無料の短時間番組ストリーミング「Ficto」がサービス開始、Nianticの番組も配信

短い動画のストリーミングサービスを試せる機会がやってきた。すでに話題になっているQuibiとは別のサービスだ。

Fictoはロサンゼルスを拠点とする無料のストリーミングサービスでインタラクティブなドラマ、映画化作品、コメディ、ドキュメンタリー、トークショー、ゲーム番組、ニュースなどを配信する。iOS版Android版のアプリを公開して、サービスを開始した。

Fictoによれば、同社のエンターテインメントはライブストリーミング、ユーザーの位置情報、ライブチャット、投票、選択肢のある物語、360度の映像、AR、タップして進んでいくeコマースとインタラクティブに楽しめるように設計されているという。

Fictoのサービス開始時の番組数は30で、スターが登場する強力ラインアップのQuibiよりかなり貧弱だ。1エピソードあたりの平均時間は5分で、これもQuibiよりやや短い。シリーズは3〜10エピソードで構成され、現在さらに20作品を制作中だ。

Fictoでは、ARゲームのIngressにまつわるシリーズがすでに公開されている。Ingressといえば、ポケモンGOの大ヒットでおなじみのNianticのゲームだ。

「Ingress: The Series」の監督、Spencer McCall(スペンサー・マッコール)氏は「Nianticは物語をとても重視している。我々は現実のモバイルゲームが描く物語をさらに広げるインタラクティブな方法を常に求めている」と語った。

Fictoには他に、(2021年の)東京オリンピックから新種目として採用されたサーフィンの女性選手を追うドキュメンタリーの「Represent」、製作総指揮のPaul Feig(ポール・フェイグ)氏がロサンゼルスに住む2人のイスラム教徒女性を描いた「East of La Brea」、誰がデートできるかを視聴者が決める「Date & Switch」、3人のアフリカ系米国人のティーンが郊外の裕福な白人コミュニティで成長するコメディの「Brothers from the Suburbs」、ロサンゼルスで治安の悪いエリアと言われるSkid Rowの人々を取り上げた「Nothingman」などの番組がある。

コンテンツ製作者に対するFictoの重要な利点は、スマートコントラクトシステムだ。コンテンツの再生回数に基づいて番組のプロデューサーやタレントに自動で報酬が支払われる。Fictoの共同創業者でCEOのMike Esola(マイク・エソラ)氏によれば、他のほとんどのストリーミングで交わされている前払いの報酬の契約よりも公平で長期的な収益を得られるように、Fictoでは契約や収益分配を事前に決め、新しい才能を引き込もうとしているという。

同社はFicto Studioも開設し、マーケッターや広告代理店がFictoのインタラクティブ性を生かしたプロモーションを仕掛けられるよう連携する。プロモーションはスポンサーシップやAR、ユーザーの位置情報、クリック購入、プロダクトとの統合、イベントの実施、クリエイターとのコラボなど、さまざまなものが考えられる。

画像:Ficto

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(翻訳:Kaori Koyama)

AmazonがTIDALのようなHi-Fi音楽ストリーミングサービスを年内に開始

Music Business Worldwideの記事によると、Amazonは年内立ち上げをめどにHi-Fi音楽ストリーミングサービスを準備している。このサイトは最近のAmazonの広告入りで無料のAmazon Musicサービスの立ち上げを正しく報じた。Hi-Fiサービスのほうは、その「CDよりも高品質な」提供物に対して月額15ドルを課金する計画だ。TIDALと真っ向から競合することになる。

Amazonは、PandoraやSpotify、Apple Musicなど、そして今やTIDALと直接競合することによって、市場のローエンドとハイエンドの両方をカバーしたいようだ。

同社の音楽への投資は、広告や会費で売上に貢献するだけでなく、AmazonのスマートスピーカーEchoシリーズの直接的なコンテンツにもなる。節約家の消費者なら、Echo Dotで広告入りの音楽ストリーミングを聴けば十分だろう。でもEcho Plusのステレオペアとウーファー買った人は、高品質な音で音楽を聴きたいかもしれない。

今のところ、そんなオーディオマニアたちは、TIDALのようなサービスを探していただろう。このサービスのHi-Fi契約は44.1kHz/16ビットのCD級ストリーミングで月額19ドル99セント、96kHz/24ビットのマスター級の音質も提供されている(別料金不要)。一方Deezerは、16ビットのFLACファイルをストリーミングしている。

なお、現時点ではAmazonのHi-Fiサービスのビットレートなどは不明だ。しかし上掲の記事によると議論はまだ初期段階で、契約した大手レコード会社もまだ1社しかない。

AmazonがこのHi-Fiサービスをローンチしたら、同社の音楽ストリーミングサービスは無料〜有料〜高額と市場の全領域をカバーすることになる。ユーザーは、自分の希望に合わないからといって、他のサービスに浮気する必要がなくなる。またAmazonはこれをインセンティブとして利用し、スマートスピーカーを買う人やプレミアム会員に値引き提供するかもしれない。今でも、Echoデバイスを買うとAmazon Music Unlimitedが月額3ドル99セントになるように。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google、QUICプロトコルでウェブをさらにスピードアップ

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聞いたことはないかもしれないが、あなたがChromeユーザーなら既にGoogleのQUICプロトコルを使っている可能性は高い。先週Googleが公表したところによると、ChromeからGoogleサーバーに送られるリクエストの約半数には、QUICが使われている。

いったいその何が重要なのか? QUICはGoogleによるUDPレベルの実験的低遅延インターネットプロトコルであり、UDPはゲーム、ストリーミングメディア、およびVoIPサービスでよく使われるプロトコロルだ。’QUIC’ という名前は Quick UDP Internet Connectionから来ている。

プロトコルの世界でUDP(およびQUIC)と比較されるのはTCPだ(Internet Protocol[IP]との組み合わせでインターネットの核となる通信言語となっている)。UDPはTCPより著しく軽量だが、その代わりにTCPよりもサポートしているエラー訂正サービスが少ない。これは送信サーバーが、例えばデータが届いているか、正しい順番で届いているかを調べるために、受信サーバーと頻繁にやり取りしていないことを意味する。UDPがゲームサービスに最適である理由はそこにある。この種のサービスではオーバーヘッドを減らして遅延を最小にすることが望まれており、もし最新のマウス動作をサーバーが受け取っていなければ、1~2秒を費して訂正する必要はない ― なぜならアクションはもう先へ進んでいるから。しかし、ウェブサイトのリクエストには向いていない、なぜなら全データが届いたことを保証できないからだ。

QUICにおけるGoogleの狙いは、UDPとTCPの良いところを取り、最新のセキュリティー技術と組み合わせることだ。

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通常のセキュアなTCP接続では、ブラウザーが実際にデータを受信し始めるまでに、2~3回やりとりが行われるのが普通だ。QUICを使うと、ブラウザーは過去にやりとりしたサーバーとは直ちに通信を開始することができる。さらにQUICは、輻輳(ふくそう)制御や自動再送信等の新機能を導入することによって純粋なUDPよりも信頼性を高めている。
Googleは、後にHTTP/2標準の基礎となったSPDYという、QUICKと同様の目的を持つ代替プロトコルを既に開発しているが、HTTP/2はTCP上で動作しているため同じ遅延問題を抱えている。

それならなぜGoogleは、TCPの改善に取り組まないかと疑問に思うのは当然だ。問題は、同社の指摘によると、TCPサポートはしばしばオペレーティングシステムに直接組み込まれていることにある ― そしてOSはGoogleの制御が一切及ばない部分である。「QUICなら新しいアイデアを実験してすぐに結果を見ることができる」とチームはこの方式を採用した理由を書いている。「効果が証明された暁には、QUICの機能がTCPとTLSに移行されることを望んでいる」。未だにインストールされているWindows XPの数を踏まえると、それは一夜にして起こることでないことは明らかだ。

もしGoogleが全く新しいプロトコルを設計すれば、インターネットの根幹を支える全マシンもそれを理解しなければならない ― しかし彼らが既に理解しているのはUDPだ。

2015-04-18_1036Googleによると、QUICはGoogle検索において、平均ページ読み込み時間で約3%の改善を見せている。大したことがないように聞こえるが、Google検索が既に最適化できるだけ最適化されていることを忘れてはならない。他のサイト ― 特に遅延の大きいウェブアプリ ― ではもっと大きな改善が見込める。YouTubeをQUIC経由で接続したユーザーは、ヒデオ視聴中に再バッファリングが約30%少なくなったという報告がある他、QUICの改善された輻輳制御およびUDPのロスリカバリーによって、非常に遅い接続のユーザーでも、QUICによるページ読み込み時間の改善が見られている。

Googleは、HTTP2-over-QUICを、将来の新たなインターネット標準としてIETFに提案する計画だと話している。

これは様々な意味でGoogleのSPDYへの取り組みと類似している。同社はあの時もまずChromeと自社サービス上でプロトコルのプロトタイピングを行い、その後HTTPの新バージョンの基盤として提案した。
なお、自分のChromeがQUICを使って接続しているかどうかを知るには、このブラウザー機能拡張をインストールすればよい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MLB.com、開幕戦のストリーミングは6000万を集める大ヒット

MLB.com

Major League Baseballが開幕を迎えたが、MLBの提供するライブおよびオンデマンド・ストリーミングは、新記録となる視聴者を集めたようだ。MLB.com、MLB.TV、モバイルアプリケーションのMLB At Bat、およびMLB.comの運営するFacebookおよびTwitterのソーシャルチャネルを経由して6000万の人がデジタル配信を楽しんだのだそうだ。

この数字は昨年比で60%アップとなっている。この数字につきMLB Business and MediaのプレジデントであるBob Bowmanが躍進の秘密を語ってくれた。

「人々がベースボールを待ち望んでいたということもあります。ニューイングランドおよび中西部は非常に厳しい冬を過ごしました。ベースボールは、コマツグミの到来と同様に、春を告げるサインとなっているのです」。

もちろんテクノロジー的な要因もあるはずだ。インフラストラクチャーが整備され、多くの人がストリーミングの存在を意識するようになっているのだ。

Bowmanは「多くの人が、サイトにいけばストリーミングがあるはずという意識を持つようにもなったのでしょう」とも言っている。

モバイルアプリケーションのMLB At Batを使った人が900万もいたことにも触れている。「900万人もの人がMLB At Batを利用するとは思っていませんでした」と、Bowmanは言う。この数字は昨年比40%の伸びを示す。訪問者のうち30%がビデオストリームで観戦し、そして20%がオーディオストリーミングを楽しんだのだそうだ。残りの20%はほぼリアルタイムで行われる情報更新ツールを見ていたらしい。この情報後進ツールではリアルな球場映像の上に、グラフィカルに情報が表示される。尚、残りの10%はアプリケーションに備わっているスコア表示機能など使っていたとのこと。

「私たちの考えの根本は、ファンのひとたちがいつでもベースボールを楽しめる環境を提供したいというものです。モバイル環境で開幕戦を楽しんだ900万の人は、いつでもベースボールに触れ続けていたいと考えてくれているのでしょう。そうした希望に沿う環境を提供したことにより、多くの人が自然に集まってきたとも言えます。ベースボールとテクノロジーが結びつくなどと考えもしなかった人も多かったのですが、確かに両者の間に親和性があったのだと言えるとおもいます」。

もちろん開幕ゲームというのは特別なもので、一年を通してこの数字が続くわけではない。しかし今回の数字が成功の予兆ともなることをBowmanは予測している。「開幕戦は誰にとっても興味深いもので、多くの人が集まるのは当然かもしれません。しかしデジタルメディアを通じてMLBを楽しみたいという人が、こんなに多くいることは証明されました」。

今回の成果は、デジタルサービスの提供を模索してきた長年の努力が実を結んだものだ。モバイルアプリケーションはもちろん、iPhoneすら存在しない頃から、情報提供の道を探っていたのだ。デジタルサービスを受け取るための環境も整い、より多くの人々にMLBの魅力を届けることができる時代が到来したのだと、Bowmanは考えている。

「いまや若者だけでなく、年長者たちもモバイルデバイスを使ってMLBを楽しむようになっているのです」とのこと。

MLBの新しいコミッショナーであるRob Manfredも、より多くの人に情報を提供できるデジタルメディアの、パワーおよび重要性を十分に認識している。

「以前のコミッショナーであったBud Seligも素晴らしい人物でした。しかしデジタルメディアの重要性を認識して、積極的に活用の方策を探るManfredを迎えたことも大きな転機とると思われます。活用の方法については何度も話をしましたし、積極的に取り組んでアドバンテージを確保したいとも考えているのです」とBowmanは言っている。

ベースボールは100年以上もの歴史をもつスポーツだ。しかしもちろん時代とともに変化するものであり、テクノロジーの活用は大きな変化のきっかけとなるものだろう。人々はどこにいても、四六時中、ベースボールに触れていることができるようになっているのだ。

「テクノロジーによりベースボールの本質が変わるようなことはないでしょう。しかしベースボールに触れる人の人数を増加させ、さらにファンを増やしていく潜在力をもつものといえます。私たちを感動させるのはゲームの内容です。しかし数年前には思いもよらなかった方法で、ベースボールというコンテンツで楽しむことのできる時代ともなりつつあるのです」。

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(翻訳:Maeda, H