米国のオンライン食料品販売は6月に7700億円を記録、2019年10月の1.3億円から新型コロナで急増

この数週間、米国経済の再開はゆっくりだが、米国人が再び店舗に殺到する様子を見せない代わりに、食料品のオンラインショッピングは記録的な売上高を更新し続けている。Brick Meets Click(ブリック・ミーツ・クリック)とMercatus(マーカタス)が米国時間7月6日に発表した最新の調査報告によれば、米国の4560万戸の世帯が必要な食料品の購入の大部分をオンラインに切り替え、配達サービスを利用したため、2020年6月の食料品のオンライン販売高は、5月の9%増となり72億ドル(約7730億円)を記録したという。

この数字は、米国が初めて新型コロナウイルス(COVID-19)によるロックダンを経験した2020年3月の40億ドル(約4300億円)を上回る。それ以来、食料品のオンライン購入は急増し、食料品を含むオンライン小売サービスへと多くの消費者が移行するに従い、4月には53億ドル(約5690億円)、5月には66億ドル(約7080億円)に跳ね上がった。

オンライン食料品販売の顧客ベースも、3月の月間アクティブユーザーが3950万件だったのに対して、6月は4560万件となったと報告書には書かれている。

注目すべきは、2019年10月にオンラインで食料品を買っていたユーザー数はわずか1610万件しかなく、総売上高は120万ドル(約1億2900万円)に過ぎなかったことだ。

この成長の要因は、単に食料品のオンライン購入に大量の人たちが流れ込んだというだけでなく、注文数の増加もあった。オンラインで食料品を買うのは、大量の「備蓄」のためだけではない。備蓄と備蓄の間に行われるもっと細かい週1回の食料品の調達や、牛乳やパンや農作物などの足の速い食品の買い換えもある。

「6月のスコアカード:オンラインによる食料品の配達および店舗受け取り」。左列上から「指標」「過去30日間の売上」「注文ごとの平均消費額」「過去30日の注文件数」「過去30日間のアクティブ顧客数」「頻度(月平均 / 顧客数)」。
画像クレジット:Brick Meets Click / Mercatus

今回発表された調査結果によれば、5月のアクティブユーザー世帯の注文の頻度は月1.7回だったが、6月には1.9回となりこの増加傾向を示している。

さらに、新型コロナウイルスのパンデミックによる顧客の需要の変化にともない、オンライン注文の対応能力を強化する独立事業者を含む小売店が増えたこともある。その結果、より多くの顧客がオンラインで買い物ができ、配達や店舗受け取りの時間帯の指定もできるようになって、売上げが増加した。

Walmart Grocery(ウォルマート・グロサリー)も、4月に追加料金を支払えば2時間で配達するという「特急」食料品配達サービスの運用試験を開始した(未訳記事)。これは、オンライン食料品顧客ベースに向けた新しいサービス能力の強化による直接の結果だと同社は話している。またInstacart(インスタカート)も、4月に販売窓口を増やそうと新機能を追加した(未訳記事)。さらにAmazon(アマゾン)、Walmart(Business Insider記事)、Instacart、Shipt(シプト)などを含む多くの小売業者が、オンライン注文数の増加に対応するための人材を増やしている。

6月に食料品のオンライン購入が増えた理由を消費者に尋ねると、新型コロナウイルスの接触を避けるためが一番だったと報告書は伝えている。特に44%の世帯が、家族の感染を「高レベル」で心配しているという。その数は前月から2ポイント増えている。またこの数値の上昇の要因は、ほぼ全体が60歳以上の購入者セグメントの9%という増加率によるものだ。

しかしマイナス面として、オンラインで食料品を販売する業者の選択肢が増えたことで、リピーターの確保が難しくなったことをデータは指摘している。6月の時点で、30日以内に同じオンライン食料品販売サービスを使う確率は、今のところ57%となっている。この数は5月から1ポイント増えているが、新型コロナ禍以前の2019年8月の74%というリピート率には遠く及ばない。

とはいえ、オンライン食料品販売に対する一般の関心は増加しつつある。オンライン食料品販売のアクティブユーザーと非アクティブユーザーを合わせたうちの32%が、この後90日以内に同サービスを「ぜひとも」または「きっと」利用すると答えている。この数は5月から2ポイント増えている。関心の強さは、当然のことながら、6月にオンライン食料品販売サービスを利用した世帯で57%と最も高く、非アクティブユーザー世帯はわずか17%に過ぎない。

今回の調査に使用されたデータは、6月(24日から25日)に1781名の成人の米国人から提供されたものだ。回答は国勢調査に基づいて米国に住む成人から年齢別に集められた。これらの調査会社は以前の調査でも、同様の手法、タイミング、サンプル抽出法を採用している。

「一部の小売業は、それぞれの事業で売上げが落ちているものの、市場全体が能力を高め、買い物客により多くの選択肢を与えるという新たな現実が、オンラインショッピングをさらに使いやすくして発展させる努力を加速せよと、あらゆる食品小売業者に訴えています」と、Brick Meets Clickのパートナー及び調査責任者のDavid Bishop(デイビッド・ビショップ)氏は声明の中で述べていた。

画像クレジット:Instacart

原文へ
(翻訳:金井哲夫)

TikTok禁止のインドでフェイスブックがショートビデオのInstagram Reelsをテスト開始

インド政府がプライバシー上の懸念を理由にTikTokを始め数十種類の中国製アプリを禁止する中、Facebook(フェイスブック)グループのInstagramはショートビデオアプリのReelsをインドでテストすると発表した。ReelsはTikTokのライバルとなるショートビデオでフェイスブックはカバー地域拡大に乗り出していた。

なお、インドのTikTok禁止直後、フェイスブックは本体とは別のスタンドアローンのTikTokクローンであるLassoを7月10日に終了すると発表している(未訳記事)。

Instagram Reelsはまずブラジル、ついでフランスとドイツでテストが行われているが、Instagramの広報担当者はカバー地域をさらに拡大する可能性があると述べた。ただし詳細は明らかにしていない。

インド版のBusiness InsiderはInstagram Reelsが「匿名の情報源」によるものとしてインドにやって来る可能性を報じた。ただし正式公開ではなくあくまで「テスト」だという。

TechCrunchがインドへの拡大に関してInstagramに取材したところ、広報担当者は「Reelsをアップデートし、多数の国でスタートさせる計画はある。Reelsはクリエイティブな自己表現であり、眺めるだけでも楽しい優れたメディアだ」と述べた。

スタンドアローンアプリだったLassoとは違って、ReelsはInstagramの一部としてデザインされている。 このアプリはTikTokと非常によく似ており、音楽や音声つきで15秒のビデオを作成して投稿できる。またReelsにはカウントダウンタイマーやビデオの再生速度を調整するなど一連のツールが提供されるのもTikTok同様だ。これによってクリエイティブなコンテンツの提供が容易になる。しかしInstagram Reelsには全体と個人向けオススメの2つのタブをもち、スクロール可能なフィードはない。 Reelsではコンテンツ全体が表示される。

2019年にブラジルでReelsがリリースされた後、Instagramはユーザーフィードバックを取り入れて機能のアップデートを行った。例えばユーザーはお気に入りのビデオクリップをまとめたり、他のユーザーがまとめたお気に入りを見たりできたらいいと要望した。そこでReelsはInstagramのユーザープロフィールに専用スペースを割り当ててInstagramが公開アカウントである場合、他のユーザーが検索できるようにした。

これによりReelsユーザーのアカウントをフォローしていないInstagramユーザーでもReelsクリップが表示されることになり、バイラルに拡散される可能性を得た(当初ReelsはInstagramストーリーでしか利用できず、これが制限となっていた)。

Reelsがインドで公開されるのは非常にタイムリーだ。 フェイスブックは2020年6月にインドの大手音楽レーベルであるSaregamaと世界を対象とする契約を結んだことを発表している(未訳記事)。つまりユーザーはフェイスブック本体とInstagramの双方で動画その他の投稿にSaregamaのライセンスを得て音楽を使えるようになる。

フェイスブックはまたインドの他の有力レーベルであるYash Raj Films、Zee Music Company、T-Seriesなどと契約を結んでいる。またSaregamaは10万曲以上のインド音楽を持っているだけでなく、ボリウッドと呼ばれるインド映画のサウンドトラックに加えガザール、インディポップなど人気のコンテンツを幅広くカバーしている。こうした点を考えると、Saregamaとの契約はReelsがインドでメジャーな存在となる道を開いたに違いない。

いずれにせよTikTok禁止という政府の決定と同時にインドにやってきたのはReelsにとって絶妙のタイミングだった。

インドが中国アプリを禁止したことにより、TikTokは最大の海外市場を失った。InstagramにとってReelsによって急増したショートビデオのユーザーを獲得する絶好のチャンスが生まれたわけだ。禁止前TikTokはインドに2億人以上のユーザーを抱えていた。北京に本社を置くTikTokにとって大損失だ。

しかしInstagramに手強いライバルが現れている。Reutersの報道によれば、インドのビデオ共有アプリであるRoposo、Chingari、Mitronなどの人気も急上昇している。特にRoposoはインド政府がTikTokを禁止した後の2日間で2200万人のユーザーを獲得している。

Instagramは、Reelsが米国など世界の他の大市場をいつカバーするようになるか明らかにしていない。

アップデート(東部時間7月6日13:30) : インドにおけるReelsは正式公開ではなくテストのスタート

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

独立記念日の週末にDisney+のアプリダウンロードが「ハミルトン」で74%増

かなりの期待が寄せられていたDisney+での「Hamilton(ハミルトン)」配信は成功したようだ。アプリストア分析会社Apptopiaの最新データによると、Disney(ディズニー)のストリーミングサービスは米国時間7月3日の「ハミルトン」世界デビューを受けて独立記念日(7月4日)週末のダウンロード数が大きく伸びた。7月3日から5日にかけて、インドと日本を除く全世界でDisney+モバイルアプリは75万2000回超ダウンロードされた。うち45万8000回が米国でのものだったとApptopiaは推定している。

6月の週末(金曜〜日曜)4回の平均ダウンロード数から46.6%増だとApptopiaは指摘した。しかしこのダウンロードの数字にはインドと日本は含まれていない。インドではDisney+は Hotstarを介して (未訳記事)、日本ではNTT Docomoとの提携のもとに既存のサービスを通じてストリーミングされている(The Hollywood Reporter記事)。

画像クレジット:Apptopia

独立記念日の週末のダウンロード回数はまた、米国においては6月にあった4回の週末よりも74%多かった。これは米国の購読者の「ハミルトン」へのかなりの関心を示している。「アメリカ建国の父」をテーマとしていることを考えると驚くことではないだろう。

特筆すべきは、これらのダウンロードは無料のトライアルではなく、有料購読者を意味していることだ。Disney+の1週間無料トライアルは6月に終了している(CNET記事)。

ApptopiaのライバルであるSensor Towerは少し異なるアプローチで「ハミルトン」効果を分析した。6月29日から7月5日にかけてダウンロード数は前週比64%増となったとYahooは報じた。7月3〜5日の全マーケットでのインストールは100万回となると予想していた。

画像クレジット:Apptopia

Apptopiaはまた、ダウンロード数において「ハミルトン」が2020年これまでのところ最高のコンテンツ立ち上げとなったことも指摘した。これは、消費者が新型コロナウイルス(COVID-19)によるロックダウン下にあったときにリリースされた「Frozen 2」を超えていることを意味する。また「Onward」「Artemis Fowl」をも上回った。

画像クレジット:Disney

もちろんモバイルアプリのダウンロード数は「ハミルトン」のためだけに何人の人が購読を申し込んだのか、その全体像を示すものではない。新たなDisney+購読者の多くはテレビですでにサインアップしていて、モバイルアプリを追加でダウンロードしたということはあり得る。

米国でもトップのストリーミングデバイスとテレビのメーカーであるRokuのオンラインチャンネルストアがランキングの「トップチャート」を提供していたら、Disney+の人気ぶりをそこで目にしていたかもしれない。しかしRokuのユーザーベースがDisney+アプリに、レビュー総数15万5006件で4.3のレーティングを付けているというのは指摘するに値する。参考までに、Netflixのレビューは367万5383件だ。これは、新サービスのDisney+がいかに急速にマーケットリーダーの座を奪いつつあるかを示している。

5月にDisneyは、ストリーミングサービスDisney+の購読者数が3月28日時点で3350万人だったのが、5月4日時点では5440万人に成長したと発表した(CNBC記事)。

Disney+は、Star WarsやMarvelといったDisneyのトップブランドをフォローする人にアピールしているが、新型コロナ感染拡大で子供を楽しませるためのコンテンツを必要とする家族のかなりの需要をも取り込んだ。新型コロナパンデミックでは、家族のこれまでのアクティビティは制限され、子供を家の中に閉じ込めることになった。月6.99ドル(約750円)、あるいは年間69.99ドル(約7500円)という価格設定は、利用可能なストリーミングサービスの中でもかなりリーズナブルなものだ。

画像クレジット:TIMOTHY A. CLARY/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

YouTubeがTikTokに照準、15秒のマルチセグメント動画をテスト中

YouTubeはTikTokに直接狙いを定めているようだ。米国時間6月26日、ユーザーが15秒のマルチセグメントビデオを録画できるようにするモバイルの新機能のテストを開始することを発表(YouTube Help Community投稿)した。これはTikTokのデフォルト設定の時間で、InstagramがTikTokを真似たReelsで設定されているものと同じ長さでもある。

同社によるとこのテストでは、モバイルアップロードフローに「動画を作成する」というオプションが表示されるとのことだ。

TikTokと同様に、ユーザーは録画ボタンをタップ、長押ししてクリップを録画する仕組みだ。次にもう一度タップするか、ボタンを離して録画を停止する。このプロセスは15秒相当のビデオ映像が出来上がるまで繰り返される。録画が完了するとYouTubeがクリップを結合し、1つのビデオとしてアップロードする。つまり、TikTokと同じである。

この機能の導入により、15秒を超えるモバイル動画コンテンツをYouTubeアプリ自体で録画することは不可能となる。15秒以上の動画を投稿するには、スマートフォンのカメラアプリなどで長い動画を録画後、YouTubeにアップロードする必要がある。

YouTubeはこのテストに関するその他の詳細を明かしていない。例えば、フィルター、エフェクト、音楽、AR、ビデオ速度を変更するボタンなど、短編動画のワークフローに関連するコントロールや機能が今後含まれていくのかは不明となっている。こういった機能は単にビデオの長さやマルチセグメントの録画スタイルというわけでなく、現在のTikTok動画を築き上げた重要なツールだ。それでも、YouTubeがTikTokによって普及した短いビデオ形式を視野に入れているという事実は注目に値する。

YouTubeが競合他社の機能セットを真似してライバルに対抗したのはこれが初めてではない。同社は2017年、動画の作成と共有をより簡単に行えるようにするためInstagram Storiesに匹敵するような機能を立ち上げた(未訳記事)。

しかし、このYouTube StoriesはTikTokユーザーを満足させることはできないだろう。TikTokは振付や準備したパフォーマンスを重視したコンテンツであり、パーソナルな動画ブログとは異なるものだからだ。これには別のワークフローとツールセットが必要となる。

YouTubeは、このテスト中の動画がStoriesとしてアップロードされないということは言及しているが、これら15秒の動画がYouTubeアプリでどのように見つけられるかについての詳細は明らかにしていない。

YouTubeのテストに関するこの最新ニュースは、今週開催されたIABのNewFrontsカンファレンスでTikTokが広告主に向けて行なった大々的な発表の直前に届いたものだ。TikTokは米国時間6月26日、TikTokアプリでのビジネスを検討しているブランドやマーケターを対象とした新しいプラットフォームであるTikTok For Businessをローンチ(未訳記事)した。広告主は、新サイトからTikTokの広告サービスについて学び、キャンペーンを作成およびトラッキングし、eラーニングに参加することができる。

YouTubeによると、この新しい動画テストはiOSとAndroidの両方で少数のクリエイターグループを対象に実施されている。同社の広報担当者は、このテストは短編ビデオに関して同社が実施した複数のテストの1つであると述べている。

「YouTubeは常に、求められている動画をユーザーがより簡単に見つけ、視聴し、共有し、交流することができるようにする方法を考案しています。ユーザーが短い動画を見つけたり作成したりするための様々なツールを現在テスト中です」とYouTubeの広報担当者は説明する。「これはYouTubeで常時実行している多くのテストの1つであり、テストへのフィードバックに基づいて、機能を今後より広く展開することを検討していきます」。

関連記事:グーグルがAI利用のスマート返信をYouTubeに導入、今後多国語展開も

カテゴリー:ネットサービス

タグ:YouTube 動画配信 TikTok

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

2020年上半期の世界のアプリ売上高は5.4兆円に急増、新型コロナ需要で

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響を受けて、2020年上半期に消費者がモバイルアプリやアプリインストールに費やした額は著しく増加した。Sensor Towerの新たなデータで明らかになった。今年上半期に、消費者はApple(アップル)のApp StoreとGoogle Playで501億ドル(約5兆4000億円)使った。昨年同期に比べ23.4%増だ。参考までに、2019年上半期の成長率は2018年上半期比20%増だった。加えて、初回アプリインストールが2020年上半期は前年同期に比べて26.1%増え、ダウンロードは715億回に達した。

そうしたダウンロードのうちAppleのApp Storeは183億回を占め、前同期比22.8%増だった。一方、Google Playでの新アプリインストールは532億回で前年同期比27.3%増だった。

インストール回数はGoogle Playのほうがかなり多いが、消費者支出においてはApp Storeのほうが引き続きGoogle Playをしのいでいる。

2020年上半期にApp Storeはアプリ内購入、サブスク、プレミアムアプリ、ゲームで328億ドル(約3兆5000億円)を売り上げたとSensor Towerは推定している。2019年上半期の263億ドル(約2兆8000億円)から24.7%のアップだ。Google Playの数字はApp Storeの約半分の173億ドル(約1兆9000億円)で、前年同期比21%増だった。

パンデミックの影響は2020年上半期に売上が大きかった(ゲーム以外の)アプリに集中している。例えば、最も売上高が大きかったのはMatchのオンラインデートアプリTinderだった。ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の維持)の影響でトップ5から外れるだろうと思っていた人もいたかもしれない。

今年上半期の期間中、Tinderの売上高はApp Store、Google Play合計で4億3300万ドル(約465億円)だったと推定されている。ただ、この数字は2019年上半期の5億3200万ドル(約570億円)から約19%減となった。その減少がどれくらいパンデミック中の消費者の行動や消費習慣の変化と関係しているのかははっきりとしない。外出禁止令や隔離で人々は家に閉じこもって他人との距離を保ったものの、ソーシャルネットワーキングアプリ、特にオンラインコミュニケーションにフォーカスしているアプリはロックダウン中も盛況だった。

Tinderは、「Passport」機能を無料にすることでオンラインネットワーキングにおける増大する関心を取り込んできた。この無料化された機能ではユーザーは世界中のシングルの人を探すことができ、現実世界でのデートにフォーカスしているアプリよりも、Tinderはよりソーシャルアプリになっている。しかしPassport機能の無料化は今年上半期のTinderの売上高の減少につながったかもしれない。

2020年上半期中に2番目に売上高の大きかったアプリはYouTubeで、グローバルで推定4億3100万ドル(約460億円)だった。そしてByteDanceのTikTokが4億2100万ドル(約450億円)で続く。Sensor Towerが先に報じたところによると、中国で展開するDouyinを含め、ソーシャルビデオアプリのTikTokは上半期にこれまでで最多のダウンロード数となり、グローバルで20億回を超えた。

Tencent Videoが第4位、Netflixが第5位だった。

一方、パンデミックで在宅を余儀なくされた消費者はかなりの数のアプリとゲームをダウンロードした。今年上半期に消費者は初めてのアプリを715億回ダウンロードした。この数字は前年同期比26.1%増だ。

今年上半期に最もダウンロードされたアプリはTikTokで、6億2600万回だった。しかしTikTokを含む59の中国企業のアプリをインド政府が禁止するという動きを受け、TikTokの地位は下半期には全く違ったものになるかもしれない。

ダウンロード数第2位はWhatsApp、第3位はZoomだった。Zoomのダウンロード数は急速に在宅勤務が進み、消費者がオンラインビデオ会議をするようになったことを反映している。FacebookはWhatsAppに加えてFacebookが第4位、Instagramが第5位、Messengerが第6位だった。

Snapchatのソーシャルアプリは第7位で、第8位はビデオアプリのLikeeだった。LikeeはTikTokと似ているが、さまざまなフェースエフェクトやフィルターを提供している。NetflixとYouTubeもトップ10入りした。

モバイルゲーミングの支出もパンデミックの間急増し、今年上半期は昨年同期比21.2%増の366億ドル(約4兆円)に達した。App Storeでの売上高は前年同期比22.7%増の222億ドル(約2兆4000億円)で、一方Google Playでは19%増の144億ドル(約1兆5500億円)だった。

TencentのPUBG Mobileは、Honor of Kingsが上半期最も売上高の多いものとなった。中国バージョン(Peace and Peacekeeper Elite向けのゲーム)を含め、Tencentのゲームは2つのアプリストアで計13億ドル(約1400億円)を売り上げた。ここには中国のサードパーティのAndroidアプリストアは含まれていない。このうちのおおよそ10億ドル(約1075億円)がHonor of Kingsの売り上げだ。

トップ10の残りは、順番にMonster Strike (6億3200万ドル=約680億円)、Roblox、Coin Master、Candy Crush Saga、AFK Arena、Gardenscapes、Fate/Grand Order、そしてPokémon GOだった。Pokémon GOは政府が命じたロックダウン中にインドアゲーミングに対応した。

得にRobloxは、パンデミックで家の中に閉じこもることになった子供たちがバーチャルの世界で友達と遊んだり交流したりするようになったために、利用が急増した。たとえばSensor Towerは6月に、Robloxがプレイヤーの支出額15億ドル(約1600億円)というマイルストーンを達成した、とレポートした。一方のCoin Masterは10億ドル(約1075億円)に近づいている。

ゲームインストールに関しては、PUBG Mobileがここでもトップに立った。その次にくるのがもう1つのバトルロワイヤル、Garena Free Fireだ。そしてRuby Game StudioのHunter Assassin、Eyewind LimitedのBrain Out、 PlayrixのGardenscapes がトップ5に入った。多くの人がストレスの多い期間にこれらのゲームをリラックスできるものとしてとらえた。

モバイルゲームマーケット全体で2020年上半期のダウンロード数は対前年同期比42.5%増で、初回インストール数は285億回に達した。うちGoogle Playでのダウンロード数は46.2%増の228億回で、App Storeのダウンロード数は29.5%増の57億回だった。

新型コロナの影響はQ2でより顕著に

アプリマーケットへの新型コロナの影響は上半期の数字に表れている。たとえば、Zoomや、Robloxのようなソーシャルゲーミングプラットフォームの成長だ。しかし2020年第2四半期にクローズアップすると、新型コロナの影響はより顕著だ。

Sensor Towerの推定では、アプリとゲームの世界の消費者支出は第2四半期に第1四半期比11%増となり、対前年同期比では28.8%増で、264億ドル(約2兆8000億円)に達した。この数字は、2019年第1四半期から第2四半期にかけての成長率1.4%に比べるとかなりのものだ。今年第2四半期のダウンロード回数は378億回で、前四半期比12%増、対前年同期比で31.7%増だった。2019年第1四半期から第2四半期にかけての増加率2.5%と比較すると急激な成長だ。

画像クレジット: Sensor Tower

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Apple Cardをウェブから管理可能に、ただしリモートロックや交換の要求はWalletアプリ限定

米国時間7月2日、Apple(アップル)はゴールドマン・サックスが発行している同社ブランドのクレジットカードであるApple Cardのためのオンラインポータルをローンチした。このポータルでは、アカウント保有者が残高を管理したり、明細書や決済スケジュールを見たりできるようにした。URLはcard.apple.comで、iPhoneを紛失もしくは行方不明になったとき、カードの管理や決済に便利だ。これまでは、それらのためにゴールドマン・サックスに直接コンタクトする必要があった。

しかも、自分のデスクトップやラップトップからでも毎月の支払いなどを済ませることができる。わざわざiPhoneを使う必要がない。

card.apple.comを利用するには、カードの所有者が自分のApple IDでログインする。すると、自分のカードの残高や使えるクレジット、期日が迫っている決済などをホーム画面で見られる。メインのページでは、決済のスケジュールを指定できる。それは、Walletアプリでは「…」メニューの「more」の下に埋もれていたから、あることを知らなかったカード保有者もいるだろう。

左の画面へ行くと、過去の明細を見たりPDFでダウンロードしたりできる。その他の設定では、銀行口座へのリンクを設けたり、それらを解除したりできる。サポートへの問い合わせやカードの利用規約を読むことも可能だ。

ただし、カードをなくしたり盗まれたときのためのカードのリモートロックや交換の要求については実装されていない。これらの機能はWalletアプリにしかない。Express Transitの設定やプッシュ通知の管理も、やはりWalletアプリ上で行う。

アップルによれば、Apple Cardのすべての体験ができるのは、あくまでもiPhone上であり、ウェブサイトは決済の実行やスケジューリングなど頻繁に行うタスクだけだ。

カード管理のためのウェブサイトがないことは、アップルのモダンなクレジットカードの欠点のひとつだった。カードの管理や決済がiPhoneから直接できるのは便利だが、クレジットカードの保有者は自分のカードにウェブからもアクセスしたいと考えるのが一般的だ。

オンラインポータルのローンチの直前にアップルは、Path to Apple Cardをデビューした。これはもっと多くの消費者にApple Cardを持ってもらうための信用改善プログラムだ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookアカウントでログインした5000本のアプリで利用停止後も個人情報が開発者に流れていた

Facebook(フェイスブック)は、およそ5000本のアプリにおいて、すでに利用を止めているにもかかわらず、開発者がユーザーの個人情報にアクセスできる状態になっていたと話した。米国時間7月1日、使わなくなって90日が経過したアプリから、本来ならユーザーがアプリの使用を再開しアクセスを再び許可するまでアクセスできないはずのユーザー情報に、その期間を超えてもアプリ開発者がアクセスできてしまうという問題を最近になって発見したと説明(Facebookリリース)した。

2018年、8700万人のFacebookユーザーの個人情報が不正に渡っていたCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)事件の煽りを受け、Facebookは、アプリ開発者がユーザーの個人情報へアクセスする際の決まりを変更すると発表(未訳記事)した。そのとき数多くの規制がFacebookのAPIプラットフォームに加えられたが、その中に「Facebookでログイン」の使用における審査プロセスを厳格化するものがあった。アプリが3カ月間使用されなかったとき、アプリからのユーザーの個人情報へのアクセスをブロックするというものだ。

今回のデータ共有問題に関しては、その規制がしっかり実行されていなかったということになる。

「Facebookでログイン」は、Facebookのサインイン認証をバックグラウンドで利用することで、ユーザーが簡単にアプリにサインインできる手段をアプリ開発者に提供するものだ。だがこれは同時に、対象ユーザーの電子メール、好み、性別、位置、誕生日、年齢層などFacebook上の個人情報サブセットへのアクセス要求を開発者に許すものでもあった。5000本のアプリから、ユーザーの個人情報を詳細に特定するアクセスがどれほどあったかは不明だ。Facebookによれば「あるアプリは言語や性別にアクセスしていた」と話しているが、「Facebookでログイン」で要求できるユーザー情報は、その2つの属性に限定されているわけではない。

Facebookの発表によれば、この問題は「Facebookでログイン」を使っているすべてのアプリに影響するものではなく、一部の状況でのみ発生(Facebookレポート)していたという。例えば「フィットネスアプリのユーザーが、そのアプリを使って友人を運動に誘ったとき、誘われた友人がアプリを何カ月も使っていなかったこと、つまり利用を止めてから90日以上経過していることを、Facebookは認識できなかった」と同社は話している。

この5000本のアプリは、過去数カ月ぶんのデータを精査した結果判明した。どれだけのユーザーが関わっているかFacebookは示していない。正確を期するなら、関係するユーザーは、そのアプリを使い始めるときにアクセスを許可した人たちなのだが、その許可は期限切れになっていた。

この新たに発見された問題は、アプリのユーザーが、アプリのアクセス許可を不正利用したことで、その「友達」ネットワークのすべてのユーザー情報へのアクセス権を提供してしまったCambridge Analytica事件のものとは違う。しかしこれは、Facebookの「友達」ネットワークを通じて、ユーザーの個人的なつながりから個人情報が漏れてしまう新たな実例となってしまった。この場合、ユーザーの個人情報は、意図せず開発者に共有されたわけだが、その原因には、ユーザーと、そのアプリの利用者で、それを試すよう招待した「友達」とのつながりもある。

Facebookでは、この問題はすでに修正され、現在も調査を続けている話している。

これに関連して同社は、データマイニングを、法的に言えば、開発者の手に委ねるための新しいプラットフォームポリシー開発者向けポリシー導入した。それにより、ユーザーの明示的な同意なくして開発者が第三者に個人情報を提供できる権利の制限、データのセキュリティー要件の厳格化、個人情報を削除すべき場合の明確化がなされた。

この規約によって開発者は「合法的な業務上の目的に必要とされなくなったとき、具体的には、アプリが閉じられたとき、Facebookから指示されたとき、または誤って個人情報を取得したときに、Facebookは個人情報の削除を要求できるようになった」と発表には明記されている。

この最後の2つの条項は興味深い。将来的にFacebookは、今回のようなデータアクセス問題を察知した場合に開発者に連絡をとり、開発者がユーザーの個人情報を誤って取得していると通報できることを意味するからだ。またFacebookの規約では、規約に従ってサードパーティーのシステムにリモート、あるいは物理的なアクセスを要求し、アプリがFacebookのポリシーに準拠しているかを確認するための監査ができるようになっている。ポリシーに反するデータがある場合は、新規約に則り、その削除を開発者に要請できる。

今後新たな問題が発生したとき、今回ブログ記事で公表したように、どこまで世界に告知されるかは、Facebook次第だ。

開発者向けのポリシーは、今回改定が加えられたうちの一部に過ぎない。Facebook SDK、Facebookでログイン、およびソーシャルプラグインの一部の利用に関連する個人情報の取り扱いをここでも厳格化するため、Facebookは、ビジネスツール利用規約を含む商用利用規約も改定した。商用利用規約の変更は「内容をより明確にするためでもある」と同社は話している。

こうした総合的な規約の改定で、Facebookはどの抜け穴を繕うのか、そしてそれが今後データアクセス問題が発生したときに、ユーザーの個人情報と透明性にどう影響するのかが完全に分析されるには、時間がかかる。

新しいポリシーと規約は、2020年8月31日に発効されるとのことだ。開発者は、この更新の同意に関して、特に何かをする必要はない。

関連記事:Twitterがビジネスユーザーの個人データ漏洩を発表

カテゴリー:セキュリティ

タグ:Facebook データ漏洩

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

グーグルがAI利用のスマート返信をYouTubeに導入、今後多国語展開も

Google(グーグル)のSmartReplyは、4年前にリリースされたAIテクノロジーを利用した省力化ツールで、GmailをはじめAndroidのMessagesPlay Storeのデベロッパーコンソールその他の場所で受信した内容を解析し、ふさわしい返信案の候補を表示する。 この機能をYouTubeのクリエーターも利用できるようになった。

同社の発表によれば、最新版のYouTube向けSmartReplyはビデオのクリエーターがファンのコメントに対して素早く効率的に返信できるようにすることを狙っているという

この機能はYouTubeのオンラインダッシュボードであるYouTube Studioに導入された。これは、クリエーターがビデオを管理し、統計をチェックすることなどによりチャンネルをプロモーションし、ファンとの交流を図るために設けられたツールだ。クリエイターはYouTube Studioのコメント欄からチャンネルのコメント全体を表示し、返信処理ができる。

YouTubeで多数のフォロワーを持つクリエイターにとってコメントへの返信は非常に時間のかかる作業だ。SmartReplyはこの問題の軽減を狙っている。

クリエイターは視聴者からのコメントをいちいち読んで返信を手入力せず、提案された返信案の1つをクリックして返信できる。たとえばファンが「次のビデオのテーマは何?」と尋ねている場合、SmartReply機能は「ありがとう!」や「どんどん続くよ!」といった返信を提案する。

GmailのSmarReplyは単語と短いフレーズを解析できるが、YouTube向けにの新バージョンはさらに幅広い子コンテンツ解析能力が必要だった。グーグルによればYouTubeコメントでは「絵文字、アスキーアート、言語種類の認識などを必要とした」ということだ。YouTubeのコメント投稿には略語、スラング、つづりの揺れなどが頻繁にみられる。このためYouTubeへのSmartReply実装には大きな困難があった。

Google AI Blogの記事に、こうした課題(やその他の課題)をどのように解決したがが詳しく説明されている。

SmartReplyはクリエーターが返信したいと考える可能性が高いコメントを選び、しかも適切な返信内容をを提案する必要があった。コメント内容を正しく認識するために機械学習をトレーニングするシステムが必要だったと同社は述べている。

スタートの時点はSmartReplyは英語とスペイン語のコメントで利用可能となっている。これはSmartReplyとして初のシステム言語の自動切り替えを含む複数言語サポートとなる。言語の種類や絵文字を認識するため文字符号を利用するシステムだという。

「SmartReplyはこうしたアプローチを利用しているため、この機能を今後さらに多数の言語に拡張することが可能となっている」と同社は説明する。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Instagramがストーリーズをまとめて1ページに表示する機能をテスト中

Instagram Stories(インスタグラム・ストーリーズ)は、Facebook史上最高の製品へと成長した。昨年末時点で、Instagramユーザーの約半数、すなわち5億人が毎日このストーリーズ機能を使っている。これは、最初にストーリーズ形式を広めたSnapchat(スナップチャット)のデイリーアクティブユーザー全員の2倍近い。そしてこのほど、Instagramはストーリーズ体験を拡張し、これをInsagramアプリの中心とするテストを行っているようだ。

テスト中の新機能は、Instagramユーザーが一度に見えるストーリーズの数を増やすもので、ホーム画面と新しいストーリー専用画面の両方で利用できる。

ユーザーがInstagramアプリを最初に開くと、ストーリーズが画面のトップに1つだけ表示される代わりに、2例に並んだ状態で始まる。拡大されたストーリーズエリアの下には「See All Stories」(すべてのストーリーズを見る)ボタンがある。

これを押すと、フルスクリーンですべてのストーリーズをスクロールして見られる新しい画面になる。

カリフォルニア在住でソーシャルメディア・マネージャーを務めるJulian Gamboa(ジュリアン・ガンボア)氏が最初にこの機能を見つけた(@JulianGumboの投稿)。

InstagramはTechCrunchに、これは現在少数のユーザーで行っているテストであることを認めた。それ以上詳しくは語らなかったが、テストは1カ月以上続いていると話した。

この機能の多大な人気と成長ぶりや、Facebookの広告主にとってストーリーズがますます重要になっていることを踏まえれば、Facebookがさらに多くのユーザーをストーリーズに留めるためのアイデアを試すのは当然だろう。

2019年第3四半期に、Facebookはストーリーズを最も成長している分野の1つだと認め、全広告主700万社のうち300万社がFacebook、Instagram、Messengerのストーリーズで広告を出していることを指摘した。第4四半期までにストーリーズ広告を使っている広告主の数は400万社に上った

画像クレジット:Julian Gamboa

広告主のニーズに答えるべく、昨年Facebookはカスタマイズ可能なテンプレートを導入し、企業が写真やビデオをアップロードして、レイアウトやカラーやテキストを選んで魅力あるストーリーズを作れるようにした。また、ストーリーズに参加しやすくするために、広告主がFacebook、Messenger、Instagramの広告をまとめて買えるようになった。

Facebookは2020年Q1の決算発表の際に、傘下サービスの総広告インプレッション数が39%伸びたことを報告した。同社はこの飛躍を、ニュースフィードとストーリーズ両方の利用時間が増えたためだと説明した。

しかしFacebookは、ストーリーズ広告の収益率はニュースフィードよりも低いと以前からよく言ってきた。ただしこれは、将来多くの広告主がストーリーズに移行すれば変わっていくと同社は信じているはずだ。

こうした状況を踏まえると、Instagramがフルスクリーンでスクロール可能なストーリーズ体験をアプリで提供したことは興味深い。もし正式に公開されれば、毎日利用するユーザーがさらに増え、ひいては広告主も増えるだろう。

「我々はユーザーコミュニティーのためにInstagram体験を改善する新しい方法を常にテストしている」とFacebookの広報担当者が今回のテストについて話した。

画像クレジット:Bryce Durbin

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが写真日記&ショートムービ作成アプリ「Hobbi」を半年足らずで終了

Facebookがつい最近リリースした実験アプリのHobbiが、早くも終了する。Hobbiは個人的なプロジェクトや趣味などPinterestぽいコンテンツに関する短いビデオを作るアプリだ。Facebook社内のR&DグループであるNPEチームがリリースしたアプリのひとつで、2020年2月にiOS版が公開された。

Hobbiのユーザーにはアプリが2020年7月10日に終了するというプッシュ通知が送られている。ユーザーのデータはアプリの設定からエクスポートできる。

Hobbiは米国のApp Storeで数カ月間公開され、Sensor Towerの推計ではダウンロード数はわずか7000回だった。Apptopiaも、このアプリのダウンロード数は1万回に届かず、5月と6月はきわめて少ないダウンロード数だったとレポートした。

HobbiがPinterestからヒントを得たことは明らかだが、気になったアイデアを集めるピンボードとして設計されたものではなかった。Hobbiのユーザーは、ガーデニングや料理、アート&クラフト、装飾品といった自分のプロジェクトに関する写真を、ビジュアル化された日記のように整理することができる。プロジェクトの進捗を時系列で撮影し、必要に応じて段階を説明するテキストも加えるためのアプリだった。

プロジェクトが完了したら、すべての段階をつなげたハイライト動画にして、外部に公開することができた。

しかしHobbiはかなり簡素なアプリだった。自分のプロジェクトを記録する以外の機能がない。サンプルをいくつか見られるだけで、ほかのユーザーが作ったプロジェクトを見ることはできない。このサービスのトップユーザーをフォローすることもできない。記録のためのツールとしても発展途上だった。プロジェクトの段階を書き留めるための専用の「メモ」フィールドはあるものの、アプリのエクスペリエンスは「ストーリーズ」の劣化版のようだった。

短いクリエイティブコンテンツの可能性を追求しているのはFacebookだけではない。Googleの社内R&DグループであるArea 120もこのジャンルのビデオアプリ、Tangiを公開している。Pinterestは最近、Story Pinsの新バージョンのテスト(未訳記事)を目撃された。この新バージョンでユーザーはDIYなどのクリエイティブコンテンツを似たような感じで公開することができる。

人気が得られなかったことを考えれば、Hobbiが早々に終了することに驚きはない。かねてよりFacebookは、NPEチーム(Tech@facebook)は急速に変化するアプリに関して実験し、消費者が有用性を感じなければ終了すると述べていた。

NPEチームは2019年夏以降、Hobbi以外にも、ミームづくりのWhale、おしゃべり用アプリのBump、音楽アプリのAux、カップル向けのTunedApple Watch app Kit、オーディオ通話アプリのCatchUp(未訳記事)、共同音楽制作アプリのCollab(未訳記事)、ライブイベント向けのVenue(未訳記事)、予測アプリのForecast(未訳記事)など、多くのアプリをリリースしている。Hobbi以前に終了したアプリはBumpのみだった(アプリにより公開されている国が限られる)。

もちろんFacebookは、これらの実験を通じてまったく新しいソーシャルアプリをゼロから作ろうとしているわけではないだろう。どんな機能がユーザーに響き、どんな制作ツールが使われるのか、データを収集しているようだ。こうしたデータは、FacebookのメインのアプリであるFacebook、Messenger、WhatsApp、Instagramなどの機能の開発に反映させることができる。

我々はFacebookにコメントを求めたが、本稿公開までに回答はなかった。

関連記事:最新のモバイルアプリには変革が必要だ

カテゴリー:ソフトウェア

タグ:Facebook

画像:Hobbi

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Twitchは第2四半期に総視聴時間50億時間を突破し記録更新、先行きには不安材料も

Twitchは、コロナウイルスによるロックダウンの最中だった2020年第1四半期に、視聴記録を更新(gamesindustry.biz記事)していたが、第2四半期にはその記録とその他の記録をいくつか再び破ったようだ。

StreamlabsとStream Hatchetからの新しいレポートによれば、この第2四半期にTwitchは、総視聴時間を2020年第1四半期から62.7%と大幅に伸ばして50億時間に達した。

前年比で比べた場合、この数字は83.1%の増加であり、いまや67.6%の市場シェアを占めるTwitchがゲームストリーミングサービスのリーダーとしての地位を固めるのに役立っている。

またレポートによれば、Twitchは第2四半期に、ストリーミングされた時間数、ユニークなチャンネル数、平均同時視聴数の記録も更新した。

ストリーミングに関しては、Q1(第1四半期)の1億2140万時間からQ2(第2四半期)の1億9270万時間へと58.7%増加した。またユニークチャンネル数は、Q1の610万から、Q2では1000万近くへ63.9%増加した。また平均同時視聴数、つまりTwitchを同時に視聴している視聴者の数は前四半期から63.4%増加し、Q2では240万人に達した。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

もちろん、第2四半期のヘッドラインニュースは、ゲームストリーミングサービスのMixerをシャットダウン(The Verge記事)する予定だというMicrosoft(マイクロソフト)からの発表だった。

Mixerは7月22日に終了し、マイクロソフトはFacebookと協力してユーザーに新しい場所を提供する。しかしこれは、Mixerユーザーの切り替えを保証するものではない。おそらくMixerの終了により、Twitchが現在よりもさらに多くの市場シェアを獲得できるようになる可能性があるだろう。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

Mixerは間もなく終了するが、このQ2はこれまでで最高の四半期の1つだった。総視聴時間は1億600万時間に達し、これはQ1に比べると30.6%の増加だ。また、ラインアップのチャンネルを500万個以上に増やした。しかし、より広く市場の状況を眺めた場合、Mixerは大きな影響を与えることはできなかった。第2四半期までにわずか1.4%の市場シェアを確保することができただけだった。これは、実際には前の四半期から0.5ポイント以上低下した数値なのだ。

一方、YouTube Gaming Liveの総視聴時間はQ1からQ2にかけて39.6%増加し、15億時間に達した。この成長は、ある程度は、Jack “CouRage” Dunlop(ジャック・カレッジ・ダンロップ)氏とRachell “Valkyrae” Hofstetter(レイチェル・バルキリー・ホフスタッター)氏を含む最近のトップタレントの獲得と、CouRageの継続的な成功から生じていると報告書は述べている。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

また、YouTube Gaming Liveは、第2四半期ではストリーミング時間数が19.1%増加して1690万時間に達し、ユニークチャンネル数はこの四半期に22.7%増加して110万になった。

Facebook Gamingが、もくろみどおりにMixerの終了の恩恵を受けるかどうかを知るにはまだ時期尚早だ。しかし、Facebook Gamingの総視聴時間はこの四半期に48.5%伸びて8億2200万時間となった。ストリーム時間は610万時間、そしてユニークチャンネル数は20万3554に達した。しかし、Facebookはいまだに市場の11%のシェアしか握っておらず、Q1以来それは変わっていないとレポートは伝えている。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

コロナウイルスが大流行している中、自宅で楽しむ方法を求める消費者が増えていることから、Twitchや程度は低いにせよ他のゲームストリーミングサービスも、明らかに利用が増えてはいるものの、今年はTwitchにとって順風満帆とは言えない状況だった。

Twitchが堅牢な検索ツールや一括削除機能を提供していなかったために、新しくRIAA(米国レコード協会)から取り下げ通知を大量に受けたTwitchのストリーマー(The Verge記事)は、何百時間もの過去の映像を苦心して掘り返して侵害コンテンツを見つけなければならないという事態に陥った。

しかし、さらに懸念されているのはTwitchが 虐待や嫌がらせ(NewYork Times記事)からコミュニティメンバーを適切に保護できなかったこと、大人のストリーマーから子供への略奪的行動を防げなかったことなどの問題で非難されている(The Verge記事)ことだ。6月には、ゲーム業界の70人を超える人々が、性別に基づく差別、嫌がらせ、性的強要に関する申し立てを提起した。Twitchは改善することを誓ったが、初期段階でコミュニティーに対して適切な反応を返すことに失敗したことは、この先足を引っ張りかねない。

これまでのところ、これらの問題はTwitchの成長を視聴率や市場シェアの観点からは弱めてはいないが、収益を生み出すビジネスとしての将来性を損なう可能性がある。すでにTwitchは、広告収入を生み出すのに苦労(The Infoemation記事)しており、コミュニティをな特区させることに失敗した場合には、事態はさらに悪化するだけだ。

現代のマーケティング担当者たちは、自分たちのメッセージが差別的な発言やその他の対立的で有毒なコンテンツの横に配置されることへの懸念をますます強めている。現在進行中の、Facebookへの広告ボイコットは拡大し、現在400以上の広告主が含まれている。たとえばユニリーバ、コカコーラ、ファイザーなどの大手企業がFacebookのソーシャルネットワークへの広告費を見合わせている。こうした広告主たちは、性的虐待を制御できないゲームストリーミングサイトで、自社の製品やサービスを売り込む機会に飛びつくことはないだろう。

StreamlabsとStream Hatchetの完全なレポートはこちらから。

原文へ

(翻訳:sako)

TikTokが「レコメンド」フィードの仕組みを公開、イメージアップ作戦か

ショート動画アプリTikTok(ティックトック)を開くと、ユーザーの好みに合わせて選ばれた一連の人気動画を次々に再生できるフィードが画面に現れる。そのため、例えばあなたの友人が自分の端末でTik Tokを起動すると、あなたとは違う動画フィードが表示される。起動時に再生されるこのメインコンテンツは個々のユーザーに合わせてパーソナライズされているため、TikTokはこれを「For You(レコメンド)」フィードと呼んでいる。これまで謎に包まれていたこのレコメンデーションシステムの仕組みがついに明らかにされた。TikTokがレコメンドフィードの選定に使われている要素は何か、ユーザーごとにそれぞれの要素の重み付けをどのように変えるのか、詳細を公表したのだ

TikTokはまた、いつも同じような動画ばかり表示されるようになる「フィルターバブル」の形成を回避するために講じている対策についても説明している。

多くのレコメンデーションシステムと同じく、TikTokのレコメンドフィードもユーザーからのインプットに基づいている。

ユーザーが「いいね」したり共有したりした動画、フォロー中のアカウント、投稿したコメント、作成したコンテンツなどに基づいてユーザーの好みを自動で判別しているのだ。さらに、キャプション、サウンド、気に入ったコンテンツに関連付けられたハッシュタグなどの動画情報も判別に使われている。

また、それほど重視はされないものの、端末とアカウント設定に関する情報(言語、国、デバイスの種類など)も判別要素になる。ただし、TikTokのレコメンデーションシステムでは、この種の情報は他社ほど重視していないという。同システムのパフォーマンス最適化に、より力を入れているためだ。

TikTokがユーザーの好みを判別するために参考にしているシグナル、いわば手がかりは他にもある。例えば、長い動画を最初から最後まで見ると、ユーザーはその内容に強い関心を持っているとみなされる。このようなシグナルは、「動画の視聴者と投稿者の出身国が同じ」というようなシグナルよりも重視される。

TikTokはまた、フォロワーの多いアカウントによって投稿された動画は再生回数も多くなる可能性が高いことを確認している。単純に視聴者層が厚いためだ。その上で、フォロワーの数が多いことや、そのアカウントが過去に再生回数の多い動画を投稿したかどうかという点は、TikTokのレコメンデーションシステムでは直接的な決め手にはならない、と同社は説明している。

つまり、再生回数の多いTikTokのトップユーザー、すなわちcharli d’amelio、addison rae、Zach King、Loren Gray、Riyaz、Spencer X、BabyArielといった人気アカウントが、フォロー中のユーザーを含むすべてのユーザーのレコメンドに表示される保証はないということのようだ。

TikTokをしばらく使っていると、レコメンデーションシステムはユーザーの好みや関心事の変化に合わせるようになる。新しいアカウントをフォローし始めたことや「Discover(トレンド)」タブでハッシュタグ、楽曲、エフェクト、トレンドトピックを検索したことなどもシステムで認識される。これらすべてによって、TikTokのエクスペリエンスがパーソナライズされていく。

また、動画を長押しして「Add to Favorites(セーブする)」あるいは「Not interested(興味ありません)」をタップし、TikTokに対して明示的に好き嫌いを示すこともできる。

ユーザーによるインプットとシグナルに基づいてレコメンデーションを行うアプリはどれもそうだが、TikTokもコールドスタート問題を克服する方法を見つける必要がある。アプリが初めて起動された時点では、ユーザーの趣味や嗜好に合うコンテンツについての情報が何もない。この問題に対処するため、TikTokでは、新規ユーザーに興味があるカテゴリ(ペットや旅行など)を選択してもらい、初期のレコメンデーションに使用する。このカテゴリ選択をスキップしたユーザーについては、ある程度のユーザー入力が蓄積されるまで一般的な人気動画を表示する。「いいね」、コメント、再生などについて、ユーザーが初回の操作を一通り完了すると、いよいよTikTokが最初の「レコメンド」フィードを開始する。

ユーザーの個人的な好みに合わせすぎると、いわゆるフィルターバブルの状態となり、エクスペリエンスが制限されてしまう可能性があるが、TikTokは、この点も理解しているという。フィルターバブルの状態になると、「毎回同じような動画ばかり表示されるようになる」が、この問題については真剣に取り組んでいる、とTikTokは説明している。

数年前にVICE(ヴァイス)に掲載された記事で、TikTokはこの問題をまだ克服していないと指摘された。この記事によると、ある記者が白人至上主義者のコンテンツを表示するようTikTokをトレーニングしたという。具体的には、特定のクリエイターをフォローし、関連するハッシュタグを検索し、白人至上主義者という「関心事」に一致する動画のみに「いいね」するといった操作を行った。その結果、実験に使われたTikTokアプリの画面は白人至上主義者の動画一色に染まってしまったのだが、これは単なるモデレーション機能の問題ではなかった。熱心なユーザーがその気になれば、TikTokに細工をしてヘイトコンテンツであふれさせてしまうことも可能であることを示唆していたのだ。

TikTokは現在、ユーザーのレコメンドページを多様性のある新鮮な状態に保つ方法の実現に取り組んでいるという。つまり、反復コンテンツ、重複コンテンツ、以前視聴したコンテンツやスパムはレコメンドに表示されないということだ。これは同時に、同じクリエイターの動画や同じ楽曲を使った動画を連続して視聴しないよう気をつける必要があるということを意味している。TikTokでは安全上の理由から、人によってはショッキングな内容だと感じる動画をレコメンド表示しないようになっている。手術の動画や規制対象品を消費する(合法であっても)動画などだ。

さらに、ユーザーが興味を示しているカテゴリから外れるような動画や膨大な数の「いいね」を集めている動画がレコメンドフィードにときどき追加されることもあるという。これは多様性を向上させるためにTikTokが行っている試みの1つで、新しいコンテンツカテゴリやクリエイターに出会うチャンスを提供して、ユーザーに「新たな視点やアイデアを体験してもらう」ことがねらいだという。

これは、Facebook(フェイスブック)、 Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)もうまく対応できていない問題だ。これら大手プラットフォームのアルゴリズムは多くの場合、以前に「いいね」したのと同じ類いの動画を目立たせるようになっており、時には徐々により過激的な見方に触れるように促すことさえある。まるで自分の声の反響音しか聞こえない部屋に閉じ込められているような状態だ。

この点がパーソナライズ機能の弱点だということは、TikTokも認識しているという。

TikTokはあるブログ投稿の中で、「趣向の異なる動画をときどきレコメンド表示することは、より広範な視聴者の間で人気のある動画がどれなのかをシステムがより正確に把握し、他のユーザーに素晴らしいエクスペリエンスを提供するのに役立つ。当社の目的は、ユーザーが興味を持つコンテンツを提供するのと同時に、(TikTokでレコメンドされなければ)味わえなかったであろう体験をさせてくれるコンテンツやクリエイターと出会えるようにすることだ」と語っている。

ちょうど今、米国とEUの規制当局が米国の大手テック企業に対し独占禁止法違反の疑いで捜査を進めており、特にTikTokは中国との関係について米国議会で審査されているという、まさにこの時期に、TikTokはレコメンデーションアルゴリズムを公開した。インドでもここ数週間、国境問題のせいでTikTokとその他の中国製アプリが攻撃の的になっており、一部のインド政府当局者がTikTokのブロックを要求するという事態がおきたばかりだ。

TikTokはこれまで、米国が持つ同社へのマイナスイメージを変えようと着実な取り組みを進めてきた。具体的には、Content Advisory Council(コンテンツ諮問委員会)を設立し、ロサンゼルスにTikTok Transparency Center(TikTok・トランスペアレンシー・センター)というラボを開設した。このラボでは、社外の専門家がTikTokのソースコードの閲覧や、TikTokのモデレーション機能が実際に動いているところを見学することが可能だ。

関連記事:インド政府による禁止措置を受けてTikTokがインドでアクセス不可に

カテゴリー:ネットサービス

タグ:TikTok 動画配信

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

Amazonプライムビデオに共同視聴機能「ウォッチパーティー」が登場

Amazon Prime Video(アマゾン・プライムビデオ)は、米国のPrimeメンバー向けに共同視聴機能を提供することを6月29日に発表した。”Watch Party”(ウォッチパーティー)機能は、Primeメンバーなら追加料金なしで利用可能で、同じ時間にホストのアカウントに同期して再生されるビデオを参加者が一緒に見ることができる。

共同視聴セッションのホストは、Watch Partyの開始、停止、一時停止が可能で、その操作は参加者全員のデバイスと瞬時に同期される。

1つのセッションには最大100人が参加できる。参加者もPrimeメンバーで、米国内で視聴している必要がある。

ビデオの再生中、ユーザーはチャット機能を通じて他の参加者と文字と内蔵の絵文字で交流できる。

Watch PartyはデスクトップのPrime Videoでまず提供され、Prime Video SVOD(サブスクリプション・ビデオ・オンデマンド)カタログにある数千タイトルに対応している。この中にはPrimeに入っているサードパーティー製コンテンツの他に、”Fleabag”、”The Marvelous Mrs. Maisel”、”トム・クランシーのJack Ryan”、”HANNA”、”ミンディ・カリングのLate Night”、”ドナルド・グローヴァーのGuava Island”、”Troop Zero”、”The Big Sick”、”The Boys”、”Homecoming”、”My Spy” などのAmazonオリジナル作品も入っている。

レンタルまたは購入専用のタイトルは現時点ではWatch Partyで利用できない、とAmazonは言っている。

Watch Partyを使うには、Prime Videoのデスクトップウェブサイトで、映画や番組ページに新しく登場したWatch Partyアイコンをクリックする。するとリンクが表示されるので、友達や家族に送る。受け取った人はリンクをクリックしてWatch Partyに参加してチャットできるようになる。

Amazonはこの新機能を、Prime Videoのネイティブな体験として開発したと言っている。

Amazonはストリーミングサービスとして最後に共同視聴を提供した会社だ。共同視聴は新型コロナパンデミック禍で人びとの家で過ごす時間が増えたことで人気の高まった。

新型コロナによる都市封鎖で在宅を強いられた米国で、ブラウザー拡張機能のNetflix Party(ネットフリックス・パーティー)がバイラルに広がった。まもなく、あらゆるストリーミングサービスがこの方法を欲しがった。たとえばHBOはブラウザー拡張機能メーカーのScenerと提携して、最大20人と共同視聴できる「バーチャル・シアター」体験を提供した。

その後Hulu(フールー)が、独自の共同視聴機能をHulu.comの “No Ads”(広告なし)メンバー向けに提供した。ストリーミングサービス運営のPlexa(プレクサ)も共同視聴機能を同じ頃に提供開始した。

実はAmazonは、一部のPrime Videoタイトルを共同視聴する方法をすでに提供している。同社のゲーム・ストリーミングサイトであるTwichは、70本以上のPrime Videoタイトル向けにWatch Partyを今春導入した。今回Prime Videoがネイティブに対応したことで、多くのタイトルを利用できるようになり、将来他の市場でも展開する可能性が生まれた。

AmazonはWatch Partyの将来計画についてコメントしていない。今後のロードマップについて聞かれた同社は、顧客に提供できる状態になったら機能を提供する、とだけ答えた。

画像クレジット:Amazon

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが2020年のAppleデザインアワード受賞者を発表

先週行われたApple(アップル)のワールドワイド・デベロッパー・カンファレンス(WWDC)のバーチャルバージョンで、1つ欠けていたのがApple Design Award(デザインアワード)の表彰式だ。米国時間6月29日にアップルは2020年の受賞者を発表し、際立ったアイデアに命を吹き込み、Appleテクノロジーに精通していることを示した各製品に光を当てた。

このデザインアワードは、デベロッパーコミュニティー全体にとって、アップルがどんな種類のアプリとゲームを見たがっているかを知るための指標になっている。例えば2019年に同社は、Apple Pencil(アップルペンシル)、CoreML、Metal 2などのAppleテクノロジーを引き立てた製品を称賛した。

アップルは2020年もiPad向けアプリ、中でもフォトエディターやその他のデザインツールなどクリエイティブツールとしてのiPadを目立たせる製品に焦点を当てた。一方、いくつかのゲームは他のテクノロジーやデザインの選択に加えて、スペーシャルオーディオの利用に注目されて選ばれた。アップルがWWDCで、AirPods Proのスペーシャルオーディオ対応を発表したのは偶然ではないだろう。

Begen Co.の写真・ビデオ編集アプリであるDarkroomは、プロでもカジュアルユーザーでも簡単に使えるという理由で、2020年の受賞アプリに選ばれた。このアプリは写真やカメラのAPI、ホーム画面のクイックアクション、コンテキストメニュー、触覚フィードバックなどのAppleテクノロジーも活用している。

画像クレジット:Bergen Co.

iorama.studioが開発したアニメーションアプリであるLooomは、遊び心と創造性のあるインターフェースと新しいカスタムコントロールに加えて、Apple PencilとダークモードなどのAppleテクノロジーへの対応を認められた。

画像クレジット:iorama.studio

Shapr3D Zartkoruen Mukodo ReszvenytarsasagのCADエディターであるShapr3DはiPadで動作し、テクニカルデザイナーがApple Pencilを使って3Dモデルを制作することができる。ARKitとドラッグアンドドロップを使用しているほか、LiDARスキャナーを使って3D写真から2Dの間取り図をつくる機能が近々追加される。

画像クレジット:Shapr3D Zartkoruen Mukodo Reszvenytarsasag

StaffPad Ltd.のStaffPadは、Apple Pencilとドラッグアンドドロップ、機械学習フレームワークのCore MLを使って手書きの楽譜をデジタル化する。

画像クレジット:StaffPad Ltd.

デベロッパーのSimogoとパブリッシャーのAnnapurna InteractiveによるSayonara Wild Heartsは、すでに2019年のApple App Storeベストゲームの1つに選ばれている。このたび活気ある景観、ビジュアル、モーションのほか、Metal、Game Center、スペーシャルオーディオ、ゲームコントローラーなど広くAppleテクノロジーを利用していることでDesign Awardに選ばれた。

画像クレジット:Simogo / Annapurna Interactive

thatgamecompanyのSky: Children of the Light(Sky 星を紡ぐ子どもたち)も2019年のアップルの「ベスト」ランキング入りし、2020年のデザインアワードではマルチプレーヤー、ソーシャルクエストゲーム部門で受賞した。カスタムMetalエンジン、触覚、ゲームセンター、スペーシャルオーディオなどのAppleテクノロジーを使用している。

画像クレジット:thatgamecompany

Song of Bloomは、インディーデベロッパーのPhilipp Stollenmayer(フィリップ・ストレンマイヤー)氏が開発した脱出ゲームで、すばやく変化するアートスタイルでストーリーが語られる。アップルはこのiPadアプリのハンドクラフトのゲームプレイとデザインを評価した。

画像クレジット:Philipp Stollenmayer

デベロッパーのThe Game BandとパブリッシャーのSnowmanによるアドベンチャーゲーム「Where Cards Fall」は、カードで家を作って記憶を蘇らせる。このゲームはMetal、触覚、ゲームセンター、iCloudなどのテクノロジーを使用している。

画像クレジット:The Game Band / Snowman

2020年のDesign Award受賞者にはAppleデザインチーム作のApple Design Awardトロフィーに加えて、27インチiMac Pro、16インチMacBook Pro、iPhone 11 Pro Max、12.9インチMagic Keyboard for iPad Pro、Apple Pencil第2世代、Apple TV 4K、Apple Watch Series 5 44mm、AirPods Proが贈られる。

「毎年多くのアプリとゲームのデベロッパーが卓越した職人技を披露し、我々はベストの中のベストの栄誉を称える」とアップルのワールドワイドデベロッパーリレーションズ担当副社長であるRon Okamoto(ロン・オカモト)氏が発表文で語っている(Appleリリース)。「Apple Design Awardの受賞は特別な、称賛に値する成果だ。過去の受賞者には歴史に残る著名なアプリとゲームを作った人たちもいる。受賞したデベロッパーたちはそのビジョン、決断、厳格な基準を通じて、Appleデベロッパーコミュニティーの仲間たちだけでなく、我々アップルの全員にもひらめきを与えてくれる」。

画像クレジット:Apple

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iOS 14のApp ClipsはApp Storeに行かずに機能が利用できるApple版インスタントアプリ

AppleのApp Storeは今や200万近いアプリが登録された巨大なエコシステムとなっている。 つまり必要なアプリを見つけてダウンロードするのが非常に難しくなっているわけだ。 アプリのデベロッパーが新しいユーザーを獲得するにはApp Storeを対象とする検索広告、伝統的SEO、各種デジタル広告などにますます多額の投資をしなければならないい。

今年後半にリリースされるiOS 14に搭載されるApp Clipsはデベロッパーの新ユーザー獲得に新しいオプションを提供する。AppClipsでアプリを公開した場合、ユーザーは必要に応じてアプリの一部の機能をオンデマンドで即座に読み込むことができる。利用が終了するとApp Clipsのアプリはデバイスから消える。

App Clipsのコンセプトは目新しいものではない。GoogleのAndroidプラットフォームでは数年前からInstant Appと呼ばれるオンデマンドのミニアプリを提供している

App ClipsはInstant AppsのiOS版で、アプリをウェブページなみに手軽に扱えるようにすることを目的としている。スピーディーかつ一時的で、特定の機能を利用したいだけなのにApp Storeからアプリをダウンロードしてデバイスにインストールしなければならないというハードルを取り除く。

現在多くのユーザーは急いでいるときにアプリをまるごとダウンロードしたがらない。たとえば市営パーキングで駐車料金を支払いたい場合、パーキングメーターにクレジットカードを通すだけですめば好都合だ。市の駐車アプリをダウンロードしてインストールするよりはるかに時間と手間の節約になる。

ファーストフード店で行列を作っている人々もいちいち店のアプリをダウンロードしてメニューを見て注文しようとはしない。ほとんどの客はカウンターでスタッフに注文し、料金を払う。自転車をレンタルするならスマートフォンを一回タップするだけですませたいだろう。

 

App Clipはウェブサイトを開くのと同じくらい手間でアプリの特定機能を利用できるようにすることを狙っている。上に挙げた例のように一度タップするだけでApple Payでチェックアウトするという他にも多数のシナリオが想定される。

AppleはQRコードを読み取るだけでClipsを起動できるようにする予定だ。今年後半に登場するApp Clip CodeはClip体験をさらにアップグレードする。NFCとQRコードのスキャンを組み合わせた機能でユーザーはタップないしQRコードのスキャンでApp Clipにアクセスできる。

 null

たとえば、パーキングメーターにApp Clip Codeを表示すればユーザーはコードをスキャンするだけでアプリの一部機能を即座に読み込み、駐車時間に応じた支払いを行うことができる。ApplePayが利用できるシステムであればクレジットカードのスワイプを省略することもできまる。

App Clipのサイズは10MB未満に制限され、App Storeアプリにバンドルされる形で公開される。デベロッパーはUIKit、SwiftUIなどの現在アプリ開発に用いている開発環境を利用してApp
Clipを書くことができる。ただしApp Clipsを起動してもアプリ本体がデバイスにダウンロードされることはない。

App Clipsが提供する重要なメリットはプライバシー保護の面で優れていることだ。App Clipsは簡単にいえばオンデマンドでアプリのコードを実行する仕組みだ。このためiPhone上に健康、フィットネスなど機密性の高い個人データへがあってもアクセスは制限されている。またApp Clip自身と使用したデータは、一定時間再利用されないと自動的に消去される。

逆にユーザーが特定のApp Clipを頻繁に利用する(行きつけのコーヒーショップなど)と、App Clipsが消去されるまでの時間が延長され、機能も拡大される。コーヒーショップの例でいえば、App Clipsはオーダーの際にユーザーが前回した注文を記憶し、候補として提示する。これにより注文のプロセスがスピードアップできるわけだ。このユーザーはやがてアプリ全体をダウンロードしてインストールすると決めるかもしれない。

この場合、Appl Clipsから本体アプリへの移行もシームレスに実行される。iOSは、App Clipsがすでに得ていたカメラ、マイク、Bluetoothアクセスなどへのアクセス許可を記憶しており、アプリ自動的に適用する。またアプリで使用されたデータも移行される。

https://techcrunchjp.files.wordpress.com/2020/06/2020-06-29-003-app-clips-maps.jpg

もちろユーザーはこうした実世界での利用以外にもオンラインでApp Clipsを発見して利用することがあるだろう。Appleはむしろこちらを主なユースケースと考えいるかもしれない。

Appleは、App ClipはiMessageのリンクとして送信できるとしている。またSafariでモバイルサイトを閲覧しているときにポップアップとして表示されるし、Appleマップのビジネスの説明ページにも表示できる。Siriの「この周辺」の候補にも表示される可能性があるとAppleは述べてる。

「デバイスの中であれ、現実世界であれ、世界のどこにいいようと常にユーザーのそばにあって即座に利用できる」というのがApp Clipsの考え方のようだ。

画像:Apple
原文へ

滑川海彦@Facebook

Safariの次期バーションではFace IDとTouch IDでウェブログインが可能に

Apple(アップル)のFace IDとTouch IDは、ユーザーがiPhoneやiPadなどのモバイルデバイスにログインすることを簡単にしてきた、また一部のMacにはTouch IDボタンが搭載されている。さらに同社は、Face IDとTouch IDをウェブの世界に持ち込もうとしている。

今週開催された同社のオンラインWWDC(世界開発者会議)で、ウェブ開発者がFace IDとTouch IDのサポートをウェブサイトに追加する方法を紹介した。この方法によって、Safariのユーザーはユーザー名とパスワードを入力することなくウェブサイトにログインすることが可能になる。

アップルは、ウェブ開発者向けのWWDC セッションで、ユーザーに「スムーズな体験」を提供できるようにするために、同社が開発者たちに強く推奨する新しい機能を披露した。iOSアプリでFace IDとTouch IDが機能するやり方と同様に、新しいテクノロジーの実装を選択したウェブ開発者は、ユーザーが次にウェブサイトにアクセスしたときに、生体認証方式を選択できるようにすることができる。

このテクノロジーはWeb Authentication(WebAuthn)APIを介して構築されたものだ。このAPIを使うことによって、開発者はFIDO Allianceによって開発されたFIDO2仕様を介して認証システムを構築することができる。FIDOによれば、Safari14からmacOSとiOS向けに利用可能になるという。

CNETが説明しているように、このブラウザ技術を使用するのはアップルが最初ではない。例えば、Firefox、Chrome、Microsoft Edgeなどではすでに利用可能だ。

しかしアップルによる採用は、バイオメトリクスの動きをより広範囲に押し進める可能性がある。これは、一部には同社が複雑なテクノロジーを消費者にとって使いやすくし、ユーザー教育の仕事を引き受けるやり方に影響されるからだ。また同社、自社開発の最新テクノロジーを展開することに興奮する、かなりの規模の開発者コミュニティも抱えている。

新しいシステムは、その成り立ちから考えればデフォルトで多要素システムとなる。

アップルのプラットフォーム認証システムは、iPhoneまたはiPadのセキュア・エンクレーブを使用して秘密鍵を提供しており、またその秘密鍵がデバイスから外に出ることが決してないことを保証している。またそれは、指紋または顔認識によってユーザーを認証している。これにより、ユーザーが所有しているもの(iPhone)と、ユーザー自身の一部であるもの(バイオメトリクス情報)が組み合わさることで多要素となる。

またBiometric Updateのレポートによれば、同じWWDCのセッションの中でアップルが独自の認証サービスを開発していることも明らかにされた。このサービスは、例えば銀行のように特に高度なセキュリティ要件を持つところへのオプションサービスとなる。こうしたテクノロジーはプライバシーを侵害するために使用される可能性があるため、同社は個別認証情報ごとに固有の証明書を生成する独自のバージョンを構築したのだ。これにより、ウェブサイトはウェブを横断してユーザーを追跡することができなくなる。このサービスはまだ利用できないが、まもなく利用できるようになる予定だ。

アップルは今年初めにFiDO Allianceに参加し、現行のパスワード方式を、信頼できるデバイスとバイオメトリクスで置き換える方式に向けて取り組む意向を表明している。また同社は、MacでFace IDを使用する手法の特許も取得しているものの、そちらはまだリリースされていない。

原文へ

(翻訳:sako)

InstagramがTikTokクローン「Reels」を新市場へと拡大

Instagram(インスタグラム)は、昨年のブラジルでの開始に続き、「Reels」(リール)として知られるTikTok(ティクトック)のライバル(未訳記事)を、新しい市場へと拡大している。米国時間6月24日から、InstagramはフランスとドイツでのReelsの提供を始めた、これによってユーザーは15秒の短いビデオを録画し、音楽やその他の音を添えて、Instagramプラットフォーム上で共有してバイラルを狙うことができる。

Reelsの機能はTikTokに似ていて、クリエイティブなビデオを撮影することを容易にする編集ツールを各種提供している。たとえば、提供開始時にReelsは、カウントダウンタイマー、ビデオ速度を調整する機能、その他の効果を提供していた。

同社はブラジルで行った初期のテストから学び、それ以来Reels体験のキーとなる側面を再考してきた。

以前は、ReelsはInstagramのストーリー内のみで共有されることが意図されていた。しかし、Instagramコミュニティからは、より永続的な方法でReelsをフォロワーや友人と共有する機能が必要であり、必要に応じてその配布をより広く行なう機会も必要だとする反応が返された。

さらには、コミュニティからは簡単にReelsを編集たり他の人のReelsを見ることができたりする専用スペースが必要だという希望も寄せられている。

同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところでは、ドイツとフランスでの拡大に伴い、InstagramはReelsをユーザープロフィールや検索ページ(後者は公開アカウント用)の専用スペースへと移動し たので、ユーザーは新しい視聴者と共有したり、Instagramフィード上で共有したりすることができる。

これらの変更により、Reelsがアプリの目的地の1つになるにつれて、Reelsとそのクリエイターたちにさらに多くの露出のチャンスが生み出されるだろう。例えば、現在のストーリーのように。

ところでReelsは、TikTokの人気の高まりに挑戦したFacebook(フェイスブック)の最初の試みではない。

Instagramの親会社であるFacebookは、以前に短い形式のビデオアプリLasso(ラッソー)を立ち上げていたが、これまでのところ大きな牽引力を発揮できていない。これに対して、Reelsでは、Instagramは既存のクリエイターベースを利用し、ユーザーのビデオ編集ツールへの慣れを活用することができる。

Reelsの課題は、Instagramユーザーが現在フィードへの投稿やストーリーで現在行っているものとは異なるタイプのコンテンツを、作成してもらうようにすることだ。そうしたビデオは、例えば誰かの日常のクリップやVlogのように、どうしてもより個人的なものになる傾向がある。その一方で、より専門的なクリエーターコンテンツはIGTVへと移動されてきた。

これに対してTikTokビデオでは、リハーサルや振り付けが行われる傾向がある。ユーザーたちはダンスを学び、トリックを実行し、ジョークを語り、曲やオーディオにリップシンクしたり、人気のミームを独自の方法で再現したりしている。こうしたビデオは通常、Instagramで見られるような即興的なものではない。こうしたコンテンツの作成を奨励するには、Reelsが現在提供しているものとは別の種類の編集ツールセットとワークフローが必要だ。

Instagramは、Reelsをグローバルに展開する予定の時期や、米国に持ち込む予定の時期は明らかにしなかったが、さらなる拡大によって、同社は既存の経験を基に引き続き製品を進化させることができると語っている。

原文へ

(翻訳:sako)

アップルのiMessageにメンション、ピン留め、インラインでの返信などの新機能が多数追加

Apple(アップル)のiMessageプラットフォームが、iOS 14とmacOS Big Surのリリースで大幅にアップデートする。日本時間6月23日に配信されたWWDCのキーノートで、アップルはiMessageの次バージョンに、SlackやFacebook Messengerといったライバルのメッセージングアプリで人気の機能の多くを搭載すると発表した。インラインでの返信、ピンで固定、メンションなどだ。さらにグループチャットのカスタマイズ、ミー文字の拡張、検索機能の向上なども発表されている。

インラインで返信する新機能を使うと、iMessageのグループチャットに参加しているユーザーがスレッドとして特定のメッセージに返信できる。これはSlackなど人気メッセージングアプリの多くに搭載されているのと同様の機能だ。ユーザーは会話全体の中で返信を表示したり、独自スレッドとして表示したりすることができる。

グループチャット内の誰に対するメッセージかをわかりやすくするために、iMessageにメンションの機能が追加される。ただし、他のアプリやTwitterなどのソーシャルプラットフォームで「@」をつけてメンションするのとは異なり、iMessageでは相手の名前を入力するだけだ。記号を追加する必要はない。

送信相手の推測候補がポップアップし、タップして選択できる。テキストメッセージ中では相手の名前が青色で強調表示され、その相手に対するコメントであることが示される。

そして最高の新機能は、会話の中で自分にメンションされたときだけ通知するようにメッセージアプリを設定できることだ。通知をミュートしたくなるほど頻繁に会話が交わされるチャットでも、重要なメッセージを見落とさずについていけるようになるだろう。

グループチャットのデザインも変更され、直近でアクティブだった人のプロフィールアイコンが最も大きく表示される。

グループチャットのメインイメージを写真や絵文字でカスタマイズすることもできる。会話では、グループメンバーのプロフィールアイコンがメインイメージの周囲に表示される。

会話をピンで固定する新機能を使えば、最も重要なiMessageのチャットを常に画面の最上部に表示できる。こうしておけば、親友や家族のグループチャットなど、頻繁に参加する会話に簡単に戻れる。重要な相手、配偶者、子供など頻繁にメッセージをやりとりする人と素早く会話を続けることもできる。

グループチャットに新しいメッセージが届くと、画面上部に表示される。誰かがあなたへのテキストメッセージを入力中であることも、インジケーターでわかる。

この機能はいつも主にiMessageで会話をしていて、長い未読リストの中で重要なメッセージを見落としてしまうことが多い人にとっては特に便利だ。未読リストをスクロールして会話を追いかけなくても、1カ所を見れば急を要するメッセージを見落とすことがないので、画面を見る時間を減らすこともできる。

さらにアップルは、ミー文字もアップデートする。20種類の新しい髪型と被り物、マスク、年齢の選択肢に加え、ミー文字ステッカーにはハグ、グータッチ、照れの3種類が追加される。

Macのメッセージアプリでもインラインの返信やピンで会話を固定、メンションを利用できる。iMessageのメッセージエフェクト、ミー文字のカスタマイズ、新しい写真ピッカー、人気の画像やGIFを見つけてメッセージに追加する#imagesにも対応する。さらに検索機能が強化され、リンクや写真、一致する項目を見つけやすくなるとアップルは紹介している。

これらの新機能は、今秋のiOS 14とmacOS Big Surのリリース時に搭載される。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

ついにwatchOS 7でApple Watchの文字盤カスタマイズ、共有が可能に

Apple(アップル)はWWDC 2020でカスタムウォッチフェイスの共有など、これまで強く要望されていた機能をApple Watchに追加すると発表した。

Apple WatchのApp Storeには2万以上のApple Watch用のアプリが登録されているが、お気に入りのアプリのデータをすべてWatchのメイン画面に集約する機能が欠けていた。watchOS 7に導入されるサードパーティーのウォッチフェイス(文字盤)をカスタマイズして共有する機能などによってこの状況は変わる。

watchOS 7ではデベロッパーはアプリごとに個別の機能を統合し、これを表示するカスタムウォッチフェイスをデザインできる。例えばサーファー向けウォッチアプリのデベロッパーは、ユーザーがお気に入りのビーチを登録すれば水温や波高、風速などを予測する「サーフィンウォッチ」の文字盤をデザインできる。赤ちゃんの両親向けの専用アプリであれば授乳時間のアラームを設定したり、成長を記録したりできる。Nike(ナイキ)社のNike Run Clubは、前回のランニングのペースや毎週のランニング目標などの情報を表示する。

アップルは「デベロッパーは新しいSwiftUIを利用して複雑な機能をデザインできるようになる」と述べている。

またwatchOS 7では、ユーザーはこうした複合的な機能を持つカスタムアプリを利用したお気に入りのウォッチフェイスを公開、共有できる。

watchOS App Storeでは、キュレーションされたサードパーティのアプリやウォッチフェイスを発見できる。また新しい共有機能を利用して、App Storeその他で発見したウォッチフェイスを家族や友人と共有することができる。

共有は簡単だ。表示されたウォッチフェイスを長押して、送信先を選択するだけでよい。デベロッパーはアプリから直接、事前にカスタマイズされた文字盤を提供することもできる。これは各種のソーシャルメディアに公開できるため、ウォッチフェイスがバイラルで拡散される可能性もある。

iOSなどアップルの他のプラットフォームと比べて、遅れ気味だったwatchOSにとってこうした新機能はエコシステムを活性化するのに役立つだろう。

Appleはまた、タコメーター付きの新しいクロノグラフや更新されたXLフェイスのアップデートなど、今後独自の複合機能の文字盤デザインを提供していくと述べている。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

GoogleのKeenは機械学習版のPinterest

Area 120というGoogle(グーグル)の社内インキュベータからKeenという「AIが関心あるトピックをクラウドから集めてくれる」サービスが登場した。いわばGoogleアラートの改良版だ。ただしGoogleアラートがGoogle検索の結果をメールで通知するだけなのに対して、Keenは機械学習と人間の判断を組み合わせ、トピックをキュレーションする専用ページを作ってくれる。

ユーザー興味を抱いている個々のトピックはKeenと呼ばれる(頭の回転が速いことを指す形容詞から取ったのだろう)。

共同創業者のC.J. Adams(C.J. アダムズ)氏によれば、ヒマな時間にぼんやりスマホを眺めて画像や記事を延々とブラウズしていることに気づいたことがこのプロジェクトのアイデアのきっかけだったという。アダムズ氏は同じ時間を使うなら自分が興味を持つトピックについて学ぶほうがずっとよいと考えた。つまり深く知りたいと思っていたテーマや学びたかった技能などだ。

このアイデアを発展させるためにアダムズ氏はGoogleの同僚4人を誘った。またPeople and AI Research(PAIR、人間とAI検索)チームの協力を得て作ったのがKeenだという。「人間とAI検索」は人間の活動を中心としてそれを助ける機械学習に焦点を当てたテクノロジーを開発しているチームだ。

KeenはウェブとAndroidで公開されており、利用するにはGoogleアカウントでログインして調べたいトピックを入力すればよい。アダムズ氏はリリースノートでパン焼きバードウォッチングタイポグラフィなどの例を挙げている。

キーワードを入力するとKeenは関連するトピックを提案してくれる。「犬の訓練」と入力すると、「犬の訓練教室」「犬の訓練本」「犬の訓練のコツ」「犬の訓練ビデオ」などが提案されるので適当なものがあればクリックするとそのテーマでKeenが作成される。

後でKeenを開くと興味に合致したコンテンツの画像がピンボードとして表示される。「犬の訓練」の例では、下の画像のように各種記事、YouTube動画、キュレーションされた役に立つソースのリストから、犬の訓練用おやつ製品のAmazonリンクなどが収集されている。

作成されたトピックについてサービスはGoogle検索と機械学習で新たなコンテンツを発見、収集する。ユーザーがKeenにコンテンツを追加、内容を整理すればKeen側からのレコメンデーションも精度もアップする。

使用感はPinterestのAI自動化版といったところだ。

Keenでトピックが作成されたらコンテンツを追加、削除できるのはもちろん、他のユーザーがコレクションを閲覧、編集できるよう共有するオプションもある。コレクションは公開することも、非公開にすることもできる。また新しいコンテンツが追加されたときメールで通知を受け取ることもできる。

実はGoogleアプリのニュースフィードは似たようなテクノロジーを使っている(The Verge記事)。ニュースフィードの場合、ユーザーの検索履歴とユーザーが興味も持っていると入力したテーマを組み合わせて収集された最新ニュースその他の情報がGoogleアプリのホーム画面に配信される。ただしKeenは検索履歴にはタッチせず、ユーザーが直接入力したトピックだけに基づいてコンテンツを収集するという。

またニュースフィードがそのタイトルどおり最新の情報に焦点を当てているのとは異なり、Keenはトピックに関する有用な情報を発表時期によらずに収集する。これは記事だけでなく、イベント、ビデオ、製品カタログなどの関連情報も含まる。

しかしGoogleログインで認証される同社のサービスである以上、収集されたデータは同社と共有される。もちろんKeenも他のGoogleサービスと同様に、同社のプライバシー約款が適用される。

現在のKeenはグーグルという大企業のインキュベータから生まれたばかりのプロジェクトではあるが、インターネットのパーソナル化の一つの方向を示して示しているといえる。テクノロジー企業は、以前から  ユーザーが興味を持つコンテンツを供給することがサービスに対してポジティブなイメージを与え、エンゲージメントを高め、セッションの長さやリテンション率をアップすることに以前から気づいていた。

しかし十分に注意を払わないと、パーソナル化はユーザーにいつも似たような情報を提供、有力な反対意見が出てもそれを伝えることができないといった弊害も起こしやすい。これはユーザーの世界観を狭くするだけでなく、バイアスを強化するフィルターバブル (The Wall Street Journal記事)や同意見だけを集めてくるエコーチェンバー(Cambridge Core記事)などの好ましくない副作用をもたらす。 アルゴリズムに基づいた記事推薦は奇矯なコンテンツを検索しているユーザーを危険な迷路に送り込みいっそう過激化させてしまう(The NewYork Times記事)リスクがある。極端な場合、過激化したユーザーがテロリストになるYahoo News記事)ことさえある。

Keenの場合も機械学習と人間の専門家をペアにするほうが賢明だろう。 しかしKeenではユーザー本人と(もし招待した場合は)友人や家族を以外に人間によるレイヤーは存在せず、AIテクノロジーが情報を集めてくる仕組みだ。

このことは現在のAIシステムに充分な知識を持った人間の専門家のキュレーションが必須であることを示しているが、Keenについていえば野心の範囲を今少し狭くして特定のトピックの情報収集に特化したほうがいいのかもしれない。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook