Apple経営陣、昨年の組織変更を反影してWWDCでの息はぴったり

昨日行われたAppleのWWDCキーノート講演は、私にあることを印象づけた。経営陣たちがかつてないほど、CEO Tim Cookに安心感を持ち、息が合っているように感じたことだ。昨日のAppleほど、キーノートやイベントがスムーズに進行することは稀であり、アンサンブル・キャスト方式(複数の幹部がそれぞれ機能説明や発表を行う)がこれほど無理なく安心感を与えながらテンポ良く進み、成功することもめったにない。

Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長で、iOSおよびOS Xの責任者であるCraig Federighiが、iOS、OS Xに関するこの日最大のニュースと共に、今年のキーノートのスポットライトを奪ったと指摘する向きもある。Federighiは間違いなくこのショウのスターとして際立っていたが、全幹部が魅力的かつ安心感のあるプレゼンテーションを行ったという事実は、決して普通のことではない。

これは、Appleが昨年末に会社のトップ組織を入れ替え、Scott ForstallとJohn Browettが会社を去り、Jony Ive、Eddy Cue、Federighi、およびBob Mansfieldが新たな役職について以来、初のイベントだった。Federighiは、Forstallの職務を引き継いだのに加え、AppleのデスクトップOSの開発を率いている。

Appleは、社内の工業デザイン部門とソフトウェアデザイン部門の新しいレベルの協調関係について明言していたが、その証拠はiOSとOS Xの新しいソフトウェアだけでなく、発表のテンポとやり方にも表れていた。CookがAppleを率いるようになって以来、経営チームが最も団結していたと言ってもよい。ともあれ、この新たに再編されたより結束の強いと思われるApple経営チームから、まだまだ多くのイノベーションが生まれることを予感させるエネルギーがそこには漂っていた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


Apple新製品にはJony Iveビデオ。「複雑な世界に秩序をもたらすiOS 7」

Appleは昨日、WWDCにて次世代iOSの発表を行った。発表を受けて、Jony Iveによる7分間のiOS 7紹介ビデオが公開されている。

「真のシンプルさというのは、無用なものを削ぎ落したとか、装飾を廃したというようなところから生まれるのではありません」とIveは言う。「複雑さの中に秩序をもたらしてこそ、シンプルさが実現されるのです」(bringing order to complexity)とのこと。

WWDCのステージ上でも言っていたように、iOS 7はiPhone上で実現される最大の変化となる。それでAppleとしても実際のリリースの前からiOS 7についていろいろと情報を流しているというわけだ。但し、新OSのベータ版を動作させているさまざまなデバイスを見る限り、どうやら賛否両論がありそうだと感じる。

たとえばFacebookはほんのちょっとした変更を加えただけで、反対の声が大きく巻き起こるというのが常となっている。Appleが採用する今回の変更は、ほぼ「全て」の面にわたっているのだ。

Iveによる今回のビデオは、今後いくつも行われる大規模マーケティングキャンペーンの第一弾となるものだろう。Appleはこれからしばらく大幅に変更したiOSのメリットを訴えかけるキャンペーンを張るに違いない。秋のiOS 7登場前に、TVのスポット広告やオンライン広告が種々登場することになるだろう。

まずはカクテルでも飲みながら、Sir Jonathan Iveの格調高い紹介ビデオでも見ていることとしようではないか。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


いまだにゴールドラッシュが続くApple App Store, 新規アプリは年々増える一方

アプリのエコシステムは減速のきざしを見せない。Appleは今日のWWDCでそういう意味のことを言った。iPhoneとiPadとiPod touch用のiOSアプリは今すでに90万あるという。アプリストアが飽和気味で売上は上位のパブリッシャーへの集中が進んでいるが、マーケット全体は縮小していない。

App Storeに2012年から2013年にかけて新たに加わったアプリは25万だ、と発表された。昨年のWWDCの時期から今年のWWDCにかけて、という意味だ。その1年前、すなわち2011〜2012では、新規アプリの数は22万5千だった。さらにその前(2010〜2011)は20万だった。

基本的に、App Storeのゴールドラッシュは、みんながアプリに飢えていた初期であり、アプリのアイデアが出尽くすに従って新規登場のアプリは年とともに減少傾向ではないか、とふつうなら考えたくなる。ところが実態は上で述べたように、各年の新規増分は右肩上がりだ。

独立系のデベロッパにとってApp Storeはますます困難な戦場になりつつあるが、それでも新しいアプリの登場数は減らない。開発の主力をAndroidとGoogle Playストアにスイッチしたところもあり、その成功例もいくつかあるが、そのぶんApple iOSが落ち込んだという事実はない。

App Storeのゴールドラッシュは、まだ始まったばかり、と言えるかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


本日アナウンスされたiOS 7、新たな機能をスクリーンショットで確認してみる

WWDC 2013の舞台にて、iOS 7が正式にアナウンスされた。見た目の部分でかなり大きな変更があるようだ。もちろん新たに生み出されたり付け加えられた機能も多くある。正式版のリリースはまだ数カ月先だが、本日公開された開発者版を早速いろいろといじり始めているBrian Roizenが数多くのスクリーンショットを投稿してくれている。WWDCの舞台上で行われたデモで、新しいOSの方向性は理解できたという人も多いことだろう。しかし詳細なスクリーンショットも、いろいろと参考になるところがあるはずだ。

ノートアプリケーションにある紙の質感などの部分に、以前からの「skeumorphic」デザインが少々残っているようにも感じるが、しかし全体的にはシンプルになったスタイルと「フラット」デザインが特徴だ。またマルチタスクトレイは大幅に使いやすくなった様子。また各種設定をまとめて行えるコントロール・センターも非常に便利そうだ。ボトムトレイからダブルクリックで呼び出す現在の設定機能にはいろいろと不便な点があり、不満をおぼえていた人には朗報となる。

全体的に言えば、これまでよりもモダンでクリーンなエクスペリエンスを提供するOSになると言える。カレンダーやメール、サファリなどのコアアプリケーションの外見によって感じる変化も大きそうだ。基本的な機能オプションのみを常に表示し、細かな機能を提示することでデザインをごちゃごちゃさせることがなくなっている。但し新しい通知パネルには「Today」、「All」、そして「Missed」などのペーンが新たに用意されることとなり、ひと目で全体を見るという方向からは変更になったようだ。こうしたところの使い勝手などをチェックしてみたいものだ。

ちなみに、一般向けのiOS 7のリリースは秋に予定されている。これからしばらくの間で変更点も多数あることだろう。しかし全体的なルック&フィールについては、本日明らかになったものと大きく変わらないものと思われる。これまでと比べると大きな変化であるのは間違いない。一般利用者の評価がどうなるのか、注目して行きたい。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


HTML5アプリの高速化フレームワークを提供するFamo.usが今年のWWDCで紹介された

Appleはこれまでも、WWDCのキーノートで、同社とゆかりのあるデベロッパやパートナーを取りあげてきた。今日(米国時間6/10)の最大の勝者は、Andreessen Horowitzが投資しているAIのスタートアップAnkiだと思うが、ほかにも印象に残ったのはFamo.usの短いデモだ。ここは昨年秋の本誌主催Disruptカンファレンスでローンチしたスタートアップだ。

そのデモは、かなり短かった。それはOS X Mavericksの発表で、Safariの改良を説明したときだ。Safariのパフォーマンスをほかのブラウザと比較しながら、AppleのCraig Federighiが、「ではここで、とっても電力を食う重いWebサイトを開いてみよう」、と言った。それがFamo.usのホームページで、Famo.usのJavaScriptフレームワークをデモするためにいろんな成分のテーブルを表示している。そのときFederighiは、Famo.usのときはCPUの電力消費メーターの針が約半分ぐらいのところまで上がることを見せた。そのウィンドウをiTunesの背後に隠すと、針は下がった。

Famo.usのプラットホームは、HTML5アプリの高速なレンダリングが売りだから、そのデモとしては物足りない。でも、多くの聴衆に、AppleがFamo.usに注目していることが分かっただけでも、すごいことだ。

Famo.usの協同ファウンダでCEOのSteve Newcombに、今日のWWDCでAppleがFamo.usを取りあげた理由について聞いてみた。彼は、よく分からないけど“前からAppleとの仲は良いし、彼らがうちを高く評価していることの表れだろう”、とだけ言った。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iOS 7、古いiPhoneやiPadは取り残される

iOS 7はこの秋iPhoneにやってくる。しかし、WWDCで発表された機能のすべてを使えるのはiPhone 5とiPod touchだけだ。iPhone 4と4Sユーザーが手にするのは新しいルックスと機能の一部だけだ。iPhone 3GS以前の旧モデルのことは忘れること。そこではiOS 6のスキューモーフィックな世界が永遠に続く。

下の表にある通り、AirDropはiPad 4、iPad miniを含む最新機種だけが利用できる。iPhone 4Sはカメラのフィルターを欠いているが、iPhone 4共々、写真アプリではフィルターが使える。

今日発表された中で唯一Appleに収益をもたらす機能であるiTunes Radioは、iOS 7互換の全機種で利用できる。

これらの機能の一部はiPadでも利用できる ― ただし初代iPadを除く。これはiOS 6のままだ[*]。iPad 2はSiriのアップデートとiTunes Radioだけ。写真のフィルターはiPad 3以降で使える。しかし、iPad 4とiPad miniですら、カメラのパノラマやフィルター機能はない。
[* 訳注:初代iPadはiOS 5までなのでiOS 6さえも使えない。iPhone 3GはiOS 4まで]

もちろんこれは、進化における残念な副作用であり、取り残される機種が出るのは当然だ。

AppleとGoogleは、最新OSで旧機種をサポートすることに関して、称賛すべき行動をとっている。iOS 7を含め、殆どの場合制限の理由はハードウェアに直結している。ハードウェアが新機能に全く対応していないか、ユーザー体験の質を維持できる水準にない場合だけだ。

とりわけAppleは、他社以上にユーザー体験を損わない場合にのみ機能を提供することにこだわる。Siriが登場した時、AppleはiPhone 4Sよりハード性能の低い1年前のiPhone 4に音声入力を提供しなかった。

Microsoftは、Windows Phone 8が当時の現行端末を サポートしないと発表して人気を下げた。旧ユーザーはWindows Phone 8のUI要素の一部を使用できたが、性能改善を支える新機能群は提供されなかった。しかし、新OSは当時の機種にないハードウェアを必要としていた。進歩は時に痛みを伴う。

iOS 7が今年の秋に公開される時、ハッカーやプログラマーたちは、欠けている機能を旧機種に移植すべく最大の努力を払うに違いない。もっとも、それが起こらなくても、あなたのiPhoneにない機能を持つアプリが存在する可能性は高い・・・なぜなら、元々Appleが盗んだものなのだから。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


iOS 7、新機能の多くは模倣。Mailboxのジェスチャー、BlackBerryのバック機能、WebOSのマルチタスク等々

今日(米国時間6/10)Appleは、WWDCのキーノート講演でiOS 7を発表した。新OSには魅力的なデザイン改訂がなされたが、その機能やUIの多くは、革新的サードパーティーアプリや、ライバルのモバイルOSに強くインスパイヤーされている。

新しいメールクライアントは、見た目からしてMailboxにそっくりだが、これは新しいフラットUIのためだ。しかし、Craig Federighiがメールの上で指をスワイプして「移動」や「削除」のアクションを見せた時、Mailboxのジェスチャーが強く想起された。

新カレンダーアプリには新しいデフォルトビューが採用された。上部には週間カレンダーが、下部には現在起きているイベントのフィードが表示される。そして、先の日付にジャンプするためのスクロール式月間ビューはSunriseのUIによく似ている。

そしてもちろん、iTunes Radioである。すでに誰もが知るライバル、Pandoraとの比較は避けて通れない。あの小さなスタートアップは大くく成長して上場企業になり、音楽を聞く全く新しい方法を定義した。Spotifyはそのラジオ機能をコピーしたが、今度はAppleだ。Pandoraと全く同じように、お気に入りのアーティストを選んで関連ある曲がエンドレスに流れる自分専用のラジオ局を作ることができる。

真似されているのはサードパーティーアプリばかりではない。ライバルOSも気をつけた方がいい。例えば、Appleはシステム横断の「戻る」機能を新しく提供する。iOSはAndroidと異なり戻るボタンがないことでよく知られてきたが、回避方法を見つけたようだ。画面の左端をスワイプすると、前の画面に移動する。この機能はBlackBerry 10そのままだ。

そしてAppleが新たに採用したマルチタスク画面は、今はなきWebOSにそっくりだ。古き良きWebOSで最高の機能といえばマルチタスクだった。実行中のアプリ毎に、アプリの現状を示すカードがある。カードからカードへとスワイプして求めるアプリを見つけることができる。

新しいフラットUIによって、iOSはWindows Phoneにもかなり似てきた。ボタンとロック画面はよく似ているし、フラットテザインを普及させた主役の一人がMicrosoftであることに驚く人はいないだろう。

盗作はまだまだありそうだ。

[iOSの写真アプリは、flayvrにそっくり]

古いUI要素も一部残されているので、iOS標準アプリの古いユーザーを驚かせることはないだろう。例えば、カレンダーの週間ビューはSunriseには存在しないがAppleは今もこのビューを提供している。Appleが他のOSの機能を模倣するのは珍しいことではないが、サードパーティーからの盗作は納得できない。あの小さなチームたちは、モバイルで最大級のUIイノベーションを生み出したのに、iOSの最新版によって報われることはない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


AppleのApp Storeダウンロード総数は500億。アプリケーション数が90万で、開発者が得た金額は100億ドル

毎年のWorldwide Developers Conferenceで楽しみなことのひとつは、Appleエコシステムの状況について発表をきくことだ。本日も、最新の情報が発表された。App Storeからのダウンロード総数は500億に達したとのことで、昨年の300億から大いに伸び、480億ダウンロードの達成を先日アナウンスしたGoogle Playをリードする状況であるようだ。iOS用アプリケーションの数は90万本に達しており、iPhone、iPad、およびiPod touchなどで利用できる。iPad専用アプリケーションの数は37万5000本となっているそうだ。

2012年6月の段階では、iOSアプリケーションの数は65万本であるとされ、iPad用が22万5000本だとアナウンスされていた。ちなみに2011年段階ではiOSアプリケーションの数は42万5000本で、iPad用は9万本とのことだった。登録アプリケーションを利用する登録利用者数は現在のところ5億7500万であるとのこと。

Appleのアプリケーション経済は開発者たちにとってもうまく機能しており、Appleがサードパーティー開発者に支払った額も100億ドルに達しているそうだ。こちらの方は2012年には50億ドルで、2011年段階では25億ドルだった。成長具合をみるためにさらに遡ってみると、2010年は15億ドルであるとアナウンスされていた。

アプリケーション開発者がマネタイズを目指す際に、やはりAppleのエコシステムというのが有効に機能しているようだ。アプリケーション分析を行なっているApp Annieの今年第一四半期についてのレポートによれば、iOS App Storeの売り上げはGoogle Playストアの2.6倍であったとのこと。App Annieと競合するDistimoも、Google Playが着実に成長しつつあるものの、現状ではiOS App Storeが優位であることをレポートしている。また、アメリカのストアにおいてトップ200のアプリケーションを比較した調査も行なっている。それによれば、2013年4月時点で、Google Playにおける日々の売り上げは110万ドルで、Apple App Storeの方は510万ドルとなっている。

ただ、Appleのアプリケーションエコシステムの成長が諸刃の剣となっている状況もある。多くの利用者が存在してチャンスはあるものの、しかし一部の「勝者」が全てを獲得するという状況にもなりつつあるのだ。iPhoneアプリケーションの売り上げが上位のパブリッシャーのうち、新人が占める割合がわずか2%であるという報告もあった。100億ドルの行き先がどうなっていたのかは、なかなか興味深いところだ。

爆発的な人気を獲得したわけではないアプリケーションの開発者にとってみれば、App Storeの成長ぶりや売上げについてのアナウンスはすなわち機会損失を証明するものともなる。Apple App Storeの成長が落ち着いてくる中、Google Playの方に目を向けようとする開発者も存在するようだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


Apple、ついに新型Mac Proをアナウンス

WWDC 2013の会場にて、Phil Schillerは集まった人々に向けて麗々しく新しいMac Proをアナウンスした。曰く「これ以上のイノベーションは不可能です」とのこと。最大12コアのIntel Xeonを搭載したサーマルコア構造で、超高速なメモリを採用している。これまでのMac Proと比較して、2倍の処理性能を誇るそうだ。

20GbpsのThunderbolt 2ポートが用意され、2枚のGPUグラフィックカードを積んで4Kディスプレイをサポートする。性能的には文句のつけようがないものと言えるかもしれない。また、これまでのMac Proと比較して大幅に小型化がなされている。従来のものと比べて8分の1程度のサイズになっているようだ。

ギガビットEthernetに対応し、HDMI、USB 3.0ポートなども搭載。アメリカでアセンブルされる予定で今年後半に登場とのことだが、時期や価格についての詳細はまだ明らかになっていない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


Apple、新SiriのTwitter、Wikipedia、Bingとの統合を発表。新コマンドおよび男女双方の音声も用意

WWDCキーノートにて、音声を使ったパーソナルアシスタントであるSiriに施す種々の機能追加が発表された。外見的には高性能の男性および女性音声が利用できるようになる。また、複数言語にも対応している(英語、ドイツ語、フランス語等々)。しかしそうした外見的変更だけでなく、機能的にも大幅に変更されることになった。すなわちTwitter、Wikipedia、およびBingを使った検索機能を統合することとなったのだ。即ち利用者のリクエストに対して、Wikipediaから引用して回答するというようなことがあり得るようになったわけだ。

またコマンドもいくつか追加されることとなった。たとえば「Play last voicemail」(最新のボイスメールを再生)、「toggle settings」(設定変更)、ないし「increase brightness」(輝度アップ)などだ。しかし最も大きな変更は、BingをSiriの標準検索ツールとしたことだろう。

さらに、ホンダ、メルセデス、日産、シボレー、Kia、およびHyundaiなどとの提携により、車載のタッチスクリーンからも種々の機能が利用できるようになる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H)


Appleは、そろそろユーザーを大人扱いしてもいい頃だ

Appleはもうわれわれを大人扱いしてもいい。この会社がiOSでスマートフォンに革命を起こしたことに疑いの余地はない。しかし、iOSが年を重ねるにつれ、そのユーザーも年を重ね、初めてのスマートフォンユーザーは減っている。この、コンピューターをポケットにというアイデア自身が新しいものだった頃は、ユーザーの自由を奪っていたのもわかる。しかし、Appleがスキューモーフィックなデザインから、抽象化を高めたフラットデザインへとiOS 7で移行しようとしているのと同じように、オペレーティングシステムをどう使いたいかに関して、もう少しユーザーを信用し、権限を与えるべきではないだろうか。

実際Appleは、Facebook Homeのようなものを許したことがない(あれはいずれにせよ醜悪たが)。しかし、そろそろAppleも、一部でもいいからデフォルトをApplアプリからサードパーティーのサービスに切り換えることをユーザーに許してもいいだろう。

その典型例はもちろんSafariだ。GoogleのChromeやOpera、その他ライバルブラウザーの多くは、様々な面でSafariより優れている。Goolge、Operaのいずれも、プロキシーサービスによってユーザーに通信費の負担を軽減させようとしている(ChromeではAndroidのベータ版で始まったばかり)。Appleも近々同じ機能を提供するのかもしれないが、ユーザーが標準ブラウザーを選択できてもいいはずだ。すでにGoogleは、Gmail for iOS等の自社アプリから、可能な場合にはiOSユーザーをChromeに転送しているが、殆どのアプリはこれをやっていないため、ブラウザーを切り替えても意味がない。

同じことはAppleマップにも言える。これは、標準のiOSアプリがライバルより劣っている例の最たるものだが、Yelpをはじめとする人気アプリが常に開くマップは今でもこれだ。マップはスタンドアロンで使いたいだろうから、乗り換えは多少楽だが、それでも本来不必要な手間だ。

アプリ以外では、そろそろAppleがサードパーティー製キーボードを許してくれると嬉しい。実際、標準のiOSキーボードは少々古くなってきた。いずれAppleも、(Googleと同じように)Swypeを真似てスワイプ型キーボードを作るに違いないが、選択の自由に関しても何かあってしかるべきだ。

私にはあのささやきが聞こえる:「だったらAndroidにすればいいじゃないか?」 真実はと言えば、おそらく私はそうする。長い間のトレードオフは、〈すばらしいユーザー体験(iOS)〉対〈よりオープンなシステム(Google)〉だった。今やGoogleのユーザー体験は事実上Appleと変わらず、サービスはずっと優れている。今Appleが決断すべきは、システムを封鎖し続けて体験を一人占めにするのか、あるいは、少しでもオープンにして、少しでもユーザーの選択肢を増やすかだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)


AppleのWWDCアプリに早くも”フラットデザイン”の片鱗が

AppleのWorldwide Developers Conference(WWDC)用アプリが今日(米国時間6/3)から提供開始され、カンファレンスのいくつかのセッションを紹介しているが、しかし見ものは、これまでとがらっと変わったUIだ。その変化は、iOS 7のヴィジュアルの一新についていろいろ言われていたことを裏書きしているようであり、単なる一個の自社アプリの問題ではなく、デベロッパの世界にもこれから広がっていくものなのだろう。

9to5MacのMark Gurmanが、下図のようなものをリツイートしているが、そこにはWWDCアプリの2011年から2013年までの変化が画像で示されている。ご覧のように、その違いはかなり大きい。最初は色を変えたり影を付けて立体感を出しているが、だんだんシンプルになり、2013ではほぼフラットだ。ただし変化は細部的な変化にとどまり、リスト画面全体などの大枠は変わらない。iOS 7全体としてもやはり、インタフェイスの全面的な完全なオーバホールは行われない、と言われている。

アイコンもこれまでのApple自社アプリに比べると相当シンプルかつクリーンになったが、アプリ内のそのほかの要素も含めて、グラデーションはわずかにある。だから、完全に“フラットな”デザインとは言えない。でも、これまでフラットフラットと言われてきたから、ちょっと拍子抜けの気分でもあるね。WWDCのアプリだけを見て全体を云々するのもあれだが、これらはiOSの主要なUI要素の今後の姿を、ここで、ちらっと予告しているのかもしれない。

デベロッパが作る“ネイティブ”アプリに関しても、新iOSに合わせるためにはかなり苦労するだろう。ただし最近は、AppleのiOSのデザイン原則からあえて逸脱するアプリデベロッパが多い。しかも彼らの独自のデザインにおいても、ボタンなどのフラット化が進んでいるのだ。しかし、わずかな変化でも、それに正確に合わせようとするとけっこうたいへんな作業になる。ぼくの個人的な感想としては、今回の変化は改悪ではなく改良だと感じる。サードパーティのアプリも、この自社アプリのポリシーに右へ倣えした方が、良いのではないかな。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iOS 7のモバイル・トラフィックが先週から急増―来月のAppleのWWDC開催を控えてプレビュー版のテストが追い込み段階か?

Appleの例年のWorldwide Developers Conference(WDC)は早くも来月に迫っている。ここでiOS 7が公開される、少なくともプレビューが公開されるだろうというのが大方の予測だ。HTML5を利用してウェブサイトをタブレット用に最適化するサービスを提供している企業、Onswipeが、この予測を裏付けるようなデータを発表した。 それによると、このところ提携サイトのトラフィックに現れるiOS 7デバイスの数が急増しているという。

過去1週間、OnswipeはiOS 7搭載のiPhoneとiPadの数が急増していることを発見した。特にクパチーノ(Apple本社所在地)とサンフランシスコを発信地とするものが多いという。

iOS 7デバイスのトラフィックのうち、サンフランシスコが18.75%、クパチーノが17.9を占めていたということだ。iOS 7のトラフィックが最高だったのは5月2日で、Onswipeを利用しているサイトのiOSのユニーク訪問者の23%を占めた。大部分はiPhone(75%)だったが、iPadも4分の1を占めていた。

Appleは通常、iOSを社内でテストし、続いてプレビュー版を登録デベロッパーに公開する。プレビュー版で数ヶ月テストを経たのちに一般公開という運びになる。現在iOS7のユーザーが急増しているということはAppleがWWDCでのプレビュー版の公開に向けて社内テストの追い込みにかかっていることを推測させる。これはAppleはiOS7をスケジュールどおりに出荷するために全社のリソースをこれに集中しているという情報とも一致する。

OnswipeではiOS 7のトラフィックが増加しているというだけでなく、この新OSのユーザーが何に関心を持っているかという情報も明かした。Onswipeによれば、iOS7のテスト・ユーザーはレコードのターンテーブルフロントカメラで自画撮りビデオをサポートするようになった最近のVineのアップデート、 Appleの株価動向キッド・カディのラップ音楽などに興味があるようだ。これらがAppleのエンジニアの最近のお気に入りなのだろうか?

iOS 7の内容については、伝統のスキューモーフィズム色を薄めたフラットなビジュアル・デザインが採用される、メールやカレンダーなどコアな機能が大幅にアップデートされるといった噂は出ているものの、 確実と思われる情報はまだほとんどない。だが真相が明らかになるまでもうそう長く待つ必要はなさそうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+