを行う際は、企業は該当コンテンツが共有されている政治的背景を考慮する他、民主的に重要な場合はそれを高度に保護する必要がある」。

プラットフォームはこうした相いれない条件をすべてバランスよく遵守する責任を負うことになるというわけだ。今後、オフコムが表現の自由を尊重する形でコンテンツモデレーションを行うための行動規範が作成される予定だが、企業が何かミスをした場合はいつでもオフコムから多額の罰金を科せられる危険がある。

興味深いことに、英政府はFacebook(フェイスブック)が考案した「監督委員会」モデルを好意的に受け止めているようだ。この監督委員会では、委員らが「複雑な」コンテンツモデレーションの事例について判断を下す他、発言のニュアンスの取り違いやコンテンツの不必要な削除を招く恐れがあるとして、AIフィルターの過度な使用を抑制している(以前、テロ関連のコンテンツの削除を高速化する目的で、英政府がプラットフォームに対してAIツールの導入を強く求めていたことを踏まえると、非常に興味深い動きといえる)。

「本法案は英国に住む人々がオンライン上で自由に表現し、多元的かつ率直な議論に参加する権利を徹底的に保護する」デジタル・文化・メディア・スポーツ省はこう続けている。「対象に含まれる企業はすべて、自らの責任を果たすうえで表現の自由の保護を考慮に入れ、必要な措置を取らなければならない。これらの対策はオフコムが作成する行動規範で定められるものの、背景情報が重要となる複雑な事例については、人間の監視官を含める必要がある場合も想定される」。

「企業のサービスを利用する人には、正当な理由なくコンテンツが削除された場合に即座に控訴手続きを行う手段を用意する他、不当にコンテンツが削除された場合は、企業は該当コンテンツを再公開しなければならない。ユーザーはまた、オフコムに控訴することができ、こうした告訴はオフコムのホライズン・スキャニング、調査、および強制措置の大部分を形成する」声明はさらに続く。

「カテゴリー1のサービス『最大かつ最も一般的なサービス』には、追加の義務が課せられる。これらのサービスは表現の自由に与える影響について最新の評価を実施してそれを公開し、マイナスの影響がある場合はそれを最小限に抑える対策を行動で示さなければならない。これらの措置はオンライン企業の対策が限定的になるリスクを取り除く他、オンライン安全性の義務を果たすためにコンテンツを過度に削除する事態を防ぐものである。後者の例としては、AIのモデレーション技術が風刺などの無害なコンテンツを誤って有害と判断してしまう場合などが挙げられる」。

本計画においてわかりにくい別の要素は、法案にいわゆる「ユーザーが生成する詐欺」(偽の投資機会についてのソーシャルメディアでの投稿や、デーティングアプリでの恋愛詐欺など)への対応策が含まれていながら、広告、メール、偽ウェブサイトなどを使って行われるオンライン上の詐欺行為は対象外だという点だ。デジタル・文化・メディア・スポーツ省によると「本法案はユーザーが生成するコンテンツにおける危険に焦点を当てている」。

とはいえ、インターネットユーザーが簡単かつ低コストでオンライン広告を作成し、掲載できる(基本的に、Facebookをはじめとするプラットフォームは料金を払う人なら誰にでも広告ターゲティングツールを提供している)のなら、広告による詐欺を規制から除外する理由はあるのだろうか?

どうやら、ここでの線引きは無意味なようだ。数ドル(数百円)払って虚偽の情報を広めようとする詐欺行為は、無料のFacebookページで秘密の投資アドバイスをうたう投稿をする詐欺行為と比べて何ら変わりはない。

つまり、線引きがランダムでずさんな場合、規則の一貫性やわかりやすさが失われ、抜け穴が存在しやすくなるリスクが生まれてしまうのだ。

並行して、英政府は特に大手テクノロジー企業を規制するため、競争を促す壮大な事前規制制度の考案を進めている。大手プラットフォームの規制制度と、有害なデジタルコンテンツを広範囲で規制するオンライン安全法案の2つの枠組みがある中、双方で義務の矛盾や重複が生まれないようにする難題は、まだ前途に立ちはだかっている。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

インドがTwitterの同国政治家に対する「操作メディア」判定に異議、「インド型変異株」投稿削除をSNS各社に要請

インド政府は、Twitter(ツイッター)がインドの政治家のツイートを「操作されたメディア」と分類したことに強い異議を唱え、さらに新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及した投稿を削除するよう、ソーシャルメディア企業各社に別途要請した。

最初の通知は、インドの与党であるインド人民党(BJP)の広報担当者であるSambit Patra(サンビット・パトラ)氏のツイートが「操作されたメディア」とタグ付けされた2日後に行われた。このツイートの中でパトラ氏は、インドの最大野党であるインド国民会議が、新型コロナウイルスのパンデミックに対するインド政府の取り組みを脱線させるために、いわゆる「ツールキット」を使用している、と主張していた。インドの主要なファクトチェック機関であるAlt Newsは、パトラ氏の主張を否定した。

またTwitterは、BJPのソーシャルメディアを統括するPriti Gandhi(プリティ・ガンジー)氏、BJPの全国書記長であるSunil Deodhar(スニール・ディーダル)氏、マハラシュトラ州代表のVinay Sahasrabuddhe(ヴィナイ・サハスラブッデー)氏、デリーのBJP書記長であるKuljeet Singh Chahal(クルジット・シン・チャール)氏らが投稿した同様のツイートにもラベルをつけた。インド政府の通知では政治家らの名前は挙げられておらず、ツイートの内容も特定されていない。

インド政府は通知の中で、Twitterが「操作された(メディア)」とラベルをつけたツイートは、調査が行われていないにもかかわらず「偏見的に」そう指定されたとし「公平性と公正性」の観点から、このようなタグを削除するよう同社に「要請」した。

インド政府は、今回のTwitterの行為は「中立・公平」なプラットフォームとしての信頼性を低下させ「『仲介業者(intermediary)』としてのTwitterのステータスに疑問符をつけるもの」と述べている。最近発表された法律によると、TwitterやFacebook(フェイスブック)など、ユーザー数が数百万人を超える一定規模のソーシャルメディア企業は、インドでは「仲介業者」とみなされる。

Twitterは多くの市場において、ニュースメディアや独立したファクトチェッカー、あるいは独自の技術を引用して、より多くのコンテキストや訂正を提供するために数年にわたり一部の政治家のツイートにラベルをつけてきたが、同社の広報担当者はTechCrunchに対し、ノーコメントと述べた。

またインドの通信IT省は別の書簡で、ソーシャルメディア企業各社に対し、新型コロナウイルスの「インド型変異株」に言及した投稿を削除するよう要請した。

「これは完全に誤りです。世界保健機関(WHO)が科学的に引用している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のそのような変種はありません。WHOは、コロナウイルスのB.1.617亜種と「インド型変異株(Indian Variant)」という用語を、いかなる報告書においても関連付けていません」と、同省は2通目の書簡で述べている(その内容はロイターが最初に報じた)。

今回の通知は、世界第2位のインターネット市場であるインドにおいて、Twitterが直面しているジレンマを浮き彫りにしている。Twitterは1億人以上のユーザーを擁し、地元のスタートアップを多く支援している。かたやFacebookも、インドをユーザー数で見ると最大の市場と位置づけ、インド企業にさらに大きな投資を行っている

Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が率いるTwitterは、2021年、インドでいくつかの厳しい状況に直面してきた。2021年初め、ニューデリーの命令に一時的に従った後、インド政府の政策やNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相に批判的なツイートを投稿したアカウントを元に戻したことで、同社は同国政府から非難を受けた。

インド政府は2021年4月になって、新型コロナウイルスのパンデミックに関する政府の対応に批判的な投稿を削除するようTwitterとFacebookに命じたため、両者は再び公の場で対峙した。

今週初め、シンガポールは、新型コロナウイルスの新しい亜種が同国で発生したとする「ネット上のデマ」について、TwitterとFacebookに訂正を出すよう命じた

【更新】この記事は、2通目の書簡の詳細について更新された。

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タグ:インドTwitterSNS新型コロナウイルス

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Snapが提携企業からの情報を2.5億人が利用するソーシャルマップに追加するLayersを導入

Snap(スナップ)は、ユーザーが自分の周りの世界を、よりパーソナルに見えるようにしたいと考えている。

GoogleマップやApple(アップル)のマップなどの製品は、背景関係を考慮した洞察の質を高めるために長いことデータパートナーに依存してきたが、Snapはサードパーティーからの協力をSnap Mapにさまざまに組み合わせ、ユーザーが自分の関心事に合わせた地理的環境の視点を構築できるような、より実践的なアプローチをユーザーに提供したいと考えている。

米国時間5月20日のSnap Partner Summit(スナップ・パートナー・サミット)で発表された「Layers(レイヤーズ)」と呼ばれる新機能は、Snapから選ばれた開発者パートナーのデータを直接マップに追加することで、ユーザーは世界を特定の視点から見ることができるようになる。

「Layersによって、Snap Mapは単一の製品からプラットフォームへ進化します」と、SnapのBryant Detwiller(ブライアント・デトウィラー)氏はTechCrunchに語った。「最終的には、Snap Mapをより便利にしたいのです」。

Snap Mapは、自動車や道順ではなく、人や友人を中心にデザインされた、根本的にソーシャルな製品を目指している。Layersは、理論的には、Snap Mapのユーザーが関心事に合わせたポイントからマップの構成をカスタマイズできるようにするものだ。

同社によると、Snap Mapの月間アクティブユーザー数は約2億5000万人だという。

SnapによるTicketmasterの統合

SnapがWeChatのような「Minis」や「Games」を導入したときと同様、Layersでもパートナーシップに関してはかなりゆっくりとしたスタートを切っている。現在はまだ2社のみ、Ticketmaster(チケットマスター)と、レストランレビューサイトのThe Infatuation(インファチュエーション)との提携から始まったところだ。

TicketmasterのLayerでは、近くのコンサート会場で開催されるショーを分類し、Layerから新たに設置されたTicketmaster Miniに直接移動して、Snapchatアプリ内でチケットを購入することができる。The InfatuationのLayerでは、地図をスキャンして近くのおすすめレストランを探し、サイトに掲載されているリストやレビューを見ることができる。このようなパートナーシップは今後も増えていく予定だが、Snapが今すぐ開発者に広く門戸を開くことを計画しているわけではなさそうだ。

関連記事:SnapがARグラス「Spectacles」の新世代バージョンを発表

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タグ:Snap地図SNSアプリ

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターがユーザープロフィール刷新へ「About」タブ・代名詞・確認ステータスなど追加

Twitter(ツイッター)は、アカウント確認システムを一般に再ローンチするというニュースと同時に、Twitterのプロフィールに近日中にもたらされる一連の変更点をプレビュー公開した。新しいTwitterのユーザープロフィールには、名前、プロフィール画像、バナー、自己紹介などの機能に加えて、既存の「ツイート」「ツイートと返信」「メディア」「いいね!」のタブの左側に「About(情報、日本語UIでどう表示されるかはまだ不明)」タブが表示される。この拡張によりTwitterユーザーは、代名詞、場所、趣味など、自分自身についてより多くのことを共有できるようになる。

Twitterのアイデンティティ&プロフィールチームのリードデザイナーであるAndrea Conway(アンドレア・コンウェイ)氏は、次のように述べた。「(Twitterの)プロフィールは2014年以来、意義深い更新がされていませんでした。それからTwitterと世界の両方がどれだけ変化したかを考えると、ちょっとした驚きです。今日、当社は人々に自分自身を表現する方法をあまりたくさん提供しておらず、その結果、そのアカウントの質を理解したり、人々がTwitter上で誰を、そして何を信頼すべきかを判断するのに役立つシグナルの数が制限されています。さらに、デザインの観点からも、プロフィールのスペースが著しく不足しており、これを変えたいと思っています」。

画像クレジット:Twitter

Twitterはプロフィールを刷新することで、ユーザーが自分を表現する方法を広げるだけでなく、将来的には、プロフィールを同プラットフォーム上の他のエンゲージメント分野への新たなエントリポイントとすることを想定している。それは、トピックやスペースかもしれないし、それ以外の分野かもしれない。Twitterはこの点について詳しく説明していないが、、例えばクリエイター向けの新しい「Super Follow(スーパーフォロー)」ボタンを展開する際に(Instagramで使われる)「Link In Bio(リンクインバイオ)」のようなサイトビルダーに頼るのではなく、そのようなユーザーが自分についての情報を共有する手段が増えることは理に適っているかもしれない。

また、Twitterは、プロフィールを利用してユーザーエンゲージメントを高めることができると考えている。

「当社では、アカウントが誰であるか、そして彼らがプロアクティブに共有してきた情報だけでなく、(人物として)何に興味を持っているか知ることも重要だと考えています。なぜなら、あなたがそのアカウントに関心があるなら、彼らが何に興味を持っているのか知りたいだろうと思うからです。このスペースは、それを容易にする可能性を持っています」とコンウェイ氏は付け加えた。

新しい「About」タブでユーザーが自分の(ノンバイナリーを含む)代名詞を共有できるようになる他、デザインを一新したプロフィールには、他のフィールド、セクション、コンポーネントが追加されるという。

また、もう1つ注目すべき新機能として、自分のTwitterアカウントが確認済みかどうかを表示できるようになる。これは、あなたがメールや電話でTwitterアカウントを確認したことを意味する。これは信頼性を高めるためのシグナルになるか、または少なくとも、激しい議論になった時によく使われるTwitterの侮辱語「ボット」と呼ばれてトロールされるのを防ぐのに役立つ。これは、一定の正当性を示すことから人々が欲しがるブルーの「認証済み」バッジに該当しなくても、自分のアカウントを「認証」する1つの方法だ。

Twitterによると、現在のプロフィールにある、場所・生年月日・利用開始日・翻訳者バッジなど他のフィールドは、この新しい「About」タブに移動する可能性があるという。今後、Twitterはこのタブによって、人々がどのような情報をどのように共有するかについて、より柔軟に対応できるようになると考えている。

Twitterは新しいプロフィールが公開される時期を明らかにしなかったが「間もなく」と述べている。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokが一括でコメント削除とユーザーのブロックができるツールを公開

TikTok(ティックトック)は米国時間5月20日、クリエーターがオンライン上の誹謗中傷に対処しやすくするための機能を導入した。新しいツールは、コメントの削除とユーザーのブロックを一括で行えるもので、1件ずつコメントに対応する必要がない。ただしこのアップデートには賛否両論がある、なぜなら、実際には多くの反論や訂正がTikTokコミュニティから寄せられている自分の投稿を、あたかも好評であるかのようにクリエーターが印象づけることができるからだ。

Twitter(ツイッター)も過去に同様の問題に直面したことがあり、最終的には、投稿主に会話の管理権を与えることと、その判断をTwitterユーザー全体に委ねることの間をとった。Twitterの「Hidden Replies(返信を非表示)」機能では、投稿者は役に立たない失礼なコメントをクリックの背後に隠すことができる。つまり、コメント自体は削除されないが会話を妨害することは許さない。

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それに対してTikTokは、クリエイターに全権を委任する。これはFacebook(フェイスブック)近いアプローチで、Facebookでは自分のプロフィールに現れたものは何でも削除できる。自分の投稿につけられた気に入らないコメントも。

一括削除ツールのスクリーンショット。でも、このユーザーはなぜステキなコメントを削除しているのだろう?(画像クレジット:TikTok)

TikTokの選択はおそらく正しい。なぜなら、このソーシャルネットワークは主に動画を通じて会話するように作られているからだ。デュエットやスティッチなどのビデオフォーマットによって、TikTokユーザーはサイト上の別のコンテンツにリアクションしたり返信したりするだけでなく、クリエイターのプロフィールを褒め称える新たなコンテンツを作ることもできる。中にはこれを使って自分を有利にしようとするクリエイターもいる。彼らはまず自分と相容れないコンテンツを見つける。多くの場合「悪い意見」と誤情報に関するルール違反の間にあるものだ。つぎに、デュエットまたはスティッチ(あるいはグリーンスクリーン・デュエット)を使ってそのコンテンツの主題に対する自らの意見をシェアする。

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ただし、この方法は怒ったファンの軍団を他のビデオに送り込み、そこで元の投稿者に対する荒らしや嫌がらせを進行させる恐れがある(そういうリアクションが起きる可能性は、投稿に対する本人のスタンスと主題の政治的内容による)。

TikTokはそういう使い方を「遺憾である」と述べている。TikTokで一躍スターダムへと上りつめたティーンエージャー少女でフォロワー1億1600万人のCharli D’Amelio(チャーリー・ダメリオ)氏をはじめとする早くからのスターにとって、そういう面はたしかにある。ダメリオ氏は自らのオンライン人気の影の部分について話し始めていて、増え続ける批判にさらされてもはやTikTokで喜びを見いだすことは難しいと言っている。悪質な嫌がらせコメントボディシェイミング(体形をけなす行為)、さらにはインフルエンサーらの本質的に競争的で不誠実な行動への対応などだ。

新たな一括削除機能はこうした問題を解決するわけではないが、クリエイターはコメントセクションを一掃し、荒らしをすばやくブロックできるようになることで、自分のプロフィールの外見をある程度復旧できる。

新機能を使うには、コメントを長押しするか右上隅の鉛筆アイコンをタップしてオプションウィンドウを開く。そこで最大100件のコメントまたはアカウントを選択して、複数のコメントを削除または報告したり、ユーザーまとめてブロックすることができる。

TikTokは、新機能はまず英国、韓国、スペイン、アラブ首長国連邦、ベトナムおよびタイで公開し、数週間のうちに米国を含む全世界に展開する、と言っている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがご近所とつながる新機能「Neighborhoods」をカナダで提供開始

Facebook(フェイスブック)はご近所とつながったり、近所レベルのローカルニュースをキュレートする新機能の提供を始める。意外性のない「Neighborhoods」という名称の新機能は現在カナダで提供されており、間もなく米国のユーザーも試せるようになる。

TechCrunchが以前報じたように、Neighborhoodsは少なくとも2020年10月から技術上は使えるようになっていたが、使用はカナダ・カルガリーのリクルートされたユーザーに限定されていた。

Neighborhoodsでは、Facebookユーザーは別の専用サブプロファイルを作って、そこに趣味やカスタムの自己紹介を登録できる。自分で作ったご近所や現在地近くのご近所に参加して、置き配泥棒や最近の子どもたちについて文句を言ったり、あるいはNextdoorでやるようなことができる。

Nextdoorがモデレーションでかなり頭を悩ませていることを認識しているFacebookは、Neighborhoodsを「関連性があり、優しいもの」にするためにコメントや投稿をレビューするNeighborhoods専門のモデレーターを配置する、と話す。Neighborhoodsの中では、代理を務めるユーザーが会話をまとめたり始めたり、ときに軽いモデレーションをしたりするようだ。ブロック機能もついている。

プライバシーに関して、そこはFacebookだ。NeighborhoodsはFacebookから独立したアプリではなく、当然のことながらターゲット広告を表示するためにあなたのご近所での活動を共有することになる。

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タグ:Facebook広告SNSカナダ

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

女性向けソーシャルネットワーキングアプリPeanutがライブ音声ルームを追加

女性向けモバイルソーシャルネットワーキングアプリを提供するPeanutはこのほど、自社の製品に音声を統合し、Clubhouseの成功に続く最新テック企業へと変貌を遂げつつある。母親に焦点を当ててスタートしたPeanutは、妊娠、結婚、更年期を含むすべてのライフステージを通じて女性をサポートしており、ここ数年で大きく成長した。「Pods」と名づけられたボイスチャット機能を通じて、同社のアプリを利用する女性たちが、他のプラットフォームよりもサポート性が高く安全な環境で、より良質なつながりを築くことができると考えている。

もちろん、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、音声ベースのソーシャルネットワーキングへの関心が高まったこともあるだろう。家にこもっていた人々が、かつては対面でのネットワーキングやソーシャルイベントが果たしていたギャップの解消にそれが役立つことを見出したからだ。しかし、音声チャットソーシャルネットワーキングをリードするClubhouseは、同社のモデルがFacebookTwitterRedditLinkedInDiscordなどの企業が採用する機能に変わってしまうのを見てきた。

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これまでに生まれてきた数々のClubhouseのクローンと同様、PeanutのPodsもその基本的な機能を備えており、ミュートされたオーディエンスが話すために事実上「手を挙げる」機能や、絵文字リアクション、会話をモデレートして人々を会話に誘うホストなどの機能もある。同社は今のところ、会話が同社の規約に違反しないことを保証するために、音声ポッドの社内モデレーションを行っている。将来的には、他のモデレーターも追加する予定だ。(同社はアプリのその他の部分を管理するために24を超えるモデレーターに報酬を支払っているが、数日前の時点では、そのチームはまだ音声に関するトレーニングを受けていなかった)。

設計にはClubhouseとの類似点もあるが、Peanutが他のサービスとの差別化を図ろうとしているのは、こうした会話が行われる場所についてであり、安全と信頼を念頭に置いて作られた女性のためのネットワークという要素を重視している。また、影響力を追い求めることが参加の理由ではないネットワークという性質もある。

Peanutの創設者兼CEOのMichelle Kennedy(ミシェル・ケネディ)氏によると、従来のソーシャルネットワークは多くの場合、 いいね!の数、フォロワー数、青いチェックマークの認証バッチの付与といったことに依存しているという。

「ステータスと人気度に基づいています」と同氏はいう。「私たちがPeanutで見てきたのは、女性が互いに心から支えあっているという『思いやりの経済』だけです。『私にはX人のフォロワーがいます』というようなものではありません。私たちにはそのような概念すらありません。『私には支援が必要です; この質問があります、私は孤立しています、あるいは友人を探しています』というようなものです」とケネディ氏は続けた。

Peanut Podsでは、女性が安心してソーシャルネットワーキングを利用できるようにするための安全基準を引き続き強化するとしている。この焦点は特に、他の音声ベースのネットワークプラットフォームでハラスメント受けてきた一部の女性、特に有色人種の女性たちを引きつける可能性がある。

「伝えたいのは、私たちはコミュニティであり、基準を有しているということです」とケネディ氏は強調する。「ユーザーが基準を確保し、その内容をすべての人に通知することで、基準は非常に明確なものになります。意見を述べることはできますが、できないことがここに記載されています【略】ユーザーとして期待されることがここに示されています。それを実行した場合には報奨が与えられ、実行しなかった場合には退去を求められます」。

言論の自由についてはPeanutが語ることではない、と同氏は付け加えた。

「当社には基準があり、ユーザーのみなさまにそれを遵守するようお願いしています」とケネディ氏は述べている。

Peanutは将来的に、この音声機能を利用して、新しい母親を支援する授乳コンサルタントや不妊治療医など、特定の専門知識を持つ人々と女性を結びつけることを目指している。ただしこれらは、スピーカーがドローンを飛ばして繰り返し聴衆を拘束するようなレクチャーとはならないだろう。実際、Peanutの設計ではClubhouseの「ステージ」のようなコンセプトは採用されておらず、発言の有無にかかわらずすべての人に平等な地位を与えるものとなっている。

アプリでは、ユーザーがフォローしているトピックに基づいて興味深いチャットを見つけることができる。そして重要なのは、ミュートすることで他のトピックが表示されないようにできることだ。

Pods機能は米国時間4月27日からPeanutアプリに展開され、200万人を超えるユーザーに提供される。Peanutの他のサービスと同様に無料で利用できるが、将来的には、一部の有料プロダクトと合わせてフリーミアムモデルをローンチする予定だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Peanut女性SNS音声ソーシャルネットワーク

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

セキュリティーソフトClick Studiosが同社製品のデータ侵害に関するツイートを止めるよう顧客に依頼

オーストラリアのセキュリティソフトウェアハウス、Click Studios(クリック・スタジオ)は、同社が顧客に送付したデータ侵害に関するメールをSNSに投稿しないよう通知した。悪意あるハッカーが同社の看板エンタープライズパスワード管理ツールであるPasswordstateに偽のアップデートをプッシュ送信して、客のパスワードを盗めるようにした事象だ。

先週Click Studiosは、同社製のパスワードマネージャーに登録されている「パスワードをすべてリセットするよう」顧客に通知した。4月20~22日のある28時間に、ハッカーが悪意あるアップデートを顧客にプッシュ送信したためだ。悪意のアップデートは、アタッカーのサーバーにアクセスし、パワードマネージャーのコンテンツを盗んでアタッカーに送信するマルウェアを取ってくるように作られていた。

関連記事:アップデート機能を悪用した攻撃を受けPasswordstateが約3万の顧客に「パスワードをリセットするよう」警告

顧客向けのメールでClick Studiosは、アタッカーがどうやってパスワードマネージャーのアップデート機能に侵入したのかは言わなかったが、セキュリティ修正へのリンクは載せた。

しかし、侵害のニュースが明るみに出たのは、Click Studiosが顧客にメールを送ってから数時間後に、デンマークのサイバーセキュリティ会社、CSIS Groupが攻撃の詳細をブログに書いた後だった。

Click Studiosによると、Passwordstateは「2万9000以上の顧客」に利用されており、Fortune 500企業、政府、銀行、国防、航空宇宙をはじめとするほとんどの主要産業が含まれている。

Click Studiosは公式ウェブサイトの告知で「Click Studiosのメールをソーシャルメディアに投稿しないよう」顧客に求めている。更にメールで「悪人たちはソーシャルメディアを積極的に監視して、関連するアタックに利用できる情報を探している可能性があります」と付け加えた。

「悪人たちが侵入に関する情報を得て利用しようと、ソーシャルメディアを積極的に監視していることが予想されます。お客様においては悪人に使われる恐れのある情報をソーシャルメディアに投稿しないようお願いいたします。過去には、Click Studioのメール内容を模倣したフィッシングメールが送られるという事象が起こっています」。

侵害が発見されて以来、いくつもの告知を掲載したこと以外、会社はコメントや質問への回答を拒んでいる。

また、同社がこの侵害事象を、顧客のいる米国およびEU当局に伝えたのかどうかもわかっていないが、当地のデータ侵害通知規則は企業が侵害事象を報告することを義務づけている。EUのGDPR(一般データ保護規則)に違反した場合、企業は世界年間売上の最大4%を罰金として支払わなくてはならない。

Click StudiosのCEOであるMark Sanford(マーク・サンフォード)氏はTechCrunchの再三のコメント要求に答えていない。代わりに本誌が受け取ったのは、同社スタッフは「顧客の技術支援だけに集中しています」とするサポート部門からの定形自動メールだけだ。

TechCrunchは米国時間4月29日、サンフォード氏に再度メールを送って最新の告知に関するコメントを求めたが、返信はなかった。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Click StudiosPasswordstateパスワードマネージャーマルウェアパスワードハッキングサイバー攻撃SNS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがアプリ内でSpotifyをストリーミングできる新機能を導入、日本でも提供

Facebook(フェイスブック)は先週、アプリ内で直接音楽やポッドキャストを聴く新しい方法を導入しようと、音楽ストリーミングサービスSpotify(スポティファイ)とのProject Boomboxという提携拡大を発表した。そして米国時間4月26日、両社は新しい「ミニプレイヤー」エクスペリエンスとして統合の展開を開始した。この新機能では、FacebookユーザーはiOSとAndroidのFacebookアプリを通じてSpotifyからストリーミングできる。無料のSpotifyユーザー、プレミアム購読者いずれも利用可能だ。

関連記事:フェイスブックがSpotifyとの提携拡大を発表、新プロジェクト「Boombox」の一環で

ミニプレイヤーそのものは、Spotifyのアプリ内ですでにサポートされているソーシャルシェアリングオプションの拡張機能だ。現在、SpotifyユーザーがFacebookで共有したいコンテンツを聴いているとき、既存の「シェア」メニュー(スクリーン右上の3つのドットのメニュー)をタップし「Facebook」か「Facebook News Feed」を選べる。

ユーザーが個人のトラックやポッドキャストエピソードをシェア機能を通じてFacebookに投稿するとき、投稿は新しいミニプレイヤーに表示されるようになっている。これにより、ユーザーの投稿を目にした他の人がコンテンツを再生したり、再シェアしたりできる。

Spotifyの有料購読者はフル再生もできる、と同社は話す。一方、無料ユーザーはクリップではなく、シェアされたトラックを聴くことができる。しかし結局、無料ユーザーはSpotifyのアプリでそうしているように、広告入りのコンテンツをシャッフルモードで聴くことになる。

これがどういう仕組みになっているのか、注意すべき大事なことは、統合によって音楽あるいはポッドキャストのコンテンツが実際にSpotifyのアプリから再生するようになっているということだ。ユーザーがミニプレイヤーでプレイボタンを押すとき、ユーザーがSpotifyにログインできるようにアプリの切り替えが起こっている。ミニプレイヤーはSpotifyアプリの立ち上げと再生を起動してコントロールしている。これがユーザーがFacebookをスクロールしたり、Facebookアプリを最小化しても再生が続く理由だ。

この設定はユーザーがスマートフォンにSpotifyアプリをインストールし、ミニプレイヤーを機能させるのにSpotifyアカウントを要することを意味する。初めてSpotifyを使うユーザーは、ミニプレイヤー経由でシェアされた音楽を聴くために無料のアカウントを申し込む必要がある。

Spotifyは、ミニプレイヤーのエクスペリエンスそのものを通じて有料アカウントを申し込むことはできない、と説明する。そのため、新規購読でFacebookと分け合う売り上げはない(ユーザーはSpotifyアプリをダウンロードし、アップグレードしたければさらに有料アカウントに申し込まなければならない)。

この提携でSpotifyは新型コロナウイルス特需による購読者の増加がなくなりつつある現在、配信を増やし、アカウント申し込みとアプリのリピート使用を拡大するのにFacebookのリーチを活用できる。しかし、ストリーミングを行なっているのは実際にはSpotifyのアプリであるため、これまで同様、ストリームで支払われるロイヤルティには責任を持つ、と同社はTechCrunchに説明した。Spotifyはまた、音楽カタログそしてコンテンツとともに流れる音声広告も全面的に受け持つ。

Facebookにとって、この契約はユーザーがFacebookサイトでもっと時間を費やすようにする貴重なツールを持つことを意味する。過去数年、ユーザーがFacebookで費やす時間は減ってきていると報道で指摘されている。

SpotifyとFacebookは、音楽に関する取り組みで協業してきた長い歴史を持つ。2011年にFacebookは、今回のように音楽サブスクのユーザーがFacebook上で直接音楽を楽しめるようにするアップデートを計画していた。しかしそうした計画は後に振り出しに戻った。おそらく音楽の著作権かテクニカル上の問題のためだ。SpotifyはFacebookのティッカーにおける最初のメディアパートナー企業の1社だった。ティッカーはユーザーに友達がFacebookや他のサービスで何をしているのかをリアルタイムに示すというものだ。Spotifyはかつて、モバイルアプリ向けにFacebookログインをデフォルトで提供してもいた。展開されてもう何年にもなるが、Facebookとの統合のおかげでデスクトップのSpotifyユーザーは、Facebookでつながっている友達がSpotifyで何をストリーミングしているのか知ることができる。

今回の提携の更新と拡張のタイミングは興味深い。FacebookとSpotifyには、Apple(アップル)という共通の敵がいる。Appleのプライバシーにフォーカスした変更はFacebookの広告事業に影響を及ぼしており、またAppleのApple Musicとポッドキャストへの投資はSpotifyにとって脅威だ。ここ数年のFacebookの自社による音楽の取り組みは、音楽レーベルとの合意による音楽ビデオの統合など、提携へとシフトした。Facebookの収益化ツールとクリエイター経済をターゲットとするサービスに関する幅広い取り組みを支える新しいストリーミング機能を稼働させるのに、Spotifyのようなパートナーに目を向けるのは理に適っている。

ミニプレイヤー機能は4月26日のグローバル展開の前にメキシコとタイでテストされた。

今回のインテグレーションは、米国に加えてアルゼンチン、オーストラリア、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、インドネシア、イスラエル、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、南アフリカ、タイ、ウルグアイで展開されている。

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タグ:FacebookSpotify音楽ストリーミングSNS

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

インド政府が同国のコロナ対応に批判的なツイートを削除するようツイッターに命令

Twitter(ツイッター)はインド政府からの緊急命令に従って同国で何十ものツイートを削除した。削除されたツイートの一部はインド政府の新型コロナウイルス対応を批判するものだった。

インド政府は50以上のツイートを検閲するようTwitterに緊急命令を出した。同社はその命令内容をハーバード大学のプロジェクトLumenデータベースで公開した。

新たな命令の影響を受けているプラットフォームはTwitterだけではないことをTechCrunchは確認した。Facebookはコメントの求めにすぐには応じなかった。

以前Twitterに政府の政策に批判的なツイートやアカウントを削除するよう命令し、もし命令に従わなければ従業員を逮捕すると脅したインドは、1日に33万人超という過去最多の新型コロナ感染者を出していて、これは世界最悪だ。この数字は過小報告だとする報道もある。

関連記事:Twitterがインド当局のさらなる警告を受け500以上のアカウントを停止

医療崩壊の中で、人々がデータをクラウドソースにして薬や酸素ボンベを探すのに互いに協力するのにTwitterは貴重な希望の光となっていた

Twitterによって公開されたインド政府の命令の1つのコピー

インド政府の新たな命令について最初に報じたMedianamaは、インドでツイートが検閲された人物には国会議員のRevanth Reddy(レヴァンス・レディ)氏、西ベンガル州の大臣Moloy Ghatak(モロイ・ガタク)氏、俳優のVineet Kumar Singh(ヴィニート・クマール・シン)氏、そして映画制作者のVinod Kapri(ヴィノド・カプリ)氏とAvinash Das(アビナッシュ・ダス)氏が含まれるとしている。

Twitterの広報担当は声明で「有効な法的要請を受け取り、当社はTwitterのルールとインドの法律に照らし合わせました。もしコンテンツがTwitterのルールに反していれば、削除されます。そして特定の法律に違反していると判断され、しかしTwitterのルールには反していないのであれば、当社はそのコンテンツへのアクセスをインド国内でのみ保留します。すべてのケースにおいて、当社はアカウントに関連する法的命令を受け取ったことをアカウント所有者に直接通知します」と述べた。

「可能であれば、アカウントに関連する電子メールアドレスにメッセージを送ってユーザーに通知します。当社の法的要請FAQs(よくある質問)を参照してください。当社が受け取った法的要請は半年ごとに出しているTwitter Transparency Reportで詳細に報告され、コンテンツ保留の要求は Lumenで公開されています」。

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

Facebookがニュースフィードアルゴリズム変更のためのユーザーテストを開始

Facebook(フェイスブック)はニュースフィードのアルゴリズムを再構築しようとしている。連邦議会議事堂への襲撃にFacebookが果たした役割について議員の追求を受けた同社は、米国時間4月23日、一連のニュースフィードランクづけテストを行うことを発表した。表示される投稿についてユーザーからフィードバックを受け、後日それをFacebookのニュースフィードのランクづけプロセスに反映させるという。中でもFacebookが期待しているのは、どんなコンテンツが人々の心を動かすのか、どんなコンテンツをあまり見たくないか(政治など)、また一般に他のどんな話題に興味があるのかなどを知ることだ。

テストは全世界でさまざまな形式で行われ、その中には、投稿のすぐ下に「この投稿でどれほど心を動かされましたか?」と尋ねるものもあり、感動的な記事をできるだけニュースフィードの先頭に表示することを目指している。

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別のテストは、人々が何を見たいのかをニュースフィード体験に反映するために行う。現在Facebookは友達、グループ、およびフォローしているFacebookページのコンテンツを優先して見せているが、誰の投稿をいつ表示するかは、さまざまな指標に基づいてアルゴリズム的に決められている。指標には明示的なものと暗黙的なものがある。その人(あるいはページやグループ)のコンテンツに定期的に反応しているか「親しい友達」や「お気に入りに」登録して、他の人のコンテンツよりも多く見たいことを意思表示しているかなどだ。

しかし、誰かと実生活で親しくしているからといって、その人がFacebookに書くことを好きだとは限らない。ここ数年このことが、家族や友達の間に溝を作っている。よく知っていると思っていた人が本当は世界をどう見ているかを、ソーシャルメディアを通じて知ることになるからだ。これは一部の人達にとって大きな苦痛だ。Facebookはその問題も解決できていない。今もユーザーは、ニュースフィードをスクロールして自分の考えを補強する、たとえどんなに問題のあるものでも。そして、増え続ける誤情報の中、ニュースフィードはユーザーをフィルターバブル(見たくない情報が遮断された世界)に押し込むだけでなく、陰謀論渦巻く完全なる架空現実へと一部のユーザーを誘うところまで来ている。

Facebookの3番目のテストは、この問題に直接取り組むものではないが、ユーザーが全体的に何を見たいかについてフィードバックを得ようとしている。Facebookはユーザーに対して、特定の話題、たとえば料理、スポーツ、政治などについての記事を、もっと多く見たいか、少なくして欲しいかを質問する。ユーザーの総合的フィードバックに基づき、Facebookはアルゴリズムを調整して、興味があると言ったコンテンツを多く、見たくないと言った話題に関する投稿を少なくする。

政治の分野は、Facebookにとって特に悩ましい。過去数年にわたり、同社は政治論議をあおり立て、アルゴリズムを通じてユーザーを両極化、過激化し、誤情報を大々的に広め、パブリッシャーがニュースを報じる際に公正さとバランスよりもアクセス数を追求する中、争いの種になるクリックベイトのエコシステムを奨励してきた。実際、今や完全に偏見に満ちた主観的なニュース発信者がニュースソースになりすまし、Facebookなどのアルゴリズムの恩恵に浴している。

議事堂襲撃のわずか後、Facebookは米国、カナダ、ブラジル、インドネシアのごく一部のユーザーのニュースフィードから、一定期間中政治的コンテンツを排除するテストを行うと発表した。

この度、同社は政治的コンテンツを含めどのコンテンツがネガティブのニュースフィード体験につながっているかの理解を深める取り組みを行うと述べている。たとえばFacebookはユーザーに、多くのネガティブ反応があった投稿について、どんな種類のコンテンツを見たくないかを尋ねるかもしれない。これは、特定の投稿に関するアンケートや、ユーザーが自分のニュースフィード体験について話すための調査セッションなどを通じて実施される、とFacebookは本誌に話した。

Facebookはユーザーが「無関係、問題あり、不快」と判断した投稿を非表示にするオプションを目立たせるテストも行う。この機能自体は以前にも存在していたが、今回は投稿の右上隅の「×」をクリックして非表示にすることができる。

画像クレジット:Facebook

果たしてユーザーに話題を選ばせることが、ネガティブ投稿や争いを呼ぶコンテツや誤情報などのより大きな問題を解決する最善の方法てのかどうかはわかならい。しかしこのテストは後者のためというよりも、ニュースフィードをよりポジティブに「感じさせる」ことに重きが置かれている。

テストデータが集まったら、Facebookは結果をニュースフィードのランクづけアルゴリズムに反映させる。しかし、アルゴリズムをどこまでグローバルに調整するのか、個々のユーザー単位に時間とともに体験をカスタマイズしていくだけなのかははっきりしない。同社はTechCrunchに、調査データはテストグループに割り当てられたごく一部のユーザーから集められ、機械学習モデルの訓練に用いられると語った。

また同社は、将来ニュースフィードにどんな種類のコンテンツが表示されるのかを、ユーザーがより直接的に制御する方法も検討する。

テストは今後数カ月間続く、と会社は述べている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックが音声関連の新機能を発表、Clubhouse類似機能やポッドキャスト支援ツールなど

Facebook(フェイスブック)は米国時間4月19日、一連の新しい音声関連機能を正式に発表した。これは同社がClubhouse(クラブハウス)や他の音声ソーシャルメディアの脅威を真剣に受け止めていることの現れだ。Facebookは単にClubhouseに類似した機能を開発するだけでなく、ポッドキャスト制作者が長いオーディオを共有するためのツールや、音楽を聴くための新たなSpotify(スポティファイ)との統合、そしてまったく新しい「Soundbites(サウンドバイツ)」と呼ばれる短い音声フォーマットの体験機能を発表した。

音声ネットワーク市場における関心の高まりを受け、新機能の中で今回の発表以前から最も話題になっていたのが、Facebookによる「Clubhouseクローン」だろう。

この「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」と名づけられた機能では、Clubhouseと同じように、ユーザーが特定の話題について「部屋」に集まり、話し合うことができる。

「私がFacebookで最も期待している分野は、基本的に、数多くのコミュニティやグループが存在することです。興味のあることを中心に構成されたコミュニティにすでに参加されている方は多いと思いますが、さらにそれらの人々が集まって話ができる部屋を持てるようになることは、非常に有益なことだと思います」と、同社のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、今回の発表と同時に行われたPlatformer(プラットフォーマー)による親しげなインタビューで語っている。「2020年前半にビデオチャット機能を導入した際、グループやコミュニティではそれが盛んに利用されるようになりました。だから、音声に関しても、さらに気軽に使えることを考えると、大きな盛り上がりが期待できると思います」。

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Facebookの公式ブログによると、Live Audio RoomsはFacebookとMessenger(メッセンジャー)の両方で利用できるようになるという。

Live Audio Roomsは、まずFacebook Groups(Facebookグループ)でテストが行われ、月間18億人のグループユーザーから利用できるようになる。また、公人や専門家にも提供される予定だ。Facebookによると、この機能をいち早く採用したのは、アメリカンフットボールのクォーターバックであるRussell Wilson(ラッセル・ウィルソン)氏、グラミー賞にノミネートされたエレクトロニッミュージックアーティストのTOKiMONSTA(トキモンスタ)氏、アーティストで映画監督のElle Moxley(エル・モクスリー)氏、5度のオリンピックメダリストで起業家のNastia Liukin(ナスティア・リューキン)氏などだという。

Live Audio Roomsは2021年の夏から、Facebook上で誰でも利用できるようになる予定だ。また、同時期にはMessengerにも導入されるので、友人同士で音声による会話を楽しめるようになる。

他社の技術製品を焼き直したようなこの音声機能に加え、FacebookではTikTok(ティックトック)の競合である「Instagram Reels(インスタグラム・リールズ)」の音声専用バージョンも開発中であることを、ザッカーバーグCEOは明らかにした。この「Soundbites(サウンドバイツ)」と名づけられたプロジェクトは、アルゴリズムでソートされた短い音声クリップをすばやく扱うことができるというもので、まずは少人数のクリエイターのみで数カ月間のテストを行い、それからFacebookユーザーに広く利用できるようにする予定であると、Facebookはブログ記事で書いている。

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「このアイデアは、短時間の音声フォーマットで、人々がおもしろいと思ったことや、他の人にも教えたいと思うような、ちょっとした短い音声クリップを、さまざまなジャンルやトピックをカバーしながら共有できるようにするというものです」と、ザッカーバーグ氏は語っている。

ポッドキャストの制作者に対しては、ユーザーがFacebookページでフォローしているポッドキャスト制作者のコンテンツを、Facebookアプリで直接聞けるようにするツールを開発していると、ザッカーバーグ氏は述べている。ポッドキャストのFacebookページにアクセスしているユーザーが現在1億7000万人もいることを、同CEOは指摘し、この音声コンテンツにもっと簡単にアクセスできる方法を確保したいと語った。

画像クレジット:Facebook

ユーザーは好みのポッドキャストを発見したら、バックグラウンドでも再生を開始できるようになる。あるいは別のアプリを起動して、そちらで再生を続けることも可能だと、ザッカーバーグ氏は述べている。これは例えば、ポッドキャストのコンテンツをSpotifyで聴きたいと思った場合、直接Spotifyで開くこともできるという意味だと思われる。

この機能はユーザーの興味に基づいた新しいポッドキャストの発見に役立ち、ユーザーはポッドキャストにコメントしたり、友人に勧めることができるようになる。

このような音声機能の取り組みに関連して、ザッカーバーグCEOはFacebookとSpotifyの提携拡大についても言及した。現在社内で「Project Boombox(プロジェクト・ブームボックス)」と呼ばれている機能は、ユーザーがSpotifyでお気に入りのアーティストのコンテンツやプレイリスト、その他の種類のオーディオを、Facebookのフィードで共有できるようにするものだ。これを他のユーザーがクリックすると、小さなインラインプレイヤーが表示され、コンテンツを再生する。

関連記事:フェイスブックがSpotifyとの提携拡大を発表、新プロジェクト「Boombox」の一環で

Spotifyとの統合に詳しい関係者からの情報によると、このプレイヤーは音楽とポッドキャストの両方に対応するとのこと。すでにメキシコやタイなど、米国以外の市場でテストされており、1週間ほどで利用可能になる見込みだ。

「Facebookがオーディオに興味を持ったということは、このカテゴリーへのさらなる評価であり、私たちがずっと以前から知っていたこと、つまりオーディオのパワーと可能性が無限であることを裏付けるものです」と、Spotifyの広報担当者はTechCrunchに語った。「私たちの目標は常に変わりません。それはSpotifyをプラットフォームやデバイスの垣根を越えてユビキタスなものにし、音楽やポッドキャストをより多くの人に届けることです。今回のFacebookとの統合は、こうした取り組みの新たな一歩となります。私たちはFacebookとの継続的なパートナーシップにより、世界中のオーディオディスカバリーを促進していくことを楽しみにしています」。

また、ザッカーバーグ氏は、新機能の導入が、成長するクリエイター経済に貢献する必要性についても言及している。

Live Audio Roomsでは、ファンはFacebookのアプリ内チップ機能である「Stars(Facebookスター)」を通じて、クリエイターを支援したり、寄付したりできる。Facebookによると、Live Audio Roomにアクセスするためのサブスクリプションなど、その他の収益化ツールも後に導入する予定だという。また、同社はSoundbitesの起ち上げに合わせて、新たなクリエーターの誕生を支援するAudio Creator Fund(オーディオ・クリエーター・ファンド)も用意する。

さらにザッカーバーグ氏は、Facebookが計画しているニュースレターという機能についても語った。これはクリエイターコミュニティに提供される課金ツールの1つで、Twitter(ツイッター)が計画している「Super Follows(スーパーフォロー)」と同じようなものだ。

関連記事:Twitterが同社初となる有料クリエイターサブスク機能「スーパーフォロー」発表、サービスの構造が劇的に変わる可能性

「ジャーナリストやクリエイターが、自分をフォローしたいと思ってくれる人に向けて、ニュースレターとポッドキャストの両方でサブスクリプションを設定できる仕組みは、本当に強力なものになると思います」と、ザッカーバーグ氏はいう。「これは私たちが実現しようとしているポッドキャスト関連の課金ツールで大きな部分を占めるもので、我々が計画していること、つまり独立系ジャーナリストにニュースレターなどのツールを提供する取り組みと密接に関係しています。これら2つのことが、ジャーナリストやクリエイターにとって非常に有利な条件で可能になれば、かなり強力なものになると思います」と、同氏は強調した。

Vox(ヴォックス)が4月18日にスクープしたこれらの新機能の発表は、ファンとクリエイターがつながる場所が他にも増えているせいで、Facebookの優位性が崩壊しつつあることを、同社がいかに深刻に捉えているかを示している。現在のFacebookにとっての脅威は、ClubhouseやSubstack(サブスタック)のニュースレター、さらにはPatreon(パトレオン)のような新しいアプリだけでなく、全般的なクリエイター経済をFacebook自身の手に集約・所有できなくなりつつあるという事実である。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

消費者団体が13歳以下の子ども向けInstagramの開発中止をフェイスブックに要望

35の消費者啓発グループの連合と子どもの発達の専門家64人は、Facebook(フェイスブック)にInstagram(インスタグラム)の13歳以下の子ども向けバージョンを立ち上げる計画を再考するよう求める書簡に共同署名した。Facebookは子ども向けバージョンを開発していることを認めていた。書簡の中でグループや専門家は、ソーシャルメディアが幼い子どもや思春期の子どもの身体的健康と心身の幸福全体に関するいくつかのリスク要因にリンクしていると主張している。

書簡は、大企業と企業が子どもをターゲットとしていることに対するキャンペーンを牽引している啓発グループCampaign for a Commercial-Free Childhoodが書いた。

同グループは、ソーシャルメディアが若年層の発達にいかに影響を及ぼすか、そうしたアプリがもたらし得る危険性を強調している。

「多くの研究機関が、デジタルデバイスやソーシャルメディアの過度な使用は思春期の子どもにとって有害だと指摘しています。特にInstagramは子どもやティーンエイジャーに絶えずデバイスをチェックするよう、そしてフォロワーと写真を共有するよう促すために、若い人々の取り残される不安や仲間に認められたいという強い思いを悪用しています」と書いている。「外観や自己表現、そしてブランディングへのプラットフォームの執拗なフォーカスは、思春期の子どもたちのプライバシーや心身の幸福にとって問題となっています。幼い子どもは特にそうした問題に対応するほどに発達しておりません。この大事な発達時期に社会的なやり取り、友人関係、内なる強みや困難への対処法を学んでいます」ともある。

公衆衛生研究や他の論文を引用しながら、書簡は過度なスクリーンタイムとソーシャルメディアの使用が肥満や低い心理的幸福度、睡眠の質の低下、うつや自殺観念のリスクの増加、その他の問題など子どもにとってさまざまなリスクにつながっていると指摘している。思春期の女子は仲間の気を引くために性的な自撮りを投稿するプレッシャーを感じていて、米国のティーンエイジャーの59%がソーシャルメディアでいじめにあったことがあると報告した、と書簡にはある。

グループが抱えるもう1つの懸念は、Instagramのアルゴリズムの使用だ。アルゴリズムは子どもが次に観たりクリックしたりするかもしれないものを提案でき、子どもは「かなり影響されやすい」とグループは指摘している。

グループはまた、年齢をごまかしてInstagramプラットフォームを使用している13歳以下の子どもがいることをFacebookは知っていて、こうしたユーザーはすでに使っているものよりも「お子様向け」バージョンだととらえているものへは移行しないだろうと指摘している。つまりこれは、FacebookがInstagramアカウントを持っていない幼い子どもを「キッズバージョン」でターゲットにしていることを意味する。

提起されている懸念にもかかわらず、Instagramの若いユーザーを取り込もうという計画は抗議の影響を受けることはなさそうだ。ソーシャルメディアでInstagramが現在最も競合しているTikTok(ティクトック)はすでに13歳以下の子ども向けのエクスペリエンスを開発した。そしてTikTokは、米国の子どもプライバシー法COPPA違反でMusical.ly(TikTokの前身アプリ)を調査した連邦取引委員会(FTC)との和解の結果、アプリに年齢確認を導入することを余儀なくされた。

Facebookもまた既存の未成年ユーザーをCOPPA順守のエクスペリエンスへと正しく誘導するためにInstagramに年齢確認を導入しなければならない、という似たような状況になるかもしれない。少なくとも、Facebookはアプリに13歳以下の子どもを取り込むべきではないという主張に対して反論する材料を持っている。たとえ違反とみなされたとしても、FTCの罰金はテック大企業の売上高からすると痛くも痒くもない

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啓発グループの書簡の前に、複数の民主党議員も2021年4月、子どものプライバシーと心身の幸福を守るFacebookの能力に関する懸念を示すために同社のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏宛に書簡を送って追求している。この書簡では、子どもが正式に許可されていないユーザーとチャットできる設計上の欠陥が見つかったMessenger Kidsを具体的に引き合いに出した。議員らは4月26日までに質問に応えるようFacebookに求めている。

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ザッカーバーグ氏は2021年3月にあった議会公聴会で、子ども向けInstagramの計画を認めた。その際、アプリがどのように機能するかについて「検討の初期段階にある」と述べたが、親の監視や関与のようなものを含むかもしれないとした。これはFacebookが今日Messenger Kidsで提供しているもの、そしてTikTokがファミリーペアリングというペアレンタルコントロールで行っているものと似ている。

別の言葉でいうと、マーケットは子どもがすでに親の許可の有無に関係なくソーシャルメディアを使っていることを認める方へとシフトしている。その結果、企業は現実に即して機能や年齢確認を構築している。もちろんこの計画の短所は、一度13歳以下の子ども向けのソーシャルアプリ作成を正当化すれば、企業は公衆衛生の観点からはリスクのあるエクスペリエンスに幼い子どもを引き込む法的権利が与えられるということだ。

Campaign for a Commercial-Free Childhoodは米国時間4月15日、Facebookに子ども向けInstagramの計画を中止させるため、誰でも署名できる請願書も立ち上げた。

Facebookにコメントを求めたところ、以下の声明が送られてきた。

当社はInstagram子ども向けバージョンの検討を始めたばかりです。開発するあらゆるエクスペリエンスは安全とプライバシーを優先しなければならないことに異論はありません。当社は子どもの発達、子どもの安全、メンタルヘルスの専門家に意見を求め、そしてプライバシー擁護者にも案内します。加えて、開発する13歳以下のInstagramには広告は掲載しません。子どもはインターネットを使用しているというのが現実です。子どもたちは家族や友達とつながったり、楽しんだり、学習したいのです。そして当社は安全で年齢にふさわしい方法で子どもたちがそうしたことをできるようにサポートしたいと考えています。また、子どもがアプリにアクセスするために年齢を誤魔化しているという業界が抱える問題に対する実用的なソリューションを見つけたいとも考えています。13歳以下がInstagramを使用することがないよう新たな年齢確認の手法に取り組んでおり、年齢にふさわしく、そして親によって管理される子ども向けのInstagramエクスペリエンスを模索しています。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

フェイスブック監督委員会がトランプ氏のアカウント停止めぐり決定を「数週間」先延ばし

Facebook(フェイスブック)が自らメンバーを選んだ自称「監督委員会」(FOB)は米国時間4月16日、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領のアカウントの無期限停止処分を覆すかどうかについて「数週間」以内に決定すると、この件に関する簡単な更新声明を発表した。

広く報道されたこの案件は世間の大きな関心を集めているようで、FOBは、先に行った一般からの意見募集に対して、これまでに9000件以上の回答を得たとツイートしている。

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FOBは以前にも意見募集の期限を延長したが「すべてのコメントを慎重に検討する」という姿勢が本件のタイムライン延長につながったと付け加えている。

同委員会の声明ではさらに、より多くの情報を「近日中に」提供するとしている。

トランプ氏のFacebookおよびInstagram(インスタグラム)の無期限利用停止は、2021年1月7日にFacebookの創業者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏によって発表された。これは、当時の米国大統領だった同氏が国会議事堂での暴動に参加するよう支持者を扇動したことを受けたもので、その事件は混沌とした暴力的な騒動に発展し、ついには彼の支持者らが警察と衝突して多くの死者を出すことになった。

しかし、Facebookはこの決定をすぐにFOBの審査に委ねた。FacebookはFOBが下した審査決定に拘束されると述べているため、この停止措置はすぐに覆される可能性もある。

FOBは本件を審査対象として受理した後、当初は1月21日から90日以内に決定を下すとしていた。守られれば、その期限は4月21日ということになる。

しかし、トランプ氏のソーシャルメディア上の運命を決めるこの注目度の高いハイリスクな決断が、来月にずれ込む可能性が出てきた。

これは、Facebookワールドではおなじみの展開だ。時間稼ぎは、同テック巨人が長年プラットフォームの運営方法にまつわるスキャンダルや悪評に向き合ってきた中で培われた、危機に直面したときのPR対応の特徴だ。それを考え合わせると、FOBがトランプ氏の停止処分について判断に時間をかけているからといって、同社は特にバツが悪いとは思っていないだろう。

何しろ、真の市民監視のパロディとして独自のオーダーメイド審査機関を考案し構成すること自体、Facebookがすでに何年もかけて行ってきたプロセスなのだから。

先週のFOB関連ニュースとして、Facebookは、コンテンツを削除しないという決定について、ユーザーが委員会に審査を要求できるようになったと発表した。これはFOBの審査対象となるケースをコンテンツの(削除だけでなく)「存続」にも拡大することになる。

【更新】本記事は訂正を含め更新された。FOBは以前、コメントの提出期限を延長したことがあるが、当初報じられたように再度延長してはいない。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Aya Nakazato)

パキスタンが一時的にソーシャルメディアをブロック中

TechCrunchが確認した政府発行の通知とユーザーによると、パキスタンは複数のソーシャルメディアサービスを一時的に遮断したという。

パキスタン政府は、パキスタン電気通信庁に対し「Complete Blocking of Social Media Platforms(ソーシャルメディアプラットフォームの完全なブロック)」と題して、Twitter、Facebook、WhatsApp、YouTube、Telegramといったソーシャルメディアプラットフォームを、現地時間の4月16日午前11時から午後3時(日本時間4月16日午後3時から午後7時)までブロックするよう命じた。

この動きは、パキスタンが暴力的なテログループを取り締まり、数日間にわたる暴力的な抗議活動の後、トラブルメーカーが金曜日の礼拝集会を混乱させないようにするための措置だ。

地元メディアの報道によると、パキスタンは今週初め、イスラム教団体「Tehrik-i-Labaik Pakistan」のリーダーを逮捕した後、同組織の活動を禁止した

パキスタンのある企業家がTechCrunchに語ったところによると、この命令は現地時間の午後3時に失効することになっているが、過去の政府の同様の動きを見ると、混乱はもっと長く続く可能性があるという。

パキスタンは隣国のインドと同様に、過去に一時的に国内の電話回線を遮断したことがあるが、パキスタン政府が国内のソーシャルメディアを全面的に禁止したのは今回が初めてだ。

パキスタンは近年、国内で運営されているデジタルサービスのコンテンツをより厳しく管理する方法を模索している。一部の活動家は、パキスタンがあまり説明せずに極端な措置を取っていると述べた。

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タグ:パキスタンソーシャルメディアSNS

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(文:Manish Singh、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Facebookがニュースフィードの投稿に企業の関連コンテンツを表示するテストを米国で開始

Facebook(フェイスブック)は米国時間4月15日、ニュースフィード上で企業を発見するための新しい機能のテストを米国で開始すると発表した。この機能が導入されると、ユーザーはニュースフィード上の投稿や広告の下に表示されるトピックの中から興味のあるものをタップして、企業の関連するコンテンツを探すことができるようになる。Facebookは最近、Apple(アップル)の「App Tracking Transparency(ATT)」導入がどれほど中小企業に影響を与えるかということを巡って論争を続けている。この主張は、多くの人が誤解を招くものとして否定しているが、それにもかかわらず、一部の家族経営のような小規模な店舗は、広告ターゲティング機能への影響を懸念している。今回始まった新しいテストは、Facebookがニュースフィードを調整することで、必要であればより多くのユーザーデータを容易に構築することができると示す一例だ。

同社によると、ユーザーは、美容製品、フィットネス、衣料品などを販売する企業の投稿や広告の下に、この変更を目にすることになるという。

つまりこれは、ユーザーが関連するコンテンツを見つけようと特定のアクションを起こした際に、Facebookがニュースフィード機能を使って関連するビジネスにユーザーを誘導するというものだ。これによってFacebookは、どのユーザーがクリックして関連コンテンツを見ようとしたか、どのような企業に関心を持ったかなど、ユーザーに関する新しいデータのセットを作成できる。将来的には、この機能を広告に転換し、企業が高い掲載率を得られるようにすることも可能だろう。

「人々はすでにニュースフィードをスクロールしながら企業を発見していますが、この機能によって自分では見つけられなかった新しい企業を発見し、検討することが容易になるでしょう」と、Facebookは簡単な発表の中で述べている。

Facebookは今回のテストについて、今後の詳細な計画は発表しなかったが、ユーザーがこの機能をどのように利用するかがわかれば、より多くのユーザーや企業にこの体験を拡大していくと述べている。

画像クレジット:Facebook

このテストのニュースと併せて、Facebookは2021年4月中にビジネスオーナー向けのツールをさらに展開することも発表した。その中には、FacebookとInstagram(インスタグラム)の両方にStories(ストーリーズ)を作成、公開、スケジューリングする機能や、スケジューリングされた投稿を変更・編集する機能などが含まれる。また「Facebook Business Suite(フェイスブック・ビジネス・スイート)」からFacebookの写真やアルバムを作成・管理する機能や、Business SuiteのモバイルアプリからFacebookとInstagramの投稿を作成し、下書きとして保存する機能も、遅れて追加される予定だ。

他のビジネス関連のアップデートとして、Facebookは、Lead Ads(リード獲得広告)、Call Ads(電話発信広告)、Click to Messenger(Messenger誘導広告)や Lead Generations(Messengerでのリード獲得)など、企業と顧客のつながりに焦点を当てた広告製品の機能をアップデートした。

Facebookは2021年初め、企業がビジネスプロフィールを使って投稿、コメント「いいね!」などの活動を行ったり、専用のニュースフィードにアクセスすることができる新デザインのFacebookページを発表した。このリニューアル時には、ページの「いいね!」ボタンが廃止され、フォロワー数に重点が置かれるようになった。

この時期にFacebookが中小企業向けのツールを宣伝しているのは偶然ではない。近い将来、FacebookのiOSアプリでユーザーが追跡を「許可しない」を選ぶようになると、広告ターゲティング機能の精度が低下して、Facebookのプラットフォームが中小企業経営者にとって有益でなくなるのではないかと懸念されているからだ(その多くは、Facebook自身が声高に叫んでいるのだが)。

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タグ:Facebookアメリカ広告SNS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが動画を使った恋人探しアプリ「Sparked」をテスト中

Facebook(フェイスブック)は、ビデオを使った恋人探しアプリ「Sparked」をテストしていることを、このアプリのウェブサイトがThe Vergeによって発見された後、認めた。Sparkedでは「Tinder(ティンダー)」のような大手のマッチングアプリとは異なり、ユーザーは気に入った相手をスワイプして見つけたり、ダイレクトメッセージを送ったりするわけではない。その代わりに、短いビデオデートを繰り返して、相手とのつながりを作っていく。この製品はFacebookの社内研究開発グループであるNew Product Experimentation(新製品実験)チームによって開発されているが、これまで公式に発表されたことはなかった。

「Sparkedは、New Product Experimentationによる初期の実験です」と、FacebookのNPEチームの広報担当者はTechCrunchに認め「私たちは、ビデオファーストの恋人探しが、人々がオンラインで愛を見つけるために、どのように役立つことができるかを探っています」と説明した。

同社はまた、Facebookの製品で得られる体験を向上させるために、このアプリでビデオデートがどのように機能するかについての洞察を得ることを目的とした「小規模な外部ベータテスト」を行っているという。現在、このアプリはアプリストアなどでは配布されておらず、ウェブのみで公開されている。

The Vergeの報道によると、米国時間4月1日にシカゴで開催されるDate Night(デート・ナイト)イベントで、このアプリ体験をテストする準備がすでに行われているようだ。

画像クレジット:Facebook

アプリに登録する際、Sparkedはユーザーに「思いやりを持って」「節度を守って」「姿を見せるように」と指示する。アプリの説明によると、参加者はまず、さまざまな相手と顔を合わせる4分間のビデオデートを繰り返し、お互いに気に入ったら10分間のビデオデートをすることができるようになるという。さらに、電話番号やメールアドレス、Instagram(インスタグラム)のハンドルネームなどの連絡先を交換することも選択できる。

知っている人も多いと思うが、Facebookはいくつかの国や地域で、すでに「Facebook Dating(フェイスブック・デーティング)」と呼ばれるデートアプリを提供している。

Facebook自体の中に組み込まれているこの機能は、2018年にコロンビアで初めて導入され、翌2019年には米国でも提供が始まった。新型コロナウイルス感染流行初期の頃、FacebookはMessenger(メッセンジャー)のビデオチャット機能を利用した仮想デート体験を展開すると発表したが、同時期に市場では、他の多くのデートアプリも、自宅にこもったユーザーにサービスを提供するため、動画に目を向け始めていた。Sparkedの目的が、Facebook Datingの中に用意されるオプションの1つとして導入されることでないのなら、これらのビデオデートアプリと直接競合する可能性もある。

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画像クレジット:Facebook

潜在的なリーチがあるにもかかわらず、Facebookがデートアプリの市場で成功する保証はないと、一部のアナリストは警告している。人々は、Facebookをパートナーとの出会いの場とは考えておらず、今のところSparkedはプライバシー保護の観点からFacebookのメインアプリとは分離されている。つまり、Facebookのネットワーク効果を十分に活用することができず、ユーザーは友人や家族に自分のデートプランを知られたくないと思っている可能性も高い。

Facebookにとってデートアプリ市場における競争は熾烈だ。新型コロナウイルスの感染流行があっても、Match Group(マッチ・グループ)や、IPOしたばかりのBumble(バンブル)のような、大手デートアプリの勢いは衰えなかった。例えばMatch Groupの報告によると、同グループのTinderからの直接収入は、2020年に前年比18%増の14億ドル(約1526億円)に達したという。同社のTinder以外のブランドからの直接収入は、合わせて16%の増加だった。また、Bumbleは公開企業として最初に迎えた四半期で収益予想を上回り、2020年の第4四半期に1億6560万ドル(約180億5000万円)を計上した。

一方、Facebookはデート機能の取り組みに関して、それほど多くを語ろうとしない。同社はサービスを提供している20カ国で15億件以上のマッチングを行ったとしているが「マッチング」はペアリングの成功を意味するものではなく、そもそも実際には、そのような結果は測定されていないのかもしれない。とはいえ、2020年秋になってからようやく欧州市場に導入されたFacebook Datingは、まだ展開が始まったばかりとも言える。

最終的に、NPEチームのSparkedによる実験は、デートアプリのユーザーが、どのような新しい体験をどのように利用したいと思っているか、Facebookが知るための役に立つだろう。

なお、Sparkedが今後、より広範囲に展開されるかどうか、あるいはいつ展開されるのかということについては、Facebookは言及していない。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LinkedInがクリエイターモード、動画プロフィール機能、MSとの提携による新しいキャリアトレーニングツールを導入

世界中に7億4000万人のユーザーを持つソーシャルネットワークLinkedInは、プロフェッショナルが自身の職業をリストアップしたり、他の仕事のヘッドハンティングを受けたり、仕事を探したりするオンライン上の場としてのアイデンティティを確立している。しかしLinkedInは、そのポジションをさらに有効活用してトレーニングや教育、専門能力開発、人脈作り、ニュースなどの関連分野に進出する方法を数年にわたって模索してきた。そして米国時間3月30日、LinkedInはプラットフォームへのエンゲージメントを高めるために今後数カ月のうちに順次展開する一連の新機能を発表した。

同社はユーザーのプロフィールに動画を追加できるビデオ「Cover Story」をローンチする。ユーザーが自身について語り、自分のホームページ上で公開できる簡易動画の機能だ。また、LinkedIn上での自分の描写について誰もが正確に表現できるよう、性別の代名詞機能も追加される。

これと並行して、同社は新しく「Creator」モードを正式にローンチする。これは同社のインフルエンサーネットワークの、より洗練されていながらいっそう一般化されたバージョンとなる(選択すれば誰でもクリエイターになれる)。また、プロフィールに新機能のService pageを追加し、フリーランサーのためのプラットフォームとしての地位も確立しようと試みている。

LinkedInの教育およびトレーニングへの取り組みもいくらか強化されている。このプログラムは元々、新型コロナウイルスの影響による世界的な経済状況の変化を受け、LinkedInを所有するMicrosoftとともに2020年6月に開始された。同プログラムでは10の専門分野で無料のオンライントレーニングを提供しており、企業のトレーニングサービスの利用者が249カ国で3000万人を超えたため、サービス提供期間が2021年末まで延長されることになった。LinkedInとMicrosoftは、同プログラムを通じて人材を採用する企業の数が25万社に達することを期待している。

Microsoftとの新たな提携として、LinkedInはTeamsを使用する学生を対象とした新しいTeamsベースのアプリ「Career Coach」も発表した。このCareer Coachは、LinkedInのAIツールを利用してユーザーが職業として何に興味があり、何を追求したいのかを特定するのを支援し、LinkedInやMicrosoftの学習コンテンツへのリンクを通じてその過程をサポートする。

総合すると、一見したところ共通点のなさそうな一連の発表はすべて、LinkedInにとっての大きな進展につながるものだ。ソーシャルメディアは、コンテンツの投稿者であっても、自分が共感できる投稿を閲覧するだけの人であっても、個人のエンパワーメントという意味で非常に大きな影響力を持っている。LinkedInは、こうした多様な機能や製品を通じて、個人のアイデンティティや声、自己向上といったものを独自の方法で自社のプラットフォームに取り入れようとしているのだ。

以下では、こういった新領域についてのより詳細な感想をご紹介しようと思う。

動画ベースのCover Storyは、より消費者向けのソーシャルメディアプラットフォームであればステータスとして投稿するような、自身についての短い動画を作ってみてはという発想から生まれている。経歴や学歴のリストは人物像の一部を物語るが、自撮りの動画によってその人の別の側面を伝える事ができ、情報のギャップを埋める事ができるという考えだ。

LinkedInのチーフプロダクトオフィサーであるTomer Cohen(トマー・コーエン)氏によると、このスペースを使って履歴書には通常載せることのない興味や願望を伝え、より人間らしい角度から自身を説明することができるという。これは人々がプロフィールを訪れたときに自動再生されるものだが、コーエン氏はこれを魔法世界の動く新聞「Daily Prophet(日刊予言者新聞)」になぞらえ「ハリー・ポッター」効果と呼んでいる。現時点ではユーザーのプロフィールに表示されるだけだが、将来的には検索結果に動画が表示されるようになるかもしれない。

かなり魅力的に思えるが、実際にリクルーターの注意を引くものを作り出すというより、フォーマットを上手く整えようとする人向けに偏っている印象だ。

皮肉なことに、就職活動の際に人々を過度にプロファイリングしたり型にはめてしまうようなものを排除する傾向があるにも関わらず、こうした動画を追加することによりその種の判断材料が再び生まれてしまうかもしれない。結局は動画がどのように適用され、活用され、評価されるかという部分が重要視されてしまうからだ。

LinkedInが動画に力を入れているのは、ここ数年の同社のメディアへの取り組みの一環であり、例えばライブ配信などのサービスをタイムラインに追加している。TikTok、Snapchat、Facebook、Twitterなど、ソーシャルメディアの幅広い領域で動画がどれほど定着しているかを考えれば当然である。

LinkedInや同社の事業と関連する分野でも同様の展開が顕著になりつつあるようだ。同社が実施した調査によると、求職者の約61%が、今後動画が従来のカバーレターの代わりになる可能性があると回答しており、人事担当者の80%近くが、候補者の審査で動画は重要な位置を占めると述べている。したがって、この新たな傾向は単なる可能性には留まらず、確実に必要なツールになっていくのだろう。

動画はプロフィール機能だけでなく、さらに大きな役割を果たしつつある。その一環としてLinkedInはCreatorモードをローンチし、すでにLinkedIn Liveの動画やその他のコンテンツを作っている人々が、プロフィールを一般のLinkedInユーザーではなくCreatorsに移行できるようにした。これはLinkedInが少数のソートリーダーに提供するインフルエンサータグとは異なり、ユーザーが自分で選択するものであり、LinkedIn上で「フォロー」されることで、他の人々が投稿内容を見たり、最新の情報を入手したりすることができる。

クリエイターをフォローするためにInstagramに行くのと同じ感覚で、エンターテインメントを求めてLinkedInを訪れるというシナリオは想像し難いものの、LinkedInのコンテンツを作ること自体が、見る側にとっても見られる側にとっても最終的な目的になるのだろう。

LinkedInがDan Roth(ダン・ロス)氏率いる編集部門で構築してきたオリジナルコンテンツの展開は徐々に進められているようで、同社は2021年2月に、ロス氏が主導するCreator製品の最初のステップを発表した。ただしInstagramやYouTube、TikTokのようなプラットフォーム上のクリエイターとは異なり、今のところLinkedIn Creatorには収益化への直接のルートは存在しないようだが、状況は変わるかもしれない。

LinkedInのクリエイター戦略担当グループプロダクトマネージャーであるKeren Baruch(カレン・バルク)氏はQuentin Allums(クエンティン・アルムス)氏の言葉を引用しながら次のように語っている。「LinkedInでコンテンツを共有できるようにして以来、LinkedInはずっと間接的に人とチャンスを結びつけてきました。アルムス氏がLinkedInの動画を投稿し始めたとき、彼は失業中でお金もなく、絶望的な状況でした。しかしその後動画が大きな人気を集め、同氏はその成功からLinkedIn上で独自のビジネスを立ち上げる事ができたのです」。

「今後の可能性を検討する際には、メンバーからのフィードバックに耳を傾けながら、クリエイターのために価値を創造する方法を進化させていきます」とバルク氏は付け加えた。

Service Pagesは、LinkedInが2月に種をまき始めた製品やプロジェクトの起点でもあるようだ。LinkedInはさらに大規模なフリーランサーのマーケットプレイスを構成し、9月までには完成すると報じられている

このような小さな一歩を踏み出した同社。決済の設定やそれに類する処理へのリンクはないし、FiverrやFreelancer.comのように、ビジネスを生み出すためのプラットフォームを提供することでもたらされる利益をLinkedIn自体は得ていない。今のところは単に状況を検証し、一部の人に経歴を入力してもらうための手段にすぎないかもしれないが、将来的にはプレミアム購読やリクルーターのためのツール、その他の広告という形ですでに存在する収益創出機能に加えて、新しい種類の広告ユニットや支払いサービスへの道として注目すべきものになっていくかもしれない。

最後に、LinkedInがプラットフォーム上の機会を民主化しようと大々的に取り組んでいることを考えると、フリーランサーがプラットフォームに投稿するためのリンク提供は、ナレッジワーカーだけでなくより多くの人に扉を開く可能性を秘めている。こういった人々が現在LinkedInユーザーの主要部分を形成してはいるものの、仕事の世界にはまださまざまな分野が存在し、同社は長期的に新たな分野へと取り組みを広げていくのだろう。

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画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックが偽レビューを売買する1万6000のグループを削除、英当局の調査を受けて

英国の競争・市場庁(CMA)の新たな介入を受けて、Facebook(フェイスブック)は同社のプラットフォームで偽のレビューを売買していた1万6000のグループを削除した、とCMAが現地時間4月9日明らかにした。

CMAは2018年にこの問題の調査を開始して以来、偽レビューを売るマーケットプレイスを拡大する場所として同プラットフォームが使われるのを防ぐようFacebookに求めてきた。2019年には偽レビューのセラーに対して行動を取るようeBayとFacebookに圧力をかけている

Facebookが所有するInstagramもまた偽レビュー売買のハブとなっていたことが判明し、当局からさらに圧力をかけられた両社は2020年、狡猾な取引に一層取り組むことを約束した。

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CMAによる直近の介入は2020年のものよりもかなりのものだったようだ。Facebookは前回、188のグループを削除し、ユーザー24人のアカウントを使えないようにした。ただし、Facebookが桁違いの数のグループを削除した今回、いくつのアカウントを禁止そして(あるいは)一時停止としたのかは明らかではない(TechCrunchは問い合わせている)。

【更新】規制当局はミスリードするレビュー、あるいは偽のレビューを取引する個人よりグループの除外に注力しているとTechCrunchは理解している。禁止あるいは一時停止となったユーザーは新しいプロフィールを作成できるが、偽レビューを扱うグループの排除はそうした活動の抑制により効果的な方法だとみられているためだ。

FacebookにはTechCrunchから質問を送ったが、同社は質問にまともに答えず、以下のような声明を送ってきた。

当社はこの問題を解決するために広範囲にわたってCMAと取り組んできました。偽レビューの提供や取引を含め、詐欺や不正行為は当社のプラットフォームでは許されません。当社の安全・セキュリティのチームはこうした行為の防止に引き続き取り組んでいます。

CMAが偽レビュー取引の問題を提起して以来、Facebookはプラットフォーム上で展開されているそうした行為の一掃に十分に取り組んでいないと繰り返し批判されてきた

規制当局は本日、Facebookが「以前の約束を果たすためにプラットフォーム上の偽レビューあるいはミスリードレビューの取引を特定、排除、そして予防する」のに使っているシステムにさらに変更を加えたと述べた。

Facebookが偽レビューの取引に対する取り組みを強化するのになぜ1年以上も、そして注目を浴びる介入を何回も要したのかは不明だ。しかし同社は、新型コロナウイルスパンデミックとそれによる影響(在宅勤務など)でこの問題に取り組むのに利用できるリソースに負荷がかかっていていた、と示唆した(Facebookの年間売上高は2020年に増加したが、経費も同様だった)。

CMAによると、Facebookが偽レビュー対策でシステムに加えた変更には以下のものが含まれる。

  • 偽レビューあるいはミスリードレビューを宣伝、促進、保持するFacebookグループやInstagramプロフィールを繰り返し作るユーザーの使用を一時停止あるいは禁止する
  • 偽レビューのコンテンツの検知・削除を向上させる新たな自動プロセスを導入する
  • FacebookとInstagram上の偽レビューやミスリードレビューのグループやプロフィールを探すための検索ツールを使用しづらくする
  • こうした変更が継続して効果を上げ、再発を防いでいることを確認する専用のプロセスを設ける

そしてまたもや、Facebookがなぜ繰り返し不正行為を行っているユーザーを一時停止にしたり禁止したりしてこなかったのかは不明だ。少なくとも、最低限のことで逃げ切るということでなければ、本当に問題を解決するために実際に誠実な行動を取っていなかったかのようだ。

声明文でのコメントで、CMAのCEOであるAndrea Coscelli(アンドリア・コシェリ)氏は次のように述べて本質的な問題を指摘した。「Facebookはプラットフォーム上のそうしたコンテンツの取引を停止するためにできるあらゆることを行う義務があります、我々が再度調査した後、同社は大きな変更を加えました。しかしこうした問題を解決するために1年以上も要したのは残念です」。

「我々は今後もInstagramも含め、Facebookを注視し続けます。同社が約束を果たしていないことが認められた場合、躊躇せずさらなる行動を取ります」とコシェリ氏は付け加えた。

偽レビューを取引している英国のグループをFacebookのプラットフォームで検索すると、2019年2020年にTechCrunchが同様にチェックしたときよりも明らかに疑わしい検索結果は減っているようだ。ただし検索結果には数多くのプライベートグループが含まれていて、どのコンテンツがメンバーからの勧誘なのか、すぐには確かめられなかった。

TechCrunchはまた、フランスやスペインのような他の欧州マーケット向けのAmazonレビューを提供している数多くのFacebookグループも発見した(とあるグループはAmazon Spainをターゲットとし、レビューに対しPayPalで「料金」を提供する人物をTechCrunchは発見した)。こうしたことからするに、Facebookは英国よりも当局からの介入が少ないマーケットのユーザーによって取引されている偽レビューの対策には英国と同じレベルの注意を払っていないようだ。

スクリーンショット:TechCrunch

カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookCMA / 英競争・市場庁イギリスSNS

画像クレジット:Adam Berry / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi