研究者が作る奇妙に魅力的な3Dプリント金属


BGMに軽快なストリングスを使う3Dプリンティング・プロジェクトはまずないが、このビデオにはふさわしい。これは新しい注射器ベースの金属プリンティングシステムで、ノースカロライナ州の研究者らが作った。使用するのはガリウムとインジウムの合金で、空気中で酸化して液滴が固着する。このプロセスで3Dピストルを作ることはできない ― 非常に遅くサイズは極小 ― が、自己修復ワイヤーや伸縮可能な回路を作ることはできる。

「私たちは、ガリウムとインジウムの液体合金が、室温で空気中の酸素と反応して「皮」を作り、液体金属がその形状を維持できるようになることを発見した」とDr. Michael Dickeyは語る。

また彼らは、液体金属を鋳型に注入し、その後鋳型を溶かすことによって金属だけを残すシステムも開発した。射出された金属は「盛られる」のではなく、液滴同士が「固着」するため、小さな金属の「塊」ではなく3D作品を作ることができる。

このプロセスを通常のプラスチック3Dプリンティングと併用すれば、作品内部に通じるリードを作ることもできる。材料は非毒性だが ― 大量に食べてもいいかもしれない ― 相当高価なので、今すぐステンレス製のネズミができることは期待しない方がいい。

via New Scientist

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(翻訳:Nob Takahashi)


Light-Botはプログラミングの概念(if-thenなど)を使ってプレイするゲーム

Light-Botは2008年に登場したFlashゲームだが、今回iOSとAndroid向けに作り直されたバージョンは、子どもたちに、ループやif-then節などプログラミングの概念を実際にコードを書かずに学ばせる。

作者のDaniel Yaroslavskiは7年前からゲームを作り始め、今ではカナダのウォータールー大学の学部学生だ。彼はこのゲームを、学校〔高校時代?〕でもらった4000ドルの賞金を使って作った。

Light Botのこれまでのバージョンは700万回プレイされ、iTunesとGoogle Playのストアで五つ星を獲得している。しかしYaroslavskiが言うには、“合衆国やロシアの教師たちは初期のLight-Botゲームを教室で使ってプログラミングの概念の初歩を教えていた”。

“プログラミング教育の分野でサービスやプロダクトを制作提供している人たちの多くは、実際にコードや言葉を使ってプログラミングを教えている。でもLight-Botはビデオゲームだから、より参加性があり、しかも、これからコンピュータ科学を教えるぞ!、という緊張した感じにならない。コンセプトをゲームがマスクして、コードそのものよりもプログラミングのロジックに集中する”、とYaroslavskiは言う。ゲームの最初はQ-Bertに似ていて、小さなロボットにブロックの上を歩かせる。そして徐々に、問題を解決するためにはプログラミングの概念を使わなければならないように、なっていく。

“子どもたちがテキストの壁の前に座らなくてもプログラミングを体験できる、しかも完璧にね”、とYaroslavskiは語る。

ゲームを利用してプログラミング生活技術などを教えるサービス/プロダクトはいろいろある。しかしYaroslavskiがユニークなのは、学生が作ったこと、そしてFlashゲームとしてすでにファンが多いことだ。プログラミングを学ぶ方法としても楽しいし、子どものためのプログラミング言語LOGOに似た面もある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Hyrel 3Dプリンタはシリコンラバーや粘土を出力素材に使えるスグレもの

Hyrel 3Dプリンターはシングル・ノズルの標準的なマシンに見える。しかしHYREL Emulsifiable Extruder (EMO-25)と呼ばれる非常にユニークなノズルを採用しているため、 通常のプリンタで使えない素材、プレイドー(Play-Doh)、粘土、ゴム粘土、Sugru(自然に固化する耐熱性シリコンラバー)などを出力することが可能になっている。

開発者のDaniel HutchisonはKickstarterで15万ドルの資金を調達ずみで、今後数ヶ月で製品を出荷できるようにしようと努力中だ。3Dプリンターにはフル機能のパソコンが付属する。

さまざまな素材が使えることは実用上、きわめて大きな可能性を開くものだ。2ノズル・システムに拡張された場合、たとえば、プラスチックの外郭の内側にSugruのような耐熱ゴム素材でガスケットを同時に出力できるだろう。

このマシンは学校やアーティストの利用にも理想的だ。ゴム粘土でストップモーションのアニメのフィギュアを作るのにも使える。またゴム粘土なら出力物が気に入らなかった場合、捏ねて素材に戻して再利用できるから運用コストが最小限ですむし、プラスチックと違って出力後にヘラなどで簡単に整形仕上げできる。

Hyrel 3Dプリンターの価格は1995ドルから3000ドルまで。ハイエンド・モデルにはパソコンの他にABS樹脂用の加熱機能(ABSは射出する際に加熱して溶かす必要がある)が含まれている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


トルコ警察、抗議運動を空撮中のドローンを撃墜

小型のリモコン無人ヘリ(ドローン)が普及するにつれてこうした事件は今後もくりかえし起きそうだ。 –トルコのイスタンブールでJenkKoseという反政府運動の参加者がカメラを搭載したクアドコプターで抗議活動を撮影をしていたところ、警察が銃で機体を撃ち落とした。Jenkは撮影したビデオの一部を回収することができた。

Jenkはこう書いている。

6月11日の午後、警察は平和的な抗議活動に暴力的攻撃を加えた。警察はタクシム広場の上空で撮影中だったリモコンのドローンに発砲し、カメラと機体を破壊した。衝撃のせいで最後の瞬間はSDカードに保存されなかったが、壊れたカメラからSDカードを回収することはできた。次に公開するビデオは撃墜の数分前のものだ。

私の取材に対し、Jenkは「私はこのドローンを過去4週間、毎日飛ばしてきた。今になってなぜ警察が発砲してきたのかわからない」と語った。彼は今週中にもっとビデオを公開するという。

警察に撃墜される直前にドローンから撮影された動画/ Polis Tarafindan Dusurulen Helikopter [HD] 撮影:Jenk KVimeo

群衆の上空にドローンを飛行させるのはたしかに多少の危険があることは間違いないが、銃撃して撃墜するという警察の反応は少々行き過ぎではないだろうか?

トルコ警察がドローンを撃墜した瞬間/ Polisin Ucan Kamerayi Vurma Ani [HD] 撮影:Jenk KVimeo

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ダイレクトモーターで走る電動スクーターScrooserは未来の町に似合う

Scrooserは不運な名前だが*、作者はドレスデンの住人なので、ドイツでは良い意味なのかもしれない。しかしその実物は、意外にもクールだ。ふつうの二輪のキックスクーターに似ているが、電動モーターがあり、調子が良ければ時速15マイル〔約24km/h〕で走る。〔*: scrooは日常英語で頻用されるscrew(ひどい目に遭わせる、だめにする、意地悪をする)に音が同じ。たぶん命名の起源はscrooch(かがむ)だろう。〕

Kickstarterで資金を募集していて、19日目の今日(米国時間6/21)すでに、43000ドル集まっている。予約購入も兼ねた単位出資額は3950ドルだ。たしかに高いが*、でも、これで町を走ったら楽しいだろうな、と思わせる。一回の充電で20マイル〔32km〕走る。〔*: 高いのも当然…記事中後述。〕

Scrooserのデザインはとてもユニークでコンパクトだ。電池はステップの下にあり、モーターは後輪の中だ。作者は、こう述べている:

エンジン(48V, 1000W; 電源 48V, 20Ah)は後輪のリムにはまっているダイレクトドライブモーターだ。つまり、モーターの回転軸==車輪の回転軸なので、壊れやすい伝動部品…ギアやベルト、連結シャフトなど…はいっさいない。ほとんどメンテナンス不要で、しかも、とても静かだ。この特製のブラシレスハブモーターは、高品質なネオジム磁石で電気的に制御する。ブラシレスハブモーターは、必要に応じてヒンジモーメントを…まさに回転するリムと車輪内部に…作るので、そのためのスペースがフレームボディ上には要らない。また、ブラシレスハブモーターを使ったことにより、伝動系に由来する、ギアボックスからのノイズやオイル漏れといった問題が生じない。さらに、ギアやメカ式などの差動装置がないので、エンジンの効率を邪魔するものがなく、したがって走行距離も長い。

スクーターに乗ってる大人はいつ見ても漫画的だが、この電動スクーターなら、かっこよく見えるかもしれない、もしかして。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


$100の腕時計が、飲み過ぎを知らせてくれる

日本の時計メーカー、Tokyoflashは、 長年奇妙な[時刻がわかりにくい]デザインで注目を集めてきたが、このたび初めて同社のKisaiウォッチに飲酒検知器を組み込み、持ち主が酔っぱらったかどうかわかるようにした。

下のビデオは、はっきり言って少々わざとらしい。同社は魅力的なスコットランド人男性を酔わせるために雇った。そして彼はその通りになる。次に彼は腕時計を試し、様々な機能を見せびらかす。この時計には、手と目の連携をテストする酔っぱらい検査ゲームと、本物の飲酒検知器がついている。おそらくこの測定値は裁判では効力を発しないだろうが、本人とその酔った友達にとっては十分正確だ。自分の時計が次々と人の手に渡り直接息を吹き込まれるという問題を考えると、飲み仲間のためにいくつか買っておく方がいいかもしれない。

画面右の表示には、血中アルコール濃度が10段階で表示される。グリーンのディスプレイで0.00‰と表示されれば、しらふを意味する。黄色く0.41~0.60‰と表示されれば、ホロ酔いである。赤く0.61‰以上と表示されれは、酔っぱらっていることを意味する

時計の価格は$99で、充電はUSB経由で行う。嬉しいことに文字盤は判読可能なので、近所の飲み屋で何時間かおきにビールの飲み比べに参加することもできる。


【日本語版注:Tokyoflashは日本での営業活動を中止し、twoOtwoが特約店となっている模様。この機種の日本での発売予定は未確認】

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(翻訳:Nob Takahashi)


「オフライン・グラス」を使えば、飲み屋でメールではなくトークするようになる

メールばかり打って酔いもしない友達が増えて困っている人たちへ。この巧妙なハックはOffline Glassと呼ばれ、バーでみんながThe Greatest American Heroの主役は誰だったかWikipediaを調べたり、メールやFacebookをチェックしたりできなくする。グラスの底が特別な形状をしていて、スマートフォンが使えないようになっている。

このグラスは底の一部が欠けているため、スマートフォン(iPhoneが一番具合がよい)の上に置かないと立っていられない。スマートフォンを使う時は、必ずもう一方の手でビールを持っている必要がある。私の知る平均的酔っぱらい像を考えるに、 (1) 一晩で数百台のiPhoneが壊れる、(2) 大量のビールがこぼれる、ことになると思われるが、ナイスなアイデアではなかろうか。

このグラスが使われているのは、ブラジル、サンパウロのSalve Jorge Barで、作ったのはブラジルの広告代理店、Fischer & Friendsだ。販売はされていないが、適当なツールさえあれば自分でも作れそうだ。誰か3Dプリンターで作ってパーティーに持ってきてほしい。

私がTCのメンバーと出かける時はいつも、Phone Gameと称して全員の電話機を一ヵ所に積み上げて誰も届かないようにする。こうすることで会話が促進される、そしてGoogle Glassを着けていない限り、最初の数分間のみんなの苦しげな表情は魅惑的だ。あの体験を再現できる新しい道具に乾杯!

The Offline Glass from Mauricio Perussi on Vimeo.

via PSFK

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(翻訳:Nob Takahashi)


ロボットたち(とJack Conte)が演奏するダフトパンクのリミックス, メイキングビデオもあり

PatreonのファウンダでミュージシャンのJack Conteは、最近ごきげんだ。彼が作った一連のユニークなリミックスを、彼と、空気圧を利用するロボットのグループが演奏し、彼らが作りだすオーディオシーケンスが、すばらしい音楽になるのだ。

このビデオでConteは、QuNeoパッドコントローラというものを使っている。表面は木製で、プロジェクターが彼の音楽のステージを作る。次に彼は、Arduinoでコントロールされる手作りのソレノイド(Rich Humphrey作)を使って音楽の各部分をトリガし、曲全体を演奏する。この、DIYのロボットたちによるライブのパフォーマンスは、混沌としているが、かなり病みつきになりそうだ。

Conteは楽屋裏ビデオ(メイキングビデオ)まで作って、AbletonとFinal Cutと大量の忍耐を投じたプロジェクトの制作過程を公開している。本物のアーチストの仕事を見られる点で、良くできたビデオだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


3Dプリンタはここまで来た―Form Labsのステレオリソグラフィー方式のハイエンドマシンForm 1をテスト

先週、私はForm LabsのForm 1 3Dプリンターをテストする機会に恵まれた。これは3Dプリンターの進む方向をはっきり示す未来的プロダクトだった。一言でいえばForm 1は今まで私が見た中でももっとも使いやすくもっとも高性能のプリンタだ。もちろん改良の余地はあるが、評判どおりの(そして高価格に見合う)性能といってよいだろう。

Form 1はステレオリソグラフィー方式〔Form 1はこの図とは上下が逆のメカニズム〕の3Dプリンタだ。この点は非常に重要だ。われわれに馴染みがある3DプリンタはMakerbotのような細い素材フィラメントをノズルから押し出して対象を整形する方式だ。これに対してForm 1は金属プラットフォームを感光性レジンの液体素材に浸し、表面をレーザー光でスキャンすることによって液体を固化させて整形する。一層が固化すると金属プラットフォームをその分だけ上昇させ次の層を固化させる。こうしてレジンの層を重ねていくわけだ。Makerbotとは逆にForm 1の出力物は上から下に成層されていく。

Form 1の出力物はインジェクション・モールドで作られたように見える。各レイヤーの厚さは25μm(0.025mm)と極めて薄いので表面は滑らかでエッジは鋭い。素材は市販のオモチャなどに使われるぐらいの強さがある。

しかしForm 1はオモチャの製造機ではない。実験室レベルの精度を持つ極めて強力なマシンだ。まだ開発途上なので操作やメンテナンスではときおり不具合に遭遇する可能性がある。使いこなせるのはおそらく16歳以上だろう。

オブジェクトの出力のためにはまずPreFormというアプリを使ってSTLフォーマットのファイルをForm 1に転送する必要がある。このプログラムは現在はWindows版のみだが、OS X版が開発中だという。

高精細度で出力すれば時間はそれだけ長くかかる。下の写真の右側の高さ5センチぐらいの透明なチェスの駒(ルーク)を出力するのに6時間かかった。インドの天女、アプサラの像の場合は4時間20分だった。さいわいこのプリンタはほとんど無音で作動する。精細度を落とせば出力時間は大幅に短縮される。

ここで強調しておきたいのは、この写真の出力オブジェクトは文字通りマシンから取り出したままだという点だ。オブジェククトを位置決めするための小さなサポートが接続されていた跡もそのままに残してある。この突起は簡単に折り取ることができる。

感光性レジンは1壜1リットルあたり149ドルで、現在は透明のみ入手可能だ。Form Labはオブジェクト出力後に加熱して中身を溶かし、プラスチックなどの射出成形に使えるモールドを出力できるようにしようと実験を重ねている。

3299ドルというForm 1の価格は安いとはいえない。しかし個人に手が届かないほど高いわけではない。Makerbot Replicator 2は2200ドルくらいだ。用いられているテクノロジーと成果物の精度を考えると当然予想される程度の価格差といってよいだろう。

いくつかスペックを確認しておくと、出力物の高さは余裕があるが幅は狭い。最大サイズは4.9 x 4.9 x 6.5インチ(12.5 x 12.5 x 16.5 cm)だ。Makerbotは 11.2 x 6.0 x 6.1(28.5 x 15.2 x 15.5 cm)だ。これより大きいサイズのオブジェクトが必要な場合は分割出力して後で組立ないし接着することになる。

第2に、Form 1では出力の際にオブジェクトを正確な位置に固定するための多数の支柱が必要になる点に注意が必要だ。下の写真で分かるように、elow,these prints of 私の胸像の表面には小さな突起が多数見られる。この支柱は簡単に折り取り、切り取ることができる。そのため若干の仕上げ工程が必要になる。

最後に、成果物は出力が終了してからさらに10分程度イソプロピル・アルコールに浸す養生が必要だ。これはさしたる手間ではないが、熱を発する装置の近くに大量のイソプロピル・アルコールを置いておくことには(特に学校などでは)やや不安を感じるかもしれない。

3Dプリント・テクノロジーはまだまったくの発生期にある。Form 1はステレオリソグラフィー・テクノロジーを採用することでこれまでのホビー的なマシンから3Dプリンティングを大きく前進させた。Form1はすぐに産業用3Dプリンタに取って代わるわけではないが、Shapewaysのような出力サービスに迫る品質の出力を得られる。

私は3Dプリンティングにかなり経験を積んでいるが、Form 1は圧倒的に優れたマシンであり、プリンター性能、レジン素材、それらの価格などを総合的に考慮して投資に見合う価値があることは保証できる。大量のイソプロピル・アルコールを必要とする点に監督者の注意が必要だが、教育目的での利用にも理想的だろう。

Product Page

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


クラウドファンドのギターで曲を作った16歳のミュージシャンがクラウドファンドでアルバム制作

Rafael AtijasのLoog Guitar(ルーグギター)は、その報道を本誌が終えた2011年の初めごろにはKickstarterの目標額を軽く超え、大人気の中で発売された。それは、本誌のレーダーがとらえたKickstarterプロジェクトの中では、初期の成功例の一つだ。その後も人気は続き、しかもこの三弦の楽器を使って録音し、アルバムを作る人まで現れ始めた。

その好例が、16歳のシンガーソングライターPip Blomだ。彼女はアルバムの全曲をLoogを使って演奏し録音した。そのすべてをBandcampで聞けるが、彼女はアルバムを売って得たお金で、オランダのVlielandで行われるバンドキャンプTeenage Kicksに行くつもりだ。つまり、クラウドファンドのプロジェクト(三弦ギター)が、今度は学生のクラウドファンドプロジェクト(音楽)を支えている。クラウドファンディングが、連鎖するのだ。

音楽はとてもチャーミングだし、録音も良い。Pip自身は、グラストンベリー(Glastonbury)のフェスティバルに出たいと思っている。選ばれたら。

このクールなご縁が、クラウドファンディングの力を見せつけている。Rafaelは、子ども用の楽しくて安いギターを作りたくて、インターネットの上の親切な人びとに頼った。そして今度はPipが、そのギターでコードを学び、すてきな曲を作り、自分の夢を追おうとしている。こうやってインターネットの上のクラウドソーシングからは、ちょっとしたきっかけで人と人とのご縁が生まれ、新しい世界が切り開かれる。クラウドファンドが動かす社会的なエンジンは、創造性のエンジンでもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、3Dプリンターと消耗品のショップを開設―新テクノロジーのメインストリーム化を後押し

Amazonは先ほど3Dプリンタとそのサプライやアクセサリ、参考書専門のオンラインショップオープンした。これで小規模な3Dプリンタのメーカーもメインストリームに乗り出す足がかかりが得られそうだ。

このウェブストア(というのか何と呼ぶのか知らないが)ではAfiniaやFlashforge(Makerbotのデッド・コピーだ)が売られている。また本家のMakerbotも中古品が1点出品されている。要するにあまり専門的知識のないユーザーに直接に売り込むチャンネルができたということのようだ。それはそれで大いに結構。

オフィスサプライの大手チェーンストアのStaplesがCube 3Dプリンターを売り、Toys “R” Usが香港の巨大アヒルの3Dプリントされたミニチュア・カスタマイズ版を売る世の中だ。3Dプリントはすでにわれわれのポップカルチャーの一部を占めるようになってきた。しかし一般ユーザーにはまだまだバズワードとして効き目があるので、Amazonのような機を見るに敏な大企業がちょっとしたコーナーをオープンしたのも不思議ではない。

いやはや。3Dプリンターもメインストリーム化したものだ。私はプログレ・ロックのファンだったが、父親に「それを何曲か選んでくれ」と頼まれたときに、もはやこの音楽ジャンルがそれほどプログレッシブな存在ではなくなったことを知った。3Dプリンティングにも同様の事態が訪れているようだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


プログラミングにより極性や強度を変えられる磁石

磁石は今やありふれた存在だ。異極同士は引きあい、同極同士は反発する。冷蔵庫にメモを貼るために使う。でも、磁石がプログラマブルになり、プログラムによって反応を変えると、どうなるだろう? アラバマ州ハンツビルのCorrelated Magnetics Researchが作ったそんな磁石は、びっくりするようなことができる。中には、ちょっとこわいのもある。

これらの磁石は、人間が手で触らずに、全部を一箇所にあつめたり、逆にばらばらにしたりできる。磁石を使ったモーターのような動きもする。CMRのVPのStephen Strausがやって見せたクールなデモでは、磁石たちが一定の距離では反発し合い、近づけるとくっつき合う。“永久機関だ!”、と叫んで逃げ出す必要はない。ちゃんと物理学の法則に従ってるのだから。

CMRは磁石を製造時にプログラミングし、世界中のユーザ企業が磁石を使うソリューションにそれらを利用する。トルクや動きをコントロールし、金属と金属のあいだに“空隙”を保ちたい、といったニーズだ。同社にはWeb上のストアもあるので、あなたご自身が磁石を使った不思議で対話的なマシンを作ることもできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


E3の勝者は誰だったか?

とにかく、ビッグスリーの姿勢は分かった。Nintendoは、あくまでもWii Uで行くつもりだ。Microsoftは499ドルの常時接続ボックスを発表した。Sonyはユーザがゲームを共有したり売ることもできる399ドルの製品で、ゲーマーの歓心を買おうとした。どれもHDで、マルチプレーヤーで、それにしかも、ゲーム専用機の時代は終わったと感じさせる。今回の専用機はどれも、ハイエンドPCの延長のような製品で、しかもその寿命は、4Kの普及が始まるまでの約7年だ。

これぞまさに、Lion Kingの言うcircle of lifeであります。

でも残念ながら、昔からのゲーマーたちはついに、専用機陣営の策略を見破りつつあるのではないか。たしかに、どのメーカーのどの機種も数百万台は売れる。11月にXbox OneやPS4が発売されたら、全国のBest Buyに行列ができる。Nintendoの人気上位ゲームはすべて売り切れになり、ちょっとがっかりなWii Uも、ゲームの世界に入ったばかりの子どもたちと、昔を懐かしむ大人たちに売れるだろう。…という意味ではE3は、特定の勝者が決まる場ではなかった。伝説が何を言おうとも

では、何が次世代のゲームか? それが、Ouyaのような“カジュアルゲーム機”や、一過性の流行で終わるZynga流のゲームでないことは、明らかだ。だったら、何がゲームの未来を担うのか?

ゲームはモバイルへ?

携帯電話はある時点で手持ち型のゲーム機を駆逐し、家庭用ゲーム機と横並びで競合するだろう。モバイルゲームは人をやみつきにさせるが、集中力と強力なコントロールを要するゲームが持つ、深さや複雑さはない。RPGのようないわゆる“深い”ゲームは、キーボードやコントローラがないとこれからも無理だろう。メディアはメッセージだ、とは言えない世界だ。Kingdom RushやAngry Birdsのようなゲームはデバイスに依存し、ある意味ではデバイスと一体化している。もっと複雑なゲームはパッシブなスクリーンと一体化し、人はそれを手の動きでコントロールする。だから、ゲームの上で生じている動きと、プレーヤーの人体の動きが、互いに無関係だ。

モバイルのゲームでリッチな世界を作りだすことはできない、と言うつもりはないけど、相当難しいことは確かだ。モバイルゲーマーの注意力を長時間掴むことは、Civilization Revolutionなどが証明しているように、できないことではない。でも、携帯電話というインタフェイスそのものが、OblivionやBioshockなどに代表されるような、複雑な長編アドベンチャーには向いていない。しかしハードウェアとソフトウェアが今後もっと進化したら、十分な能力を持つインタフェイスが得られるかもしれない。専用機メーカーもその点を無視してはいないと思うが、でも自分でモバイルのプラットホーム…Nintendoスマホ?…を開発するぐらいの根性がなければ、モバイルという大きな機会をつかみ取れないだろう。

Oculus Rift?

Oculus Riftのようなプロダクトは、ゲームにおける本当のイノベーションの例だ。開発キットはまだ未完成で、装着してもしっくりしないが、たしかにイマーシブ(immersive, 没入型)の未来を予兆している。かつてのKinectのようなギミックではあるけれども、ゲームの体験をものすごく拡大する。この製品にかぎらず一般的に、ヘッドセットはとても大きな、新しいゲーム世界をもたらすだろう。

でも、ヘッドセットや足踏み装置そのものが未来ではない。未来は、強力なコンテンツが多くのファンの心を掴むところから生まれる。超大作主義のゲームメーカーたちも、そんな新しいタイプのゲームには挑戦していない。LEGO City UndercoverBioshock Infiniteは、そんな今のゲームメーカーたちの、ベストとワーストの典型例だ。LEGO…はPixarの子ども向け映画の楽しさと、(ちょっとわざとらしいが)強力なストーリーがペアになっている。Bioshock Infiniteにも、良質な映画のような魅力と、Hudson River Schoolの絵画のような壮麗さがある。どちらにもそれなりの欠点はあるが、しかし別の意味では、そのジャンルの完璧な作例だ。Oculus Riftの助けを借りなくても、それ自身で輝いている。

ゲーム専用機メーカはどうなる?

上で、大物たちは誰一人としてE3の勝者ではないと示唆したが、少なくともSonyとNintendoは、世界の人びとの関心を集めた。つまり両社は、物理的なメディアプレーヤーとしてのゲーム専用機が持つべき価値を、理解していた。どういうことか。

Steam(やもしかしてOnLive)のようなゲームサービスが、専用機の対極にいる。彼らの理解ではゲームとは、プレーヤーとモニタが一対一で向かい合う孤独な営みだ。Microsoftは、このような体験をそのまま専用機で実現できる、と考えた。しかしそれは違う。ゲーム専用機では、いくつかの理由により、物理メディアが重要だ。物理メディアは徐々に影が薄くなりつつあるとはいえ、まだまだ全世界的に健在だ。

第一に、物理メディアは、安定したインターネット接続がなくてもゲームができるから人気がある。友だち間の売り買いや、中古の販売もある。海賊行為も、ある程度できる。これらすべて、良いことも悪いこともひっくるめて、リビングルームのゲーム機の重要な要素だ。海賊行為も、物理メディアでないと意味のない国や地域がまだ多い。インターネットがなければ、ゲームのダウンロードはできない。純正品は高価すぎて手が出ない、という人びとが、全世界的にはとても多いのだ。ここは、海賊行為をほめるのではなく、物理メディアの重要な特質を理解してもらうために書いている。

ダウンロードされるコンテンツは孤独な成熟したゲーム向け、そしてその対極に、価格が重要な要素となる物理メディアがある。成功するゲームやその提供形式は、この両方に正しく対応しなければならない。Microsoftは、戦略を手直しして全世界的なマスマーケットにも対応するだろうか? それとも、批判や怒りの声を無視して、成熟した、価格をあまり意識しないゲーマーだけを対象にし続けるのだろうか? その層は、自分のディスクを友だちの家へ持っていって一緒に遊ぶ、という遊び方はしない。

ゲーム専用機は、ゲーマーでない人たちの生活にも影響を与える。家庭にDVDが普及したのは部分的にはPS2のおかげだし、Blu-rayはPS3からだ。ストリーミングビデオやチャットなども、ゲーム機がきっかけという家庭が多いだろう。テレビ受像機の買い換えの動機も。ゲームは、ビジネス以前に一大産業であり、その動向に全世界の何百万人もの人びとの生活の形が従う。

という意味で、ゲームは偉大だ。ゲームで遊ぶ大衆は今なお、すばらしいゲーム作品に時間とエネルギーを注ぎ込み、そしてゲームはますます、没入型で、エキサイティングで、そしてアートみたいになっていく。だから、特定の一機種をE3の勝者と呼ぶことは、より対話性を増し、映画に代わる支配的(そして対話的)大衆娯楽になるかもしれない未来のゲームに対し、目を閉ざすことになる。ゲーマーは不平を言うことが好きだが、でも、画面の予約ボタンを点灯させたり、GameStopの店頭の列に並ぶときには、心の中は期待と興奮でいっぱいだ。E3の巨人たちも、そのことを暗黙裡に知っており、ゲームの輝かしい未来を示唆する技術や製品は、今すでに十分たくさんある。

[Oculus Riftの写真は: hortontより。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、ついに新型Mac Proをアナウンス

WWDC 2013の会場にて、Phil Schillerは集まった人々に向けて麗々しく新しいMac Proをアナウンスした。曰く「これ以上のイノベーションは不可能です」とのこと。最大12コアのIntel Xeonを搭載したサーマルコア構造で、超高速なメモリを採用している。これまでのMac Proと比較して、2倍の処理性能を誇るそうだ。

20GbpsのThunderbolt 2ポートが用意され、2枚のGPUグラフィックカードを積んで4Kディスプレイをサポートする。性能的には文句のつけようがないものと言えるかもしれない。また、これまでのMac Proと比較して大幅に小型化がなされている。従来のものと比べて8分の1程度のサイズになっているようだ。

ギガビットEthernetに対応し、HDMI、USB 3.0ポートなども搭載。アメリカでアセンブルされる予定で今年後半に登場とのことだが、時期や価格についての詳細はまだ明らかになっていない。

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(翻訳:Maeda, H)


ArduinoとLinux/Androidの合体マイコンボードUDOO, Kickstarterで資金を募集

初心者のハードウェアハッカーの多くが、Arduinoは難しいがLinuxやAndroidはやさしい、と感じているだろう。Kickstarter上の資金募集が今夜(米国時間6/7)締め切られるUDOOは、両者をミックスすることによって、Arduinoを扱いやすいものにすることをねらっている。そのデバイス(左図)には、ARMのプロセッサ(デュアルまたはクァドコア)と、Arduinoが載っている。そして、ARM側にLinux(+オプションでAndroid)を埋め込みタイプでインストールし、そのコマンドラインからArduinoをプログラミングするのだ。〔ArduinoのプロセッサもARM。〕

UDOOの上には、ARMのcortex-A9プロセッサとArduino Dueマイコンボードがある。Dueの54本のI/Oピンのほか、オプションのSATA接続などそのほかのピンやコネクタがある。したがってArduino側とLinux側の両方にいろんなシールドやアクセサリ、周辺機器などを接続して、高度なシステムを組み立てられる。多彩なアップグレードが可能なRaspberry Pi、と考えるとよいかもしれない。

UDOOにはWi-Fiモジュール、USBポート、それに1GBのRAMがある。Linux/Androidを動かすプロセッサがデュアルコアなら$109ドル、クァドコアなら129ドルだ。目標額にはすでに25時間で到達している。

これは、ギークたちがかねてからよく知っているツール(Linux/Android)を使ってArduinoを利用する、といううまいやり方だ。UDOOの連中が言うには、二つの世界が合体して、豊かな相互運用性を持つより高度な世界を作り、二つのプラットホームのファンたちをどちらも満足させるのだ。



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ぐにゃぐにゃ3Dプリントができる弾性素材Elasto PlasticをShapewaysが開発

“Elasto Plastic”(弾性プラスチック)という名前は、80年代のパンクバンドみたいだけど、実はそれは、3DプリントのShapewaysが作った新しい素材だ。そのプラスチックはある程度の伸縮性があり、伸ばしても縮めても元の形を保つ。引っ張りすぎると破れるが、現状はまだ開発途上の製品だ。

素材の色はオフホワイトで、表面はざらざらしている。レーザーで加工されるが、層状の構造になるためぎざぎざが生じる。Shapewaysは、“まだ加工用素材として完成していない”と言っているが、個人や実験目的では十分に使えそうだ。

Shapewaysは最近、本誌のMakerシリーズで取りあげたが、同社はこの素材による3Dプリントを、合衆国工場にあるナイロン用の機械で行った。注文すると、プリント結果の納期は約8日だが、各種3Dプリント製品用のヒンジ素材としておもしろそうだ。すでに十分な弾性構造はあるようだから、この素材の今後の進化が楽しみだ。

出典: 3DPrintingIndustry

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ぐにゃぐにゃ3Dプリントができる弾性素材をElasto PlasticをShapewaysが開発

“Elasto Plastic”(弾性プラスチック)という名前は、80年代のパンクバンドみたいだけど、実はそれは、3DプリントのShapewaysが作った新しい素材だ。そのプラスチックはある程度の伸縮性があり、伸ばしても縮めても元の形を保つ。引っ張りすぎると破れるが、現状はまだ開発途上の製品だ。

素材の色はオフホワイトで、表面はざらざらしている。レーザーで加工されるが、層状の構造になるためぎざぎざが生じる。Shapewaysは、“まだ加工用素材として完成していない”と言っているが、個人や実験目的では十分に使えそうだ。

Shapewaysは最近、本誌のMakerシリーズで取りあげたが、同社はこの素材による3Dプリントを、合衆国工場にあるナイロン用の機械で行った。注文すると、プリント結果の納期は約8日だが、各種3Dプリント製品用のヒンジ素材としておもしろそうだ。すでに十分な弾性構造はあるようだから、この素材の今後の進化が楽しみだ。

出典: 3DPrintingIndustry

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


目に見えない電気をAR(拡張現実)で見えるようにするLightUpの電子工作教材

電子工学の習得は難しい。電気は目に見えないし、部品はよく分からないし、概念も難解だ。そこでLightUpが登場する。子どもたちに小さな電子工作のプロジェクトを作らせ、AR(拡張現実, augmented reality)を利用して部品の働きを理解させるのだ。

そのプロジェクトは磁石を使って組み立て、回路に通電するとLEDが点灯しブザーが鳴る。でもその回路を携帯で写真に撮ると、アニメのラインが現れて電気が今何をやっているのかを示す(下図)。電子回路としてはあまりにも簡単すぎるが。しかしダイオードの向きが逆だったり、トランジスタが動作していなかったりすると、そのことを教えてくれるのがいい。

99ドルのキットには、Arduinoマイクロコントローラと各種の抵抗器と光センサーとLEDが含まれている。39ドルのキットでは、モールス信号ブザーやライト、調光器、お弁当箱警報器などを作れる。ぼくなら、お弁当箱警報器を作って、自分のジェリービーンを子どもたちに食われないようにしたいね。

LightUpはすでに資金を調達済みだ。類似サービスとしてLittleBitsなどがあるが、ARの利用はこのキットの魅力だろう。単純素朴に実験をするのではなくて、LightUpでは電子の流れなどを“見る”ことができるから、科学教育の教材として優れている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


目に見えない電気をAR(拡張現実)で見えるようにするLightUpの電子工作教材

電子工学の習得は難しい。電気は目に見えないし、部品はよく分からないし、概念も難解だ。そこでLightUpが登場する。子どもたちに小さな電子工作のプロジェクトを作らせ、AR(拡張現実, augmented reality)を利用して部品の働きを理解させるのだ。

そのプロジェクトは磁石を使って組み立て、回路に通電するとLEDが点灯しブザーが鳴る。でもその回路を携帯で写真に撮ると、アニメのラインが現れて電気が今何をやっているのかを示す(下図)。電子回路としてはあまりにも簡単すぎるが。しかしダイオードの向きが逆だったり、トランジスタが動作していなかったりすると、そのことを教えてくれるのがいい。

99ドルのキットには、Arduinoマイクロコントローラと各種の抵抗器と光センサーとLEDが含まれている。39ドルのキットでは、モールス信号ブザーやライト、調光器、お弁当箱警報器などを作れる。ぼくなら、お弁当箱警報器を作って、自分のジェリービーンを子どもたちに食われないようにしたいね。

LightUpはすでに資金を調達済みだ。類似サービスとしてLittleBitsなどがあるが、ARの利用はこのキットの魅力だろう。単純素朴に実験をするのではなくて、LightUpでは電子の流れなどを“見る”ことができるから、科学教育の教材として優れている。

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プラスチックではなく砂糖を使う3Dプリントでケーキ屋さんが大成功

KyleとLiz、すなわちvon Hasseln夫妻は、ちょっと変わったデザイナーだ。もともとは建築家なのだが、友だちの誕生日のために特製のケーキを作ろうと思ったとき、おもしろいビジネスアイデアがひらめいた。それが、Sugar Labだ。

“友だちのChelseaの誕生日に、うちにはケーキを焼くオーブンがなかったので、代わりに3Dプリントでケーキを作ろうと思ったの”、とLiz von Hasselnは言う。“最初は何回か失敗したけど、最後には簡単なカップケーキのトッピングをプリントして、その上に同じく砂糖を使った筆記体の飾り文字で’Chelsea’と書いたわ。誕生日から何か月も経っていたけど、でもChelseaはとっても喜んでくれたから、3Dプリントで作ったお菓子をほかの人たちもおもしろいと思うかしら、と真剣に考えるようになった。その後二人は大学を卒業したので、3Dプリントの砂糖菓子を受注生産する小さなデザイン会社を作った”。

彼らがカリフォルニア州Echo Parkの会社で作っているものは、3Dプリンタで作る本物の砂糖細工だ。その作品はWilly Wonka的というよりもむしろ、Jim Jenningsの建築デザインに似ている。

“デザインには見本も3Dプリント用のファイルも何もなくて、お客さんの話を聞いてゼロから考える”、とLizは言う。“お客さんの心の中にある考えやテーマやフィーリングを聞くのよ。お気に入りのガウンのレースの切れ端や、古い建物の鉄門の精巧な彫り物の写真、故郷の町のスカイラインが写ってる絵はがきなど、参考になるものは何でも見せてね”。

二人がこのラボを立ち上げたのは2年前だが、軌道に乗ってきたのは半年前ぐらいからだ。今ではそれが二人の“本職”と言ってもいい。“砂糖細工の3Dプリントは、専門的な職人技(わざ)と言っても過言ではない。将来の大きな可能性がある。作品の構造を考えること、そしてそれを実際にプリントすることに、いつも真剣なチャレンジがある”。

今彼らが作っているのは、台や砂糖製の柱まである四層の大きなケーキだ。これに限らず、多くの作品が、“本物の優れたパティシエやハリウッドの有名なベーカリーとのコラボレーションなんだ”。

Hersheyを廃業に追い込むのはまだ先の話だが、でもこれは、デザインと物作りとそして“甘いもの”の三者が巧みに合体している。ぼくもそのうち、うちにあるMakerbotで、チョコレートバーをプリントしてみようかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))