アマゾン傘下のRingが3つの新製品で自動車用セキュリティーに進出、その1つはテスラとのAPI連携

Amazon(アマゾン)傘下のRing(リング)は、家庭や近所用のセキュリティーから自動車の世界に手を広げようとしている。米国時間9月24日に開催されたアマゾンのデバイスとサービスの盛大な展示会で同社は、3つの新製品、Ring Car Alarm(カーアラーム)、Ring Car Cam(カーキャム)、Ring Car Connect(カーコネクト)をデビューさせた。最初の2つはデバイスだが、最後のひとつは自動車メーカー向けのAPIとハードウェアのセットとなる。いずれも来年の早い時期に出荷される。

「実際、Ringをスタートさせてからずっと、さらにDoorbot(ドアボット)の時代まで遡って、自動車用のセキュリティーを求められ続けてきました」とインタビューで言及したのは、RingのCEOで創設者のJamie Siminoff(ジェイミー・シミノフ)氏。「それは、私たちが常に念頭に置いていたものですが、先に片付けなければならないことがあまりにも多かったのです。製品を作って、しっかりと働けるようにするには時間がかかるものです。そのため、この分野への進出には手間取りましたが、私たちの使命は住宅地を安全にすることです。自動車に起こることの多くは、住宅地にも起こるのです」と語った。

シミノフ氏は、今回発表できた製品が1つだけではなく、あらゆる顧客のニーズをカバーできる一連のセットであったことをとても喜んでいた。Ring Car Alarmは、OBD-II(車載故障診断装置ステージ2)対応の無線機器で、駐車中の車への衝突、車上荒らし、さらにはレッカー移動を感知する。Ring Car Camはセキュリティーカメラだ。Wi-Fi対応だが、追加プランでLTEにも対応できる。駐車中の事件や事故を監視するほか、走行中は緊急衝突検知や警察官に停止を命じられたときの録画も可能だ。3つ目のRing Car Connectは、ユーザーが内蔵カメラの映像を見たり、ドアロックの状態を確認したりできるように、自動車メーカーが車に統合するAPIと接続する後付け装置だ。

3つの製品でいきなり正面から、しかもRingにとって未経験の分野で参入した理由をシミノフ氏に尋ねた。「詳しく調べるようになって、これは1つのサイズで誰にでも合うといった種類の製品ではないことが、身にしみてわかったのです」と同氏。「むしろ、自動車に関連する製品一式を作ることなのだと気づきました。Ringでは、本当に独創的で、市場で際立ち、私たちの使命に合致し、顧客の生活をよりよくできるとわかったものだけを発売するよう努めています。完全にとは言いませんが、これまではそうしてきました」と続けた。

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製品の価格帯は大きな幅がある。Ring Car Alarmは予定小売価格が59.99ドル(約6300円)、Ring Car CamとCar Connectは、どちらも199.99ドル(約2万1000円)。Ring Car Alarmは、明らかに幅広い顧客層を狙っている。車への犯罪行為を予防する目的で、車とRingアプリが連動できるようにする基本機能をセットで提供するものだ。この装置は、Ringアプリに警報を送る。ユーザーが望めば、サイレンを鳴らすこともできる。Car Alarmはまた、他のRing製品やAmazon Alexa端末との連携も可能で、車に衝撃が加えられたり窓を割られたようなときには、Alexaが声で知らせてくれる。Ring Car Alarmは、Ringの親会社であるAmazonが今年中にサービスを開始する予定の低帯域幅無料無線ネットワーク・プロトコルAmazon Sidewalk(サイドウォーク)を使った接続が必要となる。

Ring Car Camは、もう一歩進んで、車の様子を目で監視できるようにするものだ。Wi-Fiが届く範囲で使用できるが、コンパニオンプランを選べば内蔵LTEによる接続が可能になる。また、これを取り付けた車に乗っている間にも使えるセキュリティー機能がある。RingのEmergency Crash Assist (緊急衝突アシスト)は、重大な事故だと判断した際には、即座に第一対応者に車の位置を通報する。さらに警察に停車を求められたとき、「Alexa、停止を命じられた」と話せば、自動的に録画が始まる。ネット接続されている場合、その映像は自動的にクラウドに送られる。プライバシーに関しては、写したくないときにレンズを隠せるフタがカメラ本体に付いている。録画中に音声だけをオフにすることも可能だ。

そしてRing Car Connectだが、これは自動車メーカーが使用するAPIで構成されていて、Ringの利用者が車に発生するあらゆる問題の警報を受け取れるよう、または車載カメラの映像を見られるようにする。また、後付け製品ではほとんど見ることが許されなかった情報にもアクセスできるようになる。

例えば、車のドアがロックされているかアンロックされているかなどだ。Ringの最初のパートナーとなる自動車メーカーはTesla(テスラ)だ。同社は、Model 3、X、S、YをRing Car Connectに対応させる。ユーザーは、2021年に199.99ドル(約2万1000円)で発売予定の後付け装置を取り付ける必要があるが、それによりセントリー(見張り)モードの録画映像や、運転中の映像をRingアプリで見られるようになる。

画像クレジット:Ring

Ringのセキュリティー・エコシステムは、簡単なドアベルから発展し、家全体(こちらもさらに広がっているが)、家の周囲、本格的な警報サービス、そして今や自動車にまで発展した。同社は決して、その栄誉ある地位に甘んじているわけではない。間もなく、郵便受け用のセンサーが29.99ドル(約3100円)で発売される。文字どおり手紙の「着信」を知らせてくれる装置だ。これが、今回の発表にちょっとした花を添えている。

画像クレジット:Ring
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(翻訳:金井哲夫)

防犯カメラのRingがビデオのエンドツーエンド暗号化を今年中に導入

Ringは、同社のセキュリティー製品をユーザーにとってより安全にする取組みの一環として、エンドツーエンド・ビデオ暗号化を今年中に実施する。アプリのコントロールセンターに将来この切り替えを行うためのページを新たに追加し、エンドツーエンド暗号化が公開されるまでの間、ユーザーのビデオを安全にするためのRingの暗号化対策の詳しい情報を提供する。

同社は米国時間9月24日に、新しいデバイスも発表しており、同社初のドローンもその1つだが、創業者兼CEOのJamie Siminoff(ジェイミー・シミノフ)氏は、新しいセキュリティー対策こそが一番大きな違いを顧客にもたらすものだと語った。

「エンドツーエンド暗号化は我々が提供する中で最も重要なプロダクトです。なぜならセキュリティーとプライバシーとユーザーによる制御はRingの基盤をなすものであり、これを業界に先駆けて一層強化していくことは、当社の責任だと考えているからです」と語る。

シミノフ氏は、同社が今年実施した2要素認証の義務化は、業界標準の先を行くものであることも指摘した。同氏に、エンドツーエンド暗号化ビデオをデフォルトにせず利用したくないユーザーがオプトアウトできるようにした理由を尋ねたところ、「ご承知のとおり、プライバシーの基準は個人によっ異なりさまざまなニーズがある」とのことだった。

エンドツーエンドについて一例を挙げれば、Alexaに向かって「玄関に誰がいるか見せて」とは言えなくなる。なぜならエンドツーエンドでロックされるからだ。その手のことが起きると顧客はやりたいことができなくなる。つまり、エンドツーエンド暗号化はあらゆるユーザーの使い方にマッチするわけではないので、オプションにしているというわけだ。

一方ではこの種の安全性をぜひ欲しいという人もいるので、今後の当社の製品は、そして業界全体がそうなってほしいのは、ユーザーが必要なセキュリティーを設定できて透明性のあるシステムだ。本日発表したビデオ・コントロールセンターでも、Ringのビデオなど顧客のデータに関する情報をユーザーが見られるようにしている。

つまり同氏の望みは、自社の製品を使ってユーザーが自分の使いたいシステムを構築できるようにすることだ。「室内ドローンのAlway Home Camは別のかたちでそれを表現したもので、家中の部屋を映す能力があるが、いつどこを撮るかを選ぶ能力も兼ね備えています」と同氏は説明した。

そして「大切なのは人々がテクノロジーを使うための選択肢を提供すること。ただし、快適に使い、理解し、制御できることだと思います」と締めくくった。

Amazon Hardware Event

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ユナイテッド航空がSF-ハワイ線の乗客に15分で結果がわかる新型コロナ検査を提供、陰性なら隔離不要に

新型コロナウイルスの感染蔓延が続く中、「普段通りのビジネス」への道のりはまだ全く見えない。しかしUnited Airlines(ユナイテッド航空)は搭乗直前の新型コロナ検査を簡単に利用できるようにすることが移動の規制緩和に役立つかを確かめる新たな試みに乗り出す。同航空は新型コロナ検査(空港での迅速検査、あるいは郵送されてくる検査キットで旅行前に自宅で行う)をサンフランシスコ国際空港からハワイに向かう乗客向けに10月15日から提供する。

ユナイテッド航空はハワイ州の検疫対策の要件を満たすために州政府ならびに衛生当局と直接協業した。そのため、旅行前に受けた検査の結果が陰性だった乗客はハワイ到着後、義務化されている隔離をスキップできる。当然のことながら、一定期間の隔離はハワイのような人気観光地に旅行する際の大きな障壁だ。2週間という期間は、米国本土から訪れる人の典型的な滞在期間のほとんどにあたる。

ユナイテッド航空は検査の提供にあたって2社と提携した。在宅検査ではColorを利用する。医師によって指示され、サンプル到着後2日以内に結果を案内する。空港での検査はGoHealth(ゴーヘルス)のUrgent Careが行う。わずか15分で結果がわかるAbbot ID NOWを活用する。

もし乗客がColorを選択する場合、テストキットを少なくとも搭乗10日前にリクエストするようアドバイスされる。そして搭乗前72時間以内にサンプルを提出する。サンプルキットを期日内に受け取り、またフライト前に新型コロナウイルスに接触した可能性を極めて低くするべく結果を最新のものにするのが目的だ。Colorの検査を選択した乗客はサンプルをサンフランシスコ空港に設置するドロップボックス経由で提出することもできる。結果は離陸後に判明するが、陰性の場合は隔離期間を短縮できる。

空港で検査を受ける場合は、あらかじめサンフランシスコ国際空港の国際線ターミナルにあるテスト施設に予約を入れる必要がある。検査は太平洋時間午前9時から午後6時の間、毎日利用可能だ。

今回は試験プログラムにすぎないが、いい取り組みだ。というのもこの結果どうなるのか、隔離期間をスキップできるかを確かめるのは重要だからだ。移動後の2週間隔離はこのパンデミックで世界的にかなり広く導入されているが、ほとんどのところで検査結果や、検査をどのような手法でどれくらい最近受けたかにかかわらず意図的に隔離が求められている。

それは、現時点では検査の結果が必ずしも確実ではないからだ。たとえば無症状の人の感染を検知するのに、検出に十分なウイルス量がない場合は検査の有効性が低い可能性もある。そうすると偽陰性という結果になり、14日間の隔離義務が適用されない。

旅行、特に米国内の観光はハワイのような州にとっては経済を保つのに不可欠だ。広範での検査は米国、そして国際的にもこの手の経済活動を再開させるためのレバーとなりえる。しかしこうした手法が本格導入される前に綿密で入念な調査、衛生・健康専門家による精査、診断の精度と一貫性の改善が必要だろう。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Ringの最新防犯カメラは自律飛行型屋内ドローン、2021年に約2.6万円で出荷予定

Ringはドアベルを再発明することで事業全体を構築した。そして同社はAmazon(アマゾン)のハードウェアイベントの期間中に、来年中にRing Always Home Camを販売することを発表した。

同製品は、シンプルなホームセキュリティカメラに似たアプローチを採っている。名前からは想像しずらいが、この防犯カメラとして機能するRing Always Home Camは、実際には家の中を自律的に飛行するドローンで、複数の場所にビデオカメラを設置しなくても、ユーザーがチェックしたい部屋をドローン経由で見ることができるというものだ。なお、Ringはアマゾン傘下の企業だ。

Always Home Camは、ユーザーが事前設定したルートを飛行するようにスケジュール可能だ。この小型ドローンは、手動で飛行させることはできず、飛行中に一度だけ録画を開始する。もちろん本体ケースにドッキングしている場合は、カメラのレンズは物理的にブロックされる。 同社は「どちらの機能もプライバシーを念頭に置いて厳密に運用するのに役立つ」と説明している。Always Home Camはまた、使用中に意図的に音を出すように設計されており、実際に動き回って録画していることを誰かに知らせるようになっている。

Always Home Camには屋外のオープンスペースで使用するために設計されたドローンに見られるような露出したローターはない。安全のためにプラスチック製の枠とグリルで囲われているのみだ。サイズも小さく、横7×縦7×高さ5インチ(約18×18×13cm)で、人と家庭用品の両方の安全に保つだろう。

「なぜこのような野心的な異例のホーム セキュリティカメラを開発することを決めたのか」について、Ring創業者兼CEOのJamie Siminoff(ジェイミー・シミノフ)氏に聞いた。特に、ドアベルや投光照明といった実証済みの家庭用ハードウェアの実績を考えると疑問に感じたからだ。

同氏は「Always Home Camはユーザーのフィードバックから生まれたものです。その多くは『家にいるか、家の特定の場所で何かが起きたときにそれを見ることができたらいいな』という意見だった」という。あるいは「特定の部屋用のカメラが必要だが、利用するのは特定の時間に限られている」といったものだ。

「家のあらゆる部屋にあらゆる角度からカメラを設置するのは現実的ではありません」と同氏。「無制限のリソースがあったとしても、まだ実用的ではないと思います。Always Home Camで私が気に入っているのは、1台のカメラですべての問題を解決してくれることです」と続ける。

ドローンはRingの主要事業ではないが、Always Home Camは屋内で安全かつ完全に自律的に操作できる小型機を作るという技術的な課題があるにもかかわらず、249ドル(約2万6300円)という比較的低価格で提供される予定だ。

シミノフ氏に「Ringが自社で開発したデザインを用いて、専門外の分野でどのようにしてこの価格帯を実現したのか」と尋ねたところ「技術が枯れてくるについて、これらの部品の多くは価格が下がってきました。自動車メーカーは現在、これらの部品の多くを大量に使用しているためコストダウンが起こっています。明らかに同じ部品ではありませんが部品コストはすべて下がってきています。また、私はこのプロダクトを思いついたときに、手ごろな価格でなければならないということにチームに提案しました」と答えてくれた。

Ring Always Home Camは、Ring Alarmを含む既存の製品群と連携して、アラーム発動時に自動的にあらかじめ設定された経路を飛ぶ。Ringアプリを使ってモバイルデバイスにライブでビデオをストリーミングすることも可能だ。多くの点で、これはRingのエコシステムの自然な延長のように見えるが、同時にSFの世界から飛び出したようにも見える。

そこでシミノフ氏に「消費者はこの種のテクノロジーを日常生活の一部として真剣に受け止める準備ができていると思うか」と尋ねた。

シミノフ氏は「私が思うに、それはある意味、はるか向こうにあるものなのです」と認めた。「しかし、私が気に入っているのは、この水平思考の制約を取り除いたときに起こることです。裏にある必要性を見極め、どんな技術が存在するのかを考え、何を構築できるのかを考えることから、私たちが何をすべきなのか考えるのが大好きです。何かを達成して業界第一線に私たちの足跡を残せることは、私にとって本当にエキサイティングです」と締めくくった。

Amazon Hardware Event

画像クレジット:Ring

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Blue Originが軌道上生活に実現に向けたスタッフを募集中、商業目的で滞在する人向けの居住空間目指す

Blue Origin(ブルー・オリジン)の創業者でアマゾンのCEOであるJeff Bezoz(ジェフ・ベゾス)氏は、最終的には人々が生活したり仕事をしたりする場所として機能する軌道上の宇宙ステーションを作りたいという野心を持っている。そして現在、Blue Originは「軌道上の居住地の定式化」を中心とした取り組みをリードする人材を募集する求人広告を出しているSpace News記事)。

この求人広告では「何百万人もの人々が宇宙で生活し、働く」という最終的なビジョンの策定を担当する人材を募集しているが、近い将来の目標は既存の国際宇宙ステーション(ISS)をヒントにしながらも、「価値創造的な経済活動」を促進することによって、既存の国際的な共有研究構造を「超えた」ものにすることのようだ。

以下に募集リストからの重要な点を抜粋した。

Blue Originの軌道上居住空間ラインの設計リーダーとして、技術コンセプト、製品戦略、ビジネスケース、顧客関係、市場形成のアウトリーチ、産業パートナーシップ、実装アプローチ、サプライチェーンの開発をリードしていただきます。事業開発の専門家と協力して、NASAやほかの政府機関、企業のニーズを詳細に理解し、製品戦略の反復的な開発を導きます。2020年代に実行可能なLEOデスティネーションシステム(観光資源の有効活用を促進するための手法)を確立するために、外部および内部のスポンサー資金を獲得する責任があります。あなたは、人類の宇宙飛行の歴史に直接影響を与えることになります。

Blue Originはまた、彼らが作っているのはISSのようなステーションとは「根本的に異なる」だと説明している。ISSは「小さいうえ、プロの訓練を受けた乗組員」のために設計されているが、同社が考えているものは、専門家でないユーザーにとっても、居住性が高く実用的なものにしたいようだ。つまり、宇宙飛行士になるためではなく、主に商業目的で滞在する人向けの居住空間を目指す。

ベゾス氏が昨年5月のイベントで語った理想的なコンセプトビジョンには、現実とはまだかなりの距離があると思われる。しかし、同氏がどれだけ実現させたいのかによってはBlue Originの商業宇宙居住区を軌道上に置くことができるようになるかもしれない。

画像クレジット:Blue Origin

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(翻訳:TechCrunch Japan)

カーネギーメロン大のロボット探査車MoonRangerが2022年に月面の水氷探索に初挑戦、拠点設置に備える

カーネギーメロン大学とスピンオフ宇宙スタートアップのAstroboticは、月面の水を探すためのロボット探査車を開発している。この小さなロボットは、重要な予備設計のレビューに合格し、2022年に行われるその着任ミッションに一歩近づいている。MoonRangerと名付けられた探査車は、将来の人間による月探査を支えるにに十分な量の氷が埋まっているかを調査する最初のロボット調査官となることを目指している。

VIPERの目標は、月の地表近くに存在する水氷を探すことで、それにより2024年に予定されている人間の月着陸に備える。これはNASAと国際的な宇宙コミュニティのパートナーたちとの共同プロジェクトで、私たちの大きな自然衛星の上に、人間が常駐する恒久的な研究所を作る。

MoonRangerは、スケジュールどおりに進めば最初の探査機になるかもしれないが、2022年12月の月面着陸を目指すゴルフカートサイズのロボット探査車である「VIPER」と呼ばれるNASA独自の水氷探査機との競争になるだろう。VIPERの目的は、2024年に計画された月面着陸のための準備で、月の地表近くに存在する水氷を探すことだ。これをきっかけにNASAと国際宇宙コミュニティのパートナーたちは、共同プロジェクトで、大きな自然衛星である月面に科学と研究の拠点を恒久的に設置しようとしている。

VIPERと同様に、MoonRangerも月の南極点を目指しており、NASAのミッションのための一種の先遣隊となるだろう。理想的には、NASAの商用月面運送サービス(CLPS)プログラムの一環としてMasten Space Systemsの月着陸船XL-1で送り込まれるMoonRangerは、一定量の水氷の存在を確認し、そのやや後に到着するVIPERがドリルなどを使って本格的な調査を行う。

MoonRangerはVIPERよりもはるかに小さく、スーツケース程度の大きさだが、これまでの宇宙探査車の中では前代未聞の速度で移動する能力がある。カーネギーメロン大学のロボット探査車は、1日で1000mの距離を探査することが可能だ。小さいため、リレー方式で地球に通信を送る。MoonRangerはまずMastenの着陸船に送信し、その着陸船が持つさらに高出力のアレイアンテナを使って地上の科学者たちに中継を行う。

関連記事:NASAが月の南極の地表下で結氷水を探すVIPER探査車を2022年に打ち上げ

カテゴリー:宇宙

タグ:カーネギーメロン大学 Astrobotic MoonRanger NASA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

未来のテスラ車のバッテリーは車体と一体構造で剛性、効率、安全性、コストを改善

Tesla(テスラ)はバッテリーパックの実装方法を根本的に見直し、単なる燃料源ではなく、車両の構造要素に変えようとしている。米国時間9月22日のTeslaバッテリーイベントで、Elon Musk(イーロン・マスク)氏はこれを民間航空機の燃料タンクと比較して話した。かつては翼の中のタンクに燃料を入れていたが、タンクは内部構造にボルトで止められていた。後に、翼自体を燃料タンクにすることで、燃料の搭載量だけでなく、重量や部品使用に関してもずっと効率がよくなることに気がついた。

「現代の飛行機では、燃料タンクというより翼は燃料タンクそのものが翼の形をしているだけだ」とMマスク氏はいう。「これは間違いなく取るべき道だ。燃料タンクは二重構造になっており、もはや貨物ではない。それは飛行機の構造の基本であり、技術の大躍進だった。我々は車で同じことをやる」。

バッテリーセルを車体の構造要素に変えることで、現在存在しているバッテリーセルの構造支柱を取り除いたと想定した机上計算以上の質量を節約できる、とマスク氏は指摘する。それは、バッテリー自体が支柱のかなりの役割を果たすからだ。その結果、直感に反するかもしれないが、車両全体の安全性も高まると同氏はいう。

Teslaは、構造接着剤として働きさらに難燃剤としても機能する充填剤を作ることでこれを実現しようとしている。結果的に「バッテリーセルを車体の上部板と下部板に接着させ、上下の鉄板の間でせん断伝達が可能になる」とマスク氏はいう。

関連記事:Tesla introduces its tabless battery design on the road to 10 terawatt hours of production

「こうすることで驚くべき剛性が生まれ、実質的に二層の鉄板の間にハニカム構造をサンドイッチすることになる。これは超高速なもののあるべき姿だ」と彼はいう。「実際、飛行機よりもうまくいく、なぜなら燃料は液体なのでこうはいかないからだ」。

最終的に、Tesla車をどんな一般車よりも堅牢にできる構造ができ上がる。堅牢な設計は全体的安全面からも優れており、バッテリーはさらに効率的になるとともに、バッテリーセル自体にかかる応力やひずみによる「任意点集中荷重」を避けることができる。

「さらに、バッテリーセルを車体の中央に近づけることができる、なぜならあらゆる支柱の類がなくなるからだ」とマスク氏は語る。「つまり構造的パッケージの体積効率は非構造的パッケージよりもはるかに高い。しかも、バッテリーセルは中央に近づく」。

これで側面衝突の衝撃がバッテリーセルに到達する可能性が低くなり、バッテリー火災の原因になる衝撃を受けにくくなる。加えて、「極慣性モーメントを改善する」とマスク氏はいう。これは、車両の総合的操縦性や運転、操作の感覚が向上することを意味している。

最後に、構造的バッテリー設計では現在のTesla車のバッテリー設計より部品が370個少なくなり、これはコストおよび潜在的故障箇所を大きく減少させる。新方式は、彼が発表した他のバッテリー革新と合わせて、製造面でも大きな節約になるとマスク氏は語った。

関連記事:イーロン・マスク氏がバッテリーの技術革新でテスラの電気自動車が約260万円になると発言

カテゴリー:モビリティ

タグ:Tesla Elon Musk バッテリー

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスク氏がバッテリーの技術革新でテスラの電気自動車が約260万円になると発言

Teslaは米国時間9月24日のBattery Dayイベントで、同社の自動車用バッテリー技術におけるさまざまなイノベーションを披露した。イベントでTeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏とパワートレインとエネルギー技術担当上級副社長であるDrew Baglino(ドリュー・バグリーノ)氏は、同社の新しいアノードおよびカソード技術と材料科学、リチウムの自社採掘、バッテリーをより安価にし持続可能にする製造工程の改良などについて解説。これらを統合することで、2万5000ドル(約260万円)の価格帯で電気自動車を消費者に提供できるようになるはずだと述べている。

「2万5000ドルという価格帯で、非常に魅力的な電気自動車を作ることができると確信している。しかもそれは、完全な自動運転が可能だ。2万5000ドルは、電気自動車の価格としてはとても安価なものであり、多くの人が気軽に電気自動車を買えるようになるだろう」とマスク氏はいう。

マスク氏がTesla車の2万5000ドルの価格帯について口にするのは、これが初めてではない。2018年8月に彼は、3年ほどでその目標価格帯を実現できると述べている。しかし同じく2018年8月にマスク氏とバグリーノ氏は同社が定時した技術を効果的な規模で量産するには2、3年先のことになると認めているため、2年経った現在、ゴールポストはまた遠くなったようだ。これはマスク氏によくある話だ。

Teslaは年間10〜20テラワットという世界的なバッテリー生産能力達成の実現に役立つ新しいタブレスバッテリーセルの設計も詳細に発表した。この設計は既存セルの5倍のエネルギー密度と6倍の出力を提供し、使用する車両の航続距離を16%伸ばすという。

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Future Teslas will have batteries that double as structure, making them extra stiff while improving efficiency, safety and cost(未訳記事)
Tesla introduces its tabless battery design on the road to 10 terawatt hours of production(未訳)

カテゴリー:モビリティ

タグ:Tesla Elon Musk バッテリー

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Microsoftが2030年までに事業展開地域で利用する以上の水を生態系に戻すことを宣言

2020年に見られる良い流れの1つは、大規模テック企業たちが先を争うように、それぞれが環境に与える影響に関して、これまで以上に大胆な取り組みを宣言していることだ。皮肉屋なら、彼らがやっていることを止めてしまえばもっと大きな効果があるだろうにと、いうかもしれない。しかし環境への影響を最小化するだけでなく、それを実際に復元する取り組みをする企業として、新たにMicrosoft(マイクロソフト)が名乗りを上げた。マイクロソフトは、2030年までにウォーターフットプリントの黒字化を達成することを約束(Microsoftブログ)した。これが意味しているのは、その事業が行われているすべての「流域」で、取り出したものよりも多くのエネルギーを環境へ戻そうということだ。

マイクロソフトは、主に2つのタイプの活動で、この目標を達成したいと考えている。まず1つ目は、1メガワットあたりに対して会社が消費する水の量を使って計測される事業が利用する水の「消費率」を削減することだ。第2に、マイクロソフトの事業が世界の「水が不足気味」の地域で行われている場合には、実際に水を供給することも目指している。これは湿地帯の修復への投資や、アスファルトを含む特定表面の除去と交換などの取り組みを通じて行われる。アスファルトなどは水を透過することができず、雨のような自然から与えられる水が地域の保水地に戻ることを阻害してしまうからだ。

マイクロソフトは、どれだけの水を返すかはまちまちになるという。それは、それぞれの地域で同社が消費する水の量や、全体的な消費という意味で、その地域の水源がどれくらい危機的であるかに依存しているからだ。だがマイクロソフトは、この情報を単に外部の情報源だけに頼るつもりはない。同社の持つ人工知能技術を駆使して、水利用という意味でどの地域にストレスがかかっているのか、そしてどこでプロジェクトを行えば最大の効果を得ることができるかに関するより良い情報を提供する予定だ。同社は、The Freshwater Trust(フレッシュウォーター・トラスト)を含む多くの業界グループとともに、すでにこれらの目標に向けて取り組んでいる。

マイクロソフトは、2020年初めに行った2030年までに「カーボンネガティブ」になるという(Microsoftブログ)宣言を含め、グローバルな環境への影響を改善するために多くの宣言を行っている。一方、Apple(アップル)は2020年7月に、サプライチェーンを含む同社の製品が、2030年までにカーボンニュートラルになると発表し、Google(グーグル)も先週、やはり2030年までにカーボンフリーエネルギーのみを使用するということを宣言している。

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カテゴリー:EnviroTech

タグ:Microsoft

画像クレジット:Suttipong Sutiratanachai / Getty Images

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(翻訳:sako)

スマートで安全な日帰り旅行に理想的な自転車用ヘルメット「Lumos Matrix」を試す

私たちの多くは、まだ多かれ少なかれ自分の家や限られた社会的なスペースに閉じ込められている。しかし近い将来、多くの人にとって自転車に乗ることは喜びや再発見につながるはずだ。自転車に乗ることは、屋外で自分の町や都市を探索する素晴らしい方法だからだ。もしあなたがこの趣味を探求し始めたばかりだったり、長い間自転車に乗っていてなにかのアップグレードを探しているなら、Lumos Matrix(ルーモス マトリックス)のスマートヘルメットを検討してほしい。

iPhoneやApple Watchと連動するヘルメット

Lumos Matrix Urban Bike Helmet」は、現代的で都会的なヘルメットの美学と、シンプルな画像を含むさまざまなパターンを表示できるプログラム可能な大型LEDディスプレイを背面に備えている。リアライトパネルに加えてフロントライトも内蔵されており、付属の物理的なハンドルバーリモコンやApple Watchアプリと連動して動作する方向指示器も備わっている。本体色は、グロスホワイト仕上げ、またはマットブラックの2つを用意する。

さまざまな頭のサイズに対応できるようにデザインされている。ヘルメットの内側に2セットのベルクロパッドがあり、内側には調節可能なラチェット式のサイジングハーネスが付いている。これらでヘルメットの締め付けや緩めの調節が簡単にでき、22インチから24インチの範囲の頭のサイズにフィットさせられる。

外装はABS樹脂でできており、耐候性を備えているので、雨の中でも内蔵されている電子機器の状態を気にすることなく被ることができる。安全性とセキュリティのレベルをさらに高めたい場合は、MIPS(多方向衝撃防護システム)オプションも追加できるが、同社によると、それはまだ出荷されておらず「まもなく」とのこと。

ヘルメットのストラップに内蔵されたボタンで、オン/オフや内蔵パターンの切り替えが可能だ。スマートフォンとはBluetooth経由でヘルメットをペアリングでき、専用のアプリを使用して明るさを含む機能をカスタマイズし、さらには背面ディスプレイのための独自のカスタムパターンも作成できる。箱の中には、片方の端に標準的なUSB-Aコネクタを備えた充電ケーブル、もう片方の端にはヘルメットとハンドルバーリモコンの両方に電源を供給するための独自のマグネット充電面となっている。

装着感は快適、ライティングも十分

Lumos Matrixは、ほとんど連続した表面を特徴としており、ヘルメットの上部にはエアフローのための4つの通気口が備わっている。つばはシェルに内蔵されている。前述したように、透明なプラスチック製のカバーで保護された正面のライトはヘルメットに内蔵されているほか、7×11列LEDライトのリアパネルがあり、スクロールするテキストを含む画像やアニメーションを表示するできるドットマトリックススタイルのディスプレイとして使える。これらのLEDはすべてフルRGBなので、ユーザーは自分のディスプレイや内蔵のディスプレイを最大限に活用できる。

画像クレジット:UPJ

Lumosは「Kickstart」というヘルメットも作っているが、流線型の自転車競技風デザインになっている。Matrixの外観は、スケートボードや都市部の通勤自転車に使われているヘルメットに近い。見た目はしっかりしており、実際にテストしてみたところ、とても快適で涼しく通気性も十分だった。ヘルメットは頭より少し高い位置にあるように感じるが、しっかりとしたフォームのパッドが付いており、安全な保護具のように感じらる。全体的に見て、Matrixの構造と仕上げのレベルの高さには満足している。

Matrixは快適性にも優れており、サイズ調整可能なストラップがぴったりとフィットし、着用中にヘルメットがズレることはない。耳の近くのあごのストラップにあるアクティベーションボタンは、見つけやすく押しやすい。ヘルメット内部後方には、ハンドルバーの方向指示器を遠隔操作できる磁気ホルダーもある。ちょっとそこまでといったときのヘルメット着用に非常に便利だ。

スマートという面では、ヘルメットの電源を入れるだけで簡単にライディングができるように、車載照明のための実用的になセットをいくつか用意している。内蔵パターンはさまざまなだが、どれも視認性を高める役割を果たしてくれる。明るい照明は、明るい昼間に自転車に乗っているときでも、ドライバーやほかのサイクリスト、歩行者から見える能力を高めるだろう。

背面のドットマトリックスディスプレイのカスタマイズも簡単だ。もちろん、自分の芸術的な自己を表現するために多彩な設計を作成することに興味がなければ、はるかに実用的な理由のために使うこともできる。例えば「子供と自転車に乗っている」など単純なスクロールメッセージを表示するようにしておけば、周囲の人に注意を向けることができる。

付属のLumosハンドルバーリモコンは、箱から取り出してペアリングでき、ヘルメットの方向指示器を作動させるという点で非常に信頼性がある。LumosのApple Watch用アプリは、腕のジェスチャーを確実に認識してシグナル伝達を自動化するという点では精度がいまひとつだったが、これはあくまでも付加機能であり、ヘルメットをフルに活用するために必須のものではない。LumosはiOSの「ヘルスケア」アプリとも連携しているので、自転車に乗っている間のワークアウトを追跡することもでき、このヘルメットを使う際の全体的な体験をさらに高められる。

アップルオンラインストアでは2万7800円で販売中

Lumos Matrixは、明るくてカスタマイズ性に優れた、驚くほど統合されたスマートな照明システムを備えた素晴らしい自転車用ヘルメットだ。これがアップルのオンラインで販売されているのには理由がある。構造、ソフトウェアの統合とデザインの面で最高の品質だ。とはいえ、その小売価格は2万7800円からで、スマート機能のない高品質のMIPSヘルメットが6000円ほどだと考えると高価だ。

しかし、Matrixに搭載されているテクノロジーの多さを考えると価格設定には納得がいく。専用ライトは高価ではないものの、Matrixに搭載されているものは非常に高品質で、あらゆる照明条件で非常に視認性が高い。アクティブターンシグナルや自動ブレーキライトなど、ほかのどこにもないユニークな機能を提供しており、ほかのサイクリストや車両と道路を安全に共有するための能力をあなたに追加するだろう。

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:TechCrunch Japan)

MITの技術者チームが完全にフラットな魚眼レンズを開発、広角レンズの製造が容易になる可能性

MIT(マサチューセッツ工科大学)の技術者とマサチューセッツ大学ローウェル校が協力して、従来の超広角レンズのような球状の曲面カーブがなくフラットで、本物の魚眼のように像に歪みを実現したカメラ用レンズを考案した(MIT News記事)。魚眼レンズは比較的特殊なレンズで、180度以上の広い範囲をカバーすることができるが、製造コストがとても高く、重くて大きなレンズであるためスマートフォンについてるような小型のカメラには不向きだ。

平面レンズでありながら180度のパノラマをきれいに撮れるのは、これが初めてだ。技術者は片面に薄いガラスのウェハをパターニングし、曲面ガラスと同じように入射光を散乱させるために微細な三次元構造を精密に配置することでこれを実現している。

今回研究者たちが作ったものは、光のスペクトルのうちの赤外線部分に特化して設計されているが、可視光線でもそれは可能だという。赤外線であっても可視光線であっても、この技術にはさまざまな用途が考えられる。180度のパノラマを撮ることができれば、医療用画像システムや、画像データの解釈に範囲が重要なコンピュータービジョンアプリにも利用することが可能だ。

このような設計は、「メタレンズ」と呼ばれるレンズの一例となる。外側にカーブを描くレンズを作ったり、曲率の異なる複数のガラスを重ねて希望の視野を実現したりと、これまでのマクロな設計変更では達成できなかったような方法で、ミクロの特徴を利用して光学特性を変化させるレンズを作ることができる。

今回珍しいのは、完全にフラットなメタレンズでありながら、きわめて精細で正確な180度のパノラマ画像が得られることで、プロジェクトに参加していた技術者自身も驚いている。これは多くの人が想定していた最先端の科学の進歩であることは間違いない。

カテゴリー:ハードウェア

タグ:MIT

画像クレジット: MIT / Mikhail Shalaginov, Tian Gu, Christine Daniloff, Felice Hankel, Juejun Hu

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドイツの宇宙機関が地球上で使用するための都市型電動自動運転モビリティのプロトタイプを公開

ドイツ航空宇宙センター(DLR)は、複数の用途を想定した都市型モビリティビークル「U-Shift」のプロトタイプを発表した。U-Shiftは完全電気自動車で、自動運転を前提に設計されており、オンデマンドのシャトル、バス、小包配送のための移動配送センター、さらには移動販売所など、さまざまな用途に使用できるとのこと。

画像をみるとわかるように、U-SHIFTのベースとなる部分は、車輪、駆動システム、バッテリーを含む非常にシンプルなものとなっている。DLRではトップコンポーネントをモジュール化して、用途に応じて交換できるようにすることを想定しているが、このほかにも風通しのいい全面ガラス張りのバスや、素のカーゴカプセルなど、コンセプト画像にはさまざまなアドオンユニットが描かれている。

このようにモジュール化されていることで、その時々の状況に応じて比較的簡単にモードを切り替えることができ、都市部の交通機関の多様なニーズに対応することができる。新型コロナウイルスの感染蔓延により、個人の交通手段があまり必要とされていないロックダウン中に、このようなクルマがオンデマンドの荷物や食料品の配達にどのように利用されるかを見ることができるだろう。

  1. tomorrow-s-mobility-should-be-more-sustainable-efficient

  2. cargo-capsule-goods-transport-mobile-distribution-centre-and-sales-outlet

  3. u-shift-the-future-oriented-mobility-concept

  4. separation-of-the-driveboard-and-the-capsule-shaped-components

  5. u-shifts-never-sleep

  6. passenger-capsules-as-on-demand-shuttles-or-high-tech-on-call-buses

このプロトタイプは、機能的だが実は自動運転ではなく遠隔操作になっている。最高速度もそれほど高くはないが、必要に応じて24時間の連続運転が可能だ。今回の試作機の主な目的は、貨物・乗員用カプセルを交換するシステムのテストを行い、それを供給する企業との生産化に向けた道筋を示すことと、ドアの開き方やアクセスのしやすさなどのユーザーインターフェースを検討することだ。

DLRは、このプロトタイプのテストで得られたすべての情報を使って、2024年までに時速60km(時速40マイル弱)まで到達できる第2の完全自動化バージョンの開発に役立てようと計画している。次のプロトタイプは潜在的な製品版にはるかに近いものになるはずで、ビジネスチャンスと商業化にも焦点が当てられることになるだろう。

関連記事:ドイツ航空宇宙センターが3Dプリントのリソースを医療機器生産に転換

カテゴリー:モビリティ

タグ:ドイツ ドイツ航空宇宙センター U-Shift

画像クレジット:DLR under a CC BY 3.0 license.

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(翻訳:TechCrunch Japan)

NASAがBlue Origin宇宙船ミッションで月と火星用の精密自動着陸システムをテスト

米航空宇宙局(NASA)は、Blue Originの再利用可能な準軌道ロケット「New Shepard」(ニューシェパード)のミッションで、月や火星の厳しい地形で使用するために設計された新しい精密着陸システムを初めてテストする予定だ。安全で正確な着陸、統合された機能の進化を目指すSPLICEシステムは、多数のレーザーと光学式カメラ、コンピューターで構成されており、センサーが収集したすべてのデータを高度なアルゴリズムを用いて処理し、潜在的な危険を特定し、飛行中に着陸パラメータを調整して安全な接地を確保する。

SPLICEは、4つの主要なサブシステムのうち3つ実戦テストをNew Shepardのミッションで実施する。AmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創業したBlue Originは、通常は宇宙との端まで旅をした後、第1段階のブースターを地球に戻すが、今回のSPLICEのテストではNASAの自動着陸技術が月や火星の地表に接近するときと同じように、船上で動作することになる。テスト要素は地形相対航法、ドップラーレーダー、SPLICEの降下・着陸コンピュータが含まる。4つ目の主要なシステムであるLidar(ライダー、光による検知と測距)ベースのハザード検出は、将来の計画飛行でテストされる。

現在NASAは、火星に向かうPerseverance(パァーサァヴィアラァンス)ローバーを含む、ほかの惑星の地表にあるロボット探査機のためにすでに自動着陸を使用している。しかし、安全な着陸を確実にするには、障害物のない広大な土地で潜在的な危険がない着陸地点を選ぶことが重要だ。既存のシステムは、いくつかの調整が可能だが制限も多い。

SPLICEは、より正確な着陸を可能にするように設計されており、より近くの危険に対応できるようになっている。これにより、月や火星についての知識や理解を深めるられると期待される。

前述したLiDARシステムは、今回のSPLICEテストの重要な新要素だ。LiDARが火星や月の地形でどの程度の性能を発揮するのか詳細にはわかっていない。それでもNASAは、表面マッピングや特徴検出のためのレーダーベースの方法よりもはるかに優れた精度を提供すると確信している。

関連記事:Blue Originの有人月面探査船開発オールスターチームが宇宙空間および月面で要求されるテストに成功

カテゴリー:宇宙

タグ:NASA Blue Origin New Shepard

画像クレジット:NASA

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(翻訳:TechCrunch Japan)

国際宇宙ステーションへのSpaceXの旅を競うリアリティ番組が制作中、勝者にはDragon Crew宇宙船の座席が贈られる

米オンラインメディアのDeadlineが「2023年の国際宇宙ステーション(ISS)への旅を大賞にするリアリティTVコンテスト番組が制作中」(Deadline記事)と報じている。「Space Hero」(スペースヒーロー)と呼ばれるこの番組の背後にある制作会社は、2023年に国際宇宙ステーションへの旅をするために設定されたSpaceXのDragon Crew宇宙船の座席を予約しているそうだ。そのレポートによると「宇宙探査への深い愛を共有するあらゆる背景を持つ日常の人々」の間での競争で勝者となった人にその座席を報酬にする予定だという。

Deadlineによると、この競争は肉体的な課題だけでなく、パズルや問題解決の課題、感情的に挑戦的なシナリオなどを含む、一種の宇宙飛行士の訓練プログラムになるという。これは、プロデューサーが現在計画しているライブエピソードにつながるもので、最終的に誰が勝つかについての全世界の視聴者の投票をフィーチャーしたものになるだろう。この番組には、勝者のISSへの旅の記録も含まれており、打ち上げや10日間の宇宙ステーション滞在、帰還と着陸を含む。

これらすべてのピースをまとめるために、制作チームは民間の宇宙旅行サービスプロバイダーであり、ミッションオペレーターでもあるAxiom SpaceやNASAと協力しており、この予定されている番組にSTEM教育の要素に関して何ができるかを協議しているとのことだ。

Deadlineによると、孤島や密林、荒野などの僻地を舞台にした生き残りリアリティ番組「Survivor」(サバイバー)の生みの親でリアリティ業界の巨人であるMark Burnett(マーク・バーネット)氏は、以前にも宇宙への旅を主な構成要素とするリアリティ番組の制作を何度も試みたことがあるという。そのような試みの1つである「Space Race」(スペースレース)というNBCベースの番組は、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏との提携でVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)に焦点を当てて制作されたが、2015年に同社の致命的なテスト事故を受けて終了している。

また、宇宙ステーションをロケ地にした映画の制作も計画されており、Tom Cruise(トム・クルーズ)が主演を務めている。NASAは、低地球軌道と国際宇宙ステーションの商業化の増加を歓迎すると繰り返し述べてきた。また、米国を拠点とする宇宙飛行士ロケットのために、SpaceXのような民間のパートナーを探している。

画像クレジット:NASA

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(翻訳:TechCrunch Japan)

SpaceXが世界規模の衛星インターネットサービス構築に向けさらに60基のStarlink衛星を打ち上げ、本日は中止

【更新】米国東部夏時間9月17日午前2時19分(日本時間9月18日午前3時19分)の打ち上げは中止された。天候条件を考慮して、バックアップ日に明日を再度試みるかどうかを検討中だ。バックアップ日は、米国東部夏時間9月18日午後1時57分(日本時間9月19日午前2時57分)。

SpaceXは、Starlink(スターリンク)衛星の最新のバッチを米国時間8月17日に打ち上げる予定だった。目標のリフトオフ時間は米国東部夏時間午前2時19分(日本時間9月18日午前3時19分)に設定。このミッションはフロリダ州のケネディ宇宙センターから離陸する予定だった。なお、米国東部夏時間9月18日の午後1時57分(日本時間9月19日午前2時57分)には、天候やその他の問題が打ち上げの試みを妨げる場合に備えて、バックアップの機会が設けてあった。

今回の打ち上げにより、軌道上で運用中のSpaceXのStarlink衛星群に追加される。同社は、高速で低遅延な消費者向けインターネットサービスのプライベートベータテストを実施しており、今年後半のオープンベータサービス開始のための打ち上げに向けて準備を急ピッチで進めているため。すでに現在500機以上のStarlink衛星が世界中を周回している。目標は、これまで利用できなかった場所でインターネット接続サービスを提供することと、過去に不安定な接続や遅い接続に頼らざるを得なかった顧客にもサービスを提供できるような拡張性のある、最終的には地球規模のサービスを作ることだ。

今回の打ち上げには、これまでに2回飛行したFalcon 9(ファルコン9)の第1段ブースターが使用される、その中には、SpaceX社が人類初の宇宙飛行士を乗せた画期的なミッションだったDemo-2 Crew Dragonでも使われたものだ。同社はまた、将来の打ち上げに向けてブースターの回収を試みている。Falcon 9の上部にある貨物を保護する2つのフェアリングハーフのうちの1つは、以前にもStarlink衛星の打ち上げ時に2回使用されている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

視力回復装置のための世界初のヒト臨床試験を豪州の研究チームが準備中

オーストラリア・メルボルンにあるモナシュ大学の科学者による10年以上にわたる研究の成果として、スマートフォンスタイルの電子機器と脳に埋め込まれたマイクロ電極の組み合わせで、視覚障がい者の視覚を回復させる初のデバイスを生み出した(モナシュ大学プレスリリース)。このシステムは、羊による前臨床試験で機能することがすでに示された。そしていま、研究者らはメルボルンで行われる最初のヒト臨床試験の準備中だ。

この新しいテクノロジーは、医学的失明と定義される状態の原因となっていることが多い損傷した視神経にバイパスを作ることができる。カメラによって収集しビジョンプロセッサユニットとカスタムソフトウェアによって解釈した情報を、脳内に直接埋め込まれたタイルのセットにワイヤレスで送る。タイルが画像データを電気信号に変換する。電気信号は人の髪よりも細い微小電極を通って脳のニューロンに送信される。

実際に生産され商業的に使用可能になるまでには、特に大規模なヒトの臨床試験プロセスには、まだまだ多くのステップが必要だ。テクノロジーを開発するチームは商業ベンチャーとして、デバイスの製造と流通を拡大するための追加資金の確保も目指している。羊に10セットを移植した初期の研究では、2700時間以上の継続的な刺激を与えたところ健康への悪影響はみられなかった。

動物の研究は人間のそれとは非常に異なるが、研究チームはこのテクノロジーの成果は視覚にとどまらないと考えている。同じアプローチは根本原因が麻痺などを含む神経系にある患者にメリットと治療の選択肢を提供できると予想する。

どこかで聞いたことがあると思うなら、それはおそらくElon Musk(イーロン・マスク)氏が最近、同氏創業の会社であるNeuralink(ニューラリンク)で同様の脳インプラント技術を使用して同種類の結果を達成するという野心を示したためかもしれない。最新のソフトウェアとテクノロジーを組み合わせたデバイスにより生物学的限界をどう克服できるかを想像させてくれるのは同氏のプロジェクトが初めてではない。モナシュ大学の取り組みは、この種の科学を人々の日常の生活に影響を与える何かに変えることに向けて取り組んできた長い歴史の延長線上にある。

画像クレジット:Monash University

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(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトがProject Natickで海底データストレージの実行可能性を確認、乾燥地と比べて信頼性が最大8倍

Microsoft(マイクロソフト)はスコットランドのオークニー諸島沖の海底に設置した輸送コンテナサイズの海中データセンターを使用するという数年にわたる実験を終えた(Microsoftリリース)。同社は「Project Natick」と呼ぶ海中データウェアハウスを夏の初めに水中から引き揚げ、この数カ月をデータセンターとその中の空気の研究に費やし、モデルの実行可能性を判断した。

結果は、オフショアの海中データセンターを使用すると、性能の点でうまく機能するだけでなく、データセンター内のサーバーの信頼性が乾燥地に比べ最大8倍になることがわかった。研究者らは高い信頼性に寄与したのは何かを正確に突き止め、このメリットを陸上のサーバー施設全体に応用し、性能と効率を向上させたいと考えている。

別の利点として高い電力効率で運用できる点がある。この利点は、特に陸上のグリッドに継続的なオペレーションを支える十分な信頼性がない地域で有効だ。海底環境のおかげで、データファーム内に格納されたサーバーを人工で冷却する必要性が減ったことが要因の1つだ。オークニー諸島地域は風力と太陽光の両方を供給元とする100%再生可能グリッドで覆われている。使える電源が分散していることは、従来の陸上データセンターが求める電力インフラ要件に関する課題を解決することになりそうだ。同地域のグリッドは、同じ規模の海中でのオペレーションに対して十分以上といえるものだった。

マイクロソフトのNatickの実験は、世界中の沿岸地域にポータブルで柔軟なデータセンターをモジュール式に展開することで、エネルギーと運用コストを低く抑えながらデータセンターのニーズを拡大できることを示した。すべてを一元化されたハブにつなぐのではなく、小規模のデータセンターを顧客が必要とする場所の近くに設置する。現在のところ、このプロジェクトはそのメリットを非常にうまく示すことができたようだ。マイクロソフトは次に、複数のデータセンターをつないで能力を足し合わせ、規模と性能を拡大できるかを調べる予定だ。

関連記事:マイクロソフトがスコットランド沖の海底データセンターを新型コロナワクチン開発に活用

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Microsoft Project Natick データセンサー

画像クレジット:Microsoft

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(翻訳:Mizoguchi

Firehawk Aerospaceは安全で低コストなハイブリッドエンジン用燃料でロケット革命を目指す

SpaceX(スペースエックス)をはじめとする商用ロケット打ち上げ市場の各企業は、宇宙の経済に変革をもたらし、小型衛星起業家の時代を切り拓いたものの、実際に使われているロケットエンジンの技術は、50年前にNASAが初めて宇宙に進出したときからそう進歩していない。

CEOのWill Edwards (ウィル・エドワーズ)氏と会長兼最高科学責任者であるRon Jones(ロン・ジョーンズ)氏が創設した新しいスタートアップFirehawk Aerospace(ファイヤーホーク・エアロスペース)は、安定した費用対効果の高いハイブリッドロケット燃料でそれを変えようとしている。彼らは、これまでのハイブリッド燃料用エンジンの製造にともなう困難や制約を、積層造形法(工業規模の3Dプリンター)で克服したいと考えている。

固体燃料と液体酸化剤を組み合わせるハイブリッドロケットは、それ自体がそう新しいものではないが、パフォーマンス指標や最大推力の面で、常に大きな制約に悩まされてきた。長期にわたってロケット燃料と航空宇宙構造物の研究に携わり、先端複合材料エンジニアでもあるジョーンズ氏は、以前からエンジン技術に興味を抱き、その利点を活かしつつ、さらに安全性とコストにも配慮しながら過去のハイブリッドエンジンの設計における制約を克服する方法を考えてきた。

ジョーンズ氏は高校から大学を通して物理学と工学が大好きだったが、結局、海軍に入隊して飛行士となり、その後ようやく航空宇宙産業に落ち着くことができた。その一方で、彼は黎明期のインターネットを活用し、ロケット工学への情熱を深めていた。特にハイブリッドエンジン技術を研究したり、世界の専門家たちと意見交換を行っていた。

「最終的に、私は2つのコンセプトを合体させることを思いつきました」とジョーンズ氏はインタビューで話した。「1つは、燃料が間違っていたという点。これまで使われていた燃料は、弾性が高すぎます。圧力をかけると、燃料はその影響を受けてしまいます。薄くなるに従って強度が低下し、基本的にバラバラになってしまい燃料の多くが無駄になります。そこで私は、構造的に非常に強いポリマーに切り替えました。もう1つは、型に入れて成形するやり方は利口ではないという点です。私はそれを、積層造形法に変更しました」。

材料を少しずつ時間をかけて重ねることで構造を作り上げていく積層造形法であれば、液状の燃料を型に流し込んで固めるモールド方式では不可能だったことができる。例えば、内部構造を非常に細かく意図したとおりに作ることも可能だ。家庭用の3Dプリンターを見たことがある人なら、大きなモデルを作るときに内部を格子状にして強度を高め、表面を支える技法をご存知だろう。それが、固形ロケット燃料のペレットの潜在能力を解き放つ鍵となった。

「積層造形法を使うことで、私はこれまで誰もやらなかったことができるようになりました。それこそが、モールド方式では不可能だった高度に設計された内部構造を構築する方法です」と彼はいう。「その内部構造を採用したことで、ロケットエンジンの性能が大幅に向上しました。信頼性だけでなく安全性も大きく高まりました。それは、私が目指していた最も重要な特性です」。

Firehawkは現在、ロケット燃料の3Dプリントに関連した5つの特許を取得し、すでに32基のエンジンを使った燃焼試験を推力200ポンド(約90kg)と500ポンド(約230kg)の2種類で実施し、設計の有効性を実証している。また同スタートアップは、推力5000ポンド(約2.3トン)のエンジンにも取り組んでいる。これは、Rocket Lab(ロケット・ラボ)のElectron(エレクトロン)ロケット第2段の推力とほぼ同じだ。2020年末に、燃焼試験に建設中の施設でテストを開始する予定だ。

前述のとおり、現在すでに運用を行っているロケット打ち上げ企業は、ずっと旧式の、それでもいまだに効率的なロケット技術を採用している。ならば、新種のハイブリッドエンジンなど使う必要がどこにあるのか?いろいろあるが、特に注目すべき理由は効率性と安全性だ。

Firehawkの燃料は、保管も輸送も取り扱いもずっと安全にできる。燃料と酸化剤を別々にしている限り、偶発的な発火事故の心配がないからだ。また毒性もない。この燃料は「環境に優しい」排気しか出さないとFirehawkは話している。大型ロケット用の既存のロケット燃料を安全に取り扱うには、大量の特殊な手順や安全策を講じる必要がある。作業員の訓練も欠かせないため、その分、時間と費用がかさむ。

しかもFirehawkでは、特注設計のエンジンを4カ月から6カ月で提供できるという。既存技術に基づいて新しいロケットエンジンを開発しようとすれば、通常は5年から7年はかかる。この時間的節約で、大きなコストを数億ドル(数百億円)単位でさらに減らすことができる。つまり、世代ごとの研究開発初期費用を回収しようとロケットの運用寿命を延ばす必要がなくなり、より新しくより優れたロケットの試作を、より短期間で繰り返せるようになるということだ。

この燃料は、長期間の保管と輸送に耐えられる。また、飛行中の停止と再点火も可能だ。これらが意味するのは、長期にわたる複雑なミッションも、これまでに比べてずっと低予算で遂行できるようになるということだ。当然のことながら、この可能性が民間企業と政府機関の両方の顧客の強い関心に火を点けたとCEOのエドワーズ氏は述べていた。

2020年の初め、Firehawk Aerospaceは200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドをクローズした。これにはVictorum Capital、Achieve Capital、Harlow Capital Managementが参加している。現在は人員増強を目指し、特に未来のロケット推進技術の仕事に高い関心を持つ意欲あるエンジニアを求めている。さらに、複数の潜在パートナーとの提携話を進めつつ、この技術の商品化に関するいくつもの申し出にも対応しているとのことだ。

カテゴリー:宇宙

タグ:Firehawk Aerospace 3Dプリント

画像クレジット:Firehawk Aerospace

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(翻訳:金井哲夫)

グーグルが2030年までにカーボンフリーエネルギーのみを利用する目標を設定

Google(グーグル)は大手テクノロジー企業の先端を切って、2007年に完全なカーボンニュートラルを宣言し、その後、全世界での消費電力を再生可能エネルギーで相殺してきた。このほど同社は新たな境地に踏み込み、実際に二酸化炭素排出を完全排除する世界初の主要企業になることを宣言した(Googleブログ投稿)。これは「質の高いカーボンオフセット」を購入して実現してきたことであり、会社創設時に遡って相殺してきた。さらに同社は、カーボンフリーのエネルギー源のみを使用する目標時期を2030年に設定している。

第1の目標、二酸化炭素排出の完全除去は、大金を払うことで比較的容易に達成できる。グーグルはカーボンオフセットの購入に費やした金額を正確には発表していないが、これは再生可能エネルギープロジェクトや、自らの排出量を減らすためのエネルギー効率化への取り組みの支援も含んでいる。グーグルは、創設以来2007年にカーボンニュートラルになるまで、多かれ少なかれ自社事業が与えている影響を意識してきたはずであり、質の高いオフセットの購入が、多くの意義あるプロジェクトが目的を達成するための資金を受け取ったことを意味することを願いたい。

一方グーグルは、自身の事業全体があらゆる場所で、100%の時間カーボンフリーのエネルギー源を使用するというはるかに大きな課題に取り組んでいる。これは世界中のオフィス、キャンパス、データセンター、Gmail、検索、YouTube、Google Mapなどあらゆるサービスが対象になるという意味だ。すでにグーグルは、エネルギーの総使用量が100%再生可能に相当していると宣言しているが、これは直接カーボンフリーエネルギーを使っているという意味ではない。これはカーボンフリーの事業運営を目標に掲げながら巨大かつ広範囲に事業所をもつ企業では一般的なことだが、グーグルはクリーンな電力を直接利用できない場所のために、どこかで再生可能エネルギーを購入して相殺している。

つまり、全事業ですべての時間、カーボンフリーエネルギーを直接利用することを宣言する、というのはとてつもなく大きな仕事であり、新たなクリーンエネルギー源を実際に開発することも必要になる。グーグルはクリーンエネルギーを必要としている地域のために、5GWの新たなカーボンフリー電力源を2030年までに供給するプロジェクトも支援する計画であることも語った。

自社施設を賄うために地域のクリーンエネルギー源の開発に出資するのは新しいことではなく、クリーンエネルギー計画を謳う主要テック企業のほとんどが取り組んでいる。しかし、2030年までに全エネルギー源をカーボンフリーにするというグーグルの目標は、具体的な期限が決められており、この規模と影響力を持つ会社としては前例のないものだ。

カテゴリー:EnviroTech

タグ:Google

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Blue Originの有人月面探査船開発オールスターチームが重要なテストに成功

Blue OriginとパートナーであるLockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)、DraperはNASAの有人月探査船を開発するメンバーに選定されている。Blue Originが主導するこの「オールスターチーム」は2024年までにHLS(Human Landing System )と呼ばれる月面に宇宙飛行士を送り届け地球に帰還させるシステムを開発中だ。

Blue Originはオールスターチームを代表して「宇宙空間および月面で利用されるすべての機器に要求される基準に関するテストに成功した」と発表した(Blue Originリリース)。

これは、数千のアイテムがNASAのチェックリストをクリアした極めて重要なマイルストーンだ。有人月面探査の実現に向けて大きな一歩を踏み出したことになる。NASAはナショナルチームが提案した多数の個別要素について設計、性能基準などを承認しているが、今後はシステム全体のレビューに入る。

ただしBlue Originとそのパートナーはゼロから設計を始めたわけではない。Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が創立した宇宙企業であるBlue Originにとって、この分野で長い経験を持つロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、Draperをパートナーにしたことの利点がここにあるわけだ。この月探査システムは既存システムの進化形であり、ロッキード・マーティンはNASAの再利用可能宇宙船開発であるアルテミス計画に参加しており、Orion計画においても宇宙飛行士を月に往復させるシステムの開発の一端を担っている。

HLSはBlue Originが開発する月着陸船、ロッキード・マーティンによる月面から上昇するためのシステム、ノースロップ・グラマンによる月面着陸の最終段階を制御する軌道遷移システムによって構成される。

関連記事:Blue Origin主導の開発チームが有人月着陸船の原寸大エンジニアリングモックをNASAに納入

カテゴリー:宇宙

タグ:Blue Origin NASA

画像クレジット:Blue Origin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook